説明

発光装置

【課題】光源装置において、ヒータ等の別途の融雪手段を用いることなく、低コストで効果的に着雪を防止すること。
【解決手段】発光装置において、第一の面および前記第一の面の裏面側に位置する第二の面を有する実装基板であって、前記第一の面上に、前記第一の面に対して略垂直方向に光を出射する複数の発光素子を搭載した実装基板と、前記実装基板の前記第一の面上において前記複数の発光素子の間に設けられ、金属材料で形成された複数の伝熱部材と、前記伝熱部材および前記発光素子を覆うように設けられた保護部材と、を有し、前記発光素子において発生した熱を前記実装基板および前記伝熱部材を介して、前記保護部材に伝導させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、特に、屋外で用いられる発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光装置として、その低消費電力性、保守・管理の容易性という特徴を生かし、発光ダイオードを光源として用いたものが普及しつつある。
【0003】
ところが、発光ダイオードを用いた発光装置、例えば信号灯器を豪雪地帯において使用した場合、電球を用いた装置に比べてその低消費電力性のために、着雪した雪を融雪できず、視認性の劣化を招くという問題があった。
【0004】
また、発光ダイオードを用いた発光装置を街路灯に用いた場合には、着雪により照明効率が低下するという問題があった。
【0005】
かかる問題に対処した従来技術として、特許文献1の発光装置がある。
【0006】
特許文献1に記載された発光装置としての信号機では、LEDを複数配置した発光体を覆う透明カバーに、通電により発熱する発熱体を設け、透明カバーの温度を上げて、透明カバーに付着した雪を融かすようにしている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された従来技術においては、別途融雪用の電力供給を必要とするので消費電力が増大するという問題があった。また発熱体内蔵という特殊なカバーを制作する必要があり、その分のコストアップが避けられないという問題があった。
【0008】
特許文献1の発光装置に対し、別途の融雪手段を排した従来技術として、特許文献2の発光装置がある。
【0009】
特許文献2の照明灯では、複数のLEDにて構成される発光部で発生した熱を、発光部裏面に配された伝熱支持部を介して、発光部を覆い熱伝導性素材で形成されたフードに伝達することによって、フード外面への着雪を防止している。
【0010】
しかしながら、特許文献2の発光装置は、フード付の発光装置に関するものであり、あくまで該フードへの着雪を防止しようとするものである。したがって、フードにより囲まれた発光装置前面すなわち発光面への着雪を防止するものではなく、その効果は全くない。
【0011】
したがって、本発明とはその目的、技術課題を異にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−145952号公報
【特許文献2】特開2009−123364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、以上のような背景技術に鑑みて、ヒータ等の別途の融雪手段を用いることなく、低コストで低消費電力であって効果的に光源装置の発光面への着雪を防止することを
目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の発光装置は、第一の面および前記第一の面の裏面側に位置する第二の面を有する実装基板であって、前記第一の面上に、前記第一の面に対して略垂直方向に光を出射する複数の発光素子を搭載した実装基板と、前記実装基板の前記第一の面上において前記複数の発光素子の間に設けられ、金属材料で形成された伝熱部材と、前記伝熱部材および前記発光素子を覆うように設けられた保護部材と、を有し、前記複数の発光素子において発生した熱を前記実装基板および前記伝熱部材を介して、前記保護部材に熱伝導させるようにしたことを特徴とする。
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の発光装置は、前記伝熱部材は前記実装基板と略同形の板状であり、前記複数の発光素子の各々に対応して前記発光素子を取り囲む複数の貫通孔を有し、前記実装基板に重ねて配置されたことを特徴とする。
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の発光装置は、第一の面および前記第一の面の裏面側に位置する第二の面と、前記第一の面から前記第二の面に貫通する複数の貫通孔を有する熱伝導性材料で形成された実装基板と、前記第二の面側から前記第一の面側に前記貫通孔を通して光を出射するように第二の面上に搭載された複数の発光素子と、前記実装基板および前記貫通孔を覆うように設けられた保護部材と、を有し、前記複数の発光素子において発生した熱を前記実装基板を介して、前記保護部材に熱伝導させるようにしたことを特徴とする。
