説明

発射ハンドル

【課題】本発明は、操作ボタンの操作性を向上させることができる発射ハンドルを提供することを目的とする。
【解決手段】遊技機の遊技領域に遊技球を発射する発射ハンドル2であって、前記遊技機に固定されたハンドルベース20と、前記発射ハンドル2の前部を覆う前部カバー22と、前記ハンドルベース20と前記前部カバー22との間に回動可能に設けられ、回動量に応じて遊技球の発射強度を調整可能な回動操作部21と、前記前部カバー22に設けられ、遊技者に操作を要求する操作要求演出に応じて遊技者から操作を受け付けるか、及び/又は、前記操作要求演出を含む演出の状態を調整するための複数の選択肢のうちいずれかを選択する操作を遊技者から受け付ける操作ボタン28と、を備えることを特徴とする発射ハンドルを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の発射ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機などの遊技機には、遊技球を遊技領域に発射させるための発射ハンドルが、遊技機を構成する遊技筐体の右側に設けられており、遊技者は右手で発射ハンドルを操作することで遊技球の発射強度を調整する。遊技球が遊技領域の始動入賞口に入球すると抽選が行われ、その抽選結果を表示するための図柄変動が開始する。抽選結果が当選の場合には、遊技者に有利な遊技状態となる大当たり遊技が開始し、遊技者はより多くの賞球を獲得可能となる。
【0003】
ここで、図柄変動の表示にあたって、大当たり遊技の開始を期待させるようなリーチ演出が行われる。最近の遊技機では、リーチ演出中に遊技者に操作ボタンの操作を指示し、操作ボタンが操作されると、例えばキャラクタが大当たりの期待度を示す会話を行うなどの演出が行われる。このような操作ボタンは、例えば遊技筐体の左側、中央部、右側など種々の位置に設けられているが、発射ハンドルが遊技筐体の右側に設けられているため、遊技者は左手で操作ボタンを操作する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、遊技者は、発射ハンドルを操作していない左手により、タバコを吸う、飲食を行う、遊技球の上皿及び下皿間の移動などを行う。そのため、遊技機から操作ボタンの操作指示を受けても、遊技者は操作ボタンを操作できないことがある。また、操作ボタンの操作指示に対して操作ボタンを操作可能な期間が限られているため、遊技者は操作指示に対して即座に操作ボタンを操作する必要がある。しかし、前述のように左手がふさがっている場合には、遊技者は操作ボタンを即座に操作することができず、それ故に操作ボタンの操作に伴う別途の演出を享受できないなど遊技者に不利益が生じている。
【0005】
そこで、本発明は、操作ボタンの操作性を向上させることができる発射ハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明1は、上記課題を解決するために、遊技機の遊技領域に遊技球を発射する発射ハンドルであって、前記遊技機に固定されたハンドルベースと、前記発射ハンドルの前部を覆う前部カバーと、前記ハンドルベースと前記前部カバーとの間に回動可能に設けられ、回動量に応じて遊技球の発射強度を調整可能な回動操作部と、前記前部カバーに設けられ、遊技者に操作を要求する操作要求演出に応じて遊技者から操作を受け付けるか、及び/又は、前記操作要求演出を含む演出の状態を調整するための複数の選択肢のうちいずれかを選択する操作を遊技者から受け付ける操作ボタンと、を備えることを特徴とする発射ハンドルを提供する。
【0007】
遊技者に操作を要求する操作要求演出とは、図柄の変動表示の間に行なわれる、リーチ演出及び予告演出などへの参加を促すための演出などが挙げられる。演出の状態を調整するための複数の選択肢とは、例えば、演出のBGMを切替可能な選択肢、演出の表示の大きさ及び表示角度などを切替可能な選択肢、複数の演出から所望の演出を選択可能な選択肢などが挙げられる。複数の選択肢のうちいずれかを選択可能な機能は、前述の予告演出への参加を促す演出などと併用されても良いし、単独で実行可能であっても良い。
【0008】
本構造によれば、演出に関連して遊技者から操作を受け付ける操作ボタンが、発射ハンドルの前部カバーに設けられているため、回動操作部の操作及び前述の演出に関連する操作などを、発射ハンドルを把持している側の手で完結することが可能であり、操作性に優れている。具体的には、遊技を行なっている間、発射ハンドルを把持しているのとは反対側の手で、遊技球を上皿と下皿との間で移動させたり、タバコを吸う、飲食をするといったことが多いが、このように反対側の手がふさがっている場合でも、本構造であれば発射ハンドルを把持している側の手で操作ボタンを即座かつ簡単に操作できる。特に、遊技者に操作を要求する操作要求演出において、操作要求演出の開始から操作ボタンが操作されるまでの期間が所定時間に限定されている場合、また、操作要求演出の開始から操作ボタンが操作されるまでの操作タイミングにより演出が変更される場合などには、操作ボタンの早急な操作が要求される。そのような場合であっても、発射ハンドルを把持して既に操作状態にある側の手を用いて、前部カバーに設けられた操作ボタンを即座に操作可能である。
【0009】
なお、演出には映像、音、振動などが含まれ、操作要求演出もまた映像だけでなく、音及び振動などにより行われても良い。
【0010】
発明2は、発明1において、前記前部カバーの前記遊技機の本体に向かう押圧により、前記回動操作部の回動を規制する回動方向規制機構をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
発射ハンドルに設けられた操作ボタンを操作する場合、操作ボタンの操作によって回動操作部の固定が困難になり易い。例えば、遊技者は、回動操作部に指を添えて所望の回動量だけ回動させて所望の発射強度で遊技球を遊技領域に発射させている。このとき、遊技者は、指及び手首などを固定し、所望の回動量を維持して回動操作部を固定している。しかし、例えば操作要求演出に応じて遊技者が操作ボタンを操作する際に、回動操作部を固定している指及び手首などの位置がずれることで、所望の回動量からずれてしまう。逆に、遊技者が回動操作部の固定に注力するあまり、操作要求演出が行われても操作ボタンの操作を即座に行えない。
【0012】
上記の回動方向規制機構によれば、発射ハンドルの前部カバーの押圧により回動操作部の回動を規制できる。つまり、回動操作部を所望の回動量に固定するために、指及び手首などを所望の回動量で維持する必要はなく、単に前部カバーを押圧するだけで良い。そのため、遊技者は、簡単に回動操作部を所望の回動量に維持しつつ、操作ボタンを容易かつ即座に操作することができる。
【0013】
なお、回動操作部の固定を、回動操作部そのものを支持することで可能なだけでなく、前部カバーの押圧により行えるため、回動操作部の固定に関して遊技者の自由度を高めるという効果も得ることができる。また、上述の通り、遊技者は所望の回動量を維持するように回動操作部を固定しているため、指、手首及び腕などに疲れを感じ易い。このような場合に、前部カバーの押圧によっても回動操作部を固定できると、遊技者の疲れをとることができるなど発射ハンドルの操作性がより向上する。
【0014】
規制される回動としては、少なくとも回動操作部の回動量がゼロである初期位置方向への回動とし、それに加えて回動量が最大である最終位置方向への回動を含めても良い。
【0015】
発明3は、発明2において、前記回動方向規制機構は、前記前部カバーの押圧を受ける規制軸と、前記規制軸を内部に収納している規制軸受部と、を有し、前記前部カバーの押圧に応じて前記規制軸が前記規制軸受部の内壁に接触することにより、前記回動操作部の回動前の初期位置方向への回動が規制されることを特徴とする。
【0016】
規制軸受部としては、例えばワンウェイクラッチなどが挙げられる。ワンウェイクラッチは、例えば中空の円筒状からなり、複数のローラが内壁に面して設けられている。複数のローラは一方向のみ回転可能であり、他方向への回転は、例えばローラに面して設けられた係止部にローラが係合することで規制される。円筒状のワンウェイクラッチに規制軸が挿入され、ローラが規制軸から回転が規制される方向の力を受けると、ローラの回転が規制されて規制軸の回転も規制される。
【0017】
