説明

監視カメラシステム

【課題】 従来の監視カメラシステムでは、災害発生時に、電力供給が停止する。その場合、バックアップ電源に切替えて、カメラ端局の機器に電力を一時的に供給する。しかし、バックアップ電源の限られた電力容量では、カメラ端局の機器を長時間運用することができない。このため、限られた電力容量のバックアップ電源を長時間運用することができるように監視カメラシステムの運用を切替える。
【解決手段】 常時電源が電源断となった時に、カメラ端局の必要最小限の機器にバックアップ電源を供給し、映像信号を監視局等に伝送する。また、バックアップ電源供給時には、常時動画を必要としない場合の映像について、要求時又は断続的に映像を伝送し、消費電力を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
CCTV( Closed Circuit Tel-Vision )システム等の監視カメラシステムに関し、特に、災害発生時のカメラ装置の電源管理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のCCTV( Closed Circuit Tel-Vision )システム等の監視カメラシステムにおけるカメラ装置側(カメラ端局)の設備では、バックアップ電源が無い場合が多く、電力が供給できなくなるとシステムが停止してしまう。
近年、各地で災害が多発していることから、CCTVシステムで各地のカメラ端局から送信されてくる映像が重要視されてきており、バックアップ電源を設置するケースが多くなってきた。
【0003】
しかし、バックアップ電源としては、蓄電池等のバッテリーによるものが多く、永久に電源を供給できるものではない。また、太陽発電、風力発電など自己給電設備も考えられるが、コストがかかるため採用されるケースはまれである(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005− 94401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、従来技術では、災害発生時に、電力供給が停止することがある。このような時には、バックアップ電源に切替えて、カメラ端局の機器に電力を一時的に供給する。しかし、バックアップ電源の限られた電力容量では、カメラ端局の機器を長時間運用することができなかった。
本発明の目的は、限られた電力容量のバックアップ電源を長時間運用することができる監視カメラシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の監視カメラシステムは、通常時にカメラ端局に供給されていた常時電源が電源断となった時に、カメラ端局の必要最小限の機器にバックアップ電源を供給し、映像信号を監視局等に伝送する。
また、バックアップ電源供給時には、常時動画を必要としない場合の映像について、要求時又は断続的に映像を伝送し、消費電力を抑え長時間運用できるようにしたものである。
【0006】
即ち、本発明の監視カメラシステムは、撮影した画像を第1の映像伝送部で送信するカメラ端局と、伝送路を介して、上記画像を受信する監視局を有した監視カメラシステムにおいて、上記カメラ端局は、上記画像を撮影するカメラ装置と、上記画像を送信する第1の映像伝送部と、上記監視局から送信される指示情報を受信する第1の制御伝送部と、上記カメラ端局に電力を供給する電源制御部と、バックアップ電源を備え、上記監視局は、上記カメラ局からの画像を受信する第2の映像伝送部と、操作部と、上記操作部から出力される制御信号を指示情報として上記カメラ局に送信する第2の制御伝送部と、上記第2の映像伝送部が受信した画像を表示するモニタを備え、上記電源制御部は、上記カメラ端局に供給される常用電源の供給電力を監視し、上記供給電力が所定の値になった場合には、上記カメラ端局に供給する電力を上記バックアップ電源の電力に切替え、上記第1の制御伝送部だけに電力を供給し、上記監視局から送信される指示情報に応じて、上記カメラ端局の上記カメラ装置、上記第1の映像伝送部、上記カメラ制御部の少なくともいずれか1つに上記バックアップ電源の電力を供給するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、消費電力を極力抑えることができ、長時間のシステム運用が可能となった。また、本発明の第2の効果として、バックアップ電源の電力容量を少なくすることができ。