説明

発光素子、発光素子の製造方法、発光材料の製造方法、発光装置および電子機器

【課題】発光効率に優れた発光素子、かかる発光素子を簡易な工程で製造し得る発光素子の製造方法、発光効率に優れた発光材料を簡易な工程で製造し得る発光材料の製造方法、素子信頼性の高い発光装置および電子機器を提供すること。
【解決手段】発光素子11は、陽極(第1の電極)13と、この陽極13に対向する陰極(第2の電極)14と、陽極13と陰極14との間に設けられ、ブロックコポリマーを含む有機EL層15とを有する。ブロックコポリマーは、発光性を有する発光体を備える発光部と、キャリア輸送性を有するキャリア輸送体を備えるキャリア輸送部とを備え、ブロックコポリマーの一端部と陽極13および陰極14の少なくとも一方が結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子、発光素子の製造方法、発光材料の製造方法、発光装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光性有機層(有機エレクトロルミネッセンス層)が、陰極と陽極との間に設けられた有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、無機EL素子に比べて印加電圧を大幅に低下させることができ、多彩な発光色の素子が作製可能である。
この有機EL素子は、具体的には、陽極と陰極を有し、この陽極と陰極の間に有機EL層が設けられて構成される。
この有機EL層は、正孔輸送層、発光層および電子輸送層の3層で構成されるのが一般的であり、さらに他の層が付加されて構成される場合もある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、有機EL層において、隣接する層同士で構成材料の溶剤への溶解度が近似していると、上層を形成する際の溶媒(溶剤)によって下層の構成材料が溶出し、下層と上層との界面付近で構成材料が混和してしまう。これにより、当該層の性能が損なわれ、発光効率が低下する。
このため、有機EL層を形成する際には、上層と下層とで、溶剤への溶解度が異なる材料が、一般に選択される。このため、採用できる材料が制限され、デバイス特性を優先した材料の選択が困難であるという問題がある。
また、各層を、それぞれ別々の塗布・乾燥工程で形成するため、工程数が多くなり、生産性を上げるのが難しい。
【0004】
【特許文献1】特開2005−302667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明に係る発光素子等を採用することにより、上記の課題を解決することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明に係る発光素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ、ブロックコポリマーを含む有機EL層とを有し、前記ブロックコポリマーは、発光性を有する発光体を備える発光部と、キャリア輸送性を有するキャリア輸送体を備えるキャリア輸送部とを備え、前記ブロックコポリマーの一端部と前記第1の電極とが結合していることを特徴とする。
ブロックコポリマーが1分子中に、発光部とキャリア輸送部とを有するので、効率のよいキャリア輸送および発光が生じる。また、有機EL層が1層で、発光層およびキャリア輸送層の機能を併せもつようになるため、層同士の界面の乱れによる特性劣化を回避することができる。このようなことから、高い発光効率を有する発光素子が得られる。
【0007】
上記の発光素子において、前記キャリア輸送部は、正孔輸送性を有する正孔輸送体を備える正孔輸送部と、電子輸送性を有する電子輸送体を備える電子輸送部と、を含み、前記発光部は、前記正孔輸送部と前記電子輸送部との間に配置されていることが好ましい。
これにより、発光効率をより向上させることができる。
上記の発光素子において、前記正孔輸送部は、前記第1の電極と前記発光部との間に配置されていることが好ましい。
これにより、発光効率をより向上させることができる。
【0008】
上記の発光素子において、前記正孔輸送部は、前記電子輸送部に対して親和性が低いことが好ましい。
これにより、各部同士が会合するのを防止または抑制することにより、キャリアの各部間のホッピングを抑制して発光部における電子と正孔との再結合の確率を向上させることができる。
【0009】
上記の発光素子において、前記ブロックコポリマーは、前記キャリア輸送体を主鎖から分枝する側鎖に有することが好ましい。
側鎖にキャリア輸送体を有するブロックコポリマーは、後述するリビング重合により比較的容易に合成することができる。また、ブロックコポリマーの分子量の制御が容易であるという利点も有する。
【0010】
上記の発光素子において、前記ブロックコポリマーは、前記発光体を主鎖から分枝する側鎖に有することが好ましい。
側鎖に発光体を有するブロックコポリマーは、後述するリビング重合により比較的容易に合成することができる。また、ブロックコポリマーの分子量の制御が容易であるという利点も有する。
【0011】
上記の発光素子において、前記発光部は、前記キャリア輸送部に対して親和性が低いことが好ましい。
これにより、各部同士が会合するのを防止または抑制して、有機EL層(発光素子)の発光効率をより確実に向上させることができる。
上記の発光素子において、前記ブロックコポリマーの他端部は、前記第2の電極と結合していることが好ましい。
これにより、有機EL層と第2の電極との密着性を向上させることができる。これにより、第2の電極から発光部に効率よくキャリアが注入されるようになる。
【0012】
本発明に係る発光素子の製造方法は、発光性を有する発光体を備える発光部と、キャリア輸送性を有するキャリア輸送体を備えるキャリア輸送部とを含むブロックコポリマーを用意する第1の工程と、前記ブロックコポリマーの少なくとも一部分を第1の電極と結合させる第2の工程とを有することを特徴とする。
これにより、発光素子を簡易な工程で製造し得る。
【0013】
上記の発光素子の製造方法において、前記第1の工程は、前記キャリア輸送部の少なくとも一部を、前記キャリア輸送体を含む第1のモノマーをリビング重合法を用いて重合させることにより生成する工程と、前記キャリア輸送部の少なくとも一部を形成した後、前記発光体を有する第2のモノマーをリビング重合法を用いて重合することにより、前記キャリア輸送部の少なくとも一部と結合させて前記発光部を形成する工程とを含むことが好ましい。
リビング重合によれば、合成される各部の重合度を精度よく制御することができ、各部が有する機能体(発光体、キャリア輸送体)の数を精度よく制御することができる。また、各部の重合度を発光効率や素子寿命等の素子の特性が最適となるように調整することができる。
【0014】
本発明に係る発光材料の製造方法は、キャリアの注入により発光する発光材料の製造方法であって、前記キャリアの少なくとも一部を輸送する機能を有するキャリア輸送体を含む第1のモノマーをリビング重合法を用いて重合させることによりキャリア輸送部を形成する第1の工程と、前記キャリアの注入により発光する発光体を含む第2のモノマーをリビング重合法を用いて重合させることにより、前記キャリア輸送部に結合した発光部を形成する第2の工程と、を含むことを特徴とする。
これにより、1分子中に、発光部とキャリア輸送部とを有する発光材料が得られるので、キャリア輸送および発光の効率のよい発光材料が得られる。
本発明に係る発光装置は、本発明の発光素子を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い発光装置が得られる。
本発明に係る電子機器は、本発明の発光装置を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の発光素子、発光素子の製造方法、発光材料の製造方法、発光装置および電子機器を添付図面に示す好適な実施形態について説明する。
<ブロックコポリマー>
まず、本発明の発光素子について説明する前に、この発光素子が備える有機EL層を構成するブロックコポリマーについて説明する。
発光素子において、有機EL層は、陽極と陰極との間に設けられ、陽極から正孔が、陰極から電子が、それぞれ注入されることにより発光する。
【0016】
<第1実施形態>
まず、本発明において用いられるブロックコポリマーの第1実施形態について説明する。
図1は、ブロックコポリマーの第1実施形態の構成を示す模式図である。
図1に示すブロックコポリマー1は、次の順序で連結された正孔輸送部2、発光部3および電子輸送部4を備え、主鎖の正孔輸送部2側の末端に第1の末端基5が結合している。
【0017】
なお、ブロックコポリマー1は、結合する電極に対応して末端が適宜選択される。例えば、電極がITO、金または銀等の材料で構成されている場合は、図1のように主鎖の第1の末端基5がSH基であるものが好ましい。
【0018】
ブロックコポリマー1が結合する電極が陽極の場合は、正孔輸送部2は、第1の末端基5と発光部3との間にあることが好ましい。なお、電極と結合する第1の末端基5は、複数有していてもよい。複数の第1の末端基5を有することにより、電極とブロックコポリマー1との結合は、より強固なものとなる。
正孔輸送部2は、正孔輸送性(キャリア輸送性)を有する正孔輸送体(図1中Hで示す)21を含む構造単位22を複数連結して構成されている。
【0019】
ここで、正孔輸送性(正孔輸送機能)とは、正孔を発光部3に輸送(伝達)または注入する機能のことを言う。発光部3における電子と正孔との再結合確率を向上させるためには、正孔輸送部2は、正孔を輸送する能力が高い一方で、電子輸送部4から発光部3に供給された電子を正孔輸送部2内に散逸させないことが好ましい。
正孔輸送部2において正孔輸送体21は、主鎖から分枝する側鎖に導入されていてもよく、主鎖の一部を構成していてもよいが、図1に示すように、側鎖に導入されているのが好ましい。側鎖に正孔輸送体21を有する正孔輸送部2は、後述するリビング重合により比較的容易に合成することができる。
【0020】
正孔輸送体21としては、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、カルバゾール系化合物、スチルベン系化合物、フルオレン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポリフィリン系化合物等の骨格を含むものが挙げられるが、トリアリールアミン骨格を含むものが好ましい。トリアリールアミン骨格を含む正孔輸送体21は、特に正孔輸送性に優れ、かつ電子輸送性が比較的低いことから好ましい。
トリアリールアミン骨格を含む正孔輸送体21の具体例としては、例えば、下記化1〜化5に示す構造の残基(前記構造から水素原子を1つ除いたもの)が挙げられる。
【0021】
【化1】

