説明

発光物質

本発明は、元素P、Si、B、Al及びNからの、有利には組成Si337からの、無定形の、場合によっては部分結晶性の網目からなる普遍的にドープ可能なマトリックスを基礎とする発光物質(蛍光体)の新規の種類に関する。この系中での光学的励起及び発光は、任意のカチオン性活性化剤の取り込みにより、単独で又は組み合わせて、また同様に、アニオン性成分としての酸素の組み込みにより、実施に関連した全体の範囲にわたり変動されることができる。従って、発光物質のための完全な適用スペクトルが、例えば照明系又は電子ディスプレイのために開発される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、元素P、Si、B、Al及びNからの、有利には組成Si337からの、無定形の、場合によっては部分結晶性の網目からなる普遍的にドープ可能なマトリックスを基礎とする発光物質(蛍光体)の新規の種類に関する。この系中での光学的励起及び発光は、任意のカチオン性活性化剤の取り込みにより、単独で又は組み合わせて、また同様に、アニオン性成分としての酸素の組み込みによっても、実施に関連した全体の範囲にわたり変動されることができる。従って、発光物質のための全部の適用スペクトルが、例えば照明系又は電子ディスプレイのために開発される。
【0002】
主格子としてオキソ−及び/又はニトリド−シリカート、−ホスファート又は−アルミナートを基礎とする発光物質は、活性化剤としての遷移金属又はランタニドでドープされ、様々に異なる変形において記載されている。既に提供されている発光物質に関する要求は常に増し、これは特に、古典的な使用領域、例えば電子線ディスプレイ(ブラウン管)又は気中放電発光体を介して新規の適用が新規の照明−及びディスプレイ技術により開発されているからである。青色LED(例えば、GaN又はGa1-xInxN)が提供可能になってから、この発光を1種又は数種の発光物質を用いた被覆により所望の適用、例えば発光の色を調節するために著しい尽力がなされている。白色LEDは市販の発光体に対して顕著により少ない電気を消費し、かつ、顕著により長い寿命を有するので、この系の最適化については特に興味を持って取り組まれている。内側−及び外側照明の他に、数々の将来性のある使用領域が、自動車のフロントライト及びバックライトとして、液晶ディスプレイにおける光源として又はプラズマディスプレイにおける成分として存在する。
【0003】
これまでに提供されている発光物質は大抵は結晶性である。所望される光特性は、この際、この物質の結晶格子中に存在するイオンの、他のイオン、いわゆる活性化剤による交換により得られる。この際、このそれぞれの結晶性マトリックスは、定義された格子の位置に特定のカチオンを含有しなくてはならない。このカチオン並びにこの格子の位置は、この活性化剤イオンの化学的及び構造的な要求相応し、従って相応する置換を可能にするような位置でなくてはならない。この前提は、それぞれの活性化剤イオンについて特異的な主構造が見出されなくてはならない点で強力に制限的に作用する。置換すべきかつ活性化剤アニオンの回避可能な不整合のために、加えて、この達成可能なドーピング濃度が限定されている。特に、異原子価ドーピングは、同時に電子的欠陥を強制し、これは、とりわけ、燐光の消滅又は減弱により、負の結果を生じる。結晶性マトリックスの使用の数々の欠点のある結果は、達成がねらわれる幅広の発光の場合には、例えば、緑、赤及び青の発光の組み合わせによる白色光により、2種以上の異なる発光物質が使用されなくてはならないことにあり、これは、製造の手間及び−コストを顕著に高める。更に、これまでに記載された全ての発光物質は、固体反応を介して極度の温度条件で、そして、部分的に圧力条件(1900℃までの温度)でも製造される点で共通である。高められたエネルギー消費の他に、出発化合物からの汚染物質が、及び、このるつぼ材料に対する攻撃により負に作用し、これは、どのような精製操作によっても除去されることができない、汚染物質は、特に光学的な原材料では極めて不利な結果を発揮する。発光物質では汚染物質はこの効率を損ない、というのは汚染物質はこの光学的透過性を減少させ、かつ、同時にこの放射のない(strahlungslos)消失を支持するからである。
【0004】
