説明

発泡容器

【課題】 通気凹部の形成位置において容器本体の強度が低下することなく、長側壁の外側下縁部へ台車等が衝突した際にも破損しにくい発泡容器を提供する。
【解決手段】 発泡容器の本体部分10が、内面18及び内側面に段部を有し、長側壁の外壁面の中央下方部に凸出部58を有し、短側壁の外壁面の中央下方部に側壁切り込み部を有し、長側壁に形成した該凸出部及び短側壁に形成した該側壁切り込み部を底壁部16の裏面側にまで伸張し、蓋体部分12が、嵌合部70の外側面には前記嵌合手段へ嵌合するための嵌合手段を一体的に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には各種の物品、特に、食品を冷凍・保冷状態にて保管・搬送するのに有用な容器に関する。より詳細には、ナメコ等のキノコ類、野菜、果実、更には鮮魚類等の生鮮食品を収納し、これらを生産地から遠い消費地まで冷凍・保冷状態にて安全に搬送し、またある場合には、消費地においてこれらの商品を当該容器に入れたまま、店頭に並べることが出来る発泡容器に関する。
【0002】
野菜や果物等の生鮮食品や鮮魚等を生産者や魚市場から適切に受入れ、これらを傷付けることなく安全に保管し更に当該生産地から消費地まで鮮度を落とすことなく迅速に搬送するためには、通気遮断特性、断熱特性、緩衝特性に富み、更には比較的経済性に富んでいる容器の使用が必要である。このような要求を満たすものとして、一般には、発泡材料で形成した容器が広く使用されている。
【背景技術】
【0003】
然るに、今日の物品の多様化、搬送手段の多様化に伴って、被充填物品独自の専用容器の開発も行われている。しかしながら、発泡容器の多くはワンウェイ容器として使用されることが多く、通函として使用されることは殆ど期待出来ない。これは、発泡容器は一般に、搬送に多くの容積を必要として、通函として使用する場合は、経済的に不利であることがその理由となっており、更には、一度使用した発泡容器は、多くの場合、当該容器のいずこかに傷や損傷が発現しており、新しい商品を充填する容器としての価値に乏しいこともその理由として考えられている。もし、発泡容器の強度を強化しようとすると、経済的に不利となる。この結果、特定物品のための専用容器としての発泡容器はあまり一般化しておらず、その代わりに、物品の種類を問わず種々の物品を安全に保管・搬送出来るためのユニバーサル機能を有する発泡容器の開発が広く行われている。このような機能を有する発泡容器の例として、下記特許文献に示すような形態の発泡容器が知られている。
【特許文献1】特開2005−350080号公報
【特許文献2】特許第3348360号
【0004】
ここで、特開2005−350080号公報に記載の発泡容器は、特に野菜、ナメコ等のキノコ類、果実などの生鮮食品の収納に好適な予冷発泡容器として、容器本体の側壁部の上端部を略同一平面内に配置し、側壁部の上端部に容器側嵌合部を形成したものである。この発泡容器は、少なくとも一対の相対向する側壁部の下端角部における長さ方向の途中に、容器側嵌合部に対応する位置よりも低壁部の中央部側へ延びる通気用凹部を、その底面を底壁部の中央部側下がりの傾斜面で構成し、容器本体の内面を内側へ突出させることなく形成し、蓋体の外周部の下端縁を略同一平面内に配置すると共に、外周部下端に容器本体の容器側嵌合部に凹凸嵌合して容器本体内を略気密状態に維持している蓋側嵌合部を形成したものである。これは、容器の内部容積を広く形成しているが、側壁部の下端角部における長さ方向の途中に、容器側嵌合部に対応する位置よりも低壁部の中央部側へ延びる通気用凹部を、その底面を底壁部の中央部側下がりの傾斜面で構成しているものである。
【0005】
また、特許第3348360号に記載の発泡容器は、塩鯖などの塩蔵魚や鮮魚等の生鮮魚介類の収納・冷凍用容器として有用な発泡容器として、底と側壁からなる容器本体が発泡樹脂により一体的に形成されており、容器本体の底にこの底の内面に開口する開口部を有する保水手段を備えている。この保水手段は開口部の狭くなった複数の空室より構成されているものである。この発泡容器は、特に鮮魚等の搬送に適しているものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように公知の発泡容器においては、その容器における側壁部の下端角部の長さ方向に、連続する容器側嵌合部に対応する位置よりも低壁部の中央部側へ延びる通気用凹部を、その底面を底壁部の中央部側下がりの傾斜面で構成していたため、通気凹部の形成位置において容器本体の肉厚が他の部分よりも薄くなっており、このため容器本体の強度が低下し、特に、これまでのように長側壁の外側下縁部が直角形状を有する場合には、当該部分が台車その他の硬い物体に衝突した際に、当該下縁部が容易に割れたり、破損したり、欠損したりするという課題があった。そこで、本発明においては、このような容器側壁部の強度低下を完全に補完した発泡容器を提供することを目的としている。
