説明

盗難車追跡方法

【目的】 盗難防止装置を装備しているにもかかわらず盗難にあってしまった車両に関し、その位置、挙動等を追跡可能にする。
【構成】 各車両Vに搭載したGPS受信機により当該車両Vの位置を測定する。各車両Vには予め所定の管理エリアAを設定しておく。GPS受信機により測定された車両Vの位置が管理エリアAを脱した場合、車両Vに搭載されている無線機から車両Vの位置を示す緊急通報を無線送信する。車両管理局Mにおいてこの緊急通報を受信しこの車両Vの移動軌跡を追跡する。車両Vが管理エリアAを脱した場合には車両Vが盗難にあったと見なすことができるため、盗難された車両の挙動を車両管理局Mにて追跡できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、盗難に遭った車両を追跡する盗難車追跡方法に関する。
【0002】
【従来の技術】欧米等においては、高級車、工作車等の高価格車が多く盗難に遭っている。そのため従来から各種盗難防止装置が開発されている。その代表的なものとしては、ドア、トランク、エンジンフード等が開けられたことを各種センサにより検出し、音響その他の手段により警報を発する装置がある。その他には、何者かが不正に車両に侵入した場合にエンジンの点火やスタータの起動を阻止する装置がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらはいずれも車両の盗難防止には役立つものの、いったん盗難に遭ってしまった後の対策には役立たない。すなわち、盗難防止装置になんらかの細工がされたり、あるいは車両所有者・管理者の不注意乃至不手際により窃盗犯の侵入を許した結果、車両が盗難された後は、その車両がどこにいったのかやどの様に処分されたのかを、知ることはできない。
【0004】本発明は、このような問題点を解決することを課題としてなされたものであり、盗難防止装置を装備しているにもかかわらず巧妙かつ専門的な手口により盗難に遭った車両に関し、当該車両の挙動を盗難後も追跡する手段を提供することにより、盗難に遭った車両を迅速かつ早期に発見することを可能にし、さらには盗難の発生防止に寄与することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するために、本発明に係る第1の盗難車追跡方法は、車両の位置を検出するステップと、検出した車両の位置が管理エリアを脱したか否かを判定するステップと、管理エリアを脱した場合に上記車両が盗難に遭ったと見なし、当該車両の位置又は挙動を車両外部にて追跡するステップと、を有することを特徴とする。
【0006】本発明に係る第2の盗難車追跡方法は、車載装置にて車両の位置を検出するステップと、検出した車両の位置が管理エリアを脱したか否かを車載装置にて判定するステップと、判定結果を車載装置から車両外部に無線通報するステップと、管理エリアを脱したと判定された場合に上記車両が盗難に遭ったと見なし、当該車両の位置又は挙動を車両外部の車両管理局にて追跡するステップと、を有することを特徴とする。
【0007】本発明に係る第3の盗難車追跡方法は、車両管理局において管理エリアを設定するステップと、設定した管理エリアを車両管理局から車載装置に無線通信により通報するステップと、車載装置が管理エリアを不揮発性記憶するステップと、車載装置にて車両の位置を検出するステップと、検出した車両の位置が管理エリアを脱したか否かを車載装置にて判定するステップと、判定結果を車載装置から車両外部に無線通報するステップと、管理エリアを脱したと判定された場合に上記車両が盗難に遭ったと見なし、当該車両の位置又は挙動を車両外部の車両管理局にて追跡するステップと、を有することを特徴とする。
【0008】本発明に係る第4の盗難車追跡方法は、車載装置にて車両の位置をGPS(Global Positioning System 。但し、GLONASS:Global Orbiting Navigation Satellite System 等同様の原理により測位を行うシステムを含む。以下同じ)を利用して検出するステップと、検出した車両の位置が管理エリアを脱したか否かを車載装置にて判定するステップと、判定結果を車載装置から車両外部にセルラー電話システム又はVHF無線システムを利用して無線通報するステップと、管理エリアを脱したと判定された場合に上記車両が盗難に遭ったと見なし、当該車両の位置又は挙動を車両外部の車両管理局にて追跡するステップと、を有することを特徴とする。
