説明

発光素子駆動回路、表示装置

【課題】スイッチング電源に電気的に並列に平滑コンデンサが接続されている場合でも、発光ダイオードを駆動するための駆動電圧の立上り部分を急峻に変化させることのできる発光素子駆動回路を実現する。
【解決手段】発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDを駆動する発光素子駆動回路において、第一電流供給部として機能するDC/DCコンバータ10の出力電流値と、各発光ダイオードに対して設定された基準値と電流検出回路5によって検出される電流値との差に対応する電流値を出力する第二電流供給部として機能する第二電流供給回路8の出力電流とを加えた電流を各発光ダイオードへ供給する。2つの電流供給部の出力電流を加えた電流を供給することにより、各発光ダイオードへの供給電流を瞬時に立上げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光素子駆動回路、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以下、適宜、LEDと略称する)を駆動するための電源にスイッチング電源が用いられることがある。特許文献1には、スイッチングモード電流源と線形モード電流源とを使って、相互補完によりLEDに安定した電流を供給するLED駆動装置が記載されていて、線形モード電流源による線形モード電流の波形とスイッチングモード電流源によるスイッチングモード電流の波形とを相互補完的な関係とし、これらの電流を合わせることにより、矩形波の形態を有する電流を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−229209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のLED駆動装置では、線形モード電流源の動作は完全に止まらないため、電源電圧が高いほど、線形モード電流源の効率が低下する。その結果、システム全体の効率が悪化するという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、スイッチング電源に電気的に並列に平滑コンデンサが接続されている場合でも、システム全体の効率を悪化させることなく、発光ダイオードを駆動するための駆動電圧の立上り部分を急峻に変化させることのできる発光素子駆動回路、および、それを用いた表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した問題を解決するため、本発明による発光素子駆動回路は、発光素子に対して設定された基準値に応じて出力電流値を制御する第一電流供給部と、前記発光素子に流れる電流値を検出する電流検出部と、前記基準値と前記電流検出部によって検出される電流値との差に対応する電流値を出力する第二電流供給部と、を含み、前記第一電流供給部の出力電流と前記第二電流供給部の出力電流とを加えた電流を前記発光素子へ供給するようにしたことを特徴とする。
【0007】
また、前記第一電流供給部と前記第二電流供給部とに共通に設けられ、前記基準値が予め設定されており、前記発光素子の駆動時に前記基準値を出力する基準値設定部をさらに含んでもよい。
【0008】
さらに、前記第一電流供給部は、一端が前記第二電流供給部の出力に接続され他端がダイオードを介して自身の出力に接続された抵抗素子の両端電位差と、前記基準値との比較結果に基づいて前記出力電流値を制御するようにしてもよい。
【0009】
前記第二電流供給部は、前記基準値と前記電流検出部によって検出される電流値との差を検出する比較回路による比較結果に応じて、前記第一電流供給部の出力電流に加える電流を出力するようにしてもよい。
【0010】
前記発光素子の駆動時に前記発光素子への供給電圧を平滑にする容量素子をさらに含むようにしてもよい。
【0011】
前記第二電流供給部を、前記発光素子を点灯させる点灯制御信号の遷移タイミングから所定時間だけ動作させるタイマー回路をさらに含むようにしてもよい。
【0012】
また、前記発光素子は、発光色が異なる複数の発光素子であり、
前記複数の発光素子それぞれに対応して設けられ対応する発光素子への供給電圧を平滑にする複数の容量素子と、
前記複数の発光素子が電源により択一的に駆動されるように制御する切替制御部と、前記複数の容量素子のうち、駆動される発光素子に対応する容量素子を、前記電源と電気的に並列に接続するように制御する容量切替部と、をさらに含み、前記複数の発光素子についてフィールドシーケンシャル駆動を行うようにしてもよい。
【0013】
なお、前記電流検出部は、前記複数の発光素子に共通に設けられているのが望ましい。
【0014】
本発明による表示装置は、上記の発光素子駆動回路と、それによって駆動される、発光色が異なる複数の発光素子と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、システム全体の効率を悪化させることなく、発光ダイオードを駆動するための駆動電圧の立上り部分を急峻に変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による表示装置に用いる発光素子駆動回路の実施の一形態の主要構成部分を示す図である。
【図2】図1の発光素子駆動回路のより詳細な構成を示す図である。
【図3】図2の発光素子駆動回路の動作を示す波形図であり、過渡状態の動作を示す図である。
【図4】図2の発光素子駆動回路の動作を示す波形図であり、定常状態の動作を示す図である。
【図5】本発明による表示装置の動作を示す波形図である。
【図6】本発明による発光素子駆動回路の他の実施例の主要構成部分を示す図である。
【図7】図6の発光素子駆動回路のより具体的な構成を示す図である。
【図8】図7の発光素子駆動回路の動作を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、他の図と同等部分は同一符号によって示されている。
【0018】
(発光素子駆動回路の駆動対象)
発光素子駆動回路の駆動対象は、プロジェクタの投写用など、表示装置の発光素子として用いられる発光ダイオードである。本実施形態では、発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDが駆動対象である。発光ダイオードR−LEDの発光色は赤色(R)、発光ダイオードG−LEDの発光色は緑色(G)、発光ダイオードB−LEDの発光色は青色(B)、である。これら発光色が異なる発光ダイオードは、順方向電圧や定格電流が互いに異なるので、本実施形態の駆動回路では、各発光ダイオードに適切な電流を流す機能を有している。
