説明

異常事象検知ルール自動抽出方法、異常事象検知ルール自動抽出装置

【課題】異常事象検知用の客観的なルールを自動的に生成することのできる異常事象検知ルール自動抽出装置および方法を提供する
【解決手段】異常事象検知用ルール候補探索部21は、異常事象時系列パターンDB部25に登録されている異常事象に関する時系列パターンデータに含まれていて、正常事象時系列パターンDB部24に登録されている正常事象に関する時系列パターンデータに含まれないパターンデータをルール候補として選出し、異常事象検知用ルール抽出部22は、ルール候補の中から発生頻度などの特定条件で絞り込んで抽出したパターンデータを異常事象検知用ルールとして異常事象検知用ルール登録部15に登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察対象に生じる異常事象を検知するためのルールを自動生成する異常事象検知ルール自動抽出方法および異常事象検知ルール自動抽出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
観察対象の人物の行動を、予め定義した判定ルールと対比することで、異常行動を検知する技術がある(特許文献1、2参照)。たとえば、異常行動パターンとして場所と動作とを定義付けておき、定義した場所での定義した行動に類似する行動を、異常行動として検知する監視システムがある(特許文献3参照)。この監視システムでは、危険領域(歩道や駅のプラットフォーム端部など)におけるふらつき歩行や千鳥足歩行などを異常行動として検知する。
【0003】
また、監視対象物を要素(人体の各部分の動き、外観的識別、視認行為回数)単位で解析し、監視対象物の監視項目を細分化した監視要素毎に所定の判定ルールに基づいて判定し、その総合的な判断により警報を出力するシステムがある(たとえば、特許文献4参照。)。また、歩く、屈むなど人の汎用的振る舞いを解析し、この汎用的振る舞いに関する時系列パターンデータに基づいて、特定の専用的振る舞いか否かを識別(たとえば、歩く動作から屈む動作に遷移し、その後、屈む動作がN秒間以上継続すると病気と判定)する画像監視システムがある(特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−328622号公報
【特許文献2】特開2006−285399号公報
【特許文献3】特開2007−89105号公報
【特許文献4】特開2006−287884号公報
【特許文献5】特開2007−272488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術文献にある予め定義した判定ルールとの照合によって異常事象を検知する方法では、自明な時間的・空間的な知見・ルールに基づいて異常事象を検知するため、時間的・空間的な知見・ルールが得難いタイプの異常事象の検知には対応が難しい。たとえば、広い駐車場内で不審人物を検知するような場合、人の出入りや動作の自由度が高く、起こり得る行動パターンがバリエーションに富み、個人差もあるため、不審人物を特定するための判定ルールを的確に定めることは難い。
【0006】
また、判定ルールの設定はシステムの設計者などが行うので、判定ルールそのものが主観的になりやすい。さらに判定ルールを構成するパラメータが多いため、パラメータの設定に手間がかかると共に、パラメータの設定の仕方に異常事象の検出精度等が左右されてしまうといった問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、異常事象検知用の客観的なルールを自動的に生成することのできる異常事象検知ルール自動抽出方法および異常事象検知ルール自動抽出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0009】
[1]異常事象に関するデータが登録された異常事象データベースと、正常事象に関するデータが登録された正常事象データベースとを比較して、異常事象データベースに含まれ、かつ、正常事象データベースには含まれないデータのパターンを抽出し、この抽出したパターンを異常事象検知用ルールとして、ルール登録部に登録する
ことを特徴とする異常事象検知ルール自動抽出方法。
【0010】
上記発明および下記[6][7]では、異常事象に関するデータから、正常事象に関するデータに含まれるものを除外したものを、異常事象検知用ルールとして自動的に生成する。すなわち、異常事象検知用データとして、正常事象のサンプルデータと異常事象のサンプルデータを用意し、異常事象のサンプルデータに含まれて、正常事象のサンプルデータに含まれないものを異常事象検知用ルールとして自動抽出する。
【0011】
[2]前記データは、観察対象の状態の推移を表した時系列パターンデータである
ことを特徴とする[1]に記載の異常事象検知ルール自動抽出方法。
【0012】
上記発明および下記[8]では、異常事象や正常事象に関するデータは、異常が発生した場合の観察対象の状態の推移や、正常時における観察対象の状態の推移を表わした時系列パターンデータである。たとえば、時系列パターンデータは、観測対象の状態を運動(動作)要素、時間(時刻)要素、空間(場所)要素等で定義し、これらの要素で定義された状態の時間的な推移を表すデータとして構成する。
【0013】
[3]所定の状態推移回数分の長さの時系列パターンデータである時系列パターンセットを、前記異常事象データベースと前記正常事象データベースのそれぞれから生成することを、時系列パターンセットの長さ毎に行い、
