目地付きタイルユニット及び目地付きタイルユニットの製造方法
【課題】タイルが剥離し難い目地付きタイルユニット及び目地付きタイルユニットの製造方法を提供する。
【解決手段】目地付きタイルユニット1は、目地間隔をあけて配列された複数枚のタイル2と、目地部に充填された目地材3とからなる。目地材3は、タイル2の側端面から該タイル2の裏面2aにまで回り込んでなる回込部3aを有している。該目地部3に回込部3aが形成されており、タイル2の側端面のみならず裏面2aにも目地材3が接着しているため、接着面積が大きくなり、タイル2が剥離し難い。回込部3aがタイル裏面2aから突出しているため、該目地付きタイルユニット1を壁面に接着剤等を介して張り付けるときに該回込部3aが裏足の役割を果たすことになり、目地付きタイルユニット1のずれが防止される。
【解決手段】目地付きタイルユニット1は、目地間隔をあけて配列された複数枚のタイル2と、目地部に充填された目地材3とからなる。目地材3は、タイル2の側端面から該タイル2の裏面2aにまで回り込んでなる回込部3aを有している。該目地部3に回込部3aが形成されており、タイル2の側端面のみならず裏面2aにも目地材3が接着しているため、接着面積が大きくなり、タイル2が剥離し難い。回込部3aがタイル裏面2aから突出しているため、該目地付きタイルユニット1を壁面に接着剤等を介して張り付けるときに該回込部3aが裏足の役割を果たすことになり、目地付きタイルユニット1のずれが防止される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目地間隔をあけて配列された複数枚のタイルと、目地部に充填され、隣接するタイルの側端面同士を連結する目地材とを有する目地付きタイルユニット及び目地付きタイルユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
目地間隔をあけて配列された複数枚のタイルと、目地部に充填され、隣接するタイルの側端面同士を連結する目地材とを有する目地付きタイルユニットは公知である。
【0003】
例えば、特開平8−333869号には、粘着テープをタイルの裏面に配してタイルを一定間隔に配列連結し、これを型枠に配列した後、液状シリコーンゴム組成物を該粘着テープ上かつタイル間に流し、硬化して目地部を形成し、目地付きタイルユニットとすることが記載されている。
【特許文献1】特開平8−333869号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特開平8−333869号の目地付きタイルユニットは、隣接するタイルの側端面同士のみが目地材で連結されているため、連結力が弱い。そのため、目地付きタイルユニットが大型になると、該タイルユニットの重さに目地材が耐え切れなくなり、タイルが剥離するおそれがある。
【0005】
また、この目地付きタイルユニットは、タイルの裏面と目地材の裏面が平坦面となっており、該タイルユニットの裏面に凹凸が無い。そのため、接着剤を塗布した壁面に該タイルユニットを接着するときに、ずれが生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、タイルが剥離し難い目地付きタイルユニット及び目地付きタイルユニットの製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、壁面に接着してもずれが生じ難い目地付きタイルユニット及び目地付きタイルユニットの製造方法を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(請求項1)の目地付きタイルユニットは、目地間隔をあけて配列された複数枚のタイルと、目地部に充填され、隣接するタイルの側端面同士を連結する目地材とを有する目地付きタイルユニットにおいて、該目地材が該タイルの側端面から該タイルの裏面にまで回り込んでなる回込部が、該タイルの裏面周縁の少なくとも一部に形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の目地付きタイルユニットは、請求項1において、該タイルの裏面に裏足が突設されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の目地付きタイルユニットは、請求項2において、該回込部の該タイル裏面からの突出高さが、該裏足の該タイル裏面からの突出高さ以下であることを特徴とする。
【0010】
請求項4の目地付きタイルユニットは、請求項1ないし3のいずれか1項において、該回込部が、該タイルの裏面の一辺以上にわたって延在していることを特徴とする。
【0011】
本発明(請求項5)の目地付きタイルユニットは、目地間隔をあけて配列された複数枚のタイルと、目地部に充填され、隣接するタイルの側端面同士を連結する目地材とを有する目地付きタイルユニットにおいて、該目地材が該タイルの裏面に回り込むことなく該タイルの裏面よりも突出してなる突出部が、該目地部の少なくとも一部に形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6の目地付きタイルユニットは、請求項5において、該突出部が、該タイルの裏面の一辺以上にわたって延在していることを特徴とする。
【0013】
請求項7の目地付きタイルユニットは、請求項1ないし6のいずれか1項において、該タイルの裏面に該タイル同士を連結するネットが設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項8の目地付きタイルユニットは、請求項1ないし7のいずれか1項において、該目地付きタイルユニットの裏面が面一状となっていることを特徴とする。
【0015】
本発明(請求項9)の目地付きタイルユニットの製造方法は、請求項1の目地付きタイルユニットを製造する方法であって、該タイルユニットの目地部の幅よりも幅の大きい溝が表面に凹設されているシートの表面に、タイルを間隔をおいて配列し、該目地部及び該溝に目地材を充填して、該目地材を該タイルの側端面から該タイルの裏面にまで回り込ませ、該目地材が硬化した後に、該目地材を該溝から取り外すことを特徴とするものである。
【0016】
本発明(請求項10)の目地付きタイルユニットの製造方法は、請求項5の目地付きタイルユニットを製造する方法であって、該タイルユニットの目地部の幅と同一幅の溝が表面に凹設されているシートの表面に、タイルを間隔をおいて配列し、該目地部及び該溝に目地材を充填し、該目地材が硬化した後に、該目地材を該溝から取り外すことを特徴とするものである。
【0017】
本発明(請求項11)の目地付きタイルユニットの製造方法は、請求項3の目地付きタイルユニットを製造する方法であって、平坦なシートの表面に、該タイルを該裏足が該シートに接するようにして間隔をおいて配列し、目地材を該目地部から該タイルの裏面に回り込むようにして充填し、該目地材が硬化した後に、該タイル及び該目地材を該シートから取り外すことを特徴とするものである。
【0018】
請求項12の目地付きタイルユニットの製造方法は、請求項7の目地付きタイルユニットを製造する方法であって、ネット上にタイルを間隔をあけて接着したものを、表面が平坦となっているシートの表面に、該ネットが該シートと接するようにして載置し、目地材を、該目地部から該タイルの裏面及び該ネットの側端面に回り込むようにして充填し、該目地材が硬化した後に、該タイル、該ネット及び該目地材を該シートから取り外すことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明(請求項1)の目地付きタイルユニットにあっては、目地材がタイルの側端面から該タイルの裏面にまで回り込んでなる回込部が、該タイルの裏面周縁の少なくとも一部に形成されている。そのため、目地材とタイルとの接触面積が大きくなり、タイルが剥離し難いものとなる。
【0020】
なお、請求項1の目地付きタイルユニットは、該タイルユニットの目地部の幅よりも幅の大きい溝が表面に凹設されているシートの表面に、タイルを間隔をおいて配列し、該目地部及び該溝に目地材を充填して、該目地材を該タイルの側端面から該タイルの裏面にまで回り込ませ、該目地材が硬化した後に、該目地材を該溝から取り外すことにより、容易に製造することができる(請求項9)。
【0021】
請求項2の通り、タイルの裏面に裏足が突設されていると、該目地付きタイルユニットを接着剤を介して壁面に張り付ける際に、該裏足が該接着剤に食い込み、該目地付きタイルユニットのずれが防止される。
【0022】
請求項3の通り、回込部のタイル裏面からの突出高さが、裏足の該タイル裏面からの突出高さ以下であると、該目地付きタイルユニットを接着剤を介して壁面に張り付ける際に、該裏足が該接着剤により良好に食い込む。また、タイルユニットの厚みを裏足で調製することができる。即ち、このタイルユニットの厚みは、タイルユニットの表面から裏足の先端までの長さとなり、タイル裏面からはみ出した目地材の影響を受けない。