本発明の課題は、技術水準のこの記載した欠点を克服することにある。特に、熱的に、例えば化学的に抵抗性のあるマトリックスが調製されることが望ましく、この中に普遍的に任意に活性化剤が導入されることができる。加えて、この製造経路は、この生成物の高い純度を可能にすることが望ましい。
【0005】
この課題は、本発明により、無定形の又は部分結晶性の網目を基礎とし、その際、網目が窒素(N)並びに、P、Si、B及びAlから選択された少なくとも2種の元素を含み、かつ、網目中に少なくとも1種の活性化剤が組み込まれている、発光物質により解決される。
【0006】
この本発明による発光物質は、特に、これが、結晶性の構造を基礎とする物質でなく、それどころか、無定形の又は部分結晶性の網目を基礎とする物質であることにより特徴付けられる。本発明により発光物質の形成のために使用される基礎材料は、網目を有し、これは、特に、X線無定形であり、つまり、これは、直径≧300nmを有する微結晶、特に直径≧200nmを有する微結晶、更に一層有利には直径≧100nmを有する微結晶を有しない。この本発明による発光物質の基礎材料は、従って、特に、いかなる長い範囲にわたる格子対称性をも示さない。基礎材料の網目中には、本発明による発光物質では、更に、少なくとも1種の活性化剤が組み込まれている。市販の結晶性発光物質とは対照的に、この際、前もって基礎材料中に含有されているイオンの活性化剤との交換は行われず、活性化剤は付加的に組み込まれる。これは、本質的な利点、この任意の活性化剤が、同じマトリックス中に組み込まれることができ、従って、様々な活性化剤を含有する発光物質が調製されることができる、という利点を伴う。これにより、この放出される光の波長の調整(Abstimmung)及び混合が、広い範囲にわたり可能であり、特に、白色光を放出する発光物質の提供も可能である。
【0007】
無定形の又は部分結晶性の網目を有する本発明による発光物質の基礎材料は、P、Si、B、Alから選択された少なくとも2種の元素及びこれとは独立して常にNを含有する。特に、この網目は、元素P、Si、B、Al及びN、又はそのつどの亜系P、Si、B及びN、P、Si、Al及びN、Si、B、Al及びN、P、B、Al及びN、P、Si及びN、P、B及びN、P、Al及びN、Si、B及びN、Si、Al及びN又はB、Al及びNからなる。この網目中には、適した活性化剤が取り付けられ、又は、組み込まれる。活性化剤として、特に任意の金属イオンが、この無機の無定形の又は部分結晶性の網目中に導入されることができる。有利な活性化剤元素は、Ba、Zn、Mn、Eu、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Sn、Sb、Pb又はBiである。有利には、活性化剤は、Mn2+、Zn2+、Ba2+、Ce3+、Nd3+、Eu2+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Sn2+、Sb3+、Pb2+又はBi3+である。発光物質中の活性化剤の量は、有利には≧0.1質量%、特に≧0.5質量%、そして、有利には14質量%まで、特に5質量%までである。活性化剤は、また、増感剤機能を有することもできる。
【0008】
本発明により、特に有利には、適した活性化剤の、組成Si/B/Nの無定形の三次元の網目中への組み込みが行われる。この主たる材料は、周期的な格子系を全く有しない。
【0009】
活性化剤のための、結晶の電界強度に対する有利な影響のために、そして、高い機械的及び熱的な安定性を達成するために、この基礎材料構造は、有利には窒化物の性質であり、これは場合により酸化物によりドープされていることができる。
【0010】
本発明は、更に、
(i)1種又は数種の分子状前駆体を準備する工程、
(ii)1種又は数種の分子状前駆体をプレセラミック材料へと加工する工程、及び
(iii)プレセラミック材料を熱分解する工程、その際、無定形の又は部分結晶性の網目が形成される、を含む上記で定義したような発光物質の製造方法において、前記工程(i)、(ii)又は(iii)の少なくとも1つにおいて少なくとも1種の活性化剤が添加されることを特徴とする製造方法に関する。
【0011】
この基礎材料は、分子状又はポリマー状前駆体によってのみ入手可能であり、これは、プレセラミック材料へと加工され、これは、次いで熱分解により最終的なセラミック状態に移行される。
【0012】
