説明

皮膚癌を検出するための非侵襲性システム

本発明は、哺乳動物の組織内の黒色腫、又は他の皮膚癌のような癌を検出する方法に関するものである。本方法は、本発明のパッチを、外部接触可能な組織表面に局所的にあてることを含む。第一のプローブ、又は第二のプローブ、或いはその両方は組織内に組織内に拡散することができ、第一のタンパク質分解酵素、又は第二のタンパク質分解酵素、或いはその両方が存在する場合には、第一のプローブが第一のタンパク質分解酵素と結合し、第二のプローブが第二のタンパク質分解酵素と結合し、結果として、関連ペプチド基質の酵素的切断が生じ、それにより、第一の切断生成物、又は第二の切断生成物、或いはその両方が形成され;次に、適当な検出手段を適用することにより、第一の切断生成物、又は第二の切断生成物、或いはその両方の存在又は不在を検出し、それによって、癌に特有なタンパク質分解作用が示され、それにより癌を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌を検出するためのパッチに向けられたものである。本発明はまた、哺乳動物の組織内の黒色腫、又は他の皮膚癌のような癌を検出する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、表皮、真皮、及び皮下組織の3つの層を持つ。皮膚の最上層である表皮は非常に薄く、皮膚のより深い層、及び内部器官を保護する働きをする。表皮自体は、基底細胞から成る上層、中層、及び下層の3つの層を持つ。これらの基底細胞は分裂して、ケラチンを作るケラチン生成細胞(また、扁平上皮細胞とも呼ばれる)を形成する。表皮には、メラニン細胞もまた存在する。これらの細胞は、メラニンと呼ばれる色素を作り出す。メラニンは、皮膚に日焼け色或いは茶色を与え、日光の有害な影響から皮膚のより深い層を保護するのを助ける。細胞外マトリックスから成る基底膜が、皮膚のより深い層から表皮を隔てている。
【0003】
多数の異なる形式の皮膚癌が存在する。非黒色腫(通常、基底細胞癌、及び扁平上皮細胞癌)が、皮膚の最も一般的な癌である。それらは、メラニン細胞以外の皮膚細胞から生じるので、非黒色腫と呼ばれる。それらは、体内のどこか他の場所に広がることはめったにない。黒色腫は、皮膚のメラニン細胞システムの細胞内で始まる癌であり、黒色腫の転移は一般的である。黒色腫は、皮膚癌のすべてのケースのたったの約4%しか占めないが、それは、皮膚癌関連の死を最も引き起こす。
【0004】
様々な形の皮膚癌は、細胞外プロテイナーゼの特定のパターンの発現によって特徴付けられる。皮膚癌の分類及び予後のために、u‐PA、及びt‐PAのようなセリンプロテイナーゼの働きを使用した。(Maguire他著, 皮膚の基底細胞腫瘍内の低レベルのウロキナーゼプラスミノゲン活性成分, Int J Cancer.85(4):457−9[2000];Ferrier他著, 肢部の初期の黒色腫内の高いtPAの発現は良好な予後と互いに関係がある, Br J Cancer.83(10):1351−9[2000])
【0005】
皮膚癌において、他のプロテイナーゼの群(マトリックスメタロプロテイナーゼ;MMPs)の働きの増大もまた示された。基底膜、及び細胞外マトリックスの劣化は、皮膚癌細胞の遊走、浸潤、及び転移形成における必須のステップである。マトリックスメタロプロテイナーゼ、及びそれらの抑制物質は、これらの複雑な複数ステップの過程において、重大な役割を果たす。皮膚癌細胞は、MMP−1、MMP−2、MMP−9、MMP−13、MT I−MMP、及びその他のような多数のマトリックスメタロプロテイナーゼ族のメンバ(Dumas他著, 皮膚の基底細胞及び扁平上皮細胞の癌腫における基底膜抗原、及びマトリックスメタロプロテイナーゼ2及び9の発現, Anticancer Res.19(4B):2929−38[1999];Walker RA,Woolley DE著, 人間の黒色腫におけるマトリックスメタロプロテイナーゼ1、‐2及び‐3の免疫局在性の研究, Virchows Arch.435(6):574−9[1999];Airola K,Fusenig NE, 良性及び悪性のケラチン生成細胞におけるMMP−1発現の示差的間質制御, J Invest Dermatol.116(1):85−92[2001];Bodey他著, 悪性黒色腫におけるマトリックスメタロプロテイナーゼの発現:浸潤及び転移における腫瘍の細胞外マトリックスの相互作用, In Vivo15(1):57−64[2001];Kerkela他著, 上皮の皮膚癌におけるストロメライシン‐2(MMP‐10)、及びMT1‐MMP(MMP‐14)の発現の示差的パターン, Br J Cancer84(5):659−69[2001];Papathoma他著, マウスの皮膚の発癌現象の進行におけるマトリックスメタロプロテイナーゼ9の役割, Mol.Carcinog.31(2):74−82[2001])、並びにそれらの組織阻害因子TIMP−1、TIMP−2、及びTIMP−3(検討のため、Hofmann他著, ヒト黒色腫におけるマトリックスメタロプロテイナーゼ, J Invest Dermatol115(3):337−44[2000]を参照)を発現する。
