監視システム、監視システムに用いる親端末、および子端末
【課題】親端末と複数の子端末とを用いたマルチホップ通信を行うにあたって、通信トラフィックを低減させることができる監視システム、監視システムに用いる親端末、および子端末を提供する。
【解決手段】子端末2は、自端末と親端末1との間の通信経路を構築するためのトポロジー情報を、一定の時間間隔に設定された第1の送信タイミングで親端末1宛に送信する第1通信と、監視対象の監視情報を、第2の送信タイミングで親端末1宛に送信する第2通信とを行い、少なくとも一部の第1の送信タイミング、または少なくとも一部の第2の送信タイミングにおいて、トポロジー情報と監視情報とを含むトポロジー・監視情報を親端末1宛に送信し、少なくとも一部の第1通信、または少なくとも一部の第2通信を省略する。
【解決手段】子端末2は、自端末と親端末1との間の通信経路を構築するためのトポロジー情報を、一定の時間間隔に設定された第1の送信タイミングで親端末1宛に送信する第1通信と、監視対象の監視情報を、第2の送信タイミングで親端末1宛に送信する第2通信とを行い、少なくとも一部の第1の送信タイミング、または少なくとも一部の第2の送信タイミングにおいて、トポロジー情報と監視情報とを含むトポロジー・監視情報を親端末1宛に送信し、少なくとも一部の第1通信、または少なくとも一部の第2通信を省略する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親端末と複数の子端末とがマルチホップ通信を行う監視システム、監視システムに用いる親端末、および子端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、通信ネットワーク上に存在する通信端末間で通信する際に、情報を伝送しようとする通信端末間で通信を直接行うことができない場合に、他の通信端末を通信の中継に用いることによって通信を可能にするマルチホップ通信が知られている。このようなマルチホップ通信は、とくに通信ネットワークの一つである無線ネットワークにおいて用いられる。さらには、電力線搬送通信(以下、「PLC」(Power Line Communication)と略称する)の技術を用いて構築した通信ネットワークであるPLCネットワークにおいても、マルチホップ通信が用いられる(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
最近では、親を構成する通信端末(親端末)が、周辺に存在する子を構成する複数の通信端末(子端末)との間で通信を行う通信ネットワークがあり、親端末と子端末との間の通信に上記マルチホップ通信を用いることが提案されている。そして、親端末が、周辺の複数の子端末の各々から、直接的、または他の子端末を中継端末として用いて間接的に、監視情報等を取得する。
【0004】
このような通信ネットワークでは、通信端末の接続・離脱、通信環境の変動等によって、通信可能であった通信端末が通信不可能となって、通信ネットワークのネットワークトポロジーが変化する場合がある。したがって、各通信端末間で通信を良好に行うためには、通信環境の変動に適応した通信ルートの構築が必要になる。
【0005】
通信ルートを構築する方法としては、例えば、通信端末間で通信経路に関する情報を交換し、使用可能な通信経路のうち通信コストの低い(通信品質のよい)経路を選択することによって、通信端末間の通信経路を構築する方法がある。
【0006】
例えば、通信端末(親端末、子端末)は、隣接端末(1ホップで直接通信ができる通信端末)に対して定期的に、ハローパケット(Hello Packet、以下、「Hパケット」と称する)をブロードキャスト送信する。Hパケットは、各通信端末が、他の通信端末に対して自端末の生存を報知する通信パケットである。このHパケットには、ルート情報、リンク情報等が含まれる。Hパケットのルート情報は、Hパケットの送信元である子端末から親端末に至るまでの通信経路に関する情報である。Hパケットのリンク情報は、Hパケットの送信元である親端末または子端末と隣接端末との間の通信リンクに関する情報である。
【0007】
そして、子端末は、他の通信端末から受信したHパケットを受信し、このHパケットに含まれるルート情報、リンク情報に基づいて、親端末宛に情報を送信する場合に用いる通信経路を決定する。
【0008】
しかしながら、子端末が送信するHパケットは自端末の隣接端末にのみ到達するので、自端末と通信経路を構築する親端末との直接通信が不可能である子端末は、この親端末に対してトポロジー情報をユニキャスト送信する必要がある(トポロジー通知)。トポロジー情報には、ルート情報、リンク情報等が含まれる。トポロジー情報のルート情報は、トポロジー情報の送信元である子端末から親端末に至るまでの通信経路に関する情報である。トポロジー情報のリンク情報は、トポロジー情報の送信元である子端末と隣接端末との間の通信リンクに関する情報である。子端末は、このトポロジー情報を、自端末と通信経路を構築する親端末宛に定期的に送信する。
【0009】
親端末は、受信したトポロジー情報に基づいて、使用可能な通信経路のうち通信コストの低い(通信品質のよい)経路を選択することによって、子端末宛に情報を送信する場合に用いる通信経路を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−261361号公報
【特許文献2】特開2010−283587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の通信ネットワークにおいて、子端末は、トポロジー情報を親端末宛に定期的に送信する。
【0012】
さらに、マルチホップ通信を用いた監視システムの子端末は、温度センサを用いた気温の監視結果、湿度センサを用いた湿度の監視結果、人感センサを用いた防犯の監視結果等の監視情報を、親端末宛にユニキャスト送信する。
【0013】
而して、マルチホップ通信を用いた監視システムでは、1台の子端末が、監視情報だけでなく、トポロジー情報の定期送信も行うため、通信ネットワーク上の通信トラフィックが大きくなる傾向にあり、通信トラフィックの低減が望まれていた。
【0014】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、親端末と複数の子端末とを用いたマルチホップ通信を行うにあたって、通信トラフィックを低減させることができる監視システム、監視システムに用いる親端末、および子端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の監視システムは、親端末と、監視対象を監視する複数の子端末とで構成されて、前記子端末は、前記親端末宛に情報を送信し、且つ他の前記子端末が前記親端末宛に送信した情報を中継し、前記親端末は、前記子端末が送信した情報を、この子端末から直接、または他の前記子端末を介して受信する監視システムであって、前記子端末は、自端末と前記親端末との間の通信経路を構築するためのトポロジー情報を、一定の時間間隔に設定された第1の送信タイミングで前記親端末宛に送信する第1通信と、前記監視対象の監視情報を、第2の送信タイミングで前記親端末宛に送信する第2通信とを行い、少なくとも一部の前記第1の送信タイミング、または少なくとも一部の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報と前記監視情報とを含むトポロジー・監視情報を前記親端末宛に送信し、少なくとも一部の前記第1通信、または少なくとも一部の前記第2通信を省略することを特徴とする。
【0016】
この発明において、前記子端末は、前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー・監視情報を送信し、次の前記第1の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報を送信しないことが好ましい。
【0017】
この発明において、前記監視情報は、前記監視対象に応じた優先度が設定され、前記子端末は、自端末が送信する前記監視情報の優先度が所定レベルより低い場合、前記第2の送信タイミングにおいて、前記監視情報を送信せず、前記第1の送信タイミングにおいて、前記トポロジー・監視情報を送信することが好ましい。
【0018】
この発明において、前記子端末は、前記第2の送信タイミングと次の前記第1の送信タイミングとの時間差が所定時間以内であれば、この第2の送信タイミングにおいて、前記監視情報を送信せず、前記次の第1の通信タイミングにおいて、前記トポロジー・監視情報を送信することが好ましい。
【0019】
この発明において、前記子端末は、前記第1の送信タイミングの時間間隔内に、複数回の前記第2の送信タイミングが存在する場合、前記時間間隔内の最初の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー・監視情報を送信し、前記時間間隔内の2回目以降の前記第2の送信タイミングにおいて、前記監視情報のみを送信することが好ましい。
【0020】
この発明において、前記子端末は、前記時間間隔内の2回目以降の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報が、前記時間間隔内に送信した最新の前記トポロジー・監視情報に含まれる前記トポロジー情報から変化する度に、この変化した前記トポロジー情報を含む前記トポロジー・監視情報を送信することが好ましい。
【0021】
この発明において、前記第1の送信タイミングの時間間隔と、前記第2の送信タイミングの時間間隔とは同一であり、前記子端末は、前記第1の送信タイミングと前記第2の送信タイミングとがずれている場合、前記第2の送信タイミングを前記第1の送信タイミングに一致させることが好ましい。
【0022】
この発明において、前記子端末は、前記他の子端末が前記親端末宛に送信した情報を中継する場合、この中継する情報に自端末の前記トポロジー情報を含めることが好ましい。
【0023】
この発明において、前記子端末は、自端末の前記トポロジー情報を含む情報を送信してから所定時間が経過している場合、前記中継する情報に自端末の前記トポロジー情報を含めることが好ましい。
【0024】
この発明において、前記子端末は、前記第1の送信タイミングの時間間隔内に、前記中継の処理を複数回実行する場合、前記時間間隔内の最初の前記中継の処理において、前記中継する情報に自端末の前記トポロジー情報を含め、前記時間間隔内の2回目以降の前記中継の処理において、前記中継する情報に自端末の前記トポロジー情報を含めないことが好ましい。
【0025】
この発明において、前記子端末は、1または複数の通信パケットを用いて各情報を送信し、前記トポロジー・監視情報の送信に用いる通信パケットの数が、前記監視情報と前記トポロジー情報とのうち情報量が大きい一方の送信に用いる通信パケットの数より多い場合、前記トポロジー・監視情報を送信しないことが好ましい。
【0026】
