説明

監視装置

本発明は、物体(O)を監視する装置に関し、特に、製紙工場およびそこで行われる紙ウェブ、厚紙ウェブまたは他の繊維ウェブ(B)の製造工程および/または仕上げ工程などの産業環境を監視する装置に関し、装置は監視カメラ(3)を備え、自身の対物レンズ(4)を有するこのカメラ(3)は、回転軸(1)を中心に回転する回転対称の保護ハウジング(2)内に配置されている。本発明では、保護ハウジング(2)の一端(2.1)が固定中空シャフト(7)に取り付けられ、その同軸上の反対側の他端(2.2)が共回転ブロワーパイプ(12)を有するかまたはこれに結合し、圧縮空気をブロワーパイプ(12)を含めた保護ハウジング(2)に加える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を監視する装置に関し、特に、製紙工場およびそこで行われる紙ウェブ、厚紙ウェブまたは他の繊維ウェブの製造工程および/または仕上げ工程などの産業環境を監視する装置に関し、装置は、回転軸を中心に回転する保護ハウジング内に配置された少なくとも一つの監視カメラまたは少なくとも一つのセンサーを備えている。
【背景技術】
【0002】
前述の製紙工場などの粗雑な産業環境で使用するこの種の監視装置は必要とされており、原理的には従来技術からすでに知られているものである。この場合使用される保護ハウジングには、取り付けが可能であり、カメラと監視する所望の物体との間の光路に汚れ粒子および噴霧が存在しないようにすることが意図された固定ブロワーパイプが設けられる。非常に粗雑な環境、つまり、特に湿気が多く、高温で、および/または汚れが多いという負荷がある環境では、ブロワーパイプに既知のようなエアナイフが付加的に取り付けられることが多い。このエアナイフは、ブロワーパイプの内部の清浄性の維持を改善するものである。このハウジングシステムは、「ウェブビュー・システム・フロム・ザ・ペーパーテク・カンパニー(WebView System from the Papertech Company)」のような専門家の紙分野の団体において知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、経験により、保護部品を設けても、粒子および液滴がブロワーパイプの内部に入り込み、カメラの対物レンズまたはその表に取り付けられた保護ガラス板を汚す可能性があることが示されている。また、前述の装置は、カメラと物体との間の光路のみに何も存在しないようにするものであり、保護ハウジング自体に対してのものではない。ハウジングの外面に汚れが堆積すると、特定の用途に潜在的な危険をもたらすことになる。例えば、監視カメラが製紙工場の移動する紙ウェブの上方に取り付けられる場合、ハウジングに形成された堆積物が離れ、紙ウェブに落下し、ウェブを破損させる可能性があり、これは機械を停止させ、このために相当な生産停止期間をもたらすこととなる。このため、一般に、このような位置にあるカメラは観察し続ける必要があり、一定間隔で洗浄する必要がある。これにより、第一に、メンテナンスに相当な費用がかかることとなり、この結果、第二に、適用領域が容易に手の届く場所のみに制限される。また、カメラを管理せずに連続運転することは、この場合不可能である。
【0004】
自浄保護ハウジングを有する装置が、国際公開第A1−2005/096091号パンフレットによって開示されている。この文書には、ドーム状に完全に密閉されて作られたハウジングが記載されている。ハウジングは、カメラの周りを回転する。この結果生じる遠心力は、汚れを除去するかまたは汚れをはねのける作用を確実にするためのものである。
【0005】
移動する材料ウェブの上で使用するというような、記載されたこの概念が適さない特定の用途がある。現代の工場施設における紙ウェブはすでに2000m/分以上に達する速度で走行しており、その理由で監視装置をウェブの近くに導入できない。近くに導入すると、生産を危うくする空力作用が起こると考えられるためである。
【0006】
他方、密閉されたハウジングは、ウェブから安全な距離を置いて取り付けられることが記載されており、カメラと物体との間の光路に粒子または噴霧が存在しないようにしておくことができないはずである。また、この種のハウジングは遠心力が非常に弱いために、回転軸の領域の比較的大きな粘着性の汚れ粒子を取り除くことができない。
【0007】
本発明の目的は、自浄保護ハウジングを有し、カメラまたはセンサーと監視する物体との間の何も存在しない光路を今までよりも良好にし、さらに継続的な運転で使用できる物体監視装置を考案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、目的は、保護ハウジングの一端が固定シャフトに取り付けられ、その同軸上の反対側の他端が共回転ブロワーパイプを有するかまたはこれに結合し、圧縮空気をブロワーパイプを含めた保護ハウジングに加えることができるということにより、達成される。