前記異常事象データベースから生成した時系列パターンセットに含まれていて、前記正常事象データベースから生成した時系列パターンセットに含まれていない時系列パターンセットを、前記異常事象検知用ルールとして、前記ルール登録部に登録する
ことを特徴とする[2]に記載の異常事象検知ルール自動抽出方法。
【0014】
上記発明および下記[9]では、正常事象の時系列パターンデータ、異常事象の時系列パターンデータのそれぞれを、状態推移の回数毎(長さ毎)の時系列パターンセットに分解し、パターン長さ毎に、異常事象の時系列パターンセットと正常事象の時系列パターンセットを比較し、異常事象の時系列パターンセットに含まれ、正常事象の時系列パターンセットに含まれない時系列パターンセットを、異常事象検知用ルールとして抽出し、登録する。異常事象検知用ルールを状態推移の回数毎のルールとして得ることができるので、状態推移の回数(パターン長さ)を基準にして、多面的、かつ短時間で異常事象を検知することができる。
【0015】
[4]所定の状態推移回数分の長さの時系列パターンデータである時系列パターンセットを、前記異常事象データベースと前記正常事象データベースのそれぞれから生成することを、時系列パターンセットの長さ毎に行い、
前記異常事象データベースから生成した時系列パターンセットに含まれていて、前記正常事象データベースから生成した時系列パターンセットに含まれていない時系列パターンセットを、異常事象検知用ルール候補とし、
前記異常事象検知用ルール候補の中から、ユーザの設定した絞り込み条件で抽出した時系列パターンセットを異常事象検知用ルールとして、前記ルール登録部に登録する
ことを特徴とする[2]に記載の異常事象検知ルール自動抽出方法。
【0016】
上記発明および下記[10]では、正常事象の時系列パターンデータおよび異常事象の時系列パターンデータを、それぞれ状態推移の回数毎(長さ毎)の時系列パターンセットに分解し、パターン長さ毎に、異常事象の時系列パターンセットと正常事象の時系列パターンセットを比較し、異常事象の時系列パターンセットに含まれ、正常事象の時系列パターンセットに含まれない時系列パターンセットを異常事象検知用ルール候補として選出し、これをさらに特定の条件、たとえば、発生頻度などで絞り込みを行なって抽出したものを異常事象検知用ルールとして登録する。異常事象検知用ルールを状態の推移回数毎のルールとして得ることができるので、状態推移の回数(パターン長さ)を基準にして、多面的にかつ短時間で異常事象を検知することができる。また、異常事象検知用ルール候補を特定の条件で絞り込んだものを異常事象検知用ルールとするので、異常事象でないものを異常事象とする誤検知が低減される。
【0017】
[5]観察対象の状態の推移を表した時系列パターンデータであって、正常事象に関するものが登録された正常事象データベースから、所定の状態推移回数分の長さの時系列パターンデータである時系列パターンセットを生成することを、時系列パターンセットの長さ毎に行い、これらの時系列パターンセットを、登録されているすべてのルールに一致しない場合に、異常事象と判定するためのルールが登録される正常事象ルール登録部に、前記ルールとして登録する
ことを特徴とする異常事象検知ルール自動抽出方法。
【0018】
上記発明および下記[11][12]では、正常事象に関するデータから異常事象検知用ルールを生成するので、異常事象に関するデータを得難い場合にも、対応することができる。
【0019】
[6]異常事象データベースから異常事象に関するデータを取得し、正常事象データベースから正常事象に関するデータを取得するデータ取得部と、
前記異常事象データベースから取得したデータと、前記正常事象データベースから取得したデータとを比較して、前記異常事象データベースに含まれ、かつ、前記正常事象データベースには含まれないデータのパターンを抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出したパターンを異常事象検知用ルールとして出力する出力部と
を有する
ことを特徴とする異常事象検知ルール自動抽出装置。
【0020】
[7]異常事象に関するデータが登録された異常事象データベースと、
正常事象に関するデータが登録された正常事象データベースと、
ルール登録部と、
前記異常事象データベースと前記正常事象データベースとを比較して、前記異常事象データベースに含まれ、かつ、前記正常事象データベースには含まれないデータのパターンを抽出する抽出部と、
前記抽出部の抽出したパターンを異常事象検知用ルールとして前記ルール登録部に登録する登録制御部と
を有する
ことを特徴とする異常事象検知ルール自動抽出装置。
【0021】
[8]前記データは、観察対象の状態の推移を表した時系列パターンデータである
ことを特徴とする[6]または[7]に記載の異常事象検知ルール自動抽出装置。
【0022】
[9]前記抽出部は、
所定の状態推移回数分の長さの時系列パターンデータである時系列パターンセットを、前記異常事象データベースと前記正常事象データベースのそれぞれから生成することを、時系列パターンセットの長さ毎に行い、
前記異常事象データベースから生成した時系列パターンセットに含まれていて、前記正常事象データベースから生成した時系列パターンセットに含まれていない時系列パターンセットを、前記異常事象検知用ルールとする
