説明

発光効果装置

【課題】従来の伝統的な花火スターの代わりに使用可能な、より安全な発光効果装置を提供する。
【解決手段】発光効果装置は、少なくとも1個の電気的/電子的発光源15と、エネルギ蓄積装置16と、その発光源15を制御するための制御装置17とを含み、さらに、花火中のブースター装置12の活性化に対して応答する制御装置17が配置されている。花火装置11は、多数の発光効果装置14と、前記発光効果装置14をばらばらになるように駆動するよう配列された駆動装置12とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光効果装置に関し、例えば、花火装置が含まれている花火、花火システムおよび花火ロケット(打ち上げ花火)で使用可能な発光効果装置に関する。
【0002】
本発明の実施形態は、花火装置(fireworks device)に関するものであり、特に花火スター(pyrotechnic star)が電気的/電子的発光効果装置に変更された花火装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
花火製造術(花火の打ち上げ術)は何世紀にもさかのぼる伝統をもった分野である。それでもより印象的で且つより精密であり、さらにより安全であり、ある程度はより環境にやさしい花火を製造するように技術的に発展する傾向があり、基本的な原理は従来のそれと同様である。従来の伝統的な花火、特に空中花火は、発射チャージ(lifting charge)(駆動チャージ)と称される第1のチャージ(駆動手段、励起手段)によって空中に発射される花火発射体を含み、次いでその花火はブースター・チャージ(ブースター駆動手段)と称される第2のチャージ(駆動手段)によって爆発させられる。
【0004】
ブースター・チャージが点火されると、通常花火スター(星)と称される多数の花火発光効果装置が正常に点火されて分散させられる。これらの花火発光効果装置は、通常、花火ディスプレイ(表示)のクライマックスを構成する魅力的な動的パターンを作り出す光および色を与えるものである。2回のチャージを点火するタイミングは、伝統的に発射チャージを点火するまで導火線(信管:fuse)を点火するのを必要な時間遅延させる第1の導火線(信管)と、ブースター・チャージを点火するまで発射チャージの点火からの時間遅延を与える第2の導火線(信管)によって制御される。大型でより近代的な花火では、第1の導火線は、部分的に電気的な点火装置に変更されている。
【0005】
花火発光効果装置(スター)の機能は、制限された時間中、可能であれば特に格別な効果を与える所定の色、色の合成、連続する色をもった比較的明るい光を与えるものである。通常、この種のスターはガラスまたは鉛や鋼鉄(スチール)のような金属の内部コアと、燃焼時に所望の色および効果を与える1またはそれ以上の化学物質層と、ブースター・チャージが点火されたときにスターの点火を容易にするための外側の点火層とにより構成されている。
【0006】
すべての公知の花火では、光のスター生成は化学物質の燃焼に基づいている。このような花火には多くの欠点がある。とりわけ、落下しつつあるスターは高温で燃えており、地上の物体またはスターが地上に達するまでの途中で遭遇する物体を発火させる可能性があるので、花火は使用中に出火させる大きな危険性がある。また、スターは爆発物からなるので、製造中、保管中、輸送中、および打ち上げおよび使用直前の取り扱い中に発火の危険性がある。
【0007】
さらに、ブースター・チャージが点火されたとき必ずしもすべてのスターが発火するとは限らないという危険性がある。このため発火せずに地上に落下するスターが生じ、これらの物体は将来発火、爆発の危険性があり、特に子供の手に危険が及ぶ可能性がある。また、これらの不発の残留物は、スター中の化学物質が有毒であり、または他の点で環境的に有害であることにより、環境を汚染する。スターのコアには燃えない有害な物質を含む可能性があり、特にコアが鉛を含むときは、正しく発火したスターでも地上の地域を汚染する。
【0008】
さらに別の問題は、スターの燃焼時に大気中に放出されることによって生じる。燃焼中に発生する煙は環境的に有害であるばかりでなく、花火の観賞効果(可視効果)のじゃまになる。煙が発生すると、その花火からの光効果ならびに近くの他の花火からの光効果をかすませ、ぼんやりとさせる。
【0009】
