直接メタノール型燃料電池用の強化燃料供給
直接メタノール型燃料電池のための構成は、燃料源を直接メタノール型燃料電池に供給する燃料カートリッジを含む。燃料カートリッジは、燃料カートリッジ内に存在する表面領域強化平面気化膜を有する。本構成は、燃料カートリッジからの燃料を収容する燃料タンクも含み、燃料タンクは、燃料を燃料電池に供給するよう配置される。燃料タンクは、燃料タンク内に存在する表面領域強化平面気化膜も含む。燃料カートリッジ及び燃料タンク内に存在する表面領域強化平面気化膜の組み合わせは、燃料の二段階気化を燃料電池にもたらす。含まれる他の機能は、気化速度を増大するために、燃料の温度を上昇し、或いは、燃料タンク内の圧力を減少するための受動的又は能動的構成である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型電子機器の電力供給に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型電子機器は、通常、一次電池又は充電式電池のいずれかで電力供給される。携帯型電子機器の成長、及び、使用パターンの変化は、電子機器に電力供給する充電式電源のための機会を提供している。一次電池はより大きなエネルギー密度を有するが、それらの内部抵抗はより大きく、一次電池は高ドレイン電子機器に余り適していない。充電式電池は大きな電荷を処理し得るが、多くの用途のための十分なエネルギー容量を有さない。
【0003】
携帯型機器用の電源内に組み込まれる燃料電池は、高エネルギー含量燃料を使用し得るため、従来的な充電システムよりも長い連続稼働時間を約束する。直接メタノール型燃料電池(DMFC)及び水素固体高分子型(PEM)燃料電池のような携帯型電力用途における商業化のために、幾つかの燃料電池技術が現在開発中である。
【0004】
DMFCにおいて、燃料はメタノール又は水とメタノールとの混合である。メタノール又はメタノール混合は液体としてDMFC内の陽極室に供給され、メタノールは陽極室内で燃料から電気への電気化学変換の一部として酸化される。DMFCシステムにおける運用課題は、「メタノールクロスオーバー」、即ち、陽極室内の約3%より上のメタノール濃度で、受容し難い程に大量のメタノールが高分子電解質膜を横断して移動し、寄生損失(連続稼働時間の減少)及び出力電力の減少を招く陰極での混成電位差の双方を引き起こす現象である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
記載されているのは、燃料を蒸気として燃料電池に供給するための燃料気化速度を増大する実施態様である。燃料を蒸気として提供するために、強化膜が燃料カートリッジ又は燃料タンク内に配置される。燃料供給速度は、強化膜の表面領域に比例する。これはコンパクトな燃料タンク又は燃料カートリッジシステムを許容する。コンパクトな燃料タンク又は燃料カートリッジシステムを提供することによって、より高出力のDMFCシステムを可能にするために、メタノール燃料の気相供給をより高速にもたらし得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴によれば、燃料カートリッジは、燃料源を直接メタノール型燃料電池に供給する。燃料カートリッジは、ハウジングと、ハウジングによって支持された燃料出口ポートと、燃料カートリッジ内に存在する表面領域強化平面気化膜とを含む。
【0007】
他の実施態様は請求項の範囲内にある。表面領域強化気化膜は、ハウジング内部の実質的部分の周りに配置された高分子膜である。表面領域強化気化膜は、蒸気透過性表面領域を増大するための高分子膜の多層又は折畳みから成る複合材料膜である。表面領域強化気化膜は、一連の折畳みとして配置された膜である。表面領域強化気化膜は、気化のための有効膜表面領域を増大するために、マクロ孔的に不規則な及び/又は微小孔的に粗面化された膜表面を備える高分子膜である。表面領域強化気化膜は、酸化可能燃料の液体源を酸化可能燃料の気相源から離間する。表面領域強化気化膜は、酸化可能燃料の液体源を包含する。酸化可能燃料の液体源はメタノールである。表面領域強化気化膜は、ポリウレタン、シリコン、ポリ(トリメチルシリルプロピン)、高分子化合物、及び、高分子組成から成る群から選択される高分子材料から成る。表面領域強化気化膜は、所与のカートリッジサイズのために、出口ポートへの気相メタノールの供給速度を増大する。
【0008】
本発明の追加的な特徴によれば、燃料カートリッジは燃料源を直接メタノール型燃料電池に供給する。燃料カートリッジは、ハウジングと、ハウジングによって支持された燃料出口ポートと、燃料カートリッジ内に存在する複合材料膜とを含む。複合材料膜は、多孔性基板と、多孔性基板の第一表面に亘って配置された高分子膜と、基板の反対表面に亘って配置されたメタノール不透過性材料の塗膜とを含む。
【0009】
本発明の追加的な特徴によれば、燃料カートリッジ内に存在する複合材料膜は、多孔性基板と、多孔性基板の第一表面に亘って配置された高分子膜と、基板の反対面に亘って配置された不透過性メタノールの塗膜とを含む。
【0010】
本発明の追加的な特徴によれば、構成は、直接メタノール型燃料電池と、燃料源を直接メタノール型燃料電池に供給する燃料カートリッジとを含む。燃料カートリッジは、ハウジングと、ハウジングによって支持された燃料出口ポートと、燃料カートリッジ内に存在する表面領域強化平面気化膜とを含む。構成は、燃料カートリッジからの燃料を収容する燃料タンクをさらに含み、燃料タンクは、燃料を燃料電池に供給するために配置される。燃料タンクは、ハウジングと、燃料タンク内に存在する表面領域強化平面気化膜とを含み、表面領域強化平面気化膜は、燃料カートリッジ内に存在する表面領域強化平面気化膜と共に、燃料電池への燃料の二段階気化をもたらす。
【0011】
本発明の追加的な特徴によれば、電子機器を動作する方法は、燃料源を直接メタノール型燃料電池に供給するために燃料カートリッジを配置するステップを含み、燃料カートリッジは、ハウジングと、ハウジングによって支持された出口ポートと、燃料カートリッジ内に存在する複合材料膜とを含む。複合材料膜は、多孔性基板と、多孔性基板の第一表面に亘って配置された高分子膜と、多孔性基板の反対表面に亘って配置されたメタノール不透過性材料の塗膜とを含む。
【0012】
そのようなアプローチは、燃料電池がポンプ又は陽極内の低メタノール滑動を維持するための他の能動制御の必要なしに動作することを可能にする。本アプローチは、高速な蒸気供給を可能にし、よって、特定の電池サイズ及びジオメトリのための従来的なアプローチよりも高出力のDMFCシステムを許容する。
【0013】
本発明の1つ又はそれ以上の実施態様の詳細は、添付の図面及び以下の記載において説明される。本発明の他の特徴、目的、及び、利点は、本記載及び図面並びに請求項から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1Aを参照すると、携帯型電力供給された電子機器10(以後、装置10)が示されている。装置10は、エネルギー源、例えば、燃料カートリッジ12を収容するための区画(図示せず)を有するハウジング(図示せず)を含む。装置10は、燃料源(メタノール又はメタノール溶液又は含有及び/又は炭素質化合物又は水素形態を供給するためのそのような化合物の混合)を液体としてよりはむしろ気体として燃料電池に供給する燃料カートリッジ12をインターフェース接続するための相互接続部16も含む。燃料カートリッジ12は、概ね44で指し示される膜を含み、膜は燃料の液相を気相に仕切り、気相は燃料カートリッジの出口に供給され、燃料電池18内に供給され得る。膜44の実施態様は、以下の図2A乃至2Eに記載されている。燃料カートリッジが記載されているが、図1Bに示されるようなタンク13のような燃料容器の他の実施態様も含まれる。その例において、燃料タンク13は膜44を含み、膜44を有する燃料カートリッジ12から燃料を収容するか、或いは、例えば、液体燃料をタンク13内に注入することによって、カートリッジ12から直接的に或いは非固定の燃料源を介して燃料充填されるよう配置されている。
【0015】
一部の実施態様において、燃料電池18は直接メタノール型燃料電池(DMFC)である。選択的に、相互接続部16は、電池電源、例えば、一次又は二次、例えば、充電式電池(図示せず)又は燃料カートリッジ12のいずれかをインターフェース接続する。そのような相互接続部16は、燃料カートリッジと電池との間を区別可能であり、燃料カートリッジが一時的に利用不能な状況において、燃料電池によって電力供給される機器が、電池電力の下で動作するのを可能にする便利な技法を提供する。装置10は如何なる種類の携帯型機器でもあり得る。非限定的な例は、携帯電話、携帯型コンピュータ、又は、オーディオ/ビデオ機器を含む。
【0016】
図2A乃至2Cを参照すると、燃料カートリッジ12は、相互接続部16(図1)と相補的な燃料供給インターフェースを有し、図示されるように、出口ポート32を含む。燃料カートリッジ12は、燃料カートリッジ12内に存する表面領域強化平面気化膜44の使用によって、燃料電池への気相燃料の供給速度を増大するための機構を含み、それは燃料を直接メタノール型燃料電池(DMFC)に供給する。
【0017】
図2A乃至2Cに示されるように、カートリッジ出口は、出口ポートであり得る。狭い出口ポートの1つの利点は、カートリッジ12が、著しい燃料損失なしに装置を容易に挿入し或いは取り出すというような付加的な機能性に対してより修正可能であり得ることである。狭い開口の他の利点は、(以下に議論されるように)狭い出口を用いて選択的な抵抗加熱をより精細に制御し得ることである。所望であれば、流れをさらに制限するために、例えば、締付け機構も用い得る。
【0018】
出口ポートに対する他のアプローチは、カートリッジ12を燃料電池陽極(図示せず)から分離する開放キャビティとしてある。開放キャビティ出口は、狭い出口で起こり得るようには陽極への蒸気拡散を不利に制限しない。DMFC陽極への最大運搬を可能にするために、狭い開放キャビティ出口は、カートリッジ12とほぼ同じぐらい広くあり得る。よって、カートリッジ12は、使用時に取り外される一時的なカバー、又は、開口をカバーする類似物を有し得る。一部の実施態様において、カートリッジ12は、カートリッジ12内の開口に亘って配置される膜44の一部を有し得る。一般的には、大きな開口が好ましい。
【0019】
ポリウレタン、シリコン、ポリ(トリメチルシリルプロピン)、及び、その他を含む多様な高分子材料から膜44を二次加工し得る。高分子の二次加工は、(気化機構による)気化プロセス又は高密度膜構造を管理するために微小空洞を導入することを含み得る。類似の気化性能を達成するために、高分子で被覆された或いは被覆されていない焼結金属ディスクから膜を二次加工し得る。
【0020】
燃料供給速度を増大し安定化する異なる表面領域強化平面気化膜44が、高表面領域膜をもたらすために燃料カートリッジ12の内部外周の実質的部分の周りに配置された高分子膜46を含む図2A乃至2Eに示されている。図2Bは、蒸気透過表面領域を増大するために、複数層又は高分子膜の折り畳みから成る複合材料膜48を示している。図2Cに示されるような一連の折り畳みとして膜50を配置し得る。図2D及び2Eは他の技法を示しており、気化のための有効膜表面領域を増大するために、高分子膜52が微孔質的に不規則な(図示せず)或いは微孔質的に粗面化された(図示されている)膜表面を備える。