【0023】
なお、請求項3の目地付きタイルユニットは、平坦なシートの表面に、該タイルを該裏足が該シートに接するようにして間隔をおいて配列し、目地材を該目地部から該タイルの裏面に回り込むようにして充填し、該目地材が硬化した後に、該タイル及び該目地材を該シートから取り外すことにより、容易に製造することができる(請求項11)。
【0024】
請求項4の通り、回込部がタイルの裏面の一辺以上にわたって延在していると、目地材とタイルとの接触面積が大きくなり、タイルがより剥離し難いものとなる。
【0025】
本発明(請求項5)の目地付きタイルユニットにあっては、目地材が該タイルの裏面に回り込むことなく該タイルの裏面よりも突出してなる突出部が、該目地部の少なくとも一部に形成されている。この突出部が裏足の役割を果たすため、該目地付きタイルユニットを接着剤を塗布した壁面に張り付ける際に、該突出部が該接着剤に食い込み、該目地付きタイルユニットのずれが防止される。
【0026】
なお、請求項5の目地付きタイルユニットは、該タイルユニットの目地部の幅と同一幅の溝が表面に凹設されているシートの表面に、タイルを間隔をおいて配列し、該目地部及び該溝に目地材を充填し、該目地材が硬化した後に、該目地材を該溝から取り外すことにより、容易に製造することができる(請求項10)。
【0027】
請求項6の通り、該突出部が該タイルの裏面の一辺以上にわたって延在していると、目地付きタイルユニットがよりずれ難いものとなる。
【0028】
請求項7の通り、タイルの裏面にタイル同士を連結するネットが設けられていると、該タイルがより剥離し難いものとなる。
【0029】
なお、請求項7の目地付きタイルユニットは、ネット上にタイルを間隔をあけて接着したものを、表面が平坦となっているシートの表面に、該ネットが該シートと接するようにして載置し、目地材を、該目地部から該タイルの裏面及び該ネットの側端面に回り込むようにして充填し、該目地材が硬化した後に、該タイル、該ネット及び該目地材を該シートから取り外すことにより、容易に製造することができる(請求項12)。
【0030】
請求項8の通り、該目地付きタイルユニットの裏面が面一状となっていると、該目地付きタイルユニットを接着剤を介して壁面に張り付ける際に、不陸が防止され、各タイルの裏側を該接着剤に良好に接着させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0032】
第1図は実施の形態に係る目地付きタイルユニット1の平面図、第2図(a)は第1図の目地付きタイルユニットの裏面図、第2図(b)は第2図(a)のB−B線に沿う断面図、第2図(c)は第2図(a)のC−C線に沿う断面図である。
【0033】
この目地付きタイルユニット1は、目地間隔をあけて配列された複数枚(本実施の形態では縦4列、横4列の合計16枚)のタイル2と、目地部に充填された目地材3とからなる。この目地材3は、タイル2の側端面から該タイル2の裏面2aにまで回り込んでなる回込部3aを有している。
【0034】
具体的には、第2図(a)に示す通り、図の縦方向に延在する3条の目地部に目地材3が充填されている。各目地部に充填された目地材3は、該目地部の左側のタイル2の裏面2aにまで回り込んでなる回込部3aを有すると共に、該目地部の右側のタイル裏面2aにまで回り込んでなる回込部3aを有する。各回込部3aは、目地付きタイルユニット1の第2図(a)における上端から下端にわたって延在している。
【0035】
また、第2図(a)に示す通り、図の横方向に延在する3条の目地部に目地材3が充填されている。各目地部に充填された目地材3は、該目地部の上側のタイル2の裏面2aにまで回り込んでなる回込部3aを有すると共に、該目地部の下側のタイル裏面2aにまで回り込んでなる回込部3aを有する。各回込部3aは、目地付きタイルユニット1の第2図(a)における左端から右端にわたって延在している。
【0036】
第2図(a)に示す通り、目地付きタイルユニット1の4隅のタイル2にあっては、裏面2aの隣接する2辺に回込部3aが形成されている。目地付きタイルユニット1の周縁部に配置されている残りの8個のタイル2にあっては、裏面2aの3辺に回込部3aが形成されている。目地付きタイルユニット1の中央に配置されている4個のタイル2にあっては、裏面2aの4辺に回込部3aが形成されている。
【0037】
このように、各タイル2の裏面2aの2〜4辺に回込部3aが形成されており、タイル2の側端面のみならず裏面2aにも目地材3が接着しているため、接着面積が大きくなり、タイル2が剥離し難い。また、第2図(b)及び(c)の通り、該回込部3aがタイル裏面2aから突出しているため、該目地付きタイルユニット1を壁面に接着剤等を介して張り付けるときに該回込部3aが裏足の役割を果たすことになり、目地付きタイルユニット1のずれが防止される。
【0038】
このタイル2は、陶磁器製、石材製、ガラス製などのセラミックス製のものが好適に用いられる。
【0039】
このタイル2の1辺の長さは5〜600mm特に10〜25mmであることが好ましい。このタイル2の厚さは1〜15mm特に4〜6mmであることが好ましい。
【0040】
目地間隔は1〜10mm特に1〜3mmであることが好ましい。
【0041】
この目地付きタイルユニット1の1辺の長さは10〜2000mm特に300〜1500mmであることが好ましい。
【0042】
この回込部3aの回り込み距離d、即ち、回込部3aのうち最も裏面2aの内側に回り込んだ部分の裏面2a周縁からの距離は、0.1〜20mm特に0.1〜5mmであることが好ましい。この回り込み距離dは、タイル2の1辺の長さの0.03〜50%特に0.4〜20%であることが好ましい。
【0043】
この回込部3aのタイル裏面2aからの突出高さhは、0.1〜5mm特に0.1〜3.5mmであることが好ましい。この突出高さhは、タイル2の厚さの0.5〜100%特に0.5〜88%であることが好ましい。
【0044】
この目地材3の材料は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、変成シリコーン樹脂、シリコーン樹脂、ホットメルト等が好適である。
【0045】
第3図(a)は別の実施の形態に係る目地付きタイルユニット1Aの裏面図、第3図(b)は第3図(a)のB−B線に沿う断面図、第3図(c)は第3図(a)のC−C線に沿う断面図である。
【0046】
この目地付きタイルユニット1Aは、目地間隔をあけて配列された複数枚(本実施の形態では縦4列、横4列の合計16枚)のタイル2と、目地部に充填された目地材3とからなる。
【0047】
この目地付きタイルユニット1Aにあっては、第3図(a)の縦方向に延在する3条の目地部に充填された目地材3のみに回込部3aが形成されており、図の横方向に延在する3条の目地部に充填された目地材3には、回込部3aは形成されていない。
【0048】
具体的には、第3図(a)の縦方向に延在する3条の目地部に充填された目地材3にあっては、各目地部3の左側のタイル裏面2aに回り込んだ回込部3a及び右側のタイル裏面2aに回り込んだ回込部3aが(第3図(b))、目地付きタイルユニット1の第3図(a)における上端から下端にわたって延在している。
【0049】
これに対し、第3図(a)の横方向に延在する3条の目地部に充填された目地材3には、第3図(c)に示す通り、回込部3aが形成されておらず、該目地材3の第3図(c)における下端はタイル裏面2aと面一になっている。なお、面一とは、目地材3の裏面の高さとタイル2の裏面2aの高さの差が2mm以下であることを意味する。
【0050】
第3図(a)に示す通り、目地付きタイルユニット1Aの左端の列の4個のタイル2にあっては、裏面2aの1辺(右辺)に回込部3aが形成されている。目地付きタイルユニット1Aの右端の列の4個のタイル2にあっては、裏面2aの1辺(左辺)に回込部3aが形成されている。目地付きタイルユニット1Aの中央側の2列(8個)のタイル2にあっては、裏面2aの2辺(右辺及び左辺)に回込部3aが形成されている。
【0051】
この目地付きタイルユニット1Aにあっても、各タイル2の裏面2aの1辺又は2辺に回込部3aが形成されているため、タイル2が剥離し難い。また、回込部3aが裏足の役割を果たすことになり、目地付きタイルユニット1を壁面に張り付けるときにずれが防止される。
【0052】
第4図(a)はさらに別の実施の形態に係る目地付きタイルユニット1Bの裏面図、第4図(b)は第4図(a)のB−B線に沿う断面図、第4図(c)は第4図(a)のC−C線に沿う断面図である。
【0053】
このタイルユニット1Bでは、43枚の小形のタイル4と、2枚の中形のタイル5と、1枚の大形のタイル6とを用いている。
【0054】
この目地付きタイルユニット1Bは、これらタイル4,5,6を目地間隔をあけて配列し、目地部に目地材7を充填してなるものである。
【0055】
