説明

白色反射フィルム

【課題】
本発明は、難燃性を改善し、米国アンダーライターズラボラトリーズ(UNDERWRITERS LABORATORIES)社規格UL−94に規定されたHBF、V−2相当の難燃レベルを有する白色反射フィルムを提供するものである。
【解決手段】
本発明の白色反射フィルムは、白色フィルムの少なくとも片面に、難燃剤を含有する樹脂層が1層以上設けられてなり、かつ、該樹脂層中に含有する難燃剤が、リン原子及び/又は窒素原子を含むノンハロゲン系難燃性化合物、金属水酸化物、および、金属酸化物から選ばれた少なくとも1種類を含有するものである。
また、本発明のバックライト用ランプリフレクター、バックライトおよびLEDを搭載したバックライトは、それぞれかかる白色反射フィルムを用いて構成されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ用バックライト等に組み込む白色反射フィルムの難燃性に関するものである。さらに詳しくは液晶ディスプレイ用のエッジライト方式バックライトのランプリフレクター、液晶ディスプレイ用のバックライト、および発光ダイオードを搭載したディスプレイ用のバックライトの反射板に用いられる白色反射フィルムに関するものであり、米国アンダーライターズラボラトリーズ(UNDERWRITERS LABORATORIES)社規格UL−94に規定されたHBF、V−2相当の難燃レベルを有する白色反射フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイでは液晶セルを照らすバックライトが用いられている。液晶ディスプレイの種類に応じて液晶モニターではエッジライト方式のバックライト、液晶テレビでは直下型方式のバックライトが採用されている。これらのバックライトに用いられる反射フィルムとしては、気泡により形成された多孔質の白色フィルム(特許文献1参照)が一般的に用いられている。さらに、冷陰極管から放射される紫外線によるフィルムの黄変色を防ぐために紫外線吸収層を積層した白色フィルム(特許文献2、3参照)も提案されている。
【0003】
一方、輝度の諸特性や画面の色再現性を改善するためバックライト構成を変更するなどの工夫がなされており、それに伴いバックライトと共に使用する反射フィルムには発火・引火に対する安全性、すなわち難燃性が必要となる。これら反射フィルムにおいて、難燃性を改善するための様々な方法が提案されている。例えば、ポリエステル系樹脂発泡体の樹脂内に難燃剤や難燃助剤を直接含有し難燃性を付与した方法(特許文献4参照)が提案されている。また、ポリオレフィン系樹脂発泡シートの樹脂内に難燃剤を直接含有し、その発泡シートにアルミニウム板を貼合した複合体とすることにより難燃性を向上させた方法(特許文献5参照)が提案されている。
【特許文献1】特開平8−262208号公報
【特許文献2】特開2001−166295号公報
【特許文献3】特開2002−90515号公報
【特許文献4】特開2006−249158号公報
【特許文献5】特開2007−125715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
成長著しい液晶テレビ用反射フィルムにおいては、反射特性の向上が強く求められる一方、従来以上に反射フィルムの難燃性も同時に求められている。この理由は、輝度の諸特性や画面の色再現性を改善するために、バックライトに使用する冷陰極管の出力を高めたり、発光ダイオード(LED)を使用するなどの改善と共に、発生する熱や漏れ電流によって使用する反射フィルムの発火・引火に対する安全性が必要だからである。例えば、液晶テレビ用バックライトの内部温度は一般的に約70℃〜90℃まで上昇するし、漏れ電流の発生や駆動回路への不意な接触による発火の恐れなどがある。
【0005】
しかしながら、反射フィルムの反射メカニズムが、白色フィルム内部のボイド構造に依存する部分が多いため、一度発火が発生すると反射フィルムを形成する樹脂に難燃性があっても、ボイド内部に存在する空気が燃焼を促進してしまったり、また、金属等との複合体とすることにより打ち抜き等の成形が困難になったり、さらに発光ダイオード(以下、LED)等の発熱源に近接して設置した際の寸法安定性が悪化するという問題もある。
【0006】
本発明は、上記した従来の方法とは異なり、白色フィルムの少なくとも片面側を工夫することにより、難燃性を付与させるものである。具体的には、白色フィルムの少なくとも片面に特定の樹脂層を設けることで、難燃性を改善し、米国アンダーライターズラボラトリーズ(UNDERWRITERS LABORATORIES)社規格UL−94に規定されたHBF、V−2相当の難燃レベルを有する白色反射フィルムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用する。すなわち、本発明の白色反射フィルムは、白色フィルムの少なくとも片面に、難燃剤を含有する樹脂層が1層以上設けられてなり、かつ、該樹脂層中に含有する難燃剤が、リン原子及び/又は窒素原子を含むノンハロゲン系難燃性化合物、金属水酸化物、および、金属酸化物から選ばれた少なくとも1種類を含有するものである。
かかる本発明の白色反射フィルムの好ましい態様は、
(1)前記樹脂層中の難燃剤の含有率が、樹脂層全体の重量に対して5重量%以上であること、
(2)前記難燃剤を含有する樹脂層の厚みが、2μm以上であること、
(3)前記樹脂層を形成する樹脂中及び/又は難燃剤中に紫外線吸収剤および/または光安定化剤を含有すること、
(4)前記白色フィルム中に無機粒子を含有し、且つその含有率がフィルムの全重量に対して2重量%以上であること、
(5)加熱温度90℃加熱時間30分におけるフィルム長手方向および幅方向の加熱収縮率がいずれも−0.1%以上0.2%以下であることである。
【0008】
