説明

発泡弾性体

【課題】本発明は、耐久性を向上させた発泡弾性体を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る発泡弾性体は、真珠を含む貝殻の粉末と自然放射性元素の粉末と遠赤外線放出鉱石の粉末とを天然ゴムラテックスに混入して発泡成形したことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡弾性体に関し、特に天然ゴムラテックスを発泡成形してなる発泡弾性体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より天然ゴムの使用例として、天然ゴム製の発泡樹脂体を繊維製布で被覆した寝具、あるいは汚れ防止の点で天然ゴム製の発泡樹脂体を合成樹脂製フィルムで被覆した寝具が知られている。しかし、天然ゴムは、雑菌が繁殖しやいため不衛生になりやすく、また、雑菌繁殖による臭気発生により不快感を覚えるものであるため、除菌や消臭などの日頃の入念な手入れが必要である。そのため、雑菌繁殖及び臭気発生を抑えるために種々の対策が講じられている。例えば、下記特許文献1には、ブラックシリカ、トルマリン、貴陽石が配されたベッドマットが示され、ブラックシリカ、トルマリン、貴陽石が遠赤外線放射機能に優れており、貴陽石はマイナスイオン発生作用においてトルマリンより優れていることが記載されている。また、下記特許文献2には、マットレスにおいて、トリウム系列、ウラニウム系列又はアクチニウム系列の自然放射性元素の粉末を含有する天然ゴムラテックスから形成された発泡樹脂からなる放射物質含有樹脂層が示されており、放射物質含有樹脂層が空気をマイナスイオン化させ、空気を殺菌浄化することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−301978号公報
【特許文献2】特開2007−282774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自然放射性元素の粉末を天然ゴムラテックスに混入して発泡成形した発泡弾性体、及び、遠赤外線放出鉱石の粉末を天然ゴムラテックスに混入して発泡成形した発泡弾性体は、いずれも劣化し易く、耐久性が落ちる欠点がある。
【0005】
本発明者は、鋭意研究を重ね、真珠を含む貝殻の粉末を天然ゴムラテックスに混入して発泡成形すれば発泡弾性体としての強度が増大することを見出し、耐久性を向上させた発泡弾性体を発明した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発泡弾性体は、真珠を含む貝殻の粉末を天然ゴムラテックスに混入して発泡成形したことを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明に係る発泡弾性体は、真珠を含む貝殻の粉末と自然放射性元素の粉末とを天然ゴムラテックスに混入して発泡成形したことを特徴とするものである。
【0008】
さらに、本発明に係る発泡弾性体は、真珠を含む貝殻の粉末と遠赤外線放出鉱石の粉末とを天然ゴムラテックスに混入して発泡成形したことを特徴とするものである。
【0009】
さらにまた、本発明に係る発泡弾性体は、真珠を含む貝殻の粉末と自然放射性元素の粉末と遠赤外線放出鉱石の粉末とを天然ゴムラテックスに混入して発泡成形したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明に係る発泡弾性体は、天然ゴムラテックスに真珠を含む貝殻の粉末を混入して発泡成形したものであるため、耐久性に優れたものとなる。したがって、真珠を含む貝殻の粉末と、自然放射性元素の粉末及び遠赤外線放出鉱石の粉末のいずれか一方又は両方とを天然ゴムラテックスに混入して発泡成形した場合でも、劣化せず、耐久性に優れたものとなるので、自然放射性元素の粉末を混入したことによる効果及び遠赤外線放出鉱石の粉末を混入したことによる効果を長期間維持できると共に、発泡弾性体としての寿命を長く維持できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に使用される真珠を含む貝殻は、一般的には、軟体動物の表皮から分泌、生成され、約95mass%の無機成分と5mass%の有機成分とからなる無機−有機複合体であり、無機成分は炭酸カルシウムのアラゴナイト又はカルサイトから構成され、有機成分はコンキオリンと呼ばれるタンパク質や多糖類のキチンから構成されており、有機成分の違いにより様々な結晶形態の炭酸カルシウムが生成される。