【0021】
図2Aを参照すると、ガス透過性膜46が示されている。ガス透過性膜46は、メタノール62の液体源をメタノールの気相64から離間している。蒸気は、膜46とカートリッジ12の内壁との間の間質容積を占めている。出口ポート42で平面的ジオメトリの膜を使用する代わりに、膜46は燃料容積を取り囲むように選択され、且つ、燃料カートリッジ12の壁の内側部分の周りに配置され、所与のカートリッジ又はタンクの大きさのために、膜領域の増大及び気相状態のメタノールの出口ポート42への供給速度の上昇を可能にする。燃料供給速度は、平面的な膜46の表面領域に比例する。膜46は気相状態で燃料供給速度を増大し、メタノール燃料蒸気の高速を高出力DMFCで電力供給される機器に提供するために、膜を標準的な或いはコンパクトな燃料タンク又は燃料カートリッジシステムと共に用い得る。
【0022】
図2Bを参照すると、膜表面領域を増大するために、多層膜48は、カートリッジ12の外周の周りに配置された高分子膜の一連の層又は折り畳みを含む。巻線形電池としての多層膜48の例は、液体メタノールが膜48aに移動し、気相に変換するのを可能にするために、液相状態のメタノールを材料の孔内に保持する多孔性材料の基板48bの第一表面に亘って配置された気化膜48aを含む。膜は多様な高分子システムの1つから二次加工され、ポリウレタン、ポリ(トリメチルシリルプロピン)、及び、複合材料を含む他の高分子組成を含む。高分子の二次加工は、(気化機構による)気化プロセス又は高密度膜構造を管理するために微小空洞を導入することを含み得る。
【0023】
類似の気化性能を達成するために、被覆された或いは被覆されていない燒結金属ディスクからも膜48を二次加工し得る。基板48aは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、他の類似の高分子、又は、1つ又はそれ以上のこれらの高分子の複合材料を含む多様な高分子システムの1つから成る。類似の性能を達成するために、被覆された或いは被覆されていない焼結金属からも基板48aを二次加工し得る。
【0024】
一部の実施態様において、基板48aの材料は、「スポンジ状」材料のさらなる品質を有し得る。スポンジ材料46bの反対面はメタノール透過性層48cで被覆され、それは架橋ゴム、高分子/無機複合材料、表面フッ化高密度ポリウレタンのような表面処理材料、又は、他のメタノール透過性材料のような材料から二次加工され得る。
【0025】
気化膜48aとメタノール透過膜48cとの間の間隙配列が、メタノール蒸気の高フラックスを燃料電池内の陽極室へ搬送するための経路をもたらす状態で、この三層構造48a乃至48cを巻線形にし、且つ、カートリッジを含む円筒形容器内に配置し得る。この多層膜48は、比較的コンパクトな燃料タンク又は燃料カートリッジ12からのメタノール蒸気の極めて高フラックスをもたらし得る。三層構造は、一連の平面層としても構成され、図4等におけるようなプリズム状の電池内のハウジングの出口ポートでハウジング外周の周りに配置されるように、多様な形状及び多様な構造のハウジング内に配置され得る。
【0026】
巻線形配置の高い表面領域(図2B)と長方形の液体燃料囲繞膜(図2A)との間の様々な中間配置が可能である。例えば、図2Cに示されるような中間密度折畳み膜50は、多層構造において得られる高フラックス及び選択肢(図2A)の低膜容量(即ち、堅い熱エネルギー密度)を均衡し得る。ガス透過性膜50は、燃料カートリッジ12の内壁間に延在し、燃料カートリッジ12の出口ポート32の近傍に蒸気室51を提供する。
【0027】
図2D及び2Eを参照すると、速度増大高分子膜52を提供する他のアプローチは、無作為又はパターン状の膜表面の粗面化による(図2E)。ガス透過性膜52は、燃料カートリッジ12の内壁間に配置され、燃料カートリッジ12の出口ポートの近傍に蒸気室51を提供する。粗面化は膜の片面上又は両面上にあり得る。膜の片側(一般的には蒸気側)は透過率を制限し得る。膜の透過率制限側を増大することが好ましい。
【0028】
燃料電池内の陽極層と平行に且つ重なり合って配置される受動的なガス透過性膜を用いた燃料電池の陽極へのメタノールの室温気相供給は、低出力(<3W)DMFCシステム)のために良好に動作し得るが、そのようなアプローチは、高出力動作を持続するための十分なメタノール蒸気フラックスを提供し得ない。これは、膜使用可能気化プロセスにおける本質的限界に起因する。メタノールのユニット領域当たりのメタノールフラックスは、メタノールの酸化を陽極の類似領域のための適当な速度で維持するのに十分である。しかしながら、数ワットの電力範囲より上では、燃料電池動作をより高い電力で持続するのに必要なメタノールフラックスを維持するために、膜の領域は不当に大きく成長する必要がある。より高い電力動作のための平面膜領域を提供するのに必要とされる幾何学的寸法を備える燃料電池は、一般消費者の使用にとって便利でない。加えて、大きな膜は機械的に不安定であり、時間と共に機械的不良のより高い可能性を有する。動作地点及び膜材料の選択に依存して、例えば、1Wの例示的な電力範囲は0.7cm2の膜領域を必要とし得るのに対し、5Wの用途は3.3cm2の膜領域を必要とし得る。3.3cm2以上で、これは多くの一般消費者用途のために非実用的となる。何故ならば、それは極めて大きな膜表面領域を必要とするからである。
【0029】
カートリッジ内に配置される抵抗素子、或いは、電子機器から発生する熱の使用のいずれかによって、上記のアプローチと共に局所的加熱を用い得る。
【0030】
上記に記載されたアプローチは、固定的な幾何学的領域に亘る概ね44の膜構造の有効表面領域(及び全体的な蒸気透過速度)の増大を招く。燃料カートリッジ又は燃料タンク内に配置された強化膜44は、膜の強化表面領域に比例する速度で、燃料電池への蒸気としての燃料供給をもたらす。強化表面領域膜は、より高い電力のDMFCシステムを可能にするために、メタノールの気相をより高速に供給し得るコンパクトな燃料タンク又は燃料カートリッジシステムを許容する。そのようなアプローチは、陽極内における低いメタノール活動を維持するために、燃料電池がポンプ又は他の作動制御の必要なしに動作することも可能にする。
【0031】
図3を参照すると、図示のように、蒸気燃料供給を増大するために、抵抗加熱素子72が気化膜インターフェース44に配置されている。温度が上昇すると共に、気化速度が著しく増大する。温度を上昇し、よって、気化速度を増大するために、図2A乃至2Dに記載された気化膜構造は、局所的熱源として加熱素子を用い得る。図3に例証される加熱素子72は、主電荷(装置10)と電気的に平行に配置され、出力電力中に正味ブーストをもたらすために、燃料電池電気出力の小さな割合によって電力供給される。
【0032】
加熱素子72の1つの例は、ワイヤ、例えば、比較的高い抵抗特性を有するコイルワイヤである。ワイヤとしての加熱素子72のための典型的な抵抗特性は、10〜1Mオーム/センチメータの範囲内である。加熱素子72は、タングステンのような比較的高い抵抗材料から成り得る。使用し得る他の材料は、ニッケル/クロム合金及びその他を含む。燃料電池の腐食及び汚染に対する保護をもたらすために、高抵抗材料を高分子又は貴金属で被覆し得る。抵抗素子72は、気化膜44構造の1つ(例えば、図2A乃至2Eの実施態様のいずれか又は他の構造)と熱連絡して配置される。
【0033】
膜44及び抵抗素子72は、主として燃料の気相によって占められる、カートリッジ12の出口ポート32を含む或いは含まない蒸気室74、例えば、液体燃料76の間の空間をもたらす。膜温度が上昇すると、それは気化速度を上昇するので、抵抗加熱素子72は直接的に膜44と接触するのが好ましい。加熱素子72は、膜44の液体側又は気体側にあるか、或いは、膜44内に埋め込まれ得る。後者の2つの選択肢(蒸気側及び埋込み)は、カートリッジ内の液体の不必要な加熱を最小限化するという利点を有する。加えて、例えば、燒結金属は、膜材料及び抵抗加熱器の双方として働き得る。抵抗素子72によって提供される熱は、膜44に亘って気化速度を増大し、燃料電池によって電力供給される装置10が比較的冷たい周囲温度環境で用いられるとき、全体的性能を向上し得る。
【0034】
図4を参照すると、他のアプローチ80は、液体燃料、例えば、燃料カートリッジ12内のメタノールを、膜の必要なしに熱プロセスを通じて全体的に気化し得る。この構成では、電力は燃料電池(図示せず)から取り出されるか、或いは、加熱機構84に電力供給するために燃料カートリッジ12内又は燃料カートリッジ12上に位置する小さな電池82(例えば、ボタン電池)を通じて供給される。ここで、加熱機構84は、燃料カートリッジ12の出口ポート32に配置されるワイヤとしての電池への接続なしに、概略的に示されている。
【0035】
燃料カートリッジ12は、加熱素子84を含むプリズム状の電池ケース86としてここに例証される壁又は本体と、燃料不透過性材料、例えば、燃料カートリッジ12内部の可動壁又はピストン88と接触するゴム及びその類似物の内部燃料袋90とを含む。バネ89が壁に力を加える。壁又はピストン88がプリズム状ケースの長さに沿って移動するときにそれを案内するために、ガイド(図示せず)を用い得る。液体燃料、例えば、メタノールは袋90内に配置されている。液体が燃料カートリッジ12から消費されると、袋90内の圧力が弱まり、袋90内のメタノールが燃料カートリッジ12の出口ポート32に供給されるのを保証するために、バネ89によって生成される力が壁又はピストン89を袋90に対して押し付ける。壁/ピストン88及びバネ89は、ケースの向きとは無関係に、袋90からの液体の均一な供給を保証する。
【0036】
出口ポート32は、気化加熱ユニットと一体の燃料弁を有し得る。図4Aに示されるような1つの実施態様は、弁組立体(図示せず)内の狭窄領域内に配置された抵抗加熱素子を含む。一部の実施態様では、加熱素子84を省略し得る。燃料カートリッジ12内の或いは燃料カートリッジ12上に支持されたボタン電池によって、或いは、外部リード線(図示せず)を介して、抵抗加熱器のための電力を燃料電池電源から得ることができる。他の実施態様も可能である。
【0037】
図4Aを参照すると、一体化された気化加熱ユニットを有する燃料弁70の例が示されている。燃料弁70は、膜構造46を含む図4に示されるカートリッジ12の実施態様のための出口32として例証されている。出口32は、一体化された加熱素子73を有する弁33として描写されている。弁33はカートリッジ壁65上で支持され、且つ、例えば、図示のような弁の中心に配置されて、或いは、弁の側壁(図示せず)の周りに配置されて、或いは、側壁(図示せず)に一体化されて多様な構造のいずれか1つの内側に配置される加熱素子73を含む。加熱素子は、膜46に亘る気化速度を上昇するために配置される。弁は、使用期間中にそれを装置に固定するための多様な機構、例えば、バイオネット接続、ネジ接続等を有し得る。
【0038】
