説明

皮膚に適用するパッチ

本発明は、物質を皮膚に適用するためのパッチであって、表皮に浸透するようにされている物質(3)、物質を皮膚に接触させる手段、及び、パッチを前記物質及び皮膚の間の接触ソーンの高さに配置されたのちに、皮膚の剥脱を可能とする皮膚剥脱剥ぎ取り可能フィルムを含むことを特徴とするパッチに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、生物学的活性物質の皮膚上への又は皮膚を通しての適用のためのデバイスに関する。発明は、より詳細にはワクチンのためのそのような物質の皮膚の吸収を容易にするように構成された経皮パッチ又はスタンプに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の表皮は身体に入り込む外部エージェントに対する障壁を構成する。皮膚は不浸透性ではなく、事実、浸透性の度合いは変化しつつも多数の物質に関して浸透性である。
【0003】
経皮吸収は、皮膚を介しての外部媒体から血液に皮膚への物質の移動に対応する。この吸収は、二つの現象の和として定義される。分子の皮膚全体への浸透と、それに引き続く乳頭層から次に真皮深層からの血液又はリンパ循環による再吸収である。浸透ステップは、物理的には外皮の各構造、即ち、角膜層、マルピーギ表皮、真皮、及び皮膚付属物(アネックス)を介する受動拡散である。一旦吸収されると、物質は有機体中に散布され、次に、代謝されたりされなかったりした後、除去される。引き続く経皮吸収は、他のあらゆる汚染経路で遭遇するものと類似している。
【0004】
角膜層は物質浸透に対する最も有効的な障壁を構成する。解剖学上、物質は二つの方法で浸透し得る。一つは角膜層の細胞間空間を介する及び角膜細胞自身を介するものと、別のものは皮膚付属物の手段によるものである。ワクチンの場合、一旦角膜層が浸透されると、物質は、免疫学的にコンピテント細胞、及び、特にその役割は有機物の免疫学的反応において原始的であるランガーハンス細胞のようなアンチゲンが同居する細胞、に遭遇する位置にある。より容易に角膜を介してアンチゲンの初期経過を作ることは、より効果的に皮膚上のワクチンを作ることである。システマティックな扱いのために分子を投与するように設計されたパッチの場合、一時的に角膜層の効能が減少し、障壁が大きな分子量を含む有効成分の皮膚を通しての投与への道を開き、一般には、有効成分の投与速度を改善する。
【0005】
出願EP1355821は、接着性フィルムの連続的な使用及び皮膚上に浸透するワクチンを含むパッチに関連している。このために、接着剤を塗布された一面を含むフィルムを皮膚に適用する。接着剤は接着特性を含み、フィルムが剥がされるときに皮膚の角膜層(又は角質層)の一部を取り去るようにすることができる。一旦フィルムが剥がされると、パッチが今やあらわになった皮膚の部分に適用される。パッチは、接着性表面及びワクチンが塗布された表面を含む。接着性表面は十分な期間にわたってパッチを皮膚上に保持し、表皮がワクチンを吸収するようにする。
【0006】
このような投与過程は欠点を含んでいる。事実、ワクチンの投与は、幾つかのステップで幾つかのデバイスの適用を必要とする。また、パッチの配置は、おおよそ接着性フィルムが適用されているゾーンに関連している。よって、適切なワクチンの吸収は保証されない。また、物忘れが接着性フィルムの先の適用を忘れてしまうことにつながり得る。従って、表皮によって吸収されたワクチンの量は、実質的に減少され得る。実際に表皮によって吸収された量は、よって比較的不正確に分かる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、これらの欠点の一つ以上を解決することである。本発明の目的は、よって物質の皮膚への適用のためのパッチであり、パッチは表皮に浸透されるべき物質、物質を皮膚に接触させる手段、及び、パッチが前記物質と皮膚の間の接触ゾーンの高さに置かれた後で、皮膚の剥離が可能である剥ぎ取り可能な皮膚剥離フィルムを含んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある変形例に従うと、パッチは、
