説明

監視制御システム

【課題】 ヒューマンインタフェース上に表示される監視制御用画面を、複数のポインティングデバイスで通常の監視制御を行う上で制約がなく操作可能な監視制御システムを提供する。
【解決手段】 監視制御用の画面として、タッチパネルでの操作を前提とした画面を用意するとともに、マウス操作を行った場合にのみ可能となる機能の画面を追加して用意する。操作可能なポンプやバルブをタッチパネルで機器をタッチした場合またはマウスの左ボタンクリックで選択した場合は、図の(a)に示すように、操作操作画面が表示される。また、操作可能なポンプやバルブをマウスの右ボタンクリックで選択した場合には、図の(b)に示すように、操作可能なポンプやバルブに割り当てられたメニューを表示する。このような構成とすることにより、複数のポインティングデバイスで通常の監視制御を行う上で制約がなく操作可能な監視制御システムを提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラントの監視制御を行う監視制御システムに関し、特にヒューマンインタフェース上に表示された監視制御用画面を操作するために用いられるポインティングデバイスの特徴に合わせた監視制御用画面を提供することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラントの監視制御システムにおいては、ヒューマンインタフェース上にプラントの監視制御用画面を表示し、オペレータは監視制御用画面を見ながら必要な操作を行っている。 この監視制御用画面を操作するポインティングデバイスとしては、タッチパネルが一般的であるが、汎用コンピュータのポインティングデバイスとしては、マウスが一般的である。
【0003】
監視制御システムのオペレータには、(1)マウスの操作には不慣れであり従来からあるタッチパネルでの操作を好む人、(2)汎用コンピュータの操作性に慣れており、タッチパネルでの操作よりもマウスでの操作を好む人、の2つのタイプが存在する。
【0004】
タッチパネルは監視制御用画面上に表示されるボタン等の操作可能オブジェクトを直接手で触ることで直感的に操作を行うことが可能であるが、タッチパネルで操作を行うためには、オブジェクトを指でタッチ可能な大きさにする必要がある。オブジェクトのサイズをタッチ可能な大きさにすることは画面レイアウト上の制約となっている。また、スクロールバーを使ったリストのスクロール操作や、プルダウンリストからの選択操作などはタッチパネルでは行うことが難しいため、それぞれ、ページめくり用のボタンを用意したり、選択リストをボタンとして配置したりするなど、タッチパネルの操作に適した画面を用意している。タッチパネルでの操作は一般的なコンピュータで使用されているウインドウシステムの作法とは異なるため、マウスを使った操作に慣れている人にとっては、タッチパネルの作法に違和感を感じる場合がある。
【0005】
マウスは、監視制御用画面上に表示されたマウスカーソルをマウス操作によって移動することでボタン等の操作可能オブジェクトを選択する。直接手で触らなくても選択できるため、マウスを使った場合の方がタッチパネルを使った場合よりも操作可能なオブジェクトのサイズを小さくすることができる。また、右クリックによるメニューの表示、スクロールバーの操作、プルダウンリストからの選択等、汎用コンピュータと同じ操作性を持つため、タッチパネルでは行えない画面の切り替え方法が可能である。しかし、右クリック、ドラッグ、マウスホイール操作によるスクロール表示という操作はタッチパネルで行うことが難しいか不可能であり、マウスでの操作を前提に考えた画面をタッチパネルで操作する場合、一部の画面では操作が行えない制約が出る場合がある。
【0006】
監視室に設置された監視制御システム本体で操作を行う場合には、ポインティングデバイスとしてタッチパネルを使用することが可能である。しかし、通信ネットワークの発達により監視制御システムの画面は、監視室だけではなく庁舎や移動先のコンピュータ上にも表示可能となった。監視室以外では汎用コンピュータを使用して監視制御用画面を表示させる場合が多く、ポインティングデバイスとしてタッチパネルを使用できる環境があることは稀であり、マウスを使用して画面操作を行うことになる。
【0007】
このように、1つの監視制御システムで異なるポインティングデバイスを使用して操作を行うことは一般的なことになってきた。しかしながら、監視制御システムの監視制御用画面を、特定のポインティングデバイス用に特化して作成することは、別のポインティングデバイスを使う場合の利点を損なうことになる場合がある。
