説明

監視制御レコーダ装置

【課題】商用電源を確保できない場合でも、水門側の機器を起動でき、一定時間内の水門の監視情報及び周辺地域の静止画像を保存する。
【解決手段】実施形態の監視制御レコーダ装置は、前記商用電源から供給される電力が途絶えたときには前記バックアップ電源に切り替える。前記監視制御レコーダ装置は、震度又は水位の異常検知信号を受ける、もしくはバックアップ電源に切り替わると、前記水門側の機器を起動する起動信号を出力する。前記監視制御レコーダ装置は、前記異常検知信号を受ける、もしくは前記バックアップ電源に切り替わると、前記水門監視制御装置から受け付けた監視情報及び計測情報を前記不揮発性記憶手段に書込む。前記監視制御レコーダ装置は、前記異常検知信号を受ける、もしくは前記バックアップ電源に切り替わると、前記撮像手段からの画像データを前記不揮発性記憶手段に書込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、監視制御レコーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、防災意識の高まりと共に様々な社会基盤(インフラ)の整備が進められている。具体的には、東北地方の三陸海岸を始めとして、全国で防潮水門が設置され、水門の監視制御システムが導入されている。
【0003】
水門の監視制御システムでは、一般的に、水門側及び遠隔側にそれぞれ機器が設置される。水門側には、開閉装置を遠隔から制御するための機器と、放送・サイレン・回転灯などのように、人への注意喚起を行うための機器と、水位(潮位)、河川水位を測定するための機器と、監視カメラ設備などが設置される。遠隔側では、水門側の設備・機器の操作や制御・計測結果を確認するための機器が設置される。
【0004】
水門側の機器と遠隔側の機器とは、多くの場合、メイン回線として有線で接続され、バックアップ回線として無線で接続されている。なお、整備が進んだ監視制御システムについては、光回線により複数の拠点間でネットワークを構築している場合もある。
【0005】
また、電源としては、各拠点毎に無停電電源設備や予備発電設備などの非常用電源の設備を有していることが多い。
【0006】
このような監視制御システムは、防潮水門設備の規模や構成に応じて異なる部分はあるが、遠隔側で操作卓や端末から水門の起動操作を行い、水門側との間で回線を介して制御信号、監視信号及び計測データ等の受け渡しを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−343617号公報
【特許文献2】特開2010−206622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、以上のような監視制御システムは、実際に地震や津波、高潮等の発生に伴う緊急時に商用電源が必ずしも確保できるわけではなく、拠点間を結ぶ回線・ネットワークも不通となるといった不測の事態が想定される。
【0009】
この想定によれば、回線の不通により、水門側の機器を起動できないことから、防潮水門を閉制御できない可能性がある。また、水門側の設備に非常用電源が存在したとしても、回線の不通により、水門側の非常用電源を起動できず、後日の調査の際に、水門設備やその周辺の緊急時の状況が不明となる可能性がある。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、商用電源を確保できない場合でも、水門側の機器を起動でき、一定時間内の水門の監視情報及び周辺地域の静止画像を保存し得る監視制御レコーダ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の監視制御レコーダ装置は、水門を開閉する水門開閉装置と、当該水門開閉装置及び前記水門を監視制御する水門監視制御装置とに通信可能であり、商用電源を使用可能となっている。前記監視制御レコーダ装置は、撮像手段、不揮発性記憶手段、バックアップ電源、電源切替手段、信号出力手段、入力受付手段、第1書込手段及び第2書込手段を備えている。
【0012】
前記撮像手段は、前記水門の少なくとも一部を含む静止画像を一定時間毎に撮像し、当該静止画像を表す画像データを送出する。
【0013】
前記不揮発性記憶手段は、前記水門監視制御装置から受けた監視情報及び計測情報と、前記撮像手段から送出された画像データとを記憶するためのメモリである。
【0014】
前記バックアップ電源は、前記商用電源から電力が供給されない場合でも電力を供給可能な電源である。
【0015】
前記電源切替手段は、前記商用電源及び前記バックアップ電源のうちの前記商用電源を優先して使用し、前記商用電源から供給される電力が途絶えたときには前記バックアップ電源を使用するように、前記商用電源及び前記バックアップ電源を選択的に切り替える。
【0016】
前記信号出力手段は、前記水門監視制御装置から震度又は水位がしきい値を超えた場合に出力される異常検知信号を受ける、もしくは前記バックアップ電源に切り替わると、前記水門監視制御装置に接続された所定の機器を起動する起動信号を前記水門開閉装置及び前記水門監視制御装置に出力する。
