監視装置および監視方法
【課題】高い確率で制御装置の異常を予知する技術を提供する。
【解決手段】監視装置(115)は、データ受信部(103)、受信時刻記憶部(106、107)、および状態情報算出部(109)を有している。データ受信部は、第1の制御装置から出力されるデータを受信する。受信時刻記憶部は、データ受信部がデータを受信した受信時刻を蓄積する。状態情報算出部は、受信時刻記憶部に蓄積された受信時刻に基づいて、第1の制御装置の状態に関する情報を算出する。
【解決手段】監視装置(115)は、データ受信部(103)、受信時刻記憶部(106、107)、および状態情報算出部(109)を有している。データ受信部は、第1の制御装置から出力されるデータを受信する。受信時刻記憶部は、データ受信部がデータを受信した受信時刻を蓄積する。状態情報算出部は、受信時刻記憶部に蓄積された受信時刻に基づいて、第1の制御装置の状態に関する情報を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置の状態監視技術に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所や工場などのプラント制御においては、プラントを停止させると莫大な損失が発生する。そのため、プラントの各種制御対象機器を制御する制御装置が故障によって停止するのは極力避けることが要求される。
【0003】
また、プラント制御においては、制御対象機器に対して誤った制御を行うと、その影響は大きなものとなる。そのため、制御装置が故障によって誤った制御を行うのも極力避けることが要求される。
【0004】
プラントの停止や制御対象機器への誤制御を避けるために、制御装置が故障する前に、その故障を予知することが重要である。制御装置の故障を予知し、故障が顕在化する前に、制御装置を交換したり、リスタートさせることで、プラントの停止や制御対象機器への誤制御を未然に防止することができる。
【0005】
障害を予知する技術として特許文献1に開示された技術がある。
【0006】
特許文献1には、各種プラントの計算機システムを構成する各種機器の動作状態を監視し、異常を検出する保守管理装置を備えた保守管理システムが開示されている。特許文献1に開示された保守管理システムでは、計算機システムに機器状態監視手段が設けられている。機器状態監視手段は、は、監視対象である各種機器の動作状態を監視し、監視結果を監視対象の動作情報として保守管理装置に通知する。保守管理装置に通知される監視対象の動作情報として、例えば、通信エラーやメモリ読み取り不良などの障害情報、プログラムの起動、停止、再起動などの履歴情報が含まれる。
【0007】
保守管理装置は、複数の動作情報の組み合わせと、その動作情報の組み合わせにより起こりうる障害とを関連付けた予兆情報を予めデータベースに登録しており、機器状態監視手段から通知された各種機器の動作情報を記録し、また通知された動作情報の組み合わせと関連付けられた障害の予兆があれば、それを機器の異常とみなす。機器に異常があると判断すると、保守管理装置は、それを動作状態表示装置に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−134691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1に開示された保守管理システムは、計算機システムの各種機器からは状態情報が確実に出力され、かつ各種機器が出力する状態情報に誤りが無いことが前提となっている。しかし実際には、機器に異常が生じた場合、必ず正しい状態情報が出力されるとは限らない。例えば、故障した機器から誤った状態情報が出力されたり、間歇的な障害が発生していてもその状態情報が出力されなかったり、機器に高い負荷がかかって状態情報が出力されなかったり、状態情報の出力が遅れたりすることがあり得る。そのような場合には機器の異常を適切に予知できないことがあり得る。
【0010】
本発明の目的は、高い確率で制御装置の異常を予知する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の監視装置は、第1の制御装置から出力されるデータを受信するデータ受信部と、前記データ受信部が前記データを受信した受信時刻を蓄積する受信時刻記憶部と、前記受信時刻記憶部に蓄積された前記受信時刻に基づいて、前記第1の制御装置の状態に関する情報を算出する状態情報算出部と、を有している。
【0012】
また、前記状態情報算出部は、前記受信時刻記憶部に蓄積された前記受信時刻に基づいて、前記データが受信された時間的な間隔である受信時間間隔あるいは単位時間当たりに受信されたデータの個数である単位時間受信データ数を算出し、前記受信時間間隔または前記単位時間受信データ数に基づいて、前記第1の制御装置の状態を判定するものであってもよい。
【0013】
また、受信時間間隔または単位時間受信データ数に関する基準値を予め記憶する基準値記憶部を更に有し、前記状態情報算出部は、算出した前記受信時間間隔または前記単位時間受信データ数と前記基準値とを比較し、比較結果に基づいて、前記第1の制御装置の状態を判定することにしてもよい。
【0014】
また、前記第1の制御装置は、前記データを出力する処理を他の所定の処理よりも低い優先度で実行し、前記状態情報算出部は、前記受信時間間隔が前記基準値よりも長いとき、あるいは前記単位時間受信データ数が前記基準値よりも少ないとき、前記第1の制御装置が異常状態と判定することにしてもよい。
【0015】
また、前記第1の制御装置から送信されるデータに、データを送信する時間的な間隔である送信時間間隔、または単位時間当たりに送信するデータの個数である単位時間送信データ数が付加されており、前記状態情報算出部は、前記データ受信部で受信された前記データに付加されていた前記送信時間間隔または前記単位時間送信データ数に基づいて前記基準値を変更することにしてもよい。
【0016】
また、前記状態情報算出部は、ユーザが指定した基準値算出時間内に受信された複数のデータの受信時刻に対する統計処理によって前記基準値を算出し、前記基準値記憶部に記録することにしてもよい。
【0017】
また、前記基準値は上限と下限で規定される範囲として設定され、前記状態情報算出部は、前記受信時刻時間間隔または前記単位時間受信データ数が前記上限を上回ったとき、または前記下限を下回ったとき、前記第1の制御装置が異常状態と判定することにしてもよい。
【0018】
また、前記第1の制御装置の正常性に関する状態として複数段階の状態が定義され、前記複数段階の状態毎に前記基準値が設定され、前記状態情報算出部は、前記基準値に基づいて、前記第1の制御装置がどの状態にあるか判定することにしてもよい。
【0019】
また、前記監視装置が前記第1の制御装置からのデータに基づいて制御を実行する第2の制御装置であり、前記第2の制御装置は、前記第1の制御装置が異常な状態であると判定したら、前記第1の制御装置からのデータを制御に利用しないことにしてもよい。
【0020】
また、前記状態情報算出部は、前記データ受信部が最新のデータを受信した受信時刻と、前記データ受信部が前回のデータを受信した受信時刻との差分である経過時間を、前記第1の制御装置の状態に関連する情報として算出することにしてもよい。
【0021】
また、前記監視装置が前記第1の制御装置の状態を表示する表示装置であり、前記表示装置は、前記経過時間に応じて、表示する文字またはアイコンの色あるいは明るさを変化させることにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高い確率で制御装置の異常を予知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の基本的な実施形態による監視装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1による制御用データ表示装置102の構成を示すブロック図である。
【図3】制御装置100が制御用データ表示装置102に送信するデータのフォーマットの一例を示す図である。
【図4】受信時間間隔Δtの変化に伴う制御装置100の状態遷移を示す図である。
【図5A】制御装置100の状態の表示部111への表示例を示す図である。
【図5B】制御装置100の状態の表示部111への表示におけるアイコンの色とその意味の関係を示す表である。
【図6】制御用データ表示装置102の処理を示すフローチャートである。
【図7】実施例2による制御用データ表示装置202の構成を示すブロック図である。
【図8】文字の近傍にシンボルを表示することでデータの新しさの度合いを表わす表示例を示す図である。
【図9】制御用データ表示装置202の処理を示すフローチャートである。
【図10】実施例3による制御装置302の構成を示すブロック図である。
【図11】実施例4による制御装置402の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の基本的な実施形態による監視装置の構成を示すブロック図である。本監視装置115は、制御装置100を監視する機能を備えていればよく、実際には、例えば、制御装置100による制御に関する操作および表示を行うデータ表示装置であってもよい。また、監視装置115は、制御装置100からの制御を受けると共に制御対象装置に対して制御を行う制御装置であってもよい。
【0026】
図1を参照すると、監視装置115は、データ受信部103、受信時刻記憶部113、状態情報算出部114、および基準値記憶部108を有している。
【0027】
データ受信部103は、制御装置100から出力されるデータを受信する。このデータは制御装置100が制御を実行するためのデータであり、不図示の制御対象装置の機能および構成や制御装置100による制御方法に基づいて定められる。制御装置100が制御対象装置を制御している状態では、制御装置100がデータを送信する時刻には一定の周期性などの時間的な特性が存在する。
【0028】