本発明の親端末は、複数の子端末との間でマルチホップ通信を行う親端末であって、一定の時間間隔に設定された第1の送信タイミングで前記子端末から送信された、前記子端末との間で通信経路を構築するためのトポロジー情報を受信する第1通信と、第2の送信タイミングで前記子端末から送信された監視対象の監視情報を受信する第2通信とを行い、少なくとも一部の前記第1の送信タイミング、または少なくとも一部の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報と前記監視情報とを含んで前記子端末から送信されたトポロジー・監視情報を受信し、受信した前記トポロジー・監視情報から、前記トポロジー情報を抽出することを特徴とする。
【0027】
本発明の子端末は、親端末との間でマルチホップ通信を行う子端末であって、前記親端末との間で通信経路を構築するためのトポロジー情報を、一定の時間間隔に設定された第1の送信タイミングで前記親端末宛に送信する第1通信と、監視対象の監視情報を、第2の送信タイミングで前記親端末宛に送信する第2通信とを行い、少なくとも一部の前記第1の送信タイミング、または少なくとも一部の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報と前記監視情報とを含むトポロジー・監視情報を前記親端末宛に送信し、少なくとも一部の前記第1通信、または少なくとも一部の前記第2通信を省略することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明では、親端末と複数の子端末とを用いたマルチホップ通信を行うにあたって、通信トラフィックを低減させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態1の監視システムの通信ネットワークを示す概略図である。
【図2】同上の通信端末の構成を示すブロック図である。
【図3】同上の情報テーブルを示すテーブル図である。
【図4】同上のHパケットの送信処理を示すシーケンス図である。
【図5】同上のトポロジー情報の送信経路を示す概略図である。
【図6】同上のトポロジー情報および監視情報の送信処理を示すシーケンス図である。
【図7】実施形態2のトポロジー情報および監視情報の送信処理を示すシーケンス図である。
【図8】同上のトポロジー情報および監視情報の別の送信処理を示すシーケンス図である。
【図9】実施形態3のトポロジー情報および監視情報の送信処理を示すシーケンス図である。
【図10】同上のトポロジー情報および監視情報の別の送信処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の監視システムが構成する通信ネットワークの概略図である。この通信ネットワークは、親となる通信端末1と、複数の子となる通信端末2とで構成され、通信端末1、通信端末2のそれぞれは、無線通信技術またはPLC通信技術を用いて、互いに通信を行う。なお以降、親となる通信端末1は親端末1と称し、子となる通信端末2は子端末2と称す。さらに、子端末2を個別に識別する場合は、子端末2−1,2−2,2−3,...の符号を用いる。また、図1中の各通信リンクに付した数字は、この通信リンクの後述するリンクコストを示す。
【0032】
そして、子端末2は、温度センサを用いた気温の監視結果、湿度センサを用いた湿度の監視結果、人感センサを用いた防犯の監視結果等の監視情報を、親端末1宛に送信する。親端末1は、取得した監視情報を、図示しない上位の管理装置へ送信する機能や、各監視対象の状態を管理する機能を有する。
【0033】
この通信ネットワークでは、親端末1および子端末2は、マルチホップ通信により通信パケットを互いに送受している。すなわち、本通信ネットワークでは、親端末1と各子端末2との間で直接または間接に通信が行われ、親端末1と直接通信できない子端末2は、通信可能な距離にある他の子端末2が通信パケットを順次中継することで、親端末1との間で通信を行っている。この通信パケットを中継する子端末2が、中継端末を構成する。
【0034】
図2は、通信端末Aのブロック図である。本実施形態では、親端末1と子端末2とに同一の通信端末Aを用いており、例えば、通信端末Aは、ジャンパースイッチや切替スイッチ等の設定手段を用いて「親」に設定されることで親端末1として機能し、また「子」に設定されることで子端末2として機能する。また以降では、親端末1と子端末2とを区別しない場合、通信端末Aと称す。
【0035】
通信端末Aは、記憶部10と、制御部20と、通信インタフェース部30とを備えて構成される。
【0036】
記憶部10は、ROMなどの不揮発性のメモリ、EEPROMなどの書換え可能な不揮発性のメモリ、RAMなどの揮発性のメモリからなる。そして記憶部10は、ルート情報、リンク情報等が格納されている。ルート情報は、自端末(子端末2)と親端末1との間で構築可能な通信経路の通信コスト(通信品質)に関する情報である。リンク情報は、自端末(親端末1または子端末2)と隣接端末(直接通信可能な親端末1または子端末2)との間に形成される通信リンクの通信コスト(通信品質)に関する情報である。ここで、親端末1と子端末2との間における通信ルートは、1乃至複数の通信リンクによって形成されている。なお、記憶部10は、通信端末Aを動作させるための制御プログラム等の各プログラムや、各プログラムの実行に必要な情報等も記憶している。
【0037】
また、通信端末Aの各々には、シリアル番号(製造番号)やMACアドレス等の装置IDが予め割り付けられており、各通信端末Aの記憶部10には、この装置IDが予め格納されている。そして、通信端末Aが送受信する通信パケットは、この装置IDが付加されることによって通信制御がなされる。
【0038】
図3は、通信端末A(親端末1および子端末2)の記憶部10に格納されている情報テーブルTB1であり、ルート情報およびリンク情報をテーブル形式で記憶している。具体的に、情報テーブルTB1は、隣接端末ID、受信リンクコスト、送信リンクコスト、上位ルートコスト、仮ルートコスト、ルートコストの各フィールドが設けられている。
【0039】
情報テーブルTB1において、隣接端末IDは、自端末と直接通信が可能な隣接端末に割り付けられた端末IDであり、親端末1、子端末2の各々には、ユニークな端末IDが割り付けられている。受信リンクコストは、隣接端末から自端末への通信リンクの通信コストを示す。送信リンクコストは、自端末から隣接端末への通信リンクの通信コストを示す。上位ルートコストは、隣接端末から親端末1までの各通信経路の通信コストのうち、最も低い通信コストを示す。仮ルートコストは、受信リンクコストと上位ルートコストとの和である。ルートコストは、送信リンクコストと受信リンクコストのうち大きいほうのリンクコストと上位ルートコストとの和である。
【0040】
直接通信可能な2台の通信端末A−A間の通信リンクにおけるリンク通信コストは、例えば、通信品質値SQが用いられる。通信品質値SQは、直接通信可能な2台の通信端末A−A間の受信信号強度が大きいほど小さくなる整数値で表される。すなわち、通信品質値SQは、その整数値が小さいほど、通信パケットの減衰が小さく、通信状態がよい。
【0041】
そして、通信パケットを受信する場所におけるノイズレベルが異なることから、通信リンクにおける双方向の通信品質は互いに異なり、通信リンクにおける双方向の通信品質は、受信リンクコストおよび送信リンクコストで構成される。受信リンクコストは、直接通信可能な2台の通信端末A−A間のリンクにおいて、自端末Aが他の通信端末Aから通信パケットを受信したときのリンク通信コストである。送信リンク通信品質は、直接通信可能な2台の通信端末A−A間のリンクにおいて、自端末Aが他の通信端末Aへ通信パケットを送信し、他の通信端末Aが通信パケットを受信したときのリンク通信コストである。
【0042】
さらに、ルート情報には、通信経路を構成する中継端末に関する情報(子端末2から親端末1に至るまでに経由する中継端末の装置ID、ホップ数等の各情報)を含んでもよい。
【0043】
なお、上述の通信品質値SQは、受信信号強度と関連付けられたが、受信信号強度に代えて、SN比、EVM(Error Vector Magnitude)、ビットエラーレート、パケットエラーレート等の他の要素と関連付けて算出してもよい。
【0044】
次に、通信インタフェース部30は、他の通信端末Aとの間で通信を行うための通信インタフェース回路である。
【0045】
制御部20は、通信端末Aの各部を制御することによって通信端末A全体の動作を制御する装置であり、例えば、マイクロプロセッサおよびその周辺回路等で構成される。また、制御部20は、所定の時間の経過を計る図示しない計時手段を備えており、所定の時間間隔で、各種通信パケットの定期送信のタイミング到来を認識する。
【0046】
そして、通信端末A(親端末1、子端末2)は、隣接端末に対して定期的に、ハローパケット(Hello Packet、以下、背景技術と同様に「Hパケット」と称する)をブロードキャスト送信する。Hパケットは、各通信端末Aが、他の通信端末Aに対して自端末の生存を報知する通信パケットである。このHパケットには、Hパケットの送信元である通信端末Aの記憶部10に格納されている情報テーブルTB1のルート情報、リンク情報等が含まれる。
【0047】
例えば、図1の通信ネットワークにおけるHパケットの送信シーケンスの一例を、図4に示す。子端末2−1が送信したHパケットは、隣接端末である親端末1、子端末2−2,2−3,2−5,2−6に到達する。子端末2−3が送信したHパケットは、隣接端末である子端末2−1,2−2,2−6に到達する。子端末2−5が送信したHパケットは、隣接端末である子端末2−1,2−6に到達する。
【0048】
そして、子端末2は、他の通信端末Aが送信したHパケットを受信し、このHパケットに含まれるルート情報、リンク情報に基づいて、親端末1宛に情報を送信する場合に用いる通信経路を決定する。
【0049】
しかしながら、子端末2が送信するHパケットは隣接端末にのみ到達するので、自端末と通信経路を構築する親端末1との直接通信が不可能である子端末2は、この親端末1に対してトポロジー情報をユニキャスト送信する必要がある(トポロジー通知)。トポロジー情報には、トポロジー情報の送信元である子端末2の記憶部10に格納されている情報テーブルTB1のルート情報、リンク情報等が含まれており、通信端末Aが用いる通信プロトコルのルーティング層で授受される。トポロジー情報の送信タイミング(第1の送信タイミング)は、一定の時間間隔に設定され、子端末は、トポロジー情報を、自端末と通信経路を構築する親端末1宛に定期的にユニキャスト送信する(第1通信)。
【0050】
例えば、子端末2−6は、図5に示すように、子端末2−1を中継端末とする通信経路を用いて、親端末1宛に通信パケットを送信する。この場合、子端末2−6は、子端末2−1を中継端末として、親端末1へトポロジー情報を送信する。
【0051】
親端末1は、子端末2から送信されたトポロジー情報を受信する。そして、親端末1は、受信したトポロジー情報に基づいて、使用可能な通信経路のうち通信コストの低い(通信品質のよい)経路を選択することによって、子端末2宛に情報を送信する場合に用いる通信経路を決定する。
【0052】
