説明

異なる金属よりなる2つの部分を含むプラズモンジェネレータ

【課題】プラズモンジェネレータによって表面プラズモンを効率よく伝播させながら、単一の材料によって形成されたプラズモンジェネレータでは実現できない性能を実現する。
【解決手段】導波路のコアより発生されるエバネッセント光と結合することによって表面プラズモンが励起されるプラズモンジェネレータ50は、第1の金属材料よりなる第1の部分51と、第1の金属材料とは異なる第2の金属材料よりなる第2の部分52とを備えている。プラズモンジェネレータ50は、前端面50aを有し、この前端面50aは、表面プラズモンに基づいて近接場光を発生する近接場光発生部50gを含んでいる。第2の部分52は、前端面50aに配置された端面52aを含んでいる。第2の金属材料は、第1の金属材料に比べて、イオン化傾向が小さいことと、電気伝導率が小さいことと、ビッカース硬度が大きいことの少なくとも1つの要件を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に近接場光を照射して記録媒体の保磁力を低下させて情報の記録を行う熱アシスト磁気記録に用いられるプラズモンジェネレータ、ならびにこのプラズモンジェネレータを有する熱アシスト磁気記録ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気ディスク装置等の磁気記録装置では、高記録密度化に伴い、薄膜磁気ヘッドおよび記録媒体の性能向上が要求されている。薄膜磁気ヘッドとしては、基板に対して、読み出し用の磁気抵抗効果素子(以下、MR(Magnetoresistive)素子とも記す。)を有する再生ヘッドと書き込み用の誘導型電磁変換素子を有する記録ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられている。磁気ディスク装置において、薄膜磁気ヘッドは、磁気記録媒体の表面からわずかに浮上するスライダに設けられる。
【0003】
磁気記録装置において、記録密度を高めるためには、記録媒体の磁性微粒子を小さくすることが効果的である。しかし、磁性微粒子を小さくすると、磁性微粒子の磁化の熱安定性が低下するという問題が発生する。この問題を解消するには、磁性微粒子の異方性エネルギーを大きくすることが効果的である。しかし、磁性微粒子の異方性エネルギーを大きくすると、記録媒体の保磁力が大きくなって、既存の磁気ヘッドでは情報の記録が困難になるという問題が発生する。
【0004】
上述のような問題を解決する方法として、いわゆる熱アシスト磁気記録という方法が提案されている。この方法では、保磁力の大きな記録媒体を使用し、情報の記録時には、記録媒体のうち情報が記録される部分に対して記録磁界と同時に熱も加えて、その部分の温度を上昇させ保磁力を低下させて情報の記録を行う。情報が記録された部分は、その後、温度が低下して保磁力が大きくなり、磁化の熱安定性が高まる。以下、熱アシスト磁気記録に用いられる磁気ヘッドを、熱アシスト磁気記録ヘッドと呼ぶ。
【0005】
熱アシスト磁気記録では、記録媒体に対して熱を加える方法としては、近接場光を用いる方法が一般的である。近接場光を発生させる方法としては、レーザ光によって励起されたプラズモンから近接場光を発生する金属片であるプラズモンジェネレータを用いる方法が知られている。また、一般的に、近接場光の発生に利用されるレーザ光は、スライダに設けられた導波路によって、スライダの媒体対向面の近傍に設けられたプラズモンジェネレータに導かれる。
【0006】
特許文献1には、導波路によって導かれたレーザ光を近接場光発生板(プラズモンジェネレータ)に直接照射して、この近接場光発生板から近接場光を発生させる技術が記載されている。また、特許文献1には、近接場光発生板を、互いに異なる導電材料から形成された2つの部分を有するようにした技術が記載されている。
【0007】
特許文献2には、導波路の表面と金属構造体(プラズモンジェネレータ)の表面とをギャップを介して対向させ、導波路を伝播する光に基づいて導波路の表面で発生するエバネッセント光を用いて、金属構造体に表面プラズモンを励起させ、この表面プラズモンに基づいて近接場光を発生させる技術が記載されている。また、特許文献2には、金属構造体を構成する材料を、部分的に他の部分と異なるようにした技術が記載されている(特許文献2の図8〜図10参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−159192号公報
【特許文献2】特開2011−146097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
プラズモンジェネレータは、媒体対向面に配置された前端面を有している。この前端面は、近接場光を発生する近接場光発生部を含んでいる。プラズモンジェネレータに励起された表面プラズモンは、プラズモンジェネレータの表面に沿って近接場光発生部に伝播される。その結果、近接場光発生部において表面プラズモンが集中し、この表面プラズモンに基づいて近接場光発生部より近接場光が発生される。
【0010】
記録媒体に近接場光が照射されると、記録媒体において、周辺に比べて温度の高い部分(以下、熱スポットと言う。)が形成される。記録密度を高めるためには、熱スポットの径を小さくする必要がある。
【0011】
ところで、従来のプラズモンジェネレータは、単一の材料によって形成されていた。その材料としては、一般的に、Ag、Au、Al、Cu等の電気伝導率の大きな金属が用いられる。しかし、単一の材料によって形成されたプラズモンジェネレータでは、以下のような3つの問題点があった。
【0012】
始めに、第1の問題点について説明する。第1の問題点は、腐食に関する問題点である。すなわち、プラズモンジェネレータの前端面は、高温多湿の雰囲気に触れる可能性がある。そのため、プラズモンジェネレータが腐食しやすい材料によって形成されていると、プラズモンジェネレータが腐食するおそれがある。例えば、プラズモンジェネレータをAg、CuまたはAlによって形成した場合には、Ag、CuおよびAlは、比較的、酸化すなわち腐食しやすい金属であるため、プラズモンジェネレータが腐食するおそれがある。
【0013】
次に、第2の問題点について説明する。第2の問題点は、表面プラズモンの励起および伝播と、熱スポットの径に関する問題点である。プラズモンジェネレータに多くの表面プラズモンを励起させ、この表面プラズモンを効率よく伝播させるためには、プラズモンジェネレータの材料の電気伝導率が大きいことが好ましい。しかし、プラズモンジェネレータが電気伝導率の大きな単一の材料によって形成されていると、近接場光発生部より発生される近接場光の強度が大きくなりすぎて、熱スポットの径が大きくなるという問題が発生する。一方、プラズモンジェネレータを、電気伝導率の小さな単一の材料によって形成すると、プラズモンジェネレータに十分な表面プラズモンが励起されなくなったり、励起された表面プラズモンが近接場光発生部に到達する前に大きく減衰したりするといった問題が発生する。
【0014】
次に、第3の問題点について説明する。第3の問題点は、機械的強度に関する問題点である。すなわち、プラズモンジェネレータは、媒体対向面に配置された前端面を有しているため、機械的強度が小さいと、変形等の機械的ダメージを受けやすくなる。例えば、プラズモンジェネレータをAg、Au、AlまたはCuによって形成した場合には、Ag、Au、AlおよびCuは比較的軟らかい金属であるため、プラズモンジェネレータは機械的ダメージを受けやすくなる。
【0015】
特許文献1に記載された技術では、導波路によって導かれたレーザ光が近接場光発生板(プラズモンジェネレータ)に直接照射される。この技術では、近接場光発生板に照射された光の近接場光への変換の効率が非常に低いという問題点がある。
【0016】
特許文献2には、前述のように、金属構造体(プラズモンジェネレータ)を構成する材料を、部分的に他の部分と異なるようにした技術が記載されている。しかし、特許文献2に記載された金属構造体では、以下のような問題点がある。
【0017】
まず、特許文献2の図8に記載された金属構造体では、主要部分と、この主要部分とは材質が異なる層42とが、トラック方向に並ぶように配置されている。この金属構造体では、主要部分において表面プラズモンが発生し、この表面プラズモンが層42に伝播し、層42が有する頂点部20から近接場光が発生する。
【0018】
また、特許文献2の図9に記載された金属構造体では、表面プラズモンが発生する側面29の材質を主要部分とは異ならせている。この金属構造体では、側面29において表面プラズモンが発生し、この表面プラズモンが主要部分に伝播し、主要部分が有する頂点部20から近接場光が発生する。
【0019】
また、特許文献2の図10に記載された金属構造体では、側面29、下部22および頂点部20の材質を主要部分とは異ならせている。この金属構造体では、側面29において表面プラズモンが発生し、この表面プラズモンが下部22を経由して、頂点部20に伝播し、頂点部20から近接場光が発生する。
【0020】
特許文献2の図8〜図10に記載された3つの金属構造体では、いずれも、表面プラズモンは、媒体対向面に垂直な方向に延びる側面を伝播した後、媒体対向面に平行またはほぼ平行な方向に延びる下部を伝播して、頂点部20に至る。この3つの金属構造体では、側面と下部との間に直角または直角に近い角度の角が存在し、この角において不要な近接場光が発生して、表面プラズモンの伝播効率が大きく低下するおそれがある。
【0021】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、表面プラズモンを効率よく伝播させながら、単一の材料によって形成されたプラズモンジェネレータでは実現できない性能を実現できるようにしたプラズモンジェネレータ、ならびにこのプラズモンジェネレータを有する熱アシスト磁気記録ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明のプラズモンジェネレータは、前端面を有し、光を伝播させるコアより発生されるエバネッセント光と結合することによって表面プラズモンが励起されるものである。前端面は、前記表面プラズモンに基づいて近接場光を発生する近接場光発生部を含んでいる。本発明のプラズモンジェネレータは、第1の金属材料よりなる第1の部分と、第1の金属材料とは異なる第2の金属材料よりなる第2の部分とを備えている。
【0023】
