説明

発光培養物連続試料を作る装置と方法

【課題】発生化学的試料を連続的に分析して、細胞成長のすべての段階において測定を行うことができるようにすることが可能な装置の提供。
【解決手段】光培養物連続試料を作る装置であって、発光培養物を成長させる容器602と、該容器に第一の流量で培養基を供給する供給装置と、前記容器内の培養物のルミネセンスの測定値を示すルミネセンス信号を生成させる装置と、前記容器内の培養物の濁り度の測定値を示す濁り度信号を生成させる装置と、前記容器から第二の流量で培養物を輸送する輸送装置と、前記ルミネセンスおよび濁り度信号に応じて前記第一の流量を比例的に制御する制御器621と、を有することを特徴とする装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置と方法に関する。分析される効果としては、細胞成長と複製、入射電磁波の吸収と反射、さらにまた、試料照射の結果として特定波長帯で観察される放射その他の性質たとえばルミネセンスまたは蛍光、を挙げることができる。
【0002】
生化学の科学的理解は、この2、30年でかなり発展してきている。かつては剛性構造を有すると考えられていた生物学的分子は、いまでは、形状の急速な連続変形を示し、それがこれらの分子の生物学的機能に重要であるということがわかっている。
【0003】
周知のように、低強度のマイクロ波に暴露された細菌および酵母の培養物においては、生物学的効果が生じうる。しかし、これらの観察事実は予想可能ではなく、関与する機構はまだ十分には理解されていない。
【背景技術】
【0004】
周知のように、分子の形状はその化学的性質と分かちがたく結びついており、極性の系においては、振動モードがマイクロ波から赤外線の領域の電磁波の吸収周波数に対応している。電磁波エネルギーの選択吸収により、選択モードの成員が変化して、分子の形状が変化し、したがって分子の化学的特性が変化する。したがって、マイクロ波を使用して生化学的過程を、遠隔的かつ非熱的に、選択的に操作して調べることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、既存の分析装置はマイクロ波をこのようには使用していない。マイクロ波エネルギーを分析試料に送り、また試料から十分かつ適切な情報を引き出すのに問題があるからである。さらに、現行の観察においては、電磁波は静的な培養物たとえばペトリ皿内の培養物に照射され、したがってこのやり方では、せいぜい、バッチ培養物の成長、複製、その他が分析できるにすぎない。本件の出願人は、生化学的試料を連続的に分析して、細胞成長のすべての段階において測定を行うことができるようにすることに相当の利点があると予想した。
【0006】
また、制御されないエネルギー損失を最小限に抑える閉鎖システムが、導波管部分を用いる簡単な構成の使用、または共振空洞の使用のもとに使用されている(Furia,L.,D.W.Hill,and O.P.Gandhi,1986,Effect ofmillimeter−wave irradiation on growth of Saccharomyces cerevisiae,IEEE Trans. Biomed.Eng.33:993−999 参照)。このようなシステムの場合、戻りおよび透過損失を使用してシステム内でのエネルギーの全体的な散逸を高い精度で測定することができるが、試料に吸収されるエネルギーの分布と均一性との明確な説明は、重要な問題として残されており、特に、蒸留水のように損失の大きな物質におけるmm波の侵入深さ(penetration depth)のような問題がある。その他の生物学的効果とそれに影響しうる電磁波の性質としては、細胞遺伝子型(電磁波のエネルギーの影響を受ける)、成長段階(電磁波の周波数の影響を受ける)、細胞同調性(電磁波の偏りの影響を受ける)、細胞密度(静磁場/電磁波の超低周波数磁場の影響を受ける)、酸素供給(oxygenation)(電磁波への暴露時間の影響を受ける)、潜伏期(電磁波の変調による影響を受ける)、がある。
【0007】
Frohlich(Int.J.Quantum Chem.Vol.2,p.641 1968)は、"マイクロ波生体フォトン"の存在を仮定している。簡単に言うと、すべての生物学的な系が電磁波を放射しており、該電磁波のスペクトル特性がそのときどきの系の状態と機能とを示す、という考えである。同様に、すべての生物学的系の状態と機能とが、特定のスペクトル特性の電磁波への暴露によって操作できると考えられる。本発明の実施形態を、この理論の検証のために使用することができるであろう。
【0008】
さらに、本件の発明人は、好ましいやり方により、周波数依存効果を小さくすることができ、変調または走査されたそれぞれの波長帯全体にわたる吸収は、強い周波数依存効果を示すことなく妥当な均一性を有する、と推論した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、一つの側面において、
化学的、生物学的、または生化学的試料を電磁波に暴露するための装置であって、
液相または気相の試料を、試料路上を運ぶための試料通路、
電磁波を発生させて、該電磁波で前記試料路を照射するための少なくとも一つの発生器または発生源、
前記試料路上の少なくとも一つの位置からの反射、放射、および透過電磁波のうち少なくとも一つを検出するための少なくとも一つの検出器、
前記発生器または発生源と前記検出器とのうち少なくとも一つを制御するための制御器、
を有することを特徴とする装置、
を提供する。
【0010】
本明細書において、"液相"には、流れまたはシート状の液体試料のほか、液滴噴霧したものも含まれる。同様に、試料管は任意の適当な断面形のものとすることができる。
【0011】
前記構成の一つの実施形態においては、液体試料が、試料管内で、試料路に沿ってマイクロ波発生器を通過するように運ばれ、反射および/または透過および/または放射電磁波が検出される。試料管の使用は、電磁波の影響が試料のライフサイクルのいろいろな段階で観察できるということを意味する。
【0012】
注意すべきことは、試料は、細胞の培養物とすることができ、また細胞でないもの、たとえばたんぱく質または酵素とすることができる、ということである。
【0013】
好ましくは、前記発生器は、電磁波の強度、位相、周波数、および偏りのうち少なくとも一つが変えられるように動作しうるものである。前記制御手段は、好ましくは、制御波形または変調関数(modulation function)によって強度、偏り、位相、および周波数のうち少なくとも一つを変調して、強度、位相、偏り、またはこれらの変調の影響を調べることができるように動作しうるものである。
【0014】
好ましくは、前記試料通路の例としては、マイクロ波、ミリメートル波、赤外光、可視光、および紫外光波長帯の電磁波に対して透過性の材料で作られた管が挙げられる。適当な材料の例としては、石英、シリコーンゴム、またはPTFEが挙げられる。マイクロ波領域は、300MHz〜30GHzの範囲の周波数を有する電磁波と定義することができる。ミリメートル波領域は、30GHz〜300GHzの周波数を有する電磁波と定義することができる。サブミリ波領域は、300GHz〜1THzの周波数を有する電磁波と定義することができる。テラヘルツ領域は、1THz〜赤外周波数の範囲の周波数と定義することができる。"電磁波"という言葉は、少なくともこれらの領域すべての周波数の電磁波を意味するものとする。本発明の実施形態は37〜70GHzの範囲の電磁波に関して動作するように設計されている。
【0015】
本発明の装置は、好ましくは、導波管ブロックを有し、該導波管ブロックによって、試料管したがって該管内に収容されている物質に電磁波が導かれる。この導波管ブロックは、マイクロ波の伝播に適当な寸法と材料の中空金属管から成ることができる。この導波管は、該導波管ブロックの互いに対向する側面に穴を有し、試料管が該ブロックを貫通できるようにすることができる。前記穴の寸法、試料管と分析試料との物質と寸法、および導波管ブロックの中心軸に対する試料管の角度は、好ましくは、導波管ブロックからの前記穴を通じてのマイクロ波の漏れを防止または減少させ、また試料によるマイクロ波の吸収が最大になるように、選択する。ミリメートル波を使用する場合、試料厚(試料管が大体円形または正方形である場合、管の直径もしくは横断面(transverse section)と定義し、または試料管が薄い長方形内側断面形状を有する場合、小さいほうの寸法と定義する)は0.5mmよりも小とする。好ましくは、挿入角は割合に小さく、好ましくは水平に対して20゜以下とする。
【0016】