【0019】
(発光素子駆動回路の構成例)
図1において、本実施形態による発光素子駆動回路は、入力電圧Vinによる電流を安定させるためのインダクタ2と、発光ダイオードへ供給される電流の逆流を防止するためのダイオード3と、発光色が互いに異なる複数の発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDへの電圧の供給を制御(つまり、供給する電流を制御)するためのLED切替制御回路SWと、発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDに供給される電圧を平滑にするための平滑コンデンサ部Cout と、この平滑コンデンサ部Cout と発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDの各アノードとの電気的接続を制御するためのコンデンサ切替回路SWCとを備えている。
【0020】
また、本実施形態による発光素子駆動回路は、発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDに電流を供給する第一電流供給部として機能するDC/DCコンバータ10と、DC/DCコンバータ10による供給電流の立上りの期間において補助的に発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDに電流を供給する第二電流供給部として機能する第二電流供給回路8とを備えており、これら2つの電流供給部からそれぞれ出力される電流を加えた合成電流が発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDに与えられる。
【0021】
また、本実施形態による発光素子駆動回路は、第一電流供給部として機能するDC/DCコンバータ10から出力される電流を検出する第一電流検出回路6と、発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDに流れる電流を検出するための第二電流検出回路5と、各発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDに流れる電流の基準値に対応する基準電圧Vref を生成するVref 設定部4と、第二電流検出回路5による検出結果と基準電圧Vref とを比較する比較回路7とを備えている。
【0022】
DC/DCコンバータ10は、その出力による供給電流が、第一電流検出回路6による検出結果と基準電圧Vref との比較結果に応じて制御される。また、第二電流供給回路8は、その出力が、比較回路7による比較結果に応じて制御される。第一電流供給部として機能するDC/DCコンバータ10から供給される電流と、第二電流供給回路8の出力電流とを加えた合成電流を、発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDへ供給することにより、各発光ダイオードに供給される電流はそれぞれ適切な値になるように制御される。
【0023】
同図において、本実施形態による発光素子駆動回路は、発光色が異なる(すなわち、順方向電圧が異なる)複数の発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDをフィールドシーケンシャル駆動するために、これら発光ダイオードに対して択一的に、電流を供給する機能を有している。より具体的には、本回路への入力電圧Vinによる電流がインダクタ2、ダイオード3、および、第一電流検出回路6を介して、第二電流供給回路8の出力電流と加えられ、発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDに択一的に印加される。これにより、電流が流れている発光ダイオードは所定の色に発光することになる。つまり、発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDが択一的に発光し、フィールドシーケンシャルカラー表示が実現される。
【0024】
発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDを択一的に発光させるために、図示せぬ制御回路から入力されるRGB−LED点灯制御信号100によって、LED切替制御回路SWおよびコンデンサ切替回路SWCの切替制御が行われる。
【0025】
(第一電流検出回路)
ここで、図1の各部のより詳細な構成を示す図2を参照すると、第一電流検出回路6は、一端が第二電流供給回路8の出力に接続され他端がダイオード3を介してDC/DCコンバータ10の出力に接続された抵抗素子61と、この抵抗素子61の両端の電位を入力とする差動増幅器62とを備えている。この構成により、第一電流検出回路6は、第一電流供給部として機能するDC/DCコンバータ10からの出力電流IDC/DCのレベルを検出することができる。出力電流IDC/DCのレベルの検出結果は、電圧値FBとしてDC/DCコンバータ10に入力される。
【0026】
(平滑コンデンサ部)
ここで、平滑コンデンサ部Cout には、発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDそれぞれに対応して、平滑コンデンサCR、CG、CBが設けられている。つまり、発光ダイオードR−LED専用の平滑コンデンサCR、発光ダイオードG−LED専用の平滑コンデンサCG、発光ダイオードB−LED専用の平滑コンデンサCB、が平滑コンデンサ部Cout に設けられている。そして、LED切替制御回路SWの切替制御によって駆動される発光ダイオードに対応する平滑コンデンサが選択されるように、コンデンサ切替回路SWCの切替制御が行われる。すなわち、発光ダイオードR−LEDが駆動される場合は平滑コンデンサCRが、発光ダイオードG−LEDが駆動される場合は平滑コンデンサCGが、発光ダイオードB−LEDが駆動される場合は平滑コンデンサCBが、それぞれ選択されるようにコンデンサ切替回路SWCによる切替制御が行われる。
【0027】
(LED切替制御回路)