本発明の熱アシスト磁気記録ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面と、情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する主磁極と、導波路と、プラズモンジェネレータとを備えている。導波路は、光を伝播させるコアと、コアの周囲に配置されたクラッドとを有している。プラズモンジェネレータは、媒体対向面に配置された前端面を有し、コアを伝播する光に基づいてコアより発生されるエバネッセント光と結合することによって表面プラズモンが励起されるものである。前端面は、前記表面プラズモンに基づいて近接場光を発生する近接場光発生部を含んでいる。プラズモンジェネレータは、第1の金属材料よりなる第1の部分と、第1の金属材料とは異なる第2の金属材料よりなる第2の部分とを有している。
【0024】
本発明のプラズモンジェネレータおよび熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、第1の部分は、前端面に露出していない。第2の部分は、前端面に配置された端面を含み、第1の部分と前端面との間に配置されている。前端面に配置された第2の部分の端面は、近接場光発生部を含んでいる。前端面に垂直な方向についての第1の部分の長さは、前端面に垂直な方向についての第2の部分の長さよりも大きい。
【0025】
本発明のプラズモンジェネレータおよび熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、前端面に垂直な方向についての第1の部分の長さは、150〜200nmの範囲内であり、前端面に垂直な方向についての第2の部分の長さは、2〜80nmの範囲内であってもよい。
【0026】
また、本発明のプラズモンジェネレータおよび熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、第1の部分は、第2の部分よりも体積が大きくてもよい。また、第1の金属材料は、Ag、Au、Al、Cuのいずれかであってもよい。
【0027】
また、本発明のプラズモンジェネレータおよび熱アシスト磁気記録ヘッドにおいて、第2の金属材料は、第1の金属材料よりもイオン化傾向が小さくてもよい。また、第2の金属材料は、第1の金属材料よりも電気伝導率が小さくてもよい。また、第2の金属材料は、第1の金属材料よりもビッカース硬度が大きくてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明のプラズモンジェネレータおよび熱アシスト磁気記録ヘッドでは、プラズモンジェネレータの第1の部分は前端面に露出せず、プラズモンジェネレータの第2の部分は、前端面に配置された端面を含み、第1の部分と前端面との間に配置されている。前端面に垂直な方向についての第1の部分の長さは、前端面に垂直な方向についての第2の部分の長さよりも大きい。このような構成により、本発明によれば、プラズモンジェネレータによって表面プラズモンを効率よく伝播させながら、単一の材料によって形成されたプラズモンジェネレータでは実現できない性能を実現することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプラズモンジェネレータを示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの要部を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの媒体対向面の一部を示す正面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの要部を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの構成を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの媒体対向面を示す正面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法における一工程を示す斜視図である。
【図8】図7に示した工程に続く工程を示す斜視図である。
【図9】図8に示した工程に続く工程を示す斜視図である。
【図10】図9に示した工程に続く工程を示す斜視図である。
【図11】図10に示した工程に続く工程を示す斜視図である。
【図12】図11に示した工程に続く工程を示す斜視図である。
【図13】図12に示した工程に続く工程を示す斜視図である。
【図14】図13に示した工程に続く工程を示す斜視図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係るプラズモンジェネレータの変形例を示す斜視図である。
【図16】図15に示したプラズモンジェネレータにおける導波路のコアに対向する部分を示す平面図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの要部を示す斜視図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図5および図6を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの構成について説明する。図5は、熱アシスト磁気記録ヘッドの構成を示す断面図である。図6は、熱アシスト磁気記録ヘッドの媒体対向面を示す正面図である。
【0031】
本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドは、垂直磁気記録用であり、回転する記録媒体の表面から浮上するスライダの形態を有している。記録媒体が回転すると、記録媒体とスライダとの間を通過する空気流によって、スライダに揚力が生じる。スライダは、この揚力によって記録媒体の表面から浮上するようになっている。
【0032】
図5に示したように、熱アシスト磁気記録ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面40を備えている。ここで、X方向、Y方向、Z方向を以下のように定義する。X方向は、記録媒体のトラック横断方向すなわちトラック幅方向である。Y方向は、媒体対向面40に垂直な方向である。Z方向は、スライダから見た記録媒体の進行方向である。X方向、Y方向、Z方向は互いに直交している。
【0033】
図5および図6に示したように、熱アシスト磁気記録ヘッドは、アルミニウムオキサイド・チタニウムカーバイド(Al23・TiC)等のセラミック材料よりなり、上面1aを有する基板1と、この基板1の上面1a上に配置された絶縁材料よりなる絶縁層2と、この絶縁層2の上に配置された磁性材料よりなる下部シールド層3と、絶縁層2の上において下部シールド層3の周囲に配置された絶縁層4とを備えている。絶縁層2,4は、例えばアルミナ(Al23)によって形成されている。Z方向は、基板1の上面1aに垂直な方向でもある。
【0034】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、下部シールド層3および絶縁層4の上面の上に配置された絶縁膜である下部シールドギャップ膜5と、この下部シールドギャップ膜5の上に配置された再生素子としてのMR(磁気抵抗効果)素子6と、このMR素子6に接続された2つのリード(図示せず)と、MR素子6の上に配置された絶縁膜である上部シールドギャップ膜7とを備えている。
【0035】
MR素子6の一端部は、記録媒体に対向する媒体対向面40に配置されている。MR素子6には、AMR(異方性磁気抵抗効果)素子、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子あるいはTMR(トンネル磁気抵抗効果)素子等の磁気抵抗効果を示す感磁膜を用いた素子を用いることができる。GMR素子としては、磁気的信号検出用の電流を、GMR素子を構成する各層の面に対してほぼ平行な方向に流すCIP(Current In Plane)タイプでもよいし、磁気的信号検出用の電流を、GMR素子を構成する各層の面に対してほぼ垂直な方向に流すCPP(Current Perpendicular to Plane)タイプでもよい。
【0036】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、上部シールドギャップ膜7の上に配置された磁性材料よりなる上部シールド層8と、上部シールドギャップ膜7の上において上部シールド層8の周囲に配置された絶縁層9とを備えている。絶縁層9は、例えばアルミナによって形成されている。下部シールド層3から上部シールド層8までの部分は、再生ヘッドを構成する。
【0037】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、非磁性材料よりなり、上部シールド層8および絶縁層9の上に配置された非磁性層10と、非磁性層10の上に配置された磁性材料よりなるリターン磁極層11と、非磁性層10の上においてリターン磁極層11の周囲に配置された絶縁層12とを備えている。リターン磁極層11は、媒体対向面40に配置された端面を有している。非磁性層10および絶縁層12は、例えばアルミナによって形成されている。
【0038】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、媒体対向面40から離れた位置においてリターン磁極層11の一部の上に配置された2つの連結部13A,13Bと、リターン磁極層11の他の部分および絶縁層12の上に配置された絶縁層14と、この絶縁層14の上に配置されたコイル15とを備えている。連結部13A,13Bは、磁性材料によって形成されている。連結部13A,13Bは、それぞれ、リターン磁極層11の上に配置された第1層と、この第1層の上に順に配置された第2層、第3層および第4層とを有している。連結部13Aの第1層と連結部13Bの第1層は、トラック幅方向(X方向)に並ぶように配置されている。コイル15は、平面渦巻き形状をなし、連結部13A,13Bの第1層を中心として巻回されている。コイル15は、銅等の導電材料によって形成されている。絶縁層14は、例えばアルミナによって形成されている。
