説明

盗難防止装置および盗難防止型料金精算システム

【課題】料金精算機の新設・既設の如何を問わず、料金精算機の防犯性を容易に高め、かつ使用材料および部品点数を減らして製造コストを削減する。
【解決手段】下側構造体51、左側構造体52、右側構造体53、上側構造体54および防護扉55等から構成された盗難防止装置3を、既設の料金精算機2の前方から装着することにより、精算機本体10の前面扉21と精算機本体10との間の境界部分を全周に亘って覆う。防護扉55は、精算機本体10の前面扉21のうち、鍵部23が配置された下部領域のみを覆う。これにより、前面扉21と精算機本体10との間にバール等を挿入して前面扉21をこじ開けることができず、精算機本体10内に収容された売上金等の盗難を防止することができる。また、精算機本体10の前側のみを覆うため、使用材料等を減らし、製造コストを下げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば駐車料金、駐輪料金等を自動的に徴収する料金精算機内に収容された、例えば金銭等の物の盗難を防止する盗難防止装置、およびこのような盗難防止装置と料金精算機とから構成された盗難防止型料金精算システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、料金精算機用の盗難防止装置に関しては、例えば特許文献1に記載されているように、有料駐車場の屋外設置型の料金精算機の防犯性を高めるために、料金精算機の下側に基礎を配置し、この基礎上に、上面板、左側面板、右側面板および背面板を有すると共に前面側の開口部が開閉部により開閉可能に閉塞されたカバーを、当該料金精算機を内部に収容するように配置することにより、料金精算機の下面、上面、左面、右面、前面および背面をそれぞれ全面的に覆う技術が知られている。
【0003】
また、特許文献2に記載されているように、上面板、左側面板および右側面板を有し、前面側の開口部が開閉扉により開閉可能に閉塞され、背面側が開口したボックス体を、既に設置された料金精算機に装着し、装着後、そのボックス体に背面板を取り付けて当該ボックス体の背面側の開口を閉塞し、これにより、料金精算機の上面、左面、右面、前面および背面をそれぞれ全面的に覆う技術が知られている。
【0004】
また、特許文献3に記載されているように、自動販売機等の前扉を抑える拘束アームを自販機等に装着する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−319045号公報
【特許文献2】特開2009−31897号公報
【特許文献3】特開2000−293748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献1に記載の技術では、料金精算機の外側全体をカバーで覆い、基礎の上に料金精算機を設置しているため、料金精算機が新設で駐車場または駐輪場等に設置する前の場合は取付けが可能であるが、料金精算機が既設の場合には一度料金精算機を取り外さないとカバーを取り付けることができないといった煩わしさがあり、さらに、料金精算機を全体的に覆うため、カバーや開閉部、基礎等の構造物がいずれも大型になり、盗難防止装置のコストが高くなるという問題がある。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の技術では、盗難防止装置を既設の料金精算機に取り付けることができるものの、やはり料金精算機を全体的に覆う構成であるため、盗難防止装置本体や開閉扉等の構造物がいずれも大型になり、コストが高くなるという問題がある。また、上記特許文献2に記載の盗難防止装置は、パネル板や開閉扉の位置を調整するための複雑な機構を有しており、このためコストの上昇を招くという問題もある。
【0008】
さらに、上記特許文献3に記載の技術では、自動販売機等の前扉を拘束アームにより抑えるのみであるため、自動販売機の本体と前扉との隙間の大部分が外部に露出している。このため、自動販売機の本体と前扉との隙間にバールを差し込んで、自動販売機の前扉をこじ開けるといった行為を十分に防止することが困難であり、駐車場や駐輪場などの比較的高額な売上金を収容する料金精算機に適用する場合には、当該技術では十分な防犯効果を得ることができないという問題がある。
【0009】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、料金精算機の新設・既設の如何を問わず、料金精算機に容易に装着して防犯性を高めることができ、かつ、強度を維持しつつも使用材料および部品点数を減らして製造コストを削減することができる盗難防止装置および盗難防止型料金精算システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の盗難防止装置は、料金精算機本体と、前記料金精算機本体の前面側に設けられた前面扉と、前記前面扉に設けられた鍵部とを備えた料金精算機の前面側に装着することにより、前記料金精算機内に収容された物の盗難を防止する盗難防止装置であって、前記料金精算機本体の前方から前記料金精算機本体の前面側下部に装着可能であり、閉状態の前記前面扉の下側縁部と前記料金精算機本体との境界部分を覆う下側構造体と、前記料金精算機本体の奥行き寸法よりも小さい奥行き寸法を有し、前記下側構造体に取り付けられ、閉状態の前記前面扉の左側縁部と前記料金精算機本体との境界部分を覆う左側構造体と、前記料金精算機本体の奥行き寸法よりも小さい奥行き寸法を有し、前記下側構造体に取り付けられ、閉状態の前記前面扉の右側縁部と前記料金精算機本体との境界部分を覆う右側構造体と、前記左側構造体および前記右側構造体に取り付けられ、閉状態の前記前面扉の上側縁部と前記料金精算機本体との境界部分を覆う上側構造体と、前記左側構造体と前記右側構造体との間に架設され、前記前面扉のうち前記鍵部が配置された部位を含む領域を開閉可能に覆う防護扉とを備えていることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第2の盗難防止装置は、上述した本発明の第1の盗難防止装置において、前記防護扉は前記左側構造体の下部と前記右側構造体の下部との間に架設され、前記鍵部が配置された部位を含む前記前面扉の下部領域のみを覆い、前記左側構造体の上部と前記右側構造体の上部との間には、前記前面扉の上部に配置された前記料金精算機の操作パネル部を外部に露出させるための窓部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第3の盗難防止装置は、上述した本発明の第1または第2の盗難防止装置において、前記下側構造体には、当該下側構造体の両端部から奥行き方向にそれぞれ伸び、当該下側構造体を前記料金精算機本体の前面側下部に装着するときに前記料金精算機本体の下部を左右から挟む一対の支持部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第4の盗難防止装置は、上述した本発明の第1ないし第3のいずれかの盗難防止装置において、前記下側構造体と前記左側構造体、前記下側構造体と前記右側構造体、前記左側構造体と前記上側構造体、および前記右側構造体と前記上側構造体は、それぞれ互いに着脱可能であることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第5の盗難防止装置は、上述した本発明の第1ないし第4のいずれかの盗難防止装置において、前記下側構造体は、少なくとも前面部、背面部および上面部を有する断面コ字状または断面ロ字状の構造体であり、前記下側構造体は、前記下側構造体の内部から、前記下側構造体の背面部に形成された取付孔を通して、前記料金精算機本体の前面側下部に形成された取付孔に固定部材を締着させることにより前記料金精算機本体の前面側下部に固定され、前記下側構造体の上面部には、前記下側構造体を前記料金精算機本体の前面側下部に固定する際に前記固定部材を締結するのに用いる工具を前記下側構造体の内部に挿入するための工具挿入開口部が形成され、前記工具挿入開口部は前記防護扉が閉状態のときに前記防護扉により閉塞されることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第6の盗難防止装置は、上述した本発明の第1ないし第5のいずれかの盗難防止装置において、前記料金精算機本体は、左面板部、右面板部、上面板部および背面板部を有し、前面側の開口部が前記前面扉により開閉可能に閉塞されるハウジングを備え、前記左側構造体は、前記ハウジングの内部から、前記ハウジングの左面板部に形成された取付孔を通して、前記左側構造体に形成された取付孔に固定部材を締着させることにより前記ハウジングの左面板部に固定され、前記右側構造体は、前記ハウジングの内部から、前記ハウジングの右面板部に形成された取付孔を通して、前記右側構造体に形成された取付孔に固定部材を締着させることにより前記ハウジングの右面板部に固定されることを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第7の盗難防止装置は、上述した本発明の第1ないし第6のいずれかの盗難防止装置において、前記左側構造体は、固定部と、固定部に回動連結部材を介して回動可能に取り付けられた可動部とから構成され、前記防護扉は、前記可動部に対して回動不能に取り付けられ、前記防護扉の開閉時には前記可動部と一体的に回動することを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の第1の盗難防止型料金精算システムは、料金精算機本体、前記料金精算機本体の前面側に設けられた前面扉、および前記前面扉に設けられた鍵部を有する料金精算機と、前記料金精算機の前面側に装着され、前記料金精算機内に収容された物の盗難を防止する盗難防止装置とを備えた盗難防止型料金精算システムであって、前記盗難防止装置は、前記料金精算機本体の前方から前記料金精算機本体の前面側下部に装着され、閉状態の前記前面扉の下側縁部と前記料金精算機本体との境界部分を覆う下側構造体と、前記料金精算機本体の奥行き寸法よりも小さい奥行き寸法を有し、前記下側構造体に取り付けられ、閉状態の前記前面扉の左側縁部と前記料金精算機本体との境界部分を覆う左側構造体と、前記料金精算機本体の奥行き寸法よりも小さい奥行き寸法を有し、前記下側構造体に取り付けられ、閉状態の前記前面扉の右側縁部と前記料金精算機本体との境界部分を覆う右側構造体と、前記左側構造体および前記右側構造体に取り付けられ、閉状態の前記前面扉の上側縁部と前記料金精算機本体との境界部分を覆う上側構造体と、前記左側構造体と前記右側構造体との間に架設され、前記前面扉のうち前記鍵部が配置された部位を含む領域を開閉可能に覆う防護扉とを備えていることを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の第2の盗難防止型料金精算システムは、上述した本発明の第1の盗難防止型料金精算システムにおいて、前記料金精算機本体は、左面板部、右面板部、上面板部および背面板部を有し、前面側の開口部が前記前面扉により開閉可能に閉塞されるハウジングを備え、前記ハウジングの左面板部、右面板部および上面板部のうち少なくともいずれか1つの板部に、前記ハウジングの内部または外部から当該板部に重なり合うように補強板を設けることを特徴とする。
【0019】
本発明の第1の盗難防止装置では、料金精算機の前側のみを覆い、後ろ側ないし背面側を覆わない構成であるため、盗難防止装置全体の構造を簡素化させ、使用材料、部品点数等を減らし、製造コストを低く抑えることができる。
【0020】
また、本発明の第2の盗難防止装置では、防護扉が料金精算機の前側下部のみを覆う構成であるため、防護扉に用いる材料を減らし、製造コストを抑えることができる。また、防護扉を軽くすることができ、開閉時のヒンジ部に係る負荷を減らし、ヒンジ部の変形や荷重によるずれの発生を抑制し、建てつけの微調整を不要とし、防護扉の開閉時の動作的不具合を解消することができる。
