説明

盲人のための電子メールシステムおよび電子メール送受信制御装置

【課題】電子メール送受信経路上でメール文書を点字に変換し、目の不自由な人に提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決するため、そのため、通信経路上にある情報処理装置(サーバ)に、漢字/カタカナをひらがなに変換する手段、ひらがなを点字に変換する手段を有し、点字に変換した後のデータを送信することにより目の不自由な人が使用する端末での処理負担を軽減することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通信回線網上の情報処理装置を使用する電子メールシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の技術としては、特開平9−200255公報に記載された技術のように使用言語を翻訳してメールを送受信する方式がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明はメール相互の使用言語の相違に関する手段であり、目の不自由な方の使用する点字に関する公知例は無い。
【0004】本発明は、目の不自由な方が電子メールによって送信された文書を点字に変換して表示することで容易に該文書を理解することである。さらに点字への変換機能をメールサーバ内に持つことで、目の不自由な人が使用する情報処理装置の機能が単純化され、負担の低減、小型化、コストダウンをはかることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本課題を解決するため、電子メール送受信を制御する情報処理装置に送信文書内の漢字、カタカナをひらがなに変換する手段、ひらがなにした文書の校正を行う手段、ひらがなを点字に変換する手段、及び目の不自由な方が使用する端末に送信する手段を有するようにしたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】一般に知られている電子メールシステムは、送信者が受信者に対して送信した電子メールは、送受信装置(一般にはメールサーバと呼ばれる。)に一旦格納される。受信者の使用している情報処理装置に対し、電子メールの受信通知を発行、受信者は前記送受信装置をアクセスすることにより電子メールの内容を理解する。
【0007】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。図1は、本発明における電子メールシステムの処理を概略図に示したものである。本発明において、送信者が、送信した電子メールは、通信回線上にある電子メール送受信装置100のI/F部101を経由して一旦メモリ領域104に格納される。一方、前記送受信装置100を接続経路として電子メールシステムを構築している人の宛先一覧が予めメモリ領域104に格納されている。図5に宛先一覧の例を示す。この宛先一覧にはメールアドレス501本人の氏名502等の他に目の不自由な方であることを示す特記事項503が付加されている。前記送受信装置100は、電子メールの受信を受け付けると該メールの宛先と宛先一覧の突き合わせを行い宛先の中に目の不自由な人が入っていないかどうかをチェックする。(図2ステップ2001〜2003)目の不自由な人に対する着信通知は、後述の変換処理に従い点字に変換した後のデータで送信する。(図2ステップ2005〜2009)。目の不自由な受信者は、受信装置108よりこの受信通知に基づき通信回線上にある前記上位送受信装置100をアクセスする。目の不自由な方が受信通知に基づき上位送受信装置100をアクセスすると、メモリ領域104に格納されていた電子メールが、処理部102にロードされる。処理部102では、漢字/カタカナを点字に変換する処理、文書チェック処理点字への変換処理を行う。漢字/カタカナを仮名に変換する処理部では、内蔵されている辞書105を用いて文章の中の漢字/カタカナをすべて仮名に変換する。
【0008】(図3ステップ3001〜3005)また、辞書105には予め辞書登録がしてある。この辞書105にもとずき漢字は一字一句順番に変換するわけではなく熟語は、その語句毎に変換する。あわせて、全文ひらがなにしたときに、漢字/カタカナ混じりの文章との比較を行い誤った変換をしていないかをチェックする機能を有し、誤っていると判断すると再変換を行う。
【0009】(図3ステップ3003、3004)
例:今日は、気分がいいです。
【0010】(誤)いまひは、きわけがいいです。----------- 再変換必要。
【0011】(正)きょうは、きぶんがいいです。----------- OKのため次のステップへ。
【0012】仮名に変換された文章は、辞書106に格納されている仮名→点字変換のルールに従い点字に変換する。点字は、縦3ドット×横2ドットのマトリックスを一文字とし、これら6点の凹凸で文字をあらわしている。図6に点字の“あ”を示す。点字を3×2のマトリックスと考えると“あ”は図7に示す表(1を凸、0を凹)で表すことが出来る。すなわち、6ビットのデジタル信号によって1文字を表すことが可能である。本信号を前記送受信装置100のI/F部を経由して目の不自由な受信者108に送信する。送信された電子メール文書は、受信者用処理装置108により点字にて表示する。(図4ステップ4001〜4005)点字の表示方法は、公知例として種々あるが、例えば特開平08−241033公報記載の様な方式を使用すれば可能である。しかしどの公知例にしても、個々の処理装置内で変換処理を行うようになっている。そのため、装置の小型化、コスト低減という面から不利であると考える。前記実施例を用いれば、目の不自由な人が使用する端末は非常にコンパクトで携帯性にも優れ、コストの面からでも有利である。
【0013】また、目の不自由な人が電子メール送信装置として点字パレット800の入力部801から入力した文書をI/F部802を経由して前記通信経路上の送受信装置100によって通常の文書に変換して送信することも前記実施例の逆の手順をたどれば、可能である。なお、本実施例は送信相手が一人の場合を示しているが、送信相手は複数であっても良い。
【0014】
【発明の効果】本発明により、目の不自由な人でも電子メール受信し点字にて認識することができる。さらに、点字変換処理部を通信経路上に置いているため目の不自由な人が使用する処理装置の負担を軽減、小型化、コストダウンが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における電子メールシステムの概略図である。
【図2】本発明の一実施例における受信通知を点字に変換して送信するまでのフローチャートである。
【図3】本発明の一実施例における電子メールを点字に変換して送信するまでのフローチャートである。
【図4】本発明の一実施例における文章を点字に変換するためのフローチャートである。
【図5】本発明の一実施例における宛先一覧である。
【図6】本発明の一実施例における点字の“あ”を示したものである。
【図7】本発明の一実施例における点字の“あ”を表に示したものである。
【図8】本発明の一実施例における点字パレットの図である。
【符号の説明】
100:送受信装置、101:I/F部、102:処理部、103:I/F部、104:メモリ、105:辞書1、106:辞書2、107:一般の処理装置、108:目の不自由な人の処理装置
501:メールアドレス、502:氏名、503:付加情報、800:点字パレット、801:点字入力キー、802:I/F部

【特許請求の範囲】
【請求項1】通信回線網上の複数の情報処理装置を使用して情報の送受信を行う電子メールシステムにおいて、送信された電子メール文書を、漢字/カタカナをひらがなに変換する手段と、ひらがなにしたメール文書の校正を行う手段と、ひらがなを点字に変換する手段と、点字をデジタル信号に変換する手段と、変換したデータを送信する手段とを通信経路上に有することを特徴とする電子メールシステム。
【請求項2】送信された電子メール文書の漢字/カタカナをひらがなに変換する手段と、ひらがなにしたメール文書の校正を行う手段と、ひらがなを点字に変換する手段と、点字をデジタル信号に変換する手段と、変換したデータを送信する手段とを備えることを特徴とする電子メール送受信制御装置。

【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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