説明

病虫害防除剤特性を有するN−スルホニルアミノアセトニトリル

【課題】寄生虫駆除剤及び寄生虫駆除方法の提供。
【解決手段】一般式(I)の化合物及びそのエナンチオマーに関する。この活性化合物は、有利な病虫害防除特性を有する。これらは特に、温血動物に於ける寄生虫の駆除のために適している。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、式:
【0002】
【化4】

[式中、Rは、それぞれの場合に、置換されていないか又はRによって単若しくは多置換されているアリール又はヘテロアリール(ここで、置換基は、それぞれの場合に、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)であり、
は、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、ハロ−C〜Cシクロアルキル、NHR、それぞれの場合に、置換されていないか又はRによって単若しくは多置換されているアリール若しくはヘテロアリール(ここで、置換基は、それぞれの場合に、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)であり又はそれぞれの場合にNを介して結合している、ピロリジニル、ピペリジニル、イミダゾリジニル、ピペラジニル、ピラゾリジニル、モルホリニル、インドリニル若しくはイソインドリニルであり、
は、水素、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル、ベンジル、C〜Cアルキルヘテロアリール、C〜Cアルコキシカルボニル又はC〜Cアルキルカルボニルであり、
、R及びRは、互いに独立に、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロ−C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、ハロ−C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、置換されていない若しくは置換されたC〜Cシクロアルキル(ここで、置換基は、ハロゲン及びC〜Cアルキルからなる群から選択される)又は置換されていない若しくは置換されたフェニル(ここで、置換基は、ハロゲン、C〜Cアルキル及びフェニルからなる群から選択される)であり、又は
及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒に、1から2個の、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択されたヘテロ原子を有する、5から7員の飽和若しくは部分的不飽和複素環式環であり、
は、ハロゲン、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロ−C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、ハロ−C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、それぞれの場合に、置換されていないか又は単若しくは多置換されているアリール、フェニルアセチレニル又はヘテロアリール(ここで、置換基は、それぞれの場合に、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロ−C〜Cアルコキシからなる群から選択され、およびそれぞれの場合に、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)であり、
は、置換されていないか又は一から五置換されているアリール(ここで、置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ及びハロ−C〜Cアルコキシからなる群から選択され、および、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)であり、
Xは、O、S、S(O)又はS(O)であり、
nは0又は1である]
の新規なスルホニルアミノアセトニトリル化合物並びに適切な場合に、それぞれの場合に遊離形又は塩形での、E/Z異性体、E/Z異性体混合物及び/又は互変異性体;
これらの化合物、それらの異性体及び互変異性体の製造方法及び使用;式(I)の化合物の製造のための出発化合物;活性化合物が式(I)の化合物及びそれらの互変異性体から選択される病虫害防除剤並びにこれらの組成物を使用する、植物有害昆虫、並びに、温血農業用及び家庭内動物内及び上の、ダニ目並びに内部寄生虫及び外部寄生虫の代表、特に蠕虫の駆除方法に関する。
【0003】
病虫害防除作用を有する置換アミノアセトニトリル化合物は、文献に記載されている。しかしながら、そこに実際に開示された活性化合物は、効能及び作用帯域に関する必要条件を、常に満たすことができるとは限らない。したがって、改良された病虫害防除特性を有する活性化合物についての要求が存在する。
【0004】
本発明に従った式(I)の化合物が、特に、農業用及び家庭内動物並びに植物内及び上での、内部寄生虫及び外部寄生虫に対する、顕著な病虫害防除特性を有することが見出された。
【0005】
式(I)の化合物のあるものは、互変異性体の形であってよい。したがって、式(I)の化合物は、本明細書に於いて、互変異性体がそれぞれの場合に特別に記載されていなくても、適切な場合に対応する互変異性体を含むものとして理解されるべきである。
【0006】
式(I)の化合物のあるもの及び適切な場合にそれらの互変異性体は、塩、例えば、酸付加塩を形成することができる。これらの酸付加塩は、(例えば、鉱酸、例えば硫酸、リン酸若しくはハロゲン化水素酸)のような強無機酸、(置換されていない若しくは置換された、例えばハロ置換されたC〜Cアルカンカルボン酸、例えば酢酸、飽和若しくは不飽和ジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸及びフタル酸、ヒドロキシカルボン酸、例えばアスコルビン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸及びクエン酸若しくは安息香酸のような)強有機カルボン酸又は(置換されていない若しくは置換された、例えばハロ置換された、C〜Cアルカン−若しくはアリールスルホン酸、例えばメタン−若しくはp−トルエンスルホン酸のような)有機スルホン酸と共に形成される。更に、少なくとも1個の酸基を有する式(I)の化合物は、塩基と共に塩を形成することができる。適切な塩基との塩は、(例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム及びマグネシウム塩のような)金属塩並びに(アンモニア又はモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ−、ジ−若しくはトリ低級アルキルアミン、例えばエチル−、ジエチル−、トリエチル−若しくはジメチル−プロピル−アミン若しくはモノ−、ジ−若しくはトリヒドロキシ低級アルキルアミン、例えばモノ−、ジ−若しくはトリエタノールアミンのような)有機アミンとの塩である。更に、対応する内部塩も、場合により形成させることができる。遊離形が第1に好ましい。式(I)の化合物の塩の中で、農薬的に有利な塩が好ましい。式(I)の遊離化合物及びそれらの塩は、本明細書に於いて、適切な場合に、それぞれ式(I)の化合物の対応する塩及び遊離化合物の両方を含むものとして理解されるべきである。同じことが、式(I)の化合物の互変異性体及びそれらの塩について、対応して真実である。
【0007】
本明細書に於いて使用される一般的な用語は、別段の定義がない限り、下記の意味を有する。
【0008】
アリールは、フェニル又はナフチルである。
【0009】
ヘテロアリールは、ピリジル、ピリミジル、s−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、チエニル、フラニル、ピリル(pyrryl)、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、インドリル又はインダゾリル、好ましくはピリジル、ピリミジル、s−トリアジニル又は1,2,4−トリアジニル、特にピリジル又はピリミジルである。
【0010】
アルキルは、基自体として並びにハロ−アルキル、アルコキシ及びアルキルチオのような他の基及び化合物の構造的要素として、それぞれの場合に、ケース毎に、対応する基又は化合物中に含まれる炭素原子の数を考慮して、直鎖アルキル、即ち、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル若しくはオクチル又は分枝鎖アルキル、例えば、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル若しくはイソヘキシルである。
【0011】
アルケニルは、基自体として並びに他の基及び化合物の構造的要素として、それぞれの場合に、ケース毎に、対応する基又は化合物中に含まれる炭素原子及び共役二重結合又は孤立二重結合の数を考慮して、直鎖アルケニル、例えば、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル、1−ヘキセニル、1−ヘプテニル、1,3−ヘキサジエニル若しくは1,3−オクタジエニル又は分枝鎖アルケニル、例えば、イソプロペニル、イソブテニル、イソプレニル、tert−ペンテニル、イソヘキセニル、イソヘプテニル若しくはイソオクテニルである。
【0012】
アルキニルは、基自体として並びに他の基及び化合物の構造的要素として、それぞれの場合に、ケース毎に、対応する基又は化合物中に含まれる炭素原子及び共役二重結合又は孤立二重結合の数を考慮して、直鎖アルキニル、例えば、プロパルギル、2−ブチニル、3−ペンチニル、1−ヘキシニル、1−へプチニル、3−ヘキセン−1−イニル若しくは1,5−ヘプタジエン−3−イニル又は分枝鎖アルキニル、例えば、3−メチルブト−1−イニル、4−エチルペント−1−イニル、4−メチルヘキス−2−イニル若しくは2−メチルヘプト−3−イニルである。
【0013】
シクロアルキルは、基自体として並びにハロシクロアルキルのような他の基及び化合物の構造的要素として、それぞれの場合に、ケース毎に、対応する基又は化合物中に含まれる炭素原子の数を考慮して、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル若しくはシクロオクチルである。
【0014】
ハロゲンは、基自体として並びにハロアルキル、ハロアルコキシ及びハロアルキルチオのような他の基及び化合物の構造的要素として、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素、特にフッ素、塩素又は臭素、特別にフッ素又は塩素である。
【0015】
