説明

白色発光有機電界発光素子

透明基板、第1の素子及び第2の素子を含む、白色発光有機電界発光素子を提供する。第1の素子は、透明基板の第1の基板に順次配置された第1のアノード、第1の素子の有機層及び反射カソードを含む。第2の素子は、透明基板の第2の表面に順次配置された第2のアノード、第2の素子の有機層、及び透明又は半透明カソードを含む。本発明の白色発光有機電界発光素子は、従来の3原色の白色光有機電界発光素子において生じる白色光の色度座標のシフト現象を解消することが出来る。発光で生成される熱によって引き起こされる経年劣化作用が電界発光層を分割することによって低減されるため、当該電界発光素子は長い寿命を持つことが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色発光有機電界発光素子に関する。より詳しくは、本発明は、並列に組み合わせた少なくとも2色の電界発光層を含む、高効率の白色発光有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子は、液晶表示装置(LCD)とは異なり、それ自体発光するためバックライトが不要であり、また、数ナノメートル未満の厚さを有するように製造されて薄くて軽い表示装置として使用され得るという利点がある。
【0003】
また、有機電界発光素子は、有機電界発光素子の構造及び製造プロセスが比較的単純であり、生産コストが低いため、次世代表示装置として注目されている。
【0004】
特に、有機電界発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いため、消費する電力量が少ない。有機電界発光素子は画素の応答速度が速いため、高画質の映像を表示することができる。有機電界発光素子がカラー表示装置に適用される場合、色が優れた画質で実現され、また、カラー表示装置は軽くて薄く、且つ小さく、その結果、質の高い携帯用情報通信装置の表示要素をもたらす。
【0005】
有機電界発光素子において、色は以下の方法で実現される:3色塗分け法(side-by-side deposition method)、色変換(CCM)法及びカラーフィルター法。3色塗分けは、精密にパターン化されたメタルマスクを用いて、マスクを微細に動かすことにより、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の電界発光層を順次蒸着する。CCM法は、青色のエネルギーを下方変換することによって緑色及び赤色を実現する。カラーフィルター法は、カラーフィルター及び白色発光ダイオードを用いることによって色を実現する。
【0006】
これらのうち、カラーフィルター法は、3色塗分け法で必要とされる精密にパターン化されたメタルマスクの代わりに、その発光領域全体が露出されるシャドーマスクを使用している。そのため、カラーフィルター法は効率的な製造方法であり、低い欠陥率をもたらす。従って、カラーフィルター法は、生産コストを低減することが出来る。
【0007】
製造プロセス及びコストに関する利点のため、研究者達は、フルカラー表示装置のための、カラーフィルターを使用した白色発光有機電界発光素子について活発に研究している。有機白色光はまた、水銀灯や蛍光灯などの、重金属元素又は環境的に有害なガスを使用する現在使用されているガス充填ランプに取って代わることが出来るため、環境に優しい光源として注目されている。
【0008】
白色発光有機電界発光素子を実現するための従来技術によると、藍色と黄色、空色と赤色といった補色関係にある色を使用する有機電界発光素子(図1に示す)、及び三原色(即ち、青色、緑色及び赤色)を適切に混合することによって白色光を実現する有機電界発光素子(図2に示す)がある。
【0009】
即ち、図1及び2に示した従来の白色発光有機電界発光素子は、単純に順次、基板A10及びB10上にアノードA01及びB01を配置し、正孔注入層(HIL)A05及びB05、正孔輸送層(HTL)A06及びB06、並びにそれぞれ赤色、緑色又は青色発光物質を含む複数の電界発光層A07、A09、B07、B09及びB11、電子輸送層(ETL)A08及びB08、電子注入層(EIL)A15及びB15、並びにカソードA04及びB04を配置することにより白色光を得る。
【0010】
図1及び2の有機電界発光素子は、以下の手順で発光する。アノードA01又はB01とカソードA04又はB04との間の空間に電圧が印加されると、アノードから注入された正孔は、正孔輸送層A06又はB06を通って電界発光層A07、A09、B07、B09及びB11に移動する。電子は、カソードA04又はB04から、電子輸送層A08又はB08を通って電界発光層に注入される。キャリアは、正孔輸送層と電界発光層との接合部分及びバルクにおいて再結合し、それによって励起子を生み出す。
【0011】
生成された励起子は、それぞれの電界発光層に分布し、基底状態に遷移する。このようにして、電界発光層の色に応じて青色、緑色及び赤色が実現され、白色光が放出される。
【0012】
図3は、関連技術による、複雑な複数層構造を有して効率を向上させたタンデム型の有機電界発光素子を示している。電圧が印加されると、図3の有機電界発光素子は、複雑なドーピングプロセスを通じて(though)電子及び正孔を更に生成するために電荷生成層からp型ドープ層C20及びn型ドープ層C21を形成することによって、又はスパッタリング法を使用することにより有機層に透明アノード(例、酸化インジウムスズ(ITO))を形成することによって、アノードC01及びカソードC04に注入された電子及び正孔の数を倍化するように働く。
【0013】
即ち、図3の有機電界発光素子は、基板C10上のアノードに配置された第1の素子及び第2の素子を含む。第1の素子は、正孔注入層C05、正孔輸送層C06a、電界発光層C07a、電子輸送層C08a及びn型ドープ層C20を含む。第2の素子は、p型ドープ層C21又はスパッタリング法を使用して形成された透明アノード、正孔輸送層C06b、電界発光層C07b、電子輸送層C08b、電子注入層C15及びカソードC04を含む。
