説明

皮膚障害の治療のためのオルガノシラン第4級化合物及び過酸化水素を含む治療組成物

水性配合物中に過酸化水素及びオルガノシラン第4級化合物を含む、治療的皮膚洗浄と多機能被膜組成物が、創傷、擦り傷、潰瘍、熱傷、感染症、炎症、微生物、汚れ、水、乾癬、尋常性座瘡、しみ、そばかす、硬化症、他の物理的又は化学的な外傷、及び他の皮膚欠陥を含む皮膚障害の治療に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年10月31日に出願された、米国特許出願第10/698313号であり、2005年5月5日に公開された、米国特許公開第2005/0096250号であり(Ohlhausen及びLudwig)、現在では米国特許第_____号である、「オルガノシラン第4級化合物を含む洗浄及び多機能被膜の組成物、並びにその使用方法(Cleaning and Multifunctional Coating Composition Containing Organosilane Quaternary Compound and Methods of Using)」という表題の一部継続出願である。本出願は、以下に記載され、特許請求されている本発明の理解のもと、すべての利益と目的のために、全内容が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、皮膚障害を治療するための治療組成物に関する。オルガノシラン第4級窒素化合物は、水性媒体中で過酸化水素と配合されて、皮膚表面の性質に関連する疾患又は状態を、治療又は予防のために、皮膚に適用することができる組成物を提供する。
【背景技術】
【0003】
皮膚は体の中で最も大きな器官の1つであり、実質的に体表面全体を覆っている。皮膚は2つの主要な層から構成される:最上部の角質層を含む表層上皮、つまり表皮、及び下部組織の結合組織層、つまり真皮である。皮膚は、外傷や乾燥から有機体を保護し、環境刺激を受け、様々な物質を分泌し、体温を調節し、水分バランスを維持することを助けるなどの多数の機能を有する。その質的及び量的な重要性のために、実質的に無傷であり健康である皮膚は、有機体の健康のみならず、まさにその生き残りのために不可欠である。
【0004】
皮膚の健康及び完全性は、創傷、擦り傷、潰瘍、熱傷、感染症、炎症、微生物、汚れ、水、他の物理的又は化学的外傷、及び通常の皮膚の生成や修復のプロセスが十分でない場合の他の状態により危険にさらされる。例えば、大規模な表面域にわたって熱傷した患者などの急性の状態では、しばしば早急な皮膚の交換を必要とする。褥瘡性潰瘍、乾癬、尋常性座瘡、しみ、そばかす、硬化症、又はおむつかぶれによる炎症などの、生命への危険はより少ないが慢性の皮膚の問題は、治療されないままにされるならば、より深刻な状態に発展する可能性がある。皮膚治療は様々な方法や製品を網羅する。それらは、局部抗炎症化合物の使用などの対症治療から置換皮膚の使用にまで及ぶ。
【0005】
長時間にわたって皮膚を水にさらすことは、浸軟及び皮膚のバリア機能に対するダメージ等の皮膚の完全性及び状態に悪影響を与える。例えば、長い期間水にさらすことは、皮膚炎の公知の原因である。皮膚の炎症として定義されている皮膚炎は、皮膚の一部が長時間水にさらされる専門的職業において主要な問題である(いわゆる「水を扱う職業」)。熱帯性気候にて従事している軍人はまた、長い期間水にさらされていることによる、痛みのある腫れた足に苦しんでいることも知られている(「熱帯性浸水足」)。そのような状況は、職業病医薬の大部分をなし、重大な経済的影響を持つ。したがって、皮膚のそれらの悪影響を治療及び予防する必要がある。
【0006】
表面の撥水性及び防汚性はシリコーン組成物の使用により改善できることが確立されている。表面撥水剤を提供するために、シリコーン組成物を含む大規模な研究開発されている。米国特許第3579540号(Ohlhausen)は、アルキルポリシロキサン類、酸及び溶媒の撥水性フィルム形成組成物を開示し、様々な表面において耐久性のある効果的な撥水性フィルムをもたらした。多孔性及び非多孔性の表面を治療するための無溶剤組成物へのさらなる改良が、米国特許第6432181号に開示されている(Ludwig及びOhlhausen)ように行われている。溶媒を排除し、より効果的にそして経済的にシリコーンを使用する、防汚性及び撥水性の組成物が存在する必要性を‘181特許は満たした。防汚性及び撥水性組成物におけるさらなる改良は、連邦有害性物質法及び消費者製品安全委員会16CFR 1500ガイドラインに従って、米国特許第6676733号(Ludwig及びOhlhausen)に開示のように、使用者の目及び皮膚に対して非腐食性であり、刺激のない、生理学的に許容できる組成物を提供することによりなされた。
【0007】
多くの異なる種類の硬い及び柔らかい表面はまた、異なる試薬とともに被覆することにより抗菌性を提供している。オルガノシラン第4級窒素化合物はまた、様々な表面に適用されたときに微生物の汚染を効果的に除去及び/又は減少することをもたらしている。例えば、細菌、ウイルス、及び真菌の汚染は、オルガノシロキサン第4級化合物を表面に適用すると除去又は減少することができる。この目的のために使用されている、市販されている第4級アンモニウムオルガノシランには、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、3−(トリメトキシシリル)プロピルジデシルメチルアンモニウムクロリド及び3−(トリメトキシシリル)プロピルテトラデシルジメチルアンモニウムクロリドを含む。次の特許及び特許出願は、基質の洗浄及び/又は撥水剤処理のために、シリコーン処理をした及び/又はシリコーン処理をしていない第4級、溶媒及び界面活性剤/洗剤の使用を開示している:米国特許第4005028号、米国特許第4005030号、米国特許第6559111号、米国特許第6897191号、米国特許第6809072号、米国特許公開第2005/0089695号、米国特許公開第2005/0020474号、米国特許公開第2003/0109395号、米国特許第6881247号、米国特許第5426204号、米国特許第4908355号、及び米国特許第6613755号。
【0008】