【0022】
【化2】

【0023】
【化3】

【0024】
【化4】

【0025】
【化5】

【0026】
なお、例えば、ブロックコポリマー1の溶解性あるいはブロックコポリマー1の合成の際の溶解性、または正孔輸送性等を調整するために、これらの化合物には、適宜1または複数の置換基がさらに導入されていてもよい。
構造単位22の数mは、発光部3のキャリア輸送性、構造単位32の数n、電子輸送部4の有無、電子輸送部4の電子輸送性、構造単位42の数p、ブロックコポリマー1の配向、ブロックコポリマー1を挟む電極間の距離、またはブロックコポリマー1の膜厚等を適宜考慮して設定することができる。
【0027】
正孔輸送部2において、正孔輸送体21の数(構造単位22の数m)は、特に限定されないが、例えば、100個以上であるのが好ましく、300個以上であるのがより好ましい。
発光部3は、発光性を有する発光体(図1中Lで示す)31を含む構造単位32を複数連結して構成されている。
【0028】
発光部3に、後述する電子輸送部4から電子が、正孔輸送部2から正孔がそれぞれ供給(注入)されると、発光体31において正孔と電子とが再結合することによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際に、発光体31から蛍光やりん光という形でエネルギーが放出される。
発光部3において発光体31は、主鎖から分枝する側鎖に導入されていてもよく、主鎖の一部を構成していてもよいが、図1に示すように、側鎖に導入されているもの方が、後述するリビング重合等を用いることにより形成が比較的容易であり、リビング重合を用いることにより構造単位32の数nを比較的容易に制御ができる。
発光体31としては、例えば、各種色素、各種金属錯体等の骨格を含むものが挙げられる。これらの骨格を含む発光体31は、特に発光性が高いことから好ましい。
これらの骨格を含む発光体31の母体として用いられる化合物の具体例としては、例えば、下記化6〜化11に示す化合物が挙げられる。
【0029】
【化6】

【0030】
【化7】

【0031】
【化8】

【0032】
【化9】

【0033】
【化10】

【0034】
【化11】

【0035】
なお、これらの構造には、1または複数の置換基が導入されていてもよい。
また、このような発光部3は、構造単位32の数nは、発光部3のキャリア輸送性、正孔輸送部2の有無、構造単位22の数m、電子輸送部4の有無、電子輸送部4の電子輸送性、構造単位42の数p、ブロックコポリマー1の配向、ブロックコポリマー1を挟む電極間の距離、ブロックコポリマー1の膜厚等を適宜考慮して設定することができるが、ここでは、ブロックコポリマー1を挟む電極間の適切な距離を確保するために、発光体31の数(構造単位32の数n)は、特に限定されないが、100個以上あるいは、300個以上となるようにしている。
【0036】
電子輸送部4は、電子輸送性(キャリア輸送性)を有する電子輸送体(図1中Eで示す)41を含む構造単位42を複数連結して構成されている。
ここで、電子輸送性(電子輸送機能)とは、電子を発光部3に輸送(伝達)または注入する機能のことを言い、電子輸送部4は、電子を輸送する能力が高い一方で、正孔輸送部3から発光部2に供給された正孔を電子輸送部4内に散逸させないことが好ましい。これにより、発光部3において、電子と正孔とをより確実に再結合させることができる。
電子輸送部4において電子輸送体41は、主鎖から分枝する側鎖に導入されていてもよく、主鎖の一部を構成していてもよいが、図1に示すように、側鎖に導入されているのが好ましい。側鎖に電子輸送体41を有する電子輸送部4は、後述するリビング重合により比較的容易に合成することができる。
【0037】
電子輸送体41としては、例えば、オキサジアゾール系化合物、トリアゾール系化合物、チオフェン系化合物、アルミニウムキノリノール錯体等キノリン系化合物、ピラジン系化合物、ベンゾキノン系化合物等の骨格を含むものが挙げられるが、オキサジアゾール骨格またはトリアゾール骨格を含むものが好ましい。オキサジアゾール骨格やトリアゾール骨格を含む電子輸送体41は、特に電子輸送性に優れ、かつ正孔輸送性が比較的低いことから好ましい。
オキサジアゾール骨格を含む電子輸送体41の具体例としては、例えば、下記化12〜化15に示す構造の残基が挙げられる。
【0038】
【化12】