この目地付きタイルユニット1Bにあっては、第4図(a)における左側の中形タイル5の裏面の3辺(上辺、右辺及び下辺)に沿う目地材7に、回込部7aが形成されている。また、第4図(a)における右側の中形タイル5の裏面の3辺(上辺、左辺及び下辺)に沿う目地材7にも、回込部7aが形成されている。さらに大形タイル6の裏面の2辺(上辺及び下辺)に沿う目地材7にも、回込部7aが形成されている。
【0056】
第4図(b)に示す通り、第4図(a)における左側の中形タイル5の裏面の上辺に沿う目地材7にあっては、その両側に回込部7aが形成されている。具体的には、該目地材7は、中形タイル5の裏面にまで回り込んでなる回込部7aを有すると共に、該中形タイル5の上辺と対向する小形タイル4の裏面にまで回り込んでなる回込部7aを有する。同様に、第4図(a)における左側の中形タイル5の裏面の右辺及び下辺に沿う目地材7にあっても、その両側に回込部7aが形成されている。
【0057】
同様に、第4図(a)における右側の中形タイル5の裏面の3辺(上辺、左辺及び下辺)に沿う目地材7にあっても、その両側に回込部7aが形成されている。大形タイル6の裏面の2辺(上辺及び下辺)に沿う目地材7にあっても、その両側に回込部7aが形成されている。
【0058】
このように、中形タイル5の3辺及び大形タイル6の2辺に回込部7aが形成されているため、中形タイル5及び大形タイル6が剥離し難い。また、回込部7aが裏足の役割を果たすことになり、目地付きタイルユニット1Bを壁面に張り付けるときにずれが防止される。
【0059】
なお、第4図では各中形タイル5の3辺及び大形タイル6の2辺に回込部7aが形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、中形タイル5の1辺、2辺又は4辺に回込部7aが形成されてもよく、大形タイル6の1辺、3辺又は4辺に回込部7aが形成されてもよい。小形タイル4の裏面に回込部7aが形成されてもよい。
【0060】
第5図(a)は異なる実施の形態に係るタイルユニット1Cの断面図、第5図(b)はこのタイルユニット1Cの壁面への張り付け工程を説明する断面図である。
【0061】
この目地付きタイルユニット1Cは、目地間隔をあけて配列された複数枚のタイル12と、目地部に充填された目地材11とからなる。
【0062】
各タイル12の裏面12aから4条の裏足13が突出している。各タイル12の第5図(a)における左右両端側の裏足13は、タイル裏面12aの左右両端よりも内側に離隔した位置から突出している。この裏足13は、第5図(a)における紙面表裏方向に延在している。
【0063】
この目地材11は、タイル12の側端面から該タイル12の裏面12aに回り込み、さらに裏足13の側端面にまで延在する回込部11aを有している。第5図では、この回込部11aの裏面は裏足13の裏面と面一となっている。
【0064】
この目地付きタイルユニット1Cを壁面に施工する際には、第5図(b)に示す通り、壁面14に接着剤15を塗布し、該接着剤15に裏足13を食い込ませるようにして目地付きタイルユニット1Cを張り付ける。
【0065】
このように、本実施の形態にあっては、目地材11が回込部11aを有しており、タイル12の側端面のみならず裏面12a及び裏足13の側端面にも目地材11が接着しているため、接着面積が大きくなり、タイル12が剥離し難い。また、該回込部11aが裏足13の裏面と面一となっており、該回込部11aが裏足13よりも突出していないため、裏足13を接着剤15に良好に食い込ませることができる(第5図(b))。これにより、目地付きタイルユニット1Cの施工時におけるずれが良好に防止される。
【0066】
本実施の形態では、回込部11aの裏面が裏足13の裏面と面一となっているが、裏足13の裏面よりも後退していてもよい。なお、回込部11aは裏足13の裏面から突出していてもよいが、回込部11aの裏面が裏足13の裏面と面一又は裏足13の裏面よりも後退していると、裏足13を接着剤15により良好に接着することができる。
【0067】
第5図ではタイル12の裏足13は4個であったが、第6図(a)のタイル12Aのように3個であってもよく、2個又は5個以上であってもよい。また、第5図及び第6図(a)の裏足は四角柱状であるが、これに限定されるものではなく、例えば、第6図(b)のタイル12Bのように裏足13Aが円柱状であってもよい。
【0068】
第7図の目地付きタイルユニット1Dは、目地間隔をあけて配列された複数枚のタイル22と、目地部に充填され、隣接するタイル22の側端面同士を連結する目地材21とを有する。この目地材21は、該タイル22の裏面に回り込むことなく該タイル22の裏面22aよりも突出してなる突出部21aを有している。
【0069】
この目地付きタイルユニット1Dにあっては、接着剤を塗布した壁面に施工するときに、突出部21aが接着剤に食い込み、該突出部21aが裏足の役割を果たすため、施工時におけるずれが防止される。
【0070】
第8図(a)は異なる実施の形態に係る目地付きタイルユニット1Eをその1辺と平行方向に切断した縦断面図であり、第8図(b)はその1辺と直交方向に切断した縦断面図である。
【0071】
この目地付きタイルユニット1Eは、目地間隔をあけて配列された複数枚のタイル32と、目地部に充填され、隣接するタイル32の側端面同士を連結する目地材31と、これらタイル32の裏面32a同士を連結するネット33とからなる。このネット33は、接着剤によってタイル裏面32aに接着されている。
【0072】
このネット33は、間隔をあけて平行に配列された縦糸条33aと、間隔をあけて且つ該縦糸条33aと直交方向に配列された横糸条33bとからなる。第8図(a)は、この縦糸条33aと直交方向に該目地付きタイルユニット1Eを切断した断面図であり、第8図(b)は、この縦糸条33aと平行方向に該目地付きタイルユニット1Eを切断した断面図である。
【0073】
第8図(a)に示す通り、各タイル32の裏面32aに2本の縦糸条33aが配置されている。このうち、左側の縦糸条33aは、タイル裏面32の左辺よりもタイル内側に間隔をおいた位置に配置されており、右側の縦糸条33aは、タイル裏面32の右辺よりもタイル内側に間隔をおいた位置に配置されている。この目地材31は、タイル32の側端面から裏面32aに回り込み、さらに縦糸条33aの側端面にまで延在する回込部31aを有している。
【0074】
第8図(b)に示す通り、各タイル32の裏面32aに2本の横糸条33bが配置されている。このうち、左側の横糸条33bは、タイル裏面32の左辺よりもタイル内側に間隔をおいた位置に配置されており、右側の横糸条33bは、タイル裏面32の右辺よりもタイル内側に間隔をおいた位置に配置されている。この目地材31は、タイル32の側端面から裏面32aに回り込み、さらに横糸条33bの側端面にまで延在する回込部31aを有している。
【0075】
第8図では、この回込部31aの裏面はネット33の裏面と面一となっているが、ネット33の裏面よりも後退していてもよい。
【0076】
この目地付きタイルユニット1Eによると、タイル32同士が、目地材31及びネット33によって強固に固定される。また、回込部31aがタイル32の裏面32aまで回り込んでいるため、目地材31とタイル32との接着面積が大きくなり、タイルが32目地材31によって強固に接着される。さらに、この回込部31aは、タイル32の裏面32aから縦糸条33a及び横糸条33bの側端面にまで回り込んでいるため、目地材31とネット33とも強固に接着される。
【0077】
第9図は第1図〜第2図の目地付きタイルユニット1の製造方法の一例を説明する模式的な断面図である。
【0078】
第9図(a)に示す通り、シート40の表面に、目地付きタイルユニット1の目地部の幅よりも幅の大きい溝41が凹設されている。該シート40の表面のうち該溝41が設けられていない部分が凸部42となっている。これら溝41の底面は同一高さとなっている。また、これら凸部42の表面も同一高さとなっている。
【0079】
第9図(b)に示す通り、該シート40の上面にタイル2を間隔をおいて配列した後、該目地部及び溝41に目地材3を充填する。
【0080】
目地材3が硬化した後、該目地材3を溝41から取り外すことにより、目地付きタイルユニット1が製造される。
【0081】
このシート40は、軟質シートであることが好ましい。これにより、溝41から硬化した目地材3を取り外す際に、軟質シートを弾性変形させて該目地材3を溝41から取り外すことができ、軟質シートを繰り返し使用することができる。軟質シートの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ナイロン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が好適に用いられる。
【0082】
第9図の方法によると、タイル2の厚さが異なる場合、製造された目地付きタイルユニット1にあっては、各タイル2の表面の高さが異なるものになる。これに対し、次の第10図の製造方法によると、各タイルの表面が面一である目地付きタイルユニットを製造することができる。