【0006】
特定の皮膚の障害が、特定の細胞外プロテイナーゼのセットを発現するので、それを使用して、皮膚癌のための診断ツールを開発することができる。例えば、米国特許第5,324,634号は、癌を検出するための、マトリックスメタロプロテイナーゼの組織抑制物質(TIMPs)と複合体を形成するMMPsの生体外免疫検定法を説明している。(Zucker著, 進行癌、及び転移癌の検出のためのゼラチナーゼ/阻害因子の複合体を測定するための診断試験, 米国特許第5,324,634号)
【0007】
個々の細胞外プロテイナーゼは、固有の基質特異性を持つ。それゆえ、特定の基質を使って、複雑な混合物(例えば、腫瘍のサンプル)内の個々のプロテイナーゼの存在、及び働きを特定することが可能である。多数のこれらの基質は市販されており、それらの多くは蛍光原であって、ペプチドライブラリの選別は、新しく、かつより具体的な基質を特定するのに役立ち得る。(Rosse他著, コンビナトリアルペプチドライブラリを使った、新奇なプロテアーゼについての基質の高速な識別, J Comb Chem2(5):461−6[2000];Sheppeck他著, プロテアーゼ特異性を測定するための統計的に網羅的な蛍光ペプチド基質ライブラリの合成, Bioorg Med Chem Lett10(23):2639−42[2000])
【0008】
本発明は、マトリックスメタロプロテイナーゼ、セリンプロテイナーゼ、又はカテプシンのような細胞外マトリックスの分泌されたタンパク質分解酵素の基質特異性を利用して、癌、特に黒色腫のような皮膚癌の幾つかの形のための高速かつ非侵襲性の診断試験を提供する。
【0009】
(本発明の要約)
本発明は、癌を検出するためのパッチに向けられたものである。パッチは、必ずしもそうではないが、例えばヒドロゲル、或いは重合又は共重合基質内に保持、又は収容され得る医薬的に許容された水溶液を含むキャリヤ層を含む。キャリヤ層は、対象の第一(第二、第三、又はそれに続く)のタンパク質分解酵素のペプチド基質を含む第一のプローブ(又は、更なる第二、第三、又はそれに続く様々なプローブ)を含む。このタンパク質分解酵素は、細胞外分泌酵素であり、その働きは、例えば、黒色腫他のような皮膚癌といった癌に特有なものである。キャリヤ層は半透過性表面を含み、この反透過性表面は、皮膚、唇、鼻孔の内部、又は粘膜(例えば、口、のど、洞、直腸、又は膣の粘膜)のような外部接触可能な組織表面と局所的に接触するように適合したものである。プローブは、そのキャリヤ層の半透性表面を通って拡散することができる。細胞外マトリックス(ECM)内に、タンパク質分解酵素が存在し、接触媒的に活性である場合には、ペプチド基質は切断されて、検出可能な第一(又は、第二、第三、或いはそれに続く)の切断生成物を作り出し、次にそれは、それに対して透過性である半透性表面を通ってパッチ内に拡散し戻る。切断生成物の検出は、組織内の癌の存在を示している。
【0010】
本発明はまた、哺乳動物の組織内の黒色腫、又は他の皮膚癌のような癌を検出する方法に関するものである。本方法は、本発明のパッチを、外部接触可能な組織表面に局所的にあてることを含む。そのような外部接触可能な組織表面は、皮膚、唇、鼻孔の内部、又は粘膜(例えば、口、のど、洞、直腸、又は膣の粘膜)を含む。第一のプローブ、又は第二のプローブ、或いはその両方は組織内に拡散することができ、第一のタンパク質分解酵素、又は第二のタンパク質分解酵素、或いはその両方が前記組織内に存在する場合には、第一のプローブが第一のタンパク質分解酵素と結合し、第二のプローブが第二のタンパク質分解酵素と結合し、結果として、関連ペプチド基質の酵素的切断が生じ、それにより、第一の切断生成物、又は第二の切断生成物、或いはその両方が形成される;次に、適当な検出手段を適用することにより、第一の切断生成物、又は第二の切断生成物、或いはその両方の存在又は不在を検出し、それによって、癌に特有なタンパク質分解作用が示され、それにより癌を検出する。いずれかの適切な手段によりパッチ内の切断生成物を直接に、或いはそのかわりに、切断生成物の検出のために、切断生成物を初めにパッチから抽出してる、、切断生成物の検出、及び定量化を行うことができる。
【0011】
本発明のパッチ及び方法、及びその実施形態を、以下で詳細にさらに説明するが、これは、癌、特に黒色腫のような皮膚癌の非侵襲性かつ高速な診断に備えるものである。
【0012】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