真珠、サンゴ及びある種の貝殻はアラゴナイト結晶であることが知られている。そこで、天然ゴムラテックスからなる発泡弾性体の製造において、真珠を含む貝殻の粉末を天然ゴムラテックスに混入して発泡成形すると、劣化せず、耐久性が向上することが判明した。おそらく真珠を含む貝殻を粉砕することにより炭酸カルシウムがフィラー化し、含有している有機成分がこの炭酸カルシウムのフィラーに何らかの作用をした結果と考えられる。そして、自然放射性元素の粉末及び遠赤外線放出鉱石の粉末のいずれか一方又は両方を天然ゴムラテックスに混入する際に真珠を含む貝殻の粉末と共に混入して発泡成形して発泡弾性体を製作すると、この発泡弾性体は、やはり劣化せず、耐久性が向上する結果となった。
【0012】
天然ゴムラテックスに、貴陽石、ブラックシリカを混入したり、天然ゴムラテックスに、トリウム系列、ウラニウム系列又はアクチニウム系列の自然放射性元素を混入して形成した発泡弾性体は、遠赤外線やマイナスイオンを発生する。
【0013】
すなわち、微量のトリウム系列、ウラニウム系列又はアクチニウム系列の自然放射性元素を天然ゴムラテックスに混入して発泡成形すれば、放射線により生成されたマイナスイオンの抗菌効果を高めて、除菌、消臭効果が達成できる。自然放射性元素を含む岩石の粉末は、トリウム系列(4n)、ウラニウム系列(4n+2)又はアクチニウム系列(4n+3)のいずれかの崩壊系列に従って、ウラン(U)からラジウム(Ra)、ラジウム(Ra)からラドン(Rn)、ラドン(Rn)からポロニウム(Po)、ポロニウム(Po)から鉛(Pb)のように原子崩壊する。そして、226Ra(ラジウム)から222Rn(ラドン)に原子崩壊する時に、α,β,γ 線を放出する。222Rn(ラドン)から218Po(ポロニウム)に崩壊する時もα,β,γ線などの放射線を放出する。放射線による電離作用は、空気をマイナスイオン化するオゾンを発生する。水(HO)の分解により水素及び酸素を発生する。オゾンは空気を殺菌浄化する特性を有する。このような作用を有する電離放射線を発生する自然放射性元素の粉末を含む天然ゴムラテックスは空気をマイナスイオン化させ、空気を殺菌浄化する。また微量の放射線は身体のあらゆる活動を活性化し免疫機能を向上させる効果がある。さらに放射線は空気中にマイナスイオンを生成し、人間の身体や心をいやす効果がある。
【0014】
したがって、本発明に係る発泡弾性体を寝具に使用すれば、放射性物質を使用したマイナスイオンの放出により、除菌及び消臭機能が果たされ、爽快な睡眠感が得られる。また、前記発泡弾性体を使用した寝具を使用すると、長期にわたって、満足感と健康を得ることができる。また、寝室の環境を清潔安全快適なものにすることができる。
【0015】
また、天然ゴムラテックスに、貴陽石、ブラックシリカ等の遠赤外線放出鉱石の粉末を混ぜて発泡成形した発泡弾性体は、遠赤外線を放出する作用を果たす。
【0016】
以上のように、本発明に係る発泡弾性体は、天然ゴムラテックスに対して、トリウム系列、ウラニウム系列又はアクチニウム系列の自然放射性元素によるマイナスイオンを発生させる技術、及び、貴陽石、ブラックシリカによる遠赤外線を発生させる技術に、補強作用のある真珠を含む貝殻の粉末を混入して耐久性を強化させる技術を加えて製造したものである。
【実施例】
【0017】
まず、320メッシュ以上の貴陽石、ブラックシリカの粉末と、トリウム系列、ウラニウム系列又はアクチニウム系列の自然放射性元素の粉末、真珠の粉末を用意する。以下、これらを総称して多機能添加物という。
【0018】
本実施例に係る発泡弾性体の製造方法は、主として天然ゴムラテックスの抽出工程、天然ゴムラテックスと多機能添加物との混合および熟成工程、発泡成形工程で行われる。
【0019】
上記の天然ゴムラテックスの抽出工程は、ゴムの木から天然ゴムラテックスを抽出するための手順として、高品質の天然ゴムラテックスを得るためには、涼しい早朝の時間帯に抽出する。前記の抽出された天然ゴムラテックスは、濾過過程を経て、汚染物が除去され、設定された純度以上の物が選択される。
【0020】