【0009】
ブロワーパイプを有する回転保護ハウジングは、堆積した粒子または液滴が遠心作用によって除去されるか、または、これらが保護ハウジングに当たるとすぐにそれることにより初めの位置に堆積することさえもできないという利点を有している。
【0010】
ブロワーパイプは、ブロワーパイプの内部およびその表での両方の気流によってバリアー作用が実現するために、カメラまたはセンサーと監視する物体との間の光路に粒子および噴霧が常時存在しないままになるという独特の利点を有している。これは今度は、監視する物体から一定の安全な距離を置いて監視カメラまたは少なくとも一つのセンサーを取り付けることを可能にする。
【0011】
この結果、高速で移動するウェブを監視することも可能となる。また、監視装置を管理せずに継続的に運転することが初めて可能となる。
【0012】
中空シャフトとして設計されたシャフトと、カメラまたはセンサーまたは複数のセンサー用の供給接続部と、所望であれば、中空シャフトに収容される圧縮空気用の供給線とにより、さらに有益な解決策が成り立つ。その成果は、より壊れにくいコンパクトな監視装置である。無論、圧縮空気は、中空シャフトを介して送らず、外側からハウジングに直接送ることも可能である。
【0013】
なお、圧縮空気は、保護ハウジングおよび/またはブロワーパイプの壁部に施したドリル孔を通してブロワーパイプの内部に容易に送ることができる。しかし、圧縮空気をドリル孔を通して供給するのではなく内部ハウジングを通り越して送ることも考えられる。
【0014】
ブロワーパイプの断面が、その長さにかけて漏斗状に広がっていると非常に有益である。広がり、つまり拡大された直径は、カメラから離れて向かい合う方向にみられる。漏斗の形状ではなく、S形状などの他の形も考えられる。
【0015】
有益に底部に向かって開口するブロワーパイプの形状は、壁部およびカメラの保護ガラス板またはカメラの対物レンズまたはセンサーまたは複数のセンサーに堆積した、通り抜けたいかなる粒子および液滴も、同様に下方に向かう遠心力の分力により、ブロワーパイプの内部から除去されやすくなるという利点を有している。
【0016】
固定された内部密閉ハウジング内にカメラを付加的に配置することにより、さらに適した解決策が成り立ち得る。その結果、カメラはさらに良好に保護されるが、温度および湿度の変動により凝縮物が形成されてしまうという欠点を有する。前述のブロワーパイプを配置した結果として、内部ハウジングはこのために一定の環境では省くことができる。
【0017】
内部ハウジングを遮蔽せず、これを開けて構成し、陽圧の下に配置することも考えられる。
【0018】
さらに、本発明によるブロワーパイプから吹かれた空気が、入ってくる粒子をカメラの対物レンズガラス板またはセンサーの対物レンズおよび漏斗状のブロワーパイプの壁部から非常に確実にそらすため、従来技術からの多くの実施形態におけるような回転ガラス板によってカメラを被覆する必要がない。
【0019】
しかしそれでも、別の方法として、ガラス板またはガラスプレートによって、ブロワーパイプを回転ハウジングに面したその端部において閉じることは可能である。
【0020】
設けられた監視カメラまたはセンサーは、内部ハウジングおよび/または外側の保護ハウジングと同軸に配置することができる。この結果、装置をさらに容易に取り付けることができる。
【0021】
使用する圧縮空気または吹き込まれる空気は、ハウジング内に位置するカメラ、センサー、モーターなどの装置を冷却するのにも用いられる。このため、予め冷却した圧縮空気を用いることが考えられる。
【0022】
特定のケースでは、これは、カメラまたはセンサーを回転保護ハウジングの内側に偏心配置するのが適切であることもある。回転軸の外側に起こる遠心力がさらに大きくなることにより、いっそうの洗浄効果が実現できる。
【0023】
また、保護ハウジングおよびブロワーパイプを回転させるためにある駆動装置は、回転軸を中心に、またはそうでなければ回転軸に対して偏心配置することができ、特に、それぞれの空間および駆動の種類によって決まる。
【0024】
例えば、電気的に作動する外部回転子電動機は、簡単な方法で使用できる。さらに、得策として、流動効果によって作動する扇風機の羽根を配置すると、駆動装置として利用できる。
【0025】
これは、駆動装置が水力、電気または空気による手段で作動可能であることを意味している。
【0026】
しかし、圧縮空気によって作動するタービンも、同一の効果によって上述したように、駆動装置として設けることができる。
【0027】