キャリヤ層を含む本発明のパッチは、任意の適当なパッチ技術を用いることができる。例えば、パッチは、基質形式の経皮性、或いは経粘膜性のパッチとすることができる(例えば、Chien他著, 米国特許第4,906,169号及び第5,023,084号;Cleary他著, 米国特許第4,911,916号;Teillaud他著, 米国特許第5,605,702号;Venkateshwaran他著, 米国特許第5,783,208号;Ebert他著, 米国特許第5,460,820号;Ebert他著, 粘着性の上張り、及び剥離封止ディスクを持つ経皮性デリバリーシステム, 米国特許第5,662,925号;Chang他著, 皮膚又は粘膜に対する活性因子を管理するための装置, 米国特許第4,849,224号、及び第4,983,395号)。パッチの基質は、アクリル、又はエチレン/ビニルアセテート共重合体、又はポリエチレン発泡体、又はセルロース物質のような重合体、又は共重合体の基底支持層を含むことができる。
【0013】
特に経粘膜的な使用例に向けられた本発明の実施形態により、医薬的に許容される様々な経粘膜性パッチシステムが、この技術分野で既知であり、役立っている。例として、例えば粘着層、裏当て層、水溶液を収容する貯蔵器を定める浸透膜、その膜の下にある剥離封止ディスク、一又はそれ以上のヒートシール、及び取り外し可能な解放ライナの積層複合物を含む、経粘膜性パッチシステム(Ebert他著, 粘着性上張り、及び剥離封止ディスクを持つ経皮性キャリヤシステム, 米国特許第5,662,925号、Chang他著, 皮膚又は粘膜に対する活性因子を管理するための装置, 米国特許第4,849,224号及び第4,983,395号)。幾つかの有用な経粘膜性システムは、浸透促進剤とともに、非イオン洗剤を用いる。
【0014】
本発明に適用可能なこれらの有用なパッチ技術の例は、単に例証に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0015】
本発明のパッチの幾つかの実施形態では、キャリヤ層はまた、そのキャリヤ層の半透性表面を超えた基質及び生成物の移送を促進、及び/又は高めることのできるペプチド安定剤及び/又は化合物を含む。浸透促進剤の例は、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、N‐メチル‐2‐ピロリドン、N‐(2‐ヒドロキシエチル)‐ピロリドン、又は3‐ヒドロキシ‐N‐メチル‐2‐ピロリドン、胆汁塩又はフシデート、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、ペクチン、ポリビニルピロリドン、でんぷん、ゼラチン、或いはこの目的のために有用と知られる多数の他のポリマのいずれかのような親水性ポリマのような浸透、又は浸入促進剤を含むが、それらに限定されない。
【0016】
本発明のパッチは、使用の間、医薬的に許容された水溶液を乾燥させないようにする気密及び液密の外部層、又は膜を含むことが好ましい。この外部層は、外部接触可能な組織表面と接している半透性表面と反対側にある。
【0017】
本発明のパッチの幾つかの実施形態は、パッチを表皮、又は粘膜のような外部接触可能な組織表面に接着するためのポリシロキサン等のような接着剤を含む粘着層、をさらに含む。そのかわりに、パッチを、(例えば、接着剤、ガーゼ、又は他の形式のバンデージのような)上に重ねたバンデージ、又は所定の時間の間、キャリヤ層の半透性表面を組織表面と接触させたまま保つようにされた適当な圧力装置又は手段によって、外部接触可能な組織表面と接触させ、所定の位置に保持することができる。
【0018】
他の実施形態は、裏当て層、又は使用の前の保管の間のパッチの運用性を保つ剥離可能なシール或いはライナを含む特徴を含む。また、医薬的に許容される水溶液、又は重合体或いは共重合体基質内に、細菌発育阻止剤を含めることもできる。
【0019】
本発明のパッチにより、キャリヤ層は、対象のタンパク質分解酵素の一又は複数のペプチド基質を含む一又はそれ以上の特定のプローブを含む医薬的に許容される水溶液を含む。本発明により、パッチのキャリヤ層は、対象の第一、第二、第三、又はそれに続く異なるタンパク質分解酵素をターゲットにするための、第一、第二、第三、又はそれに続く異なるプローブを含むことができる。そのペプチド基質は、対象のタンパク質分解酵素のオリゴペプチド基質アナログであることが好ましいが、必須ではない。対象の第一、第二、又は後に続くタンパク質分解酵素は、例えば、セリンプロテアーゼ、カテプシン、又はメタロプロテイナーゼとすることができる。
【0020】
幾つかの好ましい実施形態では、医薬的に許容される水溶液中に、プローブを溶かすことができる。これらの実施形態では、プローブは、半透膜を通って、組織内に自由に拡散することができる。
【0021】
他の実施形態では、プローブは、キャリヤ層内の重合又は共重合基質について複合体を形成し、及び、存在する場合には、パッチ内に拡散して、プローブと反応し、本発明による検出可能な切断生成物の生成という結果となり得る対象の第一(第二、第三、又はそれに続く)のタンパク質分解酵素に対して、半透膜は透過性である。
【0022】