好ましくは、本発明の装置は、複数の電磁波(マイクロ波、ミリメートル波、赤外光、可視光、および紫外光のうち一つ以上を含むが、それのみには限定されない)の発生源または発生器を有し、該発生源が、前記試料路に沿う一つ以上の位置で、前記試料管、したがって該管に収容されている物質を照射する。
【0017】
前記電磁波検出器は、マイクロ波、ミリメートル波、赤外光、可視光、または紫外光波長帯の電磁波を検出することができ、また同一の波長帯で吸収されるエネルギーの効果または異なる波長帯で吸収されるエネルギーの効果を調べるために使用できる。
【0018】
好ましくは、本発明の装置は、さらに、液体試料を二つ以上のセグメントに分割する装置を有する。検出器を、試料路に沿って間隔をとって配置し、したがって、前記セグメントによって反射/透過される電磁波が暴露後のいろいろな時刻に測定できるようにすることができる。あるいは、試料が、反復測定値が取られる前にある時間だけ保持されるようにすることができる。
【0019】
前記電磁波検出器は、間隔をとって配置された複数の検出器たとえば複数のチャンネルを有するコリメータを有することができる。ある種の試料は、電磁波への暴露後に電磁波たとえば可視光を放射することがあり、本発明の装置はこの現象を調べるのに使用することができる。コリメータチャンネルをフォトンカウンターと結合して、試料のセグメントからのルミネセンスを、該セグメントが該チャンネルを通過するときに測定できるようにすることができる。このようにすれば、セグメントからの暴露後のルミネセンスの時間変化を測定することができる。一つのコリメータチャンネルを、該チャンネルが、前記セグメントのルミネセンスを該セグメントが電磁波に暴露される前に測定するように配置することができる。一つ以上のコリメータチャンネルを、前記セグメントからのルミネセンスが暴露後のいろいろな時刻に測定されるように配置することができる。本発明の装置は、前記セグメントの後端および/または前端を検出し、したがって、コリメータチャンネルを、前記セグメントの実質的中央部分(たとえば、長さの70%)の性質の測定のために作動させることができる。
【0020】
好ましくは、本発明の装置は、前記試料通路内を試料をポンプ輸送するための装置を有する。
【0021】
好ましくは、本発明の装置は、前記試料通路内の分析試料の流れを、好ましい流量、流量のパターンもしくはプロファイル、および/または分割のパターン、(たとえば、試料管の断面内の位置によって異なる流れ)にしたがって制御するための流れ制御装置を有する。
【0022】
好ましくは、本発明の装置は、無菌状態を保つために、試料と直接には接触しないポンプ輸送機構を有する。
【0023】
本発明の装置は、さらに、試料の温度を測定するための温度プローブまたはセンサーを有することができる。本発明の装置は、さらに、試料の温度を制御するための温度制御装置を有することができる。
【0024】
好ましくは、前記試料通路は、一つまたは複数の気体たとえば酸素に対して透過性である。
【0025】
さらに、本発明の装置は、試料に超音波エネルギーを照射するための、超音波エネルギー発生源を有することができる。
【0026】
本発明の装置は、好ましい実施形態において、連続培養システムとともに使用するように構成されていて、このとき、本発明の装置は、連続培養容器に接続されており、また試料物質が該容器を出て前記試料路上を通り、該容器に戻るようにされる。
【0027】
本発明は、第二の側面において、
化学的、生物学的、または生化学的試料のマイクロ波に対する応答を決定するために該試料を分析する方法であって、
気相または液相の前記試料を試料通路内の試料路上を通過させ、
前記試料を電磁波で照射し、
前記試料路上の少なくとも一つの位置における前記試料からの反射、放射、および透過電磁波のうち少なくとも一つを検出し、
それによって、前記試料の電磁波に対する応答を決定する、
ことを含むことを特徴とする方法、
を提供する。
【0028】
電磁波の強度、偏り、位相、および/または周波数を変調する(modulate)ことができ、変調関数(modulation function)または波形を検出信号の復調のために使用できる。
【0029】
前記方法は、さらに、電磁波たとえば紫外光で、試料通路に沿う複数の位置で試料を照射することを含むことができる。
【0030】
前記方法は、試料内の発光または蛍光物質によって放射される可視光の測定を含むことができる。
【0031】
前記方法は、さらに、前記試料をさらなる電磁波ビームで照射し、前記試料路上の一つ以上の位置における、透過、および/または反射電磁波を検出することを含むことができる。
【0032】
好ましくは、前記試料は試料通路内をポンプ輸送され、好ましくは該試料の流量が制御される。さらに、前記方法は、試料の濁り度を測定および/または操作することを含むことができる。さらにまた、前記方法は、試料の温度の測定および/または操作を含むことができる。
【0033】
本発明は、第三の側面において、
化学的、生物学的、または生化学的試料を電磁波に暴露するための装置であって、
液相または気相の試料を、試料路上を運ぶための試料通路、
電磁波で前記試料路を照射するための一つ以上の電磁波発生器または発生源、
試料内の発光物質によって放射される電磁波を検出するための検出器、
少なくとも一つの前記発生器または発生源と前記検出器とを制御するための制御器、
を有することを特徴とする装置、
を提供する。
【0034】
本発明は、第四の側面において、
化学的、生物学的、または生化学的試料のマイクロ波に対する応答を決定するために該試料を分析する方法であって、
気相または液相の前記試料を試料通路内の試料路上を通過させ、
前記試料を電磁波で照射し、
電磁波への暴露後に試料内の発光物質によって放射される電磁波を検出する、
ことを含むことを特徴とする方法、
を提供する。
【0035】
本発明は、第五の側面において、
実質的に上で定義されたような装置に遠隔アクセスする方法であって、
実験パラメータに関するデータを通信ネットワークを通じて送信し、
送信されたパラメータにしたがって実験を実施し、
該実験の結果に関するデータを前記通信ネットワークを通じて送信する、
各ステップを含むことを特徴とする方法、
を提供する。
【0036】
本発明は、第六の側面において、
化学的、生物学的、または生化学的試料の活性の指標(measure)を与える装置であって、
試料の一つ以上の性質を測定し、
試料を電磁波に暴露し、
暴露試料の前記一つ以上の性質のうち少なくとも一つを測定し、
暴露試料の一つ以上の測定値の非暴露試料の一つ以上の測定値からのずれにもとづいて試料の生物学的活性の指標を計算する、
各ステップを含むことを特徴とする装置、
を提供する。
【0037】
試料を電磁波に暴露する前に試料の一つ以上の性質を測定するステップを、一回よりも多く実施して、得られる一つ以上の測定値の平均値または合計値を計算することができる。
【0038】
前記生物学的活性の指標は、試料の特性を決定するのに使用することができ、たとえば、ある生物学的系の状態と機能とに特有の"指紋"の作成に使用することができる。
【0039】
本発明の他の側面によれば、
試料の特性を決定する方法であって、
試料を電磁波に暴露し、
該暴露後、複数の時間間隔で透過、反射、および/または放射電磁波を測定し、
それから、該測定ステップの少なくとも一つにもとづいて前記試料の特性を決定する、
ことから成ることを特徴とする方法、
が提供される。
【0040】
本発明のさらに別の側面によれば、
発光培養物連続試料を作る装置であって、
発光培養物を成長させる容器、
該容器に第一の流量で培養基を供給する供給装置、
前記容器内の培養物のルミネセンスの測定値を示すルミネセンス信号を生成させる装置、
前記容器内の培養物の濁り度の測定値を示す濁り度信号を生成させる装置、
前記容器から第二の流量で培養物を輸送する輸送装置、
前記ルミネセンスおよび濁り度信号に応じて前記第一の流量を制御する制御器、
を有することを特徴とする装置、
が提供される。
【0041】
前記制御器は、前記第一の流量を制御し、該流量が前記容器内の培養物の成長速度に対応するようにして、ルミネセンスおよび濁り度信号がたとえばバクテリアの存在量を示すことができるように構成することができる。通常、前記第二の流量はいつでも前記第一の流量を下回ると考えられる速度に固定する。このようにすれば、前記装置は実質的に一定の性質を有する培養物試料を供給することができる。前記制御器は比例積分導関数(Proportional Integral Derivative)(PID)制御器を用いて第一の流量を制御することができる。前記容器は撹拌装置および/または空気出口を有することができる。
