説明

皮膚組織測定用プローブ

【課題】例え被験者が体を動かしても、皮膚組織測定用プローブと皮膚との接触状態が変化しにくい皮膚組織測定用プローブを提供する。
【解決手段】皮膚表面31に光ファイババンドル32の先端部であるプローブ33を固定し、該プローブ33から近赤外光を該皮膚に照射することで皮膚組織の光学的信号を測定する皮膚組織測定用プローブ。プローブ33から10cm以内の位置に、光ファイババンドル32の任意の部位を支持して固定する支持固定手段35を設け、プローブ33から支持固定手段35間に配策する光ファイババンドル32を屈曲自在とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の皮膚組織に近赤外光を照射すると共に、前記皮膚組織からの拡散反射あるいは透過光を受光し、得られた皮膚組織からの信号の測定を行い、生体成分や性状の定性・定量分析を行う生体成分センシング技術に関するもので、特に、皮膚組織中のグルコース濃度変化を代用特性として生体の血糖値を測定する血糖値モニタリング装置において皮膚組織スペクトルを測定する皮膚組織測定用プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
血糖値測定あるいは血糖値モニタリングについては、以前より糖尿病患者の血糖値管理へのニーズが高かったが、近年、集中治療室(ICU)で血糖値を適切な範囲に管理することで死亡率の低下、合併症の発生率の低下等の医療効果が医学的に検証され、その応用分野が広がっている。
【0003】
血糖値の測定手法は採血した血液を用い、グルコースオキシダーゼ等の酵素反応を利用して定量する侵襲的手法(酵素電極法…GOD法、GDH法等、酵素比色法…HX法等)と、採血のような体を傷つける操作を行わないで、生体から得られる何らかの情報をもとに血糖値を推定する非侵襲的手法に大別できる。
【0004】
測定装置としては、臨床検査用の大型装置のみならず侵襲的手法による携帯型血糖計が糖尿病患者の自己血糖値測定(SMBG)に広く利用されており、患者の指等の身体部位を針(ランセット)で穿刺し、1滴程度の血液を採取して血糖値測定を行う。このような採血による血糖値測定の信頼性は高く、自己血糖値測定に用いられる携帯型血糖計でも市販されているほとんどの機種において測定誤差は10%以下である。
【0005】
非侵襲的に血糖値を推定する手法としては様々なものが提案されているが、推定精度や信頼性に課題を残しており、今の時点で、日本国の薬事承認や米国のFDA認可を得た製品はない。提案されている手法の中では近赤外光を用いる手法が最も知られている。近赤外光により非侵襲的に血糖値を測定する手法は、生体組織に近赤外光を照射し、生体組織内を拡散反射した光を測定して得られる信号やスペクトルから生体組織を定性・定量分析を行う。
【0006】
その一例を示すと、特許文献1に開示されるような生体組織から得られた近赤外スペクトルから血糖値を測定する手法が提案されている。図8(A)及び(B)は、特許文献1に開示された非侵襲式の光学式血糖値測定システムを示すもので、ハロゲンランプ1から発光された近赤外光は熱遮蔽板2、ピンホール3、レンズ4、光ファイババンドル5を介して生体組織6に入射される。
【0007】
光ファイババンドル5には、測定用光ファイバ7の一端とリファレンス用光ファイバ8の一端が接続されている。測定用光ファイバ7の一端は、皮膚組織用測定用プローブ9に接続されており、リファレンス用光ファイバ8の他端はリファレンス用プローブ10に接続されている。さらに、皮膚組織測定用プローブ9およびリファレンスプローブ10は、光ファイバ7を介して測定側出射体11、リファレンス側出射体12にそれぞれ接続されている。
【0008】
人体の前腕部など生体組織6の表面に皮膚組織測定用プローブ9の先端面を接触させて近赤外スペクトル測定を行う時、ハロゲンランプ1から光ファイババンドル5に入射した近赤外光は、この光ファイババンドル5内を伝達し、図8(B)に示すような皮膚組織測定用プローブ9の先端から同心円周上に配置された12本の発光ファイバ20より生体組織6の表面に照射される。
【0009】
生体組織6に照射された測定光は、生体組織6内で拡散反射した後に、拡散反射光の一部が皮膚組織測定用プローブ9の先端中心に配置されている受光ファイバ19に受光される。受光された光は、この受光ファイバ19を介して、測定側出射体11から出射される。測定側出射体11から出射された光は、レンズ13を通して回折格子14に入射し、分光された後、受光素子15において検出される。
【0010】
受光素子15で検出された光信号は、A/Dコンバーター16でAD変換された後、パーソナルコンピュータなどの演算装置17に入力される。血糖値は、このスペクトルデータを解析することによって算出される。リファレンス測定は、セラミック板などの基準板18を反射した光を測定し、これを基準光として行う。すなわち、ハロゲンランプ1から光ファイババンドル5に入射した近赤外光は、リファレンス用光ファイバ8を通して、リファレンス用プローブ10の先端から基準板18の表面に照射される。
【0011】
基準板に照射された光の反射光は、リファレンス用プローブ10の先端中心に配置された受光ファイバ19を介してリファンレス側出射体12から出射される。前記測定側出射体11とレンズ13の間、及びこのリファンレス側出射体12とレンズ13の間にはそれぞれシャッター22が配置してあり、シャッター22の開閉によって測定側出射体11からの光とリファンレス側出射体12からの光のいずれか一方が選択的に通過するようになっている。
【0012】