【0039】
【化13】

【0040】
【化14】

【0041】
【化15】

【0042】
また、トリアゾール骨格を含む電子輸送体41の具体例としては、例えば、下記化16および化17に示す構成の残基が挙げられる。
【0043】
【化16】

【0044】
【化17】

【0045】
なお、これらの構造には、1または複数の置換基が導入されていてもよい。
また、特に、トリアゾール骨格を含む電子輸送体41を用いることにより、発光部3を省略して、正孔輸送部2を発光部として機能させることができるようになる。これにより、ブロックコポリマー1の構成の簡略化を図ることができるため、ブロックコポリマー1の合成コストの低減、ひいては発光素子の製造コストの低減に寄与する。
【0046】
構造単位42の数pは、発光部3のキャリア輸送性、構造単位32の数n、正孔輸送部2の有無、正孔輸送部2の正孔輸送性、構造単位22の数m、ブロックコポリマー1の配向、ブロックコポリマー1を挟む電極間の距離、またはブロックコポリマー1の膜厚等を適宜考慮して設定することができる。
電子輸送部4において、電子輸送体41の数(構造単位42の数p)は、特に限定されないが、例えば、100個以上であるのが好ましく、300個以上であるのがより好ましい。
【0047】
ブロックコポリマー1は、高真空下でマスク蒸着法等の蒸着法、あるいはブロックコポリマー1を含有する液体材料をインクジェット法あるいはスピンコート法等により塗布した後、乾燥することにより製膜することが可能であり、従来のように正孔輸送層、発光層および電子輸送層を順次積層する工程よりは、少ない工程で正孔輸送層、発光層および電子輸送層の機能を併せもつ有機EL層を形成することができる。
【0048】
また、発光部3と正孔輸送部2あるいは電子輸送部4等のキャリア輸送部とが1分子内で連結しているので、キャリア輸送部から発光部3のキャリア注入の障壁が低減する。
さらに、ブロックコポリマー1のように第1の末端基5として挟む電極の少なくとも1つの電極に選択的に結合するものを選択すれば、ブロックコポリマー1が結合した側の電極からのキャリア注入の効率も向上する。
【0049】
本実施形態において具体的に説明すれば、ブロックコポリマー1の正孔輸送部2側の末端には、第1の末端基5としてSH基が導入されているが、SH基は、金、銀等の金属材料やITOなどの金属酸化物材料との相互作用が大きい。
このため、ブロックコポリマー1を挟む電極のうち陽極を、上記のようなSH基と親和力の大きい材料で構成すれば、ブロックコポリマー1が硫黄原子を介して陽極に結合し、正孔輸送部2が電子輸送部4よりも陽極に近接することになる。これにより、陽極から正孔輸送部2を介して発光部3に効率よく正孔が注入されるようになる。
【0050】
第1の末端基5としては、ブロックコポリマー1を挟む電極の少なくとも一方の電極を構成する材料に応じて適宜選択され、上記のSH基の他、例えば、アルコキシシリル基、リン酸基、またはアミノ基等も用いることが可能である。
また、このブロックコポリマー1は、図1に示すように、好ましくは主鎖の第1の末端基5と反対側の末端に、陰極と相互作用する(結合し得る)第2の末端基7を有している。これにより、第2の末端基7と陰極との相互作用によって、電子輸送部4が陰極(第2の電極)に近接するようになる。また、ブロックコポリマー1を陰極に強固に結合させること、すなわち、有機EL層と陰極との密着性を向上させることができる。これにより、陰極から電子輸送部4を介して発光部3に効率よく電子が注入されるようになる。
この第2の末端基7としては、陰極の構成材料に応じて適宜選択され、特に限定されないが、陰極の構成材料としては、比較的陽性な、マグネシウム、カルシウム等金属が利用されるので、アミノ基等の窒素原子を含み置換基やアルコキシ基等の酸素原子を含む置換基等のルイス塩基性を有する原子を含む置換基を用いることができる。
【0051】
また、陰極の構成材料として遷移金属を用いる場合は、上記の置換基の他、−SiRH、−SiHR、−SiH(ただし、Rは炭化水素基を表す。)等のように、水素原子と当該水素原子に結合した原子との化学結合が遷移金属により活性化されやすい置換基であってもよい。これにより、ブロックコポリマー1と陰極とをより強固に結合させることができる。
【0052】
なお、ブロックコポリマー1は、第2の末端基7が主鎖の末端に有するものに限定されず、主鎖の電子輸送部4側の端部に有すればよく、また、第2の末端基7を複数有していてもよい。
ブロックコポリマー1の主鎖骨格を構成する結合としては、比較的化学的安定性が高い、炭素−炭素単結合、炭素−炭素2重結合、炭素−酸素結合、ペプチド結合等の炭素−窒素結合、ケイ素−ケイ素単結合が挙げられる。
【0053】
上記の化学結合の種類のうち炭素−炭素2重結合やケイ素−ケイ素単結合等のように電子を非局在化に寄与し、あるいは、キャリア輸送性が高い結合を主鎖骨格に有することによりキャリアの輸送効率や注入効率は向上する。
このブロックコポリマー1は、ブロックコポリマー1を挟む電極の間の適切な距離を確保するためには、分子量が、重量平均分子量で10000〜1000000程度であるのが好ましく、数平均分子量で5000〜500000程度であるのが好ましい。
【0054】
また、以上のようなブロックコポリマー1において、正孔輸送部2(正孔輸送体21)と、発光部3(発光体31)と、電子輸送部4(電子輸送体41)とは、それぞれ互いに親和性が低いもの(相溶性の低いもの)が好ましい。これにより、各部同士が会合するのを防止または抑制して、有機EL層(発光素子)の発光効率をより確実に向上させることができる。
かかるブロックコポリマー1の好適な例としては、下記化学式(A)で表されるものが挙げられる。
【0055】
【化18】