なお、このルート情報、リンク情報を用いた通信端末A−A間の通信経路の構築については、周知の技術であり、詳細な説明は省略する。
【0053】
そして、上記のように親端末1−子端末2間の通信経路が構築された後、子端末2は、監視情報を、親端末1宛にユニキャスト送信する(第2通信)。監視情報は、温度センサを用いた気温の監視結果、湿度センサを用いた湿度の監視結果、人感センサを用いた防犯の監視結果等の情報である。監視情報の送信タイミング(第2の送信タイミング)は、温度、湿度等の監視結果の場合は、定期的に送信され、侵入者検知等の防犯の監視結果であれば、人検知等のイベント発生時に送信される。この監視情報は、ルーティング層より上位の通信プロトコルであるアプリケーション層で授受され、通信端末A−A間の通信は、アプリケーション層からルーティング層を介して行われる。そして、親端末1は、子端末2から送信された監視情報を受信する。
【0054】
このように、子端末2は、トポロジー情報および監視情報を、親端末1宛にユニキャスト送信する。以下、本実施形態におけるトポロジー情報および監視情報の送信処理を、図6の通信シーケンスを用いて説明する。
【0055】
まず、子端末2−3は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1との間で通信経路を構築しているものとする。そして、子端末2−3は、ルーティング層L1で作成したトポロジー情報J1を親端末1宛に送信する。子端末2−3が送信したトポロジー情報J1は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1に到達する。子端末2−3は、このトポロジー情報J1を、時間間隔T1で、親端末1宛に定期的に送信する。
【0056】
そして、子端末2−3は、トポロジー情報J1を送信してから次のトポロジー情報J1を送信するまでの時間間隔T1内において、アプリケーション層L2で、監視情報J2を作成する。この監視情報の作成処理は、定期的またはイベント発生毎に行われ、子端末2−3では、アプリケーション層L2で作成した監視情報J2をルーティング層L1に引き渡す。ルーティング層L1では、トポロジー情報J1と監視情報J2とを1つのパケットに格納したトポロジー・監視情報J3を作成して、親端末1宛に送信する。子端末2−3が送信したトポロジー・監視情報J3は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1に到達する。すなわち、子端末2−3は、トポロジー・監視情報J3を、監視情報の送信タイミングに送信している。
【0057】
親端末1は、トポロジー・監視情報J3からトポロジー情報を抽出し、抽出したトポロジー情報に基づいて、子端末2−3宛に情報を送信する場合に用いる通信経路を決定する。
【0058】
子端末2−3は、トポロジー・監視情報J3を送信した後、次のトポロジー情報J1の送信タイミングが到来しても、トポロジー情報J1を送信せず、トポロジー情報J1の定期送信を1回省略する(図6中の一点鎖線の矢印を参照)。
【0059】
このように、子端末2は、監視情報の送信タイミングに、監視情報とトポロジー情報とを1つのパケットに含めたトポロジー・監視情報を親端末1へ送信し、次のトポロジー情報の定期送信を省略する。したがって、親端末と複数の子端末とを用いたマルチホップ通信を行うにあたって、通信トラフィックを低減させることができる。さらに、子端末2による監視情報の送信タイミングが定期的に設定されている場合、監視周期を乱すことなく、トポロジー情報を送信することができる。
【0060】
(実施形態2)
本実施形態の監視システムは、実施形態1と同様に図1〜図5の各構成を備えており、同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0061】
まず、子端末2は、自端末が送信する監視情報の優先度の情報を、記憶部10に予め格納している。この優先度は、監視対象毎に必要な応答性を考慮して、2レベル以上に設定されており、速い応答性が要求される監視情報には、高い優先度が設定され、速い応答性が要求されない監視情報には、低い優先度が設定される。
【0062】
子端末2は、自端末が送信する監視情報の優先度が所定レベル以上の場合、実施形態1と同様に、監視情報の送信タイミングにおいて、トポロジー・監視情報を親端末1へ送信し、次のトポロジー情報の定期送信を省略する。
【0063】
そして、子端末2は、自端末が送信する監視情報の優先度が所定レベル未満の場合、トポロジー情報および監視情報の送信処理を、図7の通信シーケンスにしたがって行う。
【0064】
まず、子端末2−3は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1との間で通信経路を構築しているものとする。そして、子端末2−3は、ルーティング層L1で作成したトポロジー情報J1を親端末1宛に送信する。子端末2−3が送信したトポロジー情報J1は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1に到達する。子端末2−3は、このトポロジー情報J1を、時間間隔T1で、親端末1宛に定期的に送信する。
【0065】
そして、子端末2−3は、トポロジー情報J1を送信してから次のトポロジー情報J1を送信するまでの時間間隔T1内において、アプリケーション層L2で、監視情報J2を作成する。この監視情報の作成処理は、定期的またはイベント発生毎に行われ、子端末2−3では、アプリケーション層L2で作成した監視情報J2をルーティング層L1に引き渡す。ルーティング層L1では、監視情報J2を保持し、次のトポロジー情報の送信タイミングにおいて、トポロジー情報J1と監視情報J2とを1つのパケットに格納したトポロジー・監視情報J3を作成して送信する。子端末2−3が送信したトポロジー・監視情報J3は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1に到達する。すなわち、子端末2−3は、トポロジー・監視情報J3を、トポロジー情報の送信タイミングに送信している。
【0066】
このように、子端末2は、トポロジー情報の送信タイミングに、監視情報とトポロジー情報とを1つのパケットに含めたトポロジー・監視情報を親端末1へ送信し、監視情報のみの送信を省略する。したがって、親端末と複数の子端末とを用いたマルチホップ通信を行うにあたって、通信トラフィックを低減させることができる。さらに、速い応答性が要求されない監視情報にのみ、この送信処理を適用することによって、速い応答性が要求される監視情報の応答性には影響を与えない。
【0067】
また、図8の通信シーケンスに示すように、監視情報の送信待ち時間に上限値T2(上限待ち時間T2)を設けて、監視情報の応答性を確保し、監視情報の送信遅れを抑制してもよい。
【0068】
図8において、子端末2−3では、監視情報J2の送信タイミングと、次のトポロジー情報J1の送信タイミングとの時間差が、上限待ち時間T2を超えている。この場合、子端末2−3は、監視情報J2をルーティング層L1に引き渡してから上限待ち時間T2が経過した時点で、監視情報J2を親端末1宛に送信する。子端末2−3が送信した監視情報J2は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1に到達する。
【0069】
そして、子端末2−3は、監視情報J2の送信タイミングと、次のトポロジー情報J1の送信タイミングとの時間差が、上限待ち時間T2を超えていなければ、次のトポロジー情報J1の送信タイミングに、トポロジー・監視情報J3を親端末1へ送信する(図7参照)。
【0070】
(実施形態3)
本実施形態の監視システムは、実施形態1と同様に図1〜図5の各構成を備えており、同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0071】
以下、本実施形態におけるトポロジー情報および監視情報の送信処理を、図9の通信シーケンスを用いて説明する。
【0072】
まず、子端末2−3は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1との間で通信経路を構築しているものとする。そして、子端末2−3は、ルーティング層L1で作成したトポロジー情報J1を親端末1宛に送信する。子端末2−3が送信したトポロジー情報J1は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1に到達する。子端末2−3は、このトポロジー情報J1を、時間間隔T1で、親端末1宛に定期的に送信する。
【0073】
そして、子端末2−3は、トポロジー情報J1を送信してから次のトポロジー情報J1を送信するまでの時間間隔T1内において、アプリケーション層L2で、複数の監視情報J2(J2a,J2b,J2c)を作成する。この監視情報の作成処理は、定期的またはイベント発生毎に行われ、子端末2−3では、アプリケーション層L2で作成した監視情報J2をルーティング層L1に引き渡す。
【0074】
ルーティング層L1では、アプリケーション層L2から引き渡された監視情報J2が、時間間隔T1内で最初の監視情報J2aであるか否かを判断する。引き渡された監視情報J2が、時間間隔T1内で最初の監視情報J2aであれば、トポロジー情報J1と監視情報J2aとを1つのパケットに格納したトポロジー・監視情報J3を作成して、親端末1宛に送信する。子端末2−3が送信したトポロジー・監視情報J3は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1に到達する。すなわち、子端末2−3は、時間間隔T1内の最初の監視情報J2aの送信タイミングにおいて、トポロジー・監視情報J3を送信している。
【0075】
一方、引き渡された監視情報J2が、時間間隔T1内で2回目以降の監視情報J2b,J2cであれば、子端末2−3は、監視情報J2b,J2cを親端末1宛に送信する。子端末2−3が送信した監視情報J2b,J2cは、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1に到達する。すなわち、子端末2−3は、時間間隔T1内の2回目以降の監視情報J2b,J2cの送信タイミングにおいて、監視情報J2のみを送信している。
【0076】
そして、子端末2−3は、次のトポロジー情報J1の送信タイミングが到来しても、トポロジー情報J1を送信せず、トポロジー情報J1の定期送信を1回省略する(図9中の一点鎖線の矢印を参照)。
【0077】
このように、子端末2は、時間間隔T1内の最初の監視情報の送信タイミングに、監視情報とトポロジー情報とを1つのパケットに含めたトポロジー・監視情報を親端末1へ送信し、次のトポロジー情報の定期送信を省略する。したがって、親端末と複数の子端末とを用いたマルチホップ通信を行うにあたって、通信トラフィックを低減させることができる。さらに、子端末2による監視情報の送信タイミングが定期的に設定されている場合、監視周期を乱すことなく、トポロジー情報を送信することができる。
【0078】
