説明

癌および癌に関連する骨損失の予防または治療のための組成物および方法

【課題】癌に関連する骨損失の予防および/または治療のための組成物および方法の提供。
【解決手段】特定の配列で示されるOPG(オステオプリテゲリン)ポリペプチドを含む、骨への癌転移予防剤。好ましくは、OPGポリペプチドがOPG融合ポリペプチドである。かかる予防剤は、放射線療法、化学療法、抗体または非抗体ポリペプチドからなる群から選択される、他の癌治療薬と組み合わせて使用することができる。該癌治療薬としては、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)拮抗薬が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌に関連する骨損失の予防および/または治療のための組成物および方法に関する。詳細には本発明は、OPGを含む組成物ならびにその組成物を含む骨損失の予防および/または治療方法に関するものである。本発明はまた、多発性骨髄腫の治療のためのOPG組成物の使用に関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
多くの癌が、腫瘍増殖の原発部位から遠く離れた組織および臓器で生じ得る。転移癌と呼ばれるそのような癌は、多くの場合致死的な広範な合併症を引き起こす場合がある。骨格は、固形腫瘍が広がる一般的な部位であり、それより頻度が高いのは肝臓および肺のみである。癌細胞が侵襲することで、骨吸収を促進する骨における主要な細胞である破骨細胞が過度に活性化され、加速度的に骨を破壊する。破骨細胞は、いずれも骨の微小環境で増えて腫瘍細胞によっても産生される副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)およびインターロイキン−1(IL−1)などの物質によって活性化される。骨癌患者は、破骨細胞の活動亢進の結果として細胞溶解性骨病変を生じる場合が非常に多い。その状態は、骨溶解性骨転移と称される。骨溶解は、病的骨折、脊髄陥凹、高カルシウム血事象および骨痛を生じる場合があり、死亡および罹患の主要な原因となっている。別の形態では、前立腺癌骨転移の場合のように、破骨細胞骨破壊の増加に、増加しているが無秩序な骨形成が伴う(Kylmaelae et al., Brit. J. Cancer 71, 1061-1064 (1995))。最初の骨が除かれ、線維性の非構造的な骨に代わることで、骨の構造的完全性が失われる。それはまた、骨痛および他の罹患をも生じ得る。
【0003】
さらに破骨細胞活性は、癌細胞が骨に転移してその環境で成長する性向を高める可能性がある。破骨細胞は、多発性骨髄腫細胞などの一部の血液腫瘍細胞における成長因子であるIL−6などのサイトカイン類を放出することが明らかになっている(O’Keefe et al., Lab. Invest. 76, 457-465 (1997))。さらに破骨細胞は、骨吸収時に骨基質から成長因子を放出することが明らかになっている。それには、多くの固形腫瘍の成長を促進することが知られている線維芽細胞成長因子および形質転換成長因子βなどがある。そのようにして破骨活動によって、骨内の転移播種の良好な環境が整うものと考えられ、腫瘍細胞が成長し骨吸収を促進し始めると、骨からの成長因子を引き起こして腫瘍の拡大を促進すると考えられる。
【0004】
現在利用可能な癌療法薬は、腫瘍増殖を低下させたり阻害することができるが、基礎となる溶解性骨疾患に対してはほとんど効果がない。一部の化学療法薬投与法は実際には、多発性骨髄腫およびホジキン病などの血液癌に関連する骨損失に寄与することが報告されており、性腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体作働薬の場合がある。さらに、癌が骨に広がると、現在の治療法を用いて治療することはより困難になる。従って、骨転移の発生を予防でき、骨転移を治療して早期に骨損失を予防できることが望ましい。
【0005】
骨抗吸収薬は、破骨細胞の数および/または活性を阻害し、骨が破壊される速度を低下させる。抗吸収化合物であるリセドロネート(risedronate)、イバンドロネート(ibandronate)およびパミドロネート(pamidronate)などのビスホスホネート類が、マウス腫瘍モデルにおいて、さらには乳癌および多発性骨髄腫ならびに他の腫瘍骨転移を患う患者において、骨格事象(例:病的骨折、脊髄陥凹、骨の放射線照射または骨の手術)の重度を低下し得ることが報告されている。さらにビスホスホネート類は、前立腺癌骨転移において骨痛および他の骨格事象を軽減することが報告されている。しかしながらビスホスホネート類は効力が限られていることが報告されており、注入によって高用量で投与した場合であってもごくわずかに軽減できるだけである。経口投与した場合、ビスホスホネートの効力は低下し、消化管刺激(例:胸焼け、消化不良および吐き気)を引き起こしたり、場合によっては適切に投与されないと食道潰瘍を引き起こす場合がある。
【0006】
オステオプロテゲリン(osteoprotegerin)(OPG)がPCT公開WO97/23614に記載されており、in vitroおよびin vivoで破骨細胞形成を低下させることが認められている。OPGは、OPGポリペプチドを発現するトランスジェニックマウスにおける骨密度を大幅に上昇させ、卵巣摘出ラットに投与した場合に骨損失程度を低下させた。in vitroでの破骨細胞形成におけるOPG活性の分析から、OPGが単核球/マクロファージ前駆体からの破骨細胞の分化を遮断することが明らかになった。OPGは、破骨細胞形成の程度を調節する上で特異性を有するように思われる。OPGは骨吸収の遮断において強力な因子であり、骨量損失の予防および治療において用いることができる。破骨細胞形成阻害および骨損失遮断のin vitroおよびin vivoでの活性も、OPGおよびFcドメインを有する融合蛋白で認められた。
【0007】
従って本発明の目的は、現行の治療法に関連する問題の多くを克服する、癌に関連する骨損失の治療のための代替の方法および組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、骨転移の発生率を低下させたり、骨転移の発症を遅らせる予防処置によって、癌に関連する骨損失を予防するための代替の方法および組成物を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、多発性骨髄腫の予防および/または治療のための代替の方法および組成物を提供することにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第97/23614号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Kylmaelae et al., Brit. J. Cancer 71, 1061-1064 (1995)
【非特許文献2】O’Keefe et al., Lab. Invest. 76, 457-465 (1997)
【発明の概要】
【0012】
本発明は、哺乳動物における溶解性骨疾患の予防または治療方法において、治療上有効量のOPGポリペプチドを投与する段階を有することを特徴とする方法を提供する。溶解性骨疾患は、骨に転移した癌を患う哺乳動物で一般に認められる。そのような癌の例としては、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、腎臓癌、肺癌、食道癌、直腸癌、膀胱癌および子宮頸癌ならびに消化管の癌などがある。多発性骨髄腫、白血病およびホジキン病などのリンパ腫のようなある種の血液癌も含まれる。さらには、前立腺癌などの腫瘍の場合のように、骨吸収および骨形成の両方を増加させて、骨痛および骨の構造的完全性喪失に関連する骨硬化性骨転移あるいは溶解性転移と骨硬化性転移の混在したものを起こす転移性骨疾患などもある。
【0013】
本発明はさらに、骨への癌の転移を予防する方法において、治療上有効量のOPGポリペプチドを投与する段階を有することを特徴とする方法をも提供する。
【0014】
本発明はさらに、哺乳動物における転移骨疾患の予防または治療方法において、治療上有効量のOPGポリペプチドを癌治療薬との併用で投与する段階を有することを特徴とする方法をも提供する。癌治療薬は、放射線療法および化学療法薬を含む腫瘍増殖治療に使用される薬剤であればいずれであっても良い。そのような薬剤の例としては、アントラサイクリン類、タキソール、タモキシフェン、抗Her2や抗CD20抗体のような抗体、ならびに黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)拮抗薬のような受容体作働薬および拮抗薬などがある。OPGポリペプチド組成物は、癌治療薬投与の前、同時または後に投与することができる。
【0015】
本発明はさらに、多発性骨髄腫の治療方法において、治療上有効量のOPGポリペプチドを投与する段階を有することを特徴とする方法をも提供する。
【0016】
本発明のOPGポリペプチドは、骨吸収阻害活性を有し、骨量損失の予防および/または治療あるいは骨硬化性骨転移(構造的健全な骨が無秩序な構造的に欠陥のある骨に代わること)の予防に用いることができるポリペプチドを包含する。好ましい実施態様では、OPGポリペプチドは、OPGおよび異種ペプチドもしくは蛋白を含む融合蛋白である。そのような融合蛋白は、循環半減期延長およびクリアランス時間の延長を示すことで、より持続的な抗吸収活性を与え、投与回数を減らすことができる。1態様において、異種蛋白は免疫グロブリンFc領域またはそれの変異体、断片もしくは誘導体である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、ヒトIgGγ1のヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域のアミノ酸配列を示す図である。
【図2A】図2Aは、ヒトOPGのアミノ酸配列を示す図である[1−401]。
【図2B】図2Bは、ヒトOPGのアミノ酸配列を示す図である[1−401]。
【図3A】図3Aは、OPG[22−194]−Fcのアミノ酸配列を示す図である。
【図3B】図3Bは、OPG[22−194]−Fcのアミノ酸配列を示す図である。
【図4A】図4Aは、OPG[22−201]−Fcのアミノ酸配列を示す図である。
【図4B】図4Bは、OPG[22−201]−Fcのアミノ酸配列を示す図である。
【図5A】図5Aは、OPG[22−194]−FcΔCのアミノ酸配列を示す図である。
【図5B】図5Bは、OPG[22−194]−FcΔCのアミノ酸配列を示す図である。
【図6A】図6Aは、OPG[22−201]−FcΔCのアミノ酸配列を示す図である。
【図6B】図6Bは、OPG[22−201]−FcΔCのアミノ酸配列を示す図である。
【図7A】図7Aは、OPG[22−194]−FcG10のアミノ酸配列を示す図である。
【図7B】図7Bは、OPG[22−194]−FcG10のアミノ酸配列を示す図である。
【図8A】図8Aは、metFcΔC−OPG[22−194]のアミノ酸配列を示す図である。
【図8B】図8Bは、metFcΔC−OPG[22−194]のアミノ酸配列を示す図である。
【図9A】図9Aは、骨への腫瘍転移のC26−DCTモデルおよびMDA−MB−231モデルにおける溶骨性骨破壊の予防を示す図である。いずれの細胞種も、マウスの左心室に直接接種した後に、局所骨破壊(黄色矢印)を生じる。左側のパネルは、X線写真病変がC26−DCT細胞の投与から10日後およびMDA−MB−231細胞投与から28日後に明らかであることを示している。右側のパネルは、10日間にわたって3日ごとに(C26−DCTマウスの場合)または4週間にわたって3回/週で(MDA−MB−231マウスの場合)metFcΔC−OPG[22−194]投与した後に、病変形成が防止されることを示している。
【図9B】図9Bは、骨への腫瘍転移のC26−DCTモデルおよびMDA−MB−231モデルにおける溶骨性骨破壊の予防を示す図である。いずれの細胞種も、マウスの左心室に直接接種した後に、局所骨破壊(黄色矢印)を生じる。左側のパネルは、X線写真病変がC26−DCT細胞の投与から10日後およびMDA−MB−231細胞投与から28日後に明らかであることを示している。右側のパネルは、10日間にわたって3日ごとに(C26−DCTマウスの場合)または4週間にわたって3回/週で(MDA−MB−231マウスの場合)metFcΔC−OPG[22−194]投与した後に、病変形成が防止されることを示している。