【0014】
上述した従来の方法のうち、補色関係を利用する図1の有機電界発光素子、又は三原色の電界発光層が積層された単純な積層構造を有する図2の素子は、電子及び正孔の注入及び輸送のために使用される有機層において白色光を実現するために2つ乃至3つの電界発光層を必然的に必要とする。図4の有機電界発光素子は、発光メカニズムの点で、3つの電界発光層において生成される励起子を適切に分布させなければならない。
【0015】
一般に、有機電界発光素子は、電圧が印加されると、光及び放出された光によって引き起こされるジュール熱を放出する。ジュール熱の生成は、有機電界発光素子を劣化させ、その寿命を低下させる。様々な色の電界発光層が順次配置された積層型の白色素子は、電界発光層の数が増加する時に、顕著な寿命の低下を被る。
【0016】
電圧が有機電界発光素子へ印加される時にアノード及びカソードに注入された正孔と電子との結合によって生み出される励起子は、印加電圧及び電流の強さに応じて、異なる領域に存在する。これは、発光領域が変化することを示している。発光領域の変化は、電界発光層の数が多い場合により顕著になる。積層構造を有する従来の白色発光素子の場合、RGBの各色の発光スペクトルは、電圧又は電流の強さが変わるにつれて変化する。従って、全体の発光色が変化する。
【0017】
有機電界発光素子は、電界発光層へのドーピングを行うことによって加工されて発光効率が向上させられる。ドーピングプロセスは、ホスト材料とゲスト材料とを混合することにより層を形成するプロセスである。層が蛍光性である場合、大まかにゲスト材料によって占められる割合は、全材料の1%から10%に達する。層がリン光性である場合、それは全材料の5%から20%に達する。ゲスト材料の量比を小さく維持しつつ有機層を形成しなければならないため、製造プロセスに関して、ドーピングは最も難しいプロセスの一つである。電界発光層における異なる材料の存在は、発光の特徴を変化させ、有機電界発光素子の特性再現性を低くする。図3に示したタンデム型の白色発光素子においては、ドーピングを電界発光層以外のp型ドープ層(C20)及びn型ドープ層(C21)に行う必要があるため、又はアノードのスパッタリングを有機層上に行う必要があるため、ドーピングプロセスはかなり複雑である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の例示的実施形態は、反射カソードを含む第1の素子と、透明又は半透明カソードを含む第2の素子とを並列で組み合わせた、高効率の白色発光有機電界発光素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の別の実施形態は、透明基板、第1の素子及び第2の素子を含む、白色発光有機電界発光素子を提供する。第1の素子は、透明基板の第1の基板に順次配置された第1のアノード、第1の素子の有機層及び反射カソードを含み、第2の素子は、透明基板の第2の表面に順次配置された第2のアノード、第2の素子の有機層、及び透明又は半透明カソードを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明の白色発光有機電界発光素子は、光源を並列で組み合わせることにより、色度座標のシフト現象を解消することが出来る。本実施形態の有機電界発光素子は、安定した白色光源として、高性能カラー表示装置に適用することが出来る。更に、発光で生成される熱によって引き起こされる経年劣化作用が電界発光層を分割することによって低減されるため、当該電界発光素子は長い寿命を持つことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明を以下により十分に説明する。本発明は多様な形態で実現することが出来、本明細書に記載する特定の実施形態及び実施例に制限されない。
【0022】
同一の参照数字が、たとえそれらが別の図面に現れていたとしても、同一の構成要素のために使用される。
【0023】
図4は、本発明の一つの実施形態による白色発光有機電界発光素子の構造を示す断面図である。図4に関して、本発明の白色発光有機電界発光素子1は、透明基板010、第1の素子100及び第2の素子200を含む。第1の素子は、透明基板010の第1の表面上に順次積層された第1のアノード101、第1の素子の有機層103及び反射カソード104を含む。第2の素子200は、透明基板010の第2の表面上に順次積層された第2のアノード201、第2の素子の有機層203、及び透明又は半透明カソード204を含む。
【0024】
また、白色発光有機電界発光素子1の第1の素子100及び第2の素子200は、それぞれ、第1のアノードと第1の素子の有機層との間、及び、第2のアノードと第2の素子の有機層との間に、図5に示された部分的に形成された絶縁層202を更に含んでいても良い。絶縁層は、縁部におけるアノードとカソードとの短絡を防ぐ。
【0025】
白色発光有機電界発光素子1は、第2の素子のカソードを保護するためのカソード保護層を更に含んでいても良い。
【0026】
本発明の一つの実施形態によれば、第1の素子の有機層103及び第2の素子の有機層203は、個別に、赤色電界発光層、青色電界発光層、黄色電界発光層及び緑色電界発光層からなる群から選択される少なくとも1つの電界発光層を含む。第1の素子の有機層103及び第2の素子の有機層203は、異なる色の2つより多い電界発光層を含んでいても良い。
【0027】