【0039】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、コイル15の巻線間に配置された絶縁層16と、コイル15の周囲に配置された絶縁層17と、コイル15および絶縁層16,17の上に配置された絶縁層18とを備えている。絶縁層16は、例えばフォトレジストによって形成されている。絶縁層17,18は、例えばアルミナによって形成されている。連結部13A,13Bの第1層は、絶縁層14,17に埋め込まれている。
【0040】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、コア20と、コア20の周囲に配置されたクラッドとを有する導波路を備えている。コア20は、媒体対向面40により近い端面20aと、上面20bとを有している。端面20aは、媒体対向面40に配置されていてもよいし、媒体対向面40から離れた位置に配置されていてもよい。図5および図6には、端面20aが媒体対向面40に配置された例を示している。
【0041】
クラッドは、クラッド層19,21と、上面22aを有するギャップ層22とを含んでいる。クラッド層19は、絶縁層18の上に配置されている。コア20は、クラッド層19の上に配置されている。クラッド層21は、クラッド層19の上においてコア20の周囲に配置されている。コア20の上面20bおよびクラッド層21の上面は平坦化されている。ギャップ層22は、コア20の上面20bおよびクラッド層21の上面の上に配置されている。
【0042】
コア20は、近接場光の発生に用いられるレーザ光を通過させる誘電体材料によって形成されている。コア20には、図示しないレーザダイオードから出射されたレーザ光が入射され、このレーザ光はコア20内を伝播する。クラッド層19,21およびギャップ層22は、コア20の屈折率よりも小さい屈折率を有する誘電体材料によって形成されている。コア20の材料としては、例えば、Ta等の酸化タンタルや酸窒化ケイ素(SiON)が用いられ、クラッド層19,21およびギャップ層22の材料としては、例えば、酸化ケイ素(SiO)やアルミナが用いられる。
【0043】
連結部13A,13Bの第2層は、絶縁層18およびクラッド層19に埋め込まれている。連結部13A,13Bの第3層は、クラッド層21に埋め込まれている。連結部13Aの第3層と連結部13Bの第3層は、コア20のトラック幅方向(X方向)の両側において、コア20に対して間隔をあけて配置されている。
【0044】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、ギャップ層22の上面22aの上に配置された誘電体層23を備えている。誘電体層23は、上面23aと、媒体対向面40の近傍において、コア20の上面20bの上方に配置された溝部23bとを有している。溝部23bの媒体対向面40に平行な断面の形状はV字形状である。溝部23bの下端部は、コア20の上面20bに対して所定の間隔をあけて、媒体対向面40に垂直な方向(Y方向)に延びている。誘電体層23は、ギャップ層22とは異なる誘電体材料によって形成されている。ギャップ層22の材料としてアルミナが用いられる場合には、誘電体層23の材料としては、例えばSiOが用いられる。
【0045】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、媒体対向面40の近傍において、コア20の上面20bの上方に配置されたプラズモンジェネレータ50と、コア20との間にプラズモンジェネレータ50を挟む位置に配置された磁性材料よりなる主磁極26とを備えている。プラズモンジェネレータ50は、コア20を伝播するレーザ光に基づいてコア20より発生されるエバネッセント光と結合することによって表面プラズモンが励起されるものである。プラズモンジェネレータ50の少なくとも一部は、誘電体層23の溝部23b内に収容されている。プラズモンジェネレータ50および主磁極26については、後で詳しく説明する。
【0046】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、誘電体層23の上において主磁極26の周囲に配置された誘電体層27を備えている。連結部13A,13Bの第4層は、ギャップ層22および誘電体層23,27に埋め込まれている。主磁極26、誘電体層27および連結部13A,13Bの第4層の上面は平坦化されている。誘電体層27は、例えばSiOによって形成されている。
【0047】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、誘電体層27の上に配置されたコイル28と、コイル28を覆うように配置された絶縁層29と、主磁極26、連結部13A,13B、誘電体層27および絶縁層29の上に配置された磁性材料よりなるヨーク層30とを備えている。ヨーク層30は、主磁極26と連結部13A,13Bを磁気的に連結している。コイル28は、平面渦巻き形状をなし、ヨーク層30のうち連結部13A,13Bの上に配置された部分を中心として巻回されている。コイル28は、銅等の導電材料によって形成されている。絶縁層29は、例えばフォトレジストによって形成されている。
【0048】
熱アシスト磁気記録ヘッドは、更に、ヨーク層30を覆うように配置された保護層31を備えている。保護層31は、例えばアルミナによって形成されている。
【0049】
リターン磁極層11からヨーク層30までの部分は、記録ヘッドを構成する。コイル15,28は、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する。リターン磁極層11、連結部13A,13B、ヨーク層30および主磁極26は、コイル15,28が発生する磁界に対応した磁束を通過させる磁路を形成する。コイル15,28は、主磁極26において、コイル15によって発生された磁界に対応する磁束とコイル28によって発生された磁界に対応する磁束が同じ方向に流れるように、直列または並列に接続されている。主磁極26は、コイル15によって発生された磁界に対応する磁束とコイル28によって発生された磁界に対応する磁束とを通過させて、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面40と再生ヘッドと記録ヘッドとを備えている。再生ヘッドと記録ヘッドは、基板1の上に積層されている。記録ヘッドは、再生ヘッドに対して、記録媒体の進行方向(Z方向)の前側(トレーリング側)に配置されている。
【0051】
再生ヘッドは、再生素子としてのMR素子6と、媒体対向面40側の一部がMR素子6を挟んで対向するように配置された、MR素子6をシールドするための下部シールド層3および上部シールド層8と、MR素子6と下部シールド層3との間に配置された下部シールドギャップ膜5と、MR素子6と上部シールド層8との間に配置された上部シールドギャップ膜7とを備えている。
【0052】
記録ヘッドは、コイル15,28と、主磁極26と、導波路と、プラズモンジェネレータ50とを備えている。導波路は、光を伝播させるコア20と、コア20の周囲に配置されたクラッドとを有している。本実施の形態では、特に、コア20は、図示しないレーザダイオードから出射されたレーザ光を伝播させる。クラッドは、クラッド層19,21とギャップ層22とを含んでいる。
【0053】
コア20は、上面20bを有している。ギャップ層22は、上面22aを有し、コア20の上面20bおよびクラッド層21の上面の上に配置されている。プラズモンジェネレータ50の少なくとも一部は、ギャップ層22の上面22aの上に配置された誘電体層23の溝部23b内に収容されている。
【0054】
次に、図1ないし図4を参照して、プラズモンジェネレータ50および主磁極26の形状の一例について詳しく説明する。図1は、プラズモンジェネレータ50を示す斜視図である。図2は、熱アシスト磁気記録ヘッドの要部を示す斜視図である。図3は、熱アシスト磁気記録ヘッドの媒体対向面40の一部を示す正面図である。図4は、熱アシスト磁気記録ヘッドの要部を示す断面図である。
【0055】
図3に示したように、プラズモンジェネレータ50の少なくとも一部を収容する誘電体層23の溝部23bは、所定の角度で交わる第1の壁面23b1および第2の壁面23b2を有している。第1の壁面23b1と第2の壁面23b2がなす角度は、例えば50°〜120°の範囲内である。
【0056】
プラズモンジェネレータ50は、媒体対向面40に配置された前端面50aを有し、コア20より発生されるエバネッセント光と結合することによって表面プラズモンが励起されるものである。前端面50aは、表面プラズモンに基づいて近接場光を発生する近接場光発生部50gを含んでいる。
【0057】
図1に示したように、プラズモンジェネレータ50は、第1の金属材料よりなる第1の部分51と、第1の金属材料とは異なる第2の金属材料よりなる第2の部分52とを有している。本実施の形態では、第1の部分51は、前端面50aに露出しないように、媒体対向面40から離れた位置に配置されている。第2の部分52は、第1の部分51と媒体対向面40との間に配置されている。第1および第2の金属材料については、後で詳しく説明する。
【0058】
第1の部分51の外面は、溝部23bの第1の壁面23b1に対向する第1の斜面と、溝部23bの第2の壁面23b2に対向する第2の斜面と、第1の斜面と第2の斜面が交わることによって形成されたエッジ部51eとを含んでいる。エッジ部51eは、コア20の上面20bに対して所定の間隔をあけて、媒体対向面40に垂直な方向(Y方向)に延びている。第1の部分51の2つの斜面がなす角度は、溝部23bの2つの壁面23b1,23b2がなす角度と等しい。
【0059】
また、第1の部分51は、第1の斜面を含む側壁部511Aと、第2の斜面を含む側壁部511Bと、それぞれ側壁部511A,511Bの上端に連結された拡張部分512A,512Bとを有している。側壁部511A,511Bおよび拡張部分512A,512Bは、それぞれ板状の形状を有している。側壁部511Aは、溝部23bの第1の壁面23b1に沿って配置されている。側壁部511Bは、溝部23bの第2の壁面23b2に沿って配置されている。拡張部分512A,512Bは、誘電体層23の上面23aに沿って配置されている。拡張部分512Aは、側壁部511Aの上端から、側壁部511A,511Bの両方から離れる方向に拡張している。拡張部分512Bは、側壁部511Bの上端から、側壁部511A,511Bの両方から離れる方向に拡張している。なお、第1の部分51は、拡張部分512A,512Bを有していなくてもよい。
【0060】