【0008】
ところで、監視制御用画面のレイアウトをクライアント毎に変更したり(例えば特許文献1参照)、タッチパネルにおいて操作回数の多い操作ボタンの表示位置を操作に適したように配置換えしたり(例えば特許文献2参照)することは、従来から行われているが、1つの監視制御システムで異なるポインティングデバイスを使用して操作を行う場合に、ポインティングデバイスに応じて、監視制御用画面のレイアウトを変更することは行われていない。
【特許文献1】特開2001−297015号公報
【特許文献2】特開平9−230928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、1つの監視制御システムで異なるポインティングデバイスを使用して操作を行うことは一般的なことになってきたが、監視制御システムの監視制御用画面を、特定のポインティングデバイス用に特化して作成することは、別のポインティングデバイスを使う場合の利点を損なうことになる場合がある。
【0010】
そこで本発明は、ヒューマンインタフェース上に表示される監視制御用画面を、複数のポインティングデバイスで通常の監視制御を行う上で制約がなく操作可能な監視制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ポインティングデバイスとしてタッチパネルまたはマウスを用いて、表示装置に表示された監視制御用画面の操作を行う監視制御システムにおいて、タッチパネル操作に適したレイアウトのタッチパネル用画面の画面情報、およびマウス操作を行った場合にのみ可能となる機能に関する表示を行うために付加されるマウス用画面の画面情報を記憶する記憶手段と、タッチパネル操作の場合、またはマウスによる所定の操作が行われた場合には、記憶手段からタッチパネル用画面の画面情報を読み出して表示装置に表示するように制御し、マウスによる所定の操作とは異なる所定の操作が行われた場合には、記憶手段からマウス用画面の画面情報を読み出して表示装置に表示するように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、ポインティングデバイスとしてタッチパネルまたはマウスを用いて、表示装置に表示された監視制御用画面の操作を行う監視制御システムにおいて、タッチパネル操作に適したレイアウトのタッチパネル用画面の画面情報、およびマウス操作に適したレイアウトのマウス用画面の画面情報を記憶する記憶手段と、ポインティングデバイスとしてのいずれを用いるかを選択する選択手段と、この選択手段の選択結果に基づいて、記憶手段からタッチパネル用画面の画面情報とマウス用画面の画面情報のいずれかを読み出して表示装置に表示するように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ヒューマンインタフェース上に表示される監視制御用画面を、複数のポインティングデバイス、すなわちタッチパネルとマウスを用いて、通常の監視制御を行う上で制約がなく操作可能な監視制御システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る監視制御システムにおけるヒューマンインタフェースの概略構成を示す図である。
【0017】
図1において、1は監視制御用画面を表示する表示装置、2は表示装置1に画面表示のための信号を出力する画面表示出力部、3はタッチパネル、マウス等のポインティングデバイス、4はポインティングデバイス3からの操作信号が入力される操作入力部である。5は演算処理部、6は監視制御用画面の表示に必要な画面情報や、監視制御のために必要な各種の情報を記憶する記憶部、7はLAN等の通信ネットワークを介してコントローラ(図示せず)とのデータの送受信を行うデータ送受信部である。
【0018】
この第1の実施形態においては、監視制御システムのヒューマンインタフェース上に表示される監視制御用画面は、従来と同様にタッチパネルで操作することを前提に画面のレイアウトや、ボタン等の操作可能オブジェクトのサイズや、操作方法を決めている。
【0019】
画面レイアウトは、タッチパネル操作を行う人の手が、操作中に確認が必要な情報が隠されないように考慮されたレイアウトとなっている。右手でタッチ操作を行う場合には、メニューは右側と下側に表示される場合が多い。
【0020】
ボタン等の操作可能なオブジェクトのサイズは、指で選択可能なサイズで作成され、ボタンを並べて配置する場合には、誤選択しないように必要な間隔を空けて配置している。
【0021】