−前記物質に接触する第一の表面及び皮膚に接触するべき第二の表面を含む少なくとも一つの下側面、
−オプション的に、物質を前記第一の表面に接触させておくための取り外し可能手段、
−支持部材(サポート)を含む固体であり、前記物質に垂直方向に配置された接着性表面を含む下側面を含む、剥ぎ取り可能な皮膚剥離フィルム、及び
−剥離フィルムが剥がされたときに、第二の表面を皮膚に接触させておくための手段、
を含む。
【0009】
別の変形例に従うと、第二の表面は接着性であり、第一の表面を包囲している。
【0010】
別の変形例に従うと、物質を第一の表面に接触させておくための取り外し可能手段は剥離フィルムと支持部材の間に挿入され、第一の表面を覆う保護部材を含む。
【0011】
さらに別の変形例に従うと、第二の表面及び物質を皮膚に接触させておくための手段は、第二の表面をコーティングする接着剤を含み、第二の表面は保護部材によって覆われていない部分を含む。
【0012】
別の変形例に従うと、パッチは前記非被覆部分を覆い、前記非被覆部分及び剥離フィルムの下側面に接触する剥ぎ取り可能な保護フィルムを含む。
【0013】
別の変形例に従うと、パッチは、支持部材に対して突出している把持部材を含み、把持部材は、それが扱われるときそれを皮膚から引き剥がすための、剥離フィルムを含む固体である。
【0014】
別の変形例に従うと、把持部は支持部材に対して横方向、保護部材によって被覆されていない部分と対向する側に突出する。
【0015】
さらに別の変形例に従うと、把持部材は取り外し可能手段を含む固体であり、これらの取り外し可能手段は把持部材が動かされた時に取り除かれる。
【0016】
ある変形例に従うと、剥離フィルム及び取り外し可能手段は、互いの第一の端で結び付けられている。
【0017】
別の変形例に従うと、把持部分は剥離フィルム又は取り外し可能手段の第二の端を含む固体であり、この第二の端は第一のものと対向している。
【0018】
別の変形例に従うと、取り外し可能手段はフィルムによって形成されており、把持部材は取り外し可能手段のフィルム及び剥離フィルムの上側表面に、部分的に接着剤でコーティングされた面によって接触しているフィルムである。
【0019】
さらに別の変形例に従うと、取り外し可能手段及び把持部材は折り曲げられたフィルムによって形成されている。
【0020】
ある変形例に従うと、把持部材は後ろに折り曲げられており、支持部材の上側面に取り外し可能に結び付けられている。
【0021】
別の変形例に従うと、把持部材は支持部材の下側面から直角方向に突出している。
【0022】
別の変形例に従うと、取り外し可能手段及び把持部材は、基底は把持溝を含み、一つの横面は第一の表面を覆い、別の横面は剥離フィルムの少なくとも一つの端に付着されている三角形断面のプリズムの形状の部材によって形成されている。
【0023】
さらに別の変形例に従うと、支持部材及び取り外し可能手段は物質を気密性保存容器の体積中に保存する。
【0024】
ある変形例に従うと、物質は、第一の表面に、クーロン型の静電力又はファンデルワールス力によって接触させられている粒子を含む(又は粒子の形態である)。特に好適なモードでは、第一の表面は静電特性を付与されている。
【0025】
別の変形例に従うと、剥離フィルムの接着性表面の接着力は物質の関数として調整される。
【0026】
本発明はまた、物質を患者に付与するための構成部品の組み立て物のための上で定義されたようなパッチの使用に関連する。
【0027】
ある変形例に従うと、この使用は、対象へのワクチン接種のため、対象を鈍感にするため、又は対象に有効成分を付与するための構成部品の組み立て物のためが意図されている。
