説明

発光管アレイ型表示サブモジュール及び表示装置

【課題】複数の発光管アレイ型表示サブモジュールを並列に接続して一枚の大画面用表示装置を構成する場合であっても、接続部分をシームレス化し、表示される画像の品質を劣化させることがない発光管アレイ型表示サブモジュール及び該発光管アレイ型表示サブモジュールを用いた表示装置を提供する。
【解決手段】複数の発光管を並列に配置してある発光管アレイ型表示サブモジュールにおいて、一方の面に表示電極が形成してある表示電極フィルム層の表示電極が形成されている面の反対側の表面に、複数の発光管が存在する有効表示電極領域を超えて延伸する電磁波シールド層を形成する。該電磁波シールド層とは異なる層を少なくとも1層、有効表示電極領域内に形成し、有効表示電極領域の両端部で表示電極フィルム層及び電磁波シールド層を屈曲させて他の発光管アレイ型表示サブモジュールと接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに接続することで大画面の発光管アレイ型表示装置を形成することができる発光管アレイ型表示サブモジュール及び該表示サブモジュールを用いた表示装置に関し、さらに詳しくは、互いに接続した発光管アレイ型表示サブモジュール間の距離を短くすることができる発光管アレイ型表示サブモジュール及び該発光管アレイ型表示サブモジュールを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
新世代の大画面表示装置を実現する技術として、内部に放電ガスが封入された複数の発光管を並列に配置してある発光管アレイ型表示サブモジュールが開発されている。図1は従来の大型表示パネルの製造方法の具体例を示す模式図である。
【0003】
まず、図1(a)に示すように、発光管アレイ型表示サブモジュール30a(表面)、30b(裏面)等をサブモジュールフレームと一体化させ、裏面にデータIC基板30cを設けた状態で複数接続して大画面対応の表示システムモジュールを構成する。そして、図1(b)に示すように、表示システムモジュールにX駆動回路30d、Y駆動回路30e、コントローラ、電源回路等を含む機器30fを組み込むことで、大型表示パネルを製造することができる。したがって、大画面であっても大規模な設備投資は不要であり、画質が均質となる表示装置を提供することができる。図2は、従来の発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの概略構成を示す斜視図である。
【0004】
図2に示すように、従来の発光管アレイは、前面側の基板シート11と背面側の基板シート12との間に複数の発光管1、1、・・・が並列に配置してあり、前面側の基板シート11には、X電極及びY電極が一対となった表示電極対2、2、・・・が発光管1、1、・・・に直交するように、背面側の基板シート12にはアドレス電極3、3、・・・が、発光管1、1、・・・の長手方向に沿って、それぞれ互いに直交するように配設してある。細管状の発光管1、1、・・・の内部には蛍光体層(図示せず)が設けてあり、放電ガスが封入されている。アドレス電極3、3、・・・と表示電極対2、2、・・・との交差部が単位発光領域となり、ピクセル単位で発光することができる(特許文献1参照)。
【0005】
一般に発光管アレイ型表示装置は、発光管アレイを一定の大きさを有するサブモジュールフレームと呼ばれる構造体に一体化させた発光管アレイ型表示サブモジュールを作成し、複数の発光管アレイ型表示サブモジュールを接続することで大画面を構成することができる。ここで、「発光管アレイ型表示サブモジュール」とは、発光管を含めた上述のような表示フィルム部品であって、駆動回路、電源回路等を含まない表示パネルの半完成品を意味している。
【特許文献1】特開2003−338245号公報
【特許文献2】特開2001−141972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、発光管アレイ型表示サブモジュールを縦横に接続する場合、表示電極対2、2、・・・へ駆動電力を供給する配線と、電磁波シールド層24から接地電極へ接続する配線とは別個に設ける必要がある。駆動電力は、交流高電圧にて供給されることから、接地電極へ接続する配線とは一定の距離だけ離隔させる必要も有り、接続部分には複雑な構造を有するコネクタ機構が必要となる。図3は、従来の表示装置を構成する発光管アレイ型表示サブモジュールの前面光学フィルタ群20の構成を示す、発光管に直交する面での模式断面図である。
【0007】
