説明

皮革防水加工処理剤およびこれを用いた防水加工皮革物品

本発明は皮革を防水加工するための新規な処理剤、皮革防水加工方法ならびに本発明の処理剤および方法によって防水加工された皮革物品に関する。さらに具体的には、本発明は加工皮革物品に改良された疎水性、柔軟性および/または製品感触を付与するためのポリアルキルカルボン酸無水物の塩、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪アルコールまたは脂肪アルコール混合物、アルコール性共溶媒、保存剤および水を含有する組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮革を防水加工するための新規な処理剤、皮革防水加工方法、ならびに本発明の処理剤および方法によって防水加工された皮革物品に関する。より具体的には、本発明は加工皮革物品に改良された疎水性、柔軟性および製品感触を付与するためのポリアルキルカルボン酸無水物のナトリウム塩および/または脂肪族カルボン酸アミド、脂肪アルコールまたは脂肪アルコール混合物、アルコール性共溶媒、保存剤および水を含む組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
皮革の柔らかさ、柔軟性および疎水性(防水性および/または撥水性)などの機械的、物理的および化学的性能を調節するために、一般的に、石油化学により製造された油または天然の油および脂肪を主体とする水溶性脂肪乳濁液(加脂剤)が使用される。皮革または毛皮のための加脂性能を有する不飽和ジカルボン酸誘導体および長鎖オレフィンなどのポリマー製品が、皮革、獣皮および毛皮のための撥水剤として使用される。
【0003】
例えば、EP−A−412389(特許文献1)は、皮革撥水剤の使用に関する。特に、この公開公報は、例えば、アミンなどの塩基による酸無水基の加溶媒分解またはアルコールによる無水基の部分エステル化および水性媒体中での塩基による生成カルボキシル基の部分的な中性化により、水溶液または分散液に変換されたC〜C40モノオレフィンとエチレン系不飽和C〜Cジカルボン酸無水物のコポリマーの使用を示している。
【0004】
米国特許第5,433,752号(特許文献2)は、アミンおよびアルコールとともに、モノエチレン系不飽和ジカルボン酸無水物をベースとするホモポリマーまたはコポリマーの反応生成物の使用に関する。しかしながらこの特許は、ジカルボン酸無水物を誘導体化するために使用されるモノエチレン系不飽和成分は、スチレンなどの芳香族ビニル化合物であることを示す。
種々の刊行物は、α−オレフィン変性カルボン酸または無水マレイン酸などのカルボン酸誘導体を含むコポリマーの調製に関する。例えば、米国特許第4,104,216号(特許文献3)は、α−オレフィンとα,β−エチレン系不飽和カルボン酸を含む、特定の長鎖脂肪酸で可塑化されたコポリマーに関する。
米国特許第4,130,213号(特許文献4)は、ノーマル・α−オレフィンと無水マレイン酸のコポリマーを含むプラスチゾル組成物に関する。
【0005】
一般的な皮革産業用防水加工物質は、米国特許第5,330,537号(特許文献5)に示されるようなセチルエイコシル(C16〜C20)メタクリレート(「CETA」)とアクリル酸(「AA」)のコポリマーである。本明細書中に言及される全ての特許、出願明細書および刊行物は、本明細書中に参考として、その全体が導入され、かつ、本明細書の一部を形成する。
一般的でかつ成功した従来の防水加工処理剤であり、ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)から入手可能であるルブリタン(Lubritan)WPは、毒性溶媒および水中のCETAアクリレートである。しかしながら、ルブリタン(Lubritan)WPは毒性や有害な環境への影響を含むある種の欠点を有する。
皮革および皮のための改良された防水加工処理、該防水加工処理を行うための組成物および改良された防水および/または撥水特性を有する皮または皮革製品は、当業者には望ましいものであろう。低毒性、取り扱い容易性、良好な防水特性を有し、そして/または環境に有害な影響を与えない処理剤が皮革処理産業では特に所望されている。
【特許文献1】EP−A−412389
【特許文献2】米国特許第5,433,752号
【特許文献3】米国特許第4,104,216号
【特許文献4】米国特許第4,130,213号
【特許文献5】米国特許第5,330,537号
【特許文献6】米国特許第3,620,990号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一態様は、環境へ有害な影響を与えない皮革の撥水性または防水性を改良する方法を提供することにある。他の態様は、改良された防水および/または撥水特性を有する皮革物品を提供することにある。最終的には、低毒性を有する皮革または皮のための防水加工組成物が本発明によって提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施態様の1つでは、本発明は本明細書中で処理剤と呼ばれる皮革を防水加工するための組成物に関する。この実施態様では、α−オレフィンポリ(カルボン酸無水物)、またはそのアルカリ塩、脂肪酸アミド、脂肪アルコールまたは脂肪アルコールの混合物、短鎖アルコール共溶媒、保存剤および水の合体物、混合物または反応生成物を含む組成物は、皮革の防水加工に使用されるとき、改良された加工特性および環境への影響をもたらすことが発見されている。本発明の組成物は、従来の合成なめし剤および加脂剤の有無にかかわらず、皮または皮革の繊維に丸み、皮目の滑らかさ(grain smoothness)、弾力性、柔らかさおよび潤滑性を与えるために使用され得る。さらに、得られた皮革物品は従来の防水加工された皮革の性質にほぼ等しいか、あるいはそれに比べて改良された撥水性、質感および風合いを有する。最終的には、本発明の組成物は低毒性、容易な取り扱い性および最小の環境への影響をもたらす。
【0008】
本発明のさらなる態様および利点は、下記の詳細な説明中に部分的に開示され、そして部分的にこの説明から明らかになるか、あるいは本発明の実施により知られ得るであろう。本発明の目的および他の利点は、詳細な説明および特許請求の範囲に特に指摘される要素およびその組合せによって実現され、かつ達成されるであろう。
【0009】
これらの利点および他の利点を達成するために、本発明の目的によると、本明細書中で具体化され、かつ、広く記載されるように、本発明は、1つの実施態様では、
a)少なくとも1種の炭化水素変性カルボン酸無水物、または例えば、酸無水物と苛性ソーダなどのアルカリ物質との反応によって調製され得るそのアルカリ塩;
b)少なくとも1種の脂肪族系酸アミド;
c)少なくとも1種の脂肪アルコールまたは脂肪アルコールの混合物;