【0017】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の発光装置は、前記実装基板の第二の面に接して、断熱部材を配したことを特徴とする。
【0018】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の発光装置は、GX53口金を備えたことを特徴とする。
【0019】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の発光装置は、AC駆動回路を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
上記の発光装置によれば、発光素子点灯時に生ずる発熱を、効率よく保護部材すなわち発光装置前面の発光面に伝導することができる。したがって、本発光装置が豪雪地帯の屋外に設置され、たとえ発光装置の発光面に雪が付着したとしても、速やかに融雪作用を奏するので、効果的に着雪を防止することが可能となる。
【0021】
しかも、本発明では、発光ダイオードの発熱を積極的に利用しているから、ヒータ等の別途の融雪手段を用いることがないので、融雪時および待機時に付加電力を要しない。したがって、発光装置全体としての消費電力を増加させることがなく、より低コスト化に有利であるという優れた効果を奏することもできる。
【0022】
また、上記の発光装置によれば、伝熱部材が1枚の板状に形成されているので、組立工程の製造が簡略化され、低コスト化がさらに有利になるという効果を奏する。
【0023】
また、上記の発光装置によれば、発光素子から発生した熱は、直接発光素子の実装基板を介して保護部材に伝導されるので、さらに熱伝達効率が上がり、一層融雪作用を効果的に行わせることができるという効果を奏する。
【0024】
また、発光素子から保護部材に至る経路が単一の材料で形成されているから、製造が簡略化され、低コスト化がさらに有利になるという効果を奏する。
【0025】
また、上記の発光装置によれば、実装基板の裏面に断熱部材を配しているので、発光素子から実装基板へと伝達された熱が、実装基板の裏面側、すなわち、発光面と反対側に熱伝導、対流、熱放射により熱伝達するのを防止する。したがって、効率よく保護部材すなわち発光装置の発光面に熱伝導させることができるので、一層融雪作用を効果的に行わせることができるという効果を奏する。
【0026】
また、上記の発光装置によれば、薄型の照明ユニットに適した照明器具の標準規格であるGX53口金を採用しているので、装置の小型、薄型化が可能となり、また用途上の汎用性も増すという効果を奏することができる。
【0027】
また、上記の発光装置によれば、交流商用電源の供給によるLED駆動回路、いわゆるAC駆動回路を内蔵しているので、本発光装置をAC電源に直接接続することができ、また、特にAC/DCコンバータのような付加的な回路を搭載する必要がないので、発光装置をより小型、薄型化することができるという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態1にかかる発光装置の平面図である。
【図2】本発明の実施形態1にかかる発光装置の断面図である。
【図3】本発明の実施形態1にかかる発光装置の分解斜視図である。
【図4】本発明の実施形態1にかかる発光装置の熱伝導経路を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態2にかかる発光装置の断面図である。
【図6】本発明の実施形態3にかかる発光装置の断面図である。
【図7】(A)本発明の実施形態4にかかる発光装置のソケットである。(B)本発明の実施形態4にかかる発光装置の背面斜視図である。
【図8】本発明の実施形態5にかかる発光装置の回路図である。
【図9】本発明の実施形態6かかる発光装置の斜視図である。
【図10】本発明の実施形態6かかる発光装置の背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、発光素子から発生した熱を効率的に発光装置の前面すなわち発光面に熱伝達し、発光装置の発光面に着雪した雪などを融かすことを趣旨としており、以下、本発明の趣旨を実現する各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。したがって、それらの名称および機能も同じであるので、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0031】
また、以下の図面においては、各部構成の寸法比率は説明に応じて適宜誇張して描かれており、必ずしも実際の寸法比率を示すものではない。
【実施例1】
【0032】
図1は、本実施形態にかかる発光装置100の平面図、図2は、本実施形態にかかる発光装置100の、図1におけるA−A断面図、図3は本実施形態にかかる発光装置100の分解斜視図である。