例えば従来のPDP(プラズマディスプレイパネル)では、特許文献2に開示されているように、電磁波シールドを実現するべく複雑な機構を必要としており、縦横に接続する場合、図3(a)に示すように、大型化専用に作成した前面光学フィルタ群20を全面側フレーム筐体又は上下左右接続した発光管アレイ型表示モジュールの前面側の基板シート11表面に貼り付けることが必要となっていた。したがって、発光管アレイ型表示サブモジュールの組合せに最適設計した前面光学フィルタ群20が必要となり、さらに前面光学フィルタ群20を前面側の基板シート11へ直接貼り付けた場合には、サブフレームモジュール単位に分解する事ができず、イベント会場等へ設置した際は、撤去作業時に障害となる。
【0008】
斯かる問題を解決するために、図3(b)に示すように、表示電極シート21に対して前面光学フィルタ群20を前面側の基板シート11の全表面に形成する技術が開発されている。しかし、接続した互いに隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール間には一定間隔の無表示領域が生じやすく、発光管アレイ型表示サブモジュールの接続部分に前面光学フィルタ群20の2倍の厚みが発生するので、接続部分にて非発光部分の幅が広がり、画面表示上で黒線として見える可能性が高いという問題点があった。
【0009】
また、表示電極シート20を発光管1、1、・・・側へ屈曲させ、表示画面の背面にて表示電極対2、2、・・・同士、及び電磁波シールド層24同士を、電気的に接続することも考えられる。しかし、表示電極シート20は一定の厚みを有しており、発光管1、1、・・・側へ屈曲させた場合には一定の厚みが生じる。したがって、接続した互いに隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール間には一定間隔の無表示領域が必ず生じる。生じた隙間が発光管1、1、・・・相互間の隙間よりも大きくなった場合、発光管アレイ型表示サブモジュールの接続部分にて、周囲に比べて暗くなる領域が生じ、発光管アレイ型表示サブモジュールの接続部分が画面上に黒線として表示されるおそれがあるという問題点があった。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、複数の発光管アレイ型表示サブモジュールを並列に連結して大画面表示装置を構成する場合であっても、接続部分をシームレス化し、表示される画像の品質を劣化させることがない発光管アレイ型表示サブモジュール及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために第1発明に係る発光管アレイ型表示サブモジュールは、内部に放電ガスが封入された複数の発光管を並列に配置してあり、アドレス電極が形成してあるアドレス電極シートと、表示電極が形成してある表示電極シートとの間に前記複数の発光管を挟持してある発光管アレイ型表示サブモジュールにおいて、前記表示電極シートは、複数の層からなる多層構造を有しており、一方の面に表示電極が形成してある表示電極フィルム層の前記表示電極が形成されている面の反対側の表面に、前記複数の発光管が存在する有効表示電極領域を超えて延伸する電磁波シールド層を形成し、該電磁波シールド層の上に、該電磁波シールド層とは異なる層を少なくとも1層、前記有効表示電極領域内に形成し、前記有効表示電極領域の両端部で前記表示電極フィルム層及び前記電磁波シールド層を屈曲させて他の発光管アレイ型表示サブモジュールとの接続面を形成してあることを特徴とする。
【0012】
第1発明では、一方の面に表示電極が形成してある表示電極フィルム層の表示電極が形成されている面の反対側の表面に、複数の発光管が存在する有効表示電極領域を超えて延伸する電磁波シールド層が形成されており、それ以外の層(例えば、ブラックストライプ層、光学フィルタ層(色調整用フィルタ層、AR層)、表面保護層等)は、有効表示電極領域内に形成されている。したがって、有効表示電極領域の両端部で屈曲するのは表示電極フィルム層及び電磁波シールド層だけであり、発光管アレイ型表示サブモジュール同士を接続する場合、両者の境界部分の幅を狭くすることができる。発光管アレイ型表示サブモジュール同士を接続する境界部分の幅を狭くし、発光する発光管相互間の隙間よりも狭くすることにより、周囲の明るさに比べて暗くなる領域を狭めることができ、発光管アレイ型表示サブモジュールの接続部分が画面上に黒線として表示されるといった表示画像の品質の劣化を未然に防止することが可能となる。
【0013】
また、第2発明に係る発光管アレイ型表示サブモジュールは、第1発明において、前記有効表示電極領域内では前記電磁波シールド層をメッシュ構造を含む金属層にて形成してあることを特徴とする。
【0014】
第2発明では、有効表示電極領域内では電磁波シールド層がメッシュ構造を含む金属層で形成されていることにより、電磁波シールド機能を十分に確保しつつ、光透過率の低下を最小限に止めることが可能となる。
【0015】