操作方法は、タッチで選択することのみで全ての基本的な画面展開や操作が行えるようにデザインされている。タッチで全ての操作が可能であることは、マウスで左ボタンのクリックのみで全操作が可能であることを意味する。タッチパネルで操作を行う際に数値入力が必要な部分には、数値入力用のテンキー画面が表示され、文字入力が必要な部分には、文字入力用のキーボード画面が表示され、タッチによって入力が必要な数値や文字を選択する。
【0022】
以上のようなタッチパネルでの操作を前提とした画面に、マウス操作用の付加機能を追加する方法について、プラントのフローを表示するグラフィック画面(図2)を使用して説明する。グラフィック画面は、監視制御システムに登録されている画面のリストを表示するグラフィックメニュー画面と、監視対象のプラントを図形表示するグラフィック画面の2種類の画面で構成される。
【0023】
グラフィック画面上には、図形表示されたプラント上に、操作可能なオブジェクトとしてポンプやバルブなどの図形が配置されている。操作可能なポンプやバルブをマウスの左ボタンクリックで選択すると、図2(a)に示すように、操作操作画面が表示され、運転停止等の操作を行うことができる。この操作はタッチパネルで機器をタッチした場合の操作と同じである。
【0024】
操作可能なポンプやバルブをマウスの右ボタンクリックで選択した場合には、図2(b)に示すように、操作可能なポンプやバルブに割り当てられたメニューを表示する。メニューには、ポンプに割り付けられたパラメータの設定変更画面の表示、ポンプの運転履歴画面の表示など、ポンプに関連する情報を表示する画面へ展開するメニューが表示される。右クリックはマウスでは可能であるがタッチパネルでは行えないため、本機能はマウスを使用する場合に利用可能な機能となる。
【0025】
次に、タッチパネルでの操作を前提とした画面に、マウス操作用の付加機能を追加する方法について、プラントの動作履歴を表示する履歴表示画面(図3)を使用して説明する。
【0026】
履歴表示画面は、プラントの機器の動作やアラームの発生を時系列に表示する画面である。履歴は監視制御システム内に予め設定された期間分保存されている。
【0027】
タッチパネル用にデザインされた履歴表示画面上で、必要な履歴を探す場合、図3(a)に示すように、履歴のページめくりボタンを左クリックして選択することで、履歴表示エリアに表示されている履歴を履歴表示エリアに表示可能な件数、前後に表示範囲を移動する。この操作はタッチパネルでページめくりボタンをタッチした場合の操作と同じである。
【0028】
履歴表示エリアを選択してマウスのホイールを動かした場合には、マウスのホイールの動きに連動して、履歴表示エリアに表示される履歴をスクロールする。マウスのホイールを使用したスクロール表示はマウス特有の機能であり、マウスを使用した場合にのみ利用可能な機能である。
【0029】
すなわち、この実施形態においては、監視制御用の画面として、タッチパネルでの操作を前提とした画面、すなわちタッチパネルでの操作に適したレイアウトの画面を用意するとともに、マウス操作を行った場合にのみ可能となる機能の画面を追加して用意し、これらの画面情報を記憶部6に記憶しておく。そして、演算処理部5は、記憶部6からタッチパネルでの操作を前提とした画面の画面情報を読み出し、表示装置1には、基本的には、監視制御用の画面としてタッチパネルでの操作を前提とした画面を表示する。
【0030】
ポインティングデバイス3として、タッチパネルを用いて操作された場合、またはマウスを用いて左クリックが行われた場合は、タッチパネルでの操作を前提とした画面展開を継続する。一方、マウスを用いて右クリックが行われた場合は、演算処理部5は、記憶部6からマウス操作を行った場合にのみ可能となる機能の画面の画面情報を読み出して、表示装置1に表示する。また、マウスを用いてホイール操作が行われた場合は、演算処理部5は、その操作に対応したマウス特有の機能の画面変化が為されるように制御を行うこととしている。
【0031】
上記のようにタッチパネル用にデザインされた画面に、マウス操作を行った場合にのみ可能となる機能を追加することによって、マウスで操作を行った場合には、タッチパネルで操作した場合よりも高度な情報を表示したり、汎用コンピュータでマウスを使う場合と同じような画面操作を行ったりすることが可能になる。
【0032】
以上のように、この実施形態によれば、タッチパネル用画面にマウスでの操作機能を付加することにより、画面の見た目はタッチパネルで操作する画面を同じレイアウトとして、マウスでの操作性も考慮した監視制御画面を提供することが可能となる。