【0033】
図1において、110は内部に発光素子を配置した開口、120bは熱伝導シート、130は保護部材、140はケースを示す。なお、保護部材130は、発光装置100の前
面の全面にあるが、図1ではその一部を切欠いた状態を示し、内部構成が分かるようにしてある。
【0034】
図2、図3において、120a、120bは熱伝導シート、210は発光素子、212ははんだ、214a、bはアルミベース基板の配線層、220はアルミベース基板、222はねじ、230は伝熱部材、240は断熱部材、250は発光装置駆動回路、310はパッキン、330は蓋を示す。また、白抜き上向きの矢印は、発光素子から発せられた光の出射方向を示す。
【0035】
図2を参照して、アルミベース基板220上には複数の発光素子210が搭載されており、各発光素子210は、図中白抜き矢印で示す紙面上方へ光を出射する。本実施例においては、アルミベース基板が実装基板を構成する。
【0036】
アルミベース基板とは、アルミニウム製メタルベースと銅箔配線層を、絶縁層を介して一体化した基板であり、熱伝導性に優れた基板である。アルミベース基板の厚さは、例えば1〜2mm程度とする。
【0037】
発光素子としては、例えばパッケージに封入したSMD(Surface Mount
Device)、すなわち表面実装タイプの発光ダイオード(LED)を好適に用いることができる。
【0038】
LEDのパッケージは、直接アルミベース基板220のアルミベース部分にはんだ付け、あるいは熱伝導性接着剤を用いた接着などの方法で固定する。熱伝導性接着剤としては、エポキシ系、シリコーン系接着剤、AuSnペーストなどを挙げることができる。
【0039】
本実装形態の場合には、放熱性を重視したパッケージを使用しているが、通常の樹脂パッケージを用いてもよい。放熱性に優れたパッケージを用いるのはLED素子のジャンクション温度を上昇させないためである。
【0040】
発光素子210の端子(図示せず)は、はんだ212により配線層214aにはんだ付け接続する。
【0041】
図2および図3を参照して、アルミベース基板220の上には、伝熱部材230が設けられている。伝熱部材230は、後述するように、発光素子210で発生しアルミベース基板220を介して伝導された熱を、保護部材130に誘導するための部材である。
【0042】
伝熱部材230の厚さは、LEDの配光角等を考慮し、例えば2〜4mm程度とする。
【0043】
伝熱部材230は、図3に図示するごとく、略円形の板に発光素子210に対応した略円形の開口110を複数設けて形成する。伝熱部材230の材料としては、熱伝導性に優れた金属、例えばアルミニウム板などを用いる。
【0044】
ここで、開口110の個数は通常発光素子210の個数と同数とし、ひとつの開口110を、ひとつの発光素子210と対応させて配置する。しかしながら、開口110の個数はこれに限定されることはなく、例えば発光素子210の個数より多く設け、空いた開口には、チップ抵抗、チップコンデンサなどの部品を搭載することも可能である。
【0045】
また、一部の開口110に複数の発光素子210を対応させて配置することにより、開口110の個数を発光素子210の個数より少なく設けることも可能である。
【0046】
上記においては、伝熱部材230は開口を有する1枚の板状部材として説明したが、これに限られるものではなく、任意の形状、構造を採用することができる。
【0047】
例えば、アルミベース基板220上に、アルミベース基板220の実装面に垂直に突出させて複数の板状ルーバを並行かつ一方向に配し、この間に発光素子210を配置してもよいし、ルーバをメッシュ状にしてルーバにより囲まれた領域に発光素子を配置してもよい。また、伝熱部材230はアルミベース基板220の全面に渡って設ける必要もなく、一部に設けてもよい。
【0048】
伝熱部材230は、アルミベース基板220のアルミニウム製メタルベースの上に、熱伝導シート120aを挟み込んだ構造として説明したが、これに限られるものではない。例えば、アルミベース基板220のアルミニウム製メタルベース、絶縁層、銅箔配線層の上に、熱伝導シート120aを挟み込んだ構造としてもよい。
【0049】
アルミベース基板220と伝熱部材230とは、適宜な位置に配されたねじ222によって一体的に固定される。
【0050】
アルミベース基板220と伝熱部材230との固定は、ねじに限られるものではなく、適宜はんだ付け、熱伝導性接着剤による接着などにより相互を固定してもよい。
【0051】
図2および図3を参照して、アルミベース基板220と伝熱部材230との間には、熱伝導シートを設けたり、熱伝導グリースを塗布してもよい。熱伝導シートは、アルミベース基板220と伝熱部材230との接触面積を大きくすることにより熱抵抗を下げ、発光素子210で発生した熱をアルミベース基板220を介して、伝熱部材230へ効率よく誘導するためのシートである。熱伝導シートとしては、シリコーンゴム製シート、シリコーンにセラミックフィラーを充填したシートなどを好適に用いることができる。