【0083】
第10図は目地付きタイルユニット1Fの製造方法を説明する模式的な断面図である。
【0084】
第10図(a)の通り、この製造方法においても、第9図と同様のシート40を用いる。但し、このシート40は軟質シートよりなる。
【0085】
第10図(b)の通り、このシート40の上面に、厚さの異なるタイル2A〜2Dを間隔をおいて配列した後、目地部及び溝41に目地材3を充填する。
【0086】
次いで、第10図(c)の通り、これらタイル2A〜2Dの上面を当て板43で押圧し、該シート40の凸部42の高さを変形させて、各タイル2A〜2Dの表面を面一にする。この状態で、該目地材3が硬化するまで保持する。
【0087】
次いで、硬化した目地材3を溝41から取り外すことにより、目地付きタイルユニット1Fが製造される。
【0088】
この目地付きタイルユニット1Fによると、各タイル2A〜2Dの表面が面一になる。なお、各回込部3aの裏面も面一となるため、該目地付きタイルユニット1Fを接着剤で壁面に張り付けるときに、不陸が防止される。
【0089】
第11図(a)は、上記目地付きタイルユニット1Cの製造方法の一例を説明する模式的な断面図である。
【0090】
先ず、表面が平坦となっているシート40Aの表面に、タイル12を間隔をあけて配列する。次いで、目地部に目地材11を充填する。このとき、タイル12が裏足13(第5図)を有しているため、目地材11が目地部からタイル12の裏面に回り込み易い。目地材11が硬化した後、該目地材11及びタイル12をシート40Aから取り外すことにより、目地付きタイルユニット1Cが製造される。
【0091】
第11図(b)は、上記目地付きタイルユニット1Dの製造方法の一例を説明する模式的な断面図である。
【0092】
シート40Bの表面に、目地付きタイルユニット1Dの目地幅と同一幅の溝41aが設けられている。このシート40Bの表面に、タイル22を間隔をあけて配列する。次いで、目地部及び溝41aに目地材21を充填する。目地材21が硬化した後、該目地材21及びタイル22をシート40Bから取り外すことにより、目地付きタイルユニット1Dが製造される。
【0093】
第11図(c)は、上記目地付きタイルユニット1Eの製造方法の一例を説明する模式的な断面図である。
【0094】
先ず、ネット33上にタイル32を間隔をあけて接着したものを、表面が平坦となっているシート40Aの表面に載置する。次いで、目地部に目地材31を充填する。充填された目地材31は、タイル32の裏面及びネット33の側端面まで回り込む。このとき、ネット33がスペーサとなり、タイル32の裏面とシート40Aの表面との間に隙間があいているため、目地材31が目地部からタイル12の裏面に回り込み易い。目地材31が硬化した後、得られた目地付きタイルユニット1Eをシート40Aから取り外す。
【0095】
上記の実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、第8図のタイルユニット1Eのネット33は、タイル32の一辺と平行である縦糸条33aと、該一辺と直交する横糸条33bとからなる直交クロス形状であったが、ネットの形状はこれに限定されるものではない。例えば、タイルの一辺に対して斜め方向に延在する第1の糸条と、該第1の糸条と直交する第2の糸条とからなるネット形状であってもよい。また、ネットの網目は上記のように正方形ないし長方形に限定されるものではなく、菱形等の四角形であってもよく、六角形等の四角形以外の多角形であってもよい。さらに、縦糸条と、該縦糸条に対して時計回りに斜交(例えば60°斜交)する糸条及び反時計回りに斜交(例えば60°斜交)する糸条とからなる、いわゆる3軸型のネットや、さらに該縦糸条に直交する横糸条を加えた4軸型ネットなどであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】実施の形態に係る目地付きタイルユニット1の平面図である。
【図2】第2図(a)は第1図の目地付きタイルユニット1の裏面図、第2図(b)は第2図(a)のB−B線に沿う断面図、第2図(c)は第2図(a)のC−C線に沿う断面図である。
【図3】第3図(a)は目地付きタイルユニット1Aの裏面図、第3図(b)は第3図(a)のB−B線に沿う断面図、第3図(c)は第3図(a)のC−C線に沿う断面図である。
【図4】第4図(a)は目地付きタイルユニット1Bの裏面図、第4図(b)は第4図(a)のB−B線に沿う断面図、第4図(c)は第4図(a)のC−C線に沿う断面図である。
【図5】第5図(a)はタイルユニット1Cの断面図、第5図(b)はこのタイルユニット1Cの壁面への張り付け工程を説明する断面図である。
【図6】第6図(a)はタイル12Aの裏面図、第6図(b)はタイル12Bの裏面図である。
【図7】目地付きタイルユニット1Dの断面図である。
【図8】第8図(a)は目地付きタイルユニット1Eの縦断面図、第8図(b)は第8図(a)と直交方向の縦断面図である。
【図9】目地付きタイルユニット1の製造方法の一例を説明する模式的な断面図である。
【図10】目地付きタイルユニット1Fの製造方法の一例を説明する模式的な断面図である。
【図11】目地付きタイルユニット1C〜1Eの製造方法の一例を説明する模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0097】
1、1A〜1F 目地付きタイルユニット
2、4、5、6、12、12A、12B、12、22、32、2A〜2D タイル
3、7、11、21、31 目地材
3a、7a、11a、31a 回込部
21a 突出部
33 ネット
33a 縦糸条
33B 横糸条
40、40A、40B シート
41 溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、目地間隔をあけて配列された複数枚のタイルと、目地部に充填され、隣接するタイルの側端面同士を連結する目地材とを有する目地付きタイルユニット及び目地付きタイルユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
目地間隔をあけて配列された複数枚のタイルと、目地部に充填され、隣接するタイルの側端面同士を連結する目地材とを有する目地付きタイルユニットは公知である。
【0003】
例えば、特開平8−333869号には、粘着テープをタイルの裏面に配してタイルを一定間隔に配列連結し、これを型枠に配列した後、液状シリコーンゴム組成物を該粘着テープ上かつタイル間に流し、硬化して目地部を形成し、目地付きタイルユニットとすることが記載されている。
【特許文献1】特開平8−333869号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特開平8−333869号の目地付きタイルユニットは、隣接するタイルの側端面同士のみが目地材で連結されているため、連結力が弱い。そのため、目地付きタイルユニットが大型になると、該タイルユニットの重さに目地材が耐え切れなくなり、タイルが剥離するおそれがある。
【0005】
また、この目地付きタイルユニットは、タイルの裏面と目地材の裏面が平坦面となっており、該タイルユニットの裏面に凹凸が無い。そのため、接着剤を塗布した壁面に該タイルユニットを接着するときに、ずれが生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、タイルが剥離し難い目地付きタイルユニット及び目地付きタイルユニットの製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、壁面に接着してもずれが生じ難い目地付きタイルユニット及び目地付きタイルユニットの製造方法を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(請求項1)の目地付きタイルユニットは、目地間隔をあけて配列された複数枚のタイルと、目地部に充填され、隣接するタイルの側端面同士を連結する目地材とを有する目地付きタイルユニットにおいて、該目地材が該タイルの側端面から該タイルの裏面にまで回り込んでなる回込部が、該タイルの裏面周縁の少なくとも一部に形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の目地付きタイルユニットは、請求項1において、該タイルの裏面に裏足が突設されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の目地付きタイルユニットは、請求項2において、該回込部の該タイル裏面からの突出高さが、該裏足の該タイル裏面からの突出高さ以下であることを特徴とする。
【0010】
請求項4の目地付きタイルユニットは、請求項1ないし3のいずれか1項において、該回込部が、該タイルの裏面の一辺以上にわたって延在していることを特徴とする。
