説明

皮膚損傷修復用組成物

【課題】皮膚の傷痕などの皮膚損傷部分の修復をする皮膚損傷修復用の組成物であって、カバー力があり、重ね塗りを容易に行うことができて皮膚損傷部分の修復効果に優れ、かつ使用性がよく、化粧持ちにも優れたものを提供する。
【解決手段】(a)酸化チタン30〜50質量%と、(b)アクリル−シリコーン系グラフト共重合体とシリコーン化多糖化合物とを含む皮膜剤2〜20質量%とを配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚損傷修復用組成物に関し、特に皮膚の傷痕などの皮膚損傷部分の修復をする皮膚損傷修復用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚の傷痕などの皮膚損傷部分を隠すためには、化粧料を厚塗りすることで傷痕などをカバーし、目立たなくすることが行われてきた。
しかしながら、一般的に使用されている化粧料では、皮膚の傷痕などの皮膚損傷の程度によっては対応できない場合も多く、皮膚損傷部分専用の化粧料が求められていた。
一方、本発明で用いられる粉末である酸化チタンは化粧料用粉末として用いられているものであり、その中でも多配合されている処方として、例えば特許文献1実施例3や特許文献2実施例1,2が挙げられるが、皮膚損傷部分の修復効果において十分なものとは言えず、また仕上がりのつっぱり感を感じるものであった。
また皮膜剤を配合した化粧料としては特許文献3、4が挙げられるが、これらは重ね塗りが困難であり、皮膚損傷部分の修復効果が不十分であったり、化粧持ちに劣るという欠点がある。
【0003】
【特許文献1】特開平08−81331号公報
【特許文献2】特開平07−89826号公報
【特許文献3】特開2000−38313号公報
【特許文献4】特開2002−138009号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記したような従来の事情に対処してなされたもので、カバー力があり、重ね塗りを容易に行うことができて皮膚損傷部分の修復効果に優れ、かつ使用性がよく、化粧持ちにも優れた皮膚損傷修復用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者らは皮膚損傷部分の修復効果に優れた使用性の良い皮膚損傷修復用組成物について種々検討した結果、特定の基粉末と特定の皮膜剤とを用いることで上記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、(a)酸化チタン 30〜50質量%と、(b)アクリル−シリコーン系グラフト共重合体とシリコーン化多糖化合物とを含む皮膜剤 2〜20質量%とを含有することを特徴とする皮膚損傷修復用組成物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の皮膚損傷修復用組成物は、カバー力があり、重ね塗りを容易に行うことができて皮膚損傷部分の修復効果に優れ、かつ使用性がよく、化粧持ちにも優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の最良の実施の形態について説明する。
本発明で用いられる(a)成分の酸化チタンは、平均粒子径が0.3μm以上である顔料級の酸化チタンである。その配合量は、30〜50質量%であり、より好ましくは、35〜45質量%である。30質量%未満ではカバー力に劣り、50質量%を超えると厚付き感が強くなりすぎて、不自然となる。
【0009】
本発明で用いられる(b)成分の皮膜剤は、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体とシリコーン化多糖化合物とを含むものである。以下、これらの皮膜剤について詳述する。
【0010】
アクリル−シリコーン系グラフト共重合体とは、分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物とアクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマーとの共重合体で、特開平2−25411号公報、特開平2−132141号公報等に記載されているものが例示される。例えば、分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物は、下記の一般式(1)
【0011】
【化1】

【0012】
1:メチル基又は水素原子、R2:場合によりエーテル結合1個又は2個で遮断されている直鎖状又は分岐状の炭素鎖を有する炭素原子1〜10個の2価の飽和炭化水素基、R3:メチル基又はブチル基、l:3〜300で表されるものが挙げられる。
【0013】
一方、アクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマーは、ラジカル重合性不飽和結合を分子中に1個有する化合物を意味し、使用されるアクリレート及び/又はメタクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、フルオロ炭素鎖1〜10のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレートを例示することができる。また、本発明におけるアクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするラジカル重合体モノマーにおいて、上記したアクリレート及び/又はメタクリレート以外に必要に応じて種々の重合性モノマー化合物を使用することができる。これらの化合物としては、スチレン、置換スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、アクリロニトリル、フッ化オレフィン、N−ビニルピロリドン等を例示することができる。
【0014】
分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するジメチルポリシロキサン化合物(A)とアクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマー(B)との共重合体は、重合比率((A)/(B)):1/19〜2/1の範囲内で、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等の通常のラジカル重合開始剤の存在下で行われ、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、バルク重合法のいずれの方法の適用も可能である。市販品としては、溶剤に溶解したものとして、KP541、KP543、KP545(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
これらのアクリル−シリコーン系グラフト共重合体は必要に応じて1種又は2種以上用いることができる。
【0015】
本発明で用いられるシリコーン化多糖化合物は、下記一般式(2)で示される。
【0016】
【化2】

