説明

痔核治療用成分

本発明は一般に痔核治療用成分に向けた物である。より正確には消毒薬で且つ殺菌剤であるゲンチアナバイオレット(メチロザニリン)と石油系グリース、別名ペトロラタム或いは鉱物性グリース混合物含有痔核治療用成分に関する。他の実施形態ではその成分は適当な座薬基剤を用いて座薬を調剤する。この成分は腫脹痔核、特に出血痔核の緩和と治癒に効果をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は痔核治療に特に有用な成分に関する。より正確には本発明は消毒薬で且つ殺菌剤であるゲンチアナバイオレット(メチロザニリン)と石油系グリース、別名ペトロラタム或いは鉱物性グリース軟膏混合物含有痔核治療用成分に関する。その成分は更に座薬カプセルを含む。この成分は腫脹痔核、特に出血痔核の緩和と治癒に効果をもたらす。
【背景技術】
【0002】
痔核は直腸の腫脹血管である。痔核には内部と外部の2つの基本形がある。内痔核は直腸遠隔上部での腫脹炎症した静脈である。内痔核は見えず又感じなく通常直腸上部で神経末端がないため一般に痛くない。内痔核はもっとも一般には肛門出血により明らかになるが、肛門括約筋外へ逸脱するか突出することがある。通常逸脱内痔核は穏やかに押し戻すことで直腸に戻すことが出来る。
【0003】
外痔核は肛門内での腫脹血管で通常痛みと出血により解る。外痔核が肛門括約筋から逸脱するか突き出すと、時々凝血し血栓症として知られる激痛状態を引き起こす。通常血栓化痔核はそれ自身1週間以内に消滅するが、医師により除くか鎮痛投薬により痛みの緩和処置を行う。
痔核は直腸静脈への腹圧作用により起こり静脈を腫脹し刺激すると考えられている。腹圧は種々の要因と条件で起こり肥満、妊娠、長時間の立位や座位、肝疾患、便通時の膨張、咳、くしゃみ、嘔吐或いは肉体運動時の呼吸抑制を含む。痔核は大抵は高繊維ダイエットの採用で防止出来る。一方ダイエットの大部分が低繊維加工食品からなる人は痔核発生の危険性が一番高くなり易い。さらに液体摂取が不十分になると直腸静脈を刺激し炎症を起こさせる堅い便が生成し痔核発生に寄与する。
【0004】
米国在住の人の約半分はその生涯のある時期に痔核に悩まされる。痔核はもっとも多くの場合20乃至50歳間の人を襲う。いくつかの証拠は痔核発生にもっともかかりやすい“弱い”静脈は遺伝によることを示唆する。
【本発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明は痔核、特に外痔核治療用成分からなる。この成分は容易に塗布でき痔核関連の炎症や断裂組織を含む痔核の痛み緩和と共に治癒を促進する。好ましい実施形態では成分は非処方濃度で1%ゲンチアナバイオレット(メチロザニリン)と石油系グリース、別名ペトロラタム或いは鉱物性グリースとをよく混ぜた軟膏混合物を含む。メチロザニリンは有効な消毒薬且つ殺菌剤であり感染を防止し又反撃し痛みを和らげる。潤滑剤はメチロザニリンの腫脹痔核組織への効果的な運搬媒体となる。典型的実施形態では成分は潤滑剤茶さじ一杯当たり液体メチルロザニリン消毒剤/殺菌剤約7滴を含む。この消毒剤/殺菌剤はミネソタ州、ミネアポリス市のアポセカリープロダクト社(Apothecary Products, Inc.)製の先端が真っ直ぐか又は曲がったガラス製医用スポイトであるイージーケアー(R)(EZY CARE(R))の様な医用スポイトで調剤出来る。イージーケアー医用スポイトの容積は液体1ml或いは約30−35滴である。従って好ましい実施形態では成分混合物は潤滑剤茶さじ一杯当たり少なくとも約0.2ml乃至約0.3mlのメチルロザニリンを有する。しかし他の医用スポイトを用いてこの液滴を潤滑剤と調剤しても良い。メチルロザニリンを潤滑剤に加えた後、2成分が実質的にメチルロザニリンの均一な紫色になるまで十分に混合する。調剤後この成分を典型的には以後の塗布用に6オンスの蓋付きプラスチック塗布チューブに入れる。
【0006】