【0011】
本発明(請求項5)の目地付きタイルユニットは、目地間隔をあけて配列された複数枚のタイルと、目地部に充填され、隣接するタイルの側端面同士を連結する目地材とを有する目地付きタイルユニットにおいて、該目地材が該タイルの裏面に回り込むことなく該タイルの裏面よりも突出してなる突出部が、該目地部の少なくとも一部に形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6の目地付きタイルユニットは、請求項5において、該突出部が、該タイルの裏面の一辺以上にわたって延在していることを特徴とする。
【0013】
請求項7の目地付きタイルユニットは、請求項1ないし6のいずれか1項において、該タイルの裏面に該タイル同士を連結するネットが設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項8の目地付きタイルユニットは、請求項1ないし7のいずれか1項において、該目地付きタイルユニットの裏面が面一状となっていることを特徴とする。
【0015】
本発明(請求項9)の目地付きタイルユニットの製造方法は、請求項1の目地付きタイルユニットを製造する方法であって、該タイルユニットの目地部の幅よりも幅の大きい溝が表面に凹設されているシートの表面に、タイルを間隔をおいて配列し、該目地部及び該溝に目地材を充填して、該目地材を該タイルの側端面から該タイルの裏面にまで回り込ませ、該目地材が硬化した後に、該目地材を該溝から取り外すことを特徴とするものである。
【0016】
本発明(請求項10)の目地付きタイルユニットの製造方法は、請求項5の目地付きタイルユニットを製造する方法であって、該タイルユニットの目地部の幅と同一幅の溝が表面に凹設されているシートの表面に、タイルを間隔をおいて配列し、該目地部及び該溝に目地材を充填し、該目地材が硬化した後に、該目地材を該溝から取り外すことを特徴とするものである。
【0017】
本発明(請求項11)の目地付きタイルユニットの製造方法は、請求項3の目地付きタイルユニットを製造する方法であって、平坦なシートの表面に、該タイルを該裏足が該シートに接するようにして間隔をおいて配列し、目地材を該目地部から該タイルの裏面に回り込むようにして充填し、該目地材が硬化した後に、該タイル及び該目地材を該シートから取り外すことを特徴とするものである。
【0018】
請求項12の目地付きタイルユニットの製造方法は、請求項7の目地付きタイルユニットを製造する方法であって、ネット上にタイルを間隔をあけて接着したものを、表面が平坦となっているシートの表面に、該ネットが該シートと接するようにして載置し、目地材を、該目地部から該タイルの裏面及び該ネットの側端面に回り込むようにして充填し、該目地材が硬化した後に、該タイル、該ネット及び該目地材を該シートから取り外すことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明(請求項1)の目地付きタイルユニットにあっては、目地材がタイルの側端面から該タイルの裏面にまで回り込んでなる回込部が、該タイルの裏面周縁の少なくとも一部に形成されている。そのため、目地材とタイルとの接触面積が大きくなり、タイルが剥離し難いものとなる。
【0020】
なお、請求項1の目地付きタイルユニットは、該タイルユニットの目地部の幅よりも幅の大きい溝が表面に凹設されているシートの表面に、タイルを間隔をおいて配列し、該目地部及び該溝に目地材を充填して、該目地材を該タイルの側端面から該タイルの裏面にまで回り込ませ、該目地材が硬化した後に、該目地材を該溝から取り外すことにより、容易に製造することができる(請求項9)。
【0021】
請求項2の通り、タイルの裏面に裏足が突設されていると、該目地付きタイルユニットを接着剤を介して壁面に張り付ける際に、該裏足が該接着剤に食い込み、該目地付きタイルユニットのずれが防止される。
【0022】
請求項3の通り、回込部のタイル裏面からの突出高さが、裏足の該タイル裏面からの突出高さ以下であると、該目地付きタイルユニットを接着剤を介して壁面に張り付ける際に、該裏足が該接着剤により良好に食い込む。また、タイルユニットの厚みを裏足で調製することができる。即ち、このタイルユニットの厚みは、タイルユニットの表面から裏足の先端までの長さとなり、タイル裏面からはみ出した目地材の影響を受けない。
【0023】
なお、請求項3の目地付きタイルユニットは、平坦なシートの表面に、該タイルを該裏足が該シートに接するようにして間隔をおいて配列し、目地材を該目地部から該タイルの裏面に回り込むようにして充填し、該目地材が硬化した後に、該タイル及び該目地材を該シートから取り外すことにより、容易に製造することができる(請求項11)。
【0024】
請求項4の通り、回込部がタイルの裏面の一辺以上にわたって延在していると、目地材とタイルとの接触面積が大きくなり、タイルがより剥離し難いものとなる。
【0025】
本発明(請求項5)の目地付きタイルユニットにあっては、目地材が該タイルの裏面に回り込むことなく該タイルの裏面よりも突出してなる突出部が、該目地部の少なくとも一部に形成されている。この突出部が裏足の役割を果たすため、該目地付きタイルユニットを接着剤を塗布した壁面に張り付ける際に、該突出部が該接着剤に食い込み、該目地付きタイルユニットのずれが防止される。
【0026】
なお、請求項5の目地付きタイルユニットは、該タイルユニットの目地部の幅と同一幅の溝が表面に凹設されているシートの表面に、タイルを間隔をおいて配列し、該目地部及び該溝に目地材を充填し、該目地材が硬化した後に、該目地材を該溝から取り外すことにより、容易に製造することができる(請求項10)。
【0027】
請求項6の通り、該突出部が該タイルの裏面の一辺以上にわたって延在していると、目地付きタイルユニットがよりずれ難いものとなる。
【0028】
請求項7の通り、タイルの裏面にタイル同士を連結するネットが設けられていると、該タイルがより剥離し難いものとなる。
【0029】
なお、請求項7の目地付きタイルユニットは、ネット上にタイルを間隔をあけて接着したものを、表面が平坦となっているシートの表面に、該ネットが該シートと接するようにして載置し、目地材を、該目地部から該タイルの裏面及び該ネットの側端面に回り込むようにして充填し、該目地材が硬化した後に、該タイル、該ネット及び該目地材を該シートから取り外すことにより、容易に製造することができる(請求項12)。
【0030】
請求項8の通り、該目地付きタイルユニットの裏面が面一状となっていると、該目地付きタイルユニットを接着剤を介して壁面に張り付ける際に、不陸が防止され、各タイルの裏側を該接着剤に良好に接着させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0032】
第1図は実施の形態に係る目地付きタイルユニット1の平面図、第2図(a)は第1図の目地付きタイルユニットの裏面図、第2図(b)は第2図(a)のB−B線に沿う断面図、第2図(c)は第2図(a)のC−C線に沿う断面図である。
【0033】
この目地付きタイルユニット1は、目地間隔をあけて配列された複数枚(本実施の形態では縦4列、横4列の合計16枚)のタイル2と、目地部に充填された目地材3とからなる。この目地材3は、タイル2の側端面から該タイル2の裏面2aにまで回り込んでなる回込部3aを有している。
【0034】
具体的には、第2図(a)に示す通り、図の縦方向に延在する3条の目地部に目地材3が充填されている。各目地部に充填された目地材3は、該目地部の左側のタイル2の裏面2aにまで回り込んでなる回込部3aを有すると共に、該目地部の右側のタイル裏面2aにまで回り込んでなる回込部3aを有する。各回込部3aは、目地付きタイルユニット1の第2図(a)における上端から下端にわたって延在している。
【0035】
また、第2図(a)に示す通り、図の横方向に延在する3条の目地部に目地材3が充填されている。各目地部に充填された目地材3は、該目地部の上側のタイル2の裏面2aにまで回り込んでなる回込部3aを有すると共に、該目地部の下側のタイル裏面2aにまで回り込んでなる回込部3aを有する。各回込部3aは、目地付きタイルユニット1の第2図(a)における左端から右端にわたって延在している。
【0036】
第2図(a)に示す通り、目地付きタイルユニット1の4隅のタイル2にあっては、裏面2aの隣接する2辺に回込部3aが形成されている。目地付きタイルユニット1の周縁部に配置されている残りの8個のタイル2にあっては、裏面2aの3辺に回込部3aが形成されている。目地付きタイルユニット1の中央に配置されている4個のタイル2にあっては、裏面2aの4辺に回込部3aが形成されている。
【0037】
このように、各タイル2の裏面2aの2〜4辺に回込部3aが形成されており、タイル2の側端面のみならず裏面2aにも目地材3が接着しているため、接着面積が大きくなり、タイル2が剥離し難い。また、第2図(b)及び(c)の通り、該回込部3aがタイル裏面2aから突出しているため、該目地付きタイルユニット1を壁面に接着剤等を介して張り付けるときに該回込部3aが裏足の役割を果たすことになり、目地付きタイルユニット1のずれが防止される。