回転保護ハウジングの表面を、非粘着性の被膜および/または汚れをそらすのに用いられる溝などの要素を設けて、回転対称の部分として適切に作ることにより、本発明のさらに有益な改良点が成り立ち得る。この結果、外に出て行く汚れの所望の方向が実現できる。
【0028】
また、ハウジングが腐食しない材料から作られると有益である。
【0029】
ハウジングは非回転対称に設計されることも可能であるが、このために不均衡を補う外部の部品についても設けられることは補足すべきことである。
【0030】
以下の本文では、例示となる実施形態を用いることにより本発明を説明する。
【0031】
図では、同一の構成要素または同様に作用する構成要素を同一の符号を用いて示してある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1は、第1の実施形態において、垂直に配置され、下方に垂直に向かう方向に作動する監視装置を示すものであり、回転軸1を中心として回転対称である保護ハウジング2を有している。この保護ハウジング2の中には、自身の対物レンズ4を有する監視カメラ3(しかし、カメラではなく少なくとも一つのセンサーを含むこともある)が、同一の回転軸1にさらに配置されている。また、ここで用いるカメラ3は、密閉された内部ハウジング5に収容されている。カメラ3用の少なくとも一つの供給接続部6が、ここで用いる固定中空シャフト7を介してカメラ3に通じている。
【0033】
電源はワイピング接点を介して設けられることもあり、カメラは遠隔操作で作動することもあることは言及すべきことである。このため、固定中実軸が用いられることもある。また、ハウジングの内部に取り付けられた扇風機も、空気の取り入れを確実にし得る。
【0034】
保護ハウジング2は、その一端2.1では、既述のように、ここで用いる固定中空シャフト7上を回転できるように取り付けられている。設けられている軸受は、玉軸受8である。軸受8を保護するものとして、中空シャフト7の周りに係合している保護キャップ9が保護ハウジング2に配置されている。
【0035】
保護ハウジング2は、駆動装置10、つまり、ここでは電動機10aおよび歯車11によって回転するように設定できる。この結果、強い遠心力が生じる。少なくとも一つの供給接続部13を介して保護ハウジング2の内部に送られる圧縮空気および前述の遠心力の補助により、堆積した粒子または液滴は除去されるか、または、これらが保護ハウジング2に当たるとすぐにそれることによりそこに堆積することさえない。
【0036】
保護ハウジング2の他端2.2に取り付けられているのは、ドリル孔14を介してハウジング2から圧縮空気が供給される漏斗状のブロワーパイプ12である。ブロワーパイプ12は、底部に向かって開いている。つまり、ブロワーパイプの断面は、その全体の長さにかけて有益に広がっている。広がり、つまり拡大した直径は、カメラ3の対物レンズ4から離れて向かい合う方向に位置している。有益に底部に向かって開いているブロワーパイプ12の形状は、壁部および存在するカメラの保護ガラス板またはカメラの対物レンズに堆積した、通り抜けたいかなる粒子および液滴も、同様に下方に向かう遠心力の分力によってブロワーパイプの内部からさらに容易に除去することが可能であるという利点を有している。
【0037】
図1では、ブロワーパイプ12は、ねじ結合部15によって保護ハウジング2に接続されていることがわかる。
【0038】
ブロワーパイプ12を配置することにより、監視カメラ3と、この例では高速で移動する紙ウェブBであるとされた、破線で示した監視する物体Oとの間の光路(矢印Pを参照)には、粒子および噴霧が継続して存在しないままとなる。気流Lにより、ブロワーパイプ12の内部およびその表の両方においてバリアー効果が実現する。これは、今度は、監視する物体から一定の安全な距離を置いて監視カメラ3を取り付けることを可能にするため、高速で移動するウェブBを管理なく継続的に運転しながら監視できる。
【0039】
中空シャフト7は、圧縮空気用の供給接続部13をも収容することも言及すべきことである。
【0040】
保護ハウジング2の内面および外面は、汚れをはじく効果を強めるために、非粘着性の被膜、例えばテフロン(Teflon)をさらに設けることができる。
【0041】
また、出て行く汚れの方向を制御するために、溝などの特定の形状をハウジングの表面またはその内部に適用することもあり得る。しかし、これは図示していない。
【0042】
他の設計の変形例を図2に示す。実施形態は、原理上は、図1によるものに相当する。このため、相違点のみをここでは説明することにする。図2では、図1からの電動機10の代わりに、空気による駆動(圧縮空気によって駆動されるプロペラまたはタービン16)が用いられる。タービン16の駆動用の圧縮空気供給部17およびハウジング2用の圧縮空気供給部13は、この場合、別々に制御する必要がある。
【0043】