【0052】
熱伝導シート120aには、伝熱部材230に設けられた開口110に対応して穴を設け、発光素子210から出射した光の進行を妨げないようにする。
【0053】
なお、当該熱伝導シートは熱伝導設計に応じ、熱伝導グリースなどにより代替することが可能であり、またこれらシートあるいはグリースを省略してもさしつかえない。
【0054】
ふたたび図2および図3を参照して、伝熱部材230の上には保護部材130が設けられている。保護部材130としては、熱伝導性の良好な材料を選択することが好ましく、熱伝導率が高いガラスが適している。他には、光透過性が必要とされるので、ポリカーボネートやアクリル等の透光性樹脂などを用いることができる。
【0055】
保護部材130は、アルミベース基板220と伝熱部材230とにより、発光素子210を取り囲んで形成された開口110を覆うように設けられ、開口110を密封し発光素子210を外気から保護する役割を果たしているのである。
【0056】
保護部材130は、水などの侵入を防止するパッキン310により伝熱部材230と一体的に固定してもよいし、また伝熱部材に(あるいは、熱伝導シート120bに)熱伝導性接着剤で接着固定してもよい。
【0057】
この保護部材130が発光装置100の発光面として外気と直接接することになる。
【0058】
図2および図3を参照して、伝熱部材230と保護部材130との間には、熱伝導シート120bが設けられている。熱伝導シート120bは、伝熱部材230と保護部材13
0との間の熱伝導を良好にするもので、熱抵抗を下げる。発光素子210で発生した熱をアルミベース基板220および伝熱部材230を介して、保護部材130へ効率よく熱伝導するためのシートである。
【0059】
熱伝導シート120bとしては、上述の熱伝導シート120aと同様の材料を好適に用いることができる。
【0060】
また、伝熱部材230に設けられた開口110に対応して熱伝導シート120bに穴を設け、発光素子210から出射した光の進行を妨げないようにすることも、熱伝導シート120aと同様である。
【0061】
なお、当該熱伝導シート120bは熱伝導設計に応じ、熱伝導グリースなどにより代替することが可能であり、またこれらシートあるいはグリースを省略してもさしつかえない。
【0062】
図2を参照して、アルミベース基板220の裏面、つまり、発光素子210搭載面とは反対側の面には、発光装置駆動回路250が搭載されている。発光装置駆動回路250は、例えば後述する交流電源の供給によるLED駆動回路いわゆるAC駆動回路である。発光装置駆動回路250を構成する各部品は配線層214b上に配されており、例えばアルミベース基板220に貫通孔(図示せず)を設けて、配線層214aと接続し、各発光素子210に駆動電力を供給する。
【0063】
なお、本発明の発光装置においては、発光装置駆動回路は必須のものではなく、用途によっては内蔵しなくともよい。
【0064】
図2、図3を参照して、アルミベース基板220の、発光素子210搭載面とは反対側の面には、断熱部材240が設けられている。
【0065】
発光素子210から発生した熱は、後述するように、アルミベース基板220により横方向に拡散されて伝熱部材230へと導かれるが、本断熱部材240は、アルミベース基板220に伝導した熱がケース140内で発光面とは反対側に熱伝導、対流、熱放射により熱伝達するのを防止し、発光装置100の発光面側への熱伝導を強化するための部材である。
【0066】
断熱部材240の材料としては、発泡プラスチック系断熱材、いわゆる発泡スチロールや、CR(クロロプレンゴム)スポンジ、EPDM(エチレン・プロピレンゴム)スポンジ、シリコンゴムスポンジなどを好適に用いることができる。
【0067】
なお、本断熱部材240は付加的なものであり、省略してもさしつかえない。
【0068】
図2、図3を参照して、椀状のケース140が、発光装置100の本体を覆って設けられている。
【0069】
ケース140は、発光素子210から発生した熱をケース140を介して外側に熱伝達させないように、例えば熱伝導率が低いプラスチックで形成する。
【0070】
開口110には特に何も充填せず内部が空気層のままであってもよいし、光透過率の高い封止樹脂で封止してもよい。光透過性封止樹脂としては、エポキシ系の熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、熱硬化性のシリコーン樹脂などを用いることができる。
【0071】
次に、図4を参照して、本発明の要点である、発光素子210で発生した熱伝導経路を説明する。図4は、発光装置100の熱伝導経路を示す説明図である。
【0072】
発光素子210から発生した熱は、上述のように発光素子210、アルミベース基板220間の熱抵抗が小さくなるように設計されているから、図4に図示するように、まず下方へ熱伝導する。なぜなら、上方へは対流と熱放射で熱伝達されるが、その熱抵抗は大きく、上方への熱流量が極めて少ないからである。