皮膚癌のような癌を検出する本発明のパッチ、及び方法の幾つかの実施形態では、特異的抗体又はアプタマーとの相互作用により、或いは特に対象の切断生成物を結びつける検出可能なナノ粒子のような他の反応物との分子相互作用により、切断生成物は検出可能である(例えば、Nam JM, Thaxton CS, Mirkin CA著, タンパク質の超高感度検出のためのナノ粒子ベースの生物バーコード, Science301(5641):1884−6[2003];Cognet L, Tardin C, Boyer D, Choquet D, Tamarat P, Lounis B著, 細胞内のタンパク質検出のための単一金属ナノ粒子の画像化, Proc Natl Acad Sci USA.2003 Sep 30;100(20):11350−11355[2003])。
【0023】
「アプタマー」(aptamer)は、タンパク質、又は代謝産物のような特定の分子ターゲットに結合する、例えばDNA、又はRNA分子のようなオリゴヌクレオチドである。アプタマーは、既知の手法により合成することができ、市販されている(例えば、Hamaguchi,N他著, タンパク質の検出のためのアプタマービーコン, Analytical Biochemistry294:126−131[2001])。
【0024】
「抗体」は、対象とする特異的なターゲット結合能力を有する抗体全体および抗体断片、すなわち抗原特異的、又はハプテン特異的な標的化リガンドを含む。抗体断片は、例えばFab, Fab’, F(ab’)2, F(v)断片を含む。また、抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体とすることができる。抗体はまた、リンカ部分によってキャリヤ分子にと複合体を形成した抗原特異的、又はハプテン特異的な標的化リガンドも含む。
【0025】
本発明のパッチ及び方法の他の実施形態では、プローブは、対象のタンパク質分解酵素によるオリゴペプチド基質アナログの切断の後、検出可能な標識を持つ切断生成物を形成するように、検出可能な標識をさらに含む。これらの実施形態により、基質の構造内の代謝に適当な位置、すなわち酵素的切断により同位体標識が切断生成物中で捕捉されるという結果を生じる位置に標識が置かれた状態で基質が合成される限り、標識は、蛍光色素、放射性同位体、又は安定(すなわち、非放射性)同位体とすることができるが、それらに限られない。
【0026】
有用なことに、蛍光色素は、分子内消光蛍光プローブ内に含まれることができる。本発明を実践するのに役立つ分子内消光蛍光プローブ、及び蛍光検出を作り出す方法は、既知である(例えば、Weissieder他著, 分子内消光近赤外蛍光プローブ, 米国特許第6,083,486号;Beekman,B他著, マトリックスメタロプロテイナーゼの活性の便宜的な蛍光定量法、及び生物学媒体におけるその使用例, 1996.FEBS Lett390:221[1996];Beekman B他著, 選択的な蛍光原定量法によって特定されるリウマチ滑液流体内の活性スストロメライシンのレベルの大きな増大, 1997.FEBS Lett416:305[1997];Ntziachristos V, Bramer C, Weissleder,R著, 近赤外光による蛍光画像化:生体内分子画像化を可能にする新しい技術の進歩, Eur Radiol 13:195−208[2003];Mahmood U, Tung CH, Bogdanov A Jr, Weissleder R著, 腫瘍検出のためのプロテアーゼの活性の近赤外光画像化, Radiology 213(3):866−70[1999];Bremer C, Bredow S, Mahmood U, Weissleder R, Tung CH著, 腫瘍内のマトリックスメタロプロテイナーゼ2の活性の光学画像化:マウスモデルにおける実現可能性の検討, Radiology 221(2):523−9[2001];Bremer C, Tung CH, Weissleder R著, マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害の生体内分子標的評価, Nat Med.7(6):743−8, Comment on 655−6[2001];Ntziachristos V, Tung CH, Bremer C, Weissleder R著, 蛍光分子トモグラフィが生体内のプロテアーゼの活性を解明する, Nar Med8(7):757−60[2002];Tung CH, Mahmood U, Bredow S, Weissleder R著, 新奇の分子レポータを使用したタンパク質分解酵素の活性の生体内画像化, Cancer Res60(17):4953−8[2000];Simonetti O, Lucarini G, Brancorsini D, Nita P, Bernaedinl ML, Biagnil G, Offidani A著, 皮膚のメラニン細胞の傷害における血管内皮成長因子、マトリックスメタロプロテイナーゼ2、及びマトリックスメタロプロテイナーゼ9の免疫組織化学的発現, Cancer95(9):1963−70[2002])。また、本発明の方法により、酵素「フィンガープリント」、又は特定の腫瘍型のプロファイルを得ることもできる。
【0027】