【0033】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について、図1および図4を用いて説明する。
【0034】
この第2の実施形態の監視制御システムにおいて、ヒューマンインタフェース上に表示される監視制御用画面は、タッチパネル操作用とマウス操作用の2種類が全画面について用意され、これらの画面情報を記憶部6に記憶しておく。
【0035】
監視制御システムのオペレータは、システムを使用開始する時(例えばシステムにログインする時)に、例えば図4(a)に示すようなログイン画面から、使用するポインティングデバイスを選択する。演算処理部5においては、使用するポインティングデバイスとして、タッチパネルとマウスのいずれが選択されたかに基づいて、選択されたポインティングデバイスの画面情報を記憶部6から読み出し、タッチパネルが選択された場合は図4(b)に示すようなタッチパネル操作用レイアウトの画面を、また、マウスが選択された場合は図4(c)に示すようなマウス操作用レイアウトの画面を、それぞれ表示装置1に表示する。以後選択したポインティングデバイス用にデザインされた画面が表示される。
【0036】
ポインティングデバイスの変更は、任意のタイミングでも可能であり、監視制御システムの環境設定画面からポインティングデバイスの変更を行うこともできる。使用するポインティングデバイスが変更されると、表示装置1に表示される監視制御システムの監視制御用画面も選択されたポインティングデバイスに合わせて切り替える。
【0037】
ポインティングデバイスの選択はユーザ毎に切り替え可能であるため、同じ監視制御システム内で、タッチパネル用画面とマウス用画面を混在させることができる。
【0038】
上記のように、使用するポインティングデバイスを選択する手段を設け、選択されたポインティングデバイスによって、監視制御用画面をポインティングデバイスに合わせてデザインしたものに切り替えることが可能になる。
【0039】
以上のように、この実施形態によれば、ポインティングデバイス毎に専用にデザインされた監視制御用画面を用意することで、ポインティングデバイスの操作性を十分に発揮できる監視制御用画面を提供することが可能になる。
【0040】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について、図1および図5を用いて説明する。
【0041】
この 第3の実施形態の監視制御システムは、第2の実施形態の監視制御システムにおいて、一部の監視制御用画面をタッチパネル用とマウス用で共用したものである。
【0042】
第3の実施形態の監視制御システムは、第2の実施形態の場合と同様に、ユーザ毎に使用するポインティングデバイスを選択することが可能であり、選択したポインティングデバイスの操作性に合わせた監視制御用画面が表示される。しかし、第3の実施形態の監視制御システムでは、タッチパネル用画面とマウス用画面の操作性に大きな差が出ない画面については、1つの画面を両方のポインティングデバイスで共用している。
【0043】
タッチパネル用画面とマウス用画面を共用する場合、タッチパネルで選択した操作とマウスで左クリックした結果が同じであれば、画面上に配置されるオブジェクトのサイズをタッチパネル用のサイズで用意することで共用が可能である。例えば、グラフィックメニュー画面で、表示させたいグラフィック画面を選択する操作を行う場合、タッチパネルでの選択操作と、マウスで左クリックでの選択操作は、結果が同じである。従って、図5(a)のグラフィックメニュー画面を共用の画面とするとともに、選択操作を行って表示させるグラフィック画面も、図5(b)と(c)に示すように、タッチパネル用画面とマウス用画面とで共用の画面とすることができる。また、図5(b)のタッチパネル用画面および(c)に示すマウス用画面において、タッチパネルで操作可能オブジェクトを選択した場合と、マウスで左クリックした場合の機器の操作画面までは、共用の画面とすることができる。なお、図5(c)に示すように、マウスで右クリックした機器の詳細情報表示メニューを表示する画面は、タッチ操作では表示不可であるので、マウス専用の画面となる。
【0044】
このように、マウスの右クリック操作によるメニュー表示や、ホイール操作によるスクロール、ドラッグ操作による登録作業など、マウス独特の操作によって画面の操作性が向上する部分以外は共用が可能となる。
【0045】
上記のように、使用するポインティングデバイスによって操作性に差が出ない画面については共用の画面を使用することが可能である。
