説明

発泡用熱可塑性エラストマー組成物、その発泡成形体、その複合成形体および自動車用インストゥルメントパネル

【課題】充分な発泡性が得られ、かつ、成形品の外観が良好な発泡用熱可塑性エラストマー組成物を提供する。
【解決手段】部分的または完全に架橋されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)10〜45重量%、エチレン・α-オレフィン共重合体(B)5〜32重量%、DSCで得られる融点が40〜170℃であるポリプロピレン(C)10〜40重量%、ゴム用軟化剤(D)10〜45重量%及びアイソタクティックプロピレン系重合体(E)1〜30重量%(成分(A)〜(E)の合計は100重量%)を含有する発泡用熱可塑性エラストマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡用熱可塑性エラストマー組成物、その発泡成形体および該発泡成形体を積層してなる複合積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の内装部材には塩化ビニル樹脂が広く用いられている。塩化ビニル樹脂は、部品への成形加工性に優れる上に、比較的安価であるため、インパネ(インストゥルメントパネル)、ドア、天井などの内装表皮材、ハンドル材、レバーのノブ、各種グリップなどに多数使用されている。しかしながら近年、塩化ビニル樹脂は焼却時に有害ガスの原因になる可能性が指摘されており、上記部品については塩化ビニル以外の材料へ置き換える動向が主流になっている。
【0003】
特に、自動車内装部品において、塩化ビニル樹脂の代替として最も広く用いられているのが熱可塑性エラストマーである。熱可塑性エラストマーは、軽量であり、成形性、部品加工性に優れ、リサイクルし易く、燃焼時に有害なガスが発生しない点で優れた材料であるため、熱可塑性エラストマーの使用はさらに増加している。
【0004】
現在、熱可塑性エラストマーの代表的な用途である内装表皮用途においては、押出成形、あるいはカレンダー成形することにより得られた熱可塑性エラストマーシートは真空成形、あるいはスタンピング成形することにより加工され、発泡ポリウレタンあるいは発泡ポリプロピレンの基材と貼り合わせ、インパネ表皮、ドア表皮、天井表皮、コンソル表皮などに用いられるのが一般的である。このような貼り合わせの方法としては、基材と熱可塑性エラストマーとの間に液状ウレタンを流し込み成形する方法や、射出圧縮成形により熱可塑性エラストマーと発泡ポリプロピレンとのラミネートシートに基材樹脂を一体成形する方法が知られている。
【0005】
近年では、工程の簡略化のため発泡ポリウレタンあるいは発泡ポリプロピレンを貼り合わせる工程を省略し、基材樹脂そのものに発泡した熱可塑性エラストマーを積層させた方法が提案されている。しかしながら、熱可塑性エラストマーの発泡性が充分でないため、要求されるソフト感が得られなかったり、発泡が均一でないため良好な外観が得られないという問題があった。
【0006】
一方、自動車材料に関しては軽量化という観点から熱可塑性エラストマーの発泡の検討がなされており、通常の熱可塑性エラストマー、例えば特許文献1、特許文献2などはオレフィン系プラスチック成分は、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理した時に分解し、溶融時の張力が劣るため、脱泡しやすく、発泡体が得られてもせいぜい1.5倍程度の発泡倍率で、しかも脱泡による肌荒れが顕著であるという問題がある。また、有機ペルオキシドの添加量を減らすと、発泡性は改善されるが、成形品の耐熱性が低下する問題がある。
【0007】
特許文献3〜4では、特定のメルトテンション以上のポリオレフィン系樹脂を含有する発泡体、特許文献5では、さらに最長緩和時間を限定した組成物が提案されているが、充分な発泡性が得られていない。
【0008】
特許文献5では、特定の分子量分布であるプロピレン・α−オレフィン共重合体を含有
する熱可塑性エラストマーを使用することにより、射出成形において良質なソフト感、外観が得られることが提案されている。しかしながら、このような組成では、充分な発泡性が得られないため、要求されるソフト感が得られない。さらに充分な発泡性をあげるため発泡剤を増量したりすると、目的の発泡性は得られるが、外観が悪化するという不具合がある。
【0009】
特許文献6〜9については、シンジオタクティック構造を有するプラスチックやさらに高分子量成分の含有など提案されているが、充分な発泡性が得られない。
【特許文献1】特開昭48−26838号公報
【特許文献2】特開昭54−112967号公報
【特許文献3】特開2007−284484号公報
【特許文献4】特許2008−088283号公報
【特許文献5】特開平09−157426号公報
【特許文献6】特開2007−261102号公報
【特許文献7】特開2007−269829号公報
【特許文献8】特開2007−269942号公報
【特許文献9】特開2007−269943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、充分な発泡性が得られ、かつ、成形品の外観が良好な発泡用熱可塑性エラストマー組成物を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、従来技術における上記問題を解決して、充分な発泡性が得られ、成形品の外観が良好な発泡用熱可塑性エラストマー組成物について鋭意研究し、本発明を完成させた。
【0012】
すなわち、本発明には以下の事項が含まれる。
〔1〕部分的または完全に架橋されたエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンおよび非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)10〜45重量%と、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィンからなるエチレン・α-オレフィン共重合体(B)5〜32重量%と、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が40〜170℃であるポリプロピレン(C)10〜40重量%と、ゴム用軟化剤(D)10〜45重量%と、アイソタクティックプロピレン系重合体(E)1〜30重量%(ただし、成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)の合計を100重量%とする。)とを含有する発泡用熱可塑性エラストマー組成物であって、かつ、該成分(E)が下記(i)〜(iv)を満たすことを特徴とする発泡用熱可塑性エラストマー組成物である。(i)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された分子量分布(Mw/Mn)が1〜10;(ii)プロピレンから導かれる構成単位が40〜100モル%および炭素数2〜20のα−オレフィン(プロピレンを除く)から導かれる構成単位が60〜0モル%;(iii)メルトフローレート(MFR:ASTMD1238、190℃、2.16kg荷重)が0.1〜50g/10分;および(iv)示差走査熱量分析(DSC)において融点が観測されない。
〔2〕前記成分(C)が、190℃におけるメルトテンションの値が3g以上であるポリプロピレン(c)を含み、成分(C)100重量部中、該ポリプロピレン(c)を1〜50重量部の量で含むことを特徴とする〔1〕に記載の発泡用熱可塑性エラストマー組成物。
〔3〕さらに、発泡剤(F)を添加して得られた〔1〕または〔2〕に記載の発泡用熱可塑性エラストマー組成物。
〔4〕〔3〕に記載の発泡用熱可塑性エラストマー組成物を成形して得られる熱可塑性エラストマー発泡成形体。
〔5〕前記成形が射出成形である〔4〕に記載の熱可塑性エラストマー発泡成形体。
〔6〕〔4〕または〔5〕に記載の発泡成形体をポリオレフィン系樹脂基材と積層してなる複合成形体。