ハロアルキル、ハロアルコキシ又はハロアルキルチオのようなハロゲン置換炭素含有基及び化合物は、部分的にハロゲン化されていてよく又は過ハロゲン化されていてよく、ハロゲン置換基について多置換の場合に、同一であるか又は異なっていることが可能である。基自体として並びにハロアルコキシ又はハロアルキルチオのような他の基及び化合物の構造要素としてのハロアルキルの例は、CHF又はCFのようなフッ素、塩素及び/又は臭素によって一から三置換されたメチル;CHCF、CFCF、CFCCl、CFCHCl、CFCHF、CFCFCl、CFCHBr、CFCHClF、CHCHBrF又はCClFCHClFのような、フッ素、塩素及び/又は臭素により一から五置換されたエチル;CHCHBrCHBr、CFCHFCF、CHCFCF又はCH(CFのような、フッ素、塩素及び/又は臭素により一から七置換されたプロピル又はイソプロピル;CF(CF)CHFCF又はCH(CFCFのような、フッ素、塩素及び/又は臭素により一から九置換されたブチル又はその異性体の1種;CF(CF)(CHF)CF又はCH(CFCFのような、フッ素、塩素及び/又は臭素により一から十一置換されたペンチル又はその異性体の1種並びに(CHCHBrCHBr、CF(CHF)CF、CH(CFCF又はC(CF(CHF)CFのような、フッ素、塩素及び/又は臭素により一から十三置換されたヘキシル又はその異性体の1種である。
【0016】
アルコキシ基は、好ましくは、1から6個の炭素原子の鎖長を有する。アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ及びtert−ブトキシ並びに異性体ペンチルオキシ及びヘキシルオキシであり、好ましくは、メトキシ及びエトキシである。ハロアルコキシ基は、好ましくは、1から6個の炭素原子の鎖長を有する。ハロアルコキシは、例えば、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ、2−フルオロエトキシ、2−クロロエトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ及び2,2,2−トリクロロエトキシであり、好ましくは、ジフルオロメトキシ、2−クロロエトキシ及びトリフルオロメトキシである。
【0017】
アルキルチオ基は、好ましくは、1から6個の炭素原子の鎖長を有する。アルキルチオは、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ又はtert−ブチルチオ、好ましくはメチルチオ及びエチルチオである。
【0018】
本発明の範囲内の好ましい実施態様は、上記の条件を考慮して、下記のものである。
【0019】
(1)Rが、置換されていない又はRによって一から五置換されているアリール(ここで、置換基は、それぞれの場合に、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)、特に、Rによって一から三置換されているアリール(ここで、置換基は、それぞれの場合に、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)である、式(I)の化合物;
(2)Rが、それぞれの場合に、置換されていないか又はRによって単から多置換されている、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、アリール又はヘテロアリール(ここで、置換基は、それぞれの場合に、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)、特に、置換されていないか若しくはRによって一から五置換されている、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル又はアリール(ここで、置換基は、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)、特にとりわけ、置換されていないか又はRによって一から三置換されているアリール(ここで、置換基は、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)である、式(I)の化合物;
(3)Rが、水素又はC〜Cアルキル、特に、水素又はC〜Cアルキル、特にとりわけ、水素である、式(I)の化合物;
(4)R、R及びRが、互いに独立に、水素、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロ−C〜Cアルコキシ、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、特に、水素、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル又はC〜Cシクロアルキル、特にとりわけ、水素又はC〜Cアルキルである、式(I)の化合物;
(5)Rが、ハロゲン、それぞれの場合に、置換されていないか又は単若しくは多置換されている、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロ−C〜Cアルコキシ、アリール又はフェニルアセチレニル(ここで、置換基は、ハロゲン、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロ−C〜Cアルコキシからなる群から選択され、およびそれぞれの場合に、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)、特に、ハロゲン、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロ−C〜Cアルコキシ、特にとりわけ、ハロゲン又はハロ−C〜Cアルキルである、式(I)の化合物;
(6)Rが、置換されていないか又は一から三置換されているアリール(ここで、置換基は、ハロゲン、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ及びハロ−C〜Cアルコキシからなる群から選択され、および、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)、特に、一から三置換されているアリール(ここで、置換基は、ハロゲン、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル及びハロ−C〜Cアルコキシからなる群から選択され、および、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)、特にとりわけ、一又は二置換されているアリール(ここで、置換基は、ハロゲン及びハロ−C〜Cアルキルからなる群から選択され、および、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)である、式(I)の化合物;
(7)Xが、O又はS、特にOである、式(I)の化合物;
(8)nが1である、式(I)の化合物;
(9)Rが、置換されていない又はRによって一から五置換されているアリール(ここで、置換基は、それぞれの場合に、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)であり、Rが、それぞれの場合に、置換されていないか又はRによって単若しくは多置換されている、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、アリール又はヘテロアリール(ここで、置換基は、それぞれの場合に、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)であり、Rが、水素又はC〜Cアルキルであり、R、R及びRが、互いに独立に、水素、それぞれの場合に、置換されていないか又は単若しくは多置換されている、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロ−C〜Cアルコキシ、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキルであり、Rが、ハロゲン、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロ−C〜Cアルコキシ、アリール又はフェニルアセチレニル(ここで、置換基は、ハロゲン、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロ−C〜Cアルコキシからなる群から選択され、およびそれぞれの場合に、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)であり、Rが、置換されていないか又は一から三置換されているアリール(ここで、置換基は、ハロゲン、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ及びハロ−C〜Cアルコキシからなる群から選択され、および、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)であり、XがO又はSであり、そしてnが1である、式(I)の化合物;
(10)Rが、Rによって一から三置換されているアリール(ここで、置換基は、それぞれの場合に、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)であり、Rが、置換されていないか若しくはRによって一から五置換されている、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル又はアリール(ここで、置換基は、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)であり、Rが、水素又はC〜Cアルキルであり、R、R及びRが、互いに独立に、水素、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル又はC〜Cシクロアルキルであり、Rが、ハロゲン、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ又はハロ−C〜Cアルコキシであり、Rが、一から三置換されているアリール(ここで、置換基は、ハロゲン、C〜Cアルキル、ハロ−C〜Cアルキル及びハロ−C〜Cアルコキシからなる群から選択され、および、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)であり、XがOであり、そしてnが1である、式(I)の化合物;