【0046】
以上のように、この第3の実施形態によれば、ポインティングデバイス毎に操作の違いが出ない部分を共用することにより、タッチパネル用とマウス用の画面を個別に作成する枚数を減らすことが可能となり、第2の実施形態と比較して低価格なシステムを提供することが可能となる。
【0047】
また、ポインティングデバイスが異なる場合でも、多くの画面を共用することにより、ポインティングデバイス毎に画面の操作方法を習得する時間を短くすることが可能となる。
【0048】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0049】
この第4の実施形態の監視制御システムは、第2の実施形態の監視制御システムにおいて、一部の画面をタッチパネルでの操作を考慮せず作成したものである。
【0050】
タッチパネルでの操作を考慮する必要のある画面と、マウスでの操作のみと考えても良い画面の区別は、(1)通常の運用で使用する監視制御システムの機能で区別する、(2)監視制御システムを使用する人で区別する、の2つの方法で可能である。
【0051】
まず、監視制御システムの画面でタッチパネル操作を特に考慮せず、マウスで操作しやすい画面のみを用意する基準として、プラントの通常運用時に使用する機能(画面)を基準として区別する方法を以下に示す。
【0052】
タッチパネルを使用する利点としては、実際に機器にあるボタン等を人間の手で操作する感覚でプラントの操作が行える点にある。通常の監視で使用する画面は、発生中のアラームの一覧表示画面、プラントのプローを図形表示するグラフィック画面、水位や温度の変化をグラフ表示するトレンドグラフ画面である。これらの画面については、タッチパネルで操作することを考慮する必要がある。
【0053】
監視制御システムには、通常の監視に使用する画面だけではなく、システムの設定変更を行う画面も用意されている。
【0054】
例えば、監視制御システムに登録してある信号情報の設定変更を行なう画面では、通常運用時には、水位の上限警報を発生させる基準値の変更を行う場合はあり得るが、アラーム発生時の表示方式の設定や水位センサーからの入力レンジなどは調整用パラメータのため通常監視時には変更しない。したがって、信号情報の設定変更画面において、アラーム発生時の表示方式やセンサーからの入力レンジについては、タッチパネルで操作できなければ、監視制御システムの操作性に影響を与えることにはならない。
【0055】
例えば、監視制御システムを利用するユーザの登録画面では、通常の監視操作時は登録済みのユーザ情報を元にシステムにログインを行い、監視制御機能を使用するためユーザの登録は行わないが、プラントの運用を開始するときには、監視制御システムの管理者がシステムを使用するユーザの登録を行い、以後必要により内容をメンテナンスする。したがって、ユーザ登録画面自体、タッチパネルで操作できなければ、監視制御システムの操作性に影響を与えることにはならない。
【0056】
以上のように、通常の監視制御で使用しない機能については、1つの機能内の一部分の場合や、1つの機能全てにおいて、タッチパネルでの操作を特に考慮しなくても、監視制御システムの操作性は低下しないため、マウス操作に特化した画面のみを用意しても問題ない。
【0057】
次に、監視制御システムの画面でタッチパネル操作を特に考慮せず、マウス操作が行ないやすい画面のみを用意する基準として、監視制御システムを使用する人で区別する方法を以下に示す。
【0058】
通常、監視制御システムを操作するオペレータは、予め用意された画面を使用して、監視対象のプラントを決められた手順で操作を行い、監視制御業務を行う。オペレータには、監視制御システムの設定変更を行うための権限は限定されたものが与えられており、勝手に設定変更が行えないようになっている。つまり、通常、監視制御を行うオペレータは、プラントの設定変更に制限を設けられており、制限されている範囲については、タッチパネルで操作できなくても、オペレータにとって操作性は低下しない。
【0059】
監視制御システムの管理者は、監視制御システムの設定変更に制限がないため、監視制御システムの設定を自由に変更することが可能である。管理者が設定変更を行う場合、タッチパネルがついている画面は通常の監視操作で使用中の場合があるため、監視制御システムにネットワーク経由で接続して、監視画面を表示させ必要な設定変更を行うことになる。その場合、使用するポインティングデバイスはマウスとなる。また、タッチパネルが使用できる環境でも、信号のパラメータ変更など大量の設定変更を行う場合、タッチパネルでの操作よりマウスを使った操作の方が、画面展開が少なく作業しやすい場合があるため、マウスで操作できた方が、都合が良い。
