説明

発泡性熱可塑性ゲル組成物

本発明は、(a)モノビニル芳香族化合物から誘導される少なくとも1つのポリマーブロックA、および共役ジエンから誘導される少なくとも1つのポリマーブロックBを含むブロックコポリマー、(b)上述のブロックコポリマー(a)と相溶性の、エキステンダー油、可塑剤および溶媒からなる群より選択される液体成分、(c)熱膨張性気体または液化した気体を封入する熱発泡性熱可塑性粒子、および場合により(d)光開始剤、を含む発泡性熱可塑性ゲル組成物であり、ブロックコポリマー(a)が、放射線への暴露により架橋することができ、ならびに全ポリマー重量の7から35重量%のモノビニル芳香族化合物含有量、50から1,500kg/molの全見かけ分子量および10から80mol%のブロックB中ビニル含有量を有するブロックコポリマーであり、ブロックBが、場合により元のエチレン性不飽和結合の少なくとも25%が残留するよう水素化されているブロックコポリマーであることを特徴とする、発泡性熱可塑性ゲル組成物に関する。本発明のもう1つの態様によれば、発泡した可撓性ゲル組成物を製造するための2つの方法が提供される。本発明はまた、自動車用途のみならず、ケーブル充填、電気接続の再入可能なシーリング、制振、圧力調整、玩具、緩衝、握り部、治療用および整形外科用装置ならびにフレキソ印刷平版さえも含む用途への、発泡した可撓性ゲル組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(a)モノビニル芳香族化合物から誘導される少なくとも1つのポリマーブロックA、および共役ジエンから誘導される少なくとも1つのポリマーブロックBを含むブロックコポリマー、(b)上述のブロックコポリマー(a)と相溶性の、エキステンダー油、可塑剤および溶媒からなる群より選択される液体成分、および(c)熱膨張性気体または液化した気体を封入する熱発泡性熱可塑性粒子、を含む発泡性熱可塑性ゲル組成物に関する。本発明はまた、例えばろうそく、空気清浄機、ガスケット、クッション、マットレス、枕、玩具などの物品における発泡性熱可塑性ゲル組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
スチレン系ブロックコポリマーをベースとするオイルゲルは、公知であり、以下の種々の適用において使用される:ケーブル充填、電気接続の再入可能なシーリング、制振、圧力調整、玩具、緩衝、握り部、治療用および整形外科用装置。多くの適用において、費用およびエネルギー節約のための、より軽い製品に対する要望が常にある。
【0003】
EP1158364から、バインダーとしての熱可塑性弾性のSISブロックコポリマーとSBSブロックコポリマーとの混合物、エチレン性不飽和結合のモノマー、可塑剤および光開始剤を含む光重合性組成物が、公知である。この組成物は、オイルゲルと考えることができ、光重合性フレキソ印刷要素を形成するために用いられる。
【0004】
P.MigchelsおよびO.Roumacheは、WO9923144においてスチレン系ブロックコポリマーをベースとするオイルゲルを効率よく発泡させる技術を開発した。
【0005】
しかしながら、これらの製品は、その選択的水素化後における共役ジエン中央ブロック中のビニル不飽和含有量があまりに低いために、架橋されないことがわかっており、および120℃を超える耐温度性がしばしば要求される、自動車産業におけるようなある種の適用に対して、いまだに、不十分な耐温度性を示した。
【発明の開示】
【0006】
本願発明者らは、公知の発泡性オイルゲル組成物の欠点を、改良された温度性能を有する低密度オイルゲルの製造を可能にする新規の技術を使用し解決する方法を見出した。この技術を用いることにより、オイルゲルの一体性が高温でもオイルにじみ出しの問題なく維持される、発泡したオイルゲル組成物を製造することができる。
【0007】
本発明の1つの態様によれば、(a)モノビニル芳香族化合物から誘導される少なくとも1つのポリマーブロックA、および共役ジエンから誘導される少なくとも1つのポリマーブロックBを含むブロックコポリマー、(b)上述のブロックコポリマー(a)と相溶性である、エキステンダー油、可塑剤および溶媒からなる群より選択される液体成分、および(c)熱膨張性気体または液化した気体を封入する熱発泡性熱可塑性粒子、および場合により(d)光開始剤を含む発泡性熱可塑性ゲル組成物であり、
前記ブロックコポリマー(a)が、放射線への暴露により架橋されることができ、ならびに全ポリマー重量の7から35重量%のモノビニル芳香族化合物含有量、50から1,500kg/molの全見かけ分子量、および10から80mol%の、好ましくは20から75mol%の、より好ましくは35から70mol%のブロックB中ビニル含有量を有する、ブロックコポリマーであり、ブロックBが、場合により元のエチレン性不飽和結合の少なくとも25%が残留する程度まで水素化されるブロックコポリマーであることを特徴とする、前記発泡性熱可塑性ゲル組成物が提供される。
【0008】
本発明のもう1つの態様によれば、
(1)成分(a)、(b)、(c)、および場合により光開始剤(d)を含む発泡性熱可塑性ゲル組成物を形成する段階、
(2)前記発泡性組成物を熱処理し、熱発泡性熱可塑性粒子(c)を発泡させ、発泡した熱可塑性ゲル組成物を製造する段階、および
(3)前記発泡した熱可塑性ゲル組成物を放射線に暴露し、架橋させ、発泡した可撓性ゲル組成物を製造する段階、