図5を参照すると、蒸気供給を増進するための代替的な構成は、気化室44の浸透(蒸気)側の上に減圧をもたらし、(圧力増加と類似して)圧力減少は液体を沸騰又は蒸発させ得るという原理を利用することである。別な言い方をすれば、減圧下流側は燃料の蒸気濃度を徐々に減少し、よって、液相から気相への燃料透過のための駆動力を増大する。
【0039】
減圧を誘発する1つの機構は、カートリッジ12の蒸気側90上の容積を増大することである。カートリッジ12の蒸気側は、ピストン92とカートリッジ12の出口ポート32近傍のカートリッジ12の内部領域との間に配置された1つ又はそれ以上のバネ機構94によってカートリッジ12内の液体96に対して付勢される蒸気透過性ピストン94を含む。ピストン」92の1つの実施態様は、蒸気膜44としてある。ワイヤメッシュ又は剛的な微小孔性又はマクロ孔性層が、可撓な気化層(例えば、過フッ化炭素水素高分子、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリウレタン、ポリエステル、セルロース、又は、紙)を機械的に支持し得る。リングピストン92は、カートリッジ壁に沿う滑動中に漏れ止め封止をもたらす。リング外径は、カートリッジ直径内に辛うじて組み入れられる。蒸気側への液流漏れを最小限化するために、リング及び隣接カートリッジ壁は、燃料剥離及び燃料性透過材料から成るか或いは燃料剥離又は燃料透過性材料で被覆される。そのような材料又は塗膜は、フッ素重合体、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等である。加えて、特にリングのために、十分に剛的な材料が、機械的な安定性を依然としてもたらすと同時に、リングの径方向厚さを最小限化するのが好適であり、最大の覆いなし膜領域を許容する。
【0040】
液体容積が減少すると、ピストン92が出口ポート32からさらに離れて移動し、カートリッジ12の蒸気側の上の容積を拡張するので、蒸気側の容積が増大する。再び、気化膜44は燃料を液相で含み、蒸気のみが蒸気側90に浸透することを主として可能にする。機械的作用は、能動的(例えば、バネの力を用いて)又は受動的(例えば、液体の移動だけを用いて)であり得る。受動的作動は、リングピストンの低摩擦に依存する。
【0041】
図6を参照すると、燃料電池18は、陽極102と、セパレータ105によって離間された陰極103とを有する燃料電池スタック100(単一の膜電極組立体)として示されている。燃料スタック100は、燃料カートリッジ12の蒸気側90近傍に配置されている。燃料カートリッジ12からの蒸気は、燃料電池18の陽極電極102に直接的に流れる。
【0042】
蒸気室74の容積の追加的な拡張を許容することによって、カートリッジ12の蒸気側90に誘発される容積拡張を液体燃料相の収縮容積よりも大きくし得る。
【0043】
図7を参照すると、追加的な容積を気相室74に提供することによって、蒸気供給を増大するための構成110が示されている。図5におけるように、ピストン92及び内部バネ94を含む燃料カートリッジ12の蒸気側90は、カートリッジ12の蒸気室74の有効容積を増大するための構成110で増大される。カートリッジ12の外面の周りに配置され、且つ、内部蒸気室74と蒸気連絡している外部室112によって、追加的な容積が気相室74に提供されている。外部室112は、カートリッジ12の出口ポート32近傍に、蒸気透過性ピストン114と燃料電池18との間に配置された1つ又はそれ以上の外部バネ機構116によってカートリッジ12内の外部室112内の蒸気に対して付勢された蒸気透過性ピストン114を有する。蒸気圧が増大すると、蒸気圧の増大は、外部室114の容積を増大するようにピストン114を移動させる。
【0044】
蒸気透過性ピストン114の1つの実施態様は、固形封止材料、又は、ポリフルオロアルケン、フルオロエラストマ、及び、ゴム、例えば、シリコン、フルオロシリコン、ニトリルネオプレン、天然、又は、ポリウレタンのような封止材料が塗布された金属である。機械的剛性をもたらすために、リングピストンに金属コアを含め得る。外部室114は、燃料蒸気、陽極反応生成物、及び、場合によっては、(窒素のような)不活性ガスの拡張可能なガス容積であり得る。外部室114内の圧力増加を回避するために、外部室114の反対の(例えば、リングピストンの反対側上の)収縮容積は、外部環境に放出されるのが好ましい。
【0045】
ここに独立のバネで示されるように、拡張は液体減少と無関係であり得る。代替的に、液体減少で内部ピストン運動と平行に滑動するよう機械的に(或いは所望であれば磁気的に)外部リングピストンを接続し得る。さらに、燃料が減少するにつれて容積の拡張を増大するために、蒸気側キャビティを成形(例えば、コーン状)し得る。液体収縮よりも大きい蒸気側拡張は、追加的な全体的容積を必要とするという不利点を有する。
【0046】
燃料供給の制御のために、表面位置で可変透過を有するよう、膜を合成し或いは(例えば、局所的圧縮又は伸長によって)処理し得る。例えば、もし陽極への不均一な燃料分布がもたらされるならば、燃料分布にさえ位置可変透過性(及び、よって、可変燃料フラックス)をもたらし得る。
【0047】
図8を参照すると、図1A及び1Bに描写された携帯型電力供給された電子機器10が、エネルギー源、例えば、上述のような燃料カートリッジ12の1つを収容する区画を有するハウジング11と共に示されている。相互接続部16は、燃料源(水素の形態)を、液体としてよりもむしろ蒸気として燃料電池(図示せず)に供給する燃料カートリッジ12をインターフェース接続している。燃料カートリッジ12は、燃料の液相を燃料カートリッジ12の出口32に供給され得る気相と仕切る気化膜44を含む。燃料カートリッジ12の一部の実施態様において、壁又は少なくとも壁の一部、例えば、燃料カートリッジ12の12aは、熱伝導性材料、典型的には金属から二次加工される。燃料カートリッジ12のそのような実施態様は、燃料カートリッジの壁を、ラップトップコンピュータのような小型携帯機器によって発生する熱のためのヒートシンクとして用いる。金属又は導電性材料又は導電性材料から成るカートリッジの少なくともそれらの部分は、機器10内の放熱構成部品19と熱連絡して配置されている。燃料カートリッジは、放熱構成部品19、例えば、ラップトップ内のCPUと近接近して、或いは、一部の携帯型電源装置内で用いられる微小ファン(図示せず)と関連する気流内に配置されている。
【0048】
燃料カートリッジ12は、電子機器10内の放熱構成部品19から熱を引き離す。熱は燃料カートリッジ12の熱伝導性壁を越えて移転され、カートリッジ12内のメタノール蒸気の圧力の付随的増大をもたらす。蒸気圧の増大は、セパレータ膜44を通じたより高速の蒸気流を可能にする。この技法は、メタノール蒸気圧の増大、よって、燃料電池へのより大きな燃料供給をもたらす受動システムを備える燃料カートリッジ12をもたらす。加えて、燃料カートリッジ12のヒートシンクとしての使用は、機器効率を強化し且つ機器の稼働時間を増加するために、冷却ファンの必要(及び機器上のエネルギー流出)を著しく低減し得る。燃料カートリッジ12の精密な構造は、機器10の構造、機器によって発生する熱量、及び、ファンの存否に依存し得る。
【0049】
燃料カートリッジ12の構造は、燃料カートリッジ12の残余の断熱壁12bと結合された金属又は他の熱伝導材料壁12aを含む。熱伝導壁12aは、機器内の熱源19と直接接触して、少なくとも熱源19と近接近して、或いは、熱源19から熱を除去するために用いられる空気流路(図示せず)内に配置されている。代替的に、熱伝導は、燃料出口ポート32近傍の燃料カートリッジ12の上部にあり、カートリッジ内に設けられた蒸気室と概ね整列し得る。一部の実施態様において、燃料カートリッジ12のハウジングは、完全に金属又は他の熱伝導性材料から成り得る。燃料カートリッジは、図1、2A乃至2Dに描写されるようなプリズム型、円筒型等の多様な形状を取り得る。
【0050】
図9を参照すると、温度変化に伴うメタノール蒸気圧の変化を描写するプロット図が示されている。
【0051】
カートリッジ12は、動作期間中に大量の熱を発生する電気構成部品と共に特に有用である。カートリッジ12は、理想的には燃料カートリッジと直接接触して配置される機器内の熱発生面を利用する特徴を有する。一部の実施態様において、カートリッジは燃料タンクとして構成され、放熱装置上のヒートシンク素子を補完又は置換し得る。メタノール液体を包含するカートリッジは、気相燃料供給システム、及び、機器10のためのヒートシンクとして作用する。よって、ヒートシンクとして作用する燃料カートリッジは、機器10から熱を除去することを助けるのに対し、発生する熱はメタノール蒸気の蒸気圧を増大し、従って、膜表面によって燃料電池に供給され得る気化燃料の量を増大する。メタノール燃料への熱移転を増大するために、燃料カートリッジは、外部及び/又は内部ファンを含み得る。
【0052】
パーベーパレーションでは、膜よりも前に気化されるよりもむしろ燃料が膜を通じて移動するときに、燃料は気化される。膜の一部の実施態様は、パーベーパレーション膜と考えられ得るのに対し、他の実施態様は気化膜と考えられ得る。例えば、膜なしの或いは膜より前(蒸気−蒸気浸透)の直接加熱は、直接気化プロセスである。
【0053】
図2A乃至2Eにおいて上述されたアプローチは、固定的幾何学領域を越える概ね44の膜構成の有効表面領域(及び、よって、蒸気透過の全体的速度)の増大を招く。燃料カートリッジ又は燃料タンク内に配置された強化膜44は、膜の強化表面領域に比例する速度で、燃料電池への蒸気としての燃料供給をもたらす。図3乃至9に描写される構成は、液体燃料源の温度上昇を伴って、気化速度を指数関数的に増大する。強化表面領域膜及び/又は熱若しくは圧力減少機構は、より高出力のDMFCシステムを可能にするために、メタノールの気相を高速で供給し得るコンパクトな燃料タンク又は燃料カートリッジシステムを許容する。そのようなアプローチは、燃料電池が、陽極内の低メタノール活動を維持するためのポンプ又は他の能動制御の必要なしに動作することも可能にする。
【0054】
本発明の多数の実施態様が記載された。それにも拘わらず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多様な変更をなし得ることが理解されよう。例えば、置換可能な燃料カートリッジである代わりに、構成は、再充填機構を通じて定期的に補充され得る恒久的に取り付けられる燃料タンクであり得る。加えて、第二膜システムを包含する恒久的に取り付けられる燃料タンクを有する燃料電池組立体に気相メタノールをもたらすために、燃料カートリッジを用い得る。そのようなシステムにおいて、第二膜は、燃料電池への気相メタノールのフラックスを、単一段階階気化アプローチの制御よりも多くの蒸気制御をもたらし得る二段階で規制する。よって、本技法は恒久的に取り付けられる燃料タンク、置換可能な燃料電池カートリッジ、又は、それらの双方を備える燃料電池組立体に適用する。従って、他の実施態様は請求項の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1A】燃料電池によって電力供給される電子機器を描写するブロック図である。