受信時刻記憶部113は、データ受信部103がデータを受信すると、その受信時刻の情報を蓄積する。受信時刻記憶部113は、最新のデータの受信時刻だけでなく、前回以前つまり過去のデータの受信時刻をも蓄積する。
【0029】
状態情報算出部114は、受信時刻記憶部113に蓄積された受信時刻に基づいて、制御装置100の状態に関する情報を算出する。
【0030】
本実施形態によれば、制御装置100から送信されるデータ自体の信頼性が低い状態でも、高い確率で制御装置100の状態を予知することが可能となる。
【0031】
上記状態情報算出部114は、受信時刻記憶部113に蓄積された受信時刻に基づいて、データが受信された時間的な間隔である受信時間間隔あるいは単位時間当たりに受信されたデータの個数である単位時間受信データ数を算出し、その受信時間間隔または単位時間受信データ数に基づいて、制御装置100の状態を判定する状態判定部であってもよい。
【0032】
これによれば、制御装置100から送信されるデータ自体の信頼性が低い状態でも、データが受信される時刻に基づいて、高い確率で制御装置100の異常を予知することが可能である。
【0033】
また一例として、基準値記憶部108は、受信時間間隔または単位時間受信データ数に関する基準値を予め記憶しておいてもよい。その場合、状態情報算出部114は、算出した受信時間間隔または単位時間受信データ数と基準値とを比較し、比較結果に基づいて制御装置100の状態を判定すればよい。
【0034】
より具体的には、制御装置100がデータを出力する処理を他の所定の処理よりも低い優先度で実行するように設定しておき、状態情報算出部114は、受信時間間隔が基準値よりも長いとき、あるいは単位時間受信データ数が基準値よりも少ないとき、制御装置が異常状態であると判定してもよい。
【0035】
これによれば、制御装置100の負荷が過剰に高くなると、受信時間間隔が基準値よりも長くなったり、あるいは単位時間受信データ数が基準値よりも少なくなったりするので、制御装置100の異常状態を容易かつ確実に検出できる。
【0036】
また、制御装置100から送信されるデータに、制御装置100がデータを送信する時間的な間隔である送信時間間隔、または単位時間当たりに送信するデータの個数である単位時間送信データ数を付加することにしておいてもよい。その場合、状態情報算出部114は、データ受信部103で受信されたデータに付加されていた送信時間間隔または単位時間送信データ数に基づいて基準値を変更するとよい。
【0037】
制御装置100からデータを送信する時間間隔や頻度は、制御装置100が正常に動作しているときにも変化することがある。そのような場合、制御装置100から送信時間間隔または単位時間送信データ数を監視装置115に通知しておけば、監視装置115が誤って異常状態と判断してしまうのを防止できる。
【0038】
また、状態情報算出部114は、基準値を算出するのに好適な時間帯として、ユーザが指定した時間(基準値算出時間)内に受信された複数のデータの受信時刻に対する統計処理によって基準値を算出し、基準値記憶部108に記録することにしてもよい。
【0039】
このように、制御装置100が正常に動作してる時間帯のデータの受信時刻に基づいて基準値を算出すれば、信頼度の高い基準値を設定することが可能となる。
【0040】
また、基準値は上限と下限で規定される範囲として設定されるものであってもよい。その場合、状態情報算出部114は、受信時刻時間間隔または単位時間受信データ数が上限を上回ったとき、または下限を下回ったとき、制御装置100が異常状態と判定すればよい。
【0041】
これによれば、制御装置100等の異常により受信時刻時間間隔が異常に短くなったり異常に長くなったりする場合、あるいは単位時間受信データ数が異常に増えたり異常に減ったりする場合に、制御装置100の異常状態を高い確率で検出することが可能となる。
【0042】
本実施形態では、状態情報算出部114が、制御装置100の状態を判定する状態判定部であることにしたが、本発明がこれに限定されることは無い。他の例として、監視装置115が制御装置100から受信したデータを表示する表示装置であり、状態情報算出部114が表示画像を生成する表示加工部であってもよい。その場合、状態情報算出部114は、データ受信部103が最新のデータを受信した受信時刻と、データ受信部103が前回のデータを受信した受信時刻との差分である経過時間を、制御装置100の状態に関連する情報として算出することにしてもよい。これにより、制御装置100から送信されるデータ自体の信頼性が低い状態でも、制御装置100の状態を表示することが可能となる。また、監視装置115は、上述の経過時間に応じて、表示する文字またはアイコンの色あるいは明るさを変化させることにしてもよい。
【0043】
以下、より具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0044】
本実施例のシステムは、制御装置100と、制御装置100からのデータを受信し、そのデータの定周期性により制御装置100の状態を判定する機能を有する制御用データ表示装置102とを有するものである。ここでいう定周期性は、データの受信時刻に存在する時間的な特性の一例であり、一定の周期性のことを言う。
【0045】
図2は、実施例1による制御用データ表示装置102の構成を示すブロック図である。制御装置100は、制御対象への制御を実行する装置であり、本発明に関連する部分として、制御用データ表示装置102にデータを周期的に送信するデータ送信部101を有する。ここでは制御装置100が制御用データ表示装置102に送信するデータの内容は問わない。例えば、制御装置100の制御状態を画面に表示するために、制御装置100から制御状態をデータとして制御用データ表示装置102に通知してもよい。
【0046】
また、制御装置100における各種処理の中で、データ送信部101がデータを送信する処理の優先度を他の処理よりも低く設定しておくものとする。そうすることで、制御装置100が高負荷状態になった場合にデータ送信の定周期性が崩れ、異常な状態を検出することが可能となる。例えば、データ送信部101がデータを送信する処理の優先度を、制御装置100が不図示の制御対象装置への制御を実行する処理の優先度よりも低く設定しておくとよい。
【0047】
制御用データ表示装置102は、データ受信部103、時計部104、今回受信データ記憶部105、今回受信時刻記憶部106、過去受信時刻記憶部107、基準値記憶部108、状態判定部109、表示加工部110、表示部111、および基準値入力部112を有している。
【0048】
データ受信部103は、制御装置100からのデータの受信処理を行う部分であり、制御装置100から受信したデータを今回受信データ記憶部105に格納し、そのデータを受信した時刻を時計部104より取得し、今回受信時刻記憶部106に格納する。
【0049】
時計部104は、制御用データ表示装置102内の時刻を管理する。この時刻が制御用データ表示装置102内で各種処理に利用される。
【0050】
今回受信データ記憶部105は、データ受信部103で受信された、制御装置100からのデータを記憶する。
【0051】
今回受信時刻記憶部106は、制御装置100から受信した最新のデータの受信時刻を記憶する。
【0052】
過去受信時刻記憶部107は、制御装置100から受信した過去のデータの受信時刻を記憶する。新たなデータが受信される毎に、今回受信時刻記憶部106に記憶されていた受信時刻の情報が、過去受信時刻記憶部107に追加格納されていく。
【0053】
基準値記憶部108は、制御装置100の状態を判定するときに用いられる基準値を記憶する。この基準値は、管理者(ユーザー)が設定した値であってもよく、あるいは制御用データ表示装置102が算出した値であってもよい。
【0054】
状態判定部109は、今回受信時刻記憶部106に格納された今回のデータの受信時刻と、過去受信時刻記憶部107に格納された過去の制御装置100からのデータの受信時刻と、基準値記憶部108に格納されている基準値とに基づき、制御装置100の状態を判定する処理を行う。
【0055】
表示加工部110は、状態判定部109で判定された制御装置100の状態の情報を、画面への表示のために加工する。例えば、表示加工部110は、制御装置100の状態情報を、ユーザーに表示する画像に変換することにしてもよい。
【0056】
表示部111は、状態判定部109による判定結果である状態情報を表示する画像、つまり表示加工部110で生成された画像をユーザーに表示する。
【0057】
基準値入力部112は、ユーザーが基準値を設定する場合に、その基準値をユーザーが入力するためのインタフェースである。
【0058】
状態判定部109で行われる制御装置100の状態判定の方法として、制御装置100からのデータを受信する間隔に基づいて判定する方法と、単位時間当たりに受信したデータ数に基づいて判定する方法があるが、本実施例ではデータを受信する間隔で判定を行うものとする。
【0059】
また、制御装置100の状態の判定に用いる基準値の決定方法の例としては、ユーザーが指定する方法、過去のデータの受信間隔から制御用データ表示装置102が算出する方法、制御装置100が制御用データ表示装置102に通知する方法等がある。本実施例では、その中でユーザーが指定する方法が採用されている。
【0060】
図3は、制御装置100が制御用データ表示装置102に送信するデータのフォーマットの一例を示す図である。図3を参照すると、データにヘッダーが付加されており、そのヘッダには、データ番号(データNo.)、送信時間間隔(時間間隔)、および単位時間送信データ数(データ数)が記載されている。ここでは送信時間間隔と単位時間送信データ数の両方を通知する例を示したが、本発明がこれに限定されることは無い。送信時間間隔と単位時間送信データ数のいずれか一方のみを通知することにしてもよい。
【0061】