を含む、発泡した可撓性ゲル組成物を製造するための方法が提供される。
【0009】
本発明のもう1つの態様によれば、
(1)成分(a)、(b)、(c)、および場合により光開始剤(d)を含む発泡性熱可塑性ゲル組成物を形成する段階、
(4)前記発泡性熱可塑性組成物を放射線に暴露し、架橋させる段階、および
(5)前記架橋発泡性可撓性ゲル組成物を熱処理し、前記粒子を発泡させ、発泡した可撓性ゲル組成物を製造する段階、
を含む、発泡した可撓性ゲル組成物を製造するための方法が提供される。
【0010】
本発明はまた、自動車用途のみならず、ケーブル充填、電気接続の再入可能なシーリング、制振、圧力調整、玩具、緩衝、握り部、治療用および整形外科用装置など、ならびにさらにフレキソ印刷用プレートさえ含む適用における、発泡した可撓性ゲル組成物の使用にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書中において、用語「分子量」は、ポリマーまたはコポリマーのブロックのg/mol単位の見かけ分子量を指す。本明細書および特許請求の範囲において示される分子量は、ASTM D−5296−97に従って行われるような、ポリスチレン較正標準を用いる高速液体サイズ排除クロマトグラフィー(LHPSEC)により測定することができる。LHPSECは、公知の方法であり、ポリマーは分子サイズにより分離され、最も大きな分子が最初に溶出する。クロマトグラフは、市販のポリスチレン分子量標準を使用して較正される。LHPSECを用いて測定されたポリマーの分子量は、スチレン当量分子量として較正されるか、または見かけ分子量として求められる。アニオン重合された直鎖ポリマーに関し、ポリマーは、本質的に単分散であり、および観察される狭い分子量分布の「ピーク」分子量を記録することは便利でもあり十分に説明的でもある。ピーク分子量は、通常、クロマトグラフにおいて示される主要種の分子量である。LHPSECのカラムにおいて使用される物質に、スチレン−ジビニルベンゼンゲルまたはシリカゲルが一般に使用され、優れた物質である。テトラヒドロフランは、本明細書において記述する種類のポリマーのために優れた溶媒である。使用される検出器は、好ましくは、紫外線と屈折率を組み合わせた検出器である。
【0012】
連結した星型ポリマーの分子量測定は、代わりに光散乱技術により実施することもできる。試料は、溶媒100mLあたり試料の1.0g未満の濃度で適した溶媒に溶解し、シリンジおよび0.5μ未満の孔径の多孔質膜フィルターを使用し、光散乱セル中に直接ろ過する。光散乱測定は、標準手順を使用し、散乱角およびポリマー濃度の関数として実行される。試料の示差屈折率(DRI)は、光散乱測定のために使用するものと同じ波長、および同じ溶媒において測定する。以下の参考文献は、前述の分析方法に関連している。
【0013】
1.Modern Size−Exclusion Liquid Chromatography,W.W.Yau.J.J.Kirkland.D.D.Bly,John Wiley & Sons,New York,NY,1979。
【0014】
2.Light Scattering from Polymer Solution,M.B.Huglin,ed.,Academic Press,New York,NY,1972。
【0015】
3.W.Kaye and A.J.Havlik,Applied Optics,12,541(1973)。
【0016】
4.M.L.McConnell,American Laboratory,63,May,1978。
【0017】
本発明による組成物中の成分(a)として適切に使用されるブロックコポリマーは、上述の要件を満たすいかなるブロックコポリマーであってもよい。そして、適したブロックコポリマーは、式ABのジブロックコポリマー、式ABAのトリブロックコポリマー、および式A(BA)およびAB(AB)(式中、nは、2以上の整数である。)のマルチブロックコポリマーを含む。
【0018】
成分(a)は、好ましくは、一般式(AB)X、(BA)X、(ABA)X、(BAB)Xのいずれか1つによる構造を有する結合ブロックコポリマー、並びに一般式(AB)X(B)の対称または非対称のマルチブロツクブロックコポリマーである(式中、AおよびBは、上記に定義したとおりであり、nは、2以上の、好ましくは2から20の整数を表し、pおよびqはともに、その残基がXであらわされる、使用されるカップリング剤の官能数に依存して同様の値を表す。)。カップリング剤の例は、スズカップリング剤、ハロゲン化シリコンカップリング剤(四塩化ケイ素など)、アルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなど)、ジビニル芳香族化合物(ジビニルベンゼンなど)、ハロゲン化アルカン(ジブロモメタンなど)、ハロゲン化芳香族化合物、エポキシ化合物(ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテルなど)などおよび他のカップリング剤(安息香酸エステル、CO、2−クロロプロペンおよび1−クロロ−1,3−ブタジエンなど)を含む。
【0019】