(11)Rが、Rによって一から三置換されているアリール(ここで、置換基は、それぞれの場合に、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)であり、Rが、置換されていないか又はRによって一から三置換されているアリール(ここで、置換基は、それぞれの場合に、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)であり、Rが、水素であり、R、R及びRが、互いに独立に、水素又はC〜Cアルキルであり、Rが、ハロゲン又はハロ−C〜Cアルキルであり、Rが、一又は二置換されているアリール(ここで、置換基は、ハロゲン及びハロ−C〜Cアルキルからなる群から選択され、および、それらの数が1よりも大きい場合に、同一か又は異なっていてよい)であり、XがOであり、そしてnが1である、式(I)の化合物。
【0020】
本発明の目的のために特に好ましい式(I)の化合物は、表1及び2に列挙したものであり、合成実施例に記載した式(I)の化合物が、特にとりわけ好ましい。
【0021】
本発明の別の主題は、それぞれの場合に、遊離形又は塩形での、式(I)の化合物の製造方法であって、式:
【0022】
【化5】

の化合物(この化合物は、公知であるか又は対応する公知の化合物と同様にして製造することができ、式中のR、R、R、R、R、X及びnは、式(I)について定義された通りである)を、式:
【0023】
【化6】

の化合物(この化合物は、公知であるか又は対応する公知の化合物と同様にして製造することができ、式中のRは、式(I)について定義された通りであり、およびQは離脱基である)と、適切な場合に塩基性触媒の存在下で、反応させること、ならびに、それぞれの場合に、所望により、この方法に従って又は他の方法で得ることができるそれぞれの場合に遊離形又は塩形での式(I)の化合物を式(I)の他の化合物に転換し、この方法に従って得ることができる異性体の混合物を分離し、および所望の異性体を単離し及び/又はこの方法に従って得ることができる式(I)の遊離化合物を塩に転換するか又はこの方法に従って得ることができる式(I)の化合物の塩を式(I)の遊離化合物若しくは他の塩に転換すること、を特徴とする方法である。
【0024】
式(I)の化合物の塩について適用されることが、前記及び後記の出発物質についての塩に前に述べたことと同様に適用される。
【0025】
反応剤は、溶媒又は希釈剤を添加しないで、例えば、溶融状態で、相互に反応させることができる。しかしながら、通常、不活性の溶媒若しくは希釈剤又はこれらの混合物を添加するのが有利である。挙げることができるこのような溶媒又は希釈剤の例は、芳香族、脂肪族及び脂環式炭化水素並びにハロゲン化炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、石油エーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はテトラクロロエタン;エーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジメトキシジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン;ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトン;アミド、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン又はヘキサメチルホスホルアミド;ニトリル、例えば、アセトニトリル又はプロピオニトリル並びにスルホキシド、例えば、ジメチルスルホキシドである。
【0026】
好ましい離脱基は、ハロゲン、特に塩素である。
【0027】
この反応を容易にするための適切な塩基は、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、水素化物、アミド、アルコキシド、酢酸塩、炭酸塩、ジアルキルアミド又はアルキルシリルアミド、アルキルアミン、アルキレンジアミン、遊離の又はN−アルキル化された、不飽和又は飽和のシクロアルキルアミン、塩基性複素環、水酸化アンモニウム並びに炭素環式アミンである。挙げることができる例は、ナトリウムの水酸化物、水素化物、アミド、メトキシド、酢酸塩、炭酸塩、カリウムのt−ブトキシド、水酸化物、炭酸塩、水素化物、リチウムジイソプロピルアミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、水素化カルシウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチレンジアミン、シクロヘキシルアミン、N−シクロヘキシル−N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、キヌクリジン、N−メチルモルホリン、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド並びに1,5−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−5−エン(DBU)である。
【0028】
この反応は、約0℃から約+150℃、好ましくは約20℃から約+100℃の温度範囲内で有利に実施される。
【0029】
本発明の別の主題は、それぞれの場合に遊離形又は塩形での、式(II)の化合物の製造方法であって、例えば、式:
【0030】
【化7】

の化合物(この化合物は、公知であるか又は対応する公知の化合物と同様にして製造することができ、式中のR、R、R、R、X及びnは、式(I)について定義された通りである)を、無機又は有機シアン化物及び式R−NHの化合物(この化合物は、公知であるか又は対応する公知の化合物と同様にして製造することができ、Rは、式Iについて定義された通りである)と反応させること、ならびにそれぞれの場合に、所望により、この方法に従って又は他の方法で得ることができるそれぞれの場合に遊離形又は塩形での式(II)の化合物を式(II)の他の化合物に転換し、この方法に従って得ることができる異性体の混合物を分離し、および所望の異性体を単離し及び/又はこの方法に従って得ることができる式(II)の遊離化合物を塩に転換するか又はこの方法に従って得ることができる式(II)の化合物の塩を式(II)の遊離化合物若しくは他の塩に転換すること、を特徴とする方法である。
【0031】
適切なシアン化物は、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化トリメチルシリル及びアセトンシアノヒドリンである。
【0032】
この方法に従って又は他の方法によって得ることができる式(I)の化合物は、それ自体公知の方法で、式(I)の出発化合物の1個又は2個以上の置換基を、通例の方法で、本発明に従った他の置換基によって置き換えることによって、式(I)の異なった化合物に転換することができる。
【0033】
それぞれの場合に適切であるとして選択された反応条件及び出発物質に依存して、1個の反応工程に於いて、1個のみの置換基を本発明に従った他の置換基によって置き換えることが可能であり又は同じ反応工程に於いて、複数個の置換基を本発明に従った他の複数の置換基によって置き換えることが可能である。
【0034】
式(I)の化合物の塩は、それ自体公知の方法で製造することができる。例えば、式(I)の化合物の酸付加塩は、適切な酸又は適切なイオン交換試薬で処理することによって得られ、および塩基との塩は、適切な塩基又は適切なイオン交換試薬で処理することによって得られる。
【0035】
式(I)の化合物の塩は、通例の手段により、式(I)の遊離化合物に転換することができる。即ち、酸付加塩は、例えば、適切な塩基性媒体又は適切なイオン交換試薬で処理することにより転換することができ、および塩基との塩は、例えば、適切な酸又は適切なイオン交換試薬で処理することにより転換することができる。
【0036】
式(I)の化合物の塩は、それ自体公知の方法により式(I)の化合物の異なる塩に転換することができる。例えば、例えば無機酸(塩酸など)の塩を、酸の適切な金属塩により(例えばナトリウム塩、バリウム塩または銀塩)(例えば酢酸銀により)、形成される無機塩(例えば塩化銀)が不溶性でありしたがって反応混合物から沈殿する適切な溶媒中で処理することによって、酸付加塩を異なる酸付加塩に転換することができる。
【0037】
方法及び/又は反応条件に依存して、塩形成特徴を有する式(I)の化合物を、遊離形で又は塩の形で得ることができる。
【0038】
式(I)の化合物は、また、それらの水和物の形で得ることができ、及び/又は他の溶媒(例えば、固体形での化合物の結晶化のために使用することができるいずれかの溶媒)を含有することができる。
【0039】
式(I)及び(II)の化合物は、例えば、不斉炭素原子の数並びにその絶対及び相対立体配置に依存して、可能性のある異性体の1種の形で若しくはそれらの混合物の形で、対掌体及び/若しくはジアステレオ異性体のような純粋な異性体の形で又はエナンチオマーの混合物、例えばラセミ化合物、ジアステレオ異性体の混合物若しくはラセミ化合物の混合物のような異性体の混合物の形で存在してよい。本発明は、純粋な異性体及び全ての可能性のある異性体の混合物の両方に関連する。立体化学の詳細がそれぞれの場合に特に述べられていない場合でも、本明細書に於いて、このように理解されるべきである。
【0040】
選択された出発物質及び方法に依存して、この方法に従って又は他の方法によって得ることができる式(I)及び(II)の化合物のジアステレオ異性体の混合物及びラセミ化合物の混合物は、公知の方法で、成分の間の物理化学的差異に基づいて、例えば、分別結晶化、蒸留及び/又はクロマトグラフィーにより、純粋なジアステレオ異性体又はラセミ化合物に分離することができる。
【0041】
このようにして得ることができるエナンチオマー又はラセミ化合物の混合物は、公知の方法によって、例えば、光学的活性溶媒からの再結晶により、キラル吸着剤上でのクロマトグラフィー、例えば、適切な微生物の補助を伴ったアセチルセルロース上での高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、特異固定化酵素での開裂により又は例えば、キラルクラウンエーテルを使用する、包接化合物の形成(この場合に、1種のみのエナンチオマーが錯体化される)により、光学的対掌体に分離することができる。
【0042】
純粋なジアステレオ異性体及びエナンチオマーは、対応する異性体の混合物の分離によるのみならず、本発明に従って、ジアステレオ選択的又はエナンチオ選択的合成の一般的に知られている方法、例えば、適切な立体化学を有する出発物質で本発明に従った方法を実施することにより得ることができる。
【0043】
個々の成分が異なった生物学的活性を有する限り、異性体、例えばエナンチオマー又は異性体の混合物、例えばエナンチオマーの混合物の何れか生物学的に一層活性であるものを単離又は合成することが有利である。
【0044】
本発明の方法に於いて、特に価値のあるとして最初に記載した式(I)の化合物に至る出発物質及び中間体が好ましく使用される。
【0045】
本発明は、特に、実施例中に記載した製造方法に関する。
【0046】
本発明は、また、式(I)の化合物の製造で本発明に従って使用される新規な出発物質及び中間体、それらの使用並びにそれらの製造方法に関する。
