説明

癌に関係するタンパク質

本発明は、卵巣癌及び肺癌の診断、スクリーニング、治療及び予防におけるFLJ20584の新しい使用に関するものである。本発明は、FLJ20584を含む組成物、例えばワクチン、FLJ20584と免疫特異的な抗体、及びFLJ20584の発現若しくは活性と相互作用するか又はそれを調整する物質、又はFLJ20584をコードする核酸の発現を調整する物質を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリペプチドFLJ20584を標的にすることを含む癌の治療及び/又は予防のための方法、前記ポリペプチドと相互に作用するかその発現又は活性を調整する物質、そのような物質の同定方法、並びに癌の診断におけるFLJ20584の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
卵巣癌は婦人科の癌で最も致命的な癌であり、患者の約70%が一般的な上皮性卵巣癌を有するがこれは疾病後期の段階で初めて表れる。癌は上腹部に広がっているので、生存率は疾病初期の段階と比較してかなり低くなる。卵巣癌は通常シスプラチンをベースにした化学療法で治療されるが、獲得したシスプラチン抵抗性のためにしばしば再発し(Yahata,H.ら、2002、J.Cancer Res.Clin.Oncol.128:621〜6頁)、それ故に新薬及び新治療標的に対する要求がある。また、現在のマーカーは大集団で適用できる十分な感度及び特異性が不足しているので、卵巣癌の新たなマーカーに対する要求もある(Rai,A.ら、2002、Arch.Pathol.Lab.Med.126:1518〜26頁)。
【0003】
肺癌は、男性と女性の両方の癌死の大きな割合を占める。肺癌には、非小細胞肺癌及び小細胞肺癌の2つの主要な型がある。治療は手術に制限され、可能な場合には化学療法及び放射線療法が用いられる。肺癌治療の課題は、前癌状態の疾患を有する者をより詳細にモニターして化学的予防薬剤で治療することができるように早期発見のより良い手段を開発すること、及び肺癌治療のためのより良い療法を開発することである。
【0004】
FLJ20584に対応するヌクレオチド配列は、国際公開01/98353及び国際公開02/44340で開示されているが、どちらの出願もFLJ20584の具体的な有用性を開示していない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、FLJ20584が卵巣癌及び/又は肺癌などの癌の治療及び/又は予防のための新規治療標的となるとの知見に基づく。FLJ20584は、卵巣癌及び/又は肺癌などの癌のスクリーニング及び/又は診断のための新規マーカーともなる。
【0006】
したがって、本発明は癌を治療及び/又は予防するための方法であって、FLJ20584ポリペプチドと相互に作用するかその発現又は活性を調整する物質の治療的有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0007】
FLJ20584ポリペプチドは、
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むかそれからなるポリペプチド、
(b)FLJ20584活性を保持する配列番号1のアミノ酸配列に対して1つ又は複数のアミノ酸置換、修飾、欠失又は挿入を有する誘導体であるポリペプチド、或いは
(c)長さが少なくとも10アミノ酸であり且つFLJ20584の活性を保持する、前記(a)又は(b)の断片であるポリペプチドを含む。
【0008】
用語「ポリペプチド」は、ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質を含む。これらは、特に明記しない限り互換的に使用される。
【0009】
本出願では、用語「癌腫」又は「癌」は互換的に使用され、皮膚、又はより一般的に体器官、例えば卵巣、乳腺、前立腺、肺、腎臓、膵臓、胃若しくは腸の内層で見られる、上皮に起因する悪性腫瘍を含む。癌腫は隣接した組織に浸潤して、例えば骨、肝臓、肺又は脳などの離れた臓器に広がる(転移する)傾向がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施形態において、前記癌腫は卵巣癌である。他の実施形態では、前記癌腫は肺癌である。他の実施形態では、前記癌は骨肉腫である。
【0011】
本発明の方法で使用する物質としては、それには限定されないが、FLJ20584ポリペプチド又はFLJ20584ポリペプチドをコードしている核酸分子と相互作用すること(例えば結合すること若しくは認識すること)ができる物質、或いはFLJ20584ポリペプチドの相互作用、発現、活性、又はFLJ20584ポリペプチドをコードしている核酸分子の発現を調整することができる物質がある。そのような物質には、それに限定されるものではないが、抗体、核酸(例えばDNA及びRNA)、炭水化物、脂質、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ペプチド様物質、小分子及び他の物質が含まれる。
【0012】
したがって、本発明は、癌の治療及び/又は予防のための医薬品の製造のための、FLJ20584ポリペプチドと相互に作用するかその発現又は活性を調整する物質の使用も提供する。
【0013】
最も好ましくは、癌の治療及び/又は予防に用いられる物質は、FLJ20584ポリペプチドと相互に作用する(すなわち、結合するかそれを認識する)か又はその活性を調整する抗体である。したがって、癌の治療及び/又は予防のための医薬品の製造のための、FLJ20584ポリペプチドと相互に作用する抗体の使用が提供される。また、対象における癌を治療及び/又は予防するための方法であって、前記対象に対してFLJ20584と相互に作用する抗体の治療的有効量を投与することを含む方法も提供される。一実施形態では、FLJ20584ポリペプチドと相互に作用する抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)を媒介するために使用することができる。そのような場合、抗体は好ましくは完全長のそのままの抗体である。本発明の他の態様では、FLJ20584ポリペプチドと相互に作用する抗体は、前記ポリペプチドの活性を阻止するために使用することができる。
【0014】
最も好ましいものは、特異的にFLJ20584ポリペプチドと相互作用する抗体である。特異的に相互作用する(例えば認識又は結合する)とは、抗体が他のポリペプチドに対してよりもFLJ20584ポリペプチドに対して強い親和性を有することを意味する。
【0015】
任意選択に治療的な部分とコンジュゲートされた抗体は、単独で又は細胞傷害性因子及び/又はサイトカインと組合せて、治療的に使用することができる。詳細には、FLJ20584抗体は、ある特定の生物反応を修飾するために細胞傷害剤、放射性核種又は薬剤部分などの治療剤とコンジュゲートすることができる。前記治療剤は、古典的な化学療法剤に限られるとはみなされない。例えば、前記治療剤は、所望の生物学的活性を有するタンパク質又はポリペプチドである薬剤部分でよい。そのような部分としては、それには限定されないものの、例えばアブリン、リシンA、シュードモナス外毒素又はジフテリア毒素などの毒素、メイタンシノイド(maytansinoid)(DM1)、腫瘍壊死因子、α−インターフェロン、β−インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子又は組織プラスミノーゲン活性化因子などのタンパク質、血栓剤又は抗血管形成剤、例えばアンギオスタチン若しくはエンドスタチン;アンギオゲニン、ゲロニン、ドルスタチン(dolstatin)、副溝結合剤、ビス−ヨード−フェノールマスタード、又は生体応答調節剤、例えばリンホカイン、インターロイキン1(IL−1)、インターロイキン2(IL−2)、インターロイキン6(IL−6)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、神経成長因子(NGF)又は他の成長因子などを挙げることができる。
【0016】
また治療剤としては、細胞に有害である(例えば殺傷性のある)いかなる物質を含む、細胞毒又は細胞傷害剤を挙げることができる。例としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンカアルカロイド、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、4−デスアセチルビンブラスチン−3−カルボヒドラジド、ビンデシン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアンスラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール及びピューロマイシン、並びにそれらの類似体又は同族体がある。また治療剤としては、それには限定されないが、葉酸拮抗薬(例えばアミノプテリン及びメトトレキサート)、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン、5−フルオロ−2’−デオキシウリジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)及びロムスチン(CCNU)、シクロソスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、及びシスジクロロジアミンプラチナ(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン類(例えば、ダウノルビシン(旧ダウノマイシン)及びドキソルビシン、アドリアマイシン、イダルビシン、モルホリノドキソルビシン、エピルビシン、ドキソルビシンヒドラジド)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、アントラマイシン(AMC)、カリシェアミシン(calicheamicin)又はデュオカルマイシン(duocarmycin)、CC−1065、エネジエン(enediyene)、ネオカルチノスタチン)、並びに細胞分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)もある。詳細は、Garnett、2001、Advanced drug Delivery Reviews 53:171〜216頁を参照されたい。
【0017】
他の治療的部分としては、131I、111In及び90Y、Lu177、ビスマス213、ビスマス212、カリホルニウム252、イリジウム192及びタングステン188/レニウム188211アスタチンなどの放射性核種、又は例えばそれには限定されないが、アルキルホスホコリン、トポイソメラーゼI阻害剤、タキソイド(taxoid)及びスラミンなどの薬剤を挙げることができる。
【0018】
抗体にそのような治療剤をコンジュゲートする手法は当技術分野で既知である(例えばMonoclonal Antibodies And Cancer Therapy、Reisfeldら編、1985、243〜56頁、編Alan R.Liss,Inc.中のArnonら、「癌療法における薬剤のイムノターゲッティングのためのモノクローナル抗体(Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy)」;Controlled Drug Delivery、第2版、Robinsonら編、1987、623〜53頁、Marcel Dekker,Inc.中のHellstromら「薬物送達のための抗体(Antibodies For Drug Delivery)」;Monoclonal Antibodies’84:Biological And Clinical Applications、Pincheraら編、1985、475〜506頁中のThorpe、「癌療法における細胞傷害剤の抗体担体:レビュー(Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review」;Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy、Baldwinら(編)、1985、303〜16頁、Academic Press中の「癌療法における放射性標識抗体の治療的利用の分析、結果、及び将来の見通し(Analysis,Results,And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabelled Antibody In Cancer Therapy)」;Thorpsら、1982「抗体−毒素コンジュゲートの調製及び細胞傷害的性質(The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody−Toxin Conjugates)」、Immunol.Rev.62:119〜58頁、及びDubowchikら、1999、Pharmacology and Therapeutics、83、67〜123頁を参照)。
【0019】
本発明に用いられる抗体としては、それには限定されないが、例えば任意の種類の分子の共有結合によって修飾される類似体及び誘導体がある。好ましくは、前記結合は免疫特異的結合を害しない。一態様では、抗体を第二抗体にコンジュゲートして抗体ヘテロ複合体を形成することができる(米国特許第4676980号を参照)。
【0020】
処理された抗体断片は、かなりの有効量の薬剤を腫瘍に対して選択的にターゲッティングさせるために、立体配置的に安定化された(ステルス)リポソームの表面に結合することもできる(例えばParkら、1995、Proc.Natl.acad.Sci USA 92:1327〜1331頁;Parkら、1997、Cancer Lett.118:153〜160頁を参照)。
【0021】
一実施形態では、放射性核種及びプロドラッグなどの細胞傷害剤は、腫瘍をプレターゲッティングすることができる。詳細には、抗体依存性酵素媒介性のプロドラッグ療法(ADEPT)は、腫瘍に対するプロドラッグのプレターゲティングを含む(Niculescu−Duvazら、1999、Anticancer Drug Des.14:517〜538頁;Syrigosら、1999、Anticancer Res.19:605〜613頁)。
【0022】
他の実施形態では、本発明は、抗体(又はその機能的活性断片)の融合タンパク質の治療的使用を提供し、抗体又はその断片は、例えば、それには限定されないが、共有結合(例えばペプチド結合)により任意選択にN末端又はC末端で他のタンパク質(又はその部分、好ましくはそのタンパク質の少なくとも10、20若しくは50アミノ酸部分)のアミノ酸配列と融合されている。好ましくは、抗体又はその断片は、その抗体の定常ドメインのN末端で他のタンパク質に結合される。他の態様において、抗体融合タンパク質は本明細書で記載されるポリペプチドの消耗又は精製を助長し、in vivo半減期を長くし、上皮性関門を越えて抗原が免疫系に送達されるのを促進することができる。
【0023】
融合タンパク質がエフェクター又はレポーター分子に結合されている抗体断片である場合、これは標準の化学手法又は組換えDNA手法によって調製することができる。好ましいエフェクター基はポリマー分子であり、それはそのin vivo半減期を長くするために修飾されたFabフラグメントに結合することができる。他のエフェクター基としては、デキストラン、ヒト血清アルブミン及びヒドロキシプロピルメタクリルアミド(HPMA)がある。
【0024】
前記ポリマー分子は、一般に合成又は自然発生のポリマーでよく、例えば任意選択に置換された直鎖又は分枝鎖のポリアルキレン、ポリアルケニレン又はポリオキシアルキレンポリマー或いは分枝又は非分岐の多糖、例えばホモ又はヘテロの多糖がある。
【0025】