図6は、本発明の第1の実施形態による白色発光有機電界発光素子を示す断面図である。図6に関して、白色発光有機電界発光素子は、第1の素子100a及び第2の素子200aを含む。第1の素子100aは、透明基板010の第1の表面上に配置された第1のアノード101、並びに第1のアノード101上に順次配置された第1の正孔輸送層(HTL)105、第1の正孔注入層(HIL)106、第1の電界発光層107、第1の電子輸送層(ETL)108、第1の電子注入層(EIL)115及び反射カソード104を含む。第2の素子200aは、透明基板010の第2の表面上に配置された第2のアノード201、並びに第2のアノード201上に順次配置された第2の正孔輸送層205、第2の正孔注入層206、第2の電界発光層207、第2の電子輸送層208、第2の電子注入層215、及び透明又は半透明カソード204を含む。ここで、第1の電子注入層115及び第2の電子注入層215は、カソードの素材によっては除かれても良い。
【0028】
本発明の一つの実施形態によれば、第1の電界発光層及び第2の電界発光層のそれぞれは、赤色電界発光層、緑色電界発光層、黄色電界発光層及び青色電界発光層からなる群から選択される1つの単一電界発光層である。第1の電界発光層及び第2の電界発光層は、緑色電界発光層及び青色電界発光層であっても良い。ここで、第1の電界発光層と第2の電界発光層とは、異なる電界発光の色を放出しても良い。
【0029】
図7は、本発明の第2の実施形態による白色発光有機電界発光素子を示す断面図である。図7に関して、本発明の白色発光有機電界発光素子は、第1の素子100b及び第2の素子200bを含む。第1の素子100bは、透明基板010の第1の表面上に配置された第1のアノード101、並びに第1のアノード101上に順次配置された第1の正孔輸送層105、第1の正孔注入層106、第1の電界発光層109、第2の電界発光層110、第1の電子輸送層108、第1の電子注入層115及び反射カソード104を含む。第2の素子200bは、透明基板010の第2の表面上に配置された第2のアノード201、並びに第2のアノード201上に順次配置された第2の正孔輸送層205、第2の正孔注入層206、第3の電界発光層209、第4の電界発光層210、第2の電子輸送層208、第2の電子注入層215、及び透明又は半透明カソード204を含む。第1の電子注入層115及び第2の電子注入層215は、カソードの素材によっては除かれても良い。
【0030】
ここで、第1乃至第4の電界発光層のうち少なくとも1つの電界発光層は、他の電界発光層の色とは異なる色の光を放出しても良い。第1及び第2の電界発光層は、それぞれ、青色及び赤色、赤色及び青色、青色及び黄色、黄色及び青色、緑色及び赤色、又は赤色及び緑色の光を放出しても良い。第3及び第4の電界発光層は、それぞれ、青色及び赤色、赤色及び青色、青色及び黄色、黄色及び青色、緑色及び赤色、又は赤色及び緑色の光を放出しても良い。
【0031】
図8及び図9は、それぞれ、本発明の第3及び第4の実施形態による白色発光有機電界発光素子を示す断面図である。
【0032】
図8に関して、本発明の白色発光有機電界発光素子は、第1の素子100c及び第2の素子200cを含む。第1の素子100cは、透明基板010の第1の表面上に配置された第1のアノード101、並びに第1のアノード101上に順次配置された第1の正孔輸送層105、第1の正孔注入層106、第1の電界発光層111、第1の電子輸送層108、第1の電子注入層115及び反射カソード104を含む。第2の素子200cは、透明基板010の第2の表面上に配置された第2のアノード201、並びに第2のアノード201上に順次配置された第2の正孔輸送層205、第2の正孔注入層206、第2の電界発光層211、第3の電界発光層212、第2の電子輸送層208、第2の電子注入層215、及び透明又は半透明カソード204を含む。カソード保護層220が更に配置されて第2の素子200cを保護しても良い。第1の電子注入層115及び第2の電子注入層215は、カソードの素材によっては除かれても良い。
【0033】
図9に関して、本発明の白色発光有機電界発光素子は、第1の素子100d及び第2の素子200dを含む。第1の素子100dは、第1のアノード101の第1の表面上に配置された第1のアノード101、並びに第1のアノード101上に順次配置された第1の正孔輸送層105、第1の正孔注入層106、第1の電界発光層112、第2の電界発光層113、第1の電子輸送層108、第1の電子注入層115及び反射カソード104を含む。第2の素子200dは、透明基板010の第2の表面上に配置された第2のアノード201、並びに第2のアノード201上に順次配置された第2の正孔輸送層205、第2の正孔注入層206、第3の電界発光層213、第2の電子輸送層208、第2の電子注入層215、及び透明又は半透明カソード204を含む。カソード保護層220が更に配置されて第2の素子200dを保護しても良い。第1の電子注入層115及び第2の電子注入層215は、カソードの素材によっては除かれても良い。
【0034】
第3及び第4の実施形態において、第1の電界発光層は、赤色電界発光層、青色電界発光層、黄色電界発光層及び緑色電界発光層からなる群から選択されるいずれか1つである。第2の電界発光層は、第1の電界発光層として選択されたものを除いた他の層からなる群から選択されるものである。第3の電界発光層は、第1及び第2の電界発光層として選択されたものを除いた他の層からなる群から選択されるものである。
【0035】
第1乃至第4の実施形態は、本発明において示唆される、並列の組み合わせに基づいた白色発光有機電界発光素子の具体的な例を提供し、電界発光層の個数、種類及び位置を改変することによって、本発明の範囲に属する(belong to)、他の構造を有する白色有機電界発光素子を製造することが出来ることは当業者には明らかである。
【0036】
白色発光有機電界発光素子の構成要素を形成するための素材は、従来の白色発光有機電界発光素子のために使用される素材から任意に選択することが出来、特定の素材に限定されない。しかしながら、各構成要素は以下の素材を含むことで優れた効果を持つことが出来る。
【0037】
透明基板は、従来の有機電界発光素子のために一般に使用される任意の基板であって良く、素子の用途に応じて適切に選択され得る。基板は、優れた透明性、表面平坦性及び撥水性を有し、且つ容易に取り扱うことが出来る透明ガラス基板又は透明プラスチック基板であっても良い。
