目地ガスケットの製造法
【課題】柱部と、該柱部の両側に突設されるシールリップ部と、該シールリップ部より屋外側に突出する柱部上端部に被さり、両端をシールリップ部に連結した中空シール部よりなり、中空シール部の屋外側壁部には、その中央部内側に屋外側壁部補強のため柱部上端部に向けて突出形成する1ないし複数の突起を備えたゴム製の目地ガスケットの製造法であって、中空シール部の形状を必要最小限の大きさに設計し、目地に装着したとき屋外側壁部が平坦面を維持できるようにする。
【解決手段】押出機より突起24が柱部18に接触した状態で目地ガスケット16を押出す工程と、押出後、突起24が柱部端に接触し仮止めされた状態で加硫装置に送る工程と、加硫後、一対の押えよりなる押し潰し装置に送られ、押え間に通されることにより、中空シール部23を両側より押し潰し、突起24を柱部端より引離し、離脱させる工程とよりなる。
【解決手段】押出機より突起24が柱部18に接触した状態で目地ガスケット16を押出す工程と、押出後、突起24が柱部端に接触し仮止めされた状態で加硫装置に送る工程と、加硫後、一対の押えよりなる押し潰し装置に送られ、押え間に通されることにより、中空シール部23を両側より押し潰し、突起24を柱部端より引離し、離脱させる工程とよりなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁パネル間の目地に装着される後付けタイプの目地ガスケットの製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
外壁パネル間の目地に装着される後付けタイプの目地ガスケットには、図1に示すように目地1両側の外壁パネル2の段付き状をなす側縁部に跨って装着され、目地1に被さる被せ目地タイプのものや、図2に示すように全体が目地3に押込んで装着される底目地タイプのものが多く用いられている。このほか図3に示すように、補強用のインサート4を備えた柱部5と、該柱部5の中央部及び根元(目地に装着したときの屋内側部分)において左右に突設され、目地両側の外壁パネルに弾接するシールリップ部6、7と、補強のため上下のシールリップ部6、7を連結するブリッジ8と、両端がシールリップ部6に連結され、該シールリップ部6より突出する柱部5に被さる中空シール部9よりなり、該中空シール部9の平坦な屋外側壁部9bの中央部に厚肉部9aを形成した目地ガスケットも知られる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−127061号(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3に示される目地ガスケットは、厚肉部9aによって屋外側壁部9bの剛性が高まり、これにより屋外側壁部9bが変形しにくくなって平坦面を維持し、外観の見栄えを良好に維持できる利点があるが、図示するように厚肉部9aが柱部5に接触した状態で押出され、厚肉部9aが柱部5に融着したまま製品化されると、目地挿入に伴い、中空シール部9が側方より押し潰されたとき、屋外側壁部9bがV形に屈折して凹み、見栄えを損なうようになる。
【0005】
目地ガスケットは通常、エチレンプロピレンゴム等のゴム製よりなり、押出成形後は加硫されるが、厚肉部9aが柱部5に融着して仮固定されていると、中空シール部9の形成が安定し、バラつきがなくなる利点がある反面、厚肉部9aが柱部5にくっ付いたままになっていると、目地に装着したとき、屋外側壁部9bが上記と同様にV形に屈折し、見栄えを損なうようになる。
【0006】
厚肉部9aと柱部5のくっ付きを防止するには、厚肉部9aを柱部5より離した設計にする必要があるが、厚肉部9aを柱部5より離した設計にすると、中空シール部9の形状が少なくとも高さ方向に大きくなる。その結果、中空シール部の形状が不安定となって形状のバラつきが発生し易くなる。また中空シール部9が大きいと、目地が狭い場合に、柱部5の根元が目地奥の下地材や柱に当たって支え、これにより目地への挿入が不十分となって中空シール部が目地よりはみ出たり、中空シール部を屋外側から押し潰しながら挿入したときには、装着後も形状回復しないで押し潰されたままとなって外観を損なうおそれがある。
【0007】
