説明

発光素子とその製造方法、光源装置、およびプロジェクター

【課題】光取り出し効率の低下もしくは発光面積の広がりに伴う光利用効率の低下を抑制し得る発光素子を提供する。
【解決手段】本発明の発光素子は、結合材によって互いに結合された複数の蛍光体粒子55を含む発光層11R(蛍光体層)と、蛍光体層を支持する支持基材19と、を備える。蛍光体層の支持基材とは反対側の面において、複数の蛍光体粒子のうち少なくとも一つの蛍光体粒子の表面の少なくとも一部が前記結合材から露出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子とその製造方法、光源装置、およびプロジェクターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターにおいては、光源として超高圧水銀ランプなどの放電ランプが用いられるのが一般的であった。ところが、この種の放電ランプは、寿命が比較的短い、瞬時点灯が難しい、ランプから放射される紫外線が液晶ライトバルブを劣化させる、等の課題がある。そこで、放電ランプに代わる方式の光源を用いた投射型の画像表示装置が提案されている。
【0003】
この種の光源として、蛍光発光を利用して白色光を生成する方式のものが知られている。例えば、発光ダイオード(LED)やレーザーからの光を蛍光体に照射することにより、蛍光としての白色光を取り出す光源装置が提案されている(下記の特許文献1参照)。特許文献1の光源装置は、蛍光体を励起させる励起光(青色光)を射出する励起光源と、励起光を受けて励起光とは異なる波長帯域である赤色光および緑色光を発する蛍光体層を備えた蛍光ホイールと、を有している。複数種の蛍光体をホイールの周方向に種類毎に領域を分けて蛍光体層として配置し、蛍光ホイールを回転させつつ複数の蛍光体層に励起光を照射することにより、発せられる蛍光の色を時間毎に異ならせている。このようにして、複数の色光を混色させて白色光を射出させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−277516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1の光源装置を含め、この種の一般の光源装置において、蛍光体層は、粉体状の蛍光体粒子を樹脂等のバインダーに分散させたものを基板上に塗布した塗膜として形成される。この構成では、励起光が蛍光体層中の各蛍光体粒子に浸入し、それにより励起された蛍光が各蛍光体粒子の外部に射出される。このとき、各蛍光体粒子はその周囲をバインダーに囲まれており、かつ、バインダーが蛍光体層の母材となっている。そのため、蛍光体粒子からあらゆる方向に射出された光のうち、母材と空気との界面での臨界角以上で反射した光の成分が母材中を基板面と平行な方向に伝播する。その結果、蛍光の外部空間への取り出し効率が低下するのと同時に、蛍光体層での発光面積が広がることになる。この発光面積の広がりはプロジェクターの光利用効率の指標となるエテンデュー(Etendue)が大きくなることを意味し、光利用効率が低下する。特にバインダーの屈折率が高くなると、発光面積がより増大して光利用効率の低下が著しくなる。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、光取り出し効率の低下もしくは発光面積の広がりに伴う光利用効率の低下を抑制し得る発光素子とその製造方法、光源装置、およびプロジェクターの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の発光素子は、結合材によって互いに結合された複数の蛍光体粒子を含む蛍光体層と、前記蛍光体層を支持する支持面を有する支持基材と、を備え、前記蛍光体層の前記支持基材とは反対側の面において、前記複数の蛍光体粒子のうち少なくとも一つの蛍光体粒子の表面の少なくとも一部が前記結合材から露出していることを特徴とする。
【0008】
本発明の発光素子によれば、蛍光体粒子の周囲の全てがバインダーで覆われた従来の蛍光体層と異なり、蛍光体層の支持基材とは反対側の面において、複数の蛍光体粒子のうち少なくとも一つの蛍光体粒子の表面の少なくとも一部が結合材から露出している。そのため、蛍光体粒子から発せられた蛍光のうち、結合材を介さずに蛍光体層の外部に射出される成分が増加し、蛍光が蛍光体層内を支持面と平行な方向に伝播しにくくなる。これにより、蛍光体層から取り出される蛍光の割合が増大し、光の取り出し効率が向上する。また、蛍光発光部の拡大が抑えられる。これにより、エテンデューの増大が抑えられ、従来に比べて光利用効率を向上させることができる。
【0009】
本発明の発光素子において、前記蛍光体層の厚さが、前記複数の蛍光体粒子の平均粒径と略等しい構成を採用できる。
この構成によれば、バインダーが介在しない分、支持面上に並ぶ蛍光体粒子の数密度を増大させることができる。また、蛍光体層は厚さ方向に略1個の蛍光体粒子で構成される。言い換えると、蛍光体層は蛍光体粒子の単層膜に近い構造を持つ。これにより、複数の蛍光体粒子のうち、多くの蛍光体粒子が支持基材と接触した状態となる。あるいは、多くの蛍光体粒子が支持基材と極めて接近した状態となる。これにより、蛍光体粒子において発生した熱が蛍光体粒子から支持基材へ移動するときの移動距離が短くなる。その結果、蛍光体粒子に励起光が照射された際の熱を支持基材から効率良く放出することができる。一般的に、蛍光材料は温度上昇に伴って蛍光を発光(光波長変換)する効率が低下する性質、いわゆる温度消光があるが、本発明では熱を効率良く放出できるため、蛍光体粒子の温度消光を抑制できる。さらに、ある蛍光体粒子から光が発せられた後、その光が他の蛍光体粒子に再入射する機会が減るため、光の損失を低減することができる。
【0010】
本発明の発光素子において、前記蛍光体層の前記支持基材とは反対側の面において、前記複数の蛍光体粒子の間の領域が、前記結合材と空気とで占められていることが望ましい。
この構成によれば、より多くの蛍光が結合材を介さずに蛍光体層の外部に射出される。その結果、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0011】
本発明の発光素子において、前記結合材が無機材料の架橋体からなる構成を採用できる。
この構成によれば、複数の蛍光体粒子同士および蛍光体粒子と支持基材とが無機材料の架橋体からなる結合材によって強固に結合されることにより、機械的強度が高い蛍光体層を形成することができる。
【0012】
本発明の発光素子において、前記架橋体が珪酸化物からなる構成を採用できる。
この構成によれば、例えば沈降法などの一般的な方法で蛍光体層を形成することができる。
【0013】
本発明の発光素子において、前記支持基材の前記支持面に無機材料の酸化物層が設けられた構成を採用できる。
この構成によれば、無機材料の酸化物層によって蛍光体層と支持基材との接着性を向上させることができる。
【0014】
本発明の発光素子において、前記支持基材が金属からなり、前記支持基材の前記支持面に無機材料の酸化物からなる増反射層が設けられた構成を採用できる。