【0073】
下方へ伝導された熱は、一様に熱伝導率の高いアルミベース基板220によって横方向へ拡散される。そして、横方向へ拡散された熱は、アルミベース基板220、伝熱部材230間の熱抵抗が小さいため、伝熱部材230へと誘導され、伝熱部材230の下面から上面に熱伝導される。
【0074】
伝熱部材230により上方へと導かれた熱は保護部材130へ熱伝導し、上述のように、保護部材130は熱伝導率の高い材料が選ばれているので、保護部材130へと熱伝達された熱は拡散され、保護部材130全体が温められることになる。
【0075】
以上の説明で明らかなように、本発光装置によれば、発光素子点灯時に生ずる発熱を、効率よく発光装置前面すなわち発光面に熱伝導することができる。したがって、本発光装置が豪雪地帯の屋外に設置され、たとえ発光装置の発光面に雪が付着したとしても、速やかに融雪作用を奏するので、効果的に着雪を防止することが可能となるのである。
【0076】
しかも、本発光装置では、発光ダイオードの発熱を積極的に利用しているから、ヒータ等の別途の融雪手段を用いることがないので、融雪時に付加電力を要しない。したがって、発光装置全体としての消費電力を増加させることがなく、低コスト化に有利であるという優れた効果を奏することもできるのである。
【0077】
さらに、実装基板の裏面に断熱部材を配した場合には、発光素子から実装基板へと伝達された熱が、実装基板の裏面側、すなわち発光面とは反対側に熱伝導、対流、熱放射されるのを防止する。したがって、発光素子から発生した熱が保護部材以外に熱伝達される伝達ロスを減少させ、さらに効率よく保護部材すなわち発光装置の発光面に熱を熱伝導させることができるので、一層着雪の融解除去作用を効果的に行わせることができるという効果を奏することができる。
【実施例2】
【0078】
図5は、本実施形態にかかる発光装置400の断面図である。
【0079】
図5において、410は鉄板、420a、420bはプリント基板を示す。
【0080】
その他の構成については実施例1と同様であるので、同一の部品および構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0081】
実施例1では実装基板としてアルミベース基板を用いていたのに対し、本実施例では鉄板410とプリント基板420a、420bとを組み合わせて用いることを特徴としている。
【0082】
鉄板410の上には、発光素子210の電力供給配線用プリント基板420aが設けられている。また、発光装置駆動回路250もプリント基板420bの上に実装されている。
【0083】
プリント基板420a、420bとしては、ガラスエポキシ基板FR4、フレキシブル基板などを用いることができる。
【0084】
鉄板410の厚さは、例えばt2mm、プリント基板の厚さは、例えばガラスエポキシ基板ではt0.3mm、フレキシブル基板ではt0.05mmとすることができる。
【0085】
実施例1と同様の技術思想で、発光素子210としてのLEDは、プリント基板420aに実装されている。伝熱部材230は、プリント基板420に開口を設けて、鉄板410に直接接触するように配置するのが好ましい。むろん、プリント基板に開口を設けず、プリント基板の配線上に伝熱部材230を配置することも可能である。
【0086】
実施例1と同様に、鉄板410、プリント基板420aは一体として、ねじ222により伝熱部材230に螺合、固定する。あるいは、鉄板410、プリント基板420a、伝熱部材230の相互を、適宜はんだ付け、熱伝導性接着剤による接着などにより固定してもよい。
【0087】
本実施形態では、実施例1に対し、実装基板として、安価な鉄板とプリント基板との組み合わせを採用しているので、製造コストを低減できるという効果がある。
【実施例3】
【0088】
図6は、本実施形態にかかる発光装置600の断面図である。
【0089】
図6において、610は実装基板、620はプリント基板、630は熱伝導シートを示す。
【0090】
その他の構成については実施例1と同様であるので、同一の部品および構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0091】
実施例1あるいは2では、発光素子の実装基板と伝熱部材とを別体で構成していたが、本実施例では、これを一体で形成する点に特徴がある。
【0092】
実装基板610には熱伝導性の良好な金属、例えばアルミニウム板が用いられ、図3の伝熱部材230と同様に、発光素子210の実装位置に対応して開口110が設けられている。
【0093】
実装基板610の下面には、実装基板610と同様の形状、配置で開口110を設けたプリント基板620を配置する。
【0094】
本実施例では発光素子210として、パッケージに封入したLEDであって、光出射面とハンダ付け実装面が同一面に構成したSMDタイプのLEDを好適に用いることができ、光出射方向が上方、すなわち、プリント基板および実装基板の開口を通して光が前面、すなわち、保護部材130方向に出射するように配置する。