本発明は、図3に示す目地ガスケットの中空シール部9の形状を必要最小限の大きさに設計し、目地に装着したとき屋外側壁部9bが平坦面を維持できるようなガスケットの製造法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係わる発明は、柱部と、該柱部の両側に突設され、目地両側の外壁パネルに弾接するシールリップ部と、該シールリップ部より屋外側に突出する柱部の上端部に被さる中空シール部よりなり、中空シール部の屋外側壁部には、その中央部内側に屋外側壁部補強のため柱部上端部に向けて突出形成する1ないし複数の突起を備えたゴム製の目地ガスケットの製造法であって、前記突起がシールリップ部より突出する柱部上端部に接触した状態で押出す押出工程と、押出後、前記突起が柱部上端部に接触した状態で加硫又は冷却する加硫工程又は冷却工程と、加硫又は冷却後、中空シール部を両側より押し潰して前記突起を柱部上端部より離間させる工程よりなることを特徴とし、中空シール部を離間させる工程は充分に冷却固化しないうちに行うこともできる。
【0009】
請求項2に係わる発明は、請求項1に係わる発明において、前記中空シール部は、両端がシールリップ部に連結されることを特徴とする。
請求項3に係わる発明は、請求項1に係わる発明において、前記中空シール部は、両端が柱部に連結されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によると、突起は柱部上端部に接触した状態で押出されるため、中空シール部を必要最小限の大きさに形状設計できること、中空シール部の大きさが最小限で、しかも突起が柱部にくっ付いて仮止めされた状態で加硫又は冷却されるため、中空シール部の形状が安定し、形状のバラつきを抑えることができること、突起は中空シール部を押し潰すことによって支柱より引き離されるが、引き離しは加硫後、或いは冷却後に行われ、これにより突起と柱部の分離を確実に行うことができ、分離後は熱変形により接触して再融着することはないこと、突起が柱部より離間し、しかも突起により屋外側壁部の剛性が増すと共に、中空シール部の形状が必要最小限の大きさにできることから、目地装着時に中空シール部を押込んで押し潰しても復元し易く、屋外側壁部の平坦面を目地装着後も維持できること、中空シール部の形状を最小限の大きさにすることにより目地挿入時、ガスケットが目地奥に支えて中空シール部が目地よりはみ出る、といった外観上の問題を生ずることがないこと等の効果を有する。前述するように、中空シール部を離間させる工程を未だ充分に冷却されていないうちに行うことも可能である。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、中空シール部は両端がシールリップ部に連結されているため、中空シール部の離間工程において、中空シール部のみならず、シールリップ部を押し潰すことでも中空シール部の離間を促すことができる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、中空シール部がシールリップ部とは連結されず、柱部と連結されているので、中空シール部の離間工程にシールリップ部を巻き込むことがなく、巻き込みによる傷付きを生ずることがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】被せ目地タイプの従来の目地ガスケットの断面図。
【図2】底目地タイプの従来の目地ガスケットの断面図。
【図3】従来の他の目地ガスケットの断面図。
【図4】本発明に係わる目地ガスケットの製造工程を示す図。
【図5】本発明に係わる目地ガスケットの断面図。
【図6】本発明に係わる目地ガスケットの別の例の断面図。
【図7】本発明に係わる別の例の目地ガスケットの断面図。
【図8】本発明に係わる他の例の目地ガスケットの断面図。
【図9】押し潰し装置の概略図。
【図10】図5に示す目地ガスケットを目地に装着した断面図。
【図11】図5に示す目地ガスケットを細目地に装着した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面により説明する。
図4は、本発明に係わる目地ガスケットの製造工程を示すもので、押出機11より押出されたゴム(例えばEPDM、EPM、Q、CR等)による目地ガスケット12は加硫装置13に送られて加硫され、加硫後、押し潰し装置14で中空シール部の押し潰しが行われるようになっている。
【0015】
