説明

癌細胞においてアポトーシスを誘導する方法および使用

本開示は、薬学的に許容される担体中の外因性補酵素Q10またはその代謝産物を送達し、これらに限定されないがメバロン酸およびオレイン酸に加えて内因性補酵素Q10またはその代謝産物の細胞接触をもたらし、細胞内複合体を形成させることによって、癌細胞中においてアポトーシスを誘導する方法に関する。本開示はまた、薬学的に許容される担体中の補酵素Q10の送達によって、癌細胞に対してアポトーシス可能性を回復させる様式で、p53経路およびBcl-2タンパク質ファミリーを調節する方法を提供する。本開示は、さらに、アポトーシスを受けるように癌細胞を再プログラムする割合で、Bcl-2遺伝子ファミリーのプロアポトーシスメンバーおよびアンチアポトーシスメンバーの比率を特異的に正常化する方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2008年4月11日に出願された米国仮出願第61/044,085号に対する恩典および優先権を主張し、この全開示は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
背景
プログラム細胞死(アポトーシス)は、生命の維持に不可欠であり、何故ならば、一定の組織再生は、再生代謝についての生理学的な足場を提供するためである。アポトーシスは、全体的な組織健康を可能にする細胞再生の恒常性バランスを促進し、その結果、組織代謝の増殖、免疫調節、および血管新生成分の完全性が維持される。上述のプロセスのいずれか1つまたは上述のプロセスの組み合わせの調節障害は、アポトーシス制御の欠如を生じさせ得る。アポトーシス制御のこのような欠如は、任意で遺伝子突然変異と組み合わせて、好都合な腫瘍形成性環境を生じさせ得る。
【0003】
健康な状態下で、ゲノムの「番人」であるp53は、細胞の完全性が損なわれる場合を認識し、ミトコンドリア中におけるBcl-2タンパク質ファミリーの利用によってそれをアポトーシスへコミットし、核断片化をもたらす。例えば、Selivanova, et al., "Reactivation of mutant p53: molecular mechanisms and therapeutic potential," Oncogene (2007) 26, 2243-2254(非特許文献1)を参照のこと。
【0004】
さらに、Bcl-2タンパク質ファミリーの「プロ」および「アンチ」アポトーシスメンバーのバランスは、細胞についての全体的なアポトーシス可能性を決定し得る。全ての癌の60%超において、p53は、突然変異されているかまたは不活性化されており、Bcl-2タンパク質は、過剰発現されており、細胞死および化学療法アプローチに対する耐性がもたらされる。
【0005】
癌患者は、特に化学療法形態を使用した場合、倦怠、虚弱、および嗜眠の徴候および症状をもたらし得る、CoQ10の全体的な減少した血清レベルを有することが示された。例えば、Okamoto, et al. "Serum levels of Coenzyme Q10 and lipids in patients during total parenteral nutrition," J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo), (1986) Feb; 32(1): 1-12(非特許文献2)を参照のこと。無胸腺マウスモデルを使用するマイアミ大学の研究は、CoQ10のリポソーム製剤が、30日で53.2%ヒトメラノーマ腫瘍を減少させ、腫瘍血管新生の全体的な減衰が観察されたことを示した。例えば、Persaud, et al., "Attenuation of tumor angiogenesis in murine melanoma model using liposomal formulation of Coenzyme Q10," Proceedings of the American Association for Cancer Research, (2006); 47:A977(非特許文献3)を参照のこと。さらに、続いて、CoQ10の効果は、Bcl-2タンパク質のダウンレギュレーションによって媒介されることが示された。例えば、Narain, et al., "Coenzyme Q10: A novel Bcl-2 drug target for the treatment of melanoma," Proceedings of the American Association for Cancer Research, (2006); 47:A791(非特許文献4)を参照のこと。
【0006】
直接抗体阻害によってまたは結合を妨げる特異的構築物の使用によってBcl-2タンパク質ファミリーを標的化する薬物が開発され、これは、プロアポトーシスタンパク質およびアンチアポトーシスタンパク質のバランスを回復させようとして、二量体化またはオリゴマー化をもたらし得る。例えば、米国特許第6,514,761号(特許文献1)および第6,040,181号(特許文献2)を参照のこと。しかし、これは、所定の細胞がアポトーシスを受けることを可能にするp53の再活性化の後、Bcl-2、Bax、およびBidなどのBcl-2タンパク質ファミリーの主要なアポトーシスメンバーの上流レベルを基本的に変化させない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,514,761号
【特許文献2】米国特許第6,040,181号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Selivanova, et al., "Reactivation of mutant p53: molecular mechanisms and therapeutic potential," Oncogene (2007) 26, 2243-2254
【非特許文献2】Okamoto, et al. "Serum levels of Coenzyme Q10 and lipids in patients during total parenteral nutrition," J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo), (1986) Feb; 32(1): 1-12
【非特許文献3】Persaud, et al., "Attenuation of tumor angiogenesis in murine melanoma model using liposomal formulation of Coenzyme Q10," Proceedings of the American Association for Cancer Research, (2006); 47:A977
【非特許文献4】Narain, et al., "Coenzyme Q10: A novel Bcl-2 drug target for the treatment of melanoma," Proceedings of the American Association for Cancer Research, (2006); 47:A791
【発明の概要】
【0009】
概要
本開示は、CoQ10またはその代謝産物を細胞中へ送達し、内因性CoQ10および膜脂質と複合体を形成させる方法を記載し、これは、Bcl-2サブファミリーメンバーの調節によって癌細胞中においてp53の活性化およびBcl-2媒介アポトーシスの開始を誘導する。
【0010】
態様において、本開示は、メバロン酸およびキノンに加えてオレイン酸などの膜完全性を維持する内因性脂質へ結合する、リン脂質リポソームおよびCoQ10を含む組成物を提供する。本開示はまた、所定の細胞がアポトーシスを受けるようにコミットする様式で、p53を活性化し、Bcl-2タンパク質ファミリーの発現を調節する方法に関し、ここで、その細胞は腫瘍形成性細胞である。
【0011】
態様において、本開示は、CoQ10、リポソーム、および薬学的に許容される担体を含む、癌の治療用の組成物を提供する。ある態様において、組成物は、補酵素Q10を約0.001%〜約60%(w/w)含む。
【0012】
他の態様において、組成物は、ゲル、軟膏剤、クリーム、軟膏、ローション、ムース、フォーム、スプレーおよび/またはエアロゾル、液体(静脈内)、噴霧化散剤、坐剤、または任意の他の商業的に実行可能な非経口経路の形態であり得る。