【0009】本発明に係る第5の盗難車追跡方法は、車載装置にて車両の位置を検出するステップと、その結果を車載装置から車両外部に無線通報するステップと、検出した車両の位置が管理エリアを脱したか否かを車両外部の車両管理局にて判定するステップと、管理エリアを脱した場合に上記車両が盗難に遭ったと見なし、当該車両の位置又は挙動を車両管理局にて追跡するステップと、を有することを特徴とする。
【0010】本発明に係る第6の盗難車追跡方法は、車両外部の車両管理局にて管理エリアを設定するステップと、車載装置にて車両の位置を検出するステップと、その結果を車載装置から車両外部に無線通報するステップと、検出した車両の位置が管理エリアを脱したか否かを車両管理局にて判定するステップと、管理エリアを脱した場合に上記車両が盗難に遭ったと見なし、当該車両の位置又は挙動を車両管理局にて追跡するステップと、を有することを特徴とする。
【0011】本発明に係る第7の盗難車追跡方法は、車載装置にて車両の位置をGPSを利用して検出するステップと、その結果を車載装置から車両外部にセルラー電話システム又はVHF無線システムを利用して無線通報するステップと、検出した車両の位置が管理エリアを脱したか否かを車両外部の車両管理局にて判定するステップと、管理エリアを脱した場合に上記車両が盗難に遭ったと見なし、当該車両の位置又は挙動を車両管理局にて追跡するステップと、を有することを特徴とする。
【0012】本発明に係る第8の盗難車追跡方法は、車両の位置を検出するステップと、検出した車両の位置が管理エリアを脱したか否かを判定するステップと、管理エリアを脱した場合に上記車両が盗難に遭ったと見なし、当該車両の位置又は挙動を車両外部にて地図表示により可視的に追跡するステップと、を有することを特徴とする。
【0013】本発明に係る第9の盗難車追跡方法は、車両の駆動機関の始動に応じて車両の位置を検出するステップと、検出した車両の位置が管理エリアを脱したか否かを判定するステップと、管理エリアを脱した場合に上記車両が盗難に遭ったと見なし、当該車両の位置又は挙動を車両外部にて追跡するステップと、を有することを特徴とする。
【0014】
【作用】本発明に係る第1の盗難車追跡方法においては、まず車両の位置が検出され、次に、検出した車両の位置が管理エリアを脱したか否かが判定される。管理エリアを脱したと判定された場合には、車両が盗難に遭ったと見なされ、当該車両の位置又は挙動が車両外部にて追跡される。従って、盗難防止装置を搭載しているにもかかわらず車両が盗難に遭った場合においても、その後の車両の位置や挙動を車両外部にて知ることができるから、巧妙かつ専門的な手口による盗難に対処可能となり、盗難車を迅速かつ早期に発見でき、ひいては盗難の発生防止に寄与できる。
【0015】上述した盗難車追跡方法は、車両に車載装置を搭載すると共に車両外部に車両管理局を配設することにより実現できる。その際、上述したエリア判定のステップは、車載装置側にて行うようにしてもよいし、車両管理局側にて行うようにしてもよい。本発明に係る第2〜第4の盗難車追跡方法においては、車両位置検出及びエリア判定が車載装置にて実行され、車両位置又は挙動の追跡が車両管理局にて実行される。そのため、エリア判定の結果が車載装置から車両外部に無線通報される。本発明に係る第5〜第7の盗難車追跡方法においては、車両位置検出が車載装置にて実行され、エリア判定及び車両位置又は挙動の追跡が車両管理局にて実行される。そのため、車両位置検出の結果が車載装置から車両外部に無線通報される。
【0016】本発明に係る第2〜第4の盗難車追跡方法と第5〜第7の盗難車追跡方法を比較すると、前者においては車両管理局側にて行うべき処理が比較的少なくなるため、一般に多数の車両を管理する車両管理局側の負担が軽減されると共に、管理エリアを脱したと判定された時点で車載装置から車両管理局に通報が行われる結果、車載装置と車両管理局の間の無線伝送量が低減される。逆に、後者においては車載装置側にて行うべき処理が比較的少なくなるため、一般に多数の車両に搭載すべきで量産の要請の高い車載装置の負担が軽減され装置構成が簡素化される。