さらに、子端末2は、時間間隔T1内の2回目以降の監視情報J2の送信タイミングにおいて、監視情報J2のみを送信している。したがって、トポロジー情報の通信が必要以上に行われることなく、通信トラフィックの増大を防ぐことができる。
【0079】
また、図10の通信シーケンスに示すように、時間間隔T1内の2回目の監視情報J2bの送信タイミングと、3回目の監視情報J2cの送信タイミングとの間(時間t1)で、子端末2−3のトポロジー情報が変化したとする。
【0080】
この場合、子端末2−3は、3回目の監視情報J2cの送信タイミングにおいて、トポロジー情報J1と監視情報J2cとを1つのパケットに格納したトポロジー・監視情報J3を作成して、親端末1宛に送信する。したがって、トポロジー情報の変化に迅速に対応することができる。
【0081】
(実施形態4)
本実施形態の監視システムは、実施形態1と同様に図1〜図5の各構成を備えており、同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する
子端末2は、温度、湿度等の監視結果を定期的に送信するものであり、トポロジー情報の送信タイミングの時間間隔と、監視情報の送信タイミングの時間間隔とを、同一に設定している。そして、子端末2は、トポロジー情報の送信タイミングと監視情報の送信タイミングとがずれている場合(異なる場合)、監視情報の送信タイミングを、トポロジー情報の送信タイミングに一致させる。
【0082】
そして、子端末2は、この一致したタイミングにおいて、監視情報とトポロジー情報とを1つのパケットに含めたトポロジー・監視情報を親端末1へ送信する。したがって、親端末と複数の子端末とを用いたマルチホップ通信を行うにあたって、通信トラフィックを低減させることができる。さらに、子端末2による監視情報の送信タイミングが定期的に設定されている場合、監視周期を乱すことなく、トポロジー情報を送信することができる。
【0083】
(実施形態5)
本実施形態の監視システムは、実施形態1乃至4のいずれかにおいて、中継端末を構成する子端末2の中継処理について、説明する。
【0084】
中継端末を構成する子端末2は、他の子端末2が親端末1宛に送信した通信パケットを中継する。そして、本実施形態において、中継端末を構成する子端末2は、中継する通信パケット(中継パケット)に自端末のトポロジー情報を含めて送信する。したがって、中継処理において中継パケットとトポロジー情報の各通信を兼ねることにより、通信トラフィックの低減を図ることができる。
【0085】
また、中継端末を構成する子端末2は、自端末のトポロジー情報を含む通信パケット(トポロジー情報、トポロジー・監視情報、自端末のトポロジー情報を含めた中継パケット)を送信してから所定時間が経過している場合のみ、本実施形態の中継処理を行ってもよい。したがって、トポロジー情報の通信が必要以上に行われることなく、通信トラフィックの増大を防ぐことができる。
【0086】
また、子端末2は、トポロジー情報J1を送信してから次のトポロジー情報J1を送信するまでの時間間隔T1内において、複数回の中継処理を行うとする。この場合、子端末2は、時間間隔T1内の最初の中継処理において、中継パケットに自端末のトポロジー情報を含めて送信する。そして、時間間隔T1内の2回目以降の中継処理において、中継パケットに自端末のトポロジー情報を含めることなく、受信した中継パケットのみを送信する。したがって、トポロジー情報の通信が必要以上に行われることなく、通信トラフィックの増大を防ぐことができる。
【0087】
また、上述の各実施形態において、子端末2は、トポロジー情報、監視情報、トポロジー・監視情報を1または複数の通信パケットを用いて送信する。そして、送信する情報の容量が大きい場合、子端末2は、1つの情報を複数の通信パケットに分割して送信することになる。
【0088】
そして、子端末2は、トポロジー・監視情報の送信に用いる通信パケットの数が、監視情報とトポロジー情報とのうち情報量が大きい一方の送信に用いる通信パケットの数より多い場合、トポロジー・監視情報を送信しないようにしてもよい。この場合、監視情報およびトポロジー情報を単独で送信する。
【0089】
例えば、1つの通信パケットの最大送信データ長が100byte、監視情報が80byte、トポロジー情報が30byteであるとする。この場合、監視情報およびトポロジー情報のそれぞれは、1つの通信パケットを用いて送信できるが、トポロジー・監視情報は、110byte(80byte+30byte)になるので、2つの送信パケットを用いて送信する必要がある。そこで、通信トラフィックの増大を防ぐために、このトポロジー・監視情報を送信せず、トポロジー情報および監視情報を単独で送信する。
【0090】
また、監視情報が120byte、トポロジー情報が30byteであれば、トポロジー情報は、1つの通信パケットを用いて送信できるが、監視情報は、2つの通信パケットを用いて送信する必要がある。そして、トポロジー・監視情報も、150byte(120byte+30byte)になるので、2つの送信パケットを用いる。したがって、トポロジー・監視情報の送信に用いる通信パケットの数が、監視情報とトポロジー情報とのうち情報量が大きい一方の送信に用いる通信パケットの数に等しいので、通信トラフィックが増大する虞がなく、このトポロジー・監視情報を送信できる。
【符号の説明】
【0091】
A 通信端末
1 親端末
2(2−1,2−2,...) 子端末
【技術分野】
【0001】
本発明は、親端末と複数の子端末とがマルチホップ通信を行う監視システム、監視システムに用いる親端末、および子端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、通信ネットワーク上に存在する通信端末間で通信する際に、情報を伝送しようとする通信端末間で通信を直接行うことができない場合に、他の通信端末を通信の中継に用いることによって通信を可能にするマルチホップ通信が知られている。このようなマルチホップ通信は、とくに通信ネットワークの一つである無線ネットワークにおいて用いられる。さらには、電力線搬送通信(以下、「PLC」(Power Line Communication)と略称する)の技術を用いて構築した通信ネットワークであるPLCネットワークにおいても、マルチホップ通信が用いられる(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
最近では、親を構成する通信端末(親端末)が、周辺に存在する子を構成する複数の通信端末(子端末)との間で通信を行う通信ネットワークがあり、親端末と子端末との間の通信に上記マルチホップ通信を用いることが提案されている。そして、親端末が、周辺の複数の子端末の各々から、直接的、または他の子端末を中継端末として用いて間接的に、監視情報等を取得する。
【0004】
このような通信ネットワークでは、通信端末の接続・離脱、通信環境の変動等によって、通信可能であった通信端末が通信不可能となって、通信ネットワークのネットワークトポロジーが変化する場合がある。したがって、各通信端末間で通信を良好に行うためには、通信環境の変動に適応した通信ルートの構築が必要になる。
【0005】
通信ルートを構築する方法としては、例えば、通信端末間で通信経路に関する情報を交換し、使用可能な通信経路のうち通信コストの低い(通信品質のよい)経路を選択することによって、通信端末間の通信経路を構築する方法がある。
【0006】
例えば、通信端末(親端末、子端末)は、隣接端末(1ホップで直接通信ができる通信端末)に対して定期的に、ハローパケット(Hello Packet、以下、「Hパケット」と称する)をブロードキャスト送信する。Hパケットは、各通信端末が、他の通信端末に対して自端末の生存を報知する通信パケットである。このHパケットには、ルート情報、リンク情報等が含まれる。Hパケットのルート情報は、Hパケットの送信元である子端末から親端末に至るまでの通信経路に関する情報である。Hパケットのリンク情報は、Hパケットの送信元である親端末または子端末と隣接端末との間の通信リンクに関する情報である。
【0007】
そして、子端末は、他の通信端末から受信したHパケットを受信し、このHパケットに含まれるルート情報、リンク情報に基づいて、親端末宛に情報を送信する場合に用いる通信経路を決定する。
【0008】
しかしながら、子端末が送信するHパケットは自端末の隣接端末にのみ到達するので、自端末と通信経路を構築する親端末との直接通信が不可能である子端末は、この親端末に対してトポロジー情報をユニキャスト送信する必要がある(トポロジー通知)。トポロジー情報には、ルート情報、リンク情報等が含まれる。トポロジー情報のルート情報は、トポロジー情報の送信元である子端末から親端末に至るまでの通信経路に関する情報である。トポロジー情報のリンク情報は、トポロジー情報の送信元である子端末と隣接端末との間の通信リンクに関する情報である。子端末は、このトポロジー情報を、自端末と通信経路を構築する親端末宛に定期的に送信する。
【0009】
親端末は、受信したトポロジー情報に基づいて、使用可能な通信経路のうち通信コストの低い(通信品質のよい)経路を選択することによって、子端末宛に情報を送信する場合に用いる通信経路を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−261361号公報
【特許文献2】特開2010−283587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の通信ネットワークにおいて、子端末は、トポロジー情報を親端末宛に定期的に送信する。
【0012】
さらに、マルチホップ通信を用いた監視システムの子端末は、温度センサを用いた気温の監視結果、湿度センサを用いた湿度の監視結果、人感センサを用いた防犯の監視結果等の監視情報を、親端末宛にユニキャスト送信する。
【0013】
而して、マルチホップ通信を用いた監視システムでは、1台の子端末が、監視情報だけでなく、トポロジー情報の定期送信も行うため、通信ネットワーク上の通信トラフィックが大きくなる傾向にあり、通信トラフィックの低減が望まれていた。
【0014】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、親端末と複数の子端末とを用いたマルチホップ通信を行うにあたって、通信トラフィックを低減させることができる監視システム、監視システムに用いる親端末、および子端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の監視システムは、親端末と、監視対象を監視する複数の子端末とで構成されて、前記子端末は、前記親端末宛に情報を送信し、且つ他の前記子端末が前記親端末宛に送信した情報を中継し、前記親端末は、前記子端末が送信した情報を、この子端末から直接、または他の前記子端末を介して受信する監視システムであって、前記子端末は、自端末と前記親端末との間の通信経路を構築するためのトポロジー情報を、一定の時間間隔に設定された第1の送信タイミングで前記親端末宛に送信する第1通信と、前記監視対象の監視情報を、第2の送信タイミングで前記親端末宛に送信する第2通信とを行い、少なくとも一部の前記第1の送信タイミング、または少なくとも一部の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報と前記監視情報とを含むトポロジー・監視情報を前記親端末宛に送信し、少なくとも一部の前記第1通信、または少なくとも一部の前記第2通信を省略することを特徴とする。