第2の部分52の外面は、前端面50aに配置された端面52aと、溝部23bの第1の壁面23b1に対向する第3の斜面と、溝部23bの第2の壁面23b2に対向する第4の斜面と、第3の斜面と第4の斜面が交わることによって形成されたエッジ部52eとを含んでいる。エッジ部52eは、コア20の上面20bに対して所定の間隔をあけて、第1の部分51のエッジ部51eに連続するように媒体対向面40に垂直な方向(Y方向)に延びている。近接場光発生部50gは、エッジ部52eの一端に位置している。端面52aは、近接場光発生部50gを含んでいる。第2の部分52の2つの斜面がなす角度は、溝部23bの2つの壁面23b1,23b2がなす角度と等しい。
【0061】
また、第2の部分52は、第3の斜面を含む側壁部521Aと、第4の斜面を含む側壁部521Bと、側壁部521Aの上端に連結された拡張部分522Aと、側壁部521Bの上端に連結された拡張部分522Bとを有している。側壁部521A,521Bおよび拡張部分522A,522Bは、それぞれ、板状の形状を有している。側壁部521Aは、側壁部511Aに連続するように、溝部23bの第1の壁面23b1に沿って配置されている。側壁部521Bは、側壁部511Bに連続するように、溝部23bの第2の壁面23b2に沿って配置されている。拡張部分522A,522Bは、それぞれ拡張部分512A,512Bに連続するように、誘電体層23の上面23aに沿って配置されている。拡張部分522Aは、側壁部521Aの上端から、側壁部521A,521Bの両方から離れる方向に拡張している。拡張部分522Bは、側壁部521Bの上端から、側壁部521A,521Bの両方から離れる方向に拡張している。なお、第2の部分52は、拡張部分522A,522Bを有していなくてもよい。
【0062】
ここで、図4に示したように、前端面50aに垂直な方向(Y方向)についての第1の部分51の長さを記号L1で表し、前端面50aに垂直な方向についての第2の部分52の長さを記号L2で表す。本実施の形態では、第1の部分51の長さL1は、第2の部分52の長さL2よりも大きい。具体的には、第1の部分51の長さL1は、150〜200nmの範囲内であり、第2の部分52の長さL2は、2〜80nmの範囲内である。また、第1の部分51は、第2の部分52よりも体積が大きい。これらのことは、プラズモンジェネレータ50において、第1の部分51が、表面プラズモンの励起および伝播に関して主要な部分であることを意味している。
【0063】
また、媒体対向面40における側壁部521A,521Bの、基板1の上面1aに垂直な方向の寸法(Z方向の寸法)は、媒体対向面40における誘電体層23の溝部23bの深さ(Z方向の寸法)と等しく、例えば0.05〜0.3μmの範囲内である。本実施の形態では、溝部23bの深さは、媒体対向面40からの距離によらずに一定である。従って、側壁部521A,521BのZ方向の寸法は、媒体対向面40からの距離によらずに一定である。また、側壁部511A,511BのZ方向の寸法は、媒体対向面40からの距離によらずに一定であり、側壁部521A,521BのZ方向の寸法と等しい。
【0064】
また、本実施の形態では、媒体対向面40における拡張部分522Aの幅と媒体対向面40における拡張部分522Bの幅は等しい。媒体対向面40における拡張部分522A,522Bの各々の幅は、例えば0〜20μmの範囲内である。図1では、拡張部分522A,522Bの各々の幅は、媒体対向面40からの距離によらずに一定であるように描かれているが、拡張部分522A,522Bは、それぞれ、媒体対向面40から離れた位置において媒体対向面40における拡張部分522A,522Bの各々の幅よりも大きな幅を有していてもよい。また、図1では、拡張部分512A,512Bの各々の幅は、それぞれ、拡張部分522A,522Bの各々の幅と等しくなるように描かれているが、拡張部分512A,512Bは、それぞれ、拡張部分522A,522Bの各々の幅よりも大きな幅を有していてもよい。
【0065】
図1に示したように、拡張部分512A,512B,522A,522Bの各々の幅が、媒体対向面40からの距離によらずに一定であり且つ互いに等しい場合、媒体対向面40に平行な第1の部分51の任意の断面の形状と、媒体対向面40に平行な第2の部分52の任意の断面の形状は、互いに等しくなる。この場合、本実施の形態では、第1の部分51の長さL1は、第2の部分52の長さL2よりも大きいことから、第1の部分51は、第2の部分52よりも体積が大きくなる。
【0066】
主磁極26は、プラズモンジェネレータ50の側壁部511A,511B,521A,521Bによって形成された空間内に収容された第1の部分261と、第1の部分261よりもコア20から遠い位置に配置された第2の部分262とを有している。図2ないし図4では、第1の部分261と第2の部分262との境界を二点鎖線で示している。上方から見たときに、第2の部分262の外縁の位置は、拡張部分512A,512B,522A,522Bの外縁の位置に一致するか近い位置にあってもよい。
【0067】
なお、プラズモンジェネレータ50および主磁極26の形状および配置は、図1ないし図4を参照して説明した上記の例に限られない。
【0068】
次に、本実施の形態における近接場光発生の原理と、近接場光を用いた熱アシスト磁気記録の原理について詳しく説明する。図示しないレーザダイオードから出射されたレーザ光はコア20に入射される。図5に示したように、レーザ光60は、コア20内を媒体対向面40に向けて伝播して、プラズモンジェネレータ50の近傍に達する。ここで、コア20の上面20bにおいて、レーザ光60が全反射することによって、ギャップ層22内にしみ出すエバネッセント光が発生する。そして、プラズモンジェネレータ50の少なくとも第1の部分51のエッジ部51eにおいて、上記エバネッセント光と結合することによって、表面プラズモンが励起される。
【0069】
第1の部分51のエッジ部51eに励起された表面プラズモンは、エッジ部51eおよびエッジ部52eを順に伝播して近接場光発生部50gに到達する。その結果、近接場光発生部50gにおいて表面プラズモンが集中し、この表面プラズモンに基づいて、近接場光発生部50gから近接場光が発生する。この近接場光は、記録媒体に向けて照射され、記録媒体の表面に達し、記録媒体の磁気記録層の一部を加熱する。これにより、その磁気記録層の一部の保磁力が低下する。熱アシスト磁気記録では、このようにして保磁力が低下した磁気記録層の一部に対して、主磁極26より発生される記録磁界を印加することによってデータの記録が行われる。
【0070】
次に、第1および第2の金属材料について説明する。第1および第2の金属材料は、例えば、Ag、Au、Cu、Al、Ru、Pt、Ta、W、Pd、Ti、Cr、Niの金属材料群の中から選択される。本実施の形態では、この金属材料群の中から、以下の第1ないし第3の観点のうちの少なくとも1つの観点から、第1および第2の金属材料として用いられる金属材料の組み合わせを選択することができる。第1の金属材料は、電気伝導率の大きいAg、Au、Al、Cuのいずれかであることが好ましい。
【0071】
始めに、第1の観点について説明する。第1の観点は、腐食に関する観点である。本実施の形態では、第2の金属材料よりなる第2の部分52は、プラズモンジェネレータ50の前端面50aに配置された端面52aを含み、第1の金属材料よりなる第1の部分51は、前端面50aに露出していない。前端面50aは、媒体対向面40に配置されていることから、高温多湿の雰囲気に触れる可能性がある。第2の部分52が酸化しやすい金属材料によって形成されていると、第2の部分52の端面52aが高温多湿の雰囲気に触れて、第2の部分52が酸化によって腐食するおそれがある。そのため、第2の部分52は、酸化により腐食が起こりにくい金属材料によって形成されていることが好ましい。金属材料の酸化による腐食の起こり難さを表す指標としては、例えばイオン化傾向がある。イオン化傾向が小さい金属材料ほど、酸化による腐食が起こり難くなる。そこで、第1の観点では、第2の金属材料を、第1の金属材料よりもイオン化傾向が小さい材料とする。これにより、前端面50aに露出する第2の部分52の腐食を防止しながら、前端面50aに露出しない第1の部分51の材料すなわち第1の金属材料としては、酸化による腐食を考慮することなく、例えば表面プラズモンの励起および伝播に適した金属材料を選択することが可能になる。
【0072】
前記金属材料群に含まれる複数の金属材料と水素(H)を、イオン化傾向が小さい順から並べると、Au、Pt、Pd、Ag、Cu、H、Ni、Cr、Ta、Al、Tiという順列(以下、第1の順列という。)になる。第1の順列には、RuとWを含めていない。それは、第1の順列中の要素とRu,Wのイオン化傾向の大小関係が必ずしも明確ではないためである。しかし、Ruのイオン化傾向はHよりも小さく、Wのイオン化傾向はHよりも大きいと考えられる。
【0073】
第1の観点では、例えば前記の金属材料群の中から任意の2つの金属材料を選択し、その2つの金属材料のうち、相対的にイオン化傾向が小さいほうを第2の金属材料とし、相対的にイオン化傾向が大きい方を第1の金属材料とすることができる。例えば、第2の金属材料としてAuを選択した場合には、第1の金属材料としては、前記金属材料群のうちのAu以外の任意の金属材料を選択することができる。また、第1の金属材料としてAg、Al、Cuのいずれかを選択した場合には、前記第1の順列において、選択した第1の金属材料よりもイオン化傾向が小さい金属材料を第2の金属材料として選択することができる。また、第1の金属材料としてWを選択した場合には、イオン化傾向がHよりも小さい金属材料を第2の金属材料として選択することができる。また、第2の金属材料としてRuを選択した場合には、イオン化傾向がHよりも大きい金属材料を第1の金属材料として選択することができる。
【0074】
このように、第1の観点から、第1および第2の金属材料として用いられる金属材料の組み合わせを選択することにより、プラズモンジェネレータ50(第2の部分52)の腐食を防止しながら、第1の部分51における表面プラズモンの励起および伝播を適切に行わせることが可能になる。これは、単一の材料によって形成されたプラズモンジェネレータでは実現できない性能である。例えば、第1の金属材料としてAgを用い、第2の金属材料としてAuを用いたプラズモンジェネレータ50では、全体がAgによって形成されたプラズモンジェネレータに比べて、前端面50aの近傍の部分における腐食を防止でき、全体がAuによって形成されたプラズモンジェネレータに比べて、主要部分(第1の部分51)における電気伝導率を大きくすることができる。