【0095】
本実施例のように構成することにより、発光素子210から発生した熱は実装基板610に熱伝導され、直接保護部材130に熱伝導され、該保護部材130の面内で拡散される。
【0096】
実施例1と同様に、実装基板610、プリント基板620の組み合わせはアルミベース基板で置き換えることも可能であり、また熱伝導シート630は省略してもよい。
【0097】
断熱部材240の効果も実施例1と同様であり、またこれを省略してもよい。
【0098】
実施例1あるいは2では、発光素子の実装基板と伝熱部材とを別体で構成していたので、それらの接続部に微小ながら熱抵抗が存在し、したがって、発光素子210から保護部材130への熱の誘導が、わずかながら阻害されていた。
【0099】
本実施例では、それらの要因も取り除くことにより、さらに効率よく熱を保護部材130へ誘導できるので、融雪効果が一層高められるという効果を奏することができる。
【0100】
さらに、本実施例によれば、発光素子から保護部材に至る経路が単一の材料で形成されているから、製造が簡略化され、低コスト化が一層有利になるという効果も奏することができる。
【実施例4】
【0101】
本実施形態は、発光装置にGX53口金を採用することを趣旨としている。
【0102】
図7(A)は、本実施形態にかかる発光装置700に嵌合するソケット750、図7(B)は、本実施形態にかかる発光装置700の背面斜視図である。
【0103】
図7(A)において、符号760はソケット本体、770は電源ターミナル挿入孔、780は嵌込凹部、図7(B)において、符号710はGX53口金、720は凸部、730は電源ターミナル、732は係合保持受部、740はケースを示す。
【0104】
ケース750の内部に、実施例1ないし3で説明した発光装置本体が収容されている。
【0105】
GX53とは、薄型化を目的とし、IEC(国際電気標準会議)において、7004−142−1として規定された照明装置の規格であり、日本では、JIS(日本工業規格)C7709−1として規定されている。以下、当該規格を本発光装置に適用した場合の実施例について説明する。
【0106】
図7(B)を参照して、本発光装置の背面には凸部720を有するGX53口金710が設けられている。突部720は上面、下面を円形にして構成され、その厚さは20mm程度と比較的薄く、その内部に発光装置の駆動回路(図2の発光装置駆動回路250がこれに相当する)を配する構成となっている。このため、従来のように照明装置本体側に電源回路を設ける必要がなくなり(つまり、本規格では、照明装置本体側には、商用電源が直接接続されているだけであり、LED駆動回路は発光装置に内蔵される)、また全体が平面的であるため薄型化を実現しやすい。
【0107】
電源ターミナル730は、発光装置700に電源を供給するための電源端子であり、適宜な配線系により発光装置本体に接続されている。
【0108】
係合保持受部732は、凸部720の周囲に、L字型に凹設して形成されている。
【0109】
一方、図7(A)に図示するソケット750は、通常天井あるいは壁などに開口を設けて嵌め込まれ、固定される。ソケット750には、電源ターミナル挿入孔770、嵌込凹部780が設けられており、それぞれ発光装置本体の電源ターミナル730、凸部720が嵌合するようになっている。
【0110】
電源ターミナル挿入孔770はいわゆるだるま穴となっており、挿入した後発光装置側を回転させて電源ターミナル730が抜けないように支持する。ソケット750内には、
図示しない商用電源に接続される接触金具が設けられており、電源ターミナル730がこの接触金具と接触することにより、商用電源が発光装置700に供給される。
【0111】
また、ソケット750には、図示しない係合保持部が設けられており、凸部720を嵌込凹部780に嵌合させることにより、発光装置700の係合保持受部732と係脱可能に係合して、光源装置700がソケット750に保持される。
【0112】
以上説明したように、本実施形態にかかる発光装置によれば、照明器具の標準であるGX53口金を採用しているので、装置の小型、薄型化が可能となり、また、他の一般的照明装置との兼用も可能となることから、用途上の汎用性も増すという効果を奏することができる。
【実施例5】
【0113】
本実施例は、交流商用電源の供給によるLED駆動回路、いわゆるAC駆動回路を内蔵した発光装置に関するものである。
【0114】
図8は、本実施の形態にかかる発光装置800の回路図である。符号810は発光素子群、820は発光素子、例えば、発光ダイオードである。830はAC駆動回路であり、ダイオードブリッジ850、平滑コンデンサ860、制限抵抗870から構成されている。840はAC電源をあらわす。
【0115】
同図に示すように、AC駆動回路830はダイオードブリッジ850を内蔵し、このダイオードブリッジによりAC電源840の交流電圧を全波整流後、整流電圧を制限抵抗870により制御された電流を発光素子群810に供給するようにしている。