また、本発明のバックライト用ランプリフレクター、バックライトおよびLEDを搭載したバックライトは、それぞれかかる白色反射フィルムを用いて構成されているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、米国アンダーライターズラボラトリーズ(UNDERWRITERS LABORATORIES)社規格UL−94に規定されたHBF、V−2相当の難燃レベルを有するので、安心して液晶ディスプレイ用のエッジライト方式バックライトのリフレクター、および直下型方式バックライトの反射板、LEDを搭載したバックライトや、さらに、各種面光源の反射板や、反射特性が要求される太陽電池モジュールの封止フィルムとして、好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本願発明は、前記課題、つまり米国アンダーライターズラボラトリーズ(UNDERWRITERS LABORATORIES)社規格UL−94に規定されたHBF、V−2相当の難燃レベルを有する白色反射フィルムについて、鋭意検討し、白色フィルムの少なくとも片面に難燃剤を含有する樹脂層を1層以上有し、その樹脂層に含有する難燃剤の種類、含有率、樹脂層厚み等について特定の条件のものを用いてみたところ、前記課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0011】
本発明の白色反射フィルムは、白色フィルムの少なくとも片面に難燃剤を含有する樹脂層を1層以上設けたものである。
【0012】
かかる樹脂層に難燃剤を含有することで難燃性が向上する理由は明らかではないが、難燃剤を含有することで燃焼した際に炭化を促し酸素を遮断する効果や、発生した窒素や水が気化することにより燃焼に必要なエネルギーを失活する効果、難燃剤自身が不燃物であることにより、難燃性が向上すると推定している。
【0013】
本発明の白色反射フィルムは、白色フィルムの少なくとも片面に難燃剤を含有する樹脂層が1層以上設けられ、該樹脂層中に含有する難燃剤がリン原子及び/又は窒素原子を含むノンハロゲン系難燃性化合物、金属水酸化物、および、金属酸化物から選ばれた少なくとも1種類を含有するものである。
【0014】
かかる樹脂層を設けないか、もしくは難燃剤を含有しなかったりすると、その白色反射フィルムの難燃性向上効果が得られない。
尚、本発明の白色反射フィルムにおいて定義される樹脂層とは、有機成分及び/又は無機成分を含む高分子化合物からなる層のことであり、その樹脂層の形態は白色フィルム上に薄膜や、フィルム同士の貼り合わせによる複合層などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0015】
かかる樹脂層を形成する樹脂成分の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ナイロン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂が挙げられ、これらの樹脂は単独で用いても、あるいは2種類以上の共重合体及び/又は混合物としたものを用いても良く、また、用途によって架橋構造を有していても良い。
【0016】
かかる樹脂層に含有される難燃剤は、リン原子及び/又は窒素原子を含むノンハロゲン系難燃性化合物、金属水酸化物および金属酸化物から選ばれた少なくとも1種類であることが重要である。
【0017】
かかるリン原子及び/又は窒素原子を含むノンハロゲン系難燃性化合物の例としては、ホスフェート、ホスフィネート、ホスフィンオキシドなどのリン酸系誘導体化合物、テトラゾール系化合物、メラミン系化合物及び/又はそれらの構造内に有する高分子化合物などが挙げられ、さらにメラミンシアヌレート、ポリリン酸メラミンなどのように1分子内に窒素が多く含む化合物やリン及び窒素の両方が含有されている化合物を特に好ましく用いることができる。これらリン原子及び/又は窒素原子を含むノンハロゲン系難燃性化合物としては、具体的には、例えば、SP−703H、SP−670(四国化成工業(株)製)、Exolit(登録商標)OP935(クラリアント製)、PX−200、TPP(大八化学工業(株)製)、アデカスタブ(登録商標)PFR、アデカスタブ(登録商標)FP−700、アデカスタブ(登録商標)FP−2200((株)ADEKA製)、SPB−100(大塚化学(株)製)、ポリリン酸メラミンPHOSMEL−100(日産化学工業(株)製)、Ciba(登録商標)MELAPUR(登録商標)MC15(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)等を使用することができる。
【0018】
また、前記金属水酸化物の例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カルシウム・アルミネート水和物等の金属水酸化物が挙げられ、具体的には、例えば、ハイジライト(登録商標)H−43H(昭和電工(株)製)等を使用することができる。また、前記金属酸化物の例としては、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、タルク等が挙げられる。
【0019】
また、フィルム同士の貼り合わせによる場合の例として、酸化チタンを含有したルミラー(登録商標)E20(東レ(株)製)等を使用することができる。
【0020】
本発明においては、前述の難燃剤を単体で該樹脂層に含有させても効果があるが、より好ましくはリン原子及び/又は窒素原子を含むノンハロゲン系難燃性化合物、金属水酸化物、および金属酸化物をそれぞれ混合して該樹脂層に含有したものがよい。
本発明においては、前述の難燃剤を樹脂層に含有する形態に関しては特に限定されるものではなく、難燃性をより向上させたい場合には、前記樹脂層中における難燃剤の含有率をより高くできる形態、例えば単純に樹脂層を形成する樹脂と混合する等の方法でも良く、また本発明の白色反射フィルムを使用する条件、例えば熱、光、湿度等によって難燃剤が樹脂層よりブリードアウトすることを防ぎたい場合は、例えば樹脂層を形成する樹脂と共重合する等の方法でも良い。
【0021】
本発明においては、難燃剤を含有する樹脂層を、白色フィルムの少なくとも片面に形成するにあたり、任意の方法で形成することができるが、例えば、難燃剤を含有した塗液をグラビアコート、ロールコート、スピンコート、リバースコート、バーコート、スクリーンコート、ブレードコート、エアーナイフコートよびディッピングなどの各種塗布方法を用いて基材の白色フィルム製造時に塗布(インラインコーティング)したり、結晶配向完了後の白色フィルム上に塗布(オフラインコーティング)するなどで塗布層を設ける方法で形成したり、蒸着やスパッタなどにより設ける方法や、難燃剤を含有したフィルムをラミネートなどにより貼り合わせる方法が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0022】