〔7〕〔4〕〜〔6〕のいずれかに記載の成形体を用いて得られた自動車用インストゥルメントパネル。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発泡性、耐熱性および柔軟性に優れ、かつ、成形品外観に優れた発泡用熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の発泡用熱可塑性エラストマー組成物は、部分的または完全に架橋されたエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンおよび非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)10〜45重量%と、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィンからなるエチレン・α-オレフィン共重合体(B)5〜32重量%と、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が40〜170℃であるポリプロピレン(C)10〜40重量%と、ゴム用軟化剤(D)10〜45重量%と、アイソタクティックプロピレン系重合体(E)1〜30重量%(ただし、成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)の合計を100重量%とする。)とを含有し、かつ、該成分(E)が(i)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された分子量分布(Mw/Mn)が1〜10であり、(ii)プロピレンから導かれる構成単位が40〜100モル%および炭素数2〜20のα−オレフィン(プロピレンを除く)から導かれる構成単位が60〜0モル%であり、(iii)メルトフローレート(MFR:ASTMD1238、190℃、2.16kg荷重)が0.1〜50g/10分であり、(iv)示差走査熱量分析(DSC)において融点が観測されないことを特徴としている。
【0015】
<部分的または完全に架橋されたエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンおよび非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)>
本発明で用いられる部分的または完全に架橋されたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、エチレン、炭素数3〜20のα-オレフィンおよび非共役ポリエンからなる共重合体ゴムを部分的または完全に架橋して得られたゴムである。
【0016】
炭素数3〜20のα-オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、4-メチルペンテン-1、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、9-メチルデセン-1、11-メチルドデセン-1および12-エチルテトラデセン-1などが挙げられる。なかでも、プロピレン、1-ブテン、4-メチルペンテン-1、1-ヘキセンおよび1-オクテンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。
【0017】
これらのα-オレフィンは、単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。
非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、8-メチル-4-エチリデン-1,7-ノナジエンおよび4-エチリデン-1,7-ウンデカジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-ビニリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、5-イソブテニ
ル-2-ノルボルネン、シクロペンタジエンおよびノルボルナジエン等の環状非共役ジエン;2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン等のトリエンなどが挙げられる。なかでも、5-エチリデン-2-ノルボルネンおよび5-ビニル-2-ノルボルネンが好ましい。
【0018】
これらの非共役ポリエンは、単独で、または2種類以上組み合わせて用いられる。
本発明で用いられる部分的または完全に架橋されたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、エチレンから導かれる構成単位(a)と、炭素数3〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位(b)とを、通常40/60〜95/5、好ましくは60/40〜80/20、さらに好ましくは65/35〜75/25のモル比で含有している。
【0019】
また、必要に応じて、他のエチレン・α-オレフィン共重合体ゴムをブレンドしてもよい。
他のエチレン・α-オレフィン共重合体ゴムを構成するα-オレフィンとしては、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを構成するα-オレフィンと同じものが挙げられる。共重合体ゴムは、エチレンから導かれる構成単位を通常50モル%以上、好ましくは50〜90モル%、さらに好ましくは60〜85モル%の量で含み、炭素数3〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位を通常50モル%以下、好ましくは50〜10モル%、さらに好ましくは40〜15モル%の量で含む。ただし、エチレン単位およびα-オレフィン単位の合計を100モル%とする。
【0020】
本発明で用いられる部分的または完全に架橋されたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)中の非共役ポリエン成分量を測定する指標であるヨウ素価は、通常1〜50、好ましくは5〜40、さらに好ましくは10〜30である。エチレン単位、炭素数3〜20のα-オレフィン単位および非共役ポリエン単位の合計100重量%中、非共役ジエン単位は2〜20重量%の量で含まれる。
【0021】
本発明で用いられる部分的または完全に架橋されたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、135℃デカリン中で測定される極限粘度〔η〕が通常1.0〜10.0dl/g、好ましくは1.5〜8.0dl/gであり、ムーニー粘度[ML1+4(100℃)]は、通常10〜250、好ましくは30〜150である。
【0022】
本発明で用いられる部分的または完全に架橋されたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、従来公知の方法により製造することができる。
本発明で用いられる部分的または完全に架橋されたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、上記のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを部分的または完全に架橋したものである。架橋剤としては、例えば、有機過酸化物、硫黄、硫黄化合物およびフェノール樹脂等のフェノール系加硫剤などが挙げられるが、有機過酸化物が好ましい。
【0023】
有機過酸化物としては、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルベンゾエート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドおよびt-ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。な
かでも、臭気性およびスコーチ安定性の点で、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンおよびn-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレートが好ましく、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが特に好ましい。
【0024】
このような有機過酸化物は、部分的または完全に架橋されたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、通常0.02〜3重量部、好ましくは0.05〜1重量部となるような量で用いられる。