d)少なくとも1種のアルコール共溶媒;
e)少なくとも1種の保存剤;および
f)水
を含む組成物に関する。
【0010】
さらに、本発明は皮革または皮革に加工される皮を本発明の組成物に接触させることによって、皮革または皮に撥水性を付与する方法を提供する。
【0011】
本発明の他の実施態様では、1つの成分である炭化水素変性カルボン酸無水物、またはそのアルカリ塩の脂肪族系酸アミドは、ブチルアルコールおよび水などの生態学的に望ましい溶媒または共溶媒混合物中に溶解または分散される。このようにして調製された溶液または混合物は、皮革製造方法の種々の工程で皮革を有利に処理するために使用される。
【0012】
本発明のさらなる他の実施態様では、炭化水素変性カルボン酸無水物またはそのアルカリ塩、および/または脂肪族系酸アミド、またはそのアルカリ塩を含む皮革加工処理剤が提供される。
【0013】
前述の一般的な説明および次の詳細な説明の両方は、単に実施例および説明であって、特許請求される本発明のさらなる説明を提供することを意図する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
1つの実施態様では、本発明は次の成分を合体し、混合し、反応させ、またはそうでなければ接触させることによって実施され得る:
1.少なくとも1種の炭化水素変性カルボン酸無水物、またはそのアルカリ塩;
2.少なくとも1種の脂肪族系酸アミド;
3.苛性ソーダ;
4.1種またはそれ以上の脂肪アルコール、好ましくはC20以上(例えば、C20〜C200)のもの;
5.ブチルプロパノールなどの少なくとも1種の短炭素鎖アルコール;
6.少なくとも1種の保存剤;および
7.水。
【0015】
上記成分1である炭化水素置換カルボン酸無水物、または炭化水素置換カルボン酸無水物のアルカリ塩は、例えば、無水マレイン酸またはポリ(無水マレイン酸)と例えば、α−オレフィン物質などの炭化水素との反応から誘導され得る。あるいは、無水物のアルカリ塩は、酸無水物と成分3である苛性ソーダとの反応によって、in situで製造または生成され得る。このような炭化水素置換カルボン酸無水物の例としては、PAMA2428、ポリオレフィン(C24〜C28)と無水マレイン酸の中程度分子量(5K〜10K原子質量単位(amu))コポリマー、CAS68459−79−0がある(米国特許第3,620,990号および第4,104,216号)(特許文献6および3)。炭化水素置換カルボン酸無水物のアルカリ塩にはナトリウム塩またはカリウム塩があるが、これらに限定されない。
【0016】
本発明において有用である別の炭化水素置換カルボン酸無水物としては、PAMA1050などのスチレン無水マレイン酸が挙げられる。選択されるオレフィン、カルボン酸無水物との反応または混合のタイプ、およびもしあれば二重結合の水素化または置換の程度に依存して、得られた炭化水素置換酸無水物は、アルケニルまたはアルキル酸無水物、あるいはそれらの混合物となりうる。線状オレフィン、分岐オレフィンおよびそれらの混合物は、この点でカルボン酸無水物との反応において有用である。カルボン酸無水物と反応して置換酸無水物またはそのアルカリ塩を製造するのに有用である炭化水素置換体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、1−オクテンのオリゴマー、1−デセンのオリゴマー、1−ドデセンのオリゴマー、それらのコモノマー、それらのコポリマーおよび/またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
炭化水素またはオレフィン鎖の好ましい分子量範囲は、約500〜約1,000,000原子質量単位(amu)である。より好ましい範囲は、約500〜約20K原子質量単位(amu)である。最も好ましい分子量範囲は、約5K〜約10K原子質量単位(amu)である。したがって、有用なカルボン酸無水物としては、例えば、ポリイソブチレンコハク酸無水物(PIBSA)またはそのアルカリ塩が挙げられるが、これに限定されない。
【0018】
本明細書中で有用なポリ(カルボン酸無水物)に対するオレフィンの相対的モル比は、約0.1/99.9(オレフィン/酸無水物)から約99.9/0.1(オレフィン/酸無水物)を含む範囲である。炭化水素変性カルボン酸および酸無水物またはそれらの塩は、本発明の1実施態様の処理剤中、任意の有効な量で存在することができる。炭化水素変性カルボン酸および無水物またはそれらの塩の好ましい量は、皮革または皮処理用水溶性または水溶性−アルコール性溶液中、約0.3〜約3.0重量%、より好ましくは約0.5〜約1.5重量%である。
【0019】
上記成分2は、中乃至長炭素鎖脂肪族および/またはオレフィン系酸アミドである。ここで、「中乃至長炭素鎖脂肪族および/またはオレフィン系酸アミド」とは、好ましくは、炭素鎖長がC10以上(例えば、C10〜C100)であることを意味する。分岐および線状炭素鎖の両者およびそれらの混合物がここでは有用であるが、実質的な量の線状脂肪族系酸アミドを有することが好ましい。より好ましい実施態様では、酸アミドは線状カルボン酸アミドであり、最も好ましい酸アミドは下記構造式で示されるサルコシン(HOOC−CH−N(CH)−CO−C1733)のオレイン酸アミドである。
【0020】
【化1】

【0021】
この好ましいアミノ酸アミドは、例えば、クロダ(Croda)Oとして、広く入手可能である(CAS# 110−25−8)か、またはn−メチルグリシンとオレイン酸との反応によって調製され得る。ここで、さらなる有用なアミノ酸アミドの例としては、アミノ酸アミドのアルキルエステル、アミノ酸アミドのアルキルエーテルおよび酸アミドのグリコールエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
上記成分3は、水酸化ナトリウム水溶液として有用な苛性ソーダである。苛性ソーダは、成分2の酸アミドのアルカリ塩を構成するアルカリイオンを提供するために、本発明において有効である。本発明の実施態様では、成分3として有用な苛性ソーダ溶液の濃度は、水中、固形分約10重量%〜固形分約90重量%の範囲に変化し得る。本発明の組成物に対する成分3として添加される苛性ソーダ溶液の好ましい濃度は、水中、約50重量%水酸化ナトリウムである。しかしながら、本発明の均等物は、実質的に同じ結果を成就するためにここに教示され、特許請求される組成物に対して、低または高濃度の苛性ソーダ溶液の多量または少量を添加して達成され得ることは、当業者には明白であり、これは本発明の範囲内に含まれる。
【0023】
