説明

発光装置

【課題】照明工事を行うことなく設置可能であり、地震時に発光する発光装置を廉価で提供する。
【解決手段】振動を感知して発光する発光装置1は、内部に発光回路18を有する透光性を有する発光体2を含み、発光回路18は、LEDライト26と、LEDライト26に電力を供給する電池24と、常時は電池24からLEDライト26への電力供給を遮断し、振動を感知すると所定時間、電力供給を可能とする振動感知スイッチ28と、からなり、振動感知スイッチ28は、一対の電極と、一方の電極に接続された金属ばね28Aとを備え、一方の電極に接続された金属ばね28Aが他方の電極に接触すると所定時間、電力供給を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震に発光する発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、就寝時における地震による停電対策として、寝室に懐中電灯を設置することが行われている。しかしながら、例え、寝室に懐中電灯を設置したとしても、停電時には室内照明が使用できないため、暗闇の中で懐中電灯を探さなければならないという問題がある。
【0003】
これに対して、近年、例えば、特許文献1に記載されているように、振動を感知するスイッチが組み込まれ、振動を感知すると自動的に点灯する室内照明が普及してきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−287500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように室内照明に振動を感知して点灯する機構を組み込むためには、新たに照明工事が必要となり、非常に手間がかかる。さらに、振動を感知する構成が非常に複雑であるため、コスト高になるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、照明工事を行うことなく設置可能であり、地震時に発光する発光装置を廉価で提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発光装置は、振動を感知して発光する発光装置であって、内部に発光回路を有する透光性を有する球体を含み、発光回路は、発光素子と、発光素子に電力を供給するバッテリーと、常時は前記バッテリーから発光素子への電力供給を遮断し、振動を感知すると電力供給を可能とする振動感知スイッチと、からなり、振動感知スイッチは、一対の電極と、一方の電極に接続された金属ばねとを備え、一方の電極に接続された金属ばねが他方の電極に接触すると所定時間、電力供給を可能とすることを特徴とする。
【0008】
このような構成の本発明によれば、金属ばねにより振動感知スイッチを構成しており、非常にシンプルな構成であり、廉価で発光装置を提供することができる。また、室内照明等に組み込む必要がないため、照明工事を行うことなく設置できる。また、機械的な構成により、振動を感知しているため、故障が生じにくい。
【0009】
本発明において、好ましくは、球体は、透光性を有する外殻と、外殻内に配置された透光性を有する内殻と、外殻及び内殻の間に充填された透光性を有する液体と、を備え、発光回路は、内殻内に配置されている。
【0010】
このような構成の本発明によれば、内殻と外殻との間に充填された液体により光が拡散され、幅広い範囲を照らすことができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、さらに、上面に凹部が形成された基台を含み、球体は常時は凹部に嵌めこまれて保持されている。
【0012】
このような構成の本発明によれば、基台に形成された凹部の径や深さを調整することにより、所定の大きさ以上の地震の際のみに、発光体が落下するようにできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、照明工事を行うことなく設置可能であり、地震時に発光する発光装置を廉価で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による発光装置の全体構成を示す側面図である。
【図2】図1に示す発光装置の発光体の断面図である。
【図3】図2に示す発光体の発光回路を示す回路図である。
【0015】
以下、本発明の一実施形態による発光装置を図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態による発光装置1の全体構成を示す側面図である。同図に示すように、本実施形態の発光装置1は、球体状の発光体2と、発光体2を保持するための台座部4とにより構成される。
【0016】
台座部4は、例えば、プラスチックなどの樹脂や、ステンレスなどの金属などからなり、L字型に形成された取付部6と、取付部6に固定された基台8とにより構成される。
取付部6は、略垂直方向に接続された平板状の垂直部6Aと、水平部6Bとを備え、水平部6Bの上面に基台8が固定されている。例えば、室内の壁面に、取付部6の垂直部6Aがねじ固定されることにより、台座部4は室内に固定されている。
【0017】
基台8は円錐台形状に形成されており、上面に円形状の凹部10が形成されている。発光体2は、その下部が基台8の凹部10に嵌め込まれることにより、台座部4上に載置されている。なお、この凹部10の深さ及び径を適宜調整することにより、所望の震度以上の地震の場合には、発光体2が落下し、所望の震度未満の地震の場合には発光体2が落下しないように調整できる。
【0018】
図2は、発光体2の構成を示す鉛直断面図である。同図に示すように、発光体2は、外殻12と、外殻12内に配置された内殻14と、外殻12と内殻14との間に充填された液体16と、内殻14内に設けられた発光回路18とを備える。
【0019】
外殻12及び内殻14は、例えば、無色透明のプラスチックや樹脂からなる球体からなる。内殻14は外殻12に比べて小径に形成されている。なお、本実施形態では、無色透明としているが、これに限らず、透光性を有すれば、無色透明である必要はない。