【0056】
以上のようなブロックコポリマー1は、例えば、次のようにして合成(製造)することができる。
以下、ブロックコポリマー1の合成方法(本発明の発光材料の製造方法)について説明する。なお、ここでは、前記化学式(A)で表されるブロックコポリマー1を合成する場合を一例に説明する。
[1] まず、後述する重合触媒により活性化される化学結合と、重合終了後SH基に変換するために、保護基としてジニトロフェニルチオエチル基とを有する化合物(B)を重合開始剤として用意する。
【0057】
【化19】

【0058】
化学式(B)で表される化合物は、例えば、Zhangらの文献(D.Zhang and C.Ortiz, Macromolecules, 2004,37,4271.)に記載されているように、以下の合成経路により合成することができる。
【0059】
【化20】

【0060】
[2] 次に、正孔輸送体21を有する第1のモノマーを用意する。
この第1のモノマーが有する重合基としては、例えば、ビニル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基のような炭素−炭素2重結合を含むもの、ノルボルニル基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環反応を生起するもの等が挙げられるが、比較的重合活性が高く、安価という点等では、スチリル基や(メタ)アクリロイル基を含むモノマーを用いることが好ましい。
この第1のモノマーの具体例としては、例えば、下記化学式(C)で表される化合物等が挙げられる。
【0061】
【化21】

【0062】
化学式(C)で表される化合物は、例えば、以下に示すような合成経路により合成することができる。
【0063】
【化22】

【0064】
まず、メトキシベンジルリン酸ジエチルエステルと4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドとを反応させて、4−ジフェニルアミノ−4’−メトキシスチルベンを得る。
具体的には、4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒドと、メトキシベンジルリン酸ジエチルエステルと、ジメチルホルムアミドとの混合物を攪拌しつつ、室温下にゆっくりと、ナトリウムメトキシドを滴下する。次に、加熱することにより反応を行った後、反応液を水で希釈し、次いで酢酸で酸性にする。次に、残渣を濾別した後、この残渣をメタノールで洗い、エタノールとジオキサンとの混合溶媒から再結晶する。
【0065】
次に、4−ジフェニルアミノ−4’−メトキシスチルベンに水素付加して、1−(4−ジフェニルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エタンを得る。
具体的には、4−ジフェニルアミノ−4’−メトキシスチルベンをジオキサンに溶解し、この溶液にPdを含有する炭素粉末と、所定量の水素ガスとを添加する。次に、この反応液から溶媒を留去する。
【0066】
次に、1−(4−ジフェニルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エタンを加水分解して、1−(4−ジフェニルアミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)エタンを得る。
具体的には、1−(4−ジフェニルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エタンと、スルホランと、ヨウ化ナトリウムとを加熱しつつ攪拌する。次に、この溶液を所定温度にまで冷却した後、蒸留水を添加する。そして、前記溶液に、トリメチルクロロシランをゆっくりと滴下する。次に、加熱することにより反応を行った後、反応液を水に注加して、沈殿物を得る。そして、この沈殿物を水で複数回洗浄し、トルエンに溶解する。次に、このトルエン溶液を飽和硫酸ナトリウム水溶液で数回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去する。そして、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーを用いて精製する。
【0067】
次に、1−(4−ジフェニルアミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)エタンと塩化メタクリルとを反応させて、1−(4−ジフェニルアミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)エタンのアクリル酸エステルを得る。
具体的には、1−(4−ジフェニルアミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)エタンと、ジオキサンと、所定濃度の水酸化ナトリウム水溶液との混合液を冷却する。この混合液に、室温下に攪拌しつつ塩化アクリロイルを添加し、低温に維持する。滴下終了後、室温下に反応を行った後、反応液を水に注加し、トルエンで抽出する。次に、抽出層を水で数回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去する。そして、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーを用いて精製する。
以上のようにして、前記化学式(C)で表される第1のモノマーが得られる。
【0068】
[3] 次に、発光体31を有する第2のモノマーを用意する。
この第2のモノマーが有する重合基としては、前記と同様の理由から、スチリル基や(メタ)アクリロイル基を含むものが好ましい。
この第2のモノマーの具体例としては、例えば、下記化学式(D)で表される化合物等が挙げられる。
【0069】
【化23】

【0070】
なお、化学式(D)中、lは、好ましくは1〜10の整数、より好ましくは2〜8の整数を表す。
化学式(D)で表される化合物は、例えば、以下に示すような合成経路により合成することができる。
【0071】
【化24】

【0072】
まず、サリチルアルデヒドとマロン酸ジメチルエステルとを反応させて、3−カルボメトキシ−クマリンを得る。
具体的には、サリチルアルデヒドに、モル等量のマロン酸ジメチルエステルと、所定量のメタノールおよびピペリジンとを加え、室温下に放置した後、溶媒を除去し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。
【0073】
次に、得られた3−カルボメトキシ−クマリンとアミノアルコールとを反応させて、N−ヒドロキシアルキル−クマリン−3−カルボキサミドを得る。
具体的には、3−カルボメトキシ−クマリンとアミノアルコールとを、所定量のベンゼンに加え、攪拌しながら還流する。そして、還流終了後、冷却して種結晶を添加することにより結晶化し、さらに、所定の溶媒を用いて再結晶を繰り返す。
【0074】
次に、得られたN−ヒドロキシアルキル−クマリン−3−カルボキサミドとメタクリル酸とジシクロヘキシルカルボジイミドとを反応させて、N−ヒドロキシアルキル−クマリン−3−カルボキサミドのメタクリル酸エステルを得る。
具体的には、N−ヒドロキシアルキル−クマリン−3−カルボキサミドに、4−ジエチルアミノピリジン、4−メトキシフェノールおよびメチレンジクロライドを加えて溶解する。そして、この溶液に、メタクリル酸のメチレンジクロライド溶液と、ジシクロヘキシルカルボジイミドのメチレンジクロライド溶液とを加えて、室温下に放置した後、生成したジシクロヘキシル尿素を濾別等により除去する。そして、濾液から溶媒を除去した後、所定量のベンゼンおよびシクロヘキサンに溶解して放置し、セライトを添加して攪拌した後、セライトを濾別等により除去する。この濾液を冷却した後、上清を除去し、得られた残渣を所定の溶媒に懸濁させ、この懸濁物を室温下に放置する。この間に生成した結晶を回収して、所定の溶媒を用いて再結晶する。
以上のようにして、前記化学式(D)で表される第2のモノマーが得られる。
【0075】
[4] 次に、電子輸送体41を有する第3のモノマーを用意する。
この第3のモノマーが有する重合基としては、前記と同様の理由から、スチリル基や(メタ)アクリロイル基を含むものが好ましい。
この第3のモノマーの具体例としては、例えば、下記化学式(E)で表される化合物等が挙げられる。
【0076】
【化25】

