説明

発光広告装置

【課題】広告内容を視認者に十分に記憶させて、広告目的を適切に果たすことを可能とする発光広告装置を提供する。
【解決手段】発光広告装置10は、広告に関する文字または図形が表された広告部2と、電源7と、広告部2に設けられ、電源7からの電力を用いて発光する発光手段6と、外部から操作されることにより発光手段6の発光を指示する操作部3と、操作部3の指示に基づいて発光手段6を発光させる発光制御手段9と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POP(point-of-purchase advertising)広告等、発光広告装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品やサービス等を広告するために、広告に関する文字または図形が表された広告部材が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、商品購買意欲を促進させる広告体に取り付けられ、乾電池の電力により長周期間隔で複数回点滅する発光手段を有する販売促進用表示装置が開示されている。また、特許文献2には、太陽電池からの電流によって発光ダイオードを発光させるPOP広告用発光装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】実登3059917号公報
【特許文献2】特開平9−101754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、広告部材(広告体)は、その存在が視認者に認識されなければ視認されないため、その存在が視認者に認識されることが最も重要な課題(第一の課題)であり、その次に、広告目的に鑑みて広告内容が視認者に記憶されることが重要な課題(第二の課題)である。特許文献1および2に係る装置は、発光するものであるから、第一の課題について有効なものである。
【0006】
しかしながら、特許文献1および2に係る装置は、一方的に発光されるものであるから、第一の課題を解決できても、第二の課題の解決は十分ではない、すなわち、視認者への印象付けが弱く、広告内容を視認者に記憶させることが十分とはいえず、広告目的を適切に果たせるものではない。
【0007】
本発明の目的は、広告内容を視認者に十分に記憶させて、広告目的を適切に果たすことを可能とする発光広告装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一構成に係る発光広告装置は、広告に関する文字または図形が表された広告部と、電源と、前記広告部に設けられ、前記電源からの電力を用いて発光する発光手段と、外部から操作されることにより前記発光手段の発光を指示する操作部と、前記操作部の指示に基づいて前記発光手段を発光させる発光制御手段と、を具備する構成である。
【0009】
このような構成によれば、操作部が設けられていることにより、操作部を操作する動機が生まれ、操作部が操作されると発光手段が発光するため、視認者に広告部を能動的に視認させることができるから、従来において広告部を受動的に視認させる場合に比べて、視認者に対する広告部の印象付けに有効である。
【0010】
視認者が受動的に物事を視認する場合に比べ、視認者が能動的に行動して物事を視認する場合の方が、視認される内容が視認者の記憶に残るからである。
【0011】
視認者に対する広告部の印象付けのためには、前記操作部は、操作を指示する文字または図形が付され、若しくは機器の操作部材を表す形状に形成されている構成が望ましい。
【0012】
視認者に対する広告部の印象付けのため、かつ、設置容易な発光広告装置とするためには、前記広告部を表面に、粘着剤層を裏面に有するシート状または板状の貼付部材を備え、前記広告部は、立体形状に形成されており、当該立体形状の内部に前記電源と前記発光手段と前記発光制御手段が配置されている構成が有効である。
【0013】
視認者に接触されることに対する耐久力を高めるためには、前記広告部は、前記貼付部材と真空成形により一体化されている構成が有効である。
【0014】
視認者に対する広告部の印象付けのためには、前記操作部は、複数設けられており、前記発光手段は、一の前記操作部の指示に基づく発光状態と、他の前記操作部の指示に基づく発光状態とが異なるように構成されているのが好適である。
【0015】
メンテナンス性を有効に向上させるためには、前記電源は小型電池で取り替え自在に構成されているのが有効である。