図5は、押出機11より押出された目地ガスケットの一例を示すもので、該目地ガスケット16は、インサート17を備えた柱部18と、該柱部18の中央部及び根元において左右に突設され、目地両側の外壁パネルに弾接するシールリップ部21、22と、両端がシールリップ部21に連結され、シールリップ部21より突出する柱部18に被さる中空シール部23よりなり、該中空シール部23の屋外側壁部25には、その中央部内壁に屋外側壁部補強のための厚肉の断面台形状の突起24を突出形成し、柱部18に接触させている。
【0016】
図6は、目地ガスケットの別の例を示すもので、該目地ガスケット26は、図5に示す目地ガスケット16において、突起24を山形の突起27にしたものであり、図7に示す目地ガスケット28は同じく上記突起24を一対の山形の突起29にしたもので、この目地ガスケット28においては、中空シール部23の両端において上下のシールリップ部21、22がブリッジ20により連結されている。この目地ガスケット28の場合、中空シール部23の両端がそれぞれ左右のシールリップ部21、21と共に、更に下側のシールリップ22、22にブリッジ20を介して連続的に連結されているので、中空シール部23の離間工程でより一層、離間を促すことができる。
【0017】
なお、図7に示す目地ガスケット28では、中空シール部端及びシールリップ部21の接続部と、ブリッジ20及びシールリップ部21の接続部は、シールリップ部21を挟んで上下に同じ箇所に位置しているが、ブリッジ20とシールリップ部21の接続部が、中空シール部23とシールリップ部21の接続部よりも柱部18に近い位置にあっても、例えば図3に示すような遠い位置にあってもよい。
【0018】
前述の突起は図示するように限らず、例えば突起を3個以上備えたものであってもよいし、厚肉の断面台形状断面の突起と山形の突起を組み合わせたものであってもよい。突起24を山形として柱部18との接触面積を小さくすることにより、中空シール部23の柱部18からの離間を非常に簡易に行えるようになる。
【0019】
前述の目地ガスケット16、26はまた、上下のシールリップ部21、22を連結するブリッジを備えていないが、図7に示す目地ガスケット28のように、上下のシールリップ部を連結するブリッジを備えていてもよい。
【0020】
図8は、ブリッジを備えた目地ガスケットの他の例を示すもので、該目地ガスケット31は、上下のシールリップ部32、33がブリッジ34によって連結され、両端を柱部37に連結し、柱部上端部に被さる中空シール部35の屋外側壁部36には、柱部37と接触する山形の突起38を備え、中空シール部35の両端は柱部37に連結している。なお、前記柱部18、37のインサート17は、柱部18,37に硬質材を使用することで不要にすることもできる。
【0021】
この目地ガスケット31の場合、中空シール部35がシールリップ部32に連結されず、柱部18に連結されているので、中空シール部35の離間工程にシールリップ部を巻き込むことがなく、シールリップ部を傷付けることがない。
【0022】
押出機11より押出された前述のゴムよりなる目地ガスケット16、26、28、31は加硫装置13に送られ加硫される。加硫装置自体はよく知られた装置であり、本発明は、加硫装置や加硫自体を特徴とするものではないため、詳細な説明は省略する。
【0023】
図9は押し潰し装置14の概略構成を示すもので、一定の間隔を存して固定配置される一対の押え39よりなり、該押え39間に加硫後の目地ガスケット16が通されることで図示するように中空シール部23が両側方より押し潰され、これにより突起24が柱部上端より引離され、離脱するようになっている。
【0024】
押し潰し装置14を構成する押え39に目地ガスケット16が通され易いように、押し潰し装置14、すなわち押え39の加硫装置側に目地ガスケット16を案内するガイドを取付けるか、或いは押えの加硫装置側をテーパ状のガイドにするのが望ましい。
【0025】
前述の押え39は固定であるが、押え39は開閉するように構成されていてもよいし、少なくとも一方がローラーで、押出方向に回転するようになっていてもよい。前者の場合、目地ガスケットが一定量送られるごとに押え39が閉じ、中空シール部23を押し潰すことになる。
【0026】
また押し潰し装置14は、通常の押出工程に設置される引取機が兼用してもよい。この引取機は、例えば上下にゴム製のコンベアが配置されて、物を巻き込む方向に回転し、上下を万力のように挟み込んで押出成形物を弛ませることなく連続的に引き取ることができるように構成した装置である。
【0027】