【0021】
また、本発明の第3の盗難防止装置では、一対の支持部間に料金精算機本体の下部を挟むことにより、下側構造体を料金精算機本体の前面側下部に確実に取り付けることができ、盗難防止装置の料金精算機への取付強度を高めることができる。
【0022】
また、本発明の第4の盗難防止装置によれば、盗難防止装置の後付けも可能で利便性が良く、盗難防止装置の移設も容易に可能となる。また、設置までの輸送コストを低減でき、組み立ても簡素なために製品コストを低減でき、出荷前に広い保管場所も必要ないため、保管にかかる費用も削減できる。また、様々なサイズの料金精算機に対し、上面構造体と下面構造体と防護扉や、左側、右側構造体の長さのバリエーションを増やすことで容易に対応が可能となる。さらに、寸法精度のばらつきによって各構造体と料金精算機のハウジング間に隙間ができるとか、取り付けがきついといった問題を解消でき、特に高精度を必要とする加工を不要にでき、部品の製造コストの削減を図ることができる。
【0023】
また、本発明の第5および第6の各盗難防止装置では、盗難防止装置と料金精算機とを固定する固定部材を外部より目視不能とすることができ、盗難の抑止効果を高めることができる。
【0024】
また、本発明の第7の盗難防止装置では、固定部に対し可動部を回動可能に接続する例えば長丁番等の回動連結部材の長さ寸法を、料金精算機の高さ寸法と同等の大きさに設定することができ、回動連結部材の破壊強度を向上させることができる。また、防護扉開閉時に回動連結部材にかかる、防護扉の自重等によるモーメントを小さくできるため、回動連結部材の精度を下げても、回動連結部材の強度を十分に確保することができ、部品コストを下げることができる。
【0025】
さらに、防護扉が左側構造体の可動側と一体的に開くため、料金精算機の前面扉を開いた際に左側構造体が邪魔になることがなく、一方、前面扉を閉めた状態では左側構造体により、前面扉と料金精算機本体との間の境界部分を隙間なくぴったりと覆うことができ、防犯性を向上させることができる。
【0026】
一方、本発明の第1の盗難防止型料金精算システムでは、盗難防止装置により料金精算機の前側のみを覆い、後ろ側ないし背面側を覆わない構成であるため、盗難防止型料金精算システムの構造を簡素化させ、使用材料等を減らし、製造コストを低く抑えることができる。
【0027】
また、本発明の第2の盗難防止型料金精算システムでは、料金精算機本体の側面や背面を切断または溶断しようとする行為を、補強板により防止することができる。特に、補強板を例えば単純な四角形状の鋼板のみで構成することができ、コストを下げることができると共に、補強板をハウジング内部に設ける構成とすれば、補強板に対して完全な防錆処理や塗装処理を不要にでき、製造コストを低く抑えることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、料金精算機の新設・既設の如何を問わず、料金精算機に容易に装着して防犯性を高めることができ、かつ、強度を維持しつつも使用材料および部品点数を減らして製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態による盗難防止型料金精算システムを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態による盗難防止型料金精算システムにおいて、盗難防止装置と料金精算機とを分離した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態による盗難防止型料金精算システムにおける盗難防止装置を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の実施形態による盗難防止型料金精算システムを、防護扉を開いた状態で示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態による盗難防止型料金精算システムを、盗難防止装置の防護扉および料金精算機の開閉扉をそれぞれ開いた状態で示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態による盗難防止型料金精算システムにおける防護扉とその周辺部位を示す正面図である。
【図7】図6中の矢示VII−VII方向からみた、防護扉が開いた状態の盗難防止型料金精算システムの前面側部位を示す断面図である。
【図8】図6中の矢示VII−VII方向からみた、防護扉が閉じた状態の盗難防止型料金精算システムの前面側部位を示す断面図である。
【図9】本発明の盗難防止装置をフラップ式駐車場などの簡易的な料金精算機に装着した例、および本発明の盗難防止装置をゲート式駐車場などの多機能な料金精算機に盗難防止装置を装着した例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。図1ないし図5は、本発明の実施形態による盗難防止型料金精算システムを示し、図6ないし図8は、当該盗難防止型料金精算システムにおける防護扉等に関する部分を詳細に示している。
【0031】
図1に示すように、本発明の実施形態による盗難防止型料金精算システム1は、料金精算機2と、料金精算機2の前面側に装着され、料金精算機2内に収容された、例えば売上金等の物の盗難を防止する盗難防止装置3とから構成されている。盗難防止型料金精算システム1は、例えば駐車場または駐輪場の敷地の地面に直接か、若しくはコンクリート等で水平で平坦に形成されたプラットホーム上、あるいは駐車場または駐輪場の建物の床面である設置面G(図6参照)上に設置されている。
【0032】