【0028】
本発明の別の目的は、物質を皮膚に適用するため、及び/又は対象、とりわけ動物、特に人間(例えば、子供又は大人)に皮膚上への又は皮膚を通して物質を付与するための上で定義されたようなパッチの使用に関連する。パッチは特に、とりわけ対象を鈍感にする、又は例えば特に生物学的有効物及び/又はアンチゲン(ポリ)ペプチドのようなあらゆる有効成分を付与するために対対象へのワクチン接種に使用され得る。本発明は同様に、本発明のパッチの対象の皮膚への適用、及び剥離フィルムの取り外しを含む、対応する方法に関する。
【0029】
パッチは、よってあらゆる病原菌に対して対象へのワクチン接種に用いられ得る。従って、本発明の特定の目的は、病原菌に対して対象へのワクチン接種の方法であって、(i)本発明に従うパッチの対象の皮膚への適用であって、パッチは前記病原菌の特定のアンチゲンを含んでいる適用、(ii)剥離フィルムの取り外し、及び(iii)パッチをある期間に渡って保持し、アンチゲンは皮膚へ移動することを可能にすることを含んでいる方法である。病原菌は様々なタイプ(ウィルス、バクテリア、寄生虫、他)であり得て、アンチゲンは典型的には、ポリペプチド又は脂質タイプである方法である。
【0030】
パッチは同様に対象をアレルゲンに対して鈍感にするために用いられ得る。そして、本発明の特定の目的は、対象をアレルゲンに対して鈍感にするための方法であって、(i)本発明に従うパッチの対象の皮膚への適用であって、パッチは前記アレルゲンの特定のアンチゲンを含んでいる適用、(ii)剥離フィルムの取り外し、及び(iii)パッチをある期間に渡って保持し、アンチゲンは皮膚へ移動することを可能にすることを含んでいる方法である。
【0031】
パッチは同様に有効成分を付与するために用いられ得る。そして、本発明の特定の目的は、対象に有効成分を付与するための方法であって、(i)本発明に従うパッチの対象の皮膚への適用であって、パッチは前記アレルゲンの特定のアンチゲンを含んでいる適用、(ii)剥離フィルムの取り外し、及び(iii)パッチをある期間に渡って保持し、アンチゲンは皮膚へ移動することを可能にすることを含んでいる方法である。物質は典型的には、ホルモン、サイトカイン、成長因子、栄養因子他などの、自然界のポリペプチドである。
【0032】
パッチに含まれる物質は、あらゆる媒体で形成される、又は添加剤に適合されることが可能であり、固体(粉体)、液体、他の形態であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に従うパッチの第一実施形態の側面図である。
【図2】図1のパッチの平面図である。
【図3】図2及び3のパッチの各々の部材の平面図である。
【図4】本発明に従うパッチの第二実施形態の側面図である。
【図5】皮膚上に配置される異なるステップの間の、図4のパッチの断面図である。
【図6】皮膚上に配置される異なるステップの間の、図4のパッチの断面図である。
【図7】皮膚上に配置される異なるステップの間の、図4のパッチの断面図である。
【図8】皮膚上に配置される異なるステップの間の、図4のパッチの断面図である。
【図9】本発明に従うパッチの第三実施形態の側面図である。
【図10】図9のパッチの各々の部材の平面図である。
【図11】本発明に従うパッチの第四実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の他の特徴及び利点は、添付された図面を参照しながら、示唆し限定しない方法で、以下の記載からより明らかになるであろう。
【0035】
本発明は、物質を皮膚に適用するためのパッチであって、前記物質と皮膚の間の接触ゾーンの高さに置かれた後で、剥ぎ取り可能な皮膚剥離フィルムを含んでいるパッチを提案する。
【0036】