【0077】
化学式(E)で表される化合物は、例えば、以下に示すように2−フェニル−5−(4−ヒドロキシフェニル)−(1,3,4)オキサジアゾールと塩化メタクリルとを反応させることにより合成することができる。
【0078】
【化26】

【0079】
以上のようにして、前記化学式(E)で表される第3のモノマーが得られる。
[5] 次に、前記化学式(B)で表される化合物(重合開始剤)を基点として、前記化学式(C)で表される第1のモノマー、前記化学式(D)で表される第2のモノマーおよび前記化学式(E)で表される第3のモノマーを、この順にリビング重合(特に、原子移動ラジカル重合:ATRP)により重合させて(下記化27に示す経路を経て)、化学式(H)で表される重合体を合成する。
【0080】
【化27】

【0081】
このリビング重合は、重合開始剤と触媒とを含む溶液に、第1のモノマー、第2のモノマーおよび第3のモノマーを順に添加すること等により行うことができる。
触媒には、重合体の生長過程において、生長末端を活性化とすることができるものであればよく、例えば、遷移金属のハロゲン化物、水酸化物、酸化物、アルコキシド、シアン化物、シアン酸塩、チオシアン酸塩、アジド化物等が挙げられるが、ビピリジル、ホスフィン、一酸化炭素等の遷移金属の配位子として一般的なものを有する遷移金属錯体でもよい。遷移金属のハロゲン化物を主成分とするものが好適である。遷移金属のハロゲン化物を主成分とする触媒は、リビング重合に適したものであることから好ましい。また、比較的安価かつ入手が容易であり、また取り扱いが容易であることからも好ましい。
【0082】
また、遷移金属としては、例えば、Cu、Fe、Au、Ag、Hg、Pd、Pt、Co、Mn、Ru、Mo、Nb、Zn等が挙げられる。
重合体の合成の反応場として用いる溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノールのようなアルコール類、o−ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類が挙げられ、これらを単独または混合溶媒として用いることができる。
【0083】
重合開始剤および触媒の存在下で、第1のモノマーを作用させることにより、まず重合開始剤に含まれる結合が触媒により活性化され、第1のモノマーと化合し、重合開始剤の、触媒により活性化された結合に含まれる原子が第1のモノマー側に移動し、触媒により活性化される結合が生長末端として再生する。この状態に第1のモノマーが重合する生長末端を再生しながら主鎖が伸長する。このようにして正孔輸送部2が合成される。
例えば、第1のモノマーとして前記化学式(C)で表される化合物を用い、触媒としてCuBrを用いることにより、化学式(F)に示すような生長末端を有する正孔輸送部2を形成することができる。
【0084】
次に、前記溶液に第2のモノマーを添加すると、前述したのと同様にして、発光部3が合成される(生成する)。
例えば、第2のモノマーとして前記化学式(D)で表される化合物を用いることにより、化学式(G)に示すような生長末端を有する発光部3を形成することができる。
次に、前記溶液に第3のモノマーを添加すると、前述したのと同様にして、電子輸送部4が合成される。
【0085】
例えば、第3のモノマーとして前記化学式(E)で表される化合物を用いることにより、化学式(H)に示すような生長末端を有する電子輸送部4を形成することができる。
ここで、リビング重合では、各部の生長過程において、生長末端が常に重合活性を有するため、モノマーが消費され、重合反応が停止した後、新たにモノマーを加えると重合反応がさらに進行する。
【0086】
したがって、反応系に供給するモノマーの量を変化させることによって、合成される各部の重合度を精度よく制御することができ、これにより、各部が有する機能体(正孔輸送体21、発光体31、電子輸送体41)の数を精度よく制御することができる。
このようなことから、所望の発光効率(発光特性)を有するブロックコポリマー1を、分子毎のバラツキを抑えつつ、簡易な工程で形成することができる。
【0087】
前記溶液(反応液)は、重合反応を開始する前に、脱酸素処理を行っておくのが好ましい。脱酸素処理としては、例えば、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガスによる真空脱気後の置換やパージ処理等が挙げられる。
また、重合反応に際して、上記の溶液の温度を所定の温度(各モノマーおよび触媒が活性化する温度)まで加熱(加温)することにより、各モノマーの重合反応をより迅速かつ確実に行うことができる。
【0088】
この加熱の温度は、触媒の種類等によっても若干異なり、特に限定されないが、30〜100℃程度であるのが好ましい。また、加熱の時間(反応時間)は、加熱の温度を前記範囲とする場合、10〜20時間程度であるのが好ましい。
上記のような重合反応は、超音波発生器、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調節器およびガス供給口を備えた反応容器内で行うのが好ましい。
【0089】
具体的には、冷却管、アルゴンガス供給手段および攪拌翼が装着された反応容器を用意し、この反応容器内に、触媒(重合触媒)により活性化される化学結合とSH基となる置換基とを有する化合物(重合開始剤)のメタノール溶液を収納し、メタノール溶液にCuBr(触媒)および2,2’−ビピリジルを当該触媒の配位子として添加する。そして、この溶液に、第1のモノマーを添加し、前記溶液にアルゴンガスを通じることによって酸素を除去した後、アルゴン雰囲気下、所定温度に加熱し、攪拌しながら所定時間、この温度を維持する。次いで、前記溶液に第2のモノマーを添加して、前記と同様にして反応を行い、その後、さらに第3のモノマーを添加して、前記と同様にして反応を行う。
[6] 次に、化学式(H)で表される重合体を脱保護した後に、SH基を導入する。これにより、下記化学式(I)で表される重合体が得られる。
【0090】
【化28】

【0091】
具体的には、化学式(H)で表される重合体をpH6程度の酸性の脱イオン水に溶解し、メルカプトエタノールを作用させることにより、末端にSH基が導入される。
[7] 次に、前記化学式(I)で表される重合体のSH基と反対側の末端に、前述したような第2の末端基7を導入して、前記化学式(A)で表されるブロックコポリマー1を得る。
【0092】
これは、例えば、化学式(I)で表される重合体と、その生長末端と反応し得る化合物とを反応させることにより行うことができる。
第2の末端基7は、化学式(I)で表される重合体に、(ジアルキルアミノフェニル)シラン系化合物を作用することにより得られる。
かかる(ジアルキルアミノフェニル)シラン系化合物の具体例としては、例えば、下記化学式(J)で表されるものが挙げられる。
【0093】
【化29】