また、第3発明に係る発光管アレイ型表示サブモジュールは、第2発明において、前記有効表示電極領域内では前記電磁波シールド層を前記ブラックストライプ層と一体化して形成してあることを特徴とする。
【0016】
第3発明では、有効表示電極領域内では電磁波シールド層がブラックストライプ層と一体化して形成されていることから、ブラックストライプ層による光吸収効果を最大限高めることができるとともに、有効表示電極領域内では電磁波シールド層がメッシュ構造を含む金属層で形成されていることにより、電磁波シールド機能を十分に確保しつつ、光透過率の低下を最小限に止めることが可能となる。
【0017】
また、第4発明に係る発光管アレイ型表示サブモジュールは、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記電磁波シールド層を、前記有効表示電極領域外では全面が導電性部材となるよう形成してあることを特徴とする。
【0018】
第4発明では、電磁波シールド層が、有効表示電極領域外では全面が導電性部材で形成された、いわゆるベタ電極とすることにより、接続不良等の可能性を低減し、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール間の電気的接続を確実に行うことが可能となる。
【0019】
また、第5発明に係る発光管アレイ型表示サブモジュールは、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記電磁波シールド層は、前記有効表示電極領域外では導電性部材を所定の電極パターンにて形成してあることを特徴とする。
【0020】
第5発明では、電磁波シールド層は、有効表示電極領域外では導電性部材が所定の電極パターンにて形成されていることにより、コネクタの形状によって要求される所定の電極パターンとすることで、電気的接続の容易性を高めることができ、接続不良等の可能性を低減し、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュール間の電気的接続を確実に行うことが可能となる。
【0021】
また、第6発明に係る表示装置は、第1乃至第5発明のいずれか1つの発光管アレイ型表示サブモジュールを縦横に複数接続し、隣接する前記発光管アレイ型表示サブモジュールの前記電磁波シールド層が電気的に互いに接続されて形成されていることを特徴とする。
【0022】
第6発明では、上述した発光管アレイ型表示サブモジュールを縦横に複数接続し、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュールの電磁波シールド層が電気的に互いに接続されて形成されている。これにより、有効表示電極領域の両端部で屈曲してある電磁波シールド層の厚み分だけの幅まで、接続した互いに隣接する発光管アレイ型表示サブモジュールの境界部分の幅を狭くし、発光する発光管相互間の隙間よりも狭くすることにより、周囲の明るさに比べて暗くなる領域を狭めることができる。したがって、発光管アレイ型表示サブモジュールの接続部分が画面上に黒線として表示されるといった表示画像の品質の劣化のない高画質を実現した表示装置を提供することが可能となる。
【0023】
また、第7発明に係る表示装置は、第6発明において、屈曲した前記電磁波シールド層の間に導電部材を挿入してあることを特徴とする。
【0024】
第7発明では、屈曲した電磁波シールド層の間に導電部材を挿入してあることにより、接続する電磁波シールド層間の電気的抵抗を可能な限り0(ゼロ)に近づけることができ、発光管アレイ型表示サブモジュールを縦横に接続した表示装置全体として接地電位を一致させることが可能となる。したがって、発光管アレイ型表示サブモジュールごとに明るさ、コントラスト等の画質のバラツキが生じることを抑制することができ、高画質を実現した表示装置を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
上記のように、複数の発光管が存在する有効表示電極領域を超えて延伸する電磁波シールド層が形成されており、それ以外の少なくとも1層形成されている層(例えばブラックストライプ層、光学フィルタ層、表面保護層等)は、有効表示電極領域内に形成されていることにより、有効表示電極領域の両端部で屈曲するのは表示電極フィルム層及び電磁波シールド層だけであり、発光管アレイ型表示サブモジュール同士を接続する場合、両者の境界部分の幅を狭くすることができる。発光管アレイ型表示サブモジュール同士を接続する境界部分の幅を狭くし、発光する発光管相互間の隙間よりも狭くすることにより、周囲の明るさに比べて暗くなる領域を狭めることができ、発光管アレイ型表示サブモジュールの接続部分が画面上に黒線として表示されるといった表示画像の品質の劣化を未然に防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールについて、図面に基づいて詳細に説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの構成を模式的に示す斜視図である。