説明

発泡制御組成物

本発明は、(A) 以下: (i) 式X-Arのケイ素と結合した少なくとも1つの置換基を有するオルガノポリシロキサン(Xは、炭素原子を通してケイ素に結合した二価の脂肪族基を表し、Arは芳香族基を表す)、(ii) 式R1aSiO(4-a)/2を有するオルガノケイ素樹脂(R1は炭化水素基、ヒドロカーボンオキシ基またはヒドロキシル基を表し、aは0.5から2.4の平均値を有する)、ならびに(iii) 疎水性フィラーを含むシリコーン消泡剤; ならびに(B) 少なくとも1つのポリオキシアルキレン基を有するオルガノポリシロキサン樹脂であって、前記オルガノポリシロキサン樹脂は、式SiO4/2を有する四官能性シロキサン単位および式R23SiO1/2を有する単官能性シロキサン単位を含み、前記樹脂中の四官能性シロキサン単位の全数は、シロキサン単位の全数に基づいて少なくとも50%であり、R2は炭化水素基を表すオルガノポリシロキサン樹脂を含む、発泡制御組成物に関する。発泡制御組成物は、潜在的に発泡する液体、特にHDL洗剤などの洗剤に加えられてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡制御組成物、特に液体洗剤システムのためのシリコーン発泡組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤システムにおいてシリコーン発泡制御剤の安定化が課題であり、広い範囲の重質液体(Heavy Duty Liquid、HDL)洗剤にわたって優れた物理的および化学的安定性を提供する、ロバスト性のある解決策が確認されていない。
【0003】
分岐状シリコーングリコール類などのシリコーン系界面活性剤の送達剤は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)系消泡剤と組み合わせて使用されて、安定性を改善することが知られているが、この方法は、十分なロバスト性がなく、物理的な相分離および/または発泡制御性能の悪化を導く、不十分な長期間の安定性を提供する。
【0004】
好適な発泡制御性能を提供するために、当分野において数多くの方法が提案されてきた。欧州特許第0663225号は、PDMSなどのシリコーン消泡剤および少なくとも1つのポリオキシアルキレン基を有する架橋オルガノポリシロキサンポリマーを含む発泡制御組成物を開示する。オルガノポリシロキサンは、単官能性および二官能性シロキサン単位を有する構造に基づく。
【0005】
欧州特許第1075863号および欧州特許第1075864号は、特に洗剤での使用のための発泡制御剤を開示する。発泡制御剤は、式X-Arのケイ素と結合した少なくとも1つの置換基を有するオルガノポリシロキサン物質(Xは二価の脂肪族炭化水素基を示し、Arは場合によって置換されていてもよい芳香族基を示す)、オルガノケイ素樹脂および疎水性フィラーを含む。オルガノケイ素樹脂は、好ましくは、式R’aSiO(4-a)/2を有するシロキサン単位(R’は炭化水素基、ヒドロカーボンオキシ(hydrocarbonoxy)基またはヒドロキシル基を表し、aは0.5から2.4の平均値を有する)からなる。組成物は、場合によって、欧州特許第0663225号に記載された少なくとも1つのポリオキシアルキレン基を有する架橋オルガノポリシロキサンポリマーを含んでもよい。
【0006】
米国特許第3865544号は、ポリグリコールなどのベースの油、PDMSタイプの消泡剤化合物、およびSiO4/2単位と、(CH3)3SiO1/2単位とQ(CH3)2SiO1/2単位とのみからなるコポリマー(Qは、500から6000の範囲の分子量を有する、ポリオキシプロピレンポリマーまたはポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンコポリマー基である)を組み合わせる、異なる方法を開示する。
【0007】
米国特許第6512015号は、PDMS系消泡剤化合物、鉱油、シリコーンポリエーテルまたは分岐状シリコーングリコール類、およびシリカを含む組成物を開示する。シロキサン系消泡剤組成物のさらなる例は、米国特許第6605183号および米国特許第7105581号に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第0663225号
【特許文献2】欧州特許第1075863号
【特許文献3】欧州特許第1075864号
【特許文献4】米国特許第3865544号
【特許文献5】米国特許第6512015号
【特許文献6】米国特許第6605183号
【特許文献7】米国特許第7105581号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、優れた発泡制御性能を有し、安全かつ洗剤中の成分に対して不活性な、様々な液体洗剤においてより安定な混合物を提供することができる消泡剤組成物に対する、当分野における要求が存在したままである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、以下:
(A) 以下:
(i) 式X-Arの、ケイ素と結合した少なくとも1つの置換基を有するオルガノポリシロキサン(Xは、炭素原子を通してケイ素に結合した二価の脂肪族基を表し、Arは芳香族基を表す)、
(ii) 式R1aSiO(4-a)/2を有するオルガノケイ素樹脂(R1は炭化水素基、ヒドロカーボンオキシ基またはヒドロキシル基を表し、aは0.5から2.4の平均値を有する)、および
(iii) 疎水性フィラー
を含むシリコーン消泡剤; ならびに
(B) 式SiO4/2を有する四官能性シロキサン単位および式R23SiO1/2を有する単官能性シロキサン単位を含み、樹脂中の四官能性シロキサン単位の全数が、シロキサン単位の全数に基づいて少なくとも50%であり、R2が炭化水素基を表す、少なくとも1つのポリオキシアルキレン基を有するオルガノポリシロキサン樹脂
を含む発泡制御組成物を提供する。
【0011】
驚くべきことに、この特定の組成物が様々な液体洗剤中における安定な混合物および優れた発泡制御性能を提供し、一方、透明な液体洗剤における非常にわずかな濁度の増加しか示さず、したがって見て美しい外観を備えることを見出した。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の消泡剤組成物の実施形態および特定の比較例を使用した、HDL洗剤における発泡レベルのグラフ表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発泡制御組成物は、(A) シリコーン消泡剤、(B) シリコーン分散剤、任意の(C) 少なくとも1つのポリオキシアルキレン基を有する架橋オルガノポリシロキサンポリマー、および任意の(D) 有機油を含む。
【0014】
成分(A)、シリコーン消泡剤は、(i) 式X-Arの、ケイ素と結合した少なくとも1つの置換基を有するオルガノポリシロキサン(Xは、炭素原子を通してケイ素に結合した二価の脂肪族基を表し、Arは芳香族基を表す)、(ii) 式R1aSiO(4-a)/2を有するオルガノケイ素樹脂(R1は炭化水素基、ヒドロカーボンオキシ基またはヒドロキシル基を表し、aは0.5から2.4の平均値を有する)、ならびに(iii) 疎水性フィラーを含む。
【0015】
成分(A)(i)は、式X-Arの、ケイ素と結合した少なくとも1つの置換基を有するオルガノポリシロキサンであり、ここで、Xは、炭素原子を通してケイ素に結合した二価の脂肪族基を表し、Arは芳香族基を表す。オルガノポリシロキサン物質(A)(i)は、好ましくは流体であり、好ましくはポリジオルガノシロキサンである。ポリジオルガノシロキサン(A)(i)は、好ましくは、以下の式:
【化1】

のジオルガノシロキサン単位を含み、