[ただし、式中、Rは、アルキル基を表す。]
【0094】
<第2実施形態>
次に、本発明において用いられるブロックコポリマーの第2実施形態について説明する。
図2は、本発明において用いられるブロックコポリマーの第2実施形態の構成を示す模式図である。
【0095】
以下、ブロックコポリマーの第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図2に示すブロックコポリマー1は、正孔輸送部2と第1の末端基5との間に、さらに、バッファ部6を備え、それ以外は、前記第1実施形態のブロックコポリマー1と同様である。
【0096】
このバッファ部6は、正孔(キャリア)の発光部3への注入効率を調整する機能、または陰極(第2の電極)から注入された電子(キャリア)の陽極(第1の電極)への到達を防止または抑制する機能を有するものである。
かかるブロックコポリマー1は、発光部3への正孔および電子の注入速度が適度に調製され、発光効率がより向上する。
【0097】
バッファ部6は、正孔輸送部2、発光部3および電子輸送部4の組み合わせや、目的に応じて構成(構造)が適宜設定され、特に限定されないが、機能体(正孔輸送体21、発光体31、正孔輸送体41)を含まない分子鎖(炭化水素鎖)が好適である。
かかるバッファ部6(分子鎖)の具体例としては、例えば、ポリスチレン鎖、ポリメチルメタクリレート鎖、ポリエチレングリコール鎖等が挙げられる。
【0098】
例えば、前記化学式(A)で表されるブロックコポリマーにおいて、正孔輸送部2と第1の末端基5との間に、バッファ部6としてポリスチレン鎖を導入することにより、発光部3への正孔の注入効率を調製することができる。例えば、バッファ部6は電子の陽極への移動を抑制することも可能なので、これにより、このブロックコポリマー1を用いて形成される有機EL層の発光効率を向上させることができる。
【0099】
構造単位62の数qは、発光部3のキャリア輸送性、構造単位32の数n、正孔輸送部2の有無、正孔輸送部2の正孔輸送性、構造単位22の数m、電子輸送部4の有無、電子輸送部4の電子輸送性、構造単位42の数p、ブロックコポリマー1の配向、ブロックコポリマー1を挟む電極間の距離、ブロックコポリマー1の膜厚等を適宜考慮して設定することができる。
【0100】
バッファ部6において、構造単位62の数qは、特に限定されないが、例えば、100個以上であるのが好ましく、300個以上であるのがより好ましい。
バッファ部6の主鎖骨格を構成する結合は、比較的化学的安定性が高い、炭素−炭素単結合、炭素−炭素2重結合、炭素−酸素結合、ペプチド結合等の炭素−窒素結合、ケイ素−ケイ素単結合が挙げられる。
【0101】
上記の化学結合の種類のうち炭素−炭素2重結合やケイ素−ケイ素単結合等のように電子を非局在化に寄与し、あるいは、キャリア輸送性が高い結合を主鎖骨格に有することによりキャリアの輸送効率や注入効率は向上する。
なお、バッファ部6も、機能体を有さないモノマーを用いて、前述したようなリビング重合により合成することができる。また、その際の条件も前記第1実施形態で説明したのと同様とすることができる。
【0102】
以上のようなブロックコポリマー1では、図示の構成と異なり、第1の末端基5と第2の末端基7とが主鎖の反対側の位置に結合していてもよい。
また、正孔輸送部2および電子輸送部4のいずれか一方を省略するようにしてもよい。
なお、バッファ部6は、正孔輸送部2と発光部3との間、陰極と電子輸送部4との間、または、発光部3と電子輸送部4との間等、バッファ部6の機能に応じて適宜配置してもよい。
【0103】
<発光素子>
次に、本発明の発光素子について説明する。
図3は、本発明の発光素子の実施形態の縦断面を模式的に示す図である。なお、以下では、説明の都合上、図3中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図3に示す発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)11は、基板12上に設けられた陽極13と、陰極14と、陽極13と陰極14との間に設けられた有機EL層15とを有し、その全体が封止部材16で封止されている。
そして、有機EL層15が前述したようなブロックコポリマー1で構成されている。
【0104】
基板12は、発光素子11の支持体となるものである。本実施形態の発光素子11は、基板12側から光を取り出す構成(ボトムエミッション型)であるため、基板12および陽極13は、それぞれ、実質的に透明(無色透明、着色透明または半透明)とされている。
基板12の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0105】
このような基板12の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜30mm程度であるのが好ましく、0.1〜10mm程度であるのがより好ましい。
なお、発光素子11が基板12と反対側から光を取り出す構成(トップエミッション型)の場合、基板12には、透明基板および不透明基板のいずれも用いることができる。
不透明基板としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼のような金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料で構成された基板等が挙げられる。
【0106】
陽極13は、有機EL層15に正孔を注入する電極である。この陽極13の構成材料としては、仕事関数が大きく、導電性に優れる材料を用いるのが好ましい。
陽極13の構成材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物、Au、Pt、Ag、Cuまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような陽極13の平均厚さは、特に限定されないが、10〜200nm程度であるのが好ましく、50〜150nm程度であるのがより好ましい。
【0107】
一方、陰極14は、有機EL層15に電子を注入する電極である。この陰極14の構成材料としては、仕事関数の小さい材料を用いるのが好ましい。
陰極14の構成材料としては、例えば、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Al、Cs、Rb、Cr、Oy、Ndまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体等)用いることができる。
【0108】
このうち、少なくとも陰極14の陽極13側の面付近は、Yb、Cr、Dy、Nd等の遷移金属またはこれら遷移金属を含む合金で構成するのが好ましい。これにより、前述したようなブロックコポリマー1を陰極14に強固に結合させることができる。
また、ブロックコポリマー1の両端部がそれぞれ、陽極13と陰極14との双方に結合するため、有機EL層15の厚さ方向に沿ってブロックコポリマー1が配列(配向)した状態となり、発光部3への正孔および電子の注入効率の向上を図ることができる。
【0109】
かかる陰極14は、その全体が遷移金属で構成されていてもよく、多層積層構成とされ、最も陽極13側に位置する層が遷移金属で構成されるものでもよい。後者の場合、残りの層は、一般的な導電性材料を用いることができる。また、後者の場合、遷移金属で構成される層の平均厚さは、好ましくは1nm以下とされる。
このような陰極14の平均厚さは、特に限定されないが、100〜10000nm程度であるのが好ましく、200〜500nm程度であるのがより好ましい。
なお、本実施形態の発光素子11は、ボトムエミッション型であるため、陰極14に、光透過性は、特に要求されない。
陽極13と陰極14との間には、これらの双方に接触して、ブロックコポリマー1で構成される有機EL層15が設けられている。
【0110】