図4(a)は、発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの構成を模式的に示す斜視図であり、図4(b)は、発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの構成を部分的に示す斜視図であり、図4(c)は、発光管アレイ型表示サブモジュールを縦横に接続した状態を示す斜視図である。
【0027】
図4(a)に示すように、本実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールは、矩形画面の一部を構成する発光管アレイ型表示サブモジュールであることから、矩形形状を有しており、内部に放電ガスが封入された複数の発光管31、31、・・・を並列に配置している。発光管31、31、・・・はガラス製の放電細管であり、管体となる細管の径は特に大きさが限定されるものではないが、直径0.5〜5mm程度であることが望ましい。細管の形状は、円形の断面、扁平楕円状の断面、方形の断面等、どのような形状の断面を有していてもよい。また、発光管31、31、・・・の内部にはネオン、キセノン等の放電ガスが所定の割合で所定の圧力で封入されている。
【0028】
並列に配置された発光管31、31、・・・は、発光管31、31、・・・の長手方向に沿って配設されているアドレス電極32、32、・・・を有するアドレス電極シート33と、発光管31、31、・・・の長手方向に略直交する方向に配設されている表示電極対34、34、・・・を有する表示電極シート35とに挟持されることで発光管アレイ型表示サブモジュールを構成している。表示電極シート35はフレキシブルシートであり、例えばポリカーボネートフィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等で構成されている。
【0029】
複数の表示電極対34、34、・・・は、発光管アレイ型表示サブモジュールの表示面側に、発光管31、31、・・・の長手方向と直交する方向にストライプ状に設けられており、隣接する表示電極34、34間で発光管31、31、・・・において表示放電を発生させることができるものであれば、特に限定されるものではない。表示電極対34、34、・・・は、当該分野で公知の各種の材料を用いて形成することができる。表示電極34に用いられる材料としては、例えば、ITO(酸化錫ドープ酸化インジウム)、SnO2 等の透明な導電性材料や、Ag、Au、Al、Cu、Cr等の金属の導電性材料が挙げられる。
【0030】
表示電極34の形成方法としては、当該分野で公知の各種の方法を適用することができる。例えば、印刷等の厚膜形成技術を用いて形成しても良いし、物理的堆積法又は化学的堆積法からなる薄膜形成技術を用いて形成しても良い。厚膜形成技術としては、スクリーン印刷法等が挙げられる。薄膜形成技術のうち、物理的堆積法としては、蒸着法、スパッタ法等が挙げられる。化学的堆積法としては、熱CVD法、光CVD法、あるいはプラズマCVD法等が挙げられる。
【0031】
アドレス電極32、32、・・・は、発光管アレイ型表示サブモジュールの背面側に、発光管31、31、・・・の長手方向に沿って発光管31ごとに設けられ、表示電極対34、34、・・・との交差部に発光セルを形成する発光セル選択用のものであれば、特に限定されるものではない。アドレス電極32、32、・・・も、当該分野で公知の各種の材料と方法を用いて形成することができる。
【0032】
上記構成において、発光管アレイ型表示サブモジュールをカラー表示対応とする場合には、図4(b)に示すように、発光管31ごとに単色の蛍光体層36、例えば赤色(R)用の蛍光体層36R、緑色(G)用の蛍光体層36G、青色(B)用の蛍光体層36Bを有する。RGB3色の発光管31、31、31を一組として一つの画素を構成することで、カラー表示に対応することができる。なお、蛍光体層36は、赤色(R)用の蛍光体層36Rでは、紫外線照射により赤色発光する(Y、Gd)BO3 :Eu3+等の蛍光体材料を用いる。緑色(G)用の蛍光体層36Gでは、緑色発光するZn2 SiO4 :Mn等の蛍光体材料を用い、青色(B)用の蛍光体層36Bでは、青色発光するBaMgAl1217:Eu2+等の蛍光体材料を用いる。
【0033】
