説明

盗難防止ケース

【課題】解除具のスムーズな押し込みを保障する盗難防止装置を提供する。
【解決手段】周側面の1つの壁に商品の丈よりも短かくて商品の出し入れ用の開口を有するケース本体Aの頂壁3に上面を開放させて設けた筒状のガイド4と、ガイドの底面開口側の直上に位置する辺縁に設けた長孔にストッパ片を貫通させてガイド内に昇降自在に嵌入した昇降体7と、ストッパ片の両側縁突出方向端に設けた抜止め突部9と、昇降体内に長孔に沿ってスライドするよう組み込んだ一対のスライダ10と、両スライダに接近方向の押圧力を付与するバネ11と、ガイドの底からガイド方向に突出する係止爪15と、両スライダに昇降体の押し込みにともない係止爪に当接して両スライダを離反方向に押し逃がし、昇降体の押し込み終了にともない離反方向の押し逃がしが解放されて係止爪に係合関係になるように設けた係止部16と、両スライダに設けた鉄片21とからなる構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、CDカセットの音楽や映像を記録してあるディスクやビデオテープ、ゲームソフト、その他の商品(収納ケースに商品を収納した状態のもの)の盗難を防止するケースに関する。
【背景技術】
【0002】
レンタルショップ陳列棚に上述のような商品を収納ケースを並べておくと、顧客による収納ケースの開放が可能なため、レンタルショップ側の盗難防止ケースに収納ケースを嵌め込んで陳列することで、顧客による収納ケースの開放ができなくなって、商品が盗難に遭うのを防止する。
【0003】
レンタルに際しては、レンタルショップのカウンタに盗難防止ケースを持参することで、ショップ側の解除具により施錠が解除されて、盗難防止ケースから収納ケースを取り出すことができ、取り出した収納ケースを貸し出す(特許文献1)。
【0004】
なお、販売に際しても同様の方式が採用される。
【特許文献1】特許第2928490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の構造によると、解除具のキーを貫通孔に挿入して押し込むと、キーの先端がスライダのテーパー面部に当り、キーの押し込み続行により弾片による押し戻し力に抗してスライダを押し逃がして貫通孔の縁から掛止爪が外れて、この外れにともなう係合関係の解除により昇降体と共に突出部材の降下ができてケース本体内の商品の押し上げがなくなって、ケース本体内からの商品の取り出しが可能になる。
【0006】
しかしながら、各貫通孔にそれぞれのキーの先端を合致させたのち、この合致を維持しながら各貫通孔にそれぞれのキーを一度に押し込んで各貫通孔の縁と掛止爪との係合関係を解除するため、貫通孔に対するキーの合致に手数がかかると共に、各キーの均一な同時押し込みができないと、先行するキーと、若干遅れるキーとで各キーのスムーズな押し込みができない問題があった。
【0007】
特に、係合関係の解除をケース本体毎行なうので、一度に複数のケース本体の掛合関係を解除することができない。
【0008】
そこで、この発明は、上述の問題を解消した盗難防止ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、この発明は、周側面の1つの壁に商品の丈よりも短かくて上記商品の出し入れ用の開口を有するケース本体と、このケース本体の頂壁に上面を開放させて設けた筒状のガイドと、このガイドの底面上記開口側の直上に位置する辺縁に設けた貫通する長孔と、この長孔にストッパ片を貫通させて上記ガイド内に昇降自在に嵌入した昇降体と、上記ストッパ片の両側縁突出方向端に設けた抜止め用の突部と、上記昇降体内に上記長孔に沿ってスライドするように組み込んだ左右一対のスライダと、この両スライダに接近方向の押圧力を付与するバネと、上記ガイドの底から上記ガイド方向に突出する係止爪と、上記両スライダに上記昇降体の押し込みにともない上記係止爪に当接して前記両スライダを離反方向に押し逃がし、かつ上記昇降体の押し込み終了にともない上記離反方向の押し逃がしが解放されて上記係止爪に係合関係になるように設けた係止部と、上記両スライダに設けた鉄片とからなる構成を採用する。
【0010】
また、基材と、この基材に一端側に位置決め壁を有し、かつ複数の並列する盗難防止ケースを上方から嵌入するように設けた凹入部と、この凹入部の底の両端側で盗難防止ケースの両スライダの鉄片外側に位置して上記両鉄片を磁吸により引き寄せるように設けた永久磁石とからなる解除具を使用する。
【0011】