また、図2を参照すると、LED切替制御回路SWには、NchMOS型FET(以降、スイッチと略称する)が、各発光ダイオードに対応して、備えられている。すなわち、発光ダイオードR−LEDに対応してスイッチSWRが、発光ダイオードG−LEDに対応してスイッチSWGが、発光ダイオードB−LEDに対応してスイッチSWBが、それぞれ設けられている。そして、発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDの各アノード端子はダイオード3のカソード端子側すなわち電圧Vout に接続されている。また、発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDの各カソード端子は、対応する、スイッチSWR、スイッチSWG、スイッチSWBのドレイン端子に接続されている。また、スイッチSWR、スイッチSWG、スイッチSWBのゲート端子にはRGB−LED点灯制御信号100の対応する制御信号が印加され、これらのソース端子は、共通に設けられた電流検出用の抵抗素子Rsense に接続されている。電流検出用の抵抗素子Rsenseは各発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDについて共通に設けられているので、回路規模の増加を最小限度に抑えることができる。
【0028】
このような構成において、スイッチSWR、スイッチSWG、スイッチSWBは、RGB−LED点灯制御信号100によって択一的にオン状態になり、それぞれ対応する発光ダイオードに電流を流すためのスイッチとして機能する。
【0029】
(コンデンサ切替回路)
図2を参照すると、コンデンサ切替回路SWCは、ゲート端子が共通でドレイン端子同士が直結された一対のPchMOS型FET(以降、スイッチと略称する)を、各発光ダイオードに対応して、備えている。すなわち、発光ダイオードR−LEDに対応して2つのスイッチSWCR−1およびSWCR−2が、発光ダイオードG−LEDに対応して2つのスイッチSWCG−1およびSWCG−2が、発光ダイオードB−LEDに対応して2つのスイッチSWCB−1およびSWCB−2が、それぞれ設けられている。
【0030】
スイッチSWCR−1のソース端子にはダイオード3のカソード端子が接続され、スイッチSWCR−2のソース端子はコンデンサCRの高電位側に接続されている。スイッチSWCG−1のソース端子にはダイオード3のカソード端子が接続され、スイッチSWCG−2のソース端子はコンデンサCGの高電位側に接続されている。スイッチSWCB−1のソース端子にはダイオード3のカソード端子が接続され、スイッチSWCB−2のソース端子はコンデンサCBの高電位側に接続されている。
【0031】
なお、スイッチSWCR−1およびSWCR−2のゲート端子にはLED切替制御回路SWを構成するスイッチSWRのドレイン端子が、スイッチSWCG−1およびSWCG−2のゲート端子にはLED切替制御回路SWを構成するスイッチSWGのドレイン端子が、スイッチSWCB−1およびSWCB−2のゲート端子にはLED切替制御回路SWを構成するスイッチSWBのドレイン端子が、それぞれ接続されている。
【0032】
そして、スイッチSWCR−1およびSWCR−2、スイッチSWCG−1およびSWCG−2、スイッチSWCB−1およびSWCB−2は、RGB−LED点灯制御信号100によって、択一的にオン状態になる。これにより、スイッチSWCR−1およびSWCR−2、SWCG−1およびSWCG−2、SWCB−1およびSWCB−2は、それぞれ対応する発光ダイオードに対応して設けられている平滑コンデンサCR、CG、CBに蓄積された電荷を、対応する発光ダイオードのアノードに供給するためのスイッチとして機能する。
【0033】
ここで、スイッチを構成するPchMOS型FETのドレイン同士が接続されているため、それらの寄生ダイオードD1およびD2は、アノード同士が接続された状態になっている。このため、各スイッチを構成するPchMOS型FETのゲート電圧が、寄生ダイオードD1およびD2による閾値を超えた場合に、スイッチ部として機能するスイッチSWCR−1およびSWCR−2、スイッチSWCG−1およびSWCG−2、スイッチSWCB−1およびSWCB−2が導通状態に遷移する。
【0034】
ところで、図2に示されているように、本実施形態では、RGB−LED点灯制御信号100によってLED切替制御回路SW内のいずれかのスイッチがオン状態に遷移した後、それに連動して、対応する発光ダイオードの閾値電圧を超える前に、コンデンサ切替回路SWC内の一対のスイッチがオン状態に遷移する構成を採用している。すなわち、RGB−LED点灯制御信号100が印加されて発光ダイオードのアノード−カソード端子間(両端子間)に電圧を印加するためのスイッチがオンになった後、平滑コンデンサを電源に電気的に並列に接続するためのスイッチ(例えば、スイッチSWCR−1およびSWCR−2)がオンになり、その後発光ダイオードのアノード−カソード端子間の電圧が閾値電圧を超えたときにその発光ダイオードが発光する。つまり、PchMOS型FETの寄生ダイオードの閾値電圧よりも、発光ダイオードの閾値電圧が大となるようにしておくことにより、特別な制御回路を設けることなく、RGB−LED点灯制御信号100を入力するだけで、上記のような所望の連動した動作順序を実現することができる。
【0035】
また、LED切替制御回路SWおよびコンデンサ切替回路SWCについて、共通に、制御回路(図示せず)が設けられており、その制御回路から出力されるRGB−LED点灯制御信号100によってLED切替制御回路SWおよびコンデンサ切替回路SWCの切替制御が行われることになる。この構成を採用することにより、LED切替制御回路SWおよびコンデンサ切替回路SWCについて別々に制御回路を設ける場合に比べて回路規模を小さくすることができ、かつ、消費電力を低減することができる。また、この構成を採用することにより、LED切替制御回路SWおよびコンデンサ切替回路SWCについて、特別な電源を用意する必要がないので、この点からも回路規模を小さくすることができ、かつ、消費電力を低減することができる。
【0036】
(第二電流検出回路)
図2を参照すると、第二電流検出回路5には、抵抗素子Rsense が設けられている。この抵抗素子Rsense に流れる電流ILED が電圧に変換され、その検出結果に対応する電圧値がDC/DCコンバータ10に入力される。ここで、LED切替制御回路SWにおいてスイッチSWRがオン状態になると発光ダイオードR−LEDが、スイッチSWGがオン状態になると発光ダイオードG−LEDが、スイッチSWBがオン状態になると発光ダイオードB−LEDが、それぞれ発光することになる。そして、これら発光ダイオードの発光の際における電流値が第二電流検出回路5によって検出される。
【0037】
(Vref 設定部)
図2を参照すると、Vref 設定部4は、発光ダイオードR−LEDに対応して設けられた可変抵抗素子41Rおよびスイッチ42Rと、発光ダイオードG−LEDに対応して設けられた可変抵抗素子41Gおよびスイッチ42Gと、発光ダイオードB−LEDに対応して設けられた可変抵抗素子41Bおよびスイッチ42Bと、を備えている。各スイッチ42R、42G、42Bの一端は電源電圧VCCに接続され、他端は各可変抵抗素子41R、41G、41Bの一端に接続されている。可変抵抗素子41R、41G、41Bの他端は抵抗素子43を介してグランドに接続されている。
