Array ( [harmful] => 0 [next] => Array ( [id] => A,2007-513621 [meishou] => 乳房細胞増殖性障害の改良された処置のための方法および核酸 ) [prev] => Array ( [id] => A,2007-513619 [meishou] => 試験区形成装置及び方法 ) ) 病原性ウシエンテロウイルス、ワクチン及び診断方法

病原性ウシエンテロウイルス、ワクチン及び診断方法

新規病原性ウシエンテロウイルスの単離を記載する。本新規病原性ウシエンテロウイルスは、本新規病原性ウシエンテロウイルスに対する、抗体及び免疫原性組成物を開発するために使用される。診断アッセイについて述べる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニークな病原性ウシエンテロウイルスの単離、そのウイルスに対するワクチン、そのウイルスと結合する抗体及びその診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウシエンテロウイルスは、ピコルノウイルス(picornovirus)である。これは、1本鎖のセンスRNAを有し、直径が約25から30nmである。そのバイロンは、エンベロープに包まれていない20面体である。このウイルスは、感染細胞の細胞質で複製する。ウシエンテロウイルスは、エーテル非感受性である。
【0003】
ウシエンテロウイルスは、特徴がよく調べられている。ウシエンテロウイルスのヌクレオチド配列は、1988年に完了した(Earle JAら、“The complete nucleotide sequence of a bovine enterovirus”,J.Gen.Virol.69:Part 2,pp.253−63(1988年2月))。ウシエンテロウイルスを同定するために(Hofner MC,“An indirect sandwich ELISA for the identification of bovine enteroviruses”,J.Virol.Methods,41:2 pp.239−43(1993年2月)及び、動物におけるウシエンテロウイルスに結合する抗体の検出のために(Zhang AQら、“A capture antibody ELISA for detection of antibodies against bovine enterovirus”,J.Virol.Methodds 24:1−2,pp223−6(1989年4月から5月))、ELISAアッセイが開発された。合成ペプチドを用いて、中和抗体を作製することができる(Smyth MSら、“Characterization of neutralizing antibodies to bovine enterovirus elicited by synthetic peptides”,Arch.Virol.126:1−4,pp 21−33(1992))。ウシエンテロウイルスが、口蹄疫ウイルスとある程度の交差抗原性を有する一方(Andersen AA,“Cross reaction between bovine enterovirus and South African Territories l5 foot−and−mouth disease virus”,Am.J.Vet.Res.39:1,pp59−63(1978年1月)、通常、ウシエンテロウイルスが、ウシ及びヒトの両方で安全であることが広く認められている。現に、他では、癌治療に対してウシエンテロウイルスを使用することが示唆されている(例えば、Taylor MWら、“Viruses as an aid to cancer therapy:Regression of solid and ascites tumors in rodents after treatment with bovine enteroviruses”,PNAS 68:4、pp.836−40(1971年4月)及びSmith Mら、“Bovine enteroviruses as an oncolytic virus:Foetal calf serum facilitates its infection of human cells”,Int.J.Mol.Med.,10:1,pp.49−53(2002年7月)を参照のこと。)。
【0004】
最近、呼吸器疾患を有するウシからの組織試料の試験により、ウシエンテロウイルスがその疾患の原因物質であることが明らかとなっている。この特定のウシエンテロウイルスを単離し、家畜において呼吸器疾患を引き起こすことを示すことができる。そのようなものとして、ウシエンテロウイルスに対するワクチンは、家畜における疾患予防に有用である。この特定のウシエンテロウイルスに対する抗体を有することは有用であり、これは、抗体を診断アッセイのために使用できるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、新規病原性ウシエンテロウイルスを単離し特徴を調べることである。本発明のさらなる目的は、動物においてこのウイルスを診断するためのアッセイ及びこのアッセイを行うための方法である。本発明のまた別の目的は、この新規病原性ウシエンテロウイルスに対する免疫原性組成物、この免疫原性組成物を生成させるための方法及びこの免疫原性組成物を用いて動物で免疫反応を刺激するための方法を有することである。
【0006】
本発明の目的は、この新規病原性ウシエンテロウイルスに結合する、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を有することである。本発明の別の目的は、この新規病原性ウシエンテロウイルスの感染について動物を試験するための診断アッセイのために、これらのポリクローナル抗体及び/又はモノクローナル抗体を使用することである。本発明の別の目的は、免疫原性組成物の生成の際にこれらのポリクローナル抗体及び/又はモノクローナル抗体を使用することである。
【0007】
本発明の目的は、動物において病原性ウシエンテロウイルスに対する免疫反応を生じさせる免疫原性組成物を有することである。本発明のさらなる目的は、本免疫原性組成物が、不活性化病原性ウシエンテロウイルス、弱毒化病原性ウシエンテロウイルス、病原性ウシエンテロウイルスからの、抗原性タンパク質又はポリペプチド、抗原性タンパク質もしくはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は、動物に投与した際に動物に病原性ウシエンテロウイルスに対する免疫反応を生じさせる、その他の免疫刺激組成物を有することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、新規病原性ウシエンテロウイルスの単離に関する。本発明はまた、この新規病原性ウシエンテロウイルスに対する診断アッセイの開発及びこの疾患に罹患している家畜を治療するための、及び/又は、この疾患に家畜が罹患しないよう予防するための、免疫原性組成物に関する。