かかる難燃剤の含有率は、難燃剤の種類にも依存するため一義的に限定することはできないが、前記樹脂層全体に対して5重量%以上であることが好ましい。5重量%未満であると、難燃性が向上せず、米国アンダーライターズラボラトリーズ(UNDERWRITERS LABORATORIES)社規格UL−94に規定されたHBF、V−2相当の難燃レベルが得られない場合がある。かかる難燃剤の含有率は、より好ましくは20重量%以上、特に好ましくは40重量%以上である。また、上限は特に限定されるものではないが、300重量%を超えると該樹脂層の成形性、生産性、経済性等の面から劣る場合があるので、300重量%以下であることが好ましい。尚、ここでいう難燃剤の含有率とは、難燃剤を含有する樹脂層全体の総重量に対するもので、1層以上有する場合はそれらの樹脂層全体の重量より求めたものである。
【0023】
本発明にかかる難燃剤を含有する樹脂層の厚みは、難燃剤の種類や難燃剤の含有率にも依存するため一義的に限定することはできないが、2μm以上であることが好ましい。2μm未満であると難燃性が向上せず、米国アンダーライターズラボラトリーズ(UNDERWRITERS LABORATORIES)社規格UL−94に規定されたHBF、V−2相当の難燃レベルが得られない場合がある。かかる難燃剤の含有する樹脂層の厚みは、より好ましくは10μm以上、特に好ましくは50μm以上である。尚、ここでいう樹脂層の厚みとは、難燃剤を含有する樹脂層の総厚みのことで、1層以上有する場合は、その樹脂層全体の厚み、つまり複数層の樹脂層全体の厚みより求めたものである。
【0024】
本発明の白色反射フィルムは、バックライトとして使用中に冷陰極管などのランプから出る光、特に紫外線によって基材の白色フィルムが劣化する場合があるので(例えば黄変などの光学的劣化、あるいは低分子化する分解劣化など)、基材の白色フィルムに設ける樹脂中及び/又は難燃剤中に本発明の効果を阻害しない範囲内で、紫外線吸収剤および/あるいは光安定剤を含有するのが好ましい。
【0025】
前記難燃剤を含有する樹脂層を構成する樹脂中及び/又は前記難燃剤中に含有する紫外線吸収剤、光安定剤としては、無機系と有機系に大別されるが、含有する形態に関しては特に限定されるものではなく、かかる樹脂層を形成する樹脂と混合する等の方法でも良く、かかる樹脂層よりブリードアウトすることを防ぎたい場合は、例えば該樹脂層を形成する樹脂と共重合する等の方法でも良い。
【0026】
かかる無機系紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、などが一般的に知られており、中でも酸化亜鉛、酸化チタンおよび酸化セリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種類がブリードアウトせず、経済性、耐光性、紫外線吸収性、光触媒活性に優れるという点から好ましく用いられる。かかる紫外線吸収剤は、必要に応じて数種類併用する場合もある。中でも酸化亜鉛が経済性、紫外線吸収性、光触媒活性という点で最も好ましい。かかる酸化亜鉛としては、FINEX−25LP、FINEX−50LP(堺化学工業(株)製)などを使用することができる。
【0027】
また、かかる有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなどが挙げられる。特にベンゾトリアゾールは構造内に窒素を含有するため難燃剤としての作用も有するため好適に用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。これらの紫外線吸収剤は、紫外線を吸収するのみであり、紫外線照射により発生する有機ラジカルを捕捉することができないため、このラジカルにより連鎖的に基材となる白色フィルムが劣化することがある。これらのラジカル等を捕捉するために光安定化剤が好適に併用され、かかる光安定化剤としてはヒンダードアミン(HALS)系化合物が好ましく使用される。
【0028】
ここで、かかる有機系紫外線吸収剤および/または光安定化剤を固定させる共重合モノマーとしては、アクリル系、スチレン系などのビニル系モノマーが汎用性が高く、経済的にも好ましい。かかる共重合モノマーのなかでも、スチレン系ビニルモノマーは芳香族環を有しているため、黄変しやすいため、耐光性という点では、アクリル系ビニルモノマーとの共重合が最も好ましく使用される。
【0029】
なお、前記ベンゾトリアゾールに反応性ビニルモノマーが置換されたものとして、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(商品名:RUVA−93);大塚化学(株)製)を使用することができ、また、ヒンダードアミン系化合物に反応性ビニルモノマーが置換されたものとして、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(「アデカスタブLA−82」;(株)ADEKA製)を使用することができる。
【0030】
本発明においては、かかる有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなどの有機紫外線吸収剤を含有する樹脂、あるいはベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系反応性モノマーを共重合した樹脂、さらにはこれらにヒンダードアミン(HALS)系反応性モノマーなどの光安定剤を含有及び/又は共重合した樹脂を、本発明の効果を阻害しない範囲内で使用することができる。
【0031】
かかるベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系反応性モノマーを共重合した樹脂、さらにはこれらにヒンダードアミン(HALS)系反応性モノマーを共重合した樹脂などを含む有機紫外線吸収樹脂は薄層で紫外線吸収効果が高く、より好ましく、そのうちベンゾトリアゾールは構造内に窒素を含有するため難燃剤としての作用も有するため特に好ましい。
【0032】
これらの製造方法等については、特開2002−90515の〔0019〕〜〔0039〕に詳細に開示されている。中でもアクリルモノマーと紫外線吸収剤の共重合物を有効成分として含むハルスハイブリッド(登録商標)((株)日本触媒製)などを使用することができる。
【0033】