前述合成ポリマー上で存在することができる特定の任意選択の置換基としては、1つ又は複数のヒドロキシ基、メチル基又はメトキシ基がある。合成ポリマーの特定の例としては、任意選択に置換された直鎖又は分枝鎖のポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)又はそれらの誘導体、特にメトキシポリ(エチレングリコール)などの任意選択に置換されたポリ(エチレングリコール)又はその誘導体がある。
【0026】
自然に存在する特定のポリマーとしては、ラクトース、アミロース、デキストラン、グリコーゲン又はそれらの誘導体がある。
【0027】
本明細書で使用されるとき「誘導体」は、反応性誘導体、例えばマレイミドなどのようなチオール選択性反応基を含むものとする。この反応基は、直接又はリンカー部分を通してポリマーと結合することができる。そのような基の残基は、場合によっては抗体断片及びポリマーの間の結合基として、生成物の一部を形成することは理解されよう。
【0028】
ポリマーの大きさは所望により変更することができるが、平均分子量は通常500Daから50000Daの範囲の平均分子量、好ましくは5000から40000Daの範囲の平均分子量、より好ましくは25000から40000Daの範囲の平均分子量である。ポリマーの大きさは、特に生成物の目的とする用途に基づいて選択することができる。従って、例えば腫瘍の治療のために生成物が循環系を離れて組織に浸入するものとするならば、小分子量のポリマー、例えば約5000Daの分子量のものを使うことが有利であると言える。生成物が循環系中に残る用途の場合ならば、高分子量ポリマー、例えば25000Daから40000Daの範囲の分子量を有するものを使うことが有利であると言えよう。
【0029】
特に好ましいポリマーは、ポリアルキレンポリマー、例えばポリ(エチレングリコール)、或いは特にメトキシポリ(エチレングリコール)又はその誘導体であり、特に約25000Daから約40000Daの範囲の分子量のものが好しい。
【0030】
修飾された抗体断片に結合された各ポリマー分子は、断片中に位置するシステイン残基の硫黄原子と共有結合で結合することができる。この共有結合は、通常、ジスルフィド結合、又は、特に硫黄−炭素結合である。
【0031】
所望ならば、前記抗体断片はそれに結合した1つ又は複数のエフェクター分子又はレポーター分子を有することができる。このエフェクター分子又はレポーター分子は、断片上の利用可能なアミノ酸側鎖又は末端アミノ酸官能基、例えば遊離アミノ基、イミノ基、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を通じて、抗体断片と結合することができる。
【0032】
活性化ポリマーは、先に述べたようなポリマーで修飾された抗体断片の調製において、出発物質として使用することができる。活性化ポリマーは、α−ハロカルボン酸又はエステル(例えばヨードアセトアミド)、イミド(例えばマレイミド)、ビニルスルホン又はジスルフィドなどのチオール反応基を含んでいるいかなるポリマーであってもよい。そのような出発物質は市販品を入手できるか(例えばNektar Therapeutics,Inc.(Huntsville,AL)から)、又は市販の出発物質から従来の化学手法を使って調製することができる。
【0033】
抗体断片が活性化ポリマーとの反応の前又は後に、エフェクター又はレポーター分子と直接又はカップリング剤を通じて連結される標準的な化学手法又は組換えDNA手法を適宜使用することができる。特定の化学手法としては、例えば、国際公開93/06231、国際公開92/22583、国際公開90/09195、国際公開89/01476、国際公開99/15549及び国際公開03/031581で記載されているものがある。或いはエフェクター又はレポーター分子がタンパク質又はポリペプチドである場合ならば、前記結合は組換えDNA手法、例えば国際公開86/01533及び欧州特許第0392745号で記載されているものを用いて達成することができる。
【0034】
最も好ましくは、抗体はポリ(エチレングリコール)(PEG)部分に結合される。好ましくは、修飾されたFabフラグメントは、例えば欧州特許第0948544号で開示されている方法に従ってPEG化され、すなわち共有結合でそれと結合したPEG(ポリ(エチレングリコール))を有する[「ポリ(エチレングリコール)の化学、バイオ技術的及び生物医学的な応用(Poly(ethyleneglycol)Chemistry,Biotechnical and Biomedical Applications)」、1992、J.Milton Harris(編)、Plenum Press、New York、「ポリ(エチレングリコール)の化学及び生物学的応用(Poly(ethyleneglycol)Chemistry and Biological Applications)」、1997、J.Milton Harris及びS.Zalipsky(編)、American Chemical Society、Washington DC、及び「生物医学科学のためのバイオコンジュゲーションタンパク質結合技術(Bioconjugation Protein Coupling Techniques for the Biomedical Sciences)」、1998、M.Aslam及びA.Dent、Grove Publishers、New York;Chapman,A.、2002、Advanced Drug Delivery Reviews 2002、54:531〜545頁も参照]。一実施形態では、PEGで修飾されたFabフラグメントは、修飾されたヒンジ部において単一のチオール基と共有結合で結合しているマレイミド基を有する。リジン残基は、前記マレイミド基と共有結合で結合することができる。リジン残基上の各アミン基には、約20,000Daの分子量のメトキシポリ(エチレングリコール)ポリマーを結合することができる。エフェクター分子全体の総分子量は、したがって約40,000Daであってよい。
【0035】
FLJ20584ポリペプチド又は前記ポリペプチドを発現している細胞は、例えば前記FLJ20584ポリペプチドを特異的に認識する抗体を産生するために使用することができる。FLJ20584ポリペプチドに対して生成される抗体は、前記ポリペプチドを動物、好ましくはヒト以外の動物に既知の常用のプロトコルを用いて投与することによって得ることができる。
【0036】
抗FLJ20584抗体は機能的に活性な断片、誘導体又は類似体を含み、それには限定されないがポリクローナル、モノクローナル、二価、三価又は四価の抗体、ヒト化又はキメラ抗体、単鎖抗体、Fabフラグメント、Fab’及びFab’フラグメント、Fab発現ライブラリによって作製される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、並びに上のいずれかのエピトープ結合断片でよい。ヒト化抗体は、ヒト以外の種からの1つ又は複数の相補性決定領域(CDR)とヒト免疫グロブリン分子からの枠組み領域とを有する、ヒト以外の種に由来する抗体分子である(例えば、米国特許第5585089号を参照)。抗体には、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち抗原と特異的に結合する抗原結合部位を含む分子が含まれる。本発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子のいかなるクラス(例えばIgG、IgE、IgM、IgD及びIgA)又はサブクラスでもよい。
【0037】
モノクローナル抗体は、当技術分野で既知のいかなる方法、例えばハイブリドーマ技術(Kohler及びMilstein、1975、Nature、256:495〜497頁)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、1983、Immunology Today、4:72)及びEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、77〜96頁、Alan R Liss,Inc.、1985)によって調製することができる。
【0038】
キメラ抗体は、軽鎖及び重鎖遺伝子が異なる種に属する免疫グロブリン遺伝子部分から構成されるように遺伝子操作されている免疫グロブリン遺伝子によってコードされる抗体である。これらのキメラ抗体の抗原性は低いようである。二価抗体は、当技術分野で既知の方法によって作ることができる(Milsteinら、1983、Nature 305:537〜539頁;国際公開93/08829、Trauneckerら、1991、EMBO J.10:3655〜3659頁)。二価、三価及び四価の抗体は複数の特異性を含むことができ、又は単一特異性でもよい(例えば国際公開92/22853を参照)。
【0039】
本発明に用いられる抗体は、例えば、Babcook,J.ら、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93(15):7843〜7848頁及び国際公開92/02551で記載されている、特異抗体の産生のために選択された単一のリンパ球から生成される免疫グロブリン可変部cDNAの分子クローニング及び発現に基づく単一リンパ球抗体法を使って生成することができる。
【0040】
本発明に用いられる抗体は、当技術分野で既知の様々なファージディスプレイ方法を使って生成することもでき、例えばBrinkmanら(J.Immunol.Methods、1995、182:41〜50頁)、Amesら(J.Immunol.Methods、1995、184:177〜186頁)、Kettleboroughら(Eur.J.Immunol.1994、24:952〜958頁)、Persicら(Gene、1997 1879〜18頁)、Burtonら(Advances in Immunology、1994、57:191〜280頁)及び国際公開90/02809、国際公開91/10737、国際公開92/01047、国際公開92/18619、国際公開93/11236、国際公開95/15982、国際公開95/20401、並びに米国特許第5698426号、5223409号、5403484号、5580717号、5427908号、5750753号、5821047号、5571698号、5427908号、5516637号、5780225号、5658727号、5733743号及び5969108号によって開示されているものがある。米国特許第4946778号で記載されているような単鎖抗体の産生のための技術も、FLJ20584ポリペプチドに対する単鎖抗体を産生するために応用することができる。また、トランスジェニックマウス又は他の哺乳類を含む他の生物は、ヒト化抗体を発現するために使用することができる。
【0041】
FLJ20584ポリペプチドは、本発明に従う治療及び/又は予防の方法で用いる剤の識別のために使用することができる。
【0042】
本発明の他の態様は、FLJ20584ポリペプチドと相互作用する抗癌剤をスクリーニングする方法であって、
(a)前記ポリペプチドを候補物質と接触させること、及び
(b)前記候補物質が前記ポリペプチドと相互作用するか否かを測定することを含む方法を提供する。
【0043】
好ましくは、前記候補物質及びFLJ20584ポリペプチドの間の相互作用の判定は、前記候補物質及び前記ポリペプチドの結合を定量的に検出することを含む。
【0044】
更に、FLJ20584ポリペプチドの発現又は活性を調整する抗癌剤をスクリーニングする方法であって、
(i)候補物質の存在下での前記ポリペプチドの発現又は活性を、前記候補物質が非存在下又は対照物質の存在下での前記ポリペプチドの発現又は活性と比較すること、及び
(ii)前記候補物質が前記ポリペプチドの発現又は活性の変化を起こすか否かを測定することを含む方法が提供される。
【0045】
好ましくは、FLJ20584ポリペプチドの発現及び/又は活性は、所定の基準範囲(reference range)又は対照と比較される。
【0046】
より好ましくは、前記方法は癌の治療及び/又は予防での使用のための更なる試験のために、FLJ20584ポリペプチドと相互に作用するか、FLJ20584ポリペプチドの相互作用、発現又は活性を調整することができる物質を選択することを更に含む。上記のスクリーニング法はFLJ20584核酸分子の発現又は活性と相互に作用するかそれを調整する抗癌剤のスクリーニングにも適当であることは、当業者にとって明らかであるだろう。
【0047】
本発明は、癌の治療剤及び/又は予防剤の効力を同定するか検証するための、創薬(drug discovery)で用いるためのアッセイも提供する。これらの方法を使って同定される物質は、創薬のためのリード物質として使用したり、治療的に使用したりすることができる。FLJ20584ポリペプチドの発現は、例えばイムノアッセイ、ゲル電気泳動法及びその後の可視化、mRNA又はFLJ20584ポリペプチド活性の検出、或いは本明細書で教示されているか当業者に既知の他のいかなる方法によっても分析することができる。そのようなアッセイは、候補物質をスクリーニングするために、臨床モニタリングにおいて、又は薬剤開発において使用することができる。
【0048】
物質は、多種多様な候補物質から選択することができる。候補物質の例としては、それに限定されるものではないが、核酸(例えばDNA及びRNA)、炭水化物、脂質、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ペプチド様物質、小分子及び他の物質が含まれる。物質は、当技術分野で既知の組合せライブラリ方法の多数の手法のいずれかを用いて得ることができ、それの例としては生物学的ライブラリ、空間的にアドレス可能な平行固相又は溶液相ライブラリ、デコンボリューションを必要とする合成ライブラリ方法、「1ビーズ1化合物」ライブラリ方法、及びアフィニティークロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリ方法がある。生物学的ライブラリ手法はペプチドライブラリに適し、その他の4つの手法は化合物のペプチド、非ペプチドオリゴマー又は小分子ライブラリに適用できる(Lam、1997、Anticancer Drug Des.12:145、米国特許第5738996号、及び米国特許第5807683)。
【0049】
分子ライブラリの合成のための本記載に基づく適当な方法の例は当技術分野で見つけることができ、例えば、DeWittら、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6909;Erbら、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11422;Zuckermannら、1994、J.Med.Chem.37:2678;Choら、1993、Science 261:1303;Carrellら、1994、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2059;Carrellら、1994、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2061;及びGallopら、1994、J.Med.Chem.37:1233などで見られる。
【0050】
化合物のライブラリは、例えば溶液(例えば、Houghten、1992、Bio/Techniques 13:412〜421頁)で、又はビーズ(Lam、1991、Nature 354:82〜84頁)、チップ(Fodor、1993、Nature 364:555〜556頁)、細菌(米国特許第5223409号)、胞子(米国特許第5571698号、5403484号及び5223409号)、プラスミド(Cullら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1865〜1869頁)若しくはファージ(Scott and Smith、1990、Science 249:386〜390頁、Devlin、1990、Science 249:404〜406頁、Cwirlaら、1990、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:6378〜6382頁、及びFelici、1991、J.Mol.Biol.222:301〜310頁)上で提示することができる。