【0016】
この発明において、前記子端末は、前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー・監視情報を送信し、次の前記第1の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報を送信しないことが好ましい。
【0017】
この発明において、前記監視情報は、前記監視対象に応じた優先度が設定され、前記子端末は、自端末が送信する前記監視情報の優先度が所定レベルより低い場合、前記第2の送信タイミングにおいて、前記監視情報を送信せず、前記第1の送信タイミングにおいて、前記トポロジー・監視情報を送信することが好ましい。
【0018】
この発明において、前記子端末は、前記第2の送信タイミングと次の前記第1の送信タイミングとの時間差が所定時間以内であれば、この第2の送信タイミングにおいて、前記監視情報を送信せず、前記次の第1の通信タイミングにおいて、前記トポロジー・監視情報を送信することが好ましい。
【0019】
この発明において、前記子端末は、前記第1の送信タイミングの時間間隔内に、複数回の前記第2の送信タイミングが存在する場合、前記時間間隔内の最初の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー・監視情報を送信し、前記時間間隔内の2回目以降の前記第2の送信タイミングにおいて、前記監視情報のみを送信することが好ましい。
【0020】
この発明において、前記子端末は、前記時間間隔内の2回目以降の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報が、前記時間間隔内に送信した最新の前記トポロジー・監視情報に含まれる前記トポロジー情報から変化する度に、この変化した前記トポロジー情報を含む前記トポロジー・監視情報を送信することが好ましい。
【0021】
この発明において、前記第1の送信タイミングの時間間隔と、前記第2の送信タイミングの時間間隔とは同一であり、前記子端末は、前記第1の送信タイミングと前記第2の送信タイミングとがずれている場合、前記第2の送信タイミングを前記第1の送信タイミングに一致させることが好ましい。
【0022】
この発明において、前記子端末は、前記他の子端末が前記親端末宛に送信した情報を中継する場合、この中継する情報に自端末の前記トポロジー情報を含めることが好ましい。
【0023】
この発明において、前記子端末は、自端末の前記トポロジー情報を含む情報を送信してから所定時間が経過している場合、前記中継する情報に自端末の前記トポロジー情報を含めることが好ましい。
【0024】
この発明において、前記子端末は、前記第1の送信タイミングの時間間隔内に、前記中継の処理を複数回実行する場合、前記時間間隔内の最初の前記中継の処理において、前記中継する情報に自端末の前記トポロジー情報を含め、前記時間間隔内の2回目以降の前記中継の処理において、前記中継する情報に自端末の前記トポロジー情報を含めないことが好ましい。
【0025】
この発明において、前記子端末は、1または複数の通信パケットを用いて各情報を送信し、前記トポロジー・監視情報の送信に用いる通信パケットの数が、前記監視情報と前記トポロジー情報とのうち情報量が大きい一方の送信に用いる通信パケットの数より多い場合、前記トポロジー・監視情報を送信しないことが好ましい。
【0026】
本発明の親端末は、複数の子端末との間でマルチホップ通信を行う親端末であって、一定の時間間隔に設定された第1の送信タイミングで前記子端末から送信された、前記子端末との間で通信経路を構築するためのトポロジー情報を受信する第1通信と、第2の送信タイミングで前記子端末から送信された監視対象の監視情報を受信する第2通信とを行い、少なくとも一部の前記第1の送信タイミング、または少なくとも一部の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報と前記監視情報とを含んで前記子端末から送信されたトポロジー・監視情報を受信し、受信した前記トポロジー・監視情報から、前記トポロジー情報を抽出することを特徴とする。
【0027】
本発明の子端末は、親端末との間でマルチホップ通信を行う子端末であって、前記親端末との間で通信経路を構築するためのトポロジー情報を、一定の時間間隔に設定された第1の送信タイミングで前記親端末宛に送信する第1通信と、監視対象の監視情報を、第2の送信タイミングで前記親端末宛に送信する第2通信とを行い、少なくとも一部の前記第1の送信タイミング、または少なくとも一部の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報と前記監視情報とを含むトポロジー・監視情報を前記親端末宛に送信し、少なくとも一部の前記第1通信、または少なくとも一部の前記第2通信を省略することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明では、親端末と複数の子端末とを用いたマルチホップ通信を行うにあたって、通信トラフィックを低減させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態1の監視システムの通信ネットワークを示す概略図である。
【図2】同上の通信端末の構成を示すブロック図である。
【図3】同上の情報テーブルを示すテーブル図である。
【図4】同上のHパケットの送信処理を示すシーケンス図である。
【図5】同上のトポロジー情報の送信経路を示す概略図である。
【図6】同上のトポロジー情報および監視情報の送信処理を示すシーケンス図である。
【図7】実施形態2のトポロジー情報および監視情報の送信処理を示すシーケンス図である。
【図8】同上のトポロジー情報および監視情報の別の送信処理を示すシーケンス図である。
【図9】実施形態3のトポロジー情報および監視情報の送信処理を示すシーケンス図である。
【図10】同上のトポロジー情報および監視情報の別の送信処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の監視システムが構成する通信ネットワークの概略図である。この通信ネットワークは、親となる通信端末1と、複数の子となる通信端末2とで構成され、通信端末1、通信端末2のそれぞれは、無線通信技術またはPLC通信技術を用いて、互いに通信を行う。なお以降、親となる通信端末1は親端末1と称し、子となる通信端末2は子端末2と称す。さらに、子端末2を個別に識別する場合は、子端末2−1,2−2,2−3,...の符号を用いる。また、図1中の各通信リンクに付した数字は、この通信リンクの後述するリンクコストを示す。
【0032】
そして、子端末2は、温度センサを用いた気温の監視結果、湿度センサを用いた湿度の監視結果、人感センサを用いた防犯の監視結果等の監視情報を、親端末1宛に送信する。親端末1は、取得した監視情報を、図示しない上位の管理装置へ送信する機能や、各監視対象の状態を管理する機能を有する。
【0033】
この通信ネットワークでは、親端末1および子端末2は、マルチホップ通信により通信パケットを互いに送受している。すなわち、本通信ネットワークでは、親端末1と各子端末2との間で直接または間接に通信が行われ、親端末1と直接通信できない子端末2は、通信可能な距離にある他の子端末2が通信パケットを順次中継することで、親端末1との間で通信を行っている。この通信パケットを中継する子端末2が、中継端末を構成する。
【0034】
図2は、通信端末Aのブロック図である。本実施形態では、親端末1と子端末2とに同一の通信端末Aを用いており、例えば、通信端末Aは、ジャンパースイッチや切替スイッチ等の設定手段を用いて「親」に設定されることで親端末1として機能し、また「子」に設定されることで子端末2として機能する。また以降では、親端末1と子端末2とを区別しない場合、通信端末Aと称す。
【0035】
通信端末Aは、記憶部10と、制御部20と、通信インタフェース部30とを備えて構成される。
【0036】
記憶部10は、ROMなどの不揮発性のメモリ、EEPROMなどの書換え可能な不揮発性のメモリ、RAMなどの揮発性のメモリからなる。そして記憶部10は、ルート情報、リンク情報等が格納されている。ルート情報は、自端末(子端末2)と親端末1との間で構築可能な通信経路の通信コスト(通信品質)に関する情報である。リンク情報は、自端末(親端末1または子端末2)と隣接端末(直接通信可能な親端末1または子端末2)との間に形成される通信リンクの通信コスト(通信品質)に関する情報である。ここで、親端末1と子端末2との間における通信ルートは、1乃至複数の通信リンクによって形成されている。なお、記憶部10は、通信端末Aを動作させるための制御プログラム等の各プログラムや、各プログラムの実行に必要な情報等も記憶している。
【0037】
また、通信端末Aの各々には、シリアル番号(製造番号)やMACアドレス等の装置IDが予め割り付けられており、各通信端末Aの記憶部10には、この装置IDが予め格納されている。そして、通信端末Aが送受信する通信パケットは、この装置IDが付加されることによって通信制御がなされる。
【0038】
図3は、通信端末A(親端末1および子端末2)の記憶部10に格納されている情報テーブルTB1であり、ルート情報およびリンク情報をテーブル形式で記憶している。具体的に、情報テーブルTB1は、隣接端末ID、受信リンクコスト、送信リンクコスト、上位ルートコスト、仮ルートコスト、ルートコストの各フィールドが設けられている。
【0039】
情報テーブルTB1において、隣接端末IDは、自端末と直接通信が可能な隣接端末に割り付けられた端末IDであり、親端末1、子端末2の各々には、ユニークな端末IDが割り付けられている。受信リンクコストは、隣接端末から自端末への通信リンクの通信コストを示す。送信リンクコストは、自端末から隣接端末への通信リンクの通信コストを示す。上位ルートコストは、隣接端末から親端末1までの各通信経路の通信コストのうち、最も低い通信コストを示す。仮ルートコストは、受信リンクコストと上位ルートコストとの和である。ルートコストは、送信リンクコストと受信リンクコストのうち大きいほうのリンクコストと上位ルートコストとの和である。
【0040】
直接通信可能な2台の通信端末A−A間の通信リンクにおけるリンク通信コストは、例えば、通信品質値SQが用いられる。通信品質値SQは、直接通信可能な2台の通信端末A−A間の受信信号強度が大きいほど小さくなる整数値で表される。すなわち、通信品質値SQは、その整数値が小さいほど、通信パケットの減衰が小さく、通信状態がよい。
【0041】