カメラ端局等、現場設備のコストダウンも可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の監視カメラシステムの一実施例について、その構成を図1によって説明する。図1は、本発明の監視カメラシステムの構成を示すブロック図である。110 はカメラ端局、120 は監視局、130 はカメラ端局 110 と監視局 120 とを通信手段で結合するための専用回線等の伝送線路である。また、11 はカメラ端局 110 のカメラ装置、12 はカメラ端局 110 の機側装置、13 はカメラ制御部、14 は映像伝送部、15 は制御伝送部、16 は電源制御部、17 はバックアップ電源、18 は電源制御部 16 のタイマー機能を備えた時計、19 は電源制御部 16 のメモリ、21 は映像伝送部、22 はモニタ、23 は制御伝送部、24 は操作部である。カメラ制御部 13 、映像伝送部 14 、制御伝送部 15 、電源制御部 16 、及び、バックアップ電源 17 は、機側装置 12 の一部を構成する。また、映像伝送部 21 、モニタ 22 、制御伝送部 23 、及び、操作部 24 は、監視局 120 の一部を構成する。
【0009】
図1に示すように、本発明の一実施例の監視カメラシステムは、カメラ端局 110 と監視局 120 とに分けられ、伝送線路で結合されている。
カメラ端局 110 は、カメラ装置 11 と機側装置 12 で構成されている。カメラ装置 11 は更に、少なくとも、カメラ、ズームレンズ、カメラケース、及び、旋回装置で構成されている。
【0010】
図1において、常用電源によって電力がカメラ端局 110 に供給されている時は、細い矢印の電源線によって、カメラ端局 110 の各機器に電力が供給されている。
また、災害発生時等で、常用電源の電力がカメラ端局 110 に供給されない時は、太い矢印の電源線によって、バックアップ電源 17 から、カメラ端局 110 の各機器に電力が供給されている。
なお、監視局 120 側での電力の供給については省略している。
【0011】
まず、常用電源の電力がカメラ端局 110 に供給されているときの、監視カメラシステムの運用について、簡単に説明する。
【0012】
図1において、カメラ装置 11 が撮影した画像は、電気信号に変換され、画像データとして、画像伝送部 14 から、伝送線路 130 を介して監視局 120 送信される。
送信された画像データは、監視局 120 の映像伝送部 21 が受信し、表示可能な形式に変換してモニタ 22 に出力する。モニタ 22 は、カメラ端局 110 から送信された画像を表示する。監視局 120 の監視員は、モニタ 22 の表示画面を見て監視業務を行う。
【0013】
また監視員は、カメラ端局 110 のカメラ装置 11 を制御する必要が生じた時には、操作部 24 を操作して指示を出す。操作部 24 は、監視員の操作によって、対応する制御信号を制御伝送部 23 に出力する。制御伝送部 23 は、操作部 24 の制御信号に対応した指示情報をカメラ端局 110 に伝送線路 130 を介して送信する。なお、監視員の操作部 24 から操作する対象は、カメラ装置 11 に限らず、カメラ端局 110 内の機器すべてについて可能である。例えば、監視員はカメラ端局 110 の制御伝送部 15 を介して、電源制御部 16 に指示情報を送信することもできる。
【0014】
カメラ端局 110 では、監視局 120 から送信された指示情報を、制御伝送部 15 が受信し、指示情報の内容を判別して、対応する機器(例えばカメラ制御部 13 又は電源制御部 16 )に出力する。
【0015】
カメラ制御部 13 は、入力された指示情報に応じて、更に、カメラ装置 11 を制御する制御信号をカメラ装置 11 に出力する。
カメラ装置 11 は、入力された指示情報に対応して、カメラ自身の動作、ズームレンズの倍率、レンズ絞り、若しくは、旋回装置(例えば、パン角又はチルト角)の設定を変更する。
【0016】
電源制御部 16 は、常用電源の入力電力を常に監視している。災害等の発生等、事故や故障によって常用電源の供給が止まるか供給電力が不足した場合には、電源制御部 16 に入力される常用電源の電力が低下またはゼロになる。電源制御部 16 は、入力される電力が所定電力未満である状態が所定時間継続すると、カメラ端局 110 の各機器に対しての電源の供給を停止する。