Si337の場合に四方のSiN4−及び三方晶の平面状のBN3−単位から構成された空間網目は、明らかに、通常の活性化剤(例えば、ランタニド)によるカチオン置換(Si,B)のいかなる可能性をも提供しない。それでも意外にも、適した予備的な−化学的な処理の獲得の場合には、ドーピング要素が付加的に(置換の経路においてでなく)固定してこの堅い網目中に組み込んで結合されることができる、ことが見出された。
【0013】
本発明により、まず、1種又は数種の分子状前駆体が提供される。この分子状前駆体は、この際、基礎材料の元素、即ち、特に、P、Si、B及びAlから選択された少なくとも2種の元素を含有する。P、Si、B、Alに関するこの濃度は、この際、それぞれ0〜100原子%、有利には10〜80原子%に調整される。特に有利には、この分子状前駆体は、ハロゲン化物、有利には塩化物である。
【0014】
出発材料として、数種の分子状前駆体、特に、分子状前駆体の混合物を使用することが可能であり、これは次いで共アンモノリシス(Co-Ammonolyse)に付される。分子状前駆体の混合物は、例えば、シラザン及びホウ素−及び/又はリンハロゲン化物の混合により獲得されることができる。
【0015】
更なる一実施態様において、一成分前駆体である分子状前駆体が使用される。このような一成分前駆体は、既に、生成物の全ての元素を含有する。特に有利には、この製造の出発点として、分子化合物Cl3Si(NH)BCl2(TADB)が使用され、これは既に、終生成物中に得ることが望まれる連結Si−N−Bを含有する。
【0016】
更なる有利な分子状一成分前駆体は、Cl4P(N)(BCl2)SiCl3、Cl3PNSiCl3、(Cl3Si)2NBCl2、Cl3SiN(BCl22、(H3Si)2NBCl2、Cl3Si(NH)(BCl)(NH)SiCl3、Cl3Si(NH)(AlCl)(NH)SiCl3、[(Cl3Si)(NH)(BNH)]3、(Cl3Si(NH)AlCl22又は[Cl3PN(PCl22N]+[AlCl4-である。
【0017】
この前駆体材料は、次いで、工程(ii)において、プレセラミック材料へと加工される。
【0018】
有利には、アンモノリシスにより、溶解性の又は溶融可能な、又は、不溶性のかつ非溶融可能な無定形の中間生成物が獲得される。この中間生成物は、引き続き熱分解され、有利にはアンモニア−又は窒素流中で熱分解される。本発明による発光物質の製造のためには、工程(i)、(ii)又は(iii)の少なくとも1つの工程において活性化剤が添加される。活性化剤は、有利には、2つの以下に記載された異なる経路を介して導入される。
【0019】
例えばユーロピウム又はバリウムが液状アンモニアに溶解する金属が液状アンモニア中に溶解されて装入され、かつ、分子状前駆体、例えばTADBが滴加される。反対に、アンモニア中のこの金属の溶液が、装入された前駆体、例えばTADB中に滴加されることができる。この生じるポリマー状イミドアミドは、ベース材料元素の他に、例えばケイ素及びホウ素の他に、また、1種又は数種の活性化剤元素を均質に分散して含有する。熱分解により、ここからセラミック状の発光体が獲得される。
【0020】
元素の形態で液状アンモニア中に溶解しない活性化剤は、複合的な分子化合物の形態で導入されることができる。この使用されるリガンドは、有利には、系内在的な元素のみ、例えばハロゲン化物(塩化物)、水素、ケイ素又はホウ素を含有することが望ましい。全ての他の元素は、終生成物から更なる手間をかけてのみ終生成物から除去されるか又は除去されることができないものである。特に好適かつ系相容的であるのは、例えば[Cl3Si(N)SiCl3-及び塩化物をリガンドとして有する金属錯体である。活性化剤として考慮される全ての金属は、二元塩化物(ここから、所望される錯体がLi[Cl3Si(N)SiCl3-との反応により作出可能である)を形成するので、これらは普遍的に入手できる。この活性化剤の錯体化合物は、分子状前駆体中で、例えばTADB中で溶解されるか又は場合により分子状前駆体と共に、例えばTADBと共に、一緒に、適した溶媒中で溶解される。この混合物又は溶液は、アンモノリシスのために、液状のアンモニア中に滴加され、その際、これは、逆の様式で行われることもできる。
【0021】
一般的に、プレセラミック中間材料は、これは特にプレセラミックイミドアミドであるが、P、Si、B及び/又はAlを含有する分子状前駆体の並びに活性化剤のアンモノリシスにより製造される。このアンモノリシス又は共アンモノリシスでは、活性化剤は有利にはハロゲン化物として又は錯体化合物として又はアンモニア中に溶解された金属として存在する。活性化剤及び分子状前駆体は、お互いの中へ又は一緒になって溶媒中で溶解されていることができる。
