説明

皮下多脂質細胞から熱を除去するための冷却装置

本発明は、皮膚を有する対象の皮下多脂質細胞から熱を除去する冷却装置に関する。冷却装置(104)は、支持体(128)を有し、この支持体(128)は、第1の部分(129a)及び第2の部分(129b)を有する。第1の熱交換面(131a)を有する第1の冷却要素(130a)が第1の部分(129a)に配置され、第2の熱交換面(131b)を有する第2の冷却要素(130b)が第2の部分(129b)に配置される。第1の冷却要素(130a)及び第2の冷却要素(130b)のうちの少なくとも一方は、支持体(128)に沿って移動可能であり、第1の熱交換面(131a)と第2の熱交換面(131b)の間の角度を調整するために回転するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮下多脂質細胞から熱を除去するための冷却装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
統計が示しているように、過剰な体脂肪は、様々な種類の疾患を発現させる可能性を高め、かかる疾患は、例えば、心臓病、高血圧、変形性関節症、気管支炎、高血圧症、糖尿病、深部静脈血栓、肺塞栓、拡張蛇行静脈、胆石、ヘルニア及びいくつかのその他の疾患である。
【0003】
過剰な体脂肪は、深刻な健康リスクであることに加えて、個人的な外観と運動能力を低下させる。例えば、過剰な体脂肪は、セルライトを形成し、セルライトは、表皮の表面に“オレンジピール”効果を引き起こす。表皮がその下の構造的繊維に付着しているところで、皮下脂肪が真皮内に突出して小さい凹みを形成するとき、セルライトが形成される。セルライトと過剰量の脂肪は、魅力的ではないとしばしば考えられる。従って、過剰な脂肪と関連した深刻な健康リスクと美的関心の見地から、体脂肪の過剰な蓄積を制御する効果的な方法が、緊急に必要とされている。
【0004】
脂肪吸引は、人の体を形作るように体脂肪を選択的に除去する方法である。脂肪吸引は、典型的には、皮下脂肪細胞を吸引によって機械的に取除く特殊な外科機器を使用して、形成外科医によって実行される。脂肪吸引の1つの欠点は、脂肪吸引が本格的な外科的処置であり、回復に痛みを伴うことである。脂肪吸引は、深刻で、ときには致死的な合併症を引き起こすことがある。加えて、脂肪吸引の費用は、通常、高額である。
【0005】
過剰な体脂肪を除去するための従来の非侵襲性の処置は、典型的には、局所薬、減量薬、定期的な運動、ダイエット、又は、これらの処置の組合せを含む。これらの処置の1つの欠点は、それらが効果的でなかったり、ある状況では不可能でさえあったりすることである。例えば、人が負傷していたり、病気になったりしているとき、定期的な運動は、選択肢にならない。同様に、減量薬又は局所薬は、それらがアレルギー反応、即ち、陰性反応を生じさせるとき、選択肢にならない。更に、減量薬の使用しても、人の体の選択的な領域の脂肪低下を達成することはできない。
【0006】
その他の非侵襲性の処置方法は、皮下多脂質細胞の領域に熱を付与することを含む。特許文献1は、表皮の表面を冷却しながら、皮下脂肪層を放射エネルギーで加熱することによって、皮下体脂肪及び/又はコラーゲンを変化させることを開示している。付与した熱により、コラーゲン組織で作られた繊維質の隔膜を変性させて、表皮の下の脂肪細胞を破壊し、冷却により、表皮を熱的損傷から保護している。この方法は、脂肪吸引よりも侵襲性が低いけれども、依然として、隣接した組織に熱的損傷を生じさせることがある。
【0007】
皮下脂肪細胞を減少させる別の有望な方法は、特許文献2に開示されているように、目標細胞を冷却することであり、特許文献2の開示全体を本明細書に援用する。特許文献2は、とりわけ、表皮の細胞を損傷させることなしに脂肪細胞に選択的に作用するように、多脂質皮下脂肪細胞の温度を低下させることを開示している。特許文献2は、有望な方法及び装置を提供しているけれども、これらの方法及び装置の実現を促進させるために、いくつかの改良が望まれる。
【0008】
また、特許文献2は、多脂質細胞を選択的に除去すると共に、皮膚及び表皮細胞を含むその他の構造への損傷を回避する方法を開示している。また、コラーゲンの圧縮、再構築及び形成を引き起こす方法は、ゆるんだ又はたるんだ皮膚、老化又は日焼けして損傷した皮膚、又は、様々なその他の皮膚の異状の処置のために必要とされる。従って、多脂質細胞を除去すると同時に、有利なコラーゲン効果を得る方法も必要とされる。
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,948,011号
【特許文献2】米国特許公開公報第2003/0220674号
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
〔A.概観〕
本明細書は、皮下多脂質細胞を冷却するための装置、システム、及び方法を記載する。用語“皮下組織”は、真皮の下にある組織を意味し、含脂肪細胞(脂肪細胞)と、皮下脂肪とを含む。後述する実施形態を説明するために、以下に説明するいくつかの詳細は、開示された実施形態を当業者が生産し且つ使用するのに充分な仕方で行われることを認識すべきである。しかしながら、以下に説明するいくつかの詳細及び利点は、本発明のある実施形態を実施するのに必要ではない。更に、本発明は、特許請求の範囲の範囲の記載に包含されるが、図1〜図6に関して詳細に説明していない他の実施形態を含む。
【0011】
1つの態様は、皮下多脂質細胞から熱を除去する冷却装置に向けられる。冷却装置は、第1の部分及び第2の部分を備えた支持体と、第1の熱交換面を備えた第1の冷却要素と、第2の熱交換面を備えた第2の冷却要素とを有している。第1の冷却要素は、支持体の第1の部分に配置され、第2の冷却要素は、支持体の第2の部分に配置される。第1の冷却要素及び第2の冷却要素のうちの少なくとも一方は、支持体に沿って移動可能であり、第1の冷却要素及び第2の冷却要素のうちの少なくとも一方は、第1の熱交換面と第2の熱交換面の間の角度を調整するために回転するように構成される。第1の冷却要素及び第2の冷却要素は、例えば、二次元又は三次元で回転可能である。第1の冷却要素及び第2の冷却要素は、多数の冷却技術を使用でき、かかる冷却技術は、熱電式冷却装置、冷却流体の再循環、蒸気圧縮要素、又は相変化極低温装置などを含む。当業者は、使用できる多数の他の冷却技術が存在し、冷却要素は本願に開示されたものに限定する必要がないことを認識すべきである。更に別の態様は、冷却装置が携帯装置として構成されることを含む。
【0012】
別の態様は、熱電の原理又はその他の冷却技術を使用する冷却部材を備えた冷却装置に向けられる。また、冷却装置は、冷却部材に熱的に連通した熱放散部材と、対象(object)の皮膚に接触するように構成された熱交換面を有するインターフェース部材とを有している。冷却部材は、領域の多脂質細胞が作用を受けるながら多脂質でない細胞がほぼ作用を受けないように、領域の温度を低下させることができる。更なる態様によれば、熱交換面は、冷却効果を集中させるために、湾曲面であるのがよい。
【0013】
更に別の態様は、互いに対して回転可能な2つの冷却要素を有する冷却装置を適用する方法に向けられる。冷却要素は、対象の皮膚から熱を除去できる熱交換面を有する。方法は、冷却要素を回転させて、2つの熱交換面の間の所望の配向を得る段階と、2つの冷却要素の熱交換面を所望の温度に冷却する段階と、冷却された熱交換面を対象の皮膚に近接させて配置する段階と、領域内の多脂質細胞が作用を受けながら表皮の多脂質でない細胞がほぼ作用を受けないように、領域の温度を低下させる段階とを有している。更なる態様は、冷却装置をオペレータの少なくとも片手で保持することを含む。
【0014】
更に別の態様は、皮下多脂質細胞から熱を除去するシステムに向けられる。システムは、互いに対して所望の配向を達成することができる2つの回転可能な冷却要素を有する冷却装置と、冷却装置によって発生した熱を放散するように冷却装置に結合されたヒートシンクとを有している。2つの冷却要素を対象の皮膚に近接して配置すると、2つの冷却要素は、領域内の多脂質細胞が作用を受けながら表皮及び/又は真皮がほぼ作用を受けないように、領域の温度を低下させることができる。更なる態様は、冷却装置が携帯装置として構成されることを含む。
【0015】
〔B.選択的に多脂質細胞を減少させるシステム〕
図1は、本発明の実施形態に従った、対象101の皮下多脂質細胞から熱を除去するシステム100を示す斜視図である。システム100は、対象101の皮下多脂質細胞から熱を除去するために、対象101の腹部領域102又はその他の適当な領域に配置される冷却装置104を有している。冷却装置104の様々な実施形態を、図2〜図5を参照して以下に詳細に説明する。