皮膚組織測定用プローブ9とリファレンス用プローブ10の端面は、図8(B)のように円上に配置された12本の発光ファイバ20と、その中心に配置された1本の受光ファイバ19で構成されている。発光ファイバ20と受光ファイバ19の中心間距離Lは、0.65mmである。測定側出射体11とリファレンス側出射体12の端面は、図示を省略するが、出射ファイバが中心に配置されている。
【0013】
この装置では、皮膚表面より表皮、真皮、皮下組織の層状構造を有する皮膚組織のうち真皮部分のスペクトルを選択的に測定するため、図8(B)に示すように、中心間距離L=0.65mmに受光ファイバ19を配置し、入射点と検出点とする皮膚組織測定用プローブ9を用いている。この皮膚組織測定用プローブ9を皮膚表面に接触させスペクトル測定を行うと、入射光ファイバより照射された近赤外光は皮膚組織内を拡散反射し、入射された光の一部が検出用光ファイバに到達し、その光の伝播経路はバナナ・シェイプと呼ばれる経路をとり、真皮部分を中心に伝播する。したがって、吸光信号のSN比が向上し、精度よく生体成分濃度の測定ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006−87913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
採血によらず非観血的、非侵襲的に血糖値を推定する手法は、患者に負担をかけず血糖値を測定できるためにそのニーズは高く、多くの研究開発が行われ、検討に用いられた測定手法としても様々なものが提案されている。しかしながら、推定精度や信頼性に課題を残しており、今の時点で、日本国の薬事承認や米国のFDA認可を得た製品はない。
【0016】
また、本発明が対象とする近赤外光を用いた非侵襲血糖値測定においても推定精度や信頼性に課題を残しているが、推定精度や信頼性を低下させる一つの要因として測定中の体動に伴う皮膚組織測定用プローブ9と皮膚との接触状態の変化がある。体動による皮膚組織測定用プローブ9と皮膚との接触状態変化を軽減させるには、体が動かないように厳格に固定するか、体が動いても皮膚組織測定用プローブ9と皮膚との接触状態が変化しにくい構造とするかの何れかの対応をとる必要がある。
【0017】
しかしながら、特許文献1のような非侵襲血糖測定に適した近赤外波長用の光ファイバには、直径200μm程度のガラス製のものを使用する必要があり、そのため剛性が比較的強く、曲がりにくい特性を有する。そのため、皮膚組織測定用プローブ9付近では、光ファイバを可能な限り曲げないように皮膚表面に対して垂直方向に光ファイババンドル5を長く伸ばす傾向があり、それによって体動等による力が光ファイババンドル5の先端部に伝わり易く、その影響を受け易い。
【0018】
そこで、本発明は、例え被験者が体を動かしても、皮膚組織測定用プローブと皮膚との接触状態が変化しにくい皮膚組織測定用プローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題である皮膚組織測定用プローブと皮膚との接触状態を安定化するためには、皮膚表面に光ファイババンドルの先端部にかかる圧力や加速度を小さくすることが必要である。光ファイババンドルの先端部にかかる圧力や加速度の生成要因の一つとして、被験者の体動等により皮膚組織測定用プローブ直近の光ファイババンドルへかかる何らかの力がある。皮膚組織測定用プローブが構造的に不適切な場合は、小さな力であってもその力が増幅されて伝わり、光ファイババンドルの先端部にかかる圧力や加速度が大きく変化する。したがって、接触状態を安定化するためには、皮膚組織測定用プローブの構造を被験者の体動や作業上の何らかの接触による力が先端部に伝達されにくい構造とすることが必要である。
【0020】
請求項1に記載の発明は、皮膚表面に光ファイババンドルの先端部を固定し、該先端部から近赤外光を該皮膚に照射することで皮膚組織の光学的信号を測定する皮膚組織測定用プローブであって、前記皮膚表面に対して受発光ファイバを垂直に接触させる前記光ファイババンドルの先端部と、前記先端部の周囲に配置される固定部と、前記先端部から10cm以内の位置に設けられ、前記光ファイババンドルの任意の部位を支持して固定する支持固定手段とを有し、前記先端部から前記支持固定手段間に配策する前記光ファイババンドルを屈曲自在としたことを特徴とする。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の皮膚組織測定用プローブであって、前記固定部に、前記光ファイババンドルの先端部を皮膚に対して接近離反する方向へ駆動させる駆動機構部を設けたことを特徴とする。
【0022】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の皮膚組織測定用プローブであって、前記光ファイババンドルの先端部が、皮膚組織測定用プローブの中心位置に対して前記支持固定手段が設けられる側とは反対側の位置に該中心位置から偏って配置されたことを特徴とする。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の皮膚組織測定用プローブであって、前記光ファイババンドルの先端部および前記支持固定手段が、皮膚組織測定用プローブを装着させる皮膚表面が最大曲率を有する方向に対して直角方向に並ぶように、皮膚組織測定用プローブの貼付け方向を指示する装着方向指示手段を有したことを特徴とする。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の皮膚組織測定用プローブであって、前記光ファイババンドルの前記屈曲部分を内部に収納する収納部を有したことを特徴とする。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の皮膚組織測定用プローブであって、前記皮膚組織測定用プローブから外方へ伸びた前記光ファイババンドルと前記皮膚とを固定するための該光ファイババンドルに取り付けられる目印を、皮膚組織測定用プローブから外方へ向かって10cm以内の位置に設けたことを特徴とする。