図4(c)は、上述した発光管アレイ型表示サブモジュールを縦横に接続する様子を模式的に示す斜視図である。図4(c)では、4枚の発光管アレイ型表示サブモジュールから1枚の大画面の表示モジュールを構成しており、1枚1枚の発光管アレイ型表示サブモジュールは、駆動回路、電源回路等を含まない半完成品である。大画面用の表示モジュールを構成した段階で、全体を一つの表示フィルムとして駆動回路、電源回路等を組み込むことで、発光管アレイ型表示サブモジュールごとに表示画像の品質のばらつきが少ない大画面表示装置を構成することができる。
【0034】
しかし、発光管アレイ型表示サブモジュール同士の接続部分では、表示電極対34、34、・・・を形成する表示電極フィルム層及び電磁波の画面表面からの漏洩を防ぐ電磁波シールド層を屈曲させ、画面背面にて、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュールの表示電極フィルム層及び電磁波シールド層を、それぞれ電気的に接続する必要がある。したがって、発光管アレイ型表示サブモジュール同士の接続部分の隙間をいかに狭くするかは、複数の発光管アレイ型表示サブモジュールを接続した画面における画像の品質を高く維持するために重要な要素となる。
【0035】
本発明では、発光管アレイ型表示サブモジュールの表示電極シートの構成を工夫することで、発光管アレイ型表示サブモジュール同士の接続部分の隙間が可能な限り狭くなる構成としている。なお、「表示電極シート」とは、複数の表示電極対34、34、・・・を含む表示電極フィルム層、電磁波シールド層等による多層構造を有する、発光管アレイ型表示サブモジュールの前面側にて複数の発光管を挟持するシートを意味する。図5は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの表示電極シートの構成を模式的に示す平面図及び発光管に直交する面での断面図である。
【0036】
図5(a)は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの表示電極シート35の構成を模式的に示す平面図を、図5(b)は、比較のための従来の発光管アレイ型表示サブモジュールの表示電極シート35’の構成を模式的に示す、発光管に直交する面での断面図であり、図5(c)は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの表示電極シート35の構成を模式的に示す、発光管に直交する面での断面図である。
【0037】
図5(a)に示すように、本実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールは、矩形画面の一部を構成する発光管アレイ型表示サブモジュールであることから、表示電極シート35も矩形形状を有している。そして、発光管31、31、・・・が存在して画面が表示される領域を有効表示電極領域41とし、有効表示電極領域41を挟む両端部の領域、すなわち有効表示電極領域41の外側の領域を取出し電極領域42、42とする。
【0038】
図5(c)に示すように、本発明の実施の形態に係る表示電極シート35は、一方の面に表示電極対34、34、・・・が形成してある表示電極フィルム層43の表示電極対34、34、・・・が形成されている面の反対側の表面に、電磁波シールド層44を、有効表示電極領域41を超えて取出し電極領域42へまたがる範囲にまで形成している。電磁波シールド層44の上には、ブラックストライプ層45、光学フィルタ層46、及び表面保護層47等の層を、有効表示電極領域41内に収まるように形成してある。
【0039】
なお、電磁波シールド層44は、メッシュ構造で形成されていることが好ましい。電磁波シールド層44としては銅箔のような金属膜を用いることが多く、遮光されるのを回避するためである。メッシュ構造とすることにより、光透過率の減少を抑制することができる。
【0040】
発光管アレイ型表示サブモジュール同士を接続するために、発光管31、31、・・・の配置部分の両端部、すなわち有効表示電極領域41の両端部分である取出し電極領域42、42に存在する表示電極シート35を発光管31、31、・・・側へ屈曲させる。この場合、取出し電極領域42、42に存在するのは、表示電極フィルム層43及び電磁波シールド層44だけであるから、図5(b)に示す従来の表示電極シート35’を屈曲させた場合と比べて、発光管アレイ型表示サブモジュールの側面部に回りこむ層が薄く、発光管アレイ型表示サブモジュール間の距離を短くすることが可能となる。
【0041】
図6は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールを接続した場合の接続部分を模式的に示す、発光管に直交する面での断面図である。図6では、表示電極フィルム層43及び電磁波シールド層44以外の層は、説明を簡単にするために省略している。
【0042】