【0017】
(式中、Gluは多糖化合物の糖残基、Xは2価の結合基、Yは2価脂肪族基を意味し、R1は炭素数1〜8の1価有機基、R2、R3、R4はそれぞれ炭素数1〜8の1価有機基又は−OSiR567で示されるシロキシ基を意味する。ただし、R5、R6、R7はそれぞれ炭素数1〜8の1価有機基、aは0、1又は2を意味する。)
【0018】
一般式(2)において、Gluは多糖化合物の糖残基を表すが、このような多糖化合物としては、公知の各種多糖化合物を用いることができ、例えば、セルロース、ヘミセルロース、アラビアガム、トラガントガム、タマリンドガム、ペクチン、デンプン、マンナン、グアーガム、ローカストビーンガム、クインスシードガム、アルギン酸、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸の他、これら多糖化合物の誘導体、例えば、カルボキシメチル化、硫酸化、リン酸化、メチル化、エチル化、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの付加、アシル化、カチオン化、低分子量化等を行った多糖化合物誘導体が挙げられる。これらの内、好ましくはエチルセルロース又はプルランであり、特に好ましくはプルランである。なお、本発明において多糖化合物の平均分子量は多糖化合物の種類により異なるが、通常約1,000〜5,000,000が好ましい。
【0019】
これらの多糖化合物はその種類に応じて水酸基、カルボキシル基等の反応性官能基の1種又は2種以上を少なくとも1つ以上含有している。Xで示される2価結合基は、この多糖化合物の有する反応性官能基と、下記一般式(3)で示されるシリコーン化合物とを反応させることにより形成されるA由来の結合基である。なお、このようなシリコーン化合物と多糖化合物との反応には、従来より公知の方法を用いることができる。
【0020】
【化3】

【0021】
上記式中、Y、R1、R2、R3、R4及びaは前記一般式(2)と同じである。また、Aは多糖化合物の反応性官能基と反応しうる官能基であり、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基、イミノ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基等が挙げられる。
【0022】
Xを例示すると、カルバモイル基、−CH2CH(OH)−、カルボニル基、アミノ基、エーテル基等が挙げられるが、反応性の点から、Aがイソシアネート基(O=C=N−)である前記一般式(3)の化合物と、多糖化合物の水酸基が反応して形成される、カルバモイル基(−CONH−)であるものが好ましい。なお、この場合の多糖化合物の糖残基はイソシアネート基と反応している水酸基の水素原子を除いた多糖化合物の残り部分を意味する。また、その他の反応の場合にも、多糖化合物の糖残基とはこれに準ずるものを意味する。
【0023】
Yで示される2価の脂肪族基としては、アルキレン基、主鎖中に酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有するアルキレン基、主鎖中にフェニレン基等のアリーレン基を有するアルキレン基、主鎖中にカルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を有するアルキレン基を挙げることができる。これらの2価脂肪族基はヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基等の置換基を有することができ、また、脂肪族基の末端原子が酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子であってもよい。Yを例示すると、−(CH22−、−(CH23−、−(CH24−、−(CH26−、−(CH28−、−[CH2CH(CH3)]−、−(CH22O(CH23−、−CH2CH(OH)−CH2−等が挙げられるが、好ましくは−(CH23−で示されるプロピレン基である。
【0024】
前記一般式(2)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7に見られる炭素数1〜8の1価有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、3,3,3-トルフロロプロピル基等のフッ化アルキル基等を例示することができる。
【0025】
また、R2、R3、R4はそれぞれ−OSiR567で示されるシロキシ基であってもよい。このようなシロキシ基としては、トリメチルシロキシ基、エチルジメチルシロキシ基、フェニルジメチルシロキシ基、ビニルジメチルシロキシ基、3,3,3-トリフルオロプロピルジメチルシロキシ基等が例示される。なお、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7は同一又は異なっていても良いが、本発明のシリコーン化多糖化合物においては、a=0で、R2、R3、R4がメチル基であることが特に好ましい。
【0026】
本発明において用いるシリコーン化多糖化合物として、特に好ましいものは下記式(4)で示されるシリコーン化プルランである。なお、式(4)中、PLはプルランのグルコース残基を表す。
【0027】
【化4】