【0075】
次に、第2の観点について説明する。第2の観点は、表面プラズモンの励起および伝播と、熱スポットの径に関する観点である。プラズモンジェネレータ50に多くの表面プラズモンを励起させ、この表面プラズモンを効率よく伝播させるためには、プラズモンジェネレータ50の材料の電気伝導率が大きいことが好ましい。しかし、プラズモンジェネレータ50が電気伝導率の大きな単一の材料によって形成されていると、近接場光発生部50gより発生される近接場光の強度が大きくなりすぎて、熱スポットの径が大きくなるという問題が発生する。一方、プラズモンジェネレータ50を、電気伝導率の小さな単一の材料によって形成すると、プラズモンジェネレータ50に十分な表面プラズモンが励起されなくなったり、励起された表面プラズモンが近接場光発生部50gに到達する前に大きく減衰したりするといった問題が発生する。そこで、第2の観点では、第2の金属材料を、第1の金属材料よりも電気伝導率が小さい材料とする。これにより、プラズモンジェネレータ50において、表面プラズモンの励起および伝播に関して主要な部分である第1の部分51の材料すなわち第1の金属材料としては、電気伝導率の大きな金属材料を選択して、表面プラズモンの励起および伝播を適切に行わせながら、第2の部分52の材料すなわち第2の金属材料として、第1の金属材料よりも電気伝導率の小さな任意の金属材料を選択することによって、近接場光発生部50gより発生される近接場光の強度を調整(抑制)することが可能になる。
【0076】
前記金属材料群に含まれる複数の金属材料を、電気伝導率が小さい順に並べると、Ti、Ta、Cr、Pd、Pt、Ru、Ni、W、Al、Au、Cu、Agという順列(以下、第2の順列という。)になる。第2の観点では、例えば前記の金属材料群の中から任意の2つの金属材料を選択し、その2つの金属材料のうち、相対的に電気伝導率が小さいほうを第2の金属材料とし、相対的に電気伝導率が大きい方を第1の金属材料とすることができる。例えば、第1の金属材料としてAgを選択した場合には、第2の金属材料としては、前記金属材料群のうちのAg以外の任意の金属材料を選択することができる。また、第1の金属材料としてAu、Al、Cuのいずれかを選択した場合には、前記第2の順列において、選択した第1の金属材料よりも電気伝導率が小さい金属材料を第2の金属材料として選択することができる。
【0077】
このように、第2の観点から、第1および第2の金属材料として用いられる金属材料の組み合わせを選択することにより、第1の部分51における表面プラズモンの励起および伝播を適切に行わせながら、第2の部分52によって、近接場光発生部50gより発生される近接場光の強度を調整(抑制)でき、その結果、近接場光発生部50gより発生される近接場光の強度が大きくなりすぎて、熱スポットの径が大きくなることを防止することが可能になる。これは、単一の材料によって形成されたプラズモンジェネレータでは実現できない性能である。
【0078】
なお、第2の金属材料の電気伝導率が第1の金属材料よりも小さい場合において、第2の部分52の長さL2が大きすぎると、プラズモンジェネレータ50における表面プラズモンの励起効率および伝播効率が大きく低下するおそれがある。そこで、本実施の形態では、第1の部分51の長さL1を第2の部分52の長さL2よりも大きくしている。具体的には、第1の部分51の長さL1は150〜200nmの範囲内であり、第2の部分52の長さL2は2〜80nmの範囲内であることが好ましい。これにより、第2の部分52に起因してプラズモンジェネレータ50における表面プラズモンの励起効率および伝播効率が大きく低下することを防止することができる。
【0079】
次に、第3の観点について説明する。第3の観点は、機械的強度に関する観点である。本実施の形態では、プラズモンジェネレータ50において、前端面50aが媒体対向面40に配置されていることから、前端面50aの近傍の部分の機械的強度が小さいと、変形等の機械的ダメージを受けやすくなる。そのため、前端面50aに露出する第2の部分52は、機械的強度が大きい材料によって形成されていることが好ましい。金属材料の機械的強度を表す指標としては、例えばビッカース硬度がある。ビッカース硬度が大きい金属材料ほど、機械的強度が大きくなる。そこで、第3の観点では、第2の金属材料を、第1の金属材料よりもビッカース硬度が大きい材料とする。これにより、前端面50aに露出する第2の部分52が機械的ダメージを受けることを防止しながら、前端面50aに露出しない第1の部分51の材料すなわち第1の金属材料としては、機械的強度を考慮することなく、例えば表面プラズモンの励起および伝播に適した金属材料を選択することが可能になる。
【0080】
前記金属材料群に含まれる複数の金属材料を、ビッカース硬度が大きい順に並べると、W、Cr、Ti、Ta、Ru、Ni、Pt、Pd、Cu、Ag、Au、Alという順列(以下、第3の順列という。)になる。第3の観点では、例えば前記の金属材料群の中から任意の2つの金属材料を選択し、その2つの金属材料のうち、相対的にビッカース硬度が大きいほうを第2の金属材料とし、相対的にビッカース硬度が小さい方を第1の金属材料とすることができる。例えば、第1の金属材料としてAlを選択した場合には、第2の金属材料としては、前記金属材料群のうちのAl以外の任意の金属材料を選択することができる。また、第1の金属材料としてAg、Au、Cuのいずれかを選択した場合には、前記第3の順列において、選択した第1の金属材料よりもビッカース硬度が大きい金属材料を第2の金属材料として選択することができる。
【0081】
このように、第3の観点から、第1および第2の金属材料として用いられる金属材料の組み合わせを選択することにより、プラズモンジェネレータ50(第2の部分52)が機械的ダメージを受けることを防止しながら、第1の部分51における表面プラズモンの励起および伝播を適切に行わせることが可能になる。これは、単一の材料によって形成されたプラズモンジェネレータでは実現できない性能である。例えば、第1の金属材料としてAgまたはAuを用い、第2の金属材料としてRuを用いたプラズモンジェネレータ50では、全体がAgまたはAuによって形成されたプラズモンジェネレータに比べて、プラズモンジェネレータ50(第2の部分52)が機械的ダメージを受けることを防止でき、全体がRuによって形成されたプラズモンジェネレータに比べて、主要部分(第1の部分51)における電気伝導率を大きくすることができる。
【0082】
本実施の形態では、上記の第1ないし第3の観点のうちの複数の観点から、第1および第2の金属材料として用いられる金属材料の組み合わせを選択することもできる。例えば、第1の金属材料がAgである場合には、第2の金属材料としては、第1ないし第3の観点または第1および第3の観点からPt、Pdを選択することができ、第1および第2の観点からAu、Pt、Pdを選択することができ、第2および第3の観点からW、Cr、Ti、Ta、Ru、Ni、Pt、Pd、Cuを選択することができる。また、例えば、第1の金属材料がAuである場合には、第2および第3の観点から、第2の金属材料として、Ti、Ta、Cr、Pd、Pt、Ru、Ni、Wを選択することができる。
【0083】
また、本実施の形態に係るプラズモンジェネレータ50では、第1の部分51は前端面50aに露出せず、第2の部分52は、前端面50aに配置された端面52aを含み、第1の部分51と前端面50aとの間に配置されている。このようなプラズモンジェネレータ50によれば、前端面50aに垂直な方向に並ぶ第1の部分51および第2の部分52によって、前端面50aに垂直な方向に表面プラズモンを効率よく伝播させることができ、且つ、表面プラズモンが伝播する過程で、表面プラズモンが伝播する部分(第1の部分51および第2の部分52)の特性を変えることができる。
【0084】
また、本実施の形態では、前端面50aに垂直な方向についての第1の部分51の長さは、前端面50aに垂直な方向についての第2の部分52の長さよりも大きい。これにより、プラズモンジェネレータ50の主要部分である第1の部分51において、表面プラズモンの励起および伝播を適切に行わせながら、第2の部分52において、第1の部分51のみでは実現できない性能を実現することが可能になる。
【0085】
以上説明したように、本実施の形態におけるプラズモンジェネレータ50によれば、表面プラズモンを効率よく伝播させながら、単一の材料によって形成されたプラズモンジェネレータでは実現できない性能を実現することが可能になる。
【0086】
次に、図5および図6を参照して、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法について説明する。本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法は、複数の熱アシスト磁気記録ヘッドの基板1となる部分を含む基板上に、複数の熱アシスト磁気記録ヘッドの基板1以外の構成要素を形成して、それぞれ後に熱アシスト磁気記録ヘッドとなるヘッド予定部が複数列に配列された基礎構造物を作製する工程と、この基礎構造物を切断することによって複数のヘッド予定部を互いに分離して、複数の熱アシスト磁気記録ヘッドを形成する工程とを備えている。複数の熱アシスト磁気記録ヘッドを形成する工程では、切断によって形成された面を研磨して媒体対向面40を形成する。
【0087】
以下、1つの熱アシスト磁気記録ヘッドに注目して、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法を更に詳しく説明する。本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法では、まず、基板1の上に絶縁層2を形成する。次に、絶縁層2の上に下部シールド層3を形成する。次に、下部シールド層3を覆うように絶縁層4を形成する。次に、例えば化学機械研磨(以下、CMPと記す。)によって、下部シールド層3が露出するまで絶縁層4を研磨する。
【0088】
次に、下部シールド層3および絶縁層4の上に下部シールドギャップ膜5を形成する。次に、下部シールドギャップ膜5の上にMR素子6と、MR素子6に接続される図示しない2つのリードとを形成する。次に、MR素子6およびリードを覆うように上部シールドギャップ膜7を形成する。次に、上部シールドギャップ膜7の上に上部シールド層8を形成する。次に、上部シールド層8を覆うように絶縁層9を形成する。次に、例えばCMPによって、上部シールド層8が露出するまで絶縁層9を研磨する。