【図9C】図9Cは、骨への腫瘍転移のC26−DCTモデルおよびMDA−MB−231モデルにおける溶骨性骨破壊の予防を示す図である。いずれの細胞種も、マウスの左心室に直接接種した後に、局所骨破壊(黄色矢印)を生じる。左側のパネルは、X線写真病変がC26−DCT細胞の投与から10日後およびMDA−MB−231細胞投与から28日後に明らかであることを示している。右側のパネルは、10日間にわたって3日ごとに(C26−DCTマウスの場合)または4週間にわたって3回/週で(MDA−MB−231マウスの場合)metFcΔC−OPG[22−194]投与した後に、病変形成が防止されることを示している。
【図9D】図9Dは、骨への腫瘍転移のC26−DCTモデルおよびMDA−MB−231モデルにおける溶骨性骨破壊の予防を示す図である。いずれの細胞種も、マウスの左心室に直接接種した後に、局所骨破壊(黄色矢印)を生じる。左側のパネルは、X線写真病変がC26−DCT細胞の投与から10日後およびMDA−MB−231細胞投与から28日後に明らかであることを示している。右側のパネルは、10日間にわたって3日ごとに(C26−DCTマウスの場合)または4週間にわたって3回/週で(MDA−MB−231マウスの場合)metFcΔC−OPG[22−194]投与した後に、病変形成が防止されることを示している。
【図10】図10は、C26−DCT細胞を接種したマウスでX線写真的に明らかな溶骨性病巣の数におけるmetFcΔC−OPG[22−194]用量依存性低下を示す図である。
【図11A】図11Aおよび11Bは、マウスC26−DCT腫瘍モデルでの悪性腫瘍に関連する高カルシウム血症の予防および回復を示す図である。予防試験では、metFcΔC−OPG[22−194]を1日1回皮下注射によって投与した。回復試験では、metFcΔC−OPG[22−194]を単回静脈注射によって投与した。平均血中カルシウム濃度±SEMを報告している。
【図11B】図11Aおよび11Bは、マウスC26−DCT腫瘍モデルでの悪性腫瘍に関連する高カルシウム血症の予防および回復を示す図である。予防試験では、metFcΔC−OPG[22−194]を1日1回皮下注射によって投与した。回復試験では、metFcΔC−OPG[22−194]を単回静脈注射によって投与した。平均血中カルシウム濃度±SEMを報告している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、癌に関連する骨損失の予防および治療のための組成物および方法を提供する。本発明はさらに、抗骨吸収剤を用いる癌の予防および治療方法をも提供する。本発明の好ましい組成物および方法には、OPGおよびOPG融合ポリペプチドが含まれる。詳細には本発明は、癌の予防および/または治療あるいは癌に関連する骨損失の予防および/または治療のためのOPG融合蛋白組成物の使用に関するものである。
【0019】
予想外に、切断OPGポリペプチドへのFc領域の融合が、未融合切断OPGポリペプチドや全長成熟OPGでは認められない利点を示すことが認められた(全長成熟OPGは、図2に示した残基22〜401(両端を含む)(配列番号2)のような380のアミノ酸を有する)。さらに、OPGのカルボキシ末端でのFc領域の融合によって、OPGポリペプチドのアミノ末端でのFc領域の融合と比較して予想外の利点が得られることも認められた。従って、OPG融合蛋白およびそれの変異体、断片および誘導体ならびに関連する使用・製造方法について以下で詳細に説明する。
【0020】
「OPG」または「OPGポリペプチド」という用語は、図2に示したアミノ酸配列(配列番号2)を有するポリペプチドおよび本明細書に記載の関連ポリペプチドを指す。関連ポリペプチドには、対立遺伝子変異体;スプライス変異体;断片;誘導体;置換、欠失および挿入変異体;融合ポリペプチド;ならびに非ヒト相同体などがある。OPGポリペプチドは本明細書で定義の成熟ポリペプチドであることができ、それは製造方法に応じてアミノ末端メチオニン残基を有していても有していなくても良い。
【0021】
「OPG融合蛋白」という用語は、異種のペプチドまたはポリペプチドに結合したOPG蛋白またはOPGポリペプチドを指す。本発明のOPG融合蛋白は、OPGおよび異種ペプチドまたはポリペプチド部分の遺伝子的または化学的融合など、当業界で公知の好適な手段によって製造することができる。本発明の1実施態様では、異種ペプチドまたはポリペプチドは、免疫グロブリン、好ましくはヒト免疫グロブリンのFc領域である。異種ペプチドまたは蛋白は、OPGポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかに結合させることができる。
【0022】
「成熟OPGポリペプチド」または「成熟OPG融合ポリペプチド」という用語は、リーダー配列を持たないポリペプチドまたは融合ポリペプチドを指し、アミノ末端(リーダー配列を有するものや有しないもの)および/またはカルボキシ末端の蛋白分解処理、相対的に大きい前駆体からの相対的に小さいポリペプチドの切断、N−連結および/またはO−連結糖付加などの他の修飾もあり得る。
【0023】
「Fc」という用語は、モノマー形または多重結合形を問わず、抗体の非抗原結合部分の配列を有する分子または配列を指す。Fcの元の免疫グロブリン源は好ましくはヒト起源であり、例えばIgG、IgA、IgM、IgEまたはIgDのいずれのアイソタイプからのものでもよい。単離Fc分子のある製造方法では、パパインで抗体を消化することで、抗体の抗原結合部分と非抗原結合部分を分離する。単離Fc分子の別の製造方法は、組換えDNA発現と、その後のそうして発現されたFc分子の精製による製造である。全長FcはC1、C2およびC3というIgのH鎖領域からなり、C1領域およびC2領域は代表的には可撓性のヒンジ領域によって結合している。1実施態様ではFcは、図1に示したものなどのIgGのアミノ酸配列を有する。「Fc蛋白」、「Fc配列」、「Fc分子」、「Fc領域」および「Fc部分」という用語は、「Fc」と同様の意味を有するものである。
【0024】
FcまたはOPGポリペプチドあるいはそれらの融合ポリペプチドとの関連で使用される場合の「断片」という用語は、FcまたはOPGポリペプチドの全長より短いアミノ酸配列を有するペプチドまたはポリペプチドを指す。そのような断片は例えば、アミノ末端での切断、カルボキシ末端での切断および/またはアミノ酸配列からの残基の内部欠失から生じ得るものである。OPGまたはFc断片は、選択的RNAスプライシングまたはin vivoプロテアーゼ活性によって得られる場合がある。
【0025】
FcまたはOPGポリペプチドあるいはそれらの融合ポリペプチドとの関連で使用される場合の「変異体」という用語は、自然のFcまたはOPGポリペプチドアミノ酸配列と比較して1以上のアミノ酸配列の置換、欠失および/または付加を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。変異体は、天然由来でもよく、人工的に構築してもよい。本発明の変異体は、自然のFcまたはOPGポリペプチドについてのDNA配列からは相応に変わっているDNA配列を有する前記変異体をコードする相当する核酸分子から製造することができる。
【0026】
FcまたはOPGポリペプチドあるいはそれらの融合ポリペプチドとの関連で使用される場合の「誘導体」という用語は、例えば水溶性ポリマー、N−連結もしくはO−連結炭水化物、糖類、リン酸および/または他のそのような分子などの(それらに限定されるものではない)1以上のポリマーの共有結合的結合によって化学的に修飾されたFcまたはOPGポリペプチド変異体またはそれの断片を指す。誘導体は、ポリペプチドに結合した分子の種類または位置において、自然のFcやOPGとは異なる形で修飾される。誘導体にはさらに、FcまたはOPGポリペプチドに自然に結合した1以上の化学基の欠失も含まれる。
【0027】
「融合」という用語は、異なるペプチドまたは蛋白の断片の結合を指し、ペプチド部分もしくは蛋白部分の結合端は、互いに直接隣接していても良いか、あるいはアミノ酸残基その他の連結基などのリンカー部分またはスペーサー部分によって分離されていても良い。融合は、当業者には利用可能な手順を用いる遺伝子的または化学的手段によって行うことができる。ただし、結合手段は本明細書に開示のものに限定されるものではない。
【0028】
ポリペプチド類
本発明は、OPG融合ポリペプチドおよびそれの組成物を提供し、詳細にはOPG部分およびFc部分を有する融合ポリペプチドを提供する。OPGポリペプチドへのFc領域の融合は、OPGのアミオン末端で行うことができる。すなわち、Fc領域のカルボキシ末端をOPGのアミノ末端に融合させる。その融合蛋白(およびそれをコードする核酸)を本明細書ではFcOPGと称する。OPGのカルボキシ末端をFc領域のアミノ末端に融合させることが望ましい場合もある。その融合蛋白(およびそれをコードする核酸)を本明細書ではOPGFcと称する。
【0029】
Fcあるいはそれの変異体、断片または誘導体は、免疫グロブリン(Ig)類からのものとすることができる。1実施態様においてFcは、IgG、IgG、IgGおよびIgGなどのIgG類からのものである。別の実施態様では、FcはIgGからのものである。Fcはまた、IgGおよびIgGからの残基あるいはIgG、IgGおよびIgGからの残基など、いずれか2以上のIg類の組合せによって表されるアミノ酸残基を有することもできる。1実施態様において、OPG融合蛋白のFc領域は、ヒトIgGのヒンジC2およびC3領域を有する図1に示した配列(配列番号_)を有する(Ellison et al., Nucleic Acids Res., 10, 4071-4079 (1982)参照)。
【0030】
Fc領域における天然の変異以外に、Fcの変異体、断片および誘導体は、例えば自然または天然のFcにおける残基もしくは配列の置換、負荷、挿入もしくは欠失を導入したり、あるいは化学修飾などによってFc部分を修飾することで構築されるFcにおける人為的変化を含んでいても良い。概してFcの変異体、断片および誘導体の製造は、OPGへのFc融合の循環半減期延長がかなり保持されるように行う。
【0031】
本発明によっては、保存的アミノ酸置換を有するFcおよびOPG変異体も提供される。「保存的アミノ酸置換」という用語は、自然アミノ酸残基の人工的残基による置換を、その位置でのアミノ酸残基の極性または電荷にほとんど影響がないように行うことを指す。例えば、保存的置換は、ポリペプチドにおける非極性残基を他の非極性残基で置き換えることで行われる。保存的アミノ酸置換の一般原則を以下の表Iに示してある。
【0032】
【表1】

【0033】
保存的アミノ酸置換はさらに、代表的には生体系での合成ではなく化学的ペプチド合成によって組み込まれる人為的アミノ酸残基をも含む。それには、ペプチド様化合物ならびに他の逆または反転形のアミノ酸部分などがある。アミノ酸配列への保存的修飾(およびコードヌクレオチドへの相当する修飾)は、未修飾のFc、OPGおよびOPG融合蛋白のものと同様の機能的および化学的特性を有するFcおよびOPG分子(およびOPG融合蛋白)を生成すると予想される。
【0034】
表Iに示した置換以外に、Fc領域やOPGポリペプチド(またはFcOPG融合蛋白)での自然残基も、「アラニン走査突然変異誘発(alanine scanning mutagenesis」(Cunningham et al., Science 244, 1081-1085 (1989))で既報のように、アラニンで置換することができる。
【0035】
FcまたはOPGポリペプチド(およびOPG融合蛋白)の機能的および/または化学的特性における大幅な修飾は、(a)シートまたはヘリカル構造としての置換領域での分子骨格の構造、(b)標的部位での分子の電荷または疎水性、あるいは(c)側鎖の嵩高さの維持に対する効果が大きく異なる置換を選択することで行うことができる。天然残基は、共通の側鎖特性に基づいて以下のように群分けすることができる。
【0036】
1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
2)中性親水性:Cys、Ser、Thr;
3)酸性:Asp、Glu;
4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg;
5)鎖の配向に影響する残基:Gly、Pro、ならびに
6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0037】