本発明に、かかる基材の白色フィルムは、可視光線反射率が高ければ高い方が良く、このためには内部に気泡及び/又は非相溶の粒子を含有する白色フィルムが使用される。これらの白色フィルムとしては限定されるものではないが、多孔質の未延伸、あるいは二軸延伸ポリプロピレンフィルム、多孔質の未延伸あるいは延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが例として好ましく用いられる。
【0034】
これらの製造方法等については特開平8−262208の〔0034〕〜〔0057〕、特開2002−90515の〔0007〕〜〔0018〕、特開2002−138150の〔0008〕〜〔0034〕等に詳細に開示されている。中でも特開2002−90515の中に開示されている多孔質白色二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが前述の理由で本発明にかかる白色フィルムとして好ましい。
【0035】
更に好ましくは耐熱性や反射率の点からポリエチレンナフタレートやとの混合及び/又は共重合した多孔質白色二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである。最も好ましくは、白色フィルム自体の難燃性を向上させるために無機粒子を含有する多孔質白色二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである。
かかる白色フィルム中に含有する無機粒子の含有率は、白色フィルムの全重量に対して2重量%以上であることが好ましく、より好ましくは7重量%以上、最も好ましくは30重量%以上である。
【0036】
本発明にかかる基材の白色フィルムの構成は、使用する用途や要求する特性により適宜選択すれば良く、特に限定されるものではないが、少なくとも1層以上の構成を有する単層及び/又は2層以上の複合フィルムが好ましく、その少なくとも1層以上に気泡及び/又は無機粒子を含有していることが好ましい。
【0037】
単層構成(=1層)の例としては、たとえば単層のA層のみの白色フィルムであり、前記A層に無機粒子及び/又は気泡を含有させた構成のものが挙げられ、その無機粒子の含有率は白色フィルムの全重量に対して2重量%以上であることが好ましく、より好ましくは7重量%以上、最も好ましくは10重量%以上である。また、2層構成の例としては、前記A層にB層を積層した、A層/B層の2層構成の白色フィルムであり、これらA、B層少なくともどちらか1層中に、無機粒子及び/又は気泡を含有させた構成のものが挙げられ、その無機粒子の含有率は白色フィルムの全重量、つまり2層の全重量に対して2重量%以上であることが好ましく、より好ましくは7重量%以上、最も好ましくは30重量%以上である。さらに、3層構成の例としては、前記同様に、A層/B層/A層及び/又はA層/B層/C層の3層を積層してなる3層積層構造の白色フィルムであり、各層の内少なくとも1層中に、無機粒子及び/又は気泡を含有させた構成のものが挙げられ、その無機粒子の含有率は、前記同様に、白色フィルムの全重量に対して2重量%以上であることが好ましく、より好ましくは7重量%以上、更に好ましくは30重量%以上である。3層構成の場合、生産性の観点からB層が気泡を含有する層であることが最も好ましい。
【0038】
かかる白色フィルムに含有する無機微粒子の数平均粒子径は、0.3〜2.0μmであるのが好ましい。また、かかる無機粒子としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、シリカ、アルミナ、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム等を用いることができる。
【0039】
本発明の場合、かかる無機粒子のうち、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンを使用した時が最も好ましく難燃性と反射率を得ることができるので好ましく使用される。かかる無機粒子は数平均粒子径0.3〜2.0μm、比表面積が15〜75m/g、吸油量が15〜40ml/100gであるものが、効果的に最も好ましく使用される。
【0040】
次に前記白色フィルムのうち3層構成白色フィルムの製造方法について説明するが、この例に限定されるものではない。
まず、非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテンを、低比重化剤としてポリエチレングリコール、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコール共重合物を、ポリエチレンテレフタレートに入れる。それを充分混合・乾燥させて270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに供給する。BaSO、CaCO、TiOなどの無機物および/または有機物添加剤を含んだポリエチレンテレフタレートを常法により押出機Aに供給する。そして、Tダイ3層口金内で押出機Bのポリマーが内層(B層)に、押出機Aのポリマーが両表層(A層)に配置されるようにして、A層/B層/A層なる構成の3層に積層する。
【0041】
この溶融積層シートを、ドラム表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気力にて密着冷却固化し、未延伸フィルムを得る。該未延伸フィルムを80〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向に2.0〜5.0倍縦延伸し、20〜50℃のロール群で冷却する。続いて、この縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き90〜140℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に横延伸する。この場合、延伸倍率は、縦、横それぞれ2.5〜4.5倍に延伸するが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9〜16倍であることが好ましい。すなわち、面積倍率が9倍未満であると得られるフィルムの白さが不良となる。また、面積倍率が16倍を越えると、延伸時に破れを生じやすくなり、製膜性が不良となる傾向がある。こうして二軸延伸されたフィルムに平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で150〜230℃の熱固定を行い、均一に徐冷し、さらに、室温まで冷却した後、巻取機で巻き取り、本発明に係る白色フィルムを得る。