【0007】
更にまた別の公知の発泡容器においては、被冷凍物に付着していた水などの排液やその被冷凍物から流れ出た血汁などのドリップが容器本体の底を流れて開口部から凹陥部内へ流れ込むようなドリップ受入れ手段を有し、開口部が狭くなった複数の保水手段を保有するため、その成形が困難であり、またその加工がかなり高価なものに成っており、更にコスト面での課題があり、その上、容器底部に保水手段を備えているため物品収容容積が制限されるという課題があった。そこで、本発明においては、出来るだけ低い価格で、最大限の商品収容空間を有すると共に、商品と排液とを安価な方法で分離可能な発泡容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、発泡容器における側壁部の下端角部の長さ方向に、連続する容器側嵌合部に対応する位置よりも低壁部の中央部側へ延びる通気用凹部を、その底面を底壁部の中央部側下がりの傾斜面で構成する代わりに、容器底壁部から側壁下部まで伸びる連続する蒲鉾型の凹凸部を形成して、容器全体の強度を強化するものである。より詳細には、本体部分10と、蓋体部分12と、より成る発泡容器であって、本体部分10が、底壁部内面18及び内側面24a、26aに、段部20、22を有しており、また、該内側面の上方部分に嵌合手段44、46を有しており、長側壁24、24の外側面にはその中央下方部に凸出部58を有しており、短側壁26、26の外側面にはその中央下方部に側壁切り込み部56、56を有し、更に長側壁24、24に形成した該凸出部58及び短側壁26、26に形成した該側壁切り込み部56、56が底壁部16の裏面側にまで伸張しており、蓋体部分12が、上面部64と、嵌合部70と、を有しており、嵌合部70の外側面に前記嵌合手段44、46へ嵌合するための手段76、68を一体的に形成した発泡容器である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の発泡容器によれば、容器の下縁部付近に不慮の外力が作用した際にも、半円形断面セグメントを有する凸出部がそれらの外力を適度に吸収し、または分散し、これまでのような欠損傷害等をなくすことが出来るのである。また、このような連続する半円形断面セグメントを有する凸出部を長い縦方向隆起部の外側中央部に設けることにより、上記特開2005−350080号公報の欠点である底壁と長側壁との間における容器本体の肉厚減少による強度不足を完全に解消しているのである。本発明が開示するこれらの凸出部58は、容器本体の長側壁の中央部付近に該長側壁の約2分の1から3分の2程度の長さ(L2)に亘り横方向に広がって配置されている。更にまた、この凸出部58は、長側壁の下方から6分の1から5分の1程度の高さ(L3)まで伸びている。これにより当該角部へかかる外力による角部の損傷を確実に防止することが出来るのである。
【0010】
更には、本発明の発泡容器によれば、容器本体部分10の底壁部内面18及び内側面24a、26aには格子形状を有する段部20、22を形成しているので、容器内部へ充填された商品と、商品から露出する排水と、が適切に分離されるのである。このように、本発明は段部形成という手軽な段付き手段により商品と排水とを確実にかつ安価に分離することが出来るのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1及び図7を参照すると、ここには本発明にかかる発泡容器を構成している本体部分10と、蓋体部分12と、が夫々正面図として示されている。本発明にかかる発泡容器の材料としては、発泡ポリスチレン系樹脂、発泡ポリエチレンや発泡ポリプロピレン等の発泡ポリオレフィン系樹脂、スチレンとエチレンやプロピレンとの共重合体を発泡させた発泡樹脂、発泡ポリウレタン樹脂等を使用したもの等が含まれる。