【0042】
さらに、前記装置は、前記輸送装置が培養物を送り込む第二の容器を有するようにして、該培養物が該第二の容器内で他の物質と混合されるようにすることができる。該物質は、緩衝液、毒物、新鮮培養基、その他の物質とすることができる。
【0043】
ルミネセンスを測定する装置は光検出器を有することができる。濁り度を測定する装置は光源と光検出器とを有し、該光検出器は培養物を通過する光を測定するように配置することができる。前記光源は所定の時間間隔でオン・オフすることができ、たとえば前記光源は50%デューティサイクルに設定されたLEDとすることができる。前記光源の強度は実質的に培養物のルミネセンスに等しいようにすることができる。前記ルミネセンスおよび濁り度信号は、一つの複合信号として出力され、前記制御器によって復号されるようにすることができる。培養物が前記第二の容器に輸送される場合には、本発明の前記装置は前記第二および/または第一の容器内の培養物の濁り度を測定することができる。
【0044】
前記供給装置および/または輸送装置はポンプを有することができる。
【0045】
本発明の前記装置は、光のはいらない区画室内に収容することができる。前記装置は、さらに、前記区画室内に温度を制御する装置を有することができる。前記装置は、さらに、前記区画室のための電磁しゃへいを有することができる。
【0046】
本発明のもう一つの側面によれば、
発光培養物連続試料を作る方法であって、
成長のための容器に培養基を第一の流量で供給し、
前記容器内の培養物のルミネセンスの測定値を示すルミネセンス信号を生成させ、
前記容器内の培養物の濁り度の測定値を示す濁り度信号を生成させ、
前記容器から第二の流量で培養物を輸送し、
このとき、前記ルミネセンスおよび濁り度信号に応じて前記第一の流量が制御される、
各ステップを含むことを特徴とする方法、
が提供される。
【0047】
本発明のさらにもう一つの側面によれば、
化学物質の毒性または影響を検出する方法であって、
発光有機体を化学物質に暴露し、
該発光有機体を電磁波に暴露し、
該暴露発光有機体からの反射、透過、および放射電磁波のうち少なくとも一つを測定し、
該測定値を一つ以上の基準測定値と比較する、
各ステップを含むことを特徴とする方法、
が提供される。
【0048】
前記基準測定値は、試験試料から、あるいは基準データベースまたは文献から得ることができる。
【0049】
本発明のさらに別の側面によれば、分割試料を作り出す装置が提供される。この装置は、導管を有することができ、該導管の一端は、該端が試料供給源と接触する第一の位置と該端が試料供給源と接触しない第二の位置との間で動くことができる。また、この装置は、ぜん動ポンプ(peristaltic pump)と、該ポンプおよび前記管の運動を制御するための制御器とを有することができる。このぜん動ポンプの動作は、試料/非試料間隔に適当に同調させることができる。そうすることにより、ポンプの押出し動作が試料または試料間間隔に一致するようにすることができる。
【発明の効果】
【0050】
本明細書で述べる連続培養および分析技術は、連続培養装置のまわりに構築されるという点で、他の方法とは著しく異なっている。これにより、生理学的に一定の状態の細胞が試験のための通過暴露装置に供給される。バッチ条件下で成長したバクテリア細胞は、栄養物の濃度が低下すると、指数的に成長が遅くなる。連続培養の使用により、生物学的変数の制御が可能であり、また実験の再現性が向上する。周波数、エネルギー密度、および環境変数を、均一な生理学的状態にある試験試料において変えることができる。通過装置の使用により、試験試料への順次暴露および累積熱効果の問題を避けることができる。
【0051】
実験時の培養物からの光放射の総時間は約20時間であるが、発光バクテリアの毒物に対する応答はこの時間中一定のままではないと思われる。さらに、毒物への順次暴露はバイオセンサーの性能の低下をも引起しうる。したがって、一定の性質特に一定のルミネセンスのバクテリアの連続供給が望ましい場合には、前記の連続培養装置が有効であると考えられる。
【0052】
しかし、電磁場の"非物質的"性質のため、複雑な因子、たとえば吸収、分布(化学的障壁たとえば細胞膜の意味での)、生体内変化、および排出を排除することができるという相当の利点が与えられる。暴露区画室内の試料は、実質的に定常状態に保たれる。細胞が、明確な条件と成長速度とのもとで成長した、一定の生理学的状態で、供給されるからである。この構成により、細胞試料の分析を特定検査パラメータの感度に関して混乱させうる、ある種の生物学的変数を排除することができる。
【0053】
化学物質の毒性試験のために考えられた研究の場合、"投与量(dose)"という言葉は細胞が暴露される濃度と時間とを表すのに使用される。電磁場暴露システムの場合、"線量(dose)"という言葉は試料に吸収されるエネルギーに関係するものである。
【0054】
前記システムは、分析試料へのエネルギー供給の管理を簡単にし、マイクロ波の生物学的効果に関する周波数領域の系統的探索を可能にし、マイクロ波照射前、照射中および/または照射後の、適当なレポーターたとえばルミネセンスまたは蛍光のレベルのモニターを可能にし、分析試料の一回だけの照射を可能にして累積効果の防止を可能にし、必要に応じて、各関与パラメータを他のパラメータから切り離して独立に調べることを可能にする。同じかまたは異なるタイプの一つ以上の電磁波(radioactive)源または発生器を、同じかまたは異なるタイプの電磁波の検出のための一つ以上の検出器とともに、使用することができる。
【0055】
本発明の装置は、システムとは独立の物理的(physical)試験たとえばプレート培養および成長のために部分流から一部を取りだすことを可能にするサンプリングポート(図示せず)をも有することができる。
【0056】
本発明の装置は、また、試料管内にあるかまたはそれから取りだされた試料の、細胞代謝、細胞構造、細胞寸法、細胞数、および細胞生存能力の検出のための装置をも有することができる。
【0057】
本発明の装置を用いて実施できる実験の結果は、該装置に直接にはアクセスできない人によっても必要とされうるので、実験の依頼と結果とを伝送するのに使用できる通信ネットワークを使用することができる。これはいくつかのやり方で実施できる。たとえば、使用する一つまたは複数の培養基の種類、必要な測定値の種類、培養基が暴露される種類の電磁波の性質、その他、の詳細を記入するための書式を含むウェブページを提供することができる。記入後、これらの詳細はネットワークを通じて、本発明の装置を有する施設に送信することができる。受信後、実験を依頼に従って実施することができ、結果を、ネットワークを通じて、その実験を依頼した当事者に送ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以上、本発明を説明したが、本発明は前記特徴または下記の説明に含まれる特徴の任意の発明的組合せを含む。本発明はいろいろなやり方で実施することができるが、以下、単なる例として、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。
【0059】
まず、人為的効果、たとえばインピーダンス不整合、対流効果、およびホットスポット、を最小限に抑えるための、暴露システムに関する予備研究について述べ、次にマイクロ波生化学分析装置の第一の実施形態について述べる。
【0060】
予備研究においては、暴露システムを、当該周波数領域で掃引されるマイクロ波発生源に対する試験試料応答を最適化するために、モデル化した。このモデルの有効性を確認するために、照射セルを作り、自動ネットワーク分析装置による測定を行った。
【0061】
すべてのシミュレーション研究において、有限要素法を使用する3次元問題解決ソフト(solver)である、Ansoft HFSS(Ansoft Corporationから入手)、を使用した。予備的なモデル化と有効性確認とは、簡単な多ポート装置と見なすことのできる暴露セルに関して実施した。初期設計は、微生物学研究室での容易に入手できる培養フラスコと培養皿とに関する便利さよりも、最適線量の測定に重点を置いた。いくつかの構造を試して、実質的に導波管が該導波管空胴内に挿入された試料およびホルダー(キュベット)と一直線をなす、2ポート装置がもっとも満足なものであるということがわかった。キュベット挿入スロットは、自由空間への伝播を最小限に抑えるために、導波管の幅広側壁の中央に配置した。この2ポート法では、マイクロ波は、i)キュベットと試料とに吸収され、ii)反射され(S11)、iii)透過し(S21)、あるいはiv)エバネッセントモード伝播、または導波管スロットからの漏れにより、自由空間内に放射されるか、することができる。シミュレートされた試料内電場強度を、局所SAR(specific absorption rate)(比吸収率)分布とポート"S"パラメータとの導出に使用することができる。"ホットスポット"と、対流効果を生じると思われる領域との定量評価を、実施した。局所SAR値を、HFSSポストプロセッサーから、使用者が間隔を決めることのできるデカルト座標グリッドに導入した。