【0016】
本発明の発光広告装置は、以上のような構成であるから、旅客車両、旅客機、又は旅客船の客室内壁あるいはドア内壁に貼り付けて用いられることにより、視認者から近距離に長時間存在するから、発光広告装置の存在を認識させ易くすると共に、視認者が操作部を操作し易い発光広告装置としての利用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る発光広告装置の一実施形態を図を参照して説明する。図1は、発光広告装置10の外観およびその動作を示す斜視図である。図2は、図1のA矢印位置における断面図である。
【0018】
(発光広告装置10の機械的構成)
まず、発光広告装置10の機械的構成について図1及び図2を用いて説明する。発光広告装置10は、貼付部材1と、広告部2と、操作部3と、発光手段6と、電源7と、発光制御手段9とを有している。
【0019】
貼付部材1は、シート状、板状で水平方向に長く形成されている。貼付部材1の裏面には、粘着剤層1a及び剥離部材8が裏面全体を覆うように順に設けられている。粘着剤層1aは、粘着性を有し、貼付部材1の裏面全体を薄く覆っている。剥離部材8は、粘着剤層1aの裏面全体を薄く覆っており、粘着剤層1aと完全かつ容易に剥離可能であり、剥離時にはすべての粘着剤層1aを貼付部材1側に残留させる。
【0020】
広告部2は、広告に関する文字または図形が表されたものであり、広告対象であるパチスロ筐体の外観に模して立体形状に成形され、内部2sが中空に成形されている。広告部2は、その裏側を貼付部材1の表面中央部に接触させて、貼付部材1に設けられている。広告部2のパチスロ筐体のランプ部分2aは、広告部2の内部2sから外部に向けて透光可能に構成されており、そのランプ部分2aの奥にはLED等の発光手段6aが配置されている。また、広告部2のパチスロ筐体の液晶部分2bは、広告部2の内部2sから外部に向けて透光可能に構成されており、その液晶部分2bの奥には発光手段6bが配置されている。また、広告部2のパチスロ筐体のパネル部分2cは、広告部2の内部2sから外部に向けて透光可能に構成されており、そのパネル部分2cの奥には発光手段6cが配置されている。
【0021】
また、図2に示すように、LED等の発光手段6(6a・6b・6c)、小型電池で取り替え自在なボタン型電池である電源7、および、後述する発光制御手段9は、広告部2の内部空間2sに配置されている。
【0022】
操作部3は、外部からの接触を検出するタッチセンサであり、外部から操作させることによって発光手段6の発光を指示するものである。操作部3は、操作部3a(3)と操作部3b(3)と、少なくとも二つ設けられており、操作部3aは、貼付部材1の表面視、広告部2右側の貼付部材1の表面に設けられている。操作部3aの表面には、「PUSH」からなる押圧指示文字4が表されており、操作部3aの上方には、操作部3aの方向を向いた矢印図形4が描かれており、矢印図形4のさらに上方には「押してね」からなる押圧指示文字4が表されている。これら押圧指示文字4および押圧指示文字4は、いずれも操作部3aの操作を指示するものである。
【0023】
操作部3bは、広告部2のパチスロ筐体のスタートボタン部分の奥に配置されており、このスタートボタン部分を指Fで押圧すると操作部3bに接触し、それを操作部3bが検出する。このスタートボタン部分は、パチスロ筐体(機器)の操作部材に相当し、外部に向かって突出する操作部材を表すように成形されている。
【0024】
広告部2は、ブリスターパック真空成形により貼付部材1に一体化されている。ブリスターパック真空成形は、貼付部材1の上に広告部2を載置するステップと、載置された広告部2の上に透明なシート状の樹脂である透明部材5を配置するステップと、透明部材5を加熱して軟化させて透明部材5を貼付部材1及び広告部2に押圧するステップと、内部の空気を抜いて真空状態にして、貼付部材1と広告部2とを一体化するステップとを含む成形方法である。
【0025】
(発光広告装置10の電気的構成)
次に、発光広告装置10の電気的構成について図3を用いて説明する。発光広告装置10は、操作部3(3a・3b)としての二つのタッチセンサと、発光制御手段9と、電源7と、発光回路15と、発光回路15に接続され、発光手段6(6a・6b・6c)である三つのLEDとを有している。
【0026】