【0016】
システム100は更に、冷却ユニット106と、冷却装置104を冷却ユニット106に接続する流体配管108a,108bとを有している。冷却ユニット106は、流体配管108a,108bを介して、熱を冷却剤からヒートシンクに除去したり、冷却された冷却剤を冷却装置104に供給したりする。循環冷却剤の例は、水、グリコール、合成熱移送流体、油、冷凍剤、及び任意その他の適当な伝熱流体を含む。流体配管108a,108bは、ポリエチレン、塩化ビニル、ポリウレタン、及び特定の循環冷却剤に順応したその他の材料で構成されたホース又はその他の導管を含む。冷却ユニット106は、冷凍ユニット、冷却塔、熱電式冷却装置、又は、冷却剤から熱を除去することが可能な任意その他の装置である。
【0017】
後で詳しく述べるように、冷却装置104は、ペルチェ式の熱電式要素等の1つ又は2つ以上の熱電式冷却要素を有している。その場合、システム100は、更に、電源110と、冷却装置104に作動的に結合された処理ユニット114とを有している。1つの実施形態では、電源110は、冷却装置104に直流電圧を供給し、対象101からの一定の熱除去速度を実現する。処理ユニット114は、冷却装置104に近接して配置されたセンサ(図示せず)を介して、処理パラメータを監視し、処理パラメータに基づいて熱除去速度を調整する。処理ユニット114は、任意のプロセッサ、プログラマブル論理制御装置、分散制御装置などを有する。
【0018】
別の側面では、処理ユニット114は、入力装置118、出力装置120及び/又は制御パネル122と電気的に連通している。入力装置118は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、押しボタン、スイッチ、ポテンショメータ、及びユーザ入力を受入れるのに適した任意その他の装置を含む。出力装置120は、表示スクリーン、プリンタ、メディアリーダ、音響装置、及びユーザフィードバックを提供するのに適した任意その他の装置を含む。制御パネル122は、表示ランプ、数字の表示、及び音響装置を含む。図1に示す実施形態では、処理ユニット114、電源110、制御パネル122、制御ユニット106、入力装置118及び出力装置120は、移動のための車輪126を備えたラック124によって支持されている。別の実施形態では、様々な構成要素が処置現場に固定され且つ据え付けられていてもよい。
【0019】
システム100に期待される1つの利点は、対象101の現在の物理的な状態にかかわりなく、冷却装置104を対象101に適用できることである。例えば、たとえ対象101が歩行できなかったり病気であったりしても、システム100を適用できる。別の期待される利点は、システム100が、対象101の皮膚に孔あけすることなしに且つ非侵襲的に脂肪を除去し又は脂肪に作用することができることである。更に別の期待される利点は、システム100は小型であり、外来患者施設又は診察室において使用できることである。更に別の期待される利点は、システム100が高電圧電源を必要とせずに、皮下層にある多脂質細胞を迅速に冷却できることである。
【0020】
〔C.回転可能な冷却要素を備えた冷却装置〕
図2Aは、システム100に使用するのに適した本発明の1つの例による冷却装置104の斜視図である。この例では、冷却装置104は、第1の部分129a及び第2の部分129bを有する支持体128と、第1の部分129aに配置された第1の冷却要素130aと、第2の部分129bに配置された第2の冷却要素130bとを有している。冷却装置104は、一般に、手動操作用の携帯ユニットとして構成され、且つ/又は、ひもで留められてもよいし、対象に解放可能に取付けられる別の手段で構成されてもよい。第1の冷却要素130a及び/又は第2の冷却要素130bは、作動中に処置領域に圧力を付与するように冷却要素130a,130bを配置するために、支持体128に沿って移動させたり回転させたりすることができるように構成されている。これらの特徴を、冷却装置の特定の例を参照して後でより詳細に説明する。
【0021】
第1の冷却要素130a及び第2の冷却要素130bは、多くの類似する特徴を有している。その場合、第1の冷却要素130aの特徴を、参照符号の末尾に“a”を付して以下に説明し、それに対応する第2の冷却要素130bの特徴を、同一の参照符号に“b”を付して示し、注目する。第1の冷却要素130aは、ハウジング139aと、流体配管108a,108bに接続された流体ポート138a,138bとを有している。ハウジング139aは、ポリマー材料、金属、セラミック、木、及び/又は、その他の適当な材料で構成される。図2Aに示すハウジング139aの例は、略矩形をなすけれども、任意のその他の所望の形状を有していてもよい。
【0022】
第1の冷却要素130aは、更に、第1のインターフェース部材132aを有し、この第1のインターフェース部材132aは、熱を対象101に移送したり対象101から移送したりする第1の熱交換面131aを有する。1つの例では、第1の熱交換面131aは、略平坦であるが、別の例では、第1の熱交換面131aは、平坦でなくてもよい(例えば、曲面、切子面など)。第1のインターフェース部材132aは、0.05ワット/メートル ・ケルビン温度よりも大きい熱伝導率を有する任意適当な材料で構成され、多くの例では、熱伝導率は、0.1ワット/メートル ・ケルビン温度よりも大きい。適当な材料の例は、アルミニウム、その他の金属、金属合金、グラファイト、セラミック、いくつかのポリマー材料、複合材、又は、可撓性の膜に収容された流体などを含む。図4及び図5を参照して後で説明するように、第1の熱交換面131aの部分は、0.05ワット/メートル ・ケルビン温度よりも小さい熱伝導率しか有しない断熱材料であるのがよい。
【0023】
また、第1の冷却要素130aは、第1の熱交換面131aに近接した少なくとも1つの検出要素135aを有している。検出要素135aは、例えば、熱交換面131aとほぼ面一である。変形例として、検出要素は、熱交換面から凹んでいてもよいし、突出していてもよい。検出要素135aは、温度センサ、圧力センサ、透過率センサ、生体抵抗センサ、超音波センサ、光学センサ、赤外線センサ、又は任意のその他の所望のセンサである。1つの例では、検出要素135aは、第1の熱交換面131aの温度、及び/又は、対象101の皮膚の温度を測定するように構成された温度センサである。例えば、温度センサは、プローブとして又は測定中に皮膚に刺す針として構成される。適当な温度センサの例は、熱電対、抵抗温度計、サーミスタ(例えば、中性子変換ドープされたゲルマニウムサーミスタ)、及び赤外線放射温度センサなどを含む。別の例では、検出要素135aは、対象の処置領域の皮下脂肪の結晶化を測定するように構成された超音波センサである。更に別の例では、検出要素135aは、例えば、処置に対する表皮の生理的反応を検出するために、処置領域の画像を監視するように構成された光学センサ又は赤外線センサである。検出要素135aは、例えば、直接ワイヤ接続、ネットワーク接続、及び/又はワイヤレス接続などを介して、処理ユニット114と電気的に連通している。
【0024】
冷却装置104は、更に、第1の冷却要素130aを支持体128の第1の部分129aに結合させる取付け要素136aを有する。取付け要素136aは、例えば、ピン、玉継手、ベアリング、又はその他の種類の回転可能なジョイントである。適当なベアリングは、限定するわけではないが、ボールベアリング、ローラベアリング、スラストベアリング、及びジャーナルベアリングを含む。従って、取付け要素136aは、第1の冷却要素130aを支持体128に回転可能に結合させるように構成されている。ある実施形態では、第1の冷却要素130aは、第1の熱交換面131aと第2の熱交換面131bの間の角度を調整するために、支持体128に対して二次元で回転する(矢印Aで示す)。別の実施形態では、第1の冷却要素130aは、支持体128に対して三次元で回転できる(矢印A及びB)。
【0025】