非保存的置換では、別の種類からのものをそれらの種類のいずれかのものに交換することができる。そのような置換残基は、非ヒトFcまたはOPGと相同性のFcまたはOPG分子の領域に、あるいはその分子の非相同性領域に導入することができる。
【0038】
Fc分子におけるシステイン残基を欠失させたり他のアミノ酸で置き換えることで、ジスルフィド架橋の形成を防止することができる。詳細には、図1(配列番号1)の位置5におけるシステイン残基は、アラニンまたはセリンなどの1以上のアミン酸で置換されても良い。別の形態として、位置5のシステイン残基は欠失しても良いと考えられる。
【0039】
Fc断片は、図1(配列番号1)に示したように、位置1、2、3、4および5のいずれかでの1以上のアミン酸の欠失によって得ることができる。あるFc分子FcΔCでは、位置1〜5(両端を含む)のアミノ酸残基が欠失されている。これらの位置での置換も行うことができ、それは本発明の範囲に含まれるものである。
【0040】
抗体依存性細胞毒性(ADCC)および補体活性化などのエフェクター機能を誘発するFc受容体への結合低下を示すFc変異体も得ることができる。そのような変異体には、欠失しているかグルタミン残基で置換された位置20のロイシン、欠失しているかアラニン残基で置換された位置103のグルタメート、欠失しているかアラニン残基で置換された位置105および107のリジン(図1に示した番号割り付けに従った)などがあり得る。そのような置換の1以上が想到される。
【0041】
1実施態様においてFc変異体は、自然Fcと比較して、FcRn受容体(「サルベージ受容体」)に対する強い結合ならびに長い循環半減期を示す。そのような変異体の例としては、図1(配列番号1)に示した残基33、35〜42、59、72、75、77、95〜98、101、172〜174、215および220〜223での1以上のアミノ酸置換などがあり、その場合に置換は、Fc変異体のFcRn受容体への比較的強い結合を与える。
【0042】
他のFc変異体には、例えばフェニルアラニン残基で置き換わった1以上のチロシン残基などがある。さらに、他の変異アミノ酸の挿入、欠失および/または置換も想到され、それらは本発明の範囲に含まれる。例としては、WO96/32478およびWO97/34630(引用によって本明細書に含まれる)に開示のFc変異体などがある。さらに変化は、ペプチド様化合物またはD−アミノ酸などの変化したアミノ酸の形であることができる。
【0043】
Fc蛋白は、スペーサー部分またはリンカー部分によって、OPG融合ポリペプチドのOPG部分に連結していても良い。そのようなスペーサーまたはリンカーは、1以上のアミノ酸を有するか化学的リンカーであることができる蛋白様のものであることができる。そのような化学的リンカーは当業界では公知である。アミノ酸リンカー配列には、
(a)ala−ala−ala、
(b)ala−ala−ala−ala、
(c)ala−ala−ala−ala−ala、
(d)gly−gly、
(e)gly−gly−gly、
(f)gly−gly−gly−gly−gly、
(g)gly−gly−gly−gly−gly−gly−gly、
(h)gly−pro−gly、
(i)gly−gly−pro−gly−gly、
(j)val、
(k)ser−gly−gly−gly−gly−gly−gly−gly−gly、
(l)gly−gly−ser−gly−ser−gly−ala−gly−ser−gly−ser−gly−gly−gly−ser−gly−ser−gly−gly、
(m)化学部分、ならびに
(n)小項目(a)〜(m)のいずれかの組合せ
などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
OPGの変異体、断片および誘導体も本発明によって提供され、修飾アミノ酸残基の特定の位置を除き、Fc分子について前述した通りである。OPGの変異体、断片および誘導体は、PCT WO97/23614(引用によって本明細書に含まれる)に記載されている。
【0045】
好ましい実施態様では、OPG融合蛋白のOPG部分は、カルボキシ末端切断形のOPGである。カルボキシ末端切断形のOPGは、図2に示した位置186〜401から1以上のアミノ酸が欠失している。例えば、OPG切断部は、アミノ酸配列22−X(Xは185〜400(両端を含む)のいずれかからの残基である)を有する。別の実施態様ではOPG切断部は、アミノ酸配列22−X(Xは185〜278(両端を含む)もしくは185〜293(両端を含む)または別の形態として194〜278(両端を含む)もしくは194〜293(両端を含む)のいずれかからの残基である)を有する。本明細書に記載のOPG切断ポリペプチドを有する融合蛋白は、直接またはスペーサーもしくはリンカー分子を介してOPGと異種のペプチド部分もしくはポリペプチド部分とを結合させたものを含むものであり、その場合にスペーサーやリンカーは1以上のアミノ酸残基を有していても良い。本明細書に記載のOPG切断形の変異体および誘導体も本発明に含まれる。
【0046】
本発明の好ましい融合蛋白には、OPG部分が22−X(Xは、図2(配列番号2)に示した番号割り付けを用いて位置194〜201(両端を含む)からのいずれかの残基である)を有するものを含む。そのような融合蛋白の例としては、
OPG[22−194]−Fc(図3および配列番号3)、
OPG[22−201]−Fc(図4および配列番号4)、
OPG[22−194]−FcΔC(図5および配列番号5)、
OPG[22−201]−FcΔC(図6および配列番号6)、
OPG[22−194]−FcG10(図7および配列番号7)、
FcΔC−OPG[22−194](図8および配列番号8)
などがある。
【0047】
好ましいポリペプチドでは、「Fc」という用語は図1に示したヒトIgGの配列を指し;「fcΔC」という用語は、アミノ酸残基1〜5(両端含む)を持たない図1に示した配列(配列番号1)を指し;「FcG10」という用語は、アミノ酸残基1〜9(両端含む)を持たずser−(gly)リンカーを有するFc部分を指す。
【0048】
核酸分子
本発明のOPG融合蛋白またはそれの変異体、断片もしくは誘導体をコードする核酸分子が本発明によって提供される。本発明の核酸分子は、当業者には公知の組換えDNA法によって製造することができる(突然変異誘発法の説明については、例えばSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Springs Harbor Laboratory Press, Cold Springs Harbor, N.Y. (1989)およびAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Wiley and Sons, N.Y. (1994)参照)。エンゲルスら報告の方法(Engels et al., Angew. Chem. Intl. Ed., 28, 716-734 (1989))を用いる化学合成を用いて、そのような変異体を製造することもできる。当業者に公知の他の核酸分子製造法も使用可能である。
【0049】
ある種の実施態様では、上記で定義の保存的アミノ酸置換を有するOPG融合蛋白変異体をコードする。例えば、保存的アミノ酸置換は、OPGおよび/または融合蛋白のFc部分で行う。1以上のN−連結またはO−連結糖付加部位の付加および/または欠失を有するかあるいは上記のFcもしくはOPGポリペプチド断片を有するFcまたはOPG変異体も提供される。本発明の核酸分子は本明細書に記載のFcおよび/またはOPGの変異体、断片および融合ポリペプチドのいかなる組合せもコードすることができる。
【0050】
別の実施態様では本発明の核酸は、所定の宿主細胞でのOPG融合ポリペプチドの最適発現のために変更を加えたコドンを含む。特定のコドン変更は、OPG融合ポリペプチドおよび発現のために選択される宿主細胞によって決まる。そのような「コドン最適化」は、例えば所定の宿主細胞でかなり発現される遺伝子で用いるのに好ましいコドンを選択するなどの各種方法によって行うことができる。高度に発現される細菌遺伝子のコドン優先性についての「Ecohigh.Cod」などのコドン頻度表を組み込んだコンピュータアルゴリズムを用いることができ、それはウィスコンシン大学のソフトウェア(the University of Wisconsin Package Version 9.0, Genetics Computer Group, Madison, WI)によって提供される。他の有用なコドン頻度表には、「Celegans_high.cod」、「Celegans_low.cod」、「Drosophila_high.cod」、「Human_high.cod」、「Maize_high.cod」および「Yeast_high.cod」などがある。
【0051】
ベクターおよび宿主細胞
OPG融合ポリペプチドをコードする核酸分子は、標準的な連結法を用いて適切な発現ベクター中に挿入する。ベクターは代表的には、使用される特定の宿主細胞で機能するよう選択される(すなわち、ベクターが宿主細胞の機構に適合していて、遺伝子の増幅および/または遺伝子の発現が起こり得る)。OPG蛋白をコードする核酸分子は、原核、酵母、昆虫(バキュロウイルス系)および/または真核の宿主細胞で増幅/発現され得る。宿主細胞の選択は一部には、OPG蛋白を翻訳後に修飾すべきか否か(例:糖付加および/またはリン酸化)によって決まる。そうであれば、酵母、昆虫または哺乳動物の宿主細胞が好ましい。
【0052】
代表的には、いずれかの宿主細胞で用いられる発現ベクターは、プラスミド維持ならびに外来ヌクレオチド配列のクローニングおよび発現のための配列を有する。ある種の実施態様において「フランキング配列」と総称されるそのような配列には代表的には、プロモーター、1以上のエンハンサー配列、複製起点、転写終止配列、供与体および受容体スプライス部位を有する完全イントロン配列、分泌のためのリーダー配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現すべきポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのボリリンカー領域ならびに選択可能なマーカー要素のような1以上のヌクレオチドなどがある。
【0053】
フランキング配列は、同種(すなわち、宿主細胞と同じ動物種および/または株から)、異種(すなわち、宿主細胞の動物種や株とは異なる動物種から)、ハイブリッド(すなわち、複数起源からのフランキング配列の組合せ)、あるいは通常はOPGおよび/またはFc蛋白発現を調節する機能を有する合成または自然の配列であることができる。フランキング配列の起源はそれ自体、フランキング配列が宿主細胞の機構で機能性であってそれによって活性化され得る限りにおいて、原核生物もしくは真核生物、脊椎動物もしくは無脊椎動物あるいは植物であることができる。
【0054】
リーダー配列またはシグナル配列を用いて、宿主細胞からのOPG融合ポリペプチドを配向させることができる。シグナル配列は最も一般的には、OPG融合ポリペプチドコード領域の5’末端に直接配置される。多くの信号配列が確認されており、選択された宿主細胞で機能性であるものを、OPG融合蛋白をコードする核酸配列と併用することができる。例えば信号配列は、OPGもしくはFc遺伝子またはcDNAに対して同種(天然)または異種であることができる。さらに信号配列は、上記の方法を用いて化学的に合成することができる。ほとんどの場合、シグナル配列の存在を介した宿主細胞からのOPGポリペプチドの分泌によって、融合ポリペプチドからシグナルペプチドが取り除かれる。
【0055】
シグナル配列はベクターの構成要素であることができるか、あるいはベクターに挿入されるOPG DNAの一部であることができる。例えばOPG DNAは、分子の翻訳後処理によって成熟蛋白を形成する際に開裂する蛋白のアミノ末端の信号配列をコードする(図2参照)。自然シグナル配列を有するOPGヌクレオチドならびに自然シグナル配列が欠失して異種シグナル配列に置き換わっているOPGヌクレオチドは、本発明の範囲に含まれる。選択される異種シグナル配列は、宿主細胞によって認識および処理(すなわち、シグナルペプチダーゼによる開裂)されるものでなければならない。1実施態様では、異種シグナル配列は、WO97/23614に記載のOPGシグナル配列である。自然OPGシグナル配列を認識・処理しない原核宿主細胞の場合、シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼまたは耐熱性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核シグナル配列によって置換する。酵母分泌の場合、自然OPGシグナル配列は、酵母インベルターゼ、α因子または酸ホスファターゼリーダーによって置換しても良い。哺乳動物細胞発現では自然シグナル配列で十分である。ただし、他の哺乳動物シグナル配列が好適な場合もある。