上記成分4である脂肪アルコールは、分岐または線状の中乃至長炭素鎖アルキルアルコールまたはアルコール混合物およびこれらの混合物またはブレンドである。ここで、「中乃至長炭素鎖アルキルアルコール」とは、炭素鎖長がC12以上(例えば、C12〜C100)であることを意味する。好ましいアルキルアルコール混合物またはブレンドは、有効量の1種以上の線状アルキルアルコールを含む。より好ましい脂肪アルコールは、短鎖アルコールの蒸留からアルコール源として入手可能なものなど、線状C20アルコール、C22アルコール、またはそれ以上の炭素鎖アルコールである。最も好ましい線状アルキルアルコールはサソール(SaSol)から入手可能なアルフォル(Alfol)20+である。ある実施態様で有用な脂肪アルコールの他の例としては、エパール(Epal)20+、ドデカノールおよびエイコサノールおよびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。脂肪アルコールは、本発明の一実施態様である組成物では、とりわけ成分の混合中に生じるポテンシャルを最小とすることにおいて有用である。さらに、脂肪アルコールは本発明によって加工された皮革の防水特性を改良することが見出されている。最終的に、本発明の一実施態様における脂肪アルコールの使用は、本発明の組成物で加工された皮革の感触を改良することが見出されている。
【0024】
上記成分5は、本発明の組成物の種々の他の成分の分散性を必要に応じて変性および/または改良するために、共溶媒として有用である短炭素鎖線状および分岐アルコール、またはこのようなアルコールの混合物とすることができる。ここで、「短炭素鎖線状および分岐アルコール」とは、炭素鎖がC10以下であるものを意味する。もしも成分5が短炭素鎖アルコールの混合物であるなら、混合物中のアルコールのそれぞれは、炭素鎖長がC10以下(例えば、C〜C10)を有することが好ましい。すなわち、例えば、ブチルプロパノールがPAMA2428などの炭化水素置換カルボン酸無水物を分散させるために、および得られた溶液または乳化液の安定性を改良するためにも、本発明の一実施態様の組成物に対する共溶媒として添加されたが、これに限定されない。分散性および安定性を改良するためにたびたび使用される一般産業界の共溶媒は、ブチルセルソルブ(2−ブトキシエタノールとして公知である)である。しかしながら、この物質はその高度毒性を有し、EPAのSARA313リストに掲載されているから、望ましくない。本発明で有用なブチルプロパノールは公知毒性を示さず、目下、EPAのSARA313要件のもとに報告されず、また、ブチルセルソルブよりも本発明で実質的によりよく機能する。成分5として本発明で有用である特に好ましい短炭素鎖アルコールは、ドワノール(Dowanol)PnBなどのブチルプロパノールを含むが、これらに限定されない。他の好ましい実施態様では、成分5として本発明で有用である短炭素鎖線状および分岐アルコールは、ブチルプロパノールである。ここで、共溶媒として有用な短炭素鎖線状および分岐アルコールの他の例としては、プロピルプロパノール、ペンチルプロパノール、2−エチルヘキサノールおよびブチルエタノール、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本発明の成分6は、水性製品のために一般的に使用される保存剤である。このような物質は周知であり、商業的に入手可能であり、また防水処理剤の有機物質の劣化または酸化を阻止するのに有用である。本発明で成分6として特に有用である保存剤は、ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)から入手可能なブサン(Busan)1078として公知であるケイソン(Kathon)である。成分6として本発明で有用な他の市販保存剤は、ブサン(Busan)1104およびブサン(Busan)1024が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の実施態様で特に有用な保存剤は、例えば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物を含むイソチアゾリノンである。当業者に公知である他の保存剤は、本発明の範囲から逸脱することなく、ここに成分6として置換され得る。
【0026】
上記成分7は水であり、水における制限または特定要件は必要ではない。すなわち、残渣および/または一般的な不純物、および水のpHにおける標準変動は、本発明の実施では問題にはならない。
【0027】
本発明で使用され得る他の添加剤は、シリコーン、グリコールおよびスチレン−無水マレイン酸が挙げられる。特に、フルオロカーボン、シリコーン、疎水性シリカ、天然および合成ワックス、ならびに種々の油が、本発明の組成物に有利に添加され、本発明の範囲内に含まれる。
【0028】
本発明で有用な成分1〜7の量は、加工皮革物品に望まれる防水および/または撥水特性、感触および質感の量およびタイプ、ならびに加工パラメーターを変更する必要性および所望および処理手順のコストによって変化し得る。ここに記載される全ての量は、特に断りのないかぎり、重量%で示される。
【0029】
本発明の実施態様による組成物で有用な成分1〜7の有効量(重量%)(それぞれは組成物または処理剤の重量に対する)の範囲の例としては:
成分1:約1.0〜約99.0重量%、より好ましくは、約5〜約40重量%、最も好ましくは約18〜約22重量%。
成分2:約1.0〜約99.0重量%、より好ましくは、約2〜約20重量%、最も好ましくは約5〜約7重量%。
成分3:約1.0〜約99.0重量%、より好ましくは、約1.0〜約20重量%、最も好ましくは約4から約6重量%。
成分4:約1.0〜約99.0重量%、より好ましくは、約1.5〜約10重量%、最も好ましくは約2〜約6重量%。
成分5:約1.0〜約99.0重量%、より好ましくは、約1.0〜約60重量%、最も好ましくは約5〜約20重量%。
成分6:約0.0001〜約20.00重量%、より好ましくは、約0.002〜約2.00重量%、最も好ましくは約0.02〜約0.20重量%。
成分7:約1.0〜約99.0重量%、より好ましくは、約20〜約80重量%、最も好ましくは約40〜約60重量%である。
【0030】
すなわち、本発明の一実施態様では、
a)少なくとも約5.0重量%のポリ−α−オレフィン置換ポリ(無水マレイン酸);
b)少なくとも約3.0重量%のサルコシンのオレイン酸アミド;
c)少なくとも約3.0重量%の苛性ソーダ、例えば、水中固形分50%水酸化ナトリウムとして調製されたもの;
d)少なくとも約1.0重量%のC20〜C22脂肪アルコール混合物;
e)少なくとも約10.0重量%のブチルプロパノール;
f)少なくとも約0.05重量%の保存剤;および
g)少なくとも約20重量%の水;
(全ては組成物の重量に対する)を含む組成物が提供される。
【0031】
本発明の他の実施態様では、
a)約10〜約30重量%のポリ−α−オレフィン置換ポリ(無水マレイン酸);