【0051】
一実施形態では、FLJ20584ポリペプチドと相互作用する(例えば、結合する)剤は、FLJ20584ポリペプチドを発現している細胞集団を候補物質と接触させ、候補物質が前記ポリペプチドと相互作用する能力を測定する細胞ベースのアッセイで同定される。好ましくは、候補物質がFLJ20584ポリペプチドと相互作用する能力は、基準範囲又は対照と比較される。他の実施形態では、FLJ20584ポリペプチドを発現する細胞の第1及び第2の集団を候補物質又は対照物質と接触させ、候補物質がポリペプチドと相互作用する能力を、候補物質及び対照物質の間の相互作用の差を比較することにより測定する。所望により、この種のアッセイは、FLJ20584ポリペプチドを発現する複数の細胞集団を使って複数の(例えばライブラリの)候補物質をスクリーニングするために使用することができる。所望により、このアッセイは、複数の(例えばライブラリの)候補物質をスクリーニングするために使用することができる。前記細胞は、例えば、原核生物起源(例えば大腸菌)又は真核生物起源(例えば酵母若しくは哺乳動物)でよい。更に、前記細胞は内因的にFLJ20584ポリペプチドを発現すること、又は前記ポリペプチドを発現するように遺伝子操作することができる。一部の実施形態では、FLJ20584ポリペプチド又は候補物質は、ポリペプチド及び候補物質の間の相互作用の検出を可能にするために、例えば放射性標識(例えば32P、35S又は125I)或いは蛍光標識(例えば蛍光イソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルデヒド又はフルオレサミン)で標識される。
【0052】
他の実施形態では、FLJ20584ポリペプチドと相互作用する(例えば、結合する)物質は、FLJ20584ポリペプチドを発現している試料を候補物質と接触させ、候補物質が前記ポリペプチドと相互作用する能力を測定する無細胞系のアッセイで同定される。好ましくは、候補物質がFLJ20584ポリペプチドと相互作用する能力は、基準範囲又は対照と比較される。好ましい実施形態では、天然又は組換え体のFLJ20584ポリペプチドを含んでいる第1及び第2の試料を候補物質又は対照物質と接触させ、候補物質がポリペプチドと相互作用する能力を、候補物質及び対照物質の間の相互作用の差を比較することにより測定する。所望により、このアッセイは、複数のFLJ20584ポリペプチド試料を用いて複数の(例えばライブラリの)候補物質をスクリーニングするために使用することができる。好ましくは、前記ポリペプチドは最初に、例えばポリペプチドを、それを特異的に認識して結合する固定化抗体と接触させることによって、又はポリペプチドの精製調製物をタンパク質と結合する構造になっている表面と接触させることによって固定化される。前記ポリペプチドは部分的に又は完全に精製されていてもよいし(例えば、他のポリペプチドを部分的に又は完全に含まない)、又は細胞溶解物の一部でもよい。更に、前記ポリペプチドはFLJ20584ポリペプチド又はその生物学的活性部分と、グルタチオンS−転移酵素などのドメインとを含んでいる融合タンパク質であってもよい。或いは、前記ポリペプチドは、当業者に既知の技術(例えばビオチン化キット、Pierce Chemicals、Rockford、IL)を使ってビオチン化することができる。ポリペプチドと相互作用する候補物質の能力は、当業者に既知の方法によって2倍にすることができる。
【0053】
一実施形態では、FLJ20584ポリペプチドは、FLJ20584ポリペプチドと結合するか相互作用する他のタンパク質を同定するための2ハイブリッドアッセイ又は3ハイブリッドアッセイにおいて、「餌タンパク質(bait protein)」として使用される(例えば米国特許第5283317号、Zervosら、1993、Cell 72:223〜232頁、Maduraら、1993、J.Biol.Chem.268:12046〜12054頁、Bartelら、1993、Bio/Techniques 14:920〜924頁、Iwabuchiら、1993、Oncogene 8:1693〜1696頁、及び国際公開94/10300を参照)。当業者ならば理解するように、そのような結合タンパク質もFLJ20584ポリペプチドによるシグナルの伝搬に関与するようである。例えば、それらはFLJ20584ポリペプチドを含んでいる情報伝達経路の上流側要素又は下流側要素であってよい。或いは、FLJ20584ポリペプチドと相互作用するポリペプチドは、FLJ20584ポリペプチドを含んでいるタンパク質複合体(前記ポリペプチドは、直接又は間接的に1つ又は複数の他のポリペプチドと相互作用することができる)を単離し、当技術分野で既知の方法、例えば質量分析又はウェスタンブロット法を使って関連タンパク質を同定することによって同定することができる(例えば、Blackstock、W.&Weir,M.、1999、Trends in Biotechnology、17:121〜127頁、Rigaut,G.、1999、Nature Biotechnology、17:1030〜1032頁、Husi,H.2000、Nature Neurosci.3:661〜669頁、Ho,Y.ら、2002、Nature、415:180〜183頁、Gavin,A.ら、2002、Nature、415:141〜147頁を参照)。
【0054】
総ての場合において、候補物質がFLJ20584ポリペプチドと直接又は間接に相互作用する能力は、当業者に既知の方法によって測定することができる。例えば、それには限定されないが、候補物質及びFLJ20584ポリペプチドの間の相互作用は、フローサイトメトリー、シンチレーションアッセイ、活性アッセイ、質量分析、顕微鏡検査、免疫沈降法又はウェスタンブロット解析で測定することができる。
【0055】
他の実施形態では、FLJ20584ポリペプチドと競合的に相互作用する(すなわち競合的に結合する)物質は競合結合検定法で同定され、候補物質がFLJ20584ポリペプチドと相互作用する能力を測定する。好ましくは、候補物質がFLJ20584ポリペプチドと相互作用する能力は、基準範囲又は対照と比較される。好ましい一実施形態では、FLJ20584ポリペプチド及びFLJ20584ポリペプチドと相互作用することが知られているタンパク質の両方を発現する細胞の第1及び第2の集団を、候補物質又は対照物質と接触させる。次いで、候補物質がFLJ20584ポリペプチドと競合的に相互作用する能力を、細胞の第1及び第2の集団における相互作用を比較することによって測定する。他の実施形態では、代わりの第2の集団又は更なる細胞集団を、FLJ20584ポリペプチドと競合的に相互作用することが既知の物質と接触させることができる。或いは、FLJ20584ポリペプチドと競合的に相互作用する物質は、無細胞アッセイ系でFLJ20584ポリペプチド及びにFLJ20584ポリペプチドと相互作用することが知られているタンパク質を含んでいる第1及び第2の試料を、候補物質又は対照物質と接触させることにより同定される。次いで、候補物質がFLJ20584ポリペプチドと競合的に相互作用する能力を、第1及び第2の試料における相互作用を比較することによって測定する。他の実施形態では、FLJ20584ポリペプチドを含んでいる代わりの第2の試料又は更なる試料を、FLJ20584ポリペプチドと競合的に相互作用することが知られている物質と接触させることができる。いずれの場合も、FLJ20584ポリペプチド及び既知の相互作用するタンパク質は、自然に発現させることができるか、組換えで発現させることができる。候補物質は外因的に加えることができるか、自然に又は組換えで発現させることができる。
【0056】
他の実施形態では、FLJ20584ポリペプチド及び他の物質(例えばそれには限定されないがタンパク質)の間の相互作用を調整する物質は、細胞ベースのアッセイにおいて、既知の相互作用物質の存在下でFLJ20584ポリペプチドを発現する細胞及び候補調整物質を接触させ、相互作用を調整する候補物質を選択することによって同定することができる。或いは、FLJ20584ポリペプチド及び他の物質(例えばそれには限定されないがタンパク質)の間の相互作用を調整する物質は、無細胞アッセイ系において、候補物質の存在下で前記ポリペプチドを、前記ポリペプチドと相互作用することが知られている物質と接触させることによって同定することができる。調整剤は、抗体、補因子、阻害剤、活性化剤として作用することができるが、又は、FLJ20584ポリペプチド及び既知の物質の間の相互作用に対してアンタゴニスト作用又はアゴニスト作用を及ぼすことができる。上述したように、既知の物質がFLJ20584ポリペプチドと相互作用する能力は、当業者に既知の方法によって測定することができる。細胞ベースであれ無細胞系であれ、これらのアッセイは複数の(例えばライブラリの)候補物質をスクリーニングするために使用することができる。
【0057】
他の実施形態では、細胞ベースのアッセイ系は、FLJ20584ポリペプチドの活性を調整する(すなわち、刺激又は阻止する)ことができる物質を同定するために使用される。したがって、FLJ20584ポリペプチドの活性を、候補物質の存在下で、FLJ20584ポリペプチドを自然に又は組換えで発現する細胞の集団において測定する。好ましくは、FLJ20584ポリペプチドの活性は、基準範囲又は対照と比較される。好ましい一実施形態では、FLJ20584ポリペプチドの活性を、物質の存在下又は候補物質の非存在下(例えば対照物質の存在下で)、FLJ20584ポリペプチドを自然に又は組換えで発現する細胞の第1及び第2の集団において測定し、FLJ20584ポリペプチドの活性が比較される。次いで、候補物質をこの比較に基づいてFLJ20584ポリペプチドの活性のモジュレーターとして同定することができる。或いは、FLJ20584ポリペプチドの活性を、FLJ20584ポリペプチドが天然又は組換えである無細胞アッセイ系で測定することができる。好ましくは、FLJ20584ポリペプチドの活性は、基準範囲又は対照と比較される。好ましい一実施形態では、FLJ20584ポリペプチドの活性を候補物質の存在下又は非存在下で第1及び第2の試料において測定し、FLJ20584ポリペプチドの活性が比較される。次に、候補物質をこの比較に基づいてFLJ20584ポリペプチドの活性のモジュレーターとして同定することができる。
【0058】
FLJ20584ポリペプチドの活性は、下流側エフェクターに及ぼすその影響、例えばそれには限定されないが、2次メッセンジャー(例えばcAMP、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP、その他)の活性レベルを検出することにより、触媒活性又は酵素活性を検出することにより、レポーター遺伝子(例えばルシフェラーゼ)の誘発を検出することにより、或いは細胞反応、例えば当業者ならば知っているような増殖、分化又は形質転換を適宜検出することにより評価することができる(活性測定技術については例えば米国特許第5401639号を参照)。次いで、候補物質は候補物質の効果を対照物質と比較することにより、FLJ20584ポリペプチドの活性のモジュレーターとして同定することができる。適当な対照物質としては、PBS又は通常の生理食塩水がある。
【0059】
他の実施形態では、FLJ20584ポリペプチドの産生又は分解を担うか、FLJ20584ポリペプチドの翻訳後修飾を担う、酵素などの物質、又はその生物学的活性部分を同定することができる。一次スクリーニングでは、そのような物質を同定するために、実質的に純粋な、天然若しくは組換え発現されたFLJ20584のポリペプチド、核酸又は細胞抽出物或いは天然若しくは組換え発現されたFLJ20584のポリペプチド若しくは核酸を含む他の試料を、FLJ20584のポリペプチド又は核酸のプロセシングを担うことができる複数の候補物質(例えばそれには限定されないがライブラリとして提示される複数の物質)と接触させる。候補物質がFLJ20584のポリペプチド又は核酸の産生、分解又は翻訳後修飾を調整する能力は、当業者に既知の方法、例えばそれには限定されないが、フローサイトメトリー、放射能標識、キナーゼアッセイ、ホスファターゼアッセイ、免疫沈降反応及びウェスタンブロット分析又はノーザンブロット分析で測定することができる。
【0060】
他の実施形態では、FLJ20584ポリペプチドを発現する細胞を複数の候補物質と接触させる。FLJ20584ポリペプチドの産生、分解又は翻訳後修飾を調整するそのような物質の能力は、先に述べたように当業者に既知の方法で測定することができる。
【0061】
一実施形態では、FLJ20584ポリペプチドの発現を調整する(例えば、下方制御する)物質は、細胞ベースのアッセイ系で同定される。したがって、FLJ20584のポリペプチド又は核酸を発現する細胞の集団を候補物質と接触させ、候補物質がFLJ20584のポリペプチド又は核酸の発現を変化させる能力を、基準範囲又は対照との比較により測定する。他の実施形態では、FLJ20584ポリペプチドを発現する細胞の第1及び第2の集団を候補物質又は対照物質と接触させ、候補物質がFLJ20584のポリペプチド又は核酸の発現を変化させる能力を、第1及び第2の細胞集団間におけるFLJ20584のポリペプチド又は核酸の発現レベルの差を比較することにより測定する。他の実施形態では、第1の集団におけるFLJ20584のポリペプチド又は核酸の発現を、基準範囲又は対照と更に比較することができる。所望により、このアッセイは、複数の(例えばライブラリの)候補物質をスクリーニングするために使用することができる。前記細胞は、例えば、原核生物起源(例えば大腸菌)又は真核生物起源(例えば酵母若しくは哺乳動物)でよい。更に、前記細胞は内因的にFLJ20584のポリペプチド又は核酸を発現することができるか、遺伝子操作することでFLJ20584のポリペプチド又は核酸を発現することができる。候補物質がFLJ20584のポリペプチド又は核酸の発現を変化させる能力は、当業者に既知の方法、例えばそれには限定されないがフローサイトメトリー、放射能標識、シンチレーションアッセイ、免疫沈降反応、ウェスタンブロット分析又はノーザンブロット分析によって測定することができる。
【0062】
他の実施形態では、FLJ20584のポリペプチド又は核酸の発現を調整する物質を、動物モデルで同定する。適当な動物の例には、それには限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、サル、モルモット、イヌ及びネコが含まれる。好ましくは、使用する動物は癌のモデルを表す。したがって、哺乳動物の第1及び第2の群に候補物質又は対照物質を投与し、候補物質がFLJ20584のポリペプチド又は核酸の発現を調整する能力を、第1及び第2の哺乳動物群の間の発現レベルの差を比較することにより測定する。所望ならば、第1及び第2の哺乳動物群におけるFLJ20584のポリペプチド又は核酸の発現量は、対照哺乳動物群におけるFLJ20584のポリペプチド又は核酸のレベルと比較することができる。候補物質又は対照物質は、当技術分野で既知の手段によって投与することができる(例えば経口、経直腸又は非経口、例えば腹腔内若しくは静脈内投与)。ポリペプチド又は核酸の発現の変化は、上で概説されている方法によって評価することができる。特定の実施形態では、疾患の開始又は進行を遅らせるための物質の治療的有効量は、症状の緩和又は改善、例えばそれには限定されないが腫瘍の大きさの縮小をモニターすることによって決定することができる。候補物質が疾患と関連する1つ又は複数の症状を変化させたかどうか測定するためには、癌に精通している医師に既知の技術を使用することができる。
【0063】
当業者ならば、FLJ20584ポリペプチドを、このポリペプチドの活性を調整する(例えば、刺激又は阻止する)作用をする物質、特に小分子の構造に基づく設計のための、
1)前記ポリペプチドの三次元構造を決定すること、