特定の例による取付け要素136aは、第1の取付けベース134aと、第1の取付けベース134aに回転可能又は枢動可能なジョイントによって結合されたフランジ137aとを有する。第1の冷却要素130a及び第2の冷却要素130bのうちの少なくとも一方を支持体128に回転可能に取付けることによって、第1の熱交換面131aと第2の熱交換面131bの間の角度を調整できる。例えば、図2Aに示すように、第1の冷却要素130a及び第2の冷却要素130bは、互いに略平行であり、即ち、第1の熱交換面131aと第2の熱交換面131bの間の角度は、略0度である。図2Bに示すように、第1の冷却要素130a及び第2の冷却要素130bは、略同一平面にあり、即ち、第1の熱交換面131aと第2の熱交換面131bの間の角度は、略180゜である。回転可能な取付け要素136a,136bを用いることによって、第1の熱交換面131aと第2の熱交換面131bとの間において、約0゜〜約180゜の任意の角度が得られる。
【0026】
冷却装置104は、更に、シャフト133を有し、第1の取付けベース134aは、シャフト133に取付けられる。後で詳しく述べるように、第1の冷却要素130a及び第2の冷却要素130bの間の距離を調整するために、冷却要素130a,130bのうちの少なくとも一方は、シャフト133に沿って移動し、且つ/又は、シャフト133は、支持体128に対して移動する(矢印C)。より詳しくは、シャフト133は、第1の冷却要素130a及び第2の冷却要素130bの間を延び、冷却要素130a,130bのうちの少なくとも一方が支持体128に対して移動することを可能にする。図2Aに示す実施形態では、第1の取付けベース134aは、シャフト133に固定して取付けられ、第2の冷却要素130bの第2の取付けベース134bは、シャフト133に沿って摺動するように構成されている。他の実施形態では、第1の取付けベース134aと第2の取付けベース134bの両方が、シャフト133に沿って摺動するように構成される。シャフト133は、一般に、ポリマー材料、金属、セラミック、木、又はその他の適当な材料で構成される。
【0027】
冷却装置104は、更に、ハンドル140を有し、ハンドル140は、シャフト133に摺動可能に結合され、又は、シャフト133の一部分として形成されている。ハンドル140は、オペレータの手で保持されるように構成されている。例えば、ハンドル140は、オペレータが保持したときの冷却装置104の安定性を向上させる溝付きのグリップを有する。ハンドル140は、更に、アクチュータ142を有し、アクチュエータ142は、シャフト133と共に作動して、第2の冷却要素130bをシャフト133に対して移動させる。図2Aに示す例では、アクチュータ142は、シャフト133に係合したレバーであり、レバーは、第2の冷却要素130bをシャフト133に沿った軸線方向運動(矢印C)で且つ増分(ステップ送り)的に前進させる。
【0028】
操作の際、オペレータは、ハンドル140を片手で把持することによって、冷却装置104を保持する。次いで、冷却要素130a,130bを、取付け要素136a,136bを介して回転させ、所望の配向を達成する。オペレータは、所望の配向の冷却要素130a,130bを有する冷却装置104を、対象の皮膚に近接して配置し、対象101の皮下の領域から熱を除去する。1つの実施形態では、オペレータは、熱交換面131a,131aが互いに対して略平行であるとき、対象の皮膚の部分を熱交換面131a,131bの間にクランプ留めする。他の実施形態では、熱交換面131a,131bが略同一平面にあるとき、オペレータは、熱交換面131a,131bを対象の皮膚に対して押圧する。ある実施形態では、図4を参照して後述するように、オペレータは、熱電式冷却装置を用いて皮下領域から熱を除去する。オペレータは、検出要素135aから皮膚温度等の測定値を収集する処置工程を監視し且つ制御する。皮下組織を37℃よりも低い温度に冷却することによって、皮下多脂質細胞が選択的に作用を受ける。作用を受けた皮下多脂質細胞は、自然の過程を介して患者に再吸収される。
【0029】
冷却装置104の使用に期待される1つの利点は、同一の領域にある多脂質でない細胞に間接的な損傷を与えることなしに、皮下多脂質細胞を減少させることができることである。一般に、多脂質細胞は、多脂質でない細胞が作用を受けない低温で作用を受ける。その結果、セルライトを形成する等の多脂質細胞が作用を受けながら、同一の領域にある他の細胞は、たとえ表面にある多脂質でない細胞が更に低い温度にさらされても一般的に損傷を受けない。冷却装置104の期待される別の利点は、冷却装置104を携帯装置として構成できるので、冷却装置104が比較的小型であることである。更に別の利点は、冷却要素130a,130bを任意の体の輪郭に一致させるように調整できるので、冷却装置が対象の体の様々な領域に適用することができることである。別の期待される利点は、冷却装置104を対象の皮膚に対して押圧することによって、処置領域を通る血流を減少させ、効率的な冷却を達成できることである。更に別の期待される利点は、熱を単一の冷却要素を介してではなく、2つの熱交換面131a,131bを介して皮膚から除去するので、冷却要素130a,130bの各々のための電力要件を低くすることができることである。
【0030】
第1の冷却要素130a及び第2の冷却要素130bは、異なる及び/又は追加的な特徴を備え且つ両方の冷却要素の作動を損なわない多くの追加的な実施形態を有するのがよい。例えば、第2の冷却要素130bは、第2の熱交換面131bに近接した検出要素を有していてもよいし、有していなくてもよい。第2の冷却要素130bは、第1の冷却要素130aの材料と異なる材料で構成されてもよい。第2の取付けベース134bは、第1の取付けベース134aと異なる形状及び/又は表面形態を有していてもよい。第1の冷却要素130aが回転可能であり、第2の冷却要素130bが回転できなくてもよい。
【0031】
図2Cは、システム100に使用される本発明の一例による冷却装置104の変形例を示している。この変形例、更なる変形例及び本願におけるその他の変形例は、実質的に上述した例と同様であり、共通する作用及び構造を、同一の参照符号によって特定する。作動及び構造の著しい相違だけ、以下に説明する。この例では、冷却装置104は、部分129b及び部分160を有する支持体128と、部分129bに配置された冷却要素130bと、部分160に配置された往復要素164とを有している。冷却装置104は、一般に、手動操作のための携帯ユニットとして構成され、及び/又は、ひもで留められてもよいし、対象に解放可能に取付ける別の手段で構成されてもよい。この例では、作動中に処置領域に圧力を付与するように往復要素164を配置するために、往復要素164は、支持体128に沿って移動し且つ/又は回転するように構成される。往復要素164は、ハウジング166と、検出要素162を有するのがよい。ハウジング166は、ポリマー材料、金属、セラミック、木、及び/又はその他適当な材料で構成されるのがよい。図2Cに示すハウジング166の例は、略矩形であるが、任意その他の所望の形状を有していてもよい。
【0032】
往復要素164は、皮膚(図示せず)に近接した少なくとも1つの検出要素162を有するのがよい。検出要素162は、例えば、往復要素164の表面に対して略面一である。変形例として、検出要素は、表面から凹んでいてもよいし、突出していてもよい。検出要素162は、本明細書で詳細に説明するように、温度センサ、圧力センサ、透過率センサ、生体抵抗センサ、超音波センサ、光学センサ、赤外線センサ、又は任意その他の所望のセンサである。
【0033】
図3A及び図3Bはそれぞれ、図2A及び図2Bに示した冷却装置104の実施形態の端面図及び側面図である。図1〜図3Bにおいて、同一の参照符号は、同一の特徴及び構成要素を参照する。1つの態様では、第1の冷却要素130aは、流体チャンバ150aをハウジング139a内に有している。流体チャンバ150aは、流体が流体チャンバ150aを通して循環するように、流体ポート138a,138bと流体的に連通している。選択的に、流体チャンバ150aは、流体チャンバ150を通る均一な又は制御された流体循環を促進させる1つ又は2つ以上の流れ要素を有している。例えば、流体チャンバ150aは、バッフル、静的ミキサー、ノズル、ベンチュリ、オリフィス、又はこれらの流れ要素の任意の組合せを含む。流体チャンバ150aは、流体冷却剤を受入れるように構成されるのがよく、流体冷却剤は、例えば、水、グリコール、合成熱移送流体、油、冷凍剤、空気、二酸化炭素、窒素、及びアルゴンである。
【0034】
第1のインターフェース部材132aは、ハウジング139aに配置されたディフューザであるのがよく、第1の熱交換面131aは、流体チャンバ150aから離れた方に面している。従って、第1のインターフェース部材132aは、流体チャンバ150aと熱的に連通し、第1の熱交換面131aと流体チャンバ150aとの間で熱を移送する。1つの実施形態では、インターフェース部材132aは、機械的固定具を用いてハウジング139aに取外し可能に取付けられ、それにより、流体チャンバ150aへの即ち第1のインターフェース部材132aの裏側へのアクセスを可能にする。前述したように、検出要素135aは、第1の熱交換面131aに少なくとも近接して第1のインターフェース部材132a内に配置されるのがよい。