なお、上記発射ハンドルでは、具体的には、規制軸受部は回動操作部に固定されており、回動操作部の回動とともに回転する。回動操作部が所定の回動量のときに、前部カバーの押圧により規制軸が規制軸受部の内壁に接触すると、規制軸受部が前記初期位置方向へ回転するのが規制され、ひいては回動操作部の回動が規制される。このような簡単な構成で回動操作部が初期位置方向へ回動するのを規制することができる。
【0018】
また、規制軸は予め規制軸受部に収納されており、規制軸の外面が規制軸受部の内壁に接触する程度に前部カバーが押圧されるだけで、回動操作部の回動を規制することができる。よって、回動操作部を固定する際に、遊技者による前部カバーの押し下げ距離が短く、遊技者は大きな操作が不要であり、発射ハンドルの操作性を高めることができる。さらに、前部カバーの大きな操作によって操作ボタンなどの操作が妨げられないようにすることができる。
【0019】
また、規制軸が予め規制軸受部に収納されていると、前述のように前部カバーが少し操作されるだけで規制軸の外面を規制軸受部に接触させることができ、回動を規制するための大きな力を得ることができる。よって前部カバーに対して少しの押圧を行うだけで、確実に回動操作部の回動を規制することができる。
【0020】
発明4は、発明3において、前記回動方向規制機構は、前記前部カバーに設けられ、前記前部カバーの押圧に応じて前記規制軸を押圧する回動規制用ボスをさらに有し、
前記規制軸は、複数の部材片と、複数の部材片間を互いに連結する弾性部材と、を有し、
前記前部カバーの押圧により、前記回動規制用ボスの少なくとも一部が前記複数の部材片間に挿入され、前記複数の部材片が前記規制軸受部の内壁に接触することにより、前記回動操作部の前記初期位置方向への回動が規制されることを特徴とする。
【0021】
回動操作部の回動を規制するために必要な前部カバーの押し下げの距離は、回動規制用ボスが、規制軸を構成する複数の部材片間の間隔を広げて、部材片の外面が規制軸受部の内壁に接触する距離で良い。ここで、規制軸は予め規制軸受部に挿入されており、部材片の外面を規制軸受部の内壁に接触させるのに必要な距離は短く設計可能である。よって、前部カバーの少しの押し下げにより回動操作部の初期位置方向への回動を確実に規制することができる。
【0022】
前部カバーの押し下げの距離は、例えば、次のような設計により短く設定できる。回動規制用ボスが部材片間に挿入されていない状態において、部材片の外面と規制軸受部の内壁との距離を短く設計し、また、部材片の外面を規制軸受部の内壁に接触させるために必要な移動距離である、部材片と回動規制用ボスとの距離を短く設計する。
【0023】
なお、前部カバーの押圧が解除され、回動規制用ボスが部材片間から抜き取られると、部材片の間隔は弾性部材により元の状態に戻る。よって、部材片と規制軸受部との接触が解除され、回動操作部の回動の規制が解除される。
【0024】
弾性部材は、弾性を有するものであれば特に限定されず、例えば、圧縮状態又は伸張状態で複数の部材片を接続するバネであっても良いし、弾性を有するゴムなどで有っても良い。
【0025】
なお、複数の部材片及び弾性部材のそれぞれの組み合わせにより規制軸を構成するのではなく、次のように構成しても良い。例えば、規制軸は、複数の部材片を一体で形成し、複数の部材片間の接続部を薄肉に形成することにより、接続部に弾性を持たせた構成であっても良い。
【0026】
発明5は、発明1〜4のいずれかにおいて、前記回動操作部には、少なくとも1つの指掛け部が設けられており、前記操作ボタンは、前記回動操作部の回動前の初期位置から回動量が大きくなる回動方向に対して、最後端部に位置する指掛け部の、回動前の第1位置と、回動量が最大であるときの第2位置と、の間に位置するように設けられていることを特徴とする。
【0027】
指掛け部は、回動操作部に設けられているため、回動操作部の回動に伴い、回動中心に対する位置が変化する。前記指掛け部は、回動操作部の回動量が大きくなる回動方向に対して、最後端部に設けられている。また、前記指掛け部は、回動操作部が初期位置に位置する場合、遊技機の底辺に沿う方向において、例えば、前記底辺と交差する遊技機の中央線に対して発射ハンドルが設けられている側とは反対側に突出して形成されている。遊技者は、回動操作部が初期位置に位置する場合、通常、前記指掛け部に親指を添えて手首を回転することで回動操作部を回動させる。この場合、操作ボタンが、上記のように前記指掛け部の第1位置と第2位置との間に設けられているため、操作ボタンは親指の近傍に位置し、親指で容易に操作ボタンを操作することができる。ここで、第1位置は回動操作部が初期位置にあるときの前記指掛け部の位置であり、第2位置は回動操作部が最終位置に位置する場合の前記指掛け部の位置である。
【0028】
また、回動操作部が初期位置から最終位置に向かうにつれて回動操作部の回動量が大きくなるため、通常、遊技者は回動操作部を持ち替え、前記指掛け部に人差し指などを添える。この場合、操作ボタンが、上記のように前記指掛け部の第1位置と第2位置との間に設けられているため、遊技者は前記指掛け部に添えていない親指などの指で操作ボタンを容易に操作することができる。
【0029】
以上の通り、上記位置に操作ボタンを設けることで、回動操作部を持ち替える前でも、持ち替えた後でも、操作ボタンを容易に操作することができる。
【0030】
発明6は、発明1〜5のいずれかにおいて、前記操作ボタンは、上下方向、左右方向、押し下げ方向の少なくともいずれかの操作が可能に構成されていることを特徴とする。
【0031】
このような操作ボタンによれば、演出において表示される対象物を上下左右に移動可能である。また、複数の選択肢が表示される場合、遊技者は操作ボタンを上下左右に移動することで選択肢のいずれかを選択することができる。また、遊技者が操作ボタンを押し下げることで、例えば、選択肢の決定、シューティング操作、連打操作などが可能となる。
【0032】
発明7は、発明1〜6のいずれかにおいて、前記回動操作部には、少なくとも1つの指掛け部が設けられており、前記ハンドルベースには、前記遊技球の前記遊技領域への発射を停止するための第1発射停止ボタンと、第2発射停止ボタンと、が設けられており、前記第1発射停止ボタンは、前記回動操作部の回動前の初期位置から回動量が大きくなる回動方向に対して、最後端部に位置する指掛け部の、回動前の第1位置に対応して、又は隣接して配置され、前記第2発射停止ボタンは、回動量が最大であるときの前記指掛け部の第2位置に対応して、又は隣接して配置されていることを特徴とする。
【0033】
遊技者は、回動操作部が初期位置に位置する場合、通常、前記指掛け部に親指を添えて手首を回転することで回動操作部を回動させる。回動操作部を少し回動させて所望の位置に固定した場合には、遊技者は、第1位置の指掛け部に対応又は隣接して設けられた第1発射停止ボタンを、例えば親指を用いて操作可能である。ここで、遊技者が操作ボタンの操作を親指を用いて行っている場合には、第1発射停止ボタンとは異なる位置に設けられた第2発射停止ボタンを、親指以外の指で操作することで遊技球の発射を停止することができる。
【0034】
また、回動操作部が初期位置から最終位置に向かうにつれて回動操作部の回動量が大きくなり、手首の回転量も大きくなるため、回動操作部を持ち替え変えない限り、第1発射停止ボタンを例えば親指などで操作するのが困難となる。このような場合でも、遊技者は第2発射停止ボタンを親指以外の指で操作することで容易に遊技球の発射を停止することができる。
【0035】
なお、例えば、第2発射停止ボタンは、回動操作部の回動の中心に対して、第1発射停止ボタンの概ね反対側に設けられている。
【発明の効果】
【0036】
上記構成により、操作ボタンの操作性を向上させることができる発射ハンドルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施形態例に係るパチンコ遊技機の正面図。
【図2】パチンコ遊技機のハードウェア構成を示すブロック図
【図3】(a)は発射ハンドルの正面斜視図、(b)は発射ハンドルの背面斜視図。
【図4】発射ハンドルを、前部カバー、回動操作部及びハンドルベースの3つに分解した分解斜視図。
【図5】回動量が最大回動量より小さい場合の回動操作部の操作状態を示す説明図。
【図6】(a)は発射ハンドルの正面図、(b)は発射ハンドルの側面図、(c)は発射ハンドルの背面図。
【図7】(a)は発射ハンドルの正面図、(b)は発射ハンドルの側面図、(c)は発射ハンドルの背面図。
【図8】発射ハンドルの側面図。
【図9】操作ボタン周辺の内部構成を示す分解斜視図。
【図10】ハンドルベースの分解斜視図。