2)前記物質の可能性のある反応部位又は結合部位の前記ポリペプチド内での三次元構造を推測すること、
3)推測された反応部位又は結合部位と反応又は結合することが予測される候補物質を合成すること、及び
4)候補物質が前記ポリペプチドの活性を調整することが可能かどうかを調べることを含む方法で使用できることも理解しよう。
【0064】
上述の方法は繰り返しの工程となりそうなことは理解されよう。
【0065】
本明細書で議論されるように、FLJ20584ポリペプチドと相互作用する物質は、癌の治療及び/又は予防で用いられる。そのような使用のために、前記剤は通常医薬組成物の形で投与される。
【0066】
かくして、本発明によれば、FLJ20584ポリペプチドと相互作用する物質と、薬剤として許容される希釈剤、賦形剤及び/又は担体とを含む医薬組成物が提供される。医薬組成物はワクチンとしても使用され、ワクチン用に許容される更なる成分を含むことができ、また当業者に既知の1つ又は複数の適当なアジュバントを更に含むことができる。
【0067】
以下において、本発明で用いられる物質、治療及び/又は予防で用いられるFLJ20584ポリペプチド及びFLJ20584核酸は、「活性物質」と称される。本明細書で、特定の活性物質又は物質の組合せを用いて疾患又は病態を治療又は予防する方法に言及する場合は、そのような言及は、その疾患又は病態の治療及び/又は予防のための医薬品の調製におけるその活性物質又は物質の組合せの使用を含むものと理解されたい。また、癌の療法に用いられる抗体も提供される。
【0068】
通常、前記組成物は、薬剤として許容される担体を通常含む無菌医薬組成物の一部として供給される。この組成物はいかなる適当な形態でもよい(患者に対する所望の投与方法によって決まる)。
【0069】
本発明の活性物質は、薬剤投与のために従来使用されている経路のいずれかにより対象に投与することができ、例えばそれらは非経口、経口、局所(口内、舌下又は経皮を含む)或いは吸入の経路により投与することができる。任意の特定のケースにおける最も適当な投与経路は、特定の活性物質、関係する癌腫、対象、並びに疾患の性質及び重大度及び対象の身体条件によって決まる。
【0070】
前記活性物質は1つ又は複数の他の治療活性のある、例えば抗腫瘍性の化合物と組合せて、例えば同時に、逐次的に又は別々に投与することができる。
【0071】
医薬組成物は、本発明の活性物質の単位用量当たりの所定量を含んでいる単位用量形態で提供するのが便利である。そのような単位は、例えば、それには限定されないが、治療する病態、投与経路及び対象の年齢、体重及び状態に従い、750mg/kgから0.1mg/kg含むことができる。
【0072】
本発明で用いられる薬剤として許容される担体は、例えば投与経路によって多種多様な形態をとることができる。
【0073】
経口投与用組成物は、液体又は固体でよい。経口液状製剤は、例えば水性若しくは油性の懸濁液、溶液、乳剤、シロップ又はエリキシルの形態でもよいし、使用時に水又は他の適当な溶媒で元に戻すための乾燥製品として提供することもできる。当技術分野で既知であるように、経口液状製剤は懸濁化剤を含むことができる。
【0074】
散剤、カプセル及び錠剤のような経口固形製剤の場合、デンプン、砂糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑剤、結合剤、崩壊剤、などの担体を含むことができる。投与の容易さのため、錠剤及びカプセルは固形医薬担体が通常使用される最も有利な経口用の投薬単位剤形となる。上で提示される一般的な剤形に加えて、本発明の活性物質は、放出制御手段により且つ/又は送達器具により投与することもできる。錠剤及びカプセルは、結着剤、例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカンタ又はポリビニルピロリドン;充填剤、例えばラクトース、砂糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトール又はグリシン;錠剤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール又はシリカ;崩壊剤、例えばジャガイモデンプン;或いはラウリル硫酸ナトリウムなどの許容される湿展剤などの従来の担体又は賦形剤を含むことができる。錠剤は、通常の製薬業務で知られている方法により、標準の水性又は非水性の技術でコーティングすることができる。
【0075】
経口投与のために適当な本発明の医薬組成物は、カプセル、カシェ剤又は錠剤などの活性物質の所定量をそれぞれ含む別々の単位として、散剤又は顆粒剤として、或いは水性液体、非水性液体、水中油型乳剤又は油中水形乳濁液の中の溶液又は懸濁液として提供することができる。そのような組成物はいかなる製剤方法でも調製することができるが、全ての方法は1つ又は複数の必要成分を構成する担体と活性物質とを結合させるステップを含む。一般に、前記組成物は、活性物質を液状の担体又は微粉固体担体或いはその両方と一様に且つ密接に混ぜ合わせ、次に必要に応じて生成物を所望の形に成形することによって調製される。例えば、錠剤は圧縮又は成型により、任意選択に1つ又は複数の副成分と一緒に調製することができる。
【0076】
非経口投与のために適当な医薬組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性物質と適切に混合されている、本発明の活性物質の水性の溶液又は懸濁液として調製することができる。分散液は、油ベースのグリセリン、液体ポリエチレングリコール及びそれらの混合物で調製することもできる。普通の貯蔵条件及び使用条件下では、これらの調製物は微生物の増殖を予防するために防腐剤を含む。
【0077】
注射に適当な医薬剤形としては、酸化防止剤、緩衝液、静菌薬、及びその組成物を予定受容個体の血液と等張性にする溶質を含むことができる水性又は非水性の無菌注射溶液、並びに懸濁化剤及び増粘剤を含むことができる水性及び非水性の無菌懸濁液がある。即時使用の注射液、分散液及び懸濁液は、無菌の散剤、顆粒剤及び錠剤から調製することができる。
【0078】
医薬組成物は、当技術分野で既知の医療器具で投与できる。例えば、好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は針不要の皮下注射器具で投与でき、そのような器具は、例えば米国特許第5399163号、第5383851号、第5312335号、第5064413号、第4941880号、第4790824号、又は第4596556号で開示されている。本発明に役立つ既知のインプラント及びモジュールの例として以下が含まれる:米国特許第4487603号は、制御された速度で医薬品を注入するための植込型マイクロ薬物注入ポンプを開示している;米国特許第4486194号は、皮膚を通して薬物を投与するための治療器具を開示している;米国特許第4447233号は、投薬を正確な注入速度で実施するための投薬注入ポンプを開示している;米国特許第4447224号は、連続薬物送達のための可変流植込型注入器具を開示している;米国特許第4439196号は、多室コンパートメントを有する浸透圧薬物送達システムを開示している;米国特許第4475196号は、浸透圧薬物送達システムを開示している。他にも多くのそのようなインプラント、送達系及びモジュールが当業者には既知である。
【0079】
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、in vivoで確実に適切な分布を示すように製剤することができる。例えば、血液脳関門は多くの非常に親水性の化合物を排除するので、医薬組成物をリポソームに入れて送達することが好ましいかもしれない。このように、本発明の一実施形態では、本発明の活性物質はリポソームで製剤化される。より好ましい実施形態において、前記リポソームはターゲティング部分を含む。最も好ましい実施形態では、リポソーム内の治療化合物は、腫瘍近くの部位にボーラス注射によって送達される。リポソームの製造方法に関しては、例えば米国特許第4522811号;第5374548号;第5399331号を参照。リポソームは、特定の細胞又は器官に選択的に輸送され、目標への薬物送達を強化する1つ又は複数の部分を含むことができる(例えば、Ranade,VV.1989、J.Clin.Pharmacol.29:685を参照)。例示的なターゲティング部分としては以下がある:葉酸塩又はビオチン(例えば米国特許第5416016を参照);マンノシド(Umezawaら、1988、Biochem.Biophys.Res.Commun.153:1038);抗体(Bloeman,PG.ら、1995、FEBS Lett.357:140;M.Owaisら、1995、Antimicrob.Agents Chemother.39:180);界面活性物質プロテインA受容体(Briscoeら、1995、Am.J.Physiol.1233:134)、それの異なる種類は本発明の製剤、並びに発明された分子の成分を含むことができる;p120(Schreierら、1994、J.Biol.Chem.269:9090);また、Keinanen,K.&Laukkanen,ML.1994、FEBS Lett.346:123;Killion,JJ.&Fidler,IJ.、1994,Immunomethods 4:273も参照。組成物は安定性を強化するために単位投与又は多回投与容器で、例えば密封アンプル及びバイアルで提供することができ、また、使用直前に無菌の液状担体、例えば注射用水を添加するだけで済むフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することができる。無菌の液状担体は別個のバイアル又はアンプルで供給することができ、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセリン、プロピレングリコール及び液状ポリエチレングリコール)、それらの適当な混合物並びに植物油を含む溶媒又は分散媒でよい。有利なことに、局部麻酔薬、防腐剤及び緩衝剤などの物質を無菌の液状担体に含むことができる。
【0080】
局所投与のために適応させる医薬組成物は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、散剤、溶液、ペースト、ゲル、含浸包帯、スプレー剤、エアゾール又は油、経皮器具、粉剤、などとして製剤化することができる。これらの組成物は、活性物質を含む従来法を通して調製することができる。このように、それらは適合する従来の担体及び添加剤、例えば保存料、薬剤浸透に役立つ溶媒、クリーム又は軟膏ベースの緩和剤及びローションのためのエタノール又はオレイルアルコールを含むこともできる。そのような担体は、組成物の約1%から約98%まで存在してもよい。より一般的には、それらは組成物の最高約80%を構成する。例示としてだけであるが、クリーム又は軟膏は十分な量の親水性材料及び水を混ぜることによって調製され、化合物の約5から10重量%を含有し、所望の粘凋度を有するクリーム又は軟膏を産生するのに十分な量である。
【0081】
経皮投与に適応した医薬組成物は、長時間にわたってレシピエントの表皮と密接に接触し続けるようになっている個別のパッチとして提供することができる。例えば、活性物質はパッチからイオン導入法により送達することができる。
【0082】
外部組織、例えば口及び皮膚への適用のためには、前記組成物は好ましくは局所用の軟膏又はクリームとして適用される。軟膏剤形の場合は、活性物質はパラフィン又は水溶性軟膏基剤のいずれかと共に使用することができる。或いは、活性物質は水中油クリーム基剤又は油中水基剤と一緒にクリーム剤形にすることができる。
【0083】
口への局所投与に適応した医薬組成物としては、ロゼンジ、トローチ及び口内洗剤がある。
【0084】
目への局所投与に適応した医薬組成物としては、活性物質が適当な担体、特に水性溶媒に溶解又は懸濁した点眼液がある。それらには、上記のような局所用の軟膏又はクリームも含まれる。
【0085】
担体が固体である直腸投与に適する医薬組成物は、最も好ましくは単位用量坐薬として提供される。適当な担体としてはカカオ脂又は他のグリセリド又は当技術分野で通常使用する材料があり、坐薬は前記組合せと軟化又は溶解担体との混合とその後のチリング及び成型によって都合よく作ることができる。それらは、浣腸として投与することもできる。
【0086】
膣投与に適応した医薬組成物は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレー組成物として提供することができる。これらは、通常当技術分野で使用される緩和剤又は基剤を含むことができる。
【0087】
ワクチンとしての使用に適応した医薬組成物は、サイトカイン、ケモカイン、副刺激分子又は免疫反応を増幅及び指示する他の免疫調節剤などのアジュバントを含むことができる。例えば、医薬組成物はFLJ20584ポリペプチドを、樹状細胞補充を誘導するサイトカイン(例えばGMコロニー刺激因子)及び樹状細胞成熟を誘導する副刺激分子(例えばCD40L又は拮抗的抗CD40)の相乗的組合せにより、IL−12及びIL−15などの他のTh1/細胞傷害性T細胞支持サイトカインと組み合わせて含むことができる。FLJ20584ポリペプチドでプレインキュベートされる樹状細胞は、ex vivoで生成することができる。他の相乗的組合せは、動物モデルで記載されている(Berzofskyら、2001、Nat.Rev.Immunol.1、209〜219頁)。他のアジュバントは、CpG−オリゴデオキシヌクレオチドである。医薬組成物はFLJ20584ポリペプチド、広域MHCクラスII結合、例えばpan−HLA−DR−結合ペプチド、内因性のヘルパーエピトープ、又は強化ヘルパーエピトープも含むこともできる。
【0088】
投与される活性物質の用量は、特定の活性物質、関係する癌腫、対象、並びに疾患の性質及び重大度及び対象の身体条件、及び選択される投与経路によって異なる。適当な投薬量は、当業者によって容易に決定される。ヒト及び動物の癌の治療及び/又は予防のために、抗体を含んでいる医薬組成物をいかなる適当な投与経路、例えば注射及び抗体ベースの臨床製品のための当技術分野で既知の他の投与経路を使用して、治療的又は予防的有効量(例えば腫瘍成長の阻止及び/又は腫瘍細胞の移動の阻止をもたらす投薬量)で患者(例えばヒト対象)に投与することができる。
【0089】
前記組成物は、投与方法により本発明の活性物質の0.1重量%から、好ましくは10重量%から60重量%、又はそれ以上を含むことができる。
【0090】
本発明の活性物質の個々の投薬量の最適量及び間隔は治療される病態の性質及び程度、投与の形態、経路及び部位、並びに治療される特定の対象の年齢及び状態によって決められ、また、医師が最終的に使用する適当な投薬量を決定することは、当業者ならば理解しよう。この投薬は、適当な限り度々繰り返すことができる。副作用が起こる場合は、通常の医療慣行に従って投薬の量及び/又は頻度を変更するか減少させることができる。
【0091】
FLJ20584ポリペプチドは、癌の治療及び/又は予防でも役に立つことができる。したがって、FLJ20584ポリペプチドを好ましくはワクチンとして含んでいる組成物の治療的有効量を投与することを含む、癌の治療及び/又は予防のための方法が提供される。癌の治療及び/又は予防のための医薬品の製造のための、FLJ20584ポリペプチドの使用も提供される。それらが本発明の方法での使用のために提供される場合は、FLJ20584は好ましくは単離された形態で提供される。より好ましくは、FLJ20584ポリペプチドは、少なくともある程度精製されている。FLJ20584ポリペプチドは組換え方法を使って産生すること、合成的に産生すること、又はこれらの方法の組合せによって産生することもできる。FLJ20584ポリペプチドは実質的に純粋な形態で、すなわち実質的に他のタンパク質を含まない形態で提供することができる。
【0092】