従来の伝統的な花火の観賞効果(可視効果)を低減させる他の要因は次のようなものである。すなわち、ブースター・チャージが燃え尽きた後、燃えている各スターは大気中を通過する経路(パス)中を移動する。この動きと空気抵抗によってスターを冷やし、特に空気の流れに対面する前面に位置するスターの部分を冷やす。スターからの光は高温を必要とするので、冷えると光を減少させる効果があり、それによって花火の可視効果を低減させる。
【0010】
火災の危険があり、環境に損害を与える上述のような要因により、市の中心街を含む多くの場所で花火の使用が禁止されるに至った。
【0011】
さらに、従来の伝統的な花火は比較的大きな空き地を占め、そのため輸送コストおよび保管コストが高くなる。
【0012】
今日の花火製造技術による花火スターに伴う最終的な問題は、スターの製造中の仕事環境で化学物質を取り扱うことに伴う危険性である。
【0013】
近年、電子的発光源、特に光放射ダイオード(発光ダイオードまたはLEDとも称されている。以下では発光ダイオードと称する)に関係する技術が飛躍的に発展してきた。この発展のおかげで今日では従来よりも相当に高い光強度をもった発光ダイオードが製造されるようになった。さらに、発光ダイオードを小さな寸法に作ることが可能になり、また高い効率を持つようになった。このようなことから発光ダイオードは確実に新しい応用分野を確保しつつある。発光ダイオードは、従来、低レベル光インジケータ(表示装置)および表示ユニットとして使用されていたが、今日では例えば交通信号灯、警告灯、車両用の制動(ブレーキ)灯のような可視性および光強度に関して厳密な要求が課せられる新しい分野でも使用されている。
【0014】
上述のように従来の伝統的な花火スターには多くの欠点があることにより、このような欠点による負担がなく、同時に効果的で魅力がありしかも安価に製造できる花火、花火装置(発射体)、発光効果装置(スター)を提供する必要のあることは明らかである。
【0015】
上記の欠点の幾つかを克服した公知の解決法がある。
【0016】
US−A−5917146では、花火スター用の新しい低い煙発生化学組成物によって視界の妨げになる煙発生の問題を低減し、それによって花火の可視効果を改善することが提案されている。
【0017】
US−A−5339741には、環境への排出を低減し、花火スターの正確な点火ならびに散乱を行う花火が記載されている。この例では、発射チャージ(lifting charge)の代わりに圧縮空気に基づく打ち上げ装置が使用され、発射(推進)ブースター・チャージは従来の導火線(信管)の代わりに電子的遅延をもった電気的点火装置によって制御される。これによって打ち上げ期間中のノイズを減少させると共に環境への排出の影響を低減することができ、ブースター・チャージを点火するときの発射体の計算された高度に関して非常に正確である。しかしながら、発射体から散乱される花火スターは従来の伝統的な花火形式のものである。
【0018】
飛行しまた落下する物体も従来から知られており、発光ダイオードの形式の電子的発光源、エネルギ源および制御/センサ装置を含んでいる。
【0019】
US−A−5424542には、ダート(投げ矢:dart)形式の飛行発射体(projectile)が示されており、これには1またはそれ以上の発光ダイオード、バッテリ、ダートの先端と本体との間の相対的な動きによって付勢されるスイッチ装置を含んでいる。
【0020】
US−A−5725445には発光ダイオード、フラッシュ回路および動きセンサを含む球が示されている。
【0021】
上述の2つの公開は花火の分野に適用されるものではなく、原理的には本願発明とは全く異なるものである。
【0022】
US5102131は膨らまされるかまたは自立型のいずれかの夜間遊技用の自己発光形の発光遊技用ボール(playball)で、内部に花火を含む移動可能な電気的発光装置または化学的発光体を具えた各種の明らかに普通に見えるボール(球)からなるものである。この遊技用ボールは、その中の発光装置の重心がボールの重心と一致するように上記ボール内に発光装置を固定する手段と、オン−オフ・スイッチング手段とを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】US−A−5917146
【特許文献2】US−A−5339741
【特許文献3】US−A−5424542
【特許文献4】US−A−5725445
【特許文献5】US5102131
【発明の概要】
【0024】
本発明の主たる目的は、上述の欠点によって妨げられることのない、例えば花火で使用可能な、発光効果装置を提供することにある。
【0025】
本発明の実施形態の別の目的は、前に述べた欠点によって妨げられることのない花火装置を提供することにある。
【0026】