b)約3〜約10重量%のサルコシンのオレイン酸アミド;
c)約3〜約10重量%の苛性ソーダ、水中固形分50重量%の水酸化ナトリウムとして調製されたもの;
d)約1〜約5重量%のC20〜C22脂肪アルコール混合物;
e)約10〜約20重量%のブチルプロパノール;
f)約0.05〜約1.50重量%の保存剤;および
g)約20〜約80重量%の水
を含む組成物が提供される。
【0032】
本発明のより好ましい実施態様の例としては、
重量%
成分1=炭化水素置換無水マレイン酸 20.0
成分2=オレオイルサルコシン 5.90
成分3=苛性ソーダ 4.80
成分4=脂肪アルコール混合物 2.70
成分5=短鎖アルコール共溶媒 14.00
成分6=保存剤 0.10
成分7=水 52.50
を含む処理剤が挙げられる。
【0033】
本発明における好ましい処理剤は、約0.1重量%〜約100重量%の範囲の固体濃度を有することができる。本発明のより好ましい実施態様では、反応性の有る固体は組成物の約20〜約50重量%、より好ましくは組成物の約25〜約45重量%、最も好ましくは組成物の約30〜約40重量%である。
【0034】
本発明の処理剤は、好ましくは安定な水中油乳化液であるが、しかしながら、本発明の処理剤の油中水乳化液もまた、当業者に公知である乳化剤の使用によって達成され、油中水および水中油乳化液の両者が本発明の範囲内に含まれる。乳化液に加えて、水性分散液および水溶液もまた、本発明の範囲内の組成物に含まれる。
【0035】
したがって、本発明の皮革処理剤は、低毒性の共溶媒の添加によって、主に水性である。ここで組成物に有用な水の割合は、組成物の約40〜約80重量%、より好ましくは組成物の約45〜約75重量%、最も好ましくは組成物の約50〜約65重量%である。
【0036】
本発明の組成物は、皮革製造の処理、なめし加工、再なめし加工および後処理工程中、様々な回数、皮革に適用され得る。一般的には、皮革処理はドラム、バット、または他の容器中に皮を置き、なめし加工剤を添加して、例えば、クロムで皮をなめし加工することを含む。このなめし加工工程の結果は、もはや皮と呼ばれない中間的産物であり、ウェットブルー状態の皮革と呼ばれる。ウェットブルーである皮革は、急速な酸化または他の劣化に対して比較的安定であり、酸化により分解する生皮と違って貯蔵および輸送することができる。ウェットブルー状態の後、皮革は所望の色、感触、柔軟性、油、質感および/または物理的押印を加えるために、再なめし加工される。本発明の組成物が好ましく使用されるのは、再なめし加工操作中である。しかしながら、ウェットブルー、植物なめし加工皮革、無機物フリー皮革、ウェットホワイト皮革および他のものを含むいかなるタイプの皮革の加工も本発明の実施態様の範囲内に含まれるが、これらに限定されない。種々の後加工もまた、加工皮革物品の調製に使用され、後処理の例としては、クロム、アルミニウムまたは亜鉛イオンに皮革をさらすことを含む。金属イオンへのこのような露呈は、有効な結合と化学的に反応して皮革の柔軟性を大きく改良し、それによって同じ結合部位への水分子の誘因を阻止する。しかしながら、後処理に使用されるクロムなどの柔軟性向上金属は、所望しない薄い感触を皮革に与え、それによって皮革に充実感を加えるために別な物質を必要とする。
【0037】
皮革は、加工品として商業的に使用可能であるためには多くのテストをパスすることが要求される。実施される特別なテストおよび必要な結果は、加工皮革の最終用途によって変化する。すなわち、色は時には浸透よりも重要であり、また、ある最終用途では逆である。靴用皮革は例えば、コート用またはグローブ用皮革よりも堅くなければならない。本発明の組成物で処理された皮革を評価するには、数種のテストを使用した。これらは以下のものである。
ASTM試験法 D2211−00 皮革の伸度標準試験法
ASTM試験法 D2209−00 皮革の引張り強度標準試験法
ASTM試験法 D2099−00 メーサー透水試験機(Maeser Water Penetration Tester)による靴上部皮革のダイナミック水抵抗性標準試験法
【0038】
ここで報告される試験結果では、全ての組成物は特に断りのない限り、活性成分に対して4.5重量%の量にて皮革に適用された。
【実施例】
【0039】
実施例1
本発明の組成物の調製(組成物1)
本発明の一実施態様による組成物は、85℃に加熱した水中にKW115中間体240gを分散させて調製した。水酸化ナトリウム57.6gを添加して、無水物を対応するナトリウム塩に変換した。オレオイルサルコシン70.8gを添加し、既に存在している水酸化ナトリウムによって、その対応するナトリウム塩に変換した。続いて、脂肪アルコール、アルフォル(Alfol)20+を32.4g添加し、保存剤であるブサン(Busan)1078を1.2g攪拌しながら添加した。最後に、ブチルプロパノール168gを添加し、溶媒および分散剤の両者として作用させた。全ての添加は攪拌しながら行ない、組成物は放置して室温まで冷却した。得られた皮革処理組成物(ここでは組成物1と呼ぶ)は、撥水性、屈曲数、強度、伸度、質感および触感を求める皮革処理において有効であった。この実施例1に記載される添加順序は、本発明の組成物および処理皮革を生産するには、有用であり、かつ、有効であるが、組成物の添加、混合または合体の順序および速度は、本発明の臨界的要件ではなく、当業者は公知である商業的および産業的な実施の範囲内で順序および速度を調整することができる。本発明の一実施態様による組成物の例は、下記概算的重量%を有する:
成分1=KW115中間体 20.0重量%
成分2=オレオイルサルコシン 5.90重量%
成分3=苛性ソーダ 4.80重量%
成分4=アルフォル(Alfol)20+ 2.70重量%
成分5=ブチルプロパノール共溶媒 14.00重量%
成分6=ブサン(Busan)1078 0.10重量%
成分7=水 52.50重量%
【0040】
実施例2
本発明による皮革処理
実施例1の皮革処理組成物を使用して、以下のようにして皮革を処理した:ウェットブルー状態の皮革をドラム混合機に積み込み、実施例1の方法で調製した組成物を活性物に対して4.5重量%添加した。皮革および処理組成物を1.5時間、45℃で攪拌し、続いて10時間、40℃で皮革を乾燥した。比較のために、皮革を市販の皮革処理物質、ロイコタン(Leukotan)NS3で処理し、ある種の処理パラメーターを表1に示す。皮革の厚さは、2.0〜2.2mmであり、ウェットブルーの初期pHは3.2〜3.4であった。
【0041】
【表1】

【0042】
実施例3 本発明による皮革処理試験
実施例2の手法により処理された皮革は、引張り強度(ASTM D2209−00、試験10回の平均)、伸び強度(ASTM D2211−00、10回試験の平均)、およびメーサーフレックス(Maeser Flex)(ASTM D22099−00、3つの試料の平均)で試験し、従来の皮革処理物質、ロイコタン(Leukotan)NS3で処理した皮革と比較し、表2に示した。