【0062】
【数1】

【0063】
試料ホルダー(キュベット)の位置と構造とが、照射セルの最適化に重要である。ここで選択した材料、たとえばPTFE、石英、およびシリコーンゴム(siliconrubber)は、生体適合性と良好なマイクロ波透過特性との組合せを与えた。マイクロ波の侵入は割合に表面に限られるので、試料厚がもう一つの重要なパラメータになる。超薄膜が最高の局所均一性を与えるが、これは流れシステムの動作の実用性と考え合わせる必要があり、妥協案として、0.5mmの試料穴を選択した。管状のキュベット形状により、"端"効果がのぞかれるため、局所SAR均一性が改善された。内径1mmのキュベットが入射エネルギーの相当の部分の試料による吸収に十分であるが、他方では、キュベットの周波数依存吸収特性の決定を可能にするのに十分な透過を与える。やはり重要なのは、インピーダンス整合であり、これは水平に対して小さな挿入角(<20゜)を選択することによって改善できるが、その場合、SARは低下する。導波管壁の厚さを大きくして、事実上すべての電磁波が吸収され、自由空間内に伝播しないようにした。酸素透過性はキュベット材料の選択において考慮すべきもう一つの因子である。
【0064】
シミュレーションの予言的性能は、基準液体とキュベット材料との誘電的性質の正確な表現に依存する。25℃における、27.5〜35GHz領域全体にわたるルックアップテーブルを、Debyeの式を使用して純水と食塩水(3%NaCl)との両方に関して計算し、さらに塩分濃度に関する付加項を有する修正式を導出した。海産培養基の付加的成分は、誘電的性質にほとんど影響をおよぼさなかった。石英とPTFEとに関する数値は文献から容易に得ることができ、またシリコーン(silicon)に関して使用する二つの数値を補間した。
【0065】
図1において、シミュレーション最適化暴露セル10は、銅ブロックから製造し、金を電気めっきした。双葉状(Dicot)構成により、滅菌キュベット12を配置して、ボルト締めシステムによって固定し、二つの対称部分が導波管幅広壁の中央に隔壁を有するセルを形成するようにすることができる。ネットワーク分析装置14と照射セルポートとの間のインタフェースは、同軸導波管アダプター16、柔軟な導波管部分、および導波管曲がり管から成り、同じものが対称配置されて、試験構成の第二のポートに第二の腕が形成されている。
【0066】
"S"パラメータデータの取得は、IEEE 488 インタフェースとグラフィカルインタフェース言語によって書かれたソフトウェアとを用いて遠隔制御されるネットワーク分析装置(8510c−Hewlett Packard)を用いて、実施した。応答の検量は、試験構成において、反射(return)および透過ゼロ損失に関して、実施した。測定値は、空の照射セル自身の戻りおよび透過損失から成るが、これらは無視できる程度であった。最後に、空のキュベットを挿入して、その他の損失を検量した。
【0067】
反射(returned)(S11)および透過エネルギー(S21)は、27.5〜35GHz周波数範囲内の51点でサンプリングした。キュベット材料はPTFEで、基準試料として純水を入れた。温度は、実験全体を通じて、25±1℃に保った。この値を、同じ周波数において各点でシミュレーションにより同じ収束条件で生成されるS11およびS21パラメータと比較した。図2は、測定およびシミュレーションS11およびS21値を示す。シミュレーションおよび測定S21は、約2dBだけ系統的にずれている。S11はずっと小さく、予想された特徴は実験では観察されていないが、これは試料全体のSARにはほとんど影響をおよぼさない。図3は、発生源エネルギー1mWの場合の、測定およびシミュレーション試料SARを比較したものであるが、良い相関を示している。帯域全体にわたる変動は、インピーダンス整合を良くすることによって最小限に抑えられる。
【0068】
次に、図4においては、図に示すマイクロ波生化学分析装置40が適当な材料たとえばPTFE、石英、またはシリコーンゴム製の試料管42を有する。該試料管は、割合に小さな内径(通常、約1mm)を有し、これは貯蔵容器(図示せず)から試料出口(図示せず)までの試料路を定め、通常、廃棄物まで導く。試料管42は、試料路を定め、該試料路に沿っていろいろな要素が配置されている。たとえば、試料は流れ制御装置44を通過し、該制御装置は、たとえば、簡単な弁であり、あるいは該制御装置はもっと複雑な装置とすることができ、該装置は試料管の断面に沿う流体速度プロファイルを変え、または試料の濁り度を調節することができる。
【0069】
三つの電磁波検出器46が、図に示すように、上流、中流、および下流位置に配置してある。電磁波検出器46は、広帯域スペクトル装置とすることができ、あるいは指定された狭い特定帯域の電磁波を"探す"ために微調整することができる。たとえば、この検出器は赤外線サーモグラフィ法で使用することができる。温度プローブまたはセンサー46Aおよび温度制御装置46Bも、試料管42に沿って配置されている。
【0070】
二つの電磁波発生源48が試料路を照射する。この発生源は、広帯域スペクトルの電磁波、たとえばマイクロ波、赤外光、可視光、および紫外光を放射することができる。この場合も、これらの発生源は、広帯域スペクトルの励起エネルギーを放射することができ、あるいは特定の狭い帯域に調節することができる。試料管42は、試料路の中央付近で、長方形の導波管ブロック50を斜めに貫通しており、該ブロックは一端にマイクロ波発生源52を、他端にマイクロ波検出器54を有している。試料管42は導波管ブロックの幅広の一つの側面の中央の穴を通り、導波管ブロックの対向壁の穴を通って出て行く。一つの実施形態においては、超音波発生源48Aをも試料管に沿って配置することができる。
【0071】
ポンプ輸送機構56が、試料路に沿って流体を引き出すために試料路の端に配置してある。
【0072】
前記の各種要素は自動制御器58によって制御され、該制御器は、いろいろな電磁波またはエネルギー発生源の周波数掃引を行うことができ、あるいは特定エネルギー入力プロファイルを与えることができ、またそれに応じていろいろな電磁波検出器を制御することができる。
【0073】
図5は、主としてルミネセンスの変化を分析することを意図するもう一つの実施形態である。この装置は、分析のための試料を調製するための、全体を501で示す試料調製要素を有し、また分析を実行するための、全体を502で示す分析装置を有する。
【0074】
試料調製要素501は、培養物連続製造装置504、培養基供給要素506、および緩衝液供給要素508を有し、これらはすべて混合室510に接続している。この混合室からの廃棄物は廃棄物捕集器512に排出される。混合室510で混合された試料は、分割流ロボット514に送られる。ロボット514は、管514Bを有し、該管の一端は、以下で述べるように、試料の供給の有無に応じて、混合室510およびポンプ輸送手段514A内で動かされる。
【0075】
ロボット514によって生成される分割試料は、分析装置502に供給される。該装置は、等温区画室518内に収容された暴露セル516を有している。セル516内で実施された暴露の結果に関するデータは、ベクトルネットワーク分析装置520に送られる。
【0076】
区画室518は、外部の電磁波発生源を排除するためのものである。これは、環境変数、たとえば静的磁場、時間変化磁場、RF場、および温度が、関連しあって、生物学的な効果を誘発するからである。エネルギーを供給される装置たとえばポンプおよびモーターは、この室内には配置されておらず、またサンプリングされる光はファイバーオプティックスにより区画室518の外部に配置された光電子増倍管に送られる。
【0077】
有効な電磁しゃへいが、バックグラウンド場を1μTよりも小さな平均レベルまで減衰させるのに十分な、2mmのミューメタルシート522で、暴露区画室を内張りすることによって、実現される。静的なDC場が、Helmholtzコイルセットと定電流電源とを使用することにより、ゼロ磁束室内に生成される。場の強さは、0〜120μTの範囲内で変えることができる。この範囲は通常の生理的な暴露範囲を模擬するものである。分析領域全体にわたる磁場の均一性は1%よりも良好である。
