説明

発券装置

【課題】
チケット等の発行する発券端末装置において、発券動作時に電源断等の動作異常が発生した場合は、オペレータもしくはサービスマンがチケットの状態(印刷の有無)に係わらず無効券として廃棄処分し、後に本データの確認及び取消し処理をホストに対し行なっている。しかしチケットで印刷済みの物は、一見有効券に見えてしまう為、廃棄忘れや誤って顧客に渡してしまう恐れがある。この場合、ホストのデータに登録されていないチケットが存在することとなる。
【解決手段】
発券端末装置内部で印字された直後にホストに対し発券データを送信する。また、ホストがデータ登録を完了すると、チケットにマークを印字する。これにより、マークの有無で有効/無効の判別を容易に行うことができる。また、マークをバーコード等にし、バーコードリーダ等で読み取らないと販売ができない等の仕掛けを作りこめば、無効券を誤って販売する恐れがなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チケット等の印刷発行システムの発券端末装置において、装置障害等が発生した場合でも、重複した同一データのチケット発券を防ぐことができ、誤って無効券を販売することを防ぐことが可能な発券方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チケット等の発券端末において、発券動作時に電源断又は動作異常が発生した場合は、オペレータもしくはサービスマンがチケットの発券状態(印刷の有無)に係わらず無効券として廃棄処分し、発券データを集中管理するホストに対して、後に本発券動作に係わるデータの確認及び取消し処理を行なっている。
【0003】
また、特許文献1(特開平9−311955号)には、それぞれの発券端末装置内部に持つメモリに発券情報を保存させ、その新/旧の情報比較を行なうことにより、障害発生時に発券されたチケットの再発行の可否判断を行ない、チケットの複数枚発行を防ぐ方法が記されている。
【特許文献1】特開平9−311955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の方法において、一般的に端末発券装置により発券されるチケットは、装置内部のチケット搬送路(例えば印字部、搬送路部等)に設けられた各々のセンサにて検出された上で通過してきた場合にのみ、正常に処理されたとして認識され、ホストに対し有効券としてデータ登録される。また、正常処理できていないチケットにおいては、全て無効券として廃棄処分し、後にホストに対しデータの確認及び取消し処理を行なっている。
【0005】
この場合、何らかの障害により再発券したにも関わらず障害時に除去したチケットの廃棄処理を忘れた場合、同一情報を持つチケットが複数枚存在することになり、ホストのデータに登録されていないチケットが存在することになる。
【0006】
また同一チケットの発券を防ぐ方法として、例えば特許文献1に開示の方法では、旧データと新データを格納するメモリを装置内部に備えており、発券指示があるとデータを新メモリに退避し、旧メモリ内部のデータと比較する。もし一致しなければ新しい発券指示であると判断し、新メモリの情報を旧メモリへ移動し新メモリを零クリアした後、発券動作を行なう。これにより、発券途中で電源断等の障害が発生した場合でも新/旧メモリの比較を行なうことにより、処理途中のデータであるか新データであるか判断することができる。また再発行時には、取消し券を挿入しなければならない等の仕掛けが設けられ、同一情報を持つチケットを複数枚発行することを防ぐ手段として報告されている。
【0007】
しかし、障害発生時に何らかの要因により、旧メモリ内部のデータが破壊されたり、もしくはクリア(リセット)された場合は、再発券処理をする際に新しいデータとして扱われることになり、同一情報を持つチケットを発行することになる。場合によっては、1件のデータで複数のチケットを販売してしまう可能性がある。
【0008】
又、発券処理途中において、印刷完了後搬送路内で電源断等の障害が発生し、ホストにはエラー報告しているが誤ってチケットが発券口から出てきた場合、オペレータは有効券と勘違いし販売する可能性が考えられる。
【0009】
これらの要因により、もし誤って販売された無効券がくじ券のようなもので、尚且つ高額当選した場合、かかる損害は膨大なものとなる。
【0010】