【0013】
他の態様において、本開示は、その必要がある患者へ、治療有効量のCoQ10、リポソーム、および薬学的に許容される担体を含む組成物を、腫瘍形成性領域へ投与することを含む、癌を治療する方法を提供する。態様において、組成物は、補酵素Q10を約0.001%〜約60%(w/w)含む。
【0014】
他の態様において、本開示は、その必要がある患者へ、治療有効量のCoQ10、リポソーム、および薬学的に許容される担体を含む組成物を、腫瘍形成性領域へ投与することによって、内因性CoQ10に接触する方法を提供する。組成物は、補酵素Q10を約0.001%〜約60%(w/w)含み得る。
【0015】
本開示はまた、その必要がある患者へ、治療有効量のCoQ10、リポソーム、および薬学的に許容される担体を含む組成物を、腫瘍形成性領域へ投与することを含む、Bcl-2ファミリーのタンパク質を標的化する方法を提供する。態様において、組成物は、補酵素Q10を約0.001%〜約60%(w/w)含む。
【0016】
本開示はまた、その必要がある患者へ、治療有効量のCoQ10、リポソーム、および薬学的に許容される担体を含む組成物を、腫瘍形成性領域へ投与することを含む、p53タンパク質を再活性化する方法を提供する。態様において、組成物は、補酵素Q10を約0.001%〜約60%(w/w)含む。
【0017】
本開示はまた、その必要がある患者へ、治療有効量のCoQ10、リポソーム、および薬学的に許容される担体を含む組成物を、腫瘍形成性領域へ投与する、Bcl-2ファミリーのBH3結合ドメイン(例えば、Bid、Bim、Bik)を調節する方法を提供する。態様において、組成物は、補酵素Q10を約0.001%〜約60%(w/w)含む。
【0018】
Baxタンパク質を調節する方法がまた提供され、これは、態様において、その必要がある患者へ、治療有効量のCoQ10、リポソーム、および薬学的に許容される担体を含む組成物を、腫瘍形成性領域へ投与することを含む。態様において、組成物は、補酵素Q10を約0.001%〜約60%(w/w)含む。
【0019】
本開示はまた、その必要がある患者へ、治療有効量のCoQ10、リポソーム、および薬学的に許容される担体を含む組成物を、腫瘍形成性領域へ投与することによって、VEGF、FGF、Hif-1α、およびアンジオスタチンなどの血管新生因子を調節する方法を提供する。態様において、組成物は、補酵素Q10を約0.001%〜約60%(w/w)含む。
【0020】
別の態様において、その必要がある患者へ、治療有効量のCoQ10、リポソーム、および薬学的に許容される担体を含む組成物を、腫瘍形成性領域へ投与する、smadタンパク質、TGF-β、cdk(サイクリン依存性キナーゼ)、およびPI3K/aktなどの細胞周期因子を調節する方法。態様において、組成物は、補酵素Q10を約0.001%〜約60%(w/w)含む。
【0021】
本開示の上記のおよびさらなる利点は、添付の図面と共に以下の説明を参照することによって、よりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】CoQ10の代謝合成の描写である。
【図2】アポトーシスの誘導におけるBax、P53、およびBcl-2の相互作用の概要である。
【図3】50μM CoQ10で処理した後のメラノーマ細胞および新生児線維芽細胞中におけるBcl-2発現を示す。
【図4】50μMおよび100μM CoQ10と共に24時間インキュベートしたメラノーマ細胞中におけるBcl-2発現を示す。
【図5】24時間Take Away(TA)法を使用してCoQ10の存在および非存在下で処理したメラノーマ細胞中におけるBcl-2発現を示す。TA実験において、メラノーマ細胞を、6、12、および24時間CoQ10で処理した。インキュベーション後、培地を、24時間、標準培養培地で置き換えた。Bcl-2発現を測定し、アポトーシスへのコミットメントを評価した。
【図6】CoQ10(50μMおよび100μM)と共の12および24時間インキュベーション後のメラノーマ細胞中におけるBax発現を示す。
【図7】24時間Take Away(TA)法を使用してCoQ10の存在および非存在下で処理したメラノーマ細胞中におけるBax発現を示す。TA実験において、メラノーマ細胞を、6、12、および24時間CoQ10で処理した。インキュベーション後、培地を、24時間、標準培養培地で置き換えた。Bax発現を測定し、アポトーシスへのコミットメントを評価した。
【図8】CoQ10と共の12時間インキュベーション後のメラノーマ細胞中におけるBid発現を示す。
【図9】無胸腺ヌードマウス中において誘発されたヒトメラノーマ腫瘍の組織病理学分析を示す。処置群は、30日間、CoQ10の局所適用を受容した。腫瘍病理学の分析は、腫瘍血管構造の崩壊を示している。
【図10】図10a〜10dは、24時間、CoQ10および/または血管内皮増殖因子(VEGF)と共にインキュベートしたメラノーマ細胞中におけるBcl-2発現を示す。
【図11】50μMおよび100μM CoQ10と共に24時間インキュベートしたメラノーマ細胞中におけるp53発現を示す。
【図12】50μMおよび100μM CoQ10と共に12時間インキュベートしたメラノーマ細胞中におけるp53発現を示すグラフである。
【図13】CoQ10と共に6時間インキュベートしたメラノーマ細胞中におけるBcl-xl発現を示す。
【図14】CoQ10と共に12時間インキュベートしたメラノーマ細胞中におけるBcl-xl発現を示す。
【図15】CoQ10で12時間処理したメラノーマ細胞中におけるBcl-xl発現を定量するグラフである。
【図16】CoQ10で12時間処理したメラノーマ細胞中におけるカスパーゼ-3発現を示す。
【図17】CoQ10で12時間処理したメラノーマ細胞中におけるカスパーゼ-3発現を定量するグラフである。
【図18】補酵素Q10で3、6、12、および24時間処理したメラノーマ細胞中におけるMcl-1発現を示す。
【図19】図19aは、CoQ10と共に12時間インキュベートしたメラノーマ細胞中におけるMcl-1発現を定量するグラフであり;図19bは、CoQ10と共に24時間インキュベートしたメラノーマ細胞中におけるMcl-1発現を定量するグラフである。
【図20】CoQ10と共に4時間インキュベートしたPC-3(前立腺癌)細胞中におけるBAX発現を定量するグラフである。
【図21】CoQ10と共に4時間インキュベートしたPC-3細胞中におけるBcl-2発現を定量するグラフである。
【図22】CoQ10で4時間および24時間処理したPC-3細胞中におけるBcl-2発現の時点比較を示すグラフである。
【図23】CoQ10と共に4時間インキュベートしたSkBr-3(乳癌)細胞中におけるBcl-2発現を定量するグラフである。
【図24】CoQ10と共に8時間インキュベートしたSkBr-3細胞中におけるBax発現を定量するグラフである。
【図25】CoQ10と共に8時間インキュベートしたSkBr-3細胞中におけるBax発現を示す。
【図26】CoQ10での24時間処理後のBcl-2およびBax発現を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
本開示は、補酵素Q10(CoQ10)を含む薬学的組成物、および内因性脂質分子へ連結し、腫瘍形成性状態に関連する分子機構を調節する方法を提供する。本開示の範囲は、p53経路およびBcl-2遺伝子ファミリーの遺伝子調節に特有の分子医学および腫瘍学の分野に関する。
【0024】
定義
本開示に従って、本明細書において使用される場合、以下の用語は、特に記載されない限り、以下の意味で定義される。
【0025】
本明細書において使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈において特に記載されない限り、複数の参照を含む。
【0026】
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される」成分は、合理的な利益/リスク比と釣り合った、過度の有害な副作用(例えば、毒性、炎症、およびアレルギー反応)のない、ヒトおよび/または動物での使用に好適であるものである。
【0027】