本発明の実施形態のさらに他の目的は、上述の欠点によって妨げられることのない花火システムおよび花火の打ち上げ装置(ロケット、打ち上げ花火)を提供することにある。
【0027】
これらの目的は、請求の範囲の独立請求項で明らかな特徴によって達成される。
【0028】
本発明の実施形態の一観点によれば、発光効果装置は、少なくとも1個の電気的/電子的発光源(15)と、エネルギ蓄積装置(16)と、前記発光源(15)を制御するための制御装置(17)とを含み、特徴として、前記制御装置(17)は、花火中のブースター装置(12)の活性化に対して応答するよう配置されている。
【0029】
実施形態において、花火装置(11)は、多数の発光効果装置(14)と、前記発光効果装置(14)をばらばらになるように駆動するよう配列された駆動装置(12)とを含み、特徴として、各発光効果装置(14)は、少なくとも1個の電気的/電子的発光源(15)と、エネルギ蓄積装置(16)と、前記発光源(15)を制御するための制御装置(17)とを含む。
その実施形態において、前記電気的/電子的発光源(15)は発光ダイオードを含んでいてもよい。
前記駆動装置(12)は導火線または電気的点火装置(13)を具えた爆発性のブースター・チャージを含んでいてもよい。
その実施形態において、前記エネルギ蓄積装置(16)は微小電池を含んでいてもよい。
その実施形態において、前記制御装置(17)は、前記発光源(15)を活性化または非活性化するであろう、またはする可能性のある外部の事象を検出するように配列された1つ以上のセンサ装置(18)を含んでいてもよい。前記センサ装置(18)は光、温度、圧力、加速および無線波の1つ以上の要因に対して感応性であってもよい。また、ブースター装置(12)が活性化されたときに上昇する光、温度または圧力を検出するために前記センサ装置(18)が配置されていてもよい。
その実施形態において、個々の発光源(15)または発光源(15)の群を制御するための一連の信号を発生するために前記制御装置(17)が配置されていてもよい。
その実施形態において、前記発光源(15)、エネルギ蓄積装置(16)および制御装置(17)は、1個の同じ半導体チップ(19)上の要素として設計されていてもよい。
【0030】
別の実施形態において、花火システムは、発射装置、および花火装置の形式の打ち上げ可能な発射体を含む打ち上げ装置を含んでいる。その花火装置は多数の発光効果装置(14)とこの発光効果装置(14)をばらばらに駆動するように配列された駆動装置(12)とを含んでいる。特徴として、各発光効果装置は、少なくとも1個の電気的/電子的発光源と、エネルギ蓄積装置(16)と、発光源(15)を制御するための制御装置(17)とを含んでいる。
さらに別の実施形態において、花火ロケットは、発射チャージおよび花火装置を含み、その花火装置は多数の発光効果装置(14)とこの発光効果装置(14)をばらばらに駆動するように配列されたブースター装置(12)とを含み、特徴として、各発光効果装置は、少なくとも1個の電気的/電子的発光源と、エネルギ蓄積装置(16)と、発光源(15)を制御するための制御装置(17)とを含んでいる。
さらに別の実施形態において、地上花火は、多数の発光効果装置(14)とこの発光効果装置(14)をばらばらに駆動するように配列されたブースター装置(12)とを含む花火装置を含み、特徴として、各発光効果装置は、少なくとも1個の電気的/電子的発光源と、エネルギ蓄積装置(16)と、発光源(15)を制御するための制御装置(17)とを含んでいる。
【0031】
さらに別の実施形態において、発光効果装置は、少なくとも1個の電気的/電子的発光源(15)と、エネルギ蓄積装置(16)と、前記発光源(15)を制御するための制御装置(17)とを含み、特徴として、前記制御装置(17)は、花火中のブースター装置(12)の活性化に対して応答するよう配置されている。
その実施形態において、前記電気的/電子的発光源(15)は発光ダイオードを含んでいてもよい。
その実施形態において、前記エネルギ蓄積装置(16)は微小電池を含んでいてもよい。
その実施形態において、前記制御装置(17)は、前記発光源(15)を活性化または非活性化するであろう、またはする可能性のある外部の事象を検出するように配列された1つ以上のセンサ装置(18)を含んでいてもよい。
その実施形態において、センサ装置(18)は光、温度、圧力、加速および無線波の1つ以上の要因に対して感応性があってもよい。
その実施形態において、前記ブースター装置(12)が花火中で活性化されたときに上昇する光、温度または圧力を検出するためにセンサ装置(18)が配置されていてもよい。