組換えFLJ20584ポリペプチドは、発現系を含んでいる遺伝子操作された宿主細胞から、当技術分野で既知の方法によって調製することができる。したがって、本発明はFLJ20584ポリペプチド又はFLJ20584核酸を含む発現系、そのような発現系で遺伝子操作されている宿主細胞、及び組換え技術によるFLJ20584ポリペプチドの産生にも関する。組換えポリペプチドを産生するために無細胞翻訳系を使用することもできる(例えばウサギ網状赤血球溶解物、コムギ麦芽溶解物、Roche Diagnostics Ltd.、Lewes、UKからのSP6/T7 in vitro T&T及びRTS 100 E.Coli HY転写及び翻訳キット、並びにPromega UK、Southampton、UKからのTNT Quick coupled転写/翻訳システム)。
【0093】
組換えFLJ20584ポリペプチド産生のために、宿主細胞はFLJ20584核酸のための発現系又はその部分を組み込むように遺伝子操作することができる。そのような組込みは、当技術分野で既知の方法、例えばリン酸カルシウムトランスフェクション、DEAD−デキストラン媒介性トランスフェクション、トランスベクション、マイクロインジェクション、カチオン脂質媒介性トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレープローディング、遺伝子銃による導入又は感染などで実施することができる(例えばDavisら、Basic Methods in Molecular Biology、1986及びSambrookら、Molecular Cloning;A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbour laboratory Press、Cold Spring Harbour、NY、1989を参照)。
【0094】
宿主細胞の代表例としては、大腸菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、ストレプトマイセス及び枯草菌細胞などの細菌細胞;酵母細胞及びアスペルギルス細胞などの糸状菌の細胞;ショウジョウバエS2及びスポドプテラ(Spodoptera)Sf9細胞などの昆虫細胞;CHO、COS、HeLa、C127、3T3、HEK293、BHK及びボーズ黒色腫細胞などの動物細胞;並びに植物細胞がある。
【0095】
多種多様な発現系を利用でき、例として、それには限定されないが、染色体、エピソーム及びウイルス由来の系、例えば細菌性プラスミド、バクテリオファージ、トランスポゾン、酵母エピソーム、挿入要素、酵母染色体要素、ウイルス(例えばバキュロウイルス、SV40などのパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス及びレトロウイルス)などに由来するベクター、並びにその組合せに由来するベクターがあり、例えばプラスミド及びバクテリオファージ遺伝因子(例えばコスミド及びファージミドなど)がある。発現系は、発現を起こすだけでなく調節する制御領域を含むことができる。通常、核酸を維持、増殖、又は発現してポリペプチドを宿主内で産生することができるいかなる系又はベクターでも使用することができる。適当な核酸配列は、上記Sambrookらで示されているようないかなる種類の既知の常用技術によっても、発現系に挿入することができる。小胞体の内腔、ペリプラスム間隙又は細胞外の環境への翻訳されたタンパク質の分泌を可能にするために、適当な分泌シグナルをFLJ20584ポリペプチドに組み込むことができる。これらのシグナルはFLJ20584ポリペプチドに対して内因性であっても、又は異種シグナルであってもよい。
【0096】
FLJ20584ポリペプチドが細胞ベースのスクリーニングアッセイのために発現させられるならば、ポリペプチドは細胞表面に産生されることが好ましい。この場合、細胞はスクリーニングアッセイで使うより前に収集することができる。FLJ20584ポリペプチドが培地に分泌されるならば、培地は前記ポリペプチドを単離するために回収することができる。細胞内産生の場合は、FLJ20584ポリペプチドを回収する前に細胞を先ず溶解しなければならない。
【0097】
FLJ20584ポリペプチドは、組換え細胞培養から又は他の生物源から、硫安又はエタノール沈殿、酸抽出、アニオン又はカチオンイオン交換クロマトグラフィー、リン酸セルロースクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、分子篩クロマトグラフィー、遠心分離法、電気泳動法及びレクチンクロマトグラフィーなどの既知の方法により回収及び精製することができる。一実施形態では、これらの方法の組合せが使用される。他の実施形態では、高速液体クロマトグラフィーが使用される。他の実施形態では、FLJ20584ポリペプチドを含んでいる試料から前記ポリペプチドを除去するために、又は前記ポリペプチドを精製するためにFLJ20584ポリペプチドと特異的に結合する抗体を用いることができる。単離又は精製の間にポリペプチドが変性したときは、FLJ20584ポリペプチドの未変性又は活性な高次構造を再生させるリフォールディングのために、当技術分野で既知の技術を使用することができる。本発明との関連で、FLJ20584ポリペプチドはいかなる供与源からの生体試料からでも、例えばそれには限定されないが、血液試料又は組織試料、例えば卵巣又は肺の組織試料などから得ることができる。
【0098】
FLJ20584ポリペプチドは「成熟」タンパク質の形でもよく、又は融合タンパク質などのより大きなタンパク質の一部でもよい。分泌配列又はリーダー配列を含む更なるアミノ酸配列、プレタンパク、プロタンパク若しくはプレプロタンパク配列、又は精製で役立つ配列、例えばそれには限定されないが複ヒスチジン残基、FLAG標識、HA標識若しくはmyc標識などの親和性標識を含むことはしばしば有利である。組換えを生成する間の安定性を提供することができる更なる配列も、使用することができる。そのような配列は、更なる配列又はその一部として切断可能な配列を組み込むことによって、必要に応じて任意選択に除去することができる。このように、FLJ20584ポリペプチドは、他のポリペプチドを含む他の部分と融合することができる。このような追加の配列及び親和性標識は、当技術分野において周知である。
【0099】
当技術分野で既知であるように、アミノ酸置換は保存的又は半保存的であることができ、ポリペプチドの所望の活性に有意な影響を及ぼさないことが好ましい。置換は自然発生でよく、又は例えば突然変異誘発を用いて導入することができる(例えばHutchinsonら、1978、J.Biol.Chem.253:6551)。従って、アミノ酸グリシン、アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシンは、しばしばお互いに置換することができる(脂肪族側鎖を有するアミノ酸)。これらの可能な置換の中で、グリシン及びアラニンを互いに置換するために使用すること(それらは比較的短い側鎖を有することから)、また、バリン、ロイシン及びイソロイシンを互いに置換するために使用すること(それらは疎水性のより大きな脂肪族側鎖を有することから)が好ましい。しばしばお互いに置換される他のアミノ酸としては、それには限定されないが以下がある:
−フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン(芳香族側鎖を有するアミノ酸);
−リジン、アルギニン及びヒスチジン(塩基側鎖を有するアミノ酸);
−アスパラギン酸及びグルタミン酸(酸性側鎖を有するアミノ酸);
−アスパラギン及びグルタミン(アミド側鎖を有するアミノ酸);
−システイン及びメチオニン(硫黄含有側鎖を有するアミノ酸);並びに
−アスパラギン酸及びグルタミン酸は、それぞれホスホセリン及びホスホトレオニンを置換することができる(酸性側鎖を有するアミノ酸)。
【0100】
特定の一実施形態では、置換されたアミノ酸は実際にFLJ20584ポリペプチドの活性にかなりの影響を及ぼし、ペプチドに対して特異的にドミナントネガティブな活性を与えるために選択することができる。他の実施形態では、置換されたアミノ酸は、ポリペプチドを特異的に構成的に活性にするために選択することができる。
【0101】
一実施形態では、ワクチンの効力を改善するために、通常エピトープ強化と称されるFLJ20584ポリペプチドのエピトープのアミノ酸配列の修飾が使用される。
【0102】
修飾には、それには限定されないが、翻訳後修飾などの自然に生じる修飾、更には突然変異誘発によって導入することができるような非自然発生の修飾が含まれる。
【0103】
好ましくは、FLJ20584ポリペプチドの誘導体は図1で示されるアミノ酸配列(配列番号1)と少なくとも70%の同一性、より好ましくは少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも98%の同一性を有する。同一性割合は当技術分野で既知の概念であって、それには限定されないが例えばNCBIから入手可能なBLAST(商標)ソフトウェアを使用して計算することができる(Altschul,S.F.ら、1990、J.Mol.Biol.215:403〜410頁;Gish,W.&States,D.J.、1993、Nature Genet.3:266〜272頁;Madden,T.L.ら、1996、Meth.Enzymol.266:131〜141頁;Altschul,S.F.ら、1997、Nucleic Acids Res.25:3389〜3402頁;Zhang,J.&Madden,T.L.、1997、Genome Res.7:649〜656頁)。
【0104】
FLJ20584ポリペプチドの断片も本発明の方法で役に立つこともでき、例としては配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドの断片が含まれ、それは断片全体で少なくとも70%の相同性を有する。好ましくは、前記断片は長さが少なくとも10アミノ酸であり、好ましくは長さが少なくとも20、少なくとも30、少なくとも50又は少なくとも100アミノ酸である。断片は図1で示されるアミノ酸配列(配列番号1)と全体で少なくとも70%の同一性を有し、より好ましくは少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも98%の同一性を有する。そのような断片は、FLJ20584ポリペプチドの活性を保持する。そのような活性には、抗体結合能力が含まれる。
【0105】
FLJ20584ポリペプチドが癌の治療及び/又は予防に用いられる医薬組成物の活性物質である場合は、好ましくは組換えFLJ20584ポリペプチドが使用される。特定の実施形態では、細胞へ融合タンパク質が入るのを助長するHIV/Tatタンパク質のタンパク質形質導入ドメインなど他のポリペプチド(Asoh,S.ら、2002、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、99:17107〜17112頁)と融合されたFLJ20584ポリペプチドが、癌の治療及び/又は予防のための医薬品の製造のために提供される。
【0106】
他の態様において、有癌対象におけるFLJ20584ポリペプチドの検出は、特に本発明の方法による治療に適当な患者集団を同定するために用いることができる。
【0107】
したがって、本発明は対象の癌のスクリーニング及び/又は診断若しくは予後診断のための、且つ/或いは癌療法の効果をモニターするための、前記対象から得られる生体試料においてFLJ20584ポリペプチドを検出及び/又は定量するステップを含む方法を提供する。好ましくは前記スクリーニング及び/又は診断の方法に用いられるFLJ20584ポリペプチドは、
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むかそれからなるか、
(b)FLJ20584活性を保持する配列番号1のアミノ酸配列と比較して1つ又は複数のアミノ酸置換、修飾、欠失又は挿入を有する誘導体であるか、或いは
(c)配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドの断片であり、長さが少なくとも10アミノ酸であって、断片全体で少なくとも70%の相同性を有する。
【0108】
一態様では、発現は前に測定された基準範囲と比較される。
【0109】
好ましくは、検出するステップは、
(a)試料を上の(a)から(c)で定義されているポリペプチドに特異的な捕捉試薬と接触させること、及び
(b)前記試料中の前記捕捉試薬及び前記ポリペプチドの間で結合が起こったかどうかを検出することを含む。
【0110】
他の態様において、捕捉されたポリペプチドは、固相上に固定されてもよい直接又は間接標識された検出試薬を用いて検出される。
【0111】
FLJ20584ポリペプチドを検出/定量するための便利な手段は、抗体の使用を含む。FLJ20584ポリペプチドは、先に述べた当技術分野で既知の方法を用いて、前記ポリペプチドと相互作用する(結合又は認識する)抗体を作製するためのイムノゲンとして用いることができる。このように他の態様では、本発明は、対象の癌のスクリーニング及び/又は診断のための或いは抗癌療法の効力をモニターするための、少なくとも1つのFLJ20584ポリペプチドと特異的に結合する抗体の使用を提供する。特定の実施形態において、抗FLJ20584ポリペプチド抗体を用いる診断方法は、本発明の方法による治療に適当な患者集団を同定するために用いることができる。
【0112】
FLJ20584抗体は、とりわけヒト組織及び/又はその亜分画、例えばそれには限定されないが、膜、サイトゾル若しくは核の亜分画の生体試料中のFLJ20584発現を検出することによる癌の診断のために用いることもできる。
【0113】
他の態様では、生体試料中のFLJ20584ポリペプチドを検出する方法は、直接又は間接標識された検出試薬を用いて前記試料中のFLJ20584ポリペプチドの量を検出及び/又は定量することを含む。FLJ20584ポリペプチドは当技術分野で既知のいかなるイムノアッセイによっても検出することができ、例えばそれには限定されないものの、免疫沈降反応とそれに続くドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動法、2次元ゲル電気泳動法、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降反応アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集反応アッセイ、補体結合反応アッセイ、免疫放射測定アッセイ、蛍光免疫法及びプロテインAイムノアッセイなどの技術を用いる競合的及び非競合的なアッセイ系で検出することができる。
【0114】
抗体と抗原との相互作用の検出は、抗体を検出可能な物質、例えばそれに限定されないが、酵素(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ)、補欠分子族(例えばストレプトアビジン、アビジン、ビオチン)、蛍光物質(例えばウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、フィコエリトリン)、発光物質(例えばルミノール)、生物発光材料(例えばルシフェラーゼ、ルシフェリン、エクオリン)、放射性核種(例えば125I、131I、111In、99Tc)、陽電子放射金属又は非放射性常磁性金属イオンなどと結合することにより、容易にすることができる(米国特許第4741900号を参照)。
【0115】
本発明は、上で定義されたFLJ20584ポリペプチドに対する捕捉試薬(例えば抗体)を含む診断キットも提供する。更に、そのようなキットは任意選択に以下の1つ又は複数を含む:
(1)スクリーニング、診断、予後診断、治療モニタリング又はこれらの用途のいかなる組合せのための捕捉試薬の使用説明書、
(2)捕捉試薬に対する標識された結合パートナー、
(3)捕捉試薬が固定される固相(例えば試薬細片)、及び
(4)スクリーニング、診断、予後診断又は治療又はそのいかなる組合せのための使用の規制上の承認を示している表示又は挿入紙。
【0116】