本明細書において使用される場合、用語「安全かつ治療的に有効な量」は、本開示の様式で使用された場合に合理的な利益/リスク比と釣り合った、過度の有害な副作用(例えば、毒性、炎症、またはアレルギー反応)なしに、所望の治療応答を生じさせるに十分である成分の量を指す。「治療有効量」によって、所望の治療応答を生じさせるに有効な、本開示の化合物の量が意味される。例えば、創傷治癒、疼痛および疲労の軽減を促進する。具体的な安全かつ有効な量または治療有効量は、治療される特定の状態、患者の体調、治療される哺乳動物または動物の種類、治療の期間、同時療法の性質(存在する場合)、および使用される特定の製剤、および化合物またはその誘導体の構造などの因子で変化する。
【0028】
本明細書において使用される場合、「薬学的な塩」としては、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩が挙げられるが、これらに限定されない。好適な塩は、有機または無機酸を使用して作製され得る。このような塩としては、塩化物、臭化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、ギ酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコビル酸塩などが挙げられる。態様において、塩酸塩が利用され得る。
【0029】
「診断の」または「診断された」は、病理学的状態の存在または性質を確認することを意味する。診断方法は、それらの感度および特異性が異なる。診断アッセイの「感度」は、陽性と判定される罹患した個人のパーセンテージ(「真陽性」のパーセント)である。アッセイによって検出されない罹患した個人は、「偽陰性」である。罹患しておらずかつアッセイにおいて陰性と判定される被験体は、「真陰性」と呼ばれる。診断アッセイの「特異性」は、1マイナス偽陽性率であり、ここで「偽陽性」率は、陽性と判定される疾患を有さないものの割合と定義される。特定の診断方法は状態の決定的な診断を提供しない場合がある一方、方法が診断を助ける陽性表示を提供するならば、それは十分である。
【0030】
用語「患者」または「個体」は、本明細書において交換可能に使用され、治療される哺乳類被験体を指し、ある態様においてはヒト患者が好適である。ある場合には、本開示の方法は、実験動物において、獣医学的適用において、ならびにマウス、ラットおよびハムスターを含む齧歯動物;および霊長類を含むがこれらに限定されない疾患についての動物モデルの開発において、使用される。
【0031】
「サンプル」は、その最も広い意味で本明細書において使用される。ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ペプチド、抗体などを含むサンプルとしては、体液;細胞調製物の可溶性分画、または細胞が増殖された培地;細胞から単離または抽出された、染色体、細胞小器官、または膜;溶液中のまたは支持体へ結合された、ゲノムDNA、RNA、もしくはcDNA、ポリペプチド、もしくはペプチド;細胞;組織;組織プリント;指紋、皮膚、または毛髪などが挙げられ得る。
【0032】
「治療」は、障害の病状または症状を変化させるまたは発達を予防する意図で行われる介入である。従って、「治療」は、治療的処置および予防的または防止的処置の両方を指す。治療の必要があるものとしては、障害を既に有するものならびに障害が予防されるものが挙げられる。本明細書において使用される場合、「改善された」または「治療」は、標準値(例えば、健康な患者または個体において得られた値)に近い、例えば、標準値と50%未満異なる、態様において標準値と約25%未満異なる、他の態様において標準値と10%未満異なる、症状を指し、なお他の態様において、型通りの統計的検定を使用して測定した場合、症状の存在は、標準値と有意には異ならない。
【0033】
本明細書において使用される場合、「改善された症状」または「治療された症状」は、標準値に近い、例えば、標準値と50%未満異なる、態様において標準値と約25%未満異なる、他の態様において標準値と約10%未満異なる、症状を指し、なお他の態様において、型通りの統計的検定を使用して測定した場合、症状の存在は、標準値と有意には異ならない。
【0034】
被験体
多くの異なる種由来の被験体が、本開示の組成物で治療され得る。このような動物の非網羅的な例示的なリストは、哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、ならびに霊長類、例えば、サル、類人猿、およびヒトを含む。筋肉疲労、疼痛、創傷などに苦しむことが既知の動物被験体は、本開示における使用に好適であり得る。特に、損傷、手術、関節炎、筋肉疲労などに苦しむヒト患者は、本開示における使用についての好適な動物被験体である。医学または獣医学科学において公知の他の方法に本明細書において教示される方法を適合させること(例えば、被験体動物の体重に従って投与される物質の用量を調節すること)によって、本開示において利用される組成物は、他の動物における使用について容易に最適化され得る。
【0035】
薬学的組成物および被験体への投与
態様において、本開示は、癌の治療および予防用のCoQ10組成物を提供する。2,3-ジメトキシ-5-メチル-6-デカプレニル-1,4-ベンゾキノン(補酵素Q-10)の経皮、経口 静脈内、および他の非経口調製物は、特に、助剤、有効量の肺表面活性物質を、および/またはリポソームと組み合わせて、含み得る。
【0036】
態様において、CoQ10を含む組成物は、局所投与され得る。有効成分、例えば、CoQ10を、薬学的製剤として提供することが望ましい場合がある。例示的な組成物を、下記の実施例において詳細に記載する。有効成分は、局所投与について、最終製品中の製剤の重量で、0.001%〜約60%w/wを含み得るが、それは80%w/wほどを含み得、態様において製剤の約0.001%〜約60%w/wを含み得る。本開示の局所製剤は、有効成分を、その1つまたは複数の許容される担体および任意で他の治療成分と共に含む。担体は、製剤の他の成分と適合性でありかつそれらの受容者に対して有害でないという意味で「許容」されなければならない。
【0037】
ある態様において、CoQ10は、米国特許出願第12/052,825号に開示される組成物などの組成物中に含まれ得、この全開示は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0038】
本開示の組成物は、それらだけで、またはそれが好適な担体または賦形剤と混合されている薬学的組成物で、患者へ投与され得る。関心対象の障害を示す患者の治療において、これらなどの、治療有効量の薬剤が投与される。治療有効用量は、患者において症状の改善または生存の延長を生じさせる化合物の量を指す。
【0039】
このような化合物の毒性および治療効能は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を測定することについて、細胞培養物または実験動物において標準的な薬学的手順によって測定され得る。毒性効果と治療効果との用量比率は、治療指数であり、それは、比率LD50/ED50と表わされ得る。大きな治療指数を示す化合物が望ましい場合がある。これらの細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータは、ヒトにおける使用についての投薬量範囲を定式化することに使用され得る。このような化合物の投薬量は、毒性がほとんどまたは全くなくED50を含む循環濃度の範囲内にあり得る。投薬量は、使用される投薬形態および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変化し得る。
【0040】
本開示の方法において使用される任意の化合物について、治療有効用量は、最初は、細胞培養アッセイから推定され得る。例えば、用量は、細胞培養物中において測定されたIC50を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、動物モデルにおいて処方され得る。このような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用され得る。血漿中のレベルは、例えば、HPLCによって測定され得る。
【0041】