【0017】本発明に係る第3及び第6の盗難車追跡方法においては、さらに、上述の手順に先立ち車両管理局による管理エリア設定が行われる。管理エリアの設定は、車両管理局におけるピックデバイス操作等により行われる。第3の盗難車追跡方法においては、エリア判定が車載装置で行われるため、設定された管理エリアが車両管理局から車載装置に無線通信により通報され、車載装置にて管理エリアが不揮発性記憶される。第6の盗難車追跡方法においては、エリア判定が車両管理局で行われるため、設定された管理エリアの通報は行われない。このように、本発明に係る第3及び第6の盗難車追跡方法においては、簡便な操作にてかつ簡素な手段で管理エリアが設定され、その変更も容易である。第3の盗難車追跡方法においては、また、管理エリアが不揮発性記憶されるため、電源供給が断たれても、管理エリアの再設定は不要である。
【0018】本発明に係る第4及び第7の盗難車追跡方法においては、車両の位置がGPSを利用して検出される。また、車載装置と車両管理局との間の通信は、セルラー電話システム又はVHF無線システムを利用して実行される。これらの動作に必要な装置、例えばGPS受信機、セルラー電話機、VHF無線機等は小型に構成することが可能であるため、車載装置の各部機能を目立たないよう配設することが可能になる。これは、窃盗犯の目を欺き車載装置を盗難後も機能させるのに有効である。
【0019】本発明に係る第8の盗難車追跡方法においては、盗難に遭った車両の位置又は挙動が、地図表示により可視的に追跡される。これにより、盗難車の位置等をより簡便に知ることができる。
【0020】本発明に係る第9の盗難車追跡方法においては、車両の駆動機関(例えばエンジン)が始動するとこれに応じて位置検出が開始される。従って、駆動機関が休止している期間は車載装置の動作(の一部)を停止させることができるため、省電力化される。また、盗難時には駆動機関が運転されるであろうから、駆動機関の始動に応じて動作を開始させれば盗難後の追跡には十分である。
【0021】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について図面に基づき説明する。
【0022】図1には、本発明の一実施例に係るシステムの構成が示されている。この図に示されるシステムは、それぞれ車載装置を搭載している一般に複数の車両(図では道路工作車)Vと、これらの車両Vを管理するための車両管理局Mから構成されている。各車載装置は、搭載に係る車両Vの位置や速度をGPS衛星Sからの受信信号に基づき測定(測位)し、得られた位置が当該車両Vに割り当てられている管理エリアAを脱している場合に、盗難に遭った旨を示しかつ当該車両Vの位置や速度を示す情報を緊急通報として無線送信し続ける。車両管理局Mでは、この緊急通報を受信すると当該車両Vの位置や挙動が可視表示され車両管理局Mの係員に報知されると共に、警察等の関連部署に図示しない回線を介して通報が発せられる。このような手順により盗難車が追跡される結果、盗難車の発見が迅速化される。これは、どの様な巧妙な手口によって車両Vを窃盗したとしても早期に発見されるという恐れを窃盗犯に抱かせるから、車両Vの盗難防止にもつながる。
【0023】図2及び図3には、それぞれ、車載装置10及び車両管理局装置20の構成が示されている。車載装置10及び車両管理局装置20は、それぞれ車両Vに搭載され、あるいは車両管理局Mに配設される。
【0024】車載装置10は、GPSアンテナ11、GPS受信部12、無線アンテナ13、無線部14及び演算処理部15から構成されている。GPSアンテナ11は、GPS衛星Sから送信される信号を受信するための受信アンテナであり、GPS受信部12はGPSアンテナ11を介してGPS衛星Sから信号を受信し受信した信号に基づき搭載に係る車両Vの位置、速度等を求める手段である。無線アンテナ13は、車両管理局装置20から送信される信号を受信しまた車両管理局装置20に信号を送信するための送受信アンテナであり、無線部14は無線アンテナ13を介して車両管理局装置20から信号を受信しまた車両管理局装置20に信号を送信する手段である。演算処理部15は、GPS受信部12から得られる位置情報と管理エリアAを比較判定する手段であり、また無線部14から受信情報として得られる管理エリアAを格納する不揮発性メモリ(個別のバッテリによりバックアップした揮発性メモリでもよい)を内蔵している。