ことを特徴とする[8]に記載の異常事象検知ルール自動抽出装置。
【0023】
[10]前記抽出部は、
所定の状態推移回数分の長さの時系列パターンデータである時系列パターンセットを、前記異常事象データベースと前記正常事象データベースのそれぞれから生成することを、時系列パターンセットの長さ毎に行い、
前記異常事象データベースから生成した時系列パターンセットに含まれていて、前記正常事象データベースから生成した時系列パターンセットに含まれていない時系列パターンセットを、異常事象検知用ルール候補とし、
該異常事象検知用ルール候補の中から、ユーザの設定した絞り込み条件で抽出した時系列パターンセットを、前記異常事象検知用ルールとする
ことを特徴とする[8]に記載の異常事象検知ルール自動抽出装置。
【0024】
[11]正常事象に関するデータが登録された正常事象データベースから、観察対象の状態の推移を表した時系列パターンデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部で取得した時系列パターンデータから、所定の状態推移回数分の長さの時系列パターンデータである時系列パターンセットを生成することを、時系列パターンセットの長さ毎に行うルール生成部と、
前記ルール生成部が生成した時系列パターンセットを、すべてのルールに一致しない場合に、異常事象と判定するためのルールとして出力する出力部と
を有する
ことを特徴とする異常事象検知ルール自動抽出装置。
【0025】
[12]正常事象に関して、観察対象の状態の推移を表した時系列パターンデータが登録された正常事象データベースと、
登録されているすべてのルールに一致しない場合に、異常事象と判定するためのルールが登録される正常事象ルール登録部と、
前記正常事象データベースに登録されている時系列パターンデータから、所定の状態推移回数分の長さの時系列パターンデータである時系列パターンセットを生成することを、時系列パターンセットの長さ毎に行うルール生成部と、
前記ルール生成部が生成した時系列パターンセットを、前記ルールとして前記正常事象ルール登録部に登録する登録制御部と
を有する
ことを特徴とする異常事象検知ルール自動抽出装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る異常事象検知ルール自動抽出方法および異常事象検知ルール自動抽出装置では、異常事象検知用の客観的なルールを自動的に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る異常事象検知ルール自動抽出装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の異常事象検知ルール自動抽出方法の手順を示す流れ図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る異常事象検知ルール自動抽出装置の処理を示す流れ図である。
【図4】異常事象に関するデータの一例と、このデータから生成された時系列パターンセットを示す説明図である。
【図5】正常事象に関するデータの一例と、このデータから生成された時系列パターンセットを示す説明図である。
【図6】図4、図5の時系列パターンセットから選出した異常事象検知用ルール候補を示す説明図である。
【図7】累積発生確率に基づくルール抽出例を示す説明図である。
【図8】発生頻度に基づくルール抽出例を示す説明図である。
【図9】ルール長さに基づく抽出例を示す説明図である。
【図10】特定のパターン(A−B)を含むことを条件とした場合の抽出例を示す説明図である。
【図11】駐車場内の人物の基本行動の構成要素を示す説明図である。
【図12】正常行動の時系列パターンデータから生成される正常行動シーケンスセットの一例を示す説明図である。
【図13】不審行動(異常行動)の時系列パターンデータから生成される不審行動シーケンスセットの一例を示す説明図である。
【図14】図12、図13の行動シーケンスセットから導出された不審行動シーケンスルールを示す説明図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る異常事象検知ルール自動抽出装置の概略構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る異常事象検知ルール自動抽出装置の処理を示す流れ図である。
【図17】機器の故障診断、異常気象予測に関わる異常事象、正常事象、特徴量の一覧を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面に基づき本発明の各種実施の形態を説明する。
【0029】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る異常事象検知ルール自動抽出装置10の概略構成を示している。異常事象検知ルール自動抽出装置10は、たとえば、駐車場内での不審人物の出現や各種機器での異常発生、突然の雷雨などの異常気象の発生といった異常事象の発生を、駐車場内の映像データや機器や気象に関する各種項目の観測データなどを解析して検知するためのルールを自動的に生成する機能を果たす装置である。
【0030】