結合されたまたはマルチブロツクコポリマーは、従来の結合方法のいずれか(例えば、米国特許第3,231,635号、第3,431,323号、第3,251,905号、第3,390,207号、第3,598,887号および第4,219,627号など(これらはすべて参照により本明細書中に組み込む)に開示される方法)を用いることにより、調製した中間体ポリマー鎖を逐次リビング結合することにより調製することができる。
【0020】
本発明の実施に有用な芳香族モノビニル化合物の例は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−tert.ブチルスチレン、ジメチルスチレン、スチルベンなどのジフェニルエチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン(p−メチルスチレンおよびo−メチルスチレンの異性体混合物)、ビニルキシレン、およびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。好ましいモノマーはスチレンであり、場合によりα−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、ジフェニル−エチレンから選択される1つのモノマーと混合される。最も好ましいものは、実質的に純粋なスチレンモノマーである。
【0021】
各ポリマーブロックAは、ブロック全体の重量を基準として、芳香族ビニル化合物以外のコモノマーの少量、例えば、5wt%までの共重合可能なモノマー(ブタジエンおよび/またはイソプレンなど)を含むことができる。
【0022】
成分(a)のブロックコポリマーにおいて使用され得る適した共役ジエンは、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンまたはそれらの混合物である。1,3−ブタジエン、イソプレンまたはそれらの混合物が好ましいモノマーである。1,3−ブタジエンとイソプレンの実際の混合物は、有利には約0/100から約100/0のモル比の量において使用され得、一般に約20/80から80/20のモル比の量において使用される。ブタジエンは、最も好ましい共役ジエンである。
【0023】
共役ジエンは、ポリマー鎖中に不飽和炭素−炭素二重結合をもたらす1,4−様式、または炭素−炭素二重結合がビニル基と同様にポリマー鎖に結合する1,2−様式のいずれかにおいて共重合されることを認識されたい。従って、ビニル基という表現は、用いられた共役ジエンモノマーとは無関係にこの結合を指す。
【0024】
各ポリマーブロックBは、共役ジエン以外のコモノマーの少量(例えば、5wt%までの芳香族ビニル化合物)を含むことができる。
【0025】
好ましいブロックコポリマーは、一般式(AB)X(B)(式中、Aは、ポリ(ビニル芳香族化合物)ブロックであり、Bは、20から80mol%、好ましくは35から70mol%、より好ましくは45から65mol%の1,2−ビニル含有量を有するポリ(ブタジエン)ブロックであり、Xは、カップリング剤の残基であり、pは、少なくとも1.5の数平均値を有し、qは、0以上の数平均値を有し、p値とq値の合計は、少なくとも3である。)を有するスチレンブロックコポリマーであり、このブロックコポリマーは、7から35wt%の範囲の、好ましくは10から20wt%の範囲の平均結合ビニル芳香族含有量を有し、50から1,500kg/molの範囲の全見かけ平均分子量を有する。放射線硬化に感受性が高いこのビニル芳香族ブロックコポリマーは、WO93024547(本明細書中に参照により組み込まれる)により公知である。
【0026】
適したスチレンブロックコポリマーは、15から250kg/molの、好ましくは25から80kg/molの範囲の見かけ分子量を有するブロックB、および5から125kg/molの、好ましくは7から50kg/molの、より好ましくは9から12kg/molの範囲の見かけ分子量を有するブロックAを含む。pの値は、2から12、さらにより好ましくは2であり、qの値は、0から12、さらにより好ましくは2である。
【0027】
成分(a)はまた、そのうちの少なくとも1つが放射線硬化性ブロックコポリマーである複数のスチレン性ブロックコポリマーの混合物であることもできる。例えば、成分(a)は、種々の放射線硬化性ブロックコポリマーの混合物、または1つ以上の放射線硬化性ブロックコポリマーと1つ以上の選択的に水素化されたブロックコポリマーとの混合物であってよく、ここでこのブロックコポリマーは、ブロックBが、元のエチレン性不飽和結合の20%以下を残すように水素化されており、より特定的に、元のエチレン性不飽和結合の5%以下を残留させるよう水素化されている。
【0028】
成分(a)は、水素化されていないか、またはブロックBにおいて、選択的にしかし部分的に、即ち元のエチレン性不飽和結合の少なくとも25%が、好ましくは少なくとも35%が、より好ましくは少なくとも50%がブロックBに残留する程度まで水素化されてよく、ここで放射線暴露により架橋できるように、最初に存在するビニル基の十分な数が残留するようにする。例えば、ブタジエンまたはイソプレンの1,2−重合から生じるブロックコポリマーのブロックBにおける初期ビニル基の割合は、好ましくは20から75mol%、より好ましくは35から70mol%である。ブロックBにおいて、元のエチレン性不飽和結合の5%以下を残留させるよう選択的に水素化されたブロックコポリマー(KRATON(登録商標)G1654ブロックコポリマー(WO9923144により使用される)などは、成分(a)として適していないことを理解されたい。
