説明

異物検査装置

【課題】作業効率を大幅に向上させることが可能な実用性に秀れた異物検査装置の提供。
【解決手段】被検査物1に検査線を照射して検出することで前記被検査物1に混入された異物を検出可能な異物検出部2と、この異物検出部2に前記被検査物1を搬送する搬送機構3とから成る異物検査装置であって、前記搬送機構3によって搬送される前記被検査物1の高さを検出する高さ検出部4を前記異物検出部2の搬送方向上流側に設けて、この高さ検出部4により検出した前記被検査物1の高さに応じて前記異物検出部2に搬送される前記被検査物1の検査条件を設定し得るように前記異物検出部2を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば生肉や加工食品等に異物が混入しているか否かを判別するため、異物検査装置が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されるようなX線を用いて上記異物の検出を行うX線異物検査装置は、X線照射部(X線源)から、コンベア等の搬送機構を搬送される被検査物にX線を照射し、被検査物を透過した透過X線をラインセンサ等で検出して画像化した透過X線画像によって被検査物中に異物が混入しているか否かを判別する。
【0004】
即ち、X線の透過量は、被検査物や異物により減衰され、また、種類によって減衰量は異なるため、前記透過X線画像を画像処理、例えば画像処理フィルタを用いて抽出された信号が所定の閾値を越えるか否かを判別することで、被検査物中の異物を検出することができる。
【0005】
ところで、前記被検査物や異物によるX線透過量の減衰量は、被検査物の密度や厚さによって変化する。そこで、一般的には、被検査物の種類(品目)及び厚さ(高さ)に応じて検査条件(上記画像処理フィルタや閾値)を異ならせた複数の検査条件を設定している。
【0006】
従って、例えば、略同じの高さの豚肉だけの異物検出を行う場合には、複数の豚肉を連続的にコンベア等で搬送して検査条件を変更することなく連続的に検査を行うことが可能であるが、例えば同じ種類の豚肉でも、高さが不一致である場合には、一々、次に搬送されてくる豚肉の高さに応じて検査条件を変更する必要があり、厄介である。また、目視により高さを判断しているため、正確に検査条件を変更できていない場合がある。
【0007】
【特許文献1】特許第3665050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題点を解決したもので、異物検出部に搬送される被検査物の高さを検出して、この高さに応じて異物検出部における検査条件を適宜に自動調整設定可能で、例えば高さが異なる同一種類の被検査物を連続的に搬送する場合、一々手動で高さ毎に異なる検査条件に変更する必要がなく、作業効率を大幅に向上させることが可能な実用性に秀れた異物検査装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
被検査物1に検査線を照射して検出することで前記被検査物1に混入された異物を検出可能な異物検出部2と、この異物検出部2に前記被検査物1を搬送する搬送機構3とから成る異物検査装置であって、前記搬送機構3によって搬送される前記被検査物1の高さを検出する高さ検出部4を前記異物検出部2の搬送方向上流側に設けて、この高さ検出部4により検出した前記被検査物1の高さに応じて前記異物検出部2に搬送される前記被検査物1の検査条件を設定し得るように前記異物検出部2を構成したことを特徴とする異物検査装置に係るものである。
【0011】
また、前記異物検出部2に、前記被検査物1の種類及び高さ毎に予め検査条件データを記憶可能な記憶手段と、入力された前記被検査物1の種類及び前記高さ検出部4で検出した前記被検査物1の高さに対応する前記検査条件データを前記記憶手段から読み出す検査条件読み出し手段と、前記記憶手段から読み出した前記検査条件データに基づいて前記検査条件を設定する検査条件設定手段とを設けて、この異物検出部2に搬送される前記被検査物1毎に前記高さ検出部4で検出した高さに応じて前記検査条件を自動選択設定し得るように構成したことを特徴とする請求項1記載の異物検査装置に係るものである。
【0012】
また、前記異物検出部2は、前記被検査物1にX線を照射するX線照射部5と、このX線照射部5から照射され前記被検査物1を透過するX線を検出するX線検出部6とを備えたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の異物検査装置に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上述のように構成したから、異物検出部に搬送される被検査物の高さを検出して、この高さに応じて異物検出部における検査条件を適宜に自動調整設定可能で、例えば高さが異なる同一種類の被検査物を連続的に搬送する場合、一々手動で高さ毎に異なる検査条件に変更する必要がなく、作業効率を大幅に向上させることが可能な実用性に秀れた異物検査装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0015】