【0025】車載装置10、特にそのGPS受信部12や演算処理部15は、搭載に係る車両Vのエンジンの始動に応じて起動される。車載装置10の電源は、車両Vの電気的補機に電源を供給するバッテリから供給される。GPSアンテナ11及び無線アンテナ13は、窃盗犯から保護隠匿すべくフロントガラス下やダッシュボード等目立たない箇所に配設する。GPS受信部12、無線部14及び演算処理部15も、やはり、窃盗犯から保護隠匿すべくトランクルーム等目立たない箇所に配設する。
【0026】車両管理局装置20は、無線アンテナ21、無線部22、車両位置管理部23、地図データ格納部24及び表示部25から構成されている。無線アンテナ21は、車載装置10から送信される信号を受信しまた車載装置10に信号を送信するための送受信アンテナであり、無線部22は車載装置10から送信される信号を無線アンテナ21により受信しまた車載装置10に信号を送信する手段である。地図データ格納部24は、管理対象とする車両Vが走行し得る広い範囲について、地図情報を格納する手段であり、例えばCD−ROMとして構成される。表示部25は、車両位置管理部23によって読み出された地図情報を表示すると共に、車両位置管理部23からの指示に応じ所定の記号(車両Vの位置を示す多角形やその走行軌跡を示す線)を地図に重畳表示する。車両位置管理部23は、管理エリアAの設定や緊急通報に応じた表示に関する処理を実行する。
【0027】車両管理局装置20は、パーソナルコンピュータに無線送受信機能を付加することにより実現できる。すなわち、車両位置管理部23としてはパーソナルコンピュータを、表示部25としてはそのCRTを用いる。これにより、車両管理局装置20のコストを低減できる。
【0028】さらに、無線部14及び無線部22は、セルラー電話機やVHF無線機により実現できる。セルラー電話機を使用した場合には、無線部14は演算処理部15からの緊急通報に係る指示に応じて車両管理局装置20に宛てて自動ダイアリングする変復調器として機能し、無線部22は車載装置10からの緊急通報の着信に応じて公衆回線を発呼し警察等に通報する変復調器として機能する。VHF無線機を使用した場合も、処理内容や対象が異なるのみで、同様に変復調器として機能する。
【0029】次に、この実施例における処理手順に関し説明する。
【0030】まず、このシステムを運用するに当たっては、あらかじめ管理エリアAを各車両V毎に設定する必要がある。その際には、車両位置管理部23は、まず地図データ格納部24から地図情報を読み出し表示部25の画面にこれを表示させる。使用者は、図示しないマウス等の入力デバイスを使用して管理エリアAを指定する。例えば、管理エリアAに含めるべき要所要所を指定(クリック)するといった入力形式や、管理エリアAの隅部を指定するといった入力形式を採用して、この入力を行う。車両位置管理部23は、指定された要所を含む地域が管理エリアAとして指定されたと見なし、あるいは指定された隅部を結ぶ多角形が管理エリアAとして指定されたと見なす。
【0031】車両位置管理部23は、このようにして指定された管理エリアAを無線送信すべき旨、無線部22に指令を与える。これに応じて無線部14が送信を行うと、各車両Vに搭載された車載装置10の無線部14により受信が行われ、管理エリアAに関する情報が演算処理部15内の不揮発性メモリに格納される。不揮発性メモリを使用しているため、電源が断たれても管理エリアAに関する情報が失われることはない。これにより、管理エリアAの設定が終了する。また、格納する情報は、GPS受信部12により得られる位置情報と比較可能な形式の情報(例えば、GPS受信部12が緯度・経度にて位置を出力している場合には緯度・経度形式の情報)とするのが好ましい。
【0032】なお、全ての車両Vに対し同一の管理エリアAを設定する場合には、同報であることを示すコードを付して無線部22からの送信を行えばよく、いずれかの車両Vにのみ管理エリアAを設定する場合には、その車両Vを特定するコードを付して無線部22からの送信を行えばよい。また、同様の手順により管理エリアAを変更設定することもできる。
【0033】運用時には、次のような手順が実行される。