この構成によれば、無機材料の酸化物層によって蛍光体層と支持基材との接着性を向上できるとともに、支持基材表面での光の反射率を増大させ、光利用効率を向上できる。
【0015】
本発明の発光素子において、前記支持基材が、前記支持面に交差する回転軸を中心として回転可能とされた構成を採用できる。
この構成によれば、発光素子の1箇所に励起光が集中的に照射されることがなく、発光部を分散させることができる。その結果、発光部の温度上昇を抑制でき、温度消光を低減することができる。
【0016】
本発明の発光素子の製造方法は、複数の蛍光体粒子と架橋剤とを含む液状物を支持基材の支持面上に配置する工程と、前記複数の蛍光体粒子間および前記蛍光体粒子と前記支持基材との間で前記架橋剤を介して架橋反応を生じさせる工程と、前記液状物を乾燥させることにより、前記支持基材の前記支持面上に、前記複数の蛍光体粒子のうち少なくとも一つの蛍光体粒子の表面の少なくとも一部が前記架橋剤からなる結合材から前記支持基材とは反対側に露出した蛍光体層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、複数の蛍光体粒子同士および蛍光体粒子と支持基材とが結合材によって結合され、複数の蛍光体粒子のうち少なくとも一つの蛍光体粒子の表面の少なくとも一部が架橋剤からなる結合材から支持基材とは反対側に露出した蛍光体層を比較的容易に形成することができる。
【0018】
本発明の発光素子の製造方法において、前記蛍光体層の厚さが、前記複数の蛍光体粒子の平均粒径と略等しい構成を採用できる。
この構成によれば、バインダーが介在しない分、支持面上に並ぶ蛍光体粒子の数密度を増大させることができる。また、蛍光体層は厚さ方向に略1個の蛍光体粒子で構成される。言い換えれば、蛍光体層は蛍光体粒子の単層膜に近い構造を持つ。これにより、複数の蛍光体粒子のうち、多くの蛍光体粒子が支持基材と接触した状態となる。あるいは、多くの蛍光体粒子が支持基材と極めて接近した状態となる。したがって、蛍光体粒子において発生した熱が蛍光体粒子から支持基材へ移動するときの移動距離が短くなる。これにより、蛍光体粒子に励起光が照射された際の熱を支持基材から効率良く放出することができる。一般的に、蛍光材料は温度上昇に伴って蛍光を発光(光波長変換)する効率が低下する性質、いわゆる温度消光があるが、本発明では熱を効率良く放出できるため、蛍光体粒子の温度消光を抑制できる。さらに、ある蛍光体粒子から光が発せられた後、その光が他の蛍光体粒子に再入射する機会が減るため、光の損失を低減することができる。
【0019】
本発明の発光素子の製造方法において、前記蛍光体層の前記支持基材とは反対側の面において、前記複数の蛍光体粒子の間の領域が、前記結合材と空気とで占められていることが望ましい。
この構成によれば、より多くの蛍光が結合材を介さずに蛍光体層の外部に射出される。その結果、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0020】
本発明の発光素子の製造方法において、前記架橋剤が珪酸化合物からなる構成を採用できる。
この構成によれば、上記の蛍光体層を例えば沈降法などの一般的な手法で形成することができる。さらに、複数の蛍光体粒子同士および蛍光体粒子と支持基材とが珪酸化合物の架橋体からなる結合材によって強固に結合されることにより、機械的強度が高い蛍光体層を容易に形成することができる。
【0021】
本発明の発光素子の製造方法において、前記架橋剤がポリビニルアルコールと重クロム酸塩とからなり、前記架橋剤に紫外線を照射することにより前記架橋反応を生じさせる構成を採用できる。
この構成によれば、上記の蛍光体層を例えばスラリー法などの一般的な手法で形成することができる。紫外線を局所的に照射することにより、蛍光体層をパターニングすることもできる。
【0022】
本発明の発光素子の製造方法において、前記架橋剤がジアゾニウム塩と塩化亜鉛との複塩からなり、前記架橋剤に紫外線を照射することにより前記架橋反応を生じさせる構成を採用できる。
この構成によれば、上記の蛍光体層を例えば光粘着法などの一般的な手法で形成することができる。紫外線を局所的に照射することにより、蛍光体層をパターニングすることもできる。
【0023】
本発明の光源装置は、前記本発明の発光素子と、前記複数の蛍光体粒子を励起させる励起光を射出する励起光用光源と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、光利用効率に優れた光源装置を実現することができる。
【0024】
本発明のプロジェクターは、上記本発明の光源装置と、前記光源装置から射出される光を変調する光変調素子と、前記光変調素子によって変調された光を投写する投写光学系と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、エネルギー効率に優れたプロジェクターを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態の光源装置およびプロジェクターを示す図である。
【図2】(A)〜(C)は第1実施形態の光源装置に備えられた蛍光体ホイールを示す正面図である。
【図3】(A)、(B)は蛍光体ホイールの発光層から光が射出される様子を示す図である。
【図4】(A)〜(D)は蛍光体ホイールの製造方法を工程順を追って示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態の光源装置およびプロジェクターを示す図である。
【図6】従来の発光層を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図4を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターは、白色光を出力する光源装置と、光源装置から得られる白色光を色分離する色分離光学系と、色分離光学系によって得られた3色の色光をそれぞれ変調する3つの液晶ライトバルブとを備えたプロジェクター、いわゆる3板式の液晶プロジェクターの例である。
図1は、本実施形態の光源装置およびプロジェクターを示す概略構成図である。図2(A)〜(C)は、光源装置に備えられた蛍光体ホイールの正面図である。図3(A)、(B)は蛍光体ホイールの発光層から光が射出される様子を示す図である。図4(A)〜(D)は、蛍光体ホイールの製造方法を工程順を追って示す図である。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0027】
本実施形態のプロジェクター1は、図1に示すように、光源装置2と、色分離光学系3と、液晶ライトバルブ4R(光変調素子)、液晶ライトバルブ4G(光変調素子)、液晶ライトバルブ4B(光変調素子)と、色合成素子5と、投写光学系6と、を備えている。本実施形態のプロジェクター1において、光源装置2から射出された光は、色分離光学系3により複数の色光に分離される。色分離光学系3により分離された複数の色光は、それぞれ対応する液晶ライトバルブ4R,液晶ライトバルブ4G,液晶ライトバルブ4Bに入射して変調される。液晶ライトバルブ4R,液晶ライトバルブ4G,液晶ライトバルブ4Bにより変調された複数の色光は、色合成素子5に入射して合成される。色合成素子5により合成された光は、投写光学系6によりスクリーン7に拡大投写され、フルカラーの投写画像が表示される。