図3のように送信時間間隔と単位時間送信データ数の両方あるいは一方を制御用データ表示装置102に通知し、それに基づいて制御用データ表示装置102が基準値を変更すれば、正常動作において送信時間間隔や単位時間送信データ数に定周期性が乱れる場合に、それを異常状態と判断してしまわないようにすることができる。
【0062】
また、状態判定部109における、基準値による制御装置100の状態判定の方法としては、制御装置100の状態として、正常状態、警告状態、異常状態というように複数の状態を定義してもよい。例えば、受信時間間隔や単位時間受信データ数に複数の閾値(基準値)で区切ることで複数の範囲に分け、算出した受信時間間隔あるいは単位時間受信データ数とそれら閾値との大小関係に基づいて、どの状態であるかを判断するればよい。本実施例では、受信時間間隔によって、制御装置100の状態を正常状態、警告状態、異常状態に分ける閾値をユーザーが指定することにする。
【0063】
まず、状態判定部109は、今回受信時刻記憶部106に記憶されている今回のデータの受信時刻と、過去受信時刻記憶部107に記憶されている前回のデータの受信時刻との差分から、データの受信時間間隔Δtを求める。続いて、状態判定部109は、その受信時間間隔Δtを、ユーザーが指定した基準値と比較し、比較結果から制御装置100の状態を判定する。
【0064】
図4は、受信時間間隔Δtの変化に伴う制御装置100の状態遷移を示す図である。
【0065】
基準値として、Tw_max、Tn_max、Tn_min,Tw_minという4つの閾値が設定されている。受信時間間隔ΔtがTn_min以上かつTn_max未満の場合は、状態判定部109は制御装置100が正常状態と判定する。受信時間間隔ΔtがTw_min以上かつTn_min未満または、Tn_max以上かつTw_max未満の場合、状態判定部109は制御装置100が中間状態(警告状態)と判定する。それ以外の場合、状態判定部109は制御装置100が異常状態と判定する。
【0066】
制御装置100の状態の表示部11への表示方法には様々な方法が考えられる。
【0067】
例えば、制御装置100の状態を示す文字またはアイコンを表示する、制御装置100の状態により文字またはアイコンを色分けする、警告状態の頻度が高くなるにつれて色を濃くするまたは薄くするまたは異常状態の色に近づけていくあるいは、警告状態の頻度が高くなると文字またはアイコンの点滅の周期を早くするなどの方法がある。
【0068】
図5Aは、制御装置100の状態の表示部111への表示例を示す図である。図5Bは、制御装置100の状態の表示部111への表示におけるアイコンの色とその意味の関係を示す表である。
【0069】
図5Aの例では、複数の制御装置100を有する制御システムの全体構成図が表示され、その中の各制御装置100に状態表示用のアイコンが設けられている。アイコンは、その色によって状態を表示するものである。図5Bに示すように、緑色が正常状態を示し、黄色が警告状態を示し、赤色のが異常状態を示している。また、警告状態になる頻度が高くなると、黄色のアイコンが点滅することにしてもよい。
【0070】
図6は、制御用データ表示装置102の処理を示すフローチャートである。
【0071】
図6を参照すると、制御用データ表示装置102は、ユーザーが基準値入力部112より入力した基準値を基準値記憶部108に格納する(ステップs101)。このときにユーザーが入力した基準値は、制御装置100を正常状態と判定する受信時間間隔の最小値Tn_mimおよび最大値Tn_maxと、中間状態(警告状態)と判定する受信時間間隔の最小値Tw_minおよび最大値Tw_maxとである。
【0072】
データ受信部103は、制御装置100から送信されたデータdを受信し、今回受信データ記憶部105に格納する(ステップs102)。更に、データ受信部103は時計部104から、データdを受信した時刻tを取得し、今回受信時刻記憶部106に格納する(ステップs103)。
【0073】
状態判定部109は、今回受信時刻記憶部106より今回受信時刻tと、過去受信時刻記憶部107より前回受信時刻toldとを取得し、基準値記憶部108より基準値Tn_mim、Tn_max、Tw_max、Tw_maxを取得する(ステップs104〜s106)。続いて状態判定部109は、今回受信時刻tと前回受信時刻toldの差分から、今回の受信時間間隔Δtを算出する(ステップs107)。
【0074】
そして、状態判定部109は、ΔtがTn_min<Δt≦Tn_maxを満たす場合、制御装置100が正常状態であると判定する(s108)。また、ΔtがTw_min<Δt≦Tn_minまたは、Tn_max≦Δt<Tw_maxを満たす場合、状態判定部109は、制御装置100が中間状態(警告状態)であると判定する(ステップs111)。また、Δtがそれ以外の値をとった場合、状態判定部109は、制御装置100が異常状態であると判定する(ステップs112)。
【0075】
そして、状態判定部109は、その判定結果を表示加工部110に通知する。表示加工部110は、通知された制御装置100の状態に合わせ、各制御装置100のアイコンを所定の色で表示する画像を生成し(ステップs113)、表示部111が、制御装置100の状態を示すその画像を表示する(ステップs114)。
【実施例2】
【0076】
実施例2は、制御用データ表示装置が制御装置100から受信したデータの新しさを視覚的に表示するものである。
【0077】
図7は、実施例2による制御用データ表示装置202の構成を示すブロック図である。制御装置100は、制御用データ表示装置202にデータを周期的に送信するデータ送信部101を有する。
【0078】
制御用データ表示装置202は、データ受信部103、時計部104、今回受信データ記憶部105、今回受信時刻記憶部106、表示加工部210、および表示部111を有している。ここでは、図2に示した実施例1の制御装置100および制御用データ表示装置202で既に説明したものと同一の構成および動作の部分については説明を省略する。
【0079】
表示加工部210は、今回受信データ記憶部105から最新の受信データを取得し、そのデータを表示部111に表示する。
【0080】
更に定期的に、表示加工部210は、今回受信時刻記憶部106より最新の受信データの受信時刻を取得し、時計部104より現在時刻を取得し、それら受信時刻と現在時刻に基づいて、表示部111に表示されたデータが受信されてから現在までの経過時間Δtを算出する。更に、表示加工部210は、その経過時間Δtに基づき、データの新しさの度合いを表示部111に視覚的に表示する。
【0081】
そして、表示加工部210は、次の新しいデータが受信されるまでの間、経過時間Δtを算出し、データの新しさの度合いを表示部111に表示する一連の処理を繰り返す。
【0082】
新しさの度合いを視覚的に表示する方法としては、最新のデータを受信してからの経過時間に応じて、表示部111に表示されたデータの表示を変化させるという方法がある。具体的には、表示部111に表示されたデータの色、文字の大きさ、文字の太さ、線幅、そのデータのフィールドの色、文字に記号を追加する等が適用可能である。また本実施例では、データを示す文字の近傍に所定のシンポルを表示するものとする。具体的には、新しいデータの文字の近傍にはシンボルも表示せず、所定時間を経過したらシンボルとして*印を文字の近傍に表示するものとする。
【0083】
図8は、文字の近傍にシンボルを表示することで、データの新しさの度合いを表わす表示例を示す図である。図8を参照すると、No.1に示された送信元の制御装置CTL1からの受信データであるデータMSTは、受信してから所定時間が経過しているので、データ200の近傍に*印が表示されている。一方、No.2に示された送信元の制御装置CTL2からの受信データであるデータMSDは、受信してから所定時間が経過していないので、データ200の近傍に何らシンボルが表示されていない。
【0084】
図9は、制御用データ表示装置202の処理を示すフローチャートである。
【0085】
図9を参照すると、データ受信部103は制御装置100からのデータdを受信し、今回受信データ記憶部105に格納する(ステップs201)。また、データ受信部103は、時計部104からデータを受信した時刻tを取得し、今回受信時刻記憶部106に格納する(ステップs202)。
【0086】
次に、表示加工部210は、今回受信データ記憶部105からデータdを取得し、表示部111に表示させる(ステップs203,s204)。
【0087】
続いて、表示加工部210は、今回受信時刻記憶部106からデータdの受信時刻を取得し(ステップs205)、時計部104から現在時刻Tを取得し(ステップs206)、データを受信してからの経過時間Δtを算出する(ステップs207)。
【0088】
更に、表示加工部210は、表示部111に表示されているデータの表示をΔtの値に応じて変化させる(ステップs208)。例えば、データ表示の色や明るさなどをΔtの値に応じて変化させる。
【0089】
その後、表示加工部210は、今回受信時刻記憶部106に格納されているデータを確認し(ステップs209)、今回受信時刻記憶部106に新たな受信データが格納されているか否か判定する(ステップs210)。
【0090】
新たな受信データが格納されていれば、表示加工部210はステップs203に戻り、新たなデータを表示部111に表示させる。一方、新たな受信データが格納されていなければ、表示加工部210はステップs206に戻り、経過時間Δtに応じて表示を変化させる。
【実施例3】
【0091】
実施例3は、2つの制御装置を有し、一方の制御装置が他方の制御装置や計算機からデータを受信し、そのデータを自身が実行する制御に利用するシステムに関する実施例である。本実施例では、一方の制御装置が、監視装置として機能し、他方の制御装置や計算機などから送信されてきたデータを受信し、そのデータの定周期性により、データを送信した制御装置の状態を判定する。ただし、本発明がこれに限定されることはない。他の例として、双方の制御装置が互いに相手からデータを受信し、そのデータの定周期性を監視することにしてもよい。