【0022】
この分子状一成分前駆体は、有利には元素P、Si、B及びAlの2種以上を含有する。
【0023】
全体として、この出発材料は有利には、この錯化された活性化剤のリガンドの元素並びにこの分子状前駆体の元素が、このプレセラミックポリマーの系内在性元素を除いて、特に窒素を除いて、アンモノリシス及び引き続く熱分解の経過において、完全に放出されることができるように選択される。
【0024】
特に有利には、この製造の以下の変形である。この分子状前駆体は、純粋な形態で又は液状アンモニア中に溶解されて滴加され、その際、このアンモニア溶解された活性化剤、例えばユーロピウム又はバリウムを含有する。又は、この分子状前駆体は1種又は数種の活性化剤元素と一緒になってハロゲン化物として、混合物として又は一緒になって溶解して、アンモノリシスのために液状アンモニア中に滴加される。更なる有利な一実施態様において、この分子状前駆体は1種又は数種の活性化剤元素と一緒になって錯体化合物として混合物として又は一緒になって溶解して、アンモノリシスのために液状アンモニア中に滴加される。更に有利には、分子状前駆体及び1種又は数種の活性化剤元素それぞれ1つのハロゲン化物が、均質な混合物中で又は一緒になって溶解してガス状のアンモニアとアンモノリシスされる。更に有利には、分子状前駆体及び1種又は数種の活性化剤元素それぞれの1つの錯体化合物は、均質な混合物中で又一緒になって溶解してはガス状のアンモニアとアンモノリシスされるべきである。
【0025】
プレセラミック材料の形成に引き続き、本発明により熱分解が行われ、その際、無定形の又は部分結晶性の網目が形成される。熱分解の際には、中間工程として得られるプレセラミック性のイミドアミドが、温度600℃〜1500℃で、有利には1000℃〜1300℃で、終生成物に移行される。この熱分解は、この際有利には、窒素、アルゴン、アンモニア又はこれらの混合物を含有する雰囲気中で生じる。
【0026】
リガンド場、及び従って、活性化剤要素に対する電子的な遷移の微細な調整は、酸化物による窒化物の部分的な置換によりうまくいく。これは、例えば、プレセラミックポリマーをガス雰囲気に曝すことにより極めて簡易に達成され、この雰囲気は、定義された量の水蒸気で負荷されている。
【0027】
プレセラミックイミドアミドの制御された熱分解により、有利には、終生成物が熱分解により製造され、これは、20質量%までの、有利には10質量%までの、特に6質量%までの酸素を含有し、有利には4質量%までの酸素を含有する。しかしながら、酸素の乏しい又は酸素不含の網目を、酸素≦1質量%、特に≦0.1質量%、最適には≦0.01質量%の含有量と共に調製することも可能である。
【0028】
全ての使用物質(例えばTADB、金属、金属塩化物、アンモニア)は、蒸留により有効に精製されることができるか又は高純度で提供されることができるので、系にとって外来の物質での汚染が排除されることができる。有利には、不活性な条件が全体の製造プロセスを通じて維持される。熱分解は、例えば、有利には純粋なBNるつぼ中で行われる。この得られる生成物は、これにより、検出可能な汚染物質不含である。これは、更に一相である。
【0029】
2種以上の活性化剤の同時の組み込みは、本発明により可能である。この際、例えば、前述した経路の両方が単独で又は組み合わせて記載されることができる。例えば、2種以上の活性化剤として適した金属が液状アンモニア中に溶解されるか又は錯体化合物としてTADBを有する溶液中に又は液状アンモニア中に溶解されてもTADBとの溶液中にも導入されることができる。
【0030】
発光物質の塗布は、技術水準に応じて、例えば樹脂中に分散して行うことができる。有利には、ここで記載した新規の系では、このポリマーのプレセラミック前駆体の焼結可能性が利用される。このプレセラミックポリマーは、コーティングされるべき平面上にスラリー塗布(aufschlammen)又は噴霧され、かつ、引き続き燃焼される。
【0031】
この新規の発光物質は、少なくとも1200℃までの、即ち、LEDでの使用(最大200℃)のためよりも遙かに高い温度で熱的に抵抗性であることが求められる。化学分析(説明、ICP-OES)を用いて、検出限度0.5ppmで汚染物質が検出可能でない。この新規の発光物質は、特に、照明系、LED又は電子ディスプレイ中での適用のために適している。