【0028】
以下、プロジェクター1の各構成要素について説明する。
光源装置2は、レーザー光源9(励起光用光源)、蛍光体ホイール10(発光素子)、第1のハーフミラー41、第2のハーフミラー42、第1のミラー43、第2のミラー44、緑色光反射ダイクロイックミラー45、緑色光・赤色光反射ダイクロイックミラー46、ピックアップレンズ47、青色光反射ダイクロイックミラー48、拡散板49、コリメータレンズ50、を備えている。緑色光反射ダイクロイックミラー45は、緑色光を反射し、赤色光を透過させる分光特性を有している。緑色光・赤色光反射ダイクロイックミラー46は、緑色光および赤色光を反射し、青色光を透過させる分光特性を有している。
【0029】
レーザー光源9は、後述する蛍光体ホイール10が備える蛍光体を励起させる励起光として、例えば発光強度の中心波長が450nmの青色レーザー光を射出する。レーザー光源9から射出される青色レーザー光は偏光状態が一定の直線偏光である。本実施形態において、波長450nmは第1の波長領域に相当する。なお、レーザー光源9は、図1では1個のレーザー光源を用いる例として示したが、例えば複数個のレーザー光源を並置しても良い。また、後述する蛍光体を励起させることができる波長の光であれば、450nm以外の中心波長を有する色光を射出するレーザー光源であっても構わない。本実施形態では、レーザー光源を用いるが、固体光源として発光ダイオード(LED)を用いても良い。
【0030】
本実施形態の蛍光体ホイール10は、光を透過させる際に蛍光発光(波長変換)を生じさせる透過型の蛍光体ホイールである。蛍光体ホイール10は、支持基板19(支持基材)と、支持基板19の第1の面19a(支持面)の上に設けられた緑色光・赤色光反射ダイクロイック膜52と、緑色光・赤色光反射ダイクロイック膜52上に設けられた赤色発光層11R(蛍光体層)および緑色発光層11G(蛍光体層)と、を有している。赤色発光層11R,緑色発光層11Gの詳細な構成は後述するが、複数の蛍光体粒子が結合材を介して緑色光・赤色光反射ダイクロイック膜52上に固定されている。また、複数の蛍光体粒子同士は、結合材を介して結合されている。また、支持基板19の第2の面19bには青色光の反射を防止するための反射防止膜53が設けられている。以下の説明では、支持基板19の第1の面19aを支持面と称し、第2の面19bを裏面と称する。
【0031】
第2のハーフミラー42と第1のミラー43とが、各々の反射面が支持基板19の第2の面19bと45度の角度をなすように配置されている。第1のハーフミラー41は、蛍光体ホイール10と対向しない位置に配置されている。レーザー光源9は、射出した青色光LBが第1のハーフミラー41に入射する位置に配置されている。したがって、レーザー光源9から射出された青色光LBは、一部が第1のハーフミラー41で反射し、残りが第1のハーフミラー41を透過する。第1のハーフミラー41を透過した青色光LBは第2のハーフミラー42に入射し、一部が第2のハーフミラー42で反射し、残りが第2のハーフミラー42を透過する。
【0032】
このようにして、レーザー光源9から射出された青色光LBは、そのまま使用される青色光LB1、緑色発光層励起用の青色光LB2、赤色発光層励起用の青色光LB3、の3つの光束に分配される。これらの青色光LB1,青色光LB2,青色光LB3の分配の比率は、緑色発光層11Gおよび赤色発光層11Rの波長変換効率や赤色光、緑色光、青色光の合成光である白色光の色度に応じて決定される。第1のハーフミラー41,第2のハーフミラー42での分配の比率は、光の透過量と反射量とがそれぞれ所望の値となるように、ハーフミラーを構成する誘電体多層膜の構成(膜厚、層数等)を設定することで調整が可能である。
【0033】
第2のハーフミラー42で反射した青色光LB2は蛍光体ホイール10に向かって進み、緑色発光層11Gに入射する。緑色発光層11Gに入射した青色光LB2は、緑色発光層11Gの蛍光体粒子を励起して、例えば発光強度の中心波長が530nmの光に波長変換され、緑色光LGが射出される。本実施形態において、波長530nmは第2の波長領域に相当する。一方、第2のハーフミラー42を透過した青色光LB3は第1のミラー43で反射した後、蛍光体ホイール10に向かって進み、赤色発光層11Rに入射する。赤色発光層11Rに入射した青色光LB3は、赤色発光層11Rの蛍光体粒子を励起して、例えば発光強度の中心波長が680nmの光に波長変換され、赤色光LRが射出される。本実施形態において、波長680nmは第2の波長領域に相当する。
【0034】
赤色発光層11Rから射出された赤色光LRは、第2のミラー44で反射した後、緑色光反射ダイクロイックミラー45に向かって進み、緑色光反射ダイクロイックミラー45を透過する。また、緑色発光層11Gから射出された緑色光LGは、緑色光反射ダイクロイックミラー45で反射する。このようにして、赤色光LRと緑色光LGとは緑色光反射ダイクロイックミラー45によって合成される。
【0035】
赤色発光層11Rから射出されて第2のミラー44に向かう赤色光LRの光路上に、ピックアップレンズ47と青色光反射ダイクロイックミラー48とが設けられている。青色光反射ダイクロイックミラー48は、青色光を反射し、赤色光を透過させる分光特性を有している。赤色発光層11Rに入射された青色光LB3は全てが赤色光に波長変換されるわけではなく、波長変換されずに赤色発光層11Rを透過する青色光成分も存在する。そのような青色光成分を青色光反射ダイクロイックミラー48で反射させて赤色発光層11Rに再入射させ、励起光として蛍光発光に寄与させることができる。このように、青色光反射ダイクロイックミラー48によって波長変換効率を高めることができる。同様に、緑色発光層11Gから射出されて緑色光反射ダイクロイックミラー45に向かう緑色光LGの光路上に、ピックアップレンズ47と青色光反射ダイクロイックミラー48とが設けられている。
【0036】
第1のハーフミラー41で反射して緑色光・赤色光反射ダイクロイックミラー46に向かう青色光LB1の光路上に、拡散板49とコリメータレンズ50とが設けられている。第1のハーフミラー41で反射した青色光LB1は、拡散板49とコリメータレンズ50とを透過することによりビーム径が拡大され、所定のビーム径を有する青色光となる。この青色光が緑色光・赤色光反射ダイクロイックミラー46を透過する一方、緑色光反射ダイクロイックミラー45によって合成された赤色光LRと緑色光LGとが緑色光・赤色光反射ダイクロイックミラー46で反射することにより、これらの光が合成され、白色光LWとなって光源装置2から射出される。
【0037】