【0026】
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の皮膚組織測定用プローブであって、前記装着方向指示手段は、前記光ファイババンドルを、前記皮膚表面の最大曲率を有する方向に対して直角方向に配策させる指標となることを特徴とする。
【0027】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7の何れか1項に記載の皮膚組織測定用プローブであって、前記固定部に、前記皮膚と該固定部との接触安定性を保つための装着補助部材を設けたことを特徴とする。
【0028】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の皮膚組織測定用プローブであって、前記装着補助部材が前記固定部に対して脱着自在であることを特徴とする。
【0029】
請求項10に記載の発明は、請求項8または請求項9に記載の皮膚組織測定用プローブであって、前記装着補助部材は柔軟な素材からなることを特徴とする。
【0030】
請求項11に記載の発明は、請求項8から請求項10の何れか1項に記載の皮膚組織測定用プローブであって、前記装着補助部材に、前記光ファイババンドルの先端部を前記皮膚に対して接近離反自在とするための前記固定部に形成した開口孔と対応する部位に、該装着補助部材の該固定部への取り付け位置の指標となる孔部を形成したことを特徴とする。
【0031】
請求項12に記載の発明は、請求項1から請求項11の何れか1項に記載の皮膚組織測定用プローブであって、前記固定部に、皮膚組織測定用プローブを生体部位に固定する固定バンドを皮膚表面の最大曲率を有する方向に取り付けたことを特徴とする。
【0032】
ところで、非侵襲的手法による血糖値推定は、波長1300nmから2500nmの近赤外光を用いた皮膚組織より得たスペクトルより行うことが最も望ましい。それは、身体組織の中で皮膚組織が測定し易い組織であり、皮膚組織中の真皮組織には血管が発達しており、血中グルコースが素早く皮膚組織中に拡散するため、皮膚組織中のグルコース濃度を血管中のグルコース濃度(すなわち血糖値)の代用特性として測定が可能であるためである。
【0033】
また、グルコースが血管中より皮膚組織に十分に拡散するために必要な時間は20分以内とされているため、基準血糖値に対応する推定血糖値には20分以内の時間遅れを考慮することが望ましい。近赤外光の波長領域は、波長800nmから2500nmの範囲を指すが、皮膚組織の測定には波長1300nmから2500nmが適切である。それは、近赤外領域の波長が生体を伝播する際の特性の違いによるためで、1300nmより短い波長では吸収強度が小さいうえ、この波長領域に適した光の伝播距離は数cmであり、厚さが高々1mm程度である皮膚組織の測定には適さない。
【0034】
波長1300nmより長い波長では、吸収強度が大きいうえ、この波長領域に適した光の伝播距離は数mmであり、厚さが1mm程度の生体の皮膚組織の測定には適している。皮膚組織を測定して得られる近赤外スペクトルは、皮膚組織測定用プローブと皮膚との接触状態や皮膚自身の経時的な変化の影響を受けるが、非侵襲的手法により推定精度や信頼性が高い血糖値推定を行うためには、測定する近赤外スペクトルの安定が不可欠なことは言うまでも無い。そのため、測定する近赤外スペクトルの変化からその安定性を判断して血糖値の推定に反映させることで、推定血糖値の推定精度や信頼性を向上させることができる。
【0035】
さらに、皮膚組織を測定して得られる近赤外スペクトルの経時的な変化は、水の吸収ピークに対応する波長1450nm近傍か、近赤外スペクトルのベースラインを示す1650nm近傍あるいは脂肪の吸収ピークに対応する波長1720nm近傍の吸光度変化で判断することで、安定性判断を正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0036】
請求項1に記載の皮膚組織測定用プローブによれば、光ファイババンドルの先端部から10cm以内の位置に支持固定手段を設け、該先端部と支持固定手段間に光ファイババンドルを屈曲自在に配策すると共に、先端部から離れた支持固定手段で光ファイババンドルの任意の部位を固定することで、先端部近傍の光ファイババンドルが屈曲されることによって線径が太く剛性の高い光ファイババンドルであっても皮膚表面から垂直方向に光ファイババンドルを必要以上に上方へ伸ばす必要が無くなり、高さを低く抑えることができる。その結果、本発明によれば、光ファイババンドルの高さが低い分、体動等により印加される力が光ファイバンドルの先端部に伝達され難くなる。
【0037】
請求項2に記載の皮膚組織測定用プローブによれば、光ファイババンドルの先端部を皮膚に対して接近離反する方向へ駆動させる駆動機構部を設けたので、この駆動機構部により光ファイババンドルの先端部と皮膚との接触状態を適切に設定でき、体動等による力が光ファイババンドルの先端部に対して伝わり難くすることができる。
【0038】