【0116】
図8では、発光素子群810として、発光素子820を1列直列接続したものを例示しているが、発光素子群の構成はこれに限られず、任意の数の発光素子820を直列接続したものをさらに任意の数だけ並列接続するなど適宜な構成が可能である。
【0117】
直列接続された発光素子の個数は、発光素子群810の順方向電圧(Vf)の和が供給する整流電圧を超えないように適宜設定すれば、制限抵抗による電力損失を少なくした駆動回路を実現できる。
【0118】
本発光装置によれば、本発光装置をAC電源に直接接続することができ、また、特にAC/DCコンバータのような付加的な回路を搭載する必要がないので、発光装置をより小型、薄型化することができるという効果を奏することができる。
【実施例6】
【0119】
本実施例では、本発明による融雪効果を発揮させた例として、本発明を交通信号灯器に適用した例を説明する。
【0120】
図9は、本発明の実施形態6かかる交通信号灯器900の斜視図である。
【0121】
図9において、910B、910Y、910Rは発光部、920は庇、930は蓋、940はねじ、950は筐体を示す。
【0122】
図9を参照して、発光部910B、910Y、910Rには、上述の各実施形態の発光装置の任意の形態のものを組み込むことが可能であるが、ここでは、実施例4のGX53口金タイプのものを採用した場合を例示して説明する。
【0123】
また、ここでは、横型の交通信号灯器を例示しているが、豪雪地帯において一般的である縦型にも同様に適用可能であることはいうまでもない。
【0124】
ふたたび図9を参照して、発光部910B、910Y、910Rはそれぞれ青緑色、橙色、赤色に発光するものであり、当該各色に対応する公知のLEDを採用して構成することができる。
【0125】
筐体950はアルミダイカストなどにより形成し、3個の発光部を一体的に固定する。
【0126】
庇920は、発光部910B、910Y、910Rに直接上方から太陽光が照射された場合に、発光部910B、910Y、910Rの点灯する色の識別が困難になることを防止するとともに、雨や雪よけ用にも供するためのものである。
【0127】
蓋930は発光部910B、910Y、910Rを固定し、ねじ940は蓋を開放するためのねじである。すなわち、ねじ940を緩め外すことによって、蓋930が蓋の上方に配された蝶番1020(図10)を中心として、図9の黒矢印で示す方向に開放される。
【0128】
蓋930を開放した状態を図10に示す。図10は、本発明の実施形態6かかる交通信号灯器900の背面斜視図である。
【0129】
図10を参照して、蓋930に固定された発光部910Bの背面が図示されており、符号1030はGX53口金を示す。
【0130】
また、符号1040はGX53口金に嵌合するソケットであり、当該ソケットには、商用電源を供給するための電源線1010が接続されている。本交通信号灯器900では、発光部910B、910Y、910Rのいずれかを交換する場合に、ソケット1040を外し、蓋に固定された発光部を取り外し交換すればよいので、メンテナンスが容易である。
【0131】
本実施形態ではGX53口金を採用しているので、交通信号灯器900全体の厚みを約60mm程度と薄型に構成することが可能である。
【0132】
以下、本実施形態の融雪効果について説明する。
【0133】
発光部の表示面のサイズは例えば約300mmφと規格で定められているので、当該サイズと発光部の発光輝度等を考慮して、適宜な個数のLEDを発光部に配することになるが、例えば0.05WのLEDパッケージを200個程度とすることができる。LEDの種別はとくに限定されない。
【0134】
上述のように発光部を構成すると、駆動回路を含めたLEDに供給される電力は、1色当たり10〜20W程度となる。本発明によれば、この熱エネルギーを効率的に発光面を構成する保護部材(図2においては保護部材130)に熱伝導することが可能となる。
【0135】
発明者ら知見によれば、上述の構成により、保護部材の温度は、気温に対してプラス10℃〜15℃程度に上昇するものと見込まれる。例えば、気温が−10℃なら保護部材の温度は0℃〜+5℃程度となる。発光面を構成する保護部材の温度がこの程度上昇すれば、着雪した雪を融かすことができるので、発光面に雪が堆積することを有効に防止することができるという効果を奏することができる。
【0136】
なお、本発明の発光装置は、上記の構成に限定されるものではなく、種々の変形例や応用例が可能である。
【0137】
例えば、上記各実施形態では、発光装置の本体形状として円形を例示して説明したが、矩形等任意の形状を採用することが可能である。
【0138】
また、口金としてGX53を例示して説明したが、E26等の従来から一般的である口金を適用することもできる。
【0139】
本実施形態では、駆動回路としてダイオードブリッジによる整流回路を例示して説明したが、スイッチング型のAC/DCコンバータ等の適用も可能である。