【0009】
この病原性ウシエンテロウイルスに対する免疫原性組成物は、感染したウシ肺組織もしくはこの特定の病原性ウシエンテロウイルスの特徴的な病巣を示す他のウシ組織から処理した接種材料由来の、又は深部鼻腔綿棒標本からの、不活性化病原性ウシエンテロウイルス又は弱毒化病原性ウシエンテロウイルスのいずれかを含有し得る。サブユニット、ベクター、組み換え及び合成ペプチド免疫原性組成物などを含む、病原性ウシエンテロウイルスの機能的派生物も本発明の一部である。
【0010】
病原性ウシエンテロウイルスの単離
病原性ウシエンテロウイルスは、場合によっては血液を含有し得る重度の鼻汁があるウシから、Dacronが先に付いた長い綿棒を用いて、深部鼻腔綿棒標本を取り、単離することができる。この感染動物はまた、約103から104°Fの体温上昇、摂食減少(「オフフィーディング(off feeding)」とも呼ばれる。)及び元気のない様子も示す。感染したウシの動物死亡率は低い。使用するまで、−20℃にて、1%ウシ胎仔血清(FBS)及びゲンタマイシン(100μg/ml)を含有する2mLの最小必須培地(MEM)中にチップとともにその綿棒標本を保存することができる。あらゆる他の医薬適合性の水溶液(生理食塩水、リンガー溶液、Hank’s Balanced Salt Solution(ハンクス平衡塩緩衝溶液)など)中でこの綿棒標本を保存することができる。43検体を得て、病原性実体を単離するために使用する。
【0011】
それぞれの深部鼻腔綿棒標本試料を室温で解凍し、次に、0.2μシリンジフィルター(Pall Gelman,Ann Arbor,MI)に通し、濾過試料を得る。次に、96穴プレート中の3種類の異なる真核細胞単層に接種するために、それぞれの濾過試料を使用する。それぞれのウェルは、約80%から100%コンフルエントで、次の細胞株の1つを含有する:Madin−Darby ウシ腎臓(MDBK)、Rhesus monkey kidney(アカゲザル腎臓)(RMK)及びヒト直腸腫瘍細胞(HRT)細胞株。各濾過試料 20μlを1つのウェルに添加し、各濾過試料に対して全部で4ウェルに接種する。各ウェルは、100μlMEM及びゲンタマイシン(100μg/ml)を含有する。これらプレートを4% CO雰囲気中で、35℃から37℃にて30分から60分間インキュベーションする。次に、MEM及びゲンタマイシン(100μg/ml) 100μlを各ウェルに添加し、これらプレートを、35℃から37℃にて4% CO雰囲気中で、3日から5日間インキュベーションする。
【0012】
2回目のインキュベーション(3日から5日間)の後、細胞変性(細胞が丸くなる、濃縮するなど)の影響について、光学顕微鏡を用いてその細胞を調べ、ウェルの底面から剥がす。細胞死が起こる。細胞変性の影響が観察されない場合は、細胞をプレートウェルの底から剥がし、単離し、−70℃にて約30分以上凍結し、次いで解凍する。次に、凍結融解試料 20μlを、約80%から100%コンフルエントで既に使用したものと同じ細胞株を含有する別のウェルに添加し、上述のようにして処理する。再び、細胞変性の影響が観察されない場合は、その試料を再び凍結融解し、同じ細胞株を別のウェルで再インキュベーションする。この凍結融解プロセスは、明らかな細胞変性の影響(CPE)を欠く全試料に対して最大3回行う。
【0013】
結果を以下に示す:
−28試料は、侵襲性を示し、MDBK細胞においてCPEが高レベルである。
−この28試料のうち7試料は、HRT細胞において+/−であるとみなされる細胞変性変化を示す。
−他の試料はHRT細胞又はMDBK細胞においてCPEの徴候を示さない。
−RMK細胞での3回の継代後、いずれの試料でもCPEは観察されない。
【0014】
病原性ウシエンテロウイルスはまた、場合よっては血液を含有し得る重度の鼻汁を示すウシからの肺組織又は鼻−洞組織からの接種物として、単離することができる。感染動物はまた、約103から104°Fの体温上昇、摂食減少(「オフフィーディング(off feeding)」とも呼ばれる。)及び元気のない様子も示し、感染したウシの動物死亡率は低い。このようなウシを解剖し、それらの肺組織を取り出す。この肺組織を光学顕微鏡を用いて調べる。組織病理学的評価から、単核白血球浸潤及び変性細胞を示す病巣を有する、気管支炎及び/又は気管支梢炎が示され;肺胞中隔が細胞の浸潤とともに厚くなり得;過剰な破片が肺胞に存在し得る。上記の身体診察によるこれらの特徴は、病原性ウシエンテロウイルスの存在を示唆する。
【0015】
組織ホモジェネートがそのホモジェネートの10%重量/体積量を含有するように、医薬適合性の水溶液とともに所望する組織を均質化する。次に、このホモジェネートを約0.1から10μの間の孔径のフィルターに通し、好ましくは、孔径が小さくなっていく一連のフィルターに通し(1μ、0.6μ及び0.2μなど)、病原性ウシエンテロウイルスを含有する濾過試料を調製する。約1μより大きくない、より好ましくは0.2μより大きくない大きさの生物学的粒子をこの濾過試料が含有することが好ましいものであり得る(エンテロウイルスは、直径0.23から0.28μの粒子サイズを有し、0.2μのフィルターを通過しない。)。
【0016】
病原性ウシエンテロウイルスの精製形態を調製するために、この濾過試料を、上述のような一連のインビトロ細胞調製物に接種することができる。あるいは、腎臓、肝臓、心臓及び脳、肺、脾臓、睾丸、鼻甲介、白血球及び赤血球及びリンパ節などの哺乳動物器官細胞を伴う細胞調製物、ならびに、昆虫及び鳥類胚調製物を使用することができる。これらの細胞調製物に適した培養液には、ウシ胎仔血清及び寒天、血液寒天(blood infusion agar)、脳−心臓グルコースブロス及び寒天など、哺乳動物細胞の増殖を促進するものが含まれる。好ましくは、この哺乳動物細胞は、MDBK細胞である。
【0017】
濾過試料を用いて細胞調製物を接種して培養物を増殖させた後、培養細胞の個々の塊を回収し、凍結融解し、細胞とともに滅菌培養液に再導入する。一連のものの最後の培養からの培養液により、病原性ウシエンテロウイルスの精製形態が得られる。また、一連の繰り返し回収を行った後、この培養物を増殖させることができ、この培養液体を回収し、その液体を様々な細胞種に対する接種材料として使用する。このようにして、様々な種の培養からの培養液体により病原性ウシエンテロウイルスの精製形態が得られるように、病原性ウシエンテロウイルスを弱毒化することができる。