ここで、Yは、1から4個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはメチル基である。これらの-X-Ar基を含むジオルガノシロキサン単位は、オルガノポリシロキサン(A)(i)において、実質的に全てまたは大部分のジオルガノシロキサン単位を含んでもよいが、(A)(i)において、好ましくは最大50または60%、最も好ましくは5から40%のジオルガノシロキサン単位を含む。基Xは、好ましくは、2から10個の炭素原子、最も好ましくは2から4個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であるが、代わりに2つのアルキレン基の間またはアルキレン基と-Arとの間のエーテル結合を含むことができ、あるいはエステル結合を含むことができる。Arは、好ましくは、少なくとも1つの芳香環-C6E5を含む基であり、ここで、それぞれのEは、独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、1から6個の炭素原子を有するアルコキシ基、または1から12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を表すか、あるいは2つ以上のE基が一緒になって二価の炭化水素基を表す。Arは最も好ましくはフェニル基であるが、例えば1つ以上の、メチル基、メトキシ基、ヒドロキシル基またはクロロ基で置換されてもよく、あるいは2つの置換基Eが一緒になって二価のアルキレン基を形成してもよく、または一緒になって芳香環を形成し、Ar基に結合して例えばナフタレン基を形成してもよい。特に好ましいX-Ar基は、2-フェニルプロピル(-CH2-CH(CH3)-C6H5)である。代わりに、Arは、チオフェン、ピリジンまたはキノキサリンなどの芳香族の特徴の複素環式基であり得る。
【0016】
ポリジオルガノシロキサン(A)(i)は、好ましくは、以下の式:
【化2】

の少なくとも50%のジオルガノシロキサン単位を含み、
ここで、Y’は、1から24個の炭素原子を有する炭化水素基、好ましくは最大6個の炭素原子の脂肪族基、例えばエチル、プロピル、イソブチル、メチル、ヘキシルまたはビニル、またはラウリル、あるいはシクロヘキシルエチルなどのシクロアルキル基である。アルキル基Y’の混合物を使用することができる。本発明の消泡剤の向上した発泡制御は、(A)(i)のAr基と(A)(ii)のオルガノケイ素樹脂との間の相互作用を含んでもよく、長鎖のアルキル基が存在しない場合、Ar基がより接近しやすいと考えられる。他の基、例えばクロロプロピルなどのハロアルキル基またはアシルオキシアルキル基またはアルコキシアルキル基が、Y’として存在することができる。基Y’のうちの少なくともいくつかは、フェニル基またはトリルなどの置換されたフェニル基であり; ケイ素に直接結合した芳香族基は、基-X-Arに相当しないが、Y’として存在することができる。
【0017】
オルガノポリシロキサン物質(A)(i)は、あらゆる好適な方法で調製されてもよいが、好ましくは数多くのケイ素と結合した水素原子を有するシロキサンポリマーと適切な量のX’’-Ar分子(X’’はXに対して記載されたとおりであるが、末端基に脂肪族不飽和を有し、シロキサンポリマーのケイ素と結合した水素原子と付加反応できる)との間のヒドロシリル化反応によって調製される。好適なX’’-Ar物質の例には、スチレン(2-フェニルエチル基を導入する)、α-メチルスチレン、オイゲノール、アリルベンゼン、アリルフェニルエーテル、2-アリルフェノール、2-クロロスチレン、4-クロロスチレン、4-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-t-ブチルスチレン、2,4-または2,5-ジメチルスチレン、あるいは2,4,6-トリメチルスチレンが含まれる。α-メチルスチレンは2-フェニルプロピル基を導入し、これは主に2-フェニル-1-プロピル基であると考えられるが、2-フェニル-2-プロピル基を含んでいてもよい。X’’-Ar物質の混合物、例えばα-メチルスチレンと一緒にスチレンを使用することもできる。このようなヒドロシリル化反応は、好ましくは、例えば米国特許第4741861号に記載されている条件下および好適な触媒の存在下で行われる。ラジカル阻害剤が、好ましくはX’’-Arの単独重合を防ぐために存在する。
【0018】
オルガノポリシロキサン物質(A)(i)は、実質的に直鎖のポリジオルガノシロキサンであってもよく、またはいくらか分岐を有していてもよい。分岐はシロキサン鎖中に存在してもよく、例えば式ZSiO3/2(Zは炭化水素基、ヒドロキシル基またはヒドロカーボンオキシ基を表す)の三官能性シロキサン単位の存在によってもたらされてもよい。代わりに、分岐は多価の、例えば二価または三価の、有機基またはシロキサンポリマー鎖を結合するケイ素と有機の基によって発生してもよい。有機基は式-X’-の二価の結合基であり得、ケイ素と有機の基は式X’-Sx-X’の二価の結合基であり得、ここでX’は炭素原子を通してケイ素に結合した二価の有機基を表し、Sxはオルガノシロキサン基である。
【0019】
有機結合(分岐)単位の例は、C2〜6アルキレン基、例えばジメチレンまたはヘキシレン、あるいは式-X’-C6H4-X’-のアラルキレン基である。ヘキシレン単位は、1,5-ヘキサジエンとSi-H基との反応によって導入され、-X’-C6H4-X’-単位はジビニルベンゼンまたはジイソプロピルベンゼンの反応による。ケイ素と有機の結合単位の例は、式-(CH2)d-(Si(CH3)2-O)e-Si(CH3)2-(CH2)d-のものであり、ここでdは2から6の値を有し、eは1から10の値を有し; 例えばd=2およびe=1を有する式の結合単位は、ジビニルテトラメチルジシロキサンとSi-H基との反応によって導入される。
【0020】
芳香族化合物X’’-Arとのヒドロシリル化反応および分岐剤とのあらゆる所要の反応後、オルガノポリシロキサンの残留Si-H基は、エチレン、プロピレン、イソブチレン、または1-ヘキセンなどのアルケンと、好ましくはヒドロシリル化触媒の存在下で反応されて、基Y’を導入することができる。
【0021】
物質(A)(i)の平均分子におけるシロキサン単位の数(DPまたは重合度)は、少なくとも5、より好ましくは10から5000であることが好ましい。特に好ましいのは、20から1000、より好ましくは20から200のDPを有する物質(A)(i)である。オルガノポリシロキサン(A)(i)の末端基は、通常シロキサン中に存在するもののいずれか、例えばトリメチルシリル末端基であり得る。
【0022】
オルガノケイ素樹脂(A)(ii)は、一般的には、非直鎖のシロキサン樹脂であり、式R1aSi(4-a)/2のシロキサン単位(R1は炭化水素基、ヒドロカーボンオキシ基またはヒドロキシル基を表し、aは0.5から2.4の平均値を有する)を含む。したがって、成分(A)(ii)は成分(B)と異なる。樹脂は、好ましくは、式R’3SiO1/2の一価のトリヒドロカーボンシロキシ(M)基および四官能性(Q)基SiO4/2を含み、ここでR’は一価の炭化水素基を表す。洗濯洗剤用途における使用のための、Q基に対するM基の数の比は、好ましくは、0.4:1から2.5:1の範囲であり(0.86から2.15の式R’aSiO(4-a)/2におけるaの値に相当する)、より好ましくは0.4:1から1.1:1、最も好ましくは0.5:1から0.8:1(a=1.0〜1.33に相当)である。オルガノケイ素樹脂(A)(ii)は、好ましくは室温で固体であるが、1.2より大きいM/Q比を有する、一般的に液体であるMQ樹脂を、うまく使用することができる。樹脂(A)(ii)は、上で定義されたMおよびQ基のみからなることが最も好ましいが、M基、三価のR’SiO3/2(T)基およびQ基を含む樹脂を代わりに使用することができる。オルガノケイ素樹脂(A)(ii)は、好ましくは存在する全シロキサン単位の20%以下で、二価の単位R’2SiO2/2を含むこともできる。基R1(およびR’)は、好ましくは、1から6個の炭素原子を有するアルキル基、最も好ましくはメチルまたはエチル、あるいはフェニルである。少なくとも80%、最も好ましくは実質的に全ての存在するR1/R’基がメチル基であることが特に好ましい。他の炭化水素基、例えばジメチルビニルシリル単位として存在する、1から6個の炭素原子を有するアルケニル基が、好ましくは少量で、最も好ましくは全R1/R’基の5%を超えずに存在してもよい。ケイ素と結合したヒドロキシル基および/またはアルコキシ基、例えばメトキシ基が存在してもよい。しかしながら、置換基はポリアルキルオキシ基(本明細書において成分(B)および(C)に対して定義される)を含まない。