【0035】
第1の冷却要素130aはまた、第1の冷却要素130aが対象に付与する圧力を検出する圧力センサ152をハウジング139aと取付け要素136aとの間に有するのがよい。1つの実施形態では、第1のインターフェース部材132aは、第1の熱交換面131aに付与される圧力がハウジング139aを介して圧力センサ152に伝達されるように、ハウジングに取付けられる。変形例として、圧力センサ152は、流体チャンバ150a内の圧力変動を監視するために、流体チャンバ150a内の圧力を検出するように構成される。変形例として、圧力は、力と冷却要素の既知の接触面積とから推論されてもよい。例えば、センサ152は、任意の種類の荷重感知圧力センサ要素であり、かかる圧力センサ要素は、コネチカット州スタムフォードにある、OMEGA Engineering, Incによって生産されているロードセル(モデル #LC201−25)等である。圧力測定膜を冷却要素と皮膚との間の界面に直接配置することによって、直接的な圧力測定を行ってもよい。
【0036】
また、第2の冷却要素130bは、第1の冷却要素130aの第1のインターフェース部材132aと類似した第2のインターフェース部材132bを有している。図3Bに示すように、第2のインターフェース部材132bは、熱交換面131bに近接した検出要素を有していない。しかしながら、第2の冷却要素130bは、第1の冷却要素130aと同様、温度センサ及び/又は圧力センサを有していてもよい。加えて、第1の冷却要素130a及び第2の冷却要素130bは、異なる検出要素を有するように構成されていてもよい。
【0037】
図3Bは、ハンドル140及びアクチュータ142の例の追加の側面を示す。アクチュータ142は、更に、ばね146を有し、ばね146は、レバー(アクチュエータ)を、第2の取付けベース134bに固定して取付けられたストッパ147に押し付ける。操作の際、オペレータがアクチュータ142をハンドル140に近づけるように移動させると、アクチュータ142は、ばね146による力に打ち勝って、第2の取付けベース134bをシャフト133に沿って第1の取付けベース134aに近づけるように移動させる。オペレータがアクチュータ142を解放すると、ばね146は、アクチュータ142をストッパ147に接触させるように押し戻す。
【0038】
冷却装置104は、更に、ロック要素を有し、ロック要素は、第1の冷却要素130a及び第2の冷却要素130bを、決められた相対位置に解放可能に保持する。ロック要素は、シャフト133が通るスロット143を有するキャッチ144であるのがよい。キャッチ144がシャフト133に摩擦係合するように、ロックばね145が、キャッチ144をシャフト133に対して一定の角度で押すのがよい。操作の際、オペレータがアクチュータ142をハンドル140に向かって移動させると、シャフト133は、ロックばね145による力に打ち勝って、第2の取付けベース134bを第1の取付けベース134aに近づけるように移動させる。オペレータがアクチュータ142を解放すると、ロックばね145は、キャッチ144をアクチュータ142から遠ざかるように押し、キャッチ144がシャフト133に再び係合し、それにより、シャフト133がスロット143の中を摺動することを防止する。オペレータがキャッチ144をハンドル140に近づけるように移動させると、キャッチ144がシャフト133から離れ、シャフト133がスロット143の中を摺動することを可能にし、第2の冷却要素130bを第1の冷却要素130aから遠ざかるように移動させることができる。オペレータがキャッチ144を解放すると、キャッチは、シャフト133に再び係合し、シャフト133が移動することを防止する。
【0039】
〔D.回転可能な冷却要素を備えた冷却装置の適用方法〕
操作の際、第1の冷却要素130a及び第2の冷却要素130bを回転させることによって、第1の熱交換面131aと第2の熱交換面131bの間の角度を選択する。第1の冷却要素130aと第2の冷却要素130bの間の角度は、しばしば、第1の熱交換面131a及び第2の熱交換面131bを対象101の様々な体の輪郭及び/又は所望のクランプ留め配置に一致させるように選択される。図2Aに示す実施形態では、処置領域を第1の冷却要素130aと第2の冷却要素130bの間にクランプ留めするために、第1の熱交換面131aと第2の熱交換面131bの間の角度は、略0゜であり、即ち、第1の熱交換面131a及び第2の熱交換面131bは、互いに対して略平行である。図2Bに示す実施形態では、第1の熱交換面131aと第2の熱交換面131bの角度は、180゜であり、即ち、第1の熱交換面131a及び第2の熱交換面131bは、略同一平面にある。他の実施形態では、当業者が認識するように、第1の熱交換面131aと第2の熱交換面131bの間の角度は、概略0゜と概略180゜の間の任意の角度である。
【0040】
冷却要素130a,130bを配置した後、オペレータは、冷却装置104を対象101の皮膚に近接して配置する。図2Aに示す実施形態(上記角度は略0゜)では、最初、冷却要素130a,130bを、患者の皮膚のひだが配置される第1の距離だけ互いに対して離しておく。次に、オペレータは、アクチュータ142を引いて、皮膚のひだが冷却要素130a,130bの間にクランプ留めされるまで、第2の冷却要素130bを第1の冷却要素130aに近づけるように押す。クランプ力を、アクチュータ142を使用することによって増加させてもよいし、キャッチ144を分離させることによって減少させてもよい。選択的には、圧力センサ152を使用して、第1のインターフェース部材132aを介して付与されるクランプ圧力を検出し、検出されたクランプ力を処理ユニット114によって処理して、出力装置120に表示する。次いで、クランプ力を、表示された値に基づいて調整する。例えば、クランプ力は、皮膚のひだの中に入る血流を妨げ又は閉塞させるために、皮膚のひだにおける心収縮期圧力よりも大きいのがよい。後で詳しく述べるように、かかる圧力を付与すると、体幹の熱を目標領域に移送する血流が少なくなるので、目標領域のより効果的な冷却が可能になる。
【0041】
図2Bに示す別の実施形態(上記角度は略180゜)において、冷却装置104を配置することは、第1の熱交換面131a及び第2の熱交換面131bを対象の皮膚の領域に押圧することを含む。1つの態様では、対象の皮膚に付与される圧力は、対象の皮膚における心収縮期の血圧よりも大きく又はそれと等しい。選択的には、圧力センサ152を使用して、第1のインターフェース部材132aを介して付与される圧力を検出し、対象の皮膚に付与される圧力を、上述したように調整してもよい。
【0042】
対象の皮膚のひだをクランプ留めすること、又は、皮膚を押圧することは、効率的な冷却を達成するのに有利である。一般的に、対象101は、約37℃の体温を有し、血液循環は、一定の体温を維持するための1つの機構である。その結果、目標領域の真皮及び皮下層を通る血流は、皮下脂肪の冷却に反する熱源である。その場合、血流が減少しなければ、皮下組織を冷やすために、組織の特定の熱を除去するだけでなく、組織を通って循環する血液の熱を除去することを必要とする。従って、目標領域を通る血流を減少させ又はなくすことにより、冷却の効率を改善することができ、真皮及び表皮からの過度の熱損失を回避することができる。
【0043】
皮下組織を37℃よりも低い温度に冷却することによって、皮下多脂質細胞に選択的に作用できる。一般に、対象101の表皮及び真皮は、その下で皮下組織を形成している多脂質細胞よりも少ない量の不飽和脂肪酸を有する。通は、多脂質でない細胞は、多脂質細胞よりも良好に低温に耐えられるので、皮下多脂質細胞は選択的に作用を受けながら、真皮及び表皮の多脂質でない細胞は維持される。冷却要素130a,130bの例示的な範囲は、約−20℃〜約20℃であり、好ましくは、約−20℃〜約10℃であり、より好ましくは、約−15℃〜約5℃であり、更に好ましくは、約−10℃〜約0℃である。
【0044】