【0060】
上記のように、監視制御システムを通常運用時に使用する機能と、監視制御システムを操作する人を基準として、操作性を犠牲にせず、タッチパネルでの操作を考慮しない画面を用意することが可能となる。
【0061】
以上のように、この実施形態によれば、タッチパネルで操作できなくても監視制御システムの操作性に影響が出ないと考えられる部分については、特にタッチパネルでの操作性を考慮することなく、マウスでの操作が行いやすい画面のみを用意することが可能になる。結果として、ポインティングデバイス毎に個別に用意する必要のある画面が少なくなり、監視画面の操作性を低下させることなく、第2、第3の実施形態と比較して低価格なシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1〜第4の実施形態に係る監視制御システムにおけるヒューマンインタフェースの概略構成を示す図。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるグラフィック画面のマウス操作を説明するための図。
【図3】本発明の第1の実施形態における履歴画面のマウス操作操作を説明するための図。
【図4】本発明の第2の実施形態における履歴画面のタッチパネル操作用レイアウトとマウス操作用レイアウトを示す図。
【図5】本発明の第3の実施形態におけるグラフィック画面でのタッチパネルとマウスの画面共用を説明するための図。
【符号の説明】
【0063】
1…表示装置
2…画面表示出力部
3…ポインティングデバイス
4…操作入力部
5…演算処理部
6…記憶部
7…データ送受信部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポインティングデバイスとしてタッチパネルまたはマウスを用いて、表示装置に表示された監視制御用画面の操作を行う監視制御システムにおいて、タッチパネル操作に適したレイアウトのタッチパネル用画面の画面情報、およびマウス操作を行った場合にのみ可能となる機能に関する表示を行うために付加されるマウス用画面の画面情報を記憶する記憶手段と、タッチパネル操作の場合、またはマウスによる所定の操作が行われた場合には、前記記憶手段から前記タッチパネル用画面の画面情報を読み出して表示装置に表示するように制御し、マウスによる前記所定の操作とは異なる所定の操作が行われた場合には、前記記憶手段から前記マウス用画面の画面情報を読み出して表示装置に表示するように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする監視制御システム。
【請求項2】
ポインティングデバイスとしてタッチパネルまたはマウスを用いて、表示装置に表示された監視制御用画面の操作を行う監視制御システムにおいて、タッチパネル操作に適したレイアウトのタッチパネル用画面の画面情報、およびマウス操作に適したレイアウトのマウス用画面の画面情報を記憶する記憶手段と、ポインティングデバイスとしてタッチパネルとマウスのいずれを用いるかを選択する選択手段と、この選択手段の選択結果に基づいて、前記記憶手段から前記タッチパネル用画面の画面情報と前記マウス用画面の画面情報のいずれかを読み出して表示装置に表示するように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする監視制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載の監視制御システムにおいて、前記記憶手段に記憶されるタッチパネル用画面の画面情報とマウス用画面の画面情報のうちの一部の画面の画面情報を、共用の画面の画面情報としたことを特徴とする監視制御システム。
【請求項4】
請求項2に記載の監視制御システムにおいて、前記記憶手段に記憶されるタッチパネル用画面の画面情報とマウス用画面の画面情報のうちの一部の画面の画面情報を、タッチパネルでの操作を考慮せずマウスでの操作性を優先した画面の画面情報としたことを特徴とする監視制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−226406(P2007−226406A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45332(P2006−45332)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】