【0018】
病原性ウシエンテロウイルスの特徴
本病原性ウシエンテロウイルスは、生理化学的特性(大きさ、脂質溶媒に対する感受性、プロテアーゼに対する感受性、レクチンに対する結合など。)を測定することにより、DNA配列及び/又はアミノ酸配列を調べることなどにより、特徴を調べることができる。下記は、ウシエンテロウイルスとしてウイルスを同定するためのいくつかのアッセイの、プロトコール及び結果である。
【0019】
核酸の決定
ハロゲン化ヌクレオシド(5−ブロモ−2−デオキシウリジン、5−フルオロ−2−デオキシウリジン及び5−ヨード−デオキシウリジン)は、特定の動物ウイルス内に含有される核酸のタイプを同定するために使用されることが多い、3種類の異なる化学的に関連する代謝阻害剤である。これらのハロゲン化ヌクレオシドならびにマイトマイシンcは、DNAウイルスの複製を阻害し、殆どのRNAウイルスの複製には影響を与えない。レトロウイルス科においては、初期DNA合成がこれらのウイルスに対して必要であるために、これらのヌクレオシド及びマイトマイシンcは阻害効果を与える。これらの化学物質の影響は、チミジンにより反転させられる。
【0020】
ダルベッコ改変イーグル培地(DME)中で18個のT−25cm細胞培養フラスコにおいて、MDBK細胞のコンフルエントの層を増殖させる。コンフルエントになったら、DMEをデカントし、5−ヨード−2−デオキシウリジン(IDUR)100μg/mlを含有するチミジン欠乏DMEで置き換える。37℃にて24時間インキュベーションした後、チミジン欠乏、IDURDMEを細胞培養物から除去する。4つのMDBK細胞培養物に、3種類の対照ウイルス(IBRV(感染性ウシ鼻気管炎ウイルス)、公知のウシエンテロウイルス(BEV3型、PS89株、ATCC受託番号VR−755)及びウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV1a型、KY−22株))及び病原性ウシエンテロウイルスであることが疑われる単離ウイルスのそれぞれを、全部で16種類の感染細胞培養物になるように、接種する。37℃にて1時間感染細胞培養物をインキュベーションし、各フラスコをリン酸緩衝食塩水(PBS)10mlで洗浄することにより、非吸着ウイルスを除去する。
【0021】
チミジン20μg/mlを含有するDME増殖培地10mlを、各試験ウイルスのそれぞれに対する4つの感染細胞培養物のうち2つに添加し、100μg/mlIDURを含有するDME 増殖培地10mlを、感染させた試験ウイルス培養物の半分に添加する。非処理対照フラスコとして、その4種類それぞれの各ウイルスで感染させた別の2つのT−25cm MDBK培養フラスコを含める。37℃でその培養物をインキュベーションし、CPEについて毎日調べる。チミジンが入ったDMEを含有するウイルス感染フラスコにおいてCPEが見える場合(時間は、調べている特定のウイルスに依存する。)、同じウイルスに感染した試験培養物の全セットならびにそのウイルスに対する対照培養物を回収し、ウイルス感染性についてタイターを調べ、比較する。IDURを20μg/mlマイトマイシンcに置き換えることにより、マイトマイシンcに対して同じプロトコールを使用することができる。
【0022】
IDUR又はマイトマイシンCの存在は、DNAウイルスである、IBRVの感染性において負の方向の影響を有する。この負の方向の影響は、細胞培養にチミジンを添加することにより軽減される。IDUR又はマイトマイシンCの存在は、両者ともRNAウイルスである、BEV 3型及びBVDVの感染性において影響がない。細胞培養へのチミジンの添加は影響がない。上記のように単離され、病原性ウシエンテロウイルスである疑いのあるウイルスに対して、IDUR又はマイトマイシンCの存在は、その感染性に影響を与えず、その細胞培養へのチミジンの添加もまた何ら変化を引き起こさない。このアッセイは、病原性ウシウイルスであることが疑われるウイルスがRNAウイルスであることを確認するために使用することができる。
【0023】
エーテル感受性
有機溶媒は、その構造に脂質を含有するウイルスのヌクレオカプシド又は外殻から必須の脂質を除去し、この処理により、非感染性物質になる。したがって、それらのヌクレオカプシドを取り囲むエンベロープを保持する殆どの動物ウイルスは、エーテルなどの脂質溶媒に対して感受性がある。
【0024】
疑いのある病原性ウシエンテロウイルス及び4種類の対照ウイルス(BAV(ウシアデノウイルス5型、bartha株)、BEV(ウシエンテロウイルス3型、PS89株、ATCC受託番号VR−755)、BVDV(ウシウイルス性下痢ウイルス、1a型、KY−22株)及びIBRV(感染性ウシ鼻気管炎ウイルス)を用いて、エーテル1部に対して各試験ウイルス4部を混合し、混合物を試験管ローラー上で4℃にて24時間インキュベーションする。非エーテル処理ウイルス懸濁液のネガティブ対照を同じインキュベーション条件下で同時にインキュベーションする。
【0025】
24時間後、全処理試験管を1000xgで20分間遠心する。MDBK細胞株において、ウイルス感染性に関して、エーテル処理物及び非処理対照懸濁液からの液層のタイターを調べる。非処理ウイルス懸濁液と比較した場合のエーテル処理試料中での1.0log10以上のウイルスタイターにおける減少から、ジエチルエーテルに対する感受性が強いことが示される。
【0026】
BAV5型及びBEV3型両者の場合、エーテル処理はウイルス感染性に影響を与えず、このことから、これらのウイルスがエンベロープのないウイルスであることが示される。IBRV及びBVDVの場合、エーテル処理によりウイルスの感染性が少なくとも1.0log10低下するが、このことから、これらのウイルスがエンベロープを有するウイルスであることが示される。上記で単離され、病原性ウシエンテロウイルスである疑いのあるウイルスの場合、エーテル処理はウイルス感染性に影響を与えず、このことから、BEV 3型と同様に、このウイルスがエンベロープを持たないウイルスであることが示される。
【0027】
pH不安定性/安定性
pH3への30分間にわたるウイルスの曝露により、あるウイルスでは感染性が低下し(例えば、ピコルナウイルス科の一員であるライノウイルス)、一方、同じ科の一員でもあるエンテロウイルスなどの他のウイルスでは影響がない。
【0028】
ライノウイルス属は、酸性状態に対して感受性があり、pH5以下で失活する。ウイルスは、酸性不安定(acid labile)(1.0log10以上低下)又は酸性安定(acid stabile)(タイターが低下しないか、又は1.0log10未満の低下)と特徴付けることができる。
【0029】
