説明

監視システム

【課題】 本発明は、情報機器とオペレーターを撮影して得た膨大な画像情報の中から不正行為がなされた可能性のある画像の特定を容易にする監視システムの提供を目的とする。
【解決手段】 本発明の監視システムは、被監視情報機器(10)の外観の少なくとも一部、並びに、前記情報機器を操作するオペレーター(11)の少なくとも一部の画像を取り込むカメラ(20)と、前記カメラ(20)からの画像情報(A)と前記情報機器(10)からの操作履歴情報(B)とを取得し、保存ならびに管理するための管理サーバー(30)と、を備え、前記画像情報(A)と前記操作履歴情報(B)とを互いに対応する時刻情報(T)で関連付けることにより上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータや端末に代表される情報機器を操作する際に、当該情報機器を操作する者が本来の使用目的とは異なる操作を為したか否かを、画像として再確認し得る監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータや端末機器に代表される情報機器は、人間の操作を伴う情報機器であるが故に、当該機器を操作する人間の意志によって本来の使用目的とは異なるも目的で使用することも可能である。
そこで、コンピュータを使用する者が当該コンピュータを利用して不正行為をしたか否かの確認、あるいは不正行為をすることに対する牽制のために監視カメラでコンピュータならびに当該コンピュータを使用する者の様子を監視カメラで撮影(または撮像)し、撮影した画像を録画(または保存)することが行われている。万が一、不正行為が発生した、あるいはその疑いが発生したときは、上記保存された画像を再生し分析することになる。
しかしながら、監視カメラで録画した膨大な映像から不正行為を見つけるには多大な時間と労力を要することから、様々な監視システムが開発されている。
【0003】
特許文献1のものは、不正行為がなされたときのみ当該する端末を監視カメラで撮影する手段を採用している。即ち、特許文献1によれば、端末に対して不正行為が為されたときに発生する特定なイベントを、ネットワーク上を流れるパケットの解析により特定し、このようなイベントが発生したときに該当の端末を監視カメラで撮影することで、特定のイベントの発生に関与している端末を操作している者を瞬時に特定することが可能になる。
【0004】
【特許文献1】特開2006−48134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のように、端末に対して不正行為が為されたときに発生する特定なイベントを全て予測することは一般的に困難である。したがって、情報機器の操作によって発生するイベントが予測できないような不正行為までは監視しきれないという課題がある。
【0006】
そこで本発明は、情報機器とその情報機器を操作する者を常時監視することを前提とする発明であって、監視カメラで撮影した膨大な画像情報の中から当該情報機器に対する不正行為がなされた、あるいは不正行為がなされた可能性のある画像の特定を容易にする監視システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の監視システムは、以下の各態様に記載の手段により上記の課題を解決するものである。
【0008】
本発明の第1の態様は、情報機器の運用状況を監視する監視システムにおいて、
前記情報機器(10)は、当該機器の制御に対応するコマンド情報が定義されており、当該機器の制御のうち、当該機器の操作によって発生する所定コマンド情報を操作履歴情報(B)として送出する操作履歴情報送出手段を備え、前記監視システムは、前記情報機器(10)の外観の少なくとも一部、並びに、前記情報機器を操作する者(11)の少なくとも一部の画像を取り込むカメラ(20)と、前記カメラ(20)からの画像情報(A)と前記情報機器(10)からの操作履歴情報(B)とを取得し、保存ならびに管理するための管理サーバー(30)と、を備え、前記画像情報(A)と前記操作履歴情報(B)とが互いに対応する時刻情報(T)で関連付けていることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様において、前記画像情報(A)は動画情報であって、動画を構成する各フレームまたはフィールド毎に時刻情報が付与されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の態様は、前記第1の態様において、前記画像情報(A)は静止画情報であって、所定の時間間隔で撮影された各静止画情報に対して時刻情報が付与されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の第4の態様は、前記第1から第3の何れかの態様において、前記時刻情報(T)は、前記管理サーバー内のタイムベースと同期していることを特徴とする。