過酸化水素を活性抗菌剤として使用する、ヒト皮膚障害の治療のための組成物及び方法は、非常によく知られている。基本的に水性媒体中又は揮発性又は非揮発性の担体溶媒と一緒に過酸化水素を含む組成物は、日常的に用いられている。様々な皮膚の病気を治療するために過酸化水素組成物に他の治療薬が添加されている。したがって、医薬用及び化粧用組成物が特許技術において開示されており、次の特許はそれらの開示を表し、米国特許第5906810号、第5958984号、第5380764号、第4826681号、及び第3954974号、及び米国特許公開第2003/0008018号が含まれる。
【0009】
発明者らの先願である、2003年10月31日に出願した米国特許出願第10/698313号であり、現在は米国特許出願第_____号を参照して、過酸化水素と組み合わせたオルガノシラン第4級が汚れた表面を清潔にし、同時に撥水剤及び防汚剤、並びに抗菌性を提供することができる界面活性特性を有することが既に確立されている。したがって、調理、食事、洗濯などに起因する、日常の家庭生活で汚れた日常の表面が、抗菌性を有する一方で、清潔にされ、水及び汚れを永続的にはじく、接着オルガノシラン第4級被膜を提供するのが同時に可能である。
【0010】
発明者らの‘313先願で報告したように、過酸化水素と組み合わせたオルガノシラン第4級は、表面に接着する相乗的な結果をもたらす。オルガノシラン第4級と過酸化水素の組合せの成分を含む本発明の組成物は、様々な表面における、その組成物の思いがけなく改良された接着性及び耐久性を提供する。言い換えれば、組成物の組み合わされた成分で得られた結果は、表面に別々に使用されたときのそれぞれの成分の活性の期待された代数和を超える。これらの相乗活性は、独特の組成物及び方法を導く。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者らの‘313先願で報告した組成物は、皮膚に適用されたときに治療特性を有することが現在分かっている。特に、多数の疾患のいずれかにより危険にさらされている皮膚は、本発明の組成物を用いて修復されている。他の態様において、前記組成物は、水、汚れ、及び/又は微生物が原因である皮膚の欠陥を、治療、治癒、及び/又は予防することが分かっている。前記組成物は、陽イオン性オルガノシラン第4級アンモニウム化合物(「オルガノシラン第4級」)及び水性媒体中の過酸化水素を含む。これらの成分は、創傷、擦り傷、感染症、病原菌、炎症、汚れ、水、及び他の物理的又は化学的外傷により完全性や健康が危険にさらされている皮膚を治療するために効果的な量を含む。
【0012】
一般に、前記組成物は、約5重量%まで、通常約1から5重量%のオルガノシラン第4級を含む。過酸化水素又はその錯体は20重量%まで、好ましくは約3から10重量%の量である。好ましくは、液体希釈剤が用いられ、通常脱イオン水及び/又はアルコール、ポリオール、グリコールエーテル並びにそれらの混合物、例えばグリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール等の溶媒からなる。組成物は約2から約9、好ましくは3から約5程度のpHを有する。これらのpHの上及び下では、成分の非反応性が減少される場合があるので、組成物の保存安定が損なわれる。前記組成物はまた、増粘剤、ゲル化剤、滑剤、及び溶剤、並びにそれらの効果的な混合物などの添加剤を含むことができる。
【0013】
以下により詳細に提供するように、多数の皮膚に対する治療効果が、本発明の組成物により得られる。創傷、擦り傷、微生物汚染などにより危険にさらされている皮膚における治療又は治癒効果に加えて、本発明の組成物は、皮膚の洗浄及びその撥水性、即ち「疎水性」を改善するのに効果的である量を皮膚に適用することができる。したがって、水にさらすことにより皮膚の完全性や状態に起こる悪影響、例えば浸軟及び皮膚のバリア機能に対するダメージは、本発明の組成物の適用により軽減又は予防される。重要なことには、その組成物は、クリーム、ローション、ゲル、軟膏、又はスプレーとして、それらの有効性を活かすために処方されることが可能である。
【0014】
皮膚洗浄を促進するために用いられる場合、本発明の組成物は、任意選択により研磨粒子を約35重量%までの量、好ましくは約5重量%から約25重量%の量を含む。研磨粒子は、仕事や環境状況などの結果汚くなった皮膚から、汚れ、あか、及びしみの除去を容易にする。任意の非反応性研磨粒子は、被覆されても、被覆されなくてもよく、平均の大きさが約5から約300ミクロン程度である、一般的に二酸化ケイ素(SiO)、ケイ酸塩、金属酸化物、金属炭酸塩(炭酸カルシウム又は被覆炭酸カルシウム)、粘土、炭化物、及びプラスチックからなる。
【0015】
本発明はまた、オルガノシラン第4級及び過酸化水素の組成物を、湿分透過被膜を提供することにより水和物を調節するのに有効である量を皮膚に適用し、皮膚の水和を調節する方法に向けられている。
【0016】
本発明はまた、治療的な多機能被膜を提供する組成物で皮膚を治療する方法を包含する。例えば、仕事などの結果で汚れ、あか、及びしみで汚れた皮膚を本発明の組成物の適用により、洗浄し、多機能被膜を提供することができる。例えば、液体の本発明の組成物は、効果的な量を汚れた皮膚の表面で拭く又は噴霧することによって適用することができ、その汚れを拭き取って除去する。そのような適用により、表面はきれいになり、目に見えない、耐久性のある予防被膜が表面に結合して、したがって、すぐには落とされない、清潔な、撥水剤及び防汚剤、並びに抗菌性の表面になる。その被膜はまた、湿分透過性であり、皮膚の水和を調節し、水和物の調節を可能にする。
【0017】
本発明のさらなる理解、その様々な実施形態、及び作用パラメータは、以下の詳細な説明を参照して明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
上記概要によると、本発明の目的は、皮膚障害の治療のための治療用組成物及び方法を提供することである。それらのうち、本発明の組成物によって首尾よく治療、回復及び/又は予防されている皮膚障害は、皮膚真菌(足指爪真菌)、足のにおい、手及び/又は足のたこ、ひじ及び新生児頭部皮膚の乾癬、軟性線維腫(目蓋及び/又は鼻)、「そばかす」(手及び/又は顔)、吹き出物、にきび及び毛穴の黒ずみ(座瘡)、擬似基部細胞がん、紙で手を切る、膝の擦り傷、「いんきんたむし」、及び刺し傷、細菌感染、並びに他の皮膚発疹である。組成物はまた、同時に洗浄、消毒及び皮膚に撥水性と防汚性の状態を提供する。治療組成物はまた、(1)生分解性であり、(2)皮膚貫通及び湿分透過性であり、(3)広帯域の抗菌性であり、(4)皮膚に結合可能であり耐久性のある撥水性及び防汚性であり、(5)性能及び対象の点において、保存安定性及び経済的であり、並びに(6)クリーム、ローション、ゲル又は軟膏として通常の技術で使用され、適用することができる。