【0078】
生物ルミネセンスと他の生物学的変数とは、温度の小さな変化に敏感である。温度制御は、ミューメタル壁522と良好な熱的接触をする銅管のネットワークを有する冷却システム(524で模式的に示す)を通る循環水によって実現できる。冷却システム524は、一体冷却器を有する水浴をも有し、水が16 l/minの流量で循環するとき、加熱器(英国、Grant製)が溜めの温度を一定に保つ。暴露室は断熱されている。Pt100白金抵抗温度測定を使用する外部温度プローブが、水浴サーモスタットとして使用され、該サーモスタットは、水温を5〜50℃の範囲で±0.1℃以内に保つことができる。水浴温度はコンピュータ制御下にあり、所定の範囲内で傾斜変化するかまたは段階変化するようにプログラムすることができる。
【0079】
図6は、分割流ロボット514への供給に使用される連続試料調製要素501の一部を少し詳しく示したものである。
【0080】
培養物連続製造装置504は、20mlの作業容積を与えるあふれ管603を有するように改造された50mlの"クイックフィット"試験管から成る発酵容器602を有している。容器602は円筒形ホルダー602A内に収容されている。三方アダプターから成る容器602への取りつけ具は、スパージ管、空気出口として働く乾燥管605、および、成長しつつある培養物への栄養供給に使用される栄養物のための供給溜め(図示せず)に"成長して逆戻りする(grow back)"のを防ぐために直列に接続された二つのスプラッシュヘッド、を有している。培養基が、容器602内での成長のために、ポンプ604に取りつけられた管によって貯蔵容器506から供給される。培養基貯蔵容器506は、何週間もの連続動作のために十分な、加圧滅菌に耐える10lの容器を有する。
【0081】
空気は、インラインフィルター(HEPAVENT、99.97%>=0.3μm、Whatman、英国)を通して、スパージ管605により、130ml/minの流量で、容器602にポンプ輸送して、培養物に酸素供給することができる。乾燥管605には脱脂綿をゆるく詰めて、汚染を防ぎ、また容器602とその環境との間に小さな正の圧力差が保たれるようにすることができる。培養容器602は、小容積電磁撹拌器606(Variomag mono、H+P Labortechnik、ドイツ、ミュンヘン)上に取りつけてある。この撹拌器は、連続使用のための設計がなされており、シリコーンゴム管接続(tubing connections)により300rpmの速度で動作する。
【0082】
混合室510は、培養容器602に接続された、作業容積5mlの容器612を有し、これによりシステムに柔軟性を与えることができる。混合容器612と培養容器602とは、ぜん動ポンプ614に取りつけられた管によって接続されている。ポンプ614は、物質を、培養容器602から混合容器612に、連続的に、培養容器602に供給する培養基供給ポンプ604の供給速度よりも小さな速度(1時間にわたる平均)で、輸送し、培養容器が空にならないようにする。閉ループ制御のほうが開ループ制御よりもすぐれているが、培養基流れの開始は間欠的でありうるため、培養容器と混合室とを直接に連結することはできない。側アームあふれ管603は培養容器の容積を一定に保つ。
【0083】
混合容器612は、培養容器602から輸送される物質を、ポンプ616によって管を通じてポンプ輸送される生成物で希釈するように構成することができる。この管は、緩衝液供給源508からの飢餓緩衝液(starvation buffer)(酸素測定値にもとづく必要に応じて)、毒物、または培養基貯蔵器506からの新鮮培養基、を供給することができる。混合容器602における希釈率は、通常、10倍とし、液体の単位体積あたり一定量の培養基が確実に存在するようにすることができる。混合容器612は、一定容積を保つために側アームあふれ管618をも有することができる。あふれ管603および618から排出された物質は、廃棄物捕集要素512に集めることができる。混合容器612は撹拌器617によって撹拌されるが、容器の好ましい表面積により、さらなる酸素供給が必要でないこともある。試料は、ポンプ519によって、管を通じて分割流ロボット514にポンプ供給される。
【0084】
あるいは、マイクロ波または緩衝液と協働して生物ルミネセンス分析システムの感度を高めうる追加物質を加えることが望ましいこともある。培養容器602から輸送される物質と混合する他の物質を供給するための、管/ポンプ装置を備えることもできる。
【0085】
培養容器602、撹拌器606、617、および混合容器612は、好ましくは、20±0.1℃の、光を通さない培養器601内に収容する。温度の安定性は、たとえばPh.Phosphoreumのような、20℃と25℃との間で50倍のルミネセンスの変化が起こる培養基の場合には決定的に重要である。
【0086】
培養基溜め506、ぜん動供給ポンプ604、614、616(101U/R、英国、Cornwall、Watson Marlow製)、およびコンピュータは、好ましくは、培養器601の外に配置する。
【0087】
連続培養装置504と混合室510とは、コンピュータによる制御器621によって制御する。該制御器は試料の生物ルミネセンスと濁り度との変動に応じて培養基供給を開始する。コンピュータは製造されている試料のルミネセンスに関する測定値を記録するためにも使用することができる。この測定値は、培養容器ホルダー602Aに取りつけられた光検出器624によって与えることができる。これによって、面発生源と考えることのできる培養容器602からの光束を最大にすることができる。濁り度は、容器ホルダー602Aに取りつけられたLED 623によって放射される光(550nm)ビームの変動強度を検出することによって、光学的に測定することができる。このLEDは、光検出器624に対面しており、光検出器624が取りつけられている位置と実質的に反対の直径端において、容器ホルダー602Aに取りつけてある。したがって、光検出器624は、培養容器602を通過してくる光を、該容器内にある物質のルミネセンスと同様に、測定する。
【0088】
代替的または追加的に、光検出器625を、混合容器612を包囲するホルダー内に、培養容器602に隣接する側から遠い容器側面に来るように、取りつけることができる。このようにすれば、LED 623によって放射される光は、培養容器602と混合容器612との両方を通過し、光検出器625によって測定することができる。この場合、LED 623とフォトダイオード625との間に配置されている光検出器624は、ルミネセンス測定を容易にするために、前置増幅器によって置き換えることができる。容易にわかるように、光源および/または光検出器は、必要な測定の種類に応じて、装置内の他の位置に取りつけることもできる。
【0089】
LED 625は、制御器621により、50%のデューティサイクルで作動させることができる。光検出器624/625は、このLEDが作動しているとき、複合光信号(すなわち、容器602内の培養物とLEDとによって放射される光)を受けとるので、後続の段階で、この信号を復号して、生物ルミネセンスと濁り度とに分ける必要がある。LED強度は、ポテンシオメータを使用して、生物ルミネセンスと大体同じ値に調節することができる。デジタル化に先立って光検出器信号を調節するために、もう一つの調節可能なゲイン段階を使用することができる。
【0090】
光検出器信号は、周波数1kHzにおいて、12ビット(1/4096)ADコンバータ626(PCI−6023E、テキサス州、オースチン、NationalInstruments Corp)による差分モード法(differentialmode technique)を使用して、デジタル化することができる。獲得速度とタイミングとは、制御器621において実行されるソフトウェア(Labview 6.0、National Instruments)によって制御され、入来データは環状バッファ内で処理される。デジタル低域フィルター628が、培養容器における通気と撹拌に関するノイズを除去する。信号はさらに処理されて、0.5Hzの、濁り度とルミネセンスとの個別チャンネルが与えられる。これらは実時間で表示することができ、またコンピュータ化制御器621によって記憶することができる。処理済みの信号はこの制御システムで使用するのに必要な安定性を有する。
【0091】