異常事象検知ルール自動抽出装置10は、外部からのデータ入力やユーザからの設定操作を受ける入力部11と、外部へのデータ出力やユーザへの各種データの表示などを行う出力部12と、ルール生成に関する各種処理を行う処理部13と、異常事象や正常事象に関するサンプルデータが予め登録されたデータベース部14と、生成したルールを登録する異常事象検知用ルール登録部15とを備えて構成される。出力部12は、生成されたルールを外部の装置、たとえば、異常事象の検知装置へ出力する機能も果たす。
【0031】
処理部13は、CPU(Central Processing Unit)と、このCPUが実行するプログラムや各種固定データが記憶されたROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)などを主要部として構成される。処理部13は、データ取得部20と、異常事象検知用ルール候補探索部21と、異常事象検知用ルール抽出部22と、登録制御部28としての機能を果たす。
【0032】
データベース部14は、正常事象に関するデータが登録された正常事象時系列パターンDB部24と、異常事象に関するデータが登録された異常事象時系列パターンDB部25とを備えている。ここでは、正常事象時系列パターンDB部24および異常事象時系列パターンDB部25に登録されるデータは、正常事象、異常事象に関するサンプルデータであり、また観察対象(駐車場内の人物や監視対象の機器、気象など)の状態の時間的な推移を表した時系列パターンデータである。
【0033】
データ取得部20は、異常事象時系列パターンDB部25から異常事象に関するデータを取得し、正常事象時系列パターンDB部24から正常事象に関するデータを取得する機能を果たす。異常事象検知用ルール候補探索部21は、データ取得部20によって取得した、正常事象時系列パターンDB部24に記憶されているデータと、異常事象時系列パターンDB部25に記憶されているデータとから、異常事象検知用ルールの候補を探索し、異常事象検知用ルール抽出部22は、異常事象検知用ルール候補探索部21が探索して得たルール候補を、さらに特定の条件で絞り込んで異常事象検知用ルールを抽出する機能を果たす。登録制御部28は、異常事象検知用ルール抽出部22が抽出したルールを、異常事象検知用ルール登録部15に登録する。なお、処理部13は、異常事象検知用ルール抽出部22が抽出したルールを、出力部12から外部装置へ出力する処理を行う場合もある。
【0034】
図2は、異常事象検知ルール自動抽出装置10が異常事象検知用ルールを抽出する処理の概要を示している。まず、データベース部14から正常事象に関するデータと、異常事象に関するデータをそれぞれ読み込む(ステップS101)。そして、異常事象に関するデータベースに含まれ、かつ正常事象に関するデータベースに含まれないデータのパターンを、異常事象検知用ルール候補とする(ステップS102)。さらに異常事象検知用ルール候補の中から特定の条件で絞込みを行って異常事象検知用ルールを抽出し(ステップS103)、その抽出した異常事象検知用ルールを異常事象検知用ルール登録部15に登録して(ステップS104)処理を終了する。特定の条件は適用事例に応じて定めればよい。
【0035】
なお、ステップS103の特定条件でのルール抽出を省略し、異常事象検知用ルール候補をそのまま異常事象検知用ルールとしてもよい。また、異常事象検知用ルール登録部15への登録に代えて、異常事象検知用ルールを出力部12から外部装置へ出力してもよい。
【0036】
図3は、異常事象および正常事象の時系列パターンデータから時系列パターンセットを生成する場合における異常事象検知用ルールの抽出処理を示している。時系列パターンセットは、観察対象の状態の推移を表した時系列パターンデータを、所定の状態推移回数分の長さ(但し、2以上の長さ)に区切って取り出したものである。
【0037】
たとえば、観察対象の状態がAからB、C、D、Eと5回推移した時系列パターンデータ(A−B−C−D−E)の場合、長さ2の時系列パターンセットとして、A−B、B−C、C−D、D−Eの4つが生成される。すなわち、長さ2で取り得るすべての時系列パターンセットを生成する。同様に長さ3の時系列パターンセットとして、A−B−C、B−C−D、C−D−Eが生成される。長さ4の時系列パターンセットとして、A−B−C−DとB−C−D−Eの2つが生成され、長さ5の時系列パターンセットとして、A−B−C−D−Eが生成される。
【0038】
図3の異常事象検知用ルールの抽出処理では、まず、データベース部14から正常事象に関する時系列パターンデータと、異常事象に関する時系列パターンデータをそれぞれ読み込む(ステップS121)。次に、各時系列パターンデータから、2以上の長さ毎に、その長さの生成し得るすべての時系列パターンセットを生成する(ステップS122)。
【0039】
次に、異常事象DB(異常事象の時系列パターンデータ)から生成した時系列パターンセットに含まれていて、正常事象DB(正常事象の時系列パターンデータ)から生成した時系列パターンセットに含まれていない時系列パターンセットを、異常事象検知用ルール候補として選出する(ステップS123)。
【0040】
さらに異常事象検知用ルール候補の中から特定の条件で絞込みを行って異常事象検知用ルールを抽出し(ステップS124)、抽出した異常事象検知用ルールを異常事象検知用ルール登録部15に登録、もしくは外部装置へ出力して(ステップS125)処理を終了する。
【0041】