図2(A)に示すように、レーザー光源9側から蛍光体ホイール10を見たときの平面形状、すなわち支持基板19の平面形状は円形である。支持基板19の緑色光・赤色光反射ダイクロイック膜52上に、円環状の赤色発光層11Rと緑色発光層11Gとが同心状に設けられている。赤色発光用の蛍光体と緑色発光用の蛍光体とを混合して一体の発光層としても良いが、本実施形態のように、赤色発光層11Rと緑色発光層11Gとを別個に形成する構成は、各々の蛍光体の特性が生かせる点で好ましい。赤色発光層11Rと緑色発光層11Gとを別個に形成した場合、緑色光が励起光となって赤色光の発光が生じることに起因する緑色光の損失を回避することができる。
【0038】
支持基板19は、透光性を有する基板であって、例えばガラス、水晶、サファイア等の結晶性基板、スピネル等の焼結体基板などを用いることができる。これらの材料のうち、特に水晶、サファイア等の材料は熱伝導性が高く、放熱性に優れる点で好ましい。図1に示すように、支持基板19の支持面19a上に設けられた緑色光・赤色光反射ダイクロイック膜52は、例えば酸化シリコンと酸化チタンとを複数層交互に積層した誘電体多層膜等により構成され、赤色発光層11R,緑色発光層11Gから支持基板19の裏面19b側に向けて射出された緑色光または赤色光をピックアップレンズ47側に向けて反射させる機能を有する。支持基板19の裏面19b上の反射防止膜53には、例えばフッ化マグネシウム薄膜等からなる従来一般の反射防止膜が用いられる。
【0039】
以下、発光層の構成について、赤色発光層11Rを例に挙げて説明する。ただし、緑色発光層11Gも、蛍光体粒子の種類が異なるだけであって、その構成は同様である。
赤色発光層11Rは、図3(A)に示すように、複数の蛍光体粒子55と、結合材56と、を含んでいる。蛍光体粒子55は、レーザー光源9から射出される励起光を吸収して蛍光を発する粒子状の蛍光体である。例えば、蛍光体粒子55には、中心波長が450nmの青色光によって励起されて蛍光を発する蛍光物質が含まれており、レーザー光源9が射出する励起光の一部を赤色の波長域を含む波長分布を有する光に変換して射出する。
【0040】
本実施形態の場合、赤色発光層11Rは実際には支持基板19上に設けられた緑色光・赤色光反射ダイクロイック膜52上に設けられているが、説明を簡略にするため、以下では緑色光・赤色光反射ダイクロイック膜52を省略して説明する。本明細書において、赤色発光層11Rは、支持基板19の支持面19aから複数の蛍光体粒子55の頂点までの平均的な高さを通り、支持面55に平行な平面(図3(A)に破線Aで示す)までの部分と定義する。また、赤色発光層11Rのうち支持基板19に近い領域を下層と称し、赤色発光層11Rのうち支持基板19から遠い領域を上層と称する。
【0041】
結合材56と複数の蛍光体粒子55とが赤色発光層11Rを構成しているが、結合材56は全ての蛍光体粒子55の周囲を覆っているわけではない。結合材56は、複数の蛍光体粒子55を支持基板19の上に固定するに十分な量であればよい。そこで、図3(A)に示したように、赤色発光層11Rの上層側においては、例えば蛍光体粒子55aが赤色発光層11Rから離脱しない程度に、蛍光体粒子55aと他の蛍光体粒子55との間の領域の少なくとも一部に空気57を設けている。これにより、赤色発光層11Rの支持基板19とは反対側の面においては、蛍光体粒子55aの表面のうち支持基板19とは反対側の表面が結合材56から露出することとなる。そのため、蛍光体粒子55から発せられた光Lのうち、結合材56を介さずに直接赤色発光層11Rの外部へ射出される成分が増加し、蛍光体粒子55から発せられた光Lが赤色発光層11R内を支持面19aと平行な方向に伝播しにくくなる。このようにして、本実施形態の蛍光体ホイール10によれば、蛍光体粒子55から発せられた蛍光のうち、赤色発光層11Rの外部に取り出される光の割合が増大し、光の取り出し効率が向上する。また、発光面積の拡大が従来よりも抑えられるため、蛍光発光部のエテンデューの増大が抑えられる。
【0042】
赤色発光層11Rの下層側においては、蛍光体粒子55と支持基板19との間の領域に結合材56を設けることで、複数の蛍光体粒子55を支持基板19の上に固定している。これにより、蛍光体粒子55aを含む複数の蛍光体粒子55が支持基板19の上に固定される。このように、赤色発光層11Rにおいて、互いに隣り合う蛍光体粒子55の間の領域は全て結合材56で占められているのではなく、結合材56と空気57とで占められている。
【0043】
赤色発光層11Rの上層側における複数の蛍光体粒子55間の領域に占める結合材56の割合は、赤色発光層11Rの下層側における複数の蛍光体粒子55間の領域に占める結合材56の割合よりも小さい。しかし、赤色発光層11Rの下層側においても、赤色発光層11Rの上層側と同様に、複数の蛍光体粒子55各々が支持基板19から離脱しない程度に、複数の蛍光体粒子55の間の領域に空気57を設けてもよい。
【0044】
なお、図3(A)では、支持基板19上に蛍光体粒子55が、赤色発光層11Rの厚さ方向に2個程度積層された形態の赤色発光層11Rを例示したが、図3(B)に示すように、赤色発光層11Rの厚さが複数の蛍光体粒子55の平均粒径と略等しいことが好ましい。換言すると、赤色発光層11Rが蛍光体粒子55の単層膜に近い構造を持つことが好ましい。図3(B)に示したように、赤色発光層11Rの厚さが複数の蛍光体粒子55の平均粒径と略等しい場合でも、赤色発光層11Rの支持基板19とは反対側の面においては、複数の蛍光体粒子55のうち、例えば蛍光体粒子55bの表面の一部は結合材56から露出している。また、互いに隣り合う蛍光体粒子55の間の領域は、結合材56と空気57とで占められている。そのため、蛍光体粒子55から発せられた光Lのうち、結合材56を介さずに直接赤色発光層11Rの外部へ射出される成分が増加する。
【0045】
赤色発光層11Rの厚さが複数の蛍光体粒子55の平均粒径と略等しい場合、多くの蛍光体粒子55が支持基板19と接触した状態となる。あるいは、多くの蛍光体粒子55が支持基板19と極めて接近した状態となる。これにより、蛍光体粒子55において発生した熱が蛍光体粒子55から支持基板19へ移動するときの移動距離が短くなる。これにより、蛍光体粒子55に励起光が照射された際の熱を支持基板19に効率良く伝え、支持基板19から放出することができる。
【0046】
図3(A)と図3(B)では、赤色発光層11Rの支持基板19とは反対側の面において、全ての蛍光体粒子55各々の表面の少なくとも一部が結合材56から露出している例を示したが、本発明は、赤色発光層11Rの支持基板19とは反対側の面において、結合材56から全く露出していない蛍光体粒子55の存在を排除するものではない。
【0047】
平均粒径が1μmから数十μm程度の蛍光体粒子が高い発光効率を示すことが知られている。青色光を励起光として赤色光を発光する蛍光体粒子55として、例えば平均粒径が10μm程度の(Sr,Ca)AlSiN:Euで示される組成の蛍光体を用いることができる。青色光を励起光として緑色光を発光する蛍光体粒子55として、例えば平均粒径が10μm程度の(Y,Gd)Al12:Ceで示される組成のYAG系蛍光体を用いることができる。なお、蛍光体粒子55の形成材料は、1種であっても良いし、2種以上の形成材料からなる粒子を混合したものを蛍光体粒子として用いても良い。
【0048】