【0038】
このような構成において、スイッチ42R、42G、42BはRGB−LED点灯制御信号100によって、択一的にオン状態になる。これにより、発光ダイオードR−LEDが発光する期間ではスイッチ42Rが、発光ダイオードG−LEDが発光する期間ではスイッチ42Gが、発光ダイオードB−LEDが発光する期間ではスイッチ42Bが、それぞれオン状態になる。このため、可変抵抗素子41R、41G、41Bの抵抗値を適切に調整しておけば、各発光ダイオードの特性(定格電流など)に合った基準電圧Vref をDC/DCコンバータ10に入力することができる。そして、発光色RGBについて所望の出力光量を得るために、赤色R、緑色Gおよび青色Bについて個別に基準電圧Vref を設定することができる。
【0039】
つまり、発光ダイオードR−LEDについて専用の基準電圧Vref を、発光ダイオードG−LEDについて専用の基準電圧Vref を、発光ダイオードB−LEDについて専用の基準電圧Vref を、それぞれ設定することができる。すなわち、各LEDの電流設定は、基準電圧Vrefを変更することによって行うことができる。基準電圧Vref の設定変更は、それぞれの点灯制御信号に応じて例えば抵抗分圧によって実現できる。各発光ダイオードを流れる「LED電流」と、電流検出回路5の抵抗素子Rsenseの抵抗値である「検出抵抗値」との関係は、式(1)のようになる。
LED電流=基準電圧(Vref )/検出抵抗値 … (1)
なお、各可変抵抗素子41R、41G、41Bの抵抗値調整は、マイクロコンピュータなど図示せぬ制御回路によってディジタル的に行われるのが一般的である。
【0040】
また、抵抗の分圧によってVref を得る手法を紹介してきたが、基準電圧発生器やD/Aコンバータなどのデバイスを使うことも考えられる。
【0041】
ところで、各発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDの温度特性は互いに異なる。本実施形態では、各発光ダイオードについて、個別に基準電圧Vref を適切に設定できる。適切に設定された基準電圧Vref に基づいて制御されるため、各発光ダイオードについて適切かつ効率良く制御を行うことができる。また、発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDについて、基準電圧Vref を個別に設定できるので、各発光ダイオードの定格電流をオーバしないように制御できる。
【0042】
(第二電流供給回路)
また、図2を参照すると、第二電流供給回路8は、比較回路7による比較結果の変化に応じてトランジスタを制御する構成になっている。すなわち、比較回路7による比較結果に対応する電圧が抵抗素子81を介してトランジスタ82のベースに印加される。トランジスタ82のコレクタには電源電圧Vcが印加されている。
【0043】
発光ダイオードを駆動する前、第二電流検出回路5によって検出される電流ILED は零である。このとき、基準電圧Vref は設定されておらず、比較回路7は動作せず、トランジスタ82はオフ状態である。
【0044】
一方、発光ダイオードの駆動が開始され、LED切替制御回路SWを構成するスイッチがオン状態になると、基準電圧Vref が設定されると共に、電流ILED が流れる。比較回路7の動作により、電流ILED に対応する電圧が基準電圧Vref を超えるまでの短い時間に限り、比較回路7の出力がHighレベルになり、トランジスタ82がオン状態になる。そして、電流ILED に対応する電圧が基準電圧Vref を超えると、比較回路7の出力がLowレベルになり、トランジスタ82がオン状態からオフ状態に遷移する。このため、第二電流供給回路8の出力電流Isは、瞬時に立上り、その後徐々に低下して行くことになる。つまり、この出力電流Isは、発光ダイオードの駆動が開始された直後に、瞬時に立上り、徐々に低下し、その後流れなくなる。
【0045】
(DC/DCコンバータの構成例)
図1および図2を参照すると、第一電流供給部として機能するDC/DCコンバータ10は、定電流タイプのスイッチング電源の構成を有しており、第一電流検出回路6によって検出される電流値に対応する電圧値FBと、Vref 設定部4の出力である基準電圧Vref とを入力とし、フィードバック制御を行う。すなわちDC/DCコンバータ10は、基準電圧Vref に対する電圧値FBの変化に応じた電圧値を出力する。
【0046】
本実施形態において用いられるDC/DCコンバータ10は、Vref 設定部4に設定された基準電圧Vref を非反転入力、電圧値FBを反転入力とし両者の差に相当する電圧値を出力するエラーアンプ(Error AMP)11と、発振器12の発振出力に同期した鋸状波電圧を発生する鋸状波発生器13と、その鋸状波電圧を非反転入力、エラーアンプ11の出力電圧値を反転入力とするPWMコントローラ14と、発振器12の発振出力の遷移タイミングでセット状態になり、PWMコントローラ14の出力の遷移タイミングでリセット状態になるリセットセットフリップフロップ(以降、RSFFと略称する)15と、RSFF15の出力Qに応じて駆動信号を出力する駆動回路16と、駆動回路16から出力される駆動信号によってオン状態またはオフ状態になるNMOSFETによるスイッチ17と、を備えている。
【0047】
このDC/DCコンバータ10は、Vref 設定部4に設定された基準電圧Vref と、第一電流検出回路6において検出される電流に対応する電圧値FBとの比較結果に応じて、各発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDに供給される電流が一定になるように動作する。このDC/DCコンバータ10については、各発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDに供給される電流を一定に保つことができれば、昇圧型、降圧型、昇降圧型のいずれの構成を採用してもよい。
【0048】
なお、DC/DCコンバータ10は、On/Off信号によって、その動作がオン状態またはオフ状態に制御される。このOn/Off信号はPWM制御信号であり、発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDの点灯制御信号100に同期しているものとする。
【0049】
(発光素子駆動回路の動作)