前記実施形態の目地ガスケット16、26、28、31は加硫工程を必要とするゴム材料で形成されているが、熱可塑性材料、例えばTPO、TPS等の熱可塑性エラストマーで形成することもできる。この場合、加硫装置13に代えて冷却装置が設けられ、押出機11より押出された目地ガスケットが冷却装置で冷却後、中空シール部23が両側方より押し潰され、突起24が柱部上端より引離されるようにされる。この引離しは目地ガスケットが未だ充分に冷却されず、温かいうちに行われるようにしてもよい。
以上のように、図4に示す製造工程に適宜の変更を加えることで熱可塑性エラストマーを材料とする目地ガスケットを形成することができる。
【0028】
図10は、図5に示す目地ガスケット16を外壁パネル41間の目地42に装着した状態を示すもので、目地42への装着は、ガスケット16を目地42にある程度挿入したのち、図示しない治具を中空シール部23に当てがい、木槌又は金槌で治具を打ち付けることにより行う。図11は、外壁パネル間の細幅の目地44に前記目地ガスケット16を装着した状態を示すものである。
【符号の説明】
【0029】
11・・押出機
12、16、26、28、31・・目地ガスケット
13・・加硫装置
14・・押し潰し装置
17・・インサート
18、37・・柱部
21、22、32、33・・シールリップ部
23、35・・中空シール部
24、27、29、38・・突起
25、36・・屋外側壁部
20、34・・ブリッジ
39・・押え
41・・外壁パネル
42、44・・目地
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁パネル間の目地に装着される後付けタイプの目地ガスケットの製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
外壁パネル間の目地に装着される後付けタイプの目地ガスケットには、図1に示すように目地1両側の外壁パネル2の段付き状をなす側縁部に跨って装着され、目地1に被さる被せ目地タイプのものや、図2に示すように全体が目地3に押込んで装着される底目地タイプのものが多く用いられている。このほか図3に示すように、補強用のインサート4を備えた柱部5と、該柱部5の中央部及び根元(目地に装着したときの屋内側部分)において左右に突設され、目地両側の外壁パネルに弾接するシールリップ部6、7と、補強のため上下のシールリップ部6、7を連結するブリッジ8と、両端がシールリップ部6に連結され、該シールリップ部6より突出する柱部5に被さる中空シール部9よりなり、該中空シール部9の平坦な屋外側壁部9bの中央部に厚肉部9aを形成した目地ガスケットも知られる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−127061号(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3に示される目地ガスケットは、厚肉部9aによって屋外側壁部9bの剛性が高まり、これにより屋外側壁部9bが変形しにくくなって平坦面を維持し、外観の見栄えを良好に維持できる利点があるが、図示するように厚肉部9aが柱部5に接触した状態で押出され、厚肉部9aが柱部5に融着したまま製品化されると、目地挿入に伴い、中空シール部9が側方より押し潰されたとき、屋外側壁部9bがV形に屈折して凹み、見栄えを損なうようになる。
【0005】
目地ガスケットは通常、エチレンプロピレンゴム等のゴム製よりなり、押出成形後は加硫されるが、厚肉部9aが柱部5に融着して仮固定されていると、中空シール部9の形成が安定し、バラつきがなくなる利点がある反面、厚肉部9aが柱部5にくっ付いたままになっていると、目地に装着したとき、屋外側壁部9bが上記と同様にV形に屈折し、見栄えを損なうようになる。
【0006】
厚肉部9aと柱部5のくっ付きを防止するには、厚肉部9aを柱部5より離した設計にする必要があるが、厚肉部9aを柱部5より離した設計にすると、中空シール部9の形状が少なくとも高さ方向に大きくなる。その結果、中空シール部の形状が不安定となって形状のバラつきが発生し易くなる。また中空シール部9が大きいと、目地が狭い場合に、柱部5の根元が目地奥の下地材や柱に当たって支え、これにより目地への挿入が不十分となって中空シール部が目地よりはみ出たり、中空シール部を屋外側から押し潰しながら挿入したときには、装着後も形状回復しないで押し潰されたままとなって外観を損なうおそれがある。
【0007】