【0038】
このタイル2は、陶磁器製、石材製、ガラス製などのセラミックス製のものが好適に用いられる。
【0039】
このタイル2の1辺の長さは5〜600mm特に10〜25mmであることが好ましい。このタイル2の厚さは1〜15mm特に4〜6mmであることが好ましい。
【0040】
目地間隔は1〜10mm特に1〜3mmであることが好ましい。
【0041】
この目地付きタイルユニット1の1辺の長さは10〜2000mm特に300〜1500mmであることが好ましい。
【0042】
この回込部3aの回り込み距離d、即ち、回込部3aのうち最も裏面2aの内側に回り込んだ部分の裏面2a周縁からの距離は、0.1〜20mm特に0.1〜5mmであることが好ましい。この回り込み距離dは、タイル2の1辺の長さの0.03〜50%特に0.4〜20%であることが好ましい。
【0043】
この回込部3aのタイル裏面2aからの突出高さhは、0.1〜5mm特に0.1〜3.5mmであることが好ましい。この突出高さhは、タイル2の厚さの0.5〜100%特に0.5〜88%であることが好ましい。
【0044】
この目地材3の材料は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、変成シリコーン樹脂、シリコーン樹脂、ホットメルト等が好適である。
【0045】
第3図(a)は別の実施の形態に係る目地付きタイルユニット1Aの裏面図、第3図(b)は第3図(a)のB−B線に沿う断面図、第3図(c)は第3図(a)のC−C線に沿う断面図である。
【0046】
この目地付きタイルユニット1Aは、目地間隔をあけて配列された複数枚(本実施の形態では縦4列、横4列の合計16枚)のタイル2と、目地部に充填された目地材3とからなる。
【0047】
この目地付きタイルユニット1Aにあっては、第3図(a)の縦方向に延在する3条の目地部に充填された目地材3のみに回込部3aが形成されており、図の横方向に延在する3条の目地部に充填された目地材3には、回込部3aは形成されていない。
【0048】
具体的には、第3図(a)の縦方向に延在する3条の目地部に充填された目地材3にあっては、各目地部3の左側のタイル裏面2aに回り込んだ回込部3a及び右側のタイル裏面2aに回り込んだ回込部3aが(第3図(b))、目地付きタイルユニット1の第3図(a)における上端から下端にわたって延在している。
【0049】
これに対し、第3図(a)の横方向に延在する3条の目地部に充填された目地材3には、第3図(c)に示す通り、回込部3aが形成されておらず、該目地材3の第3図(c)における下端はタイル裏面2aと面一になっている。なお、面一とは、目地材3の裏面の高さとタイル2の裏面2aの高さの差が2mm以下であることを意味する。
【0050】
第3図(a)に示す通り、目地付きタイルユニット1Aの左端の列の4個のタイル2にあっては、裏面2aの1辺(右辺)に回込部3aが形成されている。目地付きタイルユニット1Aの右端の列の4個のタイル2にあっては、裏面2aの1辺(左辺)に回込部3aが形成されている。目地付きタイルユニット1Aの中央側の2列(8個)のタイル2にあっては、裏面2aの2辺(右辺及び左辺)に回込部3aが形成されている。
【0051】
この目地付きタイルユニット1Aにあっても、各タイル2の裏面2aの1辺又は2辺に回込部3aが形成されているため、タイル2が剥離し難い。また、回込部3aが裏足の役割を果たすことになり、目地付きタイルユニット1を壁面に張り付けるときにずれが防止される。
【0052】
第4図(a)はさらに別の実施の形態に係る目地付きタイルユニット1Bの裏面図、第4図(b)は第4図(a)のB−B線に沿う断面図、第4図(c)は第4図(a)のC−C線に沿う断面図である。
【0053】
このタイルユニット1Bでは、43枚の小形のタイル4と、2枚の中形のタイル5と、1枚の大形のタイル6とを用いている。
【0054】
この目地付きタイルユニット1Bは、これらタイル4,5,6を目地間隔をあけて配列し、目地部に目地材7を充填してなるものである。
【0055】
この目地付きタイルユニット1Bにあっては、第4図(a)における左側の中形タイル5の裏面の3辺(上辺、右辺及び下辺)に沿う目地材7に、回込部7aが形成されている。また、第4図(a)における右側の中形タイル5の裏面の3辺(上辺、左辺及び下辺)に沿う目地材7にも、回込部7aが形成されている。さらに大形タイル6の裏面の2辺(上辺及び下辺)に沿う目地材7にも、回込部7aが形成されている。
【0056】
第4図(b)に示す通り、第4図(a)における左側の中形タイル5の裏面の上辺に沿う目地材7にあっては、その両側に回込部7aが形成されている。具体的には、該目地材7は、中形タイル5の裏面にまで回り込んでなる回込部7aを有すると共に、該中形タイル5の上辺と対向する小形タイル4の裏面にまで回り込んでなる回込部7aを有する。同様に、第4図(a)における左側の中形タイル5の裏面の右辺及び下辺に沿う目地材7にあっても、その両側に回込部7aが形成されている。
【0057】
同様に、第4図(a)における右側の中形タイル5の裏面の3辺(上辺、左辺及び下辺)に沿う目地材7にあっても、その両側に回込部7aが形成されている。大形タイル6の裏面の2辺(上辺及び下辺)に沿う目地材7にあっても、その両側に回込部7aが形成されている。
【0058】
このように、中形タイル5の3辺及び大形タイル6の2辺に回込部7aが形成されているため、中形タイル5及び大形タイル6が剥離し難い。また、回込部7aが裏足の役割を果たすことになり、目地付きタイルユニット1Bを壁面に張り付けるときにずれが防止される。
【0059】
なお、第4図では各中形タイル5の3辺及び大形タイル6の2辺に回込部7aが形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、中形タイル5の1辺、2辺又は4辺に回込部7aが形成されてもよく、大形タイル6の1辺、3辺又は4辺に回込部7aが形成されてもよい。小形タイル4の裏面に回込部7aが形成されてもよい。
【0060】
第5図(a)は異なる実施の形態に係るタイルユニット1Cの断面図、第5図(b)はこのタイルユニット1Cの壁面への張り付け工程を説明する断面図である。
【0061】
この目地付きタイルユニット1Cは、目地間隔をあけて配列された複数枚のタイル12と、目地部に充填された目地材11とからなる。
【0062】
各タイル12の裏面12aから4条の裏足13が突出している。各タイル12の第5図(a)における左右両端側の裏足13は、タイル裏面12aの左右両端よりも内側に離隔した位置から突出している。この裏足13は、第5図(a)における紙面表裏方向に延在している。
【0063】
この目地材11は、タイル12の側端面から該タイル12の裏面12aに回り込み、さらに裏足13の側端面にまで延在する回込部11aを有している。第5図では、この回込部11aの裏面は裏足13の裏面と面一となっている。
【0064】
この目地付きタイルユニット1Cを壁面に施工する際には、第5図(b)に示す通り、壁面14に接着剤15を塗布し、該接着剤15に裏足13を食い込ませるようにして目地付きタイルユニット1Cを張り付ける。
【0065】
このように、本実施の形態にあっては、目地材11が回込部11aを有しており、タイル12の側端面のみならず裏面12a及び裏足13の側端面にも目地材11が接着しているため、接着面積が大きくなり、タイル12が剥離し難い。また、該回込部11aが裏足13の裏面と面一となっており、該回込部11aが裏足13よりも突出していないため、裏足13を接着剤15に良好に食い込ませることができる(第5図(b))。これにより、目地付きタイルユニット1Cの施工時におけるずれが良好に防止される。
【0066】
本実施の形態では、回込部11aの裏面が裏足13の裏面と面一となっているが、裏足13の裏面よりも後退していてもよい。なお、回込部11aは裏足13の裏面から突出していてもよいが、回込部11aの裏面が裏足13の裏面と面一又は裏足13の裏面よりも後退していると、裏足13を接着剤15により良好に接着することができる。
【0067】
第5図ではタイル12の裏足13は4個であったが、第6図(a)のタイル12Aのように3個であってもよく、2個又は5個以上であってもよい。また、第5図及び第6図(a)の裏足は四角柱状であるが、これに限定されるものではなく、例えば、第6図(b)のタイル12Bのように裏足13Aが円柱状であってもよい。
【0068】
第7図の目地付きタイルユニット1Dは、目地間隔をあけて配列された複数枚のタイル22と、目地部に充填され、隣接するタイル22の側端面同士を連結する目地材21とを有する。この目地材21は、該タイル22の裏面に回り込むことなく該タイル22の裏面22aよりも突出してなる突出部21aを有している。