【0029】
発泡性熱可塑性ゲル組成物は、好ましくは、10から40重量%の、より好ましくは15から35重量%の成分(a)を含む。
【0030】
発泡性組成物は、好ましくは、架橋性ブロックコポリマーと相溶性の、エキステンダー油、植物油および動物油、オレフィンオリゴマー、可塑剤および溶媒からなる群より選択される液体成分(b)の60から90重量%を含む。これらの成分を用いるための選択基準は、組成物の最終用途による。例えば、最終用途がろうそくである場合、エキステンダー油が使用されるであろう。最終用途がガスケットまたは玩具である場合、可塑剤がしばしば使用される。最終用途が空気清浄機である場合、揮発性溶媒および香料が使用されるであろう。また、これらの成分の混合物を用いることもできる。
【0031】
本発明の物品を製造するために用いられるエキステンダー油は、好ましくは炭化水素油である。好ましいエキステンダー油は、Penreco製のDRAKEOL(商標)油、Shell製のONDINA(商標)油およびCitgo製のTUFFLO(商標)油などの白色鉱油である。Shell製のSHELLFLEX(商標)油およびCalumet製のCALSOL(商標)油などの低芳香族含量のパラフィン系/ナフテン系加工油も良好なものである。ポリ−α−オレフィン油、ポリプロピレン油、ポリブテン油などの合成油も適している。本発明のブロックコポリマーと相溶性であり、周囲温度で液体であり、およびその物品を調製する当分野の技術者に有用であることが公知である、いかなるエキステンダー油も、本発明とともに用いることができる。
【0032】
動・植物油は、脂肪酸のグリセリルエステルおよびそれらの重合生成物を含む。
【0033】
オレフィンオリゴマーは、通常、CからC12オレフィンモノマーの、好ましくはCからCオレフィンモノマーのオリゴマーである。適したオレフィンオリゴマーの例は、ポリ(ブチレン)、ポリ(ドデセン)、水素化ポリ(イソプレン)、水素化ポリ(ブタジエン)、水素化ポリ(ピペリレン)およびピペリレンとイソプレンとの水素化コポリマーを含む。オレフィンオリゴマーは一般に、350から35,000g/mol、好ましくは500から10,000g/molの重量平均分子量を有する。
【0034】
広範で多様な可塑剤を、本発明の物品を製造するために用いることができる。適した可塑剤は、合成エステル、エーテルまたはアルコール、並びに天然に存在する脂肪および油脂であってよい。そのような可塑剤は、Exxon製の分枝アルキルエステル可塑剤であるJAYFLEX(商標)、およびVelsicol製のベンゾエートエステルであるBENZOFLEX(商標)を含む。適した可塑剤の非常に完全な高いリストは、US2002055562に記載されている。本発明のブロックコポリマーと相溶性であり、周囲温度で液体であり、および当該物品を調製する当分野の技術者に有用であることが公知であるいかなる可塑剤も、本発明とともに使用することができる。
【0035】
溶媒もまた、本発明の物品を調製するために用いることができる。溶媒の選択もまた、物品の最終用途により変えられる。溶媒は、可塑剤として機能できるが、好ましくは、ゲルからゆっくりと発散し、不快な臭気を遮断または昆虫を殺生もしくは忌避などの機能を果たす揮発性化合物である。本発明にとって有用な溶媒は、ゆっくりと蒸発し、および昆虫忌避剤または香料などの機能的添加剤を放出する助けとなるエステル、エーテルまたはアルコールなどの、揮発性の炭化水素溶媒または酸素化溶媒であることもできる。本発明のブロックコポリマーと相溶性であり、周囲温度で液体であり、および当該物品を調製する当分野の技術者に有用であることが公知であるいかなる溶媒も、本発明とともに使用することができる。
【0036】
上述のように、エキステンダー油、可塑剤および溶媒は、本発明のゲル組成物中に約60から約90重量%、好ましくは約80から約90重量%の量で存在する。
【0037】
発泡性組成物は、好ましくは、成分(c)の0.1から10重量%を含む。好ましくは、熱発泡性熱可塑性粒子は、発泡性組成物の重量の0.5から6wt%、より好ましくは1から4wt%、最も好ましくは少なくとも2wt%の量で存在する。粒子は、球状、楕円形状、角柱または他の多角形などのいかなる適切な形状であってもよい。好ましい形状は、球状である。
【0038】
好ましくは、粒子の壁は、アクリル樹脂またはフェノール樹脂などのいずれかの適した物質で作られる。適した物質のさらなる例は、塩化ビニルと塩化ビニリデンのコポリマー、塩化ビニルとアクリロニトリルのコポリマー、塩化ビニリデンとアクリロニトリルのコポリマー、スチレンとアクリロニトリルのコポリマー、メタクリル酸メチルと20重量%までのスチレンのコポリマー、メタクリル酸メチルと50重量%までのメタクリル酸エチルのコポリマー、およびメタクリル酸メチルと70重量%までのオルトクロロスチレンのコポリマーを含む。
【0039】
好ましくは、微小球は、気体または液体を封入する熱可塑性殻を有する。液体は、通常に、熱を加えると蒸発する揮発性有機液体である。このような有機液体の例は、C−Cアルカン、特にn−ブタン、n−ペンタンおよび/またはそれらの異性体を含む。気体が適用される場合、それは一般に、空気または非反応性気体である。
【0040】
通常、発泡していない粒子は、1から50μmの間の、好ましくは2から30μmの間の、より好ましくは6から24μmの間の重量平均直径を有する。完全に発泡した時、粒子の体積は、その元の体積の40倍よりも大きくなり得る。一般に、発泡した粒子は、200μm未満の、より好ましくは100μm未満の重量平均直径を有する。