ポンプ604、614の制御は、光放射と濁り度との両方に関して取られた測定値の組合せにもとづいてなされる必要がある。Wardley−Smith B、White D、and Lowe A、J.Appl.Bact 39,337(1975)、に報告されている制御システムでは、所定のルミネセンスまたは濁り度しきい値に達すると、供給ポンプが作動する。この培養システムは、ルミネセンスまたは濁り度の変化によって培養基供給ポンプを作動させる(所定時間後に該ポンプが始動していない場合)タイマーの形の開ループ要素をも有している。可変"ウィンドウ"設定により、ポンプ供給の停止に必要な測定パラメータの減少を決定する。図6を参照して説明した実施形態の場合、各制御要素の相対的重みは、それぞれの生体/菌株に応じて選択し、最適化することができる。すなわち、制御器621は、供給培養基の投入に関係する培養容器ルミネセンスの複合応答に対応して作動することができる。
【0092】
供給ポンプをパルス変調する"ウィンドウ"制御システムと異なり、比例積分導関数(PID)制御器621の出力は比例的である。この制御器はアナログ信号によって培養基供給ポンプ604を制御することができる。濁り度とルミネセンスとの測定値とタイマーから得られる規格化出力は、アナログ信号に変換され(CIO−DDA06/JR、12ビット DA変換カード、Measurement Computing、Mass、アメリカ合衆国)、該信号がポンプ604に送られる。培養物の成長時、培養基供給ポンプ604の培養基平均流量は、輸送ポンプ614を約3ml/hの最大流量で作動させて、約3.7ml/h(希釈率0.18h-1)とすることができる。ポンプ614による輸送流量はポンプ604による時間平均培養基供給流量の2/3に制限して、培養容器内容物の枯渇がないようにすることができる。新鮮培養基の混合容器612への投入により、指数成長段階の培養物に関する実験が可能になる(これのみには限定されない)が、制御器621で実行されるソフトウェアは、混合容器612と分析システム502との間の待ち時間を考慮する必要があると考えられる。この待ち時間はシステム流量に応じて変化する。
【0093】
前記の試料調製要素501は構造が割合に簡単であり、研究室での使用あるいは環境汚染の分析のために、一定の性質の発光バクテリアを供給するのに使用することができる。さらに、バクテリアは、鋭敏な(<1nM)酸素測定を行うのに使用することができる。
培養物製造装置504は、単独または組合せで、ケモスタット、タービドスタット(turbidostat)、またはバクテリア生物ルミネセンスが制御変数となる"バイオルミノスタット(bioluminostat)"として構成することができる。長時間(たとえば、1週間)にわたってなされる実験において、ここでの発見によれば、ルミネセンスを所定値から5%以内に維持することができるが、場合によっては、非生物発光"変異体"が支配的になり、その場合には、光放射が不可逆的に失われる。この連続培養システムは、ルシフェラーゼを構成的に発現するか、またはストレスプロモーターの作用に応答してルシフェラーゼを発現する組換え型の微生物の成長にも適当である。二重設定点制御器は、重要な研究および産業用途を有し、たとえば即時工程制御、またはバイオマス生成物収率を最適化するための推定法に使用することができる。
【0094】
連続培養装置504は、長時間にわたる構成的な生物発光バクテリアの培養に適している。その小型の構造は長時間にわたる従来装置の運転に伴う問題のいくつかを除去するものである。すなわち、試薬に関しては、バクテリアは非常に少量の培養基を使用し、また実験装備に関しては、安価なフォトダイオード光検出システムが時分割多重化され、したがって光電増倍管と高圧電源との必要がなくなる。装置504は、追加の実験装備たとえばpHセンサーおよび溶解酸素センサーを必要としない。
【0095】
ルシフェラーゼ系の合成と、成長バクテリア培養物における生物ルミネセンスの発現とは、多くの相互作用因子、たとえば成長速度、酸素濃度、N−アシルホモセリンラクトン自己誘導物質、温度、塩、および栄養状態による制御を受けており、異化代謝産物抑制の欠如は明瞭に識別しやすいものの一部である。酸素は、生物ルミネセンスに必要な生化学的反応における必須の補助因子であるため、撹拌器と空気供給とが停止された実験においては、約4.5min後に発光強度が大きく変化するのが見られた。この時間までに、溶解酸素が、細胞呼吸により、放射が酸素不足による制限を受けるしきい値を下回る値まで消費される。このあと、生物ルミネセンスは急激に低下し(t1/2=0.34min)、約0.6minにわたって、"残留グロー"強度レベルの上下に振動する。撹拌と空気供給との回復により、"過剰フラッシュ"現象であるオーバーシュートが見られ、これは空気不足の条件下でのルシフェラーゼ複合体の蓄積によるものと考えられる。
【0096】
装置504は、最初は毒性試験および実験のための培養装置としての使用を意図したものであったが、産業工程の最適化のための手段として使用することもできる。
F Marincs、Appl.Microbiol.Biotechnol.53、536(2000)は、構成的生物ルミネセンスのために作られたEscherichia coliの菌株を使用する、バッチ培養物の成長のオンラインモニターについて述べている。この論文が示唆するところでは、生物ルミネセンスを測定することにより、生存能力、成長、および代謝活性の間接測定を行うことができる。この方法によらない場合、これらの測定は、複雑な試料作製技術たとえばフローサイトメトリーを必要としうる。これは、さらに、ルシフェラーゼ活性がPseudomonas fluorescensの成長しつつあるバクテリア成員のバイオマスに比例することが示されているということによっても支持される。発酵プロセスにおける共通の問題は、大きなバイオマスの蓄積ということであるが、最適量よりも少ない生成物収量の場合でも、生物ルミネセンスのオンラインモニターによってこの問題を除去することができる。さらに、外来遺伝子がいろいろなプロモーターの使用によって発現させられている系の場合、これらのプロモーターに融合させたラクシャリー遺伝子(lux genes)からの光放射を測定することにより、更なる最適化を行うことができる。
【0097】
この装置が作動する流量は、層流を与えるようなものである。管内の層流は放物線プロファイルを有し、したがってこの装置の分析要素においては、検出器配列が各検出器からの信号を分離する(deconvolve)必要がある。他の相互作用物理現象たとえば拡散および対流から信号を分離するのは困難なため、分割流を使用する。
【0098】
この装置の分析セクションで重要なパラメータは、試料の滞留/通過時間であり、この時間がmm波発生源出力とともに試料への"照射量"を決定する。分割流ロボット514は、8ローラーのマイクロカセットぜん動ポンプ(Watson Marlow 595U)を有し、該ポンプは混合室と分析区画室との間に配置してある。流量は、Labview ソフトウェアと16ビットDA変換カード(PCI−DAS1602/16、Measurement Computing、Mass、アメリカ合衆国)によって制御する。このぜん動ポンプは、ローラーが前進して管を圧縮することによって、流れを制御する。この動作を最小限に抑えるために、3個の使用可能なヘッドを有するポンプを選択し、流れを分割し、位相の一致していない各パルスを再結合した。また、高度の柔軟性を有する管材料を使用した。通常、ポンプがその最小流量で作動しているときには、脈動は観察されなかった。
【0099】
流れ分割化は、8ローラーのぜん動ポンプによって生成される背圧と、混合タンクから試料採取し、また制御された空気泡を導入する往復ステンレス鋼管(0.2mm穴)とによって実現することができる。往復動作は、線形ステッパーモーターを駆動するために、Labviewルーチンを用いてプログラムしたカウンター/タイマーボード
(National Instruments 6023E、アメリカ合衆国)を用いて、実行させることができる。管内の試料の所望の長さと間隙/試料比とは、ステンレス鋼管が培養基内または混合タンク空気スペース内にあるようにするソフトウェアタイマーによって制御することができる。ロボット514から暴露セル516まで延びる管には中断がないようにすることができる。
【0100】
図7は、等温区画室518内に収容されている暴露セル516を通る流れの詳細を示す。
【0101】
流れが通過する暴露セル516は、試料管804が導波管内の導波空胴806と交差する、基本モード導波管直線部802を有する2ポート装置である。隣接する導波管部分は対向パネルを通って暴露セルから出て行く。有限要素法を使用する高周波数電磁波シミュレーションソフトウェア(Ansoft、HFSS)を使用して、要素520によるベクトルネットワーク分析の前に、暴露セル性能の特性を調べることができる。小さな(<12゜)管挿入角により、帯域全体にわたる整合特性が改善された。