【0056】
本発明を実施する上で好ましいベクターは、細菌、昆虫および哺乳動物宿主細胞と適合性のものである。そのようなベクターには特に、pCRII、pCR3およびpcDNA3.1(Invitrogen Company, San Diego, CA)、pBSII(Stratagene Company, La Jolla, CA)、pET15b(Novagen, Madison, WI)、pGEX(Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)、pEGFP−N2(Clonetech, Palo Alto, CA)、pETL(BlueBacII;Invitrogen)、pDSRα2(PCT公開番号WO90/14363)およびpFastBacDual(Gibco/BRL, Grand Island, NY)などがある。
【0057】
別の可能なベクターには、コスミド類、プラスミド類または変性ウィルス類などがあるが、それらに限定されるものではなく、そのベクター系は選択される宿主細胞と適合性がなければならない。そのようなベクターには、ブルースクリプト(Bluescript)プラスミド誘導体(高コピー数ColE1に基づくファージミド(phagemid)、Stratagene Cloning Systems Inc., La Jolla CA)、Taq増幅PCR産生物をクローニングするためのPCRクローニングプラスミド類(例:TOPO(登録商標)TAクローニングキット、PCR2.1プラスミド誘導体、Invitrogen, Carlsbad, CA)ならびにバキュロウィルス発現系などの哺乳動物、酵母またはウィルスのベクター(pBacPAKプラスミド誘導体、Clonetech, Palo Alto, CA)などのプラスミドがあるが、それらに限定されるものではない。組換え分子は、トランスフォーメーション、トランスフェクション、感染、エレクトロポレーションその他の公知の技術を用いて宿主細胞に導入することができる。ベクターを構築し、OPG融合ポリペプチドをコードする核酸分子をベクターの適切な部位に挿入した後、完成したベクターを好適な宿主細胞に挿入して、増幅および/またはポリペプチド発現を行うことができる。
【0058】
宿主細胞は、原核宿主細胞(大腸菌など)または真核宿主細胞(酵母細胞、昆虫細胞または脊椎動物細胞)であることができる。適切な条件下で培養すると宿主細胞はOPGポリペプチドを合成し、それを次に培地から回収することができるか(宿主細胞がそれを培地中に分泌する場合)、それを産生する宿主細胞から直接回収することができる(分泌されない場合)。適切な宿主細胞の選択は、所望の発現レベル、糖付加やリン酸化のように活性化に望ましかったり必要なポリペプチド修飾、ならびに生理活性分子への折り畳みの容易さなどの各種要素によって決まる。
【0059】
好適な宿主細胞または細胞系は、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)(ATCC#CCL61およびUrlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77, 4216-4220 (1980))、ヒト胎児腎臓(HEK)293もしくは293T細胞(ATCC#CRL1573)または3T3細胞(ATCC#CRL1658)などの哺乳動物細胞であることができる。好適な哺乳動物宿主細胞の選択ならびにトランスフォーメーション、培養、増幅、スクリーニングおよび生成物の製造・精製の方法は当業界では公知である。他の好適な哺乳動物細胞系には、サルCOS−1およびCOS−7細胞系(ATCC#CRL1651)およびCV−1細胞系(ATCC#CCL70)がある。哺乳動物宿主細胞のさらに別の例としては、形質転換細胞系を含めた霊長類細胞系および齧歯類細胞系などがある。通常の二倍体細胞、一次組織のin vitro培養から誘導される細胞株ならびに一次外植片も好適である。候補となる細胞は、選択遺伝子が遺伝子型的に欠落していることができるか、あるいは優性作用性の選択遺伝子を有することができる。他の好適な哺乳動物細胞系には、マウス神経芽細胞腫N2A細胞、HeLa、マウスL−929細胞、スイス由来の3T3系、Balb−cもしくはNIHマウス、BHKもしくはHaKハムスター細胞系などがあるが、それらに限定されるものではない。それらの細胞系はそれぞれ、当業者には公知であって利用可能である。
【0060】
本発明に好適な宿主細胞として同様に有用なものには細菌細胞がある。例えば、各種大腸菌株(例:HB101、DH5a、DH10およびMC1061)はバイオテクノロジーの分野で宿主細胞として公知である。枯草菌、シュードモナス菌、他のバチルス菌、ストレプトミセス菌などの各種菌株もこの方法では用いることができる。
【0061】
当業者には公知の多くの酵母細胞株も、本発明のポリペプチド類発現のための宿主細胞として利用可能である。好ましい酵母細胞には例えば、Saccharomyces cerivisaeなどがある。
【0062】
さらに所望に応じて、本発明の方法で昆虫細胞系を利用することができる。そのような系は、文献に記載されている(例えば、Kitts et al., Biotechniques, 14, 810-817 (1993); Lucklow, Curr. Opin. Biotechnol., 4, 564-572 (1993); Lucklow et al., J. Virol., 67, 4566-4579 (1993))。好ましい昆虫細胞はSf−9およびHi5(Invitrogen, Carlsbad, CA)である。
【0063】
OPGポリペプチド用の発現ベクターの特定の宿主細胞へのトランスフォーメーションまたはトランスフェクションは、塩化カルシウム、エレクトロポレーション、微量注入、リポフェクションまたはDEAE−デキストラン法のような方法などの公知の方法によって行うことができる。選択される方法は部分的に、使用する宿主細胞の種類によって決まる。それらの方法および他の好適な方法は当業者には公知であり、例えばサムブルックらの報告(Sambrook et al., supra)に記載されている。
【0064】
ポリペプチド産生
トランスフォーメーションまたはトランスフェクションによってOPG融合ポリペプチドをコードする発現ベクターを有する宿主細胞は、当業者には公知の標準的な培地を用いて培養することができる。培地は通常、細胞の成長および生存に必要な全ての栄養素を含む。大腸菌細胞の培養に好適な培地は例えば、ルリア(Luria)肉汁(LB)および/またはテリフィック(Terrific)肉汁(TB)である。真核細胞の培養に好適な培地は、RPMI1640、MEM、DMEMであり、これらのいずれにも培養する特定の細胞系での必要に応じて血清および/または成長因子を補給することができる。昆虫培養に好適な培地は、必要に応じてイーストレート(yeastolate)、ラクトアルブミン加水分解物質および/またはウシ胎仔血清を補給したグレース培地(Grace’s medium)(Gibco Life Technologies, Gaithersburg, MD)である。
【0065】
代表的には、トランスフェクション細胞または形質転換細胞の選択的成長に有用な抗生物質その他の化合物を培地に補給剤として加える。使用する化合物は、宿主細胞がトランスフォーメーションされるプラスミド上に存在する選択可能なマーカー要素によって指示される。例えば選択可能マーカー要素がカナマイシン耐性である場合、培地に加える化合物はカナマイシンであり、選択可能マーカー要素がアンピリシン耐性である場合、培地に加える化合物はアンピリシンである。
【0066】
宿主細胞が産生するOPG融合ポリペプチドの量は、当業界で公知の標準的な方法を用いて評価することができる。そのような方法には、ウェスタンブロット分析、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、非変性ゲル電気泳動、HPLC分離、免疫沈殿および/またはDNA結合ゲルシフトアッセイのような活性アッセイなどがあるが、それらに限定されるものではない。
【0067】
標識を設けずにOPG融合ポリペプチドを得て、抗体が使用できない場合、他の公知の精製手順を用いることができる。そのような方法には、イオン交換クロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、HPLC、自然ゲル電気泳動とゲル溶出の併用、ならびに分取等電点電気泳動(「アイソプライム(Isoprime)」装置/方法、Hoefer Scientific)などがあるが、これらに限定されるものではない。場合によっては、2以上のこれら技術を併用して、純度を高めることができる。
【0068】
OPG融合ポリペプチドが細胞内で産生される場合、当業者には公知の標準的な方法を用いて、宿主細胞から細胞内材料(グラム陰性菌の封入体など)を抽出することができる。例えば宿主細胞を溶解して、フレンチプレス、ホモジナイゼーションおよび/または超音波処理とそれに続く遠心によって、ペリプラズム/細胞質の内容物を放出させることができる。
【0069】
OPG融合ポリペプチドが細胞質ゾルに封入体を形成している場合、その封入体は多くの場合、内側および/または外側細胞膜に結合することができ、従って遠心後には主としてペレット物の状態で認められる。そのペレット物を極端なpHで処理するか、あるいはアルカリ性pHでジチオスレイトールまたは酸性pHでトリスカルボキシエチルホスフィンなどの還元剤存在下に、界面活性剤、グアニジン、グアニジン誘導体、尿素もしくは尿素誘導体などのカオトロピック剤で処理することで、封入体を放出、破壊および可溶化することができる。そうして可溶型となったOPG融合ポリペプチドを、ゲル電気泳動、免疫沈殿などを用いて分析することができる。OPGポリペプチドを単離することが望ましい場合、以下に記載のものならびにマーストンらの報告(Marston et al., Meth. Enz., 182, 264-275 (1990))に記載のものなどの標準的な方法を用いて単離を行うことができる。
【0070】
場合によっては、OPG融合ポリペプチドは、単離した時点では生理活性ではないことがある。ポリペプチドをそれの三次構造に「再折畳み」または変換し、ジスルフィド連結を形成する各種方法を用いて、生理活性を回復させることができる。そのような方法には、可溶化ポリペプチドを特定濃度のカオトロピック剤存在下に通常7を超えるpHに曝露する方法などがある。カオトロピック剤の選択は、封入体可溶化で用いる選択肢と全く同様であるが、通常カオトロピック剤は低濃度で用い、必ずしも可溶化で用いるカオトロピック剤と同一ではない。ほとんどの場合、再折畳み/酸化溶液はまた、還元剤あるいは所定の比率での還元剤とそれの酸化型を含有して、特定の酸化還元電位を生じることで、蛋白のシステイン架橋形成時にジスルフィドシャッフリング(shuffling)が生じ得る。一般に用いられる酸化還元対の一部には、システイン/シスタミン、グルタチオン(GSH)/ジチオビスGHS、塩化第二銅、ジチオトレイトール(DTT)/ジチアンDTT、ならびに2−メルカプトエタノール(βME)/ジチオ−β(ME)などがある。多くの場合、共溶媒を用いることができるか、あるいは再折り畳みの効率を高めるために共溶媒が必要な場合があり、それに関して使用される比較的一般的な試薬には、グリセリン、各種分子量のポリエチレングリコール、アルギニンなどがある。
【0071】
誘導体
本発明のOPG融合蛋白ならびにそれの変異体および断片は、1以上の化学部分を付加させることで誘導体化される。例として、OPGおよびFcポリペプチドの融合体を、OPG部分またはFc部分あるいはその両方で誘導体化することができる。これらの化学修飾誘導体はさらに、以下に説明する動脈、腹腔内、筋肉、皮下、静脈、経口、経鼻、肺、局所その他の投与経路用に製剤することができる。生理活性蛋白の化学修飾は、治療薬蛋白の安定性および循環時間の増加ならびに免疫原性の低下など、ある種の環境下で新たな利点を提供することが認められている(米国特許4179337号参照。総覧については、Abuchowski et al., Enzymes and Drugs, J. S. Holcerberg and J. Roberts, eds. pp.367-383 (1981); Francis et al., supra参照)。