【0017】
前記入力受付手段は、前記水門監視制御装置から前記異常検知信号を受ける、もしくは前記バックアップ電源に切り替わると、前記水門監視制御装置から送出された監視情報及び計測情報の入力を受け付ける。
【0018】
前記第1書込手段は、前記入力を受け付けた監視情報及び計測情報を前記不揮発性記憶手段に書込む。
【0019】
前記第2書込手段は、前記水門監視制御装置から異常検知信号を受ける、もしくは前記バックアップ電源に切り替わると、前記撮像手段から送出された画像データを前記不揮発性記憶手段に書込む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一実施形態に係る監視制御レコーダ装置を備えた水門監視制御システムの構成を示す模式図である。
【図2】同実施形態における監視制御レコーダ装置の構成を示す模式図である。
【図3】同実施形態における動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、一実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の監視制御レコーダ装置は、ハードウェア構成、又はハードウェア資源とソフトウェアとの組合せ構成のいずれでも実施可能となっている。組合せ構成のソフトウェアとしては、予めネットワーク又は記憶媒体から監視制御レコーダ装置のコンピュータにインストールされ、監視制御レコーダ装置の機能を実現させるためのプログラムが用いられる。
【0022】
図1は一実施形態に係る監視制御レコーダ装置を備えた水門監視制御システムの構成を示す模式図である。この水門監視制御システムは、ネットワーク1を介して通信可能な防潮水門設備及び遠隔設備を備えている。防潮水門設備は、水門開閉装置2,…,2、水位計側装置3、付帯設備4、水門監視制御装置5、監視カメラ6、画像伝送装置7a及び監視制御レコーダ装置13を備えている。遠隔設備は、画像伝送装置7b、操作卓8、監視制御端末装置9、表示装置10、付帯設備11及び遠隔監視制御装置12を備えている。
【0023】
ネットワーク1は、防潮水門設備と遠隔設備との間で構築されるものであり、一般的には光回線によって構築されるが、ここでは無線回線等による接続形態も含むものとする。
【0024】
水門開閉装置2,…,2は、水門監視制御装置5に監視制御される装置であり、水門を開/閉制御するための信号を受け渡す機能と、水門の状態監視信号を他設備向けに出力する機能と、緊急時に水門を閉制御する閉制御機能(自重降下制御など)とをもっている。この閉制御機能(閉制御装置)は、水門監視制御装置5に限らず、監視制御レコーダ装置13から出力された制御信号(起動信号)によっても起動される。
【0025】
水位計側装置3は、水門に対する内/外水位を計測し、計測結果を示す計測情報を水門監視制御装置5に送出する。
【0026】
水門側の付帯設備4は、地震観測設備や水門制御時に注意喚起を行うための放送設備等を含んでいる。
【0027】
水門監視制御装置5は、遠隔監視制御装置12に監視制御される装置であり、主に、防潮水門設備内の各装置2,…,2,3,4,13との入出力処理、遠隔側の遠隔監視制御装置12との間の伝送処理を行う。
【0028】
監視カメラ6は、水門周辺を監視し、画像信号を画像伝送装置7aに出力する。
【0029】
画像伝送装置7aは監視カメラ6の画像信号をエンコードする機能を有し、水門−遠隔間の画像伝送を担う。
【0030】
画像伝送装置7bは、画像伝送装置7bから受けた画像信号をデコードする機能を有し、水門−遠隔間の画像伝送を担う。
【0031】
操作卓8は、遠隔から水門の手動・自動制御を行うものであり、制御の内容を示す制御信号を遠隔監視制御装置12を介して水門監視制御装置5に送出する機能をもっている。操作卓8は、緊急時の水門の閉制御の操作も実行可能となっている。
【0032】
監視制御端末装置9は、水門監視制御装置5から遠隔監視制御装置12を介して伝送される各種監視信号や計測信号を表示装置10に表示すると共にメモリに記憶する機能と、水門の自動制御条件の設定や警報のためのしきい値等を水門監視制御装置5に設定する機能とを有する。
【0033】
表示装置10は、前述した各種監視信号や計測信号を表示するほか、画像伝送装置7bから受けた画像を表示する機能をもっている。
【0034】
遠隔側の付帯設備11は、遠隔設備内の各装置8,9,12による遠隔制御を行うための支援装置や、遠隔設備内の各装置7b,8〜12に対する電源設備等をさす。
【0035】
遠隔監視制御装置12は、主に、水門監視制御装置5と監視制御端末装置9との間を伝送する各種信号・データの入出力処理を行う。
【0036】