【図1B】燃料電池によって電力供給される電子機器を描写するブロック図である。
【図2A】燃料カートリッジ内の高分子膜の構成を描写する概略図である。
【図2B】燃料カートリッジ内の高分子膜の構成を描写する概略図である。
【図2C】燃料カートリッジ内の高分子膜の構成を描写する概略図である。
【図2D】燃料カートリッジ内の高分子膜の構成を描写する概略図である。
【図2E】燃料カートリッジ内の高分子膜の構成を描写する概略図である。
【図3】局所加熱構成を有する燃料カートリッジを描写する概略図である。
【図4】袋及び局所加熱構成を有する燃料カートリッジを描写する概略図である。
【図4A】燃料カートリッジのための弁の特徴を描写する概略図である。
【図5】燃料カートリッジ内に蒸気圧差を誘発するための多様な構成を描写する概略図である。
【図6】燃料カートリッジ内に蒸気圧差を誘発するための多様な構成を描写する概略図である。
【図7】燃料カートリッジ内に蒸気圧差を誘発するための多様な構成を描写する概略図である。
【図8】電源装置及び燃料カートリッジの構造詳細を描写する概略図である。
【図9】温度変化に伴うメタノール蒸気圧を示すプロット図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型電子機器の電力供給に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型電子機器は、通常、一次電池又は充電式電池のいずれかで電力供給される。携帯型電子機器の成長、及び、使用パターンの変化は、電子機器に電力供給する充電式電源のための機会を提供している。一次電池はより大きなエネルギー密度を有するが、それらの内部抵抗はより大きく、一次電池は高ドレイン電子機器に余り適していない。充電式電池は大きな電荷を処理し得るが、多くの用途のための十分なエネルギー容量を有さない。
【0003】
携帯型機器用の電源内に組み込まれる燃料電池は、高エネルギー含量燃料を使用し得るため、従来的な充電システムよりも長い連続稼働時間を約束する。直接メタノール型燃料電池(DMFC)及び水素固体高分子型(PEM)燃料電池のような携帯型電力用途における商業化のために、幾つかの燃料電池技術が現在開発中である。
【0004】
DMFCにおいて、燃料はメタノール又は水とメタノールとの混合である。メタノール又はメタノール混合は液体としてDMFC内の陽極室に供給され、メタノールは陽極室内で燃料から電気への電気化学変換の一部として酸化される。DMFCシステムにおける運用課題は、「メタノールクロスオーバー」、即ち、陽極室内の約3%より上のメタノール濃度で、受容し難い程に大量のメタノールが高分子電解質膜を横断して移動し、寄生損失(連続稼働時間の減少)及び出力電力の減少を招く陰極での混成電位差の双方を引き起こす現象である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
記載されているのは、燃料を蒸気として燃料電池に供給するための燃料気化速度を増大する実施態様である。燃料を蒸気として提供するために、強化膜が燃料カートリッジ又は燃料タンク内に配置される。燃料供給速度は、強化膜の表面領域に比例する。これはコンパクトな燃料タンク又は燃料カートリッジシステムを許容する。コンパクトな燃料タンク又は燃料カートリッジシステムを提供することによって、より高出力のDMFCシステムを可能にするために、メタノール燃料の気相供給をより高速にもたらし得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴によれば、燃料カートリッジは、燃料源を直接メタノール型燃料電池に供給する。燃料カートリッジは、ハウジングと、ハウジングによって支持された燃料出口ポートと、燃料カートリッジ内に存在する表面領域強化平面気化膜とを含む。
【0007】
他の実施態様は請求項の範囲内にある。表面領域強化気化膜は、ハウジング内部の実質的部分の周りに配置された高分子膜である。表面領域強化気化膜は、蒸気透過性表面領域を増大するための高分子膜の多層又は折畳みから成る複合材料膜である。表面領域強化気化膜は、一連の折畳みとして配置された膜である。表面領域強化気化膜は、気化のための有効膜表面領域を増大するために、マクロ孔的に不規則な及び/又は微小孔的に粗面化された膜表面を備える高分子膜である。表面領域強化気化膜は、酸化可能燃料の液体源を酸化可能燃料の気相源から離間する。表面領域強化気化膜は、酸化可能燃料の液体源を包含する。酸化可能燃料の液体源はメタノールである。表面領域強化気化膜は、ポリウレタン、シリコン、ポリ(トリメチルシリルプロピン)、高分子化合物、及び、高分子組成から成る群から選択される高分子材料から成る。表面領域強化気化膜は、所与のカートリッジサイズのために、出口ポートへの気相メタノールの供給速度を増大する。
【0008】
本発明の追加的な特徴によれば、燃料カートリッジは燃料源を直接メタノール型燃料電池に供給する。燃料カートリッジは、ハウジングと、ハウジングによって支持された燃料出口ポートと、燃料カートリッジ内に存在する複合材料膜とを含む。複合材料膜は、多孔性基板と、多孔性基板の第一表面に亘って配置された高分子膜と、基板の反対表面に亘って配置されたメタノール不透過性材料の塗膜とを含む。
【0009】
本発明の追加的な特徴によれば、燃料カートリッジ内に存在する複合材料膜は、多孔性基板と、多孔性基板の第一表面に亘って配置された高分子膜と、基板の反対面に亘って配置された不透過性メタノールの塗膜とを含む。
【0010】
本発明の追加的な特徴によれば、構成は、直接メタノール型燃料電池と、燃料源を直接メタノール型燃料電池に供給する燃料カートリッジとを含む。燃料カートリッジは、ハウジングと、ハウジングによって支持された燃料出口ポートと、燃料カートリッジ内に存在する表面領域強化平面気化膜とを含む。構成は、燃料カートリッジからの燃料を収容する燃料タンクをさらに含み、燃料タンクは、燃料を燃料電池に供給するために配置される。燃料タンクは、ハウジングと、燃料タンク内に存在する表面領域強化平面気化膜とを含み、表面領域強化平面気化膜は、燃料カートリッジ内に存在する表面領域強化平面気化膜と共に、燃料電池への燃料の二段階気化をもたらす。
【0011】
本発明の追加的な特徴によれば、電子機器を動作する方法は、燃料源を直接メタノール型燃料電池に供給するために燃料カートリッジを配置するステップを含み、燃料カートリッジは、ハウジングと、ハウジングによって支持された出口ポートと、燃料カートリッジ内に存在する複合材料膜とを含む。複合材料膜は、多孔性基板と、多孔性基板の第一表面に亘って配置された高分子膜と、多孔性基板の反対表面に亘って配置されたメタノール不透過性材料の塗膜とを含む。
【0012】
そのようなアプローチは、燃料電池がポンプ又は陽極内の低メタノール滑動を維持するための他の能動制御の必要なしに動作することを可能にする。本アプローチは、高速な蒸気供給を可能にし、よって、特定の電池サイズ及びジオメトリのための従来的なアプローチよりも高出力のDMFCシステムを許容する。
【0013】
本発明の1つ又はそれ以上の実施態様の詳細は、添付の図面及び以下の記載において説明される。本発明の他の特徴、目的、及び、利点は、本記載及び図面並びに請求項から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1Aを参照すると、携帯型電力供給された電子機器10(以後、装置10)が示されている。装置10は、エネルギー源、例えば、燃料カートリッジ12を収容するための区画(図示せず)を有するハウジング(図示せず)を含む。装置10は、燃料源(メタノール又はメタノール溶液又は含有及び/又は炭素質化合物又は水素形態を供給するためのそのような化合物の混合)を液体としてよりはむしろ気体として燃料電池に供給する燃料カートリッジ12をインターフェース接続するための相互接続部16も含む。燃料カートリッジ12は、概ね44で指し示される膜を含み、膜は燃料の液相を気相に仕切り、気相は燃料カートリッジの出口に供給され、燃料電池18内に供給され得る。膜44の実施態様は、以下の図2A乃至2Eに記載されている。燃料カートリッジが記載されているが、図1Bに示されるようなタンク13のような燃料容器の他の実施態様も含まれる。その例において、燃料タンク13は膜44を含み、膜44を有する燃料カートリッジ12から燃料を収容するか、或いは、例えば、液体燃料をタンク13内に注入することによって、カートリッジ12から直接的に或いは非固定の燃料源を介して燃料充填されるよう配置されている。
【0015】
一部の実施態様において、燃料電池18は直接メタノール型燃料電池(DMFC)である。選択的に、相互接続部16は、電池電源、例えば、一次又は二次、例えば、充電式電池(図示せず)又は燃料カートリッジ12のいずれかをインターフェース接続する。そのような相互接続部16は、燃料カートリッジと電池との間を区別可能であり、燃料カートリッジが一時的に利用不能な状況において、燃料電池によって電力供給される機器が、電池電力の下で動作するのを可能にする便利な技法を提供する。装置10は如何なる種類の携帯型機器でもあり得る。非限定的な例は、携帯電話、携帯型コンピュータ、又は、オーディオ/ビデオ機器を含む。
【0016】
図2A乃至2Cを参照すると、燃料カートリッジ12は、相互接続部16(図1)と相補的な燃料供給インターフェースを有し、図示されるように、出口ポート32を含む。燃料カートリッジ12は、燃料カートリッジ12内に存する表面領域強化平面気化膜44の使用によって、燃料電池への気相燃料の供給速度を増大するための機構を含み、それは燃料を直接メタノール型燃料電池(DMFC)に供給する。
【0017】
図2A乃至2Cに示されるように、カートリッジ出口は、出口ポートであり得る。狭い出口ポートの1つの利点は、カートリッジ12が、著しい燃料損失なしに装置を容易に挿入し或いは取り出すというような付加的な機能性に対してより修正可能であり得ることである。狭い開口の他の利点は、(以下に議論されるように)狭い出口を用いて選択的な抵抗加熱をより精細に制御し得ることである。所望であれば、流れをさらに制限するために、例えば、締付け機構も用い得る。
【0018】
出口ポートに対する他のアプローチは、カートリッジ12を燃料電池陽極(図示せず)から分離する開放キャビティとしてある。開放キャビティ出口は、狭い出口で起こり得るようには陽極への蒸気拡散を不利に制限しない。DMFC陽極への最大運搬を可能にするために、狭い開放キャビティ出口は、カートリッジ12とほぼ同じぐらい広くあり得る。よって、カートリッジ12は、使用時に取り外される一時的なカバー、又は、開口をカバーする類似物を有し得る。一部の実施態様において、カートリッジ12は、カートリッジ12内の開口に亘って配置される膜44の一部を有し得る。一般的には、大きな開口が好ましい。
【0019】
ポリウレタン、シリコン、ポリ(トリメチルシリルプロピン)、及び、その他を含む多様な高分子材料から膜44を二次加工し得る。高分子の二次加工は、(気化機構による)気化プロセス又は高密度膜構造を管理するために微小空洞を導入することを含み得る。類似の気化性能を達成するために、高分子で被覆された或いは被覆されていない焼結金属ディスクから膜を二次加工し得る。