【0089】
次に、上部シールド層8および絶縁層9の上に非磁性層10を形成する。次に、非磁性層10の上にリターン磁極層11を形成する。次に、リターン磁極層11を覆うように絶縁層12を形成する。次に、例えばCMPによって、リターン磁極層11が露出するまで絶縁層12を研磨する。次に、リターン磁極層11および絶縁層12の上に、絶縁層14を形成する。
【0090】
次に、絶縁層14を選択的にエッチングして、絶縁層14に、リターン磁極層11の上面を露出させる2つの開口部を形成する。次に、リターン磁極層11の上に、連結部13A,13Bのそれぞれの第1層を形成する。次に、絶縁層14の上にコイル15を形成する。次に、コイル15の巻線間に絶縁層16を形成する。次に、積層体の上面全体の上に、絶縁層17を形成する。次に、例えばCMPによって、連結部13A,13Bのそれぞれの第1層、コイル15および絶縁層16が露出するまで絶縁層17を研磨して、連結部13A,13Bのそれぞれの第1層、コイル15および絶縁層16,17の上面を平坦化する。次に、連結部13A,13Bのそれぞれの第1層、コイル15および絶縁層16,17の上に、絶縁層18を形成する。
【0091】
次に、絶縁層18を選択的にエッチングして、絶縁層18に、連結部13A,13Bのそれぞれの第1層の上面を露出させる2つの開口部を形成する。次に、連結部13A,13Bのそれぞれの第1層の上に、連結部13A,13Bのそれぞれの第2層を形成する。次に、連結部13A,13Bのそれぞれの第2層を覆うようにクラッド層19を形成する。次に、例えばCMPによって、連結部13A,13Bのそれぞれの第2層が露出するまでクラッド層19を研磨する。
【0092】
次に、連結部13A,13Bのそれぞれの第2層の上に、連結部13A,13Bのそれぞれの第3層を形成する。次に、クラッド層19の上にコア20を形成する。次に、積層体の上面全体の上に、クラッド層21を形成する。次に、例えばCMPによって、連結部13A,13Bのそれぞれの第3層およびコア20が露出するまでクラッド層21を研磨して、連結部13A,13Bのそれぞれの第3層、コア20およびクラッド層21の上面を平坦化する。次に、連結部13A,13Bのそれぞれの第3層、コア20およびクラッド層21の上に、ギャップ層22を形成する。
【0093】
次に、ギャップ層22の上に、誘電体層23、プラズモンジェネレータ50および主磁極26を順に形成する。主磁極26は、例えばめっき法によって形成される。誘電体層23を形成する工程とプラズモンジェネレータ50を形成する工程については、後で詳しく説明する。
【0094】
次に、誘電体層23を選択的にエッチングして、誘電体層23に、連結部13A,13Bのそれぞれの第3層の上面を露出させる2つの開口部を形成する。次に、エッチングによって、ギャップ層22のうち、誘電体層23の2つの開口部から露出する部分を除去する。なお、誘電体層23をエッチングするのと同時に、ギャップ層22をエッチングしてもよい。次に、連結部13A,13Bのそれぞれの第3層の上に、連結部13A,13Bのそれぞれの第4層を形成する。
【0095】
次に、主磁極26および連結部13A,13Bのそれぞれの第4層を覆うように誘電体層27を形成する。次に、例えばCMPによって、主磁極26および連結部13A,13Bのそれぞれの第4層が露出するまで誘電体層27を研磨する。次に、誘電体層27の上にコイル28を形成する。次に、コイル28を覆うように絶縁層29を形成する。次に、主磁極26、連結部13A,13Bのそれぞれの第4層、誘電体層27および絶縁層29の上に、ヨーク層30を形成する。次に、ヨーク層30を覆うように保護層31を形成する。次に、保護層31の上面に配線や端子等を形成する。
【0096】
このようにして、基礎構造物が完成したら、この基礎構造物を切断することによって複数のヘッド予定部を互いに分離し、媒体対向面40の研磨、浮上用レールの作製等を行って、熱アシスト磁気記録ヘッドが完成する。
【0097】
次に、図7ないし図13を参照して、誘電体層23を形成する工程とプラズモンジェネレータ50を形成する工程について詳しく説明する。図7ないし図13は、熱アシスト磁気記録ヘッドの製造過程における積層体の一部を示す斜視図である。図7は、ギャップ層22を形成する工程の後の積層体を示している。
【0098】
図8は、ギャップ層22を形成した後の工程を示している。この工程では、ギャップ層22の上面22aの上に、後に誘電体層23となる被エッチング層23Pを形成する。
【0099】
図9は、次の工程を示す。この工程では、まず、被エッチング層23Pの上面上に、後に形成される溝部23bの平面形状に対応した形状の開口部を有する図示しないフォトレジストマスクを形成する。このフォトレジストマスクは、フォトリソグラフィによってフォトレジスト層をパターニングして形成する。次に、フォトレジストマスクをエッチングマスクとして用いて、例えば反応性イオンエッチング(以下、RIEと記す。)によって、被エッチング層23Pのうちフォトレジストマスクの開口部から露出する部分をテーパエッチングする。このように溝部23bが形成されることにより、被エッチング層23Pは誘電体層23となる。次に、フォトレジストマスクを除去する。
【0100】
なお、溝部23bは、その下端部が、ギャップ層22の上面22aに達しないように形成されてもよいし、ギャップ層22の上面22aに達するように形成されてもよい。溝部23bの下端部がギャップ層22の上面22aに達するように形成される場合には、被エッチング層23Pを、ギャップ層22とは異なる誘電体材料によって形成してもよい。この場合、ギャップ層22は、エッチングを停止させるエッチングストッパとして機能させることができる。ギャップ層22の材料としてアルミナが用いられる場合には、被エッチング層23Pの材料としては、例えばSiOが用いられる。
【0101】
図10は、次の工程を示す。この工程では、例えばスパッタ法によって、積層体の上面全体の上に、第2の金属材料よりなる第2の金属材料膜52Pを形成する。第2の金属材料膜52Pは、誘電体層23の上面23aならびに溝部23bの第1および第2の壁面23b1,23b2に沿って形成される。
【0102】
図11は、次の工程を示す。この工程では、まず、第2の金属材料膜52Pの上に、フォトレジストマスク71を形成する。フォトレジストマスク71は、後にプラズモンジェネレータ50が形成される予定の領域のうち、後に第2の部分52が形成される予定の領域を覆っているが、後に第1の部分51が形成される予定の領域は覆っていない。フォトレジストマスク71は、フォトリソグラフィによってフォトレジスト層をパターニングして形成する。次に、フォトレジストマスク71をエッチングマスクとして用いて、例えばイオンビームエッチング(以下、IBEと記す。)によって、第2の金属材料膜52Pのうち、フォトレジストマスク71の下に存在する部分以外の部分を除去する。
【0103】
図12は、次の工程を示す。この工程では、まず、例えばスパッタ法によって、フォトレジストマスク71を残したまま、積層体の上面全体の上に、第1の金属材料よりなる第1の金属材料膜51Pを形成する。第1の金属材料膜51Pは、フォトレジストマスク71の上面および側面、誘電体層23の上面23a、ならびに溝部23bの第1および第2の壁面23b1,23b2に沿って形成される。次に、フォトレジストマスク71をリフトオフする。
【0104】
図13は、次の工程を示す。この工程では、第1および第2の金属材料膜51P,52Pの上に、プラズモンジェネレータ50の平面形状に対応した平面形状を有するフォトレジストマスク72を形成する。フォトレジストマスク72は、フォトリソグラフィによってフォトレジスト層をパターニングして形成する。
【0105】
図14は、次の工程を示す。この工程では、まず、フォトレジストマスク72をエッチングマスクとして用いて、例えばIBEによって、第1および第2の金属材料膜51P,52Pのうち、フォトレジストマスク72の下に存在する部分以外の部分を除去する。これにより、第1の金属材料膜51Pは第1の部分51となり、第2の金属材料膜52Pは第2の部分52となる。次に、フォトレジストマスク72を除去する。以上の一連の工程により、プラズモンジェネレータ50が完成する。
【0106】
[変形例]
次に、図15および図16を参照して、本実施の形態に係るプラズモンジェネレータの変形例について説明する。図15は、変形例のプラズモンジェネレータを示す斜視図である。図16は、図15に示したプラズモンジェネレータにおける導波路のコア20に対向する部分を示す平面図である。変形例のプラズモンジェネレータ50は、図1、図2および図4に示した第1の部分51の代りに、第1の金属材料よりなる第1の部分53を有している。
【0107】
第1の部分53は、第2の部分52の側壁部521Aに連続する側壁部531Aと、第2の部分52の側壁部521Bに連続する側壁部531Bと、コア20の上面20bに対向する底部531Cとを有している。側壁部531A,531Bおよび底部531Cは、それぞれ板状の形状を有している。側壁部531A,531Bは、底部531Cに対してコア20の上面20bから遠い位置に配置され、且つ底部531CにおけるX方向の両端に連結されている。
【0108】
X方向についての底部531Cの幅は、媒体対向面40に近づくに従って小さくなっている。第1の部分53における媒体対向面40により近い端部では、底部531Cの幅は0であり、側壁部531A,531Bの下端同士が接触している。
【0109】
X方向についての2つの側壁部531A,531Bの間の距離は、上面20bから離れるに従って大きくなり、且つ媒体対向面40に近づくに従って小さくなっている。
【0110】
第1の部分53の外面は、底部531Cの下面によって構成された表面プラズモン励起面53aを含んでいる。図16は、第1の部分53の表面プラズモン励起面53aと第2の部分52のエッジ部52eを、上方から見た状態で示している。図16に示したように、X方向についての表面プラズモン励起面53aの幅は、媒体対向面40に近づくに従って小さくなっている。表面プラズモン励起面53aは、幅方向(X方向)の両側に位置する2つの辺53a1,53a2と、2つの辺53a1,53a2が交わって形成された前端部53a3とを有している。この前端部53a3は、媒体対向面40から離れた位置に配置されている。2つの辺53a1,53a2がなす角度は、例えば10°〜60°の範囲内である。