【0047】
害虫駆除の領域に於いて、本発明に従った式(I)の化合物は、低い濃度比率でも、温血動物、魚及び植物によってよく耐えられながら、非常に有利な殺生物帯域で価値のある予防及び/又は治癒活性を示す活性成分である。この化合物は、動物の内部及び外部寄生虫並びに植物有害昆虫並びにダニ目の代表を駆除する領域に於いて使用するために特に適している。本発明に従った活性成分は、普通に感受性の動物害虫の全ての又は個々の発達段階に対して有効であるが、昆虫及びダニ目の代表のような耐性動物害虫の全ての又は個々の成長段階に対しても有効である。本発明に従った活性成分の病害虫防除活性は、それ自体を直接的に、即ち、直ちに若しくはほんの僅かな時間の後で、例えば脱皮する間に生じる害虫の死亡率で明示することができ又は間接的に、例えば、減少した産卵速度及び/若しくは孵化速度で明示することができ、良好な活性は、少なくとも50〜60%の死亡率に相当する。式(I)の化合物は、異常に長い作用期間によって特に区別される。
【0048】
該植物の動物害虫には、欧州特許出願公開第EP−A−736 252号明細書、第5頁、第55行〜第6頁、第55行に記載されているものが含まれる。したがって、そこに記載されている害虫が、参照して本発明の主題中に含まれる。
【0049】
式(I)の化合物は、また、衛生状態に影響を与える害虫、特に、ニクバエ科(Sarcophagidae)、アノフィリダエ科(Anophilidae)及び蚊科(Culicidae)を含むハエ目並びにバッタ目、ジクチオプテラ(Dictyoptera)目(例えば、ブラッチダエ(Blattidae)科)及びハチ目(例えば、フォルミシダエ(Formicidae)科)に対して使用することができる。
【0050】
式(I)の化合物は、また、植物の寄生虫であるダニ及び昆虫の場合に、長い持続性活性を有する。ダニ目のハダニの場合に、これらは、テトラニチダエ(Tetranychidae)(テトラニクス(Tetranychus)種及びパノニクス(Panonychus)種)の卵、若虫及び成虫に対して有効である。
【0051】
これらは、ヨコバイ亜目の吸い虫(sucking insects)に対して、特に、アフィジダエ(Aphididae)科、デルファシダエ(Delphacidae)科、シカデリダエ(Cicadellidae)科、プシリダエ(Psyllidae)科、ロッシダエ(Loccidae)科、ジアスピジダエ(Diaspididae)科及びエリオフィジダエ(Eriophydidae)科(例えば、柑橘類果実上のサビダニ);カメムシ目(Hemiptera)、カメムシ亜目(Heteroptera)及びアザミウマ目(Thysanoptera)の害虫に対して並びにレピドプテラ目(Lepidoptera)、コウチュウ目(Coleoptera)、ハエ目(Diptera)及びバッタ目(Orthoptera)の草食昆虫に於いて高い活性度を有する。
【0052】
これらは、土壌中の害虫に対する土壌殺虫剤としても適している。
【0053】
本発明に従った化合物は、特に植物上に、更に特に、農業、園芸及び造林に於ける有用な植物及び観賞植物上に又は果実、花、葉、茎、塊茎若しくは根のような、このような植物の一部上に発生する前記の種類の害虫を、或る場合には後で成長する植物の一部を、これらの害虫に対して尚保護しながら、駆除する、即ち抑制又は撲滅するために使用することができる。
【0054】
したがって、式(I)の化合物は、穀類(例えば、コムギ、オオムギ、ライムギ、カラスムギ、イネ、トウモロコシ及びモロコシ);ビート(例えば、サトウダイコン及び飼料ビート);果実(例えば、リンゴ、セイヨウナシ、プラム、モモ、アーモンド、チェリー、ベリー(例えばイチゴ、ラズベリー及びクロイチゴのような)梨果、核果及び小果樹);(ソラマメ、ヒラマメ、エンドウマメ及び大豆のような)マメ科植物;(セイヨウアブラナ、カラシ、ケシ、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、ヒマ、カカオ及びピーナッツのような)油脂植物;(カボチャ、キュウリ及びメロンのような)ウリ類;(ワタ、アマ、アサ及びジュートのような)繊維植物;(オレンジ、レモン、グレープフルーツ及びマンダリンのような)柑橘類果物;(ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ及びパプリカのような)野菜;(アボガド、シナモン及びショウノウのような)クスノキ科;並びにタバコ、ナッツ、コーヒー、ナス、サトウキビ、茶、胡椒、ブドウ、ホップ、バナナ、天然ゴム植物及び観賞植物のような作物上の吸い虫及び草食昆虫の全ての成長段階に対して有効である。
【0055】
式(I)の化合物は、また、メロイドジネ(Meloidogyne)種、ヘテロデラ(Heterodera)種、プラチレンクス(Pratylenchus)種、ウナギ状線虫(Ditylenchus)種、ラドフォルス(Radopholus)種、リゾグリフス(Rizoglyphus)種等の植物線虫に対して有効である。
【0056】
本発明に関連して、温血生物上の寄生虫として発生する外部寄生虫は、特に、昆虫、ダニ及びマダニを意味すると理解され、これらには、チョウ目(Lepidoptera)、コウチュウ目(Coleoptera)、同翅目(Homoptera)、異翅目(Heteroptera)、ハエ目(Diptera)、アザミウマ目(Thysanoptera)、バッタ目(Orthoptera)、シラミ目(Anoplura)、ノミ目(Siphonaptera)、ハジラミ目(Mallophaga)、シミ目(Thysanura)、シロアリ目(Isoptera)、チャタテムシ目(Psocoptera)及びハチ目(Hymenoptera)の昆虫が含まれる。しかしながら、特に挙げることができる外部寄生虫は、ヒト又は動物を悩まし、病原菌を運ぶもの、例えば、イエバエ(Musca domestica)、ムスカ・ベツスチッシマ(Musca vetustissima)、顔バエ(Musca autumnalis)、姫イエバエ(Fannia canicularis)、サルコファガ・カルナリア(Sarcophaga carnaria)、ヒツジキンバエ(Lucilia cuprina)、ウシ皮膚バエ(Hypoderma bovis)、ヒポデルマ・リネアツム(Hypoderma lineatum)、クリソミア・クロロピガ(Chrysomyia chloropyga)、南米産ウマバエ(Dematobia hominis)、コクリオミア・ホミニボラックス(Cochliomyia hominivorax)、ガステロフィルス・インテスチナリス(Gasterophilus intestinalis)、ヒツジバエ(Oestrus ovis)、ストモクシス・カルシトランス(Stomoxys calcitrans)、ヘマトビア・イリタンス(Haematobia irritans)のようなハエ及び蚊科(Culicidae)、ブヨ科(Simuliidae)、チョウバエ科(Psychodidae)のようなユスリカ属(長角亜目)並びに吸血寄生虫、例えば、ネコノミ(Ctenocephalides felis)及びイヌノミ(Ctenocephalides canis)(ネコ及びイヌノミ)、インドネズミノミ(Xenopsylla cheopis)、ヒトノミ(Pulex irritans)、スナノミ(Dermatophilus penetrans)のようなノミ、ダマリナ・オビス(Damalina ovis)、ヒトジラミ(Pediculus humanis)のようなシラミ、咬みハエ及びアブ(タバニダエ(Tabanidae))、ヘマトポタ・プルビアリス(Haematopota pluvialis)のようなヘマトポタ(Haematopota)種、タバヌス・ニグロビッタツス(Tabanus nigrovittatus)のようなタバニダエ(Tabanidae)種、クリソプス・カエクチエンス(Chrysops caecutiens)のようなクリソプシナエ(Chrysopsinae)種、グロシニア(Glossinia)種のようなツェツェバエ、咬み昆虫、特にブラテラ・ゲルマニカ(Blatella germanica)、ブラッタ・オリエンタリス(Blatta orientalis)、ペリプラネタ・アメリカーナ(Periplaneta americana)のようなゴキブリ、ニワトリダニ(Dermanyssus gallinae)、サルコプテス・スカビエル(Sarcoptes scabiel)、ヒツジソロプテス(Psoroptes ovis)及びソレルガテス(Psorergates)種のようなダニ並びにとりわけマダニである。後者はダニ目(Acarina)に属する。マダニの公知の例は、例えば、ウシマダニ属(Boophilus)、マダニ属(Amblyomma)、アノセントル属(Anocentor)、カクマダニ属(Dermacentor)、チマダニ属(Haemaphysalis)、マダニ属(Hyalomma)、マダニ属(Ixodes)、リピセンター属(Rhipicentor)、マルガロープス属(Margaropus)、リピセファルス属(Rhipicephalus)、ヒメダニ属(Argas)、棘状耳虫属(Otobius)及びオルニトドロス属(Ornithodoros)等であり、これらは、ウシ、ブタ、ヒツジ及びヤギのような農場動物、ニワトリ、七面鳥及びガチョウのような家禽、ミンク、キツネ、チンチラ、ウサギ等のような毛皮用に繁殖されている動物並びにネコ及びイヌのような家畜のみならず、ヒトを含む温血動物に好んで群がる。
【0057】
更に、式(I)の化合物は、内部寄生虫線虫及び吸虫が、哺乳動物及び家禽、例えば、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマ、ロバ、イヌ、ネコ、モルモット及び鑑賞鳥の重い疾患の原因になり得る、蠕虫に対して特に有効である。この症状における典型的な線虫は、ヘモンカス、毛様線虫、オステルタジア、ネマトディルス、クーペリア、回虫(Ascaris)、ブノストヌム(Bunostonum)、エソファゴストヌム(Oesophagostonum)、チャルベルチア(Charbertia)、トリクリス、エンチュウ、トリコネマ(Trichonema)、ジクチロカウルス、カピラリア、ヘテラキス、トキソカラ、回虫(Ascaridia)、蟯虫(Oxyuris)、鉤虫(Ancylostoma)、鉤虫(Uncinaria)、イヌカイチュウ及びウマカイチュウである。吸虫の中で、特に、ファスシオリデアエ(Fasciolideae)の科、特に肝蛭(Fasciola hepatica)を挙げなくてはならない。式(I)の化合物の特別の利点は、ベンゾイミダゾール系活性成分に対して抵抗性である線虫に対するそれらの効能である。
【0058】