病原性ウシエンテロウイルスである疑いのある単離ウイルスのウイルス懸濁液及び4種類の対照ウイルス(BEV(ウシエンテロウイルス3型、PS89株、ATCC受託番号VR−755)、IBRV(感染性ウシ鼻気管炎ウイルス)、BRSV(ウシ呼吸器合胞体ウイルス、Lehmkuhl375株)及びウシライノウイルス2型、EC−11株(ATCC受託番号VR−392)を4つに等分する。DMEがpH3、pH5及びpH7.2になるように、DMEのpHを調整する。各試験pHにおいて、各ウイルス懸濁液1部をDME増殖培地9部と混合する。その混合物を25℃にて2時間インキュベーションする。MDBK細胞株においてウイルス感染性について全試料のタイターを調べ、比較する。
【0030】
IBRV、BRSV及びウシライノウイルス2型の場合、各ウイルスの感染性は、pH5及びpH3で少なくとも1.0log10低下する。一方で、BEV 3型及び病原性ウシエンテロウイルスである疑いのあるウイルスの場合、感染率は、このpH範囲にわたり一定である。このアッセイは、単離病原性ウイルスがウシエンテロウイルスであることの確認の一助となる。
【0031】
陽イオン安定化
50℃にて1時間曝露した場合、高濃度の、塩化マグネシウムなどの2価陽イオンは、ある一定のウイルス(エンテロウイルス及びレオウイルス)を安定化させるが、一方、他のウイルスの熱不活性化を促進する(アデノウイルス、単純ヘルペス及びワクシニア)。
【0032】
病原性ウシエンテロウイルスであることが疑われる単離ウイルス及び4種類の対照ウイルス(BEV(ウシエンテロウイルス3型、PS89株、ATCC受託番号VR−755)、IBRV(感染性ウシ鼻気管炎ウイルス)、BAV(ウシアデノウイルス5型、bartha株)及びウシロタウイルス(NCDV−Licoln株)を用いて、各ウイルス分離株をそれぞれ、1MMgCl及び蒸留水(対照)中で10倍希釈する。その試験管を水浴中、50℃にて1時間インキュベーションする。インキュベーション後、MDBK細胞株及びMA−104細胞株(ウイルスに依存する。)において感染性について処理試料の全ペアのタイターを調べ、非加熱対照ウイルスの感染性と比較する。
【0033】
IBRV及びBAV 5型の場合、水中で1時間、50℃に加熱した後、ウイルスの感染率は、0に低下する。1MMgClのウイルス懸濁液への添加により、IBRV及びBAV 5型に関する結果は向上しない。BEV3型及びIBRVの場合、水中で1時間、50℃に加熱した後、ウイルスの感染率は、0に低下する。1MMgClのウイルス懸濁液への添加により、非加熱対照と比較してウイルスの感染性が約1.0log10低下するというように、結果が良くなる。病原性ウシエンテロウイルスである疑いのある単離ウイルスの場合、1MMgClのウイルス懸濁液への添加により、非加熱対照と比較して、ウイルスの感染性が約1.0log10低下する。このアッセイは、単離した病原性ウイルスがウシエンテロウイルスであることを確認する一助となる。
【0034】
病原性ウシエンテロウイルスの単離の確認
上述のように、感染したウシから得た病原性ウシエンテロウイルスは、ウイルスの生理化学的特性を調べることを促進するために、及び治療方法及びウイルスの病原性を評価するのを促進するために、健康なウシに接種を行うのに使用することができる。
【0035】
健康な新生仔ウシを得て、Bjorneby,J.M.ら、Monoclonal antibody immunotherapy in nude mice persistently infected with Cryptosporidium parvum,Infect.Immun.59,pp.1172−1176(1991)に記載のプロトコールを使用して、病原体不含環境で維持しする。上述のようにして得た濾過試料 5mlを使用して、シリンジでその仔ウシの鼻孔に接種材料をスプレーすることによりその仔ウシに接種する。接種した仔ウシは、感染ウシの臨床的徴候及び症候を発現する。これらの接種仔ウシからの肺、肝臓、腎臓、脾臓、心臓及び脳を、接種後8日から14日に回収し、感染の証拠を調べる。
【0036】
Budapest Treatyのプロトコールのもと、本病原性ウシエンテロウイルスの試料(3A115株、NAH−1013として同定される。)を、2004年11月17日に、American Type Culture Collection(ATCC)、10801 University Blvd.,Manassas,VA,20110−2209に寄託し、ATCC受託番号H−33555Aが付された。
【0037】
免疫原性組成物
あらゆる濾過試料(深部鼻腔綿棒標本又は組織ホモジェネートより。)を使用して、免疫原性組成物を生成させることができる。発明者らは、免疫原性組成物を生成させるために、深部鼻腔綿棒標本から、適宜、1つの濾過試料を選択する。純粋で外来物質不含であることが調べられた(細菌又は他のウイルスの存在をスクリーニングするための標準的培養法を使用して。)種ウイルスをMDBK細胞単層に接種(0.001から0.00001MOI(感染多重度))し、2日から3日後にそのMDBK細胞を播種する。
【0038】
75cm、150cm又はあらゆる大きさのフラスコを使用できる。大きさの上限はないが、1750cmより大きいフラスコを使用しないことが好ましいものであり得る。MDBK細胞をMEM及びゲンタマイシン(100μg/ml)中で、35℃から37℃にて、4% CO雰囲気中で増殖させる。完全な細胞変性の影響は、接種後12時間から72時間(通常24時間)で発現し、1リットルから50リットルの間の大きさの範囲であり得る滅菌容器に集めることによりウイルスを含有するウイルス液を回収する(最も一般的なのは20リットルである。)。そのウイルス液を場合によっては不活性化前に4℃から8℃の間で保存する。そのウイルスを不活性化するために、常に撹拌しながら、ベータ−プロリオラクトン(proriolactone)(BPL)を用いて、ウイルス液1リットルにつき1mlで、そのウイルス液を化学的に処理する。
【0039】