【0019】
オルガノシラン第4級アンモニウム化合物
オルガノシラン第4級は、以下の式で定義される:
【化1】


式中、Rは水素及び/又はCからCアルキルであり、RはCからCの炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、Rは水素又はCからCアルキルであり、Rは水素又はCからC10アルキルであり、RはC10からC22の飽和又は不飽和炭化水素基であり、Xはハロゲン化物(好ましくは、塩化物又は臭化物)、カルボン酸塩(酢酸塩、グリコール酸塩)、スルホン酸塩、水酸化物、硫酸塩、又はリン酸塩である。
【0020】
脱イオン水性媒体中に、オルガノシラン第4級は、約5%までの量、通常約1から5%の量で含まれ、過酸化水素は約20%までの量、好ましくは約3から10%の量で含まれる。水性媒体のpHは、約2から約9であり、好ましくは約3から5の酸性である。組成物は上記のように、さらにアルコール、ポリオール、グリコールエーテル、及びそれらの混合物から選択される溶媒、好ましくはメタノール、エタノール又はイソプロパノールを含むことができる。
【0021】
陽イオン性単量体オルガノシラン第4級アンモニウム化合物は、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリド(「C−18第4級」)、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルドデシルアンモニウムクロリド(「C−12第4級」)、3−(トリメトキシシリル)プロピルジデシルメチルアンモニウムクロリド、3−(トリメトキシシリル)プロピルテトラデシルジメチルアンモニウムクロリド、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルソヤアンモニウムクロリド、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオレイルアンモニウムクロリド、3−(トリメトキシシリル)プロピルオクタデシルアンモニウムクロリド、3−(トリメトキシシリル)プロピルオレイルアンモニウムクロリド、及び3−(トリメトキシシリル)プロピルドコサンアンモニウムクロリドからなる群から選択される。他の適当なオルガノシラン第4級は、本発明の原理に従って皮膚の治療的処置のために機能するのであれば用いることができる。
【0022】
本発明の好ましい組成物において、オルガノシラン第4級アンモニウム化合物は、皮膚の洗浄を容易にし、及びまた反応基が皮膚との結合を提供して所望の治療効果を得る。したがって、治療、洗浄、界面活性剤、撥水剤、及び/又は抗菌活性を促進する、C10〜C22の飽和又は不飽和炭化水素基などの炭化水素基を有するオルガノシランが好ましい。
【0023】
適当な第4級オルガノシランは、さらに詳細に以下の実施例を参照して記載される。上記のとおり、一般に前記組成物はオルガノシラン第4級を約5重量%までの量を含み、好ましくは、1重量%までの量である。皮膚組成物が汚れ、油脂又はあかなどを洗浄するために配合されるとき、様々な種類の研磨粒子を35重量%の量まで、好ましくは約5から約25重量%の量を用いることができる。過酸化水素又はその錯体が用いられる場合、一般にその過酸化水素の量は組成物の約20重量%までの量、好ましくは約3から約10重量%の量である。3(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリドなどの最も好ましいオルガノシラン第4級のより具体的な量は、約3から10重量%の過酸化水素とともに、約0.4から約0.7重量%であり、約5重量%までの量である。
【0024】
研磨固体粒子
上記のとおり、治療及び/又は予防組成物が、汚れ、あか、油脂など、又は他の汚れを取り除くために配合される場合、研磨固体粒子を用いることができる。
【0025】
非限定的な研磨固体粒子(砂粒)の例は以下の表1に示される。
【0026】
表1
研磨固体粒子
タルク
珪藻土
バーミキュライト
水酸化アルミニウム
雲母
方解石
硫酸バリウム
ホタル石
珪灰石
ゼオライト球(ガラス)
重晶石
軽石
二酸化チタン
石英(シリカ)
セラミック微小球
ジルコン
シリコーン炭化物
酸化アルミニウム
プラスチック(ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレンなど)
【0027】
ほとんどの砂粒は、多くの異なる粒子径で手に入れることができ、一般に約5から約300ミクロンの平均粒子径を有し、それらの研磨の質は一般にそれらの粒子径に反比例して変化する。即ち、粒子径が小さいほど、汚れ及びその下にある皮膚表面におけるそれらの研磨作用は少ない。さらに、砂粒の構造の変化のために(即ち、球状、平面様、空洞、とがっているなど)、様々な大きさ及び硬さの砂粒を組み合わせて用いて、皮膚表面から有機及び無機の両方の汚れを取り除く、所望の能力を得ることがしばしば望まれる。
【0028】
砂粒は、オルガノシラン第4級及び過酸化水素に対して非反応性でなければならない。もし標準的に反応性であるのならば、種々の入手可能な被膜で非反応性にされている形で用いられなければならない。したがって、オルガノシラン第4級は、洗浄された皮膚表面に結合するために、保存安定及び利用可能のままでとどまる。一般に、組成物の中の研磨粒子は、約35重量%までの量であり、オルガノシラン第4級化合物は約5重量%までの量である。より好ましくは、研磨粒子は通常約5から約25重量%の量であり、第4級化合物は約5重量%までの量である。
【0029】
過酸化水素及び相乗効果
過酸化水素は重液であり、様々な強度の水溶液で入手可能である。無水の形では水及びアルコールに可溶である。不安定ではあるが、一般に、アセトフェネチジン、アセトアニリド、又はスズ化合物によって溶液中で阻害されており、上記効果的な量を本発明において使用するには安定である。
【0030】
発明者らの‘313出願では、発明者らは、既に様々な汚れや多孔性の表面におけるオルガノシラン第4級及び過酸化水素の組合せの相乗活性を報告した。これらの活性成分のメカニズムは、本発明の原理に従う皮膚の治療に当てはまると考えられる。
【0031】
理論に縛られることを望まない一方で、陽イオン性オルガノシラン第4級化合物が過酸化水素の存在下で皮膚表面に結合するメカニズムを前提とすることは、本発明のさらなる理解のためには役立つと考えられる。過酸化水素はその抗菌活性及び様々な毒性汚染物質を破壊するために用いられているその酸化力についてよく知られている。水溶液では、以下の式を参照して水よりも強力な酸である:
HOOH → H+HOO
【0032】
第4級アンモニウム化合物は、表面上の吸収された水との相互作用により、陰イオン表面に結合することが知られている。これは、次の式によって示すことができる。
表面−HO+M(aq)+X(aq) → 表面−OH+X(aq)+H(aq)
式中、Mは水素イオン以外の有機陽イオンであり、水素イオンは吸着された表面の水から置き換わって水和し、H(aq)として水相に移る。したがって、有機カチオン(M)は陰イオン表面に「水素結合化」する。
【0033】
しかしながら、本発明の以前には、過酸化水素がオルガノシラン第4級と組み合わせて以下の実施例に例示のような本発明の皮膚の治療効果を得ることは知られていなかった。
【0034】
実施例における皮膚障害及び状態の治療及び予防は、非常に注目すべきであり、有利なものである。成し遂げられた結果は、予期されないと考えられており、発明者らの‘313先願で既に報告された相乗効果に類似した相乗効果であると考えられる。
【0035】
本発明の以下の実施例で例示されている、注目すべき有利な活性を理解するために、水と非常に類似している過酸化水素は、皮膚表面に以下の式に示されるような同様の方法で吸着されると考えられる:
表面−HOOH+M(aq)+X(aq) → 表面−OOH+X+H(aq)
式中、MはH以外の有機陽イオンであり、Hは吸着された表面の過酸化水素から置き換わって、水和物になり、H(aq)として水相の中に入る。有機カチオン(M)はしたがって、陰イオン性の皮膚表面に過酸化水素イオン(−OOH)を伴って陰イオン皮膚表面に水素結合し、それは水が陰イオンの皮膚表面にあるときに水酸化物イオン(−OH)を伴ったときよりもより強く結合していると考えられている。
【0036】
有機陽イオンはまたシラン基(−Si−OR)を含み、それは加水分解してシラノール(−Si−O−H)となり、さらなる化学的な性質の結合が基質シラノール又は皮膚表面の反応部分で起こる。又は、加水分解して別の有機陽イオンシラノールとなり、皮膚表面でオルガノ第4級化合物の重合又は架橋を導く。この化学結合及び架橋は、より耐久性のある被膜を得るに至り、通常の接触(衣服又は使用)又はすすぎによる皮膚からの除去が簡単ではない。
【0037】
過酸化水素の非限定的な形には、過酸化尿素、過炭酸ナトリウム、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、及び過酸化フッ化アンモニウム水和物を含み、それらは水溶液に可溶であるか分解して過酸化水素を形成する。
【0038】
皮膚における過酸化水素のさらなる洗浄、抗菌性、及び表面活性能力、並びに皮膚表面へのシラン第4級陽イオン(M)の水素結合を強くする能力のおかげで、したがって、濃縮及びそれに続き架橋を通じた皮膚へのシランの高められた化学結合の作用、改良された表面結合又は被膜の耐久性は、本発明の組成物の適用の結果である。上記で規定されているような、発明者らの‘313出願における初期の発見をもとに、陽イオン性オルガノシラン第4級化合物と過酸化水素の組合せは、皮膚における相乗的な治療及び/又は予防効果を提供すると考えられる。言い換えると、この成分の組合せによる得られた結合及び耐久性は、個々の成分の合計を予想外に超える。
【0039】
液体希釈剤
好ましい形において、本発明の治療組成物は液体であり、液体希釈剤を必要とする。好ましい液体希釈剤は水であり、最も好ましくは脱イオン水であり、及び/又はアルコールであり、スラリー、クリーム又はゲルの媒体をオルガノシラン第4級及び過酸化水素と形成する。上記で開発されたように、非反応性の研磨固体粒子を使用して皮膚の洗浄を助けることができる。したがって、上記のように、オルガノシラン第4級及び研磨固体粒子、並びに過酸化水素の相対量は、脱イオン水のバランスで供給され、スラリー、クリーム、又はゲルを他の可能な添加剤、例えば増粘剤、ゲル化剤、研磨固体、潤滑剤、及び溶媒と一緒に形成する。組成物が溶媒を含む場合、通常、アルコール、ポリオール、グリコールエーテル、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくはエタノール又はイソプロパノールである。
【0040】
本発明は、好ましい本発明の実施形態を以下に詳細に開示することにより、より容易に理解することができる。本明細書で用いられている専門用語は特定の実施形態を記載する目的のものであり、限定されることを意図していないことを理解されるべきである。明確に理解するために、本明細書で用いられる以下の用語を定義する。
【0041】
「研磨の」又は「研磨」は皮膚、又は皮膚表面の点若しくは範囲のマッサージに用いられる、研磨「粒子」又は「砂利」と一緒に塗りこまれ、撹拌され、或いはマッサージされる任意の材料又は物質を意味する。
【0042】
「抗菌性」は皮膚表面及びその被膜の、微生物、特に病因となる微生物の付着及び成長に耐える能力を意味する。
【0043】
「適用」、「適用する」又は「適用された」は、本明細書で用いられるように、組成物で皮膚を治療することを意味し、通常、局所適用としてスラリー、クリーム又はゲルの組成物である。
【0044】
「バクテリア」は、単独又は連鎖で現れ、発酵、腐敗、及び感染症に関与する様々な種を含むユビキタスな1細胞の有機体を意味する。
【0045】
「結合」、「結合された」又は「結合可能な」は、撥水性及び防汚性の被膜に結合する能力、又はそうでなければ水及び汚れを受け入れる皮膚表面の特徴にあるような、皮膚表面に上記組成物が強力に接着する能力を意味する。本明細書において、未処置の皮膚表面よりも優れている(約25度より大きい)淡水(水道水)に対する接触角を示すときに、組成物は「結合される」又は「結合可能」とみなされており、そのような水で繰り返しすすぐことによる除去に抵抗する。
【0046】
「きれいな」、「洗浄された」、「洗剤」、又は「洗浄」は、汚れのない、しみのない、及び汚れの蓄積のない皮膚表面、又は本発明の組成物、並びにそれらを使用する方法を意味する。
【0047】
「消毒(された)」又は「消毒する」は、皮膚表面に用いられ、害のある有機体(病原菌)の成長を破壊又は阻害する、任意の化学剤及びそれらの効果を意味する。
【0048】
「耐久性のある」又は「耐久性」は、長持ちし、淡水(水道水)ですすいでも簡単には除去されないことを意味する。
【0049】