請求項3に記載の皮膚組織測定用プローブによれば、光ファイババンドルの先端部を支持固定手段が設けられる側とは反対側の位置に皮膚組織測定用プローブの中心位置から偏って配置することで、その偏った分だけ先端部と支持固定手段間距離が大きくなることから、大きな曲率で光ファイババンドルを屈曲させることができる。したがって、本発明によれば、剛性の高い光ファイババンドルでも垂直方向に伸ばすことなく配策でき、高さの低いコンパクトな皮膚組織測定用プローブとすることができる。また、本発明によれば、光ファイババンドルを大きな曲率で屈曲させることで、光のロスを小さくすることが可能となる。
【0039】
請求項4に記載の皮膚組織測定用プローブによれば、皮膚組織測定用プローブの皮膚への貼付け方向を指示する装着方向指示手段を指標として皮膚組織測定用プローブを皮膚に装着すれば、光ファイババンドルの先端部および支持固定手段が、皮膚表面が最大曲率を有する方向に対して直角方向に並ぶことになるため、光ファイババンドルが体幹方向(腕に装着する場合は、手首と肘を結ぶ線上)に延びることになり、体動等により加わる力が光ファイバンドル先端部に伝達され難くなる。
【0040】
請求項5に記載の皮膚組織測定用プローブによれば、光ファイババンドルの屈曲部分を収納部の内部に収納することにより、この収容部が保護カバーとして機能して光ファイババンドル部分への引っ掛けや引張りを防止すると共に、装着時のつまみとして利用することができ、光ファイババンドルをつまむことなく皮膚組織測定用プローブを皮膚へ容易に装着させることができる。その結果、光ファイババンドルの屈曲部分の引っ掛けや引張りが無くなることで、光ファイバの切断等の損傷可能性も小さくなる。
【0041】
請求項6に記載の皮膚組織測定用プローブによれば、皮膚組織測定用プローブから外方へ伸びた光ファイババンドルに該光ファイババンドルを皮膚に固定するための目印を、皮膚組織測定用プローブから外方へ向かって10cm以内という適切な位置に設けることで、光ファイババンドルの皮膚への固定を適切な位置に間違いなく行うことができ、光ファイババンドルに対する引張り力についても先端部に対して力が伝わり難くなる。
【0042】
請求項7に記載の皮膚組織測定用プローブによれば、光ファイババンドルを皮膚表面の最大曲率を有する方向に対して直角方向に配策させる指標を装着方向指示手段に持たせたので、光ファイババンドルに対する引張り力に強い体幹方向に力を受けることになるので、光ファイババンドルの先端部に対して力が伝わり難くなる。
【0043】
請求項8に記載の皮膚組織測定用プローブによれば、皮膚と固定部との接触安定性を保つための装着補助部材を、該固定部に設けることで、皮膚組織測定用プローブと皮膚との装着部位における接触面積を大きくすることができると共に、面積当りの高さ方向の比率を小さくできることから、体動等の力に起因する力が光ファイババンドルの先端部に対して力が伝わり難くなる。
【0044】
請求項9に記載の皮膚組織測定用プローブによれば、装着補助部材が固定部に対して脱着自在であるので、様々な大きさや形状の皮膚に対しても適切な大きさの装着補助部材を選択することで、確実に皮膚組織測定用プローブを皮膚に装着させることができる。したがって、本発明によれば、体動等の力に起因する力が光ファイババンドルの先端部に対して力が伝わり難くなると共に、装着補助部材の衛生管理等の処理を行い易くなる。
【0045】
請求項10に記載の皮膚組織測定用プローブによれば、装着補助部材を柔軟な素材で形成したので、その柔軟性によって様々な大きさや形状の皮膚に対しても密着して皮膚組織測定用プローブを装着させることができる。したがって、本発明によれば、体動等の力に起因する力が光ファイババンドルの先端部に対して力が伝わり難くなる。
【0046】
請求項11に記載の皮膚組織測定用プローブによれば、固定部に形成した開口孔と対向するように装着補助部材に形成した孔部を一致させて該装着補助部材を該固定部に装着することで、これら開口孔と孔部が装着のための目印となり、簡単に装着補助部材を固定部に装着させることができる。
【0047】
請求項12に記載の皮膚組織測定用プローブによれば、皮膚組織測定用プローブを生体部位に固定する固定バンドを固定部に取り付けたので、この固定バンドにて皮膚組織測定用プローブが生体部位に固定されることになり、体動等の力に起因する力が光ファイババンドルの先端部に対してより一層力が伝わり難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は皮膚組織測定用プローブで測定する皮膚組織を模式的に示す図である。
【図2】図2は第1実施形態の皮膚組織測定用プローブの断面図である。
【図3】図3は第2実施形態を示し、(A)は皮膚組織測定用プローブの平面図、(B)は皮膚組織測定用プローブを装着させる生体部位を示す図である。
【図4】図4は第3実施形態の皮膚組織測定用プローブの断面図である。
【図5】図5は第3実施形態の皮膚組織測定用プローブの底面図である。
【図6】図6は第4実施形態の皮膚組織測定用プローブを示す図である。
【図7】図7は第5実施形態の皮膚組織測定用プローブの平面図である。
【図8】図8は従来の皮膚組織測定装置を示し、(A)はその全体構成図、(B)は光ファイババンドルの先端部を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0050】
非侵襲的に血糖値を推定するには、前記したように波長が1300nm以上2500nm以下の近赤外光を皮膚に照射することで皮膚組織の光学的信号(拡散反射スペクトル)を測定することで推定できる。生体の皮膚組織は、図1に示すように、大きく分類すると表皮組織S1、真皮組織S2、皮下組織S3の3層の組織で構成される。
【0051】
表皮組織S1は、角質層を含む組織で、組織内に毛細血管はあまり発達していない。皮下組織S3は、主に脂肪組織で構成されている。したがって、この二つの組織内に含まれる水溶性の生体成分濃度、特に、グルコース濃度と血中グルコース濃度(血糖値)との相関は低いと考えられる。