図4は、異常事象時系列パターンデータ31と、これから生成した時系列パターンセットの一覧32の一例を示している。また、図5は、正常事象時系列パターンデータ34と、これから生成した時系列パターンセットの一覧35の一例を示している。図6は、図4の異常事象に関する時系列パターンセットの一覧32に含まれて、図5の正常事象に関する時系列パターンセットの一覧35に含まれていない時系列パターンセットを、異常事象検知用ルール候補として長さ別に示した異常事象検知用ルール候補一覧37である。
【0042】
たとえば、「D−C−B」は異常事象の時系列パターンセットに含まれているが、正常事象の時系列パターンセットにも含まれるので、異常事象検知用ルール候補には選出されず、除外される。「E−D−C」は異常事象の時系列パターンセットに含まれ、かつ正常事象の時系列パターンセットに含まれないので、異常事象検知用ルール候補に選出される。
【0043】
図7は、累積発生確率に基づいて、異常事象検知用ルール候補から異常事象検知用ルールを抽出する場合の抽出例を示している。異常事象検知用ルール候補(ルール候補パターン)の中から時系列パターンセットを発生確率の高いものから順に選択し、選択した時系列パターンセットの発生確率の合計(累積発生確率)が予め定めた閾値(例えば90%)を超えたとき、最後に選択したものを除く選択済みの時系列パターンセットを、異常事象検知用ルールとして抽出している。
【0044】
図7では、異常事象検知用ルール候補となった時系列パターンセットを、発生確率の高いものから順にP、P、P、…、Pのように並べてあり、Pに対応する棒グラフの長さは、P〜Pまでの各発生確率の合計値(累積発生確率)を表している。Pまでの累積発生確率は閾値Thr未満であり、PJ+1までの累積発生確率が閾値Thrを超えるので、PからPが異常事象検知用ルールとして抽出される。
【0045】
図8は、発生頻度に基づいて、異常事象検知用ルール候補から異常事象検知用ルールを抽出する場合の抽出例を示している。図8では、Pの棒グラフの長さはPの発生頻度を示している。また、発生頻度の多い順にP、P、P、…、Pのように並べてある。本例では、異常事象検知用ルール候補(ルール候補パターン)の中で、発生頻度が閾値Thrを超える時系列パターンセットが異常事象検知用ルールとして抽出される。
【0046】
図9は、異常事象検知用ルール候補の中から、長さ4以上の時系列パターンセットを異常事象検知用ルールとして抽出した場合の一例を示している。図9(a)は異常事象検知用ルール候補の一覧であり、図9(b)は、抽出後の異常事象検知用ルール一覧である。
【0047】
図10は、特定のパターンを含むことを条件に、異常事象検知用ルール候補の中から異常事象検知用ルールを抽出した場合の一例を示している。図10(a)は異常事象検知用ルール候補の一覧であり、図10(b)は、抽出後の異常事象検知用ルール一覧である。図10の例では、パターン(A−B)が含まれることを条件に抽出している。
【0048】
このように、異常事象に関するデータ(時系列パターンセット)から、正常事象に関するデータ(時系列パターンセット)に含まれるものを除外したものを異常事象検知用ルールとして自動抽出するので、異常事象検知用のルールを多数の制御パラメータを人が設定して定める場合に比べて、設定の手間を少なく抑えて、客観的なルールを得ることができる。特に、異常事象を観測して得たサンプルデータや、正常事象を観測して得たサンプルデータから異常事象検知用ルールを生成すれば、実際の観測データからルールを得るので、主観が一切入らず、客観的なルールを生成することができる。
【0049】
また、正常事象、異常事象に関する時系列パターンデータからパターン長さ毎の時系列パターンセットを生成して、パターン長さ毎の異常事象検知用ルールを得るので、各種のパターン長さの異常事象検知用ルールを生成でき、異常事象の発生を多面的に検知できる。また短い長さのルールでヒットすれば、短時間で異常事象を検知することができる。
【0050】
次に、具体例として、異常事象検知ルール自動抽出装置10が、駐車場内の不審人物を検知するためのルールを自動生成する場合について説明する。
【0051】
ここでは、駐車場内での人の動作を、動作の種類(基本動作要素)、動作の継続時間(時間要素)、車両との距離(相対位置要素)の3つの属性で定義する。1つの動作は、この3つの属性で定義される。基本動作要素としては、歩く・走るなどの「移動」(Move)、その場に停止して留まる「佇み」(Stop)、その場で姿勢を低くする「屈み」(Bend)、自動車のドアを開閉する「ドア開閉」(Door)の4つを定義する。また、時間要素は「短い」(Short)と「長い」(Long)で定義する。相対位置要素は「近い」(Near)と「遠い」(Far)で定義する。
【0052】
以後、「移動」をMV、「佇み」をST、「屈み」をBN、「ドア開閉」をDR、「短い」をS、「長い」をL、「近い」をN、「遠い」をFとも図中略記する。また、「基本動作要素(時間要素、相対位置要素)」の形式で1つの動作を記号表記するものとする。たとえば、動作の基本動作要素が「移動」、時間要素が「短い」、相対位置要素が「近い」の場合、この動作はMV(S,N)で表される。
【0053】
図12は、駐車場内の人物の正常行動(正常事象)に関する時系列パターンデータ(行動シーケンスとも呼ぶ。)40と、この時系列パターンデータから生成された長さ毎の時系列パターンセット(行動シーケンスセットとも呼ぶ。)の一覧41を示している。長さlenの時系列パターンセットは、len個の動作の並びで構成され、図では、MV(S, N) - ST(S, N)