【0038】
有機電界発光素子に含まれる第1及び第2のアノードは、従来のアノードの素材から任意に選択することが出来る。具体的には、それらは、透明で且つ優れた導電性を有する、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ(SnO)及び酸化亜鉛(ZnO)からなる群から選択される少なくとも1つを含んでいても良い。第1のアノード及び第2のアノードの厚さの範囲は、必要性に応じて決定すれば良い。厚さは、特定の範囲に限定されないが、十分な発光特性を得るために100Åより厚くても良く、優れた光透過特性を得るために2000Åより薄くても良く、また、より具体的には、1000Åから2000Åである。
【0039】
第1及び第2のアノード上に配置される正孔注入層及び正孔輸送層は、4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(m−MTDATA)及びN,N−ビス(ナフタレン−1−イル)フェニル)−N,N−ビス(フェニル)ベンジジン(NPB)からなる群から選択される少なくとも1つのような、正孔輸送特性を持つ、トリフェニルアミン基を有する素材から形成される。
【0040】
正孔注入層及び正孔輸送層の厚さの範囲は、必要性に応じて決定すれば良い。厚さは特定の範囲に限定されないが、第1の素子及び第2の素子において配置される正孔注入層は、十分な発光特性を得るために400Åから1500Åに及ぶ厚さを有していても良く、第1の素子及び第2の素子において配置される正孔輸送層は、100Åから500Åに及ぶ厚さを有していても良い。
【0041】
有機電界発光素子の各電界発光層は、有機電界発光素子において一般に使用される発光ホスト材料を含む。一つの実施形態によれば、発光ホスト材料は、ドーパントに応じて緑色、赤色又は黄色を放出するためのアルミニウムトリス(8−ヒドロキシキニロン(hydroxyquinilone))(Alq3)、緑色を放出するための4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)、並びに青色を放出するための4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−ジフェニル(DPVBi)、4,4”−ビス(2,2−ジフェニルビニル−1−イル)−p−ターフェニレン(DPVTP)及びSpiro−DPVBiからなる群から選択しても良い。電界発光層は、フェニレンベース又はジスチレンアミンベースの化合物などの、ホスト材料よりエネルギーギャップが小さい青色発光ドーパントを含んでも良い。
【0042】
各電界発光層は、白色発光への寄与の程度に応じて、100Åから500Åに及ぶ厚さを有するように形成されても良い。この範囲は、使用される素材の特徴に応じて変えても良い。
【0043】
電界発光層は、所定の比率で発光ホスト材料とドーパントとを共蒸着することによって形成して、電界発光層の性能を向上させ且つ色を変化させても良い。
【0044】
ドーパントは、正孔と電子との結合により、ホストとゲストとの間でのエネルギー伝達が引き起こされ、その結果発光するのを可能にする。ドーパントの例としては、緑色を放出するためのクマリン6、黄色を放出するためのルブレン、赤色を放出するための4−ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)及び4−(ジシアノメチレン)−2−tert−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(DCJTB);及び青色を放出するためのペリレン、キナクリドン及びDCM2から選択される蛍光性ドーパント、並びに、赤色を放出するための2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィン(phorphine)白金(PtOEP)、及び青色を放出するためのイリジウム(III)ビス[(4,6−ジ−フルオロフェニル)−ピリジナト−N,C2’]ピコリネート(Firpic)から選択されるリン光性ドーパントが挙げられる。これらドーパントの1つ以上が各電界発光層に含まれても良い。
【0045】
ドーパントのドーピング濃度は、白色発光有機電界発光素子の白色発光スペクトルのCIEの指数が適切である範囲内で選択することが出来る。1つの実施形態によれば、ドーピング濃度は、発光ホスト100重量部に対して1から20重量部に及び得る。特に、ドーパントが蛍光性ドーパントの場合、発光メカニズムに起因して、ドーピング濃度は、発光ホスト100重量部に対して1から10重量部に及び得る。ドーパントがリン光性ドーパントの場合、発光メカニズムに起因して、ドーピング濃度は、発光ホスト100重量部に対して5から20重量部に及び得る。
【0046】
第1の素子及び第2の素子において配置される電子輸送層は、電子を輸送するために一般に使用される金属錯体、具体的にはAlq3などの金属錯体を含み得る。しかしながら、電子輸送層の素材は、本発明の白色発光有機電界発光素子における上記例に限定され得ない。電子輸送層は、電子輸送能に関連して、個々に50Åから300Åに及ぶ厚さを有し得る。
【0047】
電子注入層は、第1の素子及び第2の素子において配置されて、電子が円滑に注入されるのを可能にする。電子注入層は、仕事関数の小さなアルカリ金属を含む。アルカリ金属は、リチウム、カルシウム、マグネシウム及びセシウムからなる群から選択される少なくとも1つであっても良い。
【0048】
第1の素子の反射カソードが仕事関数の小さなアルカリ金属を含む場合、カソードに含まれるアルカリ金属が電子注入層の役割を実質的に果たす。そのため、第1の電子注入層は除かれても良い。第2の素子の透明又は半透明カソードが仕事関数の小さなアルカリ金属を含む場合、第2の電子注入層は除かれても良い。
【0049】