正確な処方、投与経路および投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択され得る(例えば、Fingl et al., The Pharmacological Basis of Therapeutics, 1975, Ch. 1 p.1を参照のこと)。主治医は、毒性、または臓器不全に起因して、投与を終了、中断、または調節する方法および時を知っていることが、注意されるべきである。逆に言えば、主治医はまた、臨床応答が適切でなかった場合に、より高いレベルへ治療を調節することを知っている(毒性を排除する)。関心対象の腫瘍形成性障害の管理における投与用量の大きさは、治療される状態の重篤度および投与経路で変化する。状態の重篤度は、例えば、一部分において、標準的な予後評価方法によって、評価され得る。さらに、用量および恐らく投薬頻度はまた、個々の患者の年齢、体重、および応答に応じて変化する。ヒトについて上述したものに相当するプログラムが、獣医学において使用され得る。
【0042】
本開示の組成物は、損傷のタイプ、損傷の重篤度、損傷の位置など、患者へ調整されている治療法によって患者へ適用され得る。例えば、活性組成物のパーセンテージは、再び重篤度、損傷のタイプなどに応じて、治療の過程において調節され得る。有効成分であるCoQ10は、最終製品中の製剤の重量で、0.001%〜約60%w/wを含み得るが、それは80%w/wほどを含み得、態様において製剤の約0.001%〜約60%w/wを含み得る。
【0043】
組成物は、1日に少なくとも1回、患者へ適用され得る。他の態様において、薬学的組成物は、1日2回、1日3回またはそれ以上、適用され得る。有効成分を含有する組成物および回数は、臨床医によって容易に決定され得る。
【0044】
治療される特定の状態に応じて、このような薬剤は、処方され、全身または局所投与され得る。処方および投与についての技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing Co., Easton, Pa. (1990)において見られ得る。好適な経路としては、数例を挙げると、経口、直腸、経皮、経膣、経粘膜、または腸投与;非経口送達、例えば、筋肉内、皮下、髄内注射、ならびに鞘内、直接脳室内(direct intraventricular)、静脈内、腹腔内、鼻腔内、または眼内注射が挙げられ得る。
【0045】
上述の組成物は、任意の好適な製剤で被験体へ投与され得る。CoQ10の局所製剤での癌の治療に加えて、本開示の他の局面において、CoQ10は他の方法によって送達され得る。例えば、CoQ10は、非経口送達について、例えば、皮下、静脈内、筋肉内、または腫瘍内注射について、処方され得る。他の送達方法、例えば、リポソーム送達、または組成物が充満されたデバイスからの拡散が使用され得る。組成物は、単回ボーラス、複数回注射で、または持続注入によって(例えば、静脈内にまたは腹膜透析によって)、投与され得る。非経口投与について、組成物は、滅菌パイロジェンフリー形態で処方され得る。本開示の組成物はまた、細胞が含有されている流体へ組成物を単に添加することによって、細胞へインビトロで投与され得る(例えば、細胞中またはインビトロ培養物中におけるBcl-2産生へ)。
【0046】
治療される特定の状態に応じて、このような薬剤は、処方され、全身または局所投与され得る。処方および投与についての技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing Co., Easton, Pa. (1990)において見られ得る。好適な経路としては、数例を挙げると、経口、直腸、経皮、経膣、経粘膜、または腸投与;非経口送達、例えば、筋肉内、皮下、髄内注射、ならびに鞘内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、または眼内注射が挙げられ得る。
【0047】
注射について、本開示の薬剤は、水溶液中に、例えば、生理学的に適合性の緩衝液、例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理食塩水緩衝液中に、処方され得る。このような経粘膜投与について、浸透されるバリアに好適な浸透剤が、製剤中において使用される。このような浸透剤は、当技術分野において一般的に知られている。
【0048】
全身投与に好適な調剤へ本開示の実施について本明細書において開示される化合物を処方するための薬学的に許容される担体の使用は、本開示の範囲内にある。担体の適切な選択および好適な製造実施で、本開示の組成物、特に、液剤として処方されたものは、静脈内注射などによって、非経口投与され得る。化合物は、当技術分野において周知の薬学的に許容される担体を使用して、経口投与に好適な調剤へ、容易に処方され得る。このような担体は、本開示の化合物が、治療される患者による経口摂取についての、錠剤、丸剤、カプセル剤、液体、ゲル、シロップ剤、スラリー、懸濁剤などとして処方されることを可能にする。
【0049】
細胞内へ投与されるように意図される薬剤は、当業者に周知の技術を使用して投与され得る。例えば、このような薬剤は、リポソーム中へカプセル化され、次いで、上述したように投与され得る。リポソームは、水性内部を有する球状脂質二重層である。リポソーム形成時に水溶液中に存在する全ての分子が、水性内部中へ組み入れられる。リポソーム内容物は、外部微環境から保護されており、また、リポソームは細胞膜と融合するために、細胞質中へ効率的に送達される。さらに、それらの疎水性に起因して、有機小分子は、直接、細胞内へ投与され得る。
【0050】
本開示における使用に好適な薬学的組成物は、有効成分がその意図される目的を達成するに有効な量で含有されている組成物を含む。有効量の決定は、本明細書に提供される詳細な開示を特に考慮して、十分に当業者の能力の範囲内にある。有効成分に加えて、これらの薬学的組成物は、薬学的に使用され得る調製物への活性化合物のプロセッシングを容易にする賦形剤および助剤を含む、好適な薬学的に許容される担体を含有し得る。経口投与用に処方された調製物は、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、または液剤の形態であり得る。本開示の薬学的組成物は、それ自体公知である様式で、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、レビテーティング(levitating)、乳化、カプセル化、封入または凍結乾燥プロセスによって、製造され得る。
【0051】
局所投与に好適な製剤としては、治療が必要とされる部位への皮膚を介しての浸透に好適な液体または半液体調製物、例えば、リニメント剤、ローション、クリーム、軟膏剤またはペースト剤、および眼、耳、または鼻への投与に好適な点滴剤が挙げられる。本開示に従う点滴剤は、滅菌した水性または油性の溶液または懸濁液を含み得、殺菌剤および/または殺真菌剤および/または任意の他の好適な防腐剤の好適な水溶液中に有効成分を溶解することによって調製され得、ある態様においては界面活性剤を含む。次いで、得られた溶液は、濾過によって清澄化および滅菌され得、無菌技術によって容器へ移され得る。点滴剤中に含めるに好適な殺菌剤および殺真菌剤の例は、硝酸フェニル水銀または酢酸フェニル水銀(0.002%)、塩化ベンザルコニウム(0.01%)および酢酸クロルヘキシジン(0.01%)である。油性溶液の調製に好適な溶媒としては、グリセロール、希釈アルコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。
【0052】
本開示に従うローションとしては、皮膚または眼への適用に好適なものが挙げられる。点眼薬は、殺菌剤を任意で含有する滅菌水溶液を含み得、点滴剤の調製についてのものと同様の方法によって調製され得る。皮膚への適用についてのローションまたは塗布剤はまた、乾燥を促進し皮膚を冷却する薬剤、例えば、アルコールもしくはアセトン、および/または保湿剤、例えば、グリセロール、またはオイル、例えば、ヒマシ油もしくは落花生油を含み得る。
【0053】
本開示に従うクリーム、軟膏剤またはペースト剤は、外部適用についての有効成分の半固体製剤である。それらは、脂肪性または非脂肪性基剤と、好適な機械の助けを借りて、水性または非水性流体中の溶液または懸濁液中のまたは単独の、微細に分割されたまたは粉末形態の有効成分を混合することによって作製され得る。基剤としては、炭化水素、例えば、硬質、軟質または流動パラフィン、グリセロール、蜜ろう、金属せっけん;粘液;天然起源の油、例えば、アーモンド油、トウモロコシ油、落花生油、ヒマシ油またはオリーブ油;羊毛脂もしくはその誘導体、または脂肪酸、例えば、ステアリン酸もしくはオレイン酸およびアルコール、例えば、プロピレングリコールもしくはマクロゲル(macrogel)が挙げられ得る。製剤は、任意の好適な界面活性剤、例えば、アニオン性、カチオン性または非イオン性界面活性剤、例えば、ソルビタンエステルまたはそのポリオキシエチレン誘導体を含み得る。懸濁化剤、例えば、天然ゴム、セルロース誘導体、または無機材料、例えば、ケイ素シリカ(silicaceous silica)、および他の成分、例えば、ラノリンもまた含まれ得る。