-…、のように各動作を「−」で繋いで表す。本例の正常行動は、人が車に近づき、乗車する行動である。
【0054】
図13は、駐車場内の人物の不審行動(異常事象)に関する時系列パターンデータ(行動シーケンス)44と、この時系列パターンデータから生成された長さ毎の時系列パターンセット(行動シーケンスセット)の一覧45を示している。本例の不審行動は、人が車に近づき、ドアの鍵をこじ開けて車両内に侵入(乗車)する行動である。図13の不審行動の行動シーケンス44は、図12の正常行動の行動シーケンス40に対して、3番目の動作として「屈み」が含まれている。
【0055】
図14は、図13の不審行動の行動シーケンスセット一覧45に含まれていて、図12の正常行動の行動シーケンスセット一覧41に含まれていない行動シーケンスセットのみを、不審行動検知用行動シーケンスルールとして選出して得た、不審行動検知用行動シーケンスルール一覧47を示している。この例では、異常事象検知用ルール抽出部22による抽出は行わず、異常事象検知用ルール候補探索部21で生成されたルール候補を、そのまま不審行動検知用行動シーケンスルールとしている。
【0056】
このように、不審行動、正常行動の行動シーケンスから、それぞれ行動シーケンス長さ毎の行動シーケンスセットを生成して、シーケンスセットの長さ毎に不審行動検知用ルールを得るので、駐車場などでの不審人物をより精度高くかつ短時間の観測で検知することができる。また、データベースに登録されている異常事象、正常事象のサンプルデータからルールを自動的に生成するので、人がルールを設定する場合と異なり、少ない設定工数で、客観的なルールを得ることができる。
【0057】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0058】
犯罪行為などの不審行動に関するデータは収集が難しい。そこで、第2の実施の形態では、正常事象に関するデータから、異常事象検知用のルールとして正常事象ルールを生成する。
【0059】
図15は、第2の実施の形態に係る異常事象検知ルール自動抽出装置10Bの構成を示している。図1の異常事象検知ルール自動抽出装置10と同一部分には同一符号を付してある。異常事象検知ルール自動抽出装置10Bは、入力部11と、出力部12と、ルール生成に関する各種処理を行う処理部13Bと、正常事象に関するデータが登録されたデータベース部14Bと、生成したルールを登録する正常事象ルール登録部16とを備えて構成される。
【0060】
処理部13Bは、CPU(Central Processing Unit)と、このCPUが実行するプログラムや各種固定データが記憶されたROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)などを主要部として構成されている。処理部13Bは、データ取得部20と、正常事象ルール生成部23と、登録制御部28としての機能を果たす。
【0061】
データベース部14Bは、正常事象に関するデータが登録された正常事象時系列パターンDB部24を有する。正常事象時系列パターンDB部24に登録されるデータは、観察対象(駐車場内の人物や監視対象の機器、気象など)の状態の時間的な推移を表した時系列パターンデータである。データ取得部20は、正常事象時系列パターンDB部24からデータを取得し、正常事象ルール生成部23は、正常事象時系列パターンDB部24からデータ取得部20によって取得したデータから、長さ毎の時系列パターンセットを生成する。登録制御部28は、正常事象ルール生成部23が生成した長さ毎の時系列パターンセットを、長さ毎の正常事象ルールとして正常事象ルール登録部16に登録する。なお、処理部13Bは、正常事象ルール生成部23が生成した長さ毎の時系列パターンセットを、長さ毎の正常事象ルールとして出力部12から外部装置へ出力する処理を行う場合もある。
【0062】
正常事象ルールは、正常事象ルール登録部16に登録されているすべてのルールに一致しない場合に、異常事象と判定するためのルールとして使用される。たとえば、駐車場内の監視映像データなどから、観察対象の状態の時間的な推移を表した時系列パターンデータを取得し、これを長さ毎の時系列パターンセットに分解する。そして、分解して得た各長さの時系列パターンセットを、対応する長さのすべての正常事象ルールと比較し、すべての長さで1つも正常事象ルールと一致しない場合に異常事象であると検知する。
【0063】
図16は、異常事象検知ルール自動抽出装置10Bが行う正常事象ルールの生成処理を示している。データベース部14Bから正常事象に関する時系列パターンデータを読み込む(ステップS201)。次に、各時系列パターンデータから、2以上の各長さについて、その長さの生成し得るすべての時系列パターンセットを生成する(ステップS202)。生成したすべての時系列パターンセットを正常事象ルールとして正常事象ルール登録部16に登録、もしくは外部装置へ出力して(ステップS203)処理を終了する。
【0064】
このように、異常事象に関するデータを得難い観察対象について、正常事象に関するデータのみから異常事象検知のための客観的なルールを生成することができる。また、長さ毎の時系列パターンセットを生成し、これらを正常事象ルールとするので、各長さで異常事象を検知することができ、短時間の観察から異常事象の発生を特定することが可能になる。