【0041】
熱発泡性熱可塑性粒子は、通常、懸濁重合により調製する。採用することのできるいくつかの方法の一般的な記述、および熱発泡性熱可塑性粒子として有用な種々の組成物の詳細な記述が、US3615972およびUS4483889(本明細書中に参照により組み込む。)中に見出すことができる。
【0042】
市販の熱発泡性熱可塑性粒子の例は、商品名EXPANCEL(商標)およびMICROPEARL(商標)で販売されているものある。後者は、メタクリロニトリル−アクリロニトリルコポリマーの壁を含む。特に好ましい実施形態において、粒子は、商標名EXPANCEL(商標)(Akzo−Nobel,Sweden)で入手可能な微小球である。これらの微小球の壁は、通常、ポリ(塩化ビニリデン−コ−アクリロニトリル)である。
【0043】
上記ですでに示したように、ブロックコポリマーは、非対象マルチブロツクコポリマーであることが好ましい。市販のマルチブロツクブロックコポリマーの一例は、KRATON D−KX222である。このポリマーは、放射線(UVまたはEBであり得る)に対して優れた応答を示すように特別に設計されている。
【0044】
放射線硬化中、ポリマー鎖間に共有結合が作られ、熱可塑性エラストマーは、軟質熱硬化性樹脂となる。架橋密度が十分であれば、140℃を超える耐温度性を得ることができる。
【0045】
組成物は、好ましくは、UVまたは可視光によって硬化反応を開始させる光開始剤(d)を含む。UV硬化性膨張性熱可塑性ゲル組成物において使用される光開始剤には、2つの主要な要件がある:光開始剤が十分に安定であり、配合段階中に架橋反応が起こらないことが必要であること;光開始剤が、適切な波長のUV光または可視光に暴露されたとき反応を効果的に開始させることも必要であること。
【0046】
種々の光開始剤が、これらの要件を満たす。そして、最終的な選択は、費用、臭気および硬化深度などの種々の因子に依存する。IRGACURE(商標)651および819が費用効率的であり、空気存在下でさえも作用する。それゆえ組成物は、0.1から3.0重量%、好ましくは0.1から2.0重量%、より好ましくは0.2から0.5重量%、およびより好ましくは0.3から0.5重量%の光開始剤を含むことができる。
【0047】
従って、有用な光開始剤は、
・ベンゾインエーテル(ベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルなど)、
・置換アセトフェノンおよびベンゾフェノン(ジエトキシアセトンおよびCiba製のDAROCURE(商標)BPなど)、
・ベンジルジメチルケタール(Ciba製のIRGACURE 651など)、
・α−ヒドロキシケトン(Ciba製のIRGACURE 184など)、
・ビスアシルホスフィンオキシド(Ciba製のIRGACURE 819など)、
を含む。
【0048】
ビスアシルホスフィンオキシド型光開始剤は、紫外線への暴露により本発明の組成物を架橋させるために、特に好ましい。
【0049】
本発明の熱可塑性組成物は、広範で多様な電磁放射線源への暴露により硬化することができる。電離放射線(α線、β線、γ線、X線および高エネルギー電子線など)または非電離放射線(紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波および高周波など)のいずれかを用いることができる。電子ビーム源、紫外線源および可視光線源が、好ましい。
【0050】
臭気またはFDAの食品接触用途のコンプライアンスが課題である場合、EB硬化は、光開始剤の使用が必要でないので、魅力的な代替法を提供することができる。しかしながら、この放射線技術は、主として非常に高額な資本投資が必要であるという理由から現在、UVほど一般的でない。
【0051】
電子ビーム装置は、例えば電子の集束高エネルギービームが硬化される組成物を通って走査する高電圧型のものであってよく、または低エネルギー型(例えば電子のカーテンが線形カソード電子線管の窓を通り、組成物がそのカーテンの下を通る)であってもよい。
【0052】
紫外線光源も、200から600ワット/インチの範囲のランプを用いる高強度型または5から20ワット/インチの範囲のランプを用いる低強度型であってよい。照射口は、ランプの対面に配置され、管のいずれかの末端上の電極を通して、またはマイクロ波照射により、ランプ内にプラズマを発生させる。ランプ内の物質は、ランプからの発射光の波長を決定し、およびランプの種類は、ランプから放射される放射線が光開始剤の吸収特性に適合するように選択することができる。
【0053】
可視領域における放射線も、単に、適切な物質を含むランプを使用することにより紫外放射線を発生させるのに用いられるのと同じ種類の装置から得ることができる。蛍光ランプ、ハロゲン化タングステンランプおよび可視光レーザーを利用することもできる。
【0054】
最後に、日光に曝露することにより(即ち、発泡性熱可塑性ゲル組成物の屋外適用)放射線硬化することも可能である。
【0055】
発泡性熱可塑性ゲル組成物は、発泡段階の前または後に照射されてよい。試料は、発泡段階前に照射される場合、発泡時も同じ形状を維持する(ただし大きくなる)。段階のこの順序は、最終の発泡した可撓性ゲル組成物が、断片を所定の位置において発泡することによってより容易に製造される大きな物体の一部分である場合に好ましい。