すると、係合関係の解除を極めてスムーズに行なうことができ、一度に複数のケース本体の係合関係の解除もできる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、この発明の盗難防止ケースによれば、ガイドの底に昇降体を押し込むことで、係止爪に係止部が当接して押圧力に抗して両スライダを押し逃がし、係止部が係止爪を通過し終ると押し逃がしの解除された両スライダを押し戻しながら、係止爪と係止部とが係合関係になって、昇降体と一体のストッパ片により開口の一部を閉鎖する。
【0013】
このため、ケース本体内の商品の抜き取りを阻止して盗難防止に効果を発揮する。
【0014】
また、解除具の凹入部に昇降体を先行させてケース本体を嵌め込むと共に、位置決め壁により嵌め込んだケース本体の正確な位置決めを行なうことで、両スライダの鉄片が凹入部の底の両端の並列永久磁石により磁吸しながら両スライダを強制的に離反方向に強制にスライドさせながら、係止爪と係止部との係合関係を解除し、この状況下で凹入部から上方にケース本体を引き抜くことで、脱出方向に昇降体を永久磁石と鉄片との磁吸により強制的にスライドさせる。
【0015】
このため、ストッパ片による開口の一部の閉鎖がなくなって、ケース本体から商品の取り出しが(ショップ側による)可能になる。
【0016】
さらに、凹入部に複数のケース本体を嵌め込むことができるので、一度に複数のケース本体の係合関係の解除が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
この発明の第1の実施形態では、図1から図5に示すように、ケース本体Aの周側面の一つの壁1には、商品Bの丈よりも短かくて商品Bを出し入れする開口2が設けてある。
【0019】
上記開口2の丈を商品Bの丈よりも短かくする要因は、開口2の下縁からケース本体A内に商品Bの下縁側を先行させて嵌入したのち、商品Bの上縁を開口2の上縁の下を通過させて嵌め込む。
【0020】
その際、開口2の下縁(壁1の内側)の内側に商品Bの下縁部が納まって、開口2に対する商品Bのすべり出しを阻止することにある。
【0021】
又ケース本体Aの頂壁3に上面を開放させた筒状のガイド4を設けると共に、ガイド4の底壁5の開口2に合致する線上に上下面が貫通する長孔6を設けておく。
【0022】
更に、ガイド4に昇降体7を昇降自在に嵌入すると共に、この昇降体7に長孔6に貫通するストッパ片8を設け、ストッパ片8の両側縁の突出方向端には、ストッパ片8の下縁(突出方向縁)と開口2の上縁とが合致するように昇降体7を脱出方向にスライドさせたとき、底壁5の下面に当接してストッパ片8が上方に抜けるのを防止する突部9が設けてある。
【0023】
又昇降体7内の両端側に長孔6に沿ってスライドするスライダ10を組み込むと共に、このスライダ10に接近方向に強制スライドさせる押圧力の付与バネ11が組み込んである。
【0024】
上記のスライダ10は、図示の場合、昇降体7内に長孔6に平行する上面開放のガイド溝12を設けて、このガイド溝12にスライド自在に嵌め込んでガイドし、バネ11は、図示の場合、スライダ10の対向内端壁13と昇降体7から突出する受座片14とにバネ11の両端を支持させてある。
【0025】
更にガイド4内の底壁5から上方に向けて両スライダ10、10の対向端間に納まる銛状の係止爪15を設け、両スライダ10、10の対向端には、昇降体7の押し込みにともない係止爪15の山形テーパー面部に当接してスライダ10を押し逃がし、昇降体7の押し込み終了にともない山形テーパー面部から外れて係止爪15に係合関係になる係止部16が設けてある。
【0026】
又両スライダ10、10には、解除具Cの永久磁石34によって両スライダ10、10をバネ11による押圧力に抗して離反方向に強制スライドさせるための磁吸用鉄片21が設けてある。
【0027】
なお、係止爪15は、図示の場合両スライダ10、10の両端側にも(底壁5から突出させて)設けて、この係止爪15に両スライダ10、10の相反する端縁に係止部16を設けたが、限定されず、昇降体7の中間部のみ或いは中間部と両端の両方に設けるなど選択すればよい。
【0028】
上記の解除具Cは、図6、7に示すように、基材31と、この基材31に一端側に位置決め壁32を有し、かつ複数の並列する盗難防止ケース本体Aを上方から嵌入するように設けた凹入部33と、この凹入部33の底面下側で、両鉄片21の端の外側に位置して鉄片21を磁吸する永久磁石34とで構成されている。
【0029】
なお、商品Bとしては、例えば収納ケースにディスクを収納したものである。
【0030】
上記のように構成すると、開口2からケース本体A内に商品Bを嵌め込んだのち、昇降体7を押し下げる。