搬送機構3により搬送される被検査物1に異物検出部2により検査線を照射して検出することで、被検査物1に異物が混入しているか否かを検査する。
【0016】
この際、搬送機構3により異物検出部2へと搬送される被検査物1の高さを検出してこの検出高さに応じて異物検出部2における検査条件を適切な条件に設定することが可能となる。また、人手による誤差を低減できる。
【0017】
具体的には、例えば、前記異物検出部2に、前記被検査物1の種類及び高さ毎に予め検査条件データを記憶可能な記憶手段と、入力された前記被検査物1の種類及び前記高さ検出部4で検出した前記被検査物1の高さに対応する前記検査条件データを前記記憶手段から読み出す検査条件読み出し手段と、前記記憶手段から読み出した前記検査条件データに基づいて前記検査条件を設定する検査条件設定手段とを設けて、この異物検出部2に搬送される前記被検査物1毎に前記高さ検出部4で検出した高さに応じて前記検査条件を自動選択設定し得るように構成した場合、被検査物1の高さに応じて、自動的に予め設定した検査条件データから適切なデータを選択設定することが可能となり、従来人手により行っていた高さが異なることによる検査条件設定を自動的に行えることになり、例えば高さの違う豚肉を連続的に搬送してもこの搬送を滞らせることなく、個々の高さに応じた適切な検査条件で検査を行うことができ、極めて効率的に異物検出を行うことが可能となる。
【0018】
特に、X線を用いる場合、被検査物の高さ(厚さ)によって、透過量が大きく異なるため、大きさがバラバラのものを検査する際、従来は高さに応じて検査条件を一々再入力する必要があったが、本発明によれば、これらの入力作業を自動的に行えることとなり、極めて効率的な異物検出が可能となる。
【実施例】
【0019】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0020】
本実施例は、被検査物1に検査線を照射して検出することで前記被検査物1に混入された異物を検出可能な異物検出部2と、この異物検出部2に前記被検査物1を搬送する搬送機構3とから成る異物検査装置であって、前記搬送機構3によって搬送される前記被検査物1の高さを検出する高さ検出部4を前記異物検出部2の搬送方向上流側に設けて、この高さ検出部4により検出した前記被検査物1の高さに応じて前記異物検出部2に搬送される前記被検査物1の検査条件を設定し得るように前記異物検出部2を構成したものであり、被検査物1としての畜肉・魚肉等の生鮮肉や加工食品等に異物(金属片や針等)が混入しているか否かを判別するために用いられるものである。
【0021】
各部を具体的に説明する。
【0022】
異物検出部2は、前記被検査物1にX線を照射するX線照射部5と、このX線照射部5から照射され前記被検査物1を透過するX線を検出するX線検出部6とを備えた構成としている。
【0023】
また、搬送機構3としての公知のコンベア機構の上方にX線照射部5(X線照射器)を設け、コンベアの下方に被検査物1の搬送方向と直交する方向に延設されたX線検出部6(X線検出器、ラインセンサ)を設けて、このX線照射部5からX線検出部6に向かって被検査物1の搬送方向と直交する方向の断面視において略扇状にX線を照射することで、このコンベア上面に載置され搬送される被検査物1を透過してX線検出部6により検出された透過X線を分析して異物を検出するように構成している。
【0024】
具体的には、本実施例は、被検査物1にX線を照射することで、この被検査物1を透過する透過X線をラインセンサにより検出して画像データ化し、この透過X線画像データと、画像処理フィルタとを用いてこの透過X線画像データから被検査物1とは異なるX線透過率を持つ異物と思われる部分を検出し、更に所定の閾値を用いてこの部分が異物であるか否かを判別するように構成している。
【0025】
また、前記異物検出部2に、前記被検査物1の種類及び高さ毎に予め検査条件データを記憶可能な記憶手段と、入力された前記被検査物1の種類及び前記高さ検出部4で検出した前記被検査物1の高さに対応する前記検査条件データを前記記憶手段から読み出す検査条件読み出し手段と、前記記憶手段から読み出した前記検査条件データに基づいて前記検査条件を設定する検査条件設定手段とを設けて、この異物検出部2に搬送される前記被検査物1毎に前記高さ検出部4で検出した高さに応じて前記検査条件を自動選択設定し得るように構成している。
【0026】