【0042】
かかる白色フィルムの例としては、まず、単層構成の例では、ルミラー(登録商標)E20(東レ(株)製)、SY64(SKC製)などが挙げられ、2層構成の白色フィルムとしては、テトロン(登録商標)フィルムUXZ1(帝人デュポンフィルム(株)製)などが挙げられ、3層構成の白色フィルムとしては、ルミラー(登録商標)E6SL、E6SR、テトロン(登録商標)フィルムUX(帝人デュポンフィルム(株)製)などが挙げられる。
【0043】
かかる白色フィルムおよび塗布層には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、各種の添加剤を添加することができる。かかる添加剤としては、例えば、有機および/または無機の微粒子、蛍光増白剤、架橋剤、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、有機の滑剤、帯電防止剤、核剤、染料、充填剤、分散剤およびカップリング剤などを添加・配合して用いることができる。
【0044】
本発明の白色反射フィルムは、塗布層を設けた面から測定した400〜700nmの波長における平均反射率が85%以上であることが好ましく、より好ましくは87%以上、特に好ましくは90%以上である。平均反射率が85%未満の場合には、適用する液晶ディスプレイによっては輝度が不足する場合がある。なお、白色フィルムの両面に塗布層を設けている場合には、いずれかの塗布層から測定した平均反射率が85%以上であればよい。
【0045】
本発明にかかる白色反射フィルムは、加熱温度90℃加熱時間30分で測定した際のフィルム長手方向および幅方向の加熱収縮率がいずれも−0.1%以上0.2%以下であることが好ましい。より好ましくは−0.05〜0.15%以下である。加熱温度90℃加熱時間30分のフィルム長手方向、または幅方向の加熱収縮率が−0.1%以上0.2%以下の範囲を外れると、高温に達した際に、フィルムが撓んだ状態となりやすくなる。特に、LEDを搭載したバックライト用の反射フィルムでは、高温下での使用が多いばかりか、LEDを設置する位置に合わせフィルムの打ち抜き加工を行うことが多いため、フィルムの撓みは位置ズレやバックライトに搭載後のLEDへの接触等を招きやすくなり、ひいてはバックライトの特性や安全性を損なう恐れがある。
【0046】
本発明でいう、加熱温度90℃加熱時間30分で測定したフィルム長手方向加熱収縮率とは、一定の大きさのフィルムサンプルを準備し、室温でその長手方向(製造時の押出方向)に一定の長さ(L)を測定し、そのサンプルを90℃に保持した恒温槽中に30分間放置後、同じ室温まで徐冷した後に、該Lに相当する部分の長さを測定し、その長さ(L)と初期の長さ(L)から次式(1)にて算出した数値である。
・加熱収縮率(%)={(L−L)/L}×100 (1)
なお、負の数値は高分子フイルムが伸びたことをあらわす。
【0047】
また、加熱温度90℃加熱時間30分で測定したフイルムの幅方向加熱収縮率とは、高分子フイルムの幅方向(製造時の押出方向に対して直角方向)に高分子フイルムの長手方向と同様にして測定した値をいう。
【0048】
このようにして得られる本発明の白色反射フィルムは、米国アンダーライターズラボラトリーズ(UNDERWRITERS LABORATORIES)社規格UL−94に規定されたHBF、V−2相当の難燃レベルを有することができる。さらに好ましい態様によれば、長時間使用しても反射率の低下とフィルムの撓みが少ない。したがって、本発明の白色反射フィルムは液晶ディスプレイ用のエッジライト方式バックライトのリフレクター、直下型方式バックライト、およびLEDを搭載したバックライトの反射板に好適に使用することができる。その他にも、各種面光源の反射板や、反射特性が要求される太陽電池モジュールの封止フィルムとしても好適に使用することができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例により限定されるものではない。
【0050】
測定法および評価法を以下に示す。
【0051】
(1)白色反射フィルムの難燃性
米国アンダーライターズラボラトリーズ(UNDERWRITERS LABORATORIES)社規格UL−94に準じて評価した。
【0052】
(2)難燃剤の含有率
樹脂層の形態により、以下の方法を選択して行う。
【0053】
(i)塗布層などのフィルムを有しない樹脂層
先ず、サンプルを10cm四方に切断し重量を測定する。次いで、樹脂層を有機溶剤に浸漬して、樹脂層を剥離採取した後のサンプルの重量を測定し、樹脂層全体の重量を算出する。さらに樹脂層を浸漬した後の有機溶剤を濾過し、難燃剤を分離した後に難燃剤の重量を測定する。難燃剤の重量を樹脂層全体の重量で除した値を「難燃剤の含有率」とした。
【0054】
(ii)フィルム同士の貼り合わせ等による樹脂層
貼り合わせに伴う、粘着樹脂層と樹脂層フィルムに分けて評価を行う。先ず、サンプルを10cm四方に切断し樹脂層を形成するフィルムを剥離する。次いで、剥離した白色フィルムと樹脂層を形成するフィルムの重量を測定した後に、双方を有機溶剤に浸漬して、樹脂粘着層を剥離採取した後、樹脂粘着層を剥離採取した後のサンプルの重量を測定し、樹脂粘着層全体の重量を算出する。さらに樹脂粘着層を浸漬した後の有機溶剤を濾過し、難燃剤を分離した後に難燃剤の重量を測定し、樹脂粘着層の難燃剤の重量とする。
次いで、樹脂粘着層を剥離した後の樹脂層を形成するフィルムにおいて、その重量を測定した後に樹脂を溶解する有機溶剤に浸漬した後の有機溶剤を濾過し、難燃剤を分離した後に難燃剤の重量を測定し、樹脂層を形成するフィルムの難燃剤の重量とする。
樹脂粘着層の難燃剤の重量と樹脂層を形成するフィルムの難燃剤の重量との和を樹脂層全体の重量で除した値を「難燃剤の含有率」とした。
【0055】
(3)白色フィルム内の無機粒子の含有率
先ず、サンプルを10cm四方に切断し(2)にて選択される方法にて樹脂層を剥離し重量を測定し、白色フィルム全体の重量を算出する。次いで、900℃以上の高温にて樹脂を溶融・蒸発させた後に、残留した無機粒子の重量を測定すし、無機粒子の重量を白色フィルム全体の重量で除した値を「無機粒子の含有率」とした。