【0023】
このようなオルガノケイ素樹脂はよく知られている。それらは、溶媒中またはin situで、例えば特定のシラン物質の加水分解によって作られることができる。特に好ましいのは、溶媒、例えばキシレンの存在下における、四価のシロキシ単位の前駆体(例えばテトラ-オルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、ポリエチルシリケートまたはナトリウムシリケート)と一価のトリアルキルシロキシ単位の前駆体(例えばトリメチルクロロシラン、トリメチルエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサンまたはヘキサメチルジシラザン)との加水分解および縮合である。得られるMQ樹脂は、所望の場合、さらにトリメチルシリル化されて、残留Si-OH基を反応させるか、塩基の存在下で加熱して、Si-OH基の除去による樹脂の自己縮合を起こすことができる。
【0024】
オルガノケイ素樹脂(A)(ii)は、好ましくは、消泡剤中に、消泡剤(成分(A))の全質量に基づいて、1〜50質量%、特に2〜30質量%、最も好ましくは4〜15質量%で存在する。
【0025】
オルガノケイ素樹脂(A)(ii)は、上記の量で存在する場合、オルガノポリシロキサン(A)(i)中に相溶または部分的に相溶であってもよい。溶解度は、光学顕微鏡で(A)(i)と(A)(ii)との混合物を観察することによって測定されることができる。洗剤用途における改良された発泡制御が、溶解されたオルガノケイ素樹脂(A)(ii)を含む組成物、およびオルガノケイ素樹脂(A)(ii)の分散された粒子を含む組成物の両方によって達成された。(A)(i)中の(A)(ii)の溶解度に影響を与える因子には、(A)(i)中のX-Ar基の割合(より多くのX-Ar基は溶解度を上げる)、(A)(i)中の分岐の程度、(A)(i)中の基YおよびY’の性質(長鎖のアルキル基は溶解度を下げる)、MQ樹脂(A)(ii)中のQ単位に対するM単位の比(Q基に対するM基のより高い比は溶解度を上げる)、ならびに(A)(ii)の分子量が含まれる。したがって、室温(25℃)における(A)(i)中の(A)(ii)の溶解度は、0.01質量%から15質量%であり得る。相溶性の樹脂(A)(ii)と不溶性の樹脂(A)(ii)との混合物、例えば異なるM/Q比を有するMQ樹脂の混合物を使用することが有利である。オルガノケイ素樹脂(A)(ii)がオルガノポリシロキサン(A)(i)中に不溶である場合、樹脂(A)(ii)の平均粒子サイズは、液体(A)(i)中に分散されたときに測定される場合、例えば0.5から400μm、好ましくは2から50μmであってもよい。工業的な発泡制御用途、例えば製紙およびパルプ業における黒液の脱泡のために、シロキサンコポリマー中に相溶な樹脂、例えば高いM/Q比を有するMQ樹脂が、通常好ましい。
【0026】
樹脂(A)(ii)を、非揮発性溶媒、例えばドデカノールまたは2-ブチル-オクタノールなどのアルコール、あるいはオクチルステアレートなどのエステル中の溶液として、発泡制御剤に加えることができる。揮発性溶媒、例えばキシレン中で調製された樹脂溶液は、非揮発性溶媒と一緒にすることができ、揮発性溶媒を、ストリッピングまたは他の形態の分離によって除去してもよい。ほとんどの場合において、非揮発性溶媒を発泡制御剤中に留めることができる。樹脂(A)(ii)が等量以下の非揮発性溶媒、より好ましくはその質量の約半分以下の溶媒中に溶解されることが好ましい。代わりに、樹脂(A)(ii)を揮発性溶媒中の溶液中に加え、続けて溶媒をストリッピングすることができる。樹脂(A)(ii)が溶液として加えられ、オルガノポリシロキサン物質(A)(i)中に不溶である場合、それは混合で許容可能な粒子サイズで固体粒子を形成する。
【0027】
代わりに、樹脂(A)(ii)を、固体粒子、例えば噴霧乾燥した粒子の形態で発泡制御剤に加えることもできる。例えば10から200ミクロンの平均粒子サイズの噴霧乾燥したMQ樹脂が商業的に利用可能である。
【0028】
オルガノポリシロキサン物質(A)(i)中の樹脂(A)(ii)の不溶のレベルは、組成物中のその粒子サイズに影響を与え得る。樹脂を(A)(i)中に溶液として混合する場合、オルガノポリシロキサン物質(A)(i)中のオルガノケイ素樹脂の相溶性が低くなると、粒子サイズは大きくなる傾向がある。したがって、オルガノポリシロキサン物質(A)(i)中に1質量%で相溶であるオルガノケイ素樹脂は、0.01質量%でのみ相溶である樹脂より小さな粒子を形成する傾向がある。少なくとも0.1質量%の溶解度を有する、オルガノポリシロキサン物質(A)(i)中に部分的に相溶であるオルガノケイ素樹脂(A)(ii)が好ましい。
【0029】
樹脂(A)(ii)の分子量は、縮合、例えば塩基の存在下における加熱によって増加し得る。塩基は、例えば、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムの水性またはアルコール性溶液、例えばメタノールまたはプロパノールの溶液であり得る。いくつかの洗剤にとって、低分子量のMQ樹脂を含む発泡制御剤が発泡を低減するのに最も有効であるが、増加した分子量のMQ樹脂を含むものは、異なる条件下、例えば異なる洗浄温度または異なる洗濯機で、同じ低減された発泡レベルを得るのにより確実であることが分かった。増加した分子量のMQ樹脂は、洗剤、例えば液体洗剤のエマルションと接触して保存される場合、経時の性能の損失に対する耐性を改善した。樹脂と塩基との間の反応は、樹脂とシリカとの間にいくつかの反応が存在する場合、シリカの存在下で行われてもよい。塩基との反応は、オルガノポリシロキサン(A)(i)の存在下および/または非揮発性溶媒の存在下および/または揮発性溶媒の存在下で行われることができる。塩基との反応は、オクチルステアレートなどのエステル非揮発性溶媒を加水分解し得るが、これは発泡制御性能を損なわないことが分かった。
【0030】
組成物は、疎水性フィラー(A)(iii)も含む。発泡制御剤のための疎水性フィラーはよく知られており、好ましくはBET測定により測定される少なくとも50m2/gの表面積を有するシリカ、二酸化チタン、粉末石英、酸化アルミニウム、アルミノシリケート、有機ワックス(例えばポリエチレンワックスおよび微結晶ワックス)、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、脂肪族カルボン酸の塩、イソシアネートと特定の物質(例えばシクロヘキシルアミン)との反応生成物、またはアルキルアミド(例えばエチレンビスステアラミド又はメチレンビスステアラミド)などの物質である。これらのうちの1つ以上の混合物も許容可能である。
【0031】
上で挙げたフィラーのうちのいくつかは、本来は疎水性ではないが、疎水性にされた場合、使用することができる。これは、in situ(つまり、オルガノポリシロキサン物質(A)(i)中に分散されたとき)、または物質(A)(i)と混合する前のフィラーの前処理のどちらかによって行うことができる。好ましいフィラーはシリカであり、これは疎水性にされる。これは、例えば脂肪酸による処理によって行われてもよいが、好ましくはメチルで置換されたオルガノケイ素物質の使用によって達成される。好適な疎水化剤には、ポリジメチルシロキサン、シラノールまたはケイ素結合したアルコキシ基で末端をブロックしたジメチルシロキサンポリマー、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサンならびに0.5〜1.1:1の比で一価の基(CH3)3SiO1/2および四価の基SiO2を含むオルガノケイ素樹脂(MQ樹脂)が含まれる。疎水化は、一般的に、少なくとも80℃で行われる。同様のMQ樹脂を、オルガノケイ素樹脂(A)(ii)として、およびシリカフィラー(A)(iii)のための疎水化剤として使用することができる。