ある種のネマトディルス(Nematodirus)種、クーペリア(Coopeia)種及びエソファゴストヌム(Oesophagostonum)種は、宿主動物の腸管を攻撃し、一方、ヘモンカス(Haemonchus)種及びオステルタジア(Ostertagia)種の他のものは、胃内に寄生し、およびジクチロカウルス(Dictyocaulus)種のものは肺組織内に寄生する。フィラリイダエ(Filariidae)科及びセタリイダエ(Setariidae)科の寄生虫は、内部細胞組織及び器官、例えば、心臓、血管、リンパ管及び皮下組織の中に見出される。これに関連して、イヌの犬糸状虫、ジロフィラリア・イミチス(Dirofilaria immitis)を挙げなくてはならない。式(I)の化合物は、これらの寄生虫に対して非常に有効である。
【0059】
更に、式(I)の化合物は、ヒトの病原体である寄生虫を駆除するために適している。これらの中で、消化管に現れる典型的な代表として、鉤虫(Ancylostoma)種、ネカトール(Necator)種、回虫(Ascaris)種、ストロンギロイデス(Strongyloides)種、トリキネラ(Trichinella)種、カピラリア(Capillaria)種、トリクリス(Trichuris)種及び蟯虫(Enterobius)種を挙げなくてはならない。本発明の化合物は、また、血液内、組織内及び種々の器官内に現れる、フィラリイダエ(Filariidae)科からの糸状虫(Wuchereria)種、ブルジア種(Brugia)、糸状虫(Onchocerca)種及びロア糸状虫種に対して、並びにまた、特に胃腸管を冒す、ドラクンクルス(Dracunculus)並びにストロンギロイデス種及びトリキネラ種の寄生虫に対して有効である。
【0060】
作物保護の領域に於いて、式(I)の化合物は、変性されない形で又は好ましくは配合技術分野で一般的に使用されている添加剤と一緒に使用される。したがって、公知の方法で、例えば、乳化性濃縮物、直接希釈性溶液、希薄エマルジョン、可溶性粉末、顆粒及びポリマー物質中のカプセル化物に配合することができる。組成物の特性により、適用方法は、意図する目的及び一般的状況に従って選択される。
【0061】
本発明は、また、乳化性濃縮物、懸濁液濃縮物、直接噴霧性又は希釈性溶液、被覆性ペースト、希薄エマルジョン、湿潤性粉末、可溶性粉末、分散性粉末、湿潤性粉末、ダスト、顆粒又はポリマー物質中のカプセル化物のような病虫害防除剤であって、少なくとも1種の本発明の活性成分を含有し、配合物の種類が、意図する目的及び一般的状況に従って選択される病虫害防除剤に関する。これらは、公知の方法で、例えば、活性成分を、増量剤、例えば溶媒、固体担体及び場合により表面活性化合物(界面活性剤)と共に、緊密に混合及び/又は粉砕することによって製造される。
【0062】
活性成分は、これらの組成物中に純粋な形即ち、固体活性成分、例えば、特定の粒子サイズで、又は好ましくは、増量剤、例えば溶媒又は固体担体又は表面活性化合物(界面活性剤)のような、配合技術分野で一般的な添加剤の少なくとも1種と一緒に、使用される。
【0063】
配合添加剤として、例えば、固体担体、溶媒、安定剤、「遅延放出」添加剤、染料及び場合により表面活性物質(界面活性剤)が使用される。適切な担体及び添加剤には、作物保護製品、特にカタツムリ及びナメクジ駆除製品中に、普通に使用されているいずれかの物質が含まれる。本発明に従って使用される組成物中の、溶媒、固体担体、表面活性化合物、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び他の添加剤のような適切な添加剤には、例えば、欧州特許出願公開第EP−A−736 252号明細書、第7頁、第51行〜第8頁、第39行に記載されているものが含まれる。これらは、参照して本発明の主題中に含まれる。
【0064】
作物保護で使用するための組成物には、一般的に、0.1〜99重量%、特に0.1〜95重量%の活性成分及び1〜99.9重量%、特に5〜99.9重量%の少なくとも1種の固体又は液体添加剤が含まれ、一般に、組成物の0〜25重量%、特に0.1〜20重量%が、界面活性剤を構成することが可能である。商業製品は、好ましくは濃縮物として配合されるが、最終使用者は、通常、より低い活性成分濃度を有する希釈配合物を使用する。作物保護で使用される好ましい組成物は、特に下記の組成を有する(%=重量%)。
【0065】
乳化性濃縮物:
活性成分: 1〜95%、好ましくは5〜20%
界面活性剤: 1〜30%、好ましくは10〜20%
溶媒: 5〜98%、好ましくは70〜85%
ダスト:
活性成分: 0.1〜10%、好ましくは0.1〜1%
固体担体: 99.9〜90%、好ましくは99.9〜99%
懸濁液濃縮物:
活性成分: 5〜75%、好ましくは10〜50%
水: 94〜24%、好ましくは88〜30%
界面活性剤: 1〜40%、好ましくは2〜30%
湿潤性粉末:
活性成分: 0.5〜90%、好ましくは1〜80%
界面活性剤: 0.5〜20%、好ましくは1〜15%
固体担体: 5〜99%、好ましくは15〜98%
顆粒:
活性成分: 0.5〜30%、好ましくは3〜15%
固体担体: 99.5〜70%、好ましくは97〜85%
【0066】
温血生物内及び上の動物寄生虫を駆除するための、本発明に従った回虫駆除組成物には、0.1〜99重量%、特に0.1〜95重量%の式(I)の化合物、並びに99.9〜1重量%、特に99.8〜5重量%の、0〜25重量%、特に0.1〜25重量%の界面活性剤を含有する固体又は液体補助剤が含まれる。
【0067】
蠕虫を駆除するために温血動物で使用するための投与の好ましい形には、水剤、エマルジョン剤、懸濁剤(ドレンチ)、食品添加物、散剤、沸騰錠を含む錠剤、大型丸剤(boli)、カプセル剤、マイクロカプセル剤及びポア・オン(pour−on formulation)配合物が含まれる。配合物添加剤は生理学的に許容性であることを確実にしなければならない。
【0068】
動物寄生虫を駆除するための配合物の使用に於ける適切な溶媒は、例えば、アルコール、例えばエタノール、プロパノール又はブタノール、グリコール、並びにそれらのエーテル及びエステル、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコールエーテル、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル又はモノエチルエーテル、ケトン、例えばシクロヘキサノン、イソホロン又はジアセトンアルコール、強極性溶媒、例えばN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド若しくはジメチルホルムアミド又は水、植物油、例えばセイヨウアブラナ油、ひまし油、ヤシ油又は大豆油並びに適切である場合シリコーンオイルである。
【0069】
錠剤及び大型丸剤用の適切なバインダーは、水又はアルコール中に可溶性である化学的に変性された天然ポリマー性物質、例えば、デンプン、セルロース又はタンパク質誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ゼイン、ゼラチンのようなタンパク質等)及び合成ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等である。錠剤には、また、充填剤(例えば、デンプン、微結晶性セルロース、砂糖、ラクトース等)、滑剤及び崩壊剤が含有されている。
【0070】
駆虫組成物が、飼料濃縮物の形であるとき、担体として、例えば、高性能飼料、飼料穀物又はタンパク質濃縮物が使用される。このような飼料濃縮物又は組成物には、また、活性成分とは別に、補助剤、ビタミン、抗生物質、化学療法剤又は他の病害虫防除剤、特に静菌剤、静真菌物質、抗コクシジウム剤及びホルモン製剤、同化作用を有する物質又は成長を促進する物質、解体処理された動物の食肉の品質に影響を与える物質若しくは他の方法で生物に有利である物質が含有されていてよい。組成物又はその中に含有されている式(I)の化合物を飼料又は飲料飼い葉桶に直接添加するとき、最終の飼料又は飲料飼い葉桶には、好ましくは、約0.0005から0.02重量%(5〜200ppm)の濃度で、活性成分が含有されている。
【0071】
本発明に従った式(I)の化合物は、単独で又は他の殺生物剤と組み合わせて使用することができる。例えば、効果を増加させるために、これらは、作用の同じ方向を有する病虫害防除剤と組み合わせることができ又は活性の帯域を拡大するために、これらは、作用の異なった方向を有する物質と組み合わせることができる。また、所謂「忌避剤(repellents)」を添加することも有利である。活性の範囲を内部寄生虫、例えば蠕虫にまで広げたい場合、式(I)の化合物は、殺内部寄生虫特性を有する物質と有利に組み合わせられる。勿論、これらは、また、抗菌剤と組み合わせて使用することもできる。式(I)の化合物は「殺成虫剤」であるので、即ち、これらは標的寄生虫の成虫段階に対して特に有効であるので、寄生虫の幼虫段階に対して一層有効である病虫害防除剤を添加することが非常に有利である。それは、この方法に於いて、大規模の経済的損害をもたらすこれらの寄生虫の主部分が捕らえられ、耐性の形成の回避に一層顕著に寄与するであろうからである。幾つかの組合せは、また、相乗効果に至る。即ち、使用される活性物質の全量を減少させることができ、これは生態学的観点から望ましい。組合せ相手の好ましいグループ及び特に好ましい組合せ相手を、下記に挙げ、組合せ物には式(I)の化合物に加えて、このような相手の1種又は2種以上が含有されていてよい。
【0072】
作物保護で使用するための及び温血生物上の内部−及び外部寄生虫を駆除する際に使用するための適切な混合相手は、殺生物剤、例えば、下記に挙げる殺虫剤及び殺ダニ剤であり、当業者に十分に知られており、これらは異なった作用機構を有し、例えば、キチン合成阻害剤、成長調節剤;幼虫ホルモンと同じ方式で作用する活性成分;殺成虫剤として作用する活性成分;広帯域殺虫剤、広帯域殺ダニ剤及び殺線虫剤;並びに十分に知られている駆虫剤及び虫−及び/又はダニを撃退する物質、該忌避剤及び分離剤である。
【0073】