【0052】
一方、真皮組織S2については、毛細血管が発達していることと、水溶性の高い生体成分濃度、特にグルコースが組織内で高い浸透性を有することから組織内生体成分濃度、特にグルコース濃度は間質液(ISF: Interstitial Fluid)と同様に血糖値に追随して変化すると考えられる。したがって、真皮組織S2を標的としたスペクトル測定を行えば、生体成分濃度、特に血糖値変動と相関するスペクトル信号の測定が可能となる。
【0053】
波長が1300nm以上2500nm以下の近赤外光を用いる場合、発光部100と受光部101を中心間距離L=0.65mmとして両者を離して構成した近赤外スペクトル皮膚組織測定用プローブを皮膚に接触させて近赤外スペクトル測定を行うと、発光部100から照射された近赤外光Hvは照射面より皮膚組織に照射され、皮膚組織内を拡散反射してその一部が受光部101に到達する。この際の光の伝播経路は、真皮組織S2を中心として、皮膚組織内伝播し、バナナ・シェイプと呼ばれる形状をとるので、皮膚組織の深さ方向の選択的測定を可能とし、精度良い測定ができる。
【0054】
[第1実施形態]
図2は第1実施形態の皮膚組織測定用プローブの断面図である。第1実施形態の皮膚組織測定用プローブ30は、皮膚表面31に対して受発光ファイバを垂直に接触させる光ファイババンドル32の先端部であるプローブ33と、プローブ33の周囲に配置される固定部34と、プローブ33から10cm以内の位置に設けられ、光ファイババンドル32の任意の部位を支持して固定する支持固定手段35と、プローブ33を皮膚表面31に対して接近離反する方向(図1の矢印X方向)へ駆動する駆動機構部36とを有している。
【0055】
プローブ33の先端には、図1で示したように、1300nm以上2500nm以下の近赤外光Hvを皮膚表面31に向けて照射する発光部と、皮膚組織内を拡散照射して戻る光を受光する受光部とが形成されている。発光部と受光部は、図8(B)と同じ構造であるので、ここではその説明は省略する。
【0056】
固定部34は、プローブ33と光ファイババンドル32を支持固定させるベース板として形成されている。この固定部34は、例えば腕などに装着し得る大きさの平面視長方形とされている。もちろん、固定部34の形状は、長方形状に限定されるものではなく、装着する生体部位に応じた形状とすることが望ましい。
【0057】
固定部34には、プローブ33を皮膚表面31に接触させるための開口孔37が板厚方向に貫通して形成されている。開口孔37は、円柱形状をなすプローブ33の形状に応じた円形孔とされている。
【0058】
支持固定手段35は、固定部34の長手方向における端に設けられている。かかる支持固定手段35は、光ファイババンドル32の先端部であるプローブ33から離れた部位を前記固定部34に固定するためのファイバ支持部材38と、ファイバ固定部材39とからなる。
【0059】
ファイバ支持部材38は、光ファイババンドル32を挿通させるファイバ挿入孔40を有した矩形状をなす部材として前記固定部34の一面34aに立設されている。このファイバ支持部材38は、例えば矩形状をなし、その中心に光ファイババンドル32を挿通させるファイバ挿入孔40を有している。
【0060】
ファイバ固定部材39は、ファイバ挿入孔40を通して挿入された光ファイババンドル32を固定するためのもので、該ファイバ挿入孔40内に上下スライド自在に設けられている。ファイバ挿入孔40に挿通される光ファイババンドル32は、スライド自在なファイバ固定部材39によって、前記ファイバ挿入孔40の底面に押し付けられて固定されるようになっている。
【0061】
駆動機構部36は、前記固定部34の支持固定手段35が設けられる側とは反対側の端に設けられている。かかる駆動機構部36は、プローブ駆動用固定部材41と、このプローブ駆動用固定部材41に対して上下動自在とされたプローブ駆動用昇降部材42と、このプローブ駆動用昇降部材42を上下動させるねじ部43とから構成されている。
【0062】
プローブ駆動用固定部材41は、例えば円筒形状をなし、前記固定部34の支持固定手段35が設けられる側とは反対側の端に固定されている。このプローブ駆動用固定部材41の中心には、プローブ駆動用昇降部材42を上下動自在とするための平面視矩形状をなす孔部44が形成されている(後述する第2実施形態の図3(A)を参照)。
【0063】
プローブ駆動用昇降部材42は、平面視矩形状をなし、前記プローブ駆動用固定部材41の孔部44に挿入されている。そして、このプローブ駆動用昇降部材42には、光ファイババンドル32の先端部であるプローブ33を挿入させて保持するためのプローブ挿入保持孔45が形成されている。
【0064】
ねじ部43は、プローブ駆動用昇降部材42に取り付けられており、時計回り方向に回すことで、該プローブ駆動用昇降部材42を上昇させ、該プローブ駆動用昇降部材42に保持させたプローブ33を皮膚表面31から離間する方向へ移動させる。一方、ねじ部43は、反時計回り方向に回すことで、該プローブ駆動用昇降部材42を下降させ、プローブ33を皮膚表面31へ接触させる方向へ移動させる。ねじ部43には、例えばピッチ0.25mmの雄ねじが形成されたものが使用される。一方、プローブ駆動用昇降部材42には、これに応じたピッチの雌ねじが形成されている。
【0065】