アルカリ金属を含む電子注入層は、電子輸送層の素材をアルカリ金属と共蒸着することによって100Åから500Åに及ぶ厚さで形成されても良く、又は、フッ化リチウム及び安息香酸リチウムなどの少なくとも1つのリチウム塩を蒸着することによって5Åから20Åに及ぶ厚さで形成されても良い。
【0050】
本発明の実施形態で示唆される白色発光有機電界発光素子に含まれるカソードは、カソードを形成するための従来の金属素材を含む。具体的には、カソードは、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)及びマグネシウム−銀(Mg−Ag)からなる群から選択される少なくとも1つを含んでいても良い。
【0051】
特に、第1の素子に含まれる反射カソードは、500Åから5000Åに及ぶ厚さを有していても良く、第2の素子に含まれる透明又は半透明カソードは、80Åから350Åに及ぶ厚さを有していても良い。カルシウムは、50Åから150Åの厚さで含まれても良く、銀(Ag)は、50Åから200Åの厚さで含まれても良い。
【0052】
透明又は半透明カソードの透明度及び導電性を増すために、50Åから100Åの厚さを有する金属カソードは、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ(SnO)及び酸化亜鉛(ZnO)からなる群から選択される少なくとも1種の透明金属酸化物でコーティングされる。透明金属酸化物のコーティングは、高い透明度及び導電性のために1000Åよりも厚くても良く、より具体的には1000Åから5000Åの厚さである。
【0053】
また、透明金属酸化物以外で第2の素子のカソードを保護するために使用され得るカソード保護層は、従来の有機電界発光素子に使用されるカソード保護層であっても良く、特定のものに限定されない。しかしながら、カソードは、シリコン窒化物、シリコン酸化物及び有機金属錯体などの、散在する酸素のバリア特性に優れた素材を含み得る。
【0054】
また、カソード保護層の厚さは、キャビティ効果を引き起こすものであることが望ましく、また、水分及び酸素を遮るために1000Åより厚くても良く、より具体的には1000Åから10,000Åに及ぶ。
【0055】
本発明による白色発光有機電界発光素子の性能を評価するための実施例を以下に記載する。しかしながら、それらは、本発明のより良い理解のためにのみ示されており、本発明はそれらに限定されない。
【実施例】
【0056】
実施例1
ITO電極(第1のアノード及び第2のアノードとして使用した)を、1800Åの厚さで、透明ガラス基板の上及び下表面に配置した。第1の素子を作製するために、第1のアノード上に、m−MTDATAを600Åの厚さで第1の正孔注入層として形成し、NPBを150Åの厚さで第1の正孔輸送層として形成した。
【0057】
第1の正孔輸送層の上部に、発光ホストとしてAlq3及びドーパントとしてDCMを共蒸着することにより、第1の電界発光層を300Åの厚さで形成した。Alq3の含量は95重量%、DCMの含量は5重量%であった。
【0058】
続いて、第1の電子輸送層として300Åの厚さでAlq3を、第1の電子注入層として10Åの厚さでLiFを、そして反射カソードとして2000Åの厚さでAlを順次配置することにより、第1の素子の作製を完了した。
【0059】
第2のアノードの上部に、第2の正孔輸送層として600Åの厚さでm−MTDATAを、第2の正孔注入層として150Åの厚さでNPBを、青色電界発光層として300Åの厚さでDPVBiを、そして第2の電子輸送層として300Åの厚さでAlq3を蒸着し、その上に80Åの厚さでカルシウムを、そして100Åの厚さで銀を順次蒸着することによる、第1の素子の作製と同様の方法で、80%を上回る光透過率を有する、第2の素子のための透明カソードを作製した。
【0060】
LiF及びAlq3の層をそれぞれ1000Åの厚さで形成することにより、カソード保護層を第2の素子に形成して、水分及び酸素からカソードを保護し、且つキャビティ効果を引き起こした。
【0061】
図8は、実施例1による有機電界発光素子の断面を示している。第2の素子の透明カソードはカルシウムを含んでいたため、図8に示した第2の電子注入層215は除いた。
【0062】
実施例1に従って作製した有機電界発光素子のスペクトルを測定して図10に示した。以下の表1は、電流密度11mA/cm、25mA/cm、50mA/cm及び100mA/cmで測定した有機電界発光素子の特性を示している。
【0063】
【表1】

【0064】
図10及び表1に示した有機電界発光素子のスペクトル及び特性によれば、赤色及び青色波長のピークが581nm及び452nmに現われ、そして第1の素子の赤色電界発光層から放出された光が反射カソードによって反射されて第2の素子の青色電界発光層から放出された光と混ざり、それにより色度座標(0.305,0.312)に、透明カソードを通る白色光を生み出した。
【0065】
ここで、表1に示したように、有機電界発光素子は、10mA/cmにおいて、発光効率5.5cd/A及び電力効率2.3lm/Wを示した。有機電界発光素子に印加する電流密度を10mA/cmから100mA/cmに増加させた時、色度座標は(−0.003,+0.006)だけシフトした。これは、単一の電界発光層を有する有機電界発光素子において起こる色シフト現象と似ており、本発明の白色有機電界発光素子が非常に安定した白色発光特性を有していることを示している。
【0066】
実施例2
ITO電極(第1のアノード及び第2のアノードとして使用した)を、1800Åの厚さで、透明ガラス基板の上及び下表面に配置した。第1の素子を作製するために、第1のアノード上に、m−MTDATAを600Åの厚さで第1の正孔注入層として形成し、NPBを150Åの厚さで第1の正孔輸送層として形成した。
【0067】
第1の正孔輸送層の上部に青色電界発光層として200Åの厚さでDPVBiを形成し、そして95重量%のAlq3のホスト及び5重量%のDCMのドーパントを赤色電界発光層として150Åの厚さで共蒸着した。