適切な殺虫剤及び殺ダニ剤の例は、アザメチホス(azamethiphos)、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、シペルメトリン(cypermethrin)、シペルメトリンハイ−シス、シロマジン(cyromazine)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、ジアジノン(diazinon)、ジクロルボス(dichlorvos)、ジクロトホス(dicrotophos)、ジシクラニル(dicyclanil)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、フルアズロン(fluazuron)、フラチオカルブ(furathiocarb)、イサゾホス(isazofos)、ジョドフェンホス(jodfenphos)、キノプレン(kinoprene)、ルフェヌロン(lufenuron)、メタクリホス(methacriphos)、メチダチオン(methidathion)、モノクロトホス(monocrotophos)、ホスファミドン(phosphamidon)、プロフェノホス(profenofos)、ジオフェノラン(diofenolan)、バチルス・チュリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)株GC91から又は株NCTC11821から得ることができる物質、ピメトロジン(pymetrozine)、ブロモプロピラート(bromopropylate)、メトプレン(methoprene)、ジスルフトン(disulfuton)、キナルホス(quinalphos)、τ−フルバリナート(tau−fluvarinate)、チオシクラム(thiocyclam)、チオメトン(thiometon)、アルジカルブ(aldicarb)、アジンホス−メチル(azinphos methyl)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、ビフェントリン(bifenthrin)、ブプロフェジン(buprofezin)、カルボフラン(carbofuran)、ジブチルアミノチオ(dibutylaminothio)、カルタプ(cartap)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、シフルトリン(cyfluthrin)、λ−シハロトリン(lambda−cyhalothrin)、α−シペルメトリン(alpha−cypermethrin)、ζ−シペルメトリン、デルタメトリン(deltamethrin)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、エンドスルファン(endosulfan)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、フェニトロチオン(fenitrothion)、フェノブカルブ(fenobucarb)、フェンバレラート(fenvalerate)、ホルモチオン(formothion)、メチオカルブ(methiocarb)、ヘプテノホス(heptenophos)、イミダクロプリド(imidacloprid)、イソプロカルブ(isoprocarb)、メタミドホス(methamidophos)、メトミル(methomyl)、メビンホス(mevinphos)、パラチオン(parathion)、パラチオン−メチル、ホサロン(phosalone)、ピリミカルブ(pirimicarb)、プロポクスル(propoxur)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、テルブホス(terbufos)、トリアザマート(triazamate)、フェノブカルブ、テブフェノジド(tebufenozide)、フィプロニル(fipronil)、β−シフルトリン、シラフルオフェン(silafluofen)、フェンピロキシマート(fenpyroximate)、ピリダベン(pyridaben)、フェナザキン(fenazaquin)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、ピリミジフェン(pyrimidifen)、ニテンピラム(nitenpyram)、アセタミプリド(acetamiprid)、アベルメクチンB(avermectin B)(アバメクチン(abamectin))、エマメクチン(emamectin)、エマメクチンベンゾアート、スピノサド(spinosad)、昆虫に対して活性である植物抽出物、昆虫に対して活性である線虫を含有する製剤、バチルス・スブチルス(Bacillus subtilis)から得ることができる製剤、昆虫に対して活性である真菌を含有する製剤、昆虫に対して活性であるウイルスを含有する製剤、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、アセファート(acephate)、アクリナトリン(acrinathrin)、アラニカルブ(alanycarb)、アルファメトリン(alphamethrin)、アミトラズ(amitraz)、Az60541、アジンホスA(azinphos A)、アジンホスM、アゾシクロチン(azocyclotin)、ベンジオカルブ(bendiocarb)、ベンスルタプ(bensultap)、β−シフルトリン(beta−cyfluthrin)、BPMC、ブロフェンプロクス(brofenprox)、ブロモホスA(bromophos A)、ブフェンカルブ(bufencarb)、ブトカルボキシン(butocarboxin)、ブチルピリダベン(butylpyridaben)、カデュサホス(cadusafos)、カルバリール(carbaryl)、カルボフェノチオン(carbophenothion)、クロエトカルブ(cloethocarb)、クロルエトキシホス(chlorethoxyfos)、クロルメホス(chlormephos)、シス−レスメトリン(cis−resmethrin)、クロシトリン(clocythrin)、クロフェンテジン(clofentezine)、シアノホス(cyanophos)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、シヘキサチン(cyhexatin)、デメトンM(demeton M)、デメトンS、デメトン−S−メチル、ジクロフェンチオン(dichlofenthion)、ジクリホス(dicliphos)、ジエチオン(diethion)、ジメトアート(dimethoate)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジオキサチオン(dioxathion)、エジフェンホス(edifenphos)、エスフェンバレラート(esfenvalerate)、エチオン(ethion)、エトフェンプロクス(ethofenprox)、エトプロホス(ethoprophos)、エトリムホス(etrimphos)、フェナミホス(fenamiphos)、フェンブタチンオキシド(fenbutatin oxide)、フェノチオカルブ(fenothiocarb)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フェンピラド(fenpyrad)、フェンチオン(fenthion)、フルアジナム(fluazinam)、フルシクロクスロン(flucycloxuron)、フルシトリナート(flucythrinate)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、フルフェンプロクス(flufenprox)、ホノホス(fonophos)、ホスチアザート(fosthiazate)、フブフェンプロクス(fubfenprox)、HCH、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、IKI−220、イプロベンホス(iprobenfos)、イソフェンホス(isofenphos)、イソキサチオン(isoxathion)、イベルメクチン(ivermectin)、マラチオン(malathion)、メカルバム(mecarbam)、メスルフェンホス(mesulfenphos)、メタルデヒド(metaldehyde)、メトルカルブ(metolcarb)、ミルベメクチン(milbemectin)、モクシデクチン(moxidectin)、ナレド(naled)、NC184、オメトアート(omethoate)、オキサミル(oxamyl)、オキシデメトンM(oxydemeton M)、オキシデプロホス(oxydeprofos)、ペルメトリン(permethrin)、フェントアート(phenthoate)、ホラート(phorate)、ホスメト(phosmet)、ホキシム(phoxim)、ピリミホスM(pirimiphos M)、ピリミホスE、プロメカルブ(promecarb)、プロパホス(propaphos)、プロチオホス(prothiofos)、プロトアート(prothoate)、ピラクロホス(pyrachlophos)、ピラダ−フェンチオン(pyrada−phenthion)、ピレスメトリン(pyresmethrin)、ピレトルム(pyrethrum)、テブフェノジド(tebufenozide)、サリチオン(salithion)、セブホス(sebufos)、スルホテプ(sulfotep)、スルプロホス(sulprofos)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、テブピリムホス(tebupirimphos)、テフルトリン(tefluthrin)、テメホス(temephos)、テルバム(terbam)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、チアクロプリド(thiacloprid)、チアフェノクス(thiafenox)、チアメトキサム(thiamethoxam)、チオジカルブ(thiodicarb)、チオファノクス(thiofanox)、チオナジン(thionazin)、ツリンギエンシン(thuringiensin)、トラロメトリン(tralomethrin)、トリアルテン(triarthene)、トリアゾホス(triazophos)、トリアズロン(triazuron)、トリクロルフォン(trichlorfon)、トリフルムロン(triflumuron)、トリメタカルブ(trimethacarb)、バミドチオン(vamidothion)、キシリルカルブ(xylylcarb)、YI5301/5302、ゼータメトリン(zetamethrin)、DPX−MP062−インドキサカルブ(indoxacarb)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、ビフェナザート(bifenazate)、XMC(3,5−キシリルメチルカルバマート)又は真菌病原体Metarhizium Anisopliaeである。挙げた混合相手は、当業者に非常によく知られている。殆どのものは、病虫害防除剤マニュアル(the Pesticide Manual)、英国作物保護会議(The British Crop Protection Council)、ロンドンの種々の版に記載されており、他方、他のものは、メルク・インデックス(The Merck Index)、メルク社(Merck & Co., Inc.)、米国ニュージャージー州ローウェー(Rahway)の種々の版又は特許文献に記載されている。
【0074】
この組成物に添加することができる適切な駆虫剤の例を、以下に記載する。多数のこれらの例は、駆虫活性に加えて、殺虫及び殺ダニ活性も有しており、それらの幾つかは上記のリストに既に挙げた。
【0075】
(A1)プラジカンテル(praziquantel)=2−シクロヘキシルカルボニル−4−オキソ−1,2,3,6,7,11b−ヘキサヒドロ−4H−ピラジノ[2,1−α]イソキノリン