【0017】
そして、電源制御部 16 は、供給電源をバックアップ電源 17 に切替え、バックアップ電源 17 の電力を制御伝送部 15 に供給する。また同時に、電源制御部 16 は、カメラ端局 110 の電力供給がバックアップ電源で行われていることを、制御伝送部 15 から伝送線路 130 を介して監視局 120 に送信する。
監視局 120 は、制御伝送部 23 でその情報(カメラ端局 110 の供給電源がバックアップ電源に切替えられたこと)を受信し、例えば、操作部 24 の表示部に表示する。また例えば、モニタ 22 に映像伝送部 21 を介して表示する。
またこのように、常用電源の電力供給能力が低下又はゼロになっても、バックアップ電源 17 から電力が供給されているため、カメラ端局 110 の制御伝送部 15 は、監視局 120 の制御伝送部 23 から送信される指示情報を受信できる。
【0018】
次に、カメラ端局 110 の中で、監視局 120 まで映像を伝送するために最低限必要になる機器は、カメラ装置 11と映像伝送部である。
常用電源の供給が停止している時や、電源制御部 16 が常用電源の供給ゼロと判定した時には、バックアップ電源 17 から電力が供給されている。
【0019】
監視局 120 において、監視員の判断等により、バックアップ電源で電力供給が行われているカメラ端局 110 の映像を動画で見ようとした時、監視員は、操作部 24 を操作して、制御伝送部 23 と伝送線路 130 を介して当該カメラ端局 110 の制御伝送部 15 に当該指示情報を送信する。
【0020】
制御伝送部 15 は、受信した指示情報に応答して、受信したことを監視局 120 の制御伝送部 23 に返して操作部 24 に表示(又は音声出力でも可)させ、同時に、電源制御部 16 に制御信号を出力して、動画像を監視局 120 に送信するように指示すると共に、カメラ装置 11 と映像伝送部 14 に電源を供給する。
制御伝送部 15 は、カメラ制御部 13 からの受信確認信号を入力して、カメラ装置 11 、カメラ制御部 13 、及び、映像伝送部 14 が電源供給により動作を開始したことを確認して、次の制御信号が入力するまで待機する。
ただし、バックアップ電源の電力を節約するため、カメラ装置 11 は動画を撮映するための最小限の機能にとどめる。例えば、旋回台、ズーム倍率変更、レンズ絞り、及び、カメラケースの前面パネルのヒータ加熱やワイパ駆動、等の機能である。なお、図1では、ワイパやヒータ等を省略している。
【0021】
なお、更に電源を節約するために、連続的に映像を送らず、定期的若しくは間歇的に映像伝送しても良い。また、静止画(動画1フレーム分)を撮影し送信するようにしても良い。
【0022】
監視局 120 では、要求した動画を画像データとして、伝送路 130 を介して映像伝送部 21 で受信し、受信した画像データを表示可能な形式に変換して、モニタ 22 に出力する。モニタ 22 は入力された動画を表示する。
監視局 120 の監視員は、バックアップ電源使用時のカメラ端局 110 に対して、要求した動画を取得した後、動画撮影停止要求を操作部 24 で行う。操作部 24 は、停止要求の指示情報を伝送線路 130 を介して監視局 110 に送信する。
監視局 110 の制御伝送部 15 は、動画撮影停止要求の指示情報を受信し、受信確認応答を監視局 120 に返信すると共に、電源制御部 16 に動画撮影停止の制御信号を出力する。
電源制御部 16 は、制御伝送部 15 以外の機器へのバックアップ電源の供給を停止する。
【0023】
また、監視局 120 において、監視員の判断等により、バックアップ電源で電力供給が行われているカメラ端局 110 の映像を1フレーム分見ようとした時も上記と同様に、監視員は、操作部 24 を操作することにより、1フレーム分の映像データがカメラ局 110 より監視局 120 に送信される。
この場合には、制御伝送部 15 は、1フレーム分の映像が送信されたことを映像伝送部 14 から得る情報で確認して、電源制御部 16 に動画撮影停止の制御信号を出力する。電源制御部 16 は、制御伝送部 15 以外の機器へのバックアップ電源の供給を停止する。
【0024】