【0034】まず、搭載に係る車両Vのエンジンが始動されると、車載装置10により通常の動作が開始される。すなわち、GPS受信部12により、地球を周回しているGPS衛星Sからその軌道を示す情報や送信時刻を示す情報が受信され、受信した情報に基づき所定個数のGPS衛星Sについて当該GPS衛星Sとの距離(擬似距離)が演算され、さらに搭載に係る車両Vの位置や速度が演算される。演算処理部15は、GPS受信部12から得られる位置情報を記憶している管理エリアと比較することにより、当該車両Vが管理エリアAの内側にいるのかそれとも外側にいるのかを判別する。判別の結果外側にいるとされた場合には、搭載に係る車両Vが盗難に遭ったと見なすことができるから、演算処理部15は無線部14に対し緊急通報に係る信号を供給する。この緊急通報が車両Vを識別する情報と共に無線部14によって送信されこの緊急通報が無線部22によって受信されると、警察等への通報がなされる一方で、車両位置管理部23により表示部25に指令が与えられ車両Vの位置が三角形等の記号で地図上に重畳表示される。その際、表示部25の画面上に、車両Vの位置、速度、識別コード等を併せて表示するのが好ましい。車両位置管理部23は、盗難に遭った車両Vから継続して受信する緊急通報に基づき当該車両Vの移動軌跡を求め表示部25の画面上の地図に重畳表示させる。
【0035】このように、本実施例によれば、検出した車両Vの位置が管理エリアAを脱した場合に車載装置10から車両管理局装置20にその旨及び車両Vの位置等を緊急通報するようにしたため、盗難された車両Vの位置や挙動を追跡することができる。従って、巧妙かつ専門的な手口による盗難に対処でき、盗難車を迅速かつ早期に発見できる。これは、盗難の発生防止につながる。また、管理エリアAを脱した場合にのみ通信を行うようにしたため、車両管理局装置20、特に車両位置管理部23の負担を軽減できる。また、同じ理由により、車載装置10と車両管理局装置20の間の無線伝送量を低減できる。
【0036】本実施例によれば、さらに、車両管理局装置20側でピックデバイス操作により管理エリアAを設定するようにしたため、簡便な操作にてかつ簡素な手段で管理エリアAを設定でき、その変更も容易である。さらに、設定された管理エリアAを不揮発性メモリにより記憶しているため、電源供給が断たれても管理エリアAの再設定は不要である。また、車両Vの位置をGPS利用にて実行できまた車載装置10と車両管理局装置20との間の通信をセルラー電話システム又はVHF無線システムを利用して実行できるため、窃盗犯の目を欺き盗難後も機能させられるよう、車載装置10を小形化し目立たないよう配設することが可能になる。さらに、車両Vの位置又は挙動を地図表示により可視的に追跡するようにしたため、盗難車の位置等をより簡便に知ることができる。加えて、車両Vのエンジンの始動に応じて位置検出を開始するようにしたため、エンジン休止期間は車載装置10の動作の一部を停止させることができ、省電力化できる。また、盗難時にはエンジンが運転されるであろうから、通報・追跡には支障は生じない。
【0037】なお、以上の説明では、管理エリアAに関する判定を車載装置10側で行っているが、これは車両管理局装置20の車両位置管理部23にて行ってもよい。このようにすると、車載装置10の負担を軽減でき装置構成を簡素化できる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る第1の盗難車追跡方法によれば、車両の位置を検出しさらに管理エリアを脱したか否かを判定することにより盗難発生を検出すると共に、盗難発生後は盗難車の位置又は挙動を車両外部にて追跡するようにしたため、盗難防止装置を搭載しているにもかかわらず車両が盗難に遭った場合においても、その後の車両の位置や挙動を車両外部にて知ることができるから、巧妙かつ専門的な手口による盗難に対処可能となり、盗難車を迅速かつ早期に発見でき、ひいては盗難の発生防止に寄与できる。
【0039】本発明に係る第2〜第4の盗難車追跡方法によれば、車両位置検出及びエリア判定を車載装置にて実行し、エリア判定の結果を車載装置から車両外部に無線通報し、車両位置又は挙動の追跡を車両管理局にて実行するようにしたため、車両管理局側にて行うべき処理を低減できその負担を軽減できると共に、管理エリアを脱したと判定された時点で車載装置から車両管理局に通報が行われる結果、車載装置と車両管理局の間の無線伝送量を低減できる。
【0040】本発明に係る第5〜第7の盗難車追跡方法によれば、車両位置検出を車載装置にて実行し、車両位置検出の結果を車載装置から車両外部に無線通報し、エリア判定及び車両位置又は挙動の追跡を車両管理局にて実行するようにしたため、車載装置側にて行うべき処理を低減でき、車載装置の負担を軽減でき装置構成を簡素化できる。