(A2)クロサンテル(closantel)=3,5−ジヨード−N−[5−クロロ−2−メチル−4−(a−シアノ−4−クロロベンジル)フェニル]サリチルアミド
(A3)トリクラベンダゾール(triclabendazole)=5−クロロ−6−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−メチルチオ−1H−ベンズイミダゾール
(A4)レバミゾール(levamisol)=L−(−)−2,3,5,6−テトラヒドロ−6−フェニルイミダゾール[2,1b]チアゾール
(A5)メベンダゾール(mebendazole)=(5−ベンゾイル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)カルバミン酸メチルエステル
(A6)オムファロチン(omphalotin)=国際特許出願公開第97/20857号明細書に記載されている真菌オムファロツス・オレアリウス(Omphalotus olearius)の大環状発酵生成物
(A7)アバメクチン=アベルメクチンB1
(A8)イベルメクチン=22,23−ジヒドロアベルメクチンB1
(A9)モクシデクチン=5−O−デメチル−28−デオキシ−25−(1,3−ジメチル−1−ブテニル)−6,28−エポキシ−23−(メトキシイミノ)−ミルベマイシンB
(A10)ドラメクチン(doramectin)=25−シクロヘキシル−5−O−デメチル−25−デ(1−メチルプロピル)−アベルメクチンA1a
(A11)ミルベメクチン=ミルベマイシンA3及びミルベマイシンA4の混合物
(A12)ミルベマイシンオキシム=ミルベメクチンの5−オキシム
【0076】
適切な忌避物質(忌避剤及び分離剤)の例は、例えば、下記のものである。
(R1)DEET(N,N−ジエチル−m−トルアミド)
(R2)KBR3023 N−ブチル−2−オキシカルボニル−(2−ヒドロキシ)−ピペリジン
(R3)シミアゾル(cymiazol)=N,−2,3−ジヒドロ−3−メチル−1,3−チアゾール−2−イリデン−2,4−キシリジン。
【0077】
上記のことを考慮して、本発明の更なる実質的な面は、温血生物に於ける寄生虫の駆除のための組合せ製剤であって、それらに、式(I)の化合物に加えて、少なくとも1種の、同じ作用の方向又は異なる作用の方向を有する別の活性成分及び少なくとも1種の生理学的に許容される担体が含有されている組合せ製剤に関する。本発明は、2成分組合せ物に限定されない。
【0078】
本発明に従った組成物は、治療されている動物に、局所的、経口的、非経口的又は皮下的手段によって投薬することができ、組成物は、水剤、エマルジョン剤、懸濁剤(ドレンチ剤)、散剤、錠剤、大型丸剤、カプセル剤及びポア・オン配合物の形で存在する。
【0079】
ポア・オン方法又はスポット・オン(spot−on)方法には、式(I)の化合物を、動物の皮膚又は毛皮の特定の場所に、有利には動物の首又は背骨の後ろに適用することが含まれる。これは、例えば、ポア・オン配合物又はスポット・オン配合物のスワブ又はスプレーを、毛皮の比較的小さい面積に適用することによって行われ、その場所から、活性成分が、動物の動きによって助けられた配合物の展開成分の働きにより、毛皮の広い面積に亘って殆ど自動的に分散される。
【0080】
ポア・オン配合物及びスポット・オン配合物には、有利には、宿主動物の皮膚の表面の上への又は毛皮の中への迅速な分散を促進し、一般的に展開油と呼ばれる担体が含有されている。例えば、油性溶液;2−オクチルドデカノール又はオレイルアルコールの溶液のようなアルコール性及びイソプロパノール性溶液;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸オキサリックエステル(lauric acid oxalic エステル)、オレイン酸オレイルエステル、オレイン酸デシルエステル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、鎖長C12〜C18の飽和脂肪アルコールのカプリン酸エステルのようなモノカルボン酸のエステル中の溶液;フタル酸ジブチル、イソフタル酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピルエステル、アジピン酸ジ−n−ブチルのようなジカルボン酸のエステルの溶液又は脂肪族酸のエステル、例えばグリコールの溶液が適している。薬物又は化粧品工業から公知である分散剤がまた、存在することが有利である。例は、2−ピロリドン、2−(N−アルキル)ピロリドン、アセトン、ポリエチレングリコール並びにそのエーテル及びエステル、プロピレングリコール又は合成トリグリセリドである。
【0081】
油性溶液には、例えば、オリーブ油、ピーナッツ油、ごま油、松根油、亜麻仁油又はひまし油のような植物油が含まれる。植物油は、また、エポキシ化された形で存在していてもよい。パラフィン及びシリコーンオイルを使用することも可能である。
【0082】
一般に、ポア・オン配合物又はスポット・オン配合物には、1から20重量%の式(I)の化合物、0.1から50重量%の分散剤及び45から98.9重量%の溶媒が含有されている。
【0083】
ポア・オン方法又はスポット・オン方法は、全ての動物を経口で又は注射により治療することが困難であるか又は時間が掛かる、ウシ、ウマ、ヒツジ又はブタのような群れ動物のために、特に有利に使用することができる。その簡単さのために、この方法は、勿論、個々の家畜又はペットを含む全ての他の動物のために使用することができ、それは獣医の専門的支援がなくても、しばしば実施することができるので、動物の飼育者によって非常に好まれる。
【0084】
商業的製品は、好ましくは濃縮物として配合されるけれども、最終ユーザーは通常希薄配合物を使用する。
【0085】
このような組成物には、また、安定剤、消泡剤、粘度調節剤、結合剤又は粘着付与剤のような他の成分並びに特別の効果を得るための他の活性成分が含有されていてよい。
【0086】
本発明は、また、最終ユーザーによって使用される、このような駆虫組成物に関する。
【0087】
害虫を駆除するための本発明に従った方法のそれぞれに於いて、又は本発明に従った病虫害防除組成物のそれぞれに於いて、式(I)の活性成分は、いずれの空間立体配置でも又は混合物でも、使用することができる。
【0088】
本発明には、また、温血生物、特に生産的家畜、家畜及びペットを、寄生蠕虫に対して予防的に保護する方法であって、これらの動物に、式(I)の活性成分又はそれから製造された活性成分配合物を、飼料若しくは飲料飼い葉桶への添加物として又は固体若しくは液体形で、経口で、注射により又は非経口で投薬することを含む方法が包含される。本発明には、また、前記の方法の一つで使用するための、本発明に従った式(I)の化合物が包含される。
【0089】
下記の実施例は、単に、本発明を限定することなく、本発明を例示するためのものである。表現「活性成分」は、表に列挙した物質の1種を示す。
【0090】
温血生物上の寄生虫の駆除で使用するための好ましい配合物は、下記の組成を有する。(%=重量パーセント)
1.顆粒 a) b)
表1又は2からの活性成分 5% 10%
カオリン 94% −
高分散ケイ酸 1% −
アタパルジャイト − 90%
活性成分を、塩化メチレン中に溶解させ、担体上にスプレーし、次いで溶媒を真空中で蒸発除去する。このような顆粒は、動物飼料の中に混合することができる。
【0091】
2.顆粒
表1又は2からの活性成分 3%
ポリエチレングリコール(MW200) 3%
カオリン 94%
(MW=分子量)
微細に粉砕した活性成分を、混合機内で、ポリエチレングリコールで湿らせたカオリンに均一に適用する。この方法で、ダストの無い被覆された顆粒が得られる。
【0092】
3.錠剤及び大型丸剤
I 表1又は2からの活性成分 33.00%
メチルセルロース 0.80%
高分散ケイ酸 0.80%
トウモロコシデンプン 8.40%
II 結晶性ラクトース 22.50%
トウモロコシデンプン 17.00%
微結晶セルロース 16.50%
ステアリン酸マグネシウム 1.00%
【0093】
I メチルセルロースを、水の中に攪拌する。物質が膨潤させた後、ケイ酸を中に攪拌し、この混合物を均一に懸濁させる。活性成分及びトウモロコシデンプンを混合する。この水性懸濁液を、得られた混合物の中に含有させ、ドウにまで混練する。これによって得られた塊を、12M篩に通して粒状化し、乾燥させる。
【0094】
II 4種の賦形剤の全部を十分に混合する。
【0095】
III I及びIIに従って得られた予備混合物を混合し、錠剤又は大型丸剤に圧縮する。
【0096】
4.注射可能配合物
A.油性ビヒクル(ゆっくりした放出)
1.表1又は2からの活性成分 0.1〜1.0g
ピーナッツ油 添加して100mLに
2.表1又は2からの活性成分 0.1〜1.0g
ごま油 添加して100mLに
製剤:活性成分を、攪拌しながら、場合によりゆっくり加熱して、油の一部に溶解し、そして冷却後に、この溶液を所望の体積にし、そして適切な0.22ミクロンの膜フィルターに通して滅菌濾過する。
【0097】
B.水混和性溶媒(中度の放出速度)
表1又は2からの活性成分 0.1〜1.0g
4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン
(グリセロールホルマール) 40g
1,2−プロパンジオール 添加して100mLに
表1からの活性成分 0.1〜1.0g
グリセロールジメチルケタール 40g
1,2−プロパンジオール 添加して100mLに
製剤:活性成分を、攪拌しながら、溶媒の一部に溶解し、この溶液を所望の体積にし、そして適切な0.22ミクロン膜フィルターに通して滅菌濾過する。
【0098】
C.水性可溶化物(速い放出)
1.表1又は2からの活性成分 0.1〜1.0g
ポリエトキシル化ひまし油
(40エチレンオキシド単位) 10g
1,2−プロパンジオール 20g
ベンジルアルコール 1g
水 添加注入 添加して100mLに
2.表1又は2からの活性成分 0.1〜1.0g
ポリエトキシル化ソルビタンモノオレアート
(20エチレンオキシド単位) 8g
4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン
(グリセロールホルマール) 20g
ベンジルアルコール 1g
水 添加注入 添加して100mLに
製剤:活性成分を、溶媒及び界面活性剤中に溶解し、この溶液を水で所望の体積にする。次いで、0.22ミクロンの細孔直径を有する適切な膜フィルターに通して滅菌濾過を実施する。
【0099】
5.ポア・オン型
A.
表1又は2からの活性成分 5g
ミリスチン酸イソプロピル 10g
イソプロパノール 添加して100mLに
B.
表1又は2からの活性成分 2g
ラウリン酸ヘキシル 5g
中間鎖長トリグリセリド 15g
エタノール 添加して100mLに
C.