本発明において、「剥離(エクスフォリエーション)」又は「剥脱(アブレーション)」なる単語は、皮膚の表面近くの層の少なくとも一部の表面、特に皮膚の角膜層(又は角質層)の少なくとも一部の除去を意味する。この観点では、剥離フィルムは典型的には、皮膚に接触する接着ゾーンを含んでいる。それが除去される(剥ぎ取られる)とき、剥離フィルムは皮膚の表面の剥脱を引き起こす。剥離フィルムはまた、典型的には皮膚の表面に接触する接着ゾーン上に、マイクロ穿孔手段を含み得て、よってデバイスを適用したときに、そのマイクロ穿孔作用を角膜層の表面の部分の除去に追加する。典型的には剥離は次の方法で行われる。
−痛みがなく、皮膚上への又は皮膚を通しての投与が起こる位置において、一般には死んだセルであり、物質の浸透に対する第一の障壁を形成する角膜層のセルの表面近くの層を取り外す、及び/又は、
−毛が生えていない洗浄された表面であって、その上にパッチがその接着表面全面に渡って接着し得て、物質の閉鎖及び流れに好適である表面を構成する、及び/又は、
−角質層にマイクロ穿孔を、例えばフィルムをマイクロ針のような穿孔部材に合わせることによって生成する。
【0037】
特別な実施形態において、パッチは、表皮に浸透するようにその表面の一部が物質によって覆われており、表面の他の部分は皮膚に接触するようになっている支持部材を含む。剥ぎ取り可能な皮膚剥離フィルムは、支持部材の接触ゾーンを含む固体であり、物質で覆われた表面を覆う。その下側面は、物質に垂直に配置された接着ゾーンを含む。そして、一旦接着フィルムが剥ぎ取られると、物質は皮膚剥ぎ取られたまさにその位置で、皮膚と接触する。
【0038】
(第一実施形態)
図1から3は、本発明の第一実施形態を示している。パッチ1は、例えば、フィルムの形態に形成された支持部材2を含んでいる。支持部材2は、物質3と接触し続けるようになっている第一表面21、及び皮膚に適用されるようになっている第二表面22を含む下側面を含んでいる。物質3は皮膚に適用されるようになっている。表面21は支持部材2のへこみ中に据えられている。表面22は接着性であり、表面21を包囲する。接着性表面22は、パッチを適用している間は、物質3を皮膚に接触させ続ける。
【0039】
フィルム4は、物質3を覆い、それを表面21に接触し続ける。フィルム4は、表面21を含む物質3の保存体積を形成する。形成される保存体積は、有利には気密性である。それ自体知られている方法では、フィルム4は支持部材2に対して除去可能に固定される。フィルム4は、端41の高さにおいて折り曲げられている。ひだ(折り曲げられた部分)5はフィルム4の端41から延びている。ひだ5は把持部材6まで延びている。把持部材6は、支持部材2の上側面上に折り曲げられている。把持部材6は接着点9によって取り外し可能に折り曲げられており、ユーザは把持部材6を手に持つためにこの接着を剥がすことができる。部材6は、支持部材2に対して突出しており、ユーザが容易に手に持つことを保証する。フィルム4は接着性表面22の一部23を覆わない。この接着性部分23の有用性は、下で詳述されるだろう。
【0040】
剥ぎ取り可能なフィルム7は、適当な手段(接着、溶接など)によって、接着性部分23に近いその端で、ひだ5に付着されている。この剥ぎ取り可能なフィルム7は、皮膚の剥離を行うようにされている。フィルム7は、接着性表面を含む下側面を備えるようなものである。剥離は特に、角膜層の一部を除去し、物質3の皮膚を通しての浸透に有利になることを目的とする。この接着性表面は物質3に垂直方向に配置されている。従って、物質3は、フィルム7を剥ぎ取る間に剥離された皮膚の割合に厳密に適用されるであろう。
【0041】
剥ぎ取り可能な保護フィルム8は、接着性部分23とフィルム7の下側面を覆い、埃が頂上に集積するのを避ける。剥ぎ取り可能なフィルム8は、例えば、オプション的にシリコン層によって覆われている紙又はポリマー(ポリエステル、ポリエチレン、エチレン/ビニルアセテート)のような、剥ぎ取りを容易にするように弱い接着を含む適当な物質から作られ得る。剥ぎ取り可能なフィルム8は、支持部材2の表面23に対して突出している、把持ゾーン81を含む。この把持ゾーン81は、ユーザがフィルム8を剥ぎ取るのを容易にする。