【0056】
全成分(a)から(d)の合計は、100重量%になる。
【0057】
本発明の組成物は、付加的成分を含むことができる。例えば、酸化防止剤、安定剤、殺菌剤、防かび剤、難燃剤、顔料、染料、香料および粘着性樹脂からなる群より選択される1つ以上の補助成分の20重量%までを付加的に有することができる。ゲルを用いて物品を調製する当分野の技術者に有用であることが公知であるいかなる添加剤も、本発明とともに使用することができる。この組成物は、ポリオレフィンなどの他のポリマー、充填剤、および架橋反応に加わる反応剤をさらに含み得る。
【0058】
熱可塑性ゲルを形成する当分野の技術者に有用であることが公知であるいかなる方法においても、熱可塑性組成物を形成するために、本発明の熱可塑性組成物の成分を、組み合わせおよび混合することができる。一般に成分は、発泡性熱可塑性粒子の発泡をひきおこすほど高くならず、容易な混合を可能にするために十分高い温度で、および均質な組成物を形成するのに十分長い時間、予混合し、その後組成物を室温まで冷却して、熱可塑性ゲルを形成する。必要な場合、溶媒の過剰量を使用することができ、高温にて抜き取ることにより除去することができる。
【0059】
本発明の発泡性組成物は、このような物品を調製する当分野の技術者に有用であることが公知である、いかなる方法によっても、物品へと加工することができる。そのような方法は、成形、注入、押出しなどを含むが、それらに限定されない。
【0060】
いかなる理論にも束縛されることは望まないが、それでもなお、ポリマーの架橋は熱可塑性組成物を組成物に転換することに役立つと考えられる。一旦転換されると、本発明の組成物は、変形したり流れ出したりすることなく比較的高温で用いることができ、これらの組成物は、特許請求の適用並びにこれらの特性が有利であろうゲル他の適用に望ましい組成物となる。
【実施例】
【0061】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供される。実施例は、本発明の範囲を限定することを意図するものでなく、およびそのように解釈されるべきでもない。別に規定のない限り、量は、重量部または重量%であらわされる。
【0062】
2つのポリマーを用いて本発明を示す。ポリマーAは、WO9324547に記載の種類のポリマーである。
【0063】
ポリマーAは、(S−B)−Y−B(Sは、ポリスチレンブロックであり、Bは、55%の1,2−ビニル含有量を有するポリブタジエンブロックであり、およびYは、カップリング剤の残基である。)である。このポリマーは、表1において特性づけられている。本明細書において比較目的のために使用する他のポリマーは、KRATON(登録商標)G−1654であり、これはWO93024547において使用されている。
【0064】
【表1】

【0065】
実施例に用いられる他の成分を以下に示す。
【0066】
【表2】

【0067】
試料調製
以下の組成物を、試験のために選択した。F1、F2およびF5は、比較例である。F1およびF2は、EXPANCELを含まず、従って発泡しなかった。F1は光開始剤を含まず、F2は、従来のKRATON G系オイルゲルである。F5は、WO9324547に記載の発泡性オイルゲルである。
【0068】
オイルゲルは、ブロックコポリマーを、140℃に予加熱した油中に溶解することにより調製した。ブロックコポリマーを、穏やかな混合下、徐々に添加した。全混合時間は2時間であった。次に、オイルゲルを120℃に冷却し、EXPANCEL微小球および/またはIRGACUREを、穏やかな混合下、添加した。混合時間は15分であった。得られた混合物を、次に室温まで放冷した。小片に切断し、開放金型(寸法6×6×0.6cm)に入れ、100℃で5分間、圧縮成型した。配合の詳細を表3に示す。
【0069】
【表3】

【0070】
いくつかの試料を、発泡前に照射し、その他は発泡後に照射した。「天然の」UV光(試料は、数週間、換気戸棚のネオン灯下で保存した。)および水銀UVアーク灯の2つのUV源を使用した。両方の照射形態が、成功することを確認した。本明細書において記載の実施例に関しては、照射を水銀UVアーク灯により行なう。
【0071】
発泡を、オーブン中で行なった。試料を発泡前に照射する場合、それらは発泡時も同じ形状を維持する(ただし大きくなる)。
【0072】
試料を室温で保存し、毎日、目視検査した。
【0073】
【表4】

【0074】
観察
・ポリマーAを20wt%含む発泡した試料は、室温で2週間経過後も、オイルのにじみ出しを示さない。発泡性粒子を含まない試料は、オイルにじみ出しを示した。
【0075】
・耐温度性:硬化していないオイルゲルは、140℃のオーブンで10分間耐えられない(F1、F2およびF5)。
【0076】
・ポリマーAを20wt%含む硬化したオイルゲルは、全て、形状が変化することなく140℃のオーブン中で24時間耐えた。ポリマーAを10wt%含む処方は、明らかに、同様の耐温度性水準を有するためには不十分である。しかしながら、それは、流動する前の数時間、その形状を維持した。
【0077】
・発泡過程は、オイルゲル密度を、EXPANCEL含有量に依存して0.9から0.42まで低下させた。2つの過程(照射して発泡、または発泡して照射)の間の密度の差は、おそらく実験誤差によるものと考えられる。