そして、通信パケットを受信する場所におけるノイズレベルが異なることから、通信リンクにおける双方向の通信品質は互いに異なり、通信リンクにおける双方向の通信品質は、受信リンクコストおよび送信リンクコストで構成される。受信リンクコストは、直接通信可能な2台の通信端末A−A間のリンクにおいて、自端末Aが他の通信端末Aから通信パケットを受信したときのリンク通信コストである。送信リンク通信品質は、直接通信可能な2台の通信端末A−A間のリンクにおいて、自端末Aが他の通信端末Aへ通信パケットを送信し、他の通信端末Aが通信パケットを受信したときのリンク通信コストである。
【0042】
さらに、ルート情報には、通信経路を構成する中継端末に関する情報(子端末2から親端末1に至るまでに経由する中継端末の装置ID、ホップ数等の各情報)を含んでもよい。
【0043】
なお、上述の通信品質値SQは、受信信号強度と関連付けられたが、受信信号強度に代えて、SN比、EVM(Error Vector Magnitude)、ビットエラーレート、パケットエラーレート等の他の要素と関連付けて算出してもよい。
【0044】
次に、通信インタフェース部30は、他の通信端末Aとの間で通信を行うための通信インタフェース回路である。
【0045】
制御部20は、通信端末Aの各部を制御することによって通信端末A全体の動作を制御する装置であり、例えば、マイクロプロセッサおよびその周辺回路等で構成される。また、制御部20は、所定の時間の経過を計る図示しない計時手段を備えており、所定の時間間隔で、各種通信パケットの定期送信のタイミング到来を認識する。
【0046】
そして、通信端末A(親端末1、子端末2)は、隣接端末に対して定期的に、ハローパケット(Hello Packet、以下、背景技術と同様に「Hパケット」と称する)をブロードキャスト送信する。Hパケットは、各通信端末Aが、他の通信端末Aに対して自端末の生存を報知する通信パケットである。このHパケットには、Hパケットの送信元である通信端末Aの記憶部10に格納されている情報テーブルTB1のルート情報、リンク情報等が含まれる。
【0047】
例えば、図1の通信ネットワークにおけるHパケットの送信シーケンスの一例を、図4に示す。子端末2−1が送信したHパケットは、隣接端末である親端末1、子端末2−2,2−3,2−5,2−6に到達する。子端末2−3が送信したHパケットは、隣接端末である子端末2−1,2−2,2−6に到達する。子端末2−5が送信したHパケットは、隣接端末である子端末2−1,2−6に到達する。
【0048】
そして、子端末2は、他の通信端末Aが送信したHパケットを受信し、このHパケットに含まれるルート情報、リンク情報に基づいて、親端末1宛に情報を送信する場合に用いる通信経路を決定する。
【0049】
しかしながら、子端末2が送信するHパケットは隣接端末にのみ到達するので、自端末と通信経路を構築する親端末1との直接通信が不可能である子端末2は、この親端末1に対してトポロジー情報をユニキャスト送信する必要がある(トポロジー通知)。トポロジー情報には、トポロジー情報の送信元である子端末2の記憶部10に格納されている情報テーブルTB1のルート情報、リンク情報等が含まれており、通信端末Aが用いる通信プロトコルのルーティング層で授受される。トポロジー情報の送信タイミング(第1の送信タイミング)は、一定の時間間隔に設定され、子端末は、トポロジー情報を、自端末と通信経路を構築する親端末1宛に定期的にユニキャスト送信する(第1通信)。
【0050】
例えば、子端末2−6は、図5に示すように、子端末2−1を中継端末とする通信経路を用いて、親端末1宛に通信パケットを送信する。この場合、子端末2−6は、子端末2−1を中継端末として、親端末1へトポロジー情報を送信する。
【0051】
親端末1は、子端末2から送信されたトポロジー情報を受信する。そして、親端末1は、受信したトポロジー情報に基づいて、使用可能な通信経路のうち通信コストの低い(通信品質のよい)経路を選択することによって、子端末2宛に情報を送信する場合に用いる通信経路を決定する。
【0052】
なお、このルート情報、リンク情報を用いた通信端末A−A間の通信経路の構築については、周知の技術であり、詳細な説明は省略する。
【0053】
そして、上記のように親端末1−子端末2間の通信経路が構築された後、子端末2は、監視情報を、親端末1宛にユニキャスト送信する(第2通信)。監視情報は、温度センサを用いた気温の監視結果、湿度センサを用いた湿度の監視結果、人感センサを用いた防犯の監視結果等の情報である。監視情報の送信タイミング(第2の送信タイミング)は、温度、湿度等の監視結果の場合は、定期的に送信され、侵入者検知等の防犯の監視結果であれば、人検知等のイベント発生時に送信される。この監視情報は、ルーティング層より上位の通信プロトコルであるアプリケーション層で授受され、通信端末A−A間の通信は、アプリケーション層からルーティング層を介して行われる。そして、親端末1は、子端末2から送信された監視情報を受信する。
【0054】
このように、子端末2は、トポロジー情報および監視情報を、親端末1宛にユニキャスト送信する。以下、本実施形態におけるトポロジー情報および監視情報の送信処理を、図6の通信シーケンスを用いて説明する。
【0055】
まず、子端末2−3は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1との間で通信経路を構築しているものとする。そして、子端末2−3は、ルーティング層L1で作成したトポロジー情報J1を親端末1宛に送信する。子端末2−3が送信したトポロジー情報J1は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1に到達する。子端末2−3は、このトポロジー情報J1を、時間間隔T1で、親端末1宛に定期的に送信する。
【0056】
そして、子端末2−3は、トポロジー情報J1を送信してから次のトポロジー情報J1を送信するまでの時間間隔T1内において、アプリケーション層L2で、監視情報J2を作成する。この監視情報の作成処理は、定期的またはイベント発生毎に行われ、子端末2−3では、アプリケーション層L2で作成した監視情報J2をルーティング層L1に引き渡す。ルーティング層L1では、トポロジー情報J1と監視情報J2とを1つのパケットに格納したトポロジー・監視情報J3を作成して、親端末1宛に送信する。子端末2−3が送信したトポロジー・監視情報J3は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1に到達する。すなわち、子端末2−3は、トポロジー・監視情報J3を、監視情報の送信タイミングに送信している。
【0057】
親端末1は、トポロジー・監視情報J3からトポロジー情報を抽出し、抽出したトポロジー情報に基づいて、子端末2−3宛に情報を送信する場合に用いる通信経路を決定する。
【0058】
子端末2−3は、トポロジー・監視情報J3を送信した後、次のトポロジー情報J1の送信タイミングが到来しても、トポロジー情報J1を送信せず、トポロジー情報J1の定期送信を1回省略する(図6中の一点鎖線の矢印を参照)。
【0059】
このように、子端末2は、監視情報の送信タイミングに、監視情報とトポロジー情報とを1つのパケットに含めたトポロジー・監視情報を親端末1へ送信し、次のトポロジー情報の定期送信を省略する。したがって、親端末と複数の子端末とを用いたマルチホップ通信を行うにあたって、通信トラフィックを低減させることができる。さらに、子端末2による監視情報の送信タイミングが定期的に設定されている場合、監視周期を乱すことなく、トポロジー情報を送信することができる。
【0060】
(実施形態2)
本実施形態の監視システムは、実施形態1と同様に図1〜図5の各構成を備えており、同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0061】
まず、子端末2は、自端末が送信する監視情報の優先度の情報を、記憶部10に予め格納している。この優先度は、監視対象毎に必要な応答性を考慮して、2レベル以上に設定されており、速い応答性が要求される監視情報には、高い優先度が設定され、速い応答性が要求されない監視情報には、低い優先度が設定される。
【0062】
子端末2は、自端末が送信する監視情報の優先度が所定レベル以上の場合、実施形態1と同様に、監視情報の送信タイミングにおいて、トポロジー・監視情報を親端末1へ送信し、次のトポロジー情報の定期送信を省略する。
【0063】
そして、子端末2は、自端末が送信する監視情報の優先度が所定レベル未満の場合、トポロジー情報および監視情報の送信処理を、図7の通信シーケンスにしたがって行う。
【0064】
まず、子端末2−3は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1との間で通信経路を構築しているものとする。そして、子端末2−3は、ルーティング層L1で作成したトポロジー情報J1を親端末1宛に送信する。子端末2−3が送信したトポロジー情報J1は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1に到達する。子端末2−3は、このトポロジー情報J1を、時間間隔T1で、親端末1宛に定期的に送信する。
【0065】
そして、子端末2−3は、トポロジー情報J1を送信してから次のトポロジー情報J1を送信するまでの時間間隔T1内において、アプリケーション層L2で、監視情報J2を作成する。この監視情報の作成処理は、定期的またはイベント発生毎に行われ、子端末2−3では、アプリケーション層L2で作成した監視情報J2をルーティング層L1に引き渡す。ルーティング層L1では、監視情報J2を保持し、次のトポロジー情報の送信タイミングにおいて、トポロジー情報J1と監視情報J2とを1つのパケットに格納したトポロジー・監視情報J3を作成して送信する。子端末2−3が送信したトポロジー・監視情報J3は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1に到達する。すなわち、子端末2−3は、トポロジー・監視情報J3を、トポロジー情報の送信タイミングに送信している。
【0066】
このように、子端末2は、トポロジー情報の送信タイミングに、監視情報とトポロジー情報とを1つのパケットに含めたトポロジー・監視情報を親端末1へ送信し、監視情報のみの送信を省略する。したがって、親端末と複数の子端末とを用いたマルチホップ通信を行うにあたって、通信トラフィックを低減させることができる。さらに、速い応答性が要求されない監視情報にのみ、この送信処理を適用することによって、速い応答性が要求される監視情報の応答性には影響を与えない。
【0067】
また、図8の通信シーケンスに示すように、監視情報の送信待ち時間に上限値T2(上限待ち時間T2)を設けて、監視情報の応答性を確保し、監視情報の送信遅れを抑制してもよい。
【0068】
図8において、子端末2−3では、監視情報J2の送信タイミングと、次のトポロジー情報J1の送信タイミングとの時間差が、上限待ち時間T2を超えている。この場合、子端末2−3は、監視情報J2をルーティング層L1に引き渡してから上限待ち時間T2が経過した時点で、監視情報J2を親端末1宛に送信する。子端末2−3が送信した監視情報J2は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1に到達する。