不活性化は通常、pH7.2から7.4に維持するために、5NNaOHを用いて一定のpHに調整して、22℃から27℃にて、24時間から36時間かかる。あるいは、使用することができる不活性化剤には、これらに限定されないが、バイナリーエチルアミン(binary ethylamine)(BEI)、ホルマリン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどを含むアルデヒド剤;クレゾール、フェノールなどを含む反応性酸性アルコール;安息香酸、ベンゼンスルホン酸などの酸;ベータプロイオラクトン(beta proiolactone)及びカプロラクトンなどのラクトン類;活性化ラクタム、カルボジイミド及びカルボニルジヘテロ芳香族化合物(カルボニルジイミダゾールなど);及びサポニンが含まれる。紫外線及びγ線照射を用いたものなどの照射及び/又は熱もまた、病原性ウシエンテロウイルスを不活性化又は殺滅するために使用できる。不活性化後、そのアジュバントの最終濃度が約18%から24%最終投与体積となるように、不活性化ウイルス液を場合によってはアジュバントと混合する。アジュバントには、これらに限定されないが、水酸化アルミニウム及びリン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩;POLYGEN(R)、DEAEデキストラン、硫酸デキストラン及びメチルアクリレートなどのポリマー;臭化ジメチルオデシルアンモニウム(dimethylodecylammonium bromide);BAYPAMUNE(R)、AVIRDINE(R)、リピッドAなどのポックスウイルスタンパク質;EMULSIGEN(R)、EMULSIGEN PLUS(R)、SUPRIMM(R)などの油(及び油と水との混合物);スクアラン及びスクアレンなどの動物油;Drakeol及びMontanidesなどの鉱物油;ピーナツ油などの植物油;ブロックコポリマー;サポニン、Quil A及びQS21などのトリテルぺノイドグリコシド;Tween−80及びPluronicなどの界面活性剤;フロインド不完全アジュバント、Corynebacterium(コリネバクテリウム)、Propionibacterium(プロピオニバクテリウム)及びMicobacterium(ミコバクテリウム)などの細菌性成分アジュバント;インターロイキン、モノカイン及びインターフェロン;リポソーム;ISCOMs;ムリアミル(muryamyl)ジペプチド及びそれらの誘導体、コレラ毒素などの合成糖タンパク質;又はそれらの組合せが含まれる。
【0040】
好ましくは、そのアジュバントは、油性アジュバント及び水性アジュバント、例えばSUPRIMM(R)(Novartis Animal Vaccine,Inc.,Bucyrus,KS)などである。これらに限定されないが、食塩水溶液、DEAEデキストラン、ラクトース及びポリプロピレングリコールなどの医薬適合性の担体を、本免疫原性組成物に添加することができる。
【0041】
あるいは、病原性ウシエンテロウイルスは、病原性ウシエンテロウイルスの毒性のある複製能を喪失させるような、非ウシ哺乳動物細胞又は鳥類細胞を用いた培養での繰り返し継代もしくは増殖により、弱毒化され得る。弱毒化ウイルスは、場合によっては、動物への投与前に、上述の、様々なアジュバント及び医薬適合性の担体と混合することができる。
【0042】
不活性化ウイルス免疫原性組成物の場合の投与あたりの抗原(ウイルス)量は、10から1012TCID50/投与の間の範囲、好ましくは、10から10TCID50/投与の間の範囲、より好ましくは約10TCID50/投与であり得る。このタイター決定は、ELISA、RIA、IFAなどの免疫アッセイにおける、又は酵素基質検出試験による、病原性ウシエンテロウイルスに結合する抗体を用いた測定により遂行される。免疫原性組成物の投与量は、1mlから5mlの間の範囲であり得、2mlであることが好ましい。
【0043】
本発明の免疫原性組成物は、ウシにおける病原性ウシエンテロウイルス感染を予防及び治療することができる。インビボでの効果的な予防的使用及び抗感染的使用の場合、本免疫原性組成物は、殺滅又は弱毒化病原性ウシエンテロウイルス、免疫原性ウイルス成分、抗イディオタイプ抗体又はその他の公知の免疫原性組成物を含有する。本免疫原性組成物は、単独で、ウシに適合する医薬担体と組み合わせて、アジュバントと組み合わせて、又は医薬担体及びアジュバントと組み合わせて、投与し得る。本免疫原性組成物は、経口、非経口、鼻腔内、静脈内、筋肉内、膣内、肛門内又は何らかの他の投与経路で投与し得る。
【0044】
免疫原性組成物の投与量に関係する因子には、例えば、ウシにおける年齢、体重及び母親由来抗体レベルが含まれる。ある一定の容量の範囲は、1mlから5mlの投与で、約10から1012TCID50/投与の間の範囲、好ましくは10から10TCID50/投与の間の範囲であり、より好ましくは、10TCID50/投与である。防御免疫は、1回投与により達成し得るか、又は、病原性ウシエンテロウイルスに対する防御免疫を与えるために、2、3週間以上離して複数回投与を行い得る。
【0045】
病原性ウシエンテロウイルスに対する免疫原性組成物は、様々な異なる剤形で投与し得る。殺滅又は弱毒化病原性ウシエンテロウイルスを含有する水性媒体は、錠剤、カプセルなどを形成する場合は、乾燥させ、医薬適合性の不活性賦形剤及び緩衝剤(ラクトース、デンプン、炭酸カルシウム又はクエン酸ナトリウムなど。)と混合し得る。これらの組合せはまた、これらの粉末及び/又は溶液が動物の餌又は動物の飲用水に添加できるように、粉末にされるか、又は水溶液中に懸濁され得る。これらの粉末又は溶液は、適切に、ウシによる本免疫原性組成物の経口摂取が促進されるように、様々な公知の物質により、甘味又は香味を付加される。
【0046】
非経口投与の場合は、本免疫原性組成物は、生理食塩水、水、プロピレングリコールなどの医薬適合性の担体と組み合わせることができる。本免疫原性組成物はまた、本免疫原性組成物の送達及び投与量を調節するために、医薬適合性の希釈剤とともに、乳化及び/又は懸濁剤も含み得る。
【0047】
殺滅及び弱毒化病原性ウシエンテロウイルス免疫原性組成物の他に、サブユニット免疫原性組成物又は、病原性ウシエンテロウイルスの抗原性成分を動物に与える、その他のタイプの免疫原性組成物を使用することができる。
【0048】
この抗原性成分は、タンパク質、糖タンパク質、脂質結合タンパク質もしくは糖タンパク質、修飾脂質部分、又は、動物に注射される場合、その動物が野生型病原性ウシエンテロウイルスに対して防御免疫を発現するように、動物において免疫反応を刺激する、その他のウイルス性成分である。サブユニット免疫原性組成物のために、上述のように、本病原性ウシエンテロウイルスを動物細胞において培養することができる。この細胞培養物を均質化することができ、その細胞培養ホモジェネートを適切なカラム、適切な孔径のフィルターに通すか、又はその細胞培養ホモジェネートを遠心分離することにより、免疫原性組成物を単離することができる。
【0049】
好ましくは、毒性のある病原性ウシエンテロウイルスの存在について、本免疫原性組成物をスクリーニングし、毒性のある病原性ウシエンテロウイルスが存在するであろう免疫原性組成物を廃棄し得る。
【0050】