捕捉試薬に対する標識された結合パートナーが提供されないならば、抗FLJ20584ポリペプチド捕捉試薬自体を検出可能なマーカー、例えば化学発光、酵素、蛍光又は放射性の部分(上記参照)で標識することができる。
【0117】
FLJ20584核酸の検出及び/又は定量は、対象の癌のスクリーニング及び/又は診断若しくは予後診断の方法で、且つ/或いは癌療法の効果をモニターする方法で用いることができることも、当業者にとって明らかになる。
【0118】
別のものを示していない限り、FLJ20584核酸は以下の特性の1つ又は複数を有することができる核酸分子を含み、したがって、
d)配列番号2のDNA配列又はそのRNA同等物を含むかそれからなり、
e)d)の配列に相補性である配列を有し、
f)FLJ20584ポリペプチドをコードする配列を有し、
g)d)、e)及びf)の配列のいずれかと実質的な同一性を示す配列を有し、或いは
h)長さが少なくとも15ヌクレオチドであるd)、e)、f)又はg)の断片であり、
また、以下の特性の1つ又は複数を有することができる:
1)それらはDNAでもRNAでもよい;
2)それらは、一本鎖でも二本鎖でもよい;
3)それらは、実質的に純粋な形態であってもよい。したがって、それらは混在するタンパク質及び/又は他の核酸を実質的に含まない形態で提供することができる;
4)それらは、イントロンと一緒でもイントロンが無くてもよい(例えばcDNAとして)。
【0119】
FLJ20584核酸の断片は、長さが好ましくは少なくとも20、少なくとも30、少なくとも50、少なくとも100又は少なくとも250ヌクレオチドである。
【0120】
本発明は、上の(d)から(h)で記載されているFLJ20584核酸に相補性であり、前記FLJ20584核酸にハイブリダイズすることができる核酸の使用も提供する。そのような核酸分子は、「ハイブリッド形成」核酸分子と称される。例えば、しかしそれには限定されないが、ハイブリッド形成核酸分子は、プローブ又はプライマーとして役に立つことができる。ハイブリッド形成核酸分子は、その全長にわたって上の(d)から(h)の適用範囲内の核酸分子と高い配列同一性を有することができる(例えば少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも98%の配列同一性)。上で議論した核酸分子のいずれかとハイブリダイズすることができるハイブリッド形成核酸分子の、例えばハイブリッド形成アッセイにおける使用も、本発明の範囲内である。
【0121】
ハイブリッド形成アッセイは、対象の癌の療法のスクリーニング、予後診断、診断又はモニターのために用いることができる。したがって、そのようなハイブリッド形成アッセイは、
i)対象から得た核酸を含む生体試料を、ハイブリダイゼーションが起こる条件下でFLJ20584核酸分子とハイブリダイズすることができる核酸プローブと接触させること、及び
ii)結果として生じるいかなるハイブリダイゼーションをも検出又は測定することを含む。
【0122】
好ましくは、そのようなハイブリッド形成分子は長さが少なくとも10ヌクレオチドであり、好ましくは長さが少なくとも25又は少なくとも50ヌクレオチドである。より好ましくは、前記ハイブリッド形成核酸は、上の(d)から(h)のいずれかの適用範囲内の核酸と特異的にハイブリダイズする。最も好ましくは、ハイブリダイゼーションはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で起こる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の1例は、企図するハイブリダイゼーションが約0.9Mの塩溶液を用いて約35℃から約65℃の温度で実施される場合である。しかし、当業者は、プローブ長、塩基組成、存在するイオンの型、その他の変数を考慮するために適宜、そのような条件を変更することができる。
【0123】
本発明は、FLJ20584ポリペプチドをコードするRNAとハイブリダイズすることができる核酸プローブ、適当な試薬及び取扱説明書を含む診断キットも提供する。
【0124】
他の実施形態では、適当な反応条件下でFLJ20584核酸分子の少なくとも一部の増幅を、例えばポリメラーゼ連鎖反応(例えばInnisら、1990、PCR Protocols、Academic Press,Inc.、カリフォルニア州サンディエゴを参照)、リガーゼ連鎖反応(欧州特許第320308号を参照)、Qβレプリカーゼの使用、環式プローブ反応又は当技術分野で既知の他の方法により刺激することができる一対のプライマーを、1つ又は複数の容器に含んでいる診断キットが提供される。一般的に、プライマーは長さが少なくとも8ヌクレオチドであり、好ましくは長さは少なくとも10から25ヌクレオチド、より好ましくは15から25ヌクレオチドとなる。場合によっては、長さが少なくとも30又は少なくとも35のヌクレオチドのプライマーを用いることができる。
【0125】
他の態様では、本発明は、癌の治療及び/又は予防に用いられる医薬品の製造における少なくとも1つのFLJ20584核酸の使用を提供する。
【0126】
特定の実施形態において、ハイブリッド形成FLJ20584核酸分子は、相補性のFLJ20584核酸との結合によりFLJ20584ポリペプチドの発現を変化させるためのアンチセンス分子として用いられ、癌の治療及び/又は予防若しくは阻止で用いることができる。アンチセンス核酸は、多少の配列相補性のためにFLJ20584ポリペプチドをコードするRNA(好ましくはmRNA)の一部とハイブリダイズすることができるFLJ20584核酸を含む。アンチセンス核酸は、そのようなポリペプチドをコードするmRNAのコード領域及び/又は非コード領域と相補性であることができる。最も好ましくは、FLJ20584ポリペプチドの発現は、アンチセンス核酸の使用によって阻止される。このように、本発明は、FLJ20584ポリペプチドをコードする遺伝子又はcDNAにアンチセンスである少なくとも8のヌクレオチドを含む核酸の、治療的又は予防的使用を提供する。
【0127】
他の実施形態では、ポリペプチドの遺伝子発現を減少させるために本明細書で定義されているポリペプチドをコードする遺伝子配列を既知の遺伝子「ノックアウト」、リボザイム又は三重らせんの方法と共に用いることによってFLJ20584ポリペプチドのレベル又は活性を減少させることにより、癌の症状を改善することができる。この方法では、リボザイム又は三重らせん分子は、遺伝子の活性、発現又は合成を調整することにより、癌の症状を改善するために用いられる。そのような分子は、突然変異又は非突然変異の標的遺伝子の発現を低減させるか阻止するように設計することができる。そのような分子の産生及び使用のための技術は、当業者に既知である。
【0128】
内因性のFLJ20584ポリペプチドの発現は、標的相同組換えを利用してポリペプチドをコードする遺伝子又はそのような遺伝子のプロモーターを不活性化又は「ノックアウト」することによって減少させることもできる(例えばSmithiesら、1985、Nature 317:230〜234頁;Thomas&Capecchi、1987、Cell 51:503〜512頁;Thompsonら、1989、Cell 5:313〜321頁;及びZijlstraら、1989、Nature 342:435〜438頁を参照)。例えば、内因性のFLJ20584遺伝子(ポリペプチドをコードする遺伝子のコード領域又は調節領域)と相同なDNAが隣接する非機能性ポリペプチド(又は完全に無関係なDNA配列)をコードする突然変異遺伝子は、in vivoで標的遺伝子を発現する細胞にトランスフェクトするために、選択可能なマーカー及び/又は負の選択可能なマーカーと一緒に又はそれ無しに用いることができる。標的相同組換えを通してのDNA構築物の挿入は、標的遺伝子の不活化をもたらす。
【0129】
他の実施形態では、核酸は遺伝子治療により投与される(例えばHoshida,T.ら、2002、Pancreas、25:111〜121頁;Ikuno,Y.2002、Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.2002 43:2406〜2411頁;Bollard,C.、2002、Blood 99:3179〜3187頁;Lee E.、2001、Mol.Med.7:773〜782頁を参照)。遺伝子治療は、発現された又は発現可能なFLJ20584核酸の対象への投与を指す。当技術分野で利用できる遺伝子治療法のいずれも、本発明に従い利用できる。
【0130】
患者への治療的FLJ20584核酸の送達は、直接的in vivo遺伝子治療(すなわち、患者は核酸又は核酸を含んでいるベクターに直接曝される)でも間接的ex vivo遺伝子治療(すなわち、細胞は先ずin vitroで核酸により形質転換され、次に患者に移植される)でもよい。
【0131】
例えばin vivo遺伝子治療のためには、FLJ20584核酸を含んでいる発現ベクターはそれが細胞内に入るように、すなわち例えば米国特許第4980286号又はRobbinsら、1998、Pharmacol.Ther.80:35〜47頁に記載されている欠損若しくは弱毒化レトロウイルス又は他のウイルスベクターを用いた感染により投与される。
【0132】
当技術分野で既知の様々なレトロウイルスベクターは、Millerら(1993、Meth.Enzymol.217:581〜599頁)が記載している、ウイルスゲノムのパッケージング及び以降の宿主細胞DNAへの組込みのために必要とされないレトロウイルス配列を削除するように修飾されているものなどである。また、その非分裂細胞に感染する能力のために有利であるアデノウイルスベクターを用いることができ、そのような高容量アデノウイルスベクターはKochanek(1999、Human Gene Therapy、10:2451〜2459頁)で記載されている。利用することができるキメラウイルスのベクターは、Reynoldsら(1999、Molecular Medicine Today、1:25〜31頁)によって記載されているものである。ハイブリッドベクターも用いることができ、それらはJacobyら(1997、Gene Therapy、4:1282〜1283頁)によって記載されている。
【0133】
裸のDNAの直接注入、又は微小粒子ボンバードメント(例えばGene Gun(登録商標);微粒子銃、デュポン)の使用によるもの、又はそれを脂質でコーティングすることによるものも、遺伝子治療において用いることができる。細胞表面受容体/トランスフェクション化合物又はリポソーム、微小粒子若しくはマイクロカプセル内へのカプセル化によるもの、又は核に入ることが既知のペプチドと結合させて核酸を投与することによるもの、又は受容体依存性エンドサイトーシスの傾向があるリガンドと結合させてそれを投与することによるもの(Wu&Wu、1987、J.Biol.Chem.、262:4429〜4432頁を参照)は、対象の受容体を特異的に発現する細胞型を標的にするために用いることができる。
【0134】
他の実施形態では、エンドソームを崩壊させるように設計された融合誘導ウイルスのペプチドを含むことにより、FLJ20584核酸が以降のリソソーム分解を避けることを可能にするFLJ20584核酸を含む核酸リガンド化合物を産生することができる。FLJ20584核酸は、国際公開92/06180、国際公開93/14188及び国際公開93/20221で記載されているような特定の受容体を標的にすることによって、in vivoで細胞特異的なエンドサイトーシス及び発現のための標的にすることができる。或いは、核酸を細胞内に導入して、相同組換えによる発現のために宿主細胞ゲノム内に組み込むことができる(Zijlstraら、1989、Nature、342:435〜428頁を参照)。
【0135】
ex vivo遺伝子治療では、遺伝子は組織培養を用いてin vitroで細胞へ移され、これらの細胞は様々な方法、例えば皮下注入、植皮片への細胞の適用及び造血幹細胞若しくは前駆細胞などの組換え血球の静脈注射などによって患者に送達される。
【0136】
遺伝子治療の目的のためにFLJ20584核酸を導入することができる細胞としては、例えば、上皮細胞、内皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、筋細胞、肝細胞及び血球がある。利用することができる血球としては、例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球、造血性細胞又は前駆細胞などがある。
【0137】
一態様では、前記医薬組成物は、適当な宿主でFLJ20584ポリペプチド又はそのキメラタンパク質を発現する発現ベクターの一部である、FLJ20584核酸を含む。詳細には、そのような核酸は作動可能的にポリペプチドコード領域に結合されたプロモーターを有し、前記プロモーターは誘導可能であるか構成的である(また、任意選択に組織特異的である)。他の特定の実施形態では、コード配列及び他のいかなる所望の配列であれそこにゲノム中の所望の部位で相同組換えを促進する領域が隣接する核酸分子が利用され、このように前記核酸の染色体内の発現が可能になる(Koller&Smithies、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:8932〜8935頁;Zijlstraら、1989、Nature 342:435〜438頁)。
【0138】
FLJ20584核酸は標準的なクローニング及びスクリーニング技術を用い、発現配列標識(EST)の分析を利用してヒト細胞のmRNAに由来するcDNAライブラリから得ることができる(Adams,M.ら、1991、Science、252:1651〜1656頁;Adams,M.ら、1992、Nature 355:632〜634頁;Adams,M.ら、1995、Nature、377:付録:3〜174頁)。FLJ20584核酸はゲノムDNAライブラリなどの天然供給源から得ることもでき、又は市販の既知技術を利用して合成することもできる。上述のFLJ20584ポリペプチドのコード配列を含んでいるFLJ20584核酸は、前記ポリペプチドの組換え産生のために用いることができる。FLJ20584核酸は、成熟ポリペプチドのコード配列を単独で、又は成熟ポリペプチドのコード配列を他のコード配列、例えばリーダー配列若しくは分泌配列をコードするもの、プレタンパク、プロタンパク若しくはプレプロタンパクの配列、切断可能な配列又は親和性標識若しくはポリペプチド産生の間の安定性を付与する更なる配列などの他の融合ペプチド部分と読み枠内で含むことができる。好ましい親和性標識としては、複ヒスチジン残基(例えば、Gentzら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821〜824頁を参照)、FLAG標識、HA標識又はmyc標識がある。FLJ20584核酸は、5’及び3’の非コード配列、例えば転写され、翻訳されない配列、スプライシング及びポリアデニル化シグナル、リボソーム結合部位並びにmRNAを安定させる配列を含むこともできる。
【0139】
上のFLJ20584ポリペプチド誘導体は、1つ又は複数のアミノ酸置換、付加又は欠失がコードされたタンパク質に導入されるように、1つ又は複数のヌクレオチド置換、付加又は欠失をFLJ20584核酸のヌクレオチド配列に導入することによって生成することができる。例えば部位特異的突然変異誘発及びPCR媒介による突然変異誘発を含む変異を導入するために、当業者に既知の標準的な技術を用いることができる。好ましくは、保存的なアミノ酸置換は、1つ又は複数の予測される非必須アミノ酸残基で形成される。
【0140】