前述したように、ブロックコポリマー1は、1分子中に、発光部3とキャリア輸送部(正孔輸送部2、電子輸送部4)とを有しているので、1層で、発光層およびキャリア輸送層の機能を併せもつ有機EL層15を得ることができる。したがって、有機EL層15を形成するための工程数を削減することができ、素子の生産性の向上を図ることができる。また、層同士の界面の乱れによる特性劣化を回避することができ、高い発光効率を得ることができる。
【0111】
また、このブロックコポリマー1は、主鎖の末端に導入された第1の末端基5と陽極13との相互作用によって、正孔輸送部2が電子輸送部4よりも、陽極13に近接する。これにより、陽極13から正孔輸送部2に効率よく正孔が注入される。
また、このブロックコポリマー1は、必要に応じて、主鎖の第1の末端基5と反対側の末端に第2の末端基7が導入される。この第2の末端基7が陰極14と相互作用することにより、電子輸送部4が、陰極14に近接する。これにより、陰極14から電子輸送部4に効率よく電子が注入される。
【0112】
ここで、この有機EL層15では、これを厚さ方向に2分割したとき、陽極13側の領域の全質量に対して60%以上を正孔輸送部2が占め、一方、陰極14側の領域の全質量に対して60%以上を電子輸送部4が占めていることが好ましい。このように、正孔輸送部2が陽極13付近に局在し、電子輸送部4が陰極14付近に局在させることにより、発光素子11の発光効率をより一層向上させることができる。
【0113】
なお、このような有機EL層の厚さは、ブロックコポリマー1の鎖長を調整することにより設定することができる。
封止部材16は、発光素子11(陽極13、有機EL層15および陰極14)を覆うように設けられ、これらを気密的に封止し、酸素や水分を遮断する機能を有する。封止部材16を設けることにより、発光素子11の信頼性の向上や、変質・劣化の防止(耐久性向上)等の効果が得られる。
【0114】
封止部材16の構成材料としては、例えば、Al、Au、Cr、Nb、Ta、Tiまたはこれらを含む合金、酸化シリコン、各種樹脂材料等を挙げることができる。なお、封止部材16の構成材料として導電性を有する材料を用いる場合には、短絡を防止するために、封止部材16と発光素子11との間には、必要に応じて、絶縁膜を設けるのが好ましい。
また、封止部材16は、平板状として、基板12と対向させ、これらの間を、例えば熱硬化性樹脂等のシール材で封止するようにしてもよい。
このような発光素子11は、例えば、次のようにして製造することができる。
以下、発光素子11の製造方法(本発明の発光素子の製造方法)について説明する。
【0115】
[10] まず、前述したようにして、ブロックコポリマー1を合成(用意)する(第1の工程)。
[20] 次に、基板12を用意し、この基板12上に陽極13を形成する。
陽極13は、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、金属箔の接合等を用いて形成することができる。
【0116】
[30] 次に、陽極13上に、有機EL層15を形成する(第2の工程)。
有機EL層15は、ブロックコポリマー1を溶媒(または分散媒)に溶解(または分散)してなる有機EL層形成用材料を、陽極13上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することにより形成することができる。
有機EL層形成用材料の供給方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等の各種塗布法を用いることができる。かかる塗布法を用いることにより、有機EL層15を比較的容易に形成することができる。
【0117】
有機EL層形成用材料の調製に用いる溶媒としては、例えば、硝酸、硫酸、アンモニア、過酸化水素、水、二硫化炭素、四塩化炭素、エチレンカーボネイト等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル系溶媒、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸系溶媒のような各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
【0118】
なお、乾燥は、例えば、大気圧または減圧雰囲気中での放置、加熱処理、不活性ガスの吹付け等により行うことができる。
また、本工程に先立って、陽極13の上面には、酸素プラズマ処理を施すようにしてもよい。これにより、陽極13の上面を親液性を付与すること、陽極13の上面に付着する有機物を除去(洗浄)すること、陽極13の上面付近の仕事関数を調整すること等を行うことができる。
ここで、酸素プラズマ処理の条件としては、例えば、プラズマパワー100〜800W程度、酸素ガス流量50〜100mL/min程度、被処理部材(陽極13)の搬送速度0.5〜10mm/sec程度、基板12の温度70〜90℃程度とするのが好ましい。
【0119】
[40] 次に、有機EL層15上(陽極13と反対側)に、陰極14を形成する。
陰極14は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、金属箔の接合、金属微粒子インクの塗布および焼成等を用いて形成することができる。
以上のような工程を経て、発光素子11が得られる。
[50] 最後に、得られた発光素子11を覆うように、封止部材16を被せ、基板12に接合する。
【0120】
以上のような製造方法によれば、有機EL層15の形成や、金属微粒子インクを使用する場合は陰極の形成においても、真空装置等の大掛かりな設備を要しないため、発光素子11の製造時間および製造コストの削減を図ることができる。また、インクジェット法(液滴吐出法)を適用することで、大面積の素子の作製や多色の塗り分けが容易となる。
また、有機EL層15は、これを構成するブロックコポリマー1が、発光機能およびキャリア輸送機能を有しているので、1層で、発光層およびキャリア輸送層の機能を発揮することができる。したがって、発光素子11を製造するための工程数を削減することができ、素子の生産性の向上を図ることができる。
【0121】
なお、本発明の発光素子では、有機EL層と陽極との間、有機EL層と陰極との間には、それぞれ、任意の目的の層を1層以上設けるようにしてもよい。
このような本発明の発光素子は、例えば光源等として使用することができる。また、複数の発光素子11をマトリックス状に配置することにより、ディスプレイ装置(本発明の発光装置)を構成することができる。
なお、ディスプレイ装置の駆動方式としては、特に限定されず、アクティブマトリックス方式、パッシブマトリックス方式のいずれであってもよい。
【0122】
<発光装置>
次に、本発明の発光装置を適用したディスプレイ装置の一例について説明する。
図4は、本発明の発光装置を適用したディスプレイ装置の実施形態を示す縦断面図である。
図4に示すディスプレイ装置100は、基体200と、この基体200上に設けられた複数の発光素子11とで構成されている。
【0123】
基体200は、基板210と、この基板210上に形成された回路部220とを有している。
回路部220は、基板210上に形成された、例えば酸化シリコン層からなる保護層230と、保護層230上に形成された駆動用TFT(スイッチング素子)240と、第1層間絶縁層250と、第2層間絶縁層260とを有している。
【0124】
駆動用TFT240は、シリコンからなる半導体層241と、半導体層241上に形成されたゲート絶縁層242と、ゲート絶縁層242上に形成されたゲート電極243と、ソース電極244と、ドレイン電極245とを有している。
このような回路部220上に、各駆動用TFT240に対応して、それぞれ、発光素子11が設けられている。また、隣接する発光素子11同士は、第1隔壁部310および第2隔壁部320により区画されている。
【0125】
本実施形態では、各発光素子11の陽極13は、画素電極を構成し、各駆動用TFT240のドレイン電極245に配線270により電気的に接続されている。また、各発光素子11の陰極14は、共通電極とされている。