発光制御手段9は、外部のアクチュエータとの信号を中継するI/O11と、I/O11に接続され、発光を制御するCPU12と、CPU12に接続され、プログラムやデータを一時的に記憶するRAM13と、CPU12に接続され、後述する発光制御ルーチンを記憶するROM14とを有している。CPU12が発光制御ルーチンを実行することにより、これらは発光制御手段9として機能する。
【0027】
操作部3(3a・3b)である二つのタッチセンサは、I/O11に接続されている。発光回路15は、I/O11及び電源7に接続され、発光制御手段9の指令に基づいて、発光手段6(6a・6b・6c)である三つのLEDに電源7の電流を供給することによって、発光手段6を発光させる。
【0028】
(発光広告装置10の動作)
次に、発光広告装置10の動作について図4を用いて説明する。発光広告装置10は、電源7から電力が供給されることにより、CPU12は、発光制御ルーチンをROM14から読み出して実行する。
【0029】
図4に示すように、発光制御ルーチンが実行されると、まずCPU12は、操作部3aが接触(操作)を検出しているか否かを判定する(A1)。接触が検出していると判定された場合には(A1:YES)、CPU12は、発光回路15に発光手段6aの点滅を開始させ(A2)、発光手段6bを発光させる(A3)。次に、CPU12は、操作部3aが接触(操作)を検出していないか否かを判定する(A4)。操作部3aが接触を検出している間は、CPU12は、発光手段6aの点滅および発光手段6bの発光を発光回路15に継続させる(A4:NO)。一方、操作部3aが接触を検出していないと判定されると(A4:YES)、CPU12は、発光回路15に発光手段6a・6b双方の発光を停止させ(A5、A6)、A1の処理の実行に戻る。
【0030】
一方、A1の処理において、操作部3aが接触を検出していないと判定された場合には(A1:NO)、CPU12は、操作部3bが接触(操作)を検出しているか否かを判定する(A7)。操作部3bが接触を検出していないと判定された場合には(A7:NO)、CPU12は、A1の処理の実行に戻る。一方、操作部3bが接触を検出していると判定された場合には(A7:YES)、CPU12は、発光回路15に発光手段6aを点滅ではなく点灯させ(A8)、発光手段6bを発光させる(A9)。次に、CPU12は、操作部3bが接触(操作)を検出していないか否かを判定する(A10)。操作部3bが接触を検出している間は、CPU12は、発光手段6aの点滅および発光手段6bの発光を発光回路15に継続させる(A10:NO)。一方、操作部3bが接触を検出していないと判定されると(A10:YES)、CPU12は、発光回路15に発光手段6a・6b双方の発光を停止させ(A11、A12)、A1の処理の実行に戻る。
【0031】
(本実施形態の概要)
以上のように、本発明の一構成に係る発光広告装置10は、広告に関する文字または図形が表された広告部2と、電源7と、広告部2に設けられ、電源7からの電力を用いて発光する発光手段6(発光手段6a・6b・6c)と、外部から操作されることにより発光手段6の発光を指示する操作部3(3a・3b)と、操作部3の指示に基づいて発光手段6を発光させる発光制御手段9と、を具備する構成である。
【0032】
このような構成によれば、操作部3が設けられていることにより、操作部3を操作する動機が生まれ、操作部3が操作されると発光手段6が発光するため、視認者に広告部2を能動的に視認させることができるから、従来において広告部2を受動的に視認させる場合に比べて、視認者に対する広告部2の印象付けに有効である。
【0033】
視認者が受動的に物事を視認する場合に比べ、視認者が能動的に行動して物事を視認する場合の方が、視認される内容が視認者の記憶に残るからである。
【0034】
また、操作部3は、操作を指示する文字(押圧指示文字4等)または図形(押圧指示文字4等)が付され、若しくは機器の操作部材(スタートボタン部分)を表す形状に形成されているから、操作部3の操作を視認者に促すため、操作部3を操作する動機がより有効に生まれ、視認者に対する広告部2の印象づけに好適である。
【0035】
特に、広告部2を表面に、粘着剤層1aを裏面に有するシート状または板状の貼付部材1を備え、広告部2は、立体形状に形成されており、立体形状の内部2sに電源7と発光手段6と発光制御手段9が配置されているから、電源7と発光手段6と発光制御手段9とを立体形状の内部2sに配置して、外観を損なわないようにすることができると共に、広告部2を立体形状に形成したことにより広告部2の注目度を高めることができ、視認者に対する広告部2の印象付けに好適である。