本発明の目的は、同一情報を持つチケットの複数枚発券や、誤って無効券を販売することを防ぐことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、発券指示があるとチケットに印字した直後にデータをホストへ送信する。印字直後にデータをホストに登録することで、チケットが排出される前に有効券とすることができる。また、ホストがデータ登録を完了すると、チケットにマークを付加する。これにより、発券されたチケットがマークの有無で有効券であるか無効券であるか容易に判別することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、発券処理途中に電源断等の障害が発生した場合でも、同一情報を持つチケットの複数枚発券を防ぐことが出来、且つ無効券が販売されることがなくなる。また、チケットを見ることで有効券/無効券の判別を容易に行なうことが出来るため、オペレータのチケット発行の管理が簡素化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明にかかるチケット発券端末の構成を示すブロック図である。また図2〜図4は、本発明をオンライン上の発券端末装置に適用した場合の処理手順の一実施例を示すフローチャート図である。
【0014】
図1において、10はチケット発券端末で、11は制御部であり、後に説明する各部位によるデータの処理やチケットの搬送、印字及びホストとのデータのやり取り等これらの動作制御を司るものであり内部に格納されたプログラムによって各部の動作を制御する。12はチケットを収納するチケット収納部であり、16は前記チケット収納部よりチケットの繰り出しから排出までを行なう搬送部、13は発行されるチケットの印刷面に対し必要な情報を印刷する印字部である。14はデータをホストとやり取りするデータ転送部であり、15は発券データをホストに登録後マークを付加するマーク付加部である。そして17は全て正常な処理手順で作成されたチケットを排出する排出部である。
【実施例1】
【0015】
以下本発明の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。まず、図2〜図4のフローチャートを用い、図1の各部の動作を説明する。チケットを発行する場合、端末自身もしくは他の上位装置等から発券命令がくると、データの処理を開始する(ステップ100)。データ処理が終了すると、チケット収納部12からチケットが繰り出され、印字部13でチケットの印刷面に必要な情報を印字する(ステップ101)。
【0016】
その後印字した結果をチェック(ステップ102)し、正常であった場合は、直後にデータ転送部14からホストに対しデータを送信する(ステップ103)。前記チェック(ステップ102)で印字が正常終了しなかった場合は、エラー処理を実施(ステップ104)した後、再発券の処理を行なう。ここでのエラー処理については、チケットを取り出す前に装置内部で印字が失敗したことが分かるような処理を施すことが望ましい。
【0017】
一方、ホスト側では、待機状態(ステップ113)から端末からのデータ転送待ち状態(ステップ114)において、データを受信すると登録処理を開始する(ステップ115)。端末から受信した発券データの登録が完了(ステップ116)すると、端末側に登録完了を通知する(ステップ117)。前記登録完了を通知すると、登録処理を終了し(ステップ118)、再び待機状態に戻る(ステップ119)。
【0018】
また、ホストに対しデータ登録(ステップ103)を行なった端末は、ホストからの登録完了通知待ち状態(ステップ105)になっており、登録通知を受信すると、マーク付加部15においてチケットに対しマークを付加する(ステップ106)。マークの付加が終わると、搬送部16を通り、排出部17からチケットを排出する(ステップ107)。
【0019】
チケットが排出されるとオペレータは、発券されたチケットのマークを確認する(ステップ108)。本確認(ステップ108)で、マークがあれば販売(ステップ109)し、なければデータの取消処理(ステップ110)とチケットの廃棄処分を行なった後、ステップ100から再発券の処理を行なう。
【0020】
また、前記ホストからの登録完了通知待ち状態(ステップ105)において、何らかの要因でホストからの通知が来ない場合はタイムアウト(ステップ111)となり、エラー処理を実施(ステップ112)後ステップ100から再発券の処理を行なう。ここでのエラー処理は、この場合印字は正常にされているので、印字内容を参照しホストとデータ照合を行ない、データが登録されていた場合はホストに対しデータ消去後チケットの廃棄処分を実施する。登録されていない場合はチケットの廃棄処分のみ実施する。
【0021】
次に、発券処理途中で電源断等の障害が発生した場合の動作を説明する。前記電源断等の障害が発生した場合、まずチケットが排出されているか確認する(ステップ120)。本確認(ステップ120)でチケットが排出されていない場合は、装置内部からチケットを取り出し(ステップ121)、チケットの印字状態を確認する(ステップ122)。
【0022】