【0054】
非経口投与用の薬学的製剤としては、水溶性形態の活性化合物の水溶液が挙げられる。さらに、活性化合物の懸濁液が、好適な油性注射懸濁剤として調製され得る。好適な親油性溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油、例えば、ゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリド、またはリポソームが挙げられる。水性注射懸濁剤は、懸濁剤の粘度を増加させる物質、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含有し得る。任意で、懸濁剤はまた、好適な安定剤、または、化合物の溶解性を増加させて高濃度の溶液の調製物を可能にする薬剤を含有し得る。
【0055】
経口使用のための薬学的調製物は、活性化合物と固体賦形剤とを合わせ、得られた混合物を任意で粉末化し、必要に応じて、好適な助剤の添加後に、顆粒の混合物を処理し、錠剤または糖衣錠コアを得ることによって、得ることができる。好適な賦形剤は、特に、充填剤、例えば、糖質、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトール;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシ−メチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。必要に応じて、崩壊剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムが添加され得る。
【0056】
糖衣錠コアは、好適なコーティングと共に提供される。この目的のために、濃縮糖質溶液が使用され得、これは、任意で、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。色素または顔料が、同定のために、または活性化合物用量の異なる組み合わせをキャラクタライズするために、錠剤または糖衣錠コーティングへ添加され得る。
【0057】
経口的に使用され得る薬学的調製物としては、ゼラチンから作製されたプッシュ−フィットカプセル剤、ならびに、ゼラチンおよび可塑剤、例えば、グリセロールまたはソルビトールから作製された軟密封カプセル剤が挙げられる。プッシュ−フィットカプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および、任意で、安定剤と混合された状態で有効成分を含有し得る。軟カプセル剤中において、活性化合物は、好適な液体、例えば、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁され得る。さらに、安定剤が添加され得る。
【0058】
組成物は、必要に応じて、緩衝系を含み得る。緩衝系は、所望の範囲内に組成物のpHを維持または緩衝化するように選択される。用語「緩衝系」または「緩衝剤」は、本明細書において使用される場合、水溶液中にある場合に、このような溶液を、酸または塩基がそこへ添加される際のpH(または水素イオン濃度または活量)の大きな変化に対して安定させる溶質薬剤を指す。上述の範囲内の出発緩衝化pH値からのpHの変化または抵抗をこのように担う溶質薬剤は、周知である。無数の好適な緩衝剤が存在するが、リン酸カリウム一水和物が好適な緩衝剤であり得る。
【0059】
薬学的組成物の最終pH値は、生理学的に適合性の範囲内で変化し得る。最終pH値は、ヒトの皮膚に対して刺激性ではなく、また、活性化合物、例えば、CoQ10の経皮輸送が促進され得るように選択され得る。この制約を破ることなしに、pHは、CoQ10化合物安定性を改善し、必要な場合はコンシステンシーを調節するように、選択され得る。一態様において、pH値は、約3〜約7.4、態様において約3.2〜約6.5、他の態様において約3.5〜約6であり得る。
【0060】
ある態様において、局所送達ビヒクルの残りの成分は、水であり得、態様において、精製水、例えば、脱イオン水であり得る。このような送達ビヒクル組成物は、組成物の総重量に基づいて、約50〜約95パーセントの量の水を含有し得る。しかし、存在する水の特定量は、重要ではなく、他の成分の所望の粘度(通常、約50 cps〜約10,000 cps)および/または濃度を得るために調節可能である。局所送達ビヒクルは、少なくとも約30センチポアズの粘度を有し得る。
【0061】
他の公知の経皮的皮膚浸透促進剤がまた、CoQ10の送達を促進するために使用され得る。例示的であるのは、スルホキシド、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)など;環状アミド、例えば、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン(AZONE(登録商標)、Nelson Research, Inc.の登録商標)など;アミド、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA) N,N-ジエチルトルアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルオクタミド、N,N-ジメチルデカミドなど;ピロリドン誘導体、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、2-ピロリドン-5-カルボン酸、N-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドンまたはそれらの脂肪酸エステル、1-ラウリル-4-メトキシカルボニル-2-ピロリドン、N-タロウアルキルピロリドンなど;ポリオール、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、ヘキサントリオールなど;直鎖および分枝鎖脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、ラウリン酸、吉草酸、ヘプタン酸、カプロン酸、ミリスチン酸、イソ吉草酸、ネオペンタン酸、トリメチルヘキサン酸、イソステアリン酸など;アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、オレイル、ステアリル、リノレイルなど;アニオン性界面活性剤、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど;カチオン性界面活性剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミドなど;非イオン性界面活性剤、例えば、プロポキシ化ポリオキシエチレンエーテル、例えば、Poloxamer 231、Poloxamer 182、Poloxamer 184など、エトキシ化脂肪酸、例えば、Tween 20、Myrj 45など、ソルビタン誘導体、例えば、Tween 40、Tween 60、Tween 80、Span 60など、エトキシ化アルコール、例えば、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル(Brij 30)、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル(Brij 93)など、レシチンおよびレシチン誘導体など;テルペン、例えば、D-リモネン、α-ピネン、β-カレン、α-テルピネオール、カルボール、カルボン、メントン、リモネンオキシド、α-ピネンオキシド、ユーカリ油などである。
【0062】
皮膚浸透促進剤として好適であるものはまた、有機酸およびエステル、例えば、サリチル酸、サリチル酸メチル、クエン酸、コハク酸などである。
【0063】
有効量