【0032】
好ましいシリカ物質は、加熱によって調製されたもの、例えばフュームドシリカ、または沈殿によって調製されたものであるが、他の種類のシリカ、例えばゲル形成によって作られたものも許容可能である。シリカフィラーは、例えば0.5から50μm、好ましくは2から30μm、最も好ましくは5から25μmの平均粒子サイズを有する。このような物質は良く知られており、疎水的な形態および親水的な形態の両方で商業的に利用可能である。
【0033】
本発明の発泡制御剤中のフィラー(A)(iii)の量は、消泡剤(成分(A))の全質量に基づいて、好ましくは0.5から50質量%、特に1から15質量%、より好ましくは1から15質量%、最も好ましくは2から8質量%である。フィラー(A)(iii)の質量に対する樹脂(A)(ii)の質量の比が1:10から20:1、好ましくは1:5から10:1、最も好ましくは1:2から6:1であることが好ましい。
【0034】
本発明によるシリコーン消泡剤は、任意の従来の方法で製造されてもよいが、好ましくはせん断下で様々な成分を混合することによって提供される。せん断の量は、好ましくは、物質(A)(i)中の成分(A)(ii)および(A)(iii)の優れた分散性を提供するために十分なものであるが、粒子(A)(ii)および/または(A)(iii)が壊れるほど大きくはなく、したがって場合によりあまり効果的ではなく、また疎水性ではない表面を再曝露させる。フィラー(A)(iii)がin situで疎水性にされる必要がある場合、製造方法は、好ましくは減圧下の加熱段階を含み、フィラーおよび処理剤は、必要な場合、場合により好適な触媒の存在下で、一部または全てのオルガノポリシロキサン物質(A)(i)中で一緒に混合される。
【0035】
好ましい実施形態において、発泡制御組成物は、実質的にポリジメチルシロキサン(またはさらに全てのポリジアルキルシロキサン)を含まないか、組成物の全質量に基づいて、20質量%未満のポリジメチルシロキサン(または全てのポリジアルキルシロキサン)を含む。
【0036】
また、発泡制御剤は、(B)シリコーン分散剤を含む。このような薬剤は、例えば、米国特許第3865544号(第3段落第43行目から第4段落第26行目を参照)に記載されている。シリコーン分散剤は、少なくとも1つのポリオキシアルキレン基を有するオルガノポリシロキサン樹脂であり、オルガノポリシロキサン樹脂は、式SiO4/2を有する四官能性シロキサン単位および式R23SiO1/2を有する単官能性シロキサン単位を含み、樹脂中の四官能性シロキサン単位の全数は、シロキサン単位の全数に基づいて、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%であり、R2は炭化水素基を表す。
【0037】
この成分は、発泡制御剤(A)を、消泡剤組成物の媒体、例えば有機油(D)中に分散された状態に保つ。成分(B)は、少なくとも1つのポリオキシアルキレン基を有するオルガノポリシロキサン樹脂である。ポリオキシアルキレン基は、ケイ素と炭素の結合を介してケイ素原子に結合される。これは、ポリシロキサン骨格に対するペンダント基である。アルキレン基は、1から4個の炭素原子を有してもよいが、好ましくはエチレンまたはプロピレンである。樹脂は、式SiO4/2を有する四官能性シロキサン単位ならびに式R23SiO1/2およびQR22SiO1/2で表されてもよい単官能性シロキサン単位(Qはポリオキシアルキレン基、例えば、好ましくは500から6000の範囲の分子量を有する、ポリオキシプロピレンポリマー基またはポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンコポリマー基である)に基づく。好ましくは、単官能性シロキサン単位に対する四官能性シロキサン単位の比は、1:0.4〜1.2である。R2は炭化水素基、好ましくは1から6個の炭素原子を有するアルキル基、最も好ましくはメチルを表す。二官能性および三官能性シロキサン単位(それぞれR22SiO2/2およびR2SiO3/2)を含んでもよいが、これらは、典型的には、それぞれの単位に対して10%未満で存在する。樹脂中の単官能性シロキサン単位の全数は、シロキサン単位の全数に基づいて、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%である。
【0038】
樹脂は、好ましくは、R23SiCl、HR22SiClおよびSiCl4の混合物の共加水分解(cohydrolysing)および縮合、ならびにその後に白金触媒下でアリルオキシ末端ポリオキシアルキレンポリマー(例えば、500から6000の範囲の分子量を有する、ポリオキシプロピレンポリマーまたはポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンコポリマー)を結合することによって調製される。詳細は米国特許第3511788号、特に実施例5から6を参照されたい。
【0039】
樹脂は、式SiO4/2を有する四官能性シロキサン単位および式R23SiO1/2を有する単官能性シロキサン単位を含む樹脂を、ヒドロキシルを含むポリオキシアルキレンポリマー(本明細書において上で記載された)と反応させることによって得られてもよい。反応は、好ましくはシロキサン縮合触媒、例えば水酸化カリウムまたはオクタン酸スズの存在下で、2つの成分を約2時間還流で加熱することによって単純に行われる。理論に制限されることを望まないが、シロキサン中のケイ素原子の残留ヒドロキシル基は、ポリオキシアルキレンポリマーのヒドロキシル基と縮合して、2つの反応物の間にケイ素-酸素-炭素結合を形成すると考えられる。
【0040】
調製されたままの成分(B)は、一般的に、キシレンまたはトルエンなどの溶媒を含む。この成分を、調製されたまま使用することができ、または組成物に組み込む前に溶媒を生成物から除去することができる。どちらの方法も性能における差異は発生しないことが知られている。この成分を加える前に溶媒を除去しない場合、1つ少ない加工工程が含まれ、最終生成物はより経済的に生成される。それゆえ、本発明の組成物は、0から10質量%の溶媒を含み得る。
【0041】
また、発泡制御剤は、好ましくは、(C) 少なくとも1つのポリオキシアルキレン基を有する架橋オルガノポリシロキサンポリマーを含み、架橋オルガノポリシロキサンポリマーは式R32SiO2/2を有する二官能性シロキサン単位、および場合によって式R33SiO1/2を有する単官能性シロキサン単位を含み、二官能性シロキサン単位の全数は、シロキサン単位の全数に基づいて、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%であり、R3は炭化水素基を表す。このような薬剤は、例えば、欧州特許第0663225号(第5頁第37行目から第10頁第40行目)、米国特許第4853474号および米国特許第5136068号に記載されている。三官能性および四官能性シロキサン単位(それぞれR3SiO3/2およびSiO4/2)も含まれてもよいが、それらは、典型的には、それぞれの単位に対して10%未満で存在する。樹脂中の単官能性シロキサン単位の全数は、シロキサン単位の全数に基づいて、好ましくは少なくとも0.5%、かつ、好ましくは10%以下、より好ましくは2%以下である。
【0042】
成分(C)として好適な化合物には、オルガノポリシロキサン-ポリオキシアルキレンポリマー分子が含まれる。それらは非加水分解性の結合によって架橋され、実質的に内部に加水分解性の結合を含まない。架橋は3次元架橋構造を提供し、これらのうち少なくとも2つのオルガノポリシロキサン鎖は、少なくとも1つの橋かけを通して一緒に結合される。