【0020】
燃料供給速度を増大し安定化する異なる表面領域強化平面気化膜44が、高表面領域膜をもたらすために燃料カートリッジ12の内部外周の実質的部分の周りに配置された高分子膜46を含む図2A乃至2Eに示されている。図2Bは、蒸気透過表面領域を増大するために、複数層又は高分子膜の折り畳みから成る複合材料膜48を示している。図2Cに示されるような一連の折り畳みとして膜50を配置し得る。図2D及び2Eは他の技法を示しており、気化のための有効膜表面領域を増大するために、高分子膜52が微孔質的に不規則な(図示せず)或いは微孔質的に粗面化された(図示されている)膜表面を備える。
【0021】
図2Aを参照すると、ガス透過性膜46が示されている。ガス透過性膜46は、メタノール62の液体源をメタノールの気相64から離間している。蒸気は、膜46とカートリッジ12の内壁との間の間質容積を占めている。出口ポート42で平面的ジオメトリの膜を使用する代わりに、膜46は燃料容積を取り囲むように選択され、且つ、燃料カートリッジ12の壁の内側部分の周りに配置され、所与のカートリッジ又はタンクの大きさのために、膜領域の増大及び気相状態のメタノールの出口ポート42への供給速度の上昇を可能にする。燃料供給速度は、平面的な膜46の表面領域に比例する。膜46は気相状態で燃料供給速度を増大し、メタノール燃料蒸気の高速を高出力DMFCで電力供給される機器に提供するために、膜を標準的な或いはコンパクトな燃料タンク又は燃料カートリッジシステムと共に用い得る。
【0022】
図2Bを参照すると、膜表面領域を増大するために、多層膜48は、カートリッジ12の外周の周りに配置された高分子膜の一連の層又は折り畳みを含む。巻線形電池としての多層膜48の例は、液体メタノールが膜48aに移動し、気相に変換するのを可能にするために、液相状態のメタノールを材料の孔内に保持する多孔性材料の基板48bの第一表面に亘って配置された気化膜48aを含む。膜は多様な高分子システムの1つから二次加工され、ポリウレタン、ポリ(トリメチルシリルプロピン)、及び、複合材料を含む他の高分子組成を含む。高分子の二次加工は、(気化機構による)気化プロセス又は高密度膜構造を管理するために微小空洞を導入することを含み得る。
【0023】
類似の気化性能を達成するために、被覆された或いは被覆されていない燒結金属ディスクからも膜48を二次加工し得る。基板48aは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、他の類似の高分子、又は、1つ又はそれ以上のこれらの高分子の複合材料を含む多様な高分子システムの1つから成る。類似の性能を達成するために、被覆された或いは被覆されていない焼結金属からも基板48aを二次加工し得る。
【0024】
一部の実施態様において、基板48aの材料は、「スポンジ状」材料のさらなる品質を有し得る。スポンジ材料46bの反対面はメタノール透過性層48cで被覆され、それは架橋ゴム、高分子/無機複合材料、表面フッ化高密度ポリウレタンのような表面処理材料、又は、他のメタノール透過性材料のような材料から二次加工され得る。
【0025】
気化膜48aとメタノール透過膜48cとの間の間隙配列が、メタノール蒸気の高フラックスを燃料電池内の陽極室へ搬送するための経路をもたらす状態で、この三層構造48a乃至48cを巻線形にし、且つ、カートリッジを含む円筒形容器内に配置し得る。この多層膜48は、比較的コンパクトな燃料タンク又は燃料カートリッジ12からのメタノール蒸気の極めて高フラックスをもたらし得る。三層構造は、一連の平面層としても構成され、図4等におけるようなプリズム状の電池内のハウジングの出口ポートでハウジング外周の周りに配置されるように、多様な形状及び多様な構造のハウジング内に配置され得る。
【0026】
巻線形配置の高い表面領域(図2B)と長方形の液体燃料囲繞膜(図2A)との間の様々な中間配置が可能である。例えば、図2Cに示されるような中間密度折畳み膜50は、多層構造において得られる高フラックス及び選択肢(図2A)の低膜容量(即ち、堅い熱エネルギー密度)を均衡し得る。ガス透過性膜50は、燃料カートリッジ12の内壁間に延在し、燃料カートリッジ12の出口ポート32の近傍に蒸気室51を提供する。
【0027】
図2D及び2Eを参照すると、速度増大高分子膜52を提供する他のアプローチは、無作為又はパターン状の膜表面の粗面化による(図2E)。ガス透過性膜52は、燃料カートリッジ12の内壁間に配置され、燃料カートリッジ12の出口ポートの近傍に蒸気室51を提供する。粗面化は膜の片面上又は両面上にあり得る。膜の片側(一般的には蒸気側)は透過率を制限し得る。膜の透過率制限側を増大することが好ましい。
【0028】
燃料電池内の陽極層と平行に且つ重なり合って配置される受動的なガス透過性膜を用いた燃料電池の陽極へのメタノールの室温気相供給は、低出力(<3W)DMFCシステム)のために良好に動作し得るが、そのようなアプローチは、高出力動作を持続するための十分なメタノール蒸気フラックスを提供し得ない。これは、膜使用可能気化プロセスにおける本質的限界に起因する。メタノールのユニット領域当たりのメタノールフラックスは、メタノールの酸化を陽極の類似領域のための適当な速度で維持するのに十分である。しかしながら、数ワットの電力範囲より上では、燃料電池動作をより高い電力で持続するのに必要なメタノールフラックスを維持するために、膜の領域は不当に大きく成長する必要がある。より高い電力動作のための平面膜領域を提供するのに必要とされる幾何学的寸法を備える燃料電池は、一般消費者の使用にとって便利でない。加えて、大きな膜は機械的に不安定であり、時間と共に機械的不良のより高い可能性を有する。動作地点及び膜材料の選択に依存して、例えば、1Wの例示的な電力範囲は0.7cm2の膜領域を必要とし得るのに対し、5Wの用途は3.3cm2の膜領域を必要とし得る。3.3cm2以上で、これは多くの一般消費者用途のために非実用的となる。何故ならば、それは極めて大きな膜表面領域を必要とするからである。
【0029】
カートリッジ内に配置される抵抗素子、或いは、電子機器から発生する熱の使用のいずれかによって、上記のアプローチと共に局所的加熱を用い得る。
【0030】
上記に記載されたアプローチは、固定的な幾何学的領域に亘る概ね44の膜構造の有効表面領域(及び全体的な蒸気透過速度)の増大を招く。燃料カートリッジ又は燃料タンク内に配置された強化膜44は、膜の強化表面領域に比例する速度で、燃料電池への蒸気としての燃料供給をもたらす。強化表面領域膜は、より高い電力のDMFCシステムを可能にするために、メタノールの気相をより高速に供給し得るコンパクトな燃料タンク又は燃料カートリッジシステムを許容する。そのようなアプローチは、陽極内における低いメタノール活動を維持するために、燃料電池がポンプ又は他の作動制御の必要なしに動作することも可能にする。
【0031】
図3を参照すると、図示のように、蒸気燃料供給を増大するために、抵抗加熱素子72が気化膜インターフェース44に配置されている。温度が上昇すると共に、気化速度が著しく増大する。温度を上昇し、よって、気化速度を増大するために、図2A乃至2Dに記載された気化膜構造は、局所的熱源として加熱素子を用い得る。図3に例証される加熱素子72は、主電荷(装置10)と電気的に平行に配置され、出力電力中に正味ブーストをもたらすために、燃料電池電気出力の小さな割合によって電力供給される。
【0032】
加熱素子72の1つの例は、ワイヤ、例えば、比較的高い抵抗特性を有するコイルワイヤである。ワイヤとしての加熱素子72のための典型的な抵抗特性は、10〜1Mオーム/センチメータの範囲内である。加熱素子72は、タングステンのような比較的高い抵抗材料から成り得る。使用し得る他の材料は、ニッケル/クロム合金及びその他を含む。燃料電池の腐食及び汚染に対する保護をもたらすために、高抵抗材料を高分子又は貴金属で被覆し得る。抵抗素子72は、気化膜44構造の1つ(例えば、図2A乃至2Eの実施態様のいずれか又は他の構造)と熱連絡して配置される。
【0033】
膜44及び抵抗素子72は、主として燃料の気相によって占められる、カートリッジ12の出口ポート32を含む或いは含まない蒸気室74、例えば、液体燃料76の間の空間をもたらす。膜温度が上昇すると、それは気化速度を上昇するので、抵抗加熱素子72は直接的に膜44と接触するのが好ましい。加熱素子72は、膜44の液体側又は気体側にあるか、或いは、膜44内に埋め込まれ得る。後者の2つの選択肢(蒸気側及び埋込み)は、カートリッジ内の液体の不必要な加熱を最小限化するという利点を有する。加えて、例えば、燒結金属は、膜材料及び抵抗加熱器の双方として働き得る。抵抗素子72によって提供される熱は、膜44に亘って気化速度を増大し、燃料電池によって電力供給される装置10が比較的冷たい周囲温度環境で用いられるとき、全体的性能を向上し得る。
【0034】
図4を参照すると、他のアプローチ80は、液体燃料、例えば、燃料カートリッジ12内のメタノールを、膜の必要なしに熱プロセスを通じて全体的に気化し得る。この構成では、電力は燃料電池(図示せず)から取り出されるか、或いは、加熱機構84に電力供給するために燃料カートリッジ12内又は燃料カートリッジ12上に位置する小さな電池82(例えば、ボタン電池)を通じて供給される。ここで、加熱機構84は、燃料カートリッジ12の出口ポート32に配置されるワイヤとしての電池への接続なしに、概略的に示されている。
【0035】
燃料カートリッジ12は、加熱素子84を含むプリズム状の電池ケース86としてここに例証される壁又は本体と、燃料不透過性材料、例えば、燃料カートリッジ12内部の可動壁又はピストン88と接触するゴム及びその類似物の内部燃料袋90とを含む。バネ89が壁に力を加える。壁又はピストン88がプリズム状ケースの長さに沿って移動するときにそれを案内するために、ガイド(図示せず)を用い得る。液体燃料、例えば、メタノールは袋90内に配置されている。液体が燃料カートリッジ12から消費されると、袋90内の圧力が弱まり、袋90内のメタノールが燃料カートリッジ12の出口ポート32に供給されるのを保証するために、バネ89によって生成される力が壁又はピストン89を袋90に対して押し付ける。壁/ピストン88及びバネ89は、ケースの向きとは無関係に、袋90からの液体の均一な供給を保証する。
【0036】
出口ポート32は、気化加熱ユニットと一体の燃料弁を有し得る。図4Aに示されるような1つの実施態様は、弁組立体(図示せず)内の狭窄領域内に配置された抵抗加熱素子を含む。一部の実施態様では、加熱素子84を省略し得る。燃料カートリッジ12内の或いは燃料カートリッジ12上に支持されたボタン電池によって、或いは、外部リード線(図示せず)を介して、抵抗加熱器のための電力を燃料電池電源から得ることができる。他の実施態様も可能である。
【0037】