【0092】
図10は、実施例3による制御装置302の構成を示すブロック図である。制御装置302は、第1の制御装置である制御装置100からデータを受信し、そのデータに基づいて制御対象315を制御する第2の制御装置である。
【0093】
制御対象315は、一例として発電プラントの制御バルブなど、制御装置302が制御を行う対象である。ここでは、制御対象315は、フェールセーフが適用されており、制御を加えなければ、危険な状態に陥ることなく安全な状態が維持されるものとする。
【0094】
制御装置100は、制御装置302にデータを周期的に送信するデータ送信部101を有する。
【0095】
制御装置302は、データ受信部103、時計部104、今回受信データ記憶部105、今回受信時刻記憶部106、過去受信時刻記憶部107、基準値記憶部108、状態判定部109、基準値入力部112、通知部313、および制御演算部314を有している。
【0096】
制御装置302は、図2に示した実施例1の制御用データ表示装置202に対応するものである。ここでは、実施例1の制御用データ表示装置202で既に説明したものと同一の構成および動作の部分については説明を省略する。
【0097】
通知部313は、状態判定部109が判定した制御装置100の状態を制御演算部314に通知する。
【0098】
制御演算部314は、今回受信データ記憶部105に格納された制御装置100からの受信データを入力値として制御演算を実行し、実行結果を制御対象315に出力する。その際、制御演算部314は、通知部313からの通知に応じて、制御対象315への制御方法を変更する。
【0099】
具体的には、制御演算部314は、通知部313より、制御装置100の状態が正常だと通知された場合は制御演算の実行結果をそのまま制御対象315に出力する。一方、制御装置100の状態が異常であると通知された場合、制御演算部314は、制御演算の実行結果を制御対象315に出力しないようにする。
【0100】
これにより、制御装置100が異常状態になっても、制御装置302はそれを予知して安全な状態を維持することが可能となる。
【実施例4】
【0101】
実施例4は、2つの制御装置を有し、一方の制御装置が他方の制御装置や計算機からデータを受信し、そのデータを自身が実行する制御に利用するシステムに関する実施例である。本実施例では、第2の制御装置である制御装置402が、実施例2の制御用データ表示装置202と同様の処理によって第1の制御装置100からのデータの新しさを判定し、その判定結果から、制御装置100からのデータの正常性を判定する。
【0102】
図11は、実施例4による制御装置402の構成を示すブロック図である。
【0103】
制御装置402は、第1の制御装置である制御装置100からデータを受信し、そのデータに基づいて制御対象315を制御する第2の制御装置である。
【0104】
制御対象315は、一例として発電プラントの制御バルブなど、制御装置402が制御を行う対象である。ここでは、制御対象315は、フェールセーフが適用されており、制御を加えなければ、危険な状態に陥ることなく安全な状態が維持されるものとする。
【0105】
制御装置100は、制御装置402にデータを周期的に送信するデータ送信部101を有する。
【0106】
制御装置402は、データ受信部103、時計部104、今回受信データ記憶部105、今回受信時刻記憶部106、状態判定部409、通知部413、および制御演算部414を有している。図11の制御装置100及び制御装置402の各部のうち、図2あるいは図10にて説明した部分と同一の構成および動作を有する部分については説明を省略する。
【0107】
状態判定部409は、最新のデータが受信されてからの経過時間の正常な範囲を示す基準値を予め保持しているものとする。そして、状態判定部409は、今回受信データ記憶部106から制御装置100からの受信データの受信時刻を取得し、時計部104から現在時刻を取得し、最新のデータが受信されてからの経過時間を算出する。続いて、状態判定部409は、算出した経過時間と予め設定されている基準値とを比較し、データを受信してからの経過時間が基準値の範囲内であれば、受信データが正常であると判定する。一方、データを受信してからの経過時間が基準値の範囲外であれば、受信データが異常であると判定する。状態判定部409は、判定結果を通知部413に通知する。
【0108】
通知部413は、状態判定部409の判定結果、すなわち受信データが正常か異常かを示す情報を、制御演算部414に通知する。
【0109】
制御演算部414は、通知部413より通知された情報にて、受信データが正常であることが示されていれば、そのデータを入力値として制御演算を実行し、実行結果を制御対象315に出力する。一方、通知部413より通知された情報にて、受信データが異常であることが示されていれば、そのデータを入力値とする制御演算の実行結果を制御対象315に出力しないようにする。
【0110】
これにより、制御装置100が異常状態になっても、制御装置302はそれを予知して安全な状態を維持することが可能となる。
【0111】
以上、本発明の実施形態および実施例について述べてきたが、本発明は、これらの実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内において、これらの実施形態を組み合わせて使用したり、一部の構成を変更したりしてもよい。
【符号の説明】
【0112】
100…制御装置、101…データ送信部、102…制御用データ表示装置、103…データ受信部、104…時計部、105…今回受信データ記憶部、106…今回受信時刻記憶部、107…過去受信時刻記憶部、108…基準値記憶部、109…状態判定部、110…表示加工部、111…表示部、112…基準値入力部、113…受信時刻記憶部、114…状態情報算出部、115…監視装置、202…制御用データ表示装置、210…表示加工部、302…制御装置、313…通知部、314…制御演算部、315…制御対象、402…制御装置、409…状態判定部、413…通知部、414…制御演算部
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置の状態監視技術に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所や工場などのプラント制御においては、プラントを停止させると莫大な損失が発生する。そのため、プラントの各種制御対象機器を制御する制御装置が故障によって停止するのは極力避けることが要求される。
【0003】
また、プラント制御においては、制御対象機器に対して誤った制御を行うと、その影響は大きなものとなる。そのため、制御装置が故障によって誤った制御を行うのも極力避けることが要求される。
【0004】
プラントの停止や制御対象機器への誤制御を避けるために、制御装置が故障する前に、その故障を予知することが重要である。制御装置の故障を予知し、故障が顕在化する前に、制御装置を交換したり、リスタートさせることで、プラントの停止や制御対象機器への誤制御を未然に防止することができる。
【0005】
障害を予知する技術として特許文献1に開示された技術がある。
【0006】
特許文献1には、各種プラントの計算機システムを構成する各種機器の動作状態を監視し、異常を検出する保守管理装置を備えた保守管理システムが開示されている。特許文献1に開示された保守管理システムでは、計算機システムに機器状態監視手段が設けられている。機器状態監視手段は、は、監視対象である各種機器の動作状態を監視し、監視結果を監視対象の動作情報として保守管理装置に通知する。保守管理装置に通知される監視対象の動作情報として、例えば、通信エラーやメモリ読み取り不良などの障害情報、プログラムの起動、停止、再起動などの履歴情報が含まれる。
【0007】
保守管理装置は、複数の動作情報の組み合わせと、その動作情報の組み合わせにより起こりうる障害とを関連付けた予兆情報を予めデータベースに登録しており、機器状態監視手段から通知された各種機器の動作情報を記録し、また通知された動作情報の組み合わせと関連付けられた障害の予兆があれば、それを機器の異常とみなす。機器に異常があると判断すると、保守管理装置は、それを動作状態表示装置に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−134691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1に開示された保守管理システムは、計算機システムの各種機器からは状態情報が確実に出力され、かつ各種機器が出力する状態情報に誤りが無いことが前提となっている。しかし実際には、機器に異常が生じた場合、必ず正しい状態情報が出力されるとは限らない。例えば、故障した機器から誤った状態情報が出力されたり、間歇的な障害が発生していてもその状態情報が出力されなかったり、機器に高い負荷がかかって状態情報が出力されなかったり、状態情報の出力が遅れたりすることがあり得る。そのような場合には機器の異常を適切に予知できないことがあり得る。
【0010】
本発明の目的は、高い確率で制御装置の異常を予知する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の監視装置は、第1の制御装置から出力されるデータを受信するデータ受信部と、前記データ受信部が前記データを受信した受信時刻を蓄積する受信時刻記憶部と、前記受信時刻記憶部に蓄積された前記受信時刻に基づいて、前記第1の制御装置の状態に関する情報を算出する状態情報算出部と、を有している。
【0012】
また、前記状態情報算出部は、前記受信時刻記憶部に蓄積された前記受信時刻に基づいて、前記データが受信された時間的な間隔である受信時間間隔あるいは単位時間当たりに受信されたデータの個数である単位時間受信データ数を算出し、前記受信時間間隔または前記単位時間受信データ数に基づいて、前記第1の制御装置の状態を判定するものであってもよい。