【0072】
そのような誘導体化に好適な化学部分は、各種水溶性ポリマーから選択することができる。当業者であれば、ポリマー/蛋白結合体を治療に用いるか否か、そうであれば所望の用量、循環時間、蛋白分解への耐性ならびにその他の考慮事項のような検討事項に基づいて所望のポリマーを選択することができる。本発明の蛋白では、誘導体化の有効性は、所望の形で誘導体を投与し(すなわち、浸透ポンプあるいは好ましくは注射もしくは注入によって、あるいは例えば経口投与、肺投与もしくは経鼻投与用にさらに製剤して)、本明細書に記載の方法に従って生理効果を観察することで確認することができる。
【0073】
水溶性ポリマーは、例えばポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールの共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキソラン、エチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアミノ酸類(単独重合体またはランダム共重合体)、ならびにデキストランまたはポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコール単独重合体類、ポリプロピレンオキサイド/エチレンオキサイド共重合体類、ポリオキシエチル化ポリオール類、ならびにポリビニルアルコールからなる群から選択することができる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水でのそれの安定性のために製造において有利な場合がある。さらに、コハク酸塩およびスチレンも用いることができる。さらに、ポリアミノ酸類は、血清アルブミン(ヒト血清アルブミンなど)またはリジン類などの他のポリアミノ酸類からなる群から選択することができる。
【0074】
ポリマーはいかなる分子量のものでも良く、分岐または未分岐であることができる。ポリエチレングリコールの場合、好ましい分子量は、取り扱いおよび製造を容易にするため約2kDa〜約100kDaである(「約」という用語は、ポリエチレングリコールの製造で、一部の分子が記載の分子量より大きいか、場合によってはそれより小さいことを示している)。
【0075】
OPG融合ポリペプチドにそのように結合したポリマー分子の数は変動し得るもので、当業者であれば機能に対する効果を確認することができる。モノ誘導体化を行うことができるか、あるいは同一または異なる化学部分でジ、トリ、テトラまたはいくつかの誘導体化の組合せを行うことができる(例:異なる分子量のポリエチレングリコールなどのポリマー)。ポリマー分子の蛋白(またはペプチド)分子に対する割合は、反応混合物中のそれらの濃度と同様に変動し得る。概して至適な比率(過剰な未反応蛋白またはポリマーがない反応効率に関して)を、所望の誘導体化程度(例:モノ、ジ、トリなど)、選択するポリマーの分子量、ポリマーが分岐であるか未分岐であるか、反応条件などの要素によって決定する。
【0076】
化学部分は、蛋白の機能または抗原領域に対する効果を考慮して、OPG融合蛋白に結合させなければならない。当業者には利用可能な多くの結合方法がある(引用によって本明細書に含まれるEP0401384(PEGのG−CSFへの結合);Malik et al., Exp. Hematol. 20, 1028-1035 (1992)(トレシル(tresyl)クロライドを用いるGM−CSFのペギル化(pegylation)を報告)。例えばポリエチレングリコールは、遊離アミノ基(例:リジン、アルギニンまたはN末端アミノ酸残基)または遊離カルボキシル基(例:アスパラギン酸、グルタミン酸およびC末端アミノ酸残基)を有するアミノ酸残基を介して共有結合的に結合することができる。遊離スルフヒドリル基を有するアミノ酸残基(例:システイン)も用いることができる。治療上好ましいのは、N末端またはリジン基での結合などのアミノ基での結合である。受容体結合に重要な残基での結合は、受容体結合が望ましい場合には回避しなければならない。
【0077】
具体的にN末端で化学修飾されたOPG融合蛋白が必要な場合がある。化学部分の例としてポリエチレングリコールを用いると、遊離アミノ酸でポリペプチドを誘導体化し、N末端でペギル化されたものをペギル化蛋白分子の群から分離することで、実質的にN末端でペギル化されたOPG融合ポリペプチドを得ることができる。別法として、特定蛋白での誘導体化に利用可能な各種1級アミノ基の反応性差(リジンとN末端)を利用する還元的アルキル化によって、選択的N末端化学修飾を行うことができる。適切な反応条件下で、含カルボニル基ポリマーによるN末端での蛋白の実質的に選択的な誘導体化を行う。1個の反応性アルデヒドを有するポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドを用いることができる。
【0078】
N末端でモノペギル化された誘導体は、治療薬製造を容易にする上で好ましい。生成物の特性決定がジ、トリその他の複数ペギル化生成物と比較して簡単になることから、N末端ペギル化によって同種生成物が確実に得られる。N末端生成物取得に上記還元的アルキル化法を用いることが、商業的製造を容易にする上で好ましい。
【0079】
ポリペプチドの用途
本発明の融合ポリペプチドは、骨量喪失の予防および/または治療;構造的に健全な骨の無秩序な骨による交替の予防および/または治療;あるいは骨への転移の予防で用いられる。骨喪失は、原発性骨粗鬆症、内分泌性骨粗鬆症(甲状腺機能亢進症、上皮小体機能亢進症、クッシング症候群および先端肥大症)、遺伝型および先天型の骨粗鬆症(骨形成不全症、ホモシスチン尿症、メンケス症候群およびライリー−デイ症候群)ならびに四肢の固定化による骨粗鬆症などの骨粗鬆症;成人および青少年における骨のページェット病(変形性骨炎);骨損失につながる骨髄炎すなわち骨における感染病変;固形癌(乳癌、肺癌および腎臓癌)および血液癌(多発性脊髄炎、リンパ腫および白血病)、特発性高カルシウム血症ならびに甲状腺機能亢進症および腎機能障害に関連する高カルシウム血症から生じる高カルシウム血症;手術後オステオペニア、ステロイド投与によって誘発されるオステオペニア、小腸および大腸の障害ならびに慢性の肝臓疾患および腎臓疾患に関連するオステオペニア;外傷に関連する骨壊死すなわち骨細胞死またはゴーシェ病、鎌状赤血球貧血、全身性紅斑性狼瘡および他の状態に関連する非外傷性壊死;慢性関節リウマチによる骨損失;歯周骨損失;骨関節炎;補綴具の緩み;ならびに溶骨性転移などの各種状態で発症する。構造的に健全な骨の無秩序な構造的に不完全な骨による交替が、成人および青少年での骨のページェット病(変形性骨炎);上皮小体機能亢進症、線維性骨異形成症などの先天性骨障害、骨硬化性骨転移において認められる。
【0080】
本発明の1実施態様では、本発明のOPG融合ポリペプチドは、活性上昇および循環半減期延長によって、骨損失の治療、特には悪性腫瘍または転移腫瘍によって引き起こされる骨の溶骨破壊によって生じる骨損失の治療に有利に用いられる。本発明のOPGポリペプチドを用いて、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、腎臓癌、肺癌、食道癌、直腸癌、膀胱癌、子宮頸癌、卵巣癌および肝臓癌ならびに消化管の癌を治療することができる。多発性骨髄腫などのある種の血液癌ならびにホジキン病などのリンパ腫に関連する骨損失も含まれる。
【0081】
本発明のOPG融合ポリペプチドは、単独であるいは他の治療薬との併用で、特には他の癌治療薬との併用で投与することができる。そのような薬剤には、放射線療法や化学療法などがある。化学療法では、アントラサイクリン類、タキソール、タモキシフェン、ドキソルビシン、5−フルオロウラシルならびに当業者に公知の他の薬剤のうちの1以上の投与を行うと考えられる。1実施態様では、癌治療薬は黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)拮抗薬、好ましくはペプチド拮抗薬である。より好ましくはLHRH拮抗薬は、
A−B−C−D−E−F−G−H−I−J
という構造を有するデカペプチドまたはそれの医薬的に許容される塩である。
【0082】
上記構造において、
Aはpyro−glu、Ac−D−Nal、Ac−D−Qal、Ac−SarまたはAc−D−Palであり;
BはHisまたは4−Cl−D−Pheであり;
CはTrp、D−Pal、D−Nal、L−Nal−D−Pal(N−O)またはD−Trpであり;
DはSerであり;
EはN−Me−Ala、Tyr、N−Me−Tyr、Ser、Lys(iPr)、4−Cl−Phe、His、Asn、Met、Ala、ArgまたはIleであり;
Fは
【0083】
【化1】

であり(式中、RおよびXは独立にHおよびアルキルであり;Yは小さい極性部分を有する);
GはLeuまたはTrpであり;
HはLys(iPr)、Gln、MetまたはArgであり;
IはProであり;
JはGly−NHまたはD−Ala−NHである。
【0084】
別の実施態様においてLHRH拮抗薬は、
N−Ac−D−Nal−4−Cl−Phe−D−Pal−Ser−N−Me−Tyr−D−Asn−Leu−Lys(iPr)−Pro−D−Ala−NHを有する。
【0085】
標準的な略称および慣例を本明細書では用い、以下の非標準的な残基および部分は下記のように略する。
【0086】
Nal:3−(2−ナフチル)アラニニル;
4−Cl−Phe:(4’−クロロフェニル)アラニニル;
Pal:3−(3’−ピリジル)アラニニル;
Pal(N−O):3−(3’−ピリジン−N−オキサイド)アラニニル;
iPr−Lys:N−ε−2−プロピル−リジニル;
Qal:3−(2’−キノリニル)アラニニル。
【0087】
別の形のLHRH拮抗薬デカペプチドも本発明に含まれる。そのようなデカペプチドは米国特許5843901号(引用によって本明細書に含まれる)に記載されている。
【0088】
さらには、マウス抗体、マウス−ヒトキメラ抗体、CDR−移植抗体、ヒト化効果または完全ヒト抗体などの治療抗体あるいは抗体ライブラリーのスクリーニングによって選択されるものなどの合成抗体も含まれる。そのような抗体の例としては、細胞表面蛋白Her2、CDC20、CDC33、腫瘍細胞上に存在するムチン様糖蛋白および上皮成長因子受容体(EGFR)に結合し、場合によってそれらの蛋白を示す腫瘍細胞に対する細胞増殖抑制効果および/または細胞毒性効果を誘発するものなどがある。そのような抗体の例としては、乳癌治療のためのヘルセプチン(HERCEPTIN)および非ホジキンリンパ腫の治療のためのリツキサン(RITUXAN)などがある。TNF関連ポリペプチドTRAILなどの腫瘍細胞において選択的にアポトーシスを誘発するポリペプチドも癌治療薬として含まれる。OPG融合蛋白は、癌治療薬投与の前、同時または後に投与することができる。OPG融合蛋白は予防的に投与して、転移癌による骨損失の発症を予防または緩和することができるか、あるいは転移による既存の骨損失状態の治療用に投与することができる。
【0089】
本発明のOPG融合ポリペプチドを用いて、多発性骨髄腫に関連する骨損失を予防および/または治療したり、あるいはその疾患自体を予防および/または治療することができる。多発性骨髄腫はB細胞由来腫瘍であって、重大な罹患および死亡につながる。最も顕著な一般的臨床発現は、局所領域での破骨細胞活性化亢進による限局性骨損失である。骨髄腫患者の大半(約95%)が通常、放射能分析によって肉眼観察される破壊性骨病変を示し、極度の難治性骨格痛を患っている。骨髄腫患者は、自然にまたは軽微な怪我によって起こる関与する骨の病的骨折を特に起こしやすい。骨髄腫時に起こる骨格病変は、骨折につながるだけでなく、特に脊柱での変形および場合によっては神経圧迫も起こす。患者によっては、血清カルシウムの病的増加(高カルシウム血症)が起こり、疾患治療時に重大な問題が生じる場合がある。OPGを患者に投与して、骨吸収とカルシウム放出を阻害することで、骨折および脊柱変形のリスクを低下させることができる。
【0090】
骨髄腫細胞は骨破壊に直接関与しないが、代わりに破骨細胞の分化と活性化を生じる細胞外シグナルを出す。次に破骨細胞が、特に活性化されると、身体のあらゆる細胞種の中で最も高レベルの強力なサイトカインIL−6を産生する。IL−6はB細胞成長因子であり、in vitroでのマウスおよびヒトの両方の骨髄腫成長に必要である。TNF関連蛋白OPGリガンド(OPGL)は、破骨細胞の分化および活性化誘発の原因となっている(WO98/46751参照)。骨髄腫細胞が、破骨細胞に対するその因子を直接または間接的に産生することで、骨髄空間に入っている骨髄腫細胞周囲での局所骨溶解が生じ得る。次に、骨髄腫細胞に隣接する正常な破骨細胞がIL−6を産生して、腫瘍細胞の局所的拡大が生じる。骨髄腫細胞はクローン的に拡大し、不適切な骨吸収によって生じつつある骨空間を占有する。