【0012】
本発明の第5の態様は、前記第1から第4の何れかの態様において、前記画像情報(A)には、少なくとも当該画像情報を取り込んだカメラ(20)を特定するカメラID番号が付与されることを特徴とする。
【0013】
本発明の第6の態様は、前記第1から第4の何れかの態様において、前記操作履歴情報(B)には、少なくとも被監視情報機器(10)を特定する情報機器ID番号が付与されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、情報機器ならびに当該機器を使用する者の少なくとも一部を撮影した画像情報と、当該情報機器を操作したときに発生するコマンド情報からなる操作履歴情報とを互いに対応する時刻情報で関連付けて保存し管理するようにしたので、当該機器に対して問題となる操作が為されたときに発生するコマンド情報を検索することで問題となる操作が為された時刻情報が特定され、該時刻情報から対応する画像情報を特定できる。従って、検索により膨大な画像情報の中から問題となる操作が為されたときの画像情報を即時的に抽出できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のシステム構成を示す概念図である。
【図2】本発明にかかる準備段階の処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明にかかる監視段階の処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の画像情報と操作履歴情報の一例を示す図表である。
【図5】本発明の画像情報と操作履歴情報の他の一例を示す図表である。
【図6】本発明にかかる分析処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明にかかる分析処理の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明のシステム構成を示す概念図である。図中、10はコンピュータや各種端末などの情報機器、11は情報機器を操作する者(以下、オペレーターと呼ぶ)である。情報機器10は、一般にCPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro-Processing Unit)によって制御される機器であって、CPUあるいはMPUに与える命令がコマンド情報として予め定義されている。すなわち、当該情報機器10を操作する者が行う各種操作行為とコマンド情報とは一対一に対応している。さらにコマンド情報はCPUあるいはMPUに対する処理手順を記述した命令語であるからコンピュータにより検索可能な情報である。
【0017】
図1において20はカメラ、21はコントローラー、Aは画像情報、Bは操作履歴情報、30は管理サーバー、40は管理サーバーで処理したデータを保存し管理するためのデータベースを示している。カメラ20としは、例えば、監視用テレビカメラ、一定間隔で静止画撮影する監視用スチルカメラが挙げられる。コントローラー21はカメラ20用のコントローラーであって、カメラ20からの画像情報Aを管理サーバー30へ送出する送出手段を備えている。図1においてコントローラー21はカメラ20と別体の場合を示しているが、コントローラー21とカメラ20とは一体であってもよい。
【0018】
図2は、本発明の監視システム(以下、単に本システムという。)にかかる準備段階の処理を示すフローチャートである。本システムの準備段階の処理としては、まず、管理サーバー30の起動(S11)が行われる。次いで、管理サーバー30に繋がるカメラ20ならびに被監視情報機器10を特定するために、管理サーバー30とカメラ20との間でカメラID番号の認識(S12)、ならびに管理サーバー30と被監視情報機器10との間で被監視情報機器ID番号の認識(S13)が行われる。
【0019】
さらに、当該機器を使用する者(以下、オペレーターという)を特定するために被監視オペレーターID番号の認識(S14)が行われる場合もある。被監視オペレーターIDの認識(S14)は、被監視情報機器へのログインの際に入力されるユーザーIDの認識処理を以って代用できる。
【0020】
以上の各処理によって、所定の被監視情報機器10と当該機器を監視するカメラ20との対応関係を定める。すなわち、当該カメラ20から送出される画像情報Aと当該機器10から送出される操作履歴情報Bに対してカメラID番号と被監視情報機器ID番号を属性情報として付与し、当該属性情報の共通性に基づき画像情報Aと操作履歴情報Bとの対応関係を確立する準備が整う(S15)。
【0021】