【0013】
また、受信時間間隔または単位時間受信データ数に関する基準値を予め記憶する基準値記憶部を更に有し、前記状態情報算出部は、算出した前記受信時間間隔または前記単位時間受信データ数と前記基準値とを比較し、比較結果に基づいて、前記第1の制御装置の状態を判定することにしてもよい。
【0014】
また、前記第1の制御装置は、前記データを出力する処理を他の所定の処理よりも低い優先度で実行し、前記状態情報算出部は、前記受信時間間隔が前記基準値よりも長いとき、あるいは前記単位時間受信データ数が前記基準値よりも少ないとき、前記第1の制御装置が異常状態と判定することにしてもよい。
【0015】
また、前記第1の制御装置から送信されるデータに、データを送信する時間的な間隔である送信時間間隔、または単位時間当たりに送信するデータの個数である単位時間送信データ数が付加されており、前記状態情報算出部は、前記データ受信部で受信された前記データに付加されていた前記送信時間間隔または前記単位時間送信データ数に基づいて前記基準値を変更することにしてもよい。
【0016】
また、前記状態情報算出部は、ユーザが指定した基準値算出時間内に受信された複数のデータの受信時刻に対する統計処理によって前記基準値を算出し、前記基準値記憶部に記録することにしてもよい。
【0017】
また、前記基準値は上限と下限で規定される範囲として設定され、前記状態情報算出部は、前記受信時刻時間間隔または前記単位時間受信データ数が前記上限を上回ったとき、または前記下限を下回ったとき、前記第1の制御装置が異常状態と判定することにしてもよい。
【0018】
また、前記第1の制御装置の正常性に関する状態として複数段階の状態が定義され、前記複数段階の状態毎に前記基準値が設定され、前記状態情報算出部は、前記基準値に基づいて、前記第1の制御装置がどの状態にあるか判定することにしてもよい。
【0019】
また、前記監視装置が前記第1の制御装置からのデータに基づいて制御を実行する第2の制御装置であり、前記第2の制御装置は、前記第1の制御装置が異常な状態であると判定したら、前記第1の制御装置からのデータを制御に利用しないことにしてもよい。
【0020】
また、前記状態情報算出部は、前記データ受信部が最新のデータを受信した受信時刻と、前記データ受信部が前回のデータを受信した受信時刻との差分である経過時間を、前記第1の制御装置の状態に関連する情報として算出することにしてもよい。
【0021】
また、前記監視装置が前記第1の制御装置の状態を表示する表示装置であり、前記表示装置は、前記経過時間に応じて、表示する文字またはアイコンの色あるいは明るさを変化させることにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高い確率で制御装置の異常を予知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の基本的な実施形態による監視装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1による制御用データ表示装置102の構成を示すブロック図である。
【図3】制御装置100が制御用データ表示装置102に送信するデータのフォーマットの一例を示す図である。
【図4】受信時間間隔Δtの変化に伴う制御装置100の状態遷移を示す図である。
【図5A】制御装置100の状態の表示部111への表示例を示す図である。
【図5B】制御装置100の状態の表示部111への表示におけるアイコンの色とその意味の関係を示す表である。
【図6】制御用データ表示装置102の処理を示すフローチャートである。
【図7】実施例2による制御用データ表示装置202の構成を示すブロック図である。
【図8】文字の近傍にシンボルを表示することでデータの新しさの度合いを表わす表示例を示す図である。
【図9】制御用データ表示装置202の処理を示すフローチャートである。
【図10】実施例3による制御装置302の構成を示すブロック図である。
【図11】実施例4による制御装置402の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の基本的な実施形態による監視装置の構成を示すブロック図である。本監視装置115は、制御装置100を監視する機能を備えていればよく、実際には、例えば、制御装置100による制御に関する操作および表示を行うデータ表示装置であってもよい。また、監視装置115は、制御装置100からの制御を受けると共に制御対象装置に対して制御を行う制御装置であってもよい。
【0026】
図1を参照すると、監視装置115は、データ受信部103、受信時刻記憶部113、状態情報算出部114、および基準値記憶部108を有している。
【0027】
データ受信部103は、制御装置100から出力されるデータを受信する。このデータは制御装置100が制御を実行するためのデータであり、不図示の制御対象装置の機能および構成や制御装置100による制御方法に基づいて定められる。制御装置100が制御対象装置を制御している状態では、制御装置100がデータを送信する時刻には一定の周期性などの時間的な特性が存在する。
【0028】
受信時刻記憶部113は、データ受信部103がデータを受信すると、その受信時刻の情報を蓄積する。受信時刻記憶部113は、最新のデータの受信時刻だけでなく、前回以前つまり過去のデータの受信時刻をも蓄積する。
【0029】
状態情報算出部114は、受信時刻記憶部113に蓄積された受信時刻に基づいて、制御装置100の状態に関する情報を算出する。
【0030】
本実施形態によれば、制御装置100から送信されるデータ自体の信頼性が低い状態でも、高い確率で制御装置100の状態を予知することが可能となる。
【0031】
上記状態情報算出部114は、受信時刻記憶部113に蓄積された受信時刻に基づいて、データが受信された時間的な間隔である受信時間間隔あるいは単位時間当たりに受信されたデータの個数である単位時間受信データ数を算出し、その受信時間間隔または単位時間受信データ数に基づいて、制御装置100の状態を判定する状態判定部であってもよい。
【0032】
これによれば、制御装置100から送信されるデータ自体の信頼性が低い状態でも、データが受信される時刻に基づいて、高い確率で制御装置100の異常を予知することが可能である。
【0033】
また一例として、基準値記憶部108は、受信時間間隔または単位時間受信データ数に関する基準値を予め記憶しておいてもよい。その場合、状態情報算出部114は、算出した受信時間間隔または単位時間受信データ数と基準値とを比較し、比較結果に基づいて制御装置100の状態を判定すればよい。
【0034】
より具体的には、制御装置100がデータを出力する処理を他の所定の処理よりも低い優先度で実行するように設定しておき、状態情報算出部114は、受信時間間隔が基準値よりも長いとき、あるいは単位時間受信データ数が基準値よりも少ないとき、制御装置が異常状態であると判定してもよい。
【0035】
これによれば、制御装置100の負荷が過剰に高くなると、受信時間間隔が基準値よりも長くなったり、あるいは単位時間受信データ数が基準値よりも少なくなったりするので、制御装置100の異常状態を容易かつ確実に検出できる。
【0036】
また、制御装置100から送信されるデータに、制御装置100がデータを送信する時間的な間隔である送信時間間隔、または単位時間当たりに送信するデータの個数である単位時間送信データ数を付加することにしておいてもよい。その場合、状態情報算出部114は、データ受信部103で受信されたデータに付加されていた送信時間間隔または単位時間送信データ数に基づいて基準値を変更するとよい。
【0037】
制御装置100からデータを送信する時間間隔や頻度は、制御装置100が正常に動作しているときにも変化することがある。そのような場合、制御装置100から送信時間間隔または単位時間送信データ数を監視装置115に通知しておけば、監視装置115が誤って異常状態と判断してしまうのを防止できる。
【0038】
また、状態情報算出部114は、基準値を算出するのに好適な時間帯として、ユーザが指定した時間(基準値算出時間)内に受信された複数のデータの受信時刻に対する統計処理によって基準値を算出し、基準値記憶部108に記録することにしてもよい。
【0039】
このように、制御装置100が正常に動作してる時間帯のデータの受信時刻に基づいて基準値を算出すれば、信頼度の高い基準値を設定することが可能となる。
【0040】
また、基準値は上限と下限で規定される範囲として設定されるものであってもよい。その場合、状態情報算出部114は、受信時刻時間間隔または単位時間受信データ数が上限を上回ったとき、または下限を下回ったとき、制御装置100が異常状態と判定すればよい。
【0041】
これによれば、制御装置100等の異常により受信時刻時間間隔が異常に短くなったり異常に長くなったりする場合、あるいは単位時間受信データ数が異常に増えたり異常に減ったりする場合に、制御装置100の異常状態を高い確率で検出することが可能となる。
【0042】
本実施形態では、状態情報算出部114が、制御装置100の状態を判定する状態判定部であることにしたが、本発明がこれに限定されることは無い。他の例として、監視装置115が制御装置100から受信したデータを表示する表示装置であり、状態情報算出部114が表示画像を生成する表示加工部であってもよい。その場合、状態情報算出部114は、データ受信部103が最新のデータを受信した受信時刻と、データ受信部103が前回のデータを受信した受信時刻との差分である経過時間を、制御装置100の状態に関連する情報として算出することにしてもよい。これにより、制御装置100から送信されるデータ自体の信頼性が低い状態でも、制御装置100の状態を表示することが可能となる。また、監視装置115は、上述の経過時間に応じて、表示する文字またはアイコンの色あるいは明るさを変化させることにしてもよい。