多脂質細胞は、分裂、萎縮、無能化、破壊、除去、消滅、又はその他の変化による作用を受ける。理論によって縛られることなしに、多脂質細胞に選択的に作用することは、多脂質でない細胞の結晶化を引き起こさない温度における高飽和脂肪酸の局所的な結晶化による結果であると考えられる。結晶は、多脂質細胞の2層膜を裂き、これらの細胞を選択的に壊死させる。従って、真皮細胞などの多脂質でない細胞の損傷は、多脂質細胞の結晶形成を引き起こす温度において回避できる。また、冷却は、皮下多脂質細胞の減少を更に促進させるために、多脂質細胞の脂肪分解(例えば、脂肪代謝)を引き起こすと考えられる。脂肪分解は、局所的な冷却への暴露によって促進され、交感神経系の刺激を引き起こす。
【0045】
ある実施形態では、いったん所望の温度を達成したら、領域の温度を、予め決められた所定の期間だけ維持する。熱交換面131a,131bを皮膚から離すことによって、冷却サイクルを終了する。所定の期間の後、多脂質細胞の所望の減少が得られるまで、冷却装置104を、上述したように、皮膚の同一部分に再び当てる。別の実施形態では、冷却装置104を皮膚の異なる部分に上述したように当て、異なる皮下目標領域における多脂質細胞に選択的に作用する。
【0046】
上述したいくつかの実施形態に期待される1つの利点は、冷却装置104が、真皮、表皮及び/又はその他の組織に容認できない作用を与えることなしに、選択的に皮下多脂質細胞を減少させることができることである。別の期待される利点は、冷却装置104が、同時に、選択的に皮下多脂質細胞を減少させながら、真皮及び/又は表皮に有利な効果を提供することである。これらの効果は、繊維増殖、ネオコラーゲネシス、コラーゲン収縮、コラーゲン圧縮、コラーゲン密度増加、コラーゲン改造、及び表皮肥厚(表皮を厚くする)を含む。別の期待される利点は、第1の冷却要素130a及び第2の冷却要素130bを回転させて、所望の配向を達成することによって、冷却装置104を対象の様々な体の輪郭に一致させることができることである。更に、別の期待される利点は、冷却装置104が、操作を容易にするため、携帯装置として構成されることである。更に、別の期待される利点は、携帯型冷却装置104を備えたシステム100と、ラックに取付けられた処理ユニット114と、冷却ユニット106とは、小型で効率的であって、上述した方法は、病院に代えて、外来患者クリニック又は診察室でも適用できることである。
【0047】
〔E.熱電式冷却要素を用いた冷却装置〕
図4は、本発明の別の例による冷却装置204の側面図である。この例において、冷却装置204のいくつかの構成要素は、上述した冷却装置104の構成要素と同様である。従って、同様の参照符号は、それに対応する図1〜図4の特徴及び構成要素を参照する。この例では、冷却装置204は、熱電式冷却要素を備えた冷却要素230a,230bを有し、冷却要素230a,230bは、対象101の皮下領域の多脂質細胞に選択的に作用するために、皮下領域の温度を低下させるように構成されている。
【0048】
第1の冷却要素230aは、ハウジング239aと、流体配管108a,108bに接続された複数の流体ポート238aとを有している。また、第1の冷却要素230aは、第1の熱交換面231aを備えた第1のインターフェース部材232aと、第1の流体チャンバ250aとを有している。第1のインターフェース部材232aは、第1の熱交換面231aのところにおいて熱伝導材料で構成されるが、第1の熱交換面231aのまわりにおいて断熱部分211aを有する。
【0049】
第1の冷却要素230aは、更に、ペルチェ式要素等の熱電式冷却装置214aを有し、熱電式冷却装置214aは、第1の側面213aと第2の側面215aとを有している。第1の側面213aは、第1のインターフェース部材232aと熱的に連通し、第2の側面215aは、流体チャンバ250aと熱的に連通している。熱電式冷却装置214aは、外部電源(図示せず)に接続され、熱を第1の側面213aと第2の側面215aの間で移送する。熱電式冷却装置214aは、単一のペルチェ式要素であってもよいし、ペルチェ式要素のアレイであってもよい。1つの適当な熱電式冷却装置は、ミシガン州トラヴァースシティーにある、TE Technologies, Incによって生産されている、ペルチェ式の冷却要素(モデル #CP−2895)である。
【0050】
熱電式冷却装置214aに電力を付与することによって、熱を対象の皮膚から、流体チャンバ250aを循環する流体に第1の熱交換面231aを介して効果的に除去する。例えば、熱電式冷却装置214aに電流を付与すると、熱電式冷却装置214aの第1の側面213aにおいて略37℃よりも低い温度を達成し、熱を対象101から第1の熱交換面231aを介して除去する。熱電式冷却装置214aは、熱を第1の側面213aから第2の側面215aに移送し、次いで、熱は、循環流体に移送される。次いで、冷却ユニット106は、熱を循環流体から除去する。
【0051】
熱電式冷却装置214a,214bは、冷却ユニット106のための高電圧電源を用いることなく、対象101から充分な量の熱を迅速に引くように構成されている。1つの例では、インターフェース部材232a,232bは、寸法が約3cm×4cm×1cmであり、略矩形のアルミニウム板であり、熱電式冷却装置は、公称約160ワットのペルチェ式の熱電式要素である。そのようなとき、冷却装置204は、対象の皮膚の部分(およそ3cm×4cm×5cm)を、約37℃から約−20℃の温度に、迅速かつ効果的に冷却する。冷却ユニット106は、電力消費が過大ではないので、通常の電圧の電源(例えば、120VAC)を使用できる。これにより、システムが病院、診療所、及び小さいオフィスにおいて、より高価な高電圧電気系統なしに、使用できる。
【0052】
また、冷却装置204は、処理ユニット114と電気的に連通し、冷却温度を処理ユニット114によって自動的に調整する。第1の熱交換面231aの温度を、検出要素135aによって検出する。検出された電気信号を、処理ユニット114によって、温度のための処理値に変換する。1つの実施形態では、処理ユニット114は、比例積分微分(PID)コントローラを有し、コントローラは、所望の温度を達成し且つ/又は維持するために、熱電式冷却装置214aへの電力出力を調整する。
【0053】
〔F.湾曲した熱交換面を備えた冷却装置〕
図5は、本発明の別の例による、冷却装置304の側面図である。冷却装置304のいくつかの構成要素は、冷却装置104の構成要素と同様である。その場合、同様の参照符号は、図1〜図5における同様の特徴及び構成要素を参照する。この例では、冷却装置304は、後で詳しく述べるように、湾曲した熱交換面331a,331bを備えた冷却要素330a,330bを有している。
【0054】
第1の冷却要素330aは、ハウジング339aと、流体チャンバ350aと、流体配管108a,108bに接続された流体ポート338aとを有している。第1の冷却要素330aは、更に、インターフェース部材332aを有し、インターフェース部材332a歯、湾曲した熱交換面331aと、裏面333aとを有している。湾曲した熱交換面331aは、凹面であってもよいし、凸面であってもよく、裏面333aは、略平坦であってもよいし、熱交換面331aと同様に湾曲していてもよい。第1の冷却要素330aは、更に、熱電式冷却装置314aを、裏面333aに近接して有し、熱電式冷却装置314aは、熱交換面331aを介して熱を除去するために、流体チャンバ350aと熱的に連通している。
【0055】
図5における第2の冷却要素330bは、第1の冷却要素330aと同様な特徴を有している。特に、第2の冷却要素330bは、凹面である熱交換面331bを有し、熱交換面331bは、熱交換面331aの曲率と略同一の曲率を有している。しかしながら、第2の冷却要素330bは、凹面であるが第1の熱交換面331aと異なる曲率を有する熱交換面331bを有していてもよいし、略平坦又は凸面である熱交換面331bを有していてもよい。そのようなとき、第1の熱交換面331a及び第2の熱交換面331bは、異なる表面曲率の任意の組合せを有していてもよい。
【0056】
第1の熱交換面331a及び第2の熱交換面331bは、冷却装置104の熱交換面131a,131bと略同様に作用する。特に、2つの湾曲した第1の熱交換面331a及び第2の熱交換面331bは、皮膚の一部分を第1の熱交換面331a及び第2の熱交換面331bに近接して配置したとき、熱を皮膚の上記一部分へ移送したり上記一部分に移送したりする。湾曲した熱交換面331a,331bは、後で詳しく述べるように、皮膚の上記一部分からの熱移送を促進させる。
【0057】