【0111】
変形例では、表面プラズモンは、主に、第1の部分53の表面プラズモン励起面53aにおいて励起される。表面プラズモン励起面53aに励起された表面プラズモンは、表面プラズモン励起面53a上を、近接場光発生部50gに向かって伝播する。X方向についての表面プラズモン励起面53aの幅は、媒体対向面40に近づくに従って小さくなる。これにより、表面プラズモン励起面53aに励起された表面プラズモンが集中して、エッジ部52eを伝播するエッジプラズモンに変換される。このエッジプラズモンは、最終的に近接場光発生部50gに到達する。その結果、近接場光発生部50gにおいて、エッジプラズモンが集中し、このエッジプラズモンに基づいて、近接場光発生部50gから近接場光が発生する。
【0112】
変形例によれば、表面プラズモン励起面53aが設けられていない場合に比べて、コア20の上面20bに対向するプラズモンジェネレータ50の下面の面積を大きくして、より多くの表面プラズモンを励起させることができる。
【0113】
なお、図15に示した例では、第1および第2の部分53,52は、それぞれ、図1に示した2つの拡張部分を有していないが、第1および第2の部分53,52は、それぞれ2つの拡張部分を有していてもよい。
【0114】
[第2の実施の形態]
次に、図17および図18を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドについて説明する。図17は、熱アシスト磁気記録ヘッドの要部を示す斜視図である。図18は、熱アシスト磁気記録ヘッドの構成を示す断面図である。本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドは、第1の実施の形態に係るプラズモンジェネレータ50の代りに、本実施の形態に係るプラズモンジェネレータ80を備えている。また、熱アシスト磁気記録ヘッドは、第1の実施の形態における誘電体層23の代りに、誘電体層24,25を備えている。
【0115】
プラズモンジェネレータ80は、媒体対向面40の近傍において、ギャップ層22の上面22aの上に配置されている。誘電体層24は、ギャップ層22の上面22aの上においてプラズモンジェネレータ80の周囲に配置されている。誘電体層25は、プラズモンジェネレータ80および誘電体層24の上に配置されている。誘電体層24,25は、例えばアルミナまたはSiOによって形成されている。
【0116】
プラズモンジェネレータ80は、媒体対向面40に配置された前端面80aを有している。前端面80aは、表面プラズモンに基づいて近接場光を発生する近接場光発生部80gを含んでいる。また、プラズモンジェネレータ80は、第1の金属材料よりなる第1の部分81と、第1の金属材料とは異なる第2の金属材料よりなる第2の部分82とを有している。本実施の形態では、第1の部分81は、前端面80aに露出しないように、媒体対向面40から離れた位置に配置されている。第2の部分82は、第1の部分81と媒体対向面40との間に配置されている。
【0117】
第1の部分81の外面は、媒体対向面40により近い端面81aと、上面81bと、コア20の上面20bに対して所定の間隔をもって対向する下面81cとを含んでいる。本実施の形態では、端面81aは、媒体対向面40から離れた位置に配置されている。また、第1の部分81は、端面81aを含む伝播部811と、この伝播部811よりも媒体対向面40から遠い位置に配置された幅変化部分812とを備えている。上面81bは、伝播部811の上面によって構成された第1の面と、幅変化部分812の上面によって構成された第2の面とを含んでいる。下面81cは、伝播部811の下面によって構成された第3の面と、幅変化部分812の下面によって構成された第4の面とを含んでいる。
【0118】
伝播部811の上面(第1の面)は、第1の傾斜部を含んでいる。第1の傾斜部における任意の位置の伝播部811の下面(第3の面)からの距離は、任意の位置が端面81aに近づくに従って小さくなっている。伝播部811の上面は、第1の傾斜部に対して媒体対向面40からより遠い位置に配置されて第1の傾斜部に続く平坦部を含んでいてもよい。この平坦部は、伝播部811の下面に平行である。
【0119】
媒体対向面40に平行な伝播部811の断面の形状は、例えば矩形である。X方向についての伝播部811の幅は、媒体対向面40からの距離によらずに一定であってもよいし、媒体対向面40に近づくに従って小さくなっていてもよい。
【0120】
幅変化部分812は、伝播部811に対して端面81aとは反対側に位置して伝播部811に連結されている。媒体対向面40に平行な幅変化部分812の断面の形状は、例えば矩形である。X方向についての幅変化部分812の幅は、媒体対向面40に近づくに従って小さくなり、伝播部811との境界の位置では伝播部811の幅と等しくなっている。幅変化部分812の下面(第4の面)の幅は、媒体対向面40に近づくに従って小さくなり、伝播部811の下面(第3の面)との境界の位置では、伝播部811の下面の幅と等しくなっている。
【0121】
第2の部分82は、媒体対向面40と伝播部811との間に配置されている。第2の部分82の外面は、前端面80aに配置された端面82aと、上面82bと、コア20の上面20bに対して所定の間隔をもって対向する下面82cと、第1の部分81の端面81aに接する端面82dとを含んでいる。上面82bは、第1の部分81の上面81b(伝播部811の上面)に連続するように、上面81bに対して媒体対向面40により近い位置に配置されている。下面82cは、第1の部分81の下面81c(伝播部811の下面)に連続するように、下面81cに対して媒体対向面40により近い位置に配置されている。近接場光発生部80gは、下面82cの一端に位置している。端面82aは、近接場光発生部80gを含んでいる。
【0122】
上面82bは、第2の傾斜部を含んでいる。第2の傾斜部における任意の位置の下面82cからの距離は、任意の位置が端面82aに近づくに従って小さくなっている。上面82bは、第2の傾斜部に対して媒体対向面40により近い位置に配置されて第2の傾斜部に続く平坦部を含んでいてもよい。この平坦部は、下面82cに平行である。
【0123】
媒体対向面40に平行な第2の部分82の断面の形状は、例えば矩形である。X方向についての第2の部分82の幅は、媒体対向面40からの距離によらずに一定であってもよいし、媒体対向面40に近づくに従って小さくなっていてもよい。いずれの場合においても、第2の部分82の幅は、伝播部811との境界の位置では伝播部811の幅と等しくなっている。下面82cの幅は、伝播部811の下面(第3の面)との境界の位置では、伝播部811の下面の幅と等しくなっている。
【0124】
なお、図17に示した例では、前端面80aに垂直な方向(Y方向)において、伝播部811の長さは、幅変化部分812の長さよりも小さく、第2の部分82の長さよりも大きい。そのため、伝播部811と幅変化部分812とを含む第1の部分81は、第2の部分82よりも、前端面80aに垂直な方向についての長さおよび体積が大きくなる。
【0125】
次に、図17および図18を参照して、本実施の形態における主磁極26の形状の一例について説明する。本実施の形態における主磁極26は、媒体対向面40に配置された前端面と、前端面とは反対側の後端面と、下面と、上面と、2つの側面とを有している。主磁極26の下面の一部は、誘電体層25を介してプラズモンジェネレータ80の第1および第2の傾斜部に対向している。主磁極26の下面における任意の位置の基板1の上面1aからの距離は、任意の位置が媒体対向面40から離れるに従って大きくなっている。なお、本実施の形態における主磁極26の形状は、図17および図18を参照して説明した上記の例に限られない。
【0126】
次に、本実施の形態における近接場光発生の原理について説明する。第1の実施の形態で説明したように、図示しないレーザダイオードから出射されたレーザ光はコア20に入射される。図18に示したように、レーザ光60は、コア20内を媒体対向面40に向けて伝播して、プラズモンジェネレータ80の近傍に達する。ここで、コア20の上面20bにおいて、レーザ光60が全反射することによって、ギャップ層22内にしみ出すエバネッセント光が発生する。そして、プラズモンジェネレータ80の少なくとも幅変化部分812の下面(第4の面)において、上記エバネッセント光と結合することによって、表面プラズモンが励起される。
【0127】
幅変化部分812の下面に励起された表面プラズモンは、幅変化部分812の下面を伝搬して伝播部811の下面(第3の面)に到達し、伝播部811の下面および第2の部分82の下面82cを順に伝播して近接場光発生部80gに到達する。その結果、近接場光発生部80gにおいて表面プラズモンが集中し、この表面プラズモンに基づいて、近接場光発生部80gから近接場光が発生する。
【0128】
次に、本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法について説明する。本実施の形態に係る熱アシスト磁気記録ヘッドの製造方法において、ギャップ層22を形成するまでの工程は、第1の実施の形態と同じである。
【0129】
ギャップ層22を形成した後の工程では、まず、例えばスパッタ法によって、ギャップ層22の上面22aの上に、第2の金属材料よりなる第2の金属材料膜を形成する。次に、第2の金属材料膜の上に、第1のフォトレジストマスクを形成する。第1のフォトレジストマスクは、後にプラズモンジェネレータ80が形成される予定の領域のうち、後に第2の部分82が形成される予定の領域を覆っているが、後に第1の部分81が形成される予定の領域は覆っていない。第1のフォトレジストマスクは、フォトリソグラフィによってフォトレジスト層をパターニングして形成する。次に、第1のフォトレジストマスクをエッチングマスクとして用いて、例えばIBEによって、第2の金属材料膜のうち、第1のフォトレジストマスクの下に存在する部分以外の部分を除去する。
【0130】
次に、例えばスパッタ法によって、第1のフォトレジストマスクを残したまま、積層体の上面全体の上に、第1の金属材料よりなる第1の金属材料膜を形成する。次に、第1のフォトレジストマスクをリフトオフする。次に、第1および第2の金属材料膜の上に、プラズモンジェネレータ80の平面形状に対応した平面形状を有する第2のフォトレジストマスクを形成する。第2のフォトレジストマスクは、フォトリソグラフィによってフォトレジスト層をパターニングして形成する。次に、第2のフォトレジストマスクをエッチングマスクとして用いて、例えばIBEによって、第1および第2の金属材料膜のうち、第2のフォトレジストマスクの下に存在する部分以外の部分を除去する。