具体的には、本実施例の異物検出部2は、筐体7に上記記憶手段,検査条件読み出し手段及び検査条件設定手段を有する制御装置とを一体化して設けた構成である。また、この筐体7内部にはX線照射部5とX線検出部6とが設けられている。尚、図中、符号8は表示装置と入力装置とを兼ねるタッチパネルディスプレイ、9は筐体7の開口部を閉塞する暖簾状の遮蔽体である。
【0027】
記憶手段には、検査条件データとして、被検査物1の種類(例えば豚肉,牛肉,鶏肉,魚肉等)及び高さ(例えば小,中及び大の三段階等)に応じて前記画像処理フィルタのパラメータ及び閾値を変化させたデータが夫々記憶されている。これは、被検査物1の種類により密度が異なるとX線の透過率が異なり、また、被検査物1の高さ(厚さ)が異なる場合もX線の透過率は異なるためである。
【0028】
即ち、記憶手段には、X線の透過量に応じて、透過X線画像データから被検査物1とは異なる透過量データを有する異物と思われる部分を明確に判別して抽出し得るパラメータに設定した画像処理フィルタと、抽出部分が異物であるか否かを明確に判別し得る値に設定された閾値とが予め記憶されている。例えば、透過量が小さい程、被検査物1と異物と思われる部分との差分や閾値を小さく設定する。
【0029】
検査条件読み出し手段は、前記タッチパネルディスプレイ8からの入力若しくは高さ検出部4において検出された高さデータがこの高さ検出部4から入力されることで、前記検査条件データを読み出す。
【0030】
具体的には、本実施例においては、図2に図示したように、同一種類で高さが統一されていない多数の被検査物1を搬送機構3により連続的に搬送しながら異物を検出することを想定して、タッチパネルディスプレイ8から種類を入力(選択)し、異物検出部2に搬送される被検査物1の高さデータを高さ検出部4から自動的に入力(選択)するように構成している。
【0031】
即ち、本実施例は、見た目から容易に判別可能な大分類(被検査物1の種類)を手動入力する一方、見た目からは正確には判別できない細分類(同一種類中でも高さが異なることによる相違)を自動入力して、簡易構成にしてコスト安に且つ確実に適切な検査条件に自動選択設定し得るように構成している。
【0032】
検査条件設定手段は、前記検査条件読み出し手段によって読み出された検査条件データを用いて適宜な条件で異物検出を行うように構成している。
【0033】
この際、特に、本実施例においては、高さ検出部4として、異物検出部2の搬送上流側、具体的には、異物検出部2の入口近傍に一対の投光部4aと反射部4bとから成る複数の光センサを被検査物1の搬送方向と直交する方向(被検査物の高さ方向)に並設して、これらの光センサにより被検査物1の高さを検出する構成としている。尚、図中、符号10は光センサが固定される固定体である。
【0034】
例えば、図1,2に図示したように、3つの光センサを並設した場合、一番下のセンサのみが反応した場合(一番下の投光部4a及び反射部4b間のみを通過した場合)はA(小)、一番下と真ん中のセンサが反応した場合(一番下と真ん中の投光部4a及び反射部4b間を通過した場合)はB(中)、全てのセンサが反応した場合(全ての投光部4a及び反射部4b間を通過した場合)はC(大)として、検査条件読み出し手段に高さデータとして入力して、この高さに応じて予め記録された検査条件データを読み出すように構成している。また、光センサを2つ並設した構成としても良いし、勿論4つ以上並設しても良い。
【0035】
従って、高価な画像処理用カメラ等を用いる必要なく、安価な光センサを並設するだけで、被検査物1の高さに応じた検査条件を自動調整設定可能となり、従来、目視により被検査物の高さを認識した後、タッチパネルディスプレイを操作して人手により上記検査条件を設定していたの比し、極めて効率的で且つ誤差が少なく、よりコスト安にして正確に異物検出を行うことが可能となる。
【0036】
尚、本実施例においては、被検査物1の高さ(及び種類)に応じて画像処理フィルタのパラメータ及び閾値を変化させるように構成したが、例えばX線の照射量や照射範囲等、他のパラメータを変化させる構成としても良い。また、透過X線画像にフィルタをかけて閾値により異物を検出するのではなく、透過X線画像を予め作成し記憶しておいた比較用画像と比較して異物を検出するように構成しても良い。
【0037】
本実施例は上述のように構成したから、搬送機構3により搬送される被検査物1に異物検出部2によりX線を照射して検出することで、被検査物1に異物が混入しているか否かを検査する際、搬送機構3により異物検出部2へと搬送される被検査物1の高さを検出してこの検出高さに応じて異物検出部2における検査条件を適切な条件に設定することが可能となる。また、人手による誤差を低減できる。
【0038】