他の実施形態では成分は適当な座薬媒体か基剤を用いて座薬カプセルの形で調合する。ココアバターと絶対的条件ではないがポリエチレングリコールを含む代替え座薬基剤が使用できるが、好ましい座薬基剤はグリセリン化ゼラチンである。活性成分の殺菌剤/消毒剤ゲチアンバイオレット(メチルロザニリン)を座薬基剤茶さじ一杯当たり典型的には少なくとも1%非処方濃度のゲチアンバイオレット(メチルロザニリン)約0.2乃至約0.3mlの量を座薬基剤に加える。メチルロザニリンは例えばミネソタ州、ミネアポリス市のアポセカリプロダクト社製の先端が真っ直ぐか曲がったイージーケアーガラス医用スポイトで調剤出来る。メチルロザニリンの治療量は座薬基剤茶さじ一杯当たり典型的には少なくともメチルロザニリン約7滴に等しい。メチルロザニリンは座薬基剤とよく混ぜ実質的に均一な座薬混合物を得る。茶さじ一杯の座薬混合物で座薬の肛門挿入用に先端を先細りした典型的には直径約0.25インチ長さ1.5インチの大きさのカプセル2個作るか形にする事が出来る。この場合各座薬カプセルは典型的には少なくともメチルロザニリン約2−4滴を含む。しかし座薬混合物はいかなる適当な大きさと形状を持つ座薬カプセルの形に出来ると考えられる。
【0007】
軟膏成分の腫脹痔核組織塗布の可能な一方法は典型的には6オンス蓋付きプラスチックチューブでこの成分を調合する事である。なめらかな丸い塗布先端を有する置換型塗布キャップを肛門付近の痔核に成分を塗布するための蓋付きチューブに取り付ける事が出来る。好ましくは塗布先端は長さ3/4インチで6オンスチューブ上端及び塗布先端ベースは直径1/4インチである。塗布先端は1/4インチベースから1/8インチ先端へと先細りする。塗布開口は成分をこの先端から腫脹痔核組織に分配するため塗布先端の横側に備わっている。
【0008】
ここに記載したチューブと塗布器は成分の保存と塗布の一例を表すに過ぎないと考えられる。従ってこの成分は以後の塗布に適したいかなる形の容器に保存でき、かつ前述の塗布器キャップを通じて又他の形の塗布器或いはこの目的に適合する他の器具で塗布しても良い。成分は又腫脹場所に手で塗布しても良い。更に逸脱痔核に苦しむ患者は自身の指にこの成分混合物を塗り塗布した指を使って逸脱痔核組織を穏やかに肛門官に押し戻してもよい。成分混合物は痔核痛を減少し腫脹痔核組織治癒を促進する。
本発明は以下の実施例を考察することでよりよく理解できる。
【実施例1】
【0009】
成分混合物をイージーケアー医用スポイトを用いて非処方濃度ゲチアンバイオレット(メチルロザニリン)殺菌剤/消毒剤7滴を茶さじ一杯の石油系グリースに滴下し生成成分混合物が実質的にメチルロザニリンの均一な紫色になるまでメチルロザニリンを石油系グリースと完全に混合して調製した。成分混合物は腫脹痔核組織への以後の成分塗布のため塗布キャップを有する6オンス蓋付きチューブに入れた。
【実施例2】
【0010】
実施例1により調製した成分混合物をチューブの塗布キャップを用いて患者の腫脹痔核組織に塗布した。組成混合物を痛みが和らぐまで必要なだけ何回も塗布した。組成混合物は痔核関連の痛みをかなり減じ腫脹痔核組織の治癒を促進した。
【実施例3】
【0011】
腫脹痔核に悩む患者は自身の指を用いて実施例1により調製した成分混合物を患者の腫脹痔核組織に塗布した。組成混合物を痛みが和らぐまで必要なだけ何回も塗布した。組成混合物は痔核関連の痛みをかなり減じ腫脹痔核組織の治癒を促進した。
【実施例4】
【0012】
腫脹痔核に悩む患者は上記の実施例1により調剤した成分混合物で自身の指をぬらした。患者はぬれた指で逸脱痔核を患者の肛門官に穏やかに押し返した。この成分は痔核関連の痛みをかなり和らげ腫脹痔核組織治癒を促進した。
【実施例5】
【0013】
イージーケアー医用スポイトを用いて非処方濃度ゲチアンバイオレット(メチルロザニリン)殺菌剤/消毒剤7滴を茶さじ一杯のグリセリン化ゼラチンに滴下し生成座薬混合物が実質的に均一なるまでメチルロザニリンをグリセリン化ゼラチンと完全に混合して座薬カプセルを調整した。座薬混合物は腫脹痔核組織治療の為に以後の肛門挿入用に座薬カプセル2個の形とした。
【実施例6】
【0014】
実施例5により調製した座薬カプセルを患者の腫脹痔核組織に挿入する事で塗布した。座薬カプセルは傷みが解放されるまで必要なだけ何回も塗布した。座薬カプセルはかなり痔核関連の痛みを減少し腫脹痔核組織治癒を促進した。
【0015】
