説明

発光素子の外囲器

【課題】基板に接地する放熱部品を有する発光素子の外囲器の製造に際して、高い精度を不要とする。
【解決手段】放熱部品70をパッケージ20の底面より突出させるとともに、リードフレーム11,12を基板50に対して挿入可能な形状にする。これにより、外囲器を基板50に実装する際に、パッケージ20の底面より突出した放熱部品70の底面全体が外囲器を支える構造となり、リードフレーム11,12の製造に高い製造精度を不要とすることができる。また、発光素子1を放熱部品70の上面に配置し、パッケージ20の底面より突出した放熱部品70を基板50に実装することにより、放熱の改善を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子が発した熱を外部に放熱するようにした発光素子の外囲器に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)の外囲器には、砲弾型のリードタイプや表面実装タイプなどがある。図7に表面実装タイプの斜視図を、図8にその断面図を示す。また、図8においては、外囲器を基板50にはんだ40で実装した様子と、放熱経路60についても示している。
【0003】
各図で示すように、従来の外囲器は、パッケージ20に内壁が傾斜した凹部21を備え、凹部21の底面に金属製のリードフレーム11,12が配置される。リードフレーム11に発光素子1の下端の電極が銀ペースト等の導電性材料で接続され、発光素子1の上端の電極は、ワイヤ3を通じてリードフレーム12に接続される。リードフレーム11,12は、パッケージ20の側面より突出し、パッケージ20の側面に沿って下部に伸び、パッケージ20の底面に沿うように内側に折り曲がっている。
【0004】
発光素子1は発光に伴い発熱するが、図8の主とする放熱経路60で示すように、発光素子1からの発熱は、金属製のリードフレーム11,12を経由して、基板50およびパッケージ20の周囲に放熱される。リードフレーム12は発光素子1とワイヤ3を介して接続されているのに対し、リードフレーム11は発光素子1と導電性材料により直接接続されているので、リードフレーム12からの放熱よりも、リードフレーム11からの放熱のほうが大きい。
【0005】
ところで、近年は、LEDの大電流高輝度化(高効率化)が進んでいる。大電流化に伴いLEDの発熱量が増加するので、外囲器での放熱が重要となる。
【0006】
LEDからの放熱を改善した外囲器構造として、特許文献1に記載のものが提案されている。特許文献1で提案されている構造は、リードフレームとは別に放熱を目的とした部品が設けられている。この放熱部品上にLEDがマウントされているため、放熱に適した構造になっている。
【特許文献1】特表2004−521506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この構造は特許文献1の図7に示されるように、ろう付け接続ストリップ3a,3bの実装面と熱的な接続部分4の底面6の3つの面が基板上に接地されることを必要とする3点支持構造となる。したがって、確実に底面6が実装基板に接するためには、ろう付け接続ストリップ3a,3bの実装面および底面6を平坦にする高い精度が要求される。
【0008】
発光素子が透明樹脂などでモールドされ指向性がコントロールされている外囲器を複数使用して列状に実装する場合、あるいは、マトリックス実装する場合においては、基板面に対する発光素子の外囲器の浮きや傾きなどの実装精度の均一化が要求される。従来例の3点支持構造では、3つの実装面がほぼ同一面で設計されているため、一部の発光素子の外囲器においてろう付け接続ストリップ3a,3bの実装面がねじれや曲がりによってそれぞれの実装面の高さに差異が生じた場合、他の正常に実装された発光素子の外囲器に対して放射方向がずれてしまうなど面光源、線光源として問題となる。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、基板に実装する放熱部品を有する発光素子の外囲器の製造に際して、高い製造精度を必要としないことにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明に係る発光素子の外囲器は、発光素子を配置するための内壁が傾斜した凹部を上部に備えるとともに、放熱部品の挿入口を凹部に貫通した状態で底部に備えたパッケージと、前記挿入口に挿入されたときにパッケージの底面よりも突出して基板に対して接触可能な底面を備えるとともに発光素子を配置可能な上面を備えた放熱部品と、前記発光素子を外部に対して電気的に接続するためのものであって、基板に対して挿入可能な形状の電気的に一対のリードフレームと、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、放熱部品をパッケージの底面より突出させるとともに、リードフレームを挿入可能な形状としたことで、発光素子の外囲器を支持する部分が放熱部品の底面だけとなり、放熱部品の底面とリードフレームの実装面を同一面上にそろえる必要がないので、発光素子の外囲器を基盤面に対して容易かつ確実に実装することができ、もって発光素子の外囲器の製造については高い製造精度を不要とすることができる。
【0012】
また、発光素子を放熱部品の上面に配置し、パッケージの底面より突出した放熱部品を基板に実装することにより、発光素子からの放熱の改善が可能となる。
【0013】