【0056】
(4)樹脂層の厚み
サンプルを、日本ミクロトーム研究所(株)製ロータリー式ミクロトームを使用し、ナイフ傾斜角度3°にてフィルム平面に垂直な方向に切断する。得られたフィルム断面をトプコン社製走査型電子顕微鏡ABT−32を用いて観察し、白色フィルム上に積層している樹脂層の総厚みを5箇所測定しその平均値を「塗布層の厚みH」とする。
【0057】
(5)耐光性(黄色味変化)
紫外線劣化促進試験機アイスーパーUVテスターSUV−W131(岩崎電気(株)製)を用い、下記条件で強制紫外線照射試験を行った後、b値を求めた。3サンプルについて促進試験を実施し、それぞれ試験前後のb値を測定し、その差の平均値を耐光性(黄色味変化量)とした。
「紫外線照射条件」
照度:100mW/cm、温度:60℃、相対湿度:50%RH、照射時間:48時間
耐光性評価結果を下記により判定し、A、B級であれば合格であり、A級が最も好ましい。
A級:黄色味変化量が5未満
B級:黄色味変化量が5以上15未満
C級:黄色味変化量が15以上。
【0058】
(6)加熱収縮率
フィルム の長手方向、幅方向各々を10mm幅×230mm長に切り出し、該長尺方向に200mm間隔のマークを入れ、金尺で正確にマーク間距離を読みとる(αmm)。該サンプルを90℃の熱風オーブンに30分間エージングした後に該サンプルのマーク間距離を上記の方法で読みとる(βmm)。上記のマーク間距離から次式で加熱収縮率を算出し%で表した。
・加熱収縮率 (%)=(α−β)/α×100。
【0059】
各実施例に使用した難燃剤を以下に示す。
(1)難燃剤A : ポリリン酸メラミン(日産化学工業(株)製 PHOSMEL−100)
(2)難燃剤B : メラミンシアヌレート(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製 Ciba(登録商標)MELAPUR(登録商標)MC15)
(3)難燃剤C : 水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製 ハイジライト(登録商標)H−43H)。
【0060】
(実施例1)
ハルスハイブリッド(登録商標)UV−G13(ベンゾトリアゾール含有アクリル系共重合体、濃度40%の溶液、(株)日本触媒製):10.0g、
酢酸エチル:20.8g、難燃剤A:1.7g、
難燃剤B:0.8g、
難燃剤C:0.2g
を攪拌しながら添加して塗液を作った。
【0061】
この塗液を、188μmの多孔質の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで構成された3層構成の白色フィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)E6SR)の両面に、メタバー#80を使用して塗布し、120℃、1分間で加熱乾燥して、乾燥後の厚みが各片面25μm、両面総厚み50μmの難燃塗布層を設けて、本発明の白色反射フィルムを得た。
【0062】
(実施例2)
オリバインBPS5762(アクリル系粘着剤、濃度45.5%の溶液、東洋インキ製造(株)製):10.0g、
酢酸エチル:14.8g、
難燃剤A:0.51g
を攪拌しながら添加して塗液を作った。
【0063】
この塗液を、188μmの多孔質の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで構成された3層構成の白色フィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)E6SR)の両面に、メタバー#16を使用して塗布し、120℃、1分間で加熱乾燥して、乾燥後の塗布厚みが5μmの粘着層を設けた。この粘着面と50μmの酸化チタン含有の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで構成された1層構成の白色フィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)E20)とをドライラミネートして貼合して、厚みが各片面55μm、両面総厚み110μmの難燃貼合層を設けて、本発明の白色反射フィルムを得た。
【0064】
(実施例3)
白色フィルムが188μmの多孔質の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで構成された3層構成の白色フィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)E6SL)を使用したこと以外は、実施例2と同様に作成し、厚みが各片面55μm、両面総厚み110μmの難燃貼合層を設けて、本発明の白色反射フィルムを得た。
【0065】
(実施例4)
「白色フィルムの製造方法」
ポリエステルA層の原料ポリマーを、以下に示す配合比で混合し、押出し温度が290℃の押出機Aに供給した。
・ポリエチレンテレフタレートチップ(東レ(株)製 F20S、以降PETと省略):47重量%
・ポリエチレンテレフタレートを主成分としたイソフタル酸共重合物のチップ(東レ(株)製 F51M、以降PET/Iと省略):20重量%
・数平均粒径0.7μmの硫酸バリウム(大日本インキ化学工業(株)製 硫酸バリウム):35重量%
一方、ポリエステルB層の原料ポリマーを、以下に示す配合比で混合し、押出し温度が290℃の押出機Bに供給した。
・PET:65重量%
・メチレングリコールの共重合物(東レ・デュポン(株)製“ハイトレル”、以降PBT/PTMGと省略):5重量%
・ポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸を10mol%とポリエチレングリコールを5mol%共重合した共重合物(東レ(株)製 T794M、以降PET/I/PEGと省略):10重量%
・ポリメチルペンテン(MFRが230g/10minである三井化学(株)製ポリメチルペンテン樹脂、以降PMPと省略):20重量%
A層/B層/A層の厚み比率が4:92:4となるように積層装置を通してTダイよりシート状に成形した。
【0066】
さらにこのフィルムを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを85〜98℃に加熱したロール群に導き、長手方向に3.4倍縦延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。