【0065】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0066】
実施の形態では、異常事象検知ルール自動抽出装置10、10Bについて説明したが、本発明は、同等の機能を情報処理装置等に実行させるためのプログラムや方法にも適用することができる。
【0067】
異常事象検知ルール自動抽出装置10、10Bにあっては、データベース部14、14Bを具備せず、外部のデータベースから異常事象に関するデータや正常事象に関するデータを入力するように構成されてもよい。また、異常事象検知用ルール登録部15や正常事象ルール登録部16を設けずに、生成した異常事象検知用ルールや正常事象ルールを外部装置に出力するように構成されてもよい。
【0068】
実施の形態では、異常事象や正常事象に関するデータを観察対象の状態の推移を表した時系列パターンデータとしたが、必ずしも時系列なデータでなくても、多数の測定項目に関する瞬時値を示すデータであってもかまわない。たとえば、機器の動作の正常/異常を判定する場合に、機器が正常動作しているときの多数の項目に関する測定データの瞬時値を正常事象データとして収集し、機器に異常が発生したときのそれらの項目に関する測定データの瞬時値を異常事象データとして収集し、各項目について異常事象データの瞬時値と正常事象データの瞬時値とを比較し、異常時の各項目から正常時と同等の瞬時値を持つ項目を除外することで、異常事象検知用のルール(測定項目とその瞬時値)を自動的に生成することができる。
【0069】
機器の故障診断では、図17(a)の一覧表51に示すように、機器内の所定箇所の電圧値・電流値、機器内の各部位の温度、ファン回転数、クロック周波数、通信データ内容などの計測項目をその機器の状態(図6のA〜Eに対応するもの)を示す特徴量とする。それぞれの特徴量は、変化傾向(増加・減少、上昇・低下など)、変化幅、特定値以上・特定値以下、特定範囲内・特定範囲外、平均値・分散値などとすることができる。たとえば、長さ2のルールは、2つの計測項目の組み合わせとなる。すなわち、電圧値(aボルト〜bボルトの範囲外)と温度(d℃以上)、電圧値(aボルト〜bボルトの範囲外)とクロック周波数(誤差10%外)、などの組み合わせが長さ2の異常事象検知用ルールとして生成される。図17(b)は、気象に関する異常事象、正常事象、特徴量(観測項目)を示す一覧表52の例を示している。異常気象の場合も、機器の故障診断と同様にすればよい。
【符号の説明】
【0070】
10、10B…異常事象検知ルール自動抽出装置
11…入力部
12…出力部
13、13B…処理部
14、14B…データベース部
15…異常事象検知用ルール登録部
16…正常事象ルール登録部
20…データ取得部
21…異常事象検知用ルール候補探索部
22…異常事象検知用ルール抽出部
23…正常事象ルール生成部
24…正常事象時系列パターンDB部
25…異常事象時系列パターンDB部
28…登録制御部
31…異常事象時系列パターンデータ
32…異常事象時系列パターンセットの一覧
34…正常事象時系列パターンデータ
35…正常事象時系列パターンセットの一覧
37…異常事象検知用ルール候補一覧
40…駐車場内の人物の正常行動の行動シーケンス
41…正常行動の行動シーケンスセット一覧
44…駐車場内の人物の不審行動の行動シーケンス
45…不審行動の行動シーケンスセット一覧
47…不審行動検知用行動シーケンスルール一覧
51…機器の故障診断にかかわる異常事象、正常事象、特徴量の一覧
52…異常気象予測にかかわる異常事象、正常事象、特徴量の一覧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常事象に関するデータが登録された異常事象データベースと、正常事象に関するデータが登録された正常事象データベースとを比較して、異常事象データベースに含まれ、かつ、正常事象データベースには含まれないデータのパターンを抽出し、この抽出したパターンを異常事象検知用ルールとして、ルール登録部に登録する
ことを特徴とする異常事象検知ルール自動抽出方法。
【請求項2】
前記データは、観察対象の状態の推移を表した時系列パターンデータである
ことを特徴とする請求項1に記載の異常事象検知ルール自動抽出方法。
【請求項3】
所定の状態推移回数分の長さの時系列パターンデータである時系列パターンセットを、前記異常事象データベースと前記正常事象データベースのそれぞれから生成することを、時系列パターンセットの長さ毎に行い、
前記異常事象データベースから生成した時系列パターンセットに含まれていて、前記正常事象データベースから生成した時系列パターンセットに含まれていない時系列パターンセットを、前記異常事象検知用ルールとして、前記ルール登録部に登録する
ことを特徴とする請求項2に記載の異常事象検知ルール自動抽出方法。
【請求項4】
所定の状態推移回数分の長さの時系列パターンデータである時系列パターンセットを、前記異常事象データベースと前記正常事象データベースのそれぞれから生成することを、時系列パターンセットの長さ毎に行い、
前記異常事象データベースから生成した時系列パターンセットに含まれていて、前記正常事象データベースから生成した時系列パターンセットに含まれていない時系列パターンセットを、異常事象検知用ルール候補とし、
前記異常事象検知用ルール候補の中から、ユーザの設定した絞り込み条件で抽出した時系列パターンセットを異常事象検知用ルールとして、前記ルール登録部に登録する