しかし、現時点ではコスト、加工特性等の理由から発泡ポリスチレン系樹脂の使用が最も広く使用されているように思われる。本発明においては、これらの材料の全てを含むことが出来るものであるが、以下の説明においては、簡便のために単に発泡容器と言うものとする。なお、これらの部分10、12は共に、同一の材料にて成形されることも出来るし、異なる材料にて成形されることも出来る。更にまた、本体部分10及び蓋体部分12はこれらの発泡樹脂材料のみから形成される以外に、発泡容器の内面や内部等にアルミニウム蒸着フイルム等を積層、挿入することにより断熱性や気密性を向上させることも可能であり、更には、公知のダンボール製品と組合せて構成することも可能であることは当業者に明らかなところであり、本件発明はこれらの構成を全て含むものである。
【0012】
初めに図1〜図6を参照しながら、本発明の発泡容器を構成している本体部分10について詳述する。本体部分10は、概括的には、通常の箱寸法と同様の(400〜450mm)×(250〜350mm)×(150〜200mm)程度の大きさを有しており、各壁部の厚みは約(18〜24mm)程度であるが、これらの寸法に限定されるものではない。図1は本発明に係る発泡容器の本体部分の正面図を示している。本体部分10は、該本体部分10の概ね矩形形状を有している底壁部16(図2及び図3参照)の内面18に、図示の例で述べると、該底壁部内面18から僅かに隆起する15個の横方向に延びている段部20が互いに所定の間隔をおいて形成している。さらにこの底壁部内面18には、該底壁部内面から僅かに隆起する3個の縦方向に延びている段部22が前記段部20に交差しながら互いに所定の間隔をおいて形成している。この結果、本体部分10の底壁部内面18には、該内面18から隆起している段部20と段部22が格子状に配置され、これらの格子形状底壁部内面18が、商品と商品から露出する排水とを分離する作用を提供している。なお、図示した段部20、22の数、または段部20の高さが段部22の高さよりも高く形成されていること等は単なる例示であり、これは限定事項ではなく、段部20と段部22の高さが逆であってもよく、また、果実等の排水量の少ない物品を収納する場合の容器においては、両方の段部の高さは同じであっても良く、更には段部の数をより多くすることも少なくすることも可能である。また、図示の例では段部の断面形状は平坦面となっているが、これを三角形断面、円形断面等、種々の形状とすることも可能である。また、これらの段部を、図示のように連続するものではなく、例えば短い円柱形状のものを飛び石のように配置することも出来る。要は、この段部は、物品が底壁部へ直接接触することなく、物品をそこから多少浮上支持させるような手段であれば良いのである。
【0013】
図1〜図3から明らかなように、本体部分10は、矩形形状を有するその底壁部16の四方の側方部分から一体的に立ち上がっている一対の長側壁24、24及び短側壁26、26と共に一体的に成形されており、これら4つの側壁によって画定される内部には物品を収容するための空域である物品収容部28が形成されている。また、図1に明瞭に示されているように、これら長側壁24、24と短側壁26、26の上縁面30によって包囲されている、上記物品収容部28の上方部分には、物品を該物品収容部28へ供給するための開口部29(図2及び図3参照)が画定されている。前記上縁面30であって、長側壁24、24と短側壁26、26とが交差する4隅の内、少なくとも互いに斜めに
交差する2つの隅部(図1の例では右下及び左上の交差隅部)の上縁面30の外縁部には、夫々アングル状の上面切り込み部32、32が形成されている。なお、これらの上面切り込み部32、32は本体部分10の外表面を表示している図5及び図6にも明瞭に示されている。これらの上面切り込み部32、32は、本体部分10へ蓋体部分12を嵌合した施蓋状態から、蓋体部分12を開放しようとする際に、蓋体部分12と本体部分10との間へ指を差し込むことにより開蓋作業を容易に行なうことが出来るようにするための間隙を提供しているものである。勿論これらの上面切り込み部は、4隅の上縁面の全てに設けることも可能である。
【0014】