【0025】
有機過酸化物を用いて架橋するに際し、硫黄、p-キノンジオキシム、p,p'-ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N,4-ジニトロソアニリン、ニトロベンゼン、ジフェニルグアニジンおよびトリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニレンジマレイミド等の架橋助剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートおよびアリルメタクリレート等の多官能性メタクリレートモノマーならびにビニルブチラートおよびビニルステアレート等の多官能性ビニルモノマーを含有させることができる。このような化合物を含有させることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。
【0026】
上記のような架橋助剤または多官能性ビニルモノマーなどの化合物は、部分的または完全に架橋されたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100重量部に対して、通常5重量部以下、好ましくは0.3〜3重量部となるような量で用いられる。
【0027】
動的な熱処理は、非開放型の装置中で行うことが好ましく、また窒素、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。熱処理の温度は、他の熱可塑性樹脂(B)の融点から300℃の範囲であり、通常150〜290℃、好ましくは170℃〜270℃である。混練時間は、通常1〜20分間、好ましくは1〜10分間である。また、加えられる剪断力は、剪断速度で10〜10,000sec-1、好ましくは100〜50,000sec-1の範囲である。
【0028】
また、有機過酸化物の分解を促進するために、トリエチルアミン、トリブチルアミン、2,4,6-トリ(ジメチルアミノ)フェノール等の三級アミンや、アルミニウム、コバルト、バナジウム、銅、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、マグネシウム、鉛、水銀等のナフテン酸塩などの分解促進剤を用いてもよい。
【0029】
架橋の方法としては、特に限定されないが、架橋剤の存在下もしくは非存在下に、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを動的に熱処理することよって行うことができる。なお、ここで「動的に熱処理する」とは、溶融状態で混練することをいう。
【0030】
本発明で用いられる部分的または完全に架橋されたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムに、後述するポリプロピレン(C)をあらかじめ添加し、ゴム用軟化剤(D)およびその他の添加剤と共に動的に熱処理して調製してもよい。
【0031】
本発明で用いられる部分的または完全に架橋されたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)の合計を100重量%中、10〜45重量%、好ましくは12〜42重量%、さらに好ましく
は14〜40重量%の量で含まれる。
【0032】
<エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィンからなるエチレン・α-オレフィン共重合体(B)>
本発明で用いられるエチレン・α-オレフィン共重合体(B)は、エチレンおよび炭素数3〜20のα-オレフィンからなる非架橋のゴムである。
【0033】
炭素数3〜20のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、4-メチルペンテン-1、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、9-メチルデセン-1、11-メチルドデセン-1、12-エチルテトラデセン-1などが挙げられる。なかでも、プロピレン、1-ブテン、4-メチルペンテン-1、1-ヘキセンおよび1-オクテンが好ましく、プロピレンおよび1-ブテンが好ましい。
【0034】
これらのα-オレフィンは、単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。
本発明で用いられるエチレン・α-オレフィン共重合体(B)は、(a)エチレンから導かれる構成単位と、(b)炭素数3〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位とを、通常50/50〜98/2、好ましくは60/40〜95/5、さらに好ましくは65/35〜90/5のモル比で含有している。
【0035】
本発明で用いられるエチレン・α-オレフィン共重合体(B)は、必要に応じて、非共役ポリエンを含んでもよい。非共役ポリエンとしては、例えば、1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、8-メチル-4-エチリデン-1,7-ノナジエンおよび4-エチリデン-1,7-ウンデカジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-ビニリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、5-イソブテニル-2-ノルボルネン、シクロペンタジエンおよびノルボルナジエン等の環状非共役ジエン;2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエンおよび4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン等のトリエンなどが挙げられる。なかでも、5-エチリデン-2-ノルボルネンおよび5-ビニル-2-ノルボルネンが好ましい。これらの非共役ポリエンは単独で、または2種類以上組み合わせて用いられる。
【0036】
なお、非共役ポリエンを含む場合、エチレン単位、炭素数3〜20のα−オレフィン単位および非共役ポリエン単位の合計100重量%中の非共役ポリエン単位の含有量は2〜20重量%である。
【0037】
また、非共役ポリエン成分量の測定するための指標であるヨウ素価は、通常1〜50、好ましくは5〜40、さらに好ましくは10〜30である。
本発明で用いられるエチレン・α-オレフィン共重合体(B)のMFRは、通常0.1〜500g/10min、好ましくは0.3〜200g/10min135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]は、通常0.2〜5.0dl/g、好ましくは0.5〜3.0dl/gである。
【0038】
本発明で用いられるエチレン・α-オレフィン共重合体(B)が非共役ポリエンから導かれる構成単位を含む場合、エチレン・α-オレフィン共重合体(B)のムーニー粘度[ML1+4(100℃)]は、通常1〜100、好ましくは3〜70である。
【0039】
本発明で用いられるエチレン・α-オレフィン共重合体(B)は、従来公知の方法により製造することができる。
本発明で用いられるエチレン系ゴム(B)は、成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)の合計100重量%中、5〜32重量%、好ましくは7〜30重量%、さらに好ましくは9〜28重量%の量で含まれる。
【0040】
<ポリプロピレン(C)>
本発明で用いられるポリプロピレン(C)は、プロピレンを主成分とする重合体である。本発明で用いられるポリプロピレン(C)は、プロピレン単独重合体またはプロピレンと、少量の炭素数2〜20(プロピレンを除く)のα−オレフィンとの共重合体であり、プロピレン単位および炭素数2〜20(プロピレンを除く)のα−オレフィン単位の合計100モル%中、プロピレン単位を50モル%以上、好ましくは60モル%以上の量で含む。
【0041】
ポリプロピレン(C)としては、例えば、プロピレンホモポリマー、プロピレン・エチレンブロックコポリマーならびにプロピレン・エチレンおよびプロピレン・エチレン・1−ブテンランダムコポリマーなどが挙げられる。なかでも、耐熱性など考慮すると、プロピレンホモポリマーまたはプロピレン・エチレンブロックコポリマーが好ましい。