保護ハウジング2用の駆動装置10および駆動装置16はハウジング3の内部に配置され、その結果、汚れにくくかつ壊れにくくなっていることは補足すべきことである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による解決策の第1の実施形態を示している。
【図2】本発明の第2の実施形態を示している。
【符号の説明】
【0045】
1 回転軸
2 保護ハウジング
2.1 一端
2.2 他端
3 監視カメラ、センサー
4 対物レンズ
5 内部ハウジング
6 供給接続部
7 シャフト、中空シャフト
8 玉軸受
9 保護キャップ
10 駆動装置
11 歯車
12 ブロワーパイプ
13 供給接続部
14 ドリル孔
15 ねじ結合部
16 タービン
a 安全な距離
B 紙ウェブ
O 物体
L 気流
P 光路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(O)を監視する装置、特に、製紙工場およびそこで行われる紙ウェブ、厚紙ウェブまたは他の繊維ウェブ(B)の製造工程および/または仕上げ工程などの産業環境を監視する装置であって、回転軸(1)を中心に回転する保護ハウジング(2)内に配置された監視カメラ(3)または少なくとも一つのセンサーを備える装置において、
前記保護ハウジング(2)の一端(2.1)が固定シャフト(7)に取り付けられ、その同軸上の反対側の他端(2.2)が共回転ブロワーパイプ(12)を有するかまたはこれに結合し、圧縮空気を前記ブロワーパイプ(12)を含めた前記保護ハウジング(2)に加えることができることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記シャフト(7)が中空円筒状であり、前記カメラまたはセンサー(3)用の少なくとも一つの供給接続部(6)を収容し、所望であれば、前記圧縮空気用の少なくとも一つの供給接続部(13、17)をも収容していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記圧縮空気を、ドリル孔(14)を介して前記ブロワーパイプ(12)の内部に送ることができる請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記ブロワーパイプ(12)の断面が漏斗状に広がっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記カメラまたはセンサー(3)が、固定された内部密閉ハウジング(5)内に付加的に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記カメラまたはセンサー(3)が、前記内部ハウジング(5)および/または前記保護ハウジング(2)と同軸上に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記カメラまたはセンサー(3)が、前記保護ハウジング(2)の内側に偏心配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
駆動装置(10)が前記回転軸(1)を中心として配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記駆動装置(10)が、前記回転軸(1)に対して偏心配置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記駆動装置(10)が水力、電気または空気による手段で作動することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
設けられた前記駆動装置(10)が、圧縮空気によって、または外側から吹かれて作動するタービン(16)であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記保護ハウジング(2)の表面に、非粘着性の被膜および/または汚れをそらすのに用いられる溝などの要素が設けられていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−526139(P2009−526139A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553704(P2008−553704)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050574
【国際公開番号】WO2007/090724
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(506294244)ボイス パテント ゲーエムベーハー (57)
【氏名又は名称原語表記】Voith Patent GmbH
【Fターム(参考)】