【0043】
【表2】

【0044】
他の実施例では、異なった処理パラメーターを以下のように使用し、試験結果を表3に示す。皮革の厚さは、2.0〜2.2mmであり、ウェットブルーの初期pHは3.3〜3.54であった。
【0045】
ロイコタン(Leukotan)NS3 組成物1
ウェットブルー重量(kg) 5.28 5.41
中性化のpH 4.70 4.7
用量(重量%) 12 13.3
最終pH 3.82 3.85
【0046】
【表3】

【0047】
組成物1で処理された皮革は、従来の処理物質で処理された皮革より堅く、かつ、より丸みをもっていた。組成物1で処理された皮革の質感は、従来の皮革処理物質で処理された皮革の質感に等しかった。本発明の組成物1はまた、従来の皮革処理組成物で処理したよりも良い浸透性を示した。
【0048】
他の実施例では、以下のように異なった処理パラメーターを使用し、その試験結果を表4に示す。皮革の厚さは1.2〜1.4mmであり、ウェットブルーの初期pHは3.0〜3.2であった。
【0049】
ロイコタン(Leukotan)NS3 組成物1
ウェットブルー(kg) 3.22 3.12
中性化のpH 4.75 4.87
用量(重量%) 12 13.3
最終pH 3.85 3.73
【0050】
【表4】

【0051】
組成物1で処理された皮革は、従来の皮革処理物質で処理された皮革よりも堅く、かつ、丸みをもっていた。組成物1で処理された皮革の質感は、従来の皮革処理物質で処理された皮革の質感に等しかった。引抜き(draw)と皺は、試料間では均等であった。切れ目(break)はより引き締まっていて、色は従来のように処理された皮革よりも本発明の組成物で処理された皮革ではわずかに明るかったが、組成物1はより良い浸透性を示した。
【0052】
組成物2を評価するには、以下のようにして異なった処理パラメーターを使用し、その試験結果を表5に示す。組成物2は合成なめし剤、ブタン(Butan)7802を2.0重量%添加することを除いて、組成物1と同じであった。皮革の厚みは1.8〜2.0mmであり、ウェットブルーの初期pHは3.0〜3.3であった。
【0053】
組成物2
ウェットブルー重量(kg) 5.45
中性化のpH 5.57
用量(重量%) 8
最終pH 3.81
【0054】
【表5】

【0055】
組成物2で処理された皮革は堅く、かつ、丸みをもっていた。組成物2で処理された皮革の質感は良好であり、組成物1で処理された皮革に比べて、側面領域(空部において)が改良されていた。組成物1で処理された皮革におけるメーサーフレックス(Maeser Flex)(234,562)に対する組成物2で処理された皮革におけるメーサーフレックス(Maeser Flex)(11,970)の減少は、2つの要因:組成物2で処理された皮革では防水剤の用量が多いこと(8%)および合成なめし剤の添加による。この実施例は、合成なめし剤が吸湿性であり、これによって水を吸収する傾向にあることから、屈曲数および防水効果における、合成なめし剤添加の消極的効果を示す。しかしながら、屈曲数効果はある種の皮革または皮製品では完全に許容されるであろう。さらに、組成物2の処理剤は、従来の皮革処理剤の潜在的に有害な影響に比べて、環境上の望ましい利点を有する。
【0056】
組成物3を評価するには、以下のように異なった処理パラメーターを使用し、その試験結果を表6に示す。組成物3は有機充填合成なめし剤、ブタン(Butan)7805を2.0重量%を添加することを除いて、組成物1と同じであった。皮革の厚さは2.0〜2.2mmであり、ウェットブルーの初期pHは3.3〜3.4であった。
【0057】
組成物3
ウェットブルー重量(kg) 5.88
中性化のpH 4.71
用量(重量%) 8
最終pH 3.84
【0058】
【表6】

【0059】
組成物3で処理された皮革は堅く、かつ、丸みを有していた。組成物3で処理された皮革の質感は良好であり、組成物1で処理された皮革に対して、側面領域(空部において)が改良されていた。組成物1で処理された皮革におけるメーサーフレックス(Maeser Flex)(234,562)に対する組成物3で処理された皮革におけるメーサーフレックス(Maeser Flex)(234,562)の減少は、2つの要因:組成物3で処理された皮革では防水剤の用量が多いこと(8%)および合成なめし剤の添加による。しかしながら、屈曲性効果はある種の皮革および皮製品では完全に許容されるであろう。さらに、組成物3の処理剤は、従来の皮革処理剤の潜在的に有害な影響に比べて、環境上の望ましい利点を有する。
【0060】
組成物4を評価するには、以下のように異なった処理パラメーターを使用し、その試験結果を表7に示す。組成物4はピラー・リバー・プレート・コーポレーション(Pilar River Plate Corporation)のスプレイ・ドライド・ワットル・エクストラクト(Spray Dried Wattle Extract)として市販される植物抽出物、ワットルを1.0重量%添加することを除いて、組成物1と同じであった。皮革の厚さは、2.0〜2.2mmであり、ウェットブルーの初期pHは3.4〜3.5であった。
【0061】
組成物4
ウェットブルー重量(kg) 9.07
中性化のpH 4.91
用量(重量%) 12
最終pH 3.81
【0062】
【表7】

【0063】
組成物4で処理された皮革は堅く、かつ、丸みを有していた。組成物4で処理された皮革の質感は良好であり、組成物1で処理された皮革に対して、側面領域(空部において)が改良されていた。組成物1で処理された皮革におけるメーサーフレックス(Maeser Flex)(234,562)に対する組成物4で処理された皮革におけるメーサーフレックス(Maeser Flex)(24,852)の減少は、少量であっても皮革の防水効果に影響するワットルの添加による。組成物4で処理された皮革は非常に軟らかく、絹様感触を有していた。しかしながら、屈曲性効果はある種の皮革および皮製品では完全に許容されるであろう。さらに、組成物4の処理剤は、従来の皮革処理剤の潜在的に有害な影響に比べて、環境上の望ましい利点を有する。
【0064】
組成物5を評価するには、以下のように異なった処理パラメーターを使用し、その試験結果を表8に示す。組成物5は有機充填合成なめし剤、ブタン(Butan)7805を1.0重量%添加することを除いて、組成物1と同じであった。皮革の厚さは、2.4〜2.6mmであり、ウェットブルーの初期pHは3.3〜3.4であった。
【0065】
組成物5
ウェットブルー重量(kg) 6.00
中性化のpH 5.12
用量(重量%) 10
最終pH 3.67
【0066】
【表8】

【0067】