【図11】ハンドルベースの正面図。
【図12】発射ハンドル各部の分解斜視図。
【図13】図12のA部分の正面図。
【図14】発射ハンドル各部の分解断面図。
【図15】回動操作部の回動が規制されていない状態を示す説明図。
【図16】回動操作部の回動が規制されている状態を示す説明図。
【図17】(a)は回動操作部の回動が規制される前の様子を示す拡大図、(b)は回動操作部の回動が規制された後の様子を示す拡大図。
【図18】ワンウェイクラッチからなる規制軸受部の一例を示す断面図。
【図19】(a)は操作要求演出の画面例(1)、(b)は操作ボタン操作後の画面例、(c)は操作ボタン操作後の画面例。
【図20】(a)は操作要求演出の画面例(2)、(b)は操作ボタン操作後の画面例。
【図21】操作要求演出の画面例(3)。
【発明を実施するための形態】
【0038】
<実施形態例>
本実施形態のパチンコ遊技機100では、リーチ演出への参加、BGMの変更、画面の視点の変更などの各種制御が可能な操作ボタンを発射ハンドルに設ける。以下に本実施形態について説明する。まず、パチンコ遊技機の全体構成について簡単に説明し、次に本実施形態例に係る発射ハンドルについて説明する。
【0039】
(1)パチンコ遊技機の全体構成
(1−1)外観構成
まず本実施形態例に係るパチンコ遊技機100の外観構成について説明する。図1は、実施形態例に係るパチンコ遊技機の正面図である。
【0040】
図1においてパチンコ遊技機100は、例えば、遊技盤1、遊技球を発射する発射ハンドル2と、発射された遊技球を遊技盤1内に導入するレール3と、を有している。発射ハンドル2は、遊技球を1個ずつ発射でき、例えば1分間に発射できる遊技球が100個を超えないように制御されている。また、発射ハンドル2には、各種制御が可能な操作ボタン28が設けられている。操作ボタン28は、遊技者に操作を要求する操作要求演出に応じて遊技者から操作を受け付けるか、及び/又は、演出の状態を調整するための複数の選択肢のうちいずれかを選択する操作を遊技者から受け付けるボタンである。操作ボタン28の詳細については後述する。
【0041】
また、遊技盤1には、遊技球が入球する入賞口が複数箇所に配置されており、いずれの入賞口にも入球しなかった遊技球を遊技盤1から排出する為のアウト口7が遊技盤1の最下部に配置されている。ここで、入賞口とは、遊技球が入球することで所定の得点や所定数の賞球を獲得させる入賞を付与する入球口をいう。賞球とは、入賞により獲得可能な遊技球のことをいう。
【0042】
入賞口としては、始動入賞口4、通常入賞口5L、5R及び大入賞口6a、6bが設けられている。始動入賞口4に遊技球が入球すると始動入賞に当選し、図柄の変動を伴う当否抽選が開始される。さらに、当否抽選の結果において当選すると大当たり遊技が開始し、所定時間に亘って大入賞口6a、6bが開状態となるラウンド遊技が所定回数繰り返される。遊技者は、大入賞口6a、6bに遊技球を入球させることで、より多くの賞球を獲得可能となる。なお、大入賞口6aは例えば遊技盤1の下部に配置されており、大入賞口6bは例えば遊技盤1の右上部に配置されている。
【0043】
また、遊技盤1には、始動入賞口4の遊技球の入球に基づいて行う抽選結果を、図柄の大きさ、形状、色などを変化させる図柄変動表示を行う液晶表示装置8と、図柄変動表示中等で次の結果表示を行えない場合に一時的に抽選結果を記憶できるようにし、記憶している数(図柄変動権数N、Nは0以上の整数である。)を表示するための図柄変動権数表示装置9と、が設けられている。なお、記憶できる数の上限を例えば4個までとし、図柄変動権数表示装置9は4つのLED表示器を配置し、記憶している数分のLEDを点灯することで報知する。
【0044】
なお、図柄とは文字、図形、記号、色彩若しくはこれらの結合をいう。また、液晶表示装置8では、図柄の変動表示に限らず、大当たり時のアニメーション、ハズレ時のアニメーションといった複数の演出を抽選結果に応じて表示することも可能である。
【0045】
(1−2)ハードウェア構成
図2は、パチンコ遊技機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0046】
パチンコ遊技機100は、例えば、パチンコ遊技機100で実行されるゲームの主たる制御を行うメイン制御基板100A、貸出球や賞球の払出制御を行う払出制御基板100B、発射ハンドル2による遊技球の発射制御を行う発射ハンドル制御基板100C、球の貸し出しを行う貸出制御基板100D、画像表示や音の演出の制御を行う演出制御基板100Eを含む。以下に、各ハードウェア構成について説明する。
【0047】
(a)メイン制御基板
メイン制御基板100Aは、CPU(Central Processing Unit)101、第1クロック発生回路102、第2クロック発生回路103、ROM(Read-Only Memory)104、RAM(Random-Access Memory)105、データ送出回路106及び入出力ポート107を含む。
【0048】
ROM104は、パチンコ遊技機100でのゲームの主たる制御を行うための各種プログラムを記憶する。例えば、演出制御基板100Eに各種演出の実行を指示する指示プログラムなどが含まれる。
【0049】
第1クロック発生回路102及び第2クロック発生回路103は、それぞれ異なる周期のクロック信号を生成する。
【0050】
入出力ポート107は、メイン制御基板100Aと、例えば入賞口に設けられた各種センサと、の間でデータの送受信を行う。
【0051】
データ送出回路106は、メイン制御基板100Aから払出制御基板100B及び演出制御基板100Eへのデータの送出を制御する。
【0052】
CPU101は、上記各種処理に係る各種プログラムをROM104から読出してRAM105に展開し、所定のクロック信号に基づいて実行する。さらに、CPU101は、データ送出回路106を介して払出制御基板100B及び演出制御基板100Eとの間で各種コマンドを送受信する。
【0053】
(b)払出制御基板、発射ハンドル制御基板及び貸出制御基板
発射ハンドル制御基板100Cは、CPU111、ROM112及びRAM113を含む。ROM112は、例えば遊技球の発射を制御するためのプログラムなどを記憶している。CPU111は、発射ハンドル2から各種センサデータを受信し、ROM112のプログラムをRAM113に読み出して、遊技球の発射を制御する。
【0054】
例えば、CPU111は、後述の回動操作部21の回動量を検出する回動量検出メータ53から回動量のデータを受信すると、回動量に基づいて遊技球発射モータ10を制御して遊技球を遊技領域に発射させる。また、CPU111は、後述の第1発射停止スイッチ40a及び第2発射停止スイッチ40bから、それらが操作されたことを示すセンサデータを受信すると、遊技球発射モータ10を停止して遊技球の発射を禁止させる。
【0055】
貸出制御基板100Dが、遊技者が遊技球の貸し出しを行うカードをカード式球貸機に挿入を検出すると、払出制御基板100Bは、球送出しモータ11を駆動させて遊技球を貸し出す。また、払出制御基板100Bは、賞球の払い出しを指示する賞球払出コマンドをメイン制御基板100Aから受信すると、球送出しモータ11を駆動させて所定数の遊技球を払い出す。なお、払出制御基板100Bには、CPU、ROM、RAMなどのハードウェアを記載していないが、他の制御基板と同様に構成されている。
【0056】
(c)演出制御基板
演出制御基板100Eは、CPU114、ROM115及びRAM116を含む。
【0057】
ROM115は、例えば各種電飾LED12、スピーカ13及び液晶表示装置8において、各種演出を制御する演出制御プログラムなどを記憶している。演出制御プログラムには、例えば、始動入賞口4の入球に伴う図柄変動、大当たり遊技の開始を予感させるようなリーチ演出及び予告演出、リーチ演出及び予告演出などへの参加を促すための操作要求演出などのプログラムが含まれる。
【0058】
なお、リーチ演出とは、図柄の変動表示において大当たり遊技に移行する一歩手前であることを示す演出である。例えば、複数の図柄のうち最後に停止する図柄によって大当たり遊技が開始するか否かが決定される場合に、その最後の図柄の停止に伴う演出などが挙げられる。また、予告演出としては、例えば、大当たり遊技に発展する可能性が高いことを予告する大当たり予告演出や、リーチ状態に発展することを予告するリーチ予告演出などが挙げられる。
【0059】