【0042】
ユーザがパッチを適用したいときに、ユーザは次のようにする。ユーザはフィルム8を剥ぎ取り、剥ぎ取りフィルム7の接着を皮膚に適用し、接着性表面23を皮膚に配置する。接着性表面23は、よって皮膚上にパッチの適切な配置が保証される。接着点9が折り曲げられた後で、ユーザは把持部材6に引っ張りを加え、フィルム7の剥ぎ取りとフィルム4の剥ぎ取りを保証する。フィルム7の剥ぎ取りは、皮膚に関しては剥離によって行われ、接着剤は次に、それが接触している皮膚を剥脱する。皮膚の部分はよって、剥脱され、いまや覆われていない物質3に垂直方向に配置される。ユーザは単に、パッチを皮膚に対して掌を使って配置させないといけないだけで、物質3は剥脱された皮膚の表面と接触する。
【0043】
剥脱された皮膚及び物質3の相対的な配置は、よって非常に正確であり、ユーザによる減った手間だけを要求する。また、パッチの構造は、物質3は以前に剥ぎ取られた皮膚に良く適用されるであろう。
【0044】
(第二実施形態)
図4は、第二実施形態に従うパッチ1を示している。このパッチ1は支持部材2及び物質3を含み、それらは第一実施形態のものと同様である。フィルム4は、物質3を覆い、それが表面21と接触するようにしている。フィルム4は剥ぎ取り可能であり、よって除去可能に支持部材2に固定される。第一実施形態でのように、フィルム4は支持部材2の接着性部分23を覆わない。接着性部分23は、フィルム4の端41に対し、横方向に突出している。
【0045】
剥ぎ取り可能な皮膚剥離フィルム7は、適当な手段(接着、溶接など)によって、フィルム4に付着されている。第一実施形態におけるように、フィルム7は、接着性表面を含む下側面が備えられている。この接着性表面は物質3に垂直方向に配置されている。フィルム7の一端はフィルム4の端41に固定されている。把持部材6は、フィルム7の反対側の端の高さに固定されている。把持部材6は、支持部材2に対して横方向に突出している。
【0046】
剥ぎ取り可能な保護フィルム8は、接着性部分23及びフィルム7の下側面を覆う。剥ぎ取り可能フィルム8はまた、把持部材と同じ側面上、支持部材2に関して横方向に突出する、把持ゾーン81を含む。
【0047】
図5から8は、ユーザの皮膚10へのパッチ1の適用プロセスを示している。図5では、ユーザはフィルム8を剥ぎ取っており、接着性部分23及びフィルム7の接着性表面を表出させる。図6では、これらの接着性表面は皮膚に接触して配置されている。引っ張り力を上方向に把持部材6に加えることによって、フィルム7は皮膚から剥離され、この剥脱効果を奏する。図7では、フィルム7は完全に皮膚から剥脱される。フィルム7がフィルム4の端41に付着されるように、同様に、支持部材2に沿って引っ張られ、支持部材2に対して剥ぎ取られる。物質3は、次に表出させられ、剥脱された皮膚の表面に垂直方向に配置される。ユーザは、図8に示されているように、単にパッチを皮膚に対して掌を使って配置させないといけないだけで、物質3は剥脱された皮膚の表面と接触する。
【0048】
(第三実施形態)
図9及び10はパッチ1の第三実施形態を示している。このパッチ1は支持部材2及び物質3を含み、それらは先の実施形態のものと同様である。
【0049】
フィルム4は、物質3を覆い、それが表面21と接触するようにしている。フィルム4は剥ぎ取り可能であり、よって除去可能に支持部材2に固定される。先の実施形態でのように、フィルム4は支持部材2の接着性部分23を覆わない。接着性部分23は、フィルム4の端41に対し、横方向に突出している。フィルム4は表面21の全外周に渡って接着性表面22の一部と接触している。フィルム4の支持部材2への剥ぎ取り可能な接続は、接着性表面22への接触によって保証されている。フィルム4は同様に、それが覆わない接着性表面22の別の部分によって包囲されている。この別の部分は、皮膚に接触するようにされており、剥脱された皮膚のゾーンを包囲する。