「日常の汚れ」又は「汚れ」は、泥、ほこり、飲料、ミルク、コーヒー、お茶、ジュース、ソース、グレービー、煮こぼれ、石鹸カス、水腐れ、無機沈着物等の、仕事、料理、食事、飲酒、洗濯、入浴、及びシャワーに起因する、皮膚上の汚れ、あか、しみ、こぼし、はね、及びしみを意味する。
【0050】
「病原菌」は、病気をもたらす微生物を意味する。
【0051】
「無機汚れ」は、石灰のカス、硬水膜、さび、及び動物又は植物ではない物質からなる無機沈着物を意味し、鉱質源由来である。
【0052】
「マッサージする」は、汚れが皮膚表面にもはや付着しなくなるまで、集積の上及び中で組成物を拭く及び/又はこすることを意味する。
【0053】
「微生物」は、バクテリア、原生動物、ウイルス、及びある菌類、並びに藻類などの小さすぎて補助のない肉眼で見ることができない有機体を意味する。
【0054】
「和らぐ(和らいだ)」は、勢い及び強さを緩和し、それ程ひどくなくなること、特に、微生物の付着及び成長に関して、和らげて調整することを意味する。
【0055】
「菌」と「かび」は、有生の及び無生の表面上に形成し、一般に湿気及び/又は腐食に関連した微小菌類の成長を意味する。
【0056】
「単量体」又は「単量体の」は、同一若しくは異なる分子と反応する能力のある分子、又は皮膚上に保護膜を形成する分子を意味する。
【0057】
「多機能の」は、同時又は連続して皮膚を洗浄及び被覆し、よって被膜はまた皮膚の撥水性、防汚性、湿分透過、及び/又は抗菌性を与える機能を発揮して、すべてにおいて治癒を促進するように、単独施用から2つ以上の認められる結果を得る方法を意味する。
【0058】
「非反応性」は、本発明に従って、オルガノシラン第4級又は過酸化水素と反応しないで、治療上の洗浄及び被膜の割合を減少する研磨固体粒子を意味する。或いは、通常の状態で反応性の場合は、バリアを形成する研磨固体粒子を様々の物質で被覆して非反応性及び保存安定にして、所望の皮膚表面の治療上の洗浄及び結合機能を提供する。
【0059】
「有機汚れ」は、食材、石鹸カス、油脂、油及び炭素を含む任意の化学化合物を意味し、生体の特徴を有するか生体由来である。
【0060】
「粒子」及び「砂粒」は、不溶性の汚れを除去するために用いられる、様々な硬さ、構造、質感、及び大きさの固体の微小の一部又は断片を意味する。
【0061】
「予防的(な)」は、本発明の治療組成物により得られた保護効果、方法、及び/又は質を意味する。
【0062】
「重合体」又は「重合体の」は、たくさんの小分子の反応/縮合により通常生成される高分子量の化合物を意味する。
【0063】
「防ぐ」又は「忌避剤」は、水、汚れ、及び病原菌に有効に抵抗する、近づかせない又は入らせない、混合しない、及びそれらの吸収、付着、又は通過に抵抗することを意味する。
【0064】
「除去に対する抵抗力」は、通常衣服と接触している体表面の処置された皮膚への日常の使用により、又は淡水(水道水)ですすぎ、洗濯し、若しくは洗浄することにより、簡単に除去されない被膜又は皮膚表面のあと残りを意味する。
【0065】
「殺菌剤」又は「殺菌する」は、泥、汚れ、病原菌などがない状態にするために皮膚表面を洗浄するための物質、調製、又は方法を意味する。
【0066】
「防汚」は、例えば、水分成分の蒸発の前後両方の日常の汚れの付着及び集積を減少させることを示す皮膚表面を意味する。
【0067】
「滅菌剤」又は「滅菌」は、生体微生物の滅亡をもたらす任意の化学薬品、物質又は方法を意味する。
【0068】
「保存安定」は、倉庫、搬送容器、パッケージなどで見られる、周囲環境条件温度、即ち数カ月間、一般的には6カ月以上、又は少なくとも1年間の所望の期間に華氏120度までの温度の下でコンテナ内で貯蔵されるときの、本発明の液体組成物の有用な保存寿命を意味する。
【0069】
「皮膚」又は「皮膚表面」は、動物又はヒトの体の器官であり、体表面の一部又は全体を覆い、2つの主要な層である、最上の角質層を含む表面上皮、つまり表皮、及び下位に隣接する結合組織層、つまり真皮からなる。これらの用語は、本明細書においては爪及び髪を指すことも意味する。
【0070】
「皮膚障害」又は「疾患」は、創傷、擦り傷、潰瘍、熱傷、感染症、炎症、微生物、汚れ、水、乾癬、尋常性座瘡、しみ、そばかす、硬化症、他の物理的又は化学的な外傷、及び発疹を含む他の皮膚欠陥により、健康及び/又は完全性が危険にさらされている皮膚を意味する。
【0071】
「界面活性剤」は、2つの液体の間、又は液体と固体の間の表面張力又は界面張力を減少させる物質を指す。界面活性剤には、洗剤、潤滑剤及び乳化剤が含まれる。
【0072】
「治療の」は、皮膚障害における、本発明の組成物及び方法により得られる治療の、予防の、又は治癒の効果、方法、及び/又は質を指す。
【0073】
「ウイルス」は生物宿主、主にバクテリア、植物及び動物の細胞内でのみ複製する、極微の代謝的に不活性な感染性剤であるが、直接又は間接に手及び体に接触することにより、手及び体の接触表面を通して移動される。
【0074】
「撥水剤」、「撥水性」及び「疎水性」は本明細書での使用としては、皮膚の疎水性の性質又は特徴、及び表面における淡水(水道水)のしずく又は水滴の接触角により測定される、水をはじく能力を示す。一般に、個々の皮膚表面の疎水性は、約25度よりも大きい淡水滴(水道水滴)に対する接触角、及びそのような水で繰り返してすすぐことによる除去に対するその抵抗性の観点で評価される。
【実施例】
【0075】
実施例−手、顔、足及び他の体の部分における皮膚ケア試験
多くの皮膚障害は、皮膚の外層上又は毛包、爪及び腺開口部の中で、一時的及び常駐の両方の発疹及びしみが原因である。その原因が切り傷、打撲傷及び擦り傷から生じる内部であろうと外部であろうと、治療は、通常、体の排せつ物、温かい体温、湿気、及び生体組織が理想的であり栄養のある環境であると分かるバクテリア、ウイルス及び菌類の付着及び成長によりしばしば遅れる。
【0076】
本発明の治療組成物は、表2及び3に報告されるように、以下の皮膚障害及び状態を治療するために首尾よく用いられた。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