次に、監視局 120 において、監視員の判断等により、バックアップ電源で電力供給が行われているカメラ端局 110 の映像を定期的に見ようとした時、監視員は、操作部 24 を操作して、制御伝送部 23 と伝送線路 130 を介して当該カメラ端局 110 の制御伝送部 15 に当該指示情報を送信する。
制御する内容としては、カメラ装置 11 が画像を撮影する時間又は周期、及び、送信される画像が1フレーム(静止画)であるか動画像であるかである。また、動画像である場合には、フレームレート(撮影若しくは伝送)や撮影を継続している時間、等である。また、更に、伝送する画像の画素サイズ、圧縮率、等である。
なお、カメラ装置の撮影開始時間だけ指定し、監視局で画像を確認して、その後、監視員の操作により停止の指示を出しても良い。
【0025】
このため、カメラ端局 110 の電源制御部 16 は、タイマー機能を備えた時計 18 と、メモリ 19 を備え、監視局 120 から、定期的に映像を送信することを指示する指示情報が制御伝送部 15 を介して受信した時に、メモリ 19 に指示情報を記憶し、かつ、時計 18 のタイマーを機能させ、必要な時刻になった時に、各機器にバックアップ電源 17 の電力を供給する。更に、各機器の制御が必要な指示情報であれば、制御伝送部 15 に指示情報を出力して、制御伝送部 15 から制御信号を対応する機器に出力することによって当該指示を実行させる。
【0026】
なお、電源制御部 16 の備えるメモリ 19 は、例えば、カメラ端局 110 の図示しない操作部から設定情報を入力又は変更できる。また、メモリ 19 は、監視局 120 の操作部 24 からの操作によってあらかじめ設定又は変更しておくことができる。
従って、カメラ端局 110 の常用電源の電力供給が、低下又はゼロになった時に、監視局 120 からの新しい操作が無くても、自動的に、バックアップ電源による動作時の指示情報が実行できる。
【0027】
以上のように、図1の実施例によれば、限られた電力容量のバックアップ電源を長時間運用することができるように監視カメラシステムを切替える。消費電力を極力抑えることができ、長時間のシステム運用が可能となる。また、本発明の第2の効果として、バックアップ電源の電力容量を少なくすることができ。カメラ端局等、現場設備のコストダウンも可能となる。
なお、上記実施例では、カメラ端局を1つとして説明したが、複数あるのが一般的であり、監視局では複数のカメラ端局を監視している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の監視カメラシステムの一実施例の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0029】
110:カメラ端局、 120:監視局、 130:伝送線路、 11:カメラ装置、 12:機側装置、 13:カメラ制御部、 14:映像伝送部、 15:制御伝送部、 16:電源制御部、 17:バックアップ電源、 18:時計、 19:メモリ、 21:映像伝送部、 22:モニタ、 23:制御伝送部、 24:操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影した画像を第1の映像伝送部で送信するカメラ端局と、伝送路を介して、上記画像を受信する監視局を有した監視カメラシステムにおいて、
上記カメラ端局は、上記画像を撮影するカメラ装置と、上記カメラ装置を制御するカメラ制御部と、上記画像を送信する第1の映像伝送部と、上記監視局から送信される指示情報を受信する第1の制御伝送部と、上記カメラ端局に電力を供給する電源制御部と、バックアップ電源を備え、
上記監視局は、上記カメラ局からの画像を受信する第2の映像伝送部と、操作部と、上記操作部から出力される制御信号を指示情報として上記カメラ局に送信する第2の制御伝送部と、上記第2の映像伝送部が受信した画像を表示するモニタを備え、
上記電源制御部は、上記カメラ端局に供給される常用電源の供給電力を監視し、上記供給電力が所定の値になった場合には、上記カメラ端局に供給する電力を上記バックアップ電源の電力に切替え、上記第1の制御伝送部だけに電力を供給し、上記監視局から送信される指示情報に応じて、上記カメラ端局の上記カメラ装置、上記第1の映像伝送部、上記カメラ制御部の少なくともいずれか1つに上記バックアップ電源の電力を供給することを特徴とする監視カメラシステム。

【図1】
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