その実施形態において、個々の発光源(15)または発光源(15)の群を制御するための一連の信号を発生するために前記制御装置(17)が配置されていてもよい。
その実施形態において、個々の発光源(15)または発光源(15)の群を制御するための一連の信号を発生するために前記制御装置(17)が配置されていてもよい。
【0032】
別の効果は、請求の範囲の従属請求項で明らかな特徴によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1aおよび図1bは従来の伝統的な花火技術による花火スターを具えた花火装置の構成を示す図である。
【図2】図2aおよび図2bは本発明の実施形態による電子的発光効果装置を具えた花火装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に図面を参照して好ましい実施例によって、および幾つかの可能な変形例および代替例によって詳細に説明する。
【0035】
図1aには従来技術によって花火装置、より具体的には花火発射体がどのように構成されるかが示されている。発射体1はブースター・チャージ(booster charge:ブースター駆動手段)2、導火線(fuse)3および多数の花火スター(firework star)4を含んでいる。これが使用されるとき、発射体1は発射チャージ(lifting charge:発射駆動手段)(図示せず)によって空中に発射される。花火がロケット形式のものであるか、または発射チャージが地上の打ち上げ装置(launching device)に取り付けられていれば、発射チャージは取り付けられていてもよく、また花火を伴っていてもよい。いずれの場合も導火線3は打ち上げ(launching)期間中に点火され、導火線の燃焼時間によって決定される期間後ブースター・チャージ2が点火される。この点火によってすべてのスター4はうまく点火され、これらのスターは地上に向けて落下する前に発射速度と発射方向に散乱する。
【0036】
図1bは従来の伝統的な花火技術による花火スターの原理的構成を示す図である。スター4はガラスまたは金属例えば鉛または鉄のコア5を含んでいる。純粋に製造上の観点に加えて、コアの仕事は、ブースター・チャージが点火されたときにスターが所望の発射速度を確保し、空気抵抗によって急速に制動(ブレーキ)がかかるのを防止するために、上記スターに対して充分な大きさの質量を与え、該スターが充分な大きさの運動エネルギを持つことができるようにすることである。コアは化学的、花火技術の組成物からなる1またはそれ以上の層、例えば結合剤によって互いに保持された粒子6の形式の層によって覆われている。この場合、組成物は点火および燃焼時に特別な発光または発色効果を与える。粒子の形式の層の外側にはブースター・チャージ2が点火されたときにスターの点火を容易にするための点火層7が設けられている。
【0037】
図2aには花火発射体形式の本発明の実施形態による花火装置11が示されている。しかしながら、この場合、花火スター4の代わりに本発明の実施形態による電子的発光効果装置または電子的スター14が使用されている。スター14は駆動装置12の周囲に取り付けられており、駆動装置12は好ましくは導火線の形式の点火装置13を具えた例えば黒色火薬(black power)のような爆発性の材料からなるブースター・チャージ(booster charge)である。駆動装置12の目的はスター14をばらばらに駆動することである。変形例として、駆動装置12は非爆発性の装置でもよく、この場合、スターをばらばらに駆動するために例えば圧力のかけられた空気の形式の他の位置エネルギが蓄積される。
【0038】
好ましい実施例では、花火装置11は打ち上げ装置(launching device)中に設けられた図示されていない発射チャージ(lifting charge)によって正規の態様で空中に発射される。発射チャージが点火されると、導火線13は点火される。それによって導火線13は時間遅延を与え、その結果導火線の燃焼時間によりブースター・チャージ12を点火する時間を決定する。この点火によってスター14は地上に落下する前に発射速度でおよび発射方向に散乱される。花火技術によるスターを具えていた場合のようにスター14は点火されず、これらのスターは他の方法によって、後程説明するように各スター14に含まれる制御またはセンサ装置によって付勢される。ブースター・チャージ12の周囲にスター14を配置すること、各スターの大きさおよび外形は、各スターの発射速度、発射方向および可能な回転を決定するに当たって助けになる。従って、これらの要因は花火のディスプレイの全体の表現(形状、様子)に貢献する。