料金精算機2の精算機本体10は、図2に示すように、当該精算機本体10を設置面G上に設置するベース部11と、ベース部11上に設けられ、精算機本体10の外殻を構成するハウジング12とを備えている。ハウジング12は、左面板部12A(図8参照)、右面板部12B、上面板部12Cおよび背面板部(図示せず)を有し、ハウジング12の前面側は開口している。そして、ハウジング12の前面側には前面扉21が上下一対の前面扉ヒンジ部22(図5、図7参照、下側のみを図示し上側は図示せず)を介して回動可能に取り付けられ、この前面扉21によりハウジング12の前面側の開口部が開閉可能に閉塞される。また、前面扉21の下部には、当該前面扉21を施錠する鍵部23が設けられている。
【0033】
また、前面扉21の上部には、操作パネル部25が設けられ、操作パネル部25には、例えば液晶ディスプレイパネルから構成された表示部31、操作キー32、カード挿入口33、紙幣挿入口34、硬貨投入口35、ICカード読取部36、スピーカ37、係員呼出釦38、釣銭・領収証取出口39等、利用者が料金精算機2を操作し、精算を行い、または管理センタとの通話等を行うための各種部品が取り付けられている。
【0034】
さらに、精算機本体10のハウジング12内には、図5に示すように、カードリーダ41、紙幣リーダ42、コイン搬送部43、コイン払出部44、ジャーナルプリンタ45、電源部46の他、コイン収容部および紙幣収容部(いずれも図示せず)等が収容されている。前面扉21を閉じ、鍵部23により前面扉21を施錠した状態では、鍵部23を解錠して前面扉21を開けるか、あるいは前面扉21やハウジング12を破壊しない限り、ハウジング12内に収容されたこれら収容物に何人も触れることができない。
【0035】
一方、盗難防止装置3は、図2に示すように、盗難防止型料金精算システム1を正面から見たときに、精算機本体10の前下側に位置する下側構造体51、精算機本体10の左前側に位置する左側構造体52、精算機本体10の右前側に位置する右側構造体53、精算機本体10の前上側に位置する上側構造体54、精算機本体10の前面側下部に配置された防護扉55、および精算機本体10の前面側上部に形成された窓部56から大略構成されている。
【0036】
下側構造体51は、図2に示すように、閉状態の前面扉21の下側縁部と精算機本体10との境界部分Aを当該境界部分Aの下側から覆うものであり、精算機本体10の前方から当該精算機本体10の前面側下部、具体的にはベース部11の前面側に装着される。下側構造体51は、図3に示すように、例えば鋼板等の金属板に折り曲げ加工を施すことにより、前面部51A、背面部51Bおよび上面部51Cを有する断面コ字状に形成されている。なお、下側構造体51を、金属板を前面部51A、背面部51B、上面部51Cおよび下面部を有する断面ロ字状の角筒に形成してもよい。
【0037】
また、下側構造体51の上面部51Cには、図3に示すように、左側構造体52の固定部66の下端部および右側構造体53の下端部を挿入するための一対の挿入口62が形成されている。これら挿入口62の配置は、左側構造体52の固定部66と右側構造体53とを挿入したときに、左側構造体52と右側構造体53との間の距離が精算機本体10のハウジング12の幅寸法とほぼ等しくなる(厳密には組付誤差等を考慮してハウジング12の幅寸法よりも僅かに大きくなる)ように設定されている。
【0038】
また、下側構造体51は、下側構造体51の内部から、下側構造体51の背面部51Bに形成された取付孔61(図3参照)を通して、精算機本体10のベース部11の前面に形成された取付孔13(図2参照)に固定部材としてのボルト91(図5参照)を締着させることによりベース部11の前面側に固定される。このため、下側構造体51の上面部51Cには、図3に示すように、下側構造体51を精算機本体10のベース部11の前面側に固定する際に、ボルト91を締結するのに用いる工具を下側構造体51の内部に挿入するための工具挿入開口部63が形成されている。各工具挿入開口部63は、図1に示すように、防護扉55が閉状態のときに防護扉55により閉塞され、外部から目視できなくなるような位置に配置されている。
【0039】
さらに、下側構造体51には、図2に示すように、当該下側構造体51の両端部から奥行き方向にそれぞれ伸び、下側構造体51を精算機本体10のベース部11の前面側に装着するときにベース部11を左右から挟む一対の支持部64が設けられている。2つの支持部64間の距離は、これら支持部64間にベース部11が嵌るように、ベース部11の幅寸法とほぼ等しい寸法(厳密には、下側構造体51をベース部11に装着する際にベース部11に対する下側構造体51のスライドを許すように、ベース部11よりも僅かに大きい値)に設定されている。
【0040】
左側構造体52は、図2および図8に示すように、閉状態の前面扉21の左側縁部と精算機本体10との境界部分B(図8参照)を当該境界部分Bの左側から覆うものであり、図3に示すように、固定部66と可動部67とから構成されている。固定部66および可動部67はそれぞれ、例えば鋼等の金属材料から長尺な角筒状に形成され、可動部67は、固定部66に、回動連結部材としての長丁番68を介して図3中の矢示方向に回動可能に取り付けられている。
【0041】
防護扉55が閉じた状態において左側構造体52の奥行き寸法は、精算機本体10のハウジング12の奥行き寸法よりも小さい。本実施形態では、防護扉55が閉じた状態において左側構造体52の奥行き寸法は、精算機本体10のハウジング12の奥行き寸法の2分の1未満である。また、固定部66の長さ寸法は、図1に示すように、当該固定部66の下端部を下側構造体51に取り付け、当該固定部66の上端部に上側構造体54を取り付けた状態で、下側構造体51の上面部51Cと上側構造体54の下面部54Aとの間の距離が、精算機本体10のハウジング12の高さ寸法とほぼ等しい値(厳密には、組付誤差等を考慮して僅かに大きい値)となるように設定されている。一方、可動部67の長さ寸法は、固定部66を上述したように下側構造体51と上側構造体54との間に取り付けたときに、可動部67の下端部と下側構造体51の上面部51Cとの間、および可動部67の上端部と上側構造体51の下面部54Aとの間にそれぞれ僅かな隙間(例えば数mm)が形成されるように、固定部66の長さ寸法よりも小さい寸法に設定され、下側構造体51と上側構造体54との間における可動部67の回動を許すようになっている。また、長丁番68の長さ寸法は、可動部67の長さ寸法とほぼ同じである。