組成物5で処理された皮革は堅く、かつ、丸みを有し、組成物5で処理された皮革の質感は良好であった。この試料はクロム・キャッピングで後処理されなかった皮革(12,360フレックス(flex))に比べて、クロム・キャッピング後処理工程で得られた屈曲数における改良(60,705フレックス(flex))を示す。
【0068】
本発明のある実施態様の別な例が、下記のさらなる単一成分組成物において示される。これらの組成物のいずれもオレオイルサルコシン、アルフォル(Alfol)20+、保存剤またはブチルプロパノールを含まない。
【0069】
組成物6=C18α−オレフィン−マレイン酸コポリマーのナトリウム塩(Na−Pama18)の30%水溶液
組成物7=C24−C28α−オレフィン−マレイン酸コポリマーのナトリウム塩(Na−Pama2428)の30%水溶液
組成物8=C14α−オレフィン−マレイン酸コポリマーのナトリウム塩(Na−Pama14)の30%水溶液
組成物9=スチレン−マレイン酸(22%スチレン、110,000原子質量単位(amu))のカリウム塩の20%水溶液、
組成物10=スチレン−マレイン酸(28%スチレン、110,000原子質量単位(amu))のカリウム塩の20%水溶液、
組成物11=スチレン−マレイン酸(32%スチレン、110,000原子質量単位(amu))のカリウム塩の20%水溶液。
【0070】
表9
メーサーフレックス(Maeser Flexes)
組成物6 41,915
組成物7 146,246
組成物8 31,910
クロダシニック(Crodasinic)O 488
ルブリタン(Lubritan)WP 157,229
ゾニール(Zonyl)9027 32,961
スコッチガード(Scotch Gard) 3,144
【0071】
表9の従来の防水材料は、クロダシニック(Crodasinic)O(オレオイルサルコシン);ルブリタン(Lubritan)WP;ゾニール(Zonyl)9027(デュポン(duPont)、ウィルミントン・ディーイー(Wilmington DE)のアミノシリコーン;およびスコッチガード(ScotchGard)(3M、セントポール・エムエヌ(St. Paul, MN)のフルオロカーボン防水処理剤)を含む。表9の結果は、本発明の単一成分組成物が一般的な防水材料と概して等しいメーサーフレックス(Maeser flex)試験性能を示した。ある用途では、本発明の単一成分実施態様の試験結果のいくつかは最適ではないが、従来の皮革処理溶液の影響に比べて、特に、これらの処理剤の環境上の影響が改良されたことからみて、許容され得る。すなわち、本発明は他の実施態様では、いくつかの単一成分皮革処理剤を提供するが、脂肪族系酸アミドが添加される場合、二成分皮革処理剤を提供する。
【0072】
表10は2つの市販される水溶性防水処理剤、エブコ(Evco)PWRH(再生/変性ポリエチレンの25%水溶液)、およびデュポン(Du Pont)TLF(デュポン(du Pont)、ウィルミントン・ディーイー(Wilmington, DE)のシリコーン防水処理剤)と組成物9、10および11を比較した異なった屈曲数試験結果を示す。
【0073】
表10
メーサーフレックス(Maeser Flex)
組成物9 370
組成物10 275
組成物11 901
エブコ(Evco)RWPH 465
デュポン(DuPont)TLF 1649
【0074】
表10の結果は、本発明の組成物が従来の防水処理剤の屈曲性能に匹敵する屈曲性能を示すことを明らかにする。
【0075】
本発明の他の実施態様は、本明細書の検討およびここに開示される本発明の実施から当業者には明らかになるであろう。本明細書および実施例は、特許請求の範囲によって示される本発明の真の範囲および意図ならびにそれらの均等を示す単なる例であることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分を含む組成物。
a)少なくとも1種の炭化水素置換カルボン酸無水物またはそれらのアルカリ塩;
b)少なくとも1種の脂肪族系酸アミド;
c)苛性ソーダ;
d)少なくとも1種のC12またはそれ以上の脂肪アルコール;
e)少なくとも1種のC10またはそれ以下のアルコール共溶媒;
f)少なくとも1種の保存剤;および
g)水
【請求項2】
カルボン酸無水物またはその塩の炭化水素置換体は、α−オレフィンを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
カルボン酸無水物またはその塩の炭化水素置換体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、1−オクテンのオリゴマー、1−デセンのオリゴマー、1−ドデセンのオリゴマー、これらのコモノマー、これらのコポリマー、またはこれらの混合物から選択される置換基を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
脂肪族系酸アミドはC10またはそれ以上の脂肪族炭素鎖長を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
脂肪族系酸アミドはオレオイルサルコシンを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
脂肪族系酸アミドはサルコシンのオレイン酸アミドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
脂肪族系酸アミドは線状カルボン酸アミドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
苛性ソーダは水中固形分約10〜90重量%である、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
苛性ソーダは水中固形分約50重量%である、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
脂肪アルコールはC12またはそれ以上のアルキル炭素鎖を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
脂肪アルコールはC20、C22またはC24の実質的に線状である脂肪アルコールの混合物を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
脂肪アルコールはC20アルコールを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
脂肪アルコールはC12またはそれ以上の炭素鎖を有する少なくとも1種のアルキルアルコールからなる、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