【0039】
打ち上げ装置(launching device)に設けられた発射チャージを有することに対する代替案として、花火がロケットを含んでいてもよく、発射チャージは花火装置11を伴う部分、特にケースに組み込まれている。
【0040】
さらに別の代替案として、花火はブースター・チャージのみを有し、発射チャージをもたないものでもよい。
【0041】
爆発性/花火技術による発射チャージを使用する代わりに、ブースター・チャージ12の爆発前に発射体11を或る高さに打ち上げするためにそれ自体周知の他の手段が使用される。1つの可能性として、発射チャージの代わりに、とりわけUS−A−4339741で知られているような打ち上げ装置に設けられた圧縮空気装置を使用することができる。この場合、点火装置13は導火線の形式のものではなく、空気駆動打ち上げによって付勢されることが好ましい好ましくは電気的に遅延される電気的点火装置である。
【0042】
図2bは本発明の実施形態による電子的発光効果装置または花火スターの原理的構成を概略的に示した図である。スター14は多数の電気的/電子的発光源15、エネルギ蓄積装置16および制御装置17からなる。
【0043】
電気的/電子的発光源15は好ましくは高い強度の発光ダイオードである。高い強度で任意の色の光を発生する各種の形式(種類)の発光ダイオードがある。例えば、発光ダイオードはAlInGaP形式(タイプ)(アルミニウム・インジウム・ガリウム・リン:Aluminium Indium Gallium Phosphide)のものでもよい。他の形式のものとしてAlGaAsおよびGaN発光ダイオードがあげられる。適当な形式の発光ダイオードの選択、他の可能な適当な電気的/電子的発光源の選択は、当業者による決定(査定、評価)事項である。
【0044】
スター14は少なくとも1個の発光源15、好ましくは幾つかの角度からスター14を明確に見ることができるようにより多くの数の発光源15を含んでいる。例えば、スターは6個の発光ダイオードを含んでおり、各発光ダイオードは垂直で且つ反対方向の主発光軸をもって取り付けられている。スター14は、さらに異なる色の発光源15、すべての方向に同じ色またはある方向にのみ特定の色をもった発光源15を含んでいてもよい。発光ダイオード15は幾つかの色を放射する形式のものでもよい。発光ダイオード15は、光が特に強い強度で放射するある連続した角度領域の形の放射フィールドをもっていてもよい。この連続した角度の範囲は、各スター14に設ける必要のある発光ダイオード15の数を選択するときに考慮する因子である。
【0045】
発光源15が発光ダイオードを含む場合、該発光源15はまた発光ダイオードに流れる電流を制限するための必要な抵抗を含む必要がある。花火の目的で発光ダイオードを使用するときは、信頼性ならびに耐久性が重要な考慮事項である場合に発光ダイオードを過負荷にする危険性について考慮しなければならない程考慮(酌量)する必要はない。発光ダイオードが花火で使用されるときは、ダイオードを流れる電流は遥かに強い光強度を発生させるために正規の値よりも遥かに過駆動する。発光ダイオードは通常最長で30秒、通常は1〜3秒の期間発光すべきであり、寿命はこの動作時間を超える必要はない。消費される全エネルギ量、得られる強度および必要な動作時間に関して最優先の程度に対する最適値を発見することは、当技術分野の技術者の決定(査定)事項である。
【0046】
エネルギ蓄積装置16は、充分に長い期間にわたってスター14に電力を供給するための充分な量の電気エネルギを放出できるものである。ほとんどのエネルギは発光源15に供給されなければならないが、エネルギ蓄積装置16は通常センサ装置18を含む制御装置17にも電流および電圧を供給する必要がある。好ましい実施例では、エネルギ蓄積装置16は例えばリチウム形式のマイクロバッテリ形式の化学的−電気的蓄積素子である。マイクロバッテリは好ましくは半導体チップに一体化されて製造されるものである。エネルギ蓄積装置16は、例えばコンデンサの形式の使い捨てバッテリまたは充電可能なものでよい。この場合、エネルギ蓄積装置16は充電のための手段を具えていなければならない。この場合、充電は花火スターへの電気エネルギの必要が生じる前に行われなければならない。充電は誘導によって行われ、打ち上げ前に花火装置全体が変化する電磁界中に設置され、これによってすべてのエネルギ蓄積装置16を充電する。この他に、打ち上げ期間中またはブースター・チャージの点火期間中の運動エネルギまたはブースター・チャージをエネルギ蓄積装置16の充電に利用することもできる。