本発明は、図3に示す目地ガスケットの中空シール部9の形状を必要最小限の大きさに設計し、目地に装着したとき屋外側壁部9bが平坦面を維持できるようなガスケットの製造法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係わる発明は、柱部と、該柱部の両側に突設され、目地両側の外壁パネルに弾接するシールリップ部と、該シールリップ部より屋外側に突出する柱部の上端部に被さる中空シール部よりなり、中空シール部の屋外側壁部には、その中央部内側に屋外側壁部補強のため柱部上端部に向けて突出形成する1ないし複数の突起を備えたゴム製の目地ガスケットの製造法であって、前記突起がシールリップ部より突出する柱部上端部に接触した状態で押出す押出工程と、押出後、前記突起が柱部上端部に接触した状態で加硫又は冷却する加硫工程又は冷却工程と、加硫又は冷却後、中空シール部を両側より押し潰して前記突起を柱部上端部より離間させる工程よりなることを特徴とし、中空シール部を離間させる工程は充分に冷却固化しないうちに行うこともできる。
【0009】
請求項2に係わる発明は、請求項1に係わる発明において、前記中空シール部は、両端がシールリップ部に連結されることを特徴とする。
請求項3に係わる発明は、請求項1に係わる発明において、前記中空シール部は、両端が柱部に連結されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によると、突起は柱部上端部に接触した状態で押出されるため、中空シール部を必要最小限の大きさに形状設計できること、中空シール部の大きさが最小限で、しかも突起が柱部にくっ付いて仮止めされた状態で加硫又は冷却されるため、中空シール部の形状が安定し、形状のバラつきを抑えることができること、突起は中空シール部を押し潰すことによって支柱より引き離されるが、引き離しは加硫後、或いは冷却後に行われ、これにより突起と柱部の分離を確実に行うことができ、分離後は熱変形により接触して再融着することはないこと、突起が柱部より離間し、しかも突起により屋外側壁部の剛性が増すと共に、中空シール部の形状が必要最小限の大きさにできることから、目地装着時に中空シール部を押込んで押し潰しても復元し易く、屋外側壁部の平坦面を目地装着後も維持できること、中空シール部の形状を最小限の大きさにすることにより目地挿入時、ガスケットが目地奥に支えて中空シール部が目地よりはみ出る、といった外観上の問題を生ずることがないこと等の効果を有する。前述するように、中空シール部を離間させる工程を未だ充分に冷却されていないうちに行うことも可能である。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、中空シール部は両端がシールリップ部に連結されているため、中空シール部の離間工程において、中空シール部のみならず、シールリップ部を押し潰すことでも中空シール部の離間を促すことができる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、中空シール部がシールリップ部とは連結されず、柱部と連結されているので、中空シール部の離間工程にシールリップ部を巻き込むことがなく、巻き込みによる傷付きを生ずることがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】被せ目地タイプの従来の目地ガスケットの断面図。
【図2】底目地タイプの従来の目地ガスケットの断面図。
【図3】従来の他の目地ガスケットの断面図。
【図4】本発明に係わる目地ガスケットの製造工程を示す図。
【図5】本発明に係わる目地ガスケットの断面図。
【図6】本発明に係わる目地ガスケットの別の例の断面図。
【図7】本発明に係わる別の例の目地ガスケットの断面図。
【図8】本発明に係わる他の例の目地ガスケットの断面図。
【図9】押し潰し装置の概略図。
【図10】図5に示す目地ガスケットを目地に装着した断面図。
【図11】図5に示す目地ガスケットを細目地に装着した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面により説明する。
図4は、本発明に係わる目地ガスケットの製造工程を示すもので、押出機11より押出されたゴム(例えばEPDM、EPM、Q、CR等)による目地ガスケット12は加硫装置13に送られて加硫され、加硫後、押し潰し装置14で中空シール部の押し潰しが行われるようになっている。
【0015】