図6に示すように、サブモジュールフレーム51に沿って、取出し電極領域42、42に存在する表示電極シート35を発光管31、31、・・・側へ屈曲させる。この場合、取出し電極領域42、42に存在するのは、表示電極フィルム層43及び電磁波シールド層44だけであるから、発光管アレイ型表示サブモジュール間のギャップ部Wは、図5(b)に示す従来の表示電極シート35’を屈曲させた場合と比べて幅が狭くなる。
【0043】
そして、電磁波シールド層44、44は互いに密着することにより、接続した全ての発光管アレイ型表示サブモジュールの接地電位を共通化することができ、画面表示時の明るさ、コントラスト等の表示ムラを極力回避することができる。また、表示電極フィルム層43、43は、電磁波シールド層44、44とは独立して電気的に接続することができ、電磁波シールド層44、44のシールド性能を損なうことなく、一体となった表示装置用モジュールとして機能させることが可能となる。
【0044】
また、電磁波シールド層44、44を直接密着させるのではなく、電磁波シールド層44、44間に、例えば導電体である接続ツールを挟持しても良い。図7は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールを、接続ツール61を介して接続した場合の接続部分を模式的に示す、発光管に直交する面での断面図である。図7でも、表示電極フィルム層43及び電磁波シールド層44以外の層は、説明を簡単にするために省略している。
【0045】
図7に示すように、サブモジュールフレーム51に沿って、取出し電極領域42、42に存在する表示電極シート35を発光管31、31、・・・側へ屈曲させる。この場合、取出し電極領域42、42に存在するのは、表示電極フィルム層43及び電磁波シールド層44だけであり、相対する電磁波シールド層44、44に間に、導電体である接続ツール61を挟持させる。
【0046】
接続ツール61が導電体であることから、接続された電磁波シールド層44、44間の電気的抵抗は、限りなく0(ゼロ)に近づけることができ、接続された全ての発光管アレイ型表示サブモジュールの接地電位を、全て0に近づけることができる。したがって、全ての発光管アレイ型表示サブモジュールにおいて、電磁波シールド層44によるシールド効果は同等であり、複数の発光管アレイ型表示サブモジュールを接続したにもかかわらず、全体として一つの表示モジュールとして画質が均質な表示モジュールを形成することが可能となる。
【0047】
また、少しでも発光管アレイ型表示サブモジュール間のギャップ部Wを狭くするために、接続ツール61の挟持位置を背面側へシフトさせても良い。図8は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールを、接続ツール61を介して接続した場合の接続部分を模式的に示す、発光管に直交する面での断面図である。図8でも、表示電極フィルム層43及び電磁波シールド層44以外の層は、説明を簡単にするために省略している。
【0048】
図8に示すように、サブモジュールフレーム51に沿って、取出し電極領域42、42に存在する表示電極シート35を発光管31、31、・・・側へ屈曲させる。この場合、取出し電極領域42、42に存在するのは、表示電極フィルム層43及び電磁波シールド層44だけであり、相対する電磁波シールド層44、44に間に、導電体である接続ツール61を挟持させる。
【0049】
ただし、接続ツール61は、図7に比べて発光管アレイ型表示サブモジュールの背面側へシフトして挟持されている。すなわち、サブモジュールフレーム51、51を超えた位置にて表示電極フィルム層43及び電磁波シールド層44を発光管アレイ型表示サブモジュール側へわずかに屈曲させ、屈曲させることにより生じた空間内に導電体である接続ツール61を挟持させる。したがって、発光管アレイ型表示サブモジュールの表面側では、発光管アレイ型表示サブモジュール間のギャップ部Wを図7よりも狭くすることができ、より効果的に発光管アレイ型表示サブモジュールの接続部分が画面上に黒線として表示されるといった表示画像の品質の劣化を防止することが可能となる。
【0050】
また、ブラックストライプ層45は、乱反射する光を吸収する等により、光の干渉等に起因するいわゆるにじみ効果を削減することができる。そして、斯かる効果はブラックストライプ層45が発光部分に近接していればいるほど高いことが知られている。そこで、ブラックストライプ層45と電磁波シールド層44とを一体化することにより、にじみ効果をより効果的に削減することができ、しかも発光管アレイ型表示サブモジュールの接続部分が画面上に黒線として表示されるといった表示画像の品質の劣化を防止することができる発光管アレイ型表示サブモジュールを提供することができる。
【0051】