また、操作要求演出とは、例えば図柄の変動表示中において、発射ハンドル2の操作ボタン28の操作指示を遊技者に要求し、遊技者からの操作ボタン28の操作の有無に応じて、特定のキャラクタや大当たり遊技への期待度などを表示する演出である。
【0060】
なお、演出には映像、音、振動などが含まれ、操作要求演出もまた映像だけでなく、音及び振動などにより行われても良い。
【0061】
CPU114は、メイン制御基板100Aからデータ送出回路106を介して演出制御に関するコマンドを受信すると、ROM115内の演出制御プログラムをRAM116に展開し演出制御を行う。例えば、CPU114は、遊技盤1に設けられた電飾LED12の点灯を制御し、BGMなどサウンドデータをスピーカ13から出力し、液晶表示装置8に各種演出表示を行う。
【0062】
さらに、CPU114は、発射ハンドル2に設けられた操作ボタン28が操作されたことを示すセンサデータを、操作ボタンセンサ31から受信すると、操作ボタン28の操作に基づいた処理を実行する。
【0063】
(2)パチンコ遊技機の発射ハンドルの構成
(2−1)発射ハンドルの外観構成
(2−1−1)発射ハンドルの全体構成
図3は発射ハンドルの斜視図であり、同図(a)は発射ハンドルの正面斜視図であり、同図(b)は発射ハンドルの背面斜視図である。図4は発射ハンドルを、前部カバー、回動操作部及びハンドルベースの3つに分解した分解斜視図である。
【0064】
発射ハンドル2は、概ね、ハンドルベース20、回動操作部21及び前部カバー22の3つの部分から構成されている。なお、以下において、回動操作部21の回動量が最大になる位置を最終位置(後述の図6の最終位置P3)とし、回動操作部21の回動量が大きくなる回動方向を最終位置方向と言うものとする。逆に、回動操作部21の回動量がゼロである位置を初期位置(後述の図6の初期位置P1)とし、回動量が小さくなる回動方向を初期位置方向と言うものとする。なお、最終位置方向は時計回り方向であり、初期位置方向は反時計回り方向である。
【0065】
ハンドルベース20は、取り付け部23及び後部カバー24を有している。取り付け部23は、図1に示すようにパチンコ遊技機100の右下側に発射ハンドル2が位置するように例えばネジ止めされている。取り付け部23の前面には、ハンドルベース20内の構成部品を収納する後部カバー24が設けられている。この後部カバー24には少なくとも2カ所の開口部が設けられており、第1発射停止ボタン35a及び第2発射停止ボタン35bが、開口部から突出するように形成されている。これらの第1、第2発射停止ボタン35a、35bは、遊技球の発射を停止するためのボタンである。
【0066】
回動操作部21は、ハンドルベース20と前部カバー22との間に設けられており、回動軸を中心として回動可能に構成されている。回動操作部21には、外側に突出した第1指掛け部25a、第2指掛け部25b及び第3指掛け部25cが、回動操作部21の周方向に互いに離間して形成されている。また、第1指掛け部25a、第2指掛け部25b及び第3指掛け部25cは、回動操作部21の回動量が大きくなる最終位置方向に沿って、順に形成されている。第1指掛け部25aは、例えば第2指掛け部25b及び第3指掛け部25cよりも大きく突出するように形成されており、遊技者が親指を添え易いように構成されている。遊技者が第1〜第3指掛け部25a〜25cに右手の指をかけて回動操作部21を操作すると、その回動量に応じて遊技球の発射強度が調整され、遊技球が所定の発射強度で遊技領域に発射される。
【0067】
回動操作部21の前面には前部カバー22が設けられている。前部カバー22は、前部カバー22内の構成部品を収納する前部カバー本体26と、前部カバー本体26を支持する前部カバーベース27と、を有する。前部カバー本体26は、遊技者がその手で把持が容易なように半球状に形成されている。
【0068】
また、前部カバー本体26の半球状の表面には、所定の位置に操作ボタン28が設けられている。なお、操作ボタン28は、操作要求演出に応じて遊技者から操作を受け付けるか、及び/又は、演出の状態を調整するための複数の選択肢のうちいずれかを選択する操作を遊技者から受け付けるボタンである。操作要求演出とは、前述の通りリーチ演出及び予告演出などへの参加を促すような演出である。また、演出の状態を調整するための複数の選択肢とは、例えば、演出のBGMを切替可能な選択肢、演出の表示の大きさ及び表示角度などを切替可能な選択肢、複数の演出から所望の演出を選択可能な選択肢などが挙げられる。このような複数の選択肢のうちいずれかを選択可能な機能は、前操作要求演出などと併用されても良いし、単独で実行可能であっても良い。
【0069】
操作ボタン28は、操作ボタンカバー29により前部カバー本体26に取り付けられており、操作ボタンカバー29に設けられた穴部29aを介して前部カバー本体26から前方に突出している。操作ボタン28は、例えば、操作ボタン28の突出方向に沿った押し下げ方向、操作ボタンカバー29の面に対して上下方向、左右方向の少なくともいずれかの操作が可能に構成されている。このように操作ボタン28が構成されることで、演出において表示される対象物を上下左右に移動可能である。また、複数の選択肢が表示される場合、遊技者は操作ボタン28を上下左右に移動することで選択肢のいずれかを選択することができる。また、遊技者が操作ボタン28を押し下げることで、例えば、選択肢の決定、シューティング操作、連打操作などが可能となる。
【0070】
本構造によれば、演出に関連して遊技者から操作を受け付ける操作ボタン28が、発射ハンドル2の前部カバー22に設けられているため、回動操作部21の操作及び前述の演出に関連する操作などを、発射ハンドル2を把持している側の手で完結することが可能であり、操作性に優れている。具体的には、遊技を行なっている間、発射ハンドル2を把持しているのとは反対側の手で、遊技球を上皿と下皿との間で移動させたり、タバコを吸う、飲食をするといったことが多いが、このように反対側の手がふさがっている場合でも、本構造であれば発射ハンドル2を把持している側の手で操作ボタン28を即座かつ簡単に操作できる。特に、遊技者に操作ボタン28の操作を要求する操作要求演出において、操作要求演出の開始から操作ボタン28が操作されるまでの期間が所定時間に限定されている場合、また、操作要求演出の開始から操作ボタン28が操作されるまでの操作タイミングにより演出が変更される場合などには、操作ボタン28の早急な操作が要求される。そのような場合であっても、発射ハンドル2を把持して既に操作状態にある側の手を用いて、前部カバー22に設けられた操作ボタン28を即座に操作可能である。
【0071】
(2−1−2)回動操作部の操作
次に、回動操作部21の操作について説明する。
【0072】
図5は、回動量が最大回動量より小さい場合の回動操作部の操作状態を示す説明図である。図6は、回動量が最大回動量である場合の回動操作部の操作状態を示す説明図である。
【0073】
まず図5に基づいて説明する。図5は、例えば、遊技者が始動入賞口4への遊技球の入球を狙って回動量を調整している場合の回動操作部21の操作状態である。回動操作部21は、回動前の初期位置P1から所定の回動角度θ1だけ回動した状態にある。所定の回動角度θ1は初期位置P1と回動後の位置P2との間の角度であり、例えば45°であり得る。このとき、遊技者は、通常、第1〜第3指掛け部25a〜25cに次のように指をかけて回動操作部21を操作する。遊技者は、第1指掛け部25aの、回動量が大きくなる最終位置方向とは反対の初期位置方向側の位置に親指F1を添え、第2指掛け部25bの、初期位置方向側の位置に人差し指F2を添える。さらに、遊技者は、第3指掛け部25cの、初期位置方向側の位置に中指F3及び薬指F4を添え、最終位置方向側の位置に小指F5を添える。
【0074】
次に、図6に基づいて説明する。同図(a)は発射ハンドルの正面図であり、同図(b)は発射ハンドルの側面図であり、同図(c)は発射ハンドルの背面図である。図6は、例えば、図1の遊技盤1の右上部に配置された大入賞口6bへの入球を狙って回動量を調整している場合の回動操作部21の操作状態である。このとき、遊技者は、最大回動量まで回動操作部21を回動しており、回動操作部21は、回動前の初期位置P1から最大回動角度θ2だけ回動した状態にある。最大回動角度θ2は初期位置P1と回動後の最終位置P3との間の角度であり、例えば110°であり得る。
【0075】