【0028】
なお、本発明のシリコーン化多糖化合物において、多糖化合物の反応性官能基に対するシリコーン化合物の結合割合はその種類によって異なるが、通常、多糖化合物の構成糖1単位当たりのシリコーン化合物の平均結合数(置換度)が0.5〜3.0であることが好適である。なお、本発明において置換度は化合物中のSi含有量(質量%)から換算したものである。
なお、シリコーン化多糖化合物の配合の際には、低分子量シリコーン油や軽質イソパラフィンに溶解して配合すると、配合のし易さや使用感等を高めることができる。
【0029】
これらのシリコーン化多糖化合物は必要に応じて1種又は2種以上用いることができる。またシリコーン化多糖化合物の市販品としては、例えばTSPL=30−D5(信越化学工業社製、30wt%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)が挙げられる。
【0030】
本発明の皮膚損傷修復用組成物中、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体とシリコーン化多糖化合物とを含む皮膜剤の配合量は組成物中に2〜20質量%、好ましくは2〜15質量%配合することができる。皮膜剤の配合量が少なすぎると重ね塗りが困難となり、化粧持ちに劣るようになる。皮膜剤の配合量が多すぎると、のびが悪くなったり、仕上がり後につっぱり感が生じるようになる。
【0031】
また皮膜剤はアクリル−シリコーン系グラフト共重合体とシリコーン化多糖化合物からなるものであることが好ましいが、全皮膜剤の10質量%以下であれば上記以外の皮膜剤を含ませることが可能である。
かかる皮膜剤としては、例えばポリビニルピロリドン/α−オレフィン共重合体、トリメチルシロキシケイ酸重合体、アミノ変性シリコーンが挙げられる。しかしこれらの皮膜剤が多くなると、重ね塗りのしやすさや、化粧持ちに欠けたり、つっぱり感を感じるようになるなどの欠点がある。
【0032】
アクリル−シリコーン系グラフト共重合体とシリコーン化多糖化合物との配合割合(質量比)は、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体:シリコーン化多糖化合物=1:0.1〜1:0.3であることが好ましい。
アクリル−シリコーン系グラフト共重合体の配合割合が多すぎると柔軟性に欠けるようになり、重ね塗りが困難となったり、化粧持ちに劣るようになる。またシリコーン化多糖化合物の割合が多すぎる場合にはべたつきを生じたり、使用感が重く、肌なじみが悪くなることがある。
【0033】
本発明においては、上記必須成分以外に焼成マイカをさらに含有することが好ましい。焼成マイカを配合することにより、のびがよくなり、使用性が向上する。焼成マイカの望ましい配合量は、皮膚損傷修復用組成物全量に対して40質量%以下であり、好ましくは5〜20質量%である。
【0034】
本発明においては、その他の粉末として、例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、黒雲母、金雲母、合成雲母、バーミキュライト、炭酸マリネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、タングステン酸金属塩、マリネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム、焼セッコウ、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)の無機粉末;ポリアミド樹脂粉末、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレン−アクリル酸共重合体樹脂粉末、ペンゾリアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末等の有機粉末;二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色系顔料;酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料;γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、カーボン、低次酸化チタン等の無機黒色系顔料;マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料;酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、着色酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料;アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料;赤色202号、赤色205号、赤色220号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号等の有機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色227号、赤色401号、橙色205号、黄色4号、黄色202号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム、アルミニウムレーキ等の有機顔料;クロロフィル、β−カロチン等の天然色素等を配合することができる。