表1又は2からの活性成分 2g
オレイン酸オレイル 5g
N−メチルピロリドン 40g
イソプロパノール 添加して100mLに
この水性系は、好ましくは、経口及び/又は前胃内適用のために使用することができる。
【0100】
この組成物には、また、安定剤、例えば、植物油及びエポキシ化植物油(エポキシ化したヤシ油、セイヨウアブラナ油又は大豆油)、消泡剤、例えば、シリコーンオイル、保存剤、粘度調節剤、結合剤、粘着付与剤及び肥料のような他の成分並びに特別の効果を得るための他の活性成分が含有されていてよい。
【0101】
式(I)の化合物に対して中性挙動を有し、治療すべき宿主動物に有害な影響を有しない別の生物学的活性物質又は添加物並びにミネラル塩又はビタミンを、上記の組成物に添加することも可能である。
【0102】
本発明に従った組成物は、公知の方法で、添加剤の不存在下で、固体活性成分若しくは活性成分の混合物を、例えば特定粒子サイズにまで、例えば、粉砕、篩い分け及び/若しくは圧縮することによって又は少なくとも1種の添加剤の存在下で、活性成分若しくは活性成分と添加剤(群)との混合物を緊密に混合及び/若しくは粉砕することによって製造される。本発明は、また、本発明に従った組成物の製造方法及びこれらの組成物の製造に於ける、式(I)の化合物の使用に関する。
【0103】
本発明は、また、この組成物の適用方法、即ち、意図する目的及び普及状況に従って選択される、スプレー、霧化、散布、被覆、ドレッシング(dressing)、散乱又は注液のような、前記の種類の害虫の駆除方法並びに前記の種類の害虫を駆除するための組成物の使用に関する。典型的な濃度比率は、0.1から1000ppm、好ましくは0.1から500ppmの活性成分である。1ヘクタール当たりの適用比率は、一般的に、1ヘクタール当たり1から2000g、特に10から1000g/ha、好ましくは20から600g/haの活性成分である。
【0104】
作物保護の領域に於ける好ましい適用方法は、植物の葉への適用(葉面適用)であり、適用回数及び適用比率は、問題にしている害虫による群がりの危険に依存する。しかしながら、活性成分は、また、植物の場所に液体配合物が染み込む場合又は活性成分が、植物の場所の中に、例えば土壌の中に、固体形で、例えば顆粒形で含められる場合(土壌適用)、根を通して植物に浸透させることができる(浸透作用)。水田稲作物に於いて、このような顆粒を、計量された量で、水が張られた稲田に適用することができる。
【0105】
本発明に従った組成物は、また、遺伝子的に修飾された繁殖物質を含む植物繁殖物質、例えば、果実、塊茎若しくは穀粒を含む種子物質又は植物切り穂を、動物害虫から保護するためにも適している。繁殖物質は、植え付けの前に配合物で処理することができ、例えば、種子を、蒔く前にドレッシングすることができる。本発明に従った化合物は、また、穀粒に液体配合物を染み込ませるか又は穀粒を固体配合物で被覆することによって、穀粒に適用することができる(被覆)。この配合物は、また、繁殖物質を植え付けるとき、植え付け場所に、例えば、種を蒔く間に種畝間に適用することができる。本発明は、また、植物繁殖物質の処理方法及びこのようにして処理された植物繁殖物質に関する。
【実施例】
【0106】
下記の実施例は、本発明を例示するために機能する。これらは本発明を限定しない。記号「h」は、「時間」を表す。
【0107】
(製造実施例)
N−(1−シアノ−1−[2,3−ジクロロフェノキシメチル]エチル)−C−フェニルメタンスルホンアミドの製造
a)5gの2,3−ジクロロフェノール、4gの2−クロロアセトン、4.7gの無水炭酸カリウム及び450mgのヨウ化カリウムの混合物を、50mLのアセトン中で6時間還流させ、次いで、室温に冷却し、そして濾過する。濾液を蒸発させる。この方法で、1−(2,3−ジクロロフェノキシ)アセトンが得られる。
【0108】
b)6.5gの1−(2,3−ジクロロフェノキシ)アセトン、1.76gのシアン化ナトリウム及び2.4gの塩化アンモニウムを、30mLの25%アンモニアの溶液に添加し、この混合物を室温で24時間攪拌する。次いで、この粗製生成物を、酢酸エチルを使用して混合物から抽出し、有機相を分離除去し、水及び飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムを使用して乾燥させ、そして蒸発させる。こうして、2−アミノ−3−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−メチルプロピオニトリルが得られる。
【0109】
c)5.2gのα−トルエンスルホニルクロリドを、50mLの塩化メチレン中の、6.6gの2−アミノ−3−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−メチルプロピオニトリル及び4.86gのエチルジイソプロピルアミンの混合物に添加し、この混合物を室温で24時間攪拌する。次いで、粗製生成物を、酢酸エチルでこの混合物から抽出し、そして有機相を分離し、重炭酸ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムを使用して乾燥させ、そして蒸発させる。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(2:1)を使用するシリカゲル上での高圧カラムクロマトグラフィーによって精製する。このようにして、標題化合物を得る。
【0110】
下記の表に記載した物質も、上記の手順と同様にして製造することができる。融点の値は℃で示す。
【0111】
【表1】



















【0112】
(生物学的実施例)
A.動物寄生虫の駆除
(実施例B.1)
経口投薬での、スナネズミ(Meriones unguiculatus)に於けるコルブリフォルミス毛様線虫(Trichostrongylus colubriformis)及び捻転毛様線虫(Haemonchus contortus)に対するインビボ試験
6から8週齢のスナネズミを、コルブリフォルミス毛様線虫及び捻転毛様線虫のそれぞれの約2000個の第三齢の幼虫を含有する人工給餌によって感染させる。感染後6日に、スナネズミにNOによって軽く麻酔をかけ、100、32及び10−0.1mg/kgの量を使用して、2部のDMSO及び1部のポリエチレングリコール(PEG300)の混合物中に溶解させた試験化合物で経口投薬することによって治療する。9日(治療後3日)に、後第四齢の捻転毛様線虫幼虫の大部分及びコルブリフォルミス毛様線虫の大部分は未熟成虫であり、蠕虫をカウントするためにスナネズミを殺す。効能は、8匹の感染させそして治療しないスナネズミの蠕虫の数の幾何平均と比較することによる、それぞれのスナネズミに於ける蠕虫の数の減少%として計算する。
【0113】
この試験で、線虫攻撃の強い減少が、式(I)の化合物で達成される。
【0114】
B.植物害虫の駆除
(実施例B.2)
ヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)毛虫に対する作用
若い大豆植物に、400ppmの活性成分を含有する水性エマルジョンスプレー混合物をスプレーし、スプレー被膜が乾燥した後、10匹の第一齢のヘリオチス・ビレセンスの毛虫を住まわせ、次いでプラスチック容器内に入れる。評価は6日後に行う。毛虫の数及び食べた被害に於ける減少パーセント(活性%)を、処理した植物での死んだ毛虫の数及び食べた被害を、処理しなかった植物でのものと比較することによって決定する。
【0115】
表の化合物は、この試験で、ヘリオチス・ビレセンスに対して良好な活性を示す。
【0116】
(実施例B.3)
プルテラ・キシロステラ(Plutella xylostella)毛虫に対する作用
若いキャベツ植物に、400ppmの活性成分を含有する水性エマルジョンスプレー混合物をスプレーし、スプレー被膜が乾燥した後、10匹の第三齢のプルテラ・キシロステラの毛虫を住まわせ、次いでプラスチック容器内に入れる。評価は3日後に行う。毛虫の数及び食べた被害に於ける減少パーセント(活性%)を、処理した植物での死んだ毛虫の数及び食べた被害を、処理しなかった植物でのものと比較することによって決定する。
【0117】
表の化合物は、この試験で、プルテラ・キシロステラに対して良好な活性を示す。
【0118】
(実施例B.4)
ジアブロチカ・バルテータ(Diabrotica balteata)幼虫に対する作用
トウモロコシ苗木に、400ppmの活性成分を含有する水性エマルジョンスプレー混合物をスプレーし、スプレー被膜が乾燥した後、10匹の第二齢のジアブロチカ・バルテータの幼虫を住まわせ、次いでプラスチック容器内に入れる。評価は6日後に行う。幼虫の数に於ける減少パーセント(活性%)を、処理した植物での死んだ幼虫の数を、処理しなかった植物でのものと比較することによって決定する。
【0119】
表の化合物は、この試験で、ジアブロチカ・バルテータに対して良好な活性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非人体環境における寄生虫の駆除のための、式:

[式中、Rは置換されていないかまたはハロゲンおよびハロ−C−Cアルキルから成る群より選択される1または2の同一または異なった置換基で置換されているフェニルであり、
はC−Cアルキル;ベンジル;ハロゲン、ニトロ、C−Cアルキル、ハロ−C−Cアルキル、C−Cアルコキシおよびハロ−C−Cアルコキシから成る群より選択される1ないし3の置換基で置換されているフェニル;またはナフチルである]の化合物、または、適切な場合に、それぞれの場合に遊離または塩の形態であるそれらのE/Z異性体、E/Z異性体および/または互変異性体の混合物の使用。
【請求項2】
有効量の、少なくとも1種の請求項1に記載の式(I)の化合物を、非人体環境において寄生虫に対して使用することを特徴とする、寄生虫の駆除方法。
【請求項3】
非ヒト温血動物における寄生虫の駆除方法に於ける、請求項1に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項4】
温血動物に於ける寄生虫に対する薬物組成物の製造のための、請求項1に記載の式(I)の化合物の使用。

【公開番号】特開2009−7372(P2009−7372A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188185(P2008−188185)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【分割の表示】特願2004−514794(P2004−514794)の分割
【原出願日】平成15年6月18日(2003.6.18)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】