監視制御レコーダ装置13は、水門を開閉する水門開閉装置2〜2と、当該水門開閉装置2〜2及び水門を監視制御する水門監視制御装置5とに通信可能であり、商用電源を使用可能な装置であって、内蔵カメラ131、メモリ媒体132、バックアップ電源133、電源切替部134、内部リレー135及び制御部136を備えている。これらの構成要素131〜136は、緊急時の設備破損等に伴う衝撃や火災、水没に耐え得る高い耐衝撃性・耐熱性・耐水性を備えた筐体に収容されている。
【0037】
内蔵カメラ131は、水門の少なくとも一部を含む静止画像を一定時間毎に撮像し、当該静止画像を表す画像データを制御部136に送出する撮像機能をもっている。なお、内蔵カメラ131は、静止画像に限らず、動画像を撮影してもよい。しかしながら、緊急時の撮影時間が数時間に及ぶことも想定されるため、静止画像を撮影する方が実用的な観点から好ましい。また、内蔵カメラ131は、異常検知信号を受けた制御部136により制御されて撮像を開始するものとしてもよく、常時撮像を行うものとしてもよい。また、内蔵カメラ131は、単に「カメラ131」又は「撮像部131」等と読み替えてもよい。
【0038】
メモリ媒体132は、水門監視制御装置5から受けた監視情報及び計測情報と、内蔵カメラ131から送出された画像データとを記憶するための不揮発性記憶媒体であり、半導体メモリ又は光ディスク等の任意の記憶媒体が使用可能である。メモリ媒体132は、例えば、記憶内容をパーソナルコンピュータ等で読出可能な観点から汎用品であることが好ましい。ここで、監視情報としては、例えば、水門の開度を示す情報などが適宜、使用可能となっている。計測情報としては、例えば、水門に対する内/外水位の計測結果を示す情報などが適宜、使用可能となっている。なお、メモリ媒体132は、前述した監視情報、計測情報及び画像データに限らず、例えば付帯設備情報などといった所望の情報が書き込まれてもよい。
【0039】
バックアップ電源133は、商用電源から電力が供給されない場合でも電力を供給可能な電源であり、例えば各種の電池や発電機等が適宜、使用可能となっている。また、バックアップ電源133は、DCの電源種別を基本とするが、必要に応じてDC−ACコンバータをも含んで構成される。
【0040】
電源切替部134は、商用電源及びバックアップ電源133のうちの商用電源を優先して使用し、商用電源から供給される電力が途絶えたときにはバックアップ電源133を使用するように、商用電源及びバックアップ電源133を選択的に切り替える電源切替機能をもっている。
【0041】
内部リレー135は、水門開閉装置2〜2及び水門監視制御装置5に対するインターフェイスの一例であり、以下の各機能(f135-1)及び(f135-2)をもつものであればよい。
【0042】
(f135-1) 水門監視制御装置5から震度又は水位がしきい値を超えた場合に出力される異常検知信号を受ける、もしくはバックアップ電源133に切り替わると、水門監視制御装置5に接続された所定の機器を起動する起動信号を水門開閉装置2〜2及び当該水門監視制御装置5に出力する信号出力機能。ここで、所定の機器は、水門を自重降下させて閉状態にする閉制御装置と、水門監視制御装置5の予備発電機とを含んでもよく、さらに予備発電機の負荷を含んでもよい。閉制御装置は、前述した水門開閉装置2〜2の一部である。予備発電機は付帯設備4に配置され、監視制御レコーダ装置13からの起動信号を受けると、水門監視制御装置5への電力の供給を開始可能なものであるが、この起動信号を受けなくても商用電源が途絶えた場合には水門監視制御装置5への電力の供給を開始する機能を含むことが好ましい。また、内部リレー135としては、水門監視制御装置5への電力供給も困難な場合を想定し、水門開閉装置2〜2への自重降下制御が可能であるものとする。また、所定の機器としては、閉制御装置及び予備発電機に限らず、付帯設備4内の放送機器などを含んでいてもよい。また、水門監視制御装置5が異常検知信号を出力する条件は、水門設備の用途や特徴に合わせて決定することが望ましい。
【0043】
(f135-2) 水門監視制御装置5から異常検知信号を受ける、もしくはバックアップ電源133に切り替わると、水門監視制御装置5から送出された監視情報及び計測情報の入力を受け付ける入力受付機能。
【0044】
制御部136は、以下の各機能(f136-1)〜(f136-2)をもっている。
【0045】
(f135-1) 内部リレー135により入力を受け付けた監視情報及び計測情報をメモリ媒体132に書込む第1書込機能。
【0046】
(f135-2) 水門監視制御装置5から異常検知信号を受ける、もしくはバックアップ電源133に切り替わると、内蔵カメラ131から送出された画像データをメモリ媒体132に書込む第2書込機能。
【0047】
なお、制御部136は、次の機能(f135-3)を更に備えていてもよい。
【0048】
(f135-3) 第1及び第2書込機能による書込の開始後、バックアップ電源133により動作可能な時間のうち、所定の時間を経過すると、第1及び第2書込機能による書込みを停止させる書込停止機能。書込停止機能における所定の時間は、バックアップ電源133により動作可能な時間の約80〜90%程度を目安として設定することが、各種保存データの上書き防止の観点から好ましい。但し、メモリ媒体132のメモリ容量が非常に大きい場合には上書き防止の心配がないので、書込停止機能を省略してもよい。