【0043】
以下、より具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0044】
本実施例のシステムは、制御装置100と、制御装置100からのデータを受信し、そのデータの定周期性により制御装置100の状態を判定する機能を有する制御用データ表示装置102とを有するものである。ここでいう定周期性は、データの受信時刻に存在する時間的な特性の一例であり、一定の周期性のことを言う。
【0045】
図2は、実施例1による制御用データ表示装置102の構成を示すブロック図である。制御装置100は、制御対象への制御を実行する装置であり、本発明に関連する部分として、制御用データ表示装置102にデータを周期的に送信するデータ送信部101を有する。ここでは制御装置100が制御用データ表示装置102に送信するデータの内容は問わない。例えば、制御装置100の制御状態を画面に表示するために、制御装置100から制御状態をデータとして制御用データ表示装置102に通知してもよい。
【0046】
また、制御装置100における各種処理の中で、データ送信部101がデータを送信する処理の優先度を他の処理よりも低く設定しておくものとする。そうすることで、制御装置100が高負荷状態になった場合にデータ送信の定周期性が崩れ、異常な状態を検出することが可能となる。例えば、データ送信部101がデータを送信する処理の優先度を、制御装置100が不図示の制御対象装置への制御を実行する処理の優先度よりも低く設定しておくとよい。
【0047】
制御用データ表示装置102は、データ受信部103、時計部104、今回受信データ記憶部105、今回受信時刻記憶部106、過去受信時刻記憶部107、基準値記憶部108、状態判定部109、表示加工部110、表示部111、および基準値入力部112を有している。
【0048】
データ受信部103は、制御装置100からのデータの受信処理を行う部分であり、制御装置100から受信したデータを今回受信データ記憶部105に格納し、そのデータを受信した時刻を時計部104より取得し、今回受信時刻記憶部106に格納する。
【0049】
時計部104は、制御用データ表示装置102内の時刻を管理する。この時刻が制御用データ表示装置102内で各種処理に利用される。
【0050】
今回受信データ記憶部105は、データ受信部103で受信された、制御装置100からのデータを記憶する。
【0051】
今回受信時刻記憶部106は、制御装置100から受信した最新のデータの受信時刻を記憶する。
【0052】
過去受信時刻記憶部107は、制御装置100から受信した過去のデータの受信時刻を記憶する。新たなデータが受信される毎に、今回受信時刻記憶部106に記憶されていた受信時刻の情報が、過去受信時刻記憶部107に追加格納されていく。
【0053】
基準値記憶部108は、制御装置100の状態を判定するときに用いられる基準値を記憶する。この基準値は、管理者(ユーザー)が設定した値であってもよく、あるいは制御用データ表示装置102が算出した値であってもよい。
【0054】
状態判定部109は、今回受信時刻記憶部106に格納された今回のデータの受信時刻と、過去受信時刻記憶部107に格納された過去の制御装置100からのデータの受信時刻と、基準値記憶部108に格納されている基準値とに基づき、制御装置100の状態を判定する処理を行う。
【0055】
表示加工部110は、状態判定部109で判定された制御装置100の状態の情報を、画面への表示のために加工する。例えば、表示加工部110は、制御装置100の状態情報を、ユーザーに表示する画像に変換することにしてもよい。
【0056】
表示部111は、状態判定部109による判定結果である状態情報を表示する画像、つまり表示加工部110で生成された画像をユーザーに表示する。
【0057】
基準値入力部112は、ユーザーが基準値を設定する場合に、その基準値をユーザーが入力するためのインタフェースである。
【0058】
状態判定部109で行われる制御装置100の状態判定の方法として、制御装置100からのデータを受信する間隔に基づいて判定する方法と、単位時間当たりに受信したデータ数に基づいて判定する方法があるが、本実施例ではデータを受信する間隔で判定を行うものとする。
【0059】
また、制御装置100の状態の判定に用いる基準値の決定方法の例としては、ユーザーが指定する方法、過去のデータの受信間隔から制御用データ表示装置102が算出する方法、制御装置100が制御用データ表示装置102に通知する方法等がある。本実施例では、その中でユーザーが指定する方法が採用されている。
【0060】
図3は、制御装置100が制御用データ表示装置102に送信するデータのフォーマットの一例を示す図である。図3を参照すると、データにヘッダーが付加されており、そのヘッダには、データ番号(データNo.)、送信時間間隔(時間間隔)、および単位時間送信データ数(データ数)が記載されている。ここでは送信時間間隔と単位時間送信データ数の両方を通知する例を示したが、本発明がこれに限定されることは無い。送信時間間隔と単位時間送信データ数のいずれか一方のみを通知することにしてもよい。
【0061】
図3のように送信時間間隔と単位時間送信データ数の両方あるいは一方を制御用データ表示装置102に通知し、それに基づいて制御用データ表示装置102が基準値を変更すれば、正常動作において送信時間間隔や単位時間送信データ数に定周期性が乱れる場合に、それを異常状態と判断してしまわないようにすることができる。
【0062】
また、状態判定部109における、基準値による制御装置100の状態判定の方法としては、制御装置100の状態として、正常状態、警告状態、異常状態というように複数の状態を定義してもよい。例えば、受信時間間隔や単位時間受信データ数に複数の閾値(基準値)で区切ることで複数の範囲に分け、算出した受信時間間隔あるいは単位時間受信データ数とそれら閾値との大小関係に基づいて、どの状態であるかを判断するればよい。本実施例では、受信時間間隔によって、制御装置100の状態を正常状態、警告状態、異常状態に分ける閾値をユーザーが指定することにする。
【0063】
まず、状態判定部109は、今回受信時刻記憶部106に記憶されている今回のデータの受信時刻と、過去受信時刻記憶部107に記憶されている前回のデータの受信時刻との差分から、データの受信時間間隔Δtを求める。続いて、状態判定部109は、その受信時間間隔Δtを、ユーザーが指定した基準値と比較し、比較結果から制御装置100の状態を判定する。
【0064】
図4は、受信時間間隔Δtの変化に伴う制御装置100の状態遷移を示す図である。
【0065】
基準値として、Tw_max、Tn_max、Tn_min,Tw_minという4つの閾値が設定されている。受信時間間隔ΔtがTn_min以上かつTn_max未満の場合は、状態判定部109は制御装置100が正常状態と判定する。受信時間間隔ΔtがTw_min以上かつTn_min未満または、Tn_max以上かつTw_max未満の場合、状態判定部109は制御装置100が中間状態(警告状態)と判定する。それ以外の場合、状態判定部109は制御装置100が異常状態と判定する。
【0066】
制御装置100の状態の表示部11への表示方法には様々な方法が考えられる。
【0067】
例えば、制御装置100の状態を示す文字またはアイコンを表示する、制御装置100の状態により文字またはアイコンを色分けする、警告状態の頻度が高くなるにつれて色を濃くするまたは薄くするまたは異常状態の色に近づけていくあるいは、警告状態の頻度が高くなると文字またはアイコンの点滅の周期を早くするなどの方法がある。
【0068】
図5Aは、制御装置100の状態の表示部111への表示例を示す図である。図5Bは、制御装置100の状態の表示部111への表示におけるアイコンの色とその意味の関係を示す表である。
【0069】
図5Aの例では、複数の制御装置100を有する制御システムの全体構成図が表示され、その中の各制御装置100に状態表示用のアイコンが設けられている。アイコンは、その色によって状態を表示するものである。図5Bに示すように、緑色が正常状態を示し、黄色が警告状態を示し、赤色のが異常状態を示している。また、警告状態になる頻度が高くなると、黄色のアイコンが点滅することにしてもよい。
【0070】
図6は、制御用データ表示装置102の処理を示すフローチャートである。
【0071】
図6を参照すると、制御用データ表示装置102は、ユーザーが基準値入力部112より入力した基準値を基準値記憶部108に格納する(ステップs101)。このときにユーザーが入力した基準値は、制御装置100を正常状態と判定する受信時間間隔の最小値Tn_mimおよび最大値Tn_maxと、中間状態(警告状態)と判定する受信時間間隔の最小値Tw_minおよび最大値Tw_maxとである。
【0072】
データ受信部103は、制御装置100から送信されたデータdを受信し、今回受信データ記憶部105に格納する(ステップs102)。更に、データ受信部103は時計部104から、データdを受信した時刻tを取得し、今回受信時刻記憶部106に格納する(ステップs103)。
【0073】
状態判定部109は、今回受信時刻記憶部106より今回受信時刻tと、過去受信時刻記憶部107より前回受信時刻toldとを取得し、基準値記憶部108より基準値Tn_mim、Tn_max、Tw_max、Tw_maxを取得する(ステップs104〜s106)。続いて状態判定部109は、今回受信時刻tと前回受信時刻toldの差分から、今回の受信時間間隔Δtを算出する(ステップs107)。
【0074】
そして、状態判定部109は、ΔtがTn_min<Δt≦Tn_maxを満たす場合、制御装置100が正常状態であると判定する(s108)。また、ΔtがTw_min<Δt≦Tn_minまたは、Tn_max≦Δt<Tw_maxを満たす場合、状態判定部109は、制御装置100が中間状態(警告状態)であると判定する(ステップs111)。また、Δtがそれ以外の値をとった場合、状態判定部109は、制御装置100が異常状態であると判定する(ステップs112)。