【0068】
続いて、第1の電子輸送層として250Åの厚さでAlq3を、第1の電子注入層として10Åの厚さでLiFを、そして反射カソードとして2000Åの厚さでAlを順次配置することにより、第1の素子の作製を完了した。
【0069】
第2のアノードの上部に、第2の正孔輸送層として600Åの厚さでm−MTDATAを、第2の正孔注入層として150Åの厚さでNPBを、緑色電界発光層として300Åの厚さで98重量%のAlq3のホスト及び2重量%のクマリン6のドーパントを共蒸着することによって得た混合物を、そして第2の電子輸送層として250Åの厚さでAlq3を蒸着し、その上に50Åの厚さでカルシウムを、そして110Åの厚さで銀を順次蒸着することによる、第1の素子の作製と同様の方法で、85%を上回る光透過率を有する、第2の素子のための透明カソードを作製した。
【0070】
LiF及びAlq3の層をそれぞれ1000Åの厚さで形成することにより、カソード保護層を第2の素子に形成して、水分及び酸素からカソードを保護し、且つキャビティ効果を引き起こした。
【0071】
図9は、実施例2による有機電界発光素子の断面を示している。第2の素子の透明カソードはカルシウムを含んでいたため、図9に示した第2の電子注入層215は除いた。
【0072】
実施例2に従って作製した有機電界発光素子のスペクトルを測定して図11に示した。以下の表2は、電流密度11mA/cm、25mA/cm、50mA/cm及び100mA/cmで測定した有機電界発光素子の特性を示している。
【0073】
【表2】

【0074】
図11及び表2に示した有機電界発光素子のスペクトル及び特性によれば、青色、緑色及び赤色波長のピークが455nm、511nm及び581nmに現われ、そして第1の素子の赤色電界発光層から放出された光が反射カソードによって反射されて第2の素子の青色電界発光層から放出された光と混ざり、それにより色度座標(0.341,0.373)に、透明カソードを通る白色光を生み出した。
【0075】
ここで、表2に示したように、有機電界発光素子は、10mA/cmにおいて、発光効率5.5.9cd/A及び電力効率2.3lm/Wを示した。有機電界発光素子に印加する電流密度を10mA/cmから100mA/cmに増加させた時、色度座標は(+0.003,+0.006)だけシフトした。これは、白色光が、安定した色再現性を維持しながら赤色、緑色及び青色波長を含んでおり、フルカラーの有機電界発光素子のための光源として使用される場合に高い色再現性を与え得ることを示している。
【0076】
比較例1
実施例1及び2との比較のため、赤色、緑色及び青色波長を含む白色発光有機電界発光素子を従来の積層構造で作製し、その特性を測定した。
【0077】
実施例及び比較例の特性を比較するために、図12に示した有機電界発光素子を、全く同じ素材、ドーピング濃度及び真空の作製条件を適用して作製した。図12に関して、作製プロセスを詳細に説明する。
【0078】
透明ガラス基板D10上に、800Åの厚さでITO D01(アノード)を形成し、そこに、真空条件下でm−MTDATAを蒸着することにより正孔注入層D05を600Åの厚さで形成した。続いて、真空条件下で正孔注入層D05の上部にNPBを蒸着することにより、正孔輸送層D06を150Åの厚さで形成した。
【0079】
続いて、正孔輸送層D06上に、赤色電界発光層D07として100Åの厚さで95重量%のAlq3及び5重量%のDCMを共蒸着し、緑色電界発光層D09として100Åの厚さで98重量%のAlq3及び2重量%のクマリン6を共蒸着し、青色電界発光層D11として150Åの厚さでDPVBiを蒸着することにより3原色(即ち、赤、緑及び青)を放出する電界発光層を形成した。
【0080】
Alq3を電子輸送層D08として250Åの厚さで真空蒸着し、そしてLiF及びAlを、それぞれ、電子注入層D15及びカソードD04として10Å及び2000Åの厚さで蒸着し、それにより有機電界発光素子の作製を完了した。
【0081】
比較例1に従って作製した有機電界発光素子のスペクトルを測定して図13に示した。以下の表3は、電流密度11mA/cm、25mA/cm、50mA/cm及び100mA/cmで測定した有機電界発光素子の特性を示している。
【0082】
【表3】

【0083】
図13及び表3に示した有機電界発光素子のスペクトル及び特性によれば、青色、緑色及び赤色波長のピークが452nm、517nm及び582nmに現われ、そして単純に積層したR、G及びBの電界発光層から放出された光が混ざって色度座標(0.340,0.373)の白色光となった。
【0084】
ここで、表3に示したように、有機電界発光素子は、10mA/cmにおいて、発光効率4.2cd/A及び電力効率1.8lm/Wを示した。有機電界発光素子に印加する電流密度を10mA/cmから100mA/cmに増加させた時、色度座標は(0.340,0.373)から(0.355,0.415)へシフトした。
【0085】
上述した通り、単純な積層構造を有する従来の有機電界発光素子において、正孔と電子との結合により生成される励起子は、印加される電圧及び電流の強さに応じて異なる領域に存在する。これは、発光領域が変化することを意味している。
【0086】
電界発光層の個数が増加するにつれて、発光領域の変化は大きくなる。図13のスペクトルに示されているように、青色発光の寄与は、電流密度が増加するにつれて顕著に減少する。
【0087】
従って、実施例1及び2の有機電界発光素子が、比較例1の有機電界発光素子と比べて、140%の向上した発光効率及び128%の向上した電力効率を有していることがわかる。
【0088】
図14は、実施例2及び比較例1に従って作製した白色光有機電界発光素子の発光寿命を示しており、表4は、経年劣化による実施例2及び比較例1に従って作製した白色光有機電界発光素子の色度座標シフトを示している。
【0089】