図2は、図1の線2−2に沿って見た本体部分10の縦方向断面図である。底壁部16から立ち上がっている長側壁24、24(図3参照)の内側面24aには底壁部16の内面18に形成した段部20が連続して垂直上方まで伸張している。これらの垂直上方に延びている段部20は、長側壁24、24の上縁面30から僅か下方の位置まで延びている。この長側壁24、24の上縁面30から僅か下方の位置までは、内側面24aに沿って、蓋体部分12を受入れるための蓋体部分受入れ壁部34が形成されている。従って、これらの各長側壁24、24の内側面24aには、上縁面30に近接している蓋体部分受入れ壁部34と、底壁部16に近接しており表面に段部20を有しかつ被収容物(図示なし)を収容するための空域を画定している物品収容部28とを有している。また、本体部分10の底壁部16には、該底壁部から下方へ向かって一体的に形成されている脚部36が延びている。
【0015】
図3は、図1の線3−3に沿って見た本体部分10の横方向断面図である。底壁部16から立ち上がっている短側壁26、26(図2参照)の内側面26aには底壁部16の内面18に形成した段部22が連続して垂直上方まで伸張している。これらの垂直上方に延びている段部22は、短側壁26、26の上縁面30から僅か下方の位置まで延びている。この短側壁26、26の上縁面30から僅か下方の位置までは、内側面26aに沿って、蓋体部分12を受入れるための蓋体部分受入れ壁部38が形成されている。従って、これらの各短側壁26、26の内側面26aには、上縁面30に近接している蓋体部分受入れ壁部38と、底壁部16に近接しており表面に段部22を有しかつ被収容物(図示なし)を収容するための空域を画定している物品収容部28と、を有している。また、本体部分10の底壁部16には、該底壁部から下方に向かって一体的に形成されている脚部42が延びている。ここで脚部42の高さと前記脚部36の高さとは実質的に同一となるように形成されている。
【0016】
図2及び図3から明らかなように、各長側壁24及び短側壁26の各蓋体部分受入れ壁部34、38には、それぞれの壁部の長手方向に沿って伸びている嵌合手段としての溝部44、46が形成されている。図から明らかなように、これらの4側面に設けた溝部44、46は各蓋体部分受入れ壁部34、38の全長に亘り形成されているのではなく、各蓋体部分受入れ壁部34、38の両端部には溝部44、46が形成されないままの部分を僅かに残している。これにより、溝部の成形を迅速、簡便、安価に行なうことを可能としている。更にまた、以下に述べる図4から明らかなように、脚部36と42とは、互いに一体的に連続していることが分かる。
【0017】
図4は本体部分10を裏側即ち下側から見た裏面図を示している。図2及び図3において述べたように、本体部分10の底壁部16から下方に向かって脚部36、42が伸びている。図4を参照すると、本体部分10の底壁部16の裏面中央部には4つの角部をそれぞれRで仕上げられている4個の概ね長方形の凹部50が形成されている。これらの凹部50は図2及び図3においても同様に底壁部16の下面にそれぞれ示されている。これらの凹部50は、十字形状の平坦面52を僅かに凹ますことにより形成されている。これらの凹部50の外周部分にはこれらの凹部50及び十字形状平坦面52を取り囲むように、
隆起部54が形成されている。これらの隆起部54は、図の上下位置にあって横方向に伸びている横方向隆起部54aと、左右位置にあって縦方向に伸びている縦方向隆起部54bとが互いに連続することにより四方に亘り一体的に形成されている。
【0018】
図4から分かるように、この隆起部54を構成している短い横方向隆起部54aの外側中央部には、図2、図4及び図6に示すような、それぞれ側壁切り込み部56、56が形成されている。これらの側壁切り込み部56、56は本体部分10へ被充填物を充填し本体部分が重くなった際に当該本体部分10を荷台等へ持上げるときに、作業員がここへ指を差し込むことにより、該本体部分10を容易に持上げることが出来るような機能を有している。このため、側壁切り込み部56、56は、図2に示すように、当該本体部分10の底壁部16の下面から短側壁26の外側部分の下から3分の1程度の高さ(L1)まで切り込まれており、該切り込み部の上端部は、指先などが確実に引っかかるように段部となっている。
【0019】