【0050】
剥ぎ取り可能な剥離フィルム7は、フィルム4の端41に固定された端を含んでいる。先の実施形態でのように、フィルム7は、接着性表面を含む下側面が備えられている。この接着性表面は物質3に垂直方向に配置されている。図10に示されているように、フィルム7はフィルム4と同一の形状を有する。
【0051】
フィルムの形状で形成されている把持要素6は、フィルム4及び7の間に挟まれている。把持部材は、よってその二つの表面によってフィルム4及び7に接触している。この把持部材6は、フィルム4の端41に固定される端を含んでいる。把持部材6に対抗する端は、支持部材2に対して横方向に突出している。把持部材6の二つの面は、フィルム4及び7との接触面の高さにおいて、接着剤で部分的にコーティングされている。よって、これらの面は、接着剤でコーティングされていないゾーンを交番する接着性ストリップ61を含む。これらの部分的にコーティングされた面は、使用前のパッチの機械的パフォーマンスを保証すると同時に、フィルム4及び7に対するこれらの面の剥離を許容する。接着力は、ユーザが把持部材6の引っ張りを加えるときに、剥離が可能となるように十分弱くなくてはならない。
【0052】
剥ぎ取り可能な保護フィルム8は、接着性部分23及びフィルム7の下側面を覆う。剥ぎ取り可能フィルム8はまた、把持部材と同じ側面上、支持部材2に関して横方向に突出する、把持ゾーン81を含む。
【0053】
ユーザがパッチを適用したいときに、ユーザは次のようにする。ユーザはフィルム8を剥ぎ取り、剥ぎ取りフィルム7の接着を皮膚に適用し、接着性表面23を皮膚に配置する。フィルム4及び7並びに把持部材6のそれぞれの端は互いに接合されているので、ユーザが把持部材6の引っ張りを加えるときに、フィルム4及び7の同時剥ぎ取りを引き起こす。皮膚の部分は、よって剥離され、いまや露わになった物質3に対して垂直方向に配置される。ユーザは、単にパッチを皮膚に対して掌を使って配置させないといけないだけで、物質3は剥脱された皮膚の表面と接触する。
【0054】
また、フィルム4及び7を剥ぎ取る間に、フィルム7の下側接着面はフィルム4の表面と接触し、保存体積中に物質を保存する。従って、フィルム4上の物質のいかなる考え得る残留物も中性化される。
【0055】
(第四実施形態)
図11は、パッチ1の第四実施形態である。このパッチ1は支持部材2及び物質3を含み、それらは先の実施形態のものと同様である。アプリケータ46が除去手段として使用され、皮膚に適用する前に、物質3を表面21に接触させたままにする。また、アプリケータ46は同様に、把持部材としても利用される。アプリケータ46は、よって支持部材2の下側面に対して直角方向に突出する固体の形状をしている。アプリケータ46は、三角形の断面のプリズムの全体的形状を含み、その基底は好適にはユーザの指に対する把持溝62に合致している。プリズムの横方向面は表面21を覆い、物質3をこの表面21に接触させるようにする。この横方向面は、それが支持部材2から容易に分離されるように、有利には弱い接着力を有する。横方向面は表面22の部分23を覆わない。
【0056】
剥ぎ取り可能な剥離フィルム7は、プリズムの別の横方向面に固定される端を含む。フィルム7の別の端は、取り外し可能に、又は破損可能に、プリズムのこの別の面に繋がれる。先の実施形態におけるように、フィルム7は接着性表面を含む下側面が備えられている。この接着性表面は、物質3に対して垂直方向に配置されている。剥ぎ取り可能な保護フィルム8は、接着性部分23及びフィルム7の下側面を覆う。
【0057】