【0069】
そして、子端末2−3は、監視情報J2の送信タイミングと、次のトポロジー情報J1の送信タイミングとの時間差が、上限待ち時間T2を超えていなければ、次のトポロジー情報J1の送信タイミングに、トポロジー・監視情報J3を親端末1へ送信する(図7参照)。
【0070】
(実施形態3)
本実施形態の監視システムは、実施形態1と同様に図1〜図5の各構成を備えており、同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0071】
以下、本実施形態におけるトポロジー情報および監視情報の送信処理を、図9の通信シーケンスを用いて説明する。
【0072】
まず、子端末2−3は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1との間で通信経路を構築しているものとする。そして、子端末2−3は、ルーティング層L1で作成したトポロジー情報J1を親端末1宛に送信する。子端末2−3が送信したトポロジー情報J1は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1に到達する。子端末2−3は、このトポロジー情報J1を、時間間隔T1で、親端末1宛に定期的に送信する。
【0073】
そして、子端末2−3は、トポロジー情報J1を送信してから次のトポロジー情報J1を送信するまでの時間間隔T1内において、アプリケーション層L2で、複数の監視情報J2(J2a,J2b,J2c)を作成する。この監視情報の作成処理は、定期的またはイベント発生毎に行われ、子端末2−3では、アプリケーション層L2で作成した監視情報J2をルーティング層L1に引き渡す。
【0074】
ルーティング層L1では、アプリケーション層L2から引き渡された監視情報J2が、時間間隔T1内で最初の監視情報J2aであるか否かを判断する。引き渡された監視情報J2が、時間間隔T1内で最初の監視情報J2aであれば、トポロジー情報J1と監視情報J2aとを1つのパケットに格納したトポロジー・監視情報J3を作成して、親端末1宛に送信する。子端末2−3が送信したトポロジー・監視情報J3は、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1に到達する。すなわち、子端末2−3は、時間間隔T1内の最初の監視情報J2aの送信タイミングにおいて、トポロジー・監視情報J3を送信している。
【0075】
一方、引き渡された監視情報J2が、時間間隔T1内で2回目以降の監視情報J2b,J2cであれば、子端末2−3は、監視情報J2b,J2cを親端末1宛に送信する。子端末2−3が送信した監視情報J2b,J2cは、子端末2−2,2−1を中継端末として、親端末1に到達する。すなわち、子端末2−3は、時間間隔T1内の2回目以降の監視情報J2b,J2cの送信タイミングにおいて、監視情報J2のみを送信している。
【0076】
そして、子端末2−3は、次のトポロジー情報J1の送信タイミングが到来しても、トポロジー情報J1を送信せず、トポロジー情報J1の定期送信を1回省略する(図9中の一点鎖線の矢印を参照)。
【0077】
このように、子端末2は、時間間隔T1内の最初の監視情報の送信タイミングに、監視情報とトポロジー情報とを1つのパケットに含めたトポロジー・監視情報を親端末1へ送信し、次のトポロジー情報の定期送信を省略する。したがって、親端末と複数の子端末とを用いたマルチホップ通信を行うにあたって、通信トラフィックを低減させることができる。さらに、子端末2による監視情報の送信タイミングが定期的に設定されている場合、監視周期を乱すことなく、トポロジー情報を送信することができる。
【0078】
さらに、子端末2は、時間間隔T1内の2回目以降の監視情報J2の送信タイミングにおいて、監視情報J2のみを送信している。したがって、トポロジー情報の通信が必要以上に行われることなく、通信トラフィックの増大を防ぐことができる。
【0079】
また、図10の通信シーケンスに示すように、時間間隔T1内の2回目の監視情報J2bの送信タイミングと、3回目の監視情報J2cの送信タイミングとの間(時間t1)で、子端末2−3のトポロジー情報が変化したとする。
【0080】
この場合、子端末2−3は、3回目の監視情報J2cの送信タイミングにおいて、トポロジー情報J1と監視情報J2cとを1つのパケットに格納したトポロジー・監視情報J3を作成して、親端末1宛に送信する。したがって、トポロジー情報の変化に迅速に対応することができる。
【0081】
(実施形態4)
本実施形態の監視システムは、実施形態1と同様に図1〜図5の各構成を備えており、同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する
子端末2は、温度、湿度等の監視結果を定期的に送信するものであり、トポロジー情報の送信タイミングの時間間隔と、監視情報の送信タイミングの時間間隔とを、同一に設定している。そして、子端末2は、トポロジー情報の送信タイミングと監視情報の送信タイミングとがずれている場合(異なる場合)、監視情報の送信タイミングを、トポロジー情報の送信タイミングに一致させる。
【0082】
そして、子端末2は、この一致したタイミングにおいて、監視情報とトポロジー情報とを1つのパケットに含めたトポロジー・監視情報を親端末1へ送信する。したがって、親端末と複数の子端末とを用いたマルチホップ通信を行うにあたって、通信トラフィックを低減させることができる。さらに、子端末2による監視情報の送信タイミングが定期的に設定されている場合、監視周期を乱すことなく、トポロジー情報を送信することができる。
【0083】
(実施形態5)
本実施形態の監視システムは、実施形態1乃至4のいずれかにおいて、中継端末を構成する子端末2の中継処理について、説明する。
【0084】
中継端末を構成する子端末2は、他の子端末2が親端末1宛に送信した通信パケットを中継する。そして、本実施形態において、中継端末を構成する子端末2は、中継する通信パケット(中継パケット)に自端末のトポロジー情報を含めて送信する。したがって、中継処理において中継パケットとトポロジー情報の各通信を兼ねることにより、通信トラフィックの低減を図ることができる。
【0085】
また、中継端末を構成する子端末2は、自端末のトポロジー情報を含む通信パケット(トポロジー情報、トポロジー・監視情報、自端末のトポロジー情報を含めた中継パケット)を送信してから所定時間が経過している場合のみ、本実施形態の中継処理を行ってもよい。したがって、トポロジー情報の通信が必要以上に行われることなく、通信トラフィックの増大を防ぐことができる。
【0086】
また、子端末2は、トポロジー情報J1を送信してから次のトポロジー情報J1を送信するまでの時間間隔T1内において、複数回の中継処理を行うとする。この場合、子端末2は、時間間隔T1内の最初の中継処理において、中継パケットに自端末のトポロジー情報を含めて送信する。そして、時間間隔T1内の2回目以降の中継処理において、中継パケットに自端末のトポロジー情報を含めることなく、受信した中継パケットのみを送信する。したがって、トポロジー情報の通信が必要以上に行われることなく、通信トラフィックの増大を防ぐことができる。
【0087】
また、上述の各実施形態において、子端末2は、トポロジー情報、監視情報、トポロジー・監視情報を1または複数の通信パケットを用いて送信する。そして、送信する情報の容量が大きい場合、子端末2は、1つの情報を複数の通信パケットに分割して送信することになる。
【0088】
そして、子端末2は、トポロジー・監視情報の送信に用いる通信パケットの数が、監視情報とトポロジー情報とのうち情報量が大きい一方の送信に用いる通信パケットの数より多い場合、トポロジー・監視情報を送信しないようにしてもよい。この場合、監視情報およびトポロジー情報を単独で送信する。
【0089】
例えば、1つの通信パケットの最大送信データ長が100byte、監視情報が80byte、トポロジー情報が30byteであるとする。この場合、監視情報およびトポロジー情報のそれぞれは、1つの通信パケットを用いて送信できるが、トポロジー・監視情報は、110byte(80byte+30byte)になるので、2つの送信パケットを用いて送信する必要がある。そこで、通信トラフィックの増大を防ぐために、このトポロジー・監視情報を送信せず、トポロジー情報および監視情報を単独で送信する。
【0090】
また、監視情報が120byte、トポロジー情報が30byteであれば、トポロジー情報は、1つの通信パケットを用いて送信できるが、監視情報は、2つの通信パケットを用いて送信する必要がある。そして、トポロジー・監視情報も、150byte(120byte+30byte)になるので、2つの送信パケットを用いる。したがって、トポロジー・監視情報の送信に用いる通信パケットの数が、監視情報とトポロジー情報とのうち情報量が大きい一方の送信に用いる通信パケットの数に等しいので、通信トラフィックが増大する虞がなく、このトポロジー・監視情報を送信できる。
【符号の説明】
【0091】
A 通信端末
1 親端末
2(2−1,2−2,...) 子端末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親端末と、監視対象を監視する複数の子端末とで構成されて、前記子端末は、前記親端末宛に情報を送信し、且つ他の前記子端末が前記親端末宛に送信した情報を中継し、前記親端末は、前記子端末が送信した情報を、この子端末から直接、または他の前記子端末を介して受信する監視システムであって、
前記子端末は、
自端末と前記親端末との間の通信経路を構築するためのトポロジー情報を、一定の時間間隔に設定された第1の送信タイミングで前記親端末宛に送信する第1通信と、前記監視対象の監視情報を、第2の送信タイミングで前記親端末宛に送信する第2通信とを行い、
少なくとも一部の前記第1の送信タイミング、または少なくとも一部の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報と前記監視情報とを含むトポロジー・監視情報を前記親端末宛に送信し、
少なくとも一部の前記第1通信、または少なくとも一部の前記第2通信を省略する
ことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記子端末は、前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー・監視情報を送信し、次の前記第1の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報を送信しないことを特徴とする請求項1記載の監視システム。
【請求項3】
前記監視情報は、前記監視対象に応じた優先度が設定され、
前記子端末は、自端末が送信する前記監視情報の優先度が所定レベルより低い場合、前記第2の送信タイミングにおいて、前記監視情報を送信せず、前記第1の送信タイミングにおいて、前記トポロジー・監視情報を送信する