次に、本実施形態による発光素子駆動回路の動作について説明する。本実施形態では、発光ダイオードを流れる電流に応じて、DC/DCコンバータ10から出力する電圧を制御している。
【0050】
まず、DC/DCコンバータ10による供給電流の電流値は第一電流検出回路6において検出され、それが電圧値FBに変換されて出力される。この出力される電圧値FBは、Vref 設定部4に設定された基準電圧Vref と共にDC/DCコンバータ10に入力される。DC/DCコンバータ10では、第一電流検出回路6から出力される電圧値が、Vref 設定部4に設定された基準電圧Vref と比較され、その結果に応じた電圧値が出力される。また、発光ダイオードを流れる電流値は、第二電流検出回路5によって検出される。この検出結果に対応する電圧は、比較回路7において、基準電圧Vref と比較される。そして、比較回路7による比較結果に応じて、第二電流供給回路8の出力電流Isが制御される。つまり、本実施形態の発光素子駆動回路では、DC/DCコンバータ10の出力電流IDC/DCと第二電流供給回路8の出力電流Isとを加えた電流を、発光ダイオードに与えている。
【0051】
入力電圧VinはインダクタLを介してダイオード3のアノード端子側に印加される。ダイオード3のカソード端子側は第一電流検出回路6を介してコンデンサ切替回路SWCおよび、各発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDに、印加される。
【0052】
発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDは、フィールドシーケンシャルカラー駆動方式を実現するため、LED切替制御回路SWにより、択一的にオン状態に制御される。
【0053】
LED切替制御回路SWは、発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDについて、発光ダイオードR−LEDを点灯する状態、発光ダイオードG−LEDを点灯する状態、発光ダイオードB−LEDを点灯する状態、のいずれかの状態になるように、RGB−LED点灯制御信号100によって制御される。
【0054】
コンデンサ切替回路SWCは、LED切替制御回路SWと連動して動作する。すなわち、発光ダイオードR−LEDを点灯する状態では、その発光ダイオードR−LEDに対応して設けられたコンデンサCRが入力電圧Vinの電圧源に並列に接続されるように、RGB−LED点灯制御信号100によって制御される。同様に、発光ダイオードG−LEDを点灯する状態では、その発光ダイオードG−LEDに対応して設けられたコンデンサCGが入力電圧Vinの電圧源に並列に接続されるように、RGB−LED点灯制御信号100によって制御される。また、発光ダイオードB−LEDを点灯する状態では、その発光ダイオードB−LEDに対応して設けられたコンデンサCBが入力電圧Vinの電圧源に並列に接続されるように、RGB−LED点灯制御信号100によって制御される。
【0055】
要するに、On/Off信号がオン状態でDC/DCコンバータ10が動作している間は、R−LED、G−LED、B−LEDの動作制御信号により各色LEDについて、点灯・消灯が順次切替えられる。これにより、例えば、プロジェクタの投写光源が作り出される。それと同時に、点灯するLEDに応じて、対応するコンデンサCR、CG、CBを順次切替えることによって、DC/DCコンバータ10の出力電圧を平滑化する。
【0056】
(各部の波形例)
図3および図4は、上述した発光素子駆動回路の動作例を示す波形図である。これらの図は、発光ダイオードR−LEDを点灯する場合の動作例を示している。なお、各波形図において、作図の都合から、電圧または電流の脈動の表現は省略している。
【0057】
図3は、発光素子駆動回路のコンデンサCRが充電されるまでの、過渡状態(発光素子駆動回路への電源投入時または各コンデンサの充電電圧が低い場合)における動作を示す波形図である。同図には、DC/DCコンバータ10のオン状態を示す信号DC/DC_ON、発光ダイオードR−LEDに対応するスイッチSWRのオン状態を示すR_ON、発光ダイオードR−LEDに対応するスイッチSWCR−1の導通状態を示すSWCR−1、発光ダイオードR−LEDに対応するスイッチSWCR−2の導通状態を示すSWCR−2、発光ダイオードR−LEDに対応するコンデンサCRの充電電圧を示すVCR、図1及び図2中の電圧Vout 、DC/DCコンバータ10の出力電流IDC/DC、第二電流供給回路8の出力電流Is、発光ダイオードR−LEDに流れる電流ILED 、が示されている。
【0058】
同図において、点灯制御信号100に同期しているOn/Off信号がオン状態すなわち、DC/DCコンバータ10が動作している期間において、プロジェクタなどの表示装置の画像処理(図示せず)により発光ダイオードR−LED点灯が必要である時に、RGB−LED点灯制御信号100のR信号がHighレベルに遷移する(時刻t0)。
【0059】
すると、発光ダイオードR−LEDに対応する、LED切替回路SW内のスイッチSWRがオフ状態(遮断状態)からオン状態(導通状態)に変化する。これにより、電流ILED が流れ始める。このとき、発光ダイオードR−LEDの駆動電流が所望の値になるように、Vref 設定部4によりDC/DCコンバータ10への基準電圧Vref が設定される。また、コンデンサ切替回路SWC内のスイッチSWCR−1およびSWCR−2のゲート端子がLowレベルになる。
【0060】
DC/DCコンバータ10は、その出力電流を検出する第一電流検出回路6の検出結果に応じて、設定された所望電流レベルになるように電流を出力する。DC/DCコンバータ10の出力電流により、発光ダイオードR−LEDに電流ILED が流れ込むと、出力電圧Voutが上昇する。それと同時に、スイッチSWCR−1のソース−ゲート端子間の電圧が闘値電圧Vthに達したら、スイッチSWCR−1が導通に転じ、スイッチSWCR−2の寄生ダイオードD2を通じてコンデンサCRが充電され始める。
【0061】
そして、コンデンサCRの充電電圧がスイッチSWCR−2の閾値電圧Vth2 に達したら、スイッチSWCR−2が導通に転じ(時刻t1)、コンデンサCRは完全にDC/DCコンバータ10の出力電圧Vout に電気的に並列に接続された状態になる。つまり、コンデンサCRは、入力電圧Vinを供給する電圧源に並列接続された状態になり、平滑コンデンサとして機能する。
【0062】
DC/DCコンバータ10は、第一電流検出回路6の検出結果が、設定された所望電流レベルになるように電流を出力し続ける。つまり、DC/DCコンバータ10自身の供給電流の変化に応じてエラーアンプ11の出力が変化すると、DC/DCコンバータ10の出力電流が変化するように動作する。