図4Aを参照すると、一体化された気化加熱ユニットを有する燃料弁70の例が示されている。燃料弁70は、膜構造46を含む図4に示されるカートリッジ12の実施態様のための出口32として例証されている。出口32は、一体化された加熱素子73を有する弁33として描写されている。弁33はカートリッジ壁65上で支持され、且つ、例えば、図示のような弁の中心に配置されて、或いは、弁の側壁(図示せず)の周りに配置されて、或いは、側壁(図示せず)に一体化されて多様な構造のいずれか1つの内側に配置される加熱素子73を含む。加熱素子は、膜46に亘る気化速度を上昇するために配置される。弁は、使用期間中にそれを装置に固定するための多様な機構、例えば、バイオネット接続、ネジ接続等を有し得る。
【0038】
図5を参照すると、蒸気供給を増進するための代替的な構成は、気化室44の浸透(蒸気)側の上に減圧をもたらし、(圧力増加と類似して)圧力減少は液体を沸騰又は蒸発させ得るという原理を利用することである。別な言い方をすれば、減圧下流側は燃料の蒸気濃度を徐々に減少し、よって、液相から気相への燃料透過のための駆動力を増大する。
【0039】
減圧を誘発する1つの機構は、カートリッジ12の蒸気側90上の容積を増大することである。カートリッジ12の蒸気側は、ピストン92とカートリッジ12の出口ポート32近傍のカートリッジ12の内部領域との間に配置された1つ又はそれ以上のバネ機構94によってカートリッジ12内の液体96に対して付勢される蒸気透過性ピストン94を含む。ピストン」92の1つの実施態様は、蒸気膜44としてある。ワイヤメッシュ又は剛的な微小孔性又はマクロ孔性層が、可撓な気化層(例えば、過フッ化炭素水素高分子、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリウレタン、ポリエステル、セルロース、又は、紙)を機械的に支持し得る。リングピストン92は、カートリッジ壁に沿う滑動中に漏れ止め封止をもたらす。リング外径は、カートリッジ直径内に辛うじて組み入れられる。蒸気側への液流漏れを最小限化するために、リング及び隣接カートリッジ壁は、燃料剥離及び燃料性透過材料から成るか或いは燃料剥離又は燃料透過性材料で被覆される。そのような材料又は塗膜は、フッ素重合体、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等である。加えて、特にリングのために、十分に剛的な材料が、機械的な安定性を依然としてもたらすと同時に、リングの径方向厚さを最小限化するのが好適であり、最大の覆いなし膜領域を許容する。
【0040】
液体容積が減少すると、ピストン92が出口ポート32からさらに離れて移動し、カートリッジ12の蒸気側の上の容積を拡張するので、蒸気側の容積が増大する。再び、気化膜44は燃料を液相で含み、蒸気のみが蒸気側90に浸透することを主として可能にする。機械的作用は、能動的(例えば、バネの力を用いて)又は受動的(例えば、液体の移動だけを用いて)であり得る。受動的作動は、リングピストンの低摩擦に依存する。
【0041】
図6を参照すると、燃料電池18は、陽極102と、セパレータ105によって離間された陰極103とを有する燃料電池スタック100(単一の膜電極組立体)として示されている。燃料スタック100は、燃料カートリッジ12の蒸気側90近傍に配置されている。燃料カートリッジ12からの蒸気は、燃料電池18の陽極電極102に直接的に流れる。
【0042】
蒸気室74の容積の追加的な拡張を許容することによって、カートリッジ12の蒸気側90に誘発される容積拡張を液体燃料相の収縮容積よりも大きくし得る。
【0043】
図7を参照すると、追加的な容積を気相室74に提供することによって、蒸気供給を増大するための構成110が示されている。図5におけるように、ピストン92及び内部バネ94を含む燃料カートリッジ12の蒸気側90は、カートリッジ12の蒸気室74の有効容積を増大するための構成110で増大される。カートリッジ12の外面の周りに配置され、且つ、内部蒸気室74と蒸気連絡している外部室112によって、追加的な容積が気相室74に提供されている。外部室112は、カートリッジ12の出口ポート32近傍に、蒸気透過性ピストン114と燃料電池18との間に配置された1つ又はそれ以上の外部バネ機構116によってカートリッジ12内の外部室112内の蒸気に対して付勢された蒸気透過性ピストン114を有する。蒸気圧が増大すると、蒸気圧の増大は、外部室114の容積を増大するようにピストン114を移動させる。
【0044】
蒸気透過性ピストン114の1つの実施態様は、固形封止材料、又は、ポリフルオロアルケン、フルオロエラストマ、及び、ゴム、例えば、シリコン、フルオロシリコン、ニトリルネオプレン、天然、又は、ポリウレタンのような封止材料が塗布された金属である。機械的剛性をもたらすために、リングピストンに金属コアを含め得る。外部室114は、燃料蒸気、陽極反応生成物、及び、場合によっては、(窒素のような)不活性ガスの拡張可能なガス容積であり得る。外部室114内の圧力増加を回避するために、外部室114の反対の(例えば、リングピストンの反対側上の)収縮容積は、外部環境に放出されるのが好ましい。
【0045】
ここに独立のバネで示されるように、拡張は液体減少と無関係であり得る。代替的に、液体減少で内部ピストン運動と平行に滑動するよう機械的に(或いは所望であれば磁気的に)外部リングピストンを接続し得る。さらに、燃料が減少するにつれて容積の拡張を増大するために、蒸気側キャビティを成形(例えば、コーン状)し得る。液体収縮よりも大きい蒸気側拡張は、追加的な全体的容積を必要とするという不利点を有する。
【0046】
燃料供給の制御のために、表面位置で可変透過を有するよう、膜を合成し或いは(例えば、局所的圧縮又は伸長によって)処理し得る。例えば、もし陽極への不均一な燃料分布がもたらされるならば、燃料分布にさえ位置可変透過性(及び、よって、可変燃料フラックス)をもたらし得る。
【0047】
図8を参照すると、図1A及び1Bに描写された携帯型電力供給された電子機器10が、エネルギー源、例えば、上述のような燃料カートリッジ12の1つを収容する区画を有するハウジング11と共に示されている。相互接続部16は、燃料源(水素の形態)を、液体としてよりもむしろ蒸気として燃料電池(図示せず)に供給する燃料カートリッジ12をインターフェース接続している。燃料カートリッジ12は、燃料の液相を燃料カートリッジ12の出口32に供給され得る気相と仕切る気化膜44を含む。燃料カートリッジ12の一部の実施態様において、壁又は少なくとも壁の一部、例えば、燃料カートリッジ12の12aは、熱伝導性材料、典型的には金属から二次加工される。燃料カートリッジ12のそのような実施態様は、燃料カートリッジの壁を、ラップトップコンピュータのような小型携帯機器によって発生する熱のためのヒートシンクとして用いる。金属又は導電性材料又は導電性材料から成るカートリッジの少なくともそれらの部分は、機器10内の放熱構成部品19と熱連絡して配置されている。燃料カートリッジは、放熱構成部品19、例えば、ラップトップ内のCPUと近接近して、或いは、一部の携帯型電源装置内で用いられる微小ファン(図示せず)と関連する気流内に配置されている。
【0048】
燃料カートリッジ12は、電子機器10内の放熱構成部品19から熱を引き離す。熱は燃料カートリッジ12の熱伝導性壁を越えて移転され、カートリッジ12内のメタノール蒸気の圧力の付随的増大をもたらす。蒸気圧の増大は、セパレータ膜44を通じたより高速の蒸気流を可能にする。この技法は、メタノール蒸気圧の増大、よって、燃料電池へのより大きな燃料供給をもたらす受動システムを備える燃料カートリッジ12をもたらす。加えて、燃料カートリッジ12のヒートシンクとしての使用は、機器効率を強化し且つ機器の稼働時間を増加するために、冷却ファンの必要(及び機器上のエネルギー流出)を著しく低減し得る。燃料カートリッジ12の精密な構造は、機器10の構造、機器によって発生する熱量、及び、ファンの存否に依存し得る。
【0049】
燃料カートリッジ12の構造は、燃料カートリッジ12の残余の断熱壁12bと結合された金属又は他の熱伝導材料壁12aを含む。熱伝導壁12aは、機器内の熱源19と直接接触して、少なくとも熱源19と近接近して、或いは、熱源19から熱を除去するために用いられる空気流路(図示せず)内に配置されている。代替的に、熱伝導は、燃料出口ポート32近傍の燃料カートリッジ12の上部にあり、カートリッジ内に設けられた蒸気室と概ね整列し得る。一部の実施態様において、燃料カートリッジ12のハウジングは、完全に金属又は他の熱伝導性材料から成り得る。燃料カートリッジは、図1、2A乃至2Dに描写されるようなプリズム型、円筒型等の多様な形状を取り得る。
【0050】
図9を参照すると、温度変化に伴うメタノール蒸気圧の変化を描写するプロット図が示されている。
【0051】
カートリッジ12は、動作期間中に大量の熱を発生する電気構成部品と共に特に有用である。カートリッジ12は、理想的には燃料カートリッジと直接接触して配置される機器内の熱発生面を利用する特徴を有する。一部の実施態様において、カートリッジは燃料タンクとして構成され、放熱装置上のヒートシンク素子を補完又は置換し得る。メタノール液体を包含するカートリッジは、気相燃料供給システム、及び、機器10のためのヒートシンクとして作用する。よって、ヒートシンクとして作用する燃料カートリッジは、機器10から熱を除去することを助けるのに対し、発生する熱はメタノール蒸気の蒸気圧を増大し、従って、膜表面によって燃料電池に供給され得る気化燃料の量を増大する。メタノール燃料への熱移転を増大するために、燃料カートリッジは、外部及び/又は内部ファンを含み得る。
【0052】
パーベーパレーションでは、膜よりも前に気化されるよりもむしろ燃料が膜を通じて移動するときに、燃料は気化される。膜の一部の実施態様は、パーベーパレーション膜と考えられ得るのに対し、他の実施態様は気化膜と考えられ得る。例えば、膜なしの或いは膜より前(蒸気−蒸気浸透)の直接加熱は、直接気化プロセスである。
【0053】
図2A乃至2Eにおいて上述されたアプローチは、固定的幾何学領域を越える概ね44の膜構成の有効表面領域(及び、よって、蒸気透過の全体的速度)の増大を招く。燃料カートリッジ又は燃料タンク内に配置された強化膜44は、膜の強化表面領域に比例する速度で、燃料電池への蒸気としての燃料供給をもたらす。図3乃至9に描写される構成は、液体燃料源の温度上昇を伴って、気化速度を指数関数的に増大する。強化表面領域膜及び/又は熱若しくは圧力減少機構は、より高出力のDMFCシステムを可能にするために、メタノールの気相を高速で供給し得るコンパクトな燃料タンク又は燃料カートリッジシステムを許容する。そのようなアプローチは、燃料電池が、陽極内の低メタノール活動を維持するためのポンプ又は他の能動制御の必要なしに動作することも可能にする。
【0054】
本発明の多数の実施態様が記載された。それにも拘わらず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多様な変更をなし得ることが理解されよう。例えば、置換可能な燃料カートリッジである代わりに、構成は、再充填機構を通じて定期的に補充され得る恒久的に取り付けられる燃料タンクであり得る。加えて、第二膜システムを包含する恒久的に取り付けられる燃料タンクを有する燃料電池組立体に気相メタノールをもたらすために、燃料カートリッジを用い得る。そのようなシステムにおいて、第二膜は、燃料電池への気相メタノールのフラックスを、単一段階階気化アプローチの制御よりも多くの蒸気制御をもたらし得る二段階で規制する。よって、本技法は恒久的に取り付けられる燃料タンク、置換可能な燃料電池カートリッジ、又は、それらの双方を備える燃料電池組立体に適用する。従って、他の実施態様は請求項の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1A】燃料電池によって電力供給される電子機器を描写するブロック図である。