上述の組成物は、有効量で被験体へ投与され得る。有効量は、処置される動物または処理される細胞において所望の結果を生じさせることができる量である。医学および獣医学技術分野において周知であるように、いずれか1つの動物についての投薬量は、特定の動物のサイズ、体表面積、年齢、投与される特定の組成物、投与の時間および経路、全体的な健康、ならびに同時投与されている他の薬物を含む、多くの因子に依存する。本開示の組成物の局所投与について好適な投薬量は、約0.1〜約2.5 mg CoQ10/kg体重(例えば、約110〜約300 lbsの範囲の被験体について約10〜約500 mg)であると予想される。培養中の細胞での使用についての有効量はまた変化し得るが、経験的に(例えば、細胞へ異なる濃度を添加し、所望の結果を最もよく生じさせる濃度を選択することによって)容易に決定され得る。好適な濃度は約1〜約250 μMであると予想される。
【実施例】
【0064】
実施例
本開示に付随のデータを生じさせるための実験について利用した材料は、以下を含んだ:Skmel-28(HTB-72)、PC-3(CRL-1435)、およびSkBr3(HBT-30)をATCCから購入した。細胞株を、DMEM/F12培地(ダルベッコ改変イーグル培地:栄養混合物F-12、Invitrogen Corporationから市販)中において増殖させ、5%仔ウシ血清を補った。Bcl-2(カタログ番号:2872)、Bax(カタログ番号:2774)、Bid(カタログ番号:2002)、p53(カタログ番号:9282)、Bcl-xl(カタログ番号:2762)、カスパーゼ-3(カタログ番号:9662)、Mcl-1(カタログ番号:4572)、Bax(カタログ番号:2772)、抗ウサギIgG(カタログ番号:7074)、および抗マウスIgG(カタログ番号:7076)抗体を、Cell Signaling Technology (Boston, MA)から購入した。試薬および化学物質をSigma Aldrich (St Louis, MO)から購入した。ウエスタンブロットゲルおよび緩衝液をBio-Rad (Hercules, CA)から購入した。
【0065】
実施例1
タンパク質発現プロトコル(図:3、4、5、6、7、10a〜10d、13、14、16、18、19a、および25において見られるデータを生じた)
Skmel-28、PC-3、およびSkBr3細胞を、80%コンフルエンシーへ増殖させ、ペトリ皿中において継代培養した。24時間後、細胞はプレートへ付着し、培地を抜き取った。処理培地を各プレートへ添加した。意図したインキュベーション時間後、培地を除去し、細胞を冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した。細胞を冷PBS中においてこすり落とし、遠心分離チューブ中に回収した。次いで、細胞をペレット化し、冷PBSで洗浄した(3回)。PBSを除去し、その後、溶解緩衝液を添加し、超音波処理し、タンパク質構造体を分散させた。サンプル緩衝液を各チューブへ添加し、溶液を5分間沸騰させた。BCA(ビシンコニン酸)タンパク質分析キットを使用して、タンパク質の濃度を各サンプルについて定量した。これらの値は、各サンプルについてのローディング体積を決定した。
【0066】
サンプルを、4%スタッキングおよび12%ランニングTris-Hclゲルウエスタンブロットゲル中にロードした。分離後、タンパク質のバンドを、電気泳動を使用してニトロセルロース紙へ移した。ニトロセルロース紙を、5%ミルク溶液で一晩ブロッキングした。それぞれの抗体を、タンパク質サンプルを含有する各ニトロセルロース紙へ添加した。24時間後、一次抗体を除去し、抽出紙を洗浄し、結合していない一次抗体を除去した。一次抗体のタイプに依存して、抗マウスまたは抗ウサギ二次抗体を、タンパク質抽出物へ添加した。インキュベーション後、抗体を除去し、ニトロセルロース紙を洗浄した。Pico Chemo-luminescentを添加し、ニトロセルロース紙を、暗室条件下でX線現像フィルムへ曝露した。フィルムを現像し、タンパク質発現を記録した。
【0067】
ウエスタンブロット分析についてのグラフ分析(図12、15、17、19a、20、21、22、23、24、26において見られるデータを生じた)
タンパク質発現についての手順を使用し、タンパク質発現の写真画像を得た。これらの画像(imaged)をコンピュータ分析のための画像ファイルへスキャンした。米国国立衛生研究所(NIH)によって開発されたImageJソフトウェアを使用して、タンパク質発現のレベルを定量した。次いで、サンプルのローディングコントロールであったアクチンの発現レベルに基づいて、発現を計算した。数値を、統計的有意性について統計分析した。
【0068】
組織学的サンプル
Skmel-28細胞を、5%血清補充DMEM/F12培地中において、80%コンフルエンシーまで増殖させた。細胞をトリプシン処理し、遠心分離機を使用してペレット化した。次いで、ペレットを冷PBS中に再懸濁した。この研究についての被験体は、無胸腺ヌードマウスであった。各被験体に、マウスの背部において、細胞懸濁液の2回の注射を受容させた。腫瘍ができたことを視覚的に評価した後、局所適用での処置を開始した。処置の30日後に、腫瘍をマウスから切除し、ホルマリン中に置いた。各腫瘍サンプルを、パラフィン中に包埋し、ミクロトームを使用してスライスした。スライドをH & EまたはS-100染色した。次いで、これらのサンプルを病理学者が分析し、腫瘍の血管完全性を評価した。
【0069】
図は、CoQ10の合成、および、癌状態にあるそれらの発現を含む、癌状態にある内因性タンパク質の相互作用に関する詳細を提供する。図はまた、上記の実験から得られたデータを示し、異なる濃度および異なる期間でのCoQ10などの化合物の投与が、種々のタイプの癌細胞に対して有した効果を実証している。簡単には、要約すると、図は以下を含む。
【0070】
図1は、CoQ10の代謝合成の描写である。
【0071】
図2は、アポトーシスの誘導におけるBax、P53、およびBcl-2の相互作用の概要である。
【0072】
図3は、50μM CoQ10で処理した後のメラノーマ細胞および新生児線維芽細胞中におけるBcl-2発現を示す。
【0073】
図4は、50μMおよび100μM CoQ10と共に24時間インキュベートしたメラノーマ細胞中におけるBcl-2発現を示す。
【0074】
図5は、24時間Take Away(TA)法を使用してCoQ10の存在および非存在下で処理したメラノーマ細胞中におけるBcl-2発現を示す。TA実験において、メラノーマ細胞を、6、12、および24時間CoQ10で処理した。インキュベーション後、培地を、24時間、標準培養培地で置き換えた。Bcl-2発現を測定し、アポトーシスへのコミットメントを評価した。
【0075】
図6は、CoQ10(50μMおよび100μM)と共の12および24時間インキュベーション後のメラノーマ細胞中におけるBax発現を示す。
【0076】
図7は、24時間Take Away(TA)法を使用してCoQ10の存在および非存在下で処理したメラノーマ細胞中におけるBax発現を示す。TA実験において、メラノーマ細胞を、6、12、および24時間CoQ10で処理した。インキュベーション後、培地を、24時間、標準培養培地で置き換えた。Bax発現を測定し、アポトーシスへのコミットメントを評価した。
【0077】
図8は、CoQ10と共の12時間インキュベーション後のメラノーマ細胞中におけるBid発現を示す。
【0078】
図9は、無胸腺ヌードマウス中において誘発されたヒトメラノーマ腫瘍の組織病理学分析を示す。処置群は、30日間、CoQ10の局所適用を受容した。腫瘍病理学の分析は、腫瘍血管構造の崩壊を示している。
【0079】
図10a〜10dは、24時間、CoQ10および/または血管内皮増殖因子(VEGF)と共にインキュベートしたメラノーマ細胞中におけるBcl-2発現を示す。
【0080】
図11は、50μMおよび100μM CoQ10と共に24時間インキュベートしたメラノーマ細胞中におけるp53発現を示す。
【0081】
図12は、50μMおよび100μM CoQ10と共に12時間インキュベートしたメラノーマ細胞中におけるp53発現を示すグラフである。
【0082】
図13は、CoQ10と共に6時間インキュベートしたメラノーマ細胞中におけるBcl-xl発現を示す。
【0083】
図14は、CoQ10と共に12時間インキュベートしたメラノーマ細胞中におけるBcl-xl発現を示す。
【0084】
図15は、CoQ10で12時間処理したメラノーマ細胞中におけるBcl-xl発現を定量するグラフである。
【0085】
図16は、CoQ10で12時間処理したメラノーマ細胞中におけるカスパーゼ-3発現を示す。
【0086】
図17は、CoQ10で12時間処理したメラノーマ細胞中におけるカスパーゼ-3発現を定量するグラフである。
【0087】