本発明の方法の幾つかの実施形態では、第一の切断生成物、又は第二の切断生成物、或いはその両方の存在、又は不在を検出することは、パッチに検出手段(例えば、蛍光、放射線、核磁気共鳴、免疫又はその他の検出手段)を直接適用することによって実施される。他の実施形態では、切断生成物をパッチから抽出して抽出物を得て、適当な検出手段をその抽出物に適用する。
【0028】
蛍光の存在(又は不在)を検出するための適当な方法は、蛍光検出手段による分光蛍光測定、蛍光共鳴エネルギー移送(FRET)、及びキャピラリー電気泳動を含むが、それらに限定されない。パッチ自身内の生成物の直接検出は、パッチの照明、及び裸眼、又はパッチ内で使用される蛍光原基質の光学特性に依って、通常光、赤外光、近赤外光、及び/又は紫外光を利用した光学装置のアレイを使用することによる放射光の検出により、遂行できる。
【0029】
有用な放射性同位体標識は、35S、14C、又は3H等を含むが、それらは、適当な放射線検出手段を使用して検出可能である。そのかわりに、13C、2H、17O、又は18O等のような安定同位体を、標識として用いることもできる。安定同位体の検出は、典型的には、質量分光法、又は核磁気共鳴のような手法で遂行することができる。
【0030】
腫瘍の酵素フィンガープリントを得るために、一より多くの異なる標識を付した基質を使用しなければならない。例えば、各々が異なるプロテイナーゼに特異的であり、かつ各々が異なる蛍光色素で標識された、二又はそれ以上の基質を用いることができる。例えば、スペクトル(例えば、蛍光)特性、又は同位体特性のような、それらの異なる特性に基づいて、異なる標識を持つ切断生成物を特定する。
【0031】
本発明の方法により、対象のタンパク質分解酵素が存在する場合には、検出可能な量の切断生成物がパッチ内に拡散するのに充分な時間の間、パッチの半透性表面を、外部接触可能な組織表面と接触させたままに保持する。この期間は、部分的には、用いられる検出手段に依存している。例えば、識別用放射性同位元素を用いることは、典型的には、切断生成物の抗体ベースの検出を用いるより高い感度を提供することができる。一般的には、約15分から約30分の期間が好ましいが、約1時間から約2時間、或いはそれ以上のより長い期間を用いることもできる。
【0032】
本出願で引用された全ての参考文献は、それら全体が引用により組み入れられる。
【0033】
本発明をその好ましい実施形態について説明する一方で、当業者は、本出願で開示される方法及び構成の厳密な例から離れるが、それにもかかわらず本発明を具現化する変形を作ることができることがわかるであろう。
【実施例】
【0034】
例1. セルロース膜パッチを使用したタンパク質分解の蛍光生成物の検出
【0035】
実験を実施して、蛍光原ペプチド基質がセルロースパッチからMMP源へ拡散し、かつ酵素反応の蛍光生成物がパッチへ拡散し戻り、紫外(UV)光を使って検出することができることを実証した。
【0036】
20mMのトリス緩衝液、pH7.6、2,5mMのZnSO4、及び5mMのCaCl2内の電気泳動等級の寒天(シグマ粒子)を溶かし、60mmのペトリ皿に注ぎ込む。次に、0.5マイクロリットルの活性MMP2、及びMMP6(濃度0.001マイクログラム/マイクロリットル,Oncogene Research Products社)を、寒天内(表面下0、2、及び5mm)に注入する。酵素を含まない緩衝液を、対照として使用した。注入部位を、予めMMPに対して高い親和性の蛍光原基質(10-5MのDABCYL-GABA-Pro-Gin-Gly-Leu-Glu(EDANS)-Ala-Lys-NH2[配列番号1];タンパク質分解生成物について、励起最大値λ=340nmおよび放射最大値λ=485nm;Calbiochem社、カタログ第444256、および/または、DABCYL-GABA-Arg-Pro-Lys-Pro-Val-Glu-Nva-Trp-Arg-Glu(EDANS)-Ala-Lys-NH[配列番号2]、Nva=ノルバリン;タンパク質分解生成物については励起最大値λ=360nm、放射最大値λ=490NM;Calbiochem社、カタログ第444257)の溶液内に浸しておいたセルロース膜パッチで被覆した。30、60、及び120分後に、膜パッチを取り除いて、、励起最大値340〜360nm、及び放射最大値460〜490nmを持つ「DAPI」フィルタを使用した蛍光顕微鏡で観察することにより、蛍光を半定量的に分析した。実験状況のもとで、蛍光はパッチ内で検出されたが、対照実験では検出されなかった。表1に示すように、関連する蛍光は、寒天表面におけるパッチからの基質の距離とインキュベーション時間と間接的に相関しており、これは切断生成物のパッチ内への拡散と合致している。
【0037】
表1. 蛍光原基質のタンパク質分解生成物の蛍光強度への拡散の効果(+=非常に弱いシグナル;++=弱いシグナル;+++=よく検出されたシグナル;++++=強いシグナル;+++++=非常に強いシグナル)
表1

【0038】
例2. 「パッチ手法」を使用した、ヒト黒色腫細胞のアガロースサンドイッチ培養における細胞外マトリックス内のタンパク質分解の蛍光生成物の検出
【0039】
実験を実施して、パッチ手法を使用して、ヒト黒色腫の培養におけるMMPの活性を検出できることを実証した。全てのin vitro実験を3回行い、最低でも2回繰り返した。