【0042】
本発明に用いられるポリプロピレン(C)は、アイソタクティックな構造を有するものであってもよいし、シンジオタクティックな構造を有するものであってもよい、また両者をブレンドしたものであってもよい。
【0043】
本発明で用いられるポリプロピレン(C)は、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点を40〜170℃、好ましくは50〜167℃、さらに好ましくは60〜165℃の範囲に有する。DSCによる融点の測定は、試料を200℃で5分間保持した後、降温速度−20℃/minで−20℃まで降温し、昇温速度20℃/minで再び180℃まで昇温する際に行う。ポリプロピレン(C)の融点が上記の範囲であると充分な耐熱性が得られるので好ましい。
【0044】
本発明で用いられるポリプロピレン(C)のメルトフローレート(MFR:ASTM D 1238−65T、230℃、2.16kg荷重)は通常0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜70g/10分である。
【0045】
本発明で用いられるポリプロピレン(C)の製造方法は、特に限定されないが、公知の製造方法で製造されるものである。
本発明で用いられるポリプロピレン(C)は、成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)の合計100重量%中、10〜40重量%、好ましくは12〜38重量%、さらに好ましくは14〜36重量%の量で含まれる。
【0046】
本発明で用いられるポリプロピレン(C)は、190℃におけるメルトテンションの値が3g以上であるポリプロピレン(c)を含有するのが好ましい。
メルトテンションは、キャピラリーレオメーターを用いて、押出温度190℃、押出速度10mm/min、押出ノズル径2.095mm、ノズル長さ8mm、引取り速度4m/minで測定される。
【0047】
190℃におけるメルトテンションの値が3g以上であるポリプロピレン(c)としては、例えば、高分子量成分を一部含んだ広分子量分布タイプのもの、電子線架橋による長鎖分岐成分を含むもの、ならびに、一部架橋したポリプロピレンを含むもの等が挙げられ
る。このうち、成形品の発泡性、外観およびリサイクル性を考慮すると、高分子量成分を一部含んだ広分子量分布タイプのものが好ましい。なお、この高分子量成分の極限粘度[η]は通常3〜15dl/g、好ましくは4〜14dl/g、さらに好ましくは5〜13dl/gであり、ポリプロピレン(c)中に通常1〜49重量%、好ましくは3〜45重量%、さらに好ましくは5〜40重量%の量で含まれる。
【0048】
190℃におけるメルトテンションの値が3g以上であるポリプロピレン(c)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常5〜20、好ましくは6〜18、さらに好ましくは7〜15である。
【0049】
190℃におけるメルトテンションの値が3g以上であるポリプロピレン(c)のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238−65T;230℃、2.16kg荷重)は通常0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜50g/10分である。
【0050】
190℃におけるメルトテンションの値が3g以上であるポリプロピレン(c)は、ポリプロピレン(C)100重量部中に通常1〜50重量部、好ましくは、3〜45重量部、さらに好ましくは5〜40重量部の量で含まれる。
【0051】
<ゴム用軟化剤(D)>
本発明で用いられるゴム用軟化剤(D)としては、通常ゴムに用いられる軟化剤が用いられる。例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルトおよびワセリン等の石油系物質;低分子量エチレン・α−オレフィンランダム共重合体等の合成油;コールタールおよびコールタールピッチ等のコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油およびヤシ油等の脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウバロウおよびラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウムおよびステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその金属塩;石油樹脂、クマロンインデン樹脂およびアタクティックポリプロピレン等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペートおよびジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエンおよび液状チオコールなどが挙げられる。なかでも、パラフィン系のプロセスオイルおよび低分子量エチレン・α−オレフィンランダム共重合体が特に好ましく、さらに、揮発しやすい低分子量成分の含有量が少ない高粘度タイプのパラフィン系プロセスオイルが特に好ましい。ここで「高粘度タイプ」とは、40℃における動粘度が100〜10000センチストークスの範囲にあるものをいう。
【0052】
本発明の発泡用熱可塑性エラストマー組成物を製造する際に、ゴム用軟化剤(D)を添加する方法としては、発泡用熱可塑性エラストマー組成物の製造時に押出機内へ直接注入してもよいし、部分的または完全に架橋されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)に油展してから用いてもよい。
【0053】
本発明で用いられるゴム用軟化剤(D)は、成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)の合計100重量%中、10〜45重量%、好ましくは12〜43重量%、さらに好ましくは15〜40重量%の量で含まれる。
【0054】
アイソタクティックプロピレン系重合体(E)>
本発明で用いられるアイソタクティックプロピレン系重合体(E)は、プロピレンのホモ重合体および/またはプロピレンと炭素数2〜20のα−オレフィン(プロピレンを除く)とのランダム共重合体である。炭素数2〜20のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンなどが挙げられる。なかでも、エチレンおよび炭素数4〜20のα−オレフィンが好ましく
、エチレンおよび1−ブテンが特に好ましい。
【0055】
アイソタクティックプロピレン系重合体(E)は公知の立体規則性触媒を用いてプロピレンまたはプロピレンと他のα−オレフィンを重合することにより得られるが、特にメタロセン触媒を用いて共重合されたものが成形体のべた付きが少ないので好ましい。この場合、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から得られる分子量分布(Mw/Mn)は1〜3の範囲を示す。
【0056】
本発明に用いられるアイソタクティックプロピレン系重合体(E)は、以下の(i)〜(iv)を満たすものである;
(i)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された分子量分布が1〜10;
(ii)プロピレンから導かれる構成単位が40〜100モル%、炭素数2−20のα−オレフィン(プロピレンを除く)から導かれる構成単位が60〜0モル%(ただし、プロピレン単位および炭素数2−20のα−オレフィン単位の合計は100モル%);
(iii)メルトフローレート(MFR、ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重)が0.1〜50(g/10分);
(iv)示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が観測されない。なお、融点は200℃にて5分間保持した後、降温速度−20℃/minで−20℃まで降温後、再度180℃まで20℃/minで昇温する際に観測し、「融点が観測されない」とは、結晶融解熱量が1J/g以上の結晶融解ピークが観測されないことをいう。