【0069】
この目地付きタイルユニット1Dにあっては、接着剤を塗布した壁面に施工するときに、突出部21aが接着剤に食い込み、該突出部21aが裏足の役割を果たすため、施工時におけるずれが防止される。
【0070】
第8図(a)は異なる実施の形態に係る目地付きタイルユニット1Eをその1辺と平行方向に切断した縦断面図であり、第8図(b)はその1辺と直交方向に切断した縦断面図である。
【0071】
この目地付きタイルユニット1Eは、目地間隔をあけて配列された複数枚のタイル32と、目地部に充填され、隣接するタイル32の側端面同士を連結する目地材31と、これらタイル32の裏面32a同士を連結するネット33とからなる。このネット33は、接着剤によってタイル裏面32aに接着されている。
【0072】
このネット33は、間隔をあけて平行に配列された縦糸条33aと、間隔をあけて且つ該縦糸条33aと直交方向に配列された横糸条33bとからなる。第8図(a)は、この縦糸条33aと直交方向に該目地付きタイルユニット1Eを切断した断面図であり、第8図(b)は、この縦糸条33aと平行方向に該目地付きタイルユニット1Eを切断した断面図である。
【0073】
第8図(a)に示す通り、各タイル32の裏面32aに2本の縦糸条33aが配置されている。このうち、左側の縦糸条33aは、タイル裏面32の左辺よりもタイル内側に間隔をおいた位置に配置されており、右側の縦糸条33aは、タイル裏面32の右辺よりもタイル内側に間隔をおいた位置に配置されている。この目地材31は、タイル32の側端面から裏面32aに回り込み、さらに縦糸条33aの側端面にまで延在する回込部31aを有している。
【0074】
第8図(b)に示す通り、各タイル32の裏面32aに2本の横糸条33bが配置されている。このうち、左側の横糸条33bは、タイル裏面32の左辺よりもタイル内側に間隔をおいた位置に配置されており、右側の横糸条33bは、タイル裏面32の右辺よりもタイル内側に間隔をおいた位置に配置されている。この目地材31は、タイル32の側端面から裏面32aに回り込み、さらに横糸条33bの側端面にまで延在する回込部31aを有している。
【0075】
第8図では、この回込部31aの裏面はネット33の裏面と面一となっているが、ネット33の裏面よりも後退していてもよい。
【0076】
この目地付きタイルユニット1Eによると、タイル32同士が、目地材31及びネット33によって強固に固定される。また、回込部31aがタイル32の裏面32aまで回り込んでいるため、目地材31とタイル32との接着面積が大きくなり、タイルが32目地材31によって強固に接着される。さらに、この回込部31aは、タイル32の裏面32aから縦糸条33a及び横糸条33bの側端面にまで回り込んでいるため、目地材31とネット33とも強固に接着される。
【0077】
第9図は第1図〜第2図の目地付きタイルユニット1の製造方法の一例を説明する模式的な断面図である。
【0078】
第9図(a)に示す通り、シート40の表面に、目地付きタイルユニット1の目地部の幅よりも幅の大きい溝41が凹設されている。該シート40の表面のうち該溝41が設けられていない部分が凸部42となっている。これら溝41の底面は同一高さとなっている。また、これら凸部42の表面も同一高さとなっている。
【0079】
第9図(b)に示す通り、該シート40の上面にタイル2を間隔をおいて配列した後、該目地部及び溝41に目地材3を充填する。
【0080】
目地材3が硬化した後、該目地材3を溝41から取り外すことにより、目地付きタイルユニット1が製造される。
【0081】
このシート40は、軟質シートであることが好ましい。これにより、溝41から硬化した目地材3を取り外す際に、軟質シートを弾性変形させて該目地材3を溝41から取り外すことができ、軟質シートを繰り返し使用することができる。軟質シートの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ナイロン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が好適に用いられる。
【0082】
第9図の方法によると、タイル2の厚さが異なる場合、製造された目地付きタイルユニット1にあっては、各タイル2の表面の高さが異なるものになる。これに対し、次の第10図の製造方法によると、各タイルの表面が面一である目地付きタイルユニットを製造することができる。
【0083】
第10図は目地付きタイルユニット1Fの製造方法を説明する模式的な断面図である。
【0084】
第10図(a)の通り、この製造方法においても、第9図と同様のシート40を用いる。但し、このシート40は軟質シートよりなる。
【0085】
第10図(b)の通り、このシート40の上面に、厚さの異なるタイル2A〜2Dを間隔をおいて配列した後、目地部及び溝41に目地材3を充填する。
【0086】
次いで、第10図(c)の通り、これらタイル2A〜2Dの上面を当て板43で押圧し、該シート40の凸部42の高さを変形させて、各タイル2A〜2Dの表面を面一にする。この状態で、該目地材3が硬化するまで保持する。
【0087】
次いで、硬化した目地材3を溝41から取り外すことにより、目地付きタイルユニット1Fが製造される。
【0088】
この目地付きタイルユニット1Fによると、各タイル2A〜2Dの表面が面一になる。なお、各回込部3aの裏面も面一となるため、該目地付きタイルユニット1Fを接着剤で壁面に張り付けるときに、不陸が防止される。
【0089】
第11図(a)は、上記目地付きタイルユニット1Cの製造方法の一例を説明する模式的な断面図である。
【0090】
先ず、表面が平坦となっているシート40Aの表面に、タイル12を間隔をあけて配列する。次いで、目地部に目地材11を充填する。このとき、タイル12が裏足13(第5図)を有しているため、目地材11が目地部からタイル12の裏面に回り込み易い。目地材11が硬化した後、該目地材11及びタイル12をシート40Aから取り外すことにより、目地付きタイルユニット1Cが製造される。
【0091】
第11図(b)は、上記目地付きタイルユニット1Dの製造方法の一例を説明する模式的な断面図である。
【0092】
シート40Bの表面に、目地付きタイルユニット1Dの目地幅と同一幅の溝41aが設けられている。このシート40Bの表面に、タイル22を間隔をあけて配列する。次いで、目地部及び溝41aに目地材21を充填する。目地材21が硬化した後、該目地材21及びタイル22をシート40Bから取り外すことにより、目地付きタイルユニット1Dが製造される。
【0093】
第11図(c)は、上記目地付きタイルユニット1Eの製造方法の一例を説明する模式的な断面図である。
【0094】
先ず、ネット33上にタイル32を間隔をあけて接着したものを、表面が平坦となっているシート40Aの表面に載置する。次いで、目地部に目地材31を充填する。充填された目地材31は、タイル32の裏面及びネット33の側端面まで回り込む。このとき、ネット33がスペーサとなり、タイル32の裏面とシート40Aの表面との間に隙間があいているため、目地材31が目地部からタイル12の裏面に回り込み易い。目地材31が硬化した後、得られた目地付きタイルユニット1Eをシート40Aから取り外す。
【0095】
上記の実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、第8図のタイルユニット1Eのネット33は、タイル32の一辺と平行である縦糸条33aと、該一辺と直交する横糸条33bとからなる直交クロス形状であったが、ネットの形状はこれに限定されるものではない。例えば、タイルの一辺に対して斜め方向に延在する第1の糸条と、該第1の糸条と直交する第2の糸条とからなるネット形状であってもよい。また、ネットの網目は上記のように正方形ないし長方形に限定されるものではなく、菱形等の四角形であってもよく、六角形等の四角形以外の多角形であってもよい。さらに、縦糸条と、該縦糸条に対して時計回りに斜交(例えば60°斜交)する糸条及び反時計回りに斜交(例えば60°斜交)する糸条とからなる、いわゆる3軸型のネットや、さらに該縦糸条に直交する横糸条を加えた4軸型ネットなどであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】実施の形態に係る目地付きタイルユニット1の平面図である。
【図2】第2図(a)は第1図の目地付きタイルユニット1の裏面図、第2図(b)は第2図(a)のB−B線に沿う断面図、第2図(c)は第2図(a)のC−C線に沿う断面図である。
【図3】第3図(a)は目地付きタイルユニット1Aの裏面図、第3図(b)は第3図(a)のB−B線に沿う断面図、第3図(c)は第3図(a)のC−C線に沿う断面図である。
【図4】第4図(a)は目地付きタイルユニット1Bの裏面図、第4図(b)は第4図(a)のB−B線に沿う断面図、第4図(c)は第4図(a)のC−C線に沿う断面図である。