第2の本発明に係る発光素子の外囲器は、前記放熱部品と一方のリードフレームを接続するワイヤと、前記発光素子の上端の電極と他方のリードフレームを接続するワイヤと、を有し、前記発光素子の下端の電極が前記放熱部品と電気的に接続されていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の発光素子の外囲器によれば、基板に実装する放熱部品を有する発光素子の外囲器の製造に際して、高い製造精度を不要とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0016】
[第1の実施の形態]
図1に一実施の形態における発光素子の外囲器の構成の斜視図を、図2にその断面図を示す。また、図2においては、本外囲器を基板50にはんだ40で実装した様子についても示している。本外囲器は、モールド樹脂製のパッケージ20に、内壁が傾斜した反射面となっている凹部21をパッケージ20の上部に備える。パッケージ20の底部には、放熱部品70を挿入するための挿入口22を凹部21に貫通した状態で備える。
【0017】
挿入口22には、Cu系の材質でできた放熱部品70が挿入される。放熱部品70は段構成で、上面より底面が広くなっている。また、放熱部品70を挿入口22よりパッケージ20に挿入した状態においては、放熱部品70の底面は、パッケージ20の底面よりも突出する。さらに、放熱部品70の上面は、凹部21の底面を形成し、パッケージ20の上面側からは、放熱部品70の上面を視認することができる。なお、放熱部品70の形状は、円柱であっても角柱であってもよく、材質としてセラミックスを用いてもよい。
【0018】
放熱部品70の上面には、発光素子1が配置される。発光素子1の下端の電極は、銀ペースト等の導電性材料により放熱部品70の上面と接続され、放熱部品70はワイヤ3aを介してパッケージ20の内部に挿入されたリードフレーム11に接続される。また、発光素子1の上端の電極は、ワイヤ3bを介してパッケージ20の内部に挿入されたリードフレーム12に接続される。なお、ワイヤ3a,3bはAu系の材質を、リードフレーム11,12はFe系の材質を採用する。
【0019】
リードフレーム11,12は、パッケージ20の側面より突出し、パッケージ20の側面に沿って下部に伸び、基板50に挿入できる形状である。また、リードフレーム11,12は、基板50に挿入できるように、パッケージ20の底面より突出した放熱部品70よりも突出する。
【0020】
凹部21には、上面の開口部から透明材料30が液体の状態で注入され、その後、加温され硬化される。透明材料30としては、例えば透光性のエポキシ樹脂が用いられる。発光素子1が発した直接光およびこの直接光が凹部21の反射面で反射した反射光は透明材料30を介して外部へ放射される。
【0021】
本外囲器においては、基板50に実装する際に、リードフレーム11,12が、基板50に挿入されることから、外囲器を支持する点が放熱部品の底面だけとなり、放熱部品70の底面とリードフレーム11,12の実装面が同一面である必要がなくなるので、本外囲器の製造については高い製造精度を不要とすることができる。
【0022】
発光素子1が放熱部品70の上面に導電性材料により直接接続されていることから、発光素子1の発する熱は、放熱部品70を介して基板50に放熱されるので、従来の外囲器より放熱経路が短くなり放熱の改善を図ることができる。
【0023】
したがって、本実施の形態によれば、放熱部品70をパッケージ20の底面より突出させるとともに、リードフレーム11,12を基板50に対して挿入可能な形状にしたことで、外囲器を基板50に実装する際に、パッケージ20の底面より突出した放熱部品70の底面全体が外囲器を支える構造となり、リードフレーム11,12の製造に高い製造精度を不要とすることができる。
【0024】
本実施の形態によれば、発光素子1を放熱部品70の上面に配置し、パッケージ20の底面より突出した放熱部品70を基板50に実装することにより、放熱の改善を図ることができる。
【0025】
[第2の実施の形態]
図3は、本実施の形態における発光素子の外囲器の構成を示す断面図であり、図4はその上面図であり、図5はその斜視図である。
【0026】
本実施の形態における発光素子の外囲器は、モールド樹脂製のパッケージ20に、内壁が傾斜した反射面となっている凹部21をパッケージ20の上部に備える。また、パッケージ20の底部には、放熱部品70を挿入するための挿入口22を凹部21に貫通した状態で備える。
【0027】
挿入口22には、放熱部品70が挿入される。放熱部品70を挿入口22よりパッケージ20に挿入した状態においては、放熱部品70の底面は、パッケージ20の底面よりも突出する。放熱部品70の上面は、凹部21の底面を形成するので、パッケージ20の上面側からは、放熱部品70の上面を視認することができる。
【0028】
放熱部品70は、非導電性のセラミックスでできており、放熱部品70の上部には、発光素子1を配置するための凸部を備えている。凸部の上面中央部には、発光素子1の下端の電極とリードフレームとの導通がとれるようにするために、メッキ層71を備えている。メッキ層71は、例えば、銀・金・パラジウムがニッケルの下地の上に設けられている構成となっている。なお、放熱部品70が導電性を有する場合は、電気的に一対のリードフレームのうち少なくとも一方のリードフレームと放熱部品70とは絶縁されていなければならない。
【0029】
放熱部品70の凸部の上面中央部に配置されたメッキ層71の上面には、発光素子1が配置され、発光素子1の下端の電極は、メッキ層71、ワイヤ3aを介してパッケージ20の内部に挿入されたリードフレーム11に接続される。また、発光素子1の上端の電極は、ワイヤ3bを介して、パッケージ20の内部に挿入されたリードフレーム12に接続される。
【0030】
リードフレーム11,12は、放熱部品70の上面に接触して配置され、パッケージ20の側面より突出し、パッケージ20の側面に沿って下部に伸び、基板50に挿入できる形状である。なお、リードフレーム11,12は、基板50に挿入できるように、放熱部品70よりも下部に伸びている。