図18は、補酵素Q10で3、6、12、および24時間処理したメラノーマ細胞中におけるMcl-1発現を示す。
【0088】
図19aは、CoQ10と共に12時間インキュベートしたメラノーマ細胞中におけるMcl-1発現を定量するグラフであり;図19bは、CoQ10と共に24時間インキュベートしたメラノーマ細胞中におけるMcl-1発現を定量するグラフである。
【0089】
図20は、CoQ10と共に4時間インキュベートしたPC-3(前立腺癌)細胞中におけるBAX発現を定量するグラフである。
【0090】
図21は、CoQ10と共に4時間インキュベートしたPC-3細胞中におけるBcl-2発現を定量するグラフである。
【0091】
図22は、CoQ10で4時間および24時間処理したPC-3細胞中におけるBcl-2発現の時点比較を示すグラフである。
【0092】
図23は、CoQ10と共に4時間インキュベートしたSkBr-3(乳癌)細胞中におけるBcl-2発現を定量するグラフである。
【0093】
図24は、CoQ10と共に8時間インキュベートしたSkBr-3細胞中におけるBax発現を定量するグラフである。
【0094】
図25は、CoQ10と共に8時間インキュベートしたSkBr-3細胞中におけるBax発現を示す。
【0095】
図26は、CoQ10での24時間処理後のBcl-2およびBax発現を比較するグラフである。
【0096】
状態/障害/使用
上述したように、本開示の組成物は、癌の治療のために利用され得る。このような組成物は、薬学的に許容される担体中にCoQ10またはその代謝産物を含み得る。このような組成物は、これらに限定されないがメバロン酸およびオレイン酸に加えて内因性補酵素Q10またはその代謝産物の細胞接触を達成し、細胞内複合体を形成させ得る。態様において、このような組成物は、補酵素Q10を約0.001%〜約60%(w/w)含み得る。このような組成物は、局所組成物であり得、これは、今度は、ゲル、軟膏剤、液体、クリーム、軟膏、ローション、スプレー、エアロゾル、ムース、フォーム、それらの組み合わせなどであり得る。
【0097】
上記においても述べたように、本開示の組成物は、当業者の範囲内の任意の投与経路または手段によって被験体中へ導入することができる、液体形態であり得る。例えば、組成物は、経肺、静脈内、経口、経皮、直腸、皮下、経粘膜、頬、舌下、腫瘍内、それらの組み合わせなどを含むがこれらに限定されない、投与経路によって投与され得る。
【0098】
ある態様において、投与のために組成物を噴霧化またはエアロゾル化することが望ましい場合がある。
【0099】
組成物で疾患状態を治療するための方法もまた、本明細書において提供される。このような方法は、癌を治療することを含み得る。癌を治療するために利用される場合、組成物は、薬学的に許容される担体中に存在し得、これは、治療有効量で、腫瘍形成性領域へ、単剤療法として、所定の適応症についての少なくとも1つの他の化学療法剤と併用して、腫瘍を徹底的に除去するための外科的介入後の、放射線療法と併用して、他の代替のおよび/または補足的な許容される癌治療と併用してなどで、投与され得る。
【0100】
態様において、本開示はまた、本開示の組成物を患者内の腫瘍形成性領域へ投与することによって、突然変異/不活性化p53タンパク質を再活性化するための方法クレームを提供する。
【0101】
本開示はまた、本開示の組成物を患者内の腫瘍形成性領域へ投与することによって、腫瘍形成に関与するタンパク質を調節するための方法を提供する。本開示の組成物によって調節され得るこのようなタンパク質としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Bcl-2タンパク質;Baxタンパク質;Bidタンパク質;Bimタンパク質;Badタンパク質;Bakタンパク質;mcl-1タンパク質;Bcl-xlタンパク質;Bcl-xsタンパク質;Bcl-wタンパク質;Bikタンパク質;Bokタンパク質;BimLタンパク質;A1タンパク質;Hrkタンパク質;Bikタンパク質;BNIP3タンパク質;Blkタンパク質;Noxaタンパク質;Pumaタンパク質;VEGFタンパク質;FGF-1/FGF-2タンパク質;Hif-αタンパク質;アンジオスタチンタンパク質;TGF-βタンパク質;smadタンパク質;cdk(サイクリン依存性キナーゼ);PI3K/akt複合体。
【0102】
他の態様において、本開示の組成物は、癌細胞中において健全なアポトーシス状態を調整するおよび/または回復させるために利用され得る。ミトコンドリア機能障害およびアポトーシスの調節障害は、癌および神経変性などの多くの疾患に関与する。呼吸鎖(RC)機能障害は、遺伝モデルとしてミトコンドリアDNA突然変異を使用して実証されたように、アポトーシスにおいて役割を有し得る。ある突然変異は全RCを排除するが、他のものは特定の複合体を標的化し、電子束の減少したまたは完全な喪失が生じ、これによって、損なわれた呼吸およびアデノシン三リン酸(ATP)合成が生じる。これらの類似性にもかかわらず、アポトーシス刺激に対する応答において有意差が現れる。RCを欠く細胞は、ミトコンドリア誘導アポトーシスおよび小胞体(ER)ストレス誘導アポトーシスの両方から保護される。RCを有するが、電子束を発生させることができない細胞は、ミトコンドリアアポトーシスから保護されるが、それらはERストレスに対して増加した感度を有する。最後に、電子束が部分的に減少している細胞は、両方の条件下で、増加したアポトーシスを有する。RCは、ATP産生とは独立した状況依存様式でアポトーシスを調節し、そのアポトーシス応答は、ミトコンドリア機能状態と環境信号との相互作用の結果である。
【0103】
腫瘍形成因子間のコミュニケーションおよびアポトーシスの実行はまた、膜脱分極の際に開くミトコンドリア膜孔を介して、シトクロムC、Endo G、またはAIFなどの放出因子によって媒介され得る。
【0104】
癌細胞はまた、酸素の存在下において過剰な乳酸塩を発生させる(好気的解糖)。現在のところ、この現象は、2つの因子の産物であるようである:胚のより多くの解糖代謝への回帰、およびミトコンドリア活性酸素種(ROS)産生を増加させるための酸化的リン酸化(OXPHOS)における変化。Ras-PI3K-Aktシグナル伝達経路の変化は、ヘキソキナーゼIIの誘導およびミトコンドリアポリンへのその付着を生じさせ得、ミトコンドリアATPを向け直し、グルコースをリン酸化し、解糖を駆動する。さらに、ミトコンドリア遺伝子突然変異(生殖細胞系または体細胞)によるOXPHOSの部分的阻害は、電子伝達鎖を通る電子束を減少させ得、ミトコンドリアROS産生が増加する。増加されたROSは、核癌原遺伝子に突然変異を起こさせ(開始)、核複製(促進)を駆動し、結果として癌が生じる。従って、ヘキソキナーゼIIおよびミトコンドリアROSは、癌療法についての有用な代替の標的であり得る。
【0105】
代謝フラックスは、それが癌に関連するので、腫瘍形成性状態において犠牲にされ、解糖状態の方向へシフトする。癌細胞の生存は、グルコース代謝および低酸素レベルに致命的に依存する。より困惑させるのは、ミトコンドリア活性が休止時へ著しく弱められることである。クエン酸回路(TCA)からの電子を受け取るComplex 1-IVに通常関連する酸化的リン酸化が、本質的に停止される。フリーラジカルおよび乳酸デヒドロゲナーゼ活性の量が著しく増加する。従って、癌細胞は、以下の状態にある。
1)減少した酸素(低酸素)
2)増加したフリーラジカル形成
3)調節されないアポトーシス(細胞死)
4)グルコース代謝の依存
5)増加した血管形成
6)変化した免疫認識(自己制御状態の開始)
【0106】
態様において、CoQ10が癌細胞に対して有し得る効果は、一部分において、癌細胞によって示される代謝および酸化フラックスの種々の状態に依存し得る。CoQ10は、増加した乳酸有用性および解糖の腫瘍形成性細胞の依存性の変換を妨害するおよび/またはこれに干渉するために利用され得る。それは癌状態に関連するので、腫瘍微環境の解糖および酸化フラックスとのこの干渉は、癌細胞の発達を減らす様式で、アポトーシスおよび血管新生に影響を与え得る。
【0107】
態様において、解糖および酸化フラックス因子との補酵素Q10の相互作用は、癌におけるその回復性アポトーシス効果を発揮する補酵素Q10の能力を高め得、創薬および薬物開発についての実行可能な薬物標的を確立する。
【0108】