【0091】
齧歯類でのOPG投与が破骨細胞群の急速な死を引き起こすことが認められている。破骨細胞の減少は、破骨細胞によるIL−6産生増加を解消し、海綿骨内での骨髄腫細胞の成長・生存に影響すると考えられる。そこで骨髄腫患者におけるOPG投与は、骨の過剰吸収を遮断すると考えられるだけでなく、腫瘍自体の拡大と生存にも影響すると考えられる。B細胞は、破骨細胞の分化・活性化受容体すなわちODARと称されるOPGLの受容体を発現することが知られている。骨髄腫細胞もODARを発現し、さらにはOPGLを産生することができる。OPGLおよびODARの両方の同一細胞群での発現によって、骨髄腫細胞の生存に影響を与えるオートクリン刺激が生じ得る。そうして、OPG治療は腫瘍細胞生存に直接影響することから、骨髄腫患者で認められる腫瘍の負担を低減または排除することができると考えられる。
【0092】
医薬組成物
本発明は、OPG融合蛋白ならびにそれの変異体、断片および誘導体を含む医薬組成物をも提供する。そのような医薬組成物は、注射での投与用あるいは経口投与、肺投与、経鼻投与、経皮投与その他の投与形態用が考えられる。本発明では、医薬的に許容される希釈剤、保存剤、可溶化剤、乳化剤、補助剤および/または担体とともに有効量のOPG融合蛋白を含む医薬組成物が想到される。有効または医薬的に有効な量のOPG融合蛋白とは、本明細書に記載のアッセイおよび手順によって測定される骨損失の速度および/または程度を低下させるだけの量である。
【0093】
本発明の医薬組成物は、各種緩衝剤含有量(例:Tris−HCl、酢酸塩、リン酸塩)、pHおよびイオン強度の希釈剤;界面活性剤および可溶化剤(例:Tween80、ポリソルベート80)、酸化防止剤(例:アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、保存剤(例:チメルソール(Thimersol)、ベンジルアルコール)および増量物質(例:乳糖、マニトール)などの添加剤;材料を取り込んでポリ酢酸、ポリグリコール酸などのポリマー化合物の粒子状製剤またはリポソームとしたものを含む。ヒアルロン酸も使用でき、それは循環における持続期間を延長する効果を有する場合がある。そのような組成物は、本発明の蛋白および誘導体の物理的状態、安定性、in vivoでの放出速度、in vivoでのクリアランス速度に影響を与え得る(例えば、レミングトン(Remington)の著作(Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. (1990, Mack Publishing Co., Easton, PA 18042) pp.1435-1712;引用によって本明細書に含まれる)参照)。組成物は、液体剤型で製剤することができたり、あるいは凍結乾燥製剤のような乾燥粉末で製剤することができる。経皮製剤のように、埋め込み徐放製剤も想到される。
【0094】
本発明においては、レミングトンの著作(Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. 1990 (Mack Publishing Co., Easton, PA 18042))89章(引用によって本明細書に含まれる)に記載されている経口固体製剤が想到される。固体製剤には、錠剤、カプセル、丸薬、トローチもしくはロゼンジ剤、カシェ剤またはペレットなどがある。さらには、リポソームまたはプロテイノイド封入を用いて、本発明の組成物を製剤することもできる(例えば、米国特許4925673号に報告のプロテイノイドミクロスフィア)。リポソーム封入を用いることができ、リポソームは各種ポリマーで誘導体化することができる(例:米国特許5013556号)。治療薬に可能な固体製剤の説明はマーシャルの著作(Marshall, K. In: Modern Pharmaceutics Edited by G. S. Banker and C. T. Rhodes Chapterr 10, 1979;引用によって本明細書に含まれる)に記載されている。概して製剤には、OPG融合蛋白またはそれの変異体、断片もしくは誘導体、ならびに胃環境に対する保護および腸での生理活性物質の放出を可能とする不活性成分を含む。
【0095】
適宜にOPG融合蛋白を化学修飾して、得られる誘導体の経口投与を効果的にすることができる。想到される化学修飾には、蛋白(またはペプチド)分子自体への1以上の部分の結合であって、その部分によって(a)蛋白分解の阻害ならびに(b)胃または腸からの血液流中への取り込みが可能となるものなどがある。蛋白の全体的安定性および身体での循環時間の延長も望ましい。そのような部分の例としては、ポリエチレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリプロリンなどがある(Abuchowski and Davis, Soluble Polymer-Enzyme Adducts, In: ”Enzymes as Drugs”, Hocenberg and Roberts, eds., Wiley-Interscience, New York, NY, (1981), pp.367-383; Newmark et al., J. Appl. Biochem. 4: 185-189 (1982))。使用可能と考えられる他のポリマーには、ポリ−1,3−ジオキソランおよびポリ−1,3,6−チオキソカン(tioxocane)がある。上記で示した医薬用途には、ポリエチレングリコール部分が好ましい。
【0096】
経口投与後の胃での分解に対する耐性を得るには、少なくともpH5.0まで不浸透性のコーティングが必須である。経口製剤の腸溶コーティングとして使用される比較的一般的な不活性成分の例としては、酢酸トリメリト酸セルロース(CAT)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、HPMCP50、HPMCP55、酢酸フタル酸ポリビニル(PVAP)、ユードラジット(Eudragit)L30D、アクアテリック(Aquateric)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ユードラジットL、ユードラジットSおよびシェラックがある。これらのコーティングは、混合フィルムとして用いることができる。
【0097】
OPG融合蛋白は、粒径約1mmの顆粒またはペレットの形の微小な多粒子として製剤に含有させることができる。カプセル投与用の材料の製剤は、粉剤、軽く圧縮した詰め物または錠剤であっても良いと考えられる。
【0098】
本発明の医薬組成物は、炭水化物、特にはマニトール、α−乳糖、無水乳糖、セルロース、ショ糖、修飾デキストランおよびデンプンなどの希釈剤を含む。ある種の無機塩も充填剤として用いることができ、それにはトリリン酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび塩化ナトリウムなどがある。一部の市販希釈剤には、ファスト−フロ(Fast-Flo)、エンデックス(Emdex)、STA−Rx1500、エンコンプレス(Emcompress)およびアビセル(Avicell)がある。
【0099】
固体製剤には崩壊剤を含有させることができる。崩壊剤として用いられる材料には、デンプンに基づいた市販の崩壊剤であるエクスプロタブ(Explotab)などのデンプンなどがあるが、それに限定されるものではない。デンプングリコール酸ナトリウム、アンバーライト、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ウルトラミロペクチン(ultramylopectin)、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、橙皮、酸性カルボキシメチルセルロース、天然スポンジおよびベントナイトはいずれも使用可能である。別の形の崩壊剤は、不溶性カチオン交換樹脂である。粉末ガムを崩壊剤および結合剤として用いることができ、それには寒天、カラヤガムまたはトラガカントガムなどの粉末ガムなどがあり得る。アルギン酸およびそれのナトリウム塩も崩壊剤として有用である。
【0100】
結合剤を用いて硬錠剤を形成することができ、それにはアカシア、トラガカント、デンプンおよびゼラチンなどの天然物からの材料などがある。他のものにはメチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)などがある。ポリビニルピロリドン(PVP)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)はいずれも、アルコール溶液で用いて治療薬を顆粒とすることができると考えられる。
【0101】
製剤に添加することができる滑沢剤には、マグネシウム塩およびカルシウム塩を含むステアリン酸、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、液体パラフィン、植物油およびロウなどがあるが、これらに限定されるものではない。可溶性潤滑剤も用いることができ、それにはラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、各種分子量のポリエチレングリコール、カーボワックス(Carbowax)4000および6000などがある。
【0102】
製剤時の薬剤の流動特性を改善し、圧縮時の再配列を補助する滑剤を加えることができると考えられる。滑剤には、デンプン、タルク、焼成シリカおよび水和シリコアルミナート(silicoaluminate)などがあり得る。
【0103】
OPG融合蛋白組成物の溶解を助けるため、界面活性剤を湿潤剤として加えることができると考えられる。界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムおよびスルホン酸ジオクチルナトリウムなどのアニオン系界面活性剤があり得る。カチオン系洗剤を用いることができると考えられ、それには塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムなどがあり得る。界面活性剤として製剤に含有させることができると考えられる可能なノニオン系洗剤を挙げると、ラウロマクロゴール(Lauromacrogol)400,ポリオキシル(polyoxyl)40ステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50および60,モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート40、60、65および80、ショ糖脂肪酸エステル、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースがある。これらの界面活性剤は、単独または各種比率での混合物として蛋白または誘導体の製剤中に存在させることができると考えられる。
【0104】
蛋白の取り込みを促進し得る添加剤には例えば、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸などの脂肪酸がある。
【0105】
徐放製剤が望ましい場合がある。OPG融合蛋白は、ガム類など、拡散または浸出の機構による放出を可能とする不活性基質に組み入れることができる。徐々に分解する基質も製剤に組み入れることができ、例えばアルギン酸類、多糖類などがある。この治療薬の別の徐放製剤は、オロス(Oros)治療薬系(Alza Corp.)に基づいた方法である。すなわち、薬剤を半透過性膜に封入し、その膜によって水が進入して、浸透圧効果によって1個の小さい開口から薬剤を押し出すことができる。一部の腸溶コーティングも徐放効果を有する。
【0106】
他のコーティングを製剤に用いることができる。例えばフィルムコート錠は、2つの異なる群からの材料を含むことができる。第1の群には、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシ−メチルセルロースナトリウム、プロビドン(providone)およびポリエチレングリコール類などの非腸溶材料などがある。第2の群は、通常はフタル酸エステル類である腸溶材料からなる。混合材料を用いて、至適なフィルムコーティングを得ることができると考えられる。フィルムコーティングは、パンコーターまたは流動床で、あるいは圧縮コーティングによって行うことができる。