ことを特徴とする請求項1記載の監視システム。
【請求項4】
前記子端末は、前記第2の送信タイミングと次の前記第1の送信タイミングとの時間差が所定時間以内であれば、この第2の送信タイミングにおいて、前記監視情報を送信せず、前記次の第1の通信タイミングにおいて、前記トポロジー・監視情報を送信することを特徴とする請求項3記載の監視システム。
【請求項5】
前記子端末は、前記第1の送信タイミングの時間間隔内に、複数回の前記第2の送信タイミングが存在する場合、前記時間間隔内の最初の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー・監視情報を送信し、前記時間間隔内の2回目以降の前記第2の送信タイミングにおいて、前記監視情報のみを送信することを特徴とする請求項1または2記載の監視システム。
【請求項6】
前記子端末は、前記時間間隔内の2回目以降の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報が、前記時間間隔内に送信した最新の前記トポロジー・監視情報に含まれる前記トポロジー情報から変化する度に、この変化した前記トポロジー情報を含む前記トポロジー・監視情報を送信することを特徴とする請求項5記載の監視システム。
【請求項7】
前記第1の送信タイミングの時間間隔と、前記第2の送信タイミングの時間間隔とは同一であり、前記子端末は、前記第1の送信タイミングと前記第2の送信タイミングとがずれている場合、前記第2の送信タイミングを前記第1の送信タイミングに一致させることを特徴とする請求項3記載の監視システム。
【請求項8】
前記子端末は、前記他の子端末が前記親端末宛に送信した情報を中継する場合、この中継する情報に自端末の前記トポロジー情報を含めることを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載の監視システム。
【請求項9】
前記子端末は、自端末の前記トポロジー情報を含む情報を送信してから所定時間が経過している場合、前記中継する情報に自端末の前記トポロジー情報を含めることを特徴とする請求項8記載の監視システム。
【請求項10】
前記子端末は、前記第1の送信タイミングの時間間隔内に、前記中継の処理を複数回実行する場合、前記時間間隔内の最初の前記中継の処理において、前記中継する情報に自端末の前記トポロジー情報を含め、前記時間間隔内の2回目以降の前記中継の処理において、前記中継する情報に自端末の前記トポロジー情報を含めないことを特徴とする請求項8記載の監視システム。
【請求項11】
前記子端末は、1または複数の通信パケットを用いて各情報を送信し、前記トポロジー・監視情報の送信に用いる通信パケットの数が、前記監視情報と前記トポロジー情報とのうち情報量が大きい一方の送信に用いる通信パケットの数より多い場合、前記トポロジー・監視情報を送信しないことを特徴とする請求項1乃至10いずれか記載の監視システム。
【請求項12】
複数の子端末との間でマルチホップ通信を行う親端末であって、
一定の時間間隔に設定された第1の送信タイミングで前記子端末から送信された、前記子端末との間で通信経路を構築するためのトポロジー情報を受信する第1通信と、第2の送信タイミングで前記子端末から送信された監視対象の監視情報を受信する第2通信とを行い、
少なくとも一部の前記第1の送信タイミング、または少なくとも一部の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報と前記監視情報とを含んで前記子端末から送信されたトポロジー・監視情報を受信し、受信した前記トポロジー・監視情報から、前記トポロジー情報を抽出する
ことを特徴とする親端末。
【請求項13】
親端末との間でマルチホップ通信を行う子端末であって、
前記親端末との間で通信経路を構築するためのトポロジー情報を、一定の時間間隔に設定された第1の送信タイミングで前記親端末宛に送信する第1通信と、監視対象の監視情報を、第2の送信タイミングで前記親端末宛に送信する第2通信とを行い、
少なくとも一部の前記第1の送信タイミング、または少なくとも一部の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報と前記監視情報とを含むトポロジー・監視情報を前記親端末宛に送信し、
少なくとも一部の前記第1通信、または少なくとも一部の前記第2通信を省略する
ことを特徴とする子端末。
【請求項1】
親端末と、監視対象を監視する複数の子端末とで構成されて、前記子端末は、前記親端末宛に情報を送信し、且つ他の前記子端末が前記親端末宛に送信した情報を中継し、前記親端末は、前記子端末が送信した情報を、この子端末から直接、または他の前記子端末を介して受信する監視システムであって、
前記子端末は、
自端末と前記親端末との間の通信経路を構築するためのトポロジー情報を、一定の時間間隔に設定された第1の送信タイミングで前記親端末宛に送信する第1通信と、前記監視対象の監視情報を、第2の送信タイミングで前記親端末宛に送信する第2通信とを行い、
少なくとも一部の前記第1の送信タイミング、または少なくとも一部の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報と前記監視情報とを含むトポロジー・監視情報を前記親端末宛に送信し、
少なくとも一部の前記第1通信、または少なくとも一部の前記第2通信を省略する
ことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記子端末は、前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー・監視情報を送信し、次の前記第1の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報を送信しないことを特徴とする請求項1記載の監視システム。
【請求項3】
前記監視情報は、前記監視対象に応じた優先度が設定され、
前記子端末は、自端末が送信する前記監視情報の優先度が所定レベルより低い場合、前記第2の送信タイミングにおいて、前記監視情報を送信せず、前記第1の送信タイミングにおいて、前記トポロジー・監視情報を送信する
ことを特徴とする請求項1記載の監視システム。
【請求項4】
前記子端末は、前記第2の送信タイミングと次の前記第1の送信タイミングとの時間差が所定時間以内であれば、この第2の送信タイミングにおいて、前記監視情報を送信せず、前記次の第1の通信タイミングにおいて、前記トポロジー・監視情報を送信することを特徴とする請求項3記載の監視システム。
【請求項5】
前記子端末は、前記第1の送信タイミングの時間間隔内に、複数回の前記第2の送信タイミングが存在する場合、前記時間間隔内の最初の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー・監視情報を送信し、前記時間間隔内の2回目以降の前記第2の送信タイミングにおいて、前記監視情報のみを送信することを特徴とする請求項1または2記載の監視システム。
【請求項6】
前記子端末は、前記時間間隔内の2回目以降の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報が、前記時間間隔内に送信した最新の前記トポロジー・監視情報に含まれる前記トポロジー情報から変化する度に、この変化した前記トポロジー情報を含む前記トポロジー・監視情報を送信することを特徴とする請求項5記載の監視システム。
【請求項7】
前記第1の送信タイミングの時間間隔と、前記第2の送信タイミングの時間間隔とは同一であり、前記子端末は、前記第1の送信タイミングと前記第2の送信タイミングとがずれている場合、前記第2の送信タイミングを前記第1の送信タイミングに一致させることを特徴とする請求項3記載の監視システム。
【請求項8】
前記子端末は、前記他の子端末が前記親端末宛に送信した情報を中継する場合、この中継する情報に自端末の前記トポロジー情報を含めることを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載の監視システム。
【請求項9】
前記子端末は、自端末の前記トポロジー情報を含む情報を送信してから所定時間が経過している場合、前記中継する情報に自端末の前記トポロジー情報を含めることを特徴とする請求項8記載の監視システム。
【請求項10】
前記子端末は、前記第1の送信タイミングの時間間隔内に、前記中継の処理を複数回実行する場合、前記時間間隔内の最初の前記中継の処理において、前記中継する情報に自端末の前記トポロジー情報を含め、前記時間間隔内の2回目以降の前記中継の処理において、前記中継する情報に自端末の前記トポロジー情報を含めないことを特徴とする請求項8記載の監視システム。
【請求項11】
前記子端末は、1または複数の通信パケットを用いて各情報を送信し、前記トポロジー・監視情報の送信に用いる通信パケットの数が、前記監視情報と前記トポロジー情報とのうち情報量が大きい一方の送信に用いる通信パケットの数より多い場合、前記トポロジー・監視情報を送信しないことを特徴とする請求項1乃至10いずれか記載の監視システム。
【請求項12】
複数の子端末との間でマルチホップ通信を行う親端末であって、
一定の時間間隔に設定された第1の送信タイミングで前記子端末から送信された、前記子端末との間で通信経路を構築するためのトポロジー情報を受信する第1通信と、第2の送信タイミングで前記子端末から送信された監視対象の監視情報を受信する第2通信とを行い、
少なくとも一部の前記第1の送信タイミング、または少なくとも一部の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報と前記監視情報とを含んで前記子端末から送信されたトポロジー・監視情報を受信し、受信した前記トポロジー・監視情報から、前記トポロジー情報を抽出する
ことを特徴とする親端末。
【請求項13】
親端末との間でマルチホップ通信を行う子端末であって、
前記親端末との間で通信経路を構築するためのトポロジー情報を、一定の時間間隔に設定された第1の送信タイミングで前記親端末宛に送信する第1通信と、監視対象の監視情報を、第2の送信タイミングで前記親端末宛に送信する第2通信とを行い、
少なくとも一部の前記第1の送信タイミング、または少なくとも一部の前記第2の送信タイミングにおいて、前記トポロジー情報と前記監視情報とを含むトポロジー・監視情報を前記親端末宛に送信し、
少なくとも一部の前記第1通信、または少なくとも一部の前記第2通信を省略する
ことを特徴とする子端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−46245(P2013−46245A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182883(P2011−182883)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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