脂肪アルコールはC20、C22およびC24の実質的に線状である脂肪アルコールを含む混合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
アルコール共溶媒はC10またはそれ以下の鎖長を有するアルコールを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項16】
アルコール共溶媒はブチルプロパノールを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項17】
アルコール共溶媒はブチルプロパノールである、請求項1記載の組成物。
【請求項18】
アルコール共溶媒はブチルエタノールである、請求項1記載の組成物。
【請求項19】
アルコール共溶媒は、アルコールの混合物を含み、各アルコールはC10またはそれ以下の鎖長を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項20】
アルコール共溶媒はペンチルプロパノールを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項21】
アルコール共溶媒はプロピルプロパノールを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項22】
アルコール共溶媒は2−エチルヘキサノールを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項23】
保存剤はイソチアゾリノンである、請求項1記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物は、組成物重量に対して、
a.約10〜約30重量%のポリ−α−オレフィン置換ポリ(無水マレイン酸);
b.約3〜約10重量%のサルコシンのオレイン酸アミド;
c.水中固形分が50%である、約3〜約10重量%の苛性ソーダ、;
d.約1〜約5重量%のC20〜C22脂肪アルコールの混合物;
e.約10〜約20重量%のブチルプロパノール;
f.約0.05〜約1.50重量%の保存剤;および
g.約20〜約80重量%の水
を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項25】
前記ポリ−α−オレフィン置換ポリ(無水マレイン酸)は約20重量%存在し;
前記サルコシンのオレイン酸アミドは約5.9重量%存在し;
前記苛性ソーダは約4.8重量%存在し;
前記C20〜C22脂肪アルコールの混合物は約2.7重量%存在し;
前記ブチルプロパノールは約14.0重量%存在し;
前記保存剤は約0.10重量%存在し;そして、
前記水は約52.50重量%存在する、請求項24記載の組成物。
【請求項26】
皮革へ撥水性を付与する方法であって、請求項1記載の組成物で前記皮革を処理して、皮革に前記撥水性を付与することを含む方法。
【請求項27】
皮革が皮革処理のウェットブルー段階にある間に、請求項1記載の組成物に皮革を接触させる、請求項26記載の方法。
【請求項28】
炭化水素置換カルボン酸無水物またはそのアルカリ塩は、ポリ−α−オレフィン置換ポリ(無水マレイン酸)のアルカリ塩またはスチレン−マレイン酸コポリマーのアルカリ塩であり、かつ、脂肪族系酸アミドはサルコシンのオレイン酸アミドである、請求項26記載の方法。
【請求項29】
請求項1記載の組成物で処理された皮を含む処理皮。
【請求項30】
請求項1記載の組成物で処理された皮革を含む処理皮革。
【請求項31】
組成物全重量に対して、
少なくとも約10重量%のポリ−α−オレフィン置換ポリ(無水マレイン酸);
少なくとも約3重量%のサルコシンのオレイン酸アミド;
少なくとも約3重量%の苛性ソーダ、水中固形分50%水酸化ナトリウムとして調整されたもの;
少なくとも約1重量%のC20〜C22脂肪アルコールの混合物;
少なくとも約10重量%のブチルプロパノール;
少なくとも約0.05重量%の保存剤;および
少なくとも約20重量%の水
を含む革処理組成物。
【請求項32】
少なくとも約10重量%のポリ−α−オレフィン置換ポリ(無水マレイン酸)のナトリウム塩;
少なくとも約3重量%のサルコシンのオレイン酸アミド;
少なくとも約1重量%のC20〜C22の脂肪アルコールの混合物;
少なくとも約10重量%のブチルプロパノール;
少なくとも約0.05重量%の保存剤;および
少なくとも約20重量%の水
を含む組成物。
【請求項33】
少なくとも約10重量%のポリ−α−オレフィン置換ポリ(無水マレイン酸)のカリウム塩;
少なくとも約3重量%のサルコシンのオレイン酸アミド;
少なくとも約1重量%のC20〜C22の脂肪アルコールの混合物;
少なくとも約10重量%のブチルプロパノール;
少なくとも約0.05重量%の保存剤;および
少なくとも約20重量%の水
を含む組成物。
【請求項34】
少なくとも1種の炭化水素置換カルボン酸無水物またはそのアルカリ塩を含む皮革処理組成物。
【請求項35】
さらに、少なくとも1種の脂肪族系酸アミドまたはそのアルカリ塩を含む、請求項34記載の皮革処理組成物。
【請求項36】
アルカリ塩のアルカリは、ナトリウムまたはカリウムである、請求項34記載の組成物。
【請求項37】
α−オレフィン置換−マレイン酸コポリマーのアルカリ塩またはスチレン−マレイン酸コポリマーのアルカリ塩水溶液を含む皮革処理組成物。
【請求項38】
さらに、少なくとも1種の脂肪族系酸アミドまたはそのアルカリ塩を含む、請求項37記載の皮革処理組成物。
【請求項39】
アルカリ塩のアルカリはナトリウムまたはカリウムである、請求項37記載の組成物。
【請求項40】
請求項34記載の組成物で処理された皮革または皮。
【請求項41】
請求項35記載の組成物で処理された皮革または皮。
【請求項42】
請求項36記載の組成物で処理された皮革または皮。
【請求項43】
請求項37記載の組成物で処理された皮革または皮。
【請求項44】
請求項38記載の組成物で処理された皮革または皮。
【請求項45】
請求項39記載の組成物で処理された皮革または皮。
【請求項46】
a)α−オレフィン置換マレイン酸コポリマーのアルカリ塩またはスチレン−マレイン酸コポリマーのアルカリ塩、およびb)サルコシンのオレイン酸アミド水溶液を含む皮革処理組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分を含む組成物。
a)少なくとも1種の炭化水素置換カルボン酸無水物またはそれらのアルカリ塩;
b)少なくとも1種の脂肪族系酸アミド;
c)苛性ソーダ;
d)少なくとも1種のC12またはそれ以上の脂肪アルコール;
e)少なくとも1種のC10またはそれ以下のアルコール共溶媒;
f)少なくとも1種の保存剤;および
g)水
【請求項2】
カルボン酸無水物またはその塩の炭化水素置換体が以下のいずれかである請求項1記載の組成物;