図5は、押出機11より押出された目地ガスケットの一例を示すもので、該目地ガスケット16は、インサート17を備えた柱部18と、該柱部18の中央部及び根元において左右に突設され、目地両側の外壁パネルに弾接するシールリップ部21、22と、両端がシールリップ部21に連結され、シールリップ部21より突出する柱部18に被さる中空シール部23よりなり、該中空シール部23の屋外側壁部25には、その中央部内壁に屋外側壁部補強のための厚肉の断面台形状の突起24を突出形成し、柱部18に接触させている。
【0016】
図6は、目地ガスケットの別の例を示すもので、該目地ガスケット26は、図5に示す目地ガスケット16において、突起24を山形の突起27にしたものであり、図7に示す目地ガスケット28は同じく上記突起24を一対の山形の突起29にしたもので、この目地ガスケット28においては、中空シール部23の両端において上下のシールリップ部21、22がブリッジ20により連結されている。この目地ガスケット28の場合、中空シール部23の両端がそれぞれ左右のシールリップ部21、21と共に、更に下側のシールリップ22、22にブリッジ20を介して連続的に連結されているので、中空シール部23の離間工程でより一層、離間を促すことができる。
【0017】
なお、図7に示す目地ガスケット28では、中空シール部端及びシールリップ部21の接続部と、ブリッジ20及びシールリップ部21の接続部は、シールリップ部21を挟んで上下に同じ箇所に位置しているが、ブリッジ20とシールリップ部21の接続部が、中空シール部23とシールリップ部21の接続部よりも柱部18に近い位置にあっても、例えば図3に示すような遠い位置にあってもよい。
【0018】
前述の突起は図示するように限らず、例えば突起を3個以上備えたものであってもよいし、厚肉の断面台形状断面の突起と山形の突起を組み合わせたものであってもよい。突起24を山形として柱部18との接触面積を小さくすることにより、中空シール部23の柱部18からの離間を非常に簡易に行えるようになる。
【0019】
前述の目地ガスケット16、26はまた、上下のシールリップ部21、22を連結するブリッジを備えていないが、図7に示す目地ガスケット28のように、上下のシールリップ部を連結するブリッジを備えていてもよい。
【0020】
図8は、ブリッジを備えた目地ガスケットの他の例を示すもので、該目地ガスケット31は、上下のシールリップ部32、33がブリッジ34によって連結され、両端を柱部37に連結し、柱部上端部に被さる中空シール部35の屋外側壁部36には、柱部37と接触する山形の突起38を備え、中空シール部35の両端は柱部37に連結している。なお、前記柱部18、37のインサート17は、柱部18,37に硬質材を使用することで不要にすることもできる。
【0021】
この目地ガスケット31の場合、中空シール部35がシールリップ部32に連結されず、柱部18に連結されているので、中空シール部35の離間工程にシールリップ部を巻き込むことがなく、シールリップ部を傷付けることがない。
【0022】
押出機11より押出された前述のゴムよりなる目地ガスケット16、26、28、31は加硫装置13に送られ加硫される。加硫装置自体はよく知られた装置であり、本発明は、加硫装置や加硫自体を特徴とするものではないため、詳細な説明は省略する。
【0023】
図9は押し潰し装置14の概略構成を示すもので、一定の間隔を存して固定配置される一対の押え39よりなり、該押え39間に加硫後の目地ガスケット16が通されることで図示するように中空シール部23が両側方より押し潰され、これにより突起24が柱部上端より引離され、離脱するようになっている。
【0024】
押し潰し装置14を構成する押え39に目地ガスケット16が通され易いように、押し潰し装置14、すなわち押え39の加硫装置側に目地ガスケット16を案内するガイドを取付けるか、或いは押えの加硫装置側をテーパ状のガイドにするのが望ましい。
【0025】
前述の押え39は固定であるが、押え39は開閉するように構成されていてもよいし、少なくとも一方がローラーで、押出方向に回転するようになっていてもよい。前者の場合、目地ガスケットが一定量送られるごとに押え39が閉じ、中空シール部23を押し潰すことになる。
【0026】
また押し潰し装置14は、通常の押出工程に設置される引取機が兼用してもよい。この引取機は、例えば上下にゴム製のコンベアが配置されて、物を巻き込む方向に回転し、上下を万力のように挟み込んで押出成形物を弛ませることなく連続的に引き取ることができるように構成した装置である。
【0027】