多機能添加物である貴陽石、ブラックシリカ、自然放射性元素と真珠の粉(325メッシュ、0.2〜0.5wt%)を天然ゴムラテックスに混合してタンクに入れて、1週間熟成させながら上下から複合混合機の回転を利用してまんべんなく混ぜる。この時、天然ゴムラテックスと多機能添加物の熟成があまりにも早ければ、発泡時の天然ゴムラテックスの気泡の結合が高まり、発泡弾性体の内部に大きなAir Holeができる。反対に熟成が長すぎると、発泡弾性体の引張強度と耐摩耗性が大幅に低下するので、注意して作業を進行する。なお、タンクには、ゴム発泡成形の促進剤として、硫黄(sulphur)、亜鉛、ZMBT(Zinc 2 − mercaptobenzothiazole)、ZEDC(Zinc diethyldithiocarbamate)の中から選ばれた1つ以上の物を混ぜる。また、一定量の酸化防止剤(antioxidant)も一緒に添加する。前記の工程で配合される配合物は、天然ゴムラテックス90wt%、促進剤2〜5wt%、酸化防止剤0.5〜2wt%、残りは多機能添加物の浮揚物を使う。
【0021】
次に、上記の工程において製造された多機能添加物と天然ゴムラテックスとの配合物を発泡成形機に投入し、熱処理過程を経て、石鹸を加えてマイクロウェーブ等を使用して撹拌しながら泡立て、所望の形態に応じたモールドに流し固めることにより発泡成形して発泡弾性体を製造する(いわゆるダンロップ工法)。
【0022】
上記の発泡成形工程を経て製造された発泡弾性体は、品質検査、装飾工程、ラベリング工程等の仕上げ工程を経て出荷される。
【0023】
なお、モールドとしてマットレスの内包材の形態のものを使用すれば、マイナスイオン発生により雑菌繁殖及び臭気発生を抑え、遠赤外線を発生させる発泡弾性体よりなるマットレスの内包材が製作できる。このように自然放射性元素の粉末を天然ゴムラテックスに混入して発泡成形した発泡弾性体を寝具の内包材として使用すると、空気をマイナスイオン化させ、空気を殺菌浄化する。結果として、このような発泡弾性体より構成される寝具を使用すると、長期にわたって、満足感と健康を得ることができる。また、寝室の環境を清潔安全快適なものにすることができる。また、このような発泡弾性体を使用した寝具は、遠赤外線を放出するので、冷え症などの治療効果が期待できる。また、このようにして製作した寝具は、真珠の粉末を天然ゴムラテックスに混入して発泡成形したものであるので、耐久性の高い天然ゴム製の寝具を提供することができる。したがって、このような発泡弾性体を使用すると、温泉で癒されるような満足感あるいは爽快な睡眠感が得られ、さらに除菌作用のある、耐久性のある寝具が得られる。
【0024】
今回開示された実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明のみではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に係る発泡弾性体は、枕、マットレス、座布団、布団、抱き枕などの寝具の内包材として、また、ソファや椅子などの家具、車の座席のクッション材として、さらに緩衝用資材や内装材としても使用でき、通常使用されるスポンジ体に代えてあらゆる分野に利用できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真珠を含む貝殻の粉末を天然ゴムラテックスに混入して発泡成形したことを特徴とする発泡弾性体。
【請求項2】
真珠を含む貝殻の粉末と自然放射性元素の粉末とを天然ゴムラテックスに混入して発泡成形したことを特徴とする発泡弾性体。
【請求項3】
真珠を含む貝殻の粉末と遠赤外線放出鉱石の粉末とを天然ゴムラテックスに混入して発泡成形したことを特徴とする発泡弾性体。
【請求項4】
真珠を含む貝殻の粉末と自然放射性元素の粉末と遠赤外線放出鉱石の粉末とを天然ゴムラテックスに混入して発泡成形したことを特徴とする発泡弾性体。

【公開番号】特開2012−25832(P2012−25832A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165063(P2010−165063)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(507377193)株式会社ジェイティーシー (1)
【Fターム(参考)】