【0067】
その後テンター内で230℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取り厚み188μmの多孔質の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートでできた3層構成の白色フィルムaを得た。
得られた白色フィルムの白色フィルム全重量に対する無機粒子の含有率は、は表1のとおりであった。
【0068】
「白色反射フィルムの製造方法」
ハルスハイブリッド(登録商標)UV−G13(ベンゾトリアゾール含有アクリル系共重合体、濃度40%の溶液、(株)日本触媒製):10.0g、酢酸エチル:20.8g、難燃剤A:1.7g、難燃剤B:0.8g、難燃剤C:0.2gを攪拌しながら添加して塗液を作った。
この塗液を、前記白色フィルムaの両面に、メタバー#20を使用して塗布し、120℃、1分間で加熱乾燥して、乾燥後の厚みが各片面6μm、両面総厚み12μmの難燃塗布層を設けて、本発明の白色反射フィルムを得た。
【0069】
(実施例5)
ハルスハイブリッド(登録商標)UV−G13(ベンゾトリアゾール含有アクリル系共重合体、濃度40%の溶液、(株)日本触媒製):10.0g、
酢酸エチル:20.8g、
難燃剤A:1.7g、
難燃剤B:0.8g、
難燃剤C:0.2g
を攪拌しながら添加して塗液を作った。
【0070】
この塗液を、188μmの多孔質の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートでできた3層構成の白色フィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 テトロン(登録商標)フィルムUX)の両面に、メタバー#15を使用して塗布し、120℃、1分間で加熱乾燥して、乾燥後の厚みが各片面4.5μm、両面総厚み9μmの難燃塗布層を設けて、本発明の白色反射フィルムを得た。
【0071】
(実施例6)
「白色フィルムの製造方法」
ポリエステルA層の原料ポリマーを、以下に示す配合比で混合し、押出し温度が290℃の押出機Aに供給した。
・ポリエチレンテレフタレートチップ(東レ(株)製 F20S、以降PETと省略):47重量%
・ポリエチレンテレフタレートを主成分としたイソフタル酸共重合物のチップ(東レ(株)製 F51M、以降PET/Iと省略):20重量%
・数平均粒径0.7μmの硫酸バリウム(大日本インキ化学工業(株)製 硫酸バリウム):35重量%。
【0072】
一方、ポリエステルB層の原料ポリマーを、以下に示す配合比で混合し、押出し温度が290℃の押出機Bに供給した。
・PET:65重量%
・メチレングリコールの共重合物(東レ・デュポン(株)製“ハイトレル”、以降PBT/PTMGと省略):5重量%
・ポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸を10mol%とポリエチレングリコールを5mol%共重合した共重合物(東レ(株)製 T794M、以降PET/I/PEGと省略):10重量%
・ポリメチルペンテン(MFRが230g/10minである三井化学(株)製ポリメチルペンテン樹脂、以降PMPと省略):20重量%
A層/B層の厚み比率が8:92となるように積層装置を通してTダイよりシート状に成形した。
【0073】
さらにこのフィルムを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを85〜98℃に加熱したロール群に導き、長手方向に3.4倍縦延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。
【0074】
その後テンター内で230℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取り厚み188μmの多孔質の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートでできた2層構成の白色フィルムbを得た。得られた白色フィルムの白色フィルム全重量に対する無機粒子の含有率は、は表1のとおりであった。
【0075】
「白色反射フィルムの製造方法」
白色フィルムが前記白色フィルムbとしたこと以外は、実施例4と同様に作成し、乾燥後の厚みが各片面6μm、両面総厚み12μmの難燃塗布層を設けた。このようにして本発明の白色反射フィルムを得た。
【0076】
(実施例7)
ハルスハイブリッド(登録商標)UV−G13(ベンゾトリアゾール含有アクリル系共重合体、濃度40%の溶液、(株)日本触媒製):10.0g、
酢酸エチル:14.0g、
難燃剤A:0.63g、
難燃剤B:0.3g、難燃剤C:0.07g
を攪拌しながら添加して塗液を作った。
【0077】
この塗液を、188μmの多孔質の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートでできた2層構成の白色フィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 テトロン(登録商標)フィルムUXZ1)の両面に、メタバー#15を使用して塗布し、120℃、1分間で加熱乾燥して、乾燥後の厚みが各片面4.5μm、両面総厚み9μmの難燃塗布層を設けて、本発明の白色反射フィルムを得た。
【0078】
(実施例8)
ハルスハイブリッド(登録商標)UV−G13(ベンゾトリアゾール含有アクリル系共重合体、濃度40%の溶液、(株)日本触媒製):10.0g、
酢酸エチル:10.8g、
難燃剤A:0.13g、
難燃剤B:0.06g、
難燃剤C:0.02g
を攪拌しながら添加して塗液を作った。
【0079】
この塗液を、188μmの酸化チタン含有の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートでできた1層構成の白色フィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)E20)の片面に、メタバー#30を使用して塗布し、120℃、1分間で加熱乾燥して、乾燥後の厚みが9μmの難燃塗布層を設けて、本発明の白色反射フィルムを得た。
【0080】
(実施例9)