図3は、本システムにかかる監視段階の処理を示すフローチャートである。本実施形態ではカメラ20によって被監視情報機器10ならびに当該機器を操作するオペレーターを撮像して得られた画像情報Aが管理サーバー30に送出され、それと略同時に被監視情報機器10より操作履歴情報Bが管理サーバー30に送出され、管理サーバー30側で画像情報Aと操作履歴情報Bとを時刻情報Tで関連付けて保存される。
【0022】
より具体的には、被監視情報機器10の外観の少なくとも一部、並びに、当該機器10を操作するオペレーター11の行動の少なくとも一部を上記カメラ20が捉えた映像がコントローラー21を介して管理サーバー30に送出され、管理サーバー30において画像情報Aとして取得され(S21)、略同時に当該機器10からの操作情報Bが管理サーバー30に送出され、管理サーバー30において操作履歴情報Bとして取得される(S22)。
【0023】
次に、管理サーバー30において、同サーバー内のタイムベースによって定まる時刻を基準にして、上記の画像情報Aと操作履歴情報Bとを時刻情報Tで関連付ける(S23)。
さらに、前述の準備段階の処理(図2のS15)において定めた属性情報(カメラID番号、被監視情報機器ID番号)を上記の画像情報Aと操作履歴情報Bに付与する(S24)。
なお、上記S23とS24の処理の順番は逆でもよい。
【0024】
画像情報Aと操作情報Bは、以上の処理を経てデータベース40に保存される(S25)。
【0025】
上記S21〜25の処理は画像情報の最小単位ごとに繰り返し行われる。例えば、カメラ20がテレビカメラの場合、画像情報は動画情報であるから動画情報を構成する最小単位はフレームあるいはフィールドになる。従って、動画情報を構成するフレームあるいはフィールド毎に上記処理が繰り返される。
なお、上記S21〜25の処理は画像情報の最小単位ごとに限られるものではなく、最小単位の画像情報を幾つか束ねたものを単位として処理してもよい。
【0026】
図4は本発明の画像情報Aと操作履歴情報Bの一例を示す図表である。以下の実施形態においてはフレームを画像情報の最小単位とし、フレーム毎に時刻情報を付与した場合を例に説明する。同図表に示すように画像情報Aを構成するフレームをa(tn)として表すこととする。nは自然数であってフレームナンバーに相当する。tnはフレームナンバーnに対応するフレームの時刻情報を表す。したがって、画像情報Aうち、時刻 tnに該当するフレームはa(tn)になる。
他方、同図表に示すように操作履歴情報Bを構成する操作履歴をb(tn)として表すこととすると、操作履歴情報Bのうち、時刻tnに該当する操作履歴はb(tn)になる。
以上のように、画像情報Aを構成するn番目のフレームa(tn)と、操作履歴情報Bを構成する前記フレームa(tn)に対応する操作履歴b(tn)とは時刻tnによって関連付けられている。
【0027】
なお、上記実施形態においては画像情報が動画情報の場合を例に説明したが、画像情報は動画に限定されるものではなく、スチルカメラによって一定の時間間隔で連写した静止画情報でもよい。この場合は、各静止画情報のうち、n番目の静止画情報をa(tn)として表す。tnは撮影した時刻を示す。こうして得られた画像情報Aと操作履歴情報Bと時刻情報Tとの関連付け以降の処理は上記動画情報の場合と同様である。
【0028】
図5は本発明の画像情報Aと操作履歴情報Bの他の一例を示す図表である。本実施形態ではカメラ20を複数台用いて、複数のカメラで所定の被監視情報機器10ならびに当該機器を操作するオペレーターを撮像し、それぞれのカメラから得られるそれぞれの画像情報A1、A2・・・と被監視情報機器10からの操作履歴情報Bとを時刻情報Tで関連付けて処理するようにしたものである。図5に示したものは2台のカメラを用いた場合の例であって、一方のカメラからの画像情報をA1、他方のカメラからの画像情報をA2で表している。ここで、画像情報A1うち、時刻 tnに該当するフレームはa1(tn)、画像情報A2うち、時刻 tnに該当するフレームはa2(tn)として表す。
例えば、被監視情報機器10とオペレーター11を含む広い範囲の画像と捉えたものを画像情報A1とし、被監視情報機器10のキーボード周辺とオペレーター11の手元付近を中心に捉えたものを画像情報A2とすることで、より多くの画像情報の取得が可能となる。
以上のように複数の画像情報A1,A2・・・と、操作履歴情報Bとを時刻Tで関連付けて処理することも可能である。
【0029】
(実施例)
以下、所定の情報機器においてオペレーターにより不正行為あるいは不正行為と疑われる可能性を含む問題となる操作が為された場合を想定し、問題となる操作Xの為された画像情報を抽出する処理(以下、分析処理という)について説明する。
【0030】
(分析例1)