【0043】
成分(C)は、架橋オルガノポリシロキサンポリマーを調製し、それをポリオキシアルキレン基と一緒に組み合わせることによってか、または一緒に組み合わされたポリオキシアルキレン基を有する直鎖のポリオルガノシロキサンを調製し、それを架橋することによって得られてもよい。
【0044】
架橋は、様々なメカニズムと通して達成され得る。当業者は、必要な成分が、成分(C)を調製する方法を実行するためにお互いに混和性である系をすぐに認識する。シロキサンポリマー化学の広大な文献の例示として、Siloxane Polymers, S. J. Clarson and J. A. Semlyen eds., PTR Prentice Hall, Englewood Cliffs, N. J., (1993)を提供する。
【0045】
架橋結合およびオルガノポリシロキサン-ポリオキシアルキレン分子に対する結合は加水分解性ではなく、架橋の橋かけは加水分解性の結合を含まないことが好ましい。ポリオキシアルキレン単位がSiOC結合を介してオルガノポリシロキサン単位に結合される同様の乳化剤は、加水分解が起こり得る条件下での拡大された安定性を必要としない用途において有用であることが認識される。SiOC結合によって形成された架橋を含むこのような乳化剤は、加水分解が起こり得る条件下での拡大された安定性を必要としないこのような用途において、改善されたエマルションの安定性および稠度の便益を提供する。
【0046】
好ましくは、架橋シロキサンポリマー(C)は、以下の成分の間の付加反応によって得られる: (i) 末端基のそれぞれにおいてSi-H基を有するオルガノポリシロキサン、およびそれぞれの分子の側鎖に少なくとも2つのアリル基を有するオルガノポリシロキサン、または(ii) より好ましくは、それぞれの分子の側鎖に少なくとも2つのSi-H基を有するオルガノポリシロキサン、およびアリル基またはシラノール基でブロックされた末端のそれぞれを有するポリオルガノポリシロキサン。
【0047】
好ましい架橋基は、Si-Hを含む骨格と組み合わせて使用される、ビニル末端オルガノシロキサンである。このオルガノシロキサンの橋かけは、ポリオキシアルキレン部分のための反応性部位を含むべきではない。オルガノシロキサンの橋かけはシロキサン骨格と協力し、それは橋かけして水とシリコーン消泡剤の界面におけるシロキサンネットワークを作り出す。このネットワークは、本発明の安定化する特性および特徴に影響を与える点で重要であると考えられる。シロキサンの橋かけは、他の種類の消泡剤と一緒に作用する。他の橋かけの種類は、非シリコーン消泡剤にとってより好適であってもよい(例えば鉱油に基づく消泡剤のためのアルカンの橋かけ)。
【0048】
一緒に橋かけされるオルガノポリシロキサン-ポリオキシアルキレンポリマー分子の正確な数は、それぞれの化合物で変化する。このような架橋の1つの制限は、全体の分子量が物質にゲル系の形成を引き起こすほど高くなってはならないことである。したがって、架橋の程度は、全体の分子量がゲル化を防ぐために十分に低くなければならないため、架橋されるそれぞれ個々のポリマー分子の分子量に対して制限される。架橋反応の制御において、いくつか架橋されていない物質が存在する可能性がある。成分(C)は流動性を有し(つまり自由に流動し)、好ましくは25℃で100から100000mm2/sの粘度を有する。粘度は、25℃でガラスの毛細管粘度計を使用して測定されてもよい。
【0049】
成分(C)は、好ましくは、以下の式:
【化3】

の単位を有し、
ここで、R4は一価の炭化水素基、Aは、好ましくは-(CH2)q-(R62SiO)rSi(CH2)s-または-O(R62SiO)r-SiO-から選択される式を有する架橋基であり、R6は一価の炭化水素基を表し、qは2から10の値を有し、rは1から5000の値を有し、sは2から10の値を有し、R5は、好ましくは500から6000の範囲の分子量を有するポリオキシアルキレン基、例えばポリオキシプロピレンポリマー基またはポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンコポリマー基を表し、好ましくは以下:
【化4】

から選択される式を有する基を表し、
ここで、R7は、水素原子、アルキル基、アリール基、またはアシル基から選択され、tは0から6の値を有し、uは0より大きく(例えば1)150までの値を有し、vは0より大きく(例えば1)150までの値を有し、wは0より大きく(例えば1)150までの値を有し、eは1から1000の値を有し、fは0より大きく(例えば1)30までの値を有し、gは1から1000の値を有し、hは1から1000の値を有し、iは0より大きく(例えば1)30までの値を有し、pは1から1000の値を有する。上の式において、EO、POおよびBOは、それぞれエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、およびブチレンオキシド基を示す。基R4およびR6は、所望により同じまたは異なり得、好ましくはアルキル基またはアリール基であり、それらは両方ともメチルであることが非常に好ましい。
【0050】
上の式において、eは1から500の値を有することが好ましく、eは1から250の値を有することが非常に好ましく、fは0より大きく(例えば1)20までの値を有することが好ましく、fは1から15までの値を有することが非常に好ましく、gは1から100までの値を有することが好ましく、gは1から50の値を有することが非常に好ましく、hは1から500の値を有することが好ましく、hは1から250の値を有することが非常に好ましく、iは0より大きく(例えば1)20までの値を有することが好ましく、iは1から15までの値を有することが非常に好ましく、pは1から100の値を有することが好ましく、pは1から50の値を有することが非常に好ましく、qは2から6の値を有することが好ましく、rは1から2500の値を有することが好ましく、rは20から1000の値を有することが非常に好ましく、sは2から6の値を有することが好ましく、tは0から3の値を有することが好ましく、uは1から100の値を有することが好ましく、uは5から50の値を有することが非常に好ましく、vは1から100の値を有することが好ましく、vは5から50の値を有することが非常に好ましく、wは1から100の値を有することが好ましく、wは1から50の値を有することが非常に好ましい。成分(C)の架橋オルガノポリシロキサンポリマーは、ポリマーのそれぞれの末端で、トリオルガノシロキシで末端ブロックされることが好ましく、ポリマーは、架橋されたポリマーのそれぞれの末端で、トリメチルシロキシで末端ブロックされることが非常に好ましい。
【0051】
架橋オルガノポリシロキサンポリマーを製造するための方法の特定の例を記載する。架橋オルガノポリシロキサンポリマーの調製は、以下の工程を通して行われた: (I) 側鎖に水素原子を有する直鎖のポリシロキサン、ビニル基を有するポリシロキサン、および反応を促進する触媒、特にH2PtCl66H2Oのイソプロパノール溶液などの白金触媒を、酢酸ナトリウムの2%メタノール溶液と一緒に反応器に入れる供給工程、(II) 攪拌を、例えば40℃で30分間行う攪拌/加熱工程、(III) ポリオキシアルキレンおよび溶媒(イソプロパノール)を反応器に入れる投入工程、(IV) イソプロパノールを、Si-Hの反応速度をモニターしながら、例えば80℃で1.5から2時間還流する還流工程、(V) イソプロパノールを、例えば130℃で3.32kPa(25mmHg)の減圧下でストリッピングするストリッピング工程、ならびに(VI) 工程(V)の減圧条件を元に戻し、反応混合物を60℃に冷却して最終生成物を得る最終工程。
【0052】
工程(I)に好適な、側鎖に水素原子を有する直鎖のポリシロキサンの例は、以下:
【化5】

から選択される式を有するポリシロキサンであり、
ここで、以下Meはメチルを表し、e、f、g、h、iおよびpは上で定義されたとおりである。工程(I)に好適な、ビニル基を有するポリシロキサンの例は、以下の式:
【化6】

を有するポリシロキサンであり、
ここで、Meはメチルを表し、以下Viはビニルを表し、rは上で定義されたとおりである。工程(II)におけるこれらの2つの成分の反応は、以下の式:
【化7】

を有する架橋シロキサンポリマーをもたらす。
【0053】
得られた架橋オルガノポリシロキサンポリマーへのポリオキシアルキレン基の導入(工程III〜VI)は、架橋ポリマーを、以下:
Vi-CH2-O-(EO)u-(PO)v-(BO)w-H、
Vi-CH2-O-(EO)u-(PO)v-H、
Vi-CH2-O-(EO)u-(BO)w-H、
Vi-CH2-O-(PO)v-(BO)w-H、
Vi-CH2-O-(EO)u-H、
Vi-CH2-O-(BO)w-H、および
Vi-CH2-O-(PO)v-H、
から選択される式を有するポリオキシアルキレン化合物と反応させることによって達成され、
ここで、Vi、EO、POおよびBOは上で示されたとおりであり、u、vおよびwは上で定義されたとおりである。得られた化合物は、以下の式:
【化8】

を有する架橋オルガノポリシロキサンポリマーであり、
ここで、Me、EO、PO、BO、e、f、g、h、i、pおよびrは上で定義されたとおりであり、uは0から150の値を有し、vは0から150の値を有し、wは0から150の値を有するが、ただしu+v+wの値は少なくとも1である。
【0054】
発泡制御剤は、場合によって有機油(D)を含んでもよく、これは単独の液体であってもよく、1つ以上のこのような液体の混合物であってもよい。好適な物質は、欧州特許第1075863号に記載されている。有機油として、それは典型的には水に不溶である。それは、好ましくは、10質量%未満の芳香族含有量を有する。それは、発泡制御剤の作用温度で液体の物質である必要があり、これは40℃または95℃の高さであってもよい。多くの使用のために、有機流体は、好ましくは25℃で液体である。好ましい有機液体には、油、例えば鉱油(特に水素化された鉱油または白色油)、液体のポリイソブテン、イソパラフィン油、ならびに植物油(例えばピーナッツ油、ココナッツ油、オリーブ油、綿実油および亜麻仁油)が含まれる。好適な有機液体のさらなる例には、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレンとポリプロピレングリコールのコポリマーおよびブロック化コポリマー、フタル酸ジオクチル、コハク酸ジエチル、カプリル酸メチル、ペラルゴン酸ブチル、ステアリン酸エチル、ラウリン酸ドデシルまたはメリス酸メチル(methyl melissate)などのカルボン酸とデカノールなどの一価アルコールとのエステルが含まれる。25℃で液体ではないが、高温で液体である有機流体の例には、ワセリンまたはVaseline(登録商標)、高級アルコールおよびミリスチン酸などの高級カルボン酸が含まれる。上で記載した成分の混合物を使用してもよい。
【0055】
本発明の組成物は、正しい割合で、一緒に成分を単純に混合することによって調製される。現時点で知られている限り、成分を混合しなければならない、または混合する必要がある特定の順番は存在しない。好ましい実施形態において、組成物は、成分(A)、(B)および(C)、より好ましくは(A)、(B)、(C)および(D)を含む。
【0056】
成分(C)または(D)を有さず、成分(A)および(B)を含む発泡制御組成物において、組成物は、発泡制御組成物の全質量に基づいて、10〜90質量%の成分(A)および10〜90質量%の成分(B)、より好ましくは30〜60質量%の成分(A)および30〜60質量%の成分(B)を含む。
【0057】
成分(A)、(B)および(C)を含むが、成分(D)を含まない発泡制御組成物において、組成物は、発泡制御組成物の全質量に基づいて、10〜90質量%の成分(A)、0.1〜90質量%の成分(B)および0.1〜50質量%の成分(C)、より好ましくは30〜60質量%の成分(A)、30〜50質量%の成分(B)および30〜50質量%の成分(C)を含む。
【0058】
成分(A)、(B)および(D)の混合物を含む組成物において、組成物は、発泡制御組成物の全質量に基づいて、10〜90質量%の成分(A)、0.1〜90質量%の成分(B)および0.1〜50質量%の成分(D)、より好ましくは30〜60質量%の成分(A)、0.1〜5質量%の成分(B)および40〜90質量%の成分(D)を含む。
【0059】
成分(A)、(B)、(C)および(D)の混合物を含む組成物において、組成物は、発泡制御組成物の全質量に基づいて、10〜90質量%の成分(A)、0.1〜50質量%の成分(B)、0.1〜50質量%の成分(C)および0.1〜90質量%の成分(D)、より好ましくは10〜50質量%の成分(A)、0.1〜5質量%の成分(B)、0.1〜5質量%の成分(C)および40〜90質量%の成分(D)を含む。
【0060】
本発明の発泡制御組成物は、以下のさらなる成分を含んでもよい: 密度調整剤; 着色保存料、例えばマレエートまたはフマレート(例えばビス(2-メトキシ-1-エチル)マレエートまたはジアリルマレエート)、アセチレンアルコール(例えばメチルブチノール、シクロオクタジエン、または存在するあらゆる残留Pt触媒と反応する環式メチルビニルシロキサン); さらなる増粘剤、例えばカルボキシメチルセルロースまたはポリビニルアルコール; 着色剤、例えば顔料または染料; あるいは有機のワックス状物質、例えば欧州特許第1528954号に記載されているもの。
【0061】
本発明の組成物は、潜在的に発泡する液体に低濃度(例えば1質量%未満)で加えられて、生成される発泡の量を制御する。これは、見苦しく問題のある表面の発泡を除去し、このような液体の、濾過、給水、洗浄および排水を改善する。発泡制御剤は、パルプおよび製紙業、塗料およびラテックス、コーティングプロセス、肥料、織物、発酵プロセス、金属加工、接着剤、コーク(caulk)およびポリマーの製造、甜菜産業、油井セメント、洗浄化合物、洗剤、冷却塔としての使用の従来分野、ならびに様々な種類の化学プロセス、例えば地方自治体および産業の、一次および二次の廃水処理において、用途を見出してきた。したがって、本発明は、液体中の発泡形成を低減またはなくすための、本明細書において規定された組成物の使用も提供する。本発明の組成物は、重質液体(HDL)洗剤に特に適している。このような洗剤は、当分野においてよく知られている。
【0062】
HDL洗剤は、界面活性剤と水とを含む処方に基づく。界面活性剤は、繊維および土壌の表面を濡らし、汚れを浮かし、汚れの粒子と油の液滴を安定化させることを助ける。界面活性剤は、典型的には、アニオン性界面活性剤であり、これは5〜20%で存在してもよく、例えばアルキルベンゼンスルホネートであり、および非イオン性界面活性剤であり、これは5〜30%で存在してもよく、例えば7-EOエトキシレートである。洗剤は発泡制御剤および任意で5〜20%で存在してもよいせっけんも含む。洗剤は、場合によって、以下のさらなる成分を含んでもよい: ハイドロトロープ(hydrotrope)(例えばキシレン-、クメン-またはトルエン-スルホネートなどの短鎖のベンゼンスルホネートの塩); 水の硬度を抑え、洗浄水中の汚れおよび土壌の粒子を分散させるビルダー(例には、Naシトレート、タートレートならびにモノ-およびジ-スクシネートのNa塩、STPP、シリケート、カーボネート、アルミノシリケートならびにゼオライトが含まれる); アルコール類(例えば5〜10%で); 酵素および酵素安定剤(例えばギ酸ナトリウムおよびCaCl2); 洗浄助剤(例えばBoraxおよび過酸化水素); 光学的光沢剤; 香料; 乳白剤、ならびにpHを調整するための塩基(例えばトリエタノールアミンなどのアルカノールアミン)。全ての割合は質量により、洗剤の全質量に基づいており、残りは水である。
【0063】
この典型的なHDL処方は、ウール製品(アニオン性界面活性剤がカチオン性界面活性剤に置換される)、または染料移動阻害剤を含む着色ケア処方などの意図された洗浄用途のための、特殊液体洗剤に変更されてもよい。