外殻12及び内殻14の間に充填された液体16としては、透光性を有しておればよく、例えば、水や油、粘性を有するゲル等を用いることができる。
【0020】
図3は、発光回路18の構成を示す回路図である。図2及び図3に示すように、発光回路18は、基板20と、基板20に設けられた保持具22により保持された電池24と、LEDライト26と、振動感知スイッチ28と、により構成される。図3に示すように、本実施形態では、電池24と、3つのLEDライト26と、振動感知スイッチ28と、が直列に接続されている。
【0021】
振動感知スイッチ28は、基板20上に所定の間隔をあけて形成された一対の電極(不図示)と、一方の電極に一端が接続され、基板20に対して斜めに延びる伝導性の金属からなる金属ばね28Aを含む。金属ばね28Aの先端は他方の電極の近傍に間隔をあけて位置している。
振動スイッチ28は、常時は電池24とLEDライト26との間を電気的に遮断しており、基板20上に形成された第1及び第2の電極の間が通電状態となると、電池24とLEDライト26との間を、所定の期間(例えば、20秒間)にわたって、通電状態とする。このようなスイッチとしては、例えば、自己保持したリレーをオンディレータイマで切る回路などを用いることができる。
【0022】
上記のように、常時は、金属ばね28Aの先端と第1の電極とは離間しているため、振動感知スイッチ28は非通電状態となっている。そして、後述するように、発光体2が落下すると金属ばね28Aの先端部が振動し、金属ばね28Aの先端が基板20に形成された第2の電極に接触すると、振動感知スイッチ28は所定時間、通電状態となる。
振動感知スイッチ28が通電状態となると、電池24から発光回路18を介してLEDライト26に電力が供給される。これにより、LEDライト26が発光する。
【0023】
以下、本実施形態の発光装置1が地震を検知して、発光体2が発光する仕組みを説明する。
本実施形態の発光装置1は、台座部4を寝室などの壁面に取り付けて使用する。上記のように常時は、発光体2は、その下部が台座部4の凹部10に嵌めこまれて載置されている。かかる状態において、発光体2には振動が生じていないため、振動感知スイッチ28は非通電状態となっており、LEDライト26は発光しない。
【0024】
地震時には、発光体2に振動が作用する。これにより、発光体2が基台8からはずれ落下すると、落下時の加速度及び床に落下した際の振動により金属ばね28Aが振動する。これにより振動感知スイッチ28が通電状態となる。そして、発光回路18に電池24から電力が供給され、LEDライト26が発光する。また、仮に再び非通電状態となっても、使用者が発光体2を振動させることにより、その間、発光体2を発光させることができる。
【0025】
以上説明したように、本実施形態によれば、振動を感知する仕組みとして、金属ばね28Aにより振動感知スイッチ28を構成しており、非常にシンプルな構成である。このため、廉価で発光装置1を提供することができる。また、室内照明等に組み込む必要がないため、照明工事を行うことなく設置できる。さらに、機械的な構成により、振動を感知しているため、故障が生じにくい。
【0026】
また、内殻14と外殻12との間に液体16を充填しているため、この液体16により光が拡散され、幅広い範囲を照らすことができる。
【0027】
また、台座部4の基部8に形成された凹部10の径や深さを調整することにより、所定の大きさ以上の地震の際のみに、発光体2が落下するようにできる。
【0028】
なお、本実施形態では、内殻14と外殻12とを設け、これら内殻14及び外殻12の間に液体16を充填しているが、これに限らず、透明な樹脂内に発光回路18を埋設することとしてもよい。
また、台座部4の構成も上記の構成に限られず、地震時に発光体2が落下するような構成であればよい。
また、本実施形態では、発光体2は振動を感知すると、所定時間点灯する構成としたが、これに限らず、通電状態を維持してもよい。この場合には、振動感知スイッチ28として、一対の電極間が通電した場合に、通電状態を保持するリレー回路を用いればよい。また、本実施形態では、LEDライト26を点灯させる構成としているが、これに限らず、LEDライト26を点滅させてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 発光装置
2 発光体
4 台座部
12 外殻
14 内殻
16 液体
20 基盤
24 電池
26 LEDライト
28 振動感知スイッチ
28A 金属ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を感知して発光する発光装置であって、
内部に発光回路を有する透光性を有する球体を含み、
前記発光回路は、発光素子と、前記発光素子に電力を供給するバッテリーと、常時は前記バッテリーから発光素子への電力供給を遮断し、振動を感知すると電力供給を可能とする振動感知スイッチと、からなり、
前記振動感知スイッチは、一対の電極と、一方の電極に接続された金属ばねとを備え、前記一方の電極に接続された金属ばねが他方の電極に接触すると所定時間、電力供給を可能とする
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記球体は、
透光性を有する外殻と、
前記外殻内に配置された透光性を有する内殻と、
前記外殻及び内殻の間に充填された透光性を有する液体と、を備え、
前記発光回路は、前記内殻内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
さらに、上面に凹部が形成された基台を含み、
前記球体は常時は前記凹部に嵌めこまれて保持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−55024(P2013−55024A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202373(P2011−202373)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(594051068)株式会社クボプラ (1)
【Fターム(参考)】