図9は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールのブラックストライプ層45と電磁波シールド層44とを一体化した表示電極シート35の構成を模式的に示す、発光管に直交する面での断面図である。
【0052】
図9に示すように、本発明の実施の形態に係る表示電極シート35は、一方の面に表示電極対34、34、・・・が形成してある表示電極フィルム層43の表示電極対34、34、・・・が形成されている面の反対側の表面に、電磁波シールド層44を、有効表示電極領域41を超えて取出し電極領域42へまたがる範囲にまで形成している。電磁波シールド層44は、有効表示電極領域41内はメッシュ構造で形成されており、発光管31、31、・・・の隙間部分にブラックストライプ層45を点在させてある。すなわち、発光管31、31、・・・の隙間部分には例えば黒色電極等でブラックストライプ層45を点在させ、発光管31、31、・・・の発光部分にはメッシュ構造の電磁波シールド層44を形成することにより、両者を一体化させることができる。
【0053】
このようにすることで、発光管アレイ型表示サブモジュール間のギャップ部Wの幅は、図5に示す本実施の形態に係る表示電極シート35を屈曲させた場合と同等であり、図5(b)に示す従来の表示電極シート35’を屈曲させた場合と比べて、発光管アレイ型表示サブモジュールの側面部に回りこむ層が薄く、発光管アレイ型表示サブモジュール間の距離を短くすることが可能となる。
【0054】
また、電磁波シールド層44は、有効表示電極領域41内では金属のメッシュ構造や蒸着パターン等の金属層で形成されるが、有効表示電極領域41外、すなわち取出し電極領域42では、特にメッシュ構造である必然性はない。図10は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの電磁波シールド層44の取出し電極領域42での構成を模式的に示す部分平面図である。
【0055】
例えば図10(a)に示すように、電磁波シールド層44は、取出し電極領域42では全面が導電体(銅箔等)として形成されていても良いし、図10(b)に示すように、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュールと電気的に接続するためのコネクタの形状に応じて所定のパターンにて形成されていても良い。いずれも、接地電極との接続を確実に行うことができ、接続された複数の発光管アレイ型表示サブモジュールの接地電位を共通化することが可能となり、表示ムラのない一体化した表示装置を提供することが可能となる。
【0056】
また、図11は、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの表示電極シート35の取出し電極領域42における表示電極フィルム層43の構成を模式的に示す例示図である。表示電極フィルム層43内の表示電極対34、34、・・・についても、有効表示電極領域41内では、一定間隔で直線的に配置されているが、有効表示電極領域41外、すなわち取出し電極領域42では、隣接する発光管アレイ型表示サブモジュールと電気的に接続するためのコネクタの形状に応じて変形することが好ましい。隣接する発光管アレイ型表示サブモジュールと電気的に容易かつ確実に接続することができるからである。例えばコネクタの電極受け部が領域91内に集約されている場合、表示電極フィルム層43内の表示電極対34、34、・・・が領域91内に収まるように、取出し電極領域42内にて表示電極対34、34、・・・を屈曲させれば良い。
【0057】
以上のように本実施の形態によれば、有効表示電極領域41の両端部で屈曲するのは表示電極フィルム層43及び電磁波シールド層44だけであり、発光管アレイ型表示サブモジュール同士を接続する場合、両者の境界部分の幅を狭くすることができる。発光管アレイ型表示サブモジュール同士を接続する境界部分の幅を狭くし、発光する発光管31、31、・・・相互間の隙間よりも狭くすることにより、周囲の明るさに比べて暗くなる領域を極小にすることができ、発光管アレイ型表示サブモジュールの接続部分が画面上に黒線として表示されるといった表示画像の品質の劣化を未然に防止することが可能となる。
【0058】
なお、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】従来の大型表示パネルの製造方法の具体例を示す模式図である。
【図2】従来の発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの概略構成を示す斜視図である。