【0063】
発光ダイオードR−LEDに流れ込んだ電流は、第二電流検出回路5の抵抗素子Rsense を通じて検出され、電圧信号に変換され、比較回路7に入力される。比較回路7では、予め設定された基準電圧Vref との比較が行われ、その比較結果によって第二電流供給回路8が制御される。これにより、DC/DCコンバータ10の出力電流の立上りの際、所望電流レベルに対する不足分に相当する補完電流が、第二電流供給回路8から出力される。そして、電流ILED が所望のレベルになると、第二電流供給回路8の出力電流Isは流れなくなる。その後は、DC/DCコンバータ10のみによって、発光ダイオードの発光に必要な電流ILED が供給され続ける。RGB−LED点灯制御信号100のR信号(すなわち、発光ダイオードR−LEDの点灯信号)に同期して安定かつ応答特性のよい電流が生成され、安定した投写光源が得られる。
【0064】
一方、図4は、発光素子駆動回路のコンデンサが充電されている状態、すなわち定常状態における動作を示す波形図である。同図は、図3の場合と同様に、R−LEDを点灯する場合の例を示している。
【0065】
図4において、点灯制御信号100に同期しているOn/Off信号がオン状態すなわち、DC/DCコンバータ10が動作している期間において、プロジェクタなどの表示装置の画像処理(図示せず)により発光ダイオードR−LED点灯が必要である時に、RGB−LED点灯制御信号100のR信号がHighレベルに遷移する(時刻t0)。
【0066】
すると、発光ダイオードR−LEDに対応する、LED切替回路SW内のスイッチSWRがオフ状態(遮断状態)からオン状態(導通状態)に変化する。これにより、電流ILED が流れ始める。このとき、発光ダイオードR−LEDの駆動電流が所望の値になるように、Vref 設定部4によりDC/DCコンバータ10への基準電圧Vref が設定される。また、コンデンサ切替回路SWC内のスイッチSWCR−1およびSWCR−2のゲート端子がLowレベルになる。
【0067】
DC/DCコンバータ10は、その出力電流を検出する第一電流検出回路6の検出結果に応じて、設定された所望電流レベルになるように電流を出力する。DC/DCコンバータ10の出力電流により、発光ダイオードR−LEDに電流ILED が流れ込むと、出力電圧Vout が上昇する。それと同時に、スイッチSWCR−1のソース−ゲート端子間の電圧が闘値電圧Vthに達したら、スイッチSWCR−1が導通に転じる(時刻t0)。このとき、図3の場合と異なり、コンデンサCRの充電電圧は、すでにスイッチSWCR−2の閾値電圧Vth2 に達しているため(時刻t0)、スイッチSWCR−1が導通に転じた時、コンデンサCRは、入力電圧Vinを供給する電圧源に並列接続された状態になり、平滑コンデンサとして機能する。
【0068】
図4の場合においても、DC/DCコンバータ10の出力電流の立上りの際、所望電流レベルに対する不足分に相当する電流が、第二電流供給回路8から出力される。そして、電流ILED が所望のレベルになると、第二電流供給回路8の出力電流Isは流れなくなる。その後は、DC/DCコンバータ10のみによって、発光ダイオードの発光に必要な電流ILED が供給され続ける。RGB−LED点灯制御信号100のR信号(すなわち、発光ダイオードR−LEDの点灯信号)に同期して安定かつ応答特性のよい電流が生成され、安定した投写光源が得られる。
【0069】
ところで、本回路は一度動作し始めたら、平滑コンデンサCR、CG、CBについて、それぞれ対応するLEDを点灯させる電圧まで充電され、維持される。そのため、平滑コンデンサを切替える時には、素早くLEDへの電流供給に寄与でき、LEDの点灯応答性能を向上させることができる。また、順方向電圧が異なる複数のLEDの点灯タイミングに同期して、第一電流供給回路であるDC/DCコンバータ10の出力にそれぞれのコンデンサを並列接続することによって、リップル成分(脈動成分)が取り除かれ、LED駆動電流の安定性、さらに光源としての出力安定性を向上できる。
【0070】
なお、発光ダイオードG−LEDや発光ダイオードB−LEDを点灯する場合も、上記と同様の動作となり、これら発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDが順次切替えられながら動作する。
【0071】
(表示装置の動作)
図5は、上述した発光素子駆動回路を採用した表示装置の動作例を示す波形図である。同図には、RGB−LED点灯制御信号100のうち、発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDをそれぞれ点灯させるための信号R、G、Bと、Vref 設定部4により設定される基準電圧Vref と、図2中の電圧Vout と、平滑コンデンサ部Cout の各平滑コンデンサCR、CG、CBが利用される期間と、発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDに流れる電流Iout 、が示されている。
【0072】
図5において、信号R、G、Bのパルス幅(Highレベルの時間)が異なるのは、各色の発光ダイオードの点灯期間を異なるものにしているためである。そして、発光ダイオードR−LEDの点灯期間においては、発光ダイオードR−LEDに対応する平滑コンデンサCRが、入力電圧Vinの電圧源に並列に接続される。同様に、発光ダイオードG−LEDの点灯期間においては発光ダイオードG−LEDに対応する平滑コンデンサCGが、発光ダイオードB−LEDの点灯期間においては発光ダイオードB−LEDに対応する平滑コンデンサCBが、入力電圧Vinの電圧源に並列に接続される。
【0073】
また、発光ダイオードR−LEDの点灯期間においては、発光ダイオードR−LEDに対応する基準電圧Vref が設定される。同様に、発光ダイオードG−LEDの点灯期間においては発光ダイオードG−LEDに対応する基準電圧Vref が、発光ダイオードB−LEDの点灯期間においては発光ダイオードB−LEDに対応する基準電圧Vref が、それぞれ設定される。本例では、基準電圧Vref の低い順に、発光ダイオードB−LED、発光ダイオードR−LED、発光ダイオードG−LEDになっている。したがって、電圧Vout および電流ILED は、基準電圧Vref に応じたレベルになっている。
【0074】
上述したように、第一電流供給部として機能するDC/DCコンバータ10の立上りの際、第二電流供給回路8から補完電流が出力されるので、瞬時的に所望電流値が得られる。これにより、効率がよく、かつ、非常によい立上り応答特性が得られる発光素子駆動回路を実現できる。