操作の際、冷却装置304を、皮膚の一部分が2つの湾曲した熱交換面331a,331bに当接して配置されるように、対象101の皮膚に近接して配置する。次に、図2及び図3を参照して上述したように、皮膚の上記一部分をクランプ留めしたり、ひもで留めたり、押圧したりする。1つの実施形態では、図4を参照して上述したように、患者の皮下領域を冷却するために、熱電式冷却装置314a,314bに電圧を加える。更に別の実施形態では、他の冷却方法、例えば、対流、放射、伝導、又は、これらの方法の任意の組合せを使用する。
【0058】
湾曲した熱交換面331a,331bの1つの利点は、湾曲した表面は、皮下領域の熱移送を集中させることである。例えば、両方の熱交換面が凹面であるときには、凹面は、2つの熱交換面331a,331bの間の皮膚からの熱の除去を集中させる。両方の熱交換面が凸面であるときには、凸面は、2つの熱交換面331a,331bの間の皮膚を広げ、皮膚の皮下層と熱交換面331a,331bとの間の距離を減少させる。表皮及び真皮の厚みの減少と共にその熱伝導率が減少するので、距離の減少により、熱移送を促進させる。
【0059】
〔G.計算システムのソフトウェアモジュール〕
図6は、処理ユニット114で使用するのに適した、例示的なソフトウェアモジュール440を示した機能ダイアグラムである。各要素は、コンピュータプログラム、手順、又は処理であり、ソースコードとしてC++プログラミング言語などの従来のプログラミング言語で記述され、プロセッサ442のCPUによって実行されるように提供される。ソースコード及びオブジェクト及びバイトコードの様々な実行は、コンピュータの読取り可能記憶媒体に格納され、又は、搬送波の伝達媒体に具現される。プロセッサ442のモジュールは、入力モジュール444と、データベースモジュール446と、処理モジュール448と、出力モジュール450と、選択的要素としての表示モジュール451とを有している。他の実施形態では、ソフトウェアモジュール440は、分散型計算機組織において、ネットワークサーバのCPUによって実行される。
【0060】
操作の際、入力モジュール444は、処理設定値及び制御の選択など、オペレータ入力を受入れ、受入れた情報又は選択を他の要素に連絡し、更に処理を行う。データベースモジュール446は、記録を組織化し、この記録は、作動パラメータ454と、オペレータの活動456と、アラーム458とを有し、これらの記録をデータベース452に格納したりそれから取得したりする。任意の種類のデータベース組織が利用され、データベース組織は、フラットファイルシステム、階層型データベース、リレーショナルデータベース、又は、例えば、カリフォルニア州レッドウッドショアにある、Oracle Corporationなどのデータベースベンダによって提供されて分配されたデータベースを含む。
【0061】
処理モジュール448は、センサ読取り値456に基づいて、制御変数を発生させ、出力モジュール450は、制御変数に基づいて、出力信号458を発生させる。例えば、出力モジュール450は、プロセスモジュール448から発生した制御変数を、直流電圧変調器に適した4〜20mAの出力信号458に変換する。プロセッサ442は、任意的要素として、センサの読取値456及び出力458を出力装置120などの装置を介して表示したり、印刷したり、ダウンロードしたりするのための表示モジュール451を有する。適当な表示モジュール451は、プロセッサ442がセンサ読取値456を出力装置120に表示することを可能にするビデオドライバである。
【0062】
明細書及び特許請求の範囲の記載を通じて、内容が明らかに別のものを要求しない限り、用語“有する”、“備える”及び類似の用語は、包含的な意味に解釈され、排他的又は排除的な意味ではなく、即ち、“限定ではなく、含む”の意味である。また、単数又は複数を用いている用語はそれぞれ、複数又は単数を含む。特許請求の範囲が、2以上の項目のリストを参照して、“又は”の用語を用いているときには、その用語は、以下のすべての用語の解釈を包含し、即ち、それらは、リスト中の任意の項目、リスト中のすべての項目、及び、リスト中の項目の任意の組合せである。
【0063】
本発明の実施形態の上述した説明は、網羅的であることを意図せず、また、開示された正確な形態に、発明を限定する意図でもない。本発明の特定の実施形態及び例は、例示的な目的のために上述され、当業者が認識するように、様々な均等物の変形例が、本発明の範囲内において可能である。例えば、与えられた順序で段階を示していても、変形例の実施形態は、異なる順序で段階を実行してもよい。本願に開示された様々な実施形態は、組み合わせて、更に別の実施形態を構成してもよいる。
【0064】
一般に、特許請求の範囲中に使用される用語は、上述した説明が明らかにそうした用語を定義しない限り、明細書に開示された特定の実施形態に発明を限定するように解釈されるべきではない。本発明のある種の側面は、ある種の請求項の形態に提示されるけれども、発明者は、本発明は、任意の番号の請求項の形態に、本発明の様々な側面を想定している。従って、発明者は、出願を提出した後に、追加的なの請求項を追加する権利を保有し、そうした追加的な請求項が、本発明の別の側面を形成することを追求する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態による、皮下多脂質細胞から熱を除去するシステムを示した斜視図である。
【図2A】本発明の実施形態による、皮下多脂質細胞から熱を除去する冷却装置を示した斜視図である。
【図2B】本発明の実施形態による、皮下多脂質細胞から熱を除去する冷却装置を示した斜視図である。
【図2C】本発明の実施形態による、皮下多脂質細胞から熱を除去する冷却装置を示した斜視図である。
【図3A】本発明の実施形態による、皮下多脂質細胞から熱を除去する冷却装置の一部分を示す端面図である。
【図3B】本発明の実施形態による、皮下多脂質細胞から熱を除去する冷却装置の一部分を示す側方から見た断面図である。
【図4】本発明の別の実施形態による、熱電式冷却要素を有する冷却装置を示す側面図である。
【図5】本発明の別の実施形態による、湾曲した熱交換面を有する冷却装置を示す側面図である。
【図6】皮下多脂質細胞から熱を除去する、コンピュータシステムのソフトウェアモジュールを示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚を有する対象の皮下多脂質細胞から熱を除去する冷却装置であって、
第1の部分と第2の部分を有する支持体と、
支持体の第1の部分に配置され且つ第1の熱交換面を有する第1の冷却要素と、
支持体の第2の部分に配置され且つ第2の熱交換面を有する第2の冷却要素と、を有し、
第1の冷却要素及び第2の冷却要素のうちの少なくとも一方は、支持体に沿って移動可能であり、
第1の冷却要素及び第2の冷却要素のうちの少なくとも一方は、第1の熱交換面と第2の熱交換面の間の角度を調整するために回転するように構成される、冷却装置。
【請求項2】
第1の冷却要素と第2の冷却要素の間の角度は、約0゜〜約180゜に調整可能である、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
第1の冷却要素及び第2の冷却要素は、少なくとも二次元で回転可能である、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
第1の熱交換面及び第2の熱交換面は、略平坦である、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項5】
第1の熱交換面の少なくとも一部分及び第2の熱交換面の少なくとも一部分は、約0.1ワット/メートル ・ケルビン温度よりも大きい熱伝導率を有する材料を含む、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項6】
第1の熱交換面の一部分及び第2の熱交換面の一部分は、0.05ワット/メートル ・ケルビン温度よりも大きい熱伝導率を有する材料を含む、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項7】
第1の熱交換面及び第2の熱交換面は各々、第1の熱伝導率を有する第1の材料を含む第1の部分と、第1の熱伝導率よりも略小さい第2の熱伝導率を有する第2の材料を含む第2の部分とを有する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項8】
第1の冷却要素及び第2の冷却要素のうちの少なくとも一方は、更に、第1の熱交換面及び第2の熱交換面のうちの少なくとも一方と熱的に連通した流体チャンバと、流体チャンバと連通する複数の流体ポートとを有し、流体ポートは、流体チャンバを通る流体循環を可能にするように構成される、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項9】