【図3】従来の表示装置を構成する発光管アレイ型表示サブモジュールの前面光学フィルタ群の構成を示す、発光管に直交する面での模式断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの構成を模式的に示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの表示電極シートの構成を模式的に示す平面図及び発光管に直交する面での断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールを接続した場合の接続部分を模式的に示す、発光管に直交する面での断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールを、接続ツールを介して接続した場合の接続部分を模式的に示す、発光管に直交する面での断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールを、接続ツールを介して接続した場合の接続部分を模式的に示す、発光管に直交する面での断面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールのブラックストライプ層と電磁波シールド層とを一体化した表示電極シートの構成を模式的に示す、発光管に直交する面での断面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの電磁波シールド層の取出し電極領域での構成を模式的に示す部分平面図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの表示電極シートの取出し電極領域における表示電極フィルム層の構成を模式的に示す例示図である。
【符号の説明】
【0060】
31 発光管
32 アドレス電極
34 表示電極(対)
35 表示電極シート
41 有効表示電極領域
42 取出し電極領域
43 表示電極フィルム
44 電磁波シールド層
45 ブラックストライプ層
46 光学フィルタ層
47 表面保護層
61 接続ツール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に放電ガスが封入された複数の発光管を並列に配置してあり、アドレス電極が形成してあるアドレス電極シートと、表示電極が形成してある表示電極シートとの間に前記複数の発光管を挟持してある発光管アレイ型表示サブモジュールにおいて、
前記表示電極シートは、複数の層からなる多層構造を有しており、
一方の面に表示電極が形成してある表示電極フィルム層の前記表示電極が形成されている面の反対側の表面に、前記複数の発光管が存在する有効表示電極領域を超えて延伸する電磁波シールド層を形成し、
該電磁波シールド層の上に、該電磁波シールド層とは異なる層を少なくとも1層、前記有効表示電極領域内に形成し、
前記有効表示電極領域の両端部で前記表示電極フィルム層及び前記電磁波シールド層を屈曲させて他の発光管アレイ型表示サブモジュールとの接続面を形成してあることを特徴とする発光管アレイ型表示サブモジュール。
【請求項2】
前記有効表示電極領域内では前記電磁波シールド層をメッシュ構造を含む金属層にて形成してあることを特徴とする請求項1記載の発光管アレイ型表示サブモジュール。
【請求項3】
前記有効表示電極領域内では前記電磁波シールド層を前記ブラックストライプ層と一体化して形成してあることを特徴とする請求項2記載の発光管アレイ型表示サブモジュール。
【請求項4】
前記電磁波シールド層を、前記有効表示電極領域外では全面が導電性部材となるよう形成してあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光管アレイ型表示サブモジュール。
【請求項5】
前記電磁波シールド層は、前記有効表示電極領域外では導電性部材を所定の電極パターンにて形成してあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光管アレイ型表示サブモジュール。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光管アレイ型表示サブモジュールを縦横に複数接続し、
隣接する前記発光管アレイ型表示サブモジュールの前記電磁波シールド層が電気的に互いに接続されて形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
屈曲した前記電磁波シールド層の間に導電部材を挿入してあることを特徴とする請求項6記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−2516(P2010−2516A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159765(P2008−159765)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(506025648)篠田プラズマ株式会社 (29)
【Fターム(参考)】