【0047】
考えられる最も簡単な形式では、制御装置17は、適当な時期にエネルギ蓄積装置16を発光源15に接続するスイッチ装置である。
【0048】
好ましい実施例では、制御装置17は、スター中の1またはそれ以上の発光源15を活性化または非活性化する外部事象を検出するための1またはそれ以上のセンサ装置18を含んでいる。この場合、制御装置17は各種の発光ダイオードを制御する電子回路を含み、その制御はセンサ装置18によって影響される。この制御装置は、少なくとも何個かの発光源15がブースター・チャージ12の点火に応答して点火されるような態様で配列されていることが好ましい。
【0049】
より総合的な形式のものでは、制御装置17は1またはそれ以上のセンサ装置18、センサ装置18用の入力回路を含むディジタル・プロセッサ、発光源15を制御するための駆動回路、および制御装置17がフラッシュ(閃光発光)および色の変化のような効果を生じさせるために特定のシーケンスに従って発光源15を個々にまたはグループ毎に制御することができるようにするプログラムをもったメモリからなっている。センサ装置18を含む制御装置17は1個の半導体チップ中に集積化されているのが好都合である。
【0050】
上述のように、センサ装置18の目的は、スター14中の発光源15を活性化または非活性化させる、または活性化または非活性化させるかも知れない外部事象を検出することである。このような外部事象は主としてブースター・チャージ12の点火からなり、通常これに後続してスター14が点火される。好ましい実施例では、センサ装置18はブースター・チャージ12が点火されたときの閃光(フラッシュ)を検出する光学的検出器からなる。この他に、センサ装置18は、ブースター・チャージ12の点火の結果として生じる温度上昇を検出する温度センサであってもよい。センサ装置18はブースター・チャージの点火または花火発射体11がその最高の高さに到達することに関連する物理的な要因を検出することができる圧力、動きまたは加速センサでよい。さらに別の例では、センサ装置18は例えば地上の送信機から送信された符号化または非符号化された電磁波、例えば無線波、または特定の特性をもった光波(可視光、赤外線光または紫外線光)に感応する受信機からなる。このような場合は、花火効果を地上の中央から絶対的に正確に制御することが可能になり、特に特定の時間または例えばステージ上の外部事象と花火装置との同期(同期化)に関して特に有効である。センサ装置18は上述の幾つかの組み合わせであってもよい。
【0051】
充分にコンパクトに構成するために、本発明の実施形態を実際に使用して、すべてのスターの要素を1つのボードまたはチップ19上に配置するのが有利である。近年の電子的製造技術を用いると、上述のような必要な成分を含み、適当な大きさおよび体積を実現する花火スター14を製造することは可能である。発光源15、エネルギ蓄積装置16、制御装置17およびおそらくセンサ装置18は1つの同じ半導体チップ上に配置され、それによって花火スター14の製造コストをコスト的に有効で且つ自由競争可能なレベルに低下させることができる。適当な数のこのようなスター14をブースター・チャージ12と共に構成することも可能であり、これによって有効な発射体の構成、即ち本発明の実施形態による花火装置11の構成が可能になる。
【0052】
好ましい実施例では、発光効果装置14はガラス又はプラスチックのカプセル20を具えていてもよい。カプセル20はブースター・チャージ12が点火されたときにこのブースター・チャージ12からの圧力(ストレス)に対する保護と、それが自由落下時に所望の空気力学的特性または制御特性をもったスターを提供することができる形状をもった外部シェルとしての両方の機能をもっている。カプセル20は、スターがより速くまたはよりゆっくりと落下し、または望ましい場合は回転を生じさせることができるように設計される。
【0053】
発射装置(lifting device)、例えば発射チャージ(lifting charge)を含む打ち上げ装置(launching device)と組み合わせた形の発射体として採用された花火装置12は、本発明の実施形態による花火システムを表している。
【0054】
発射チャージと共にユニット、例えばケースに組み込まれた花火装置12は本発明の実施形態による花火ロケット(打ち上げ花火)を表している。
【0055】