抗原性成分がタンパク質である場合、次に、そのタンパク質をコードする核酸を単離し、その単離核酸を含有する免疫原性組成物を生成させることができる。抗原性成分をコードする核酸は、プラスミドの、真核生物プロモーターのシグナル配列の下流に置くことができる。そのプラスミドは、1又は複数の選択可能なマーカーを含有することができ、弱毒化原核生物(サルモネラ属(Sallmonella spp.)、赤痢菌属(Shigella spp.)又は他の適切な細菌など)にトランスフェクション導入することができる。次に、ウシがその抗原性成分に対して防御免疫反応を生じることができるように、その細菌をウシに投与する。例えば、Honeらに対する米国特許第5,887,159号及びHoneらによる米国特許出願公開第2002−0193330を参照のこと。あるいは、その抗原性成分をコードする核酸は、原核生物プロモーターの下流に置かれ、1又は複数の選択可能なマーカーを有し、弱毒化原核生物(サルモネラ属(Sallmonella spp.)、赤痢菌属(Shigella spp.)又は他の適切な細菌など)にトランスフェクション導入することができる。次に、その細菌を、関心のある抗原に対する免疫反応を必要とする真核生物対象に投与する。例えば、Honeらに対する米国特許第6,500,419号を参照のこと。さらに、病原性ウシエンテロウイルスのタンパク質性抗原性成分をコードする核酸は、免疫原性反応を生じさせるために、ウシの粘膜組織に投与することができる。例えば、Maloneらに対する米国特許第6,110,898号を参照のこと。あるいは、Drabick,J.J.ら;Cutaneous transfection and immune response to intradermal nucleic acid vaccination are significantly enhanced by in vivo electropermeabilization,Mol.Ther.Vol 3(2);pp.249−55(2001)中でのべられているものと同様の方法を用いて、免疫反応を生じさせるために、病原性ウシエンテロウイルスの抗原性成分をコードする裸のポリヌクレオチドをウシにエレクトロポレーション導入することができる。
【0051】
サブユニット免疫原性組成物の場合、病原性ウシエンテロウイルスのタンパク質性の抗原性成分をコードする核酸を、国際特許出願公開WO00/32047(Galen)及び国際特許出願公開WO02/083890(Galen)に記載のもののようなプラスミドにクローニングすることができる。次に、そのプラスミドを細菌にトランスフェクション導入することができ、その細菌は、所望する抗原性タンパク質を産生することができる。両特許出願に記載の様々な方法により、その所望する抗原性タンパク質を単離及び精製することができる。
【0052】
抗体
ポリクローナル抗体は、動物において免疫反応を起こすための抗原性物質として病原性ウシエンテロウイルスを使用することにより、生成させることができる。上述のように調製した、培養液もしくは濾過試料もしくは精製ウイルスを、刺激アジュバントとともに、又はそれ無しで、ウマ、ヤギ、マウス、ウサギ、魚類又はニワトリなどの非ウシ動物に投与することができる。本発明のためのポリクローナル抗体のためにウサギを使用する。繰り返し免疫した後、血清の一部を取り出し、採血した動物の血清において典型的に見出されるそれらの疾患特異的な抗体に対して、固定化した抗体を用いて、抗原性の面で精製することができる。例えば生理食塩水を用いたサッカリドゲルカラムでの、クロマトグラフィーによる半精製血清のさらなる処理及び少なくとも10kDaの分子量のタンパク質性成分の回収により、治療又は診断において使用するための精製ポリクローナル抗体が得られる。
【0053】
モノクローナル抗体調製
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術により作製することができる。マウス、ブタ、ラット、ウサギ又はその他の適切な動物を病原性ウシエンテロウイルス(上述のように精製)もしくは濾過試料(上述)もしくは細胞培養上清(上述)で免疫した後、その動物の脾臓を取り出し、全細胞調製物を調製することができる。Kohler及びMilstein(Kohlerら、Nature,256,495−97(1975))の方法に従い、ハイブリドーマを作製するために、脾臓細胞調製物からの免疫細胞を骨髄腫細胞に融合させることができる。そのハイブリドーマを培養し、病原性ウシエンテロウイルスを含有する、液体又は接種材料に対して、その培養液を試験することにより、病原性ウシエンテロウイルスに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを単離することができる。そのハイブリドーマを宿主種の腹膜に導入することにより、ハイブリドーマが腹膜で増殖するようになる。腹水を回収して、病原性ウシエンテロウイルスに対するモノクローナル抗体を含有する体液を得る。ハイブリドーマ細胞株からの細胞培養上清もまた、モノクローナル抗体を単離するために使用することができる。好ましくは、そのモノクローナル抗体は、その抗体がIgG又はIgM型の免疫グロブリンである、マウス由来ハイブリッド細胞株により産生される。受動免疫法及び免疫原性組成物調製物に対する抗イディオタイプ抗体を含め、様々な診断及び治療組成物及び方法のために、モノクローナル抗体を使用することができる。
【0054】
ハイブリドーマ融合の日の8週間前に、BALB/cAnNマウスに、i.p.で熱不活性化病原性ウシエンテロウイルス及び完全フロインドアジュバント(CFA)の1:1懸濁液を接種する。使用するBPL不活性化病原性ウシエンテロウイルスの量は、不活性化ウイルスの免疫原性及び毒性に依存する。最大でマウス1匹あたり0.3mlCFAを使用する。最初の免疫から5週間後に、マウスにBPL不活性化病原性ウシエンテロウイルス及びCFAの追加抗原投与の注射を行う。融合の1週間前に、マウスをi.p.により、生理食塩水中のBPL不活性化病原性ウシエンテロウイルスを用いて免疫する。融合の2日前に、マウスをi.p.により、BPL不活性化病原性ウシエンテロウイルス及び生理食塩水を用いて免疫する。融合の2日前に、マウスに、i.v.により、BPL不活性化病原性ウシエンテロウイルス及び生理食塩水を接種する。
【0055】
BPL不活性化病原性ウシエンテロウイルスの注射を受けたマウスを安楽死させ、無菌的手法により脾臓を摘出し、その脾臓を、5ml血清不含の冷 ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を含有する滅菌ペトリ皿に移す。外科用メスの刃を用いて長軸に沿って脾臓に切れ目を入れ、脾臓細胞を培地に放出するように、その脾臓に沿って穏やかに擦る。ピペットを用いて遊離細胞及び培地を15ml遠心管に移し、脾臓は残しておく。遠心管中の組織塊を5分間沈ませ、新しい管に単一細胞の懸濁液を移す。
【0056】