結合材56は、上述したように、互いに隣り合う蛍光体粒子55同士、および蛍光体粒子55と支持基板19とを結合するものである。具体的に、結合材56は、例えば珪酸化合物等の無機材料の架橋体から構成されている。結合材56は、架橋剤が重合する際に、互いに隣り合う蛍光体粒子55同士の間および蛍光体粒子55と支持基板19との間に、下記の[化1]で表される架橋体が形成されたものである。複数の蛍光体粒子55同士および蛍光体粒子55と支持基板19とが無機材料の架橋体からなる結合材56によって強固に結合されることにより、機械的強度が高い赤色蛍光体層11Rを形成することができる。結合材56の材料としては、珪酸化合物のみならず、ポリビニルアルコールと重クロム酸塩を架橋剤として形成された架橋体、ジアゾニウム塩と塩化亜鉛との複塩を架橋剤として形成された架橋体が用いられても良い。
【0049】
【化1】

【0050】
ここで、本実施形態の蛍光体ホイール10の製造方法、特に赤色発光層11R、緑色発光層11Gの形成方法について説明する。
赤色発光層11R、緑色発光層11Gの形成方法には例えば以下の3つの手法を採用することができるが、第1の方法である沈降法について、図4(A)〜(D)を用いて説明する。
【0051】
最初に、図4(A)に示すように、容器60中に支持面19aが上になるように支持基板19を固定し、支持基板19を硫酸カリウムまたは酢酸バリウム等の電解質溶液61中に浸漬させる。このとき、支持基板19の支持面19aの発光層形成領域以外の領域にはテープ等によるマスキングを施しておき、発光層形成領域のみを露出させておく。
【0052】
次に、図示は省略するが、他の容器内で珪酸カリウムの水溶液中に蛍光体粒子を分散させた混合液を作製しておく。このとき、粗い蛍光体粒子はメッシュなどを用いて除去し、蛍光体粒子の粒径をある程度揃えておく方が好ましい。
次に、図4(B)に示すように、ノズル62を介して蛍光体粒子を含む混合液63を支持基板19上に一気に、かつ均一に注入する。その後、静置しておくと、蛍光体粒子55が支持基板19上に沈降し、図4(C)に示すように、支持基板19上に蛍光体粒子55からなる層64が形成される。
【0053】
その後、図4(D)に示すように、容器60を静かに傾斜させて上澄み液を排出させた後、支持基板19を加熱、乾燥させると、支持基板19上の所定の領域に複数の蛍光体粒子55が結合材56で結合されてなる赤色発光層11R,緑色発光層11Gが形成される。
【0054】
互いに隣り合う蛍光体粒子55の間の結合、および蛍光体粒子55と支持基板19との間の結合のメカニズムについては、蛍光体粒子55に吸着した珪酸カリウムが電解質の作用によりゲル化(珪酸重合)する際、架橋反応が生じ、蛍光体粒子55相互間および蛍光体粒子55と支持基板19との間に、上記の[化1]で表される架橋体が形成されると考えられる。そして、乾燥工程において、ゲル化した架橋体の体積収縮が生じるため、完成した結合材56は蛍光体粒子55の周囲を全て覆う形態ではなく、下層側の蛍光体粒子55間の領域に入り込む形となる。本実施形態のように、赤色発光層11Rと緑色発光層11Gとを作り分ける場合には、蛍光体粒子55の種類とマスキングの位置を変えて、上記の工程を2回繰り返せば良い。なお、各発光層11R,11Gの膜厚は蛍光体粒子55の使用量で調整することができる。上述したように、各発光層11R,11Gの膜厚は、使用する蛍光体粒子55の平均粒径を目標に設計することが望ましく、例えば10μm程度に設定することが望ましい。
【0055】
赤色発光層11R、緑色発光層11Gを形成する第2の方法として、スラリー法を採用することができる。
スラリー法の場合、ポリビニルアルコールと重クロム酸塩との混合水溶液(架橋剤)に蛍光体粒子55を分散させ、スラリーを作製する。支持基板19を傾斜させた状態で低速で回転させ、その上にスラリーを注入して全面に塗り広げる。
その後、支持基板19を高速で回転させて余分なスラリーを飛散させた後、塗膜を乾燥させる。
【0056】
次に、塗膜に紫外線を照射する。ポリビニルアルコールと重クロム酸塩との混合膜は、紫外線照射により水不溶性となる。そのため、フォトマスク等を用いて塗膜に選択的に紫外線を照射すれば、露光された領域のみが水不溶性となる。これにより、架橋剤からなる結合材56により蛍光体粒子55が支持基板19上の所定の領域に固定され、赤色発光層11R、緑色発光層11Gが形成される。
【0057】
赤色発光層11R、緑色発光層11Gを形成する第3の方法として、光粘着法を採用することができる。
光粘着法の場合、ジアゾニウム塩と塩化亜鉛との複塩(架橋剤)を例えばアルギン酸ポリプロピレングリコールエステル等の高分子水溶液に溶解させたものを支持基板19上に塗布する。塗膜を乾燥させた後、スラリー法と同様に、フォトマスク等を用いて塗膜に選択的に紫外線を照射する。この塗膜は紫外線が照射された箇所のみが粘着性を生じる。そのため、紫外線を照射した後、全面に蛍光体粒子55を散布し、余分な蛍光体粒子55を除去すれば、蛍光体粒子55が支持基板19上の露光領域にのみ固定され、赤色発光層11R、緑色発光層11Gが形成される。
以上の3種類の手法のいずれかを用いることにより、本実施形態の赤色発光層11R、緑色発光層11Gを有する蛍光体ホイール10を作製することができる。
【0058】
図1に示すように、蛍光体ホイール10は支持基板19の中心にモーター22が接続され、支持基板19の中心を通る回転軸23を中心として回転可能に設けられている。モーター22は、蛍光体ホイール10を使用時において例えば7500rpmで回転させる。この場合、蛍光体ホイール10上の励起光が照射される領域(ビームスポット)は、例えば直径約45mmの環状に形成された緑色発光層11Gの場合、緑色発光層11Gの表面上を約18m/秒で移動する。すなわち、モーター22は、蛍光体ホイール10上におけるビームスポットの位置を変位させる位置変位手段として機能する。これにより、励起光が蛍光体ホイール10上の同一の位置を照射し続けないため、照射位置の蛍光体粒子の熱劣化が防止され、装置を長寿命化することができる。
【0059】
コリメート光学系13は、蛍光体ホイール10から射出される光の広がりを抑える第1レンズ25と、第1レンズ25から入射される光を略平行化する第2レンズ26とを備えており、全体として蛍光体ホイール10から射出された光を平行化するものである。第1レンズ25と第2レンズ26とは凸レンズで構成されている。
【0060】
レンズアレイ14,15は、コリメート光学系13から射出された光の輝度分布を均一化するものである。レンズアレイ14は、複数の第1マイクロレンズ27がマトリクス状に配列されたものである。同様に、レンズアレイ15は、複数の第2マイクロレンズ28がマトリクス状に配列されたものである。第1マイクロレンズ27と第2マイクロレンズ28とは1対1で対応している。コリメート光学系13から射出された光は、複数の第1マイクロレンズ27に空間的に分割されて入射する。第1マイクロレンズ27は、入射した光を対応する第2マイクロレンズ28に結像させる。これにより、複数の第2マイクロレンズ28の各々に2次光源像が形成される。なお、第1マイクロレンズ27、第2マイクロレンズ28の外形形状は、液晶ライトバルブ4R,液晶ライトバルブ4G,液晶ライトバルブ4Bの画像形成領域の外形形状と略相似形となっている。