【0131】
次に、例えばスパッタ法によって、第2のフォトレジストマスクを残したまま、積層体の上面全体の上に、誘電体層24を形成する。次に、第2のフォトレジストマスクをリフトオフする。
【0132】
次に、第1および第2の金属材料膜のそれぞれの一部をエッチングすることによって、伝播部811の上面の第1の傾斜部と、第2の部分82の上面82bの第2の傾斜部を形成する。この工程では、まず、第1の金属材料膜の上面のうち、少なくとも、後に幅変化部分812の上面(第2の面)となる部分を覆う第3のフォトレジストマスクを形成する。第3のフォトレジストマスクは、フォトリソグラフィによってフォトレジスト層をパターニングして形成する。次に、第3のフォトレジストマスクをエッチングマスクとして用いて、例えばIBEによって、第1および第2の金属材料膜の上面のうち第3のフォトレジストマスクによって覆われていない部分をテーパエッチングする。これにより、第1および第2の傾斜部が形成される。次に、第3のフォトレジストマスクを除去する。以上の一連の工程により、第1の金属材料膜は第1の部分81となり、第2の金属材料膜は第2の部分82となり、プラズモンジェネレータ80が完成する。
【0133】
次に、積層体の上面全体の上に、誘電体層25を形成する。次に、誘電体層24,25を選択的にエッチングして、誘電体層24,25に、連結部13A,13Bのそれぞれの第3層の上面を露出させる2つの開口部を形成する。次に、エッチングによって、ギャップ層22のうち、誘電体層24,25の2つの開口部から露出する部分を除去する。なお、誘電体層24,25をエッチングするのと同時に、ギャップ層22をエッチングしてもよい。次に、連結部13A,13Bのそれぞれの第3層の上に、連結部13A,13Bのそれぞれの第4層を形成する。次に、連結部13A,13Bのそれぞれの第4層を覆うように誘電体層27を形成する。次に、例えばCMPによって、連結部13A,13Bのそれぞれの第4層が露出するまで誘電体層27を研磨する。次に、例えばRIEまたはIBEによって、誘電体層27をテーパエッチングして、誘電体層27に、主磁極26を収容する収容部を形成する。次に、誘電体層27の収容部内に主磁極26を形成する。次に、誘電体層27の上にコイル28を形成する。コイル28を形成した後の工程は、第1の実施の形態と同じである。
【0134】
本実施の形態に係るプラズモンジェネレータ80は、第1の金属材料よりなる第1の部分81と、第1の金属材料とは異なる第2の金属材料よりなる第2の部分82とを有している。第1および第2の金属材料として用いられる金属材料の組み合わせは、第1の実施の形態において説明した第1ないし第3の観点のうちの少なくとも1つの観点から選択される。これにより、第1の実施の形態において説明した効果を得ることができる。
【0135】
次に、本実施の形態に係るプラズモンジェネレータ80の他の効果について説明する。本実施の形態では、プラズモンジェネレータ80の第1の部分81は、伝播部811と幅変化部分812とを有している。コア20の上面20bに対向する幅変化部分812の下面(第4の面)の幅は、媒体対向面40に近づくに従って小さくなり、伝播部811の下面(第3の面)との境界の位置では、伝播部811の下面の幅と等しくなっている。本実施の形態によれば、幅変化部分812が設けられていない場合に比べて、コア20の上面20bに対向するプラズモンジェネレータ80の下面の面積を大きくして、より多くの表面プラズモンを励起させることができる。
【0136】
ところで、プラズモンジェネレータ80の厚み(Z方向の寸法)が小さくなると、表面プラズモンの励起効率が低下して、励起される表面プラズモンが少なくなる。そのため、プラズモンジェネレータ80の厚みは、ある程度大きいことが好ましい。本実施の形態では、伝播部811の上面(第1の面)は、第1の傾斜部を含み、第2の部分82の上面82bは、第2の傾斜部を含んでいる。これにより、本実施の形態では、媒体対向面40から離れた位置におけるプラズモンジェネレータ80の厚みを大きくしながら、前端面80a(端面82a)のZ方向の寸法を小さくすることができる。その結果、本実施の形態によれば、スポット径が小さく、且つ十分な強度の近接場光を発生させることが可能になる。
【0137】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0138】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、請求の範囲の要件を満たす限り、プラズモンジェネレータの形状および配置は、各実施の形態に示した例に限られず、任意である。
【符号の説明】
【0139】
20…コア、50…プラズモンジェネレータ、50a…前端面、50g…近接場光発生部、51…第1の部分、52…第2の部分、52a…端面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端面を有し、光を伝播させるコアより発生されるエバネッセント光と結合することによって表面プラズモンが励起され、前記前端面は、前記表面プラズモンに基づいて近接場光を発生する近接場光発生部を含むプラズモンジェネレータであって、
第1の金属材料よりなる第1の部分と、
前記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料よりなる第2の部分とを備え、
前記第1の部分は、前記前端面に露出せず、
前記第2の部分は、前記前端面に配置された端面を含み、前記第1の部分と前記前端面との間に配置され、
前記前端面に配置された前記第2の部分の端面は、前記近接場光発生部を含み、
前記前端面に垂直な方向についての前記第1の部分の長さは、前記前端面に垂直な方向についての前記第2の部分の長さよりも大きいことを特徴とするプラズモンジェネレータ。
【請求項2】
前記前端面に垂直な方向についての前記第1の部分の長さは、150〜200nmの範囲内であり、前記前端面に垂直な方向についての前記第2の部分の長さは、2〜80nmの範囲内であることを特徴とする請求項1記載のプラズモンジェネレータ。
【請求項3】
前記第1の部分は、前記第2の部分よりも体積が大きいことを特徴とする請求項1記載のプラズモンジェネレータ。
【請求項4】
前記第1の金属材料は、Ag、Au、Al、Cuのいずれかであることを特徴とする請求項1記載のプラズモンジェネレータ。
【請求項5】
前記第2の金属材料は、前記第1の金属材料よりもイオン化傾向が小さいことを特徴とする請求項1記載のプラズモンジェネレータ。
【請求項6】
前記第2の金属材料は、前記第1の金属材料よりも電気伝導率が小さいことを特徴とする請求項1記載のプラズモンジェネレータ。
【請求項7】
前記第2の金属材料は、前記第1の金属材料よりもビッカース硬度が大きいことを特徴とする請求項1記載のプラズモンジェネレータ。
【請求項8】
記録媒体に対向する媒体対向面と、
情報を前記記録媒体に記録するための記録磁界を発生する主磁極と、
光を伝播させるコアと、前記コアの周囲に配置されたクラッドとを有する導波路と、
前記媒体対向面に配置された前端面を有し、前記コアを伝播する光に基づいて前記コアより発生されるエバネッセント光と結合することによって表面プラズモンが励起され、前記前端面は、前記表面プラズモンに基づいて近接場光を発生する近接場光発生部を含むプラズモンジェネレータとを備えた熱アシスト磁気記録ヘッドであって、
前記プラズモンジェネレータは、
第1の金属材料よりなる第1の部分と、
前記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料よりなる第2の部分とを有し、
前記第1の部分は、前記前端面に露出せず、
前記第2の部分は、前記前端面に配置された端面を含み、前記第1の部分と前記前端面との間に配置され、
前記前端面に配置された前記第2の部分の端面は、前記近接場光発生部を含み、
前記前端面に垂直な方向についての前記第1の部分の長さは、前記前端面に垂直な方向についての前記第2の部分の長さよりも大きいことを特徴とする熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項9】
前記前端面に垂直な方向についての前記第1の部分の長さは、150〜200nmの範囲内であり、前記前端面に垂直な方向についての前記第2の部分の長さは、2〜80nmの範囲内であることを特徴とする請求項8記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項10】
前記第1の部分は、前記第2の部分よりも体積が大きいことを特徴とする請求項8記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項11】
前記第1の金属材料は、Ag、Au、Al、Cuのいずれかであることを特徴とする請求項8記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項12】
前記第2の金属材料は、前記第1の金属材料よりもイオン化傾向が小さいことを特徴とする請求項8記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項13】
前記第2の金属材料は、前記第1の金属材料よりも電気伝導率が小さいことを特徴とする請求項8記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。
【請求項14】
前記第2の金属材料は、前記第1の金属材料よりもビッカース硬度が大きいことを特徴とする請求項8記載の熱アシスト磁気記録ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−97855(P2013−97855A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−109573(P2012−109573)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【出願人】(500475649)ヘッドウェイテクノロジーズ インコーポレイテッド (251)
【Fターム(参考)】