表2及び3は、本発明の保存安定のある組成物の驚くべき有利な治療効果を例示している。表3に記録された結果に加え、本発明の組成物で治療された手、足、膝等の皮膚は、洗浄され、疎水性を示した。皮膚表面は、病原菌、かび、ウイルス、若しくは微生物の消毒がされ、又はそれらの活性が軽減した。有機/無機汚れの洗浄及び皮膚の消毒は、組成物の約5から25重量%の量で非活性研磨粒子を添加して皮膚のマッサージを行うことにより改善された。上記実施例に従って皮膚を治療すると、治療処置の結果として、皮膚上に湿分透過被膜を提供することにより皮膚の水和が調整された。したがって、本発明の組成物は、皮膚に撥水性及び防汚性、さらに抗菌性をもたらす耐久性のある治療上多機能な被膜を提供した。前記組成物の抗菌性治療効果のさらなる証拠として、以下に、オルガノシラン第4級及び過酸化水素の抗菌性の有効性の例を提供する。
【0080】
実施例−タイルの表面における、陽イオン性オルガノシラン第4級アンモニウム化合物/過酸化水素組成物の抗菌性の有効性
これらの試験では、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、及び枯草菌(Bacillus subtilis)からなる微生物学的有機体の混合物で汚染されたタイルの表面において、本発明の組成物の抗菌性の有効性を測定する。試験された組成物は、3%の過酸化水素を含む0.4%の3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリドからなる組成物#2(表2)に類似していた。以下の材料及び方法がこの試験を行うために用いられた。
【0081】
材料
1.微生物:
a.大腸菌(Escherichia coli)(ATCC 11229)
b.黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(ATCC 25923)
c.枯草菌(Bacillus subtilis)(ATCC 6363)
2.媒体:
a.血液寒天平板(BAP);5%脱フィブリン化羊血液で改良されたトリプシン大豆寒天
b.バターフィールドのバッファー(BFB)
3.マクファーランド濁度基準(VWR)
4.滅菌供給:
a.滅菌綿棒
b.マイクロピペット及び滅菌チップ
5.装置:
a.インキュベーター
b.らせんバイオテクオートプレート4000
6.ペーパータオル
7.タイル表面
8.試験のための実施例1の組成物(陽イオン性オルガノシラン第4級アンモニウム化合物と過酸化水素)
【0082】
方法
1.血液寒天平板(BAP)を試験有機体の新鮮な培養物とともにインキュベートして密集成長を得て、次いで35℃で24時間インキュベートした。各有機体の懸濁液を、各有機体のコロニーをバターフィールドのバッファーの別々の10mlのチューブに移して調製した。その懸濁液を0.5マクファーランド単位の濁度に調整し、それはおよそ1×10個の細胞数に相当した。
【0083】
2.各懸濁液の1:100希釈を、0.1mlの懸濁液を10mlのBFBにアリコートすることにより行い、有機体懸濁液を作製した。
【0084】
3.微生物汚染のバックグラウンドがないことを確かめるために、すべての試験表面をイソプロピルアルコールで洗浄し、空気乾燥した。
【0085】
4.二重の100cmの範囲を、各有機体の試験表面上で測定及び設計し、マスキングテープを用いてラベルした。
【0086】
5.試験の範囲をBFBで湿らせる前の滅菌綿棒を用いてサンプリングし、試験の範囲がバクテリアの成長がネガティブであることを確認した。
【0087】
6.マイクロピペット及び滅菌チップを用いて、0.1mlの有機体懸濁液を試験の表面の対応する部分に独立に供給し、炎にあてた滅菌ガラス棒を用いて100cm全体をカバーするように均一に分配した。
【0088】
7.各表面は、次いで実施例1の組成物をその表面にスプレーして洗浄し、ペーパータオル又は柔らかい布で結晶がきれいになり輝くまで拭き取ることにより処置した。
【0089】
8.試験の範囲はBFBで湿らせる前の滅菌綿棒でサンプリングした。
【0090】
9.有機体懸濁液及び試験サンプル綿棒をボルテックスして均一性を確保して、らせんバイオテクオートプレート4000を介してBAP上で培養した。
【0091】
10.培養したサンプルを35℃で48時間インキュベートした。平板は検査され、有機体を数えた。
【0092】
結果
タイルの表面の分析データを以下の表7に示す。
【0093】
【表3】

【0094】
ネガティブコントロールデータは、すべての表面は、実験前にはバクテリアは存在しなかったことを明示している。結果は、組成物は、枯草菌(Bacillus subtilis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、及び大腸菌(Escherichia Coli)に対して効果的な殺菌剤であることを示している。
【0095】
実施例−皮膚上の治療薬被膜の耐久性
皮膚上の治療薬被膜は、以下の方法において手の表面での耐久性を試験した。
【0096】
1.手を「アイボリー」石鹸で洗い、水道水ですすいで、ペーパータオルで乾燥した。
【0097】
2.一方の手の裏側に、次いで以下の組成物をスプレーした:
脱イオン水の中に
0.4% C−18第4級
3.0% 過酸化水素
4.0% 変性エタノール
過剰物は振り落として手を空気乾燥した。
【0098】
3.乾燥した手の裏側を、次いで摂氏23度の水道水ですすいで、次いで過剰の水を除くために振り落とした。忌避剤の皮膚表面は、残った水滴の80から90度の接触角の点で注目された。
【0099】
4.処置した手は、残った水滴の接触角に明らかな変化が見られることなく、20回再びすすがれた。
【0100】
結果は、本発明の治療薬被膜が、皮膚の表面において優れた耐久性を明示した。
【0101】
実施例−湿分透過試験
以下の試験は、本発明の組成物で処置された皮膚を未処置の皮膚と比較して湿分透過を示すために行われた。
【0102】
コラーゲンフィルム(厚さ0.15mm)を皮膚の代わりに用いた(引用:米国特許第5300286号、Dow Corning、Col.6、実施例1)。コラーゲンフィルムシートは両面をイソプロパノールですすぎ、空気乾燥した。この試験で用いられる組成物を、次いでそのフィルムの一方の面にスプレーしてそのフィルムの表面を完全に湿らせた。過剰の組成物をペーパータオルで取り除き、処置フィルムの表面を空気乾燥した。フィルムのサンプルを直径2 1/2インチの試験サンプルに切り取った。
【0103】