【0031】
発光素子1が放熱部品70の上面に配置されるとともに、放熱部品70が基板50に接触するように実装されることから、発光素子1の発する熱は、放熱部品70を介して基板50に放熱されるので、放熱の改善を図ることができる。
【0032】
また、リードフレーム11,12と放熱部品70が接触していることにより、発光素子1の発する熱は、リードフレーム11,12も効果的な放熱経路として利用されるので、より放熱の改善を図ることができる。リードフレーム11,12は、基板50にはんだ40で固定されるので、リードフレーム11,12を伝わった熱は、基板50裏面の銅箔へ主に放熱され、リードフレーム11,12を固定しているはんだ40のヒートシンクとしての効果も得られる。
【0033】
したがって、本実施の形態によれば、発光素子1を放熱部品70の上面に配置し、パッケージ20の底面より突出した放熱部品70を基板50に実装することにより、放熱の改善を図ることができる。また、リードフレーム11,12を放熱部品70に接触させることにより、リードフレーム11,12も効果的な放熱経路として利用できるので、より放熱の改善を図ることができ、もって発光素子1の温度を下げ、特性を向上させることが可能となる。
【0034】
なお、いずれの実施の形態においても、放熱部品を上から見た形状は、図6(a)に示すような矩形や、図6(c)、(d)に示すような円に限定するものではなく、図6(b)に示す放熱部品の例のように6角形であってもよく、その他の形状をしていてもよい。
【0035】
また、いずれの実施の形態においても、図6(a)〜(d)に示す放熱部品の例のように、放熱部品の下部を上部よりも大きくすることにより、発光素子1において発生した熱を均一に早く分散させながら、伝えることができるので、さらに放熱の改善を図ることができる。なお、図6(a)、(b)に示すように、上部から下部にかけて階段状に大きくなるものでも、図6(c)、(d)に示すように、下部が大きいテーパー形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1の実施の形態における発光素子の外囲器の構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態における発光素子の外囲器の構成を示す断面図である。
【図3】第2の実施の形態における発光素子の外囲器の構成を示す断面図である。
【図4】第2の実施の形態における発光素子の外囲器の構成を示す上面図である。
【図5】第2の実施の形態における発光素子の外囲器の構成を示す斜視図である。
【図6】さまざまな形状の放熱部品の上面および側面を示す図である。
【図7】従来の発光素子の外囲器の構成を示す斜視図である。
【図8】従来の発光素子の外囲器の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1…発光素子
3,3a,3b…ワイヤ
11…リードフレーム
12…リードフレーム
20…パッケージ
21…凹部
22…挿入口
30…透明材料
40…はんだ
50…基板
60…放熱経路
70…放熱部品
71…メッキ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を配置するための内壁が傾斜した凹部を上部に備えるとともに、放熱部品の挿入口を凹部に貫通した状態で底部に備えたパッケージと、
前記挿入口に挿入されたときにパッケージの底面よりも突出して基板に対して接触可能な底面を備えるとともに発光素子を配置可能な上面を備えた放熱部品と、
前記発光素子を外部に対して電気的に接続するためのものであって、基板に対して挿入可能な形状の電気的に一対のリードフレームと、
を有することを特徴とする発光素子の外囲器。
【請求項2】
前記放熱部品は非導電性であって、前記リードフレームのうち少なくとも一方が前記放熱部品と接触していることを特徴とする請求項1に記載の発光素子の外囲器。
【請求項3】
前記放熱部品は導電性であって、前記リードフレームのうち少なくとも一方が前記放熱部品と絶縁されており、前記リードフレームのうち少なくとも一方が前記放熱部品と接触していることを特徴とする請求項1に記載の発光素子の外囲器。
【請求項4】
前記放熱部品は、上部よりも下部のほうが大きくなっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の発光素子の外囲器。
【請求項5】
前記放熱部品は、上部から下部にかけて階段状に大きくなっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発光素子の外囲器。
【請求項6】
前記放熱部品は、上部よりも下部のほうが大きくなっているテーパー形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発光素子の外囲器。
【請求項7】
前記放熱部品と一方のリードフレームを接続するワイヤと、
前記発光素子の上端の電極と他方のリードフレームを接続するワイヤと、を有し、
前記発光素子の下端の電極が前記放熱部品と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の発光素子の外囲器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−116078(P2007−116078A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38384(P2006−38384)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】