発射チャージが設けられていない花火装置12は、本発明の実施形態による地上花火を表している。この場合、発射チャージは地上レベルから、好ましくは地上花火が設置されたいわゆる坑道(mine)から点火される。ブースター・チャージが点火されると、スター14は実質的に上方にばらばらに駆動され、輝いて落下するスター14の噴水を形成する。
【0056】
本発明の実施形態による花火装置12、発光効果装置14、花火システムまたは花火ロケット(打ち上げ花火)を使用することによって、従来の伝統的な花火に見られた既存の欠点の多くを解消することができる。使用中の火災の危険性ならびに煙の発生が著しく減少し、それによって花火を以前とは全く異なった環境、中心都市の領域および屋内でも使用することができる。従って、本発明の実施形態は、特に劇場、映画およびミュージカルの上演用の演出法と関連して適用できる明らかな分野をもっている。
【0057】
花火が非爆発性による発射チャージを具えている場合は、駆動装置12が爆発性ブースター・チャージではないことに加えて、本発明の実施形態によれば、全く爆発を伴わない花火を得ることができ、本発明の実施形態を採用しなければ危険である例えば屋内の場所で発火や爆発の危険が全くなしに花火を使用することができる。
【0058】
上述の特定の例ではAlInGaP発光ダイオードのような高強度の発光ダイオードを使用するものとして説明したが、既存の発光ダイオードはもとより将来登場する可能性のある種々の形式の発光ダイオードの双方を含めて異なる組成、異なる製造方法で製造される発光ダイオードを含む他の形式の電気的/電子的発光源を使用したものも本発明の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の電気的/電子的発光源(15)と、エネルギ蓄積装置(16)と、前記発光源(15)を制御するための制御装置(17)とを含み、
特徴として、前記制御装置(17)が、花火中のブースター装置(12)の活性化に対して応答するよう配置されている、発光効果装置。
【請求項2】
前記電気的/電子的発光源(15)は発光ダイオードを含むものであることを特徴とする、請求項1に記載の発光効果装置。
【請求項3】
前記エネルギ蓄積装置(16)は微小電池を含むものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の発光効果装置。
【請求項4】
前記制御装置(17)は、前記発光源(15)を活性化または非活性化するであろう、またはする可能性のある外部の事象を検出するように配列された1つ以上のセンサ装置(18)を含むものであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の発光効果装置。
【請求項5】
センサ装置(18)は光、温度、圧力、加速および無線波の1つ以上の要因に対して感応性であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の発光効果装置。
【請求項6】
前記ブースター装置(12)が花火中で活性化されたときに上昇する光、温度または圧力を検出するためにセンサ装置(18)が配置されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の発光効果装置。
【請求項7】
個々の発光源(15)または発光源(15)の群を制御するための一連の信号を発生するために前記制御装置(17)が配置されていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の発光効果装置。
【請求項8】
前記発光源(15)、エネルギ蓄積装置(16)および制御装置(17)は、1個の同じ半導体チップ(19)上の要素として設計されていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の発光効果装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−43323(P2011−43323A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232404(P2010−232404)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【分割の表示】特願2001−538742(P2001−538742)の分割
【原出願日】平成12年11月16日(2000.11.16)
【出願人】(502176096)
【氏名又は名称原語表記】JAKOB HATTELAND KJEMI AS
【住所又は居所原語表記】Amsosen, N−5578 NEDRE VATS, Norway
【Fターム(参考)】