【図1B】燃料電池によって電力供給される電子機器を描写するブロック図である。
【図2A】燃料カートリッジ内の高分子膜の構成を描写する概略図である。
【図2B】燃料カートリッジ内の高分子膜の構成を描写する概略図である。
【図2C】燃料カートリッジ内の高分子膜の構成を描写する概略図である。
【図2D】燃料カートリッジ内の高分子膜の構成を描写する概略図である。
【図2E】燃料カートリッジ内の高分子膜の構成を描写する概略図である。
【図3】局所加熱構成を有する燃料カートリッジを描写する概略図である。
【図4】袋及び局所加熱構成を有する燃料カートリッジを描写する概略図である。
【図4A】燃料カートリッジのための弁の特徴を描写する概略図である。
【図5】燃料カートリッジ内に蒸気圧差を誘発するための多様な構成を描写する概略図である。
【図6】燃料カートリッジ内に蒸気圧差を誘発するための多様な構成を描写する概略図である。
【図7】燃料カートリッジ内に蒸気圧差を誘発するための多様な構成を描写する概略図である。
【図8】電源装置及び燃料カートリッジの構造詳細を描写する概略図である。
【図9】温度変化に伴うメタノール蒸気圧を示すプロット図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料源を直接メタノール型燃料電池に供給する燃料カートリッジであって、
ハウジングと、
該ハウジング内の含有物が前記ハウジングから漏れることを可能にする燃料出口と、
当該燃料カートリッジ内に存在する表面領域強化気化膜とを含む、
燃料カートリッジ。
【請求項2】
前記表面領域強化気化膜は、前記ハウジング内部の実質的部分の周りに配置された高分子膜である、請求項1に記載の燃料カートリッジ。
【請求項3】
前記表面領域強化気化膜は、蒸気透過性表面領域を増大するための高分子膜の多層又は折畳みから成る複合材料膜である、請求項1に記載の燃料カートリッジ。
【請求項4】
前記表面領域強化気化膜は、一連の折畳みとして配置された膜である、請求項1に記載の燃料カートリッジ。
【請求項5】
前記表面領域強化気化膜は、気化のための有効膜表面領域を増大するために、マクロ孔的に不規則な及び/又は微小孔的に粗面化された膜表面を備える高分子膜である、請求項1に記載の燃料カートリッジ。
【請求項6】
前記表面領域強化気化膜は、酸化可能燃料の液体源を前記酸化可能燃料の気相源から離間する、請求項1に記載の燃料カートリッジ。
【請求項7】
当該燃料カートリッジは、酸化可能燃料の液体源及び/又は炭素質化合物若しくはそのような化合物の組み合わせを包含する、請求項1に記載の燃料カートリッジ。
【請求項8】
酸化可能燃料の液体源はメタノールである、請求項1に記載の燃料カートリッジ。
【請求項9】
前記表面領域強化気化膜は、ポリウレタン、シリコン、ポリ(トリメチルシリルプロピン)、高分子化合物、及び、高分子組成から成る群から選択される高分子材料から成る、請求項1に記載の燃料カートリッジ。
【請求項10】
前記表面領域強化気化膜は、所与のカートリッジサイズのために、前記出口ポートへの気相メタノールの供給速度を増大する、請求項1に記載の燃料カートリッジ。
【請求項11】
燃料源を直接メタノール型燃料電池に供給する燃料カートリッジであって、
ハウジングと、
該ハウジングによって支持された燃料出口ポートと、
当該燃料カートリッジ内に存在する複合材料膜とを含み、
該複合材料膜は、
多孔性基板と、
該多孔性基板の第一表面に亘って配置された高分子膜と、
前記基板の反対面に亘って配置されたメタノール不透過性材料の塗膜とを含む、
燃料カートリッジ。
【請求項12】
液相メタノールが前記高分子膜に移動し、気相に変換することを可能にするために、前記基板は、前記多孔性材料内の前記液相メタノールを保持するために設けられている、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項13】
前記複合材料膜は、円筒形状素子に巻き入れられる、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項14】
前記高分子膜と前記メタノール不透過性塗膜との間の間隙が、メタノール蒸気の高フラックスを前記出口ポートへ移動するための経路をもたらす、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項15】
複数の前記複合材料膜が、当該燃料カートリッジ内に配置されている、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項16】
複数の前記複合材料膜が、当該燃料カートリッジ内に配置され、且つ、円筒形状素子に巻き入れられる、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項17】
前記基板は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、他の類似の高分子、又は、これらの高分子の1つ又はそれ以上の複合材料である、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項18】
前記高分子膜は、ポリウレタン材料である、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項19】
前記高分子材料は、ポリウレタン、シリコン、ポリ(トリメチルシリルプロピン)、高分子組成、及び、複合材料から成る群から選択される、請求項18に記載の燃料カートリッジ。
【請求項20】
前記高分子は、気化を管理するための微小孔特性を有する、請求項18に記載の燃料カートリッジ。
【請求項21】
前記膜は、高分子で被覆された燒結金属ディスクである、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項22】
前記メタノール不透過性塗膜は、橋架ゴム、高分子/無機複合材料、表面フッ化処理高密度ポリウレタン、又は、他のメタノール不透過性材料である、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項23】
前記基板は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、他の類似の高分子、又は、これらの高分子の1つ又はそれ以上の複合材料であり、前記高分子膜は、ポリウレタン、シリコン、ポリ(トリメチルシリルプロピン)、又は、ポリウレタン、シリコン、若しくは、ポリ(トリメチルシリルプロピン)の複合材料であり、前記メタノール不透過性塗膜は、橋架ゴム、高分子/無機複合材料、表面フッ化処理高密度ポリエチレンのような表面処理材料、又は、他のメタノール不透過性材料である、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項24】
多孔性基板と、
該多孔性基板の第一表面に亘って配置された高分子膜と、
前記基板の反対表面に亘って配置されたメタノール不透過性材料の塗膜とを含む、
燃料カートリッジ内に存在する複合材料膜。
【請求項25】
液相メタノールが前記高分子膜に移動し、気相に転換することを可能にするために、前記基板は、前記多孔性材料内の前記液相メタノールを保持するために設けられている、請求項24に記載の複合材料膜。
【請求項26】
前記複合材料膜は、円筒形状素子に巻き入れられる、請求項24に記載の複合材料膜。
【請求項27】
前記高分子膜と前記メタノール不透過性塗膜との間の間隙が、メタノール蒸気の高フラックスを前記出口ポートへ移動するための経路をもたらす、請求項24に記載の複合材料膜。
【請求項28】
前記基板は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、他の類似の高分子、又は、これらの高分子の1つ又はそれ以上の複合材料である、請求項24に記載の複合材料膜。
【請求項29】
前記高分子材料は、ポリウレタン、シリコン、ポリ(トリメチルシリルプロピン)、高分子組成、及び、複合材料から成る群から選択される、請求項24に記載の複合材料膜。
【請求項30】
前記高分子は、気化を管理するための微小孔特性を有する、請求項24に記載の複合材料膜。
【請求項31】
前記膜は、高分子で被覆された燒結金属ディスクである、請求項24に記載の複合材料膜。
【請求項32】
前記メタノール不透過性塗膜は、橋架ゴム、高分子/無機複合材料、表面フッ化処理高密度ポリウレタン、又は、他のメタノール不透過性材料である、請求項24に記載の複合材料膜。
【請求項33】
前記基板は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、他の類似の高分子、又は、これらの高分子の1つ又はそれ以上の複合材料であり、前記高分子膜は、ポリウレタン、シリコン、ポリ(トリメチルシリルプロピン)、又は、ポリウレタン、シリコン、若しくは、ポリ(トリメチルシリルプロピン)の複合材料であり、前記メタノール不透過性塗膜は、橋架ゴム、高分子/無機複合材料、表面処理フッ化高密度ポリエチレンである、請求項24に記載の複合材料膜。
【請求項34】
直接メタノール型燃料電池と、
燃料源を前記直接メタノール型燃料電池に供給する燃料カートリッジとを含み、
該燃料カートリッジは、
ハウジングと、
該ハウジングによって支持された燃料出口ポートと、
前記燃料カートリッジ内に存在する表面領域強化平面気化膜と、
前記燃料カートリッジからの燃料を収容し、且つ、該燃料を前記燃料電池に供給するために配置された燃料タンクとを含み、
該燃料タンクは、
ハウジングと、
前記燃料タンク内に存在する表面領域強化平面気化膜とを含み、
該表面領域強化平面気化膜は、前記燃料カートリッジ内に存在する前記表面領域強化平面気化膜と共に、前記燃料電池への燃料の二段階気化をもたらす、
構成。
【請求項35】
前記表面領域強化平面気化膜の少なくとも1つは、高表面領域膜をもたらすために、前記ハウジングの内部外周の実質的部分の周りに配置された高分子膜である、請求項34に記載の構成。
【請求項36】
蒸気透過性表面領域を増大するために、前記表面領域強化平面気化膜の少なくとも1つは、高分子膜の多層又は折畳みから成る複合材料膜である、請求項34に記載の構成。
【請求項37】
前記表面領域強化平面気化膜の少なくとも1つは、一連の折畳みとして配置された膜である、請求項34に記載の構成。
【請求項38】
前記表面領域強化平面気化膜の少なくとも1つは、気化のための有効膜表面を増大するために、マクロ孔的に不規則な及び/又は微小孔的に粗面化された膜表面を備える高分子膜である、請求項34に記載の構成。
【請求項39】
電子機器を動作する方法であって、
当該方法は、