【0140】
上記各実施形態では、実装基板と伝熱部材とを別体で構成したものを例示して説明したが、これを切削あるいは押出成型等により一体的に形成し、一部品とすることも可能である。この場合、例えば発光装置の中心から放射状に伝熱部材を形成し、該伝熱部材間に、LEDを搭載したプリント基板を配する。裏面への配線は実装基板に開口を設けて行い、例えば裏面に配置した駆動回路と接続する。
【0141】
上記各実施形態では、発光素子として、発光ダイオード(LED)を例示して説明したが、半導体レーザ、有機LED等他の半導体発光素子の適用も可能である。
【0142】
また、上記各実施形態では、発光素子の実装として、パッケージ封入タイプのLEDによる実装を例示して説明したが、ベアチップの発光ダイオード素子を直接基板に実装する、いわゆるCOB(Chip on Board)実装の適用も可能である。
【0143】
さらに、本実施形態では、融雪効果を発揮させた発光装置の例として交通信号灯器を例示して説明したが、その他、道路照明、街路灯、表示灯、道路標識、電光掲示板、道路情報板、玄関外灯、屋外防犯灯、ヘッドライトなど、屋外で用いられるあらゆる形態の発光装置に適用が可能である。
【符号の説明】
【0144】
100 発光装置
110 開口
120a、120b 熱伝導シート
130 保護部材
140 ケース
210 発光素子
212 はんだ
214a,b 配線層
220 アルミベース基板
222 ねじ
230 伝熱部材
240 断熱部材
250 発光装置駆動回路
310 パッキン
330 蓋
400 発光装置
410 鉄板
420a、b プリント基板
600 発光装置
610 実装基板
620 プリント基板
630 熱伝導シート
700 光源装置
710 GX53口金
720 凸部
730 電源ターミナル
732 係合保持受部
740 ケース
750 ソケット
760 ソケット本体
770 電源ターミナル挿入孔
780 嵌込凹部
800 発光装置
810 発光素子群
820 発光素子
830 AC駆動回路
840 AC電源
850 ダイオードブリッジ
860 平滑コンデンサ
870 制限抵抗
900 交通信号灯器
910B、910Y、910R 発光部
920 庇
930 蓋
940 ねじ
950 筐体
1010 電源線
1020 蝶番
1030 GX53口金
1040 ソケット



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の面および前記第一の面の裏面側に位置する第二の面を有する実装基板であって、前記第一の面上に、前記第一の面に対して略垂直方向に光を出射する複数の発光素子を搭載した実装基板と、
前記実装基板の前記第一の面上において前記複数の発光素子の間に設けられ、金属材料で形成された伝熱部材と、
前記伝熱部材および前記複数の発光素子を覆うように設けられた保護部材と、を有し、
前記複数の発光素子において発生した熱を前記実装基板および前記伝熱部材を介して、前記保護部材に伝導させるようにしたことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記伝熱部材は前記実装基板と略同形の板状であり、前記複数の発光素子の各々に対応して前記発光素子を取り囲む複数の貫通孔を有し、前記実装基板に重ねて配置されたことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
第一の面および前記第一の面の裏面側に位置する第二の面と、前記第一の面から前記第二の面に貫通する複数の貫通孔を有する熱伝導性材料で形成された実装基板と、
前記第二の面側から前記第一の面側に前記貫通孔を通して光を出射するように第二の面上に搭載された複数の発光素子と、
前記実装基板および前記貫通孔を覆うように設けられた保護部材と、を有し、
前記複数の発光素子において発生した熱を前記実装基板を介して、前記保護部材に伝導させるようにしたことを特徴とする発光装置。
【請求項4】
前記実装基板の第二の面に接して、断熱部材を配したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
口金として、GX53口金を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
AC駆動回路を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発
光装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−256677(P2012−256677A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128231(P2011−128231)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】