【0075】
また、発光ダイオードR−LEDについて専用の基準電圧Vref を、発光ダイオードG−LEDについて専用の基準電圧Vref を、発光ダイオードB−LEDについて専用の基準電圧Vref を、それぞれ適切に設定できるので、各発光ダイオードに過大電流や過少電流が流れ込む不都合を回避でき、定格電流をオーバしないように制御できる。これにより、表示装置の画質に悪影響を与えたり、各素子の寿命を縮めたりする可能性が少なくなる。
【0076】
(他の実施例)
図6は、発光素子駆動回路の他の実施例の主要構成部分を示す図である。同図を参照すると、本例の発光素子駆動回路は、図1の構成において、比較回路7と第二電流供給回路8との間に設けられ両者間の導通を制御するためのスイッチ回路18と、このスイッチ回路18をオン状態またはオフ状態に制御するためのタイマー回路19とを追加した構成になっている。これらを追加するのは、第二電流供給回路8をLED点灯電流の立上り時にのみ機能させ、それ以外の時には完全にOffさせるためである。これによって、第二電流供給回路の消費電流をさらに低減でき、回路全体の効率向上に寄与できる。
【0077】
図6の各部のより具体的な構成を示す図7を参照すると、スイッチ回路18は、PchMOS型FETによるスイッチGPによって構成されており、そのゲート端子にはタイマー回路19の出力が印加されている。
【0078】
また、タイマー回路19には、NchMOS型FETによるスイッチGR、GB、GGが、各発光ダイオードに対応して、備えられている。すなわち、発光ダイオードR−LEDに対応してスイッチGRが、発光ダイオードG−LEDに対応してスイッチGGが、発光ダイオードB−LEDに対応してスイッチGBが、それぞれ設けられている。
【0079】
そして、スイッチGRのゲート端子には容量素子C1を介して信号Rが印加され、スイッチGRのゲート端子は抵抗素子R1を介してグランドに接続されている。したがって、容量素子C1および抵抗素子R1は、微分回路を構成している。このため、スイッチGRのゲート端子に印加される電圧は、容量素子C1の容量値と抵抗素子R1の抵抗値との積(以下、CR時定数と呼ぶ)に従って変化することになる。
【0080】
同様に、スイッチGBのゲート端子には容量素子C2を介して信号Gが印加され、スイッチGBのゲート端子は抵抗素子R2を介してグランドに接続されており、スイッチGRのゲート端子に印加される電圧は、容量素子C2および抵抗素子R2によるCR時定数に従って変化することになる。
【0081】
また、スイッチGGのゲート端子には容量素子C3を介して信号Bが印加され、スイッチGGのゲート端子は抵抗素子R3を介してグランドに接続されており、スイッチGGのゲート端子に印加される電圧は、容量素子C3および抵抗素子R3によるCR時定数に従って変化することになる。
【0082】
このような構成において、RGB−LED点灯制御信号100により、各発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDのオン/オフ状態を切り替える際、オンになった瞬間つまりRGB信号が立ち上がる時に、CR時定数により作られるタイマーによって所定時間だけスイッチGR、GG、GB、GPを動作させる。その所定時間以外は、スイッチGR、GG、GB、GPをオフ状態にする。
【0083】
例えば、R信号がHighになった場合、容量素子C1および抵抗素子R1による微分回路を介して、スイッチGRのゲート端子に電圧が印加され、スイッチGRがオン状態になる。このスイッチGRのドレイン端子には、スイッチGPのゲートが接続されているため、スイッチGPもオン状態(導通状態)になる。その結果、第二電流供給回路8において、比較回路7による比較結果に対応する電圧が抵抗素子81を介してトランジスタ82のベース端子に印加される。
【0084】
第二電流供給回路8において、比較回路7の出力がトランジスタ82のベース端子に印加されると、第二電流供給回路8からR−LEDに電流が供給される。その後、CR時定数による一定時間が経過すると、スイッチGRのゲート端子に印加される電圧が閾値以下に低下し、スイッチGRがオン状態からオフ状態に転じる。それにより、スイッチGPはオフ状態になるため、トランジスタ82のベース端子に電圧が印加されなくなる。これにより、第二電流供給回路8は完全にオフ状態になり、消費電力はゼロになる。
【0085】
同様に、G信号、B信号がHighになった場合、上記と同じ動作が行われる。なお、R信号、G信号、B信号がオフ状態になっている期間においては、容量素子に充電されていた電荷は放電され、タイマー回路19がリセットされた状態になる。
【0086】
(他の実施例の動作例)
図8は、図7の発光素子駆動回路を採用した表示装置の動作例を示す波形図である。同図には、RGB−LED点灯制御信号100のうち、発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDをそれぞれ点灯させるための信号R、G、Bと、スイッチGR、GG、GB、GPの各ゲート端子に印加される電圧と、第二電流供給回路8の出力電流Isと、発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDに流れる電流Iout とが示されている。
【0087】
同図において、信号R、G、Bの立上りのタイミングすなわち遷移タイミングで、スイッチGR、GG、GBの各ゲート端子に印加される電圧が瞬時に立上り、スイッチGPがオン状態になる。その後CR時定数にしたがってゲート端子に印加される電圧が閾値以下に低下し、スイッチGR、GG、GBがオン状態からオフ状態に転じ、スイッチGPはオフ状態になる。
【0088】
図7の回路のその他の部分の動作は、図3から図5までを参照してすでに説明した動作と同様である。
【0089】
以上のように、第二電流供給回路の動作をLED点灯制御信号の立上り時にのみ機能させ、それ以外の時には完全にOffさせることより、第二電流供給回路の消費電流をさらに低減でき、回路全体の効率向上に寄与できる。
【0090】
(変形例)
上述した実施形態では各発光ダイオードについてアノードコモンの構成を採用しているが、これに限定されず、カソードコモンの構成を採用してもよい。カソードコモンの構成を採用する場合、図2や図7において、NMOSFETとPMOSFETとの接続を入れ換えた構成を用いれば良い。
【0091】
また、上述した実施形態では、平滑コンデンサを各発光ダイオードに対応して個別に設けているが、平滑コンデンサを各発光ダイオードに対して共通に設けてもよい。平滑コンデンサの数を削減できるため、回路の規模を小さくすることができる。
【0092】