ヒト以外の種からの相同体及び相同分子種を含むFLJ20584ポリペプチドをコードするFLJ20584核酸は、上の(d)から(h)で記載されているFLJ20584核酸の配列を有する標識プローブを用いてストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で適当なライブラリをスクリーニングするステップと、前記核酸配列を含む完全長cDNA及びゲノムクローンを単離するステップとを含む方法によって得ることができる。このようなハイブリダイゼーション技術は当技術分野において既知である。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の1例は、企図するハイブリダイゼーションが約0.9Mの塩溶液を用いて約35℃から約65℃の温度で実施される場合である。しかし、当業者は、プローブ長、塩基組成、存在するイオンの型、その他の変数を考慮するために適宜、そのような条件を変更することができる。高度選択性のためには、低塩又は高温条件のような比較的ストリンジェントな条件を用いて二重鎖を形成する。非常にストリンジェントな条件としては、65℃での0.5M NaHPO、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mM EDTA中でのフィルター結合DNAへのハイブリダイゼーション、及び68℃での0.1×SSC/0.1%SDS中での洗浄が挙げられる(Ausubel F.M.ら編、1989、Current Protocols in Molecular Biology、Vol.I、Green Publishing Associates,Inc.、及びJohn Wiley&Sons,Inc.、New York、p.2.10.3)。一部の適用では、二本鎖形成のためにより低いストリンジェント条件が要求される。適度にストリンジェントな条件としては、42℃での0.2×SSC/0.1%SDS中での洗浄が挙げられる(Ausubelら、1989、前掲)。ハイブリッド二重鎖を不安定にするために、ホルムアミドの添加量を増加させることによってハイブリダイゼーション条件をより強くストリンジェントにすることもできる。このように、個々のハイブリダイゼーション条件は容易に操作することができ、通常、適宜選択される。一般に、50%ホルムアミドの存在下での都合の良いハイブリダイゼーション温度は、本明細書で定義されているポリペプチドをコードする遺伝子断片と95〜100%同一であるプローブでは42℃、90〜95%の同一性では37℃、70〜90%の同一性では32℃である。
【0141】
多くの場合、ポリペプチドをコードする領域はcDNAの5’末端で短く切断される点で、単離されたcDNA配列は不完全なものとなることは当業者ならば理解しよう。これは、進行性(重合反応の間テンプレートと結合し続ける酵素の能力の測度)が本質的に低い酵素である逆転写酵素が、最初の鎖cDNA合成の間のmRNAテンプレートのDNAコピーを完成できない結果である。
【0142】
完全長cDNAを得る方法又は短いcDNAを伸長する方法は、例えばRACE(Rapid amplification of cDNA ends;例えばFrohmanら、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8998〜9002頁)など当技術分野で既知である。この技術の最近の修正、例えばMarathon(商標)技術(Clontech Laboratories Inc.)は、より長いcDNAの探索をかなり単純化した。この技術では、選択された組織から抽出されるmRNAから調製されるcDNAを用い、その後各末端へアダプター配列をライゲーションする。次に、遺伝子特異的及びアダプター特異的オリゴヌクレオチドプライマーの組合せを用いて、cDNAの欠落している5’末端を増幅するためにPCRが実行される。次に、増幅生成物とアニールするように設計されているネステッドプライマー、一般的にアダプター配列の3’を更にアニールするアダプター特異的プライマー及び既知の遺伝子配列の5’を更にアニールする遺伝子特異的プライマーを用いてPCR反応を繰り返す。この反応の生成物は次にDNA塩基配列決定で分析することができ、完全長cDNAは、生成物を既存のcDNAに直接結合させて完全な配列を得るか、又は5’プライマーの設計のための新しい配列情報を用いて別個の完全長PCRを実施することにより構築することができる。
【0143】
本発明の他の態様は、癌の治療及び/又は予防で役に立つワクチン組成物に関する。先に述べたFLJ20584ポリペプチド又は核酸は、癌の治療及び/又は予防のためのワクチンの産生で用いることができる。そのような物質は抗原性且つ/又は免疫原性であってよい。抗原性物質としては、抗体を生成するために用いることができるか、対象で実際に抗体反応を誘導することができるタンパク質又は核酸がある。免疫原性物質としては、対象で免疫反応を導き出すことができるタンパク質又は核酸がある。このように、後者の場合、前記タンパク質又は核酸は抗体反応を起こすだけではなく、非抗体ベースの免疫反応、すなわち細胞性又は液性の反応をも起こすことができる。前記ポリペプチドの抗原性又は免疫原性を担う抗原性又は免疫原性のポリペプチドの領域、すなわち1つ又は複数のエピトープを同定することが可能なことは、当技術分野で既知である。FLJ20584ポリペプチドの抗原性指数(領域が抗原性である確率の測度)を予測するために、当業者に既知のアミノ酸及びペプチドの特性を利用することができる。例えば、Chou−Fasman、Garnier−Robson、Kyte−Doolittle、Eisenberg、Karplus−Schultz分析、又は「Peptidestructure」プログラム(Jameson and Wolf、1988、CABIOS、4(1):181)、及び「Threading」(Altuvia Y.ら、1995、J.Mol.Biol.249:244)と称される技術を用いることができる。このように、FLJ20584ポリペプチドは1つ又は複数のそのようなエピトープを含んでもよいし、又は、それらの抗原性/免疫原性を保持するようにそのような領域と十分に類似していてもよい。
【0144】
特定の実施形態では、ワクチンに用いられる医薬組成物の活性物質としてのFLJ20584ポリペプチドは短いペプチドであり、好ましくは長さが5〜20アミノ酸、より好ましくは7〜15アミノ酸、最も好ましくは8〜10アミノ酸である。そのようなペプチドは、ワクチンの効力を強化するために修飾されたエピトープを含むことができる。そのような修飾は、(a)ペプチドの主要組織適合遺伝子複合体分子との親和性を増加させ、(b)T細胞受容体の誘発を増加させ、又は(c)血清ペプチダーゼによるペプチドのタンパク質分解を阻止する役目を果たすことができる。
【0145】
ポリペプチド又は核酸は胃内で破壊される可能性があるので、前記ワクチン組成物は好ましくは非経口的に(例えば皮下、筋肉内、静脈内又は皮内の注射により)投与されるか、或いは、FLJ20584核酸配列を含んでいる細菌又はウイルスのベクター、例えばアデノウイルスベクターを用いて細胞のトランスフェクション又は感染により投与される。
【0146】
したがって、他の実施形態において、本発明は、
a)対象で免疫反応を誘導するためのそのようなワクチンの使用、及び
b)対象の癌の治療及び/若しくは予防のための、又は癌に対して対象にワクチン接種をするための、対象にFLJ20584のポリペプチド又は核酸の有効量を好ましくはワクチンとして投与するステップを含む方法を提供する。
【0147】
本発明の各実施形態の好ましい特性は、他の実施形態のそれぞれに準用される。それには限定されないが本明細書で引用されている特許及び特許出願を含む全ての刊行物は、個々の刊行物が完全に示されているかのように本明細書で参照により組み込まれていることを特に、また個々に示されるように、本明細書で参照により組み込まれている。
【0148】
本発明は次に以下の実施例に関して記載されるが、それらは例示だけが目的であり、いかなる形であれ本発明の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
【実施例】
【0149】
(実施例1)
腫瘍由来の細胞系からのFLJ20584タンパク質の単離
結腸直腸腫瘍由来の細胞系の膜のヘパリン結合分画内及び胃腫瘍由来の細胞系の膜内のタンパク質を、SDS−PAGEにより分離して分析した。
【0150】
1a−細胞培養
結直腸癌系の膜のプールを、以下のヒト結腸腺癌細胞系から調製した:HCT−15細胞(ATCC CCL−225);HT−29細胞(ATCC HTB−38);LoVo(ATCC Cat.No.CCL−229);LS174T(ATCC Cat.No.CL−188);SW620(ATCC Cat.No.CCL−227);及びSW948(ATCC Cat.No.CCL−237)。
【0151】
HT29細胞は、McCoy’s+2mM Glut+10%FBSで培養した。LS174T細胞は、MEM+2mMグルタミン+10%FBS+1%NEAAで培養した。HCT−15細胞は、RPMI+20%FBSで培養した。LoVo細胞は、Hams F12+10%FBSで培養した。SW620及びSW948細胞は、L−15+10%FBSで培養した。
【0152】
胃癌系の膜のプールは、以下のヒト細胞系から調製した:AGS胃腺癌細胞(ATCC Cat.No.CRL−1739);KATO−III胃癌細胞(ATCC Cat.No.HTB−103);NCI−N87胃腺癌細胞(ATCC Cat.No.CRL−5822);及びNCI−SNU−1胃癌細胞(ATCC Cat.No.CRL−5971)。AGS細胞は、Ham’s F12+2mM Glut+10%FBSで培養した。NCI−N87細胞は、RPMI+2mM Glut+10%FBSで培養した。NCI−SNU−1細胞は、RPMI+2mM Glut+10%FBSで培養した。KATO−III細胞は、RPMI+2mM Glut+20%FBSで培養した。
【0153】
全ての細胞は、空気95%及び二酸化炭素5%の加湿環境で、37℃で増殖させた。
【0154】
1b−細胞分画及び原形質膜生成
精製された膜標品を細胞系から単離した。付着細胞(2×10)をPBSで3回洗浄して、プラスチック細胞リフターを用いて削り取った。細胞は4℃で5分間、1000×gで遠心分離して、細胞ペレットはホモジナイゼーション緩衝液(250mMショ糖、10mM HEPES、1mM EDTA、1mMバナジン酸塩及び0.02%アジ化物、プロテアーゼ阻害剤)で再懸濁させた。約95%の細胞が破壊されるまで、ボールベアリングホモジナイザー(8.002mmボール、HGM Lab装置)を用いて細胞を分画した。膜は、Pasqualiら(Pasquali C.ら、1999 J.Chromatography 722:89〜102頁)が記載している方法を用いて分画した。分画された細胞は4℃で10分間、3000×gで遠心分離し、ポスト核の上清は60%ショ糖クッション上へ重層して、100000×gで45分間遠心分離した。膜はパスツールピペットを用いて収集し、予め形成させた15〜60%ショ糖勾配上へ重層して、100000×gで17時間遠心分離した。分画されたショ糖勾配からのタンパク質を4〜20%の1Dゲル(Novex)にかけ、ウェスタンブロット法で分析した。アルカリホスファターゼ及びトランスフェリン免疫反応性を含んでいるが酸化還元酵素II及びカルネキシン免疫反応性を含まない分画をプールして、原形質膜分画とした。
【0155】
1c−1D−ゲル分析のための原形質膜分画の調製
トランスフェリン免疫反応性を有していたが酸化還元酵素II又はカルネキシン免疫反応性を有していなかった原形質膜分画を特定してプールした。原形質膜分画を表すこのプールは少なくとも4回、10mM HEPES、1mM EDTA、1mMバナジン酸塩、0.02%アジ化物で希釈し、SW40又はSW60チューブに加えて100000×gで45分間、遅い加減速により遠心分離した。上清は結果として生じる膜ペレットから除去し、ペレットはPBS−CMで3回洗浄した。
【0156】
結腸癌腫細胞系からの再懸濁された膜ペレット(25mMトリス−HCl pH7.5)をプールして、FPLC系を用いて5mlヘパリンセファロースHi−Trapカラム(Pharmacia)上を通過させた。ロードされたカラムは10カラム容の洗浄緩衝液(150mM NaCl、25mMトリス−HCl pH7.5)で洗浄し、次に25mMトリス−HCl pH7.5中の5mlの1.0M NaClで溶出した。溶出したタンパク質を濃縮し、緩衝液は30kDaカットオフフィルター(Vivascience)を通した遠心分離により交換した。濃縮したタンパク質は、2%SDS、63mMトリスHCl、pH7.4にした。タンパク質アッセイを実施し、その後メルカプトエタノール(最終2%)、グリセリン(10%)及びブロムフェノールブルー(最終0.0025%)を加えた。1D−ゲルロードのために、1マイクログラム/マイクロリットルの最終タンパク質濃度を用いた。
【0157】
胃癌細胞系膜ペレットを、63mMトリスHCl、pH7.4中の2%SDSで可溶化した。タンパク質アッセイを実施し、その後メルカプトエタノール(最終2%)、グリセリン(10%)及びブロムフェノールブルー(最終0.0025%)を加えた。1D−ゲルロードのために、1マイクログラム/マイクロリットルの最終タンパク質濃度を用いた。
【0158】
1d−1D−ゲル技術
タンパク質又は膜のペレットを1D−試料緩衝液(約1mg/ml)で可溶化し、混合物は95℃まで5分間加熱した。
【0159】
試料は、Bio−Rad(Bio−Rad Laboratories、Hemel Hempstead、英国)から購入したプレキャスト8〜16%勾配ゲルによる1D−ゲル電気泳動法を用いて分離した。デタージェント抽出物から得られたタンパク質混合物の30〜50マイクログラムを含んでいる試料を、マイクロピペットを用いて濃縮用ゲルウェルに加えた。イメージングの後の分離ゲルの内挿による校正のために、分子量マーカー(10、15、25、37、50、75、100、150及び250kDa)を含んでいるウェルを含めた。30mAの電流を約5時間、又はブロムフェノールブルーマーカー色素がゲルの底に届くまでゲルへ流すことにより、タンパク質の分離を実施した。
【0160】
電気泳動の後、ゲルプレートをこじ開け、ゲルを定着液(10%酢酸、40%エタノール、50%水)のトレイに入れて一晩振盪した。ゲルは、次にプライマー溶液(逆浸透水中の7.5%酢酸、0.05%SDS)中で振盪し、その後振盪しながら蛍光染料(7.5%酢酸中の0.06%OGS色素)と3時間インキュベーションすることによって、30分間プライミングした。好ましい蛍光染料は、米国特許第6335446号で開示されている。Sypro Red(Molecular Probes,Inc.、オレゴン州、ユージン)は、この目的に適当な代替色素である。
【0161】
染色されたゲルのデジタル画像は、Storm Scanner(Molecular Dynamics Inc.、米国)を使用して青色蛍光モードでスキャンすることによって得た。取得した画像は、ゲル内タンパク質分解のために切り取るゲルの領域を決定するために用いた。
【0162】
1e−選択されたタンパク質の回収及び分析