本確認(ステップ122)で正常に印字されていない場合は、ホストに対しデータが登録されていないので、そのままチケットを廃棄(ステップ123)し、ステップ100から再発券処理を実施する。また本確認(ステップ122)において、正常に印字されていた場合は、マークが付加されているか確認する(ステップ124)。
【0023】
本確認(ステップ124)でマークがあった場合は、有効券である為チケットの販売を行なうことができる(ステップ109)。また本確認(ステップ124)でマークがなかった場合は、チケットの印字内容を参照し、ホストとデータ照合を実施する(ステップ125)。前記ホストとのデータ照合の結果(ステップ126)、登録されていない場合はチケットを廃棄(ステップ123)後、ステップ100から再発券処理を実施する。
【0024】
また、前記データ照合(ステップ126)で登録されていた場合はホストに対しデータ取消し処理を実施(ステップ127)し、チケットを廃棄(ステップ123)後、ステップ100から再発券処理を実施する。また、チケットの排出確認(ステップ120)において、障害発生後チケットが排出されていた場合は、マークの確認(ステップ124)処理以降を実施する。
【0025】
また、以上述べた再発券処理時において、チケット処分機等を設け、廃棄処分するチケットを挿入しないと、再発券処理ができない等の仕掛けを盛り込めば効果的である。
【0026】
更に、付加するマークをバーコード等の情報を持ったものとし、本マークをリーダー等で読み取らないと販売できない等の仕掛けを盛り込めばより効果的である。例えば、本発券装置に「販売可」を示すランプ等を設けても良いし、別途設けた操作ディスプレイ等に「販売可」を表示するようにしてもよい。
【0027】
以上よりこの発明によれば、発券処理中で端末に障害が発生した場合でも、マークを確認することでチケットの状態(有効/無効)を容易に判断することができる。更に、付加するマークをバーコード等の情報を持ったものとし、本マークを読み取ることで販売可能とする仕掛けや、チケット再発行処理時に廃棄処分するチケットを使用しないと再発行できない仕掛けを盛り込むと、無効件を誤って販売する恐れがなくなる。
【0028】
また、ホストにデータ転送したにもかかわらずマークが付加されなかった場合でも、印字されたチケットが存在する為、容易に取り消し操作が可能でありオペレータのチケット発行の管理が簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例におけるチケット発券端末のブロック図である。
【図2】本発明の処理手順の一実施例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の処理手順の一実施例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の処理手順の一実施例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0030】
10:チケット発券端末、11:制御部、12:チケット収納部、13:印字部、14:データ転送部、15:マーク付加部、16:搬送部、17:排出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チケット類を発行する発券装置において、
チケットに所定の情報を印字する印字部と、
上位ホストと通信するデータ転送部と、
印刷済みチケットに所定のマークを付与するマーク付与部と、
制御部とからなり、
前記データ転送部は、前記印字部によってチケットに所定の情報が印字された後、上位ホストに対して発券登録データを送信し、
前記マーク付与部は、前記データ転送部が発券登録データをホストに送信した後、当該印刷済みのチケットに対して所定のマークを付与することを特徴とする発券装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発券装置であって、
前記マーク付与部によって付与されたマークを読取るマーク読取手段と、
発行されたチケットの販売許可を指示する販売許可表示手段と
を設け、前記マーク読取手段によって前記チケットに付与された所定のマークを認識した場合に、前記販売許可表示手段にて、操作者に対して当該チケットの販売許可を指示することを特徴とする発券装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発券装置であって、
前記印字済みのチケットに付与される所定のマークは、バーコードであることを特徴とする発券装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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