遊技者は、前述の通り第1〜第3指掛け部25a〜25cに各指を添えて手首を回転することで回動操作部21を回動させる。初期位置P1から回動操作部21の回動量が大きくなると、手首の回転が限界に達するため、通常、遊技者は回動操作部21を持ち替える。このとき、遊技者は、通常、第1指掛け部25aの、初期位置方向側の位置に人差し指F2を添え、第2指掛け部25bの、初期位置方向側の位置に中指F3を添える。さらに、遊技者は、第3指掛け部25cの、初期位置方向側の位置に薬指F4及び小指F5を添える。
【0076】
(2−1−3)操作ボタン、各発射停止ボタン及び各指掛け部の設置位置
次に、操作ボタン28、第1発射停止ボタン35a、第2発射停止ボタン35b、第1〜第3指掛け部25a〜25cの設置位置について説明する。
【0077】
図7は各操作部の設置位置を説明するための説明図であり、同図(a)は発射ハンドルの正面図であり、同図(b)は発射ハンドルの側面図であり、同図(c)は発射ハンドルの背面図である。図8は発射ハンドルの側面図である。
【0078】
(a)第1〜第3指掛け部
まず、第1〜第3指掛け部25a〜25cの設置位置について説明する。第1指掛け部25aは、図7(a)に示すように、発射ハンドル2の正面側から見て、回動の初期位置P1に対応して、又は、隣接して設けられている。第2指掛け部25bは、初期位置P1に対して、回動量が大きくなる最終位置方向に所定角度θ3を有する位置P4に、対応又は隣接して設けられている。第3指掛け部25cは、位置P4に対して最終位置方向に所定角度θ4を有する位置P5に、対応又は隣接して設けられている。例えば、θ3は60°であり、θ4は75°であり得る。
【0079】
(b)第1発射停止ボタン、第2発射停止ボタン
第1発射停止ボタン35aは、初期位置P1に対応又は隣接して設けられている。より具体的には、例えば、第1発射停止ボタン35aは、図7(c)の発射ハンドル2の背面図に示すように、初期位置P1に対して、回動量が小さくなる初期位置方向に所定角度θ5を有する位置P6に、対応又は隣接して設けられている。また、第2発射停止ボタン35bは、初期位置P1に対して、最終位置方向に所定角度θ6を有する位置P7に、対応又は隣接して設けられている。例えば、θ5は45°であり、θ6は135°であり、第1発射停止ボタン35aと第2発射停止ボタン35bとは回動操作部21の回動の中心に対して概ね反対側に設けられており、その角度差は例えば180°であり得る。
【0080】
特に、第1発射停止ボタン35aは、図7(a)、図7(c)に示すように、回動前の回動操作部21の第1指掛け部25aに対応又は隣接して設けられ、かつ、第2発射停止ボタン35bは、図6(c)に示すように、回動操作部21が最大回動量である場合の第1指掛け部25aに対応又は隣接して設けられると好ましい。
【0081】
遊技者は、回動操作部21が初期位置P1に位置する場合、通常、第1指掛け部25aに親指を添えて手首を回転することで回動操作部21を回動させる。回動操作部21を少し回動させて所望の位置に固定した場合には、遊技者は、第1指掛け部25aに対応又は隣接して設けられた第1発射停止ボタン35aを、例えば親指を用いて操作可能である。ここで、遊技者が操作ボタン28の操作を親指を用いて行っている場合には、第1発射停止ボタン35aとは異なる位置に設けられた第2発射停止ボタン35bを、親指以外の指で操作することで遊技球の発射を停止することができる。
【0082】
また、回動操作部21が初期位置P1から最終位置に向かうにつれて回動操作部21の回動量が大きくなり、手首の回転量も大きくなるため、第1発射停止ボタン35aを例えば親指などで操作するのが困難となる。このような場合でも、遊技者は第2発射停止ボタン35bを親指以外の指で操作することで容易に遊技球の発射を停止することができる。
【0083】
(c)操作ボタン
操作ボタン28は、図7(a)に示すように、発射ハンドル2の正面側から見て、回動の初期位置P1に対して最終位置方向に所定角度θ7を有する位置P8に設けられている。また、操作ボタン28は、図8の発射ハンドル2の側面図に示すように、回動操作部21の平面に対してθ8の角度を有する。例えば、θ7は45°であり、θ8は30°であり得る。
【0084】
このような位置に操作ボタン28が設けられることで、操作ボタン28は、回動操作部21の回動前の第1指掛け部25aの位置と、回動操作部21の回動量が最大回動量のときの第1指掛け部25aの位置と、の間に位置する。つまり、操作ボタン28は、前述の図6(a)の初期位置P1と最終位置P3との間に位置する。
【0085】
よって、回動操作部21の回動量が最大回動量に達しておらず、図5に示すように第1指掛け部25aに親指を添えている場合には、第1指掛け部25aから親指を外して操作ボタン28を容易に操作することが可能である。このとき、第2指掛け部25b及び第3指掛け部25cに添えている指により回動操作部21を支持する。
【0086】
また、回動操作部21の回動量が大きくなり、第1〜第3指掛け部25a〜25cが初期位置P1に対して図6に示す位置に達した場合には、遊技者は回動操作部21を持ち替える。このとき、図6に示すように中指F2〜小指F5で回動操作部21を支持するため、指掛け部に指を添えていない親指で操作ボタン28を容易に操作することが可能である。
【0087】
以上の通り、上記位置に操作ボタン28を設けることで、回動操作部21を持ち替える前でも、持ち替えた後でも、操作ボタン28を容易に操作することができる。
【0088】
(2−2)発射ハンドルの内部構成
次に、発射ハンドル2の内部構成について説明する。
【0089】
(2−2−1)操作ボタン
まず操作ボタン28周辺の内部構成について説明する。図9は、操作ボタン周辺の内部構成を示す分解斜視図である。
【0090】
前部カバー22の前部カバー本体26には、凹部からなる基板収納部32が設けられている。操作ボタン基板30には、操作ボタン28からの上下左右及び押し下げの押圧を受ける操作ボタンセンサ31が設けられている。操作ボタンセンサ31で検出されたセンサデータは演出制御基板100Eに出力される。操作ボタン基板30は、操作ボタン基板30の穴部30a、30b及び基板収納部32の穴部33a、33b及び操作ボタンカバー29の裏面のネジボス部に、ネジ34a、34bが前部カバー本体26の裏面から挿入されることで、基板収納部32に収納されて固定される。
【0091】
操作ボタン28は、操作ボタンセンサ31上に位置するように配置される。また、操作ボタン28は、操作ボタンカバー29の穴部29aを介して操作ボタンカバー29から突出するように配置される。
【0092】
(2−2−2)ハンドルベース
次にハンドルベース20の内部構成について説明する。図10はハンドルベースの分解斜視図であり、図11はハンドルベースの正面図である。
【0093】
ハンドルベース20は、筒状の取り付け部23及び後部カバー24を含む。取り付け部23内には、回動量検出メータ53が挿入され固定される。回動量検出メータ53は、回動操作部21の回動量を検出する検出器であり、メータ本体53a、メータ突出部53b及び回動量検出軸53cを含む。回動量検出軸53cが回動操作部21と連動して回動することで、回動量を検出することが可能である。
【0094】
後部カバー24には、例えば、台座板部54、第1回動規制支柱51a、第2回動規制支柱51b及び回動巻きバネ支柱52などが設けられている。台座板部54には開口部54aが設けられており、開口部54aに回動量検出メータ53の回動量検出軸53c及びメータ突出部53bが挿通され、ナット57によりネジ止めされる。
【0095】
第1回動規制支柱51a及び第2回動規制支柱51bは、それぞれ後述の第1回動規制溝69a及び第2回動規制溝69bに対応して形成されており、第1回動規制溝69a及び第2回動規制溝69bとともに、回動操作部21の回動量を規制する。つまり、これらの部材により、回動操作部21の回動量がゼロである状態から回動量が最大である状態までを定義する。
【0096】
後部カバー24には、前述の図7(c)及び図10に示すように、第1発射停止ボタン35a及び第2発射停止ボタン35bに対応して、第1窓部50a及び第2窓部50bからなる開口が形成されている。第2発射停止ボタン35bは、図10に示すように屈曲した2つの部分から形成されており、一方の部分には後部カバー24の内壁に接触する壁押圧部36が形成されており、他方の部分には第2窓部50bから突出して遊技者からの操作を受け付ける停止操作受付部37が形成されている。第1発射停止ボタン35aも第2発射停止ボタン35bと同様の構成である。
【0097】