上記の開示は補酵素Q10およびその代謝産物に焦点を当てたが、CoQ10の代わりにまたはCoQ10と併用して投与され得るCoQ10に関連する他の化合物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ベンゾキノン、イソプレノイド、ファルネソール、ファルネシルアセタート、ファルネシルピロホスファート、l-フェニルアラニン、d-フェニルアラニン、dl-フェニルアラニン、l-チロシン、d-チロシン、dl-チロシン、4-ヒドロキシ-フェニルピルバート、4-ヒドロキシ-フェニルラクタート、4-ヒドロキシ-シンナマート、チロシンまたはフェニルアラニンのジペプチドおよびトリペプチド、3,4-ジヒドロキシマンデラート、3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニルグリコール、3-メトキシ-4-ヒドロキシマンデラート、バニリン酸、フェニルアセタート、ピリドキシン、S-アデノシルメチオニン、パンテノール、メバロン酸、イソペンチルピロホスファート、フェニルブチラート、4-ヒドロキシ-ベンゾアート、デカプレニルピロホスファート、β-ヒドロキシブチラート、3-ヒドロキシ-3-メチル-グルタラート、アセチルカルニチン、アセトアセチルカルニチン、アセチルグリシン、アセトアセチルグリシン、カルニチン、酢酸、ピルビン酸、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルカルニチン、セリン、アラニン、システイン、グリシン、トレオニン、ヒドロキシプロリン、リジン、イソロイシンおよびロイシンの全ての異性体、カルニチンおよびグリシンの偶数炭素数C4〜C18脂肪酸(酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸)塩、例えば、パルミトイルカルニチンおよびパルミトイルグリシン、および4-ヒドロキシ-ベンゾアートポリプレニルトランスフェラーゼ、ならびにこれらの化合物の任意の塩、ならびに任意のそれらの組み合わせなど。
【0109】
図を、限定のためではなく、例示のために提供する。具体例を提供したが、上記の説明は例示的であって限定的ではない。前述の態様の任意の1つまたは複数の特徴が、本開示における任意の他の態様の1つまたは複数の特徴と任意の様式で組み合され得る。さらに、本開示の多くのバリエーションが、本明細書を検討すると当業者に明らかとなる。
【0110】
他の参考文献
本出願に引用された全ての刊行物および特許文献は、各個々の刊行物または特許文献がそのように個々に表示されているのと同程度まで、全ての目的について適切な箇所における参照により組み入れられる。この文献における種々の参考文献のそれらの引用によって、本出願人は、特定の参考文献が本出願人の開示に対する「先行技術」であることを認めるものではない。
【0111】
本開示をそれらの詳細な説明と共に説明したが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲を説明するように意図され、本開示の範囲を限定しないことが理解される。他の局面、利点、および改変が、下記の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン脂質を含むリポソームと補酵素Q10またはその代謝産物を含む生物活性剤とを含む組成物を細胞へ投与する工程;ならびに
補酵素Q10またはその代謝産物が、内因性補酵素Q10および膜脂質と複合体を形成することを可能にする工程、を含む方法であって、
該複合体の形成が、アポトーシスを受けるように該細胞を誘導する、前記方法。
【請求項2】
膜脂質が、オレイン酸、メバロン酸およびキノンからなる群より選択される内因性脂質を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
組成物が、薬学的に許容される担体をさらに含み、補酵素Q10が、組成物の約0.001%〜約60%(w/w)の量で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
組成物が、ゲル、軟膏剤、クリーム、軟膏、ローション、ムース、フォーム、スプレー、エアロゾル、液体、噴霧化散剤(nebulized powder)、および坐剤からなる群より選択される形態である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
複合体の形成が、p53、Bcl-2、Bcl-2サブファミリーメンバー、およびBakからなる群より選択される細胞タンパク質の調節を誘導する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
細胞タンパク質の調節が、p53タンパク質の再活性化を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
細胞タンパク質の調節が、Bcl-2ファミリーの少なくとも1つのBH3結合ドメインを調節することを含む、請求項5記載の方法。
【請求項8】
Bcl-2ファミリーの少なくとも1つのBH3結合ドメインが、Bid、Bim、Bik、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
細胞が腫瘍形成性細胞である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
リン脂質を含むリポソームと補酵素Q10またはその代謝産物を含む生物活性剤とを含む組成物を腫瘍形成性細胞へ投与する工程;ならびに
補酵素Q10またはその代謝産物が、内因性補酵素Q10および膜脂質と複合体を形成することを可能にする工程、を含む癌を治療するための方法であって、
該複合体の形成が、該腫瘍形成性細胞の血管新生因子を調節する、前記方法。
【請求項11】
膜脂質が、オレイン酸、メバロン酸およびキノンからなる群より選択される内因性脂質を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
組成物が、薬学的に許容される担体をさらに含み、補酵素Q10が、組成物の約0.001%〜約60%(w/w)の量で存在する、請求項10記載の方法。
【請求項13】
組成物が、ゲル、軟膏剤、クリーム、軟膏、ローション、ムース、フォーム、スプレー、エアロゾル、液体、噴霧化散剤、および坐剤からなる群より選択される形態である、請求項10記載の方法。
【請求項14】
複合体の形成が、VEGF、FGF、Hif-1α、およびアンジオスタチンからなる群より選択される血管新生因子を調節する、請求項10記載の方法。
【請求項15】
リン脂質を含むリポソームと補酵素Q10またはその代謝産物を含む生物活性剤とを含む組成物を腫瘍形成性細胞へ投与する工程;ならびに
補酵素Q10またはその代謝産物が、内因性補酵素Q10および膜脂質と複合体を形成することを可能にする工程、を含む癌を治療するための方法であって、
該複合体の形成が、該腫瘍形成性細胞の細胞周期因子を調節する、前記方法。
【請求項16】
膜脂質が、オレイン酸、メバロン酸およびキノンからなる群より選択される内因性脂質を含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
組成物が、薬学的に許容される担体をさらに含み、補酵素Q10が、組成物の約0.001%〜約60%(w/w)の量で存在する、請求項15記載の方法。
【請求項18】
組成物が、ゲル、軟膏剤、クリーム、軟膏、ローション、ムース、フォーム、スプレー、エアロゾル、液体、噴霧化散剤、および坐剤からなる群より選択される形態である、請求項15記載の方法。
【請求項19】
複合体の形成が、smadタンパク質、TGF-β、サイクリン依存性キナーゼ、およびPI3K/aktからなる群より選択される細胞周期因子を調節する、請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2011−516568(P2011−516568A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504163(P2011−504163)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/039992
【国際公開番号】WO2009/126764
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(510156653)サイトテック ラブズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (3)
【Fターム(参考)】