図14は、半減寿命(half life reduction time)を示すグラフであり、これは、以下の条件を維持した時に、初期輝度(L)が50%低下するのにかかる時間として定義される:23゜C、湿度10ppm、且つ酸素5ppm。
【0090】
実施例2に従って作製した有機電界発光素子は、初期輝度が1000cd/mである場合、355時間の半減寿命を持っていたことが図11からわかる。一方、比較例1に従って作製した白色発光有機電界発光素子は、355時間の半減寿命を持っていた。従って、実施例2に従って作製した白色発光有機電界発光素子は、比較例1に従って作製した白色発光有機電界発光素子と比べて、130%向上した寿命を持つと結論付けることができる。
【0091】
【表4】

【0092】
表4に示した経年劣化による色度座標のシフトを見ると、有機電界発光素子が経年劣化するにつれて、赤色、緑色及び青色の原色は、実施例2の有機電界発光素子において一様に減少する。初期の白色の座標(0.341,0.373)は同様のレベルで維持され、半減寿命が殆ど経過すると(即ち、350時間)、色度座標は(0.346,0.377)へ変化する。
【0093】
一方、比較例1の有機電界発光素子においては、青色電界発光層の発光効率の急激な低下により、初期の白色の座標(0.340,0.373)は、ほぼ半減寿命である270時間のうちに(0.358,0.420)へ移動する。即ち、白色光は、黄色及び橙色へ著しく変化する。
【0094】
本発明を、現在のところ実用的で例示的な実施形態であると思われるものに関して説明してきたが、本発明は開示した実施形態に限定されず、反対に、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に含まれる様々な改良及び同等の構成を含むことを意図していることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】単純な積層構造を有しており、2つの補色の組み合わせによって白色光を実現している白色発光有機電界発光素子の一例を示す断面図である。
【図2】単純な積層構造を有しており、3色の組み合わせによって白色光を実現している白色発光有機電界発光素子の一例を示す断面図である。
【図3】p型及びn型のドープ層を有するタンデム型の白色発光有機電界発光素子の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の一つの実施形態による白色発光有機電界発光素子の構造を示す断面図である。
【図5】本発明の一つの実施形態による、部分的に形成された絶縁層を更に含む白色発光有機電界発光素子の構造を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態による白色発光有機電界発光素子を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態による白色発光有機電界発光素子を示す断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態による白色発光有機電界発光素子を示す断面図である。
【図9】本発明の第4の実施形態による白色発光有機電界発光素子を示す断面図である。
【図10】本発明の実施例1による白色発光有機電界発光素子の発光スペクトルを示している。
【図11】本発明の実施例2による白色発光有機電界発光素子の発光スペクトルを示している。
【図12】比較例1による白色発光有機電界発光素子を示す断面図である。
【図13】本発明の比較例1による白色発光有機電界発光素子の発光スペクトルを示している。
【図14】本発明の実施例2及び比較例1による白色発光有機電界発光素子の寿命を示している。
【符号の説明】
【0096】
A10、B10、C10、D10 透明基板
A01、B01、C01、D01 アノード
A05、B05、C05、D05 正孔注入層(HIL)
A06、B06、C06a、C06b、D06 正孔輸送層(HTL)
A07、A09、B07、B09、B11、C07a、C07b、D07、D09、D11 電界発光層(EML)
A08、B08、C08a、C08b、D08 電子輸送層(ETL)
A15、B15、C15、D15 電子注入層
A04、B04、C04、D04 カソード
C20 p型ドープ層 C21 n型ドープ層
010 透明基板
100、100a、100b、100c、100d 第1の素子
200、200a、200b、200c、200d 第2の素子
101 第1のアノード 201 第2のアノード
102 第1の絶縁層 202 第2の絶縁層
103、103a、103b、103c、103d 第1の素子の有機層
203、203a、203b、203c、203d 第2の素子の有機層
104 反射カソード 204 透明又は半透明カソード
105 第1の正孔注入層(HIL) 205 第2の正孔注入層(HIL)
106 第1の正孔輸送層(HTL) 206 第2の正孔輸送層(HTL)
108 第1の電子輸送層(ETL) 208 第2の電子輸送層(ETL)
115 第1の電子注入層 215 第2の電子注入層
107、109、111、112 第1の電界発光層(EML 1)
110、206、211 第2の電界発光層(EML 2)
209、212、213 第3の電界発光層(EML 3)
210 第4の電界発光層(EML 4)
220 カソード保護層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板;
透明基板の第1の基板に順次配置された第1のアノード、第1の素子の有機層及び反射カソードを含む第1の素子;並びに
透明基板の第2の表面に順次配置された第2のアノード、第2の素子の有機層、及び透明又は半透明カソードを含む第2の素子、
を有する、白色発光有機電界発光素子。
【請求項2】
第1の素子の有機層及び第2の素子の有機層が、赤色電界発光層、青色電界発光層、黄色電界発光層及び緑色電界発光層からなる群から選択される少なくとも1つの電界発光層を有し、且つ