【0078】
機械的特性
・圧縮永久歪みを、ASTM D395 Bに従って試験した。その結果が低いほど、試験した試料の挙動は良好である。
【0079】
・圧縮を、試料を70℃および100℃で24時間維持し、試料を室温で1週間維持した後測定した。
【0080】
・引っ張り強さを、ASTM 412に従って測定した。記録した結果は、100%モジュラス、300%モジュラス、破断時伸び、および破断時の引張強さである。
【0081】
・滴点も、種々のゲルについて測定した。滴点を、ゲルが半固体から液体状態に移行する温度で表示する。Mettler FP Thermosystemを使用して測定した。この方法は、容器が4.2mm直径の底部小孔を有し、および温度が1分間に5℃ずつ上がる以外は、ASTM D3104−82と同様の方法である。
【0082】
・使用温度の上限を、Perkin Elmer TMA 7で、5℃/分の温度上昇で測定した。試料に適用した初期力は、10から100mNまで変えた。
【0083】
観察
・200℃を超える滴点は、硬化した試料でのみ観察することができた。
【0084】
・室温での圧縮永久歪みは、硬化したものおよび硬化していないもの、発泡したものおよび発泡していないものに対して、常に非常に良好である。
【0085】
・高温(100℃まで)における良好な圧縮永久歪みは、硬化した試料でのみ達成することができる。最良の結果は、2wt%のEXPANCELを含有した試料を用いて得られる。
【0086】
・F7を用いて得られた結果は、さらなる最適化により改良することができる。
【0087】
【表5】

【0088】
【表6】

【0089】
観察
・F5は、WO93024547に記載の調合であり、本発明の方法に従った照射により架橋することができなかった。これに関連して、
KRATON G 1654 4wt%
ONDINA N68 87.6wt%
EXPANCEL 4wt%
IRGACURE 819 0.3wt%、および
IRGANOX 1726 0.1wt%
を含む調合物を、本明細書において前に特定したものと同じ方法で発泡させ、照射し、得られた調合物の耐温度性を、オーブン中、140℃で試験した。この調合物は、30分未満で完全に崩壊した。70℃における圧縮永久歪みもまた悪かった(80%)。
【0090】
・本発明による発泡したオイルゲルの特性は、表4および5に示されるように高い耐温度性を有しながら、少なくとも同様の引張強さを示す。
【0091】
また、下記の調合(F8)を混合し、発泡させ、照射した。この調合は、
ポリマーA 9.6wt%
KRATON G 1652 4.8wt%
ONDINA N68 81.6wt%
EXPANCEL 4wt%
IRGACURE 819 0.3wt%、および
IRGANOX 1726 0.1wt%、
を含む。
【0092】
以下の結果を、最終的に得られた組成物について得た。
【0093】
・物理性状:粘着性なし、密度0.51g/m
・オイルのにじみ出し:2週間後もにじみ出しなし
・耐温度性(140℃):24時間後にわずかに黄変、形状はまだ許容できる、幾分のにじみ出しあり
・70℃、24時間での圧縮永久歪み:55%
・室温、1週間での圧縮永久歪み:20%
・滴点:>200℃。
【0094】
産業上の利用可能性
本発明の組成物は、シーラント、カーペットの裏張りおよび他の衝撃吸収用途(自動車のバンパー、靴の中敷、接着剤および塗料など)に使用することができる。本発明の発泡体は、ガスケットシステム、特に低粘度の溶融体の注入が熱処理前に必要なシステムに使用することができる。これは、適した装置により予発泡溶融体を直接自動車本体部分に注入し、続いて加熱して中空粒子を発泡させることのできるような自動車産業において特に有利である。ガスケット物質の溶融注入は、ドア、ライト、ボンネットなどについて複雑な形状および構成の創出を望む設計エンジニアの間で、より大きな自由度を推進するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)モノビニル芳香族化合物から誘導される少なくとも1つのポリマーブロックA、および共役ジエンから誘導される少なくとも1つのポリマーブロックBを含むブロックコポリマー、
(b)前記ブロックコポリマー(a)と相溶性である、エキステンダー油、可塑剤および溶媒からなる群より選択される液体成分、
(c)熱膨張性気体または液化した気体を封入する熱発泡性熱可塑性粒子、および場合により
(d)光開始剤、
を含む発泡性熱可塑性ゲル組成物であり、
前記ブロックコポリマー(a)が、放射線への暴露により架橋されることができ、ならびに全ポリマー重量の7から35重量%のモノビニル芳香族化合物含有量、50から1,500kg/molの全見かけ分子量および10から80mol%のブロックB中ビニル含有量を有する、ブロックコポリマーであり、ブロックBが、場合により元のエチレン性不飽和結合の少なくとも25%が残留する程度まで水素化されるブロックコポリマーであることを特徴とする、前記発泡性熱可塑性ゲル組成物。
【請求項2】
成分(a)として用いられるブロックコポリマーが、式ABのジブロックコポリマー、式ABAのトリブロックコポリマー、および式A(BA)およびAB(AB)(式中、nは、2以上の整数である。)のマルチブロックコポリマーから選択される、請求項1の発泡性熱可塑性ゲル組成物。
【請求項3】