【0061】
偏光変換素子16は、レンズアレイ14,15から射出された光の偏光状態を揃えるものである。偏光変換素子16は、複数の偏光変換セルを含んでいる。各偏光変換セルは、第2マイクロレンズ28と1対1で対応している。第2マイクロレンズ28に形成された2次光源像からの光は、この第2マイクロレンズ28に対応する偏光変換セルの入射領域に入射する。
【0062】
偏光変換セルの各々には、入射領域に対応させて偏光ビームスプリッタ膜(以下、PBS膜と称する)及び位相差板が設けられている。入射領域に入射した光は、PBS膜によりPBS膜に対するP偏光とS偏光とに分離される。P偏光、S偏光の一方の偏光(ここではS偏光)は、反射部材で反射した後、位相差板に入射する。位相差板に入射したS偏光は、位相差板により偏光状態が他方の偏光(ここではP偏光)の偏光状態に変換されてP偏光になり、P偏光とともに射出される。
【0063】
重畳レンズ17は、偏光変換素子16から射出された光を被照明領域である液晶ライトバルブ4R,液晶ライトバルブ4G,液晶ライトバルブ4Bにて重畳させるものである。光源装置2から射出された光は、空間的に分割された後、重畳されることにより輝度分布が均一化されて光線軸周りの軸対称性が高められる。
【0064】
色分離光学系3は、ダイクロイックミラー30、ダイクロイックミラー31、ミラー32、ミラー33、ミラー34、フィールドレンズ35R、フィールドレンズ35G,フィールドレンズ35B、リレーレンズ36、リレーレンズ37を含んでいる。ダイクロイックミラー30、ダイクロイックミラー31は、例えばガラス表面に誘電体多層膜を積層したものである。ダイクロイックミラー30、ダイクロイックミラー31は、所定の波長帯域の色光を選択的に反射させ、それ以外の波長帯域の色光を透過させる特性を有している。ここでは、ダイクロイックミラー30が緑色光と青色光とを反射させ、ダイクロイックミラー31が緑色光を反射させる。
【0065】
光源装置2から射出された光Lは、ダイクロイックミラー30に入射する。光Lのうちの赤色光LRは、ダイクロイックミラー30を透過してミラー32に入射し、ミラー32で反射してフィールドレンズ35Rに入射する。赤色光LRは、フィールドレンズ35Rにより略平行化された後に、赤色光変調用の液晶ライトバルブ4Rに入射する。
【0066】
光Lのうちの緑色光LGと青色光LBとは、ダイクロイックミラー30で反射して、ダイクロイックミラー31に入射する。緑色光LGは、ダイクロイックミラー31で反射してフィールドレンズ35Gに入射する。緑色光LGは、フィールドレンズ35Gにより略平行化された後に、緑色光変調用の液晶ライトバルブ4Gに入射する。
【0067】
ダイクロイックミラー31を透過した青色光LBは、リレーレンズ36を透過し、ミラー33で反射した後、リレーレンズ37を透過し、ミラー34で反射してフィールドレンズ35Bに入射する。青色光LBは、フィールドレンズ35Bにより略平行化された後に、青色光変調用の液晶ライトバルブ4Bに入射する。青色光LBの光路は他の赤色光LRの光路、緑色光LGの光路と比べて光路長が長いため、光路長が長いことによる光の損失分を補償する目的で青色光LBの光路にはこのようなリレー光学系を適用する。
【0068】
液晶ライトバルブ4R,液晶ライトバルブ4G,液晶ライトバルブ4Bは、透過型の液晶ライトバルブにより構成されている。液晶ライトバルブ4R,液晶ライトバルブ4G,液晶ライトバルブ4Bは、画像情報を含んだ画像信号を供給するパーソナルコンピューター等の信号源(図示略)と電気的に接続されている。液晶ライトバルブ4R,液晶ライトバルブ4G,液晶ライトバルブ4Bは、供給された画像信号に基づいて、入射光を画素毎に変調して画像を形成する。液晶ライトバルブ4R,液晶ライトバルブ4G,液晶ライトバルブ4Bは、それぞれ赤色画像、緑色画像、青色画像を形成する。液晶ライトバルブ4R,液晶ライトバルブ4G,液晶ライトバルブ4Bにより変調された光(形成された画像)は、色合成素子5に入射する。
【0069】
色合成素子5は、ダイクロイックプリズムにより構成されている。ダイクロイックプリズムは、4つの三角柱プリズムが互いに貼り合わされた構造になっている。三角柱プリズムにおいて貼り合わされる面は、ダイクロイックプリズムの内面になる。ダイクロイックプリズムの内面に、赤色光が反射して緑色光が透過するミラー面と、青色光が反射して緑色光が透過するミラー面とが互いに直交して形成されている。ダイクロイックプリズムに入射した緑色光は、ミラー面をそのまま直進して射出される。ダイクロイックプリズムに入射した赤色光、青色光は、ミラー面で選択的に反射あるいは透過して、緑色光の射出方向と同じ方向に射出される。このようにして3つの色光(画像)が重ね合わされて合成され、合成された色光が投写光学系6によってスクリーン7に拡大投写される。
【0070】
従来の蛍光体ホイールにおいては、図6に示すように、蛍光体層101に含まれる蛍光体粒子102の周囲の全てがバインダー103で囲まれ、かつ、バインダー103が蛍光体層101の母材となっていた。このとき、蛍光体粒子102から種々の方向に射出された光のうち、母材と空気との界面に対して臨界角未満の入射角で入射した光L1は蛍光体層101の外部に取り出すことができる。これに対して、母材と空気との界面に対して臨界角以上の入射角で入射した光L2,L3は、母材と空気との界面で反射して母材中を基板119と平行な方向に伝播する。その結果、蛍光体層101の外部への蛍光の取り出し効率が低下するのに加え、蛍光体層101での発光面積が広がることになる。この発光面積の広がりによってエテンデューが増大し、プロジェクターにおける光利用効率が低下するという問題があった。
【0071】
これに対して、本実施形態の蛍光体ホイール10においては、図3(A)、(B)に示すように、赤色発光層11Rの支持基板19とは反対側の面においては、互いに隣り合う蛍光体粒子55の間の領域が結合材56と空気57とで占められている。また、蛍光体粒子55の表面の一部は結合材56から露出している。このため、蛍光体粒子55から発せられた光Lのうち、結合材56を介さずに直接赤色発光層11Rの外部へ射出される成分が増加し、蛍光体粒子55から発せられた光Lが赤色発光層11R内を支持面19aと平行な方向に伝播しにくくなる。このようにして、本実施形態の蛍光体ホイール10によれば、蛍光体粒子55から発せられた蛍光のうち、赤色発光層11Rの外部に取り出される光の割合が増大し、光の取り出し効率が向上する。また、発光面積の拡大が従来よりも抑えられるため、蛍光発光部のエテンデューの増大が抑えられ、従来に比べて光利用効率に優れた光源装置2を実現することができる。さらに、エネルギー効率に優れたプロジェクター1を実現することができる。励起光のスポット径に略等しい面積の蛍光発光部を形成することも可能である。
【0072】