【0057】
本発明で用いられるアイソタクティックプロピレン系重合体(E)はより好ましくは以下の(i’)〜(iv’)を満たすものである;
(i’)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された分子量分布が1〜3;
(ii’)プロピレンから導かれる構成単位が40〜85モル%、エチレンから導かれる構成単位を5〜30モル%、炭素数4〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位が5〜30モル%(ただし、プロピレン単位および炭素数2−20のα−オレフィン単位の合計は100モル%);
(iii’)メルトフローレート(MFR、ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重)が0.1〜50(g/10分);
(iv’)示差走査熱量分析(DSC)で求められる融点が観測されない
上記の(i’)〜(iv’)に加えて、さらに以下の(v’)および(vi’)の少なくとも1つ以上、好ましくは両方を満たすことが好ましい;
(v’)ショアーA硬度が通常0〜80、好ましくは35〜60
(vi’)X線回折で測定した結晶化度が通常20%以下、好ましくは10%以下
上記の要件のうち、(ii’)の特に好ましい態様としては、プロピレンから導かれる構成単位が、60〜82モル%、好ましくは61〜75モル%、エチレンから導かれる構成単位が、8〜15モル%、好ましくは10〜14モル%、炭素数4〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位が、10〜25モル%、好ましくは15〜25モル%の量で含まれる。ただし、プロピレンから導かれる構成単位、エチレンから導かれる構成単位および炭素数4〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位の合計を100モル%とする。
【0058】
このようなアイソタクティックプロピレン系重合体(E)は、例えば、国際公開第2004/87775号パンフレットに記載された方法で得ることができる。
本発明におけるアイソタクティックプロピレン系重合体(E)は、成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)の合計100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは1.2〜28重量部、さらに好ましくは1.5〜25重量部の量である。
【0059】
<その他の成分>
本発明の発泡用熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、従来公知の無機充填剤、耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、結晶核剤および滑材などの添加剤を添加することができる。なかでも、滑材は本発明の発泡用熱可塑性エラストマー組成物の成形性を向上させる効果がある。
【0060】
上記滑材としては、高級脂肪酸アミド、金属セッケン、ワックス、シリコーンオイル、フッ素系ポリマー等が挙げられる。なかでも、高級脂肪酸アミド、シリコーンオイル、フッ素系ポリマーが好ましい。
【0061】
高級脂肪酸アミドとしては、ラウリル酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベへミン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド;エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ブラシジン酸アミド、エライジン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等のビス脂肪酸アミドなどが挙げられる。
【0062】
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、アルキルシリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、変性シリコーン油などが挙げられる。
【0063】
フッ素系ポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド共重合物などが挙げられる。
上記無機充填剤としては、具体的には、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカーなどが挙げられる。
【0064】
<発泡用熱可塑性エラストマー組成物>
本発明の発泡用熱可塑性エラストマー組成物は、部分的または完全に架橋されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)、エチレン・α-オレフィン共重合体(B)、ポリプロピレン(C)、ゴム用軟化剤(D)およびアイソタクティックプロピレン系重合体(E)等を溶融混練して製造することができる。
【0065】
混練装置としては、ミキシングロールおよびインテンシブミキサー(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー)、一軸または二軸押出機等を用いることができるが、非開放型の装置が好ましい。
【0066】
本発明の発泡用熱可塑性エラストマー組成物は、必要に応じて発泡剤(F)を添加し発泡させることが好ましい。発泡剤(F)としては、無機系または有機系の熱分解型発泡剤(化学発泡剤)、二酸化炭素、窒素ならびに二酸化炭素および窒素の混合物が挙げられる。
【0067】
無機系の熱分解型発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム等の無機炭酸塩、亜硝酸アンモニウム等の亜硝酸塩を挙げることができる。
【0068】
有機系の熱分解型発泡剤としては、N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソテレフタルアミド、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジア
ミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレ−ト等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4'−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルアジド等のアジド化合物などが挙げられる。
【0069】
二酸化炭素や窒素を使用する場合は、発泡用熱可塑性エラストマー組成物を、樹脂可塑化シリンダー内で、100〜300℃で溶融し、発泡用熱可塑性エラストマー組成物と二酸化炭素や窒素が、相溶状態にある溶融発泡性熱可塑性エラストマー組成物を形成する。
【0070】
発泡剤(F)は、発泡用熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対して、通常0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いられる。
また、必要に応じて発泡助剤を加えることもできる。その添加量は、発泡用熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.02〜5重量部である。
【0071】
発泡助剤としては、亜鉛、カルシウム、鉛、鉄およびバリウム等の金属化合物、ステアリン酸等の高級脂肪酸およびその金属塩ならびにタルク、硫酸バリウムおよびシリカ等の微粒無機粒子等が挙げられる。具体的には、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、シクロヘキサン1,2−ジカルボン酸、ショウノウ酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸およびニトリロ酸等の多価カルボン酸と、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムアルミニウムおよび炭酸水素カリウム等の無機炭酸化合物との混合物や、これらの反応により生じる中間体、例えば、クエン酸ニ水素ナトリウム、シュウ酸カリウム等のポリカルボン酸の塩が挙げられる。