流体チャンバと連通する流体は、流体を冷却する外部装置を通して循環される、請求項8に記載の冷却装置。
【請求項10】
第1の冷却要素及び第2の冷却要素のうちの少なくとも一方は、更に、第1の熱交換面及び第2の熱交換面のうちの少なくとも一方に熱的に直接連通した熱電式熱交換器を有する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項11】
第1の冷却要素及び第2の冷却要素のうちの少なくとも一方は、ハウジングと、ハウジング内の流体チャンバと、流体チャンバ内の熱電式熱交換器とを有し、熱電式熱交換器は、それに対応する第1の冷却要素又は第2の冷却要素の熱交換面と接触する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項12】
ハウジングは、更に、流体チャンバを通る流体の循環を可能にするように構成された複数の流体ポートを有する、請求項11に記載の冷却装置。
【請求項13】
更に、第1の熱交換面又は第2の熱交換面に近接した検出要素を有する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項14】
更に、第1の熱交換面及び第2の熱交換面のうちの少なくとも一方に近接した温度検出要素を有する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項15】
更に、第1の熱交換面及び第2の熱交換面のうちの少なくとも一方に近接した温度検出要素及び圧力検出要素を有する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項16】
更に、第1の熱交換面及び第2の熱交換面のうちの少なくとも一方に近接し且つ前記少なくとも一方の熱交換面の温度を検出するための第1の温度検出(sense)要素と、
第1の熱交換面及び第2の熱交換面のうちの少なくとも一方に近接した対象の皮膚の温度を検出するための第2の温度検出要素と、を有する冷却装置。
【請求項17】
更に、第1の熱交換面及び第2の熱交換面のうちの少なくとも一方に近接し且つ全体的に凹んだ形状をなす温度検出要素を有する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項18】
支持体は、第1の部分に位置する第1の取付けベースと、第2の部分に位置する第2の取付けベースと、第1取付けベース及び第2の取付けベースに結合され且つ移動するように案内されるシャフトと、を有する請求項1に記載の冷却装置。
【請求項19】
更に、支持体のところに位置し且つ前記シャフトと係合するアクチュータを有し、アクチュータは、前記シャフトを移動させるように構成される、請求項18に記載の冷却装置。
【請求項20】
アクチュータは、更に、把持要素を有し、第1の冷却要素及び第2の冷却要素の間にクランプ力を作用させるために、シャフトは、把持要素をクランプ方向に移動させることによって移動可能である、請求項19に記載の冷却装置。
【請求項21】
シャフトは、第1取付けベース及び第2の取付けベースのうちの少なくとも一方に配置される、請求項18に記載の冷却装置。
【請求項22】
更に、第1の取付けベース又は第2の取付けベースに取付けられ且つ第1の冷却要素及び第2の冷却要素をそれぞれの移動後の位置にロックするロック要素を有する、請求項18に記載の冷却装置。
【請求項23】
更に、オペレータの手で握られるように構成された握りを有する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項24】
冷却を介して、皮下多脂質細胞に作用を与える装置であって、
多脂質細胞から熱を除去する第1の熱交換面を有する第1の冷却要素と、
多脂質細胞から熱を除去する第2の熱交換面を有する第2の冷却要素と、
手持ち組立体と、を有し、手持ち組立体は、オペレータの手で握られるように構成された手持ち部と、手持ち部から延びる支持体とを有し、
第1の冷却要素及び第2の冷却要素は、第1の冷却要素及び第2の冷却要素のうちの少なくとも一方が支持体に対して移動可能であるように支持体に結合される、冷却装置。
【請求項25】
支持体は、ビームと、ビームによって支持されるシャフトとを有し、
シャフトは、ビームに対する移動のために案内され、
第1の冷却要素及び第2の冷却要素は、シャフトに摺動可能に結合される、請求項24に記載の冷却装置。
【請求項26】
更に、手持ち部に近接したアクチュータを有し、アクチュータは、第1の冷却要素及び第2の冷却要素を互いに対して移動させるために、シャフトをクランプ方向に移動させるように構成される、請求項24に記載の冷却装置。
【請求項27】
アクチュータは、更に、レバーを有する、請求項26に記載の冷却装置。
【請求項28】
更に、第1の冷却要素及び第2の冷却要素を互いに対して固定するために、支持体に取付けられたロックを有する、請求項24に記載の冷却装置。
【請求項29】
第1の熱交換面及び第2の熱交換面は各々、第1の熱伝導率を有する第1の材料を含む第1の部分と、第1の熱伝導率よりも略小さい第2の熱伝導率を有する第2の材料を含む第2の部分とを有する、請求項24に記載の冷却装置。
【請求項30】
第1の冷却要素は、更に、第1の熱交換面に熱的に連通した流体チャンバを有する、請求項24に記載の冷却装置。
【請求項31】
第1の冷却要素は、ハウジングと、ハウジング内の流体チャンバと、流体チャンバ内にあり第1の熱交換面と熱的に連通する熱電式冷却要素とを有する、請求項24に記載の冷却装置。
【請求項32】
皮膚を有する対象から熱を除去するための熱交換面を有し且つ互いに対して回転可能な2つの冷却要素を備えた冷却装置を適用する方法であって、
(i)冷却要素のうちの少なくとも一方を回転させて、2つの熱交換面の間に所望の配向を達成する段階と、
(ii)2つの冷却要素の熱交換面を所望の温度に冷却する段階と、
(iii)冷却された熱交換面を、対象の皮膚に対して所望の配向で配置する段階と、
(iv)患者の表皮の下の領域における多脂質細胞が作用を受けながら表皮の多脂質でない細胞が作用を受けないように、前記領域の温度を低下させる段階と、を有する方法。
【請求項33】
所望の温度は、約−20℃〜約10℃である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
更に、2つの冷却要素の熱交換面を所望の温度に維持する段階を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
2つの冷却要素の冷却された熱交換面を対象の皮膚に対して配置する前記段階は、2つの冷却要素の間に、皮膚をクランプ留めする段階を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
2つの冷却要素の冷却された熱交換面を対象の皮膚に対して配置する前記段階は、皮膚の収縮期の血圧よりも大きい又はそれと等しい圧力を付与するように、皮膚の領域を2つの冷却要素で押圧する段階を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
2つの冷却要素のうちの一方は、検出要素を有し、
更に、検出要素を介して作動パラメータを監視する段階を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
検出要素は、温度検出要素であり、作動パラメータは、温度であり、
更に、監視された温度に基づいて、2つの冷却要素のうちの少なくとも一方からの熱除去速度を調整する段階を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
2つ冷却要素のうちの一方は、その熱交換面と熱的に連通した熱電式冷却要素を有し、
熱交換面を冷却する前記段階は、熱電式冷却要素に電圧を加え、前記一方の冷却要素の熱交換面から熱を除去する、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
更に、冷却要素を領域から取外すことによって、領域の温度低下を終了する段階と、
領域の多脂質細胞に所望の減少が得られるまで、段階(i)〜(iv)を繰り返す段階と、を有する請求項32に記載の方法。
【請求項41】
更に、第1の領域に前記段階(i)〜(iv)を実行することによって、対象の第1の領域における多脂質細胞に作用する段階と、
第2の領域に前記段階(i)〜(iv)を実行することによって、対象の第2の領域における多脂質細胞に作用する段階と、を有する請求項32に記載の方法。
【請求項42】