また、本実施形態の蛍光体ホイール10においては、従来よりも多数の蛍光体粒子55が支持基板19に直接もしくは結合材56を介して接触した状態となっているため、励起光を受けて赤色発光層11R,緑色発光層11Gが発熱した際の放熱性に優れている。特に図3(B)に示したように、赤色発光層11Rの厚さが蛍光体粒子55の平均粒径と略等しい場合、より多くの蛍光体粒子55が支持基材19と接触した状態となり、蛍光体粒子55からの支持基板19への熱の移動距離が最短となる。これにより、蛍光体粒子55に励起光が照射された際の熱を、放熱部材としても機能する支持基材19から効率良く放出することができる。本実施形態の赤色発光層11R,緑色発光層11Gでは熱を十分に放出できるため、蛍光体粒子55の温度消光を抑制できる。さらに、ある蛍光体粒子55から光が発せられた後、その光が他の蛍光体粒子55に再入射する機会が減るため、光の損失を低減することができる。
【0073】
(変形例1)
第1実施形態においては、蛍光体ホイール10において赤色発光層11Rと緑色発光層11Gとを別個に同心状に配置する構成を例示した。この構成に代えて、図2(B)に示すように、単一の蛍光材料からなる蛍光体粒子、もしくは複数種の蛍光材料を混合した蛍光体粒子を円環状の単色の発光層12として設けた蛍光体ホイール10Bを用いても良い。この場合、例えば青色光を励起光として黄色光を発する蛍光材料を用いれば、青色光と黄色光とを混合させて白色光を生成することができる。
【0074】
(変形例2)
図2(C)に示すように、励起光である青色光を透過させる青色光透過部21と赤色発光層11Rと緑色発光層11Gとを円周方向で分割して設けた蛍光体ホイール10Cを用いても良い。この構成によれば、赤色光、緑色光、青色光が順次射出され、発光色が時分割で変化する光源装置を実現できる。このような光源装置と、赤色光画像、緑色光画像、青色光画像を時分割で切り換える液晶ライトバルブとを組み合わせれば、単板式のプロジェクターを構成することができる。
【0075】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図5を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と同様であり、光源装置の構成が異なるのみである。そのため、本実施形態では光源装置のみについて説明する。
図5は、本実施形態のプロジェクターの概略構成を示す図である。図5において第1実施形態の図1と共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0076】
本実施形態の光源装置71は、レーザー光源9(固体光源)、蛍光体ホイール72(発光素子)、第1のダイクロイックミラー73、第2のダイクロイックミラー74、第3のダイクロイックミラー75、第4のダイクロイックミラー76、第1のミラー43、第2のミラー44、ピックアップレンズ47、拡散板49、コリメータレンズ50、を備えている。第1のダイクロイックミラー73は、緑色光を透過させ、青色光の一部を透過させ、青色光の残りを反射させる分光特性を有している。第2のダイクロイックミラー74は、赤色光を透過させ、青色光の一部を透過させ、青色光の残りを反射させる分光特性を有している。第3のダイクロイックミラー75は、赤色光を反射させ、青色光を透過させる分光特性を有している。第4のダイクロイックミラー76は、赤色光および青色光を反射させ、緑色光を透過させる分光特性を有している。
【0077】
レーザー光源9は、例えば発光強度の中心波長が450nmの青色レーザー光を射出するものであり、第1実施形態と同様である。本実施形態でも、固体光源としてLEDを用いても良い。
【0078】
第1実施形態の蛍光体ホイール10は、光を透過させる際に蛍光発光(波長変換)を生じさせる透過型の蛍光体ホイールであった。これに対し、本実施形態の蛍光体ホイール72は、光を反射させる際に蛍光発光(波長変換)を生じさせる反射型の蛍光体ホイールである。したがって、本実施形態では、支持基板77(支持基材)として光反射性を有する基板が用いられる。具体的には、光反射率が高く、放熱性に優れるという観点から、例えばアルミニウム、銀等の金属基板が好ましく用いられる。光反射率を高めるためには、金属基板の表面が鏡面研磨されていることが好ましい。あるいは、金属単体の基板に代えて、アルミニウム基板上に銀を成膜したもの等を用いても良い。さらに、水晶やサファイア等の基板の表面に誘電体多層膜の反射膜が形成された支持基板を用いても良い。
【0079】
また、支持基板77の支持面77a上に、例えば酸化シリコン膜と酸化チタン膜との多層膜等、無機材料の酸化物からなる増反射膜78が設けられている。これにより、支持基板77の光反射率を高めることができる。また、シリコン酸化物等の無機材料の酸化物には結合材56の架橋体が比較的吸着し易いため、支持基板77と結合材56の密着性を高めることができる。本実施形態では、増反射膜78上に赤色発光層11Rと緑色発光層11Gとが別個に設けられている。
【0080】
赤色発光層11Rの構成は第1実施形態と同様であり、図3(A)、(B)に示したように、赤色発光層11Rの支持基板19とは反対側の面においては、互いに隣り合う蛍光体粒子55間の領域が結合材56と空気57とで占められている。また、蛍光体粒子55の表面の一部は結合材56から露出している。緑色発光層11Gの構成も赤色発光層11Rと同様である。なお、増反射膜78の膜厚は1μm以下と極めて薄いため、増反射膜78が介在することにより支持基板77の放熱性が妨げられることはない。
【0081】
レーザー光源9から射出される青色光の光路上に、第1のダイクロイックミラー73と第2のダイクロイックミラー74とが、各々の反射面が支持基板77の支持面77aと45度の角度をなすように配置されている。第1のダイクロイックミラー73と第2のダイクロイックミラー74とは、ともに青色光の一部を透過させ、残りを反射させる特性を有しているため、レーザー光源9から射出された青色光LBは、一部が第1のダイクロイックミラー73で反射して蛍光体ホイール72の緑色発光層11Gに向かい、残りが第1のダイクロイックミラー73を透過する。第1のダイクロイックミラー73を透過した青色光は第2のダイクロイックミラー74に入射し、一部が第2のダイクロイックミラー74で反射して蛍光体ホイール72の赤色発光層11Rに向かい、残りが第2のダイクロイックミラー74を透過する。
【0082】
第1のダイクロイックミラー73で反射した青色光LB1は緑色発光層11Gに入射する。緑色発光層11Gに入射した青色光LB1は、緑色発光層11Gの蛍光体粒子を励起して、例えば発光強度の中心波長が530nmの光に波長変換され、緑色光が射出される。緑色発光層11Gから射出された緑色光は、第1のダイクロイックミラー73を透過し、第4のダイクロイックミラー76に向かう。一方、第2のダイクロイックミラー74で反射した青色光LB2は赤色発光層11Rに入射する。赤色発光層11Rに入射した青色光LB2は、赤色発光層11Rの蛍光体粒子を励起して、例えば発光強度の中心波長が680nmの光に波長変換され、赤色光が射出される。赤色発光層11Rから射出された赤色光は、第2のダイクロイックミラー74を透過し、第3のダイクロイックミラー75に向かう。
【0083】