前記実施形態の目地ガスケット16、26、28、31は加硫工程を必要とするゴム材料で形成されているが、熱可塑性材料、例えばTPO、TPS等の熱可塑性エラストマーで形成することもできる。この場合、加硫装置13に代えて冷却装置が設けられ、押出機11より押出された目地ガスケットが冷却装置で冷却後、中空シール部23が両側方より押し潰され、突起24が柱部上端より引離されるようにされる。この引離しは目地ガスケットが未だ充分に冷却されず、温かいうちに行われるようにしてもよい。
以上のように、図4に示す製造工程に適宜の変更を加えることで熱可塑性エラストマーを材料とする目地ガスケットを形成することができる。
【0028】
図10は、図5に示す目地ガスケット16を外壁パネル41間の目地42に装着した状態を示すもので、目地42への装着は、ガスケット16を目地42にある程度挿入したのち、図示しない治具を中空シール部23に当てがい、木槌又は金槌で治具を打ち付けることにより行う。図11は、外壁パネル間の細幅の目地44に前記目地ガスケット16を装着した状態を示すものである。
【符号の説明】
【0029】
11・・押出機
12、16、26、28、31・・目地ガスケット
13・・加硫装置
14・・押し潰し装置
17・・インサート
18、37・・柱部
21、22、32、33・・シールリップ部
23、35・・中空シール部
24、27、29、38・・突起
25、36・・屋外側壁部
20、34・・ブリッジ
39・・押え
41・・外壁パネル
42、44・・目地
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱部18、37と、該柱部18、37の両側に突設され、目地両側の外壁パネル41に弾接するシールリップ部21、22、32、33と、柱部18、37の上端部に被さる中空シール部23、35よりなり、中空シール部23、35の屋外側壁部25、36には、その中央部内側に柱部上端部に向けて突出形成する1ないし複数の突起24、27、29、38を備えたゴムまたは熱可塑性材料よりなる目地ガスケットの製造法であって、前記突起24、27、29、38が柱部上端部に接触した状態で押出す押出工程と、押出後、前記突起24、27、29、38が柱部上端部に接触した状態で加硫又は冷却する加硫工程又は冷却工程と、加硫又は冷却後、中空シール部23、35を両側より押し潰して前記突起24、27、29、38を柱部上端部より離間させる工程よりなることを特徴とする目地ガスケットの製造法。
【請求項2】
前記中空シール部23、35は、両端がシールリップ部21に連結されることを特徴とする請求項1記載の目地ガスケットの製造法。
【請求項3】
前記中空シール部23、35は、両端が柱部18、37に連結されることを特徴とする請求項1記載の目地ガスケットの製造法。
【請求項1】
柱部18、37と、該柱部18、37の両側に突設され、目地両側の外壁パネル41に弾接するシールリップ部21、22、32、33と、柱部18、37の上端部に被さる中空シール部23、35よりなり、中空シール部23、35の屋外側壁部25、36には、その中央部内側に柱部上端部に向けて突出形成する1ないし複数の突起24、27、29、38を備えたゴムまたは熱可塑性材料よりなる目地ガスケットの製造法であって、前記突起24、27、29、38が柱部上端部に接触した状態で押出す押出工程と、押出後、前記突起24、27、29、38が柱部上端部に接触した状態で加硫又は冷却する加硫工程又は冷却工程と、加硫又は冷却後、中空シール部23、35を両側より押し潰して前記突起24、27、29、38を柱部上端部より離間させる工程よりなることを特徴とする目地ガスケットの製造法。
【請求項2】
前記中空シール部23、35は、両端がシールリップ部21に連結されることを特徴とする請求項1記載の目地ガスケットの製造法。
【請求項3】
前記中空シール部23、35は、両端が柱部18、37に連結されることを特徴とする請求項1記載の目地ガスケットの製造法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−94334(P2011−94334A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247294(P2009−247294)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【Fターム(参考)】
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