具体的には、異物検出部2に、前記被検査物1の種類及び高さ毎に予め検査条件データを記憶可能な記憶手段と、入力された前記被検査物1の種類及び前記高さ検出部4で検出した前記被検査物1の高さに対応する前記検査条件データを前記記憶手段から読み出す検査条件読み出し手段と、前記記憶手段から読み出した前記検査条件データに基づいて前記検査条件を設定する検査条件設定手段とを設けて、この異物検出部2に搬送される前記被検査物1毎に前記高さ検出部4で検出した高さに応じて前記検査条件を自動選択設定し得るように構成した場合、被検査物1の高さに応じて、自動的に予め設定した検査条件データから適切なデータを選択設定することが可能となり、従来人手により行っていた高さが異なることによる検査条件設定を自動的に行えることになり、例えば高さの違う豚肉を連続的に搬送してもこの搬送を滞らせることなく、個々の高さに応じた適切な検査条件で検査を行うことができ、極めて効率的に異物検出を行うことが可能となる。
【0039】
特に、X線を用いる場合、被検査物の高さ(厚さ)によって、透過量が大きく異なるため、大きさがバラバラのものを検査する際、従来は高さに応じて検査条件を一々再入力する必要があったが、本実施例によれば、これらの入力作業を自動的に行えることとなり、極めて効率的な異物検出が可能となる。
【0040】
即ち、X線を照射して検出することにより異物を検出する場合には、X線の透過率が被検査物と異物とで異なることを利用するが、被検査物の高さが高くなると、それだけ透過率が減少し、得られる透過光は暗くなってしまう、一方、被検査物の高さが低くなると、透過率が増加し、得られる透過光は明るくなってしまう。即ち、被検査物の高さによっては画像中の異物の判別が困難となってしまい、検出誤差の原因となってしまう。
【0041】
この点、本実施例によれば、異物検出部に搬送される被検査物の高さを検出し、各被検査物の高さに応じて適切な明るさの透過X線画像を得ることが可能となり、それだけ被検査物中の異物の判別が容易となる。
【0042】
よって、本実施例は、異物検出部に搬送される被検査物の高さを検出して、この高さに応じて異物検出部における検査条件を適宜に自動調整設定可能で、高さが異なる同一種類の被検査物を連続的に搬送する場合であっても、一々手動で高さ毎に異なる検査条件に変更する必要がなく、極めて作業効率を向上させることが可能な実用性に秀れたものとなる。
【0043】
本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施例の概略説明斜視図である。
【図2】本実施例の要部の拡大概略説明側面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 被検査物
2 異物検出部
3 搬送機構
4 高さ検出部
5 X線照射部
6 X線検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物に検査線を照射して検出することで前記被検査物に混入された異物を検出可能な異物検出部と、この異物検出部に前記被検査物を搬送する搬送機構とから成る異物検査装置であって、前記搬送機構によって搬送される前記被検査物の高さを検出する高さ検出部を前記異物検出部の搬送方向上流側に設けて、この高さ検出部により検出した前記被検査物の高さに応じて前記異物検出部に搬送される前記被検査物の検査条件を設定し得るように前記異物検出部を構成したことを特徴とする異物検査装置。
【請求項2】
前記異物検出部に、前記被検査物の種類及び高さ毎に予め検査条件データを記憶可能な記憶手段と、入力された前記被検査物の種類及び前記高さ検出部で検出した前記被検査物の高さに対応する前記検査条件データを前記記憶手段から読み出す検査条件読み出し手段と、前記記憶手段から読み出した前記検査条件データに基づいて前記検査条件を設定する検査条件設定手段とを設けて、この異物検出部に搬送される前記被検査物毎に前記高さ検出部で検出した高さに応じて前記検査条件を自動選択設定し得るように構成したことを特徴とする請求項1記載の異物検査装置。
【請求項3】
前記異物検出部は、前記被検査物にX線を照射するX線照射部と、このX線照射部から照射され前記被検査物を透過するX線を検出するX線検出部とを備えたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の異物検査装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−111747(P2008−111747A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295546(P2006−295546)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(598105802)株式会社 システムスクエア (8)
【Fターム(参考)】