図6は本発明にかかる分析処理の一例(分析例1)を示すフローチャートである。
分析例1は、任意のオペレーター(特にオペレーターは特定せず)が操作した特定の情報機器から問題のとなる操作Xの為された画像情報を分析する場合の例を示している。
分析例1においては、まず、データベース40に保存されているデータから所定の被監視情報機器ID番号に該当するデータの集合(画像情報A、操作履歴情報B)を特定する(S31)。
次に、被監視情報機器に対して問題となる操作を行ったときに発生するコマンド情報Xを特定し、当該コマンド情報Xをキーにして上記データ中の該当する操作履歴情報Bの集合を検索する(S32)。
次に、上記検索によって抽出された操作履歴情報b(tx)から問題となる操作の為された時刻txを特定する(S33)。
次に、上記データ中の該当する画像情報Aの集合から上記時刻txに対応する画像情報a(tx)を抽出する(S34)。
以上の分析処理により上記被監視情報機器において問題となる操作の為された画像情報a(tx)の画像を特定することができ、当該画像を再生し目視で検証できる(S35)。
【0031】
(分析例2)
図7は本発明にかかる分析処理の他の一例(分析例2)を示すフローチャートである。
分析例2は、特定のオペレーターに着目して、当該オペレーターが操作した可能性のある複数台の情報機器から問題のとなる操作Xの為された画像情報を分析する場合の例を示している。
分析例2においては、まず、データベース40に保存されているデータから被監視オペレーターID番号に該当するデータの集合(画像情報A、操作履歴情報B)の集合を特定する(S41)。
次に、被監視情報機器に対して問題となる操作を行ったときに発生するコマンド情報Xを特定し、当該コマンド情報Xをキーにして上記データ中の該当する操作履歴情報Bの集合を検索する(S42)。
次に、上記検索によって抽出された操作履歴情報b(tx)から問題となる操作の為された時刻txを特定する(S43)。
次に、上記データ中の該当する画像情報Aの集合から上記時刻txに対応する画像情報a(tx)を抽出する(S44)。
以上の分析処理により上記オペレーターID番号のオペレーターが問題となる操作をしたときの画像情報a(tx)の画像を特定することができ、当該画像を再生し目視で検証できる(S45)。
【符号の説明】
【0032】
10・・・情報機器
11・・・オペレーター(情報機器を操作する者)
20・・・カメラ
21・・・コントローラー
30・・・管理サーバー
40・・・データベース
A・・・画像情報
B・・・操作履歴情報
T・・・時刻情報



【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報機器の運用状況を監視する監視システムにおいて、
前記情報機器は、当該機器の制御に対応するコマンド情報が定義されており、当該機器の制御のうち、当該機器の操作によって発生するコマンド情報を操作履歴情報として送出する操作履歴情報送出手段を備え、
前記監視システムは、
前記情報機器の外観の少なくとも一部、並びに、前記情報機器を操作する者の少なくとも一部の画像を取り込むカメラと、
前記カメラからの画像情報と前記情報機器からの操作履歴情報とを取得し、保存ならびに管理するための管理サーバーと、
を備え、
前記画像情報と前記操作履歴情報とが互いに対応する時刻情報で関連付けられていることを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記画像情報は動画情報であって、動画を構成する各フレームまたはフィールド毎に時刻情報が付与されていることを特徴とする請求項1記載の監視システム。
【請求項3】
前記画像情報は静止画情報であって、所定の時間間隔で撮影された各静止画情報に対して時刻情報が付与されていることを特徴とする請求項1記載の監視システム。
【請求項4】
前記時刻情報は、前記管理サーバー内のタイムベースと同期していることを特徴とする請求項1〜3何れか一項記載の監視システム。
【請求項5】
前記画像情報には、少なくとも当該画像情報を取り込んだカメラを特定するカメラID番号が付与されることを特徴とする請求項1〜4何れか一項記載の監視システム。
【請求項6】
前記操作履歴情報には、少なくとも被監視情報機器を特定する情報機器ID番号が付与されることを特徴とする請求項1〜4何れか一項記載の監視システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−222462(P2012−222462A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83947(P2011−83947)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】