この湿分透過試験において用いられた試験装置は、直径が2 1/2インチの開口部を有し、容量が約8オンスである、「メーソン(Mason)」ジャーであった。フィルムサンプルをそのジャーの開口部の上において、次いで、「メーソン」ジャーの封の代わりにゴムの詰め物を置いた。次いで、コラーゲンフィルムをふさぐために、ふたを所定の位置に取り付けた。10mlの水道水をそのフィルムの表面に加え、次いでそのフィルムを試験期間を通して、その表面に水膜を維持した。50mlの濃硫酸を乾燥剤として各試験ジャーに加えて、フィルムを通過するであろう水分を吸収した。硫酸の重量増加は、所与の時間にコラーゲンフィルムを通過した水の量と等しいであろう。重量の増加は、試験期間の前後のジャーと酸性ジャーとの重量の差により決定された。
【0104】
処置されたフィルムは、処置された表面の上部を水と接触して試験され(95時間試験)、及び処置された表面の下部の水と接触した未処置の表面で試験された(7時間試験)。表面の処置のないコントロールもまた実行された。
【0105】
本発明の以下の組成物を試験し、その結果は以下の表5に示す。
組成物No.1:0.4%のC−12第4級、3.0%の過酸化水素、4.05の変性エタノール(脱イオン水中)
組成物No.2:0.4%のC−18第4級、3.0%の過酸化水素、4.0%の変性エタノール(脱イオン水中)
【0106】
【表4】

【0107】
処置されたコラーゲンフィルム(ヒトの皮膚の代理)の湿分透過は基本的に未処置のフィルムとして本発明の組成物で処置したときと同じレベルを維持している。
【0108】
当業者は、上記の説明、手順、方法、及び組成物は、記載されている実施形態の範囲から逸脱することなく修正又は変更を行うことができ、それらは本発明の範囲から外れないことを理解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体中に陽イオン性オルガノシラン第4級アンモニウム化合物及び過酸化水素を含み、前記成分が皮膚障害の治療処置に有効な量である、皮膚障害の治療のための治療組成物。
【請求項2】
前記第4級化合物がC10〜C22飽和又は不飽和炭化水素基を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第4級化合物が約5重量%までの量で存在し、前記過酸化水素が約20重量%までの量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記第4級化合物が約1から5重量%の量で存在し、前記過酸化水素が約3から約10重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
アルコール、ポリオール、グリコールエーテル、及びそれらの混合物の群から選択される溶媒をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ポリオール又はアルコールが、グリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、メタノール、エタノール、又はイソプロパノールである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
水性媒体が酸性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
pHが約2から約5程度である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
水性媒体が脱イオン水である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記第4級化合物が以下の式で定義される、請求項1に記載の組成物
【化1】


[式中、Rは水素及び/又はCからCアルキルであり、RはCからCの炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、Rは水素又はCからCアルキルであり、Rは水素又はCからC10アルキルであり、RはC10からC22の飽和又は不飽和炭化水素基であり、Xはハロゲン化物、カルボン酸塩、スルホン酸塩、水酸化物、硫酸塩、又はリン酸塩である]。
【請求項11】
酸性脱イオン水性媒体中に、次式
【化2】


[式中、Rは水素及び/又はCからCアルキルであり、RはCからCの炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、Rは水素又はCからCアルキルであり、Rは水素又はCからC10アルキルであり、RはC10からC22の飽和又は不飽和炭化水素基であり、Xはハロゲン化物、カルボン酸塩、スルホン酸塩、水酸化物、硫酸塩、又はリン酸塩である]で定義される約5重量%までの量の陽イオン性オルガノシラン第4級アンモニウム化合物及び、
約20重量%までの過酸化水素とを、前記成分が皮膚障害の治療処置に有効な量で含む、皮膚障害の治療のための治療組成物。
【請求項12】
酸性媒体のpHが約2から約5である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
アルコール、ポリオール、グリコールエーテル、及びそれらの混合物の群から選択される溶媒をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
メタノール、エタノール、及びイソプロパノールからなる群から選択されるアルコールをさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記オルガノシラン第4級アンモニウム化合物が、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、3−(トリメトキシシリル)プロピルジデシルメチルアンモニウムクロリド、3−(トリメトキシシリル)プロピルテトラデシルジメチルアンモニウムクロリド、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルソヤアンモニウムクロリド、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオレイルアンモニウムクロリド、3−(トリメトキシシリル)プロピルオクタデシルアンモニウムクロリド、3−(トリメトキシシリル)プロピルオレイルアンモニウムクロリド、及び3−(トリヒドロキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリドからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