【0107】
本発明では、OPGポリペプチドまたは融合蛋白の肺への送達も想到される。蛋白は吸入中に哺乳動物の肺に送達され、肺上皮層を通過して血流に入る(他の報告には、Adjei et al., Pharmaceutical Research 7: 565-569 (1990);Adjei et al., International Journal of Pharmaceutics 63: 135-144 (1990)(酢酸ロイプロリド);Braquet et al., Journal of Cardiovascular Pharmacology 13 (suppl.5): s 143-146 (1989)(エンドテリン−1); Hubbard et al., Annals of Internal Medicine 3: 206-212 (1989)(α1−抗トリプシン);Smith et al., J. Clin. Invest. 84: 1145-1146 (1989)(α1−プロテイナーゼ);Oswein et al., ”Aerosolization of Proteins”, Proceedings of Symposium on Respiratory Drug Delivery II, Keystone, Colorado, March, 1990(組換えヒト成長ホルモン);Debs et al., The Journal of Immunology 140: 3482-3488 (1988)(インターフェロンαおよび腫瘍壊死因子α)および米国特許5284656号(顆粒細胞コロニー刺激因子)などがある)。
【0108】
本発明の実施においては、いずれも当業者であれば熟知しているネブライザー、定量噴霧吸入器および粉末吸入器などの(これらに限定されるものではない)治療薬の肺送達用の広範囲の機器使用が想到される。本発明の実施に好適な市販機器の一部の具体例としては、ウルトラベント(Ultravent)ネブライザー(製造者:Mallinckrodt, Inc., St. Louis, Missouri)、エイコーン(Acorn)IIネブライザー(製造者:Marquest Medical Products, Englewood, Colorado)、ベントリン(Ventolin)定量噴霧吸入器(製造者:Glaxo Inc., Research Triangle Park, North Carolina)およびスピンヘイラー(Spinhaler)粉末吸入器(製造者:Fisons Corp., Bedford, Massachusetts)などがある。
【0109】
そのような装置はいずれも、OPG蛋白またはそれの変異体、断片もしくは誘導体の投薬に好適な製剤の使用を必要とする。代表的には各製剤は、使用する機器の種類特有であり、治療に有用な希釈剤、補助剤および/または担体以外に、適切な噴射剤材料を使用することができる。
【0110】
OPG融合蛋白は最も有利には、遠位肺に最も効果的に投与するためには、平均粒径10μm(すなわちミクロン)未満、最も好ましくは0.5〜5μmを有する粒子で製剤しなければならない。
【0111】
担体には、トレハロース、マニトール、キシリトール、ショ糖、乳糖およびソルビトールなどの炭水化物などがある。製剤用の他の成分には、DPPC、DOPE、DSPCおよびDOPCなどがあり得る。天然または合成界面活性を使用することができる。ポリエチレングリコールを用いることができる(それの蛋白もしくは類縁体の誘導体化での使用とは別でも)。シクロデキストランなどのデキストランを用いることができる。胆汁酸塩および他の関連促進剤を用いることができる。セルロースおよびセルロース誘導体を用いることができる。緩衝剤製剤での使用のように、アミノ酸を用いることができる。リポソーム、マイクロカプセルもしくはミクロスフィア、包接錯体その他の種類の担体の使用も想到される。
【0112】
OPG融合蛋白の経鼻投与も想到される。経鼻投与することで、薬剤を肺に堆積させる必要なく、治療薬を鼻に投与した後に、蛋白を血流に直接送ることができる。経鼻投与用製剤には、デキストランまたはシクロデキストランを含むものなどがある。他の粘膜を通過する輸送を介した投与も想到される。
【0113】
用量
本発明のOPG融合ポリペプチドを治療上有効な量で投与して、転移骨疾患に関連する骨損失を予防および/または治療する。「治療上有効量」のOPG融合ポリペプチドとは、骨量の損失を低減する量である。骨量は、単一光子吸光分析(SPA)、二重光子吸光分析(DPA)、二重エネルギーX線吸光分析(DEXA)、定量的コンピュータ断層撮影(QCT)および超音波検査法などの各種の公知法によって測定される(Johnston et al., Primer on the Metabolic Bone Disease and Disorders of Mineral Metabolism, 2nd ed., M. J. Favrus, ed. Raven Press pp.237-146)参照)。当業者であれば、これらの方法を用いて、OPG融合ポリペプチドの治療上有効量を求めることができる。治療上有効量は、血清オステオカルシン、血清アルカリホスファターゼ、血清プロコラーゲンI伸長ペプチド、コラーゲンの尿もしくは血清C−末端もしくはN−末端テロペプチド、尿カルシウム、ヒドロキシプロリンならびに尿ピリジノリンおよびデオキシピリジノリンなどの骨代謝の生化学的マーカーにおける変化を測定することによっても求めることができる。上記の生化学的マーカーのレベル低下が、骨吸収が低下して骨損失が低減していることを示すと一般に認められている。別法として、OPG融合ポリペプチドの治療上有効量は、骨強度の上昇、詳細には骨の捻れ(捻転)強度上昇を測定することで求めることもできる。
【0114】
概してOPG融合ポリペプチドの治療上有効量は、約0.1mg/kg〜約10mg/kg、好ましくは約1mg/kg〜約10mg/kgである。OPG融合ポリペプチドの半減期延長および特に免疫グロブリンFc領域へのOPGの融合によって、未修飾のOPGポリペプチドの場合より投与回数が減る。投与回数は、約1回/月、あるいは1回/2ヶ月または1回/3ヶ月とすることができる。正確な用量および投与回数は、製剤、投与経路、治療される状態などのいくつかの要素によって決まり、熟練者であれば容易に決定できることは当業者には明らかであろう。
【0115】
投与されたOPG融合蛋白の量は、融合蛋白についての診断アッセイを用いて求めることができる。そのような診断アッセイは、抗体がOPG融合蛋白に特異的に結合するが、内因性で自然に循環するOPGや天然抗体のFc領域などのやはり自然に循環し得るOPGに融合した異種蛋白の形のものには結合しない抗体サンドイッチアッセイのような抗体アッセイの形であることができる。OPG融合蛋白レベル測定のための抗体に基づくアッセイは、当業者には公知である各種形式で行うことができる。
【0116】
以下の実施例は本発明をさらに詳細に説明するために提供したものであって、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【実施例1】
【0117】
実施例1:OPG融合ポリペプチドの構築および発現
相当するOPG融合ポリペプチドを製造するのに使用されるOPG[1−194]−Fc、OPG[1−201]−Fc、OPG[1−194]−FcΔC、OPG[1−201]−FcΔC、OPG[1−194]−FcG10およびmetFcΔC−OPG[22−194]をコードするプラスミド類は、WO97/23614および同時係属中の米国特許出願__号(1999年9月_日出願)(これらはいずれも引用によって本明細書に含まれる)に記載の方法に従って構築される。ポリペプチド配列は、それぞれ図3〜8に示してある。
【0118】
哺乳動物および細菌の宿主細胞でのOPG融合ポリペプチドの発現は、WO97/23614に記載の方法に従って行った。
【実施例2】
【0119】
実施例2:溶解性骨疾患についての乳癌モデルでのOPG活性
7〜8週齢の雌Balb/cnu/nuマウスに、左心室を介して全身循環にヒトMDA−MB−231乳癌細胞(1.0×10個/マウス;ATCC寄託番号HTB−26)を直接注射した。腫瘍接種直後から毎週3回で4週間にわたって、マウスに静脈注射によって、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)またはmetFcΔC−OPG[22−194](25mg/kg)のいずれかを投与した。レントゲン写真から、病変/マウスの数を評価した。下記の方法に従って、腫瘍病巣の有無について、骨、心臓、肺、肝臓、腎臓、副腎、卵巣、脳、膵臓および脾臓を組織学的に評価した。
【0120】
図9に示したように、MDA−MB−231細胞の接種から4週間後に、長骨においてレントゲン写真病変が認められる。接種時点から開始して25mg/kgの用量で毎週3回metFcΔC−OPG[22−194]を静脈投与することで、関連する骨破壊は完全に阻害されている(6.2±0.8個に対し0.0±0.0個の病変/マウス、p<0.001)。
【実施例3】
【0121】
実施例3:溶解性骨疾患についてのマウス腺癌モデルにおけるOPG活性
7〜8週齢の雌CDF1マウスに、左心室を介して全身循環にマウスC26−DCT腺癌細胞(国立癌研究所の腫瘍貯蔵所(Tumor Repository)から入手;1.0×10個/マウス)を直接注射した。腫瘍接種直後から3日に1回で9日間にわたって、マウスに静脈注射によって、PBSまたはmetFcΔC−OPG[22−194](25mg/kg)のいずれかを投与した。10日目にマウスのレントゲン写真を撮り、組織をサンプリングして組織学的評価を行った。
【0122】
図9に示したように、C26−DCT細胞の心臓内接種から10日後にレントゲン写真病変が明らかに認められ(3,1±0.6個の病変/マウス)、FcdC−OPG[22−194]の静脈注射によって骨破壊が阻害されている。
【0123】
別の試験で、上記と同様にC26−DCT細胞をマウスに接種し、3日に1回で9日間にわたり3、1、0.3または0.1mg/kgの用量でPBSまたはmetFc−OPG[22−194]のいずれかを静脈注射によって投与した。10日目にマウスのレントゲン撮影を行った。レントゲン写真を評価し、組織を下記の方法に従って処理した。metFcΔC−OPG[22−194]の静脈投与によって、レントゲン写真病変は用量依存的に減少した(図10)
【実施例4】
【0124】
実施例4:高カルシウム血症についてのマウス腺癌モデルでのOPG活性
10〜12週齢の雄Balb/c×DBA/2(CDF1)マウスを購入した(Harlan Sprague Dawley (San Diego, CA)またはCharles River (Wilmington, MA)から)。
【0125】
N−ニトロソ−N−メチルウレタン(NMU)の繰り返し直腸内点滴によって最初に雌Balb/cマウスで誘発したC−26腫瘍(Corbett et al., Cancer Res. 35, 2434-2439 (1975))を、組織断片の形で国立癌研究所の腫瘍貯蔵所から入手した。その断片を物理的に破砕し、標準的な組織培養条件(37℃、5〜6%CO)下で培養したところ、それによって付着細胞系が生じ、それは継続的に繁殖させて次にそのまま凍結させることができた。in vitroでの細胞の継代に用いた培地は、10%FCS、1×pen−strep/グルタミンおよび1×非必須アミノ酸を含むDMEMである。共通のストックからの個別の冷凍細胞バイアルを、全ての実験の開始に用いた。最初に培地で再生した後、細胞をトリプシン処理して回収し、次に添加物を含まないDMEMで数回にわたって洗浄・再懸濁して細胞2.5×10個/mLとした。動物には、右脇腹の剃毛領域全体に0.2cc(細胞0.5×10個)を皮下注射した(SQ)。その条件下では腫瘍発達は、小さい変動性で非常に安定していることが認められた。
【0126】
投与は、8日目(予防試験)または血中イオン化カルシウムレベルが>1.60mmol/Lのレベルに達した時点(治療試験)で開始した。投与は、予防試験では8日間、治療試験では4日間続けた。予防試験では、metFcΔC−OPG[22−194]を、脇腹での皮下注射としてPBS媒体で1日1回投与した。治療試験では、metFcΔC−OPG[22−194]を、PBS媒体での単回静脈注射として投与した。いずれの試験でも、正常対照動物および腫瘍を有する対照動物に同様のPBS注射を行った。
【0127】