ユーザがパッチを適用したいときに、ユーザは次のようにする。ユーザはフィルム8を剥ぎ取り、剥ぎ取りフィルム7の接着を皮膚に適用し、接着性表面23及びフィルム7の下側面を皮膚に配置する。アプリケータ46の後部(支持部材2の部分23の反対側)を持ちあげると、フィルム7の一端とアプリケータ46の破損可能な接続は破損される。アプリケータ46に引っ張りを加えると、物質3を表出させ、皮膚からフィルム7を剥脱する。アプリケータは実際には、それが固定されている前方端を引っ張ることによってフィルム7を剥ぎ取る。掌は支持部材の上側面上を通り抜けるにつれ、物質3は、今やまさに剥脱される皮膚に対して適用される。
【0058】
表面21から物質3を守るためのアプリケータ46及び支持部材2の間の保護フィルムが同様に、利用可能である。そのような保護フィルムは、シリコンフィルムの形態でつくられ得る。この保護フィルムは、剥ぎ取り可能に支持部材2上に装着され得て、アプリケータ46に固定された前面端を含んでいる。アプリケータ46の引っ張りの間、この保護フィルムは同時に引っ張られるであろう。
【0059】
これらの異なる実施形態において、表面21は静電特性を示すようにすることも可能である。同時に、粒子の形態である物質3が静電力によって表面21に接触させておくようにすることも可能である。
【0060】
物質3及びこの物質に垂直方向の剥離フィルム7の連携によって、フィルム7の接着力は、有利には物質3又はその投薬量の関数として調整され得る。
【0061】
本発明は同様に、分子を生物に付与するための上で定義されたようなパッチの使用に関連する。パッチは特に、対象のワクチン接種のため、対象を鈍感にするため、又は有効物質を付与するために使用される。パッチに含まれる有効物質は、好適にはポリペプチドであるが、いかなる種類でも構わず、例えば、生物学的に有効な混合物又はアンチゲンであり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質を皮膚に適用するためのパッチであって、表皮に浸透するようにされている物質(3)、物質を皮膚に接触させる手段、及び、パッチを前記物質及び皮膚の間の接触ソーンの高さに配置されたのちに、皮膚の剥脱を可能とする皮膚剥脱剥ぎ取り可能フィルムを含むことを特徴とするパッチ。
【請求項2】
−前記物質(3)に接する第一表面(21)及び皮膚に接触するようにされている第二表面(22、23)を含む少なくとも一つの下側面を含む支持部材(2)、
−物質(3)を前記第一表面(21)に接触させるオプション的な取り外し可能手段(4)、
−支持部材(2)を含む固体であって、前記物質(3)に垂直方向に配置された接着性表面を含む下側面を含む皮膚剥脱剥ぎ取り可能フィルム(7)、
−剥脱フィルム(7)を剥ぎ取ったときに、第二表面(22、23)を皮膚に接触させておく手段、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のパッチ。
【請求項3】
第二表面(22)は接着性であり、第一表面(21)を包囲する、請求項2に記載の皮膚に適用するためのパッチ。
【請求項4】
第一表面(21)を物質(3)に接触させておくための取り外し可能手段(4)は、剥脱フィルム(7)及び支持部材82)の間に挿入された保護部材を含み、保護部材は第一表面(21)を覆う、請求項2又は3に記載の皮膚に適用するためのパッチ。
【請求項5】
第二表面及び物質を皮膚に接触させておくための手段は、第二表面(22、23)をコーティングする接着剤を含み、第二表面は保護表面によって覆われていない部分(23)を含む、請求項5に記載の皮膚に適用するためのパッチ。
【請求項6】
前記覆われていない部分(23)を覆い、前記覆われていない部分(23)及び剥脱フィルム(7)の下側面に接触する剥ぎ取り可能な保護フィルム(8)を含む、請求項5に記載の皮膚に適用するパッチ。
【請求項7】