【0075】
そして、状態判定部109は、その判定結果を表示加工部110に通知する。表示加工部110は、通知された制御装置100の状態に合わせ、各制御装置100のアイコンを所定の色で表示する画像を生成し(ステップs113)、表示部111が、制御装置100の状態を示すその画像を表示する(ステップs114)。
【実施例2】
【0076】
実施例2は、制御用データ表示装置が制御装置100から受信したデータの新しさを視覚的に表示するものである。
【0077】
図7は、実施例2による制御用データ表示装置202の構成を示すブロック図である。制御装置100は、制御用データ表示装置202にデータを周期的に送信するデータ送信部101を有する。
【0078】
制御用データ表示装置202は、データ受信部103、時計部104、今回受信データ記憶部105、今回受信時刻記憶部106、表示加工部210、および表示部111を有している。ここでは、図2に示した実施例1の制御装置100および制御用データ表示装置202で既に説明したものと同一の構成および動作の部分については説明を省略する。
【0079】
表示加工部210は、今回受信データ記憶部105から最新の受信データを取得し、そのデータを表示部111に表示する。
【0080】
更に定期的に、表示加工部210は、今回受信時刻記憶部106より最新の受信データの受信時刻を取得し、時計部104より現在時刻を取得し、それら受信時刻と現在時刻に基づいて、表示部111に表示されたデータが受信されてから現在までの経過時間Δtを算出する。更に、表示加工部210は、その経過時間Δtに基づき、データの新しさの度合いを表示部111に視覚的に表示する。
【0081】
そして、表示加工部210は、次の新しいデータが受信されるまでの間、経過時間Δtを算出し、データの新しさの度合いを表示部111に表示する一連の処理を繰り返す。
【0082】
新しさの度合いを視覚的に表示する方法としては、最新のデータを受信してからの経過時間に応じて、表示部111に表示されたデータの表示を変化させるという方法がある。具体的には、表示部111に表示されたデータの色、文字の大きさ、文字の太さ、線幅、そのデータのフィールドの色、文字に記号を追加する等が適用可能である。また本実施例では、データを示す文字の近傍に所定のシンポルを表示するものとする。具体的には、新しいデータの文字の近傍にはシンボルも表示せず、所定時間を経過したらシンボルとして*印を文字の近傍に表示するものとする。
【0083】
図8は、文字の近傍にシンボルを表示することで、データの新しさの度合いを表わす表示例を示す図である。図8を参照すると、No.1に示された送信元の制御装置CTL1からの受信データであるデータMSTは、受信してから所定時間が経過しているので、データ200の近傍に*印が表示されている。一方、No.2に示された送信元の制御装置CTL2からの受信データであるデータMSDは、受信してから所定時間が経過していないので、データ200の近傍に何らシンボルが表示されていない。
【0084】
図9は、制御用データ表示装置202の処理を示すフローチャートである。
【0085】
図9を参照すると、データ受信部103は制御装置100からのデータdを受信し、今回受信データ記憶部105に格納する(ステップs201)。また、データ受信部103は、時計部104からデータを受信した時刻tを取得し、今回受信時刻記憶部106に格納する(ステップs202)。
【0086】
次に、表示加工部210は、今回受信データ記憶部105からデータdを取得し、表示部111に表示させる(ステップs203,s204)。
【0087】
続いて、表示加工部210は、今回受信時刻記憶部106からデータdの受信時刻を取得し(ステップs205)、時計部104から現在時刻Tを取得し(ステップs206)、データを受信してからの経過時間Δtを算出する(ステップs207)。
【0088】
更に、表示加工部210は、表示部111に表示されているデータの表示をΔtの値に応じて変化させる(ステップs208)。例えば、データ表示の色や明るさなどをΔtの値に応じて変化させる。
【0089】
その後、表示加工部210は、今回受信時刻記憶部106に格納されているデータを確認し(ステップs209)、今回受信時刻記憶部106に新たな受信データが格納されているか否か判定する(ステップs210)。
【0090】
新たな受信データが格納されていれば、表示加工部210はステップs203に戻り、新たなデータを表示部111に表示させる。一方、新たな受信データが格納されていなければ、表示加工部210はステップs206に戻り、経過時間Δtに応じて表示を変化させる。
【実施例3】
【0091】
実施例3は、2つの制御装置を有し、一方の制御装置が他方の制御装置や計算機からデータを受信し、そのデータを自身が実行する制御に利用するシステムに関する実施例である。本実施例では、一方の制御装置が、監視装置として機能し、他方の制御装置や計算機などから送信されてきたデータを受信し、そのデータの定周期性により、データを送信した制御装置の状態を判定する。ただし、本発明がこれに限定されることはない。他の例として、双方の制御装置が互いに相手からデータを受信し、そのデータの定周期性を監視することにしてもよい。
【0092】
図10は、実施例3による制御装置302の構成を示すブロック図である。制御装置302は、第1の制御装置である制御装置100からデータを受信し、そのデータに基づいて制御対象315を制御する第2の制御装置である。
【0093】
制御対象315は、一例として発電プラントの制御バルブなど、制御装置302が制御を行う対象である。ここでは、制御対象315は、フェールセーフが適用されており、制御を加えなければ、危険な状態に陥ることなく安全な状態が維持されるものとする。
【0094】
制御装置100は、制御装置302にデータを周期的に送信するデータ送信部101を有する。
【0095】
制御装置302は、データ受信部103、時計部104、今回受信データ記憶部105、今回受信時刻記憶部106、過去受信時刻記憶部107、基準値記憶部108、状態判定部109、基準値入力部112、通知部313、および制御演算部314を有している。
【0096】
制御装置302は、図2に示した実施例1の制御用データ表示装置202に対応するものである。ここでは、実施例1の制御用データ表示装置202で既に説明したものと同一の構成および動作の部分については説明を省略する。
【0097】
通知部313は、状態判定部109が判定した制御装置100の状態を制御演算部314に通知する。
【0098】
制御演算部314は、今回受信データ記憶部105に格納された制御装置100からの受信データを入力値として制御演算を実行し、実行結果を制御対象315に出力する。その際、制御演算部314は、通知部313からの通知に応じて、制御対象315への制御方法を変更する。
【0099】
具体的には、制御演算部314は、通知部313より、制御装置100の状態が正常だと通知された場合は制御演算の実行結果をそのまま制御対象315に出力する。一方、制御装置100の状態が異常であると通知された場合、制御演算部314は、制御演算の実行結果を制御対象315に出力しないようにする。
【0100】
これにより、制御装置100が異常状態になっても、制御装置302はそれを予知して安全な状態を維持することが可能となる。
【実施例4】
【0101】
実施例4は、2つの制御装置を有し、一方の制御装置が他方の制御装置や計算機からデータを受信し、そのデータを自身が実行する制御に利用するシステムに関する実施例である。本実施例では、第2の制御装置である制御装置402が、実施例2の制御用データ表示装置202と同様の処理によって第1の制御装置100からのデータの新しさを判定し、その判定結果から、制御装置100からのデータの正常性を判定する。
【0102】
図11は、実施例4による制御装置402の構成を示すブロック図である。
【0103】
制御装置402は、第1の制御装置である制御装置100からデータを受信し、そのデータに基づいて制御対象315を制御する第2の制御装置である。
【0104】
制御対象315は、一例として発電プラントの制御バルブなど、制御装置402が制御を行う対象である。ここでは、制御対象315は、フェールセーフが適用されており、制御を加えなければ、危険な状態に陥ることなく安全な状態が維持されるものとする。
【0105】
制御装置100は、制御装置402にデータを周期的に送信するデータ送信部101を有する。
【0106】
制御装置402は、データ受信部103、時計部104、今回受信データ記憶部105、今回受信時刻記憶部106、状態判定部409、通知部413、および制御演算部414を有している。図11の制御装置100及び制御装置402の各部のうち、図2あるいは図10にて説明した部分と同一の構成および動作を有する部分については説明を省略する。
【0107】
状態判定部409は、最新のデータが受信されてからの経過時間の正常な範囲を示す基準値を予め保持しているものとする。そして、状態判定部409は、今回受信データ記憶部106から制御装置100からの受信データの受信時刻を取得し、時計部104から現在時刻を取得し、最新のデータが受信されてからの経過時間を算出する。続いて、状態判定部409は、算出した経過時間と予め設定されている基準値とを比較し、データを受信してからの経過時間が基準値の範囲内であれば、受信データが正常であると判定する。一方、データを受信してからの経過時間が基準値の範囲外であれば、受信データが異常であると判定する。状態判定部409は、判定結果を通知部413に通知する。
【0108】
通知部413は、状態判定部409の判定結果、すなわち受信データが正常か異常かを示す情報を、制御演算部414に通知する。
【0109】