更にこの隆起部54を構成している長い縦方向隆起部54bの外側中央部には、図3〜図5に示すように、夫々が蒲鉾形状を有して横方向に連続する半円形断面セグメントを有する凸出部58を形成している。これらの凸出部58は本体部分10の細長い長側壁24の外側下縁部を円形断面セグメントにより形成したものである。これにより、これまでのように長側壁の外側下縁部が直角形状を有する場合には、当該部分が台車その他の硬い物体に衝突した際に、当該下縁部が容易に割れたり、破損したり、欠損したりすることがあったが、本発明のように形成することにより当該部分に不慮の外力が作用した際にも、それらの外力が適度に分散されまたは吸収され、これまでのような欠損傷害等をなくすことが出来るのである。また、このような連続する半円形断面セグメントを有する凸出部58を長い縦方向隆起部54bの外側中央部に設けることにより、上記特開2005−350080号公報の欠点である容器本体の肉厚減少による強度不足を完全に解消しているのである。なお、本発明におけるこれらの凸出部58は、図4及び図5に示すように、容器本体の長側壁24の中央部付近に該長側壁の約2分の1から3分の2程度の長さに(L2)亘り横方向に広がって配置されている。更にまた、この凸出部58は、図3及び図5に示すように、長側壁24の下方から6分の1から5分の1程度の高さ(L3)まで伸びていることが望ましい。これは、側壁と底壁部とが直角に交わる角部へかかる外力による当該角部の損傷を確実に防止するためである。また、図4〜図6に詳細に示しているように、容器部分10の裏側面には、隆起部54の外側部分であって一対の凸出部58、58と一対の側壁切り込み部56、56との間をそれぞれ連結するように4個のアングル形状部59が該裏側面の4隅部分に設けてある。これらのアングル形状部59は図5及び図6に示すように前記隆起部54よりは一段低く形成されている。
【0020】
また、このような連続する半円形断面セグメントを有する凸出部58を、長い縦方向隆起部54bの外側中央部に設けることにより、本体部分10を複数個積層し、それらを一度に予冷するような場合においても、冷気は横方向に連続するセグメントとセグメントとの間に形成されている凹み部分60を介して下方の本体部分10内へ自由に供給されるので、簡単に一度に大量の容器内部を予冷することが出来るのである(図3〜図5参照)。なお、本発明においては、本体部分10へ対して別の本体部分10を積層しようとする場合には、上方の本体部分のアングル形状部59が下方の本体部分の上縁面30に保持され、同時に上方の本体部分の隆起部54が下方の本体部分の上縁面30の内側の開口部29内に確実に受入れられるので、これらの積層した本体部分は互いに入れ子式の嵌合状態にて積層されることなり、本体部分が簡単に倒れるようなことはないのである。
【0021】
なお、図4に示す容器底壁部面の隆起部54において、それぞれ横方向隆起部54aから側壁切り込み部56を除いた部分が脚部36(図2)を提供し、同様に、縦方向隆起部54bから凸出部58を除いた部分が脚部42(図3)を提供しているのである。
【0022】
次に図7〜図12を参照しながら、蓋体部分12について述べる。本発明に係る発泡容器の蓋体部分の正面図を示している図7から明らかなように、この蓋体部分12はその上面部64がほぼ平面形状を有しており、より詳細には、図11及び図12に示すように、周辺部66によって取り囲まれている中間部68が幾分凹んでいる。この蓋体部分12は、本体部分10の物品収容部28の開口部29を閉じるためのものであり、従って、該上面部64は、本体部分10の開口部29とほぼ同一の面積寸法を有しており、本体部分10の開口部29へ蓋体部分12を施蓋するときには、上面部64が、本体部分10の上面28へ載置される。この上面部64は本体部分10の物品収容部28の内部を例えば保冷状態に維持するために、所定の厚み寸法(L4)を有している。なお、この蓋体部分12の中間部68の凹みは、この上に同様の本体部分10を積載したときに、その積載された本体部分の隆起部54が当該中間部68の凹み内へ適切に収まるような寸法となっており、これにより、容器を多数積載した時にもそれらの容器が全くぐらつくこと無く、安全に積載し搬送することが出来ることを保証しているものである。
【0023】