成分(a)が、一般式(AB)X、(BA)X、(ABA)X、(BAB)Xのいずれか1つによる構造を有する結合ブロックコポリマー、並びに一般式(AB)X(B)の対称または非対称のマルチアームブロツクブロックコポリマーである(式中、AおよびBは、上に定義したとおりであり、nは、2以上、好ましくは2から20の整数を表し、ならびにpおよびqはともに、残基がXであらわされる、使用されるカップリング剤の官能性に依存して同様の値を表す。)、請求項1の発泡性熱可塑性ゲル組成物。
【請求項4】
成分(a)のブロックコポリマーにおいて使用される芳香族モノビニル化合物が、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−tert.ブチルスチレン、ジメチルスチレン、スチルベンなどのジフェニルエチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン(p−メチルスチレンおよびo−メチルスチレンの異性体混合物)、ビニルキシレン、およびそれらの混合物から選択される、請求項1の発泡性熱可塑性ゲル組成物。
【請求項5】
成分(a)のブロックコポリマーにおいて使用される共役ジエンが、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンまたはそれらの混合物から選択される、請求項1の発泡性熱可塑性ゲル組成物。
【請求項6】
ブロックコポリマーが、一般式(AB)X(B)(式中、Aは、ポリ(ビニル芳香族化合物)ブロックであり、ならびにBは、20から80molパーセントの間、好ましくは35から70molパーセントの間、より好ましくは45から65molパーセントの1,2−ビニル含有量を有するポリ(ブタジエン)ブロックであり、Xはカップリング剤の残基であり、pは、少なくとも1.5の平均値数を有し、ならびにqは、0以上の平均値数を有し、p値とq値の合計は、少なくとも3である。)を有するスチレンブロックコポリマーであり、前記ブロックコポリマーは7から35wt%の範囲の、および好ましくは10から20wt%の範囲の平均結合ビニル芳香族含有量を有し、および50から1,500kg/molの範囲の全見かけ平均分子量を有する、請求項1の発泡性熱可塑性ゲル組成物。
【請求項7】
成分(a)が、スチレンブロックコポリマーの混合物であり、そのうち少なくとも1つが放射線硬化性ブロックコポリマーである、請求項1の発泡性熱可塑性ゲル組成物。
【請求項8】
成分(a)が、元のエチレン性不飽和結合の少なくとも35%までがブロックB中に残されて放射線暴露による架橋を可能にする程度まで選択的に水素化される、請求項1の発泡性熱可塑性ゲル組成物。
【請求項9】
10から40重量%の成分(a)を含む、請求項1から8のいずれか一項の発泡性熱可塑性ゲル組成物。
【請求項10】
架橋性ブロックコポリマーと相溶性の、エキステンダー油、植物油および動物油、オレフィンオリゴマー、可塑剤および溶媒からなる群より選択される液体成分(b)を60から90重量%含む、請求項1に記載の発泡性熱可塑性ゲル組成物。
【請求項11】
組成物全体の重量に対し0.1から10重量%の成分(c)を含む、請求項1に記載の発泡性熱可塑性ゲル組成物。
【請求項12】
組成物全体の重量に対し0から3.0重量%の成分(d)を含む、請求項1に記載の発泡性熱可塑性ゲル組成物。
【請求項13】
(1)成分(a)、(b)、(c)、および場合により光開始剤(d)を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の発泡性熱可塑性ゲル組成物を形成する段階、
(2)前記発泡性組成物を熱処理し、熱発泡性熱可塑性粒子(c)を発泡させ、発泡した熱可塑性ゲル組成物を製造する段階、および
(3)前記発泡した熱可塑性ゲル組成物を放射線に暴露し、架橋させ、および発泡したゲル組成物を製造する段階、
を含む、発泡した可撓性ゲル組成物を製造するための方法。
【請求項14】
(1)成分(a)、(b)、(c)、および場合により光開始剤(d)を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の発泡性熱可塑性ゲル組成物を形成する段階、
(2)前記発泡性熱可塑性ゲル組成物を放射線に暴露し、架橋させる段階、および
(3)前記架橋発泡性可撓性ゲル組成物を熱処理し、前記粒子を発泡させ、および発泡した可撓性ゲル組成物を製造する段階、
を含む、発泡した可撓性ゲル組成物を製造するための方法。
【請求項15】
自動車用途;ケーブル充填、電気接続の再入可能なシーリング、制振、圧力調整、玩具、緩衝、握り部、治療用および整形外科用装置ならびにフレキソ印刷用平版などの適用;における、請求項1から12のいずれか一項に記載の発泡した可撓性ゲル組成物の使用。

【公表番号】特表2008−534702(P2008−534702A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502384(P2008−502384)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/060840
【国際公開番号】WO2006/100210
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(501140348)クレイトン・ポリマーズ・リサーチ・ベー・ベー (44)
【Fターム(参考)】