【0042】
また、左側構造体52は、図3に示すように、固定部66の下端部を、下側構造体51の上面部51Cに形成された挿入口62に挿入することにより、下側構造体51に取り付けられている。また、左側構造体52の固定部66は、図8に示すように、精算機本体10のハウジング12の内部から、ハウジング12の左面板部12Aに形成された取付孔14を通して、左側構造体52に形成された取付孔69に固定部材としてのボルト92を締着させることによりハウジング12の左面板部12Aに固定される。
【0043】
右側構造体53は、図2および図8に示すように、閉状態の前面扉21の右側縁部と精算機本体10との境界部分Cを当該境界部分Cの右側から覆うものであり、例えば鋼等の金属材料から長尺な角筒状に形成されている。右側構造体53の奥行き寸法は、精算機本体10のハウジング12の奥行き寸法よりも小さい。本実施形態では、右側構造体53の奥行き寸法は、精算機本体10のハウジング12の奥行き寸法の2分の1未満である。また、右側構造体53の長さ寸法は、左側構造体52の固定部66と等しい寸法に設定されている。また、右側構造体53は、その下端部を下側構造体51の上面部51Cに形成された挿入口62に挿入することにより、下側構造体51に取り付けられている。また、右側構造体53は、図8に示すように、精算機本体10のハウジング12の内部から、ハウジング12の右面板部12Bに形成された取付孔15を通して、右側構造体53に形成された取付孔71に固定部材としてのボルト93を締着させることによりハウジング12の右面板部12Bに固定される。さらに、右側構造体53の前面側下部には、防護扉55のスライドフック87を係止するためのフック係合ピン72が設けられている。
【0044】
上側構造体54は、図2に示すように、閉状態の前面扉21の上側縁部と精算機本体10との境界部分Dを当該境界部分Dの上側から覆うものであり、例えば鋼等の金属材料により平たい中空の箱状に形成されている。また、上側構造体54の下面部54Aには一対の挿入口74が形成され、上側構造体54は、これら挿入口74に左側構造体52の上端部と右側構造体53の上端部をそれぞれ挿入することにより、左側構造体52および右側構造体53の上側に取り付けられている。ここで、一対の挿入口74の配置は、左側構造体52の固定部66と右側構造体53とを挿入したときに、左側構造体52と右側構造体53との間の距離が精算機本体10のハウジング12の幅寸法とほぼ等しくなる(厳密には組付誤差等を考慮してハウジング12の幅寸法よりも僅かに大きくなる)ように設定されている。
【0045】
また、上側構造体54は、図2および図3に示すように、精算機本体10のハウジング12の内部から、ハウジング12の上面板部12Cに形成された取付孔16(図2参照)を通して、上側構造体54に形成された取付孔75(図3参照)に固定部材としてのボルト(図示せず)を締着させることによりハウジング12の上面板部12Cに固定される。
【0046】
盗難防止装置3を料金精算機2に取り付けた状態では、下側構造体51は精算機本体10のベース部11の前側に嵌り、左側構造体52は精算機本体10のハウジング12の左面板部12Aに当接し、右側構造体53はハウジング12の右面板部12Bに当接し、上側構造体54はハウジング12の上面板部12Cに当接し、この結果、閉状態の前面扉21の縁部と精算機本体10との境界部分A、B、C、D(図2および図8参照)は全周に亘って盗難防止装置3により覆われている。ところが、左側構造体52、右側構造体53および上側構造体54の奥行き寸法は、精算機本体10のハウジング12の奥行き寸法よりも大幅に小さい。すなわち、左側構造体52、右側構造体53および上側構造体54は、精算機本体10の前側のみを覆い、精算機本体10の後ろ側は覆っていない。そして、精算機本体10の背面はその全部が外部に露出している。
【0047】
また、下側構造体51と左側構造体52、下側構造体51と右側構造体53、左側構造体52と上側構造体54、および右側構造体53と上側構造体54は、それぞれ互いに着脱可能である。すなわち、下側構造体51、左側構造体52、右側構造体53および上側構造体54を組み付け、これらをボルト91、92、93等により精算機本体10に固定した状態では、これら構造体51ないし54を分離することはできない。しかし、ボルト91、92、93等を取り外して盗難防止装置3を料金精算機2から分離させるときには、上記構造体51ないし54を互いに分離させることができる。
【0048】
防護扉55は左側構造体52の下部と右側構造体53の下部との間に架設され、鍵部23が配置された部位を含む前面扉21の下部領域のみを覆う。防護扉55は、例えば鋼板等により形成されている。また、防護扉55は、左側構造体52の可動部67に対して回動不能に取り付けられているものの、可動部67と一体となって固定部66に対して回動することにより、開閉可能となっている。
【0049】
また、防護扉55には、その前面側に開口した鍵操作凹部81が形成されている。そして、防護扉55の背面側には鍵フック機構82が取り付けられている。鍵フック機構82は、鍵シリンダ83、鍵ハンドル84、カム板85、スライドフック駆動部86、スライドフック87等を備えている。鍵シリンダ83の鍵穴83Aは鍵操作凹部81内において下向きに開口しており、鍵操作凹部81内において鍵を鍵穴83Aに下から上に差し込むようになっている。また、防護扉55を開けるときには、鍵を鍵穴83Aに挿入して解錠した後、鍵ハンドル84を回動させる。鍵ハンドル84の回動に伴い、カム板85が回動し、カム板85によりスライドフック駆動部86が上方向に押され、摺動し、これによりスライドフック87が上方向に移動し、右側構造体53に設けられたフック係合ピン72から外れるようになっている。