【0035】
さらに本発明の皮膚損傷修復用組成物には本発明の効果を損なわない範囲で通常化粧料に用いられる成分を配合することができる。例えば水相成分として多価アルコール、ムコ多糖類(ヒアルロン酸ナトリウム等)、有機酸および有機塩類(アミノ酸、アミノ酸塩、オキシ酸塩等)等の保湿剤、油相成分としてはワセリン、ラノリン、シリコンワックス、高級脂肪酸、高級アルコール等の固形・半固形油分、スクワラン、流動パラフィン、エステル油、トリグリセライド、揮発性炭化水素油、フルオロカーボン等の流動油分、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の界面活性剤、ビタミンE、ビタミンEアセテート等の薬剤、収斂剤、酸化防止剤、防腐剤、香料、第2リン酸ナトリウム等のPH調整剤、粘土鉱物、増粘剤、紫外線吸収剤等は、本発明の組成物に配合可能である。
【0036】
本発明の皮膚損傷修復用組成物は、ファンデーション、化粧下地、コンシーラ(部分下地)として好適に用いられる。
【実施例】
【0037】
次に、本発明の実施例について説明する。本発明は、これらによって限定されるものではない。配合量は全て質量%である。
【0038】
試験例1〜13
(処方)
次の表1に示す処方で皮膚損傷修復用組成物を製造し、その効果を後記する評価方法で評価した。その結果を併せて表1,2に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
(表1,2の皮膚損傷修復用組成物の製造方法)
各成分を90〜100℃で加熱融解し、攪拌・混合、脱泡、冷却する。
【0042】
〔評価方法〕
上記試験例1〜13で製造した皮膚損傷修復用組成物を専門のパネリスト(6名)が使用し、カバー力、のび、厚付き感のなさ、適度なマット感のある仕上がり、仕上がりのつっぱり感のなさ、重ねづけのしやすさ、2時間経過後の化粧持ちを5段階で官能評価し、下記評価基準で判定した。
【0043】
〔評価基準〕
5:非常に良い
4:良い
3:普通
2:悪い
1:非常に悪い
【0044】
〔評価〕
◎:評価値(平均値)4.5以上
○:評価値(平均値)3.5以上、4.5未満
□:評価値(平均値)2.5以上、3.5未満
△:評価値(平均値)1.5以上、2.5未満
×:評価値(平均値)1.5未満
【0045】
表1,2中、試験例1,4,9,11は本発明の実施例であり、試験例2,3,5〜8,10,12,13は比較例である。表1,2から分かるように、本発明の皮膚損傷修復用組成物はカバー力、のび、厚付き感のなさ、適度なマット感のある仕上がり、仕上がりのつっぱり感のなさ、重ねづけのしやすさ、化粧持ちに優れたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)酸化チタン 30〜50質量%と、
(b)アクリル−シリコーン系グラフト共重合体とシリコーン化多糖化合物とを含む皮膜剤 2〜20質量%と
を含有することを特徴とする皮膚損傷修復用組成物。
【請求項2】
焼成マイカをさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の皮膚損傷修復用組成物。
【請求項3】
(b)成分のアクリル−シリコーン系グラフト共重合体とシリコーン化多糖化合物との配合割合(質量比)が、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体:シリコーン化多糖化合物=1:0.1〜1:0.3であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚損傷修復用組成物。
【請求項4】
(b)成分中のアクリル−シリコーン系グラフト共重合体が下記一般式(1)で表される分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物と、アクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマーとの共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚損傷修復用組成物。
【化1】


(式中、R1:メチル基又は水素原子、R2:場合によりエーテル結合1個又は2個で遮断されている直鎖状又は分岐状の炭素鎖を有する炭素原子1〜10個の2価の飽和炭化水素基、R3:メチル基又はブチル基、l:3〜300を示す。)
【請求項5】
(b)成分中のシリコーン化多糖化合物が下記一般式(2)で示されるものであることを特徴とする請求項1に記載の皮膚損傷修復用組成物。
【化2】


(式中、Gluは多糖化合物の糖残基、Xは2価の結合基、Yは2価脂肪族基を意味し、R1は炭素数1〜8の1価有機基、R2、R3、R4はそれぞれ炭素数1〜8の1価有機基又は−OSiR567で示されるシロキシ基を意味する。ただし、R5、R6、R7はそれぞれ炭素数1〜8の1価有機基、aは0、1又は2を意味する。)

【公開番号】特開2009−13107(P2009−13107A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175858(P2007−175858)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】