試験の期間中、マウスを1日1回秤量し(投与の際)、予防試験では2日に1回(その日の薬剤投与の前)または治療試験では1日1回、血中イオン化カルシウムレベルをモニタリングした。眼窩後方で採血を行い、血中イオン化カルシウム/pH分析装置(Chiron Diagnostics #634, Norwood, MA)を用いて血中カルシウム測定を行った。
【0128】
組織学的評価
試験の最後に各動物からの片足(大腿骨と脛骨をつながった状態で)を回収した。骨をリン酸緩衝亜鉛ホルマリンで固定し、ギ酸中で石灰質除去し、パラフィンに包埋した。遠位大腿骨および近位脛骨の中央領域から切片を取り、反応させて酒石酸耐性酸性ホスファターゼ活性(TRAP)を示すようにし、ヘマトキシリンで対比染色した。この染色法では、破骨細胞は赤に染色され、他の種類の細胞、骨および軟骨は各種青色陰影に染色される。
【0129】
オステオメジャー(Osteomeasure)骨分析プログラム(Osteometrics Inc., Decatur, GA)を用いて、近位脛骨成長板に対してちょうど遠位の領域(一次スポンギオサ(spongiosa))および最初の測定領域に対して2mm離れた脛骨の皮質軸領域で測定を行った。測定に脛骨の2つの離れた領域を用いることで、骨吸収における腫瘍誘発増加の正確な測定を行うことができるようにした。測定領域は、いずれの場所でも1mm×1mmの正方形領域からなり、最初の領域における成長板を含まないようにした。測定したパラメータは、破骨細胞の数と活性表面ならびに骨表面であった。結果は、破骨細胞数(OcN)、破骨細胞周囲長(活性破骨細胞表面)(OcPm)、骨周囲長(骨表面)(Bpm)として記録した。測定において破骨細胞を検討するため、TRAPを陽性とし、骨表面に接触した状態としなければならなかった。活性破骨細胞表面は、骨表面と直接接触している破骨細胞部分であった。いずれの測定も、顕微鏡に取り付けたカメラルシダを利用して、デジタイジングプラテン(digitizing platen)上で断面画像をトレースすることで行った。
【0130】
結果
OPG投与によって、体重損失に対するC−26腺癌の効果が緩和された。1日1回2.5mg/kgのOPG投与を受けたマウスは平均で5.2gの体重を失ったが、未投与の腫瘍を有する動物は平均で6.2gを失った。腫瘍を有するマウスにはPBSで3.47±0.72%の腫瘍があったが、それに対してOPG2.5mg/kg投与マウスでは3.42±0.82%であった。重量はPBSで0.75±0.14gであり、OPG2.5で0.79±0.16gである。
【0131】
C−26腫瘍誘発性血中イオン化カルシウムレベル上昇のOPGによる予防および回復
腫瘍移植から9日目に投与を開始したところOPGは、腫瘍が誘発する全血中イオン化カルシウムレベル上昇を用量依存的に阻害した(図11A参照)。OPG投与開始に先だって、腫瘍を有するマウスでは全血中イオン化カルシウムレベルがわずかに上昇していた(1.34±0.06mmol/Lと1.25±0.02mmol/L)。媒体投与群では、そのレベルは実験期間を通じて上昇を続け、13日目と15日目に最大レベル1.84±0.12mmol/Lとなり、16日目までにわずかに低下した。OPG投与群は、投与期間を通じて全血中イオン化カルシウムレベルのこの上昇について用量依存的阻害を示し、2.5mg/kg群ではイオン化カルシウムレベルは1.38±0.06mmol/Lの最大に達した。このカルシウムレベルは、腫瘍のない対照動物で認められたものと比較して、わずかではあるが有意に高いものであった。OPG投与は、腫瘍のないマウスではカルシウムレベルに影響を与えなかった。
【0132】
投与に先だってマウスをそのまま高カリウム血症とさせた場合、5.0mg/kgのOPG単回投与によってカルシウムレベルは急速に低下し、12時間までに有意な低下が明らかであって、投与24時間以内に正常カルシウム血状態となった(図11B)。実験のそれ以降の期間では、OPGによってカルシウムレベルは正常範囲に維持された。
【0133】
破骨細胞に覆われた骨表面および破骨細胞数におけるC−26腫瘍誘発増加のOPGによる予防および回復
C26腫瘍のある高カリウム血症マウスでは、破骨細胞に覆われた骨表面および破骨細胞数に顕著な上昇があった。高カリウム血症発症の前後における2.5mg/kgの用量でのOPG投与によって、破骨細胞はほぼ完全に消失した。骨吸収量の指標である破骨細胞表面測定値は、腫瘍のない対照での値3.91±1.10%と比較して、腫瘍を有する動物では有意に上昇して8.95±2.10%であった。高カリウム血症発症以前に1日1回2.5mg/kgの用量でOPGを投与したところ、上記の測定値は用量依存的に低下して0.13±0.07%となり、それは腫瘍を持たない対照動物の場合より有意に低い値である。
【0134】
骨表面1mm当たりの破骨細胞数も、腫瘍を持たない対照の場合の2.00±0.52/mmと比較して腫瘍を有する動物では上昇して4.41±1.03/mmとなった。2.5mg/kgの用量でOPGを1日1回投与することで、1mm当たりの破骨細胞数が用量依存的に低下して0.12±0.06/mmとなり、それは腫瘍のない動物の場合より有意に低いものである。
【0135】
破骨細胞の大きさおよび数のOPG投与による用量依存的低下
骨表面測定値のパーセントとしての破骨細胞表面ならびに骨表面1mm当たりの破骨細胞数はいずれも、腫瘍を持たない動物での3.66±1.01%および破骨細胞1.83±0.54個/mmという値を比較して、腫瘍を有する対照動物では有意に上昇して、それぞれ8.95±1.64%および破骨細胞4.12±0.72個/mmであった。OPGを1日1回2.5mg/kgで投与することで、これらの値は正常範囲より低くなり、1.26±0.93%および破骨細胞0.73±0.55個/mmとなった。
【0136】
以上、好ましい実施態様によって本発明を説明したが、当業者であれば変更および修正が行われることは明らかであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、特許請求されている本発明の範囲内に含まれるそのような全ての均等な変更を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における溶解性骨疾患の予防または治療方法において、治療上有効量のOPGポリペプチドを投与する段階を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
骨への癌の転移を予防する方法において、治療上有効量のOPGポリペプチドを投与する段階を有することを特徴とする方法。
【請求項3】
骨硬化性骨転移の予防方法において、治療上有効量のOPGポリペプチドを投与する段階を有することを特徴とする方法。
【請求項4】
治療上有効量の癌治療薬を投与する段階をさらに有する請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記OPGポリペプチドが図2に示したアミノ酸配列(配列番号2)または該配列の切断ポリペプチドを有する、請求項1、2、3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記OPGポリペプチドが図2(配列番号2)に示したアミノ酸残基186〜401の一部または全体のカルボキシ末端切断を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記OPGポリペプチドが図2(配列番号2)に示したアミノ酸残基22〜194(両端を含む)を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記OPGポリペプチドがOPG融合ポリペプチドである、請求項5、6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記OPG融合ポリペプチドが、OPGポリペプチドのN末端またはC末端へのFc領域の融合を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記OPG融合ポリペプチドが、図2(配列番号2)のアミノ酸残基22〜194に融合したFc領域を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記OPG融合ポリペプチドが、図5または図8(配列番号5または8)に示したアミノ酸配列からなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記OPGポリペプチドを、癌治療薬投与の前、同時または後に投与する、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項13】
溶解性骨疾患が骨に転移した癌とともに生じる、請求項1または3に記載の方法。
【請求項14】
前記癌が、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、腎臓癌、肺癌、食道癌、直腸癌、膀胱癌、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、消化管の癌、多発性骨髄腫およびリンパ腫からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記癌治療薬が、放射線療法、化学療法、抗体または非抗体ポリペプチドからなる群から選択される、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項16】
化学療法がアントラサイクリン類、タキソール、タモキシフェン、ドキソルビシンおよび5−フルオロウラシルを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記抗体が、腫瘍細胞表面にあるHer2、CDC20、CDC33、ムチン様糖蛋白または上皮成長因子受容体(EGFR)に結合する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記癌治療薬が、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)拮抗薬を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記LHRH拮抗薬が、下記構造を有するものまたは該物質の医薬的に許容される塩である、請求項18に記載の方法。
A−B−C−D−E−F−G−H−I−J
[上記構造において、
Aはpyro−glu、Ac−D−Nal、Ac−D−Qal、Ac−SarまたはAc−D−Palであり;
BはHisまたは4−Cl−D−Pheであり;
CはTrp、D−Pal、D−Nal、L−Nal−D−Pal(N−O)またはD−Trpであり;
DはSerであり;
EはN−Me−Ala、Tyr、N−Me−Tyr、Ser、Lys(iPr)、4−Cl−Phe、His、Asn、Met、Ala、ArgまたはIleであり;
Fは
【化1】

であり(式中、RおよびXは独立にHおよびアルキルであり;Yは小さい極性部分を有する);
GはLeuまたはTrpであり;
HはLys(iPr)、Gln、MetまたはArgであり;
IはProであり;
JはGly−NHまたはD−Ala−NHである。]
【請求項20】
前記LHRH拮抗薬がペプチド:N−Ac−D−Nal−4−Cl−Phe−D−Pal−Ser−N−Me−Tyr−D−Asn−Leu−Lys(iPr)−Pro−D−Ala−NHを有する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
OPGポリペプチドまたはOPG融合ポリペプチドの前記治療上有効量が0.1mg/kg〜10mg/kgである、請求項1、2、3または8に記載の方法。
【請求項22】
多発性骨髄腫の予防または治療方法において、治療上有効量のOPGポリペプチドを投与する段階を有することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【公開番号】特開2011−225581(P2011−225581A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−123144(P2011−123144)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【分割の表示】特願2001−521333(P2001−521333)の分割
【原出願日】平成12年8月18日(2000.8.18)
【出願人】(500049716)アムジエン・インコーポレーテツド (242)
【Fターム(参考)】