【0050】
また、鍵操作凹部81は、図6に示すように、設置面Gから例えばおよそ30cm以下の位置に配置されている。これにより、鍵操作凹部81内にドリル等の切削工具を差し込んで鍵穴83Aを破壊しようとしても、切削工具が設置面Gに当たってしまい、ドリルの先端を鍵穴83Aに接触させることができないため、鍵穴83Aの破壊を実現することはできない。さらに、防護扉55を閉じた状態では、フック係合ピン72およびスライドフック87等は外部から目視することも、触れることもできないようになっている。
【0051】
窓部56は、左側構造体52の上部と右側構造体53の上部との間に形成されている。前面扉21の上部に配置された料金精算機2の操作パネル部25に配置された表示部31、操作キー32、カード挿入口33等の各種部品は窓部56を介して外部に露出する。
【0052】
本発明の実施形態による盗難防止型料金精算システム1は以上のような構成を有するものであり、次に、盗難防止装置3の料金精算機2への装着手順について説明する。まず、下側構造体51を、精算機本体10のベース部11の前方から当該ベース部11に向けて奥行き方向にスライドさせ、下側構造体51の支持部64間にベース部11を挟み込むと共に、下側構造体51の背面部51Bをベース部11の前面に当接させる。続いて、下側構造体51の上面部51Cに形成された工具挿入開口部63からボルト91および工具を挿入し、ボルト91を、下側構造体51に形成された取付孔61を通してベース部11の取付孔13に締着させる。これにより、下側構造体51がベース部11に固定される。
【0053】
続いて、左側構造体52の固定部66の下端部を下側構造体51の挿入口62に挿入する。そして、精算機本体10の前面扉21を開け、ハウジング12の中から、ボルト92を、ハウジング12に形成された取付孔14を通して固定部66の取付孔69に締着させる。これにより、左側構造体52がハウジング12に固定される。同様に、右側構造体53の下端部を下側構造体51の挿入口62に挿入し、精算機本体10のハウジング12の中から、ボルト93を、ハウジング12に形成された取付孔15を通して右側構造体53の取付孔71に締着させる。これにより、右側構造体53がハウジング12に固定される。
【0054】
続いて、左側構造体52の固定部66の上端部および右側構造体53の上端部を上側構造体54の各挿入口74に挿入することにより、上側構造体54を左側構造体52および右側構造体53の上側に取り付け、ハウジング12の中から、ボルトを、ハウジング12に形成された取付孔16を通して上側構造体54の取付孔75に締着させる。これにより、上側構造体54がハウジング12に固定される。最後に、防護扉55を左側構造体52の可動部67にボルトを用いて固定し、これにより盗難防止装置3の料金精算機3への装着が完了する。
【0055】
以上説明した通り、本発明の実施形態による盗難防止型料金精算システム1によれば、盗難防止装置3を料金精算機2の前側から装着することができるので、既に設置面Gに設置済みの料金精算機2に盗難防止装置3を装着するに際し、料金精算機2を設置面Gから取り外す必要がない。したがって、既設の料金精算機2に対しても盗難防止装置3を容易に装着することができる。
【0056】
また、盗難防止装置3により、精算機本体10の前面扉21と精算機本体10との境界部分A、B、C、Dを全周に亘って覆うことができる。これにより、前面扉21と精算機本体10との間にバール等の工具を挿入することはできない。したがって、前面扉21をこじ開けて精算機本体10内に収容された売上金等の物を持ち出すことはできない。このように、盗難防止装置3により高い防犯性を実現することができる。
【0057】
また、盗難防止装置3は精算機本体10の前側のみを覆い、料金精算機2の後ろ側や背面側は覆っていない。このため、料金精算機2の後ろ側や背面側を覆うための部材、例えば、精算機本体10のハウジング12の左面板部12A、右面板部12B、上面板部12Cおよび背面板部をそれぞれ全面的に覆うような鋼板は不要である。したがって、盗難防止装置3の小型化を図ることができると共に、使用材料および部品点数を減らすことができ、製造コストを削減することができる。さらに、防護扉55を左側構造体52の下部と右側構造体53の下部との間に架設し、前面扉21のうち鍵部23が配置された下部領域のみを覆い、上部には窓部56を形成する構成としたことによっても、使用材料および部品点数を減らすことができ、製造コストを下げることができる。
【0058】
また、防護扉55を閉じることによって工具挿入開口部63を閉塞した状態では、下側構造体51をベース部11に固定するためのボルト91を外部から目視することができず、もちろん触れることもできない。また、左側構造体52をハウジング12に固定するためのボルト92、右側構造体53をハウジング12に固定するためのボルト93、および上側構造体54をハウジング12に固定するためのボルトはいずれもハウジング12内から取り付けられているため、前面扉21が閉じた状態では、これらのボルト92,93等を目視することができず、触れることもできない。このように、前面扉21および防護扉55を閉じた状態では、盗難防止装置3と料金精算機2とがどのように固定されているのかを外部から認識することができないため、一般の者は盗難防止装置3を料金精算機2から取り外す方法を知ることができない。したがって、盗難防止装置3を料金精算機2から取り外すことは極めて困難であり、それゆえ、盗難の抑止効果を高めることができる。
【0059】