その細胞を200xgで5分間遠心し、上清を捨て、血清不含の冷DMEMでペレットを再び洗浄する。その細胞を血清不含のDMEM1mlに再懸濁し、融合の準備が整うまでその細胞を氷上で保存する。
【0057】
10% ウシ胎仔血清を含むDMEMにおいてマウス骨髄腫細胞(P3/NS−1/1−Ag4−1(ATCC受託番号TIB−18)を維持する。ある典型的なマウス脾臓から得られたB細胞との融合には、約10から10個の細胞が必要である。ハイブリドーマ融合直前に、50ml遠心管に対数期培養から骨髄腫細胞を採取し、200xgで5分間遠心することにより細胞を沈殿させる。上清を除去し、血清不含のDMEMで細胞を2回洗浄し、次いで、200xgで5分間遠心する。1ml血清不含DMEMに10から10個の細胞を含有するよう、ペレットを再懸濁する。
【0058】
骨髄腫細胞を含有する遠心管に脾臓細胞を添加し、500x gで5分間遠心する。上清を全て除去し、その管の側面を軽く叩いて細胞ペレットを緩める。全試薬及び細胞を37℃に維持し、1ml50% ポリエチレングリコール溶液(PEG 4000,Gibco,Grand Island,NY)をその管に1分間にわたり穏やかに混合しながら滴下添加する。その混合物を1分間、37℃に静置する。穏やかに撹拌しながら、1mlの血清不含の温DMEMを1分間にわたり滴下添加する。最後に、20mlの血清不含 DMEMを4分間にわたり滴下添加し、次に、すぐに細胞を200x gで5分間遠心する。上清を捨て、20%ウシ胎仔血清、0.2ユニット/mlインスリン、0.5mMピルビン酸ナトリウム、1mMオキサロ酢酸、2mML−グルタミン、非必須アミノ酸及び10%NCTC−109リンパ球培地(SDMEM)を含有する、47mlDMEM中で細胞を再懸濁する。
【0059】
細胞懸濁液 1ml体積を2枚の24穴平底組織培養プレートのウェルに添加する。骨髄腫細胞対照ウェルを含め、そのプレートを37℃、10%COにてインキュベーションする。
【0060】
一晩インキュベーションを行った後、細胞層を乱さないようにして各ウェルから培地 0.5mlを採取する。0.1mMヒポキサンチン、0.4μMアミノプテリン及び16μMチミジン(HAT)を含有する1mlSDMEMを、各ウェルに添加し、37℃、10%COにて、インキュベーションを継続する。週に3回、2週間から3週間の間、使用済み培地 1mlを新鮮なDMEM+HAT1mlで交換し続ける。顕著なクローンの増殖が明らかになったら、ELISA、間接的FA又は他の免疫アッセイ系により、特異的抗体の存在についてウェルをアッセイする。
【0061】
安定的な細胞株を得て他のクローンによる過剰増殖を避けるために、病原性ウシエンテロウイルスに特異的な抗体について陽性となった初代ウェルをすぐにサブクローニングする。
【0062】
選択した初代ウェルからの細胞を懸濁し、トリパンブルー染色及び血球計算板を用いて細胞計数を行う。SDMDM+HAT中で約2細胞/mlの最終濃度になるように、その細胞を希釈する。50μl沈層細胞(packed cell)/100ml(培地)を添加することにより、フィーダー層として非インキュベーションマウスから得られた正常脾臓細胞を使用する。
【0063】
96穴プレートの各ウェルに細胞懸濁液 200μlを添加し、37℃、10%COにて、インキュベーションする。2週間から3週間中にクローンが見えるようになり、顕著な増殖が明らかとなったら、単一のクローンを含有するウェルからの上清をアッセイする。特異的抗体に対して陽性となったウェルについて、このクローニング手段を繰り返す。さらに特徴を調べて低温保存するために、選択したクローンを組織培養フラスコにゆっくりと広げる。
【0064】
ハイブリドーマ細胞接種の2週間前に、0.5mlプリスチンをi.p.で与えてBALB/cAnNマウスを前処置する。ハイブリドーマ細胞を得て、Hank’s Balanced Salt Solution(ハンクス平衡塩緩衝溶液)(HBSS)で1回洗浄する。HBSSで細胞を再懸濁し、前処置したマウスにi.p.で、10から10個の生存能力のある細胞を接種する。
【0065】
腹水発生が明らかとなったら(通常は、接種後1週間から2週間)、16G1.5”の針を鼠径部において腹側に挿入することにより排出させる。針の中央を遠心管の上に保持し、管中に腹水を排出させる。腹水を200xgで遠心し、0.2nmフィルターを介して濾過し、凍結保存する。
【0066】
診断アッセイ
病原性ウシエンテロウイルスの診断のための方法は、ポリクローナル又はモノクローナル抗体を使用する。固定化タンパク質に対して、ポリスチレン表面と、又は、別のポリマー表面と接触させることにより、抗体、深部鼻腔綿棒標本試料、組織試料又は組織ホモジェネートのいずれかを固定化することができる。次に、深部鼻腔綿棒標本試料、組織ホモジェネート又は組織試料を添加する(抗体が固定化されている場合)か、又は、抗体を添加して(深部鼻腔綿棒標本試料、組織ホモジェネート又は組織試料が固定化されている場合)、インキュベーションし、例えば洗浄により、非固定化物質を除去する。次に、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体(どれを使用するかに依存する。)に結合する、標識した種特異的抗体を添加し、標識の存在及び量を調べる。標識を調べることにより、アッセイ組織中の病原性ウシエンテロウイルスの存在が示される。この方法の通常の実施形態には、ELISA、RIA、IFA、ノーザン、サザン及びウェスタンブロット免疫アッセイが含まれる。免疫−PCR技術、免疫化学発光技術又はその他の検出アッセイを用いることもできる。
【0067】
本発明を具体的な実施形態を参照して説明してきたが、これらの方法及び組成物における変形が使用され得ること、及び、本明細書中で具体的に述べられる以外に、本発明が実施され得ることを意図することは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明は、本請求の範囲により定義されるように、本発明の精神及び範囲内に包含される全ての変形を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離され及び精製された病原性ウシエンテロウイルス。
【請求項2】
前記病原性ウシエンテロウイルスが、ATCC受託番号H−33555Aを有する、請求項1に記載の、単離され及び精製された病原性ウシエンテロウイルス。
【請求項3】
前記病原性ウシエンテロウイルスが、エーテルに対して非感受性であることと、及び30nmより小さいサイズを有することとを特徴とし、該病原性ウシエンテロウイルスは、ウシからの血清抗体と特異的に反応性があり、該血清抗体は、病原性ウシエンテロウイルスATCC受託番号H−33555Aを経鼻的にウシに接種し、接種後25日から40日後に該接種を行ったウシから血清抗体を回収することにより得られる、請求項1に記載の単離され及び精製された病原性ウシエンテロウイルス。