制御演算部414は、通知部413より通知された情報にて、受信データが正常であることが示されていれば、そのデータを入力値として制御演算を実行し、実行結果を制御対象315に出力する。一方、通知部413より通知された情報にて、受信データが異常であることが示されていれば、そのデータを入力値とする制御演算の実行結果を制御対象315に出力しないようにする。
【0110】
これにより、制御装置100が異常状態になっても、制御装置302はそれを予知して安全な状態を維持することが可能となる。
【0111】
以上、本発明の実施形態および実施例について述べてきたが、本発明は、これらの実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内において、これらの実施形態を組み合わせて使用したり、一部の構成を変更したりしてもよい。
【符号の説明】
【0112】
100…制御装置、101…データ送信部、102…制御用データ表示装置、103…データ受信部、104…時計部、105…今回受信データ記憶部、106…今回受信時刻記憶部、107…過去受信時刻記憶部、108…基準値記憶部、109…状態判定部、110…表示加工部、111…表示部、112…基準値入力部、113…受信時刻記憶部、114…状態情報算出部、115…監視装置、202…制御用データ表示装置、210…表示加工部、302…制御装置、313…通知部、314…制御演算部、315…制御対象、402…制御装置、409…状態判定部、413…通知部、414…制御演算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の制御装置から出力されるデータを受信するデータ受信部と、
前記データ受信部が前記データを受信した受信時刻を蓄積する受信時刻記憶部と、
前記受信時刻記憶部に蓄積された前記受信時刻に基づいて、前記第1の制御装置の状態に関する情報を算出する状態情報算出部と、を有する監視装置。
【請求項2】
前記状態情報算出部は、前記受信時刻記憶部に蓄積された前記受信時刻に基づいて、前記データが受信された時間的な間隔である受信時間間隔あるいは単位時間当たりに受信されたデータの個数である単位時間受信データ数を算出し、前記受信時間間隔または前記単位時間受信データ数に基づいて、前記第1の制御装置の状態を判定する、請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
受信時間間隔または単位時間受信データ数に関する基準値を予め記憶する基準値記憶部を更に有し、
前記状態情報算出部は、算出した前記受信時間間隔または前記単位時間受信データ数と前記基準値とを比較し、比較結果に基づいて、前記第1の制御装置の状態を判定する、
請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記第1の制御装置は、前記データを出力する処理を他の所定の処理よりも低い優先度で実行し、
前記状態情報算出部は、前記受信時間間隔が前記基準値よりも長いとき、あるいは前記単位時間受信データ数が前記基準値よりも少ないとき、前記第1の制御装置が異常状態と判定する、
請求項3に記載の監視装置。
【請求項5】
前記第1の制御装置から送信されるデータに、データを送信する時間的な間隔である送信時間間隔、または単位時間当たりに送信するデータの個数である単位時間送信データ数が付加されており、
前記状態情報算出部は、前記データ受信部で受信された前記データに付加されていた前記送信時間間隔または前記単位時間送信データ数に基づいて前記基準値を変更する、
請求項3に記載の監視装置。
【請求項6】
前記状態情報算出部は、ユーザが指定した基準値算出時間内に受信された複数のデータの受信時刻に対する統計処理によって前記基準値を算出し、前記基準値記憶部に記録する、請求項3に記載の監視装置。
【請求項7】
前記基準値は上限と下限で規定される範囲として設定され、
前記状態情報算出部は、前記受信時刻時間間隔または前記単位時間受信データ数が前記上限を上回ったとき、または前記下限を下回ったとき、前記第1の制御装置が異常状態と判定する、
請求項2に記載の監視装置。
【請求項8】
前記第1の制御装置の正常性に関する状態として複数段階の状態が定義され、前記複数段階の状態毎に前記基準値が設定され、
前記状態情報算出部は、前記基準値に基づいて、前記第1の制御装置がどの状態にあるか判定する、
請求項2に記載の監視装置。
【請求項9】
前記監視装置が前記第1の制御装置からのデータに基づいて制御を実行する第2の制御装置であり、
前記第2の制御装置は、前記第1の制御装置が異常な状態であると判定したら、前記第1の制御装置からのデータを制御に利用しない、
請求項2から8のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項10】
前記状態情報算出部は、前記データ受信部が最新のデータを受信した受信時刻と、前記データ受信部が前回のデータを受信した受信時刻との差分である経過時間を、前記第1の制御装置の状態に関連する情報として算出する、請求項1に記載の監視装置。
【請求項11】
前記監視装置が前記第1の制御装置の状態を表示する表示装置であり、
前記表示装置は、前記経過時間に応じて、表示する文字またはアイコンの色あるいは明るさを変化させる、請求項10に記載の監視装置。
【請求項12】
第1の制御装置の状態を監視するための監視方法であって、
前記第1の制御装置から出力されるデータを受信し、
前記データを受信した受信時刻を蓄積し、
前記受信時刻に基づいて、前記第1の制御装置の状態に関する情報を算出する、監視方法。
【請求項1】
第1の制御装置から出力されるデータを受信するデータ受信部と、
前記データ受信部が前記データを受信した受信時刻を蓄積する受信時刻記憶部と、
前記受信時刻記憶部に蓄積された前記受信時刻に基づいて、前記第1の制御装置の状態に関する情報を算出する状態情報算出部と、を有する監視装置。
【請求項2】
前記状態情報算出部は、前記受信時刻記憶部に蓄積された前記受信時刻に基づいて、前記データが受信された時間的な間隔である受信時間間隔あるいは単位時間当たりに受信されたデータの個数である単位時間受信データ数を算出し、前記受信時間間隔または前記単位時間受信データ数に基づいて、前記第1の制御装置の状態を判定する、請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
受信時間間隔または単位時間受信データ数に関する基準値を予め記憶する基準値記憶部を更に有し、
前記状態情報算出部は、算出した前記受信時間間隔または前記単位時間受信データ数と前記基準値とを比較し、比較結果に基づいて、前記第1の制御装置の状態を判定する、
請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記第1の制御装置は、前記データを出力する処理を他の所定の処理よりも低い優先度で実行し、
前記状態情報算出部は、前記受信時間間隔が前記基準値よりも長いとき、あるいは前記単位時間受信データ数が前記基準値よりも少ないとき、前記第1の制御装置が異常状態と判定する、
請求項3に記載の監視装置。
【請求項5】
前記第1の制御装置から送信されるデータに、データを送信する時間的な間隔である送信時間間隔、または単位時間当たりに送信するデータの個数である単位時間送信データ数が付加されており、
前記状態情報算出部は、前記データ受信部で受信された前記データに付加されていた前記送信時間間隔または前記単位時間送信データ数に基づいて前記基準値を変更する、
請求項3に記載の監視装置。
【請求項6】
前記状態情報算出部は、ユーザが指定した基準値算出時間内に受信された複数のデータの受信時刻に対する統計処理によって前記基準値を算出し、前記基準値記憶部に記録する、請求項3に記載の監視装置。
【請求項7】
前記基準値は上限と下限で規定される範囲として設定され、
前記状態情報算出部は、前記受信時刻時間間隔または前記単位時間受信データ数が前記上限を上回ったとき、または前記下限を下回ったとき、前記第1の制御装置が異常状態と判定する、
請求項2に記載の監視装置。
【請求項8】
前記第1の制御装置の正常性に関する状態として複数段階の状態が定義され、前記複数段階の状態毎に前記基準値が設定され、
前記状態情報算出部は、前記基準値に基づいて、前記第1の制御装置がどの状態にあるか判定する、
請求項2に記載の監視装置。
【請求項9】
前記監視装置が前記第1の制御装置からのデータに基づいて制御を実行する第2の制御装置であり、
前記第2の制御装置は、前記第1の制御装置が異常な状態であると判定したら、前記第1の制御装置からのデータを制御に利用しない、
請求項2から8のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項10】
前記状態情報算出部は、前記データ受信部が最新のデータを受信した受信時刻と、前記データ受信部が前回のデータを受信した受信時刻との差分である経過時間を、前記第1の制御装置の状態に関連する情報として算出する、請求項1に記載の監視装置。
【請求項11】
前記監視装置が前記第1の制御装置の状態を表示する表示装置であり、
前記表示装置は、前記経過時間に応じて、表示する文字またはアイコンの色あるいは明るさを変化させる、請求項10に記載の監視装置。
【請求項12】
第1の制御装置の状態を監視するための監視方法であって、
前記第1の制御装置から出力されるデータを受信し、
前記データを受信した受信時刻を蓄積し、
前記受信時刻に基づいて、前記第1の制御装置の状態に関する情報を算出する、監視方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−80354(P2013−80354A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219635(P2011−219635)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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