1)α−オレフィンを含む、
2)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、1−オクテンのオリゴマー、1−デセンのオリゴマー、1−ドデセンのオリゴマー、これらのコモノマー、これらのコポリマー、またはこれらの混合物から選択される。
【請求項3】
脂肪族系酸アミドが以下のいずれか一である請求項1記載の組成物;
1)C10またはそれ以上の脂肪族炭素鎖長を有する、
2)オレオイルサルコシンを含む、
3)サルコシンのオレイン酸アミドを含む、
4)線状カルボン酸アミドを含む。
【請求項4】
苛性ソーダが以下のいずれかである請求項1記載の組成物;
1)水中固形分約10〜90重量%である、
2)水中固形分約50重量%である。
【請求項5】
脂肪アルコールが以下のいずれか一である請求項1記載の組成物;
1)C12またはそれ以上のアルキル炭素鎖を含む、。
2)C20、C22またはC24の実質的に線状である脂肪アルコールの混合物を含む、
3)C20アルコールを含む、請求項1記載の組成物。
4)C12またはそれ以上の炭素鎖を有する少なくとも1種のアルキルアルコールからなる、
5)C20、C22およびC24の実質的に線状である脂肪アルコールを含む混合物である。
【請求項6】
アルコール共溶媒が以下のいずれか一である請求項1記載の組成物;
1)C10またはそれ以下の鎖長を有するアルコールを含む、
2)ブチルプロパノールを含む、
3)ブチルプロパノールである、
4)ブチルエタノールである、
5)アルコールの混合物を含み、各アルコールはC10またはそれ以下の鎖長を有する、
6)ペンチルプロパノールを含む、
7)プロピルプロパノールを含む、
8)2−エチルヘキサノールを含む。
【請求項7】
保存剤はイソチアゾリノンである、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物は、組成物重量に対して、
a.約10〜約30重量%のポリ−α−オレフィン置換ポリ(無水マレイン酸);
b.約3〜約10重量%のサルコシンのオレイン酸アミド;
c.水中固形分が50%である、約3〜約10重量%の苛性ソーダ、;
d.約1〜約5重量%のC20〜C22脂肪アルコールの混合物;
e.約10〜約20重量%のブチルプロパノール;
f.約0.05〜約1.50重量%の保存剤;および
g.約20〜約80重量%の水
を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリ−α−オレフィン置換ポリ(無水マレイン酸)は約20重量%存在し;
前記サルコシンのオレイン酸アミドは約5.9重量%存在し;
前記苛性ソーダは約4.8重量%存在し;
前記C20〜C22脂肪アルコールの混合物は約2.7重量%存在し;
前記ブチルプロパノールは約14.0重量%存在し;
前記保存剤は約0.10重量%存在し;そして、
前記水は約52.50重量%存在する、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
皮革へ撥水性を付与する方法であって、請求項1記載の組成物で前記皮革を処理して、皮革に前記撥水性を付与することを含む方法。
【請求項11】
皮革が皮革処理のウェットブルー段階にある間に、請求項1記載の組成物に皮革を接触させる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
炭化水素置換カルボン酸無水物またはそのアルカリ塩は、ポリ−α−オレフィン置換ポリ(無水マレイン酸)のアルカリ塩またはスチレン−マレイン酸コポリマーのアルカリ塩であり、かつ、脂肪族系酸アミドはサルコシンのオレイン酸アミドである、請求項10記載の方法。
【請求項13】
請求項1記載の組成物で処理された皮を含む処理皮。
【請求項14】
請求項1記載の組成物で処理された皮革を含む処理皮革。
【請求項15】
組成物全重量に対して、
少なくとも約10重量%のポリ−α−オレフィン置換ポリ(無水マレイン酸);
少なくとも約3重量%のサルコシンのオレイン酸アミド;
少なくとも約3重量%の苛性ソーダ、水中固形分50%水酸化ナトリウムとして調整されたもの;
少なくとも約1重量%のC20〜C22脂肪アルコールの混合物;
少なくとも約10重量%のブチルプロパノール;
少なくとも約0.05重量%の保存剤;および
少なくとも約20重量%の水
を含む革処理組成物。
【請求項16】
少なくとも約10重量%のポリ−α−オレフィン置換ポリ(無水マレイン酸)のナトリウム塩;
少なくとも約3重量%のサルコシンのオレイン酸アミド;
少なくとも約1重量%のC20〜C22の脂肪アルコールの混合物;
少なくとも約10重量%のブチルプロパノール;
少なくとも約0.05重量%の保存剤;および
少なくとも約20重量%の水
を含む組成物。
【請求項17】
少なくとも約10重量%のポリ−α−オレフィン置換ポリ(無水マレイン酸)のカリウム塩;
少なくとも約3重量%のサルコシンのオレイン酸アミド;
少なくとも約1重量%のC20〜C22の脂肪アルコールの混合物;
少なくとも約10重量%のブチルプロパノール;
少なくとも約0.05重量%の保存剤;および
少なくとも約20重量%の水
を含む組成物。
【請求項18】
少なくとも1種の炭化水素置換カルボン酸無水物またはそのアルカリ塩を含む皮革処理組成物。
【請求項19】
α−オレフィン置換−マレイン酸コポリマーのアルカリ塩またはスチレン−マレイン酸コポリマーのアルカリ塩水溶液を含む皮革処理組成物。
【請求項20】
さらに、少なくとも1種の脂肪族系酸アミドまたはそのアルカリ塩を含む、請求項18または19記載の皮革処理組成物。
【請求項21】
アルカリ塩のアルカリは、ナトリウムまたはカリウムである、請求項18または19記載の皮革処理組成物。
【請求項22】
請求項18〜21のいずれか1項記載の組成物で処理された皮革または皮。
【請求項23】
a)α−オレフィン置換マレイン酸コポリマーのアルカリ塩またはスチレン−マレイン酸コポリマーのアルカリ塩、およびb)サルコシンのオレイン酸アミド水溶液を含む皮革処理組成物。

【公表番号】特表2006−501314(P2006−501314A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−545853(P2003−545853)
【出願日】平成14年10月10日(2002.10.10)
【国際出願番号】PCT/US2002/032495
【国際公開番号】WO2003/044233
【国際公開日】平成15年5月30日(2003.5.30)
【出願人】(590003238)バックマン・ラボラトリーズ・インターナショナル・インコーポレーテッド (18)
【氏名又は名称原語表記】BUCKMAN LABORATORIES INTERNATIONAL INCORPORATED
【Fターム(参考)】