【請求項4】
前記病原性ウシエンテロウイルスが弱毒化されている、請求項1に記載の病原性ウシエンテロウイルスを含む免疫原性組成物。
【請求項5】
前記病原性ウシエンテロウイルスが不活性化されている、請求項1に記載の病原性ウシエンテロウイルスを含む免疫原性組成物。
【請求項6】
前記病原性ウシエンテロウイルスが、ATCC受託番号H−33555Aを有し、該病原性ウシエンテロウイルスが、弱毒化されているか又は不活性化されている、請求項1に記載の病原性ウシエンテロウイルスを含む免疫原性組成物。
【請求項7】
病原性ウシエンテロウイルス疾患に対する原因物質である不活性化ウイルスを含み、該ウイルスは、エーテルに対して非感受性であることと、及び30nmより小さいサイズを有することとを特徴とし、該ウイルスは、ウシからの血清抗体と特異的に反応性があり、該血清抗体は、病原性ウシエンテロウイルスATCC受託番号H−33555Aを経鼻的にウシに接種し、接種後25日から40日後に該接種を行ったウシから血清抗体を回収することにより得られる、ウシにおいて免疫反応を生じさせるための免疫原性組成物。
【請求項8】
病原性ウシエンテロウイルス疾患に対する原因物質である弱毒化ウイルスを含み、該ウイルスは、エーテルに対して非感受性であることと、及び30nmより小さいサイズを有することとを特徴とし、該ウイルスは、ウシからの血清抗体と特異的に反応性があり、該血清抗体は、病原性ウシエンテロウイルスATCC受託番号H−33555Aを経鼻的にウシに接種し、接種後25日から40日後に該接種を行ったウシから血清抗体を回収することにより得られる、ウシにおいて免疫反応を生じさせるための免疫原性組成物。
【請求項9】
病原性ウシエンテロウイルス疾患に罹患したウシからの組織を均質化して、病原性ウシエンテロウイルスを含むホモジェネートを形成することと;及び動物細胞を介して該病原性ウシエンテロウイルスを継代することを含むプロセスにより、該ホモジェネート中の該病原性ウシエンテロウイルスを弱毒化して、ウシにおいて非動物病原性である弱毒化病原性ウシエンテロウイルスを形成させることと;を含む、請求項4に記載の免疫原性組成物を生産するための方法。
【請求項10】
動物細胞を介して該病原性ウシエンテロウイルスを継代して、ウシにおいて非動物病原性である弱毒化病原性ウシエンテロウイルスを形成させることを含む、請求項4に記載の免疫原性組成物を生産するための方法。
【請求項11】
病原性ウシエンテロウイルス疾患に罹患したウシからの組織を均質化して、病原性ウシエンテロウイルスを含むホモジェネートを形成することと;細胞培養物に該ホモジェネートを接種して、病原性ウシエンテロウイルスを増殖させることと;該細胞培養物から病原性ウシエンテロウイルスを回収することと;及び不活性化物質を添加することにより、該病原性ウシエンテロウイルスを不活性化することと;を含む、請求項5に記載の免疫原性組成物を生産するための方法。
【請求項12】
不活性化物質を添加することにより、前記病原性ウシエンテロウイルスを不活性化させることを含む、請求項5に記載の免疫原性組成物を生産するための方法。
【請求項13】
ウシから肺組織試料を得ることと;
該試料の液体ホモジェネートを形成させることと;
該液体ホモジェネートを支持体に固定化することと;
モノクローナル抗体を該固定化ホモジェネートに添加して、該液体ホモジェネート中のウイルス性因子と複合体を形成させることと(該モノクローナル抗体は、病原性ウシエンテロウイルスATCC受託番号H−33555Aのタンパク質に特異的に結合する。);及び
該複合体を検出することと(該複合体の存在は、病原性ウシエンテロウイルス疾患の存在を示す。);
を含む、ウシにおいて病原性ウシエンテロウイルス疾患を診断するための方法。
【請求項14】
病原性ウシエンテロウイルスに感染している疑いのあるウシからの組織試料の液体ホモジェネートを形成させることと;
該液体ホモジェネートにモノクローナル抗体を添加して、該ホモジェネート中でウイルス性因子との沈殿複合体を形成させることと(該モノクローナル抗体は、病原性ウシエンテロウイルスATCC受託番号H−33555Aのタンパク質に特異的に結合する。);及び該沈殿複合体を検出することと(該沈殿複合体の存在は、病原性ウシエンテロウイルス疾患の診断である。);
を含む、ウシにおいて病原性ウシエンテロウイルス疾患を診断するための方法。
【請求項15】
ウシから肺組織試料を得ることと;
該組織試料の液体ホモジェネートを形成させることと;
細胞を培養するのに有効な条件下で、細胞調製物とともに該液体ホモジェネートをインキュベーションすることと;
細胞解体物を与えるために該培養細胞を処理することと;
該細胞剥離物を支持体に固定化することと;
モノクローナル抗体を該固定化細胞解体物に添加して、該固定化細胞解体物中のウイルス性因子と複合体を形成させることと(該モノクローナル抗体は、病原性ウシエンテロウイルスATCC受託番号H−33555Aのタンパク質に特異的に結合する。);及び
該複合体を検出することと(該複合体の存在は、病原性ウシエンテロウイルス疾患の診断である。);
を含む、ウシにおいて病原性ウシエンテロウイルス疾患を診断するための方法。
【請求項16】
ウシから肺組織試料を得ることと;
該肺組織試料を支持体に固定化することと;
モノクローナル抗体を該固定化肺組織試料に添加して、該固定化肺組織試料中のウイルス性因子と複合体を形成させることと(該モノクローナル抗体は、病原性ウシエンテロウイルスATCC受託番号H−33555Aのタンパク質に特異的に結合する。);
該複合体を検出することと(該複合体の存在は、病原性ウシエンテロウイルス疾患の診断である。)、を含む、病原性ウシエンテロウイルスを診断するための方法。
【請求項17】
請求項4、請求項5又は請求項6に記載の免疫原性組成物をウシに投与することを含む、病原性ウシエンテロウイルスに対してウシにおいて免疫反応を生じさせる方法。
【請求項18】
病原性ウシエンテロウイルスATCC受託番号H−33555Aのタンパク質に結合する、モノクローナル抗体。

【公表番号】特表2007−513620(P2007−513620A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543499(P2006−543499)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014117
【国際公開番号】WO2005/059122
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】