【0040】
ヒト黒色腫細胞株SK‐MEL‐28、及びWM 266‐4、及びマウスの黒色腫細胞株B16を、アメリカンティシューカルチャーコレクション(ATCC)から入手し、ATCCの推奨(DMEM, 10% FCS, ペニシリン+ストレプトマイシン)に従って培養した。実験室における2回の継代の後、細胞を実験に使用した。これらの実験において、60mmペトリ皿内のコンフルエント培養物を使用した。液体培地を取り除き、DMEM中に低融解温度のアガロース(シグマ体、細胞培養グレード)で置き換えた。(ほぼ1〜2mmの厚さの)ゲルを形成させた後、実験1で説明したように、MMPについて高親和性の蛍光原基質の溶液内に前もって浸されたセルロース膜をゲル上に置いた。30、60、120、及び360分後に、膜を取り出して、例1に記載したように蛍光を分析した。120、及び360分間寒天と接触させたパッチにおいて蛍光が検出されたが、対照実験では検出されなかった。
【0041】
例3. 黒色腫のマウスモデルにおけるMMP活性のin vivo検出
【0042】
実験を実施して、本発明の方法を使用して、黒色腫の動物モデルにおいてin vivoでのMMPの働きを検出できることを実証した。
【0043】
マウスの黒色腫細胞株B16を使用した。上で説明するように、B16細胞を培養及び継代した。全部で5x106個の細胞を、3匹の同系交配C57BL/6JOlaHsdマウスの左右の肢内の皮下又は皮内に注入した。注入して4日後、黒色腫病巣が非常に大きく(直径約3〜5mm)なった時、その動物を犠牲にして、隣接する無傷の皮膚と共に黒色腫を取り出した。例1で説明したように、MMPについて高親和性の蛍光原基質の溶液に前もって浸したセルロース膜パッチを、取り出した試験体の外部表面上に置いて、その膜パッチを対象の時間の間皮膚に付着させるため、その膜を粘着性のバンデージで覆た。例1で説明するように、60及び120分後に、その膜パッチを取り出して、蛍光を分析した。60分又は120分のいずれかの間、黒色腫の腫瘍と接触させたパッチにおいて蛍光が検出されたが、蛍光原基質のない対照実験では検出されなかった。
【0044】
他の実験では、上で説明したように、マウスの黒色腫細胞株B16を培養して、ほぼ5x106個の細胞を、3匹のC57BL/6JOlaHsdマウスの左右の肢内の皮下又は皮内に注入した。4日後、黒色腫が直径ほぼ2mmである時、例1で説明したように、膜パッチを黒色腫を呈する皮膚の上に直接置き、上で説明するように粘着性のバンデージで貼った。90分後、パッチを取り除いて、蛍光を分析した。黒色腫の全ての場合において、UV光を使って、蛍光シグナルを可視化した。
【0045】
さらに他の実施形態では、ATCCの推奨(DMEM, 10%FCS, ペニシリン/ストレプトマイシン)に従って、ヒト黒色腫細胞株SK‐MEL‐28(ATCC HTB‐72)、及びWM266‐4(ATCC CRL‐1676)を培養した。5x106個の細胞(両方の細胞系の1:1の混合物)を、2匹のHsd:Athymic‐nuマウスの左右の肢内の皮下又は皮内に注入した。腫瘍は動きやすく(すなわち、腫瘍は緊密な細胞塊を形成し、表皮及び筋肉に浸潤していない)、無傷の表皮で完全に覆われていた。
【0046】
例1で説明するようなセルロース膜パッチを、黒色腫腫瘍を持つ皮膚上に置いた。対照実験では、蛍光原MMP基質を装填したパッチを、無傷の(生きている)マウスの皮膚にあてた。70分後、パッチを取り出し、UV光を使って蛍光シグナルを可視化した。皮膚の黒色腫を覆ったパッチにおいて、タンパク質分解の蛍光生成物が検出された。これに対して、健康な皮膚にあてた試験パッチはまったく蛍光を示さなかった。
【0047】
例4 人間における黒色腫、及び非悪性病巣のパッチ分析
【0048】
研究は、7人の黒色腫の患者、及び6人の非悪性病巣を持つ患者を含んだ。パッチ分析を使用して、黒色腫、及び非悪性病巣における蛍光原ペプチドを使用したMPPのタンパク質分解活性を比較した。
【0049】
材料
【0050】
パッチ:セルロース膜
【0051】
ペプチド:2つのペプチドの混合物
【0052】
1.DABCYL-GABA-Pro-GLN-Gly-Leu-Glu(EDANS)-Ala-Lys-NH(Calbiochem社) − 使用前に、20mMのトリス緩衝液, pH7.6, 2.5mMのZnSO4及び5mMのCaCl2における10-5Mのペプチドの溶液内に、膜を浸けた。
【0053】
2.DABCYL-GABA-Arg-Pro-Lys-Pro-Val-Glu-Nva-Trp-Arg--Glu(EDANS)-Ala-Lys-NH(Calbiochem社) − 使用前に、20mMのトリス緩衝液, pH7.6, 2.5mMのZnSO4及び5mMのCaCl2における10-5のペプチドの溶液内に、膜を浸けた。
【0054】
パッチ − 100μlのペプチド混合物を加えた1cm2のセルロース膜。病巣の外科的除去の前に、2時間の間、皮膚の上にあてる。全ての病巣は腕上にあった。セルロース膜をバンドエイドで固定した。