また、左側構造体52において、固定部66に対して回動可能な可動部67に防護扉55を固定し、可動部67と防護扉55とを一体的に回動させることにより、防護扉55を開閉させる構造としたことにより、防護扉55を開けたときには、精算機本体10の前面扉21を何の障害もなく大きく開けることができる。すなわち、防護扉55を開けてから前面扉21を開ける際に、左側構造体52や防護扉55が前面扉21にぶつかって前面扉21の開放動作を邪魔することがない。一方、前面扉21を閉じ、防護扉55を閉じたときには、左側構造体52により、前面扉21と精算機本体10との境界部分Bを完全に覆うことができ、防犯性を向上させることができる。
【0060】
ここで、図9(1)は、本発明の別の実施形態である盗難防止装置101をフラップ式駐車場などの簡易的な料金精算機102に装着した例を示し、図9(2)は、本発明のさらに別の実施形態である盗難防止装置201をゲート式駐車場などの多機能な料金精算機202に装着した例を示している。これら盗難防止装置101、201および上記盗難防止装置3の構成は、下側構造体103、203、51の幅寸法、上側構造体104、204、54の幅寸法、および防護扉105、205、55の幅寸法が異なる点を除き、それぞれ同じである。盗難防止装置101、201および上記盗難防止装置3における下側構造体103、203、51の幅寸法、上側構造体104、204、54の幅寸法、および防護扉105、205、55の幅寸法は、料金精算機102、202、2の幅寸法に対応するようにそれぞれ設定されている。一方、盗難防止装置101、201および上記盗難防止装置3における左側構造体52および右側構造体53はそれぞれ共通である。このように、料金精算機102、202、2の横幅寸法と奥行き寸法が異なっても、高さ寸法が同じである限り、盗難防止装置101、201、3の部材の一部を共通化させることができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0061】
なお、精算機本体10のハウジング12の左面板部12A、右面板部12Bおよび上面板部12C、背面板部(図示せず)のうち少なくともいずれか1つ、好ましくはすべて板部に、ハウジング12の内部または外部から当該板部に重なり合うように補強板を設けてもよい。補強板は強度の高い例えば金属の厚板から形成することが望ましい。すなわち、これまではバール等を使用した前面扉21のこじ開けと、ドリル等の切削工具を使った鍵穴83Aへの攻撃を防御する点を説明したが、さらに悪質なケースとしては電動カッターやガスバーナーなどで精算機本体10の側面や背面を切断、溶断して内部の売上金を盗難する場合が考えられる。ハウジング12の左面板部12A、右面板部12Bおよび上面板部12Cに補強板を設けて精算機本体10の側面や背面を二重板構造にすることにより、切断強度や溶断強度を高めることができ、上記盗難行為を防止することができる。しかも、精算機本体10の側面や背面の増強を、例えば四角形等の単純な外形を有する金属厚板を貼り付けるだけで安価に実現することができる。したがって、盗難防止装置3と補強板とを組み合わせることにより盗難防止型料金精算システム1の防犯性を低い製造コストで向上させることができる。つまり、上記特許文献1または2に記載された料金精算機全体を覆う構成の盗難防止装置と比較して同等またはそれ以上の強度および防犯性を低コストで実現することができる。さらに、補強板は、ハウジング12の内部から各板部に貼り付けることができ、この場合には、料金精算機2の外観上の配慮が必要ないため、例えば塗装をせずに簡単な錆止めを施した程度の補強板を用いることができ、これによっても製造コストを下げることができる。また、ハウジング12の内部から各板部に補強板を取り付ける場合には、ハウジング12の外面に印刷文字やロゴマークなどが補強板の取り付けによって隠れることがないので、補強を簡単に行うことができる。
【0062】
また、上述した実施形態では、図4に示すように、右側構造体53に2つのフック係合ピン72を設け、これらフック係合ピン72に、防護扉55のスライドフック87を係合することにより、防護扉55を閉じたときに防護扉55を精算機本体10に係止する構成を例にあげたが、この構成に限らず、より多数のフック係合ピンと、これら多数のフック係合ピンに係合する多数のフック部を有するスライドフックを設けてもよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、駐車料金精算機または駐輪料金精算機に本発明を適用する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らず、自動販売機、券売機等にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、無人管理のフラップ式駐車場や、ゲート式駐車場、駐輪場などの料金精算機の盗難防止装置および盗難防止型駐車料金精算システムとして利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 盗難防止型料金精算システム
2、102、202 料金精算機
3、101、201 盗難防止装置
10 精算機本体
11 ベース部
12 ハウジング
12A 左面板部
12B 右面板部
12C 上面板部
13、14、15 取付孔
21 前面扉
23 鍵部
25 操作パネル部
51、103、203 下側構造体
51A 前面部
51B 背面部
51C 上面部
52 左側構造体
53 右側構造体
54、104、204 上側構造体
55、105、205 防護扉
56 窓部
61、69、71、75 取付孔
63 工具挿入開口部
64 支持部
66 固定部
67 可動部
68 長丁番(回動連結部材)
91、92、93 ボルト(固定部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
料金精算機本体と、前記料金精算機本体の前面側に設けられた前面扉と、前記前面扉に設けられた鍵部とを備えた料金精算機の前面側に装着することにより、前記料金精算機内に収容された物の盗難を防止する盗難防止装置であって、