【0102】
この2ポート構成の場合、mm波は、i)試料および管壁に吸収されるか、ii)反射されるか(図5のポートS11における出力)、iii)透過するか(図5のポートS21における出力)、または試料管が導波管にはいる位置からエバネッセントモード伝播(すなわち、漏れ)により自由空間内に伝播するか(この伝播は、抑制されない場合には、試料からの制御されない信号エネルギー損失となる)、である。
【0103】
試料管挿入位置、導波管肉厚、キュベット直径とその材料(誘電率)は、試料管に沿う基本モード導波管伝播の可能性を最小限に抑えるように、選択することができる。この効果は、一般に、セルの中央でのエネルギーレベルよりも30dBよりも小さい場合には無視できると考えられる。試料管材料は、生体適合性、酸素透過性、ならびにmm波および光伝播特性にもとづいて選択する。
【0104】
照射セル設計のさらに困難な側面の一つは、試験試料におけるエネルギーの微視的吸収に関するものである。エネルギーの不均一分布により、平均吸収エネルギーを大きく上回る"ホットスポット"が発生しうる。温度の、小さいけれども急激な変化は、対流現象を生じることがあり、これは非熱的効果であると誤って解釈される可能性がある。超薄膜が、最善の、試料内でのエネルギー空間分布を与えると考えられる。折衷案として、0.5mmの穴を使用することができる。そうすれば、流れ系の壁における成長により、急速にこの系が使用できないようになるということを確実に防止できるからである。入射エネルギーの実質的な部分がこの0.5mmの試料に吸収される。管の端を丸めることにより、"端"効果が取り除かれるため、局所SAR均一性が向上する。試料内での比吸収、局所SAR分布、およびポートSパラメータをシミュレートすることにより、"ホットスポット"と対流効果を生じそうな領域との定量評価を実施することができる。
【0105】
mm波への暴露に対する生物学的応答は、生物ルミネセンスにもとづくレポーターシステムによって分析される。光放射は一般に青−緑領域において発生し、強度は小さい。可能な低信号レベルとSN比改善が望ましいこととのために、フォトン計数光電子増倍管を使用した(H7474、Hammamatsu Corp.)。光は、コリメータにより、2mm開口(Oz Optics 2522)を試料管に向けて、サンプリングする。コリメータガイドを流れ通過セル壁内に穴あけして、暴露時に光をモニターする。照射前および後の光サンプリング位置を、試料管の通路に沿って、試料管がセルにはいるところと出るところに設ける。マルチモードファイバーオプティックパッチコードが、信号を、SMAコネクターを経由して、光電子増倍管に送る。検出器の空間分解能を高めるこの平行化手段は、光源と結びついた検出器効率を犠牲にすることによって、改善することができる。各検出器はフォトン計数値を総和する。
【0106】
分析システムは、mm波暴露細胞培養物と非暴露細胞培養物との間での、生物ルミネセンスの統計的に有意の変化を、パラメータたとえばmm波強度および周波数の関数として、検出することを意図するものである。この分析システムは、自動検量システムを用いる検索最適化モードにより、または検量システムと強力な制御器とを有する統計的にもっと強力なモードにより、動作させることができる。
【0107】
一連のコリメータチャンネル810が、照射帯域809を通過するときに電磁波に暴露された生物発光セグメント808を収容した試料管804の部分に沿って配置してある。セグメント808が各コリメータを通過するとき、計数率が特徴的に増大してから減少するのが観察され、これはデジタル信号の低/高状態に類似の波形を生成する。しきい値アルゴリズムを使用して、各セグメントの前端/後端を検出することができ、したがって各セグメントが既知の速度で検出器配列を通過するとき、各セグメントを追跡することができる。周波数、エネルギーの階段的な変化のような事象は、新しいセグメントがセル516内にはいってきたときに、端で始まる。
【0108】
分析は、各セグメント808の中央領域811からの計数値を総和することによって行われ、次にこの総和が、ファイルに書き込む生物ルミネセンスの統計数値の計算のために使用される。中央領域811は、セグメント808の前端と後端との間の距離の約70%の部分である。このようにして、生物ルミネセンスが配列内の各コリメータによって測定され、暴露前の検出器の値と比較される。この比較は、時間遅れを利用して各検出器チャンネルを順次に始動させることにより、もっとも簡単に実行され、この場合、各検出器チャンネルに対応する各ファイルの最初の値が分析される最初のセグメントのものである。
【0109】
コリメータチャンネル間の間隔によって生じる遅れは割合に小さいが、容易にわかるように、本発明の装置は、試料への電磁波暴露の効果が長時間にわたって研究できるように改造することができる。たとえば、試料管は、次のコリメータチャンネルによる測定のために移動することを可能にする前に、または同じチャンネルによる測定を繰り返す前に、必要な時間だけセグメントを収容しておくことのできる可動弁を有することができる。
【0110】
コンパレーターシステムは、各検出器チャンネルによって生成されたファイル上で動作するスプレッドシート型のプログラムである。暴露前検出器における生物ルミネセンスの強度と後続の配列内の各検出器におけるそれとの比を計算する。これが、スプレッドシート上の第一のコラムになる。この分析システムは生物ルミネセンスの強度の相対変化を使用する。これを、一連の非暴露検量セグメントの平均比と比較する。検量手順においては、非暴露セグメント生物ルミネセンスの基本統計量たとえば標準偏差を決定するのに十分なセグメントを使用する。検量シリーズの基本統計量を使用して、可能性のある生物学的効果の検出のためのしきい値を設定する。
【0111】
非暴露検量手順に続いて、セグメント808の暴露手順が行われる。コンパレータープログラムが検出器配列を通過する各セグメントの比を評価し、非暴露シリーズの検量パルスとの比較にもとづいて、生物学的活性の指標を計算する。
【0112】
もっとも簡単なモードでの動作の場合、この分析装置は、セグメントを暴露セグメントと非暴露"検量"セグメントとに分ける。検量手順ではセグメントの暴露シリーズにつながるセグメントの連続シリーズを使用する。この検量シリーズは二つの目的に役立つ。第一に、シリーズ全体における平均レベルを計算することにより、暴露シリーズ全体にわたる系統的なずれを微調整することができる。第二に、検量セグメントシリーズの標準偏差を使用して、可能性のある生物学的効果の検出のためのしきい値が設定される。
【0113】
試料の電磁波への暴露により、非等温相互作用がもたらされ、それによって分子構造の配置/形状と試料の化学的性質(たとえば、ルミネセンス)とが変化しうる、と考えられる。そのような性質の検出により、試料の"指紋"を作成することができる。一例は、ある一定のスペクトル特性(周波数、強度、位相、偏り、および時間の関数)のマイクロ波を放射しうる健康な人の組織であるが、この組織が前癌(または、癌)状態となった場合には、スペクトル特性が変化するであろう。そのような変化の検出は早期診断の機会を与えるものである。逆に、癌細胞は、一定のスペクトル特性(必ずしも、放射される電磁波の特性に関係しない)を有するマイクロ波による照射に対して、該細胞の死(アポトーシス)を開始させることによって応答しうるが、周囲の健康な細胞は影響を受けないままでありうる。本発明の装置は、後者を実験的に決定するのに使用することができ、また前者の存在を確認することに寄与する研究手段として使用することができる。たとえば、健康な細胞と癌細胞との両方に発光(または、蛍光)蛋白によって標識して、試料を一つずつ本発明の装置に送りこむことができる。いろいろな照射のやり方の効果を、それぞれの試料からの光出力の変化を分析することによって決定することができる。
【0114】
第一の暴露前検出器810Aにおける測定光強度と各暴露後検出器ステーションで測定されたセグメントのルミネセンスとの比を、得ることができる。分析システムのこの部分は、データを連続的にスプレッドシートに記憶する単一の"コンパレーター"プログラムから成る。生物学的活性指標が、各セグメントに関して、検量シリーズの平均からの偏差にもとづいて計算される。
【0115】
このデータ分析ソフトウェアにより、システムは、生物学的効果しきい値に対する非常に低い候補しきい値、通常検量シリーズの標準偏差の二倍、によって動作することができる。したがって、暴露セグメントの約5%が、生物学的事象の候補として、初期認定されうる。そのような事態が生じた場合、制御パラメータ空間のその部分の自動繰返しが行われて、システムが不定期に繰返しを行い、したがってシステムは高い感度と間違による陽性判定がないこととを結びつけることができる。フィードバックループが、mm波合成装置(synthesizer)がさらに高い周波数分解能を与えるように、構成される。