【0055】
除去の後即座に、UV光のもとでパッチを観測して、次に、続いて20mMの緩衝液,pH7.6を使ってペプチドを抽出した。1mlの緩衝液内にパッチを1時間定温放置した後、蛍光を測定した。
【0056】
結果表2
【0057】
7人の黒色腫患者のうちの5人が、パッチ内に検出可能な蛍光シグナルを持ち、これに対して、非悪性皮膚病巣を持つ6人の患者のうちの5人において、シグナルが検出不可能であったことを、結果の分析は示した。
表2

【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】黒色腫のような皮膚癌を検出するための本発明のパッチの実施形態の概略図を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞外分泌酵素である第一のタンパク質分解酵素のペプチド基質を含む第一のプローブを含む医薬的に許容される水溶液を含むキャリヤ層であって、
前記第一のタンパク質分解酵素の活性が癌に特異的であり、存在する場合には、前記第一のタンパク質分解酵素による前記ペプチド基質の切断の後、検出可能な第一の切断生成物を形成させるものであり、
前記第一のプローブ及び前記第一の切断生成物に対して透過性である半透性表面を含み、該半透性表面は、前記第一のプローブ及び前記第一の切断生成物が該キャリヤ層の該半透性表面を通って拡散できるように外部接触可能な組織表面と接触するように適合している前記キャリヤ層を含む、
癌を検出するためのパッチ。
【請求項2】
前記ペプチド基質は、前記第一のタンパク質分解酵素のオリゴペプチド基質アナログである
ことを特徴とする、請求項1に記載のパッチ。
【請求項3】
前記第一の切断生成物は、特異的抗体、アプタマー、又はナノ粒子との相互作用により検出可能である
ことを特徴とする、請求項1に記載のパッチ。
【請求項4】
前記第一のプローブは、前記第一のタンパク質分解酵素による前記オリゴペプチド基質アナログの切断の後、検出可能な標識を持つ第一の切断生成物が形成されるように、前記検出可能な標識をさらに含む
ことを特徴とする、請求項1に記載のパッチ。
【請求項5】
前記標識が蛍光色素である
ことを特徴とする、請求項4に記載のパッチ。
【請求項6】
前記標識が放射性同位体である
ことを特徴とする、請求項4に記載のパッチ。
【請求項7】
前記標識が安定同位体である
ことを特徴とする、請求項4に記載のパッチ。
【請求項8】
前記医薬的に許容される水溶液は、細胞外分泌酵素である第二のタンパク質分解酵素のペプチド基質を含む第二のプローブをさらに含み、
存在する場合には、前記第二のタンパク質分解酵素による前記ペプチド基質の切断の後、検出可能な第二の切断生成物が形成され、及び
前記キャリヤ層の前記半透性表面はさらに、前記第二のプローブ及び前記第二の切断生成物に対して透過性である
ことを特徴とする、請求項1に記載のパッチ。
【請求項9】
前記第二のタンパク質分解酵素の前記ペプチド基質は、該第二のタンパク質分解酵素のオリゴペプチド基質アナログである
ことを特徴とする、請求項8に記載のパッチ。
【請求項10】
前記第二の切断生成物は、特異的抗体、アプタマー、又はナノ粒子との相互作用により検出可能である
ことを特徴とする、請求項8に記載のパッチ。
【請求項11】
前記第二のプローブは、前記第二のタンパク質分解酵素による前記ペプチド基質の切断の後、検出可能な標識を持つ第二の切断生成物が形成されるように、前記検出可能な標識をさらに含む
ことを特徴とする、請求項8に記載のパッチ。
【請求項12】
前記標識は蛍光色素である
ことを特徴とする、請求項11に記載のパッチ。
【請求項13】
前記標識は放射性同位体である
ことを特徴とする、請求項11に記載のパッチ。
【請求項14】
前記標識は安定同位体である
ことを特徴とする、請求項11に記載のパッチ。
【請求項15】
皮膚癌に特異的な活性を有する細胞外分泌酵素である第一のタンパク質分解酵素のオリゴペプチド基質アナログを含む分子内消光蛍光原の第一のプローブを含む医薬的に許容される水溶液を含むキャリヤ層
を含み、前記第一のプローブは、前記第一のタンパク質分解酵素の前記オリゴペプチド基質アナログの切断前には蛍光原消光されており、
存在する場合には、前記第一のタンパク質分解酵素による前記オリゴペプチド基質アナログの切断の後、第一の波長で蛍光を発する蛍光性の第一の切断生成物が形成され、及び
前記キャリヤ層は、前記第一のプローブ、及び前記第一の切断生成物に対して透過性である半透性表面を含み、かつ、該半透性表面は、前記第一のプローブ、及び前記第一の切断生成物が該キャリヤ層の該半透性表面を通って拡散できるように、外部接触可能な組織表面と接触することができる
ことを特徴とする、皮膚癌を検出するためのパッチ。
【請求項16】
前記医薬的に許容される水溶液は、細胞外分泌酵素である第二のタンパク質分解酵素のオリゴペプチド基質アナログを含む分子内消光蛍光原の第二のプローブをさらに含み、
前記第二のタンパク質分解酵素の前記オリゴペプチド基質アナログの切断前には、前記第二のプローブは蛍光原消光されており、