【0072】
発泡助剤は、発泡剤の分解温度の低下、分解促進、発泡核の形成、気泡の均一化などの働きを示し、一般に使用することが望ましい。特に、原料ペレット時の押出温度、または、発泡体の溶融温度程度付近で分解する化合物は、発泡セル径を細かく、かつ、均一に生成させる効果がある。
【0073】
このうち、無機系または有機系の熱分解型発泡剤と、発泡助剤として多カルボン酸と炭酸水素塩との混合物、具体的には、クエン酸と炭酸水素ナトリウムとの混合物またはその反応中間体であるクエン酸ニナトリウムを用いて、本発明の発泡用熱可塑性エラストマー組成物を発泡させるのが特に好ましい。
【0074】
これらの発泡剤または発泡助剤は、射出成形する前にドライブレンドして、射出成形するときに分解するようにしてもよいし、予め、ペレットに溶融ブレンドしてから添加してもよい。
【0075】
本発明の発泡用熱可塑性エラストマー組成物から発泡体を調製する方法としては、特に制限はなく、公知の樹脂加工方法に使用される成形機を用いて、押出成形、プレス成形、射出成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、インフレーション成形、スタンピングモールド成形、圧縮成形およびビーズ成形等により調製することができる。
【0076】
発泡剤として超臨界状態の二酸化炭素を用いて、押出成形方法により発泡成形体を調製する方法を例に挙げる。すなわち、本発明の発泡用熱可塑性エラストマー組成物を押出機で溶融し、二酸化炭素を臨界圧力(7.4〜40MPa)の範囲内で、二酸化炭素の臨界温度(31℃)以上に昇温して、超臨界二酸化炭素としてから、押出機中の溶融した該熱可塑性エラストマー組成物に混合する。次いで、超臨界二酸化炭素が混合された溶融熱可塑性エラストマー組成物を、最適発泡温度に設定した押出機先端部に接続したダイへと移
送し、ダイから大気中に押出し急激に圧力を低下させて、二酸化炭素をガス化し発泡させ、後続の冷却装置で冷却固化し,目的の発泡成形体を得る。なお、押出時の熱可塑性エラストマー組成物の温度は110〜250℃の範囲にするのが好ましい。
【0077】
また、プレス成形方法により発泡成形体を調製する方法を例に挙げる。すなわち、前記化学発泡剤と発泡用熱可塑性エラストマー組成物のペレットとをプレス成形機の加熱した金型内に装入し、型圧をかけながら、もしくは型圧をかけることなく、熱可塑性エラストマー組成物を溶融させた後、発泡させて発泡成形体を成形する。このとき、金型の温度は110〜250℃の範囲にするのが好ましい。
【0078】
次いで、射出成形方法により本発明の熱可塑性エラストマー発泡成形体を調製する方法例に挙げる。すなわち、発泡用熱可塑性エラストマー組成物を射出成形機で加熱溶融した後、ノズル先端部で発泡させるように金型内に射出し、発泡成形体を成形する方法がある。射出時の樹脂温度は110〜250℃の範囲が好ましい。
【0079】
本発明の発泡用熱可塑性エラストマー組成物は、流動性が高いため、射出成形方法より発泡成形体を成形するのが好ましい。さらに、射出成形用金型が型閉状態のキャビティ内に発泡用熱可塑性エラストマー組成物を射出して、射出が完了した後、発泡ガスによる樹脂の膨脹で金型壁面との接触を維持しながら移動型を移動させ、移動型を予め設定した基準肉厚位置で停止させて成形する。該金型の冷却が完了した後、移動型を後退させて製品を取り出すことにより得られる、コアバックによる射出発泡成形が好ましい。
【0080】
本発明の発泡成形体は、以下の実施形態1〜3に従って、オレフィン系樹脂基材と積層してもよい。
<実施形態1>
成形方法:カレンダー成形またはTダイからの押出発泡成形
積層方法:ポリオレフィン系基材層からなるシートを発泡成形した後に表面層を基材層に積層する逐次法、または、Tダイ押出成形の場合は同時多層発泡押出成形を行う。
【0081】
<実施形態2>
成形方法:多層押出発泡成形
積層方法:ポリオレフィン系基材層と表面層の同時多層押出発泡成形を行う。
【0082】
<実施形態3>
成形方法:逐次または同時射出発泡成形
積層方法:ポリオレフィン系基材層を射出発泡した後に、表面層である発泡用熱可塑性エラストマー組成物を射出し、金型内で積層する逐次射出発泡成形、または、いわゆるサンドウィッチ成形により基材層と表面層を同時に射出し、積層部品を発泡成形する同時法を行う。
【0083】
上記の積層方法が考えられるが、本発明の発泡用熱可塑性エラストマー組成物の発泡成形体をポリオレフィン基材と積層させた複合成形体は自動車用インストゥルメントパネルに使用するのが好ましい。
【0084】
その場合、以下の成形方法を行うことが好ましい。
二色成形
二色成形法ではポリオレフィン系樹脂基材を成形した後、続いて射出発泡成形を行うことにより、本発明の熱可塑性エラストマー発泡成形体にポリオレフィン系樹脂基材が密着した複合成形体が得られる。
【0085】
インサート成形法
インサート成形法ではポリオレフィン系樹脂基材を予め成形し、これを射出成形金型内に設置した後、射出発泡成形を行うことにより射出発泡成形体にポリオレフィン系樹脂基材が密着した複合成形体が得られる。ポリオレフィン系樹脂基材としてはポリプロピレン系樹脂を用いることにより良好な密着性が得られる。
【0086】
〔実施例〕
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0087】
実施例および比較例で得られた発泡性熱可塑性エラストマー組成物のメルトフローレート、硬度、針侵入温度(℃)は、次の方法に従って行った。
〔1〕メルトフローレート(MFR)
ASTM D 1238に準拠して230℃、2.16kg荷重で測定した。
〔2〕ショアーA硬度
JIS K6253に準拠して、プレス成形機によりシートを作製し、A型測定器を用い、押針接触後直ちに目盛りを読み取った。
〔3〕針侵入温度(℃)
JIS K7196に準拠し、厚さ1mmの試験片を用いて、昇温速度5℃/minで1.8mmφの平面圧子に2Kg/cm2の圧力をかけ、TMA曲線より、0.5mm深さの針進入温度(℃)を求めた。
〔4〕発泡層の状態
得られた発泡成形品の発泡層を切断し、気泡生成状態を実体顕微鏡(10倍)にて観察した。
【0088】
発泡層の状態は下記のように評価した。
◎ 気泡の状態が均一で、気泡の破れ、裂け等がみられない。
○ 気泡の状態が一部不均一であるが、気泡の破れ、裂け等がみられない。
△ 気泡の状態が不均一であり、気泡の破れ、裂け等が一部みられる。
× 気泡の破れ、裂け等が激しい、もしくは膨れが発生し、評価不能である。
として評価した。
〔5〕外観
得られた発泡成形品の外観を目視にて下記の基準で評価した。
○ ヒケ、アバタまたはウエルドライン等の凹みがなく、平滑である
× 前記不良がみられ、実用上問題となる
〔6〕感触
得られた発泡成形品の表面を指で押して下記の基準で評価した。
○ 塩ビ表皮とウレタン発泡体との積層体に近いソフト感を有するもの
× 樹脂成形品のように硬く、ソフト感がないもの
[重合例1]アイソタクティックプロピレン・ブテン・エチレン共重合体の合成
充分に窒素置換した2000mlの重合装置に、917mlの乾燥ヘキサン、1−ブテン85gとトリイソブチルアルミニウム(1.0mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内温を65℃に昇温し、プロピレンで系内の圧力を0.77MPaになるように加圧した後に、エチレンで、系内圧力を0.78MPaに調整した。次いで、ジメチルメチレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライド0.002mmolとアルミニウム換算で0.6mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製)を接触させたトルエン溶液を重合器内に添加し、内温65℃、系内圧力を0.78MPaにエチレンで保ちながら20分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2Lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下、130℃で12時間乾燥し、ポリマーを60.4g得た。
【0089】