本発明における蓋体部分12には、該上面部64の裏側(下側)に向かって一体的に嵌合部70が形成されている。この嵌合部70は上面部64の周辺部66から下方へ向かって蓋体部分12の外周に沿って所定の寸法(L5)だけ垂下している。ここで、前記上面部64の厚み寸法(L4)と嵌合部70の寸法(L5)とは、ほぼ同一の寸法となっていることが好ましい。これにより上面部64及び嵌合部70が互いに他方を補強しあうことが出来るからである。嵌合部70が上面部64の周辺部66に沿って設けてあり嵌合部70によって包囲される中央部分71を空隙領域としたので材料の節約と蓋体部分の軽量化が図られている。施蓋時には、この嵌合部70の外側面72、74(図8及び図9参照)が本体部分10の長側壁24及び短側壁26の蓋体部分受入れ壁部34、38へ押圧嵌合する。このため嵌合部70の各外側面72、74には、本体部分10の蓋体部分受入れ壁部34、38に設けた溝44、46に嵌入する嵌合手段としての突起部76、78が一体的に形成されている。これらの突起部76、78の形状及び寸法は、蓋体部分受入れ壁部34、38の形状及び寸法と概ね一致する。これにより、蓋体部分12を本体部分10の開口部29へ配設して蓋体部分12を上方から押圧すると、蓋体部分12の突起部76、78が本体部分10の溝44、46へ密嵌状態に嵌合して、所望の例えば保冷状態を長時間にわたり維持出来るのである。
【0024】
蓋体部分12を本体部分10の開口部29から開放する時には、図1に示す本体部分10の上縁面28に設けた上面切り込み部32、32へ指を差込み、蓋体部分12を本体部分10から引剥がすことにより蓋体部分12は容易に開蓋出来るのである。また、図示した実施例においては、嵌合手段として蓋体部分に突起部を形成し、本体部分に溝部を形成した実施例を開示したが、勿論、嵌合手段としては蓋体部分に溝部を形成し、本体部分に突起部を形成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、各種の物品、特に、食品を冷凍・保冷状態にて保管・搬送するのに有用な容器として使用出来る。更に、本発明の発泡容器は、安価に生産することが出来、かつ耐衝撃性に強いので、なめこ、野菜、果実(例えば桃)、更には鮮魚類等の生鮮食品を収納しこれらを遠くまで冷凍・保冷状態にて安全に搬送するための手段として適しており、また、搬送時に溶解した排水が多少発生しても、物品と排水とが完全に弁別出来るので、当該排水により物品が損傷を受けることはないので安心して長距離搬送容器として使用することが出来る。更に、蓋体部分がこれに積載される本体部分を安全に受入れるための凹みを有する中間部を有しているので、多くの本体部分を多段に積載しての搬送も容易である。また、ある場合には、容器の外形へ衝撃性増強のために付加した円形断面セグメントを有する凸出部が優しくかつ健康そうなイメージを購買者に与えることが期待されるので、被
充填商品を当該容器に入れたまま、店頭に並べることも出来るという多用途に有効に活用するのに最適なユニバーサル発泡容器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る発泡容器の本体部分の正面図である
【図2】図1の線2−2に沿って見た本体部分の縦方向断面図である。
【図3】図1の線3−3に沿って見た本体部分の横方向断面図である。
【図4】本発明に係る発泡容器の本体部分の裏面図である。
【図5】図4の本体部分を右方から見た側面図である。
【図6】図4の本体部分を下方から見た側面図である。
【図7】本発明に係る発泡容器の蓋体部分の正面図である。
【図8】図7の蓋体部分を左方から見た側面図である。
【図9】図7の蓋体部分を下方から見た側面図である。
【図10】本発明に係る発泡容器の蓋体部分の裏面図である。
【図11】図10の線11−11に沿って見た蓋体部分の縦方向断面図である。
【図12】図10の線12−12に沿って見た蓋体部分の横方向断面図である。
【符号の説明】
【0027】
10 本体部分 12 蓋体部分
16 底壁部 18 底壁部内面
20 段部 22 段部
24 長側壁 24a 内側面
26 短側壁 26a 内側面
28 物品収容部 29 開口部
30 上縁面 32 上面切り込み部
34 蓋体部分受入れ壁部 36 脚部
38 蓋体部分受入れ壁部 42 脚部
44 溝部 46 溝部
50 凹部 52 平坦面
54 隆起部 54a 横方向隆起部
54b 縦方向隆起部 56 側壁切り込み部
58 凸出部 59 アングル形状部
60 凹み部分 64 上面部
66 周辺部 68 中間部
70 嵌合部 71 中央部分
72 外側面 74 外側面