第1発射停止ボタン35a及び第2発射停止ボタン35bに対応して、それぞれ第1発射停止スイッチ40a及び第2発射停止スイッチ40bが設けられている。第1発射停止スイッチ40a及び第2発射停止スイッチ40bは、第1発射停止ボタン35a及び第2発射停止ボタン35bからの操作に応じて、遊技球の発射停止を発射ハンドル制御基板100Cに伝達するための信号を生成する。第1発射停止ボタン35a、第2発射停止ボタン35bは、ネジ39a、39bにより後部カバー24にネジ止めされ、第1発射停止スイッチ40a及び第2発射停止スイッチ40bは、ネジ42a、42bにより後部カバー24にネジ止めされる。
【0098】
(2−2−3)回動量調整機構
次に、回動量調整機構について図12及び図13用いて説明する。回動量調整機構とは、回動操作部21の回動量がゼロである状態と回動量が最大である状態とを定義する機構である。回動量調整機構を主として構成する部材としては、例えば第1回動規制支柱51a、第2回動規制支柱51b、第1回動規制溝69a及び第2回動規制溝69bなどが挙げられる。
【0099】
図12は発射ハンドル各部の分解斜視図であり、図13は図12のA部分の正面図である。図12のA部分は回動操作部21及び後部カバー24に関連する構成を含み、図12のB部分は前部カバー22に関連する構成を含む。なお、B部分は、A部分に対して図中矢印方向に若干回転している。
【0100】
図12のA部分及び図13に示すように、回動操作部21の内部には、回動操作部21と一体に平板状の軸板部60が形成されている。軸板部60は、回動操作部21の回動に伴って回動する。軸板部60には、開口からなる第1回動規制溝69a及び第2回動規制溝69bが形成されている。第1回動規制溝69aには第1回動規制支柱51aが挿入され、第2回動規制溝69bには第2回動規制支柱51bが挿入される。回動操作部21の回動に伴って、軸板部60の第1回動規制溝69a及び第2回動規制溝69bも供に回動する。しかし、第1回動規制溝69aの端部が第1回動規制支柱51aに達すると、あるいは、第2回動規制溝69bの端部が第2回動規制支柱51bに達すると、回動操作部21の回動は規制される。
【0101】
これにより、回動操作部21の回動量がゼロである初期位置と、最大回動量で回動している終端位置と、が定義される。
【0102】
(2−2−4)回動付勢機構
次に、回動付勢機構について図12及び図13を用いて説明する。回動付勢機構を主として構成する部材としては、例えば回動巻きバネ61、バネ固定部67及び回動巻きバネ支柱52などが挙げられる。
【0103】
軸板部60の中央部には、円筒状の回動巻きバネ受部68が軸板部60と一体に形成されており、さらに軸板部60にはバネ固定部67が設けられている。回動巻きバネ61は、針金状の部材が環状に複数回巻かれたバネ本体63と、バネ本体63一端の環状に1回巻かれたリング部64と、バネ本体63他端のバネ固定端62と、を有する。回動巻きバネ受部68の外周にバネ本体63が挿入され、回動巻きバネ支柱52の先端52aにリング部64及びアース線70が挿入され、バネ固定端62がバネ固定部67に固定される。回動操作部21が回動すると回動巻きバネ受部68が回動する。このとき、バネ本体63の復元力により、回動巻きバネ受部68は、回動操作部21が元の初期位置方向に戻るように引っ張られる。
【0104】
このような構成により、回動付勢機構は、回動操作部21が常時、回動量が小さくなる初期位置方向に付勢されるようになっている。
【0105】
(2−2−5)回動量検出機構
次に、回動量検出機構について図12、図13及び図14を用いて説明する。図14は、発射ハンドル各部の分解断面図であり、図7のI−Iの断面図である。回動量検出機構を主として構成する部材としては、例えば回動量検出メータ53及び回動巻きバネ受部68などが挙げられる。
【0106】
軸板部60の中央部には、円筒状の回動巻きバネ受部68が一体に形成されており、回動操作部21の回動に伴って軸板部60が回動するのに応じて、回動巻きバネ受部68もまた回動する。回動巻きバネ受部68の底部には、図14に示すように溝68aが形成されており、この溝68aに回動量検出メータ53の回動量検出軸53cが挿入される。遊技者が回動操作部21を回動すると、それに伴って回動巻きバネ受部68、溝68aに挿入された回動量検出軸53cが回動する。回動量検出メータ53は、回動量検出軸53cの回動量から回動操作部21の回動量を検出する。
【0107】
(2−2−6)回動方向規制機構
(i)回動方向規制機構の構成
次に、回動方向規制機構について前記図12、図13及び図14を用いて説明する。回動方向規制機構を主として構成する部材としては、例えば規制軸受部65、規制軸66及び回動規制用ボス76などが挙げられる。
【0108】
回動方向規制機構とは、回動操作部21の初期位置方向及び/又は最終位置方向の回動を規制する機構であり、回動操作部21の回動量がゼロである状態と回動量が最大である状態とを定義する回動量調整機構とは異なる。
【0109】
発射ハンドル2に設けられた操作ボタン28を操作する場合、操作ボタン28の操作によって回動操作部21の固定が困難になり易い。例えば、遊技者は、回動操作部21の各指掛け部に指を添えて所望の回動量だけ回動させて所望の発射強度で遊技球を遊技領域に発射させている。このとき、遊技者は、指及び手首などを固定し、所望の回動量を維持して回動操作部21を固定している。しかし、例えば操作要求演出に応じて遊技者が操作ボタン28を操作する際に、回動操作部21を固定している指及び手首などの位置がずれることで、所望の回動量からずれてしまう。逆に、遊技者が回動操作部21の固定に注力するあまり、操作要求演出が行われても操作ボタン28の操作を即座に行えない。
【0110】
そこで、発射ハンドル2に回動方向規制機構を設け、発射ハンドル2の前部カバー本体26の押圧により回動操作部21の回動を規制できるようにする。
【0111】
図12のA部分及び図14を参照すると、回動巻きバネ受部68の内部に円筒状の規制軸受部65が挿入されており、規制軸受部65の内部にさらに規制軸66が挿入されている。
【0112】
規制軸受部65は、回動巻きバネ受部68に固定されており、回動操作部21の回動とともに回動する。
【0113】
規制軸66は、回動規制用ボス76が前部カバー本体26から押圧を受けるのに応じて、回動規制用ボス76からその押圧を受ける。規制軸66は、図14に示すように第1部材片66aと、第2部材片66bと、第1部材片66a及び第2部材片66b間を接続する弾性部材66cと、を含む。弾性部材66cは、弾性を有するものであれば特に限定されず、例えば、圧縮状態又は伸張状態で複数の部材片を接続するバネであっても良いし、弾性を有するゴムなどで有っても良い。
【0114】
第1部材片66a及び第2部材片66bの前部カバー22側の先端は、回動規制用ボス76の押圧先端部79aが挿入可能なように切り欠かれている。規制軸66は、第1部材片66a及び第2部材片66b間に回動規制用ボス76の先端が挿入されていない場合は、規制軸受部65内で回転可能な状態で配置されている。一方、規制軸66は、第1部材片66a及び第2部材片66b間に回動規制用ボス76の先端が挿入されると、規制軸受部65に接触固定されて回転不可能となる。これらの動作については後述する。
【0115】
図12に示すように、前部カバーベース27には、前部カバーベース板71が設けられており、前部カバーベース板71には、第1回動規制支柱51a及び第2回動規制支柱51bを覆うための支柱カバー72a及び72bなどが形成されている。さらに、前部カバーベース板71の中央部には、前部カバーベース板71を貫通する円筒状の前部カバーバネ受部73が設けられている。前部カバーバネ受部73には、開口からなるボス係合溝74が側壁に形成されている。
【0116】
回動規制用ボス76は、平板状のボス板部77、ボス係合部78及び規制軸押圧部79を有する。ボス係合部78は、ボス板部77から突出して形成され、前部カバーバネ受部73のボス係合溝74に係止される。規制軸押圧部79は、ボス板部77から突出して形成され、その先端部には押圧先端部79aが形成されている。押圧先端部79aは、規制軸66の第1部材片66a及び第2部材片66bの切りかかれた先端に挿入可能なように、先端が先細るように形成されている。回動規制用ボス76は、ボス板部77に形成されたネジ係合部80a、80bにネジ81a、81bが挿入されて前部カバー本体26に固定される。
【0117】