【0049】
次に、以上のように構成された監視制御レコーダ装置を備えた水門監視制御システムの動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
【0050】
通常、監視制御レコーダ装置13には、商用電源から電力が供給されている。電源切替部134は、バックアップ電源133を使用せず、商用電源を優先して使用するように選択している。
【0051】
ステップS1,S2において、電源切替部134は、商用電源から供給される電力が途絶えたときには、商用電源からバックアップ電源133に切り替える。
【0052】
ステップS3においては、例えば、付帯設備4内の地震観測設備にて地震発生を検知し、しきい値を越えた際に出力される接点信号(異常検知信号)がオン状態となって水門監視制御装置5から出力される。なお、接点信号(異常検知信号)を出力する条件は、地震検知に限らず、任意の条件が使用可能となっている。また、監視制御レコーダ装置13は、この異常検知信号を受けるか、もしくはバックアップ電源133に切り替わると、動作を開始する。また、異常検知信号としては、オフ状態からオン状態になった信号に限らず、オン状態からオフ状態になった信号を用いてもよい。
【0053】
ステップS4,S5において、監視制御レコーダ装置13では、例えば異常検知信号を内部リレー135が受けると、水門を自重降下させることにより水門を閉状態に制御する制御信号(起動信号)を水門開閉装置2〜2に出力し、水門監視制御装置5に接続された付帯設備4を起動する起動信号を水門監視制御装置5に出力する一方、水門監視制御装置5から監視情報及び計測情報の入力を受け付ける。
【0054】
具体的には、内部リレー135は、ステップS3で出力された接点信号により駆動し、外部出力用端子からの接点信号(外部出力接点信号)が全てメークの状態となる。その内の1点が水門の緊急閉鎖を行うための制御信号として使用され、他の1点が付帯設備4を起動する起動信号として使用される。接点信号は、これらに限らず、注意喚起のための設備を起動したり通報のための設備・機器への受け渡しも可能であり、用途・目的に応じて使用可能である。また、接点信号による駆動としては、常時オフ状態から駆動時オン状態へのA接点、常時オン状態から駆動時オフ状態へのB接点、及びA・B接点を組み合わせたC接点のいずれを用いてもよい。
【0055】
ステップS6においては、監視制御レコーダ装置13の動作開始により、制御部136が、内部リレー135により入力を受け付けた監視情報及び計測情報をメモリ媒体132に書込む。
【0056】
ステップS7においては、監視制御レコーダ装置13の動作開始により、制御部136が、内蔵カメラ131から送出された画像データをメモリ媒体132に書込む。なお、内蔵カメラ131を省略し、内蔵カメラ131からの画像データに代えて、画像伝送装置7aから送出された画像データをメモリ媒体132に書込むように変形してもよい。
【0057】
ステップS8においては、制御部136は、バックアップ電源133により動作可能な時間のうち、所定の時間を経過すると、メモリ媒体132への書込みを停止する。
【0058】
上述したように本実施形態によれば、水門監視制御装置5から震度又は水位がしきい値を超えた場合に出力される異常検知信号を受ける、もしくはバックアップ電源133に切り替わると、所定の機器を起動する起動信号を水門開閉装置2〜2及び水門監視制御装置5に出力し、水門監視制御装置5から送出された監視情報及び計測情報と、内蔵カメラ131から送出された画像データとをメモリ媒体132に書込む監視制御レコーダ装置13を設けた構成により、商用電源を確保できない場合でも、水門側の機器を起動でき、一定時間内の水門の監視情報及び周辺地域の静止画像を保存することができる。
【0059】
補足すると、本実施形態によれば、防潮水門設備が非常用電源を有しているにも関わらず遠隔設備からの制御信号を伝送するためのネットワーク1が不通となり水門を閉鎖できない場合でも、人の操作指令を介さずに所定の機器を起動できるので、不測の事態に対して所定の機器によって対策をとることができると共に、水門の監視情報や周辺地域を撮影した静止画像をメモリ媒体132に保存するので、監視制御レコーダ装置13の回収後、メモリ媒体132の保存内容を容易に確認できるようになる。
【0060】
また、本実施形態によれば、起動される所定の機器が閉制御装置の場合には、水門を自重降下させるように閉制御でき、所定の機器が予備発電機の負荷の場合には、水門監視制御装置5の電力の供給を開始して全電源喪失(ブラックアウト)を阻止することができ、さらに全電源喪失となっても水門の自重降下による閉制御は行えることになる。
【0061】