【0036】
さらに、貼付部材1によって立壁に貼り付けてこれを設置できるから、設置容易な発光広告装置とすることができる。
【0037】
特に、広告部2は、貼付部材1と真空成形により一体化されているから、広告部2と貼付部材1との接合部分に架かる応力は、平面形状の広告部に比べて立体形状の広告部2の方が大きくなるが、立体形状の広告部2は貼付部材1と真空成形により一体化されているため、発光広告装置10の耐久力を高めることができ、視認者に接触される本発明に好適である。
【0038】
また、操作部3は、複数設けられており、発光手段6は、一の操作部3の指示に基づく発光状態と、他の操作部3の指示に基づく発光状態とが異なるように構成されているから、各操作部3の指示に基づいてそれぞれ異なる発光状態になるから、視認者に対する広告部2の印象付けに有効である。
【0039】
また、電源7は小型電池で取り替え自在に構成されているから、メンテナンス性を有効に向上させることができる。
【0040】
本発明の発光広告装置10は、以上のような構成であるから、旅客車両、旅客機、又は旅客船の客室内壁あるいはドア内壁に貼り付けて用いられることにより、視認者から近距離に長時間存在するから、発光広告装置10の存在を認識させ易くすると共に、視認者が操作部3を操作し易い発光広告装置10としての利用が可能となる。
【0041】
以上、本発明の実施例を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一構成に係る発光広告装置10の外観および動作を示す斜視図。
【図2】図1のA矢印位置における断面図。
【図3】発光広告装置10の電気的構成を示すブロック図。
【図4】発光制御手段9が実行する発光制御ルーチンを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0043】
1‥‥‥貼付部材
1a‥‥粘着剤層
2‥‥‥広告部
3‥‥‥操作部(タッチセンサ)
4‥‥‥押圧指示文字・矢印図形
5‥‥‥透明部材
6‥‥‥発光手段
7‥‥‥電源
8‥‥‥剥離部材
9‥‥‥発光制御手段
10‥‥発光広告装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告に関する文字または図形が表された広告部と、
電源と、
前記広告部に設けられ、前記電源からの電力を用いて発光する発光手段と、
外部から操作されることにより前記発光手段の発光を指示する操作部と、
前記操作部の指示に基づいて前記発光手段を発光させる発光制御手段と、
を具備する発光広告装置。
【請求項2】
前記操作部は、操作を指示する文字または図形が付され、若しくは機器の操作部材を表す形状に形成されている請求項1に記載の発光広告装置。
【請求項3】
前記広告部を表面に、粘着剤層を裏面に有するシート状または板状の貼付部材を備え、
前記広告部は、立体形状に形成されており、当該立体形状の内部に前記電源と前記発光手段と前記発光制御手段とが配置されている請求項1又は2に記載の発光広告装置。
【請求項4】
前記広告部は、前記貼付部材と真空成形により一体化されている請求項3に記載の発光広告装置。
【請求項5】
前記操作部は、複数設けられており、
前記発光手段は、一の前記操作部の指示に基づく発光状態と、他の前記操作部の指示に基づく発光状態とが異なるように構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の発光広告装置。
【請求項6】
前記電源は、小型電池で取り替え自在に構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の発光広告装置。
【請求項7】
旅客車両、旅客機、又は旅客船の客室内壁あるいはドア内壁に貼り付けて利用可能に構成されている請求項1〜6のいずれかに記載の発光広告装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−49066(P2010−49066A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213847(P2008−213847)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(598098526)株式会社ユニバーサルエンターテインメント (7,628)
【Fターム(参考)】