【0041】本発明に係る第3及び第6の盗難車追跡方法によれば、さらに、上述の手順に先立ち車両管理局におけるピックデバイス操作等により管理エリア設定を行うようにしたため、簡便な操作にてかつ簡素な手段で管理エリアを設定でき、その変更も容易である。第3の盗難車追跡方法によれば、さらに、設定された管理エリアを不揮発性記憶するようにしたため、電源供給が断たれても管理エリアの再設定は不要である。
【0042】本発明に係る第4及び第7の盗難車追跡方法によれば、GPSを利用して車両の位置を検出すると共に、車載装置と車両管理局との間の通信をセルラー電話システム又はVHF無線システムを利用して実行するようにしたため、車載装置を小形化し目立たないよう配設することが可能になる。これは、窃盗犯の目を欺き車載装置を盗難後も機能させるのに有効である。
【0043】本発明に係る第8の盗難車追跡方法によれば、盗難に遭った車両の位置又は挙動を地図表示により可視的に追跡するようにしたため、盗難車の位置等をより簡便に知ることができる。
【0044】本発明に係る第9の盗難車追跡方法によれば、車両の駆動機関の始動に応じて位置検出を開始するようにしたため、駆動機関が休止している期間は車載装置の動作(の一部)を停止させることができ、省電力化できる。また、盗難時には駆動機関が運転されるであろうから、駆動機関の始動に応じて動作を開始させれば盗難後の追跡には十分である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るシステムの構成を示す概念図である。
【図2】この実施例において使用される車載装置の構成を示すブロック図である。
【図3】この実施例において使用される車両管理局装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
V 車両
M 車両管理局
S GPS衛星
A 管理エリア
10 車載装置
11 GPSアンテナ
12 GPS受信部
13,21 無線アンテナ
14,22 無線部
15 演算処理部
20 車両管理局装置
23 車両位置管理部
24 地図データ格納部
25 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の位置を検出する第1のステップと、検出した車両の位置が管理エリアを脱したか否かを判定する第2のステップと、管理エリアを脱したと判定された場合に上記車両が盗難に遭ったと見なし、当該車両の位置又は挙動を車両外部にて追跡する第3のステップと、を有することを特徴とする盗難車追跡方法。
【請求項2】 請求項1記載の盗難車追跡方法において、第1及び第2のステップを車載装置にて実行し、その結果を車載装置から車両外部に無線通報し、第3のステップを車両外部の車両管理局にて実行することを特徴とする盗難車追跡方法。
【請求項3】 請求項2記載の盗難車追跡方法において、車両管理局において管理エリアを設定し、設定した管理エリアを車両管理局から車載装置に無線通信により通報し、車載装置が管理エリアを不揮発性記憶することを特徴とする盗難車追跡方法。
【請求項4】 請求項2記載の盗難車追跡方法において、上記車両の位置をGPSを利用して検出し、第2のステップの結果を車両管理局にセルラー電話システム又はVHF無線システムを利用して無線通報することを特徴とする盗難車追跡方法。
【請求項5】 請求項1記載の盗難車追跡方法において、第1のステップを車載装置にて実行し、その結果を車載装置から車両外部に無線通報し、第2及び第3のステップを車両外部の車両管理局にて実行することを特徴とする盗難車追跡方法。
【請求項6】 請求項5記載の盗難車追跡方法において、車両管理局において管理エリアを設定することを特徴とする盗難車追跡方法。
【請求項7】 請求項5記載の盗難車追跡方法において、上記車両の位置をGPSを利用して検出し、第1のステップの結果を車両管理局にセルラー電話システム又はVHF無線システムを利用して無線通報することを特徴とする盗難車追跡方法。
【請求項8】 請求項1記載の盗難車追跡方法において、盗難に遭った車両の位置又は挙動を地図表示により可視的に追跡することを特徴とする盗難車追跡方法。
【請求項9】 請求項1記載の盗難車追跡方法において、上記車両の駆動機関の始動に応じて上記車両の位置の検出を開始することを特徴とする盗難車追跡方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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