【0064】
さらなる詳細は、”Liquid detergents”、Ed. Kuo-Yann Lai、Surfactant Sciences Serie Volume 67、Marcel Dekker Inc.、1997に見つけられる。
【0065】
本発明の発泡制御剤と一緒に使用される洗剤の例は、以下のとおりである。Unilever: “Liquid detergent composition” 米国特許出願第2005/0130864号、”Liquid laundry detergent composition” 米国特許出願第2005/0130859号、“Softening Laundry detergent” 米国特許出願第2005/0124528号、“Liquid detergent compositions” 米国特許第6894017号および“Liquid cleaning compositions and their use” 米国特許出願第2002/0198127号; P&G: “Laundry and cleaning compositions” 米国特許出願第2005/0043205号、“Aqueous liquid laundry detergent compositions with visible beds” 米国特許出願第2005/0043200号および“Liquid laundry detergent compositions” 米国特許出願第2005/0009721号; ならびにHenkel: “Textile cleaning agent which is gentle on textiles”"米国特許出願第2005/0119151号。
【0066】
発泡制御組成物は、好ましくは、組み合わされる洗剤および発泡制御組成物の全質量に基づいて、5質量%未満で洗剤に加えられる。洗剤に加えられる発泡制御組成物の量は、好ましくは0.01〜0.5質量%、より好ましくは0.03〜0.25質量%、最も好ましくは0.05〜0.1質量%である。洗剤は、好ましくはHDL洗剤である。発泡制御組成物は、典型的には、使用する前に、洗剤などの潜在的に発泡する液体に加えられる。発泡制御組成物を加え、液体を攪拌して発泡制御剤を分散させる。
【実施例】
【0067】
(実施例1)
シリコーン消泡剤を、以下の成分:
85% ポリオルガノシロキサン流体
4.5% 2.2%オクチルステアレート中のMQ樹脂
8% 疎水化シリカ(6%のSipernat(登録商標) D10および2%のAerosil(登録商標) R972、両方ともEvonik Industriesから)
を混合することによって調製し、これは欧州特許第1075864号の実施例1に記載されたとおりであり、これは、発泡制御剤(FCA 1)が、攪拌機を備えた1Lのフラスコに、60の重合度を有し、80モル%のメチルエチルシロキサン基、20モル%のメチルα-メチルスチレンシロキサン基および1モル%のジビニル架橋基を含む、85質量%のコポリマー(A)、ならびに8%の処理された沈殿シリカとフュームドシリカとの混合物を供給することによって調製されたことが説明されている。その混合物を、シリカの分散が完了するまで攪拌した。その後、オクチルステアレート(70%固体)中に溶解された、トリメチルシロキサン単位および0.65/1のM/Q比のSiO4/2単位を有する7%のオルガノシロキサン樹脂(B)を加えた。混合物を、高せん断ミキサーで均一にした。オルガノケイ素樹脂(B)をシロキサンコポリマー(A)中に溶解した。
【0068】
得られた組成物を「シリコーン消泡剤1」と呼ぶ。その後、消泡剤組成物を、以下の成分:
30% シリコーン消泡剤1
2% 架橋シリコーンポリエーテル
2% グリコールと反応したMQ樹脂
24% BASFからPluronic(登録商標)として利用可能な、3000から5000の平均分子量および1から7のHLBを有する、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドに基づくブロックコポリマー
43% Sanyo JapanまたはDow ChemicalsからSannix(登録商標) PP-2000またはP-2000として利用可能な、ポリプロピレングリコールP2000
を組み合わせることによって調製した。
【0069】
架橋シリコーンポリエーテルは、以下のとおりに欧州特許第0663225号に記載された方法によって調製された、少なくとも1つのポリオキシアルキレン基を有する架橋ポリジオルガノシロキサンポリマーである。
【0070】
ポリジオルガノシロキサンを、12.8部の式Me3SiO-(Me2SiO)108-(MeHSiO)10-SiMe3を有する直鎖のポリシロキサン、2.6部の約11000の分子量を有する式ViMe2SiO-(Me2SiO)l-SiMe2Viを有するポリシロキサンを反応器に加え、混合し、80℃に加熱することによって調製した。次いで、0.001部のH2PtCl6.6H2Oの2%イソプロパノール溶液を加え、混合物を60分間反応させた。その後、60.2部の式C2H4(EO)u(PO)vOHを有するポリオキシアルキレン(ここで、u:vの比は1:1であり、約3100の分子量を有する)および24.4部のイソプロパノールを加えた。混合物を90℃に加熱し、さらなる0.001部のH2PtCl6.6H2Oの2%イソプロパノール溶液を加えた。混合物を90℃で2時間反応させ、続けて真空ストリッピングしてイソプロパノールを除去した。混合物を冷却し、濾過した。
【0071】
グリコールと反応したMQ樹脂はコポリマーであり、これは、(CH3)3SiO1/2単位に対するSiO4/2単位の比が1:0.4から1:1.2である、SiO4/2単位および(CH3)3SiO1/2単位のみからなるシロキサンコポリマーと、500から6000の範囲の分子量を有するヒドロキシル化ポリオキシプロピレンポリマーとの混合物を加熱することから得られる反応生成物である。
【0072】
生成物は、100gの、(CH3)3SiO1/2単位に対するSiO4/2単位の比が1:0.4から1:1.2である、SiO4/2単位および(CH3)3SiO1/2単位のみからなるシロキサンコポリマーの50%(固体)キシレン溶液、100gのキシレン、200gのキシレン中の約4100の分子量を有するヒドロキシル化ポリオキシプロピレンポリマー(Voranol CP4100)、および14滴の1Nのアルコール性KOH溶液の混合物を、還流で30分間加熱することによって得られる。
【0073】
(実施例2)
消泡剤組成物を、シリコーン消泡剤をシリコーン消泡剤2:
77% ポリオルガノシロキサン流体
13.3% 6.6%オクチルステアレート中のMQ樹脂
2% KOHと疎水化シリカ(Cab-o-sil(登録商標) TS-720)
に置き換えたこと以外は、実施例1において記載したのと同じ方法で調製し、これは欧州特許第1075864号の実施例12に記載されたとおりであり、これは、2質量%のCab-o-sil TS720の疎水化処理されたフュームドシリカを、78%の実施例1のシロキサンコポリマー中に分散し、8%オクチルステアレート中に溶解された、12質量%の実施例1において使用されたMQ樹脂を加え、続けて0.5%の20%KOH水溶液を加えたことが説明されている。混合物を、80℃で6時間反応させ、その後真空下で140℃で1時間加熱してシリコーン消泡剤2を形成した。反応は、樹脂の縮合および場合によって樹脂とシリカとのいくつかの反応を促進した。
【0074】
(実施例3)
消泡剤組成物を、シリコーン消泡剤をシリコーン消泡剤3:
89% ポリオルガノシロキサン流体
8% MQ樹脂
2% KOHと疎水化シリカ(Cab-o-sil(登録商標) TS-530)
に置き換えたこと以外は、実施例1において記載したのと同じ方法で調製した。シリコーン消泡剤3を、MQ樹脂をシロキサンコポリマー中に分散したこと以外は、シリコーン消泡剤2と同じ方法で生成した。