オルガノシラン第4級アンモニウム化合物が、約1から約5重量%の量の3(トリメトキシシリル)ジメチルオクタデシルアンモニウムクロリド及び3(トリメトキシシリル)プロピルジメチルドデシルアンモニウムクロリドからなる群から選択され、前記過酸化水素が約20重量%までの量である、請求項11に記載の組成物。
【請求項17】
皮膚障害が、創傷、擦り傷、潰瘍、熱傷、感染症、炎症、微生物、汚れ、水、乾癬、尋常性座瘡、しみ、そばかす、硬化症、他の物理的又は化学的な外傷、及び他の皮膚欠陥からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項18】
前記皮膚障害が、水、汚れ、及び/又は微生物に起因し、前記治療処置が多機能被膜を前記皮膚上に施し、それにより、皮膚を撥水性、防汚性及び/又は抗菌性にする結果をもたらす、請求項11に記載の組成物。
【請求項19】
皮膚障害が、汚れた皮膚であり、治療処置が皮膚を洗浄し、その防汚性を高めるのに有効である、請求項11に記載の組成物。
【請求項20】
皮膚障害が、微生物に汚染された皮膚であり、治療処置が皮膚を抗菌性にするのに有効である、請求項11に記載の組成物。
【請求項21】
皮膚障害が、水に起因する皮膚炎であり、治療が皮膚の撥水性を増強するのに有効である、請求項11に記載の組成物。
【請求項22】
皮膚障害が、皮膚の水和作用の欠如であり、治療処置が、皮膚の水和作用を調節する、請求項11に記載の組成物。
【請求項23】
約35重量%までの量の研磨粒子をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項24】
約5重量%から約25重量%の量の研磨粒子をさらに含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記研磨粒子が、二酸化ケイ素(SiO)、ケイ酸塩、金属酸化物、金属炭酸塩、粘土、炭化物、及びプラスチックからなる群からの被膜又は非被膜粒子であり、平均サイズが約5から約300ミクロン程度である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
クリーム、ローション、ゲル、軟膏、又はスプレーとして処方される、請求項11に記載の組成物。
【請求項27】
水性媒体中の陽イオン性オルガノシラン第4級アンモニウム化合物と過酸化水素との組成物の治療有効量を皮膚障害に局所適用すること、及び、
前記局所適用の結果として皮膚障害の治療又は治癒効果を得ること
を含む、皮膚障害の治療処置の方法。
【請求項28】
前記皮膚障害が、創傷、擦り傷、潰瘍、熱傷、感染症、炎症、微生物、汚れ、水、乾癬、尋常性座瘡、しみ、そばかす、硬化症、他の物理的又は化学的な外傷、及び他の皮膚欠陥からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記皮膚障害が、水、汚れ、及び/又は微生物に起因し、前記治療処置が多機能被膜を前記皮膚上に施し、それにより、皮膚を撥水性、防汚性及び/又は抗菌性にする結果をもたらす、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物が、酸性脱イオン水性媒体中に、次式
【化3】


[式中、Rは水素及び/又はCからCアルキルであり、RはCからCの炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、Rは水素又はCからCアルキルであり、Rは水素又はCからC10アルキルであり、RはC10からC22の飽和又は不飽和炭化水素基であり、Xはハロゲン化物、カルボン酸塩、スルホン酸塩、水酸化物、硫酸塩、又はリン酸塩である]で定義される約5重量%までの量の陽イオン性オルガノシラン第4級アンモニウム化合物及び、
約20重量%までの量の過酸化水素を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
酸性媒体が約2から約5のpHを有する、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記オルガノシラン第4級アンモニウム化合物が、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、3−(トリメトキシシリル)プロピルジデシルメチルアンモニウムクロリド、3−(トリメトキシシリル)プロピルテトラデシルジメチルアンモニウムクロリド、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルソヤアンモニウムクロリド、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオレイルアンモニウムクロリド、3−(トリメトキシシリル)プロピルオクタデシルアンモニウムクロリド、3−(トリメトキシシリル)プロピルオレイルアンモニウムクロリド、及び3−(トリヒドロキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリドからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
水性媒体中で皮膚の表面に結合可能である陽イオン性オルガノシラン第4級アンモニウム化合物及び過酸化水素を含む組成物を、皮膚に局所適用すること、
皮膚上に耐久性よく結合される、清潔な、防汚性及び撥水性、並びに抗菌性の被膜を形成すること
を含む、皮膚を治療的に洗浄し、並びにその皮膚に耐久性のある多機能性被膜を提供するための方法。
【請求項34】
組成物が液体として皮膚に適用され、皮膚から汚れを除去して、前記表面に耐久性よく結合される、清潔な撥水性及び防汚性、並びに抗菌性の被膜を形成する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記汚れを皮膚から拭き取り、それにより、前記表面に結合される前記清潔な、撥水性及び防汚性、並びに抗菌性の被膜を形成する、請求項33に記載の方法。

【公表番号】特表2009−516683(P2009−516683A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541221(P2008−541221)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/043351
【国際公開番号】WO2007/061625
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(502319372)リソース ディベラップメント エル.エル.シー. (5)
【Fターム(参考)】