皮下多脂質細胞から熱を除去するように構成された2つの冷却要素を有し且つオペレータの手によって把持されるように構成された携帯冷却装置を適用する方法であって、
(i)2つの冷却要素を互いに対して位置決めする段階と、
(ii)2つの冷却要素の熱交換面を所望の温度に冷却する段階と、
(iii)冷却装置を手で保持する段階と、
(iv)冷却された熱交換面が対象の皮膚に近接するように、冷却装置を配置する段階と、
(v)対象の表皮の下の領域の多脂質細胞が作用を受けながら表皮の多脂質でない細胞が作用を受けないように、前記領域の温度を低下させる段階と、を有する方法。
【請求項43】
2つの冷却要素の冷却された熱交換面を配置する前記段階は、2つの冷却要素の間に皮膚をクランプ留めする段階を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
2つの冷却要素の冷却された熱交換面を配置する前記段階は、皮膚の収縮期の血圧よりも大きい又はそれと等しい圧力を作用させるように、2つの冷却要素を皮膚に押圧する段階を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
携帯冷却装置は、更に、2つの冷却要素の間のクランプ留め圧力を調整するアクチュータを有し、
対象の皮膚をクランプ留めする前記段階は、更に、アクチュータによる2つの冷却要素の間のクランプ留め圧力を調整する段階を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
2つの冷却要素を位置決めする前記段階は、2つの冷却要素を(a)互いに対する直線の方向及び(b)互いに対する回転方向のうちの少なくとも一方に移動させる段階を有し、
冷却装置を配置する前記段階は、更に、2つの冷却要素のうちの少なくとも一方を、対象の体の輪郭に略一致するように調整する段階を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
2つの冷却要素の一方は、その熱交換面と熱的に連通した熱電式冷却要素を有し、
熱交換面を冷却する前記段階は、熱電式冷却要素に電圧を加え、前記一方の冷却要素の熱交換面から熱を除去する、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
2つの冷却要素のうちの少なくとも一方は、更に、熱電式冷却要素と熱的に連通した流体チャンバを有し、
更に、流体チャンバを通して冷却剤を循環させる段階を有する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
更に、冷却装置を領域から取外すことによって、領域の温度低下を終了する段階と、
領域の多脂質細胞に所望の減少が得られるまで、前記段階(i)〜(v)を繰り返す段階と、を有する請求項42に記載の方法。
【請求項50】
更に、第1の領域に前記段階(i)〜(v)を実行することによって、対象の第1の領域の多脂質細胞に作用する段階と、
第2の領域に前記段階(i)〜(v)を実行することによって、対象の第2の領域の多脂質細胞に作用する段階と、を有する請求項42に記載の方法。
【請求項51】
皮下多脂質細胞から熱を除去するシステムであって、
対象の表皮下の目標領域の温度を低下させるように構成された2つの回転可能な冷却要素を備えた冷却装置を有し、冷却要素は、多脂質細胞が作用を受けながら表皮の多脂質でない細胞が作用を受けないように、目標領域の多脂質細胞の温度を低下させ、
更に、冷却装置に結合され且つ冷却装置によって発生した熱を放散させるヒートシンクを有する、システム。
【請求項52】
更に、ヒートシンクと熱的に連通し且つ冷却装置に冷却剤を供給するように構成された冷却ユニットを有する、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
冷却剤の供給源が、熱電式クーラー、冷凍ユニット、冷却塔、及び/又は極低温クーラーである、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
更に、冷却装置が冷却ユニットと連通するように、流体配管を冷却ユニットと冷却装置との間に有する、請求項52に記載のシステム。
【請求項55】
冷却剤は、水、グリコール、合成熱移送流体、油、及び/又は冷凍剤を含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項56】
冷却装置は、更に、熱交換面の少なくとも1つに近接した検出要素を有し、
システムは、更に、検出要素に電気的に連通し、検出要素からの電気的信号を作動パラメータに変換するように構成されたプロセッサと、
プロセッサに電気的に接続され且つ作動パラメータを格納するデータベースとを有する、請求項52に記載のシステム。
【請求項57】
プロセッサは、作動パラメータに基づいて目標領域の温度を制御するための制御モジュールを有する、請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
冷却要素の少なくとも一方は、前記少なくとも一方の冷却要素の熱交換面と熱的に連通した熱電式冷却要素を有する、請求項51に記載のシステム。
【請求項59】
冷却要素の少なくとも一方は、更に、ハウジングと、ハウジング内に配置され、熱電式冷却要素と熱的に連通している流体チャンバとを有する、請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
皮下多脂質細胞から熱を除去するシステムであって、
携帯式の冷却装置を有し、冷却装置は、第1の熱交換面を有する第1の冷却要素と、第2の熱交換面を有する第2の冷却要素と、オペレータの手で把持されるように構成された手持ち部を有する手持ち組立体と、手持ち部から延びる支持体と、を有し、
第1の冷却要素及び第2の冷却要素は、第1の冷却要素及び第2の冷却要素のうちの少なくとも一方が支持体に対して移動可能であるように、支持体に結合され、
冷却装置は、対象の領域の多脂質細胞が作用を受けながら表皮の多脂質でない細胞が作用を受けないように、多脂質細胞の温度を低下させるように構成され、
更に、冷却装置に結合され且つ冷却装置によって発生した熱を放散させるヒートシンクを有する、システム。
【請求項61】
第1の冷却要素は、更に、第1の熱交換面と熱的に連通した第1の流体チャンバを有し、第2の冷却要素は、更に、第2の熱交換面と熱的に連通した第2の流体チャンバを有する、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
第1の冷却要素は、第1のハウジングと、第1の熱交換面に熱的に連通した第1の熱電式冷却要素とを有し、第1のハウジングと共に第1の流体チャンバを形成し、
第2の冷却要素は、第2のハウジングと、第2の熱交換面に熱的に連通した第2の熱電式冷却要素とを有し、第2のハウジングと共に第2の流体チャンバを形成する、請求項61に記載のシステム。
【請求項63】
更に、ヒートシンクと熱的に連通し、冷却装置に冷却剤を供給するように構成された冷却ユニットと、
冷却ユニットと冷却装置との間の複数の流体配管と、
第1の熱交換面及び第2の熱交換面から熱を除去するために、冷却ユニットと流体チャンバとの間を複数の流体配管を介して循環する冷却剤と、を有する請求項60に記載のシステム。
【請求項64】
冷却装置は、更に、第1の熱交換面又は第2の熱交換面に近接した検出要素を有し、
システムは、更に、検出要素に電気的に連通し、検出要素からの電気的信号を作動パラメータに変換するためのプロセッサを有し、プロセッサは、作動パラメータに基づいて領域からの熱除去速度を調整するように構成され、
システムは、更に、プロセッサに電気的に接続され且つ作動パラメータを格納するデータベースを有する、請求項60に記載のシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−527342(P2009−527342A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556529(P2008−556529)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/062508
【国際公開番号】WO2007/101039
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(508255481)ゼルティック エステティックス インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】