76 突起部 78 突起部
L1 高さ L2 長さ
L3 高さ L4 厚み
L5 寸法


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を保管・搬送する際に使用する発泡容器であって、
本体部分10と、蓋体部分12と、より成り、
本体部分10が、底壁部16と、そこから立ち上がっている一対の長側壁24、24及び短側壁26、26と、を有し、
底壁部16の内面18及び各長側壁24、24及び短側壁26、26の内側面24a、26aには、段部20、22が形成されており、また、該内側面24a、26aの上方部分には嵌合手段44、46を有し、長側壁24、24の外面にはその中央下方部に凸出部58が形成されており、短側壁26、26の外面にはその中央下方部に側壁切り込み部56、56を有し、更に長側壁24、24に形成した該凸出部58及び短側壁26、26に形成した該側壁切り込み部56、56が底壁部16の裏面側にまで伸張しており、
蓋体部分12が、上面部64と、嵌合部70と、を有しており、嵌合部70の外側面には前記容器本体部分10の嵌合手段44、46へ嵌合するための嵌合手段76、68が一体的に形成されている、
ことを特徴とする発泡容器。
【請求項2】
凸出部58が、それぞれが蒲鉾形状を有している半円形断面セグメントを複数個横方向に連続して配置して形成してあることを特徴とする請求項1に記載の発泡容器。
【請求項3】
横方向に連続して配置している半円形断面セグメントと、これに隣接する半円形断面セグメントとの間に僅かな凹み部分60があり、ここを介して容器の側方から下方へ気体が流動することが出来るようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡容器。
【請求項4】
本体部分10の底壁部16の裏面側において、前記凸出部58と側壁切り込み部56、56の内側部分に脚部36、42が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡容器。
【請求項5】
本体部分10の上縁面30において、長側壁24、24と、短側壁26、26とが互いに斜めに交差する2つの隅部の少なくとも一方の隅部の外側縁に、上面切り込み部32が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡容器。
【請求項6】
本体部分10の長側壁24、24の中央下方部に形成した凸出部58が、長側部24、24全長の約2分の1〜3分の2程度の長さ(L2)に亘り設けてあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の発泡容器。
【請求項7】
本体部分10の長側壁24、24の中央下方部に形成した凸出部58が、長側部24、24の下方から約6分の1〜5分の1程度の高さ(L3)まで伸びていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の発泡容器。
【請求項8】
本体部分10の短側壁26、26に設けてある側壁切り込み部56、56が本体部分10の底部16の下面から約3分の1程度の高さ(L1)まで切り込まれていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の発泡容器。
【請求項9】
蓋体部分12を構成している上面部64の厚み(L4)と嵌合部70の寸法(L5)とが、ほぼ同一であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の発泡容器。
【請求項10】
蓋体部分12の上面部64に設けた中間部68が上部に積載された本体部分の底壁部16の隆起部54を受入れることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の発泡容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−1417(P2008−1417A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175165(P2006−175165)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(592028835)株式会社石山 (3)
【Fターム(参考)】