【0032】
本発明は、以下の実施例により、より詳細に説明される。
【0033】
実施例1〜3中に記載される全ての合成工程は、不活性の雰囲気中で行われ、グローブボックス中で又はシュレンク技術を用いて行われる。このセラミック発光物質は、空気感受性である。
【0034】
実施例1:Si337:Eu
新規に蒸留されたユーロピウム0.51gをfl.NH3 500ml中に溶解した。この得られる溶液に、撹拌しながら、TADB 50mlを滴加により−78℃で添加する。この生じる塩(主としてNH4Cl)及び部分架橋したイミドアミドからなる混合物を、副生成物NH4Clを放出するために真空

中で1日210℃に維持した。この後のほぼ塩不含のポリマーを、600℃に加熱したBNるつぼ中でまずNH3流中で900℃に加熱し、この後でN2流中で1200℃まで加熱し(加熱速度10℃/分)、3時間の加熱時間後に、同じ速度で冷却した。この生成物は、X線無定形である。化学分析(ICP−OES)は、Eu1.2質量%の割合を生じた。
【0035】
実施例2:Si337:Ce
TADB50mlに、まず、Ce[N(Si(CH3323 1.69gを添加し、次いで、この混合物に−78℃でfl.NH3250mlを滴加した。この生じる塩(主としてNH4Cl)及び部分架橋したイミドアミドからなる混合物から、この塩を真空中での210℃の、1日の加熱により除去した。この後に残るほぼ塩不含のポリマーを、600℃に加熱したBNるつぼ中でまずNH3流中で900℃に加熱し、この後でN2流中で1200℃まで加熱し(加熱速度10℃/分)、3時間の加熱時間後に、同じ速度で冷却した。この生成物はX線無定形であり、かつ、化学分析(ICP−OES)によればCe0.92質量%の割合を有する。
【0036】
実施例3:Si337:Ce3+/Eu
TADB50mlに、まず、Eu[N(Si(CH3323 0.75g及びCe[N(Si(CH3323 0.75gを添加し、次いで、この混合物に−78℃でfl.NH3250mlを滴加した。この生じる塩(主としてNH4Cl)及び部分架橋したイミドアミドからなる混合物から、この塩を真空中での210℃の、1日の加熱により除去した。この後に残る、ほぼ塩不含のポリマーを、600℃に加熱したBNるつぼ中でまずNH3流中で900℃に加熱し、この後でN2流中で1200℃まで加熱し(加熱速度10℃/分)、3時間の加熱時間後に、同じ速度で冷却した。この生成物はX線無定形であり、かつ、化学分析(ICP−OES)によればCe0.5質量%及びのEu0.7質量%の割合を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無定形の又は部分結晶性の網目を基礎とし、その際、網目がN並びに、P、Si、B及びAlから選択された少なくとも2種の元素を含み、かつ、網目中に少なくとも1種の活性化剤が組み込まれている、発光物質。
【請求項2】
活性化剤が、Ba、Zn、Mn、Eu、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Sn、Sb、Pb及び/又はBiから選択されていることを特徴とする、請求項1記載の発光物質。
【請求項3】
網目が、プレセラミックポリマーを介して製造されることを特徴とする、請求項1記載の発光物質。
【請求項4】
組成Si/B/Nの網目を基礎とする請求項1から3までのいずれか1項記載の発光物質。
【請求項5】
(i)1種又は数種の分子状前駆体を準備する工程、
(ii)1種又は数種の分子状前駆体をプレセラミック材料へと加工する工程、及び
(iii)プレセラミック材料を熱分解する工程、その際、無定形の又は部分結晶性の網目が形成される、
を含む請求項1から4までのいずれか1項記載の発光物質の製造方法において、前記工程(i)、(ii)又は(iii)の少なくとも1つにおいて少なくとも1種の活性化剤が添加されることを特徴とする、製造方法。
【請求項6】
分子状前駆体として一成分前駆体が準備されることを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