第2のダイクロイックミラー74を透過した青色光LB3は、第1のミラー43、第2のミラー44で反射して進行方向を変え、第3のダイクロイックミラー75に入射する。第1のミラー43と第2のミラー44との間の青色光LB3の光路上に、拡散板49とコリメータレンズ50とが設けられている。第1のミラー43で反射した青色光LB3は、拡散板49とコリメータレンズ50とを透過することによりビーム径が拡大され、所定のビーム径を有する青色光となった後、第2のミラー44に入射する。第3のダイクロイックミラー75では、第2のミラー44で反射した青色光が透過し、第2のダイクロイックミラー74を透過した赤色光が反射することにより青色光と赤色光とが合成される。さらに、第4のダイクロイックミラー76では、第1のダイクロイックミラー73を透過した緑色光が透過し、第3のダイクロイックミラー75によって合成された青色光と赤色光とが反射することにより、これらの光が合成され、白色光となって光源装置71から射出される。
【0084】
本実施形態においても、赤色発光層11R,緑色発光層11Gの外部への光取り出し効率が向上するとともに、エテンデューの増大が抑えられ、光利用効率に優れた光源装置が実現できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態の場合、蛍光体ホイール72の支持基板77が金属等の熱伝導性の高い材料で構成されているため、第1実施形態に比べて蛍光体粒子の発熱に対する放熱性を更に高めることができ、発光層の温度消光をより確実に抑えることができる。
【0085】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態では、第1の波長領域を青色光領域、第2の波長領域を赤色光領域および緑色光領域とし、青色光を励起光として赤色光および緑色光を蛍光発光させる構成としたが、この構成に代えて、例えば紫外光を励起光として赤色光、緑色光、青色光を蛍光発光させる構成としても良い。また、上記実施形態では、発光素子として回転可能な蛍光体ホイールを用いたが、発光素子は必ずしも回転可能でなくても良い。その他、上記実施形態で例示したプロジェクターおよび光源装置の各種構成要素の形状、数、配置、材料、製造方法等に関しては、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0086】
1…プロジェクター、2,71…光源装置、9…レーザー光源(励起光用光源)、10,10B,10C,72…蛍光体ホイール(発光素子)、11R…赤色発光層(蛍光体層)、11G…緑色発光層(蛍光体層)、19…支持基板(支持基材)、55…蛍光体粒子、56…結合材、57…空気、78…増反射膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合材によって互いに結合された複数の蛍光体粒子を含む蛍光体層と、前記蛍光体層を支持する支持面を有する支持基材と、を備え、
前記蛍光体層の前記支持基材とは反対側の面において、前記複数の蛍光体粒子のうち少なくとも一つの蛍光体粒子の表面の少なくとも一部が前記結合材から露出していることを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記蛍光体層の厚さが、前記複数の蛍光体粒子の平均粒径と略等しいことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記蛍光体層の前記支持基材とは反対側の面において、前記複数の蛍光体粒子の間の領域が、前記結合材と空気とで占められていることを特徴とする請求項1または2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記結合材が、無機材料の架橋体からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項5】
前記架橋体が珪酸化物からなることを特徴とする請求項4に記載の発光素子。
【請求項6】
前記支持基材の前記支持面に無機材料の酸化物層が設けられたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項7】
前記支持基材が金属からなり、
前記支持基材の前記支持面に無機材料の酸化物からなる増反射膜が設けられたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項8】
前記支持基材が、前記支持面に交差する回転軸を中心として回転可能とされたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項9】
複数の蛍光体粒子と架橋剤とを含む液状物を支持基材の支持面上に配置する工程と、
前記複数の蛍光体粒子間および前記蛍光体粒子と前記支持基材との間で前記架橋剤を介して架橋反応を生じさせる工程と、
前記液状物を乾燥させることにより、前記支持基材の前記支持面上に、前記複数の蛍光体粒子のうち少なくとも一つの蛍光体粒子の表面の少なくとも一部が前記架橋剤からなる結合材から前記支持基材とは反対側に露出した蛍光体層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項10】
前記蛍光体層の厚さが、前記複数の蛍光体粒子の平均粒径と略等しいことを特徴とする請求項9に記載の発光素子の製造方法。
【請求項11】
前記蛍光体層の前記支持基材とは反対側の面において、前記複数の蛍光体粒子の間の領域が、前記結合材と空気とで占められていることを特徴とする請求項9または10に記載の発光素子の製造方法。
【請求項12】
前記架橋剤が珪酸化合物からなることを特徴とする請求項9ないし11のいずれか一項に記載の発光素子の製造方法。
【請求項13】
前記架橋剤がポリビニルアルコールと重クロム酸塩とからなり、前記架橋剤に紫外線を照射することにより前記架橋反応を生じさせることを特徴とする請求項9ないし11のいずれか一項に記載の発光素子の製造方法。
【請求項14】
前記架橋剤がジアゾニウム塩と塩化亜鉛との複塩からなり、前記架橋剤に紫外線を照射することにより前記架橋反応を生じさせることを特徴とする請求項9ないし11のいずれか一項に記載の発光素子の製造方法。
【請求項15】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の発光素子と、前記複数の蛍光体粒子を励起させる励起光を射出する励起光用光源と、を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項16】
請求項15に記載の光源装置と、前記光源装置から射出される光を変調する光変調素子と、前記光変調素子によって変調された光を投写する投写光学系と、を備えたことを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−185402(P2012−185402A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49674(P2011−49674)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】