プローブ33が取り付けられる位置は、皮膚組織測定用プローブ30(実際には固定部34)の中心位置46に対して前記支持固定手段35が設けられる側とは反対側の位置に設けられている。具体的には、プローブ33が取り付けられる位置は、皮膚組織測定用プローブ30の中心位置46から支持固定手段35が設けられる側とは反対側に向かって距離L1=9mmの位置で且つ支持固定手段35から距離L2=10cm以内(この例では5cm)の位置に設けられている。このプローブ33が取り付けられる位置は、別の見方をすると、皮膚組織測定用プローブ30の中心位置46ではなく、前記支持固定手段35から離れる方向へ偏って配置されている。
【0066】
前記皮膚組織測定用プローブ30は、例えば両面テープ47にて皮膚表面31に装着固定される。この両面テープ47には、プローブ33が上下する固定部34に形成された開口孔37と対向する部分に同一形状の孔48が形成されている。両面テープ47の一方の粘着面は、固定部34の他面34bに接着され、他方の粘着面は、皮膚表面31に接着される。
【0067】
以上のように構成された皮膚組織測定用プローブ30においては、光ファイババンドル32は、プローブ33が取り付けられる位置と支持固定手段35が設けられる間において上方へ逆U字形状をなすように屈曲(湾曲)した屈曲部分32Aとされ、且つプローブ33が取り付けられた位置から支持固定手段35間を平面視したときにほぼ一直線となるように配策されている。
【0068】
本実施形態の皮膚組織測定用プローブ30によれば、光ファイババンドル32の先端部であるプローブ33から10cm以内の離れた位置に支持固定手段35を設けたので、線径が太く剛性の高い光ファイババンドル32であっても皮膚表面31から垂直方向に受発光ファイバの長さを長く伸ばさずに高さの低い装置とすることができる。これにより、体動等により印加される力が光ファイバンドル32の先端部であるプローブ33に伝達され難くなる。
【0069】
また、本実施形態の皮膚組織測定用プローブ30によれば、光ファイババンドル32の先端部であるプローブ33が皮膚組織測定用プローブ30の中心位置46から前記支持固定手段35に対して反対方向に偏って配置したので、プローブ33を皮膚組織測定用プローブ30の中心位置46に配置する場合より、光ファイババンドル32を大きな曲率で屈曲部分32Aを形成することができる。そのため、剛性の高い光ファイババンドル32でもコンパクトな皮膚組織測定用プローブ30とすることができる。また、光ファイババンドル32を大きな曲率で屈曲させることで、光のロスを小さくすることができる。
【0070】
また、本実施形態の皮膚組織測定用プローブ30によれば、ねじ部43をピッチ0.25mmという小さなねじピッチとすることで、プローブ33の移動距離を数ミクロン単位で精密に制御することができる。これにより、光ファイババンドル32の先端部であるプローブ33と皮膚表面31との接触状態を適切に設定できるようになり、体動等による力がプローブ33に対して伝わり難くなる。その結果、近赤外光を用いた非侵襲血糖値測定では、推定精度や信頼性の高い血糖値測定が可能となる。
【0071】
[第2実施形態]
図3は第2実施形態を示し、(A)は皮膚組織測定用プローブの平面図、(B)は皮膚組織測定用プローブを装着させる生体部位を示す図である。第2実施形態では、第1実施形態の皮膚組織測定用プローブ30と異なる点に関してのみ説明するものとし、第1実施形態と同一構成部分については同一の符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0072】
第2実施形態の皮膚組織測定用プローブ30では、皮膚表面31と固定部34との接触安定性を保つための装着補助部材49を、固定部34の長手方向両側縁に外側へ張り出すように設けた構造としている。かかる装着補助部材49は、固定部34の長手方向両側縁に、該固定部34の皮膚装着面である他面34bと面一となるように平面視長方形状をなす柔軟な素材からなる部材を取り付けても良いし、或いは、固定部34と一体的に形成してもよい。
【0073】
また、一方の装着補助部材49の表面49aには、図3(A)に示すように、皮膚組織測定用プローブ30の生体部位への貼付け方向を指示する装着方向指示手段50が設けられている。装着方向指示手段50は、光ファイババンドル32の先端部であるプローブ33及び支持固定手段35が、皮膚組織測定用プローブ30を装着させる腕(生体部位)51の皮膚表面51aが最大曲率を有する方向(図3(B)の矢印Y方向)に対して直角方向に並ぶようにするための指標となる矢印50Aと、肘及び手首なる文字50B、50Cからなる。この装着方向指示手段50は、光ファイババンドル32を、手の平を上に向けた状態で皮膚表面31の最大曲率を有する方向Y(肘と手首を結ぶ方向と直交する方向)に対して直角方向に配策させる指標としても機能する。なお、図3(B)において網掛けで示す領域は、皮膚組織測定用プローブ30が装着される部位を示す。
【0074】
また、第2実施形態では、光ファイババンドル32の先端部であるプローブ33から支持固定手段35間を直線として配策した光ファイババンドル32の皮膚組織測定用プローブ30から外方へ伸びた部位に、該光ファイババンドル32を皮膚に直接固定するための目印52を設けている。目印52は、皮膚組織測定用プローブ30(具体的には固定部34の端部)から外方へ向かって距離L3=10cm以内の位置に設けられる。この実施形態では、前記距離L3を15mmとした位置に目印52を設けている。
【0075】
目印52は、光ファイババンドル32の線材方向に対して直交する方向に取り付けられる矩形状をなすシールからなり、その表面に固定位置なる文字53を表記している。この目印52は、裏面に塗布された粘着剤を皮膚表面31に貼付けるか、或いはテープなどで皮膚に貼り付けることで固定する。
【0076】