【0031】
押し下げにともない係止爪15に係止部16が当接すると、係止爪15と係止部16とのテーパー面部により両スライダ10を離反方向に押し逃がし、係止部16が係止爪15を通過し終ると、バネ11によって両スライダ10を接近方向にスライドさせて、図4に示すように係止爪15と係止部16とが係合関係になって昇降体7の押し状態の維持をはかる。
【0032】
このとき、昇降体7と共にストッパ片8を共に押し下げて、ストッパ片8により開口2の一部(図示上縁側)を閉鎖するので、ケース本体Aからの商品Bの抜き取りが阻止され、盗難防止になる。
【0033】
なお、ショップからのケース本体Aの持ち出しは、周知のように、ケース本体Aに設けた盗難防止タグ(図示省略)により検出する。
【0034】
次にショップ側で商品Bを取り出す(販売やレンタルのため)場合、解除具Cの凹入部33に単数並列する複数のケース本体Aを図7に示すように昇降体7を下側にして上方から嵌入する。
【0035】
このとき、位置決め壁32にケース本体Aの壁を当接する。
【0036】
すると、両側の永久磁石34、34によって鉄片21を磁吸して、相反する方向にスライダ10、10をスライドさせて、図6に示すように、係止爪15と係止部16との係合関係を解除する。
【0037】
この状況下にケース本体Aを上方に抜き去ると、永久磁石34によって鉄片21を磁吸しているので、ケース本体Aを抜き去る際、凹入部33の底に図8に示すように昇降体7がとどまって、ガイド4内から昇降体7が脱出方向にスライドして、ストッパ片8により開口2の一部閉鎖をなくすると共に、図9に示すように突部9が長孔6の端に引っかかって、解除具Cからケース本体Aを抜き去ることができる。
【0038】
このため、ショップ側でケース本体Aから商品Bを取り出すことができる。
【0039】
図中61は、ガイド手段である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の第1の実施形態を示す分解斜視図
【図2】同ケース本体の縦断側面図
【図3】同上の縦断正面図
【図4】同上の要部を示す縦断側面図
【図5】同上の要部の分解斜視図
【図6】第2の実施形態の解除具の使用を示す縦断側面図
【図7】同縦断正面図
【図8】解除の作用を示す縦断側面図
【図9】ストッパ片の脱出を示す縦断側面図
【符号の説明】
【0041】
A ケース本体
B 商品
C 解除具
1 壁
2 開口
3 頂壁
4 ガイド
5 底壁
6 長孔
7 昇降体
8 ストッパ片
9 突部
10 スライダ
11 バネ
12 ガイド溝
13 内端壁
14 受座片
15 係止爪
16 係止部
21 鉄片
31 基材
32 位置決め壁
33 凹入部
34 永久磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周側面の1つの壁に商品の丈よりも短かくて上記商品の出し入れ用の開口を有するケース本体と、このケース本体の頂壁に上面を開放させて設けた筒状のガイドと、このガイドの底面上記開口側の直上に位置する辺縁に設けた貫通する長孔と、この長孔にストッパ片を貫通させて上記ガイド内に昇降自在に嵌入した昇降体と、上記ストッパ片の両側縁突出方向端に設けた抜止め用の突部と、上記昇降体内に上記長孔に沿ってスライドするように組み込んだ左右一対のスライダと、この両スライダに接近方向の押圧力を付与するバネと、上記ガイドの底から上記ガイド方向に突出する係止爪と、上記両スライダに上記昇降体の押し込みにともない上記係止爪に当接して前記両スライダを離反方向に押し逃がし、かつ上記昇降体の押し込み終了にともない上記離反方向の押し逃がしが解放されて上記係止爪に係合関係になるように設けた係止部と、上記両スライダに設けた鉄片とからなる盗難防止装置。
【請求項2】
基材と、この基材に一端側に位置決め壁を有し、かつ複数の並列する盗難防止ケースを上方から嵌入するように設けた凹入部と、この凹入部の底の両端側で盗難防止ケースの両スライダの鉄片外側に位置して上記両鉄片を磁吸により引き寄せるように設けた永久磁石とからなる解除具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−314201(P2007−314201A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−144144(P2006−144144)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(390007685)株式会社エクセル (3)
【Fターム(参考)】