【図5】第5図(a)はタイルユニット1Cの断面図、第5図(b)はこのタイルユニット1Cの壁面への張り付け工程を説明する断面図である。
【図6】第6図(a)はタイル12Aの裏面図、第6図(b)はタイル12Bの裏面図である。
【図7】目地付きタイルユニット1Dの断面図である。
【図8】第8図(a)は目地付きタイルユニット1Eの縦断面図、第8図(b)は第8図(a)と直交方向の縦断面図である。
【図9】目地付きタイルユニット1の製造方法の一例を説明する模式的な断面図である。
【図10】目地付きタイルユニット1Fの製造方法の一例を説明する模式的な断面図である。
【図11】目地付きタイルユニット1C〜1Eの製造方法の一例を説明する模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0097】
1、1A〜1F 目地付きタイルユニット
2、4、5、6、12、12A、12B、12、22、32、2A〜2D タイル
3、7、11、21、31 目地材
3a、7a、11a、31a 回込部
21a 突出部
33 ネット
33a 縦糸条
33B 横糸条
40、40A、40B シート
41 溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地間隔をあけて配列された複数枚のタイルと、目地部に充填され、隣接するタイルの側端面同士を連結する目地材とを有する目地付きタイルユニットにおいて、
該目地材が該タイルの側端面から該タイルの裏面にまで回り込んでなる回込部が、該タイルの裏面周縁の少なくとも一部に形成されていることを特徴とする目地付きタイルユニット。
【請求項2】
請求項1において、該タイルの裏面に裏足が突設されていることを特徴とする目地付きタイルユニット。
【請求項3】
請求項2において、該回込部の該タイル裏面からの突出高さが、該裏足の該タイル裏面からの突出高さ以下であることを特徴とする目地付きタイルユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、該回込部が、該タイルの裏面の一辺以上にわたって延在していることを特徴とする目地付きタイルユニット。
【請求項5】
目地間隔をあけて配列された複数枚のタイルと、目地部に充填され、隣接するタイルの側端面同士を連結する目地材とを有する目地付きタイルユニットにおいて、
該目地材が該タイルの裏面に回り込むことなく該タイルの裏面よりも突出してなる突出部が、該目地部の少なくとも一部に形成されていることを特徴とする目地付きタイルユニット。
【請求項6】
請求項5において、該突出部が、該タイルの裏面の一辺以上にわたって延在していることを特徴とする目地付きタイルユニット。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、該タイルの裏面に該タイル同士を連結するネットが設けられていることを特徴とする目地付きタイルユニット。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項において、該目地付きタイルユニットの裏面が面一状となっていることを特徴とする目地付きタイルユニット。
【請求項9】
請求項1の目地付きタイルユニットを製造する方法であって、
該タイルユニットの目地部の幅よりも幅の大きい溝が表面に凹設されているシートの表面に、タイルを間隔をおいて配列し、
該目地部及び該溝に目地材を充填して、該目地材を該タイルの側端面から該タイルの裏面にまで回り込ませ、
該目地材が硬化した後に、該目地材を該溝から取り外すことを特徴とする目地付きタイルユニットの製造方法。
【請求項10】
請求項5の目地付きタイルユニットを製造する方法であって、
該タイルユニットの目地部の幅と同一幅の溝が表面に凹設されているシートの表面に、タイルを間隔をおいて配列し、
該目地部及び該溝に目地材を充填し、
該目地材が硬化した後に、該目地材を該溝から取り外すことを特徴とする目地付きタイルユニットの製造方法。
【請求項11】
請求項3の目地付きタイルユニットを製造する方法であって、
平坦なシートの表面に、該タイルを該裏足が該シートに接するようにして間隔をおいて配列し、
目地材を該目地部から該タイルの裏面に回り込むようにして充填し、
該目地材が硬化した後に、該タイル及び該目地材を該シートから取り外すことを特徴とする目地付きタイルユニットの製造方法。
【請求項12】
請求項7の目地付きタイルユニットを製造する方法であって、
ネット上にタイルを間隔をあけて接着したものを、表面が平坦となっているシートの表面に、該ネットが該シートと接するようにして載置し、
目地材を、該目地部から該タイルの裏面及び該ネットの側端面に回り込むようにして充填し、
該目地材が硬化した後に、該タイル、該ネット及び該目地材を該シートから取り外すことを特徴とする目地付きタイルユニットの製造方法。
【請求項1】
目地間隔をあけて配列された複数枚のタイルと、目地部に充填され、隣接するタイルの側端面同士を連結する目地材とを有する目地付きタイルユニットにおいて、
該目地材が該タイルの側端面から該タイルの裏面にまで回り込んでなる回込部が、該タイルの裏面周縁の少なくとも一部に形成されていることを特徴とする目地付きタイルユニット。
【請求項2】
請求項1において、該タイルの裏面に裏足が突設されていることを特徴とする目地付きタイルユニット。
【請求項3】
請求項2において、該回込部の該タイル裏面からの突出高さが、該裏足の該タイル裏面からの突出高さ以下であることを特徴とする目地付きタイルユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、該回込部が、該タイルの裏面の一辺以上にわたって延在していることを特徴とする目地付きタイルユニット。
【請求項5】
目地間隔をあけて配列された複数枚のタイルと、目地部に充填され、隣接するタイルの側端面同士を連結する目地材とを有する目地付きタイルユニットにおいて、
該目地材が該タイルの裏面に回り込むことなく該タイルの裏面よりも突出してなる突出部が、該目地部の少なくとも一部に形成されていることを特徴とする目地付きタイルユニット。
【請求項6】
請求項5において、該突出部が、該タイルの裏面の一辺以上にわたって延在していることを特徴とする目地付きタイルユニット。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、該タイルの裏面に該タイル同士を連結するネットが設けられていることを特徴とする目地付きタイルユニット。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項において、該目地付きタイルユニットの裏面が面一状となっていることを特徴とする目地付きタイルユニット。
【請求項9】
請求項1の目地付きタイルユニットを製造する方法であって、
該タイルユニットの目地部の幅よりも幅の大きい溝が表面に凹設されているシートの表面に、タイルを間隔をおいて配列し、
該目地部及び該溝に目地材を充填して、該目地材を該タイルの側端面から該タイルの裏面にまで回り込ませ、
該目地材が硬化した後に、該目地材を該溝から取り外すことを特徴とする目地付きタイルユニットの製造方法。
【請求項10】
請求項5の目地付きタイルユニットを製造する方法であって、
該タイルユニットの目地部の幅と同一幅の溝が表面に凹設されているシートの表面に、タイルを間隔をおいて配列し、
該目地部及び該溝に目地材を充填し、
該目地材が硬化した後に、該目地材を該溝から取り外すことを特徴とする目地付きタイルユニットの製造方法。
【請求項11】
請求項3の目地付きタイルユニットを製造する方法であって、
平坦なシートの表面に、該タイルを該裏足が該シートに接するようにして間隔をおいて配列し、
目地材を該目地部から該タイルの裏面に回り込むようにして充填し、
該目地材が硬化した後に、該タイル及び該目地材を該シートから取り外すことを特徴とする目地付きタイルユニットの製造方法。
【請求項12】
請求項7の目地付きタイルユニットを製造する方法であって、
ネット上にタイルを間隔をあけて接着したものを、表面が平坦となっているシートの表面に、該ネットが該シートと接するようにして載置し、
目地材を、該目地部から該タイルの裏面及び該ネットの側端面に回り込むようにして充填し、
該目地材が硬化した後に、該タイル、該ネット及び該目地材を該シートから取り外すことを特徴とする目地付きタイルユニットの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−65470(P2010−65470A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233532(P2008−233532)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
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