図14に示すように、前部カバーバネ受部73の外周には前部カバーバネ75が嵌め込まれ、前部カバーバネ75は前部カバーベース板71と回動規制用ボス76のボス板部77との間に配置される。前部カバーバネ75は、前部カバー本体26がパチンコ遊技機100本体側への押圧を受けると収縮し、押圧が開放されると元の状態に復帰する。
【0118】
(ii)回動方向規制機構の動作
次に、回動方向規制機構が、発射ハンドル2の回動操作部21の回動を規制する動作について説明する。
【0119】
図15は回動操作部の回動が規制されていない状態を示す説明図であり、図16は回動操作部の回動が規制されている状態を示す説明図である。図17は、回動操作部の回動が規制される前後の様子を示す拡大図である。図15及び図16は、図7のII−IIの断面図である。
【0120】
図15に示すように、前部カバー本体26が押圧されていない場合は、前部カバーバネ75により前部カバー本体26及び回動規制用ボス76などが、前部カバーベース板71に対して距離Lだけ持ち上げられている。そのため、図15及び図17(a)に示すように、回動規制用ボス76の規制軸押圧部79の押圧先端部79aと、規制軸66と、は離隔している。また、規制軸66の外面と規制軸受部65の内壁とは、距離Mだけ離隔している。よって、規制軸66は規制軸受部65に対して自由に回転可能となっている。言い換えれば、規制軸受部65は、規制軸66から規制を受けることなく自由に回動可能となっており、そのため回動操作部21も遊技者の操作に応じて自由に回動可能である。
【0121】
次に、図16及び図17(b)に示すように、前部カバー本体26が例えば前記距離Lだけ押圧された場合は、前部カバー本体26が前部カバーベース板71に接触する。このとき、前部カバーバネ75が収縮し、回動規制用ボス76の押圧先端部79aが規制軸66の第1部材片66aと第2部材片66bとの間に挿入される。そうすると、規制軸66の第1部材片66aと第2部材片66bとの間が広げられて、規制軸66の外面と、規制軸受部65の内壁と、が接触する。
【0122】
ここで、回動規制用ボス76は前部カバー本体26に固定されている。また、規制軸受部65は回動操作部21に固定されており、回動操作部21の回動とともに回転する。回動操作部21が所定の回動量のときに、前述のように規制軸66の外面と、規制軸受部65の内壁と、が接触すると、規制軸受部65の回動が規制される。これにより、規制軸受部65が固定されている回動操作部21の回動も規制される。
【0123】
規制軸受部65及び回動操作部21の回動を規制する方法としては、例えば規制軸66の外面と規制軸受部65の内壁とが摩擦により係合して対外に固定することにより行う方法、あるいは、規制軸受部65として例えばワンウェイクラッチなどを用いる方法などが挙げられる。
【0124】
図18は、ワンウェイクラッチからなる規制軸受部の一例を示す断面図である。ワンウェイクラッチからなる規制軸受部65は、例えば中空部分Sを有する円筒状からなり、内輪65a及び外輪65bを有している。内輪65aには、複数のローラ65dが内輪65aの内壁65cと外輪65bの内壁65fとの間に設けられており、複数のローラ65dは中空部分Sに少なくとも一部が露出されている。複数のローラ65dは一方向のみ回転可能であり、他方向への回転は、例えば外輪の内壁65dに設けられた係止部65eにローラ65dが係合することで規制される。このようなワンウェイクラッチからなる規制軸受部65の中空部分Sに規制軸66が挿入され、ローラ65dが規制軸66から回転が規制される方向の力を受けると、ローラ65dの回転が規制されて規制軸66の回転も規制される。
【0125】
また、規制される回動としては、少なくとも回動操作部21の回動量がゼロである初期位置方向への回動とし、それに加えて回動量が最大である最終位置方向への回動を含めても良い。ただし、規制軸受部65としてワンウェイクラッチを用いる場合には、一方向の回動方向のみ規制が可能である。なお、前述の回動付勢機構により、回動操作部21は常時、初期位置方向に付勢されている。よって、回動操作部21を固定している指及び手首などの位置がずれた場合、回動操作部21は初期位置方向に回動し易い。そのため、初期位置方向への回動を規制すると良い。
【0126】
上記のような簡単な構成の回動方向規制機構を用いて、発射ハンドル2の前部カバー22の押圧により回動操作部21の回動を規制できる。つまり、回動操作部21を所望の回動量に固定するために、指及び手首などを所望の回動量で維持する必要はなく、単に前部カバー22を押圧するだけで良い。そのため、遊技者は、簡単に回動操作部21を所望の回動量に維持することができる。よって、前述の操作ボタン28の操作に伴って回動操作部21を固定する場合でも、操作ボタン28の操作への影響が抑制され、遊技者は、操作ボタン28を容易かつ即座に操作することができる。
【0127】
なお、回動操作部21の固定を、回動操作部21そのものを支持することで可能なだけでなく、前部カバー22の押圧により行えるため、回動操作部21の固定に関して遊技者の自由度を高めるという効果も得ることができる。また、上述の通り、遊技者は所望の回動量を維持するように回動操作部21を固定しているため、指、手首及び腕などに疲れを感じ易い。このような場合に、前部カバー22の押圧によっても回動操作部21を固定できると、遊技者の疲れをとることができるなど発射ハンドル2の操作性がより向上する。
【0128】
また、規制軸66は予め規制軸受部65に収納されており、規制軸66の外面が規制軸受部65の内壁に接触する程度に前部カバー22が押圧されるだけで、回動操作部21の回動を規制することができる。つまり、回動操作部21の回動を規制するために必要な前部カバー22の押し下げの距離は、回動規制用ボス76が、規制軸66を構成する複数の第1、第2部材片66a、66b間の間隔を広げて、第1、第2部材片66a、66bの外面が規制軸受部65の内壁に接触する距離で良い。よって、回動操作部21の回動を規制する際に、遊技者による前部カバー22の押し下げ距離が短く、遊技者は大きな操作が不要であり、発射ハンドル2の操作性を高めることができる。さらに、前部カバー22の大きな操作によって操作ボタン28などの操作が妨げられないようにすることができる。
【0129】
ここで、前部カバー22の押し下げの距離は、例えば、次のような設計により短く設定できる。回動規制用ボス76が第1、第2部材片66a、66b間に挿入されていない状態において、第1、第2部材片66a、66bの外面と規制軸受部65の内壁との距離を短く設計し、また、第1、第2部材片66a、66bの外面を規制軸受部65の内壁に接触させるために必要な移動距離である、第1、第2部材片66a、66bと回動規制用ボス76との距離を短く設計する。
【0130】
また、規制軸66が予め規制軸受部65に収納されていると、前述のように前部カバー22が少し操作されるだけで規制軸66の外面を規制軸受部65に接触させることができ、回動を規制するための大きな力を得ることができる。よって前部カバー22に対して少しの押圧を行うだけで、確実に回動操作部21の回動を規制することができる。
【0131】
なお、前部カバー22の押圧が解除され、回動規制用ボス76が第1、第2部材片66a、66b間から抜き取られると、第1、第2部材片66a、66bの間隔は弾性部材66cにより元の状態に戻る。よって、規制軸66と規制軸受部65との接触が解除され、回動操作部21の回動の規制が解除される。
【0132】
上記では、規制軸66は2つの第1部材片66a及び第2部材片66bと、弾性部材66cと、から構成されている。規制軸66は、回動規制用ボス76が規制軸66を構成する部材片間に挿入されて、規制軸66の外面が規制軸受部65の内壁に接触する構成であれば、前述した構成に限定されない。例えば規制軸66は、3つ以上の部材片と、各部材片間を接続する弾性部材とから構成されていても良い。
【0133】
(3)発射ハンドルの操作例
次に、発射ハンドルの操作例について、画面例を用いて説明する。
【0134】
図19〜図20は操作要求演出の画面例である。
【0135】
メイン制御基板100AのCPU101は、リーチ演出及び予告演出などへの参加を促すための操作要求演出の出力を演出制御基板100Eに指示する。これにより、演出制御基板100Eは、液晶表示装置8の画面に、例えば図19から図21の操作要求演出を出力する。その他、操作要求得出は、各種電飾LED12による電飾及びスピーカ13による音、その他、発射ハンドル2の振動などにより行われ得る。
【0136】