第2実施形態の皮膚組織測定用プローブ30によれば、皮膚組織測定用プローブ30の生体部位への貼付け方向を指示する装着方向指示手段50を有しているので、体動による影響を最も受けない方向の装着を間違いなく行うことができる。また、皮膚組織測定用プローブ30から外方へ伸びた光ファイババンドル32と皮膚表面31とを固定するための目印52を、皮膚組織測定用プローブ30から外方へ向かって距離L3=10cm以内の位置に設けることで、光ファイババンドル32へかかる力が直接、光ファイババンドル32の先端部であるプローブ33にかからないようにできる。また、目印52を直接皮膚に貼ることで、光ファイババンドル32の皮膚へのテープ固定が容易になる。
【0077】
[第3実施形態]
図4は第3実施形態の皮膚組織測定用プローブの断面図、図5は第3実施形態の皮膚組織測定用プローブの底面図である。第3実施形態では、第1実施形態の皮膚組織測定用プローブ30と異なる点に関してのみ説明するものとし、第1実施形態と同一構成部分については同一の符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0078】
第3実施形態の皮膚組織測定用プローブ30では、この皮膚組織測定用プローブ30を皮膚表面31に装着させるための装着補助部材54を、前記固定部34の他面34bに脱着自在に設けている。この装着補助部材54は、図3で示した第2実施形態の装着補助部材49とは異なり、固定部34よりも大きな矩形状をなす柔軟な素材から形成され、該固定部34の他面34bに脱着自在に貼付けられている。
【0079】
前記装着補助部材54には、固定部34に形成された開口孔37と対応する部位に、該装着補助部材54の該固定部34への取り付け位置の指標となる孔部55が形成されている。この孔部55には、光ファイババンドル32の先端部であるプローブ33が挿入される。前記装着補助部材54を固定部34へ取り付けるには、前記開口孔37に前記孔部55を一致させて、両面に塗布された粘着剤の一方を貼り合わせることで固定する。
【0080】
また、この装着補助部材54の表面には、図示を省略するが、第2実施形態で示した装着方向指示手段50(矢印50Aと肘及び手首からなる文字50B、50C)が表示されている。
【0081】
第3実施形態の皮膚組織測定用プローブ30によれば、装着補助部材54を固定部34に対して脱着自在としたので、測定時における皮膚組織測定用プローブ30の装着作業を容易にすることができる。また、装着補助部材54を使い捨てにすれば、本装置を不特定多数の人が利用するような場合においても、殺菌、洗浄操作の工数を低減でき、操作性を向上させることができる。
【0082】
また、第3実施形態の皮膚組織測定用プローブ30によれば、装着補助部材54を柔軟な素材で形成することによって、貼り付ける生体形状に応じて密着させることができる。
【0083】
[第4実施形態]
図6は第4実施形態の皮膚組織測定用プローブを示す図である。第4実施形態では、第3実施形態の皮膚組織測定用プローブ30と異なる点に関してのみ説明するものとし、第3実施形態と同一構成部分については同一の符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0084】
第4実施形態の皮膚組織測定用プローブ30では、光ファイババンドル32の屈曲部分32Aを収納部55によりその内部に収納させた構造としている。具体的には、光ファイババンドル32の先端部であるプローブ33から支持固定手段35間で屈曲して配策された光ファイババンドル32を覆うようにして該光ファイババンドル32を内部に収容させるドーム形状をなす収納部55を、前記固定部34に取り付けている。
【0085】
第4実施形態の皮膚組織測定用プローブ30によれば、光ファイババンドル32の屈曲部分32Aを収納部55で収納することで、光ファイババンドル32部分への引っ掛けや引張りを防止することができるうえ、皮膚組織測定用プローブ30の生体部位への装着時のつまみとすることができる。したがって、光ファイババンドル32をつまむことなく皮膚組織測定用プローブ30の皮膚への装着を容易に行える。その結果、光ファイババンドル32の切断等の損傷可能性をも小さくできる。
【0086】
[第5実施形態]
図7は第5実施形態の皮膚組織測定用プローブの平面図である。第5実施形態では、第2実施形態の皮膚組織測定用プローブ30と異なる点に関してのみ説明するものとし、第2実施形態と同一構成部分については同一の符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0087】
第5実施形態の皮膚組織測定用プローブ30では、皮膚組織測定用プローブ30を生体部位に固定するための固定バンド56を、皮膚表面31の最大曲率を有する方向Yに取り付けた構造としている。固定バンド56には、雄雌からなる雄接合部材57と雌接合部材58からなる面ファスナー(例えば、クラレの登録商標であるマジックテープ(登録商標))が使用される。この固定バンド56は、光ファイババンドル32の配策方向とは直角な方向である皮膚表面31の最大曲率を有する方向(腕51に巻き付ける方向)Yに取り付けられており、前記固定部54の皮膚接触面と面一となるようにされている。この実施形態では、固定バンド56を、固定部34の側面に設けた装着補助部材49に固定している。
【0088】
第5実施形態の皮膚組織測定用プローブ30によれば、皮膚組織測定用プローブ30を生体部位に固定する固定バンド56を固定部34の側面に取り付けた或いは固定部34と一体的に形成した装着補助部材49に取り付けているので、この固定バンド56にて皮膚組織測定用プローブ30が生体部位に固定されることになり、体動等の力に起因する力が光ファイババンドル32の先端部であるプローブ33に対してより一層力が伝わり難くなる。