ことを特徴とする請求項2に記載の異常事象検知ルール自動抽出方法。
【請求項5】
観察対象の状態の推移を表した時系列パターンデータであって、正常事象に関するものが登録された正常事象データベースから、所定の状態推移回数分の長さの時系列パターンデータである時系列パターンセットを生成することを、時系列パターンセットの長さ毎に行い、これらの時系列パターンセットを、登録されているすべてのルールに一致しない場合に、異常事象と判定するためのルールが登録される正常事象ルール登録部に、前記ルールとして登録する
ことを特徴とする異常事象検知ルール自動抽出方法。
【請求項6】
異常事象データベースから異常事象に関するデータを取得し、正常事象データベースから正常事象に関するデータを取得するデータ取得部と、
前記異常事象データベースから取得したデータと、前記正常事象データベースから取得したデータとを比較して、前記異常事象データベースに含まれ、かつ、前記正常事象データベースには含まれないデータのパターンを抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出したパターンを異常事象検知用ルールとして出力する出力部と
を有する
ことを特徴とする異常事象検知ルール自動抽出装置。
【請求項7】
異常事象に関するデータが登録された異常事象データベースと、
正常事象に関するデータが登録された正常事象データベースと、
ルール登録部と、
前記異常事象データベースと前記正常事象データベースとを比較して、前記異常事象データベースに含まれ、かつ、前記正常事象データベースには含まれないデータのパターンを抽出する抽出部と、
前記抽出部の抽出したパターンを異常事象検知用ルールとして前記ルール登録部に登録する登録制御部と
を有する
ことを特徴とする異常事象検知ルール自動抽出装置。
【請求項8】
前記データは、観察対象の状態の推移を表した時系列パターンデータである
ことを特徴とする請求項6または7に記載の異常事象検知ルール自動抽出装置。
【請求項9】
前記抽出部は、
所定の状態推移回数分の長さの時系列パターンデータである時系列パターンセットを、前記異常事象データベースと前記正常事象データベースのそれぞれから生成することを、時系列パターンセットの長さ毎に行い、
前記異常事象データベースから生成した時系列パターンセットに含まれていて、前記正常事象データベースから生成した時系列パターンセットに含まれていない時系列パターンセットを、前記異常事象検知用ルールとする
ことを特徴とする請求項8に記載の異常事象検知ルール自動抽出装置。
【請求項10】
前記抽出部は、
所定の状態推移回数分の長さの時系列パターンデータである時系列パターンセットを、前記異常事象データベースと前記正常事象データベースのそれぞれから生成することを、時系列パターンセットの長さ毎に行い、
前記異常事象データベースから生成した時系列パターンセットに含まれていて、前記正常事象データベースから生成した時系列パターンセットに含まれていない時系列パターンセットを、異常事象検知用ルール候補とし、
該異常事象検知用ルール候補の中から、ユーザの設定した絞り込み条件で抽出した時系列パターンセットを、前記異常事象検知用ルールとする
ことを特徴とする請求項8に記載の異常事象検知ルール自動抽出装置。
【請求項11】
正常事象に関するデータが登録された正常事象データベースから、観察対象の状態の推移を表した時系列パターンデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部で取得した時系列パターンデータから、所定の状態推移回数分の長さの時系列パターンデータである時系列パターンセットを生成することを、時系列パターンセットの長さ毎に行うルール生成部と、
前記ルール生成部が生成した時系列パターンセットを、すべてのルールに一致しない場合に、異常事象と判定するためのルールとして出力する出力部と
を有する
ことを特徴とする異常事象検知ルール自動抽出装置。
【請求項12】
正常事象に関して、観察対象の状態の推移を表した時系列パターンデータが登録された正常事象データベースと、
登録されているすべてのルールに一致しない場合に、異常事象と判定するためのルールが登録される正常事象ルール登録部と、
前記正常事象データベースに登録されている時系列パターンデータから、所定の状態推移回数分の長さの時系列パターンデータである時系列パターンセットを生成することを、時系列パターンセットの長さ毎に行うルール生成部と、
前記ルール生成部が生成した時系列パターンセットを、前記ルールとして前記正常事象ルール登録部に登録する登録制御部と
を有する
ことを特徴とする異常事象検知ルール自動抽出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−3929(P2013−3929A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135836(P2011−135836)
【出願日】平成23年6月19日(2011.6.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 研究集会名 2010年度 慶應義塾大学大学院 理工学研究科 開放環境科学専攻 修士審査会 主催者名 慶應義塾大学 開催日 平成22年12月23日
【出願人】(508338290)
【出願人】(390010054)コイト電工株式会社 (136)
【Fターム(参考)】