本発明の好ましい実施形態は上記のごとく記載したが、種々の修正は可能で付記請求項は本発明の精神と範囲内に入る修正は全て包含すると認識し理解する。上記のごとく本発明を詳細に記載したが以下項目を請求する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定量の潤滑剤と一定量のメチルロザニリンをこの量の潤滑剤とを混合することで定義する成分混合物からなる痔核治療用成分。
【請求項2】
この潤滑剤が石油系グリースからなる請求項1の成分。
【請求項3】
このメチルロザニリンとこの潤滑剤が潤滑剤茶さじ一杯当たり少なくともメチルロザニリン約0.2mlから約0.3mlの割合の成分混合物中に存在する請求項1の成分。
【請求項4】
この潤滑剤が石油系グリースからなる請求項3の成分。
【請求項5】
一定量のメチルロザニリンと一定量の潤滑剤を混合することにより調製した痔核治療用成分。
【請求項6】
この潤滑剤が石油系グリースからなる請求項5の成分。
【請求項7】
このメチルロザニリンとこの潤滑剤が潤滑剤茶さじ一杯当たり少なくともメチルロザニリン約0.2mlから約0.3mlの割合の成分混合物中に存在する請求項5の成分。
【請求項8】
この潤滑剤が石油系グリースからなる請求項7の成分。
【請求項9】
一定量の潤滑剤を用いて一定量のメチルロザニリンをこの量の潤滑剤に添加しこのメチルロザニリンとこの潤滑剤を混ぜて成分混合物を定義することからなる痔核治療用成分の作成法。
【請求項10】
この潤滑剤が石油系グリースからなる請求項9の方法。
【請求項11】
このメチルロザニリンが潤滑剤茶さじ一杯当たり少なくともメチルロザニリン約0.2mlから約0.3mlの割合の成分混合物中に存在する請求項9の方法。
【請求項12】
この潤滑剤が石油系グリースからなる請求項11の方法。
【請求項13】
薬事承認の座薬基剤とこの座薬基剤と混合する治療量のメチルロザニリンからなる座薬カプセル。
【請求項14】
この座薬基剤がグリセリン化ゼラチンからなる請求項13の座薬カプセル。
【請求項15】
このメチルロザニリンが座薬基剤茶さじ一杯当たり少なくともメチルロザニリン約0.2mlから約0.3mlの割合で座薬基剤中に存在する請求項13の座薬カプセル。
【請求項16】
この座薬基剤がグリセリン化ゼラチンからなる請求項15の座薬カプセル。
【請求項17】
薬事承認の座薬基剤と治療量のメチルロザニリンとを混合する座薬混合物の調製とこの座薬混合物を形作る事により座薬カプセルを定義する事からなるプロセスにより調製する座薬カプセル。
【請求項18】
この座薬基剤がグリセリン化ゼラチンからなる請求項17の座薬カプセル。
【請求項19】
このメチルロザニリンが座薬基剤茶さじ一杯当たり少なくともメチルロザニリン約0.2mlから約0.3mlの割合で座薬基剤中に存在する請求項17の座薬カプセル。
【請求項20】
この座薬基剤がグリセリン化ゼラチンからなる請求項19の座薬カプセル。
【請求項21】
薬事承認の座薬基剤とこの座薬基剤と治療量のメチルロザニリンとの混合で調整した座薬混合物でこの座薬混合物が座薬カプセルを定義する様に形作る事からなる痔核治療用座薬カプセル。
【請求項22】
この座薬基剤がグリセリン化ゼラチンからなる請求項21の座薬カプセル。
【請求項23】
このメチルロザニリンが座薬基剤さじ一杯当たり少なくともメチルロザニリン約0.2mlから約0.3mlの割合で座薬基剤中に存在する請求項21の座薬カプセル。
【請求項24】
この座薬基剤がグリセリン化ゼラチンからなる請求項23の座薬カプセル。


【公表番号】特表2006−504797(P2006−504797A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501048(P2005−501048)
【出願日】平成15年7月22日(2003.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2003/022816
【国際公開番号】WO2004/032944
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(505087872)
【Fターム(参考)】