得られたポリマーは、極限粘度[η]が1.81dl/gであり、ガラス転移温度Tgは−27℃であり、エチレン単位含量は13モル%であり、ブテン単位含量は19モルであり、GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は2.4であった。また、DSC測定から明瞭な融解ピークは確認できなかった。
【0090】
[実施例1]
油展されたエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(EPT−1)(エチレン単位含量78モル%;ヨウ素価13;極限粘度[η]3.4dl/g;油展量 ゴム100重量部に対して、ゴム用軟化剤(D−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)を40重量部)80重量部と、メルトフローレート(ASTM−D−1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が10g/10分であるブロックタイプのポリプロピレン(エチレン単位含量14モル%、PP−1)20重量部と、架橋剤として有機過酸化物(パーヘキサ25B、日本油脂(株)製)0.3重量部と、架橋助剤としてジビニルベンゼン0.3重量部と、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、日本チバガイギー(株)製)0.1重量部とをヘンシェルミキサーで充分に混合し、押出機(品番 KTX−46、神戸製鋼(株)製、シリンダー温度:C1〜C2 120℃、C3〜C4 140℃、C5〜C14 200℃、ダイス温度:200℃、スクリュー回転数:400rpm、押出量:80kg/h)にてゴム用軟化剤(D−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)25重量部をシリンダーに注入しながら混練を行い、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−0)のペレットを得た。
【0091】
得られた部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−0)を構成する成分のうち、原料として用いたエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴムを、部分的また完全に架橋されたエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンおよび非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A−1)とみなす。
【0092】
次いで、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−0)55重量%と、メルトフローレート(ASTM−D−1238;230℃、2.16kg荷重)が7g/10分であり、エチレン単位含量が89モル%であるエチレン・ブテン−1共重合体ゴム(EBR−1)21重量%と、メルトフローレート(ASTM−D−1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が35g/10分であるブロックタイプのポリプロピレン(エチレン単位含量9モル%、PP−2)11重量%と、190℃におけるメルトテンションが12gであり、メルトフローレート(ASTM−D−1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が2g/10分であるプロピレン単独重合体(c−1)8重量%と、重合例1で得られたアイソタクティックプロピレン・ブテン・エチレン共重合体5重量%と、カーボンマスターバッチとして40%濃度カーボンマスターマッチ2.5重量部と、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、日本チバガイギー(株)製)0.2重量部と、耐候剤としてジアゾ系耐候安定剤(チヌビン326、日本チバガイギー(株))0.3重量部とをヘンシェルミキサーで充分に混合し、押出機(品番 KTX−46、神戸製鋼(株)製、シリンダー温度:C1〜C2 120℃、C3〜C4 140℃、C5〜C14 200℃、ダイス温度:200℃、スクリュー回転数:400rpm、押出量:80kg/h)にてゴム用軟化剤D−1(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)18重量部をシリンダーに注入しながら混練を行い、発泡用熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
【0093】
各原料の配合比を表1に示す。
なお、表2に示すように、発泡用熱可塑性エラストマー組成物を構成する成分は、
部分的また完全に架橋されたエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンおよび非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A):21重量%
エチレン・α-オレフィン共重合体(B):18重量%
ポリプロピレン(C):24重量%(ただし、ポリプロピレン(C)100重量部中、190℃メルトテンションの値が3g以上であるポリプロピレン(c)は29重量部)
ゴム用軟化剤(D):33重量%
アイソタクティックプロピレン系重合体(E):4重量%であった
次に、得られた発泡用熱可塑性エラストマー組成物100重量部当たり、発泡核剤としてハイドロセルロールCF(ベーリンガーインゲルハイムケミカル社製)2重量部を添加し、コアバック機構を持つ射出成形機(名機製作所製150トン射出成形機)を用いて成形を行った。射出温度220℃、金型温度50℃にて、成形型の空隙部分は2mmとし、型内に溶融樹脂を射出、充填完了後に、移動型を2mm移動させて空隙部分の内容積を拡大させ、冷却が完了した後に成形体を取り出した。
【0094】
発泡用熱可塑性エラストマー組成物および発泡成形体を上述した方法にしたがって評価した。結果を表2に示す。
[実施例2]
実施例1において、エチレン・ブテン−1共重合体ゴム(EBR−1)の代わりに、メルトフローレート(ASTM−D−1238;230℃、2.16kg荷重)が7g/10分でエチレン単位含量が78モル%であるエチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPR−1)を16重量%と、重合例1で得られたアイソタクティックプロピレン・ブテン・エチレン共重合体を10重量%としたこと以外は実施例1と同様にして、押出機にてゴム用軟化剤(D−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)18重量部をシリンダーに注入しながら混練を行い、発泡用熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
【0095】
実施例2で用いた原料の配合比および発泡用熱可塑性エラストマー組成物を構成する成分を表1〜2に示す。
得られた発泡用熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして成形体を作製した。
【0096】
結果を表2に示す。
[実施例3]
実施例1において、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−0)を65重量%と、エチレン・ブテン−1共重合体ゴム(EBR−1)の代わりに、メルトフローレート(ASTM−D−1238;230℃、2.16kg荷重)が65g/10分であり、エチレン単位含量が78モル%であるエチレン・ブテン−1共重合体ゴム(EBR−2)12.5重量%、ポリプロピレン(PP−2)を7.5重量%と、プロピレン単独重合体(c−1)を10重量%としたこと以外は実施例1と同様にして、押出機にてゴム用軟化剤(D−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)10重量部をシリンダーに注入しながら混練を行い、発泡用熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
【0097】