燃料源を直接メタノール型燃料電池に供給するために燃料カートリッジを配置するステップを含み、
該燃料カートリッジは、
ハウジングと、
該ハウジングによって支持された出口ポートと、
前記燃料カートリッジ内に存在する複合材料膜とを含み、
該複合材料膜は、
多孔性基板と、
該多孔性基板の第一表面に亘って配置された高分子膜と、
前記多孔性基板の反対表面に亘って配置されたメタノール不透過材料の塗膜とを含む、
方法。
【請求項1】
燃料源を直接メタノール型燃料電池に供給する燃料カートリッジであって、
ハウジングと、
該ハウジング内の含有物が前記ハウジングから漏れることを可能にする燃料出口と、
当該燃料カートリッジ内に存在する表面領域強化気化膜とを含む、
燃料カートリッジ。
【請求項2】
前記表面領域強化気化膜は、前記ハウジング内部の実質的部分の周りに配置された高分子膜である、請求項1に記載の燃料カートリッジ。
【請求項3】
前記表面領域強化気化膜は、蒸気透過性表面領域を増大するための高分子膜の多層又は折畳みから成る複合材料膜である、請求項1に記載の燃料カートリッジ。
【請求項4】
前記表面領域強化気化膜は、一連の折畳みとして配置された膜である、請求項1に記載の燃料カートリッジ。
【請求項5】
前記表面領域強化気化膜は、気化のための有効膜表面領域を増大するために、マクロ孔的に不規則な及び/又は微小孔的に粗面化された膜表面を備える高分子膜である、請求項1に記載の燃料カートリッジ。
【請求項6】
前記表面領域強化気化膜は、酸化可能燃料の液体源を前記酸化可能燃料の気相源から離間する、請求項1に記載の燃料カートリッジ。
【請求項7】
当該燃料カートリッジは、酸化可能燃料の液体源及び/又は炭素質化合物若しくはそのような化合物の組み合わせを包含する、請求項1に記載の燃料カートリッジ。
【請求項8】
酸化可能燃料の液体源はメタノールである、請求項1に記載の燃料カートリッジ。
【請求項9】
前記表面領域強化気化膜は、ポリウレタン、シリコン、ポリ(トリメチルシリルプロピン)、高分子化合物、及び、高分子組成から成る群から選択される高分子材料から成る、請求項1に記載の燃料カートリッジ。
【請求項10】
前記表面領域強化気化膜は、所与のカートリッジサイズのために、前記出口ポートへの気相メタノールの供給速度を増大する、請求項1に記載の燃料カートリッジ。
【請求項11】
燃料源を直接メタノール型燃料電池に供給する燃料カートリッジであって、
ハウジングと、
該ハウジングによって支持された燃料出口ポートと、
当該燃料カートリッジ内に存在する複合材料膜とを含み、
該複合材料膜は、
多孔性基板と、
該多孔性基板の第一表面に亘って配置された高分子膜と、
前記基板の反対面に亘って配置されたメタノール不透過性材料の塗膜とを含む、
燃料カートリッジ。
【請求項12】
液相メタノールが前記高分子膜に移動し、気相に変換することを可能にするために、前記基板は、前記多孔性材料内の前記液相メタノールを保持するために設けられている、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項13】
前記複合材料膜は、円筒形状素子に巻き入れられる、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項14】
前記高分子膜と前記メタノール不透過性塗膜との間の間隙が、メタノール蒸気の高フラックスを前記出口ポートへ移動するための経路をもたらす、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項15】
複数の前記複合材料膜が、当該燃料カートリッジ内に配置されている、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項16】
複数の前記複合材料膜が、当該燃料カートリッジ内に配置され、且つ、円筒形状素子に巻き入れられる、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項17】
前記基板は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、他の類似の高分子、又は、これらの高分子の1つ又はそれ以上の複合材料である、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項18】
前記高分子膜は、ポリウレタン材料である、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項19】
前記高分子材料は、ポリウレタン、シリコン、ポリ(トリメチルシリルプロピン)、高分子組成、及び、複合材料から成る群から選択される、請求項18に記載の燃料カートリッジ。
【請求項20】
前記高分子は、気化を管理するための微小孔特性を有する、請求項18に記載の燃料カートリッジ。
【請求項21】
前記膜は、高分子で被覆された燒結金属ディスクである、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項22】
前記メタノール不透過性塗膜は、橋架ゴム、高分子/無機複合材料、表面フッ化処理高密度ポリウレタン、又は、他のメタノール不透過性材料である、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項23】
前記基板は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、他の類似の高分子、又は、これらの高分子の1つ又はそれ以上の複合材料であり、前記高分子膜は、ポリウレタン、シリコン、ポリ(トリメチルシリルプロピン)、又は、ポリウレタン、シリコン、若しくは、ポリ(トリメチルシリルプロピン)の複合材料であり、前記メタノール不透過性塗膜は、橋架ゴム、高分子/無機複合材料、表面フッ化処理高密度ポリエチレンのような表面処理材料、又は、他のメタノール不透過性材料である、請求項11に記載の燃料カートリッジ。
【請求項24】
多孔性基板と、
該多孔性基板の第一表面に亘って配置された高分子膜と、
前記基板の反対表面に亘って配置されたメタノール不透過性材料の塗膜とを含む、
燃料カートリッジ内に存在する複合材料膜。
【請求項25】
液相メタノールが前記高分子膜に移動し、気相に転換することを可能にするために、前記基板は、前記多孔性材料内の前記液相メタノールを保持するために設けられている、請求項24に記載の複合材料膜。
【請求項26】
前記複合材料膜は、円筒形状素子に巻き入れられる、請求項24に記載の複合材料膜。
【請求項27】
前記高分子膜と前記メタノール不透過性塗膜との間の間隙が、メタノール蒸気の高フラックスを前記出口ポートへ移動するための経路をもたらす、請求項24に記載の複合材料膜。
【請求項28】
前記基板は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、他の類似の高分子、又は、これらの高分子の1つ又はそれ以上の複合材料である、請求項24に記載の複合材料膜。
【請求項29】
前記高分子材料は、ポリウレタン、シリコン、ポリ(トリメチルシリルプロピン)、高分子組成、及び、複合材料から成る群から選択される、請求項24に記載の複合材料膜。
【請求項30】
前記高分子は、気化を管理するための微小孔特性を有する、請求項24に記載の複合材料膜。
【請求項31】
前記膜は、高分子で被覆された燒結金属ディスクである、請求項24に記載の複合材料膜。
【請求項32】
前記メタノール不透過性塗膜は、橋架ゴム、高分子/無機複合材料、表面フッ化処理高密度ポリウレタン、又は、他のメタノール不透過性材料である、請求項24に記載の複合材料膜。
【請求項33】
前記基板は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、他の類似の高分子、又は、これらの高分子の1つ又はそれ以上の複合材料であり、前記高分子膜は、ポリウレタン、シリコン、ポリ(トリメチルシリルプロピン)、又は、ポリウレタン、シリコン、若しくは、ポリ(トリメチルシリルプロピン)の複合材料であり、前記メタノール不透過性塗膜は、橋架ゴム、高分子/無機複合材料、表面処理フッ化高密度ポリエチレンである、請求項24に記載の複合材料膜。
【請求項34】
直接メタノール型燃料電池と、
燃料源を前記直接メタノール型燃料電池に供給する燃料カートリッジとを含み、
該燃料カートリッジは、
ハウジングと、
該ハウジングによって支持された燃料出口ポートと、
前記燃料カートリッジ内に存在する表面領域強化平面気化膜と、
前記燃料カートリッジからの燃料を収容し、且つ、該燃料を前記燃料電池に供給するために配置された燃料タンクとを含み、
該燃料タンクは、
ハウジングと、
前記燃料タンク内に存在する表面領域強化平面気化膜とを含み、
該表面領域強化平面気化膜は、前記燃料カートリッジ内に存在する前記表面領域強化平面気化膜と共に、前記燃料電池への燃料の二段階気化をもたらす、
構成。
【請求項35】
前記表面領域強化平面気化膜の少なくとも1つは、高表面領域膜をもたらすために、前記ハウジングの内部外周の実質的部分の周りに配置された高分子膜である、請求項34に記載の構成。
【請求項36】
蒸気透過性表面領域を増大するために、前記表面領域強化平面気化膜の少なくとも1つは、高分子膜の多層又は折畳みから成る複合材料膜である、請求項34に記載の構成。
【請求項37】
前記表面領域強化平面気化膜の少なくとも1つは、一連の折畳みとして配置された膜である、請求項34に記載の構成。
【請求項38】
前記表面領域強化平面気化膜の少なくとも1つは、気化のための有効膜表面を増大するために、マクロ孔的に不規則な及び/又は微小孔的に粗面化された膜表面を備える高分子膜である、請求項34に記載の構成。
【請求項39】
電子機器を動作する方法であって、
当該方法は、
燃料源を直接メタノール型燃料電池に供給するために燃料カートリッジを配置するステップを含み、
該燃料カートリッジは、
ハウジングと、
該ハウジングによって支持された出口ポートと、
前記燃料カートリッジ内に存在する複合材料膜とを含み、
該複合材料膜は、
多孔性基板と、
該多孔性基板の第一表面に亘って配置された高分子膜と、
前記多孔性基板の反対表面に亘って配置されたメタノール不透過材料の塗膜とを含む、
方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2007−506253(P2007−506253A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526943(P2006−526943)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/029505
【国際公開番号】WO2005/029625
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/029505
【国際公開番号】WO2005/029625
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】
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