前記料金精算機本体の前方から前記料金精算機本体の前面側下部に装着可能であり、閉状態の前記前面扉の下側縁部と前記料金精算機本体との境界部分を覆う下側構造体と、
前記料金精算機本体の奥行き寸法よりも小さい奥行き寸法を有し、前記下側構造体に取り付けられ、閉状態の前記前面扉の左側縁部と前記料金精算機本体との境界部分を覆う左側構造体と、
前記料金精算機本体の奥行き寸法よりも小さい奥行き寸法を有し、前記下側構造体に取り付けられ、閉状態の前記前面扉の右側縁部と前記料金精算機本体との境界部分を覆う右側構造体と、
前記左側構造体および前記右側構造体に取り付けられ、閉状態の前記前面扉の上側縁部と前記料金精算機本体との境界部分を覆う上側構造体と、
前記左側構造体と前記右側構造体との間に架設され、前記前面扉のうち前記鍵部が配置された部位を含む領域を開閉可能に覆う防護扉とを備えていることを特徴とする盗難防止装置。
【請求項2】
前記防護扉は前記左側構造体の下部と前記右側構造体の下部との間に架設され、前記鍵部が配置された部位を含む前記前面扉の下部領域のみを覆い、前記左側構造体の上部と前記右側構造体の上部との間には、前記前面扉の上部に配置された前記料金精算機の操作パネル部を外部に露出させるための窓部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の盗難防止装置。
【請求項3】
前記下側構造体には、当該下側構造体の両端部から奥行き方向にそれぞれ伸び、当該下側構造体を前記料金精算機本体の前面側下部に装着するときに前記料金精算機本体の下部を左右から挟む一対の支持部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の盗難防止装置。
【請求項4】
前記下側構造体と前記左側構造体、前記下側構造体と前記右側構造体、前記左側構造体と前記上側構造体、および前記右側構造体と前記上側構造体は、それぞれ互いに着脱可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の盗難防止装置。
【請求項5】
前記下側構造体は、少なくとも前面部、背面部および上面部を有する断面コ字状または断面ロ字状の構造体であり、
前記下側構造体は、前記下側構造体の内部から、前記下側構造体の背面部に形成された取付孔を通して、前記料金精算機本体の前面側下部に形成された取付孔に固定部材を締着させることにより前記料金精算機本体の前面側下部に固定され、
前記下側構造体の上面部には、前記下側構造体を前記料金精算機本体の前面側下部に固定する際に前記固定部材を締結するのに用いる工具を前記下側構造体の内部に挿入するための工具挿入開口部が形成され、
前記工具挿入開口部は前記防護扉が閉状態のときに前記防護扉により閉塞されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の盗難防止装置。
【請求項6】
前記料金精算機本体は、左面板部、右面板部、上面板部および背面板部を有し、前面側の開口部が前記前面扉により開閉可能に閉塞されるハウジングを備え、
前記左側構造体は、前記ハウジングの内部から、前記ハウジングの左面板部に形成された取付孔を通して、前記左側構造体に形成された取付孔に固定部材を締着させることにより前記ハウジングの左面板部に固定され、
前記右側構造体は、前記ハウジングの内部から、前記ハウジングの右面板部に形成された取付孔を通して、前記右側構造体に形成された取付孔に固定部材を締着させることにより前記ハウジングの右面板部に固定されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の盗難防止装置。
【請求項7】
前記左側構造体は、固定部と、固定部に回動連結部材を介して回動可能に取り付けられた可動部とから構成され、前記防護扉は、前記可動部に対して回動不能に取り付けられ、前記防護扉の開閉時には前記可動部と一体的に回動することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の盗難防止装置。
【請求項8】
料金精算機本体、前記料金精算機本体の前面側に設けられた前面扉、および前記前面扉に設けられた鍵部を有する料金精算機と、前記料金精算機の前面側に装着され、前記料金精算機内に収容された物の盗難を防止する盗難防止装置とを備えた盗難防止型料金精算システムであって、
前記盗難防止装置は、
前記料金精算機本体の前方から前記料金精算機本体の前面側下部に装着され、閉状態の前記前面扉の下側縁部と前記料金精算機本体との境界部分を覆う下側構造体と、
前記料金精算機本体の奥行き寸法よりも小さい奥行き寸法を有し、前記下側構造体に取り付けられ、閉状態の前記前面扉の左側縁部と前記料金精算機本体との境界部分を覆う左側構造体と、
前記料金精算機本体の奥行き寸法よりも小さい奥行き寸法を有し、前記下側構造体に取り付けられ、閉状態の前記前面扉の右側縁部と前記料金精算機本体との境界部分を覆う右側構造体と、
前記左側構造体および前記右側構造体に取り付けられ、閉状態の前記前面扉の上側縁部と前記料金精算機本体との境界部分を覆う上側構造体と、
前記左側構造体と前記右側構造体との間に架設され、前記前面扉のうち前記鍵部が配置された部位を含む領域を開閉可能に覆う防護扉とを備えていることを特徴とする盗難防止型料金精算システム。
【請求項9】
前記料金精算機本体は、左面板部、右面板部、上面板部および背面板部を有し、前面側の開口部が前記前面扉により開閉可能に閉塞されるハウジングを備え、
前記ハウジングの左面板部、右面板部および上面板部のうち少なくともいずれか1つの板部に、前記ハウジングの内部または外部から当該板部に重なり合うように補強板を設けることを特徴とする請求項8に記載の盗難防止型料金精算システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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