それぞれ第1の素子の有機層及び第2の素子の有機層に配置された電界発光層が、少なくとも2つの異なる色の光を放出する、
請求項1の白色発光有機電界発光素子。
【請求項3】
第1の素子の有機層が、第1のアノードの上部に順次積層された第1の正孔注入層、第1の正孔輸送層、第1の電界発光層及び第1の電子輸送層を有し、
第2の素子の有機層が、第2のアノードの上部に順次積層された第2の正孔注入層、第2の正孔輸送層、第2の電界発光層及び第2の電子輸送層を有し、且つ
第1の電界発光層と第2の電界発光層とが異なる色の光を放出する、
請求項2の白色発光有機電界発光素子。
【請求項4】
第1の素子の有機層が、第1のアノードの上部に順次積層された第1の正孔注入層、第1の正孔輸送層、第1の電界発光層、第2の電界発光層、第1の電子輸送層及び反射カソードを有し、
第2の素子の有機層が、第2のアノードの上部に順次積層された第2の正孔注入層、第2の正孔輸送層、第3の電界発光層、第4の電界発光層、第2の電子輸送層、及び透明又は半透明カソードを有し、且つ
第1乃至第4の電界発光層の少なくとも1つが、他の電界発光層の色とは異なる色の光を放出する、
請求項2の白色発光有機電界発光素子。
【請求項5】
第1の素子の有機層が、第1のアノードの上部に順次積層された第1の正孔注入層、第1の正孔輸送層、第1の電界発光層、第1の電子輸送層及び反射カソードを有し、
第2の素子の有機層が、第2のアノードの上部に順次積層された第2の正孔注入層、第2の正孔輸送層、第2の電界発光層、第3の電界発光層、第2の電子輸送層、及び透明又は半透明カソードを有し、且つ
第1の電界発光層が、赤色電界発光層、青色電界発光層、黄色電界発光層及び緑色電界発光層からなる群から選択されるものであり、第2の電界発光層が、第1の電界発光層として選択されたものを除いた群から選択されるものであり、且つ第3の電界発光層が、残りのものである、
請求項2の白色発光有機電界発光素子。
【請求項6】
第1の素子の有機層が、第1のアノードの上部に順次積層された第1の正孔注入層、第1の正孔輸送層、第1の電界発光層、第2の電界発光層、第1の電子輸送層及び反射カソードを有し、
第2の素子の有機層が、第2のアノードの上部に順次積層された第2の正孔注入層、第2の正孔輸送層、第3の電界発光層、第2の電子輸送層、及び透明又は半透明カソードを有し、且つ
第1の電界発光層が、赤色電界発光層、青色電界発光層、黄色電界発光層及び緑色電界発光層からなる群から選択されるものであり、第2の電界発光層が、第1の電界発光層として選択されたものを除いた群から選択されるものであり、且つ第3の電界発光層が、残りのものである、
請求項2の白色発光有機電界発光素子。
【請求項7】
第1の素子の有機層が、第1の電子輸送層と反射カソードとの間に第1の電子注入層を更に有するか、或いは
第2の素子の有機層が、第2の電子輸送層と透明又は半透明カソードとの間に第2の電子注入層を更に有するか、或いは
第1の素子の有機層及び第2の素子の有機層が、第1の電子注入層及び第2の電子注入層を更に有する、
請求項3の白色発光有機電界発光素子。
【請求項8】
第1の素子の有機層が、第1の電子輸送層と反射カソードとの間に第1の電子注入層を更に有するか、或いは
第2の素子の有機層が、第2の電子輸送層と透明又は半透明カソードとの間に第2の電子注入層を更に有するか、或いは
第1の素子の有機層及び第2の素子の有機層が、第1の電子注入層及び第2の電子注入層を更に有する、
請求項4の白色発光有機電界発光素子。
【請求項9】
第1の素子の有機層が、第1の電子輸送層と反射カソードとの間に第1の電子注入層を更に有するか、或いは
第2の素子の有機層が、第2の電子輸送層と透明又は半透明カソードとの間に第2の電子注入層を更に有するか、或いは
第1の素子の有機層及び第2の素子の有機層が、第1の電子注入層及び第2の電子注入層を更に有する、
請求項5の白色発光有機電界発光素子。
【請求項10】
第1の素子の有機層が、第1の電子輸送層と反射カソードとの間に第1の電子注入層を更に有するか、或いは
第2の素子の有機層が、第2の電子輸送層と透明又は半透明カソードとの間に第2の電子注入層を更に有するか、或いは
第1の素子の有機層及び第2の素子の有機層が、第1の電子注入層及び第2の電子注入層を更に有する、
請求項6の白色発光有機電界発光素子。
【請求項11】
第2の素子が、透明又は半透明カソードの上部にカソード保護層を更に有する、請求項1の白色発光有機電界発光素子。
【請求項12】
第2の素子が、透明又は半透明カソードの上部にカソード保護層を更に有する、請求項2の白色発光有機電界発光素子。
【請求項13】
第2の素子が、透明又は半透明カソードの上部にカソード保護層を更に有する、請求項3の白色発光有機電界発光素子。
【請求項14】
第2の素子が、透明又は半透明カソードの上部にカソード保護層を更に有する、請求項4の白色発光有機電界発光素子。
【請求項15】
第2の素子が、透明又は半透明カソードの上部にカソード保護層を更に有する、請求項5の白色発光有機電界発光素子。
【請求項16】
第2の素子が、透明又は半透明カソードの上部にカソード保護層を更に有する、請求項6の白色発光有機電界発光素子。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2009−521095(P2009−521095A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547116(P2008−547116)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/KR2006/005687
【国際公開番号】WO2007/073124
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(507299367)ドゥサン コーポレーション (10)
【Fターム(参考)】