【0116】
注意すべきことは、検量パルスは多くの点で通常の制御パルスとして有効に作用するが、より十分な制御の有効化は、普通に暴露されたシリーズが非暴露対照として残される臨時試験を設定することによって、実現される、ということである。
【0117】
これらの統計値はディスクに書き込まれる。コリメータチャンネル1(照射前導波管)のためのプログラム7は、流量とともにセグメント検出をも使用して、ネットワーク分析の振幅と周波数とを制御するようにすることができる。結果は、必要であれば、作業者が実験監視のために画面上で検査することができ、かつ/または作業間の動作性向上のために使用することができる。
【0118】
本発明の装置の性能特性を示すために、天然の生物発光バクテリア
Photobacterium phosphoreum 844を使用した。このバクテリアは、すでに毒性検出システムのために使用されたものである。このプロトタイプを、環境毒性監視で普通に使用されるタイプのバクテリア生物ルミネセンスにもとづくレポーターシステムを用いて試験した。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】暴露システムのための試験装置の概略図である。
【図2】図1の装置に関する、測定およびシミュレーションS11およびS21値のグラフである。
【図3】図1の装置に関する、測定およびシミュレーション比吸収率(SAR)値のグラフである。
【図4】本発明によるマイクロ波生化学分析装置の模式図である。
【図5】分析装置のもう一つの実施形態の模式図であるが、試料のルミネセンスの測定のためだけのものであり、試料調製要素と分析要素とを有する。
【図6】試料調製要素の一部の模式図である。
【図7】分析要素の一つの模式図である。
【符号の説明】
【0120】
10 暴露セル
12 滅菌キュベット
14 ネットワーク分析装置
16 同軸導波管アダプター
40 マイクロ波生化学分析装置
42 試料管
44 流れ制御装置
46 電磁波検出器
46A 温度プローブ
46B 温度制御装置
48 電磁波発生源
48A 超音波発生源
50 導波管ブロック
52 マイクロ波発生源
54 マイクロ波検出器
56 ポンプ輸送機構
58 自動制御器
501 試料調製要素
502 分析装置
504 培養物連続製造装置
506 培養基供給要素
508 緩衝液供給要素
510 混合室
512 廃棄物捕集器
514 分割流ロボット
514A ポンプ輸送手段
514B 管
516 暴露セル
518 等温区画室
519 ポンプ
520 ベクトルネットワーク分析装置
522 ミューメタルシート
524 冷却システム
602 培養容器
602A 培養容器ホルダー
603 あふれ管
604 培養基供給ポンプ
605 乾燥管
606 電磁撹拌器
612 混合容器
614 ぜん動ポンプ
616 ポンプ
617 撹拌器
618 あふれ管
621 制御器
623 LED
624 光検出器
625 光検出器
626 ADコンバータ
628 デジタル低域フィルター
802 導波管直線部
804 試料管
806 導波空洞
808 生物発光セグメント
809 照射帯域
810 一連のコリメータチャンネル
810A 暴露前検出器
811 808の中央領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光培養物連続試料を作る装置であって、
発光培養物を成長させる容器(602)と、
該容器に第一の流量で培養基を供給する供給装置(602)と、
前記容器内の培養物のルミネセンスの測定値を示すルミネセンス信号を生成させる装置(624)と、
前記容器内の培養物の濁り度の測定値を示す濁り度信号を生成させる装置(624)と、
前記容器から第二の流量で培養物を輸送する輸送装置(614)と、
前記ルミネセンスおよび濁り度信号に応じて前記第一の流量を比例的に制御する制御器(621)と、
を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記制御器(621)が比例積分導関数(PID)制御器を用いて第一の流量を制御することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記容器(602)が撹拌装置(606)および/または空気出口(605)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
さらに、前記輸送装置(614)が培養物を送り込む第二の容器(612)を有し、該培養物が該第二の容器内で他の物質と混合されることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
前記他の物質が、緩衝液、毒物、新鮮培養基、その他の物質であることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
ルミネセンスを測定する装置が光検出器(624)を有することを特徴とする請求項1から5までのいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
濁り度を測定する装置が光源(623)と光検出器(624)とを有し、該光検出器が培養物を通過する光を測定するように配置されることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
前記光源(623)が所定の時間間隔でオン・オフされることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記光源(623)が50%デューティサイクルに設定されたLEDを有することを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記光源(623)の強度が実質的に培養物のルミネセンスに等しいことを特徴とする請求項7から9までのいずれか1つに記載の装置。
【請求項11】
前記ルミネセンスおよび濁り度信号が一つの複合信号として出力され、制御器(621)によって復号されることを特徴とする請求項1から10までのいずれか1つに記載の装置。
【請求項12】
光検出器(625)が、第二の容器(612)内の培養物の濁り度を測定するように、配置されることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項13】
供給装置(604)および/または輸送装置(614)がポンプを有することを特徴とする請求項1から12までのいずれか1つに記載の装置。
【請求項14】
光の入らない区画室(601)内に収容されていることを特徴とする請求項1から13までのいずれか1つに記載の装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、さらに、該装置内の温度を制御するシステム(524)を有することを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項14または15に記載の装置であって、さらに、該装置のための電磁遮蔽(522)を有することを特徴とする装置。
【請求項17】
発光培養物連続試料を作る方法であって、
成長のための容器に培養基を第一の流量で供給し、
前記容器内の培養物のルミネセンスの測定値を示すルミネセンス信号を生成させ、
前記容器内の培養物の濁り度の測定値を示す濁り度信号を生成させ、
前記容器から第二の流量で培養物を輸送し、
このとき、前記ルミネセンスおよび濁り度信号に応じて前記第一の流量が比例的に制御される、
各ステップを含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−136286(P2009−136286A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306306(P2008−306306)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【分割の表示】特願2003−514076(P2003−514076)の分割
【原出願日】平成14年7月19日(2002.7.19)
【出願人】(507256740)ユニヴァーシティ カレッジ カーディフ コンサルタンツ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】