実施例3で用いた原料の配合比および発泡用熱可塑性エラストマー組成物を構成する成分を表1〜2に示す。
得られた発泡用熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして成形体を作製した。
【0098】
結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1において、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−0)60重量%と、エチレン・ブテン−1共重合体ゴム(EBR−1)22重量%と、ポリプロピレン(PP−2)8重量%、プロピレン単独重合体(c−1)10重量%とを用い、重合例1で得られたアイソタクティックプロピレン・ブテン・エチレン共重合体を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、押出機にてゴム用軟化剤(D−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)10重量部をシリンダーに注入しながら混練を行い、発泡用熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
【0099】
比較例1で用いた原料の配合比および熱可塑性エラストマー組成物を構成する成分を表1〜2に示す。
得られた発泡用熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして成形体を作製した。
【0100】
結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例1において、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−0)を50重量%と、エチレン・ブテン−1共重合体ゴム(EBR−1)の代わりに、メルトフローレート(ASTM−D−1238;230℃、2.16kg荷重)が7g/10分でエチレン含量が78モル%であるエチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPR−1)を8重量%と、ポリプロピレン(PP−2)を30重量%と、プロピレン単独重合体(c−1)を7重量%としたこと以外は実施例1と同様にして、押出機にてシリンダーからゴム用軟化剤(D−1)を注入せずに混練を行い、発泡用熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
【0101】
比較例2で用いた原料の配合比および熱可塑性エラストマー組成物を構成する成分を表1〜2に示す。
得られた発泡用熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして成形体を作製した。
【0102】
結果を表2に示す。
[比較例3]
実施例1において、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−0)を36重量%と、エチレン・ブテン−1共重合体ゴム(EBR−1)を38重量%と、ポリプロピレン(PP−2)を14重量%と、プロピレン単独重合体(c−1)を7重量%としたこと以外は実施例1と同様にして、押出機にてゴム用軟化剤(D−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)7.5重量部とをシリンダーに注入しながら混練を行い、発泡用熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
【0103】
比較例3で用いた原料の配合比および熱可塑性エラストマー組成物を構成する成分を表1〜2に示す。
得られた発泡用熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして成形体を作製した。
【0104】
結果を表2に示す。
[比較例4]
実施例1において、架橋剤、架橋助剤を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、熱可塑性エラストマー組成物(x−1)のペレットを得た。
【0105】
実施例1の発泡用熱可塑性エラストマー組成物の調製において、熱可塑性エラストマー
組成物(x−0)の代わりに、熱可塑性エラストマー組成物(x−1)のペレットを用いたこと以外は実施例1と同様にして発泡用熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
【0106】
比較例4で用いた原料の配合比および熱可塑性エラストマー組成物を構成する成分を表1〜2に示す。
得られた発泡用熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして成形体を作製した。
【0107】
結果を表2に示す。
【0108】
【表1】

【0109】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分的または完全に架橋されたエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンおよび非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)10〜45重量%と、
エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィンからなるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)5〜32重量%と、
示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が40〜170℃であるポリプロピレン(C)10〜40重量%と、
ゴム用軟化剤(D)10〜45重量%と、
アイソタクティックプロピレン系重合体(E)1〜30重量%(ただし、成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)の合計を100重量%とする。)と
を含有する発泡用熱可塑性エラストマー組成物であって、該成分(E)が、下記(i)〜(iv)を満たすことを特徴とする発泡用熱可塑性エラストマー組成物。
(i)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された分子量分布(Mw/Mn)が1〜10;
(ii)プロピレンから導かれる構成単位が40〜100モル%および炭素数2〜20のα−オレフィン(プロピレンを除く)から導かれる構成単位が60〜0モル%;
(iii)メルトフローレート(MFR:ASTMD1238、190℃、2.16kg荷重)が0.1〜50g/10分;および
(iv)示差走査熱量分析(DSC)において融点が観測されない。
【請求項2】
前記成分(C)が、190℃におけるメルトテンションの値が3g以上であるポリプロピレン(c)を含み、成分(C)100重量部中、該ポリプロピレン(c)を1〜50重量部の量で含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡用熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項3】
さらに、発泡剤(F)を添加して得られた請求項1または2に記載の発泡用熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の発泡用熱可塑性エラストマー組成物を成形して得られる熱可塑性エラストマー発泡成形体。
【請求項5】
前記成形が射出成形である請求項4に記載の熱可塑性エラストマー発泡成形体。
【請求項6】
請求項4または5に記載の発泡成形体をポリオレフィン系樹脂基材と積層してなる複合成形体。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかに記載の成形体を用いて得られた自動車用インストゥルメントパネル。

【公開番号】特開2010−24357(P2010−24357A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187644(P2008−187644)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】