【0075】
(比較例1)
消泡剤組成物を、シリコーン消泡剤を30質量%の分岐したPDMS消泡剤化合物に置き換えたこと以外は、実施例1に記載したのと同じ方法で調製した。この比較例で使用した分岐したPDMS消泡剤化合物を、米国特許第4639489号の実施例1に開示された方法によって調製した。使用した成分の量は以下のとおりである: 25℃で1000mm2/sの粘度を有する、59.2質量部のトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、25℃で12500mm2/sの粘度を有する、28.2質量部のヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、2.8質量部のエチルポリシリケート(Tama Kagaku Kogyo Co., Ltd., Japanからの「Silicate 45」)、1.3質量部のカリウムシラノレート触媒、2.8部のAerosil 200 Silica(Degussa-Huls Corporationからの200m2/gの表面積を有するシリカ)、および25℃で40mm2/sの粘度を有する、4.8質量部のヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン。上の成分に加えて、この処方は、0.625質量部の水、0.005質量部のSilwet(登録商標) L-77 Silicone Glycolおよび0.09質量部のL-540 Silicone Glycol(両方ともMomentive Performance Materialsからの、シリコーンポリエーテルブロックコポリマーであって、ポリエーテルブロックは50/50モル%のポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンからなる)を含む。
【0076】
(比較例2)
シリコーン消泡剤1をそのまま使用した。
【0077】
(比較例3)
シリコーン消泡剤1を、以下の従来の乳化剤で乳化した: 水中の20%活性のステアリルアルコールエトキシレート(EO)2およびステアリルアルコールエトキシレート(EO)20。
【0078】
(比較例4)
1000mm2/sの粘度を有するトリメチルシロキシ末端PDMS流体(Dow Corning 200 Fluid)を、4%の疎水性シリカ(Sipernat(登録商標) D10)と組み合わせた。
【0079】
(比較例5)
シリコーン消泡剤3をそのまま使用した。
【0080】
(安定性試験)
HDL中の消泡剤分散体の視覚的な安定性試験を、1%の消泡剤組成物および洗剤を、Speedmixerを使用して3000rpmで20秒間混合することによって行った。モデルのHDL系を、数多くの商業的に利用可能なHDL洗剤と一緒に使用した。モデルのHDL洗剤は、以下を含んだ: 7%のナトリウムラウリルエーテルサルフェート(SLES)、7%のドデシルベンゼンスルホネート(LAS)、7%のdehydol LT7、5%のナトリウムトリポリホスフェート、5%のグリセリンおよび水。
【0081】
その後、消泡剤/洗剤組成物をボトルに入れた。ボトルをオーブン中で37℃に保ち、分散体の側面を経時で視覚的にモニターした。劣化が現れるあらゆるサイン(例えば液体または沈殿物の表面における、ガラスのボトルのゼリー状の環)の前の日数を記録した。結果を以下の表に記載する。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
(洗濯機の試験(消泡性能))
1.7kgの重さのタオルを、60gのモデルのHDL処方を、上に記載した0.075%の消泡剤組成物と一緒に使用して洗濯した。Miele W934の前から入れる方式の洗濯機にタオルを入れ、12mLの262g/LのCaCl2.2H2O水溶液と25mLの72g/LのMgCl2.6H2O水溶液を加えた13Lの軟水を供給した。
【0085】
洗濯を、40℃のプログラムを使用して行った。洗濯サイクルの間の発泡の高さのプロファイルを記録し、結果を図1に示す。図は、本発明の実施形態の処方が、改善された安定性に加えて、優れた消泡特性を示すことを示す(比較処方と同じくらい)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A) 以下:
(i) 式X-Arの、ケイ素と結合した少なくとも1つの置換基を有するオルガノポリシロキサン(Xは、炭素原子を通してケイ素に結合した二価の脂肪族基を表し、Arは芳香族基を表す)、
(ii) 式R1aSiO(4-a)/2を有するオルガノケイ素樹脂(R1は炭化水素基、ヒドロカーボンオキシ基またはヒドロキシル基を表し、aは0.5から2.4の平均値を有する)、ならびに
(iii) 疎水性フィラー
を含むシリコーン消泡剤;
(B) 少なくとも1つのポリオキシアルキレン基を有するオルガノポリシロキサン樹脂であって、前記オルガノポリシロキサン樹脂は、式SiO4/2を有する四官能性シロキサン単位および式R23SiO1/2を有する単官能性シロキサン単位を含み、前記樹脂中の四官能性シロキサン単位の全数は、シロキサン単位の全数に基づいて少なくとも50%であり、R2は炭化水素基を表すオルガノポリシロキサン樹脂
を含む、発泡制御組成物。
【請求項2】
(C) 式R32SiO2/2を有する二官能性シロキサン単位を含む、少なくとも1つのポリオキシアルキレン基を有する架橋オルガノポリシロキサンポリマーであって、二官能性シロキサン単位の全数は、シロキサン単位の全数に基づいて少なくとも60%であり、R3は炭化水素基を表す架橋オルガノシロキサンポリマー
をさらに含む、請求項1に記載の発泡制御組成物。
【請求項3】
(D) 有機油をさらに含む、請求項1または2に記載の発泡制御組成物。
【請求項4】
前記発泡制御組成物の全質量に基づいて、10〜50質量%の成分(A)、0.1〜5質量%の成分(B)、0.1〜5質量%の成分(C)、および40〜90質量%の成分(D)を含む、請求項3に記載の発泡制御組成物。
【請求項5】
前記オルガノポリシロキサン樹脂(B)中の四官能性シロキサン単位の全数が、シロキサン単位の全数に基づいて少なくとも70%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の発泡制御組成物。
【請求項6】
前記オルガノポリシロキサン樹脂(B)中の単官能性シロキサン単位に対する四官能性シロキサン単位の比が、1:0.4〜1.2である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記架橋オルガノポリシロキサンポリマー(C)中の二官能性シロキサン単位の全数が、シロキサン単位の全数に基づいて少なくとも70%である、請求項2から6のいずれか一項に記載の発泡制御組成物。
【請求項8】
液体中の泡の形成を低減またはなくすための、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項9】
1つ以上の界面活性剤、水および請求項1から7のいずれか一項に記載の発泡制御組成物を含む、液体洗剤。
【請求項10】
前記洗剤がHDL洗剤である、請求項9に記載の液体洗剤。
【請求項11】
前記発泡制御組成物が、前記洗剤の全質量に基づいて0.01〜0.5質量%で存在する、請求項9または10に記載の液体洗剤。

【図1】
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【公表番号】特表2012−516775(P2012−516775A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549221(P2011−549221)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/022985
【国際公開番号】WO2010/091044
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】