例えば図19(a)に示す操作要求演出が液晶表示装置8に表示されると、遊技者は“PUSH”とのメッセージに応じて、発射ハンドル2の操作ボタン28を押し下げるなどして操作する。このとき、遊技者は操作ボタン28の操作により回動操作部21が所望の回動量からずれないように、発射ハンドル2の前部カバー本体26を押圧し、回動操作部21の回動を阻止する。さらに、操作要求演出が特定のリーチ演出中に行われている場合、あるいは図柄変動権数が貯蓄可能な上限値に達している場合などには、遊技者は、第1発射停止ボタン35a及び第2発射停止ボタン35bのいずれかの操作により遊技球の発射を停止させる。なお、遊技球の発射停止は、操作ボタン28の操作に支障を与えない、第1発射停止ボタン35a及び第2発射停止ボタン35bのいずれかにより行われるのが好ましい。
【0137】
遊技者が操作ボタン28を操作すると、例えば、図19(b)及び図19(c)などの画面が表示され、遊技者はリーチ演出及び予告演出などの演出に参加していると感じることができ、また大当たり遊技への期待度も高まる。
【0138】
また、図20(a)に示す操作要求演出が液晶表示装置8に表示されると、遊技者はメッセージに応じて、操作ボタン28を左右いずれかに操作して“リーチモードA”又は“リーチモードB”のいずれかを選択する。遊技者が“リーチモードA”を選択した場合には、図20(b)に示す画面が表示される。また、図21に示す操作要求演出が液晶表示装置8に表示されると、遊技者は操作ボタン28を上下左右に操作することで、飛行機を模した対象物90を画面上において上下左右に移動させる。また、遊技者は操作ボタン28を押し下げる操作を行うことで、対象物90からミサイル91を発射するなどし、数字“7”が表れるように数字“6”を破壊する。これにより、3つの数字の組み合わせが“777”となれば大当たり遊技が開始する。図20及び図21においても、図19と同様に回動操作部21の回動の阻止及び遊技球の発射停止を行うことが可能である。
【0139】
以上では、操作要求演出における操作ボタン28等の操作例を説明したが、操作ボタン28は、演出の状態を調整するための複数の選択肢のうちいずれかを選択する操作を遊技者から受け付けることも可能である。例えば、操作ボタン28の操作により、演出のBGMを切替可能な選択肢、演出の表示の大きさ及び表示角度などを切替可能な選択肢、複数の演出から所望の演出を選択可能である。
【0140】
<その他の実施形態例>
上記実施形態に示すように、パチンコ遊技機100の右側の発射ハンドル2に操作ボタン28を設けるとともに、パチンコ遊技機100の左側に操作ボタン28と同様の機能を有する操作ボタンを設けても良い。
【0141】
また、上記実施形態では発射停止ボタンは2つであるが、3つ以上であっても良い。
【0142】
また、上記実施形態では、複数の第1、第2部材片66a、66b及び弾性部材66cのそれぞれの組み合わせにより規制軸66を構成しているが、規制軸66を次のように構成しても良い。例えば、規制軸66は、複数の部材片を一体で形成し、複数の部材片間の接続部を薄肉に形成することにより、接続部に弾性を持たせた構成であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、遊技球を遊技盤内に発射するあらゆる遊技機に適用可能である。一例を挙げれば、例えば、本発明は、第一種パチンコ遊技機及び第二種パチンコ遊技機などのパチンコ遊技機、アレンジボール遊技機及び雀球遊技機などにあらゆる弾球式の遊技機に適用可能である。
【符号の説明】
【0144】
1:遊技盤
2:発射ハンドル
3:レール
4:始動入賞口
5L、5R:通常入賞口
6a、6b:大入賞口
7:アウト口
8:液晶表示装置
9:図柄変動権数表示装置
20:ハンドルベース
21:回動操作部
22:前部カバー
23:取り付け部
24:後部カバー
25a〜25c:第1〜第3指掛け部
26:前部カバー本体
27:前部カバーベース
28:操作ボタン
30:操作ボタン基板
31:操作ボタンセンサ
35a、35b:第1、第2発射停止ボタン
40a、40b:第1、第2発射停止スイッチ
51a、51b:第1、第2回動規制支柱
53:回動量検出メータ
53c:回動量検出軸
54:台座板部
60:軸板部
61:回動巻きバネ
62:バネ固定端
63:バネ本体
64:リング部
65:規制軸受部
65d:ローラ
65e:係止部
66:規制軸
66a、66b:第1、第2部材片
66c:弾性部材
67:バネ固定部
68:回動巻きバネ受部
69a、69b:第1、第2回動規制溝
73:前部カバーバネ受部
74:ボス係合溝
75:前部カバーバネ
76:回動規制用ボス
77:ボス板部
79:規制軸押圧部
79a:押圧先端部
90:対象物
91:ミサイル
100:パチンコ遊技機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の遊技領域に遊技球を発射する発射ハンドルであって、
前記遊技機に固定されたハンドルベースと、
前記発射ハンドルの前部を覆う前部カバーと、
前記ハンドルベースと前記前部カバーとの間に回動可能に設けられ、回動量に応じて遊技球の発射強度を調整可能な回動操作部と、
前記前部カバーに設けられ、遊技者に操作を要求する操作要求演出に応じて遊技者から操作を受け付けるか、及び/又は、前記操作要求演出を含む演出の状態を調整するための複数の選択肢のうちいずれかを選択する操作を遊技者から受け付ける操作ボタンと、
を備えることを特徴とする発射ハンドル。
【請求項2】
前記前部カバーの前記遊技機の本体に向かう押圧により、前記回動操作部の回動を規制する回動方向規制機構をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の発射ハンドル。
【請求項3】
前記回動方向規制機構は、
前記前部カバーの押圧を受ける規制軸と、
前記規制軸を内部に収納している規制軸受部と、を有し、
前記前部カバーの押圧に応じて前記規制軸が前記規制軸受部の内壁に接触することにより、前記回動操作部の回動前の初期位置方向への回動が規制されることを特徴とする、請求項2に記載の発射ハンドル。
【請求項4】
前記回動方向規制機構は、前記前部カバーに設けられ、前記前部カバーの押圧に応じて前記規制軸を押圧する回動規制用ボスをさらに有し、
前記規制軸は、複数の部材片と、複数の部材片間を互いに連結する弾性部材と、を有し、
前記前部カバーの押圧により、前記回動規制用ボスの少なくとも一部が前記複数の部材片間に挿入され、前記複数の部材片が前記規制軸受部の内壁に接触することにより、前記回動操作部の前記初期位置方向への回動が規制されることを特徴とする、請求項3に記載の発射ハンドル。
【請求項5】
前記回動操作部には、少なくとも1つの指掛け部が設けられており、
前記操作ボタンは、前記回動操作部の回動前の初期位置から回動量が大きくなる回動方向に対して、最後端部に位置する指掛け部の、回動前の第1位置と、回動量が最大であるときの第2位置と、の間に位置するように設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の発射ハンドル。
【請求項6】
前記操作ボタンは、上下方向、左右方向、押し下げ方向の少なくともいずれかの操作が可能に構成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかにに記載の発射ハンドル。
【請求項7】
前記回動操作部には、少なくとも1つの指掛け部が設けられており、
前記ハンドルベースには、前記遊技球の前記遊技領域への発射を停止するための第1発射停止ボタンと、第2発射停止ボタンと、が設けられており、
前記第1発射停止ボタンは、前記回動操作部の回動前の初期位置から回動量が大きくなる回動方向に対して、最後端部に位置する指掛け部の、回動前の第1位置に対応して、又は隣接して配置され、
前記第2発射停止ボタンは、回動量が最大であるときの前記指掛け部の第2位置に対応して、又は隣接して配置されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の発射ハンドル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−183084(P2011−183084A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53967(P2010−53967)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(501016847)KPE株式会社 (145)
【Fターム(参考)】