分子状一成分前駆体が、Cl3Si(NH)BCl2(TABD)、Cl3PNSiCl3、Cl4P(N)(BCl2)SiCl3、(Cl3Si)2NBCl2、Cl3SiN(BCl22、(H3Si)2NBCl2、Cl3Si(NH)(BCl)(NH)SiCl3、[(Cl3Si)(NH)(BNH)]3、Cl3Si(NH)(AlCl)(NH)SiCl3、(Cl3Si(NH)AlCl22又は[Cl3PN(PCl22N]+[AlCl4-であることを特徴とする、請求項5又は6記載の方法。
【請求項8】
1種又は数種の分子状前駆体のプレセラミック材料への移行のために工程(ii)においてアンモノリシスを実施することを特徴とする、請求項5から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
活性化剤が金属の形態において、ハロゲン化物又は/及び錯体化合物として使用されることを特徴とする、請求高5から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
錯化した活性化剤のリガンドが、プレセラミックポリマーの系内在的な元素のみからなることを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項11】
リガンドが、(Cl3SiNSiCl3-、(Cl3SiNBCl2-又は(Cl2BNBCl2-であることを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
錯化した活性化剤のリガンドが、製造方法条件下で放出されることができる系内在的な元素のみを含有することを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項13】
リガンドが、残基−Si(CH33を含有することを特徴とする、請求項12記載の方法。
【請求項14】
リガンド[Cl3SiNSi(CH)3-、[(CH33SiNSi(CH)33-、[Cl3SiNB(CH32-、[(CH33SiNBCl2-、[Cl2BNB(CH32-、[(CH33SiNB(CH)32-又は、[(CH32BNB(CH32-を含有する活性化剤錯体を使用することを特徴とする、請求項12又は13記載の方法。
【請求項15】
P含有リガンドを含む活性化剤錯体を使用することを特徴とする、請求項9から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
分子状前駆体及び活性化剤を、一緒にアンモノリシスに付すことを特徴とする、請求項5から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
アンモノリシスをガス状の又は液状のアンモニアで実施することを特徴とする、請求項5から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
工程(iii)における熱分解を600〜1500℃の温度で実施することを特徴とする、請求項5から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
熱分解を窒素−、アルゴン−又はアンモニア雰囲気中で実施することを特徴とする、請求項5から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
プレセラミック材料を熱分解の前に部分加水分解することを特徴とする、請求項5から19までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2010−508411(P2010−508411A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535023(P2009−535023)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009470
【国際公開番号】WO2008/052771
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(390040420)マックス−プランク−ゲゼルシャフト・ツア・フェルデルング・デア・ヴィッセンシャフテン・エー・ファオ (54)
【氏名又は名称原語表記】Max−Planck−Gesellschaft zur Foerderung der Wissenschaften e.V.
【住所又は居所原語表記】Berlin, Germany
【Fターム(参考)】