また、本実施形態によれば、第1及び第2書込機能による書込の開始後、バックアップ電源133により動作可能な時間のうち、所定の時間を経過すると、第1及び第2書込機能による書込みを停止させる場合には、メモリ媒体132内の各種保存データを上書き消去する心配を無くすことができる。
【0062】
なお、上記の各実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、光磁気ディスク(MO)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【0063】
また、この記憶媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であっても良い。
【0064】
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が上記実施形態を実現するための各処理の一部を実行しても良い。
【0065】
さらに、各実施形態における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0066】
また、記憶媒体は1つに限らず、複数の媒体から上記の各実施形態における処理が実行される場合も本発明における記憶媒体に含まれ、媒体構成は何れの構成であっても良い。
【0067】
なお、各実施形態におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、上記の各実施形態における各処理を実行するものであって、パソコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であっても良い。
【0068】
また、各実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0069】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1…ネットワーク、2〜2…水門開閉装置、3…水位計側装置、4…付帯設備、5…水門監視制御装置、6…監視カメラ、7a,7b…画像伝送装置、8…操作卓、9…監視制御端末装置、10…表示装置、11…付帯設備、12…遠隔監視制御装置、13…監視制御レコーダ装置、131…内蔵カメラ、132…メモリ媒体、133…バックアップ電源、134…電源切替部、135…内部リレー、136…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水門を開閉する水門開閉装置と、当該水門開閉装置及び前記水門を監視制御する水門監視制御装置とに通信可能であり、商用電源を使用可能な監視制御レコーダ装置であって、
前記水門の少なくとも一部を含む静止画像を一定時間毎に撮像し、当該静止画像を表す画像データを送出する撮像手段と、
前記水門監視制御装置から受けた監視情報及び計測情報と、前記撮像手段から送出された画像データとを記憶するための不揮発性記憶手段と、
前記商用電源から電力が供給されない場合でも電力を供給可能なバックアップ電源と、
前記商用電源及び前記バックアップ電源のうちの前記商用電源を優先して使用し、前記商用電源から供給される電力が途絶えたときには前記バックアップ電源を使用するように、前記商用電源及び前記バックアップ電源を選択的に切り替える電源切替手段と、
前記水門監視制御装置から震度又は水位がしきい値を超えた場合に出力される異常検知信号を受ける、もしくは前記バックアップ電源に切り替わると、前記水門監視制御装置に接続された所定の機器を起動する起動信号を前記水門開閉装置及び前記水門監視制御装置に出力する信号出力手段と、
前記水門監視制御装置から前記異常検知信号を受ける、もしくは前記バックアップ電源に切り替わると、前記水門監視制御装置から送出された監視情報及び計測情報の入力を受け付ける入力受付手段と、
前記入力を受け付けた監視情報及び計測情報を前記不揮発性記憶手段に書込む第1書込手段と、
前記水門監視制御装置から異常検知信号を受ける、もしくは前記バックアップ電源に切り替わると、前記撮像手段から送出された画像データを前記不揮発性記憶手段に書込む第2書込手段と、
を備えたことを特徴とする監視制御レコーダ装置。
【請求項2】
請求項1に対応する監視制御レコーダ装置において、
前記所定の機器は、前記水門を自重降下させて閉状態にする閉制御装置と、前記水門監視制御装置の予備発電機とを含むことを特徴とする監視制御レコーダ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に対応する監視制御レコーダ装置において、
前記第1及び第2書込手段による書込の開始後、前記バックアップ電源により動作可能な時間のうち、所定の時間を経過すると、前記第1及び第2書込手段による書込みを停止させる書込停止手段、
を更に備えたことを特徴とする監視制御レコーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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