ハルスハイブリッド(登録商標)UV−G13(ベンゾトリアゾール含有アクリル系共重合体、濃度40%の溶液、(株)日本触媒製):10.0g、
酢酸エチル:10.8g、
難燃剤A:0.13g、
難燃剤B:0.06g、
難燃剤C:0.02g
を攪拌しながら添加して塗液を作った。
【0081】
この塗液を、188μmの酸化チタン含有で多孔質のポリエチレンテレフタレートでできた1層構成の白色フィルム(SKC製 SY64)の片面に、メタバー#16を使用して塗布し、120℃、1分間で加熱乾燥して、乾燥後の厚みが5μmの難燃塗布層を設けて、本発明の白色反射フィルムを得た。
【0082】
(比較例1)
188μmの多孔質の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで構成された3層構成の白色フィルム(東レ株式会社製 ルミラー(登録商標)E6SR)を、難燃層を設けずに白色反射フィルムとした。
【0083】
(比較例2)
188μmの多孔質の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで構成された3層構成の白色フィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 テトロン(登録商標)フィルムUX)を、難燃層を設けずに白色反射フィルムとした。
【0084】
(比較例3)
188μmの酸化チタン含有の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで構成された1層構成の白色フィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)E20)を、難燃層を設けずに白色反射フィルムとした。
【0085】
(比較例4)
ハルスハイブリッド(登録商標)UV−G13(ベンゾトリアゾール含有アクリル系共重合体、濃度40%の溶液、(株)日本触媒製):10.0g、
酢酸エチル:31.5g、
難燃剤A:0.11g、
難燃剤B:0.05g、
難燃剤C:0.01g
を攪拌しながら添加して塗液を作った。
【0086】
この塗液を、250μmの多孔質の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートで構成された3層構成の白色フィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)E6SQ)の両面に、メタバー#5を使用して塗布し、120℃、1分間で加熱乾燥して、乾燥後の厚みが各片面0.75μm、両面総厚み1.5μmの難燃塗布層を設けて、白色反射フィルムを得た。
【0087】
【表1】

【0088】
実施例の1〜9のいずれにおいても、難燃性の向上効果が見られ、中でも難燃剤の含有率が高く、難燃樹脂層の厚みが充分厚くて、且つ白色フィルム中の無機粒子の含有率が高いものは難燃性が特に良好であった(実施例5)。白色フィルム中の無機粒子の含有率が高いほど、難燃剤の含有率が低く、また難燃樹脂層の厚みが薄くても難燃性が付与できた(実施例6〜9)。また、白色フィルムが1層構成であるものは、片面のみに難燃樹脂層を設けたものでも良好な難燃性を示した。
【0089】
塗布層を設けない場合は難燃性が不合格もしくは向上効果が得られないばかりか、耐光性と加熱収縮率も不良であった(比較例1〜3)。難燃剤の含有率が極端に低く、難燃樹脂層の厚みも極端に薄く、また基材フィルム中の無機粒子の含有率が低いものは難燃性が不合格であった(比較例4)。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の白色反射フィルムの断面模式図の一例である。
【図2】本発明の白色フィルムの断面模式図の一例である。
【符号の説明】
【0091】
1:白色フィルム
2:難燃剤を含有した塗布層
3:難燃剤を含有した粘着層
4:難燃剤を含有したフィルム
5:難燃剤を含有した樹脂層
6:無機粒子及び/又は気泡を含有した層
7:1層構成の白色フィルム
8:2層構成の白色フィルム
9:3層構成の白色フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色フィルムの少なくとも片面に、難燃剤を含有する樹脂層が1層以上設けられてなり、かつ、該樹脂層中に含有する難燃剤が、リン原子及び/又は窒素原子を含むノンハロゲン系難燃性化合物、金属水酸化物、および、金属酸化物から選ばれた少なくとも1種類を含有する白色反射フィルム。
【請求項2】
前記樹脂層中の難燃剤の含有率が、該樹脂層全体の重量に対して5重量%以上である請求項1に記載の白色反射フィルム。
【請求項3】
前記難燃剤を含有する樹脂層の厚みが、2μm以上である請求項1又は2に記載の白色反射フィルム。
【請求項4】
前記樹脂層を形成する樹脂中及び/又は難燃剤中に紫外線吸収剤および/または光安定化剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の白色反射フィルム。
【請求項5】
前記白色フィルムが、該フィルムの全重量に対して2重量%以上の無機粒子を含有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の白色反射フィルム。
【請求項6】
加熱温度90℃加熱時間30分におけるフィルム長手方向および幅方向の加熱収縮率がいずれも−0.1%以上0.2%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の白色反射フィルム。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の白色反射フィルムを用いて構成されているバックライト用ランプリフレクター。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載の白色反射フィルムを用いて構成されているバックライト。
【請求項9】
光源が発光ダイオードである請求項8に記載のバックライト。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−31617(P2009−31617A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197020(P2007−197020)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】