ゲルの各垂直レーンを、ステンレス鋼メスの刃を用いて切り取った。タンパク質は、トリプシン分解ペプチドを生成するためにトリプシン(修飾トリプシン、Promega、米国ウィスコンシン州)によるゲル内消化を用いて処理した。回収した試料は、2つに分けた。MALDI分析の前に、C18 Zip Tips(商標)(ミリポア、マサチューセッツ州ベッドフォード)を用いて試料を脱塩して濃縮した。タンデム型質量分析のための試料は、C18 SPE材料を取り込むナノLC系(LC Packings、オランダ、アムステルダム)を用いて精製した。回収したペプチドプールは、脱離のための337nm波長レーザー及びリフレクトロン分析モードを用いて、MALDI−TOF質量分析(Voyager STR、Applied Biosystems、マサチューセッツ州、フレイミンガム)によって分析した。プールは、Micromass Quadrupole Time−of−Flight(Q−TOF)質量分析計(Micromass、Altrincham、英国)を用いてナノ−LCタンデム質量分析(LC/MS/MS)によっても分析した。部分アミノ酸配列決定及び胃及び結腸の癌細胞膜タンパクの識別のために、トリプシンペプチドの未解釈のタンデム質量スペクトルを、SEQUESTサーチプログラム(Engら、1994、J.Am.Soc.Mass Spectrom.5:976〜989頁)バージョンv.C.1を用いてhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/でアクセス可能なNational Centre for Biotechnology Information(NCBI)によって維持されている非冗長データベース内のタンパク質エントリーで構築されるパブリックドメインタンパク質データベースから検索した。データベース識別のための基準には以下が含まれた:トリプシンの切断特異性、データベースから返されたペプチド内のa、b及びyイオンのセット、並びにカルバミドメチル化を説明する全てのCys残基の質量増加の検出。SEQUESTプログラムを用いたスペクトル−スペクトル相関を通してのタンパク質の識別に続いて、MALDI−TOF質量スペクトルで検出された質量を、同定されたタンパク質内のトリプシン分解ペプチドに割り当てた。SEQUESTプログラムを用いたトリプシン分解ペプチドの未解釈のMS/MSスペクトルでの検索を通してアミノ酸配列が全く同定されなかった場合は、当技術分野で既知の方法を用いてペプチドのタンデム質量スペクトルを手動で解釈した。(ペプチドイオンの低エネルギーフラグメンテーション質量スペクトルの解釈の場合、Gaskellら、1992、Rapid Commun.Mass Spectrom.6:658〜662頁を参照)。国際公開02/21139で記載されている方法も、質量スペクトルを解釈するために用いた。
【0163】
タンデムスペクトル(図1で太字体及び下線付きで示す)は、両細胞系プールでGenBankアクセッション番号BAA91276.1と一致することがわかった。
【0164】
(実施例2)
定量的RT−PCR(Taqman)分析を用いた正常組織分布及びFLJ20584の疾患組織アップレギュレーション
組織試料は、Ardais Corp.(マサチューセッツ州レキシントン)から得た。腫瘍組織及びマッチさせた対照におけるFLJ20584発現を量的に測定するために、リアルタイムRT−PCRを用いた。PCRのために使われたプライマーは以下の通りである。
センス、5’−cattccccatgaacagaagctc−3’、(配列番号3)
アンチセンス、5’−actggagcgcttgaggtagaag−3’(配列番号4)
【0165】
5ngのcDNA、SYBRグリーン配列検出試薬(PE Biosystems)及びセンス及びアンチセンスプライマーを含んでいる反応液を、ABI7700配列検出システム(PE Biosystems)で分析した。PCR条件は、50℃で2分間を1サイクル、95℃で10分間を1サイクル、及び95℃で15秒、65℃で1分間を40サイクルであった。PCR生成物の蓄積をSYBRグリーン蛍光の増加としてリアルタイムで測定し、データはSequence Detectorプログラムv1.6.3(PE Biosystems)を用いて分析した。最初のテンプレートコピー数を蛍光及び増幅サイクルと関連づける標準曲線は、増幅されたPCR生成物をテンプレートとして用いて生成され、それらは各試料でのFLJ20584コピー数を計算するために用いられた。
【0166】
FLJ20584の比較的低い発現量は正常組織(図3)で見られ、最高レベルは脳及び精巣で見られた。対照的に、FLJ20584発現量は正常卵巣と比較して卵巣癌試料で大きく増加し、また、発現量増加は全ての癌試料で見られた(図4)。FLJ20584発現は、正常肺組織と比較して肺腫瘍試料でも増加した(図5)。これらのデータは、FLJ20584が癌の診断マーカーであり、また、癌の治療的介入のための標的であることを示す。
【0167】
(実施例3)
FLJ20584のクローニング
FLJ20584ポリペプチドをコードするDNA配列を、MDA−MB−468及びDMS114cDNAの混合(これらの細胞系から単離されたRNAから調製した)から増幅した。これらの配列を増幅するために用いたプライマーは以下である:センス5’agaccacgtcaaccacagag3’(配列番号5)及びアンチセンス5’agagcatggaagagccagg3’(配列番号6)。増幅反応は、下記熱サイクルパラメータでPfuポリメラーゼ(ストラタジーン)を用いて実施した:94℃で2分間を1サイクル、94℃で30秒間、50℃で30秒間、72℃で30秒間を40サイクル、及び72℃で7分間を1サイクル。適当な大きさのPCR生成物をゲル精製して平滑末端のクローニングベクター(pCR4Blunt−TOPO、Invitrogen)にクローニングし、DNA配列を検査した。
【0168】
(実施例4)
FLJ20584の細胞表面局在化
FLJ20584−AFP融合をコードする発現プラスミドを一過性にトランスフェクトしたMiaPaca−2細胞の免疫細胞化学的分析を用いて、FLJ20584タンパク質の膜トポロジーを測定した。発現プラスミドは、Pfu DNAポリメラーゼ(PfuTurbo Hotstart DNAポリメラーゼ、ストラタジーン)及び以下のプライマーを用いてプラスミドテンプレート(pCR4Blunt−TOPO中のFLJ20584、Invitrogen)からFLJ20584 ORFを増幅することによって構築した:順方向5’ccatggtaccgccaccatggcaaatttcaagggccacg3’(配列番号7)及び逆方向5’ccataagcttgttcctcatctgagccactcaag3’(配列番号8)。N末端でFLJ20584からなる融合タンパク質を発現しC末端でAFPを発現するために、PCR生成物をBstEII及びHindIII制限酵素で消化して、同じ制限酵素で消化したpQBI25/50−fn1ベクター(Quantum Biotechnologies)にクローニングした。
【0169】
MiaPaCa−2細胞を8穴スライドに播種し、37℃の95%空気及び5%COの加湿環境で24時間維持し、次にGene Juiceトランスフェクション試薬(Merck Biosciences)を用いてFLJ20584発現プラスミドでトランスフェクトした。トランスフェクション細胞を一晩培養し、PBSで洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで固定して5%ロバ血清/PBSでブロックした後、一次抗体として抗AFP抗体(3E6、Invitrogen)を用いて免疫細胞化学的分析を実施した。細胞内エピトープを検出するために、固定後及び一次抗体の添加の前に細胞を0.1%サポニンで可透過性にした。細胞を一次抗体とインキュベートし、又は一次抗体との室温で1時間のインキュベーションの対照としてマウスIgGとインキュベートし、5%ロバ血清/PBSで洗浄し、更にビオチン標識二次抗体(Biotin−SP Affinipure Donkey抗マウス、Jackson Immunoresearch)と室温で1時間インキュベートした。細胞を次に5%ロバ血清/PBSで洗浄し、室温で30分間ExtrAvidin−Cy3(Sigma)とインキュベートして、次に蛍光顕微鏡検査のために処理した。
【0170】
FLJ20584をコードする発現プラスミドをトランスフェクトしたMiaPaCa−2細胞で、特異的な原形質膜染色が見られた。トランスフェクトしなかった細胞及びpQBI25/50−fn1ベクターをトランスフェクトした対照細胞では、染色は観測されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】FLJ20584ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号1)を示す図である。
【図2】FLJ20584ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号2)を示す図である。
【図3】FLJ20584mRNAの正常組織分布を示す図である。mRNAのレベルはリアルタイムRT−PCRによって定量され、複製数ng−1 cDNAとして表されている。
【図4】正常組織(オープンバー)対卵巣癌組織(黒ベタのバー)及び卵巣癌由来の細胞系(斜線入りのバー)、並びに骨肉腫組織(点入りのバー)及び骨肉腫由来の細胞系(水平線入りのバー)におけるFLJ20584mRNAの分布を示す図である。
【図5】正常組織(オープンバー)対肺癌組織(黒ベタのバー)及び肺癌由来の細胞系(斜線入りのバー)におけるFLJ20584mRNAの分布を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌の治療及び/又は予防のための医薬品の製造のための、FLJ20584ポリペプチドと相互作用するかその発現又は活性を調整する物質の使用。
【請求項2】
前記物質は抗体、その機能的に活性な断片、誘導体又は類似体である請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記抗体が、モノクローナル、ポリクローナル、キメラ、ヒト化、又は二重特異性であるか、或いは治療的部分、検出可能な標識、第二抗体若しくはその断片、エフェクター若しくはレポーター分子、細胞傷害剤又はサイトカインとコンジュゲートされている、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
癌の治療及び/又は予防のための医薬品の製造のための、FLJ20584ポリペプチドの使用。
【請求項5】
前記医薬品はワクチンである請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記FLJ20584ポリペプチドは、
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むかそれからなるか、
(b)FLJ20584ポリペプチド活性を保持する、配列番号1のアミノ酸配列に対して1つ又は複数のアミノ酸置換、修飾、欠失又は挿入を有する誘導体であるか、或いは
(c)長さが少なくとも10アミノ酸であり且つFLJ20584の活性を保持する前記(a)又は(b)の断片である、請求項1から5までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
FLJ20584ポリペプチドと相互作用するかその発現又は活性を調整する物質の治療的有効量を投与することを含む癌の治療及び/又は予防方法。
【請求項8】
前記物質は、抗体、その機能的に活性な断片、誘導体又は類似体である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記抗体が、モノクローナル、ポリクローナル、キメラ、ヒト化、又は二重特異性であるか、或いは治療的部分、検出可能な標識、第二抗体若しくはその断片、エフェクター若しくはレポーター分子、細胞傷害剤又はサイトカインとコンジュゲートされている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
FLJ20584ポリペプチドを含む組成物の治療的有効量を投与することを含む癌の治療及び/又は予防方法。
【請求項11】
前記組成物はワクチンである請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記FLJ20584ポリペプチドは、
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むかそれからなるか、又は
(b)FLJ20584ポリペプチド活性を保持する、配列番号1のアミノ酸配列に対して1つ又は複数のアミノ酸置換、修飾、欠失又は挿入を有する誘導体である請求項7から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
FLJ20584ポリペプチドと相互作用する抗癌剤をスクリーニングする方法であって、
(a)前記ポリペプチドを候補物質と接触させること、及び
(b)前記候補物質が前記ポリペプチドと相互作用するか否かを測定することを含む方法。
【請求項14】
前記候補物質及びFLJ20584ポリペプチドの間の相互作用の判定が、前記候補物質及び前記ポリペプチドの結合を定量的に検出することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
FLJ20584ポリペプチドの発現又は活性を調整する抗癌剤をスクリーニングする方法であって、
(i)候補物質の存在下での前記ポリペプチドの発現又は活性を、前記候補物質の非存在下又は対照物質の存在下での前記ポリペプチドの発現又は活性と比較すること、及び
(ii)前記候補物質が前記ポリペプチドの発現又は活性の変化を起こすか否かを測定することを含む方法。
【請求項16】
前記ポリペプチドの発現又は活性は所定の基準範囲(reference range)と比較される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
(ii)の部分は、更なる試験のために又は抗癌剤としての治療的若しくは予防的使用のために、前記ポリペプチドと相互作用するか又はその発現又は活性を調整する物質を選択することを更に含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリペプチドと相互作用するか又はその発現又は活性の変化を引き起こす、請求項13から17までのいずれかの方法によって同定される物質。
【請求項19】
対象の癌のスクリーニング及び/又は診断若しくは予後診断のための、且つ/或いは癌療法の効果をモニターするための、前記対象から得られる生体試料においてFLJ20584ポリペプチドの発現を検出及び/又は定量するステップを含む方法。
【請求項20】
前記ポリペプチドの発現は既定の基準範囲又は対照と比較される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記検出するステップは、
(a)試料をFLJ20584ポリペプチドに特異的である捕捉試薬と接触させること、及び
(b)前記試料において前記捕捉試薬及び前記ポリペプチドの間で結合が起こったかどうかを検出することを含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
ステップ(b)は、直接又は間接標識された検出試薬を用いて捕捉されたポリペプチドを検出することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記捕捉試薬は固相上で固定されている請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリペプチドは、FLJ20584ポリペプチドと特異的に結合する抗体を用いて検出及び/又は定量される、請求項13から17までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記抗体は、検出可能な標識又は第二抗体若しくはその断片とコンジュゲートされる請求項24に記載の方法。
【請求項26】
FLJ20584ポリペプチドに特異的な捕捉試薬、試薬及び取扱説明書を含んでいる診断キット。
【請求項27】
前記癌腫は卵巣癌又は肺癌である請求項1から6までのいずれか一項に記載の使用、或いは請求項7から17まで又は19から25までのいずれか一項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2008−509082(P2008−509082A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512312(P2007−512312)
【出願日】平成17年5月4日(2005.5.4)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001669
【国際公開番号】WO2005/105835
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(501460693)セルテック アール アンド ディ リミテッド (29)
【Fターム(参考)】