支持部材(2)に対して突出している把持部材(6)を含み、把持部材(6)は剥脱フィルム(7)を含む固体であり、それを持ったときに皮膚からそれを剥離する、請求項2乃至6のいずれか一項に記載の皮膚に適用するパッチ。
【請求項8】
把持部材(6)は、支持部材(2)に対して横方向に、保護部材によって覆われていない部分(23)の反対側に向かって突出する、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の皮膚に適用するパッチ。
【請求項9】
把持手段(6)は取り外し可能手段(4)に付着され、これらの取り外し可能手段(4)は把持部材(6)が動いたときに引き離される、請求項7又は8に記載の皮膚に適用するパッチ。
【請求項10】
剥脱フィルム(7)及び取り外し可能手段(4)は、互いの第一端(41)によって付着されている、請求項9に記載の皮膚に適用するパッチ。
【請求項11】
把持部材(6)は、剥脱フィルム(7)の第二端または取り外し可能手段(4)に付着されており、この第二端は第一のものと対抗する、請求項10に記載の皮膚に適用するパッチ。
【請求項12】
取り外し可能手段(4)はフィルムによって形成されており、把持部材(6)は取り外し可能手段(4)のフィルム及び剥脱フィルム(7)の上側表面に、部分的に接着剤(61)が塗布されている面を用いて接触しているフィルムである、請求項10に記載の皮膚に適用するパッチ。
【請求項13】
取り外し可能手段(4)及び把持部材(6)は、折り曲げられたフィルムによって構成されている、請求項7乃至12のいずれか一項に記載の皮膚に適用するパッチ。
【請求項14】
把持部材(6)は後方に折り曲げられており、支持部材(2)の上側表面上に取り外し可能に(9)付着されている、請求項7乃至13のいずれか一項に記載の皮膚に適用するパッチ。
【請求項15】
把持部材(6)は支持部材(2)の下側面に直角方向に突出している、請求項2乃至10のいずれか一項に記載の皮膚に適用するパッチ。
【請求項16】
取り外し可能手段及び把持部材は三角形断面のプリズムの形状をした部材(46)によって形成され、基底は把持用ほぞ穴(62)を含み、横方向面は第一表面(21)を覆い、別の横方向面は剥脱フィルム(7)の少なくとも一端に付着される、請求項15に記載の皮膚に適用するパッチ。
【請求項17】
支持部材(2)及び取り外し可能手段(4)は物質を気密性保存容器の体積中に保存する、請求項2乃至16のいずれか一項に記載の皮膚に適用するパッチ。
【請求項18】
第一表面(21)は静電特性を付与される又は付与されず、物質はクーロン型の力又はファンデルワールス力によって表面に接触する粒子を含む、請求項2乃至17のいずれか一項に記載の皮膚に適用するパッチ。
【請求項19】
剥脱フィルムの接着性表面の接着力は物質の関数として調整される、請求項12乃至18のいずれか一項に記載の皮膚に適用するパッチ。
【請求項20】
物質を患者に投与するための構成の組み立て品のための先行する請求項のいずれか一つで定義されたようなパッチの使用。
【請求項21】
対象へのワクチン接種のため、対象を鈍感にするため、又は対象に有効成分を付与するための、請求項20に記載のような使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−519189(P2010−519189A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549458(P2009−549458)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【国際出願番号】PCT/FR2008/050252
【国際公開番号】WO2008/104720
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(503330303)デベヴェ・テクノロジーズ (11)
【Fターム(参考)】