【0089】
また、この実施形態の皮膚組織測定用プローブ30によれば、プローブ33に張力がかかりにくい状態で、該プローブ33を皮膚表面31に確実に接触させることができる。また、この皮膚組織測定用プローブ30では、粘着剤を用いずに皮膚表面に装着できるため、薬剤に弱い皮膚を有する被験者でも使用可能となる。
【符号の説明】
【0090】
30…皮膚組織測定用プローブ
31…皮膚表面
32…光ファイババンドル
32A…屈曲部分(光ファイババンドルの屈曲部)
33…プローブ(光ファイババンドルの先端部)
34…固定部
35…支持固定手段
36…駆動機構部
37…開口孔(固定部に形成されたプローブ挿入用孔)
38…ファイバ支持部材(支持固定手段)
39…ファイバ固定部材(支持固定手段)
40…ファイバ挿入孔(支持固定手段)
41…プローブ駆動用固定部材(駆動機構部)
42…プローブ駆動用昇降部材(駆動機構部)
43…ねじ部(駆動機構部)
46…皮膚組織測定用プローブの中心位置
49、54…装着補助部材
50…装着方向指示手段
51…腕(生体部位)
52…目印
56…固定バンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚表面に光ファイババンドルの先端部を固定し、該先端部から近赤外光を該皮膚に照射することで皮膚組織の光学的信号を測定する皮膚組織測定用プローブであって、
前記皮膚表面に対して受発光ファイバを垂直に接触させる前記光ファイババンドルの先端部と、
前記先端部の周囲に配置される固定部と、
前記先端部から10cm以内の位置に設けられ、前記光ファイババンドルの任意の部位を支持して固定する支持固定手段とを有し、
前記先端部から前記支持固定手段間に配策する前記光ファイババンドルを屈曲自在とした
ことを特徴とする皮膚組織測定用プローブ。
【請求項2】
請求項1に記載の皮膚組織測定用プローブであって、
前記固定部に、前記光ファイババンドルの先端部を皮膚に対して接近離反する方向へ駆動させる駆動機構部を設けた
ことを特徴とする皮膚組織測定用プローブ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の皮膚組織測定用プローブであって、
前記光ファイババンドルの先端部が、皮膚組織測定用プローブの中心位置に対して前記支持固定手段が設けられる側とは反対側の位置に該中心位置から偏って配置された
ことを特徴とする皮膚組織測定用プローブ。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の皮膚組織測定用プローブであって、
前記光ファイババンドルの先端部および前記支持固定手段が、皮膚組織測定用プローブを装着させる皮膚表面が最大曲率を有する方向に対して直角方向に並ぶように、皮膚組織測定用プローブの貼付け方向を指示する装着方向指示手段を有した
ことを特徴とする皮膚組織測定用プローブ。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の皮膚組織測定用プローブであって、
前記光ファイババンドルの前記屈曲部分を内部に収納する収納部を有した
ことを特徴とする皮膚組織測定用プローブ。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の皮膚組織測定用プローブであって、
前記皮膚組織測定用プローブから外方へ伸びた前記光ファイババンドルと前記皮膚とを固定するための該光ファイババンドルに取り付けられる目印を、皮膚組織測定用プローブから外方へ向かって10cm以内の位置に設けた
ことを特徴とする皮膚組織測定用プローブ。
【請求項7】
請求項4に記載の皮膚組織測定用プローブであって、
前記装着方向指示手段は、前記光ファイババンドルを、前記皮膚表面の最大曲率を有する方向に対して直角方向に配策させる指標となる
ことを特徴とする皮膚組織測定用プローブ。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか1項に記載の皮膚組織測定用プローブであって、
前記固定部に、前記皮膚と該固定部との接触安定性を保つための装着補助部材を設けた
ことを特徴とする皮膚組織測定用プローブ。
【請求項9】
請求項8に記載の皮膚組織測定用プローブであって、
前記装着補助部材が前記固定部に対して脱着自在である
ことを特徴とする皮膚組織測定用プローブ。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の皮膚組織測定用プローブであって、
前記装着補助部材は柔軟な素材からなる
ことを特徴とする皮膚組織測定用プローブ。
【請求項11】
請求項8から請求項10の何れか1項に記載の皮膚組織測定用プローブであって、
前記装着補助部材に、前記光ファイババンドルの先端部を前記皮膚に対して接近離反自在とするための前記固定部に形成した開口孔と対応する部位に、該装着補助部材の該固定部への取り付け位置の指標となる孔部を形成した
ことを特徴とする皮膚組織測定用プローブ。
【請求項12】
請求項1から請求項11の何れか1項に記載の皮膚組織測定用プローブであって、
前記固定部に、皮膚組織測定用プローブを生体部位に固定する固定バンドを皮膚表面の最大曲率を有する方向に取り付けた
ことを特徴とする皮膚組織測定用プローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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