前記第二のタンパク質分解酵素による前記オリゴペプチド基質アナログの分割の後、前記第一の波長とは異なる第二の波長で蛍光を発する蛍光性の第二の切断生成物が形成され、及び
前記キャリヤ層の前記半透性表面はさらに、前記第二のプローブ及び前記第二の切断生成物に対して透過性である
ことを特徴とする、請求項15に記載のパッチ。
【請求項17】
前記第一又は第二のタンパク質分解酵素、或いはその両方が、セリンプロテアーゼ、カテプシン、又はメタロプロテイナーゼである
ことを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16のいずれかに記載のパッチ。
【請求項18】
(A)請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16のいずれかに記載のパッチを、哺乳動物組織の外部接触可能な表面に局所的に当てるステップ、
(B)第一のプローブ、又は第二のプローブ、或いはその両方を前記組織内に拡散させ、第一のタンパク質分解酵素、又は第二のタンパク質分解酵素、或いはその両方が前記組織内に存在する場合には、前記第一のプローブが前記第一のタンパク質分解酵素に結合し、前記第二のプローブが前記第二のタンパク質分解酵素に結合し、かつ結果として前記ペプチド基質の酵素的切断分割が生じ、それにより、第一の切断生成物、又は第二の切断生成物、或いはその両方が形成されるステップ、及び
(C)適当な検出手段を適用することによって、前記第一の切断生成物、又は前記第二の切断生成物、或いはその両方の存在又は不在を検出し、それにより、癌に特有なタンパク質分解活性が示され、それによって癌を検出するステップ
を含むことを特徴とする、哺乳動物組織内の癌を検出する方法。
【請求項19】
(A)請求項15に記載のパッチを、哺乳動物組織の外部接触可能な表面に局所的に適用するステップ、
(B)第一のプローブを組織内に拡散させ、第一のタンパク質分解酵素が前記組織内に検出可能に存在する場合には、前記第一のプローブが前記第一のタンパク質分解酵素に結合し、結果としてペプチド基質の酵素的切断分割が生じ、それにより、第一の切断生成物を形成させるステップ、及び
(C)第一の波長における蛍光の存在又は不在を検出し、それにより、前記第一の波長における蛍光の存在が皮膚癌に特有な前記第一のタンパク質分解酵素の活性を示し、それによって皮膚癌を検出するステップ
を含むことを特徴とする、哺乳動物組織における皮膚癌を検出する方法。
【請求項20】
前記外部接触可能な表面が粘膜である
ことを特徴とする、請求項18、又は請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記外部接触可能な表面が表皮である
ことを特徴とする、請求項18、又は請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記癌が黒色腫である
ことを特徴とする、請求項18、又は請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第一又は第二のタンパク質分解酵素、或いはその両方が、セリンプロテアーゼ、カテプシン、又はメタロプロテイナーゼである
ことを特徴とする、請求項18、又は請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記パッチに検出手段を適用することにより、前記第一の切断生成物、又は前記第二の切断生成物、或いはその両方の存在又は不在を検出することを実施する
ことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記パッチから前記切断生成物を抽出して抽出物を得て、該抽出物に検出手段を適用すること
をさらに含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
蛍光検出手段を前記パッチに適用することにより、蛍光の存在又は不在を検出することを実施する
ことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記切断生成物を前記パッチから抽出して抽出物を得て、該抽出物に蛍光検出手段を適用すること
をさらに含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−509610(P2007−509610A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534376(P2006−534376)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/033232
【国際公開番号】WO2005/034926
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(506121102)シーマインズ インコーポレイテッド (1)
【出願人】(506120839)アーバイオス テクノロジーズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】