なお、上述した実施形態では、駆動対象である発光素子が発光ダイオードである場合について説明したが、有機EL素子であってもよい。
【0093】
以上の説明において、発光ダイオードの発光色は赤(R)、緑(G)、青(B)としたが、上記の赤色(R)には橙から赤の領域の色が含まれてもよいし、上記の緑色(G)には緑から黄緑の領域の色が含まれてもよい。
上述した実施形態において、入力電圧Vin、電源電圧VCC、電源電圧Vcについては、別々の電源装置から供給されていてもよいし、同じ電源装置から供給されていてもよい。
【0094】
(まとめ)
本実施形態では、第一電流供給回路であるDC/DCコンバータ10の立上りの際、第二電流供給回路8から補完電流が出力されるので、瞬時的に所望電流値が得られる。その場合、上記2つの電流供給回路の出力電流を加える構成であるため、過剰電流を吸収するための電力ロスが発生することはない。
【0095】
また、コンデンサ切替回路により、順方向電圧が異なる発光ダイオードR−LED、G−LED、B−LEDに、対応する平滑コンデンサCR、CG、CBを独立的に接続することにより、基準電圧Vref やLED駆動電流の急激な変化による瞬時的な過大電流が発生することはなく、コンデンサ切替時にLEDに過大電流や過小電流が流れ込むことはない。これにより、LEDの応答特性をより速く、供給電流をより安定的に供給することができる。しかも、高電圧電源を別途用意する必要性も無く、より少ない部品点数で、かつ、より小さい実装面積による回路を実現できる。
【0096】
さらに、特許文献1の構成において、複数のLEDを切替える場合、スイッチングモード電流源が発生する余分な電流を線形モード電流源によって吸収させるためには、一定の動作時間が必要であるため、高速的にLEDを切替えることができなくなり、時間の有効的な利用ができないので、LEDの明るさの低下に繋がるという問題がある。これに対し、上述した本実施形態による発光素子駆動回路では、そのような問題はなく、LEDの明るさへの影響は無い、という利点がある。
【0097】
なお、本実施形態による発光素子駆動回路は、携帯型のプロジェクタ、据置型のプロジェクタその他の表示装置において、フィールドシーケンシャル駆動方式を採用する場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0098】
2 インダクタ
3 ダイオード
4 Vref 設定部
5 第二電流検出回路
6 第一電流検出回路
7 比較回路
8 第二電流供給回路
10 DC/DCコンバータ
11 エラーアンプ
12 発振器
13 鋸状波発生器
14 PWMコントローラ
15 リセットセットフリップフロップ
16 駆動回路
17 NMOSFET
18 スイッチ回路
19 タイマー回路
41R、41G、41B 可変抵抗素子
42R、42G、42B スイッチ
43、61、81 抵抗素子
62 差動増幅器
82 トランジスタ
R−LED 赤色発光ダイオード
G−LED 緑色発光ダイオード
B−LED 青色発光ダイオード
Cout 平滑コンデンサ部
CR、CG、CB 平滑コンデンサ
D1、D2 寄生ダイオード
GR、GG、GB、GP スイッチ
L インダクタ
Rsense 抵抗素子
SW LED切替制御回路
SWC コンデンサ切替回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子に対して設定された基準値に応じて出力電流値を制御する第一電流供給部と、
前記発光素子に流れる電流値を検出する電流検出部と、
前記基準値と前記電流検出部によって検出される電流値との差に対応する電流値を出力する第二電流供給部と、
を含み、前記第一電流供給部の出力電流と前記第二電流供給部の出力電流とを加えた電流を前記発光素子へ供給するようにしたことを特徴とする発光素子駆動回路。
【請求項2】
請求項1において、前記第一電流供給部と前記第二電流供給部とに共通に設けられ、前記基準値が予め設定されており、前記発光素子の駆動時に前記基準値を出力する基準値設定部をさらに含むことを特徴とする発光素子駆動回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第一電流供給部は、一端が前記第二電流供給部の出力に接続され他端がダイオードを介して自身の出力に接続された抵抗素子の両端電位差と、前記基準値との比較結果に基づいて前記出力電流値を制御することを特徴とする発光素子駆動回路。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項において、
前記第二電流供給部は、前記基準値と前記電流検出部によって検出される電流値との差を検出する比較回路による比較結果に応じて、前記第一電流供給部の出力電流に加える電流を出力することを特徴とする発光素子駆動回路。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項において、
前記発光素子の駆動時に前記発光素子への供給電圧を平滑にする容量素子をさらに含むことを特徴とする発光素子駆動回路。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項において、
前記第二電流供給部を、前記発光素子を点灯させる点灯制御信号の遷移タイミングから所定時間だけ動作させるタイマー回路をさらに含むことを特徴とする発光素子駆動回路。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項において、
前記発光素子は、発光色が異なる複数の発光素子であり、
前記複数の発光素子それぞれに対応して設けられ対応する発光素子への供給電圧を平滑にする複数の容量素子と、
前記複数の発光素子が電源により択一的に駆動されるように制御する切替制御部と、
前記複数の容量素子のうち、駆動される発光素子に対応する容量素子を、前記電源と電気的に並列に接続するように制御する容量切替部と、
をさらに含み、前記複数の発光素子についてフィールドシーケンシャル駆動を行うことを特徴とする発光素子駆動回路。
【請求項8】
請求項7において、
前記電流検出部は、前記複数の発光素子に共通に設けられていることを特徴とする発光素子駆動回路。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の発光素子駆動回路と、
前記発光素子駆動回路によって駆動される、発光色が異なる複数の発光素子と、
を含むことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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