そして、各発光素子11を覆うように封止部材(図示せず)が基体200に接合され、各発光素子11が封止されている。
ディスプレイ装置100は、単色表示であってもよく、発光体31の種類が異なるブロックコポリマー1を選択することにより、カラー表示も可能である。
このようなディスプレイ装置(本発明の発光装置)100は、各種の電子機器に組み込むことができる。
【0126】
<電子機器>
以下、本発明の電子機器について説明する。
図5は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部を備える表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100において、表示ユニット1106が備える表示部が前述のディスプレイ装置100で構成されている。
【0127】
図6は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、表示部を備えている。
携帯電話機1200において、この表示部が前述のディスプレイ装置100で構成されている。
【0128】
図7は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
【0129】
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
ディジタルスチルカメラ1300において、この表示部が前述のディスプレイ装置100で構成されている。
【0130】
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
【0131】
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
【0132】
なお、本発明の電子機器は、図5のパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、図6の携帯電話機、図7のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビや、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。
以上、本発明の発光素子、発光素子の製造方法、発光材料の製造方法、発光装置および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものでない。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】ブロックコポリマーの第1実施形態の構成を示す模式図である。
【図2】ブロックコポリマーの第2実施形態の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の発光素子の実施形態の縦断面を模式的に示す図である。
【図4】本発明の発光装置を適用したディスプレイ装置の実施形態を示す縦断面図である。
【図5】本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0134】
1……ブロックコポリマー 2……正孔輸送部 21……正孔輸送体 22……構造単位 3……発光部 31……発光体 32……構造単位 4……電子輸送部 41……電子輸送体 42……構造単位 5……第1の末端基 6……バッファ部 62……構造単位 7……第2の末端基 11……発光素子 12……基板 13……陽極 14……陰極 15……有機EL層 16……封止部材 100……ディスプレイ装置 200……基体 210……基板 220……回路部 230……保護層 240……駆動用TFT 241……半導体層 242……ゲート絶縁層 243……ゲート電極 244……ソース電極 245……ドレイン電極 250……第1層間絶縁層 260……第2層間絶縁層 270……配線 310……第1隔壁部 320……第2隔壁部 1100……パーソナルコンピュータ 1102……キーボード 1104……本体部 1106……表示ユニット 1200……携帯電話機 1202……操作ボタン 1204……受話口 1206……送話口 1300‥‥ディジタルスチルカメラ 1302‥‥ケース(ボディー) 1304‥‥受光ユニット 1306‥‥シャッタボタン 1308‥‥回路基板 1312‥‥ビデオ信号出力端子 1314‥‥データ通信用の入出力端子 1430‥‥テレビモニタ 1440‥‥パーソナルコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ、ブロックコポリマーを含む有機EL層とを有し、
前記ブロックコポリマーは、発光性を有する発光体を備える発光部と、キャリア輸送性を有するキャリア輸送体を備えるキャリア輸送部とを備え、
前記ブロックコポリマーの一端部と前記第1の電極とが結合していることを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記キャリア輸送部は、正孔輸送性を有する正孔輸送体を備える正孔輸送部と、電子輸送性を有する電子輸送体を備える電子輸送部と、を含み、
前記発光部は、前記正孔輸送部と前記電子輸送部との間に配置されている請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記正孔輸送部は、前記第1の電極と前記発光部との間に配置されている請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記正孔輸送部は、前記電子輸送部に対して親和性が低い請求項2または3に記載の発光素子。
【請求項5】
前記ブロックコポリマーは、前記キャリア輸送体を主鎖から分枝する側鎖に有する請求項1ないし4のいずれかに記載の発光素子。
【請求項6】
前記ブロックコポリマーは、前記発光体を主鎖から分枝する側鎖に有する請求項1ないし5のいずれかに記載の発光素子。
【請求項7】
前記発光部は、前記キャリア輸送部に対して親和性が低い請求項1ないし6のいずれかに記載の発光素子。
【請求項8】
前記ブロックコポリマーの他端部は、前記第2の電極と結合している請求項1ないし7のいずれかに記載の発光素子。
【請求項9】
発光性を有する発光体を備える発光部と、キャリア輸送性を有するキャリア輸送体を備えるキャリア輸送部とを含むブロックコポリマーを用意する第1の工程と、
前記ブロックコポリマーの少なくとも一部分を第1の電極と結合させる第2の工程とを有することを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項10】
前記第1の工程は、前記キャリア輸送部の少なくとも一部を、前記キャリア輸送体を含む第1のモノマーをリビング重合法を用いて重合させることにより生成する工程と、前記キャリア輸送部の少なくとも一部を形成した後、前記発光体を有する第2のモノマーをリビング重合法を用いて重合することにより、前記キャリア輸送部の少なくとも一部と結合させて前記発光部を形成する工程とを含む請求項9に記載の発光素子の製造方法。
【請求項11】
キャリアの注入により発光する発光材料の製造方法であって、
前記キャリアの少なくとも一部を輸送する機能を有するキャリア輸送体を含む第1のモノマーをリビング重合法を用いて重合させることによりキャリア輸送部を形成する第1の工程と、
前記キャリアの注入により発光する発光体を含む第2のモノマーをリビング重合法を用いて重合させることにより、前記キャリア輸送部に結合した発光部を形成する第2の工程と、を含むことを特徴とする発光材料の製造方